玩具組立用ブロック
【課題】結合面の磁石の極性を考えることなく組立てることができ、互いに摺動、離脱しないように結合させることができ、取り扱いし易い玩具組立用ブロックを提供する。
【解決手段】ボディと、ボディに設けられたケースと、ケースの内部において移動及び回転可能に設けられ、滑り防止部を有するホルダーと、ホルダーに設けられ前面と後面とが異なる極性を持った磁石と、を有して構成されている。ホルダーは、ホルダーボディと、ホルダーボディの外周面に突出した第1軸及び第2軸とから構成されて、ホルダーボディは、中心部に磁石が設置される穴が形成され、第1軸と第2軸は、共にその終端がそれぞれラウンド処理されているのがよい。ケースは、ケースボディとケースボディの前面を覆うケース板とからなる第1ケースと、第1ケースに結合される第2ケースとから構成される。
【解決手段】ボディと、ボディに設けられたケースと、ケースの内部において移動及び回転可能に設けられ、滑り防止部を有するホルダーと、ホルダーに設けられ前面と後面とが異なる極性を持った磁石と、を有して構成されている。ホルダーは、ホルダーボディと、ホルダーボディの外周面に突出した第1軸及び第2軸とから構成されて、ホルダーボディは、中心部に磁石が設置される穴が形成され、第1軸と第2軸は、共にその終端がそれぞれラウンド処理されているのがよい。ケースは、ケースボディとケースボディの前面を覆うケース板とからなる第1ケースと、第1ケースに結合される第2ケースとから構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具組立用ブロックに関し、より詳細には使用者が所望する多様な玩具(自動車、飛行機、汽車、村、城、船など)を簡単に組み立てることのできる玩具組立用ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブロックにある突起を他方のブロックにある溝に嵌め込んで組み立てていく玩具組立用ブロックが知られており、例えば、レゴ(LEGO)社からの提案〔例えば、特許文献1参照〕および市販製品がある。
【0003】
この変形として、ブロックに磁石を設け、ブロックとブロックを磁石により結合して組み立てていく玩具組立用ブロックが、本発明の出願人による登録特許で開示されている〔特許文献2参照〕)。この玩具組立用ブロックでは、磁石を回転可能にしておき、ブロックを組立てるとき、一方のブロックの磁石ともう一方のブロックの磁石が互いに同じ極性であると、磁石の斥力により一方が回転して、これにより二つのブロックにある磁石が互いに異なる極性となり、ブロック同士が結合できるようになる。
【0004】
しかし、この玩具組立用ブロックは、磁石が装着された磁石装着部の軸が、ボディの内部に掘られた溝に挿入された状態で回転するので、軸と溝との間にある狭い隙間に異物が挟まると、磁石が円滑に回転できなくなるという問題がある。また、この玩具組立用ブロックでは、ブロック結合面に突起と溝が形成され、一方の突起を他方の溝に挿入するようにされている。これにより、ブロック同士が摺動しないように結合される。しかしながら、突起と溝とが玩具組立用ブロック結合面にあることから、突起と溝、特に突起部分が破損しやすい。また、突起によって使用者が怪我をすることが危惧される。
【0005】
このようなブロックまたはピースを組み立てる玩具については、例えば、平板状のブロック部材とジョイント部材を連結して立体形状を組み立てる組立ブロック玩具〔特許文献3〕、円筒形の凸部とこれを嵌め込むことできる凹部を有したブロックを組立てるブロック玩具〔特許文献4〕、2つのブロックを角度を変えて連結でき、多様な形状の玩具や実用的物体を組み立てることができるブロック玩具〔特許文献5〕、自在に折り曲げて変形出来る棒と、ブロックを組み合わせて組み立てできる組み立て構成玩具〔特許文献6〕など多くの提案がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−500052号公報
【特許文献2】韓国特許10−0695293号明細書
【特許文献3】特開2009−39181号公報
【特許文献4】特開2005−342166号公報
【特許文献5】特開2003−126566号公報
