説明

狭帯域DPSK装置、システム、方法

再構成可能光アドドロップマルチプレクサ(ROADM)の連結からの厳しいフィルタリング効果に耐える光通信のためのシステム、装置および方法が提供される。例示的システムは、狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)光信号を受信するように構成された受信機を含む。受信機は、約1ビット周期より小さい経路長差を有する遅延線干渉計DLIと、電気信号を形成するためにDLIの出力を検出するための検出器とを含む。NB−DPSK光信号の帯域幅は、NB−DPSK光信号がそこから受信される送信機の第1のビットレートの約半分より小さい。電気信号は、送信されたデータをデコードするために処理される。対応する送信機は、第1のビットレートを有する第1の入力信号を増幅し、増幅後にDPSK変調器を駆動して、第1のビットレートの約半分より小さい帯域幅を有するNB−DPSK光信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送システムに関し、具体的には、再構成可能光アドドロップマルチプレクサ(ROADM)を含む光伝送システムにおいて使用するためのシステム、装置および技法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークは、高いスペクトル効率を有することを必要とされるだけでなく、多くの再構成可能光アドドロップマルチプレクサ(ROADM)に対応することができることも必要とされる。ROADMは、チャネルが発信場所から宛先場所までネットワーク全体にわたって送信されることが可能であるように、チャネルが光ネットワーク内のROADMの場所において分岐/挿入することを可能にする。例えば、40Gb/sの信号は、所望の宛先に到達するために、50GHzのチャネル間隔の波長分割多重化(WDM)システムにおいて、複数のROADMをトラバースすることができることを必要とされ得る。そのような光ネットワークでは、ROADMの連結は、厳しいフィルタリング効果を生じさせることになる。例えば、各ROADMは、フィルタとしてモデル化されることが可能であり、光ネットワークにおけるROADMの連結は、結果としての連結されたフィルタの有効帯域幅を低減する。
【0003】
これらの厳しいフィルタリング効果に対処するために、いくつかの既存の解決策がある。しかし、これらの既存の解決策は、最適というほどではない。1つの解決策は、光デュオバイナリを使用することであるが、光デュオバイナリは感度が低く、非線形伝送性能がよくない。例えば、光デュオバイナリでは、受信機感度は、よくて非ゼロ復帰(NZR)オンオフ変調(OOK)信号の感度に等しい。第2の解決策は、部分差動位相偏移変調(DPSK)を使用することであるが、部分DPSKは費用対効果がよくない。第3の解決策は、高レベル変調を用いたコヒーレント検出を使用することであるが、この解決策は費用対効果がよくなく、非線形伝送性能もよくない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
効率もよく費用対効果もよい新規の変調フォーマットを有する、ROADM連結による厳しいフィルタリングに対処する、システム、方法および装置の実施形態が提供される。これらの実施形態は、光伝送システムにおけるROADMの連結による厳しいフィルタリング効果に耐えることができるスペクトル効率のよい変調フォーマットに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的光通信システムは、基本的に位相情報がそこに隠されている振幅変調信号である狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)光信号を受信するように構成された受信機を含む。例示的受信機は、遅延線干渉計(DLI)を含み、DLIの2つの経路間の長さの差は、約1ビット周期より小さい。受信機はまた、対応する電気信号を形成するためにDLIの出力を検出するように構成された検出器を含んでよい。
【0006】
一実施形態では、NB−DPSK光信号は、NB−DPSK光信号がそこから受信される送信機の第1のビットレートの約半分より小さい帯域幅を有する。他の実施形態では、NB−DPSK光信号は、第1のビットレートの約4分の1より小さい帯域幅を有する。
【0007】
一実施形態では、例示的受信機は、対応する電気信号から送信されたデータをデコードするように構成されたプロセッサを含む。DLIは、部分差動位相偏移変調(PDPSK)DLIでよく、その2つの経路間の長さの差は1ビット周期より小さい。検出器は、1つの受信機内の平衡検出器である。本発明による他の受信機では、検出器は、シングルエンド検出器である。
【0008】
