説明

特性情報取得装置

【課題】高いSN比で信号を受信することができ、良好な診断画像を得られる、被検体の特性情報取得装置を提供する。
【解決手段】被検者を支持し、被検者の被検部を挿入する開口部を有する支持手段と、開口部に挿入された被検部を保持する保持手段と、保持手段を介して被検部の特性に関する情報を受信する受信手段とを有する特性情報取得装置であって、支持手段は、保持手段が被検者を保持することによって保持手段に生じる変形を抑制する抑制部を備える特性情報取得装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の特性に関する情報を取得する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検者をうつ伏せに載せるベッドを備え、ベッドに設けた穴に被検者の乳房を挿入する乳房検査装置がある。このような乳房検査装置において、挿入された乳房がX線を透過する材料から成る乳房圧迫板とセンサーを備えた撮影板の間に保持されて圧迫されるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このような装置で被検者はサポート用プラットフォームであるベッドに設けられた乳房挿入口から乳房を下方に垂らし、垂れた乳房を乳房圧迫板で挟み込んだ状態で、X線照射して撮影が行われる。これは、被検者の姿勢に無理を掛けないで、リラックスした状態で撮影を行える装置とすることにより、撮影時に被検者の動きを抑え、測定を正確に行い得るように配慮したためである。
【0003】
また、X線及び超音波を透過する材料から成る乳房圧迫板を備え、乳房圧迫板によって圧迫された乳房のX線画像と超音波エコー画像を得る乳房検査装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
図5は特許文献2で開示された乳房圧迫板である。X線及び超音波を透過する材料から成る乳房圧迫板95に圧迫による反りを抑制するための金属の補強枠96が設けられている。
【0004】
さらに、生体組織に透過特性が良い波長600−1500nm程度の近赤外光を用いて、血液中に含まれるヘモグロビンの光吸収特性から、腫瘍の成長に伴う新生血管の形成やヘモグロビンの酸素代謝を判定して診断に利用する技術がある。このような技術の一つとして、光音響効果を用いるものがある。光音響効果とは、ナノ秒程度のパルス光を物質に照射すると、物質は光吸収特性に対応して光エネルギーを吸収し、物質が瞬間的に膨張することにより弾性波が発生する現象である。この弾性波を超音波トランスデューサーで検出し、受信信号を得る。この受信信号を数学的に解析処理することにより、光音響効果により発生した弾性波の音圧分布を画像化することができる。ヘモグロビンは生体組織を構成する水や脂肪やタンパク質に比較して近赤外光の吸収率が高いため、前述した新生血管や酸素代謝を測定する方法として好適なものである。このような光音響効果を用いて、乳がんなどの診断に応用する臨床研究が積極的に進められている。
【0005】
光音響効果を利用した乳房検査装置においても上述したような乳房圧迫板を設ける場合がある。その目的は、測定中に乳房が動いて測定位置が変化することを防ぐこと、及び圧迫によって乳房を薄くすることで深部の画像を得ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2691073号公報
【特許文献2】特表平09−504211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光音響効果を利用した乳房検査装置においては、光音響効果による弾性波の音圧分布を画像化するが、上述のように圧迫板によって被検体である乳房を圧迫した状態で弾性波を受信する場合、圧迫板を介して弾性波を受信することがある。具体的には、超音波トランスデューサーを圧迫板を介して被検体に対向配置させて、圧迫板を介して超音波トランス
デューサーに到達した弾性波を超音波トランスデューサーで受信する。この場合、圧迫板での弾性波の減衰を抑制するため、圧迫板の厚みは小さいことが好ましい。
【0008】
