説明

牽引治療装置

【課題】
簡素な構成であって、快適に安全に実施できる牽引治療装置6を提供すること。
【解決手段】 背凭1、座部2、下肢受3、フレーム34、基台部4及び牽引機構5等とからなる牽引治療装置6において、背凭1の両側部に位置してフレーム34に設けられる脇支持具7は、フレーム34に取着される脇アーム軸8と、脇アーム軸8に取着され延出長さを調節可能な脇アーム9と、脇アーム9の先部に取着され牽引治療装置6に乗る患者の脇に当接し背側から前面方向へ突出する脇パッド10とからなり、患者の腰が止着された座部2を、牽引機構5で患者の足方向へ動かして、弛み取り及び牽引治療を行ない、弛み取り作動及び牽引治療作動の時に、脇アーム9の延出長さを個々人の体型に合わせて予め調節しておくと、脇パッド10が患者の脇に好適に当接することを特徴とする牽引治療装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰痛症患者に対して腰椎の牽引治療を行う牽引治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からの牽引治療装置として、患者が着座する座部と背凭部を備えた椅子部を基台部に対して後方向に倒伏させた後、座部を背凭部に対して離間する方向に移動させて、腰椎の牽引治療を行う椅子型の牽引治療装置6等が知られている。
【特許文献1】特開2006−87853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載される牽引治療装置には、患者の頭上方向の軸から長く脇アームが伸びて来ている。脇アームを患者の脇に装着すると、該脇アームで患者の脇の下方移動を阻止できる。
しかし、患者が牽引治療装置に乗降する時や脇パッドを脇に装着する時、長尺な脇アームを半径にして脇パッドを動かすから、危険であり、又、脇アームを剛性に製作しなければならないからコストも嵩む。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡素な構成であって、快適に安全に実施できる牽引治療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち本発明は、背凭1、座部2、下肢受3、フレーム34、基台部4及び牽引機構5等とからなる牽引治療装置6において、背凭1の両側部に位置してフレーム34に設けられる脇支持具7は、フレーム34に取着される脇アーム軸8と、脇アーム軸8に取着され延出長さを調節可能な脇アーム9と、脇アーム9の先部に取着され牽引治療装置6に乗る患者の脇に当接し背側から前面方向へ突出する脇パッド10とからなり、患者の腰が止着された座部2を、牽引機構5で患者の足方向へ動かして、弛み取り及び牽引治療を行ない、弛み取り作動及び牽引治療作動の時に、脇アーム9の延出長さを個々人の体型に合わせて予め調節しておくと、脇パッド10が患者の脇に好適に当接することを特徴とする牽引治療装置である。
又、脇アーム軸8は、患者の脇より足方向へ寄った位置であって、背凭1の左右側に位置しフレーム34に設けられ、脇アーム9は脇アーム軸8を中心に患者の脇へ向かって伸び円弧状に回動可能であって、脇アーム9は、脇アーム軸8に取着される固定片15に、脇パッド10が取着される移動片16を固定手段31で固定して繋いでなり、脇アーム9の延出長さは段階的に調節できるものになし、調節した脇アーム9の延出長さ段階に係る段階値は認知でき、その認知した段階値をもって脇アーム9の延出長さが再現できる。
更に、フレーム34に脇アーム軸8を支持する軸受11が設けられ、軸受11にはキー溝12が設けられ、脇アーム軸8の所定位置にはキー13が突設され、キー13はキー溝12に嵌って脇アーム軸8の回動を所定角度範囲に制限するものであり、又、軸受11と脇アーム軸8との間に渦巻バネ14が取着され、脇アーム9は渦巻バネ14に付勢されて回動し背凭1の外方の所定角度に停止し、脇パッド10は、牽引治療装置6の乗降を障害しない位置に有る。