光通信システムはまた、第1のビットレートRを有する第1の入力信号を受信する送信機を含んでよく、第1の入力信号を増幅するように構成された増幅器と狭帯域DPSK光信号を出力するために増幅の後に第1の入力信号によって駆動されるように構成されたDPSK変調器とを有する。送信機はまた、増幅の前に、後に、または前と後の両方に第1の入力信号をフィルタリングするように配置された電気フィルタを含んでよい。一実施形態では、NB−DPSK光信号出力は、第1のビットレートの約半分(R/2)より小さい帯域幅を有する。他の実施形態では、増幅器、任意選択の電気フィルタおよび光変調器の結合された帯域幅は、第1のビットレートの約半分(R/2)より小さい。一実施形態では、結合された増幅器、任意選択の電気フィルタおよび光変調器の結合された帯域幅は、第1のビットレートの約4分の1(R/4)より小さい。他の実施形態では、出力されるDPSK光信号の帯域幅は、第1のビットレートの約4分の1(R/4)より小さい。送信機はまた、持続波(CW)光源を含んでよい。DPSK変調器は、CW光を受信するようにさらに構成されてよい。
【0009】
光通信の例示的方法は、遅延線干渉計(DLI)において狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)光信号を受信するステップと、電気信号を形成するために検出器を用いてDLIの出力を検出するステップとを含む。DLIの2つの経路間の長さの差は、約1ビット周期より小さい。一実施形態では、NB−DPSK光信号の帯域幅は、NB−DPSK光信号がそこから受信される送信機の第1のビットレートの約半分より小さい。一実施形態では、NB−DPSK信号は、第1のビットレートの約半分より小さい電気帯域幅を有する送信機によって生成される。
【0010】
本方法は、送信されたデータをデコードするために電気信号を処理するステップをさらに含んでよい。処理するステップは、電気信号をサンプリングするステップと、サンプリングされた電気信号に基づいて受信された記号を識別するステップと、受信された光信号の非線形性に対処するために、サンプリングされた電気信号に対して補償を実行するステップとのうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0011】
一実施形態では、本方法はまた、Rのビットレートを有する第1の信号を取得するステップと、増幅器によって第1の信号を増幅するステップと、NB−DPSK光信号を出力するために、増幅するステップの後に第1の信号を用いで変調器を駆動するステップとを含んでよい。そのような実施形態では、NB−DPSK光信号は、約R/2より小さい帯域幅を有する。NB−DPSK光信号は、約R/4より小さい帯域幅を有してよい。一実施形態では、増幅器および光変調器の結合された帯域幅は、約R/2より小さい。他の実施形態では、送信機内の増幅器、任意選択の電気フィルタおよび光変調器の結合された帯域幅は、約R/4より小さくてよい。
【0012】
変調器は、マッハツェンダ差動位相偏移変調(DPSK)変調器でよい。他の実施形態では、変調器はヌルでバイアスされる。増幅された信号はまた、ピークツーピーク電圧Vpp=2Vπを有してよく、ここで、Vπは、変調器のアーム間にπ位相シフトを生成する電圧である。
【0013】
一実施形態では、本方法は、複数の光信号を取得するために波長分割多重(WDM)光信号をデマルチプレクスするステップを含み、光信号のうちの少なくとも1つは、狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)光信号である。他の実施形態では、本方法は、波長分割多重(WDM)光信号を生成するために複数の送信機からの複数の出力信号を多重化するステップを含む。
【0014】
一実施形態では、光通信システムは、狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)光信号を検出するように構成された差動位相偏移変調(DPSK)受信機を備え、DPSK受信機は、約1ビット周期より小さいその2つの経路間の経路長差を有するDPSK復調器を含み、DPSK復調器は、NB−DPSK光信号を復調するように構成される。光通信システムはまた、第1のビットレートを有する第1の入力信号を受信するための送信機であって、第1の入力信号を増幅するように構成された増幅器を有する送信機と、狭帯域DPSK光信号を出力するために増幅後に第1の入力信号によって駆動されるように構成されたDPSK変調器とを含んでよく、増幅器、任意選択の電気フィルタおよび光変調器の結合された電気帯域幅は、第1のビットレートの約半分より小さい帯域幅を有する。
【0015】