しかし、圧迫板の厚みを小さくすると、圧迫板で被検体を圧迫する際に圧迫板が撓む場合がある。このように圧迫板にたわみが生じると、受信した弾性波から診断画像を生成する際に、たわみを考慮した解析処理が必要となるため、画像生成に時間がかかる等の不具合が生じる。
【0009】
また、一般に、圧迫板及び超音波トランスデューサの前面部分は被検体との音響インピーダンスミスマッチを考慮して、被検体と同等の音響インピーダンスになるように作成されている。しかし圧迫板が歪むことで圧迫板と超音波トランスデューサとの間に間隙が生じると、この間隙部分に空気等が入りこむが、空気の音響インピーダンスは被検体の音響インピーダンスと整合していないため、音響インピーダンスのミスマッチングが生じ、このミスマッチングによって弾性波の減衰を招き、診断画像の悪化を招くという不具合もあった。
【0010】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、高いSN比で信号を受信することができ、良好な診断画像を得られる、被検体の特性情報取得装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
被検者を支持し、該被検者の被検部を挿入する開口部を有する支持手段と、
前記開口部に挿入された前記被検部を保持する保持手段と、
前記保持手段を介して前記被検部の特性に関する情報を受信する受信手段と、
を有する特性情報取得装置であって、
前記支持手段は、前記保持手段が前記被検部を保持することによって該保持手段に生じる変形を抑制する抑制部を備える
ことを特徴とする特性情報取得装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高いSN比で信号を受信することができ、良好な診断画像を得られる、被検体の特性情報取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】乳房検査装置の概略を表す斜視図。
【図1B】乳房検査装置の概略を表す部分断面図。
【図2A】測定ユニットの構成を表す斜視図。
【図2B】測定ユニットの構成を表す部分断面図。
【図2C】測定ユニットの領域Aを表す部分拡大図。
【図2D】測定ユニットの領域Bを表す部分拡大図。
【図3】超音波トランスデューサーユニットの構成図。
【図4】第一及び第二圧迫荷重支持部の他の例。
【図5】背景技術における乳房圧迫板の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例により説明する。
【0015】
<実施例>
以下に、本発明の実施例について説明する。
実施例では、本発明を適用した特性情報取得装置である、光音響効果を利用した乳房検査装置の構成例について説明する。
光音響効果を利用した乳房検査装置の概略図を図1A及び図1Bに示す。図1Aは斜視図、図1Bは図1AのX方向から見た部分断面図である。
【0016】
図1A及び図1Bにおいて、100は測定ユニット、200は寝台ユニット、300は光源ユニット、400は電装ユニット、Eは被検者である。
測定ユニット100は、本実施例においては光音響効果を利用して被検者の被検部である乳房を測定するための装置であり、詳細は後述するが、被検者を支持する支持手段を構成する胸壁支持板と、受信手段である超音波トランスデューサーと、被検部を保持する保持手段である圧迫板とを備えている。
寝台ユニット200は、被検者Eをうつ伏せ(伏臥位)に載せるための装置であり、被検者の被検部である乳房を挿入する開口部である乳房挿入口201が設けられ、上述の胸壁支持板と共に被検者を支持する支持手段を構成する寝台202と、寝台202を支える寝台支柱203とを備えている。
【0017】
被検部である乳房に光を照射する光照射手段である光源ユニット300は、被検者Eの乳房に照射する特定波長のナノ秒オーダーのパルス光を発するレーザー光源を備えている。また、レーザー光源から発した光は不図示の光ファイバーなどの導光光学系によって、測定ユニット100に導かれる。レーザー光源が発する光の波長は、生体組織を構成する水、脂肪、タンパク質、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビン、などの吸収スペクトルに応じた波長を選定する。一例としては、生体内部組織の主成分である水の吸収が小さいため光が良く透過し、脂肪、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンのスペクトルに特徴がある600−1500nm範囲が適当である。具体的なレーザー光源の例としては、異なる波長を発生する半導体レーザー、波長可変レーザーなどで構成すると良い。