【特許文献6】実開平06−3400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、結合面の磁石の極性を考えることなく組立てることができ、互いに摺動、離脱しないように結合させることができ、取り扱いし易い玩具組立用ブロック〔以降、断りない限り単に「ブロック」と記す。〕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブロックは、ボディと、ボディに設けられたケースと、ケースの内部において移動及び回転可能に設けられ、滑り防止部を有するホルダーと、ホルダーに設けられ、前面と後面とが異なる極性を持った磁石と、を有して構成されている。このボディは、木材で作製されるのが好ましい。
【0009】
ホルダーは、ホルダーボディと、ホルダーボディの外周面に突出した第1軸及び第2軸とから構成されて、ホルダーボディは、中心部に磁石が設置される穴が形成され、第1軸と第2軸は、共にその終端がそれぞれラウンド処理されているのがよい。
【0010】
ケースは、ケースボディとケースボディの前面を覆うケース板とからなる第1ケースと、第1ケースに結合される第2ケースと、から構成される。
【0011】
ケース板の前面には、2つの基準点が示され、2つの基準点を結ぶ水平線とホルダーが回転する中心線とが直角になるとともに、水平線がケース板の中心点を通るようにする。
【0012】
ケース板は、中心部に穴が形成され、ケースボディは、その終端に第1開口と第2開口、および第1係止突起と第2係止突起が形成され、第2ケースは、前面に第1係止突起に係合される第1係止溝と第2係止突起に係合される第2係止溝とが掘られて形成され、外周面に第1開口に嵌められる第1装着突起と第2開口に嵌められる第2装着突起とが形成されている。
【0013】
第1ケースは、ケース板の後面とケースボディの内周面とに跨って、第1長溝の前方部分を形成する2つの第1前方突起と、第1前方突起と向い合う側に第2長溝の前方部分を形成する2つの第2前方突起とが形成され、さらにケース板の後面に、2つの第1前方突起の間に位置して第1軸が挿入される第1軸溝と、第1軸溝と向い合う側に2つの第2前方突起の間に位置して第2軸が挿入される第2軸溝が掘られて形成され、第2ケースは、その後面に、第1長溝の後方部分を形成する第1後方突起と、第1後方突起と向い合う側に第2長溝の後方部分を形成する第2後方突起が形成される。
【0014】
滑り防止部は、ホルダーボディの前面に形成された第1歯と、ホルダーボディの後面に形成された第2歯とからなり、第1歯と第2歯はピッチと深さが同じであり、かつ位相差が180゜であるのがよい。
【0015】
磁石は、前面が第1歯の中間深さに位置し、後面が第2歯の中間深さに位置するようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のブロックによれば、磁石が設けられたホルダーがケースの内部において回転することで、結合面側の磁石の極性を考えずにいずれのブロックを用いても結合させ、組立てることができる。また、ホルダーの軸が長溝内において回転することで、軸と長溝との間が広くして軸と長溝との間に異物が挟まり難くすることができ、磁石の回転が損なわれることがない。
【0017】
また、ブロック間が必要以上に摺動しないようにする滑り防止部が、ボディでなく、ホルダーに設けており、ブロックを扱い易くすることができるとともに、ボディの材質に関係しなくなりブロックの製作が容易になる。また、滑り防止部の破損が防止でき、使用者が怪我をすることも防止できる利点もある
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るブロックにより組み立てられた玩具自転車を示す図である。
【図2】本発明のブロックの例を示す図である。
【図3】図2の(d)に示したブロックの分解斜視図である。
【図4】図3に示した第1ケースの背面図である。
【図5】図4のIV−IV線で切断しての斜視図である。
【図6】図3に示した第2ケースの平面図である。
【図7】図3に示した第2ケースの斜視図である。
【図8】図3に示したホルダーの斜視図である。
【図9】図3に示したホルダーがケースの内部において移動及び回転する状態を示す図である。
【図10】図3に示したホルダーと磁石とが結合された図である。
【図11】第1ブロックの結合面と第2ブロックの結合面とが当接した部分を拡大して示す図である。
【図12】第1ブロックと第2ブロックとを結合すれば繋がる絵が、第1ブロックと第2ブロックとに各々描かれた図である。
