説明

狭い分子量分布を有する合成ゴム、その使用およびその製造方法

【課題】狭い分子量分布を有する合成ゴム、その使用およびその製造方法を提供する。
【解決手段】新規な方法を用いて、非常に狭い分子量分布と、それに対応して低い多分散指数値とを特徴とする合成ゴム(B)を製造する。本製造方法は超音波を使った合成ゴムの処理を含み、得られた合成ゴム(B)は、使用した合成ゴム(A)より低い重量平均分子量(M)を有する。得られた合成ゴム(B)は、押出法または射出成形法による加工に対して優れた適性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広い分子量分布を有するそれぞれの化学構造の出発ポリマーを超音波で処理することによる、狭い分子量分布を有する低分子量合成ゴムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非常に多種多様な異なる化学構造の合成ゴムが、非常に多種多様な重合方法および処理方法によって製造される。(非特許文献1)およびそこで引用された文献。
【0003】
これらの合成ゴムの大部分に共通する特徴は、これらが、広い分子量分布と共に、高分子量を有することである。この広い分子量分布は、大部分の合成ゴムがフリーラジカル重合法により得られるという事実の結果である。この方法では、一般に、多分散指数D=M/M(ここで、Mは重量平均分子量であり、Mは数平均分子量である)が1.5より大きく、エマルジョンゴムの場合には、通常、実に3.0より大きい。多分散指数D(決定方法:ポリスチレン等価物に対するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC))は、分子量分布の幅についての情報を与える。
【0004】
溶液中でのアニオン重合は、原則としてより狭い分子量分布を与え、ここで通常の多分散指数Dは1.0より少し大きいだけであり、市販のポリマー、例えば溶液スチレン−ブタジエンゴム(LSBR)では、通常、D=2.0の値の前後である。しかしながら、この方法は、種々の化学構造を有する多数の合成ゴムのうちの少数にしか適用することができない。
【0005】
ここ10年で実質的に開発された「リビングラジカル重合」として知られる方法は、フリーラジカル開始法による分布が狭いポリマーの製造を意図している。しかしながら、いくつかの例外は別として、標準的な方法と比較したときに複雑であるこの技法の商業的な応用はまだ存在しない。現在の従来技術の概要は、マチジャスゼウスキー(Matyjaszewski)によって示されている(非特許文献2)。
【0006】
ゴム分野では、分布が狭いポリマーから製造された成形品は、従来の部品と比較した場合により良い特性プロファイルを有する。これは、自由末端(loose end)として知られるものの数がより少ない、より均一な網目構造に起因する。これは、アニオン法を用いて製造された分布が狭い溶液SBRと、対応するフリーラジカル重合からの製品(エマルジョンSBR)との比較において特に著しくなる。
【非特許文献1】ウルマン工業化学百科事典(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry)、VCH バインハイム(Weinheim)、1993年、第A23巻、239頁以下
【非特許文献2】ポリマーサイエンスの進歩(Advances in Polymer Science)、第159巻、シュプリンガー−フェアラーク(Springer−Verlag)、ベルリン、ハイデルベルク、2002年、2〜166頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明の目的は、これまで既知のゴムより狭い分子量分布または小さい多分散指数を有すると同時に、低い重量平均分子量値も有する合成ゴムを製造することができる方法を提供することである。
【0008】
驚くべきことに、合成ゴムの分子量は超音波の効果によって有利に低下させることができ、そして重合方法によって多くの場合に可能である値より著しく狭い分子量分布、従って小さい多分散指数を有する低分子量の合成ゴムを提供することができることが分かった。
【0009】
従って、本発明は、合成ゴム(A)に超音波を照射し、得られた合成ゴム(B)が合成ゴム(A)より低い重量平均分子量(M)を有することを特徴とする、合成ゴム(B)の製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の方法では、出発材料として合成ゴム(A)を使用する。適切な材料の例は、次の通りである。
NBR ブタジエン−アクリロニトリルのコポリマーまたはターポリマー形態のニトリルゴム、
HNBR 水素化ブタジエン−アクリロニトリルのコポリマーまたはターポリマー形態の部分的にまたは完全に水素化されたニトリルゴム、
XNBR カルボキシル化ニトリルゴム、
HXNBR 部分的にまたは完全に水素化されたカルボキシル化ニトリルゴム、
EVM エチレン−酢酸ビニルコポリマー、
EPDM エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー、
ESBR スチレン−ブタジエンコポリマー、
CR ポリクロロプレン、
BR ポリブタジエン、
ACM アクリレートゴム、
FKM フッ素ゴム、
IIR 0.5〜10重量%のイソプレン含量を通常有するイソブチレン−イソプレンコポリマー、
BIIR 0.1〜10重量%の臭素含量を通常有する臭素化イソブチレン−イソプレンコポリマー、
CIIR 0.1〜10重量%の塩素含量を通常有する塩素化イソブチレン−イソプレンコポリマー、
ABR ブタジエン−C1〜4−アルキルアクリレートコポリマー、
IR ポリイソプレン、
X−SBR カルボキシル化スチレン−ブタジエンコポリマー、
EAM エチレン−アクリレートコポリマー、
COおよびECO エピクロロヒドリンゴム、
Q シリコーンゴム、
AU ポリエステルウレタンポリマー、
EU ポリエーテルウレタンポリマー、
ENR エポキシ化天然ゴムまたはこれらの混合物。
【0011】
[ニトリルゴム(NBR)]
