説明

特定微生物の検出及び定量方法

材料の試料における特定の種類の微生物の存在を確認して定量するための方法および組成物を開示する。最確数および連続希釈法において増殖した培養物中の特定の微生物の存在を確認するために、ハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の手法を、ブランクおよび対照試料を用いた手法のカリブレーションの後に、適用する。例えば、飼料中に存在する特定のプロバイオティック微生物の量を決定するために、動物飼料の試料を培養し、分析することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は参照により本明細書に組み込まれる「動物飼料中の微生物の検出方法」と題された2003年8月29日出願の米国特許仮出願第60/481312号の利益を主張する。本出願は「動物飼料中のプロバイオテクスの分析」と題された2003年4月15日に受領された開示文書529733に関連する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、動物飼料のような材料の試料における特定の微生物の検出および定量のために有用な材料および方法に関する。本方法は微生物を培養すること、および、目的の特定の微生物を検出するためにオリゴヌクレオチドプライマーを使用することを含む。
【0003】
(背景技術)
微生物はしばしば、栄養補給のため、消化改善のため、所望の栄養分の取り込みを増大させるため、望ましくない、または有害な微生物と競合するため、および種々の他の理由のために動物飼料に添加される。典型的には、肥育場または乳製品製造所のような動物飼料が動物により消費される場所において、微生物を動物飼料に添加する。例えば参照により本明細書に組み込まれる「反芻動物による食糧の利用性を改善するための方法」と題された1996年7月9日登録のWareらへの米国特許第5,534,271号、および参照により本明細書に組み込まれる「反芻動物による食糧の利用性を改善するための組成物」と題された1996年6月25日登録のGarnerらへの米国特許第5,529,793号を参考にできる。「プロバイオティック(probiotic)」および「直接供給微生物(DFM)」という用語は動物飼料に添加される有益微生物に言及する場合に使用される場合が多い。
【0004】
関連する問題点の1つは、添加した微生物の存在を確認又はその濃度を定量する必要性である。殆どの既存の方法は処理した飼料から得られた試料の直接または間接的な培養に依存している。これらの方法は、多くは極めて高濃度の他の微生物の存在により妥協を余儀なくされる場合が多い。更にまた、多くの微生物は伝統的な培地中で培養されると外観が同様になり、同定と定量を更に複雑化している。
【0005】
即ち、処理した動物飼料を分析する進歩した方法、すなわち理想的には、所望の微生物の特定の菌株の存在を確認できる方法が必要とされている。
【0006】
(発明の開示)
試料の培養とオリゴヌクレオチドプライマーの使用を組み合わせた方法を開示する。オリゴヌクレオチドプライマーは直接の検出方法において使用できるか、または、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような方法において使用できる。これらの方法は、動物飼料中の所望のプロバイオティック微生物を確認し、定量するために有用である。
【0007】
1つの態様によれば、本発明は材料の試料における特定の種類の微生物の存在を定量する方法を提供する。この方法は、(a)特定の種類の微生物の培養物が増殖するのに適した条件下で試料を培養する工程;(b)培養した試料の各区分における特定の種類の微生物の存在または非存在を検出するために、少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドを使用する工程;および、(c)培養した試料の各区分における特定の種類の微生物の検出された存在または非存在から、材料の試料中の特定の種類の微生物の存在を定量する工程、を含む。
【0008】
別の態様によれば、本発明は材料の試料における特定の種類の微生物の存在を定量する方法を提供する。この方法は、(a)試料を複数の区分に分割する工程;(b)特定の種類の微生物が増殖するのに適した条件下で試料の各区分を培養する工程;(c)特定の種類の微生物の核酸と選択的にハイブリダイズする2種類のオリゴヌクレオチドプライマーに試料の各培養した区分を順次反応させてポリメラーゼ連鎖反応過程を実施することにより、試料の各培養した区分から各反応産物を産生する工程;(d)試料の各培養した区分の反応から特徴的な長さを有する反応産物の存在または非存在を検出する工程;および、(e)試料の各培養した区分の反応から特徴的な長さを有する反応産物の検出された存在または非存在から、材料の試料における特定の種類の微生物の存在を定量する工程、を含む。
【0009】
更に別の態様によれば、本発明は動物飼料中のプロバイオティック微生物の検出のための方法を提供する。この方法は、動物飼料とプロバイオティック微生物とを接触させることにより処理した動物飼料を作製する工程;処理した動物飼料の試料を採取する工程;プロバイオティック微生物が増殖するのに適した条件下で試料を培養する工程;2種類のPCRプライマーを用いながら培養した試料に対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施して、PCR産物を生成する工程;PCR産物を分析してPCR反応の結果を得る工程;および、PCR反応の結果を動物飼料中のプロバイオティック微生物の存在または非存在と相関付ける工程、を含む。
【0010】
更に別の態様によれば、本発明は動物飼料中のプロバイオティック微生物の検出のための方法を提供する。この方法は、動物飼料とプロバイオティック微生物とを接触させることにより、処理した動物飼料を作製する工程;処理した動物飼料の試料を採取する工程;プロバイオティック微生物が増殖するのに適した条件下で、試料を培養することにより培養物を作製する工程;培養物から核酸を得る工程;ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド−核酸の形成のために適する条件下でオリゴヌクレオチドに核酸を接触させること;ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド−核酸を検出して、ハイブリダイゼーションの結果を得る工程;および、ハイブリダイゼーションの結果を動物飼料中のプロバイオティック微生物の存在または非存在と相関付ける工程、を含む。
【0011】
(配列の簡単な説明)
以下の詳細な説明の後の配列リストは本明細書の部分を構成し、そして本発明の特定の態様を更に明らかにするために含まれる。本発明は本明細書に示した特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの配列1つ以上を参考にすることにより、更に良好に理解される。