本発明による諸実施形態は、効率もよく費用対効果もよい。例えば、送信機の一実施形態は、ビットレートの約半分の速度を有する構成要素を利用するので、費用対効果がよい。さらに、この送信機実施形態は、電気領域におけるNB−DPSK信号の帯域幅を低減することができ、したがって、光フィルタリングを回避することができる。送信される信号の帯域幅が狭いため、ROADMの連結からの厳しいフィルタリングによって生じる負担が小さく、したがって、例えば、40Gb/sの狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)は、50GHzのチャネルススペーシングを有するWDMシステムにおいて多くのROADMをトラバースする(すなわち、通過する)ことができる。さらに、変調フォーマットの狭い帯域幅が提供されるため、送信機内のクロストークを低減するまたはポートを追加するために使用されるマルチプレクサまたはインタリーバは回避されることが可能であり、これは、本発明によるシステム実施形態の総コストを低減するのに役立つ。さらに、NB−DPSKの感度は、光デュオバイナリに比較して大いに改善され、DPSKおよび部分DPSKと同様である。同時に、偏波モード分散(PMD)補償器を有するNB−DPSKシステムは、PMD補償器を有するDPSKシステムよりPMDに耐えることができる。
【0016】
例示的実施形態は、本明細書で提供される詳細な説明、および同様の要素は同様の参照数字によって表され、例示としてのみ提供され、したがって本発明を限定しない添付の図面から、より十分に理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】少なくとも1つのチャネルのための狭帯域幅差動位相偏移変調(DPSK)(NB−DPSK)を利用する例示的光伝送システムのブロック図である。
【図2】NB−DPSK送信機の一例示的実施形態のブロック図である。
【図3】NB−DPSK受信機の一例示的実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、様々な例示的実施形態が、図の説明全体にわたって同様の数字は同様の要素を指す添付の図を参照しながら、より十分に説明される。
【0019】
本明細書で開示される特定の構造的および機能的詳細は、単に例示的実施形態を説明する目的のために示されるだけである。しかし、例示的実施形態は、多くの代替形態で実施されてよく、本明細書で説明される実施形態にのみ限定されると解釈されるべきではない。
【0020】
第1の、第2のなどの用語は、本明細書では様々な要素を示すために使用されてよく、そのような用語は1つの要素を別の要素から区別するために使用されるだけなので、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されるであろう。例えば、例示的実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の要素が第2要素と呼ばれてもよく、同様に、第2の要素が第1の要素と呼ばれてもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合は、用語「および(and)」は関連リストのアイテムのうちの1つまたは複数のものの任意の組合せおよびすべての組合せを含み、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明記しない限り、複数の形態をも含むものとする。用語「備える(comprises)」、「備えること(comprising)」、「含む(includes)」および「含むこと(including)」は、本明細書で使用される場合は、記述された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および構成要素の存在を明記するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、およびそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0022】
1つの要素が別の要素に「接続される」または「結合される」と言われる場合は、この要素は他方の要素に直接接続または結合されてよく、介入要素が存在してよいことが理解されるであろう。それとは対照的に、1つの要素が別の要素に「直接接続される」または「直接結合される」と言われる場合は、介入要素は存在しない。要素間の関係を示すために使用される他の用語は、同様のやり方で解釈されるべきである(例えば、「…の間に」対「直接…の間に」、「隣接する」対「直接隣接する」など)。
【0023】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、例示的実施形態が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に使用される辞書において定義されているものなどの用語は、関係技術分野の文脈でのそれらの意味と矛盾しない意味を有すると解釈されるべきであり、別途明確に定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことがさらに理解されるであろう。