更に又、固定片15には、ノブネジ21を貫通させるノブ穴18が開けられると共に2個1組の長さ調節用ピン17が設けられ、移動片16には、ノブネジ21を螺子止めするノブ雌ネジ19が複数個列設されると共に2個1組の長さ調節用穴20が長手方向に複数組み列設されてなり、固定手段31をノブネジ21とし、脇アーム9の長さ調節の際に、長さ調節用ピン17をいずれか選択した長さ調節用穴20に嵌合すると、固定片15のノブ穴18はいずれかのノブ雌ネジ19に符合し、ノブ雌ネジ19へノブネジ21を螺子止め可能である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る脇支持具7は、フレーム34に取着される脇アーム軸8と、脇アーム軸8に取着され延出長さを調節可能な脇アーム9と、脇アーム9の先部に取着され牽引治療装置6に乗る患者の脇に当接し背側から前面方向へ突出する脇パッド10とからなり、患者の腰が止着された座部2を、牽引機構5で患者の足方向へ動かして、弛み取り及び牽引治療を行ない、弛み取り作動及び牽引治療作動の時に、脇アーム9の延出長さを個々人の体型に合わせて予め調節しておくものであるから、個々の患者の体型に適した脇パッド10の位置調節が可能になり、脇パッド10が患者の脇に好適に当接し、牽引治療中、患者に苦痛を与えず心身に与える負担を少なくでき、快適に牽引治療を行なえ、好都合である。
又、従来技術の脇支持具を背凭1の上方部に位置して該脇支持具をフレーム34に設け、脇パッド10を患者の脇へ当接させるオーバーセット方式に比して、本発明の、脇支持具7を背凭1の側部に位置して該脇支持具をフレーム34に設け、脇パッド10を患者の脇へ当接させるサイドセット方式の方が、構成を簡単にでき、製造コストも安くでき、好都合である。
又、従来技術のオーバーセット方式は、脇パッド10をセッティングする時、脇アーム9を患者の前面で大きく振り回すが、本発明のサイドセット方式は、脇パッド10をセッティングする時、脇アーム9を大きく振り回すことは無く、脇パッド10を脇側へ寄せるだけなので、安全であり、占有空間も小さく、好都合である。
【0007】
本発明に係る脇アーム9は、脇アーム軸8に取着される固定片15に、脇パッド10が取着される移動片16を、固定手段31で複数箇所を択一して固定してなり、脇アーム軸8から延出される脇アーム9の長さを段階的に調節できるものであり、調節した脇アーム9の延出長さ段階に係る段階値は認知できるものであるから、脇アーム9の延出長さの調節を、固定手段31で複数箇所を択一して固定するという操作をもって簡単に行なえ、好都合である。
又、認知した段階値をもって脇アーム9の延出長さの再現を、上記固定操作をもって容易に行なえ、好都合である。
【0008】
本発明は、フレーム34と脇アーム軸8との間に渦巻バネ14が取着され、脇アーム9は渦巻バネ14に付勢されて回動し背凭1の外方の所定角度に停止されるものとし、脇パッド10は、患者が牽引治療装置6に乗降し易い位置に有るから、患者にとって、牽引治療装置6へ乗降する際脇パッド10が邪魔にならず、乗降が容易であり、好都合である。
更に、脇パッド10は所定の位置に待機しているので、施療者又は患者は、該脇パッド10の装着が、患者の脇へ向けて寄せるという操作をもって容易に軽微な力で行なえ、好都合である。
【0009】
本発明は、脇アーム9の延出長さ調節は、2個1組の長さ調節用ピン17を2個1組の長さ調節用穴20に選択的に嵌合して行ない、長さ調節用ピン17を長さ調節用穴20に嵌合させると、固定片15のノブ穴18に符合する位置にノブ雌ネジ19が移動片16に開設されているから、脇アーム9の延出長さ調節は、上記嵌合操作をもって、確実に行なえ安全性も確保出来好都合である。
又、脇アーム9の延出長さ調節は、上記固定片15を移動片16にノブネジ21で螺子止めする操作をもって容易に行なえ、好都合である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
簡素な構成であって、快適に安全に実施できる牽引治療装置6を提供する目的を、背凭1、座部2、下肢受3、フレーム34、基台部4及び牽引機構5等とからなる牽引治療装置6において、背凭1の両側部に位置してフレーム34に設けられる脇支持具7は、フレーム34にに取着される脇アーム軸8と、脇アーム軸8に取着され延出長さを調節可能な脇アーム9と、脇アーム9の先部に取着され牽引治療装置6に乗る患者の脇に当接し背側から前面方向へ突出する脇パッド10とからなり、患者の腰が止着された座部2を、牽引機構5で患者の足方向へ動かして、弛み取り及び牽引治療を行ない、弛み取り作動及び牽引治療作動の時に、脇アーム9の延出長さを個々人の体型に合わせて予め調節しておくと、脇パッド10が患者の脇に好適に当接する牽引治療装置として、実現した。