本出願の目的において、略語NBRでも知られる「ニトリルゴム」は、繰返し単位を含有し、少なくとも1種の共役ジエンと、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルと、適切な場合には1種または複数種の他の共重合可能なモノマーとを含有するコポリマーまたはターポリマーである。
【0012】
「共役ジエン」はどのタイプのものでもよい。C〜C共役ジエンを使用するのが好ましい。特に好ましいのは、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレンまたはこれらの混合物である。特に好ましいのは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンまたはこれらの混合物である。1,3−ブタジエンが非常に特に好ましい。
【0013】
使用するα,β−不飽和ニトリルは、任意の既知のα,β−不飽和ニトリルを含んでいてよく、C〜Cα,β−不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはこれらの混合物等)が好ましい。アクリロニトリルが特に好ましい。
【0014】
特に好ましいニトリルゴムは、アクリロニトリルモノマーおよび1,3−ブタジエンモノマーをベースにしたコポリマーによって提供される。
【0015】
共役ジエンおよびα,β−不飽和ニトリルと一緒に、当業者に既知の1種または複数種の他のモノマー、例えば、α,β−不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸、もしくはそのエステルまたはアミドを使用することも可能である。ここで好ましいα,β−不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸は、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸である。使用する好ましいα,β−不飽和カルボン酸のエステルは、そのアルキルエステルおよびアルコキシアルキルエステルである。特に好ましいα,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステルは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸オクチルである。特に好ましいα,β−不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステルは、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルである。アルキルエステル(例えば上記のもの)と、アルコキシアルキルエステル(例えば上記の形態)との混合物を使用してもよい。
【0016】
使用するHNBRポリマー中の共役ジエンとα,β−不飽和ニトリルとの割合は、大幅に変化し得る。共役ジエンまたは共役ジエンの総量の割合は、ポリマーの総量に対して、通常40〜90重量%の範囲であり、好ましくは55〜75重量%の範囲である。α,β−不飽和ニトリルまたはα,β−不飽和ニトリルの総量の割合は、ポリマーの総量に対して、通常10〜60重量%の範囲、好ましくは25〜45重量%の範囲である。それぞれの場合におけるモノマーの割合は、全体で100重量%になる。追加的なモノマーの存在可能な量は、ポリマーの総量に対して、0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%である。この場合、対応する共役ジエンの割合およびα,β−不飽和ニトリルの割合がそれぞれ追加的なモノマーの割合によって置き換えられ、それぞれの場合における全てのモノマーの割合は、全体で100重量%になる。
【0017】
ニトリルゴムがカルボキシ基を有する場合、XNBRという用語も使用される。
【0018】
上記のモノマーの重合によるニトリルゴムの調製は当業者にはよく知られており、文献(例えば、ホーベン−ウェイル(Houben−Weyl)、「有機化学の方法(Methoden der Organischen Chemie)」第14/1巻、ゲオルグ・ティーメ・フェアラーク・シュトゥットガルト(Georg Thieme Verlag Stuttgart)1961年)に広範囲にわたって記載されている。
【0019】
本発明の目的において使用可能な他のニトリルゴムは、例えば、ランクセス・ドイチュラント社(Lanxess Deutschland GmbH)から商標ペルブナン(Perbunan)(登録商標)およびクライナック(Krynac)(登録商標)の製品系列からの製品として市販されている。
【0020】
[水素化ニトリルゴム(HNBR)]
本出願の目的において、「水素化ニトリルゴム(HNBR)」は、少なくとも1種の共役ジエンの繰返し単位と、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルの繰返し単位と、適切な場合には1種または複数種の共重合可能なモノマーの繰返し単位とを含有するコポリマーまたはターポリマーであり、ポリマー中に取り込まれたジエン単位のC=C二重結合は、完全にまたはある程度水素化されている。ポリマー中に取り込まれたジエン単位の水素化度は、通常50〜100%の範囲、好ましくは85〜100%の範囲、特に好ましくは95〜100%の範囲である。
【0021】
「共役ジエン」はどのタイプのものでもよい。C〜C共役ジエンを使用するのが好ましい。特に好ましいのは、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレンまたはこれらの混合物である。特に好ましいのは、1,3−ブタジエンおよびイソプレンまたはこれらの混合物である。1,3−ブタジエンが非常に特に好ましい。
【0022】
使用する「α,β−不飽和ニトリル」は、任意の既知のα,β−不飽和ニトリルを含んでいてよく、C〜Cα,β−不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはこれらの混合物等)が好ましい。アクリロニトリルが特に好ましい。