【0012】
配列番号1(SEQ ID NO:1)は、オリゴヌクレオチドPCRプライマーLactoG5R(18ヌクレオチド(nt))である。
【0013】
配列番号2(SEQ ID NO:2)は、オリゴヌクレオチドPCRプライマーLA51特異的G4R(18ヌクレオチド)である。
【0014】
配列番号3(SEQ ID NO:3)は、配列番号2がハイブリダイズするオペロンITS標的rRNA配列である。
【0015】
(発明を実施するための最良の形態)
動物飼料に添加されている望ましい微生物の存在を確認して定量する現在使用されている方法は、「プレート計数」または「cfu(コロニー形成単位)」計数の計算をもたらすペトリ皿上に産生された培養物のみに依存している。これらの方法は不正確であり、ペトリ皿上に増殖すると目視上は同様または同一に見える同様の型の微生物を識別できない。
【0016】
本発明の種々の実施形態は、動物飼料中の微生物を直接または間接的に検出して定量するためにオリゴヌクレオチドを使用する。
【0017】
本発明の態様は、動物飼料中の望ましい微生物の存在を正確に確認して定量するためのPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法の使用に関する。本発明の別の態様は、目的の微生物1またはそれ以上に由来する特徴的なDNAまたはRNA配列へのオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイゼーションと、その後のハイブリダイズしたプライマーの検出および/または定量に関する。
【0018】
本発明の1つの実施形態は、動物飼料中のプロバイオティック微生物の検出のための方法に関し、その方法は、動物飼料とプロバイオティック微生物とを接触させることにより処理した動物飼料を作製する工程;処理した動物飼料の試料を採取する工程;プロバイオティック微生物が増殖するのに適した条件下で液体培地中で試料を培養する工程;培養した試料から核酸を得る工程;ハイブリダイゼーションに適する条件下で核酸にオリゴヌクレオチドを接触させる工程;ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド−核酸の存在または非存在を検出してハイブリダイゼーションの結果を得る工程;および、ハイブリダイゼーションの結果を動物飼料中のプロバイオティック微生物の存在または非存在と相関付ける工程、を含む。ハイブリダイゼーションの結果は定性的または定量的でありえる。この方法は更に、ハイブリダイゼーション工程の前に、核酸を増幅することを含む。オリゴヌクレオチドは、検出されるべきために放射性、蛍光性であり、レポーター酵素、またはその他の適用物と共有結合であり得る。前記オリゴヌクレオチドは、好ましくは、他の微生物には存在しないがプロバイオティック微生物中には存在する特徴的な核酸配列に、ハイブリダイズする。前記核酸は、DNAおよび/またはRNAでありえる。前記オリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、PNAまたは他のDNA合成類縁体でありえる。
【0019】
本発明の別の実施形態は、動物飼料中のプロバイオティック微生物の検出のための方法に関し、その方法は、動物飼料とプロバイオティック微生物とを接触させることにより処理した動物飼料を作製する工程;処理した動物飼料の試料を採取する工程;プロバイオティック微生物が増殖するのに適した条件下で液体培地中の試料を培養する工程;第1のPCRプライマーおよび第2のPCRプライマーを用いながら培養した試料に対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することにより、PCR産物を生成する工程;PCR産物を分析してPCR反応の結果を得ること;および、前記PCR反応の結果を、動物飼料中のプロバイオティック微生物の存在または非存在と相関付ける工程、を含む。
【0020】
前記動物飼料は一般的に何れかの型の動物飼料であってよい。動物飼料の例は、乳牛用飼料、肉牛用飼料、肥育用ウシ、ドッグフード、キャットフード、ラビットフード、動物園用動物飼料、雌ウシ用飼料、ニワトリ飼料、ウマ飼料、ブタ飼料、シチメンチョウ飼料、ラム飼料、シカ飼料、バッファロー飼料、ワニ飼料、ヘビ飼料および魚類用飼料を含む。
【0021】
プロバイオティック微生物は、一般的に、動物飼料に添加するか、または直接もしくは他の手段により動物に投与することが望まれる何れかのプロバイオティック微生物であってよい。このようなプロバイオティック微生物の例は、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifudum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アギリス(Lactobacillus agilis)、ラクトバチルス・アラクトサス(Lactobacillus alactosus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・アミロフィルス(Lactobacillus amylophilus)、ラクトバチルス・アミロボランス(Lactobacillus amylovorans)、ラクトバチルス・アミロボルス(Lactobacillus amylovorus)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス・バタタス(Lactobacillus batatas)、ラクトバチルス・ババリクス(Lactobacillus bavaricus)、ラクトバチルス・ビフェルメンタンス(Lactobacillus bifermentans)、ラクトバチルス・ビフィダス(Lactobacillus bifidus)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・ブクネリ(Lactobacillus buchnerii)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カテナフォルメ(Lactobacillus catenaforme)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・セロビサス(Lactobacillus cellobiosus)、ラクトバチルス・コリノイデス(Lactobacillus collinoides)、ラクトバチルス・コンフサス(Lactobacillus confusus)、ラクトバチルス・コプロフィルス(Lactobacillus coprophilus)、ラクトバチルス・コリニフォルミス(Lactobacillus coryniformis)、ラクトバチルス・コリノイデス(Lactobacillus