説明

特定構成の鍵によりなる配列を有する鍵盤

【課題】
従来配列に則する新規な配列により、従来配列の理解を阻害することなく、鍵盤の設置面積を低減し、且つ、鍵盤に対応する音域を広くする。
【解決手段】
従来の鍵盤の配列に則した鍵を一様に任意の数nで分割することにより、設置された鍵盤の音域をn倍に拡張する新規な配列により設置面積を低減し、且つ、当該配列における横軸と縦軸の音の並びの展開は、人が、音を理解する認識における作用と等しいため、不快に感じることが無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定構成の鍵によりなる配列を有する鍵盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鍵盤は複数の鍵を直線的に配列することにより、一連の音の並びを表し、且つ、それぞれの鍵を操作することにより、鍵に対応する音を発生させるものである。図2は従来の鍵盤における鍵の配列を示したものであり、1bはA3:220Hz、2bはA4:440Hz、3bはA5:880Hzの音を表す。
【0003】
人が音を認識する際に、高さが異なるが同じ音であると認識できる音の関係をオクターブとよび、オクターブとは周波数が2n倍、もしくは1/2n倍の関係にある音同士を指す。
【0004】
平均律であれば、1オクターブ間を12等分し、それぞれを鍵に割り当て配列する。
【0005】
12個の白鍵と黒鍵の組み合わせにより、オクターブの構成要素である固有の音の、音楽的な理論における関係を表現する。これにより、音域が広い鍵盤においても、高さの異なる同じ音を容易に見つけることができる。
【0006】
従来の鍵盤の配列が直線的であるのは、音の並び、すなわち、周波数の増減が直線的であるという理由とともに、鍵に連動したハンマーが対応する弦を叩くことにより発音するという物理的な構造上の制約を受けたものでもある。
【0007】
電子機器の登場により、物理的な構造上の制約から解放された鍵盤、すなわち、鍵に連動したセンサー等により電子的に発音するような、スイッチとしての役割を果たす鍵盤においても、従来の鍵盤の鍵の配列がそのまま使用されている。
【0008】
そして、電子機器の鍵盤においては、省スペース化をひとつの目的とした鍵盤も登場し、
【0009】
鍵盤を等分し、縦列に配列することにより省スペース化を実現した鍵盤。図3は鍵盤を等分し、縦列に配列した鍵盤を示したものであり、1cはA3:220Hz、2cはA4:440Hz、3cはA5:880Hzの音を表す。
【0010】
他には、鍵盤を1オクターブから4オクターブ程度の範囲で任意な長さで設置し、その鍵盤に対応する音域を切り替える為のオクターブ/トランスポーズボタンを設け、そのスイッチを操作することにより、鍵盤に対応する音域を切り替え、省スペース化を実現した鍵盤などがある。この場合、音域を切り替える為の操作が必要となる。図4は省スペース化を目的とした鍵盤を示したものであり、4はオクターブ/トランスポーズボタンを表す。
【0011】
いずれの場合においても、鍵盤を構成する為には固有の音により構成されるオクターブ間の鍵域が不可欠であり、
【0012】
公知の従来の鍵盤配列以外の、クロマチックレイアウト等に代表されるような全く馴染みの無い配列に対しては、まずその配列を理解し覚え、同時に身体をその配列に馴染ませる必要が発生し、これを多くの人が敬遠するのである。
【0013】
それにより慣習として、従来配列のオクターブを並列するか縦列するか、もしくは設置した鍵盤に対して対応する音域を切り替えるか、という結論に至るのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
解決しようとする問題点は、鍵盤を省スペースに設置する等の理由により新規の配列を考案する際に生まれる従来の鍵盤の配列との差異である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、従来の鍵盤の配列に則した鍵を一様に任意の数nで分割することにより、設置された鍵盤の音域をn倍に拡張する新規な配列により設置面積を低減し、なおかつ当該配列の理解、視覚的な認識において、従来の配列との差異が少ないものであるということを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
当該配列では、従来配列同様にオクターブを基礎とし横方向へ展開し、加えて、オクターブの構成要素である固有の音に着目し、この固有の音のオクターブの関係にあたる高さの異なる同じ音同士の周期を縦方向へ展開することにより、音の構造の特徴を捉え整理し視覚的に表現することを実現している。当該発明が実現する音の特徴を捉えた整理とは、人が、鍵盤に割り当てられた音の並びを理解する際に行なう認識と等しく、その知る作用は人による取り決めによるものでなく自然法則によるものであるから、この法則を視覚化した当該配列は横軸縦軸において一定の秩序をもって構成される。よって煩雑な印象を受けることが無い。図5は当該配列と省スペース化を目的にした従来配列との比較を示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の配列によりなる鍵盤を示した図である。
【図2】図2は従来配列の鍵盤を示した図である。
【図3】図3は鍵盤を等分し縦列に配列した鍵盤を示した図である。
【図4】図4はオクターブ/トランスポーズボタンを用いることにより、省スペース化を実現する鍵盤を示した図である。
【図5】図5は当該配列の鍵盤と、省スペース化を目的とした従来配列を縦列に配列した鍵盤を比較する為に並べ示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
マルチタッチディスプレイ、またはタッチディスプレイを含む、モニタディスプレイ上に表示設置するのが望ましい。省スペースに設置する場合、横方向へは1オクターブ間を配置し、鍵を3分割、3オクターブ程度の音域とし、各鍵の大きさが小さくなりすぎないように配慮する。対応音域の切り替えにはその為のスイッチを設ける。もしくは、鍵を縦軸方向へはじくような動作によって対応音域を切り替えるといった方法も考えられる。
【0019】
また、アイドル状態では鍵を分割していない従来の鍵盤の画像を表示し、押鍵操作されている間、鍵を分割するグリッドを表示する等の方法も考えられる。これは視覚的な煩雑さを低減することが期待でき、
【0020】
また、当該発明を十分に理解した上では鍵を分割するグリッドを非表示にしたまま、押鍵する位置により当該配列が示す音高を決めることも可能である。
【0021】
既存の鍵盤に対しては、光学的にグリッドを鍵盤上に投影し読みとる装置の使用や、鍵にセンサー等を貼付けることにより、当該発明を実施することも可能である。
【0022】
また、分割された鍵の縦軸方向への展開において、オクターブの関係ではなくコードボイシングを構成する関係にある音、3度や5度等の関係の音を重ねていくことによりなる特殊な配列への発展も期待できる。
【符号の説明】
【0023】
1a A1 220Hz
2a A2 440Hz
3a A3 880Hz
1b A1 220Hz
2b A2 440Hz
3b A3 880Hz
1c A1 220Hz
2c A2 440Hz
3c A3 880Hz
4 オクターブ/トランスポーズボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定構成の鍵を有する鍵盤
【請求項2】
鍵を任意の数nで分割し、高さの異なる同じ音、つまりオクターブの関係にあたる音を割り当てることによりなる配列を有する請求項1記載の鍵盤
【請求項3】
鍵を任意の数nで分割し、任意の音を割り当てることによりなる配列を有する請求項1記載の鍵盤
【請求項4】
マルチタッチディスプレイ、またはタッチディスプレイを含む、モニタディスプレイ上に表示することにより設置された、請求項2又は3記載の鍵盤
【請求項5】
タンジブルなユーザインターフェースのような方法により、従来の鍵盤の代替となる任意の物体によって設置又は仮想的に表示される請求項2又は3記載の鍵盤

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−53245(P2011−53245A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199324(P2009−199324)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(309029094)
【Fターム(参考)】