【図13】第1ブロックと第2ブロックとを結合する順序を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係るブロックを実施形態を例に挙げて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るブロックにより組み立てられた玩具自転車を示す図である。図2は、ブロックの例を示す図である。図2の(a)、(b)、(c)、(d)に示したブロック6、7、8、10のいずれにも結合面21に磁石50を有しており、ブロックの磁石50を、他のブロックの磁石50を結合させて、図1に示すような玩具自転車5に組み立てていくことができる。もちろん、玩具自転車5はあくまで一例であって、使用者の好みで種々の形体に組み立てることもできる。
【0021】
図2には、ブロックの形状を例示したが、ここに示した以外に任意な形状にすることができる。ここに示した(a)、(b)、(c)、(d)のブロックは、ボディ形状のみが異なっているので、説明の都合上(d)のブロックについて具体的に説明していく。図3は、図2の(d)に示したブロックの分解斜視図である。ブロック10は、ボディ20、ケース30、ホルダー40、及び磁石50を主要構成要素としている。
【0022】
ボディ20は、断面形状が円形、四角形、三角形など任意に作ることができるが、この例では断面形状が円形で全体が円筒形状となっている。ボディ20は、木材、金属、プラスチック、ガラスなどの材料で作ることができるが、特に木材、プラスチックであるのが作製上便利である。また、ボディ20を綿とこれを取り囲んだ布で作り、人形など縫いぐるみ形状に作ることもできる。
【0023】
ボディ20の結合面21には、穴21aが形成され、ここにケース30が嵌められる。ケース30は、嵌め合わせるのみでなく、接着剤により穴21aに接着させることもできる。ケース30の長さL1と穴21aの深さL2とは同じにする。従って、ケース30が穴21aに嵌められることでケース30が外に突出しないので。別のブロックと結合させたとき結合面21が互いに接触して結合に都合よくできる。
【0024】
図3に示す形態と異なって、ボディ20の両端の穴21aを貫通させ、同時に磁石50にも貫通する穴を設けることができ、これにより、ブロックの内部に液体、砂、ビーズなどを通過させることができ、使用者が、組立品にこれら液体、砂、ビーズなどを充填したり、通して遊びをすることができる。また、ボディ20を透明な材料にして、液体、砂、ビーズなどの存在を見ることができるようにすることもできる。
【0025】
図4は、図3に示した第1ケースの背面図、図5は、図4のIV−IV線での切断斜視図、図6は、図3に示した第2ケースの平面図、図7は、その斜視図である。
【0026】
ケース30は、第1ケース100と第2ケース200とから構成される。第1ケース100は、ケースボディ110と、ケースボディ110の前面を覆うケース板120とから構成される。ケースボディ110は、この例では円筒形状であり、その終端には、第1係止突起121と第2係止突起122が互いに向き合う側に設けられ、さらに第1係止突起121と第2係止突起122それぞれの両側にスリット110aが形成されている。
【0027】
すなわち、スリット110aとスリット110aの間に、第1係止突起121あるいは第2係止突起122が位置して、スリット110aにより、第1係止突起121と第2係止突起122とが前後方向に弾力的に動くことができる。
【0028】
ケースボディ110の終端には、また第1開口111と第2開口112が互いに向き合う側に設けられ、第1開口111は第1係止突起121から一定間隔離れ、第2開口112は第2係止突起122から一定間隔離れている。
【0029】
ケース板120は、ケースボディ110の断面形状に合せて、この例では円形である。ケース板120の中心部には、穴120aが開けられている。当然、穴120aの直径D2は、ケースボディ110の直径D1より小さい。そして、穴120aにホルダーボディ41(図8参照)および磁石50が入ることになる。
【0030】
ケース板120の前面には、穴120aの両側に基準点M1が示されている。基準点M1については、後述する。
【0031】
ケース板120の後面とケースボディ110の内周面とに跨って、第1長溝131(図9を参照)の前方部分となる第1前方突起151が2つ設けられる。同様に、ケース板120の後面とケースボディ110の内周面とに跨って、第1前方突起151と向き合う側に、第2長溝132(図9を参照)の前方部分となる第2前方突起152が2つ設けられる。
【0032】