corynoides)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・クルバタス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブルエキ(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・デシジオサス(Lactobacillus desidiosus)、ラクトバチルス・ダイバージェンス(Lactobacillus divergens)、ラクトバチルス・エンテリ(Lactobacillus enterii)、ラクトバチルス・ファルシミニス(Lactobacillus farciminis)、ラクトバチルス・フェルメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・フリギダス(Lactobacillus frigidus)、ラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、ラクトバチルス・フルクトサス(Lactobacillus fructosus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ハロトレランス(Lactobacillus halotolerans)、ラクトバチルス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ヘテロヒオキ(Lactobacillus heterohiochii)、ラクトバチルス・ヒルガルディ(Lactobacillus hilgardii)、ラクトバチルス・ホルドニエ(Lactobacillus hordniae)、ラクトバチルス・イヌリナス(Lactobacillus inulinus)、ラクトバチルス・ジェンセニ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・ジュグルチ(Lactobacillus jugurti)、ラクトバチルス・カンドレリ(Lactobacillus kandleri)、ラクトバチルス・ケフィア(Lactobacillus kefir)、ラクトバチルス・ラクチス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・レイヒマニ(Lactobacillus leichmannii)、ラクトバチルス・リンドネリ(Lactobacillus lindneri)、ラクトバチルス・マレフェルメンタンス(Lactobacillus malefermentans)、ラクトバチルス・マリ(Lactobacillus mali)、ラクトバチルス・マルタロミカス(Lactobacillus maltaromicus)、ラクトバチルス・ミナー(Lactobacillus minor)、ラクトバチルス・ミナツス(Lactobacillus minutus)、ラクトバチルス・モビリス(Lactobacillus mobilis)、ラクトバチルス・ムリナス(Lactobacillus murinus)、ラクトバチルス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・シュードプランタラム(Lactobacillus pseudoplantarum)、ラクトバチルス・ルテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ロゴサ(Lactobacillus rogosae)、ラクトバチルス・トレランス(Lactobacillus tolerans)、ラクトバチルス・トルケンス(Lactobacillus torquens)、ラクトバチルス・ラミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス・サケ(Lactobacillus sake)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・サンフランシスコ(Lactobacillus sanfrancisco)、ラクトバチルス・シャーピー(Lactobacillus sharpeae)、ラクトバチルス・トリコデス(Lactobacillus trichodes)、ラクトバチルス・バクシノステルカス(Lactobacillus vaccinostercus)、ラクトバチルス・ビリデセンス(Lactobacillus viridescens)、ラクトバチルス・ビツリナス(Lactobacillus vitulinus)、ラクトバチルス・キシロサス(Lactobacillus xylosus)、ラクトバチルス・ヤマナシエンシス(Lactobacillus yamanashiensis)、ラクトバチルス・ザエ(Lactobacillus zeae)、ペジオコッカス・アシドラクチシ(Pediococcus acidlactici)、ピデオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)、ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)、ストレプトコッカス・ジセチラクチス(Streptococcus discetylactis)、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・インタメヂウス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・ラクティス(Streptococcus lactis)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカスおよび大腸菌を含む。乳酸利用微生物の別の群はプロピオニバクテリウム・フロインデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、プロピオニバクテリウム・シェルマニ(Propionibacterium shermanii)、プロピオニバクテリウム・ジェンセニ(Propionibacterium jensenii)、プロピオニバクテリウム・アシジプロピオニシ(Propionibacterium acidipropionici)、プロピオニバクテリウム・ソエニ(Propionibacterium thoenii)、プロピオニバクテリウム、メガスフェラ・エルスデニ(Megasphaera elsdenii)、セレノモナス・ルミナチウム(Selenomonas ruminatium)およびペプトストレプトコッカス・アサッカロリティカス(Peptostreptococcus asaccharolyticus)を包含する。プロバイオティック微生物の1つの特定の例は、ラクトバチルスの種、例えばラクトバチルス・アシドフィルスまたはラクトバチルス・LA51である。LA51株は天然に存在する菌株である。LA51株の供給はオクラホマ大学のStanley Gilliland教授により維持されており、試料はオクラホマ大学の許託のもとに供与されている。
【0022】