【実施例1】
【0011】
図1乃至5に実施例1を示している。図1は背凭1が起立状態にある牽引治療装置6を示す右側面、図2、3、4、5は脇支持具7示す部分図、図6は脇アーム軸8の断面図、図8は背凭1が倒伏状態にある牽引治療装置6を示す右側面である。
【0012】
牽引治療装置6は、患者の上半身を保持する背凭1と、患者の腰、臀部等を保持する座部2と、患者の下肢を保持する下肢受3と、背凭1、座部2及び下肢受3を支持するフレーム34と、フレーム34を支持する基台部4と、基台部4に設けられ患者の腰椎に牽引治療を施す牽引機構5とからなる。
フレーム34に、背凭1と、座部2と、下肢受3と、脇支持具7と、肘置具27とが取着される。
牽引機構5は、座部2及び下肢受3を患者の足方向へ移動させるものである。
【0013】
背凭1の左右に位置してフレーム34に軸受11がそれぞれ設けられこれらにそれぞれ脇支持具7が設けられる。軸受11は、患者の脇より下方位置である。
【0014】
座部2は患者が着座するものである。座部2は背凭1の下端に位置し、フレーム34に移動可能に取着される。座部2は、患者の下半身を支持する。座部2に、患者の腰部を座部2に固定する腰装具22が取着される。
下肢受3は、患者の下肢を支持するものであり、座部2の下端に取着される。
フレーム34は、基台部4に支軸24で軸止される。
【0015】
基台部4とフレーム34との間にリクライニング用アクチュエータ25が架設される。
基台部4は、床面にアジャスター23を介して載置される。
フレーム34は、リクライニング用アクチュエータ25により、前方向に起立可能に又後方向に倒伏可能に設けられる。
【0016】
収縮状態のリクライニング用アクチュエータ25を伸長方向に作動させると背凭1が起立する方向(前方向)へ回動する。
伸長状態のリクライニング用アクチュエータ25を収縮方向に作動させると背凭1が倒伏する方向(後方向)へ回動する。
所定起立位置で起立動作が自動停止するよう制御が行われ、又、所定倒伏位置で倒伏動作が自動停止するよう制御が行われる。
背凭1は、フレーム34と共に、前方向に起立に又後方向に倒伏する。座部2は、フレーム34に取着されており、下肢受3は座部2に取着されているので、座部2及び下肢受3は、背凭1と一体的に回動する。
【0017】
牽引機構5は、座部2及び下肢受3を支持しフレーム34に摺動可能に設けられる牽引台36と、牽引台36とフレーム34とに亘って設けられ牽引台36を摺動させる牽引用アクチュエータ35と、牽引用アクチュエータ35を制御する制御部(図示省略)でなる。
牽引用アクチュエータ35を伸長させると、牽引台36と共に座部2及び下肢受3が滑らかに患者の足方向に、往移動し、患者の腰椎に牽引力を付与する。
牽引用アクチュエータ35を収縮させると、牽引台36と共に座部2及び下肢受3が滑らかに復移動し、牽引力は消失する。
牽引用アクチュエータ35を伸長・収縮させると、牽引台36と共に座部2及び下肢受3が滑らかに患者の足方向とその逆方向に、往復移動し、患者に間歇的な牽引治療を施す。
【0018】
背凭1の両側部に位置してフレーム34に、患者の両脇を支持する脇支持具7が設けられる。
脇支持具7は、背凭1側から患者の前面方向へ突出する脇アーム軸8と、脇アーム軸8に取着され延出長さを調節可能な脇アーム9と、脇アーム9の先部に取着され牽引治療装置6に乗る患者の脇に当接する脇パッド10とからなる。
脇支持具7は、腰椎牽引治療時に患者の脇に当たり、足方向へ動こうとする患者の上半身を移動しないように支持するものである。
【0019】
脇アーム軸8はフレーム34に設けられた軸受11に取着される。
脇アーム軸8は、患者の脇より下方位置であって、背凭1の左右側に位置してフレーム34にそれぞれ設けられる。
脇アーム軸8から患者の脇へ向かって脇アーム9が伸びる。脇アーム軸8の所定位置にはキー13が突設される。軸受11にはキー溝12が設けられる。
キー13は、キー溝12に嵌って脇アーム軸8の回動を所定角度範囲に制限するものである。
【0020】
