説明

特に自由な形に曲げるための、製造設備

本発明は、自由な形に曲げるための、製造設備1に関する。製造設備1は、工具収容部19、20内に交換可能に保持されている複数の曲げ工具4を有する曲げプレス3と、把持フィンガー31、32を備えた把持トング30を有する、マニピュレータ28と、曲げ工具4を操作するために、互いに離隔したストッパ領域49、50を有する、曲げ工具4内に配置された切欠き35、36とを有している。把持フィンガー31、32の端部38、39において、把持フィンガー31、32の、それぞれ互いに背を向ける側に、さらなる接触面40が形成されている。把持フィンガー31、32の端部38、39が、曲げ工具4を締付け保持するために、切欠き35、36内へ挿入されている。把持フィンガー31、32の接触面40が、形成すべき工作物2を保持するためのクランプ力に関して逆方向に、ストッパ領域49、50に圧接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載されるような、特に金属薄板から形成すべき工作物を自由な形に曲げるための、製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、曲げ工具のための工具交換システムが知られており、それにおいては、曲げ工具を操作するための専用のマニピュレータが設けられている。それは、ピン形状の取付け部を有し、それが、操作するために曲げ工具の専用の切欠き内へ挿入される。そのために、専用に形成されたマニピュレータピンが必要であって、それは、曲げ工具の操作のみに用いられる。さらに、このマニピュレータピンを介してか、あるいはさらなるマニピュレータピンを介して、曲げ工具を工具収容部内へ保持する間、その曲げ工具の締付けを緩めることができる。これは、さらなる他のマニピュレータピンによって機械的に行なうことができ、あるいは又は第1のマニピュレータピンに基づいて、圧力手段操作される作動によって行なうこともできる。
【0003】
特許文献2は、曲げ工具のための他の工具交換システムを記述しており、それにおいて、工作物を形成するための金属薄板を操作するための専用の把持部材が設けられている。曲げ工具の操作は、さらなるマニピュレータ部材によって行なわれ、それは、互いに離隔した2つのピン形状の突出部を有しており、それらの突出部が、曲げ工具を操作するために、曲げ工具の正反対の切欠き内へ挿入されている。この形成においては、金属薄板を操作するために使用されるのと同じ把持部材フィンガーを、曲げ工具の操作のためにも使用できるようにすることは、不可能である。
【0004】
特許文献3は、マニピュレータ用の様々なアタッチメントを有する工具交換システムを記述している。アタッチメントの1つを用いて、操作するために金属薄板を、形成する工具まで把持して保持することができ、他のアタッチメントを用いて曲げ工具のそこに張り出している部材を捕捉して操作することができる。その場合、ここでも工作物と曲げ工具を操作するために、異なるアタッチメントが必要である。
【0005】
特許文献4からは、他の工具交換システムが知られており、それにおいて、曲げ工具内に透孔が形成されており、その中へ専用の把持アームを挿入し、かつ挿通することができる。一方で、把持アームの取付け部を介して相対的な位置決めが行なわれ、切欠きの軸方向に変位可能に案内される保持アームによって、曲げ工具のヘッド部分の領域内で締付け機構を緩めることが行なわれる。ここでも、曲げ工具を操作するために、別体のマニピュレータアームが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許公報第1862255号
【特許文献2】日本国特許公開公報第06−234018号
【特許文献3】日本国特許公開公報第05−293552号
【特許文献4】欧州特許公報第1160024号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、製造設備の曲げ工具のための工具交換システムを、曲げ工具を簡単に自動化して交換することができ、かつそのための適合をわずかな手間と費用で実施することができるように、構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこの課題は、請求項1の特徴によって解決される。