本明細書に記載した方法はまた、動物飼料、人間が消費する食品、土壌、水、植物、動物の皮革および皮膚、動物の消化管、堆肥および糞中の有害または望ましくない微生物の存在を検出して定量するためにも使用できる。有害または望ましくない微生物は、大腸菌属、サルモネラ属、赤痢菌属、カンピロバクター属、クロストリジウム属、ミコバクテリウム属、エルシニ属、バチルス属、ビブリオ属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、アエロモナス属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、シトロバクター属、アエロバクター属、およびセラチア属を含む。
【0023】
培養工程は、好ましくは目的のプロバイオティック微生物の増殖に好都合な条件下で実施する。異なる微生物は異なる最適温度、培地およびpH条件を有する。例えばラクトバチルス・アシドフィルスは約35℃およびpH約5.5の嫌気性環境下で良好に増殖する。
【0024】
第1のPCRプライマーおよび第2のPCRプライマーは、好ましくはプロバイオティック微生物中に存在する唯一の特定の核酸配列にハイブリダイズするように選択される。前記特定の核酸配列は、好ましくは動物飼料中に通常見られる他の微生物中には存在しない。特定のPCRプライマー長および配列は核酸配列により異なる。一般的に、PCRプライマーは約10ヌクレオチド〜約25ヌクレオチド長である。例えばプライマーは10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25またはそれ以上のヌクレオチド長、少なくとも35ヌクレオチドであってよい。第1および第2のPCRプライマーは、同じ長さを有することができ、或いは、異なる長さである。PCRプライマーは好ましくは特定の核酸配列へのハイブリダイゼーションを妨害する可能性がある明らかな二次構造は有さない。また、PCRプライマーは好ましくは誤ハイブリダイゼーションをもたらす可能性のある多数の繰り返し配列を有しない。第1のPCRプライマーおよび第2のPCRプライマーは、特定の核酸配列に対するよりもむしろそれらが相互にハイブリダイズするような相補性の領域を有しないことが好ましい。
【0025】
分析工程は、様々なよく知られた分子生物学的手法により実施してよい。これらの方法はアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動および液体クロマトグラフィーを包含する。これらの方法は電気泳動結果の顕微鏡画像化のような画像化技術を含んでよい。
【0026】
相関付けの工程は動物飼料の試料をプロバイオティック微生物の既知量を投与してある試料と比較することを含む。相関付け工程はまた、対照「ブランク」試料に動物飼料試料を比較することも包含できる。相関付け工程は、「有/無」結果を与える定性的なもの、または動物飼料中に存在するプロバイオティック微生物の濃度を計算する定量的なものであることができる。
【0027】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するために記載した。当業者の知る通り、以下の実施例に開示する手法は本発明の実施において良好に機能することを本発明者等が発見した手法を示しており、従って、その実施のための好ましい様式を構成するものと考える。しかしながら、当業者の知る通り、本発明の開示に鑑みれば、本発明の範囲を外れることなく多くの変更が開示された特定の実施形態において可能であり、そしてなお同様の結果が得られる。
【0028】
(実施例)
実施例1:動物飼料の採取
動物飼料の分析において重要な最初の工程は、具体的な試料を採取することである。多くの適する方法が設計されている中で、以下のものが有効であることがわかっている。
【0029】
各々約500gの試料10点を採取する。試料を滅菌ビニール袋内に入れ、密封する。前記袋に、試料採取の日付と時間および動物飼料に添加したプロバイオティックの量(典型的には飼料トン当たり)を記載する。試料を無作為に、飼料内に分散した材料から採取する。例えば飼料10,000ポンドの積荷は1回に各1000ポンドを採取し合計10試料とする。前記プロバイオティックが光、熱または空気に対して感受性であることがわかっているか、疑われる場合は、前記試料は飼料蓄積物の「内部」から採取しなければならない。
【0030】
同じ数量の対照試料をプロバイオティックを投与していない同じ型の試料から採取する。対照試料は、生物のバックグラウンド量を測定するために有用である。試料の採取および取り扱いの装置が対照試料を汚染しないように留意する。
【0031】
試料は隔離された冷却機内に保存し、可能な限り迅速に試験実験室に送達する。試料を輸送用培地、例えばLBSブロスに入れ、試験実験室への輸送の間に微生物の増殖が抑制されるのに十分冷涼な温度、例えば4℃に維持する。
【0032】
実施例2:培地
液体または固体の培地は、プロバイオティックの増殖に適するように選択しなければならない。例えばプロバイオティックであるラクトバチルスLA51について試験する場合は、LBSブロスおよびLBS寒天を製造元のプロトコルに従って使用してよい。LBSは広範な製造元、例えばSigma−Aldrich(St.Louis,MO)およびAlpha Biosciences(Baltimore,MD)から入手できる。Alpha Biosciencesから入手したLBSは25℃でpH5.5±0.2であり、以下の成分、即ちカゼイン消化ペプトン(10.0g/l)、デキストロース(20.0g/l)、酵母エキス(5.0g/l)、酢酸ナトリウム(25.0g/l)、リン酸1カリウム(6.0g/l)、ツイーン80(1.0g/l)、硫酸第1鉄(0.034g/l)、クエン酸アンモニウム(2.0g/l)、硫酸マグネシウム(0.575g/l)、硫酸マンガン(0.12g/l)および寒天(固体培地の場合、15.0g/l)を含有する。
【0033】
実施例3:プロバイオティックのLBSプレーティング
試料10gを蒸留水中0.1%ペプトン90mlに添加する。混合物を30回混合シリンダー中で振とうする。前記混合物を10分間放置する。これを10希釈(−1 dilution)とする。
【0034】
複数の連続希釈は、LBSプレート上のコロニー増殖を計数するのに都合の良い数になるように、必要に応じて行なう。例えば10、10、10、10、10および10希釈を行うことができる。使用するプレートの大きさに応じて、少容量の希釈物を培養用プレート表面全体に均一に広げる。典型的には、0.1〜1mlの液体を使用する。プレートは、単独または集計用に重複して調製できる。
【0035】
プレートを被覆し、35℃で48時間嫌気性環境中で培養する。プレート上の菌数を測定する。典型的にはプレート当たり30〜300個が適当である。プレート由来の複数のコロニーを顕微鏡で観察してよい。典型的にはプレート当たり約5コロニーを観察する。コロニーの色および形状を記録する。プロバイオティックであるラクトバチルスLA51の場合は、コロニーは白色で丸型の外観を示すはずである。