また、ケース板120の後面には、2つの第1前方突起151の間に位置して第1軸溝141が掘られており、第1軸溝141にホルダー40の第1軸42が挿入されることになる。同様に、ケース板120の後面の第1軸溝141と向き合う側に、2つの第2前方突起152の間に位置して第2軸溝142が掘られ、第2軸溝142にホルダー40の第2軸43が挿入されることになる。
【0033】
第2ケース200は、その前面に、第1係止突起121と係合される第1係止溝221が掘られ、第1係止溝221と向き合う側に、第2係止突起122と係合される第2係止溝222が掘られている。
【0034】
第2ケース200の外周面には、第1開口111(図4、5参照)に嵌められる第1装着突起211、第1装着突起211と向き合う側に、第2開口112(図4参照)に嵌められる第2装着突起212が備えられる。
【0035】
第2ケース200の後面には、第1長溝131(図9を参照)の後方部分となる第1後方突起231が、第1後方突起231と向き合う側に、第2長溝132(図9を参照)の後方部分となる第2後方突起232が設けられる。
【0036】
これにより、第1ケース100と第2ケース200とが結合されたとき、第1前方突起151と第1後方突起231の間が第1長溝131となり、第2前方突起152と第2後方突起232の間が第2長溝132となる(図9を参照)。
【0037】
第1係止突起121と第2係止突起122は、それぞれ第1係止溝221と第2係止溝222に係合することで、第1ケース100と第2ケース200とが結合される。このとき、第1装着突起211と第2装着突起212は、それぞれ第1開口111と第2開口112に嵌められることで、第2ケース200が自転することが防止できる。
【0038】
図8は、図3に示したホルダーの斜視図、図9は、このホルダーがケースの内部において移動及び回転する状態を示す図である。
ホルダー40は、ホルダーボディ41、第1軸42、第2軸43、滑り防止部44、45とから構成されている。ホルダーボディ41は円形である。ホルダーボディ41の中心部には、穴41aが設けられて、ここに磁石50(図3を参照)が嵌め合される。もちろん、磁石50を穴41aに嵌めるだけでなく接着剤により接着することもできるし、あるいは磁石50の周囲を取り囲んで射出してホルダー40と磁石50を一体化してもよい。
【0039】
第1軸42と第2軸43は、互いに反対方向となるホルダーボディ41の円周面に備えられる。
【0040】
図9に示すように、ホルダー40は、ケース30の内部において移動及び回転可能に設けられる。点線矢印は、ホルダー40が、ケース30の内部において移動及び回転する方向を示している。
【0041】
ホルダー40がケース30の内部において移動するとき、第1軸42は、第1長溝131によりガイドされ、第2軸43は、第2長溝132によりガイドされる。そして、ホルダー40は、第1軸42と第2軸43がそれぞれ第1軸溝141と第2軸溝142とに係合するまで前方へ移動でき、第1軸42と第2軸43がそれぞれ第1後方突起231と第2後方突起232とに当接するまで後方へ移動できる。
【0042】
ホルダー40がケース30の内部で軸Zを中心として回転するとき、第1軸42の終端は第1長溝131に挿入された状態で、第2軸43の終端は第2長溝132に挿入された状態で回転する。このとき、ホルダー40が円滑に回転するように、図8に示すように第1軸42の終端と第2軸43の終端がそれぞれ曲面状にラウンド(R)処理されるのがよい。
【0043】
図10は、図3に示したホルダーと磁石とが結合された図である。図11は、第1ブロックの結合面と第2ブロックの結合面とが当接した部分を拡大して示した図である。
【0044】
ホルダーの滑り防止部は、ホルダーボディ41の前面に形成された第1歯44と、ホルダーボディ41の後面に形成された第2歯45とから構成される。
【0045】
第1歯44と第2歯45とは、ピッチ(pitch)と深さ(depth)とが同じで、第1歯44と第2歯45との位相差は、180゜である。第1歯44の中間深さ(H/2)に磁石50の前面(この例では、N極)が位置する。第2歯45の中間深さ(H/2)に磁石50の後面(この例では、S極)が位置する。もちろん、第1歯44の中間深さ(H/2)に磁石50の後面(S極)が位置し、第2歯45の中間深さ(H/2)に磁石50の前面(N極)が位置することもできる。
【0046】
これにより、図11に示すように、第1ブロック10と第2ブロック10’とが結合するとき、第1ブロック10にある第1歯44と、第2ブロック10’にある第2歯45’とが正確に噛み合うようになる。また、第1ブロック10の磁石50と第2ブロック107の磁石50’とが結合された状態で、第1ブロック10の結合面21と、第2ブロック10’の結合面21’とが面接触することで、第1ブロック10と、第2ブロック10’とが摺動しないように結合される。