軸受11には渦巻バネ14が収容される。渦巻バネ14の基端は脇アーム軸8(回動側)に止着され、渦巻バネ14の先端は軸受11(固定側)に取着される。
脇アーム軸8は一方向へ回動するように渦巻バネ14で付勢される。
【0021】
脇アーム軸8に脇アーム9の基部が取着される。脇アーム9は脇アーム軸8を中心に円弧状に回動可能である。
脇アーム9はその延出長さを個々人の体型に合わせて調節できるものである。
脇アーム9は、基部が脇アーム軸8に取着される固定片15と、先部に脇パッド10が取着される移動片16と、移動片16を固定片15に固定する固定手段31とからなり、固定片15に移動片16が延長状に連結されてなる。
【0022】
脇アーム9は、脇アーム軸8と共に回動し、渦巻バネ14の付勢力により、背凭1の外方の所定角度に停止される。
脇アーム9は、背凭1の側部にあって背凭1の中央方向(遊端が患者に接近する方向)の内回りと、背凭1の外方向の外回り(遊端が患者から離間する方向)とに円弧状に往復回動できる。
脇アーム9は、牽引治療に使用していない時は、渦巻バネ14の付勢力により、外回りの限度端で停止し待機している。
【0023】
前記固定片15には、ノブネジ21を貫通させるノブ穴18が開けられると共に2個1組の長さ調節用ピン17が突設される。
前記移動片16には、ノブ雌ネジ19が、3個列設されると共に2個1組の長さ調節用穴20が長手方向に3組み列設される。
1組の長さ調節用穴20は、その3組みのいずれへも1組の長さ調節用ピン17を嵌合できるように移動片16に開設される。
脇アーム9の長さを調節する際に、長さ調節用ピン17をいずれか選択した長さ調節用穴20に嵌合すると、固定片15のノブ穴18はいずれかのノブ雌ネジ19に符合する。
【0024】
固定手段31(具体例では、ノブネジ21)をノブ雌ネジ19に螺子止めして固定片15を移動片16に固定する。
ノブ穴18はノブ雌ネジ19に符合するので、ノブネジ21の螺子止めが可能である。
【0025】
脇アーム軸8から延出される脇アーム9の延出長さを段階的に調節できる。即ち、脇アーム軸8から脇パッド10までの距離を段階的に調節できる。
具体例では、延出長さは3段階であり、延出長さが短い「1」(短)、延出長さが中位の「2」(標準)、延出長さが長い「3」(長)の3個の段階値で示す。
段階値1、2、3のいずれかに脇アーム9の延出長さを調節する。段階値1、2、3は、目視で容易に施療者に認知できる。
上記認知した段階値1、2、3のいずれかをもって移動片16を固定片15にあてがって固定すれば、いつでも脇アーム9の延出長さが再現できる。
【0026】
脇パッド10は円柱形のものでありその表面は軟材で作られる。
脇アーム9の先部に取着された脇パッド10は、円弧軌跡上を移動する。脇パッド10は、外力が加わらない時は、渦巻バネ14の付勢力により背凭1の外方の位置に有り、患者が牽引治療装置6に乗降する時、邪魔にならない位置に待機している。
【0027】
牽引治療に際して、脇パッド10は、患者の脇方向へ移動させ、脇に挟む。牽引治療中は脇が脇パッド10に当る位置に保持して用いる。
上記脇アーム9の長さ調節により、牽引治療時に、脇パッド10は患者の脇に好適に装着される。
肘置具27は、背凭1の両側部の位置にあってフレーム34に固着される。
【0028】
図1中、26は背凭1の上部表面に面ファスナー等の適宜な手段により着脱自在に設けられる枕、図2中、33は軸受基部である。
【0029】
牽引治療を行なうに当って、先ず、施療者は脇アーム9の延出長さを調節しセッティングする。通常は段階値「2」で進めるが、患者の体型に対応して、「1」又は「2」に長さを調節する。
変更する際はノブネジ21を外す。移動片16を、患者の体型に合わせて移動する。例えば、身長の低い患者又は肥満の患者には段階値「1」の位置とし、身長の高い患者又は痩せた患者には段階値「3」の位置とする。通常は、身長の標準の患者又は中肉の患者用に段階値「2」の位置としている。
【0030】
患者の体型に合わせて長さ調節用ピン17を、段階値「1」、「2」、「3」のいずれかの長さ調節用穴20に嵌め、ノブネジ21を、ノブ穴18に通した後ノブ雌ネジ19にネジ止めする。
脇アーム9の長さを調節する際に、長さ調節用ピン17を選択した長さ調節用穴20に嵌めると、固定片15のノブ穴18はノブ雌ネジ19に符合する。