請求項1の特徴によって得られる利点は、曲げ工具内に切欠きを配置して設け、マニピュレータの把持フィンガーの端部を然るべく形成することにより、同一の把持フィンガーによって加工すべき金属薄板をできあがった工作物になるまでだけでなく、それによって曲げ工具を保持して操作することもできるようにする可能性が提供されることにある。曲げ工具の領域内の切欠きを選択することによって、ここでは、さらなる、曲げ工具を越えて突出する、操作のための部分が必要とされない。切欠きの然るべき形態によって、切欠き内へ挿入してそれを操作することができるようにするための、特別な工具も不要である。それによって一方では、1つの移動方向における2つの把持フィンガーの互いに近づく単純なクランプ運動によって、金属薄板ないしそれから成形すべき工作物を簡単に保持することができ、他方では、移動方向をそれとは逆に方向付けするだけで、同一の把持フィンガーによって曲げ工具を保持して操作することを行なうことができる。従って、曲げ工具の操作プロセスのために、そもそも専用のマニピュレータを準備するか、あるいは特にそのために形成された専用の把持フィンガーないしマニピュレータを形成して、それをまた別に操作しなければならないことは、もはや必要ない。
【0009】
請求項2に記載の他の実施形態も効果的である。というのは、把持トングの把持フィンガーと組み合わせて、傾いて移動する場合でも、曲げ工具の十分な保持が保証されているからである。その場合、さらに、薄板の通常一般的なクランプの場合に行なわれるのと同様の保持位置ないしクランプ位置がとられる。
【0010】
さらに、請求項3に記載の形成が、効果的である。というのは、それによってクランププロセスの終了直前にすでに一義的な予備センタリングが得られ、それによってさらに、把持フィンガーと曲げ工具との間のねじれ防止を提供することができるからである。
【0011】
請求項4に記載の形成によって、直接かつマニピュレータを複雑に曲げることなしに、工具収容部内に保持されている曲げ工具の交換が可能になる。
【0012】
請求項5に記載の他の実施変形例によれば、把持フィンガーに曲げ工具をほぼ傾きモーメントなしで支持して保持することが得られる。
【0013】
請求項6に記載の展開も効果的である。というのは、それによってある程度の許容範囲が形成され、その中で把持フィンガーは、曲げ工具の切欠き内へ挿入して、それに締付け固定することができるからである。
【0014】
請求項7に記載の形態においては、それによって切欠きを形成するための加工をさらにずっと簡略化し、かつより安価に形成できて、効果的である。
【0015】
請求項8に記載の展開によって、支持領域が把持フィンガーの外側にほぼエッジ状に添接し、それによって曲げ工具が把持フィンガーから滑り、ないしずれることが難しくなる。さらに、把持フィンガーの接触面を然るべく正反対に形成する場合に、互いにある程度の形状結合のロックないしカップリングを達成することができる。
【0016】
請求項9に記載の形成によって、曲げ工具の普遍的な取扱いと操作を達成することができる。
【0017】
請求項10に記載の形成も、効果的である。というのは、それによって両側で曲げ工具を捕捉して保持することができ、それによって操作がさらに本質的に簡略化されるからである。
【0018】
そして、請求項11に記載されるような展開も効果的である。というのは、それによって保持する間さらに良好な相互のセンタリングが達成できるからである。
【0019】
本発明をさらに良く理解するために、以下の図を用いて本発明を詳細に説明する。
【0020】
図は、それぞれ著しく簡略化された表示である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る製造設備の曲げプレスを示す図である。
【図2】図1に示す曲げプレスを、図式的に示唆されるマニピュレータと共に示す側面図である。
【図3】図2に示すマニピュレータの把持トングを拡大して示している。
【図4】図1と2に示す曲げプレスの一部をその曲げ工具の領域内で拡大して示す側面図である。
【図5】図4に示す曲げプレスの曲げスタンプを、図4の矢印Vに従って示している。
【図6】異なる形成の切欠きを有する他の曲げ工具の一部を、拡大して示す側面図である。
【図7】図6に示す曲げ工具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