【0047】
磁石50は、一般的な円形磁石である。したがって、円形磁石より値段が高い四角磁石でないので、磁石を購買する費用が低減される。また、磁石50は、前面と後面とが異なる極性を持つ。したがって、前面と後面とが異なる極性を持った磁石より高い、一面に2つの極性を持った1面多極磁石でないので、磁石を購買する費用が低減される。
【0048】
図12は、第1ブロックと第2ブロックとを結合すれば繋がる絵が、第1ブロックと第2ブロックとにそれぞれ描かれた図であり、第1ブロック10に絵P1が描かれ、第2ブロック10’には絵P2が描かれている。
【0049】
第1ブロック10にあるケース板120の前面の両側には、基準点M1が2つ示されている。これら2つの基準点M1を繋ぐ水平線H1はケース板120の中心を通り、ホルダー40(図11を参照)が回転する中心である軸Z1と直角に交差する。
【0050】
第2ブロック10’あるケース板120’の前面の両側には、基準点M2が2つ示されている。これら2つの基準点M2を繋ぐ水平線H2はケース板120’の中心を通り、ホルダー40’(図11を参照)が回転する中心である軸Z2と直角に交差する。
【0051】
基準点M1と基準点M2とを合わせて、第1ブロック10の結合面21側の磁石50と、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’とを結合させると、絵P1と絵P2とが外れないように繋がれる。この場合、第1ブロック10の結合面21側の第1歯44と、第2ブロック10’の結合面21’側の第2歯45’とが正確に噛み合い、第1ブロック10の結合面21と第2ブロック10’の結合面21’とが面で接触する。
【0052】
以下、第1ブロック10と第2ブロック10’とを結合させる手順を説明する。
図13は、第1ブロックと第2ブロックとを結合させる手順を示す図である。
第1ブロック10と第2ブロック10’とを結合させるには、先ず、(a)第1ブロック10と第2ブロック10’とを実線矢印方向に互いに近づける。ここでは、第1ブロック10の結合面21側の磁石50の極性と、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’の極性とが同じN極であると仮定する。
【0053】
すると、(b)に示すように、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’が斥力により軸Z2を中心として回転し、これにより、第2ブロック10’の結合面側の磁石50’の極性がS極に変わる。もちろん、第1ブロック10の結合面側の磁石50が、斥力により軸Z1を中心として回転してもよく、この場合、第1ブロック10の結合面21側の磁石50がS極に変わる。
【0054】
一方、第1ブロック10の結合面21側の磁石50の極性と、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’の極性とが異なると仮定すれば、第1ブロック10の結合面21側の磁石50と第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’とは、回転せずにそのまま結合する。
【0055】
図11及び図13の(c)に示すように、第1ブロック10と第2ブロック10’とが結合する時、第1ブロック10の結合面21側のホルダー40のホルダーボディ41は、第1ケース100にのケース板120の前面に形成された穴120aに挿入される。第2ブロック10’の結合面21’側のホルダー40’のホルダーボディ41’は、第1ケース100’のケース板120’の前面に形成された穴120a’に挿入される。第1ブロック10の結合面21側の磁石50と、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’が結合され、第1ブロック10の結合面21側の第1歯44と、第2ブロック10’の結合面21’側の第2歯45’とが互いに噛み合う。
【0056】
そして、第1ブロック10側の第1軸42と第2軸43は、それぞれ第1軸溝141と第2軸溝142とに挿入され、第1ブロック10にあるホルダー40は自転できない。同様に、第2ブロック10’側の第1軸42’と第2軸43’とは、それぞれ第1軸溝141’と第2軸溝142’とに挿入され、第2ブロック10’にあるホルダー41’は自転できなくなる。