【0036】
グラム染色試験用のスライドを調製する。LA51コロニーはグラム陽性と評価されなければならず、そして生物は丸まった棒状物の外観を呈する。
【0037】
実施例4:動物飼料への標準物質の添加
対照飼料を自己溶解させ、室温に放冷する。処理した飼料への添加と同様に、同じ濃度のプロバイオティックを冷却した飼料に添加する。プロバイオティックを10分間飼料中に浸積させる。処理した飼料10gを前記実施例に記載した通り蒸留水中0.1%ペプトン90mlに添加する。これらの試料の連続希釈、培養、プレーティングおよび分析は実施例3に記載のものと同じ方法で実施する。
【0038】
実施例5:処理した飼料由来のプロバイオティックの培養
蒸留水中0.1%ペプトン2.25Lを混合シリンダーに添加する。25g飼料10区分を10試料袋の各々から1つずつ添加する。混合ボールを添加し、シリンダーを60秒間振とうする。これを10希釈とする。混合物を10分間放置する。これらの試料の連続希釈、培養、プレーティングおよび分析は実施例3に記載のものと同じ方法で実施する。
【0039】
実施例6:対照飼料からのプロバイオティックの培養
実施例3の操作法を用いて対照飼料試料を処理する。これは未処理の飼料中に存在するバックグラウンド微生物の指標となる。
【0040】
実施例7:試料のPCR分析
前記実施例を用いて動物飼料中に存在するプロバイオティックの「予測(presumed)」cfuを得る。しかしながら多くの生物が、プロバイオティックと同様または同一の外観を有するため、プロバイオティックのcfuが過剰計数されるかもしれない。更にまた、プロバイオティックまたは動物飼料投与物の他の成分の存在が非プロバイオティック生物の増殖を促進または抑制する場合があり、分析を更に複雑化している。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析の手法を用いることにより、動物飼料試料中の特定のプロバイオティックの存在の明確な証拠が得られる。
【0041】
PCRは、試料中の特定のDNA配列の存在(または非存在)に関して試験するものである。PCRは、生存中の生物から得られたDNAと死亡または非生存性の生物から得られたDNAとの間を識別しない。従って、前記の実施例に記載した連続希釈培養は試料中の生存中生物から得られた「シグナル」を増幅するために使用することができる。非生存性の生物の量は潜伏期の後の生存性生物の僅かの比率となり、従って、その後のPCR分析において影響は小さい。
【0042】
PCRはプレート上または液体培養物試料中に増殖している特定のコロニーに対して実施できる。少量のコロニーを、爪楊枝またはマイクロピペット先端を用いて、PCR反応物に添加することができる。液体培地(例えば1μl)の少容量をPCR反応に直接添加できる。何れの型の試料も多量すぎるとPCR反応を抑制することがある。PCR反応に添加するべき試料は、発酵産物を除去するために遠心分離および蒸留水洗浄を行なってよい。
【0043】
実施例8:PCR反応試料の調製
プロバイオティックのDNA配列をPCRを用いて増幅できるように選択する。理想的には、特定のDNA配列は動物飼料中に通常見られる微生物のなかで独特のものであり、従ってその試料中のプロバイオティックの存在または非存在に対して特有の「マーカー」として作用するであろう。本実施例においては、オペロンITS標的rRNA配列を選択した(配列番号3)。
【0044】
各25μlの反応物について、以下の成分、即ち、Hotstar Taq Master Mix(Qiagen,Inc.,Valencia,CA)12.5μl、プライマーLacto G4R 1μl(μl当たり50ng;5’−AAC GCG GTG TTC TCG GTT−3’(配列番号1))、LA51特異的プライマー1μl(μl当たり50ng;5’−CCT GCA CTT TAT CTA TCG−3’(配列番号2))および蒸留水9.5μlを混合する。プライマー配列番号1はラクトバチルスに適合する一般化された配列であることから選択した。(配列番号1は配列番号3中のヌクレオチド563〜546の逆ヌクレオチド配列に相補である。)プライマー配列2は、rRNAの16Sと23Sの領域の間に位置する内部転写スペーサー(ITS)上のLA51配列にハイブリダイズするように設計されている。(配列番号2は配列番号3中の342〜359ヌクレオチド由来のヌクレオチド配列である。)
試料(1μlの液体培養物、または、少量のコロニー物質)をPCR反応に添加し、混合する。陽性および陰性対照の試料も調製する。
【0045】
PCR反応試験管をサーモサイクラーPCR装置に入れ、適当な時間および温度プログラムを用いて処理する。前記プライマーについては、以下のプログラム、即ち、(94℃の変性を30秒間、54℃のアニーリングを30秒間、そして、72℃の重合を1分間)を32サイクル、次に72℃で10分、そして4℃保存が有効である。
【0046】
PCR産物は水平アガロースゲル電気泳動により容易に分析される。臭化エチジウムを1ml当たり0.1μl含有する1xTAE緩衝液中で調製した1.75%アガロースゲルを用いてよい。前記したPCR反応のためには、反応混合物8μlを5xローディング緩衝液(ブロモフェノールブルーマーカーを含有)2μlと混合し、アガロースゲル中でウェル内に添加する。サイズ標準物質(例えば制限酵素HaeIIIで切断したphiX174DNA)を前記ゲルの1レーンに添加する。ゲルを25〜50ボルトで泳動する。電気泳動の進行はゲル中のブロモフェノールブルーのバンドの目視検査によりモニタリングする。DNAバンドは、UV光源を用いて可視化する。プライマー配列番号1および2を用いたプロバイオティックであるラクトバチルスLA51由来のDNAのPCR分析により、約225bpの単一のバンドが得られる。
【0047】
標準物質の種々の既知濃度を用いたPCR反応物を用いて、培養物中のプロバイオティックの濃度を定量することができる。これを連続希釈度と組み合わせて使用することにより、動物飼料中のプロバイオティックの濃度を定量することができる。
【0048】
実施例9:試験結果の解釈
動物飼料をプロバイオティックであるラクトバチルスLA51の2.0x1010〜2.6x1010cfu/gで処理することができる。以下の結果が、前記実施例に記載した方法を用いることにより推定される。最確数(Most Probable Number)(MPN)は連続希釈の観察に基づいて低濃度の生物を推定する方法である(Cochran,W.G.1950.Estimation of bacterial densities by means of the “Most Probable Number”, Biometrics 6:105−116;James T.Peeler and Foster D.Mcclure;Bacteriological Analytical Manual, USFDA,7版,1992)。
【表1】

【0049】
LA51を含有する対照飼料は大部分が汚染されているように観察された。