最初に記録しておくが、異なるように記載された実施形態において、同一の部分には同一の参照符号ないし同一の構成部分名称が設けられており、その場合に説明全体に含まれる開示は、意味に従って同一の参照符号ないし同一の構成部分名称を有する同一の部分へ移し替えることができる。また、説明において選択されている、たとえば上、下、側方などのような位置記載は、直接説明され、かつ図示された図に関するものであって、位置が変化した場合には意味に従って新しい位置へ移し替えられる。さらに、図示され、かつ説明された様々な実施形態の個別特徴又は特徴の組合せも、それ自体自立した、進歩的あるいは発明に基づく解決を表すことができる。
【0023】
具体的な説明における値領域についての全記載は、それが任意の部分領域とそのすべての部分領域を共に含むものであるとし、たとえば1から10という記載は、下限の1と上限の10から始まるすべての部分領域、すなわち下限の1以上から始まり、上限の10以下で終了するすべての部分領域、たとえば1から1.7あるいは3.2から8.1あるいは5.5から10、が一緒に含まれているものとする。
【0024】
図1と2には、金属薄板から形成すべき工作物1を自由な形に曲げるための製造設備1が、著しく図式的に簡略化された表示で示されている。
【0025】
製造設備1は、互いに対して調節可能な、曲げスタンプ5と曲げ型6のような、曲げ工具4の間で工作物2ないし工作部分を形成するための、曲げプレス3、特に折曲げプレスを有している。
【0026】
曲げプレス3の機械フレーム7は、たとえば底プレート8からなり、その上に垂直に突出して、互いに離隔し、かつ互いに対して平行に整合された側壁9、10が配置されている。これらは、好ましくは、たとえば金属薄板成形部分から形成された中実の横結合材11によって、底プレート8から離隔した端部領域において互いに結合されている。
【0027】
側壁9、10は、工作物2を変形するための自由空間を形成するために、ほぼC字形状であって、その場合に側壁9、10の底近傍の脚部のフロント端面12に、底プレート8上に立つ、固定のプレスビーム13、特にテーブルビームが固定されている。底プレート8から離れた脚部のフロント端面14において、線形ガイド15内でテーブルビームを形成するプレスビーム13に対して変位可能な他のプレスビーム16、特に押圧ビームが案内されて支承されている。2つのプレスビーム13、16の互いに対向する、互いに対して平行に延びる端面17、18上に、曲げ工具4を搭載するための工具収容部19、20が配置されている。
【0028】
図示の曲げプレス3は、調節可能なプレスビーム16、すなわち押圧ビームのための駆動配置21として、電気エネルギによって駆動される2つの駆動手段22を有しており、それら駆動手段が、エネルギ網23から給電される制御装置24と導線接続されている。制御装置24と導線接続されている入力ターミナル25を介して、たとえば曲げプレス3の駆動が制御される。
【0029】
駆動手段22は、一般に知られているような、電動のスピンドルドライブ26であって、その操作手段が、押圧ビームによって形成されるプレスビーム16を可逆的に操作移動させるために、そのプレスビームと、たとえば駆動接続されている。
【0030】
たとえば安全装置、ストッパ配置、コントロール及び測定装置のような、この種の曲げプレス3の駆動に必要な他の詳細については、具体的な説明の中で、説明を不必要に長くすることを回避するために、省かれる。
【0031】
さらに、製造設備1は、ここでは図2に簡単に示すマニピュレータ28を有しており、そのマニピュレータが、変形すべき、ないしは折り曲げるべき金属薄板の図式的に示唆する貯蔵スタック29から、その少なくとも1つの片を取り出して、曲げプレス3の駆動領域内へ移動させる。マニピュレータ28自体は、簡略化して示す把持トング30を有しており、その把持トングが把持フィンガー31、32を有している。把持フィンガー31、32は、それぞれ形成すべ工作物2へ向いた側にクランプ面33、34を有している。2つの把持フィンガー31、32が適切に揺動して、十分なクランプ力をもたらすことによって、クランプ面33、34との協働を介して、薄板ないし形成すべき工作物2がマニピュレータ28によって保持されて、適切に移動され、かつ位置決めされる。把持トング30の把持フィンガー31、32によって、然るべき把持と、それに続くクランプ運動によってもたらされる、金属薄板から形成すべき工作物2のための十分な保持が保証されている。
【0032】