【0057】
第1ブロック10と第2ブロック10’とを結合させた状態で、第1ブロック10を中心軸(Z3)を中心として実線矢印方向に回転させると、第1ブロック10の結合面21側の第1歯44が、第2ブロック10’の結合面21’側の第2歯45’を跨ることとなり、“カチカチ”という音がする。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の玩具組立用ブロックは、取扱いし易く、さらに互いに摺動なく、離脱しないように結合させて組立てることができ、子供に安全に遊ばせることができる玩具となる。
【符号の説明】
【0059】
5;玩具自転車
6,7,8,10;玩具組立用ブロック
20; ボディ
21;(ボディの)結合面
21a;(ボディの結合面にある)穴
30;ケース
40;ホルダー
41;ホルダーボディ
41a;(ホルダーボディにある)穴
42;(ホルダーの)第1軸
43;(ホルダーの)第2軸
44;(滑り防止部)第1歯
45;(滑り防止部)第2歯
50;磁石
100;第1ケース
200;第2ケース
110;ケースボディ
110a;スリット
111;第1開口
112;第2開口
120;ケース板
120a;(ケースに形成された)穴
121;第1係止突起
122;第2係止突起
131;第1長溝
132;第2長溝
141;第1軸溝
142;第2軸溝
151;第1前方突起
152;第2前方突起
231;第1後方突起
232;第2後方突起
L1;(ケースの)長さ
L2;(穴の)深さ
M1、M2;基準点
H;(第1歯および第2歯の)深さ
H1、H2;(2つの基準点を繋ぐ)水平線
P;(第1歯および第2歯の)ピッチ
P1;(第1ブロックに描かれた)絵
P2;(第2ブロックに描かれた)絵
R;ラウンド処理
Z1、Z2;(ホルダーの)回転軸
Z3;(ブロックの)回転軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具組立用ブロックに関し、より詳細には使用者が所望する多様な玩具(自動車、飛行機、汽車、村、城、船など)を簡単に組み立てることのできる玩具組立用ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブロックにある突起を他方のブロックにある溝に嵌め込んで組み立てていく玩具組立用ブロックが知られており、例えば、レゴ(LEGO)社からの提案〔例えば、特許文献1参照〕および市販製品がある。
【0003】
この変形として、ブロックに磁石を設け、ブロックとブロックを磁石により結合して組み立てていく玩具組立用ブロックが、本発明の出願人による登録特許で開示されている〔特許文献2参照〕)。この玩具組立用ブロックでは、磁石を回転可能にしておき、ブロックを組立てるとき、一方のブロックの磁石ともう一方のブロックの磁石が互いに同じ極性であると、磁石の斥力により一方が回転して、これにより二つのブロックにある磁石が互いに異なる極性となり、ブロック同士が結合できるようになる。
【0004】
しかし、この玩具組立用ブロックは、磁石が装着された磁石装着部の軸が、ボディの内部に掘られた溝に挿入された状態で回転するので、軸と溝との間にある狭い隙間に異物が挟まると、磁石が円滑に回転できなくなるという問題がある。また、この玩具組立用ブロックでは、ブロック結合面に突起と溝が形成され、一方の突起を他方の溝に挿入するようにされている。これにより、ブロック同士が摺動しないように結合される。しかしながら、突起と溝とが玩具組立用ブロック結合面にあることから、突起と溝、特に突起部分が破損しやすい。また、突起によって使用者が怪我をすることが危惧される。
【0005】
このようなブロックまたはピースを組み立てる玩具については、例えば、平板状のブロック部材とジョイント部材を連結して立体形状を組み立てる組立ブロック玩具〔特許文献3〕、円筒形の凸部とこれを嵌め込むことできる凹部を有したブロックを組立てるブロック玩具〔特許文献4〕、2つのブロックを角度を変えて連結でき、多様な形状の玩具や実用的物体を組み立てることができるブロック玩具〔特許文献5〕、自在に折り曲げて変形出来る棒と、ブロックを組み合わせて組み立てできる組み立て構成玩具〔特許文献6〕など多くの提案がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−500052号公報
【特許文献2】韓国特許10−0695293号明細書
【特許文献3】特開2009−39181号公報