【0018】
電装ユニット400は、測定ユニット100及び光源ユニット300に電源を供給する電源部と、これらのユニットをコントロールする制御装置と、測定ユニット100で測定した信号を処理する信号処理装置を備えている。信号処理装置は、光音響効果により発生した弾性波(音響波)の音圧分布を画像化するものである。
【0019】
測定ユニット100の構成図を図2A、図2B、図2C、図2Dに示す。図2Aは斜視図、図2Bは図2AのX方向から見た部分断面図、図2Cは図2Bの領域Aの部分拡大図、図2Dは図2Bの領域Bの部分拡大図である。
【0020】
被検者Eの尾側(足側)の乳房を圧迫しながら保持する第一圧迫板1(第一保持手段)とアンダーバスト付近の胸壁を支持する第一胸壁支持板2が第一圧迫板支持基台3に取り付けられている。
また、光照射手段である光源ユニット300が被検部である乳房に光を照射することによって被検部である乳房で発生する音響波を受信するための受信手段である超音波トランスデューサー13(不図示)を備えた超音波トランスデューサーユニット500が、マッチング剤を介して第一圧迫板1に密着するように取り付けられている。つまり、保持手段である圧迫板を介して被検部である乳房の特性に関する情報を含んだ音響波を、受信手段である超音波トランスデューサーが受信する。また、超音波トランスデューサーユニット500は、不図示の走査機構により図2AのXとZ方向(XZ平面内)に走査駆動される。
【0021】
被検者Eの頭側の乳房を圧迫しながら保持する第二圧迫板4(第二保持手段)と頭側の胸壁を支持する第二胸壁支持板5が、図2AのY方向に移動するスライド機構に取り付けられている。スライド機構は、第一圧迫板支持基台3と第二圧迫板支持基台6に固定され
た2本の主軸7と、主軸7にガイドされてスライドする軸受8と、軸受8を保持する第一軸受ハウジング9及び第二軸受ハウジング10から構成されている。また、第二軸受ハウジング10にはナット17が設けられており、スクリュー11をモーター12で回転することにより、第二圧迫板4が図2AのY方向に移動可能となる。一方、第一圧迫板1は固定されており移動しない。
【0022】
本実施例においては、第一圧迫板1(第一保持手段)と第二圧迫板4(第二保持手段)と上述のスライド機構により圧迫保持装置を構成している。この装置を備える目的は、測定中に乳房が動き、測定位置が変化することを防ぐこと、及び、乳房を圧迫により薄くすることで深部の画像化を可能とすることである。そのために被検部である乳房を介して対向配置された一対の板状部材(圧迫板)により乳房を圧迫して保持している。尚、一対の板状部材である第一圧迫板1と第二圧迫板4のうち、一方の板状部材である第二圧迫板4は、一対の板状部材である第一圧迫板1と第二圧迫板4との間隔を変えるように、移動可能である。尚、本実施例においては、被検部である乳房を圧迫して保持しているが、被検部である乳房の測定位置が変化しないように保持すれば十分な場合には、圧迫は必要ない。この場合には、第一圧迫板(第一保持手段)の形状や配置にもよるが、スライド機構や第二圧迫板が不要となる場合がある。
また、光源ユニット300から発したレーザー光を乳房に導く照明ユニット600が設けられている。照明ユニット600は、不図示の走査機構により図2AのXとZ方向(XZ平面内)に超音波トランスデューサーユニット500の駆動に同期して走査駆動される。
【0023】
図3は、超音波トランスデューサーユニット500の構成図である。超音波トランスデューサーユニット500は、ハウジング15を有し、受信手段である超音波トランスデューサー13と照明光学系14がハウジング15に取り付けられている。また、ハウジング15には第一圧迫板1と超音波トランスデューサー13の間のマッチング剤を保持するためのシール部材16が設けられている。
【0024】