さらにここでは、曲げ工具4、特に曲げスタンプ5及び/又は曲げ型6が、それを操作するために専用の切欠き35、36を有していることが、簡単に示されている。ここで曲げ工具4の操作というのは、曲げ工具が自動化されて、ここには詳しく図示されない工具軸受から取り出されて、自動的にプレスビーム13、16の工具収容部19、20内へ挿入されることを、意味している。その場合に、工具交換システムについて言及することができる。然るべき曲げ工具4を交換するために、曲げ工具4を締付け保持した後に、それが工具収容部19、20から少なくともその長手方向に再び引き出され、ないしは引っ張られて、他の曲げ工具4に代えられる。その場合に、交換すべき工具4は、工具貯蔵所へ戻されて、分類して格納され、それによって後に他の曲げプロセスのためにそこで再び取り出されて、工具収容部19、20内へ挿入される。そのために、曲げ工具4内の切欠き35、36が用いられる。個々の曲げ工具4の締付け保持は、ここでは曲げ工具4内に配置されている切欠き35、36と把持トング30の把持フィンガー31、32との協働において行なわれる。
【0033】
図3には、前に図式的に示した把持トング30が、見やすくするために拡大した縮尺で再度示されており、互いに向き合ったクランプ面33、34を有する2つの把持フィンガー31、32を示している。ここでも同一の部分には、先行する図1と2内で使用されたのと同一の参照符号ないし構成部分名称が使用される。不必要な繰返しを避けるために、先行する図1と2内の詳細な説明が指示され、ないしは参照される。
【0034】
金属薄板から形成すべき工作物2は、ここでは2つの把持フィンガー31、32の間の締付け位置において、2つのクランプ面33、34に添接して示されている。ここに図示される例において、把持フィンガー31は、たとえば固定的に、他の把持フィンガー32はそれに対して揺動可能に、マニピュレータ37に支承されている。その場合に揺動運動は、予め定められた平面内で行なわれ、その場合に揺動方向が双方向矢印によって示唆されている。しかしまた、2つの把持フィンガー31、32を互いに揺動させることも、可能である。同一の把持トング30によって、工作物2を形成するための金属薄板を把持して保持することができるようにするだけでなく、ここではその把持トングによって曲げ工具4の操作も実施することができるようにされている。そのために、2つの把持フィンガー31、32の各端部38、39において、クランプ面33、34の互いから背を向けた側に、それぞれさらなる接触面40が設けられている。
【0035】
工作物2を形成するための金属薄板の締付け作用を得るために、把持トング30の一方又は両方の把持フィンガー31、32が互いに近づくように移動されるので、クランプ面33、34の間の間隔が、薄板がその厚みないし太さによってそれらの間に挟持されるように減少される。
【0036】
曲げ工具4を操作するために、把持フィンガー31、32の端部38、39が曲げ工具4の切欠き35又は36内へ挿入されて、工作物2の締付け作用に関して逆方向に、曲げ工具における締付け保持が得られる。切欠き35、36の可能な形成の説明が、以下の図において詳細に行なわれる。
【0037】
図4と5には、曲げ工具4の可能な、場合によってはそれ自体自立した実施形態が示されており、その場合にここでも同一の部分には、図1から3におけるのと同一の参照符号ないし構成部品名称が使用される。不必要な繰返しを避けるために、図1から3内の詳細な説明が指示ないし参照される。
【0038】
図4と5を図2と一緒に見ると明らかなように、曲げ工具4はそれぞれヘッド部分41を有しており、そのヘッド部分が締付け領域42内で工具収容部19、20内へ挿入されている。そのために、工具収容部19、20は、収容スロット43を有している。ここに図示される曲げ工具4の各々は、さらに、ヘッド部分41から離れた端部領域44を有しており、その端部領域が、曲げ工具4の長手方向の広がりにおける曲げ領域45を定める。曲げ工具4のヘッド部分41と端部領域44との間に、工具アーム46が延びている。この実施例において、曲げスタンプ5を形成する曲げ工具4において、工具アーム46は複数の詳しく示されない脚によって形成されている。
【0039】
プレスビーム13、16の上述した2つの工具収容部10、20は、1つ又は複数の曲げ工具4のヘッド部分41を収容し、それらはそこに交換可能に保持されている。
【0040】
曲げ型6を形成する曲げ工具4において、工具アームはそのヘッド部分41と端部領域44との間で、曲げスタンプ5の工具アーム46とは異なり、短くずんぐりとして形成されている。
【0041】
曲げスタンプ5ないし曲げ型6によって形成される曲げ工具4は、その空間形状において、それを画成する側壁47とそれから長手方向に離隔した前壁48とによって画成されている。