【0050】
実施例10:例示される試験結果
動物飼料をプロバイオティックであるラクトバチルスLA51の2.0x1010cfu/gで処理した。プロバイオティックを5.5時間飼料に接触させた後に試料を採取した。以下の計数値が求められ、これら全ては、推定された範囲内であることがわかった。
【表2】

【0051】
次に試料を顕微鏡を用いて、グラム染色により観察した。
【表3】

【0052】
対照飼料および処理した飼料は、同様の水準の推定LA51計数値および同様の観察生物を含んでいた。しかしながら、増幅したPCR産物を観察することにより、処理した飼料のみがLA51を含んでいた。推定された生物の約43%が混合ボールの使用により飼料から抽出された。これにより、LA51の陽性識別が可能となり、そして生物の含量の推定範囲内の水準が確認された。推定生物の僅か43%が低値であると思われるが、推定生存生物の100%を得ることは幾分現実的ではない。前記10%を超えた回収は、何れも測定を推定計数値の同じ対数内とするものである。
【0053】
前記した実施例は、動物飼料中の特定の種類の微生物の検出および定量を示しているが、これらの実施例において使用された方法を、他の種の材料の試料における特定の微生物を検出および定量することに適合させることができることを、理解すべきである。前記方法は、動物飼料における特定の病原体を検出および定量するために用いることでき、または、動物の堆肥中または消化管中の特定の微生物を検出するために使用できる。前記方法は、食品、水および空気中の特定の微生物を検出および定量するために使用できる。前記方法は発芽または伝染のために特殊な条件を有する特定の微生物を検出および定量するために使用できる。前記方法はまた、他の点においては一般的または良性である微生物であって特定の有毒または接触伝染性である天然または生命工学による突然変異株を検出して定量するために使用される。
【0054】
図1は前記実施例の多くにおいて適用された方法の概要を示している。この方法は、試料の自動化処理、および放射性のマーカーまたはプローブを使用しない目的の特定の種類の微生物の低濃度の定量に適している。第1工程101においては、材料の具体的な試料を採取する。前記試料は、使用または消費されるべき大部分の材料が典型的なものとなるように採取しなければならない。例えば動物飼料の場合、肥育場または乳製品製造所のような材料の大半が使用または消費される時間および場所に近似するように、前記試料を採取する。
【0055】
工程102においては、後の工程(107)においてかなりの数量の試料培養区分が目的の特定の種類の微生物の非存在を示すように希釈する。工程102は特定の種類の微生物の初期濃度が十分低値である場合には省略してよい。
【0056】
工程103においては、希釈試料を複数の区分に分割する。工程104においては、希釈試料の各区分をその微生物の増殖に適した条件下で培養する。工程105においては、PCR過程は、微生物のDNAと選択的にハイブリダイズする2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、各培養区分を順次反応させることにより実施される。
【0057】
各培養区分に対して使用すべきPCR増幅サイクル数は、試料当たり少数の微生物を各々含有する標準試料を調製すること、および、広範なサイクル範囲にわたるそれぞれのサイクル数を用いて、標準試料に対してPCR増幅を実施することにより選択できる。(工程106のような電気泳動検出によって)陽性表示が得られる地点を最小サイクル数とすべきである。陽性表示がもはや無効となる地点を最大サイクル数としてよい。各培養区分に対して使用するサイクル数はこれらの最少数から最大数の間の平均でなければならない。PCR過程のこのカリブレーションはまた、採取されるべき材料または採取されるべき材料中の競合微生物の作用を補うようPCRサイクル数を調節するために、採取すべき滅菌されたか滅菌されていない多数の材料に、既知量の微生物を添加することにより調製された標準試料に対しても実施できる。
【0058】
工程106においては、希釈試料の各区分に由来するPCR反応産物に対して電気泳動を実施することにより、特徴的長さを有する反応産物の存在または非存在を検出する。
【0059】
工程107においては、希釈試料の各区分について、特徴的長さを有するPCR反応産物の存在または非存在が特定の種類の少なくとも1種類の微生物の存在または非存在を示すことを仮定することにより、試料中の特定の種類の微生物の最確数を決定する。特定の種類の少なくとも1種類の微生物を有すると示された希釈試料の区分の数は、培養前の試料の区分中の特定の種類の微生物の数の下限である。
【0060】
試料中の特定の種類の微生物が試料の区分内で無作為に分布していると仮定することにより、特定の種類の少なくとも1つの微生物を有するものとして示された試料区分の数から、初期に試料中にあった特定の種類の微生物の最確数を決定することができる。更にまた、試料の採取元である大半の材料に由来する試料の無作為の変動を考慮した信頼限界を得ることもできる。
【0061】
例えばN=3、5、8および10試料区分の場合につき陽性表示の特定の数を与えられた微生物の最確数および上および下の95%信頼限界は、Robert BlodgettによるBacteriological Analytical Manual Online, January 2001, 付録2, Most Probable Number from Serial Dilutionにおいて、合衆国連邦薬品管理局のCenter for Food Safety & Applied Nutrition のインターネットウエブサイト(cfsan.fda.gov)上に公開されている。
【表4】

【0062】
連続希釈を工程102において実施し、そして工程103〜106は一連の希釈物の各々に対して実施し得る。試料中の特定の種類の微生物の最確数は、表からの一連の希釈物の各々に対して求めることができ、そして、最も良好な信頼限界を有する最確数を、試料中の特定の種類の微生物の最確数として選択できる。前記引用したBacteriological Analytical Manual Online, January 2001, 付録2もまた一連の種々の連続希釈物からの表示の組み合わせに基づいて最確数を決定できるようにする。
【0063】
前記した通り、試料について決定した特定の種類の微生物の最確数を、既知量の特定の微生物の試料について求めた数に対して、そして、特定の微生物を全く有さないことがわかっている対照試料と、対比させることができる。既知量の試料および対照試料はハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の手法が、実際に最確数および連続希釈法において増殖している特定の微生物の存在を検出していることを確認できる。
【0064】