【0023】
特に好ましい水素化ニトリルゴムは、アクリロニトリルモノマーおよび1,3−ブタジエンモノマーをベースにした水素化コポリマーによりもたらされる。
【0024】
共役ジエンおよびα,β−不飽和ニトリルと一緒に、当業者に既知の1種または複数種の他のモノマー、例えば、α,β−不飽和モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、またはそのエステルもしくはアミドを使用することも可能である。ここで好ましいα,β−不飽和モノカルボン酸もしくはジカルボン酸は、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸である。使用する好ましいα,β−不飽和カルボン酸エステルは、これらのアルキルエステルおよびアルコキシアルキルエステルである。特に好ましいα,β−不飽和カルボン酸エステルは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸オクチルである。
【0025】
使用するHNBRポリマー中の共役ジエンの割合およびα,β−不飽和ニトリルの割合は、大幅に変化し得る。共役ジエンまたは共役ジエンの総量の割合は、ポリマーの総量に対して、通常40〜90重量%の範囲であり、好ましくは55〜75重量%の範囲である。α,β−不飽和ニトリルまたはα,β−不飽和ニトリルの総量の割合は、ポリマーの総量に対して、通常10〜60重量%の範囲、好ましくは25〜45重量%の範囲である。それぞれの場合におけるモノマーの割合は、全体で100重量%になる。追加的なモノマーの存在可能な量は、ポリマーの総量に対して、0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%である。この場合、対応する共役ジエンの割合とα,β−不飽和ニトリルの割合とをそれぞれ追加的なモノマーの割合によって置き換え、それぞれの場合における全てのモノマーの割合を、全体で100重量%にする。
【0026】
水素化ニトリルゴムがカルボキシ基を有する場合、HXNBRという用語も使用される。
【0027】
第1に、ニトリルゴム、NBRを、上記のモノマーの重合により製造する。次に、水素化ニトリルゴムを得るためのニトリルゴムの水素化を行う。これは、当業者には既知の方法で行なうことができる。一例として、適切な方法は、均一触媒〔例えば、「ウィルキンソン(Wilkinson)」触媒((PPhRhCl)として知られる触媒またはその他の触媒〕を用いる水素との反応である。ニトリルゴムの水素化方法は公知である。通常、ロジウムまたはチタンが触媒として用いられるが、金属の形態、あるいは好ましくは金属化合物の形態の、白金、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、または銅を使用することも可能である(例えば、米国特許第3,700,637号明細書、DE−PS−2539132号明細書、EP−A−134023号明細書、DE−A−3541689号明細書、DE−A−3540918号明細書、EP−A−298386号明細書、DE−A−3529252号明細書、DE−A−3433392号明細書、米国特許第4,464,515号明細書および米国特許第4,503,196号明細書を参照)。
【0028】
均一相水素化のために適切な触媒および溶媒を以下に記載するが、DE−A−2539132号明細書およびEP−A−0471250号明細書にも開示されている。
【0029】
例えば、ロジウム含有触媒の存在下で選択的な水素化を達成することができる。例として、一般式:
(RB)RhX
の触媒を使用することが可能であり、式中、
は、同一または異なり、C〜C−アルキル基、C〜C−シクロアルキル基、C〜C15−アリール基またはC〜C15−アラルキル基であり、
Bは、リン、ヒ素、硫黄、またはスルホキシド基S=Oであり、
Xは、水素またはアニオン、好ましくはハロゲン、特に好ましくは塩素または臭素であり、
lは、2、3または4であり、
mは、2または3であり、そして
nは、1、2または3、好ましくは1または3である。
【0030】
好ましい触媒は、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)クロリドおよびトリス(ジメチルスルホキシド)ロジウム(III)クロリド、ならびに式((CP)RhHのテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウムヒドリド、そして、トリフェニルホスフィンが完全にまたはある程度トリシクロヘキシルホスフィンで置換された、これらに対応する化合物である。少量の触媒を用いることができる。適切な量は、ポリマーの重量に対して0.01〜1重量%の範囲、好ましくは0.03〜0.5重量%の範囲、特に好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲である。
【0031】
通常、この触媒を、式RB(式中、R、mおよびBは、触媒について上記で定義したとおりである)の配位子である共触媒と共に使用することが望ましい。mは好ましくは3であり、Bは好ましくはリンであり、基Rは、同一でも異なっていてもよい。共触媒は、好ましくは、トリアルキル、トリシクロアルキル、トリアリール、トリアラルキル、ジアリールモノアルキル、ジアリールモノシクロアルキル、ジアルキルモノアリール、ジアルキルモノシクロアルキル、またはジシクロアルキルモノアリール基を有する。
【0032】
適切な共触媒は、一例として、米国特許第4,631,315号明細書において見られる。トリフェニルホスフィンは、好ましい共触媒である。共触媒の使用量は、好ましくは、水素化すべきニトリルゴムの重量に対して0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜4重量%の範囲である。ロジウム含有触媒の共触媒に対する重量比は、さらに好ましくは、1:3〜1:55の範囲、好ましくは1:5〜1:45の範囲である。適切な方法では、水素化すべきニトリルゴム100重量部に対して、0.1〜33重量部、好ましくは0.5〜20重量部、非常に特に好ましくは1〜5重量部の共触媒、特に、2重量部より多いが5重量部より少ない共触媒を使用する。