ノブ穴18はノブ雌ネジ19に符合するするので、ノブネジ21を、ノブ穴18を貫通しノブ雌ネジ19に螺子止めする。
【0031】
次に、患者は背凭1、座部2及び下肢受3に乗る。渦巻バネ14の付勢力により脇アーム9は背凭1の外方に向いて開いている。
脇アーム9は背凭1の外方に向いて開いているから、脇パッド10は、背凭1の外方の位置に有り、患者が乗る時、該脇パッド10は障害にはならない。
脇パッド10を脇下へ移動し、脇に挟む。腰装具22で患者の腰を座部2に固定する。
【0032】
次に、操作パネル28の倒伏スイッチ(図示省略)を押下し、リクライニング用アクチュエータ25を収縮させ、背凭1、座部2及び下肢受3を倒伏させる。背凭1が所定倒伏位置に至ると倒伏作動が終了する。
【0033】
倒伏作動が終了した後、牽引治療作動に移る。操作パネル28の牽引スイッチ(図示省略)を投入する。
牽引用アクチュエータ35が伸長作動し、牽引台36と共に座部2及び下肢受3は背凭1から離間する方向へ(牽引台36と共に座部2及び下肢受3は足方向へ)移動する。
牽引台36、座部2及び下肢受3の移動により、先ず弛みを取り、続いて、腰椎に牽引力を付与し、腰椎牽引を行ない、牽引治療する。
牽引用アクチュエータ35に設けられた検出器(図示省略)が予め設定した牽引力値に至ると牽引用アクチュエータ35の伸長作動を停止する。
この牽引力が働いている時、患者の腰が腰装具22で足方向に引っ張られると共に、脇は脇パッド10に押し当る。
脇アーム9の延出長さが調節されているので、脇パッド10は患者の両脇に好適に当る。
所定の暫時後、牽引用アクチュエータ35が収縮し、牽引台36と共に座部2及び下肢受3が復元移動する。本発明では、牽引と弛緩を繰り返す間歇牽引を行なう。
【0034】
所定の牽引治療時間が経過すると、牽引治療作動を終了する。詳しくは、上述した牽引動作と復元動作を繰り返した後、牽引用アクチュエータ35が収縮作動を開始する。牽引台36と共に座部2及び下肢受3を初頭の位置まで復元移動させる。
次に、操作パネル28の起立スイッチ(図示省略)を押下し、リクライニング用アクチュエータ25を伸長させ、背凭1、座部2及び下肢受3を起立させる。背凭1が所定起立位置に至ると起立作動が終了する。
【0035】
患者の腰部に巻き回している腰装具22の結合を解放し、患者を座部2から降ろし牽引治療作動を終了する。
【0036】
脇アーム9の延出長さに係る段階値「1」、「2」、「3」のうちのいずれかは認知できているので、以後、当該患者に対して、認知した段階値をもって、脇アーム9の延出長さを再現する。
【実施例2】
【0037】
図7に示す実施例2は、実施例1のノブネジ21を、プランジャー29に代えたものである。
実施例2の脇アーム9は、脇アーム軸8に取着される筒30に、脇パッド10が取着される移動片16を摺動可能に貫通させ、移動片16をプランジャー29で固定する。
脇アーム9は、筒30に移動片16を繋ぎ、該筒30を延長させて構成される。
脇アーム9の延出長さを変更する時は、先ず、プランジャー29の外側端部を摘んでバネ(図示省略)に抗して引く。
【0038】
プランジャー29の先端部をプランジャー用穴32から抜く。移動片16を摺動させた後、プランジャー29を放す。
引き続き移動片16を摺動させると、移動片16に開設された他のプランジャー用穴32がプランジャー29の先端部に合致し、前記先端部が他のプランジャー用穴32に自動的に嵌まる。
プランジャー29が固定作用を現わし、移動片16が筒30に固定され、脇アーム9の延出長さが変更される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
背凭1、座部2、下肢受3、フレーム34、基台部4及び牽引機構5等とからなる牽引治療装置6において、背凭1の両側部に位置してフレーム34に設けられる脇支持具7は、フレーム34に取着される脇アーム軸8と、脇アーム軸8に取着され延出長さを調節可能な脇アーム9と、脇アーム9の先部に取着され牽引治療装置6に乗る患者の脇に当接し背側から前面方向へ突出する脇パッド10とからなり、患者の腰が止着された座部2を、牽引機構5で患者の足方向へ動かして、弛み取り及び牽引治療を行ない、弛み取り作動及び牽引治療作動の時に、脇アーム9の延出長さを個々人の体型に合わせて予め調節しておくと、脇パッド10が患者の脇に好適に当接する牽引治療装置を、簡素な構成であって、快適に安全に実施できる牽引治療装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施例1の右側面図である。