【0042】
曲げスタンプ5として形成されている曲げ工具4の1つの側壁47の領域内の、ここに示す切欠き35は、互いに離隔したストッパ領域49、50を有している。ここに図示する実施例において、2つのストッパ領域49、50は、曲げ工具4の、特に曲げスタンプ5のノーマルな使用位置において、互いに垂直に重なり合い、ないしは垂直の平面内で互いに整合されている。ストッパ領域49、50の各々は、少なくとも1つの専用のストッパ面51、52を有している。その場合に、ストッパ領域49、50ないしそれによって画成されるストッパ面51、52の空間形状は、任意に形成することができる。好ましくはこれらは、上述した把持フィンガー31、32の接触面40に対して正反対に形成することができる。ここに示す実施例において、2つのストッパ面51、52は、アーチ形状に形成されている。2つのストッパ領域49、50は、好ましくは、曲げ領域45に関して垂直方向に方向付けされた基準平面53内に配置されている。さらに、基準平面53は、ここでは曲げ工具4の長手方向の延びに関しても垂直に方向づけされている。従って、ここに示す実施例において、2つのストッパ領域49、50は、曲げ領域45に関して垂直方向に互いに離隔している。
【0043】
マニピュレータ28の把持トング30によって曲げ工具4を締付け保持するために、把持フィンガー31、32の端部38、39が、切欠き35、36内へ挿入されている。形成すべき工作物2を保持するための締付け力に関して把持フィンガー31、32を逆方向に適切に押し開くことによって、把持フィンガー31、32の外側に位置する接触面40が、2つのストッパ領域49、50に添接する。
【0044】
従って、さらなる工具費用ないしさらなる操作手段なしで、工作物2を形成するための金属薄板を保持して操作するために使用されるのと同一の、マニピュレータ28の把持フィンガー31、32によって、曲げ工具4を捕捉して、それによって保持できるようにすることが、可能である。その場合に、そのために、把持フィンガー31、32によって曲げ工具4を操作するために、曲げ工具に、ピン、ボルト、リブなどのようなさらなる構成部分を取り付ける必要のないことも、さらに効果的である。切欠き35、36を設け、ないしは形成することは、たとえばフライス工程のような、簡単な加工プロセスによって行なうことができる。曲げ工具4の然るべき強度特性を維持するために、切欠き35、36の配置と大きさに配慮される。
【0045】
把持フィンガー31、32と切欠き35、36との協働において、曲げ工具4を方向付けして保持するために、一方のストッパ領域49、50のストッパ面51ないし52が、他方のストッパ領域50、49とは逆の側へ互いに近づくように方向付けされていると、効果的である。この種の可能な形成が、図5に破線で示唆されている。それによって、2つの接触面40の、それに対応づけられたストッパ面51、52におけるセルフセンタリングが得られる。従って完璧な締付けが得られるだけでなく、すでに曲げ工具4の収容プロセスから始まって工具収容部19、20ないし工具貯蔵所内に最終的に位置決めされるまでの方向付けされた保持も得られる。そのために、把持フィンガー31、32に形成された接触面40は、ストッパ領域49、50、特にそのストッパ面51、52に対して正反対に形成することができる。
【0046】
好ましくは切欠き35、36は、曲げ領域45に関して平行に延びるように方向づけされた、曲げ工具4の少なくとも1つの側壁47内に配置される。曲げ工具4の厚みが適切である場合に、切欠き35、36は、前壁48の少なくとも1つに配置することもできる。把持フィンガー31、32における曲げ工具4の偏心した保持を回避するために、切欠き35、36が好ましくは、長手方向に互いに離隔した2つの前壁48の間の中央に配置されていると、効果的である。それによって、曲げ工具4の長手方向の延びに関して切欠き35、36のストッパ領域49、50の中央の配置が得られる。
【0047】
図6と7には、曲げ工具4の可能な、かつ場合によってはそれ自体自立した実施形態が示されており、その場合にここでも同一の部分には、先行する図1から5内で使用されたのと同一の参照符号ないし構成部分名称が使用される。不必要な繰返しを避けるために、図1から5の詳細な説明が指示され、ないしは参照される。
【0048】