【0033】
この水素化の実際的な方法は、米国特許第6,683,136号明細書から、当業者にはよく知られている。通常の方法では、水素化すべきニトリルゴムを、トルエンまたはモノクロロベンゼンなどの溶媒中、100〜150℃の範囲の温度および50〜150バールの範囲の圧力で2〜10時間、水素で処理する。
【0034】
本発明の目的において、水素化は、出発ニトリルゴム中に存在するC=C二重結合の反応であり、この反応の程度は、出発ニトリルゴム中に存在する二重結合に対して、通常少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも85%である。
【0035】
本発明の方法において出発材料として使用する水素化ニトリルゴムは、通常、200000〜1000000の範囲、好ましくは200000〜400000の範囲、特に好ましくは200000〜300000の範囲の重量平均分子量Mを有する。これらはさらに、1.9〜6.0の範囲、好ましくは2.2〜5.0の範囲、特に2.5〜4.0の範囲の多分散指数D=M/M(ここで、Mは重量平均分子量であり、Mは数平均分子量である)を有する。
【0036】
本発明の方法において使用する水素化ニトリルゴム(A)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、50〜130の範囲、好ましくは55〜75の範囲である。ここで、ムーニー粘度は、ASTM標準D1646により測定する。
【0037】
本タイプの水素化ニトリルゴムは市販されている。水素化ニトリルゴムの例として、20〜50重量%の範囲のアクリロニトリル含量を有する、完全におよび部分的に水素化されたニトリルゴム(ランクセス・ドイチュラント社(Lanxess Deutschland GmbH)からのテルバン(Therban)(登録商標)系列、および日本ゼオン株式会社(Nippon Zeon Corporation)からのゼットポール(Zetpol)(登録商標)系列)がある。水素化ブタジエン−アクリロニトリル−アクリレートポリマーの例として、ランクセス・ドイチュラント社からのテルバン(登録商標)LT系列、例えばテルバン(登録商標)LT2157、およびテルバン(登録商標)VP KA8882がある。カルボキシル化水素化ニトリルゴムの例は、ランクセス・ドイチュラント社からのテルバン(登録商標)XT系列である。低ムーニー粘度を有し、したがって改善された加工性を有する水素化ニトリルゴムの例は、テルバン(登録商標)AT系列からの製品、例えばテルバンAT VP KA8966である。
【0038】
[エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVM)]
本発明の方法は、モノマーとしてのエチレンおよび酢酸ビニルをベースにしたエチレン−酢酸ビニルコポリマーを使用することもできる。
【0039】
本発明の目的において使用することができるエチレン−酢酸ビニルコポリマーは、商業的に入手可能であり〔例えばランクセス・ドイチュラント社からの商品名レバプレン(Levapren)(登録商標)およびレバメルト(Levamelt)(登録商標)の製品系列からの製品〕、あるいは、当業者に公知のよく知られた方法によって製造することもできる。
【0040】
[EPDMゴム]
EPDMゴムは、エチレンと、比較的大きな割合のプロピレンと、ジエン構造を有する数重量%の第3のモノマーとの三元共重合により製造されるポリマーである。ここでジエンモノマーは、次の任意の硫黄加硫に必要とされる二重結合を提供する。主として使用するジエンモノマーは、cis,cis−1,5−シクロオクタジエン(COD)、exo−ジシクロペンタジエン(DCP)、endo−ジシクロペンタジエン(EDCP)、1,4−ヘキサジエン(HX)、および5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)である。
【0041】
本発明の目的において使用することができるEPDMゴムは、商業的に入手可能であり〔例えば、ランクセス・ブナ社(Lanxess Buna GmbH)からの商品名ブナ(Buna)EP(登録商標)の製品シリーズからの製品〕、あるいは、当業者によく知られた方法で製造することもできる。
【0042】
[エマルジョンスチレン−ブタジエンゴム(ESBR)]
これは、常に、スチレンモノマーおよびブタジエンモノマーからなるコポリマーを含む。材料は、低温でレドックス開始剤により、あるいは比較的高温で過硫酸塩によって開始される水中での乳化重合によって製造される。ラテックスが得られそのまま使用されるか、あるいは後処理がされ固形ゴムが得られる。ESBRのモル質量は、約250000〜800000g/モルの範囲である。
【0043】
本発明の目的において使用することができるエマルジョンスチレン−ブタジエンゴムは、商業的に入手可能であり〔例えば、ランクセス・ドイチュラント社からの商品名クライノール(Krynol)(登録商標)およびクライレン(Krylene)(登録商標)の製品系列からの製品〕、あるいは、当業者によく知られた方法で製造することもできる。
【0044】
[クロロプレンゴム(CR)]
クロロプレンゴム(CR)は、クロロプレン(クロロ−1,3−ブタジエン)をベースにしたポリマーを含み、これらは、乳化重合により工業的に製造される。CRの製造では、クロロプレンだけでなく、1種または複数種の他のモノマーも使用することができる。
【0045】
本発明の目的において使用することができるクロロプレンゴム(CR)は、商業的に入手可能であり〔例えば、ランクセス・ドイチュラント社からの商品名バイプレン(Baypren)(登録商標)の製品系列からの製品〕、あるいは、当業者によく知られた方法で製造することもできる。
【0046】
[ポリブタジエンゴム(BR)]
これらは、ポリ(1,3−ブタジエン)、すなわち1,3−ブタジエンをベースにしたポリマーを含む。
【0047】
[アクリレートゴム(ACM)]