【特許文献4】特開2005−342166号公報
【特許文献5】特開2003−126566号公報
【特許文献6】実開平06−3400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、結合面の磁石の極性を考えることなく組立てることができ、互いに摺動、離脱しないように結合させることができ、取り扱いし易い玩具組立用ブロック〔以降、断りない限り単に「ブロック」と記す。〕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブロックは、ボディと、ボディに設けられたケースと、ケースの内部において移動及び回転可能に設けられ、滑り防止部を有するホルダーと、ホルダーに設けられ、前面と後面とが異なる極性を持った磁石と、を有して構成されている。このボディは、木材で作製されるのが好ましい。
【0009】
ホルダーは、ホルダーボディと、ホルダーボディの外周面に突出した第1軸及び第2軸とから構成されて、ホルダーボディは、中心部に磁石が設置される穴が形成され、第1軸と第2軸は、共にその終端がそれぞれラウンド処理されているのがよい。
【0010】
ケースは、ケースボディとケースボディの前面を覆うケース板とからなる第1ケースと、第1ケースに結合される第2ケースと、から構成される。
【0011】
ケース板の前面には、2つの基準点が示され、2つの基準点を結ぶ水平線とホルダーが回転する中心線とが直角になるとともに、水平線がケース板の中心点を通るようにする。
【0012】
ケース板は、中心部に穴が形成され、ケースボディは、その終端に第1開口と第2開口、および第1係止突起と第2係止突起が形成され、第2ケースは、前面に第1係止突起に係合される第1係止溝と第2係止突起に係合される第2係止溝とが掘られて形成され、外周面に第1開口に嵌められる第1装着突起と第2開口に嵌められる第2装着突起とが形成されている。
【0013】
第1ケースは、ケース板の後面とケースボディの内周面とに跨って、第1長溝の前方部分を形成する2つの第1前方突起と、第1前方突起と向い合う側に第2長溝の前方部分を形成する2つの第2前方突起とが形成され、さらにケース板の後面に、2つの第1前方突起の間に位置して第1軸が挿入される第1軸溝と、第1軸溝と向い合う側に2つの第2前方突起の間に位置して第2軸が挿入される第2軸溝が掘られて形成され、第2ケースは、その後面に、第1長溝の後方部分を形成する第1後方突起と、第1後方突起と向い合う側に第2長溝の後方部分を形成する第2後方突起が形成される。
【0014】
滑り防止部は、ホルダーボディの前面に形成された第1歯と、ホルダーボディの後面に形成された第2歯とからなり、第1歯と第2歯はピッチと深さが同じであり、かつ位相差が180゜であるのがよい。
【0015】
磁石は、前面が第1歯の中間深さに位置し、後面が第2歯の中間深さに位置するようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のブロックによれば、磁石が設けられたホルダーがケースの内部において回転することで、結合面側の磁石の極性を考えずにいずれのブロックを用いても結合させ、組立てることができる。また、ホルダーの軸が長溝内において回転することで、軸と長溝との間が広くして軸と長溝との間に異物が挟まり難くすることができ、磁石の回転が損なわれることがない。
【0017】
また、ブロック間が必要以上に摺動しないようにする滑り防止部が、ボディでなく、ホルダーに設けており、ブロックを扱い易くすることができるとともに、ボディの材質に関係しなくなりブロックの製作が容易になる。また、滑り防止部の破損が防止でき、使用者が怪我をすることも防止できる利点もある
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るブロックにより組み立てられた玩具自転車を示す図である。
【図2】本発明のブロックの例を示す図である。
【図3】図2の(d)に示したブロックの分解斜視図である。
【図4】図3に示した第1ケースの背面図である。
【図5】図4のIV−IV線で切断しての斜視図である。
【図6】図3に示した第2ケースの平面図である。
【図7】図3に示した第2ケースの斜視図である。
【図8】図3に示したホルダーの斜視図である。
【図9】図3に示したホルダーがケースの内部において移動及び回転する状態を示す図である。
【図10】図3に示したホルダーと磁石とが結合された図である。
【図11】第1ブロックの結合面と第2ブロックの結合面とが当接した部分を拡大して示す図である。