【0024】
いくつかの代替実施形態では、図に示されている機能/動作は、図に示されている順序から外れて行われてよいことにも留意されたい。例えば、連続して示されている2つの図/動作は、関係する機能/動作に応じて、実際には事実上同時に実行されてもよく、時には逆の順序で実行されてもよい。
【0025】
図1は、例示的光伝送システム100のブロック図である。例示的光伝送システムは、下記で説明されるように、少なくとも1つのチャネルのために、狭帯域幅差動位相偏移変調(DPSK)(NB−DPSK)を利用する。図1では、複数の送信機10が、少なくとも1つの変調チャネルを含む波長分割多重(WDM)信号を生成するためにマルチプレクサ20に結合される。変調チャネルのうちの少なくとも1つは、NB−DPSKである。送信機1からNまで(10)はそれぞれ、マルチプレクサ20に変調チャネルを提供することができる。
【0026】
各送信機がNB−DPSKチャネルを提供する必要はない。すなわち、送信機のうちの少なくとも1つが、NB−DPSKチャネルを提供する。例えば、提供され得る変調チャネルの他のものは、偏波分割多重(PDM)、位相変調、直交振幅変調(QAM)、およびそれらの何らかの組合せでよい。例えば、変調チャネルのうちの1つは、PDM−QAMチャネルでよい。さらに、WDMチャネルがOOKチャネルおよび位相変調チャネルの組合せであるように、いくつかの送信機は、オンオフ変調(OOK)チャネルを生成することができ、いくつかの送信機は、位相変調チャネルを生成することができる。例えば、光通信システムは、40Gb/sPDM−QPSK信号が10Gb/sOOKチャネルと共に伝搬するハイブリッド伝送システムでよい。
【0027】
マルチプレクサ20からのWDM信号は、エルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)でよい増幅器30によって増幅される。増幅器から、WDM信号が伝送ファイバスパン40に送られる。各ファイバスパン40は、ある長さの伝送ファイバ42と、その後に続く、WDM信号を補償し、それによって自己位相変調(SPM)およびチャネル間相互位相変調(XPM)などの劣化を抑制するための分散補償のための直列の分散補償モジュール(DCM)44を含んでよい。そのような補償はまた、増幅器46による増幅を含んでよい。
【0028】
1つまたは複数のファイバスパンをトラバースした後に、WDM信号は、再構成可能光アドドロップマルチプレクサ(ROADM)50に提供されてよい。ROADMにおいて、1つまたは複数のチャネルが除去されてもよく52、1つまたは複数のチャネルが追加されてもよく54、またはチャネル除去および追加の何らかの組合せが行われてもよい。ROADMから、WDM信号は、伝送ファイバスパン40を再度トラバースして光伝送システムをトラバースした後にデマルチプレクサ60に到達する。デマルチプレクサ60は、WDM信号を複数の個々のチャネルに分離する。各個々のチャネルは、信号ストリームのデータ情報のデコーディングのために受信機70に提供される。受信機、1からNまでの受信機70のそれぞれは、個々のチャネルをデコードするためのコヒーレント検出受信機でも、または直接検出受信機でもよい。図1には、WDM信号がROADMに到達する前および後に単一のROADMおよび単一のファイバスパンだけが例示されているが、光ネットワーク100は、複数のROADM50および各ROADMの間に複数の伝送ファイバスパン40を含んでよい。
【0029】
送信機10のうちの1つ(例えば、Tx1)は、NB−DPSKチャネルを生成する。NB−DPSKチャネルのための対応する受信機70(例えば、Rx1)は、NB−DPSKチャネル上で送信されたデータをデコードする。NB−DPSK送信機は、ドライバ(1つまたは複数)、およびビットレートの約半分の帯域幅を有する変調器を使用してNB−DPSK信号を生成する。一実施形態では、ドライバ(1つまたは複数)および変調器の結合された帯域幅は、送信機に提供された電気バイナリ信号のビットレートの約4分の1である。他の実施形態では、NB−DPSK信号の帯域幅は、送信機に提供された電気バイナリ信号のビットレートの約4分の1である。対応する受信機では、DPSK受信機が信号を検出するために使用され、約1ビット周期より小さい2つの経路間の長さの差を有する遅延線干渉計(DLI)がNB−DPSK信号を復調するために使用される。DPSK受信機は、部分DPSK受信機でよい。
【0030】