アクリレートゴムは、エマルジョン中でフリーラジカル法により製造され、アクリル酸エチルと、他のアクリレート(例えば、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−アルコキシエチル、またはポリマー中に取り込まれて加硫中に活性を示す少ない割合の基を有する他のアクリレート等)とからなるコポリマーを含む。
【0048】
本発明の目的において使用することができACMゴムは、商業的に入手可能であり〔例えば、ゼオン・ケミカルズ(Zeon Chemicals)からの商品名ハイ・テンプ(Hy Temp)(登録商標)/ニポール(Nipol)(登録商標)ARの製品系列からの製品〕、あるいは、当業者によく知られた方法で製造することもできる。
【0049】
[フッ素ゴム(FKM)]
これらは、フッ素化エチレンモノマーと、フッ素化ビニルモノマーと、適切な場合には他のモノマー(これらは、加硫に活性な基を有する)とからなる、エマルジョン中でフリーラジカル法により製造されるコポリマーを含む。
【0050】
本発明の目的において使用することができるFKMゴムは、商業的に入手可能であり〔例えば、デュポン・ドゥ・ヌムール(DuPont des Nemours)からの商品名バイトン(Viton)(登録商標)の製品系列からの製品〕、あるいは、当業者によく知られた方法で製造することもできる。
【0051】
[IIRおよびハロIIR(BIIRおよびCIIR)]
ブチルゴム(IIR)は、イソブテンおよび少ない割合のイソプレンからなるコポリマーである。これらは、カチオン重合法によって製造される。ハロブチルゴム(BIIRおよびCIIR)は、これらから、塩素元素または臭素元素との反応によって製造される。
【0052】
本発明の目的において使用することができるブチルゴムおよびハロブチルゴムは、商業的に入手可能であり〔例えば、ランクセス・ドイチュラント社からの商品名ランクセス・ブチル(Lanxess Butyl)、ランクセス・クロロブチル(Lanxess Chlorobutyl)、およびランクセス・ブロモブチル(Lanxess Bromobutyl)それぞれの製品系列からの製品〕、あるいは、当業者によく知られた方法で製造することもできる。
【0053】
また当業者は、相当するモノマーの重合による上記の合成ゴム(A)の全ての製造のさらなる詳細を、文献(例えば、ホーベン−ウェイル(Houben−Weyl)、「有機化学の方法」、第14/1巻、ゲオルグ・ティーメ・フェアラク・シュトゥットガルト(Georg Thieme Verlag Stuttgart)1961年)において見出すことができる。
【0054】
本発明の方法において出発材料として使用する合成ゴム(A)(例えば上記のもの)は、通常200000〜1000000の範囲、好ましくは200000〜400000の範囲、特に好ましくは200000〜300000の範囲の重量平均分子量Mを有する。これらはさらに、1.9〜6.0の範囲、好ましくは2.2〜5.0の範囲、特に2.5〜4.0の範囲の多分散指数D=M/M(ここで、Mは重量平均分子量であり、Mは数平均分子量である)を有する。
【0055】
本発明の方法において使用する合成ゴム(A)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、40〜130の範囲、好ましくは45〜130の範囲、特に好ましくは55〜75の範囲である。ここで、ムーニー粘度は、ASTM標準D1646により測定する。
【0056】
本発明の超音波の効果は、少なくとも18kHz、好ましくは18〜30kHzの範囲、特に19〜25kHzの範囲の周波数の音波エネルギーの入力である。
【0057】
ここでエネルギーの入力は、照射する周波数の関数である。周波数が高いほど、エネルギー入力は低い。「高エネルギー超音波」は、最高で100kHzまでの周波数で使用される用語である。ここで非常に特に好ましいのは、20kHzの領域の周波数の超音波の使用である。
【0058】
エネルギーの入力は、溶媒中の処理すべき合成ゴム(A)の溶液内に、超音波発振器を浸漬することによって行う。
【0059】
バッチ法あるいは連続法を使用して、本発明の方法を実施することができる。
【0060】
バッチ法、すなわちバッチ手順の場合には、操作は、攪拌式または非攪拌式反応器内で実施する。
【0061】
連続手順においてエネルギー入力を達成することも可能である。この場合、一例として、循環式手順における単一パスまたは複数パスを備えたCSTR型の連続流通反応器(連続攪拌槽反応器)を使用することができる。連続して順次配列された複数のCSTRを使用して、本発明の方法を実施することも可能である。連続流通管状反応器は、適切な数の超音波発振器を用いて、同様に好適である。
【0062】
合成ゴム(A)に対する超音波の効果は、溶液中で生じる。ここで分子鎖は、機械的な力の適用により切断される(「応用超音波化学(Applied Sonochemistry)」、編者:T.J.メイスン(Mason)、J.P.ロリマー(Lorimer)、ウィリー−VHCフェアラーク(Wiley−VCH Verlag)、バインハイム(Weinheim)、2002年も参照)。キャビテーションによって分子鎖の切断をもたらす高いせん断力が生じる。キャビテーションは、液体中での気泡の生成および急激な崩壊に使用される用語である。
【0063】
使用する溶媒は、それぞれのゴムに適切な任意の溶媒、例えば、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンなどを含んでいてよい。
【0064】
溶媒中の合成ゴム(A)の濃度についての唯一の制限は、得られる溶液の粘度である。しかしながら、分子量の低下は、他の条件が同一で濃度が低くなるにつれて、より効果的に起こることが分かった。操作では、通常、溶媒中に0.5〜15重量%、好ましくは1.0〜7.5重量%の初期濃度の合成ゴム(A)を用いる。
【0065】
超音波エネルギーの入力は、広い範囲の温度および圧力において可能である。本発明の方法は、通常、−30〜100℃の範囲の温度で実施する。低い温度が、鎖−分解反応に対して好ましい効果を有することが分かっている。従って本発明の方法は、好ましくは、−20〜50℃の範囲の温度で実施する。