ここに示される実施形態において、ここでも曲げ工具4として曲げスタンプ5が選択されている。把持トング30の把持フィンガー31、32と協働するための、ここに図示される切欠き35は、曲げ工具4の長手方向に延びている。その場合に、曲げ領域45に関して好ましくは平行の方向づけが、効果的である。切欠き35は、さらに、一方の側壁47内だけでなく、対向して配置することもできる。好ましくは切欠き35は、2つの前壁48の間で曲げ工具4の長手方向の延び全体にわたってつながって延びることもできる。すなわち切欠き35は、溝形状に形成することができる。横断面で見て、切欠き35は蟻溝状に形成することができる。これは、溝の底から始まって切欠き35を画成するストッパ面51、52が、側壁47の方向へ向って互いに近づくように延びて形成されていることを、意味している。
【0049】
その場合に、様々な位置から曲げ工具4を把持して捕捉することができるようにするために、曲げ工具4内に複数の切欠き35、36が設けられていると、効果的である。そのために、切欠き35、36は、曲げ工具4の対向する側壁47内に配置し、ないしは形成することができる。
【0050】
しかし、ここで説明する切欠き35、36のこの配置は、図4と5に示す実施形態においても、選択することができる。その場合には、ストッパ領域49、50は、曲げ工具4の長手方向の延びに関して平行な方向に互いに離隔することになる。この場合においては、互いに対して押し開かれた把持フィンガー31、32による締付け保持は、行なうことができるが、上述した保持に関して90°回動された方向付けとなる。
【0051】
実施例は、製造設備1の可能な実施変形例、特に曲げ工具4とそれと協働する把持フィンガー31、32を示しており、その場合にここで述べておくが、本発明は具体的に示されたその実施変形例に制限されるものではなく、むしろ、個々の実施変形例を互いに様々に組み合わせることも可能であって、この変形可能性は具体的発明による技術的に取り扱うための教示に基づいて、この分野に従事する当業者の裁量の範囲内にある。従って、図示され、かつ説明された実施変形例の個々の詳細を組み合わせることによって可能な、すべての考え得る実施変形例も、保護範囲に一緒に含まれる。
【0052】
最後に念のために指摘するが、製造設備1の構造をより良く理解するために、この製造設備ないしその構成部分は、一部縮尺通りでなく、かつ/又は拡大及び/又は縮小して示されている。
【0053】
自立した進歩的解決の基礎となる課題は、明細書から読み取ることができる。
【0054】
特に図1、2;3;4、5;6;7に示す形態は、自立した進歩的解決の対象を形成することができる。これに関する、発明に基づく課題と解決は、これらの図の詳細な説明から読み取ることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 製造設備
2 工作物
3 曲げプレス
4 曲げ工具
5 曲げスタンプ
6 曲げ型
7 機械フレーム
8 底プレート
9 側壁
10 側壁
11 横結合材
12 フロント端面
13 プレスビーム
14 フロント端面
15 線形ガイド
16 プレスビーム
17 端面
18 端面
19 工具収容部
20 工具収容部
21 駆動配置
22 駆動手段
23 エネルギ網
24 制御装置
25 入力ターミナル
26 スピンドルドライブ
27 操作手段
28 マニピュレータ
29 貯蔵スタック
30 把持トング
31 把持フィンガー
32 把持フィンガー
33 クランプ面
34 クランプ面
35 切欠き
36 切欠き
37 マニピュレータアーム
38 端部
39 端部
40 接触面
41 ヘッド部分
42 締付け領域
43 収容スロット
44 終端領域
45 曲げ領域
46 工具アーム
47 側壁
48 前壁
49 ストッパ領域
50 ストッパ領域
51 ストッパ面
52 ストッパ面
53 基準平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に金属薄板から形成すべき工作物(2)を自由な形に曲げるための、製造設備(1)であって、
プレスビーム(13、16)と工具収容部(19、20)を有する、曲げプレス(3)、特に折曲げプレスと、
ヘッド部分(41)とそれから離隔した、曲げ工具(4)の長手方向の延びにおける曲げ領域(45)を定める終端部分(44)及びヘッド部分(41)と終端部分(44)との間に延びる工具アーム(46)を有し、ヘッド部分(41)がプレスビーム(13、16)の工具収容部(19、20)内に交換可能に保持されており、かつ曲げ工具(4)がその境界をなす側壁(47)と前壁(48)とを有している、曲げスタンプ(5)又は曲げ型(6)のような、少なくとも1つの曲げ工具(4)と、