図2は、NB−DPSK送信機の一例示的実施形態のブロック図である。例示的送信機200は、ビットレートRを有する第1の電気バイナリ信号220を入力として受信する増幅器210を含む。第1の電気バイナリ信号の帯域幅を狭くするために電気フィルタ215が含まれてよい。図示されている例示的実施形態では、第1のバイナリ信号は増幅の後にフィルタリングされるが、他の実施形態では、電気フィルタは、増幅の前に第1のバイナリ信号をプリフィルタリングするために増幅器の前に挿入されてよい。増幅後に、かつ任意選択でプリフィルタリングおよび/またはポストフィルタリングの後に、第1のバイナリ信号がDPSK変調器230を駆動するために使用される。連続波(CW)光発生器240は、CW光をDPSK変調器に提供する。変調器は、増幅器の増幅された出力およびCW光を利用してNB−DPSK光信号250を生成する。一実施形態では、ドライバ(1つまたは複数)および変調器の結合された帯域幅は、受信された信号220のビットレートの約半分より小さい。すなわち、NB−DPSK光信号250は、受信された信号220のビットレートの約半分より小さい帯域幅を有する。他の実施形態では、ドライバ(1つまたは複数)および変調器の結合された帯域幅は、受信された信号220のビットレートの約4分の1より小さい。
【0031】
したがって、一実施形態では、送信機200の増幅器210は、それぞれ入力電気バイナリ信号のビットレートの約半分または4分の1より小さい帯域幅を有する増幅された電気信号を提供するために、対応する帯域幅を有する。信号帯域幅を狭くすることはまた、電気フィルタ215によって提供されてよい。例えば、この送信機において、Rのビットレートを有する第1の信号220は、約R/2より小さい帯域幅を有する電気増幅器210によって増幅されることが可能である。第1の信号は、電気バイナリ信号である。第1の信号はまた、増幅器およびフィルタの結合された帯域幅がR/2であるようにフィルタリングされてよい。増幅された電気信号は、R/2より大きい帯域幅を有する差動位相偏移変調(DPSK)変調器230を駆動するために使用される。
【0032】
他の例示的送信機では、Rのビットレートを有する第1の信号220は、帯域幅を狭くすることなく電気増幅器210によって増幅されることが可能であり、DPSK変調器230は、約R/4より小さい帯域幅を有するNB−DPSK光信号を生成するために、約R/4より小さい帯域幅を有してよい。他の実施形態では、増幅器、任意選択のフィルタおよび変調器の結合された帯域幅は、約R/2またはR/4より小さい。
【0033】
一実施形態では、変調器は、ヌルでバイアスされ、ピークツーピーク電圧Vpp=2Vπを有する電気信号によって駆動されるマッハツェンダ変調器でよい。Vπは、変調器のアーム間にπ位相シフトを生成する電圧である。変調器の入力は、送信のための連続波(CW)光および電気バイナリ信号であり、変調器の出力は、光NB−DPSK信号である。送信機はまた、エンコーダを含んでよい。
【0034】
図1に例示されているように、NB−DPSK送信機からの光NB−DPSK信号は、波長分割多重(WDM)光信号を生成するために1つまたは複数の他の送信機からの1つまたは複数の出力信号と多重化されることが可能である。次いで、WDM光信号は、送信ファイバスパンおよびROADMを含む光伝送システムをトラバースしてデマルチプレクサにおいてデマルチプレクスされる。デマルチプレクスされた送信された光NB−DPSK信号は、NB−DPSK信号を受信するためのDPSK受信機に提供される。
【0035】
図3は、NB−DPSK受信機300の一例示的実施形態のブロック図である。例示的NB−DPSK受信機は、NB−DPSK信号を受信し、デコードする。NB−DPSK受信機は、NB−DPSK光信号320を入力として受信する差動位相偏移変調(DPSK)遅延線干渉計(DLI)310を含む。DLI復調器の2つの経路間の長さの差は、約1ビット周期より小さい。信号は1ビット周期DLIによって検出されることが可能であるが、このDLIの感度はそのアーム間の1ビット周期より小さいDLIに比べて低い。送信機から受信されたNB−DPSK光信号は、振幅変調されているだけでなく、位相情報をも含み、したがって、送信された情報の検出の感度が改善されることが可能になる。
【0036】
NB−DPSK受信機はまた、対応する電気信号335を形成するために、DLI復調器の出力を検出するように構成された検出器330を含む。検出器は、1対の光検出器332、および比較器334を含んでよい。平衡検出器が示されているが、検出器は平衡検出器でもよく、またはシングルエンド検出器でもよい。次いで、対応する電気信号335がデジタル信号プロセッサ340に提供され、デジタル信号プロセッサ340は対応する電気信号から送信されたデータをデコードする。
【0037】
送信機によって利用される方法は、その2つの経路間の長さの差が約1ビット周期より小さい遅延線干渉計(DLI)において光信号を受信するステップと、対応する電気信号を形成するために検出器を用いてDLIからの出力を検出するステップとを含む。次いで、対応する電気信号は、光信号の送信されたデータをデコードするために処理される。対応する電気信号を処理するステップは、電気信号をサンプリングするステップと、受信された光信号の非線形性に対処するために、サンプリングされた電気信号に対して補償を実行するステップと、サンプリングされた電気信号に基づいて受信された記号を識別するステップとのうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0038】