【0066】
本発明の方法は、通常、1〜5バールの圧力範囲で実施する。
【0067】
本発明の方法では、もちろん、様々な合成ゴム(A)の混合物を用い、これらに超音波を照射することも可能である。その結果、合成ゴム(B)の混合物が得られる。
【0068】
本発明の方法で得られる合成ゴム(B)の特徴は、特に狭い分子量分布と、それに対応して低い多分散指数値とである。
【0069】
本発明はさらに、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVM)、EPDMゴム、エマルジョンスチレン−ブタジエンゴム(ESBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリレートゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、IIR、およびハロIIR、好ましくはBIIRおよびCIIRからなる群から選択され、2以下、好ましくは2未満、特に好ましくは1.9未満、非常に特に好ましくは1.7未満の多分散度D=M/Mを有する合成ゴムを提供する。特に、Dは1より大きく2.0より小さく、特に好ましくは、Dは1より大きく1.9より小さい。
【0070】
本発明の方法で得られる合成ゴム(B)は、使用する合成ゴム(A)より低い重量平均分子量Mを有する。合成ゴム(B)の重量平均分子量Mは、通常、30000〜250000の範囲、好ましくは30000〜150000の範囲、特に好ましくは30000〜100000の範囲である。
【0071】
本発明の方法において得られる合成ゴム(B)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、1〜50の範囲、好ましくは10〜40の範囲である。ここで、ムーニー粘度は、ASTM標準D1646により測定する。
【0072】
驚くべきことに、重合法により得られる合成ゴムと比較した場合に、この超音波処理法では、初めて、極めて狭い分子量分布を有する合成ゴムの提供することに成功している。使用した合成ゴムの化学結合の機械的な切断方法による切断は、化学的な結合切断とは違ってランダムに進行しない、すなわち、ポリマー鎖のすべての結合が等しく「反応性」であるとは限らないようである。
【0073】
低分子量および狭い分子量分布を有する本発明の合成ゴムは、非常に良好な加工性を有する。
【0074】
従って、本発明は、成形品(好ましくは、押出成型または射出成形によって製造される成形品)の製造のための、上述した群から選択される本発明の合成ゴムの使用も提供する。
【0075】
本発明はさらに、上述した群から選択される本発明の合成ゴムから製造される成形品を提供する。このために使用可能な方法(例えば射出成形法または押出法など)、さらにそれに対応する射出成形装置または押出機も、当業者によく知られている。これらの成形品を製造する際、上述した群から選択される本発明の合成ゴムに、当業者にとって既知であり、従来の技術知識を用いる適切な方法において当業者に選択され得るよく知られた助剤(例えば、充填剤、充填剤活性化剤、促進剤、架橋剤、オゾン安定化剤、抗酸化剤、加工油、エキステンダー油、可塑剤、活性化剤、または早期加硫の活性剤または抑制剤など)を添加することも可能である。
【0076】
上述した群から選択される本発明の合成ゴムから製造されるのが好ましい製品の例は、ガスケット、ホース、減衰要素、固定子またはケーブル被覆材である。
【0077】
本発明で製造した合成ゴムをタイヤの製造のために使用することも可能である。
【実施例】
【0078】
鎖−分解反応の進行は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定する。ショウデックス(Shodex)RI−71示差屈折計、S5200オートサンプラー(SFD)、カラムオーブン(ERC−125)、島津(Shimadzu)LC10ATポンプ、およびポリマー・ラブズ(Polymer Labs)からの3本の混合−Bカラムで構成されるカラムの組み合わせ、を備えたモジュールシステムを使用した。テトラヒドロフランを溶媒として使用し、得られた分子量は、PSS(マインツ(Mainz))からのポリスチレン標準を基準とする。
【0079】
これらから得られる数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)および多分散指数Dなどの分子パラメータは、ウォーターズ(Waters)からの「ミレニアム(Millennium)」ソフトウェアを用いてRI信号から決定する。
【0080】
[実施例1〜3(ニトリルゴム(NBR)、バッチ手順)]
異なるアクリロニトリル含量のNBR〔実施例1:ペルブナン(登録商標)1846、実施例2:ペルブナン(登録商標)3431、実施例3:クライナック(登録商標)4975F、全てランクセス・ドイチュラント社から市販される製品〕のモノクロロベンゼン中の1重量%溶液160gに、30℃に自動温度調節したステンレス鋼反応器内で、3時間にわたって超音波を照射した。
【0081】
音波エネルギーに使用した音波源は、Drヒールシャー(Dr Hielscher)からのUIP1000装置(最大出力1000ワット、周波数20kHz、チタンからなる直径34mmのBS34超音波発振器、可変振幅)であった。選択した振幅は最大出力の50%であった。
【0082】
一定の間隔でとった試料を、分子パラメータに関してGPCにより特性決定した。結果を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
[実施例4:エマルジョンスチレン−ブタジエンゴム(ESBR)]
ESBR〔クライレン(登録商標)1500、スチレン含量23.5重量%、55MUのムーニー粘度(ML1+4、100℃)、ランクセス・ドイチュラント社から市販の製品〕のトルエン中の1重量%溶液160gを、実施例1と同様に処理した。結果を表4に示す。
【0087】
【表4】