【図2】本発明の実施例1の脇支持具を示す部分図である。
【図3】本発明の実施例1の脇支持具を示す部分図である。
【図4】本発明の実施例1の脇支持具を示す部分図である。
【図5】本発明の実施例1の脇支持具を示す部分図である。
【図6】本発明の実施例1のキー及びキー溝を示す部分断面図である。
【図7】本発明の実施例2の脇支持具を示す部分図である。
【図8】本発明の実施例1の背凭を倒伏状態にした右側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 背凭
2 座部
3 下肢受
4 基台部
5 牽引機構
6 牽引治療装置
7 脇支持具
8 脇アーム軸
9 脇アーム
10 脇パッド
11 軸受
12 キー溝
13 キー
14 渦巻バネ
15 固定片
16 移動片
17 長さ調節用ピン
18 ノブ穴
19 ノブ雌ネジ
20 長さ調節用穴
21 ノブネジ
31 固定手段
34 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背凭1、座部2、下肢受3、フレーム34、基台部4及び牽引機構5等とからなる牽引治療装置6において、背凭1の両側部に位置してフレーム34に設けられる脇支持具7は、フレーム34に取着される脇アーム軸8と、脇アーム軸8に取着され延出長さを調節可能な脇アーム9と、脇アーム9の先部に取着され牽引治療装置6に乗る患者の脇に当接し背側から前面方向へ突出する脇パッド10とからなり、
患者の腰が止着された座部2を、牽引機構5で患者の足方向へ動かして、弛み取り及び牽引治療を行ない、弛み取り作動及び牽引治療作動の時に、脇アーム9の延出長さを個々人の体型に合わせて予め調節しておくと、脇パッド10が患者の脇に好適に当接することを特徴とする牽引治療装置。
【請求項2】
脇アーム軸8は、患者の脇より足方向へ寄った位置であって、背凭1の左右側に位置しフレーム34に設けられ、脇アーム9は脇アーム軸8を中心に患者の脇へ向かって伸び円弧状に回動可能であって、脇アーム9は、脇アーム軸8に取着される固定片15に、脇パッド10が取着される移動片16を固定手段31で固定して繋いでなり、脇アーム9の延出長さは段階的に調節できるものになし、
調節した脇アーム9の延出長さ段階に係る段階値は認知でき、その認知した段階値をもって脇アーム9の延出長さが再現できることを特徴とする請求項1記載の牽引治療装置。
【請求項3】
フレーム34に脇アーム軸8を支持する軸受11が設けられ、軸受11にはキー溝12が設けられ、脇アーム軸8の所定位置にはキー13が突設され、キー13はキー溝12に嵌って脇アーム軸8の回動を所定角度範囲に制限するものであり、又、軸受11と脇アーム軸8との間に渦巻バネ14が取着され、
脇アーム9は渦巻バネ14に付勢されて回動し背凭1の外方の所定角度に停止し、脇パッド10は、牽引治療装置6の乗降を障害しない位置に有ることを特徴とする請求項1又は2記載の牽引治療装置。
【請求項4】
固定片15には、ノブネジ21を貫通させるノブ穴18が開けられると共に2個1組の長さ調節用ピン17が設けられ、移動片16には、ノブネジ21を螺子止めするノブ雌ネジ19が複数個列設されると共に2個1組の長さ調節用穴20が長手方向に複数組み列設されてなり、固定手段31をノブネジ21とし、
脇アーム9の長さ調節の際に、長さ調節用ピン17をいずれか選択した長さ調節用穴20に嵌合すると、固定片15のノブ穴18はいずれかのノブ雌ネジ19に符合し、ノブ雌ネジ19へノブネジ21を螺子止め可能であることを特徴とする請求項2記載の牽引治療装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−112433(P2009−112433A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286859(P2007−286859)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】