本明細書および請求項に開示した全ての組成物および/または方法は、本発明の開示を鑑みれば予定外の実験を行うことなく実施および完遂できる。本発明の組成物および方法は好ましい実施形態に関して記載してあるが、当業者の知る通り、本発明の概念および範囲から外れることなく本明細書に記載した組成物および/または方法および方法の工程または工程の順序に変更を適用してよい。より詳しくは、同じ、または、同様の結果を達成しつつ化学的および生理学的に関連する特定の薬剤で本明細書に記載した薬剤を置き換えてよい。当業者の知る全てのこのような同様の置き換えおよび修飾は本発明の範囲および概念に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】材料の試料における特定の微生物の存在を定量するための方法のフローチャート形態の総括である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料の試料における特定の種類の微生物の存在を定量する方法であって、前記方法が、
(a)前記特定の種類の微生物の培養物が増殖するのに適した条件下で前記試料を培養する工程;
(b)培養した試料の各区分における前記特定の種類の微生物の存在または非存在を検出するために少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドを使用する工程;および、
(c)前記培養した試料の各区分における前記特定の種類の微生物の検出された存在または非存在から、前記材料の試料における特定の種類の微生物の存在を定量する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記特定の種類の微生物は、処理した動物飼料を作製するために動物飼料に添加されている有益微生物の菌株であり、
前記材料の試料が、動物が前記動物飼料を消費する場合の前記動物飼料の典型的な状態であるように、前記方法が、前記処理した動物飼料を採取して前記材料の試料を得る工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記特定の種類の微生物は、処理した動物飼料を作製するために動物飼料に添加されている有益微生物の菌株であり、
前記方法が、動物に供されるべき前記特定の種類の微生物の存在を定量するために、動物が前記動物飼料を消費する場所において、前記処理した動物飼料を採取する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記特定の種類の微生物はラクトバチルスの種である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記特定の種類の微生物はラクトバチルス・アシドフィルスである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記特定の種類の微生物がラクトバチルス・LA−51である請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種類のオリゴヌクレオチドが前記特定の種類の微生物の種を示す核酸配列とハイブリダイズする、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記試料を培地のプレート上で培養し、前記培養した試料の各区分が、前記培地のプレート上に増殖したことが確認できる微生物の各コロニーから採取される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記試料を複数の区分に分割することおよび各区分を培養することにより前記試料が培養され、前記特定の種類の微生物の存在または非存在が各培養区分において検出される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記試料を希釈すること、および、希釈試料を複数の区分に分割することにより、前記試料が複数の区分に分割される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
液体に前記試料を混合して流体混合物を生成すること、および、前記流体混合物を複数の区分に分割することにより、前記試料が複数の区分に分割される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記培養した試料の各区分における前記特定の種類の微生物の存在または非存在を検出するために、少なくとも1種類の前記オリゴヌクレオチドを使用する工程が、前記特定の種類の微生物を示す核酸配列との少なくとも1種類の前記オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション産物の存在または非存在を検出する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記培養した試料の各区分における前記特定の種類の微生物の存在または非存在を検出するために、少なくとも1種類の前記オリゴヌクレオチドを使用する工程が、前記特定の種類の微生物の核材料の存在下にてポリメラーゼ連鎖反応を誘導する2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを使用する工程、および、前記特定の種類の微生物の核材料の存在下にて2種類の前記オリゴヌクレオチドプライマーのポリメラーゼ連鎖反応産物の存在または非存在を検出する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記オリゴヌクレオチドプライマーの一方が前記特定の種類の微生物の属を示す核酸配列とハイブリダイズし、前記オリゴヌクレオチドプライマーの他方が前記特定の種類の微生物の種を示す核酸配列とハイブリダイズする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記特定の種類の微生物の核材料の存在下にて2種類の前記オリゴヌクレオチドプライマーのポリメラーゼ連鎖反応産物の存在または非存在を検出する工程が、前記特定の種類の微生物の核材料の存在下にて2種類の前記オリゴヌクレオチドプライマーのポリメラーゼ連鎖反応を示す特徴的分子長を有する反応産物を検出する、ポリメラーゼ連鎖反応産物の電気泳動を行うことを含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記材料の試料における前記特定の種類の微生物の存在が、前記特定の種類の微生物の最確数について定量される、請求項1記載の方法。
【請求項17】
材料の試料における特定の種類の微生物の存在を定量する方法であって、前記方法が、
(a)前記試料を複数の区分に分割する工程;
(b)前記特定の種類の微生物の培養物が増殖するのに適した条件下で前記試料の各区分を培養する工程;
(c)前記特定の種類の微生物の核酸と選択的にハイブリダイズする2種類のオリゴヌクレオチドプライマーに、前記試料の各培養した区分を順次反応させてポリメラーゼ連鎖反応過程を実施することにより、前記試料の各培養した区分から各反応産物を生産する工程;