【0088】
[実施例5:エマルジョンスチレン−ブタジエンゴム(ESBR)]
ESBR〔油展ESBRゴム、クライノール(登録商標)1721のポリマー画分、スチレン含量40重量%、約110MUのムーニー粘度(ML1+4、100℃)、ランクセス・ドイチュラント社から市販の製品〕のトルエン中の1重量%溶液160gを、実施例1と同様に処理した。結果を表5に示す。
【0089】
【表5】

【0090】
[実施例6:クロロプレンゴム(CR)]
CRゴム〔バイプレン(登録商標)230、102MUのムーニー粘度(ML1+4、100℃)、ランクセス・ドイチュラント社から市販の製品〕のトルエン中の1重量%溶液160gを、実施例1と同様に処理した。結果を表6に示す。
【0091】
【表6】

【0092】
[実施例7:エチレン−酢酸ビニルゴム(EVM)]
EVMゴム〔レバプレン(登録商標)700HV、27MUのムーニー粘度(ML1+4、100℃)、ランクセス・ドイチュラント社から市販の製品〕のクロロベンゼン中の1重量%溶液160gを、実施例1と同様に処理した。結果を表7に示す。
【0093】
【表7】

【0094】
[実施例8〜12:水素化ニトリルゴム(HNBR);(バッチ手順)]
実施例8:
HNBR〔テルバン(登録商標)3446(ランクセス・ドイチュラント社)、60MUのムーニー粘度(ML1+4、100℃)(ASTM標準D1646により決定)、アクリロニトリル含量34重量%、残留二重結合含量(IR分光法により決定)4%〕のモノクロロベンゼン中の1重量%溶液160gに、30℃で自動温度調節したステンレス鋼反応器内で、3時間にわたって超音波を照射した。
【0095】
音波エネルギーに使用した音波源は、Drヒールシャー(Dr Hielscher)からのUIP1000装置(最大出力1000ワット、周波数20kHz、チタンからなる直径34mmのBS34超音波発振器、可変振幅)であった。選択した振幅は最大出力の50%であった。
【0096】
一定の間隔でとった試料を、分子パラメータに関してGPCにより特徴付けた。結果を表8に示す。
【0097】
【表8】

【0098】
[実施例9]:
実施例8と同一の出発材料および条件を用いて、低温保持装置により温度を0℃に低下させた。結果を表9に示す。
【0099】
【表9】

【0100】
[実施例10〜12(バッチ手順)]
1重量%(実施例10)、3重量%(実施例11)および5重量%(実施例12)のテルバン(登録商標)3446溶液に対して、実施例8と同一の装置設定を40℃の音波照射温度で用いた。結果を、以下の表10〜12に示す。
【0101】
【表10】

【0102】
【表11】

【0103】
【表12】

【0104】
[実施例13:水素化ニトリルゴム(HNBR)(循環式手順)]
実施例8と同一の装置設定で、30℃の音波照射温度を用いて、1重量%のテルバン(登録商標)3446溶液を供給容器からポンプで送り出して連続流通反応器を通し、供給容器に戻した。ここで供給容器の容積は、反応空間の容積の4倍であった。ポンプ循環速度は、反応空間において0.25時間の単一パス平均滞留時間を与えるように選択した。一定の時間間隔で供給容器から試料をとり、GPCにより分解反応の進行を確認した。結果を表13に示す。
【0105】
【表13】

【0106】
[実施例14:水素化ニトリルゴム(HNBR)(循環式手順)]
実施例13と同一の装置設定および実施例13と同一の構成で、5重量%のポリマー溶液を連続流通反応器に循環させた。超音波源の振幅設定を最大出力に設定した。ポンプ循環速度は、反応空間において1分間の単一パス平均滞留時間を与えるように選択した。一定の時間間隔で供給容器から試料をとり、GPCにより分解反応の進行を確認した。結果を表14に示す。
【0107】
【表14】