把持フィンガー(31、32)を備えた把持トング(30)を有し、2つの把持フィンガー(31、32)が、形成すべき工作物(2)へ向いた側に、形成すべき工作物(2)を把持して保持することができるようにするために、クランプ面(33、34)を有している、マニピュレータ(28)と、
曲げ工具(4)を操作するために、曲げ工具(4)内に配置された少なくとも1つの切欠き(35、36)とを有している、前記製造設備において、
把持フィンガー(31、32)の端部(38、39)において、クランプ面(33、34)の、それぞれ互いに背を向ける側に、さらなる接触面(40)が形成されており、
切欠き(35、36)が、互いに離隔したストッパ領域(49、50)を有しており、把持フィンガー(31、32)の端部(38、39)が、曲げ工具(4)を締付け保持するために、切欠き(35、36)内へ挿入されており、
把持フィンガー(31、32)の接触面(40)が、形成すべき工作物(2)を保持するためのクランプ力に関して逆方向に、ストッパ領域(49、50)に圧接されている、
ことを特徴とする製造設備。
【請求項2】
ストッパ領域(49、50)が、曲げ領域(45)に関して垂直方向に互いに離隔している、ことを特徴とする請求項1に記載の製造設備(1)。
【請求項3】
ストッパ領域(49、50)の各々がストッパ面(51、52)を有しており、一方のストッパ領域(49、50)のストッパ面(51、52)が、他方のストッパ領域(50、49)とは逆の側へ互いに近づくように延びて方向づけされている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造設備(1)。
【請求項4】
切欠き(35、36)が、曲げ領域(45)に関して平行に延びるように方向付けされた、曲げ工具(4)の少なくとも1つの側壁(47)内に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項5】
切欠き(35、36)のストッパ領域(49、50)が、曲げ工具(4)の長手方向の延びに関して中央に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項6】
切欠き(35、36)が、曲げ工具(4)の長手方向に延びている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項7】
切欠き(35、36)が、曲げ工具(4)の長手方向の延び全体にわたって延びている、ことを特徴とする請求項6に記載の製造設備(1)。
【請求項8】
切欠き(35、36)が、溝状に形成されており、かつ蟻溝状に形成された横断面を有している、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項9】
曲げ工具(4)内に複数の切欠き(35、36)が設けられている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項10】
切欠き(35、36)が、曲げ工具(4)の対向する側壁(47)内に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造設備(1)。
【請求項11】
把持フィンガー(31、32)に設けられた接触面(40)が、それぞれ曲げ工具(4)のストッパ領域(49、50)に対して正反対に形成されている、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造設備(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−510002(P2013−510002A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538135(P2012−538135)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/AT2010/000432
【国際公開番号】WO2011/057312
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(509296085)トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (4)
【Fターム(参考)】