前述の様々な機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ならびに/またはプロセッサおよび/もしくはプロセッサ手段などのハードウェアを介して容易に実行されることが可能であり、プロセッサおよび/もしくはプロセッサ手段は、例えばソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアプログラミングに組み込まれた適切な命令の下で動作する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、光プロセッサなどを含んでよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)光信号を受信するように構成された受信機を備える光通信システムであって、受信器が
その2つの経路間の長さの差が約1ビット周期より小さい遅延線干渉計(DLI)と、
対応する電気信号を形成するためにDLIの出力を検出するように構成された検出器と
を備える、光通信システム。
【請求項2】
NB−DPSK光信号が、NB−DPSK光信号がそこから受信される送信機の第1のビットレートの約半分より小さい帯域幅を有する、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
受信機が対応する電気信号から送信されたデータをデコードするように構成されたプロセッサをさらに備える、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項4】
第1のビットレートを有する第1の入力信号を受信する送信機であって、
第1の入力信号を増幅するように構成された増幅器と、
第1のビットレートの約半分より小さい帯域幅を有する狭帯域DPSK光信号を出力するために増幅後に第1の入力信号によって駆動されるように構成されたDPSK変調器とを含む送信機
をさらに備える、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項5】
光通信の方法であって、
その2つの経路間の長さの差が約1ビット周期より小さい遅延線干渉計(DLI)において狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)光信号を受信するステップと、
電気信号を形成するために検出器を用いてDLIの出力を検出するステップと
を備える方法。
【請求項6】
送信されたデータをデコードするために電気信号を処理するステップ
をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
NB−DPSK光信号の帯域幅が、NB−DPSK光信号がそこから受信される送信機の第1のビットレートの約半分より小さい、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
Rのビットレートを有する第1の信号を取得するステップと、
増幅器によって第1の信号を増幅するステップと、
約R/2より小さい帯域幅を有するNB−DPSK光信号を出力するために前記増幅するステップの後に第1の信号を用いて変調器を駆動するステップと
をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
変調器がヌルでバイアスされたマッハツェンダ差動位相偏移変調(DPSK)変調器であり、増幅された信号がピークツーピーク電圧Vpp=2Vπを有し、Vπが変調器のアーム間にπ位相シフトを生成する電圧である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の光信号を取得するために波長分割多重(WDM)光信号をデマルチプレクスするステップをさらに備え、光信号のうちの少なくとも1つが狭帯域差動位相偏移変調(NB−DPSK)光信号である、請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−503563(P2013−503563A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526863(P2012−526863)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/046271
【国際公開番号】WO2011/025723
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】