【0108】
[実施例15:水素化ニトリルゴム(HNBR)(単一槽連続手順)]
実施例8と同一の装置設定で、30℃の音波照射温度を用いて、1重量%のテルバン(登録商標)3446溶液を供給容器からポンプで送り出して連続流通反応器を通し、次に、別個に捕集した。このタイプの構造は、単一槽連続プラントに相当する。ポンプ速度は、反応空間において15分間の単一パス平均滞留時間を与えるように選択した。結果を表15に示す。
【0109】
【表15】

【0110】
[実施例16:水素化ニトリルゴム(HNBR)(連続する6つの槽を使った連続手順のシミュレーション)]
実施例8と同一の装置設定で、30℃の音波照射温度を用いて、1重量%のテルバン(登録商標)3446溶液を供給容器からポンプで送り出して連続流通反応器を通し、次に、別個に捕集した。得られた溶液を、再度反応器に通過させ、均質化した。この手順を全部で6回実行した。このタイプの手順は6槽連続プラントのシミュレーションに相当し、個々の体積要素の同じ滞留時間プロファイルを提供する。ポンプ速度は、反応空間において15分間の単一パス平均滞留時間を与えるように選択した。それぞれのパスの後、試料をとり、GPCによって特性決定した。結果を表16に示す。
【0111】
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ゴム(A)に超音波を照射し、得られた合成ゴム(B)が、前記合成ゴム(A)より低い重量平均分子量(M)を有することを特徴とする、合成ゴム(B)の製造方法。
【請求項2】
使用する前記合成ゴム(A)が、BR(ポリブタジエン)、ABR(ブタジエン−C1〜4−アルキルアクリレートコポリマー)、IR(ポリイソプレン)、SBR(ランダムスチレン−ブタジエンコポリマー)、X−SBR(カルボキシル化スチレン−ブタジエンコポリマー)、FKM(フッ素ゴム)、ACM(アクリレートゴム)、NBR(ニトリルゴム)、HNBR(部分的または完全に水素化されたニトリルゴム)、XNBR(カルボキシル化ニトリルゴム)、HXNBR(部分的または完全に水素化されたカルボキシル化ニトリルゴム)、CR(ポリクロロプレン)、IIR(イソブチレン−イソプレンコポリマー)、BIIR(臭素化イソブチレン−イソプレンコポリマー)、CIIR(塩素化イソブチレン−イソプレンコポリマー)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンコポリマー)、EAM(エチレン−アクリレートコポリマー)、EVM(エチレン−酢酸ビニルコポリマー)、COおよびECO(エピクロロヒドリンゴム)、Q(シリコーンゴム)、AU(ポリエステルウレタンポリマー)、EU(ポリエーテルウレタンポリマー)、ENR(エポキシ化天然ゴム)、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記合成ゴム(A)が、200000〜1000000の範囲、好ましくは200000〜400000の範囲、特に好ましくは200000〜300000の範囲の重量平均分子量Mと、1.9〜6の範囲、好ましくは2.2〜5の範囲、特に2.5〜4の範囲の多分散度D=M/Mとを有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも18kHz、好ましくは18〜30kHzの範囲、特に19〜25kHzの範囲の周波数の超音波を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記超音波によるエネルギー入力を、溶媒中の前記合成ゴム(A)の溶液内に超音波発振器を浸漬することによって行う、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記合成ゴム(A)のために使用する溶媒が、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンまたはモノクロロベンゼンを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
バッチ毎に、または連続的に実施する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
−30〜100℃の範囲、好ましくは−20〜50℃の範囲の温度で実施する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVM)、EPDMゴム、エマルジョンスチレン−ブタジエンゴム(ESBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリレートゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、IIRおよびハロIIR、好ましくはBIIRおよびCIIRからなる群から選択され、2以下、好ましくは2未満、特に好ましくは1.9未満、極めて特に好ましくは1.7未満の多分散度D=M/Mを有する合成ゴム。
【請求項10】
前記多分散度D=M/Mが、1を超えて2未満、好ましくは1を超えて1.9未満、特に好ましくは1を超えて1.7未満である、請求項9に記載の合成ゴム。
【請求項11】
30000〜250000の範囲、好ましくは30000〜150000の範囲、特に好ましくは30000〜100000の範囲の重量平均分子量Mを有する、請求項9または10に記載の合成ゴム。
【請求項12】
ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が1〜50の範囲、好ましくは10〜40の範囲である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の合成ゴム。
【請求項13】
成形品を、好ましくは押出法または射出成形法により製造するための、請求項9〜12のいずれか一項に記載の合成ゴムの使用。
【請求項14】
ガスケット、ホース、減衰要素、固定子またはケーブル被覆材の製造のための、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の合成ゴムを含む成形品。
【請求項16】
タイヤの製造のための請求項9〜12のいずれか一項に記載の合成ゴムの使用。
【請求項17】
請求項9〜12のいずれか一項に記載の合成ゴムを含むタイヤ。

【公開番号】特開2007−169643(P2007−169643A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−343404(P2006−343404)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】