以下、各構成要素の詳細を説明する。
本実施例においては、受信手段である超音波トランスデューサー13は、第一の保持手段である第一圧迫板1を介して被検部である乳房に対向配置されている。それゆえ、第一圧迫板1は、光音響効果により発生した弾性波(音響波)に対して高透過特性と低減衰特性を有するとともに、レーザー光源が発する光に対しても高い透過特性と低い減衰特性を有することが好ましい。このような第一圧迫板1を構成する材料の例としては、石英ガラス、ポリメチルペンテンポリマー、ポリカーボネート、アクリル、などがある。
また、マッチング剤も同様に光音響効果により発生した弾性波(音響波)に対して高透過特性と低減衰特性を有するとともに、レーザー光源が発する光に対しても高い透過特性と低い減衰特性を有することが必要である。マッチング剤の一例としては、水、ひまし油、超音波エコー検査用ジェル、ポリエチレングリコールなどがある。
第二の保持手段である第二圧迫板4は、レーザー光源が発する光に対して高透過特性と低減衰特性を有する平板である。第二圧迫板4を構成する材料の例としては、ガラス、ポリメチルペンテンポリマー、ポリカーボネート、アクリル、などがある。
【0025】
第一胸壁支持板2は、被検者Eの胸壁と超音波トランスデューサーユニット500との間に設けられる。また、第二胸壁支持板5は、被検者Eの胸壁と照明ユニット600との間に設けられる。第一胸壁支持板2及び第二胸壁支持板5は従来の乳房検査装置で課題となっている、肋骨や鎖骨付近の皮膚や皮下脂肪や筋肉が重力の影響を受けて乳房圧迫板と撮影板の外側に垂れ下がるのを防止するように、被検者の乳房(被検部)の近傍の部分(胸壁等)を支持するものである。これにより本実施例のように伏臥タイプの特性情報取得装置においては、胸壁が重力により垂れ下がって超音波トランスデューサーユニット50
0や照明ユニット600に干渉をすることを回避するものである。
【0026】
また、第一圧迫板1及び第二圧迫板4は被検者Eの乳房を圧迫して保持することによって夫々図2Aの+Y方向と−Y方向に変形が生じる(撓む)。光音響効果による弾性波の音圧分布を画像化する際に、第一圧迫板1及び第二圧迫板4の変形の和が小さければ、変形分を無視して解析処理できるので高速に画像を生成することができる。
また、第一圧迫板1が撓むと超音波トランスデューサーユニット500のシール部材16を変形させる。この変形による荷重が超音波トランスデューサーユニット500を走査駆動する時の負荷になる。マッチング剤を良好に保持して、且つ超音波トランスデューサー500を第一圧迫板1の面に沿って安定して走査駆動を行うためには、圧迫荷重による乳房圧迫板の変形を小さくすることが好ましい。
これらの変形を小さくするために第一圧迫板1及び第二圧迫板4を厚くすることが考えられるが、第一圧迫板1では、圧迫板の中を伝播する弾性波(音響波)の減衰が大きくなるので受信信号のSN比が低くなる。このため第一圧迫板1及び第二圧迫板4の撓み量を小さくすることと、第一圧迫板1を薄くすることを両立させるのが望ましい。
【0027】
そこで本発明では、第一保持手段である第一圧迫板1の変形(撓み)を小さくするために、第一の支持手段である胸壁支持板2が抑制部を備えている。具体的には、図2Cに示すように第一支持手段である第一胸壁支持板2に、第一保持手段である第一圧迫板1を保持する部分を備える(以下、この部分を第一圧迫荷重支持部F11と呼ぶ)。なお、ここで言う圧迫荷重とは乳房が圧迫荷重されたことによる圧迫板に対する図中横方向の荷重のことである。第一圧迫荷重支持部F11に第一圧迫板1を取り付けすることにより、第一胸壁支持板2が第一圧迫板1の変形を抑制し、変形量(撓み量)を小さくする補強部材の役割を果たしている。尚、第一圧迫板1を第一圧迫荷重支持部F11に取り付けるには、ネジや接着剤を用いて結合することができる。また、接着せずに接触させても良いし、第一圧迫板1が圧迫荷重によって撓んだ時に第一圧迫荷重支持部F11に接触するような僅かな隙間を設けて取り付けても良い。ここでは、第一圧迫荷重支持部F11が、本発明の第一の抑制部に相当する。
【0028】