(d)前記試料の各培養した区分の前記反応から、特徴的な長さを有する反応産物の存在または非存在を検出する工程;および、
(e)前記試料の各培養した区分の前記反応から得られた特徴的な長さを有する検出された反応産物の存在または非存在から、前記材料の試料における前記特定の種類の微生物の存在を定量する工程;
を含む方法。
【請求項18】
前記材料の試料における前記特定の種類の微生物の存在が、前記材料の試料における前記特定の種類の微生物の最確数について定量される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記試料の前記培養した多数の区分が前記特徴的な長さを有する反応産物を有しないように、前記試料の区分を培養する前に前記試料が希釈される請求項17記載の方法。
【請求項20】
2種類の前記オリゴヌクレオチドプライマーが、前記特定の種類の微生物の属を示す核酸配列とハイブリダイズする一方のオリゴヌクレオチドプライマー、および前記特定の種類の微生物の種を示す核酸配列とハイブリダイズする他方のオリゴヌクレオチドプライマーを含む請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記特定の種類の微生物はラクトバチルスの種である、請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記特定の種類の微生物はラクトバチルス・アシドフィルスである、請求項17記載の方法。
【請求項23】
前記特定の種類の微生物はラクトバチルス・LA−51である、請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記特定の種類の微生物は処理した動物飼料を作製するために動物飼料に添加されている有益微生物の菌株であり、前記方法が、動物に供されるべき前記特定の種類の微生物の数を定量するための材料の試料を採取するために、動物が前記動物飼料を消費する場所において、前記処理した動物飼料を採取することを含む、請求項17記載の方法。
【請求項25】
動物飼料中のプロバイオティック微生物の検出のための方法であって、
動物飼料とプロバイオティック微生物とを接触させることにより処理した動物飼料を作製する工程;
処理した動物飼料の試料を採取する工程;
前記プロバイオティック微生物が増殖するのに適した条件下で前記試料を培養する工程;
2種類のPCRプライマーを用いて、前記培養した試料にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することにより、PCR産物を生成する工程;
前記PCR産物を分析してPCR反応の結果を得る工程;および、
前記PCR反応の結果を、前記動物飼料中の前記プロバイオティック微生物の存在または非存在と相関付ける工程;
を含む方法。
【請求項26】
動物が前記動物飼料を消費する場所において、前記処理した動物飼料の試料を採取する、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記プロバイオティック微生物はラクトバチルスの種である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記プロバイオティック微生物はラクトバチルス・アシドフィルスである、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記プロバイオティック微生物はラクトバチルス・LA−51である、請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記ポリメラーゼ連鎖反応が前記培養した試料の複数の区分に対して実施され、前記複数の区分からの前記PCR産物を分析することにより、前記培養した試料の前記複数の区分の各反応結果が得られ、前記培養した試料の前記複数の区分の反応結果が相関付けられることにより、処理した動物飼料の前記試料における微生物の最確数を決定する、請求項25記載の方法。
【請求項31】
動物飼料中のプロバイオティック微生物の検出のための方法であって、
動物飼料とプロバイオティック微生物とを接触させることにより、処理した動物飼料を作製する工程;
処理した動物飼料の試料を採取する工程;
前記プロバイオティック微生物が増殖するのに適した条件下で前記試料を培養することにより培養物を作製する工程;
前記培養物から核酸を得る工程;
ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド−核酸の形成に適した条件下でオリゴヌクレオチドに前記核酸を接触させる工程;
前記ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド−核酸を検出して、ハイブリダイゼーションの結果を得る工程;および、
前記ハイブリダイゼーションの結果を前記動物飼料中の前記プロバイオティック微生物の存在または非存在と相関付ける工程;
を含む方法。
【請求項32】
動物が前記動物飼料を消費する場所において、前記処理した動物飼料の前記試料が採取される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記プロバイオティック微生物はラクトバチルスの種である、請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記プロバイオティック微生物はラクトバチルス・アシドフィルスである、請求項31記載の方法。
【請求項35】
前記プロバイオティック微生物はラクトバチルス・LA−51である、請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記試料の複数の区分を培養し、前記試料の培養した区分について各ハイブリダイゼーションの結果が得られ、前記処理した動物飼料の前記試料における前記微生物の最確数を決定するために、前記各ハイブリダイゼーションの結果を相関付ける、請求項31記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−515153(P2007−515153A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524914(P2006−524914)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/028049
【国際公開番号】WO2005/022119
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505115072)ニュートリション フィジオロジィ コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】NUTRITION PHYSIOLOGY CORPORATION
【住所又は居所原語表記】702 N.Quinn、Box 1766、Guymon、OK 73942 United States of America
【Fターム(参考)】