尚、本実施例においては、好ましい形態として第一圧迫板1の撓み量をさらに小さくするために、図2Bに示すように第一圧迫板支持基台3に圧迫荷重に略垂直な面からなる第二圧迫荷重支持部F12を設けている。第二圧迫荷重支持部F12に第一圧迫板1を取り付けすることにより、前述と同様に第一圧迫板支持基台3が第一圧迫板1の撓み量を小さくする補強部材の役割を果たす。尚、第一圧迫板1を第二圧迫荷重支持部F12に取り付けるには、ネジや接着剤を用いて結合すると良い。また、これらの部材を結合させずに接触させても良い。
【0029】
また、第二圧迫板4の変形(撓み)を抑制するために、図2Dに示すように第二胸壁支持板5に圧迫荷重に略垂直な面からなる第一圧迫荷重支持部F21を設けている。第一圧迫荷重支持部F21に第二圧迫板4を取り付けすることにより、第二胸壁支持板5が第二圧迫板4の変形(撓み)を抑制する補強部材の役割を果たす。第二圧迫板4を第一圧迫荷重支持部F21への取り付けるについては、上述の第一圧迫板1と第一胸壁支持板2との取り付けと同様の方法を採用できる。
【0030】
また、第一胸壁支持板2及び第二胸壁支持板5を構成する材料としては、ヤング率が大きい材料が好ましい。このような材料の例としては、金属や金属化合物棟が好適に用いることが出来る。例えば、鉄の2倍程度のヤング率を有するタングステンカーバイトは好ましい材料の一つである。また、形状加工性及び強度の点で優れている、ステンレスも好ましい材料の一つである。
【0031】
一例として、第一圧迫板1を厚さ10mmのポリメチルペンテンポリマー、第一胸壁支持板2を厚さ3mmのタングステンカーバイト、第一圧迫板支持基台3をアルミニウムで構成する。そして、幅3mmの第一圧迫荷重支持部F11と幅10mmの第二圧迫荷重支持部F12を設け、第一圧迫板1に300Nの荷重をかけた場合の撓みを計算すると0.69mm程度となる。また、第二圧迫板4を厚さ20mmのアクリル、第二胸壁支持板5を厚さ5mmの鉄で構成して、第二圧迫板4に300Nの荷重をかけた場合の撓みを計算すると0.63mm程度となる。これにより第一圧迫板1及び第二圧迫板4の変形の和は1.32mmとなる。
【0032】
また、本実施例で示した第一及び第二圧迫荷重支持部は平面形状の支持部となっているが、図4に示すように球面SRや円筒面Rにしても良い。
【0033】
第一圧迫板支持基台3、第二圧迫板支持基台6、第一軸受ハウジング9、第二軸受ハウジング10を構成する材料は、アルミニウム、鉄、ステンレス、などを用いると良い。
主軸7は、円柱形状の鋼材の表面を硬化処理した部材で構成される。軸受8は、被検者Eの体重がかかっても滑らかに摺動できるリニアブッシュや固体軸受などで構成すると良い。また、スクリュー11及び第二軸受ハウジング10に設けられたナットは低摩擦で駆動可能なボールねじで構成すると良い。また、モーター12は、DCモーター、ACモーター、ステッピングモーター、などを用いることができる。
超音波トランスデューサー13は、受信した弾性波による圧力変化を電気信号に変換する圧電効果を有する圧電素子をから構成され、複数個の圧電素子を図3に示すように略長方形に配置したものである。癌などの腫瘍の成長に伴う新生血管の形成は、腫瘍のサイズが2−3mm以上になる場合に増大することが知られている。このため圧電素子としては、光音響効果により数mm以下の光吸収体から発生した0.5MHz−数10MHzの弾性波の検出に適した、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電セラミック材料を用いることが出来る。また、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)に代表される高分子圧電膜材料などを用いることができる。超音波トランスデューサー13はケーブルにより、電装ユニット400の信号処理装置に接続されている。
照明光学系14は、複数本の光ファイバーを束ねたもので構成される。光ファイバーの光射出端は、光ファイバーの配置を調整することにより、図3に示すような略長方形にしている。また、照明ユニット600の照明光学系も上述の照明光学系14と同等のものを用いている。
【0034】
以上に説明したように、本実施例における乳房検査装置では、被検部である乳房の近傍部分(胸壁等)の皮膚や皮下脂肪や筋肉が、第一胸壁支持板2及び第二胸壁支持板5に支えられる。このため垂れ下がった皮膚や皮下脂肪や筋肉が、超音波トランスデューサーと干渉することがない。そして、被検者を支持する手段(胸壁支持板)に、保持手段である圧迫板の変形を抑制する抑制部を設けることにより、第一圧迫板1と第二圧迫板4の撓み(変形)を小さくし、且つ第一圧迫板1を薄くすることができる。
【0035】
これにより、高いSN比で信号を受信することができ、且つ被検者の胸壁付近の画像を得ることが可能な光音響効果を利用した生体検査装置を提供することができる。
尚、上記例においては、光を照射することによって発生した音響波を受信して被検体の特性情報を取得する乳房検査装置を例に本発明を説明したが、これに限らず、被検部にX線を照射するX線照射手段と、X線照射手段が被検部に照射したX線を受信する受信手段とを用いたX線照射型のマンモグラフィー等も本発明を適用できる形態の一つである。
また、上記例では伏臥型の測定装置を例に本発明を説明したが、これに限らず、立位型の特性情報取得装置にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
100:測定ユニット,200:寝台ユニット,1:第一圧迫板,2:第一胸壁支持板,4:第二圧迫板,5:第二胸壁支持板,F11、F21:第一圧迫荷重支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者を支持し、該被検者の被検部を挿入する開口部を有する支持手段と、
前記開口部に挿入された前記被検部を保持する保持手段と、
前記保持手段を介して前記被検部の特性に関する情報を受信する受信手段と、
を有する特性情報取得装置であって、
前記支持手段は、前記保持手段が前記被検部を保持することによって該保持手段に生じる変形を抑制する抑制部を備える
ことを特徴とする特性情報取得装置。
【請求項2】
前記抑制部は、前記支持手段における前記保持手段を保持する部分である
ことを特徴とする請求項1に記載の特性情報取得装置。
【請求項3】
前記支持手段は、寝台を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の特性情報取得装置。
【請求項4】
前記被検部に光を照射する光照射手段を更に有し、
前記受信手段は、前記光照射手段が前記被検部に光を照射することによって該被検部で発生する音響波を受信する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の特性情報取得装置。
【請求項5】
前記受信手段は、前記保持手段を介して前記被検部に対向配置され、前記保持手段はポリメチルペンテンである
ことを特徴とする請求項4に記載の特性情報取得装置。
【請求項6】
前記被検部にX線を照射するX線照射手段を更に有し、
前記受信手段は、前記X線照射手段が前記被検部に照射したX線を受信する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の特性情報取得装置。
【請求項7】
前記支持手段は、金属または金属化合物からなる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の特性情報取得装置。
【請求項8】
前記支持手段は、タングステンカーバイトからなる
ことを特徴とする請求項7に記載の特性情報取得装置。
【請求項9】
前記支持手段は、ステンレスからなる
ことを特徴とする請求項7に記載の特性情報取得装置。
【請求項10】
前記保持手段は、前記被検部を介して対向配置された一対の板状部材を有し、
前記一対の板状部材の一方が、該一対の板状部材の間隔を変えるように移動可能であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の特性情報取得装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−46748(P2013−46748A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−153592(P2012−153592)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】