【図12】第1ブロックと第2ブロックとを結合すれば繋がる絵が、第1ブロックと第2ブロックとに各々描かれた図である。
【図13】第1ブロックと第2ブロックとを結合する順序を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係るブロックを実施形態を例に挙げて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るブロックにより組み立てられた玩具自転車を示す図である。図2は、ブロックの例を示す図である。図2の(a)、(b)、(c)、(d)に示したブロック6、7、8、10のいずれにも結合面21に磁石50を有しており、ブロックの磁石50を、他のブロックの磁石50を結合させて、図1に示すような玩具自転車5に組み立てていくことができる。もちろん、玩具自転車5はあくまで一例であって、使用者の好みで種々の形体に組み立てることもできる。
【0021】
図2には、ブロックの形状を例示したが、ここに示した以外に任意な形状にすることができる。ここに示した(a)、(b)、(c)、(d)のブロックは、ボディ形状のみが異なっているので、説明の都合上(d)のブロックについて具体的に説明していく。図3は、図2の(d)に示したブロックの分解斜視図である。ブロック10は、ボディ20、ケース30、ホルダー40、及び磁石50を主要構成要素としている。
【0022】
ボディ20は、断面形状が円形、四角形、三角形など任意に作ることができるが、この例では断面形状が円形で全体が円筒形状となっている。ボディ20は、木材、金属、プラスチック、ガラスなどの材料で作ることができるが、特に木材、プラスチックであるのが作製上便利である。また、ボディ20を綿とこれを取り囲んだ布で作り、人形など縫いぐるみ形状に作ることもできる。
【0023】
ボディ20の結合面21には、穴21aが形成され、ここにケース30が嵌められる。ケース30は、嵌め合わせるのみでなく、接着剤により穴21aに接着させることもできる。ケース30の長さL1と穴21aの深さL2とは同じにする。従って、ケース30が穴21aに嵌められることでケース30が外に突出しないので。別のブロックと結合させたとき結合面21が互いに接触して結合に都合よくできる。
【0024】
図3に示す形態と異なって、ボディ20の両端の穴21aを貫通させ、同時に磁石50にも貫通する穴を設けることができ、これにより、ブロックの内部に液体、砂、ビーズなどを通過させることができ、使用者が、組立品にこれら液体、砂、ビーズなどを充填したり、通して遊びをすることができる。また、ボディ20を透明な材料にして、液体、砂、ビーズなどの存在を見ることができるようにすることもできる。
【0025】
図4は、図3に示した第1ケースの背面図、図5は、図4のIV−IV線での切断斜視図、図6は、図3に示した第2ケースの平面図、図7は、その斜視図である。
【0026】
ケース30は、第1ケース100と第2ケース200とから構成される。第1ケース100は、ケースボディ110と、ケースボディ110の前面を覆うケース板120とから構成される。ケースボディ110は、この例では円筒形状であり、その終端には、第1係止突起121と第2係止突起122が互いに向き合う側に設けられ、さらに第1係止突起121と第2係止突起122それぞれの両側にスリット110aが形成されている。
【0027】
すなわち、スリット110aとスリット110aの間に、第1係止突起121あるいは第2係止突起122が位置して、スリット110aにより、第1係止突起121と第2係止突起122とが前後方向に弾力的に動くことができる。
【0028】
ケースボディ110の終端には、また第1開口111と第2開口112が互いに向き合う側に設けられ、第1開口111は第1係止突起121から一定間隔離れ、第2開口112は第2係止突起122から一定間隔離れている。
【0029】
ケース板120は、ケースボディ110の断面形状に合せて、この例では円形である。ケース板120の中心部には、穴120aが開けられている。当然、穴120aの直径D2は、ケースボディ110の直径D1より小さい。そして、穴120aにホルダーボディ41(図8参照)および磁石50が入ることになる。
【0030】
ケース板120の前面には、穴120aの両側に基準点M1が示されている。基準点M1については、後述する。
【0031】
ケース板120の後面とケースボディ110の内周面とに跨って、第1長溝131(図9を参照)の前方部分となる第1前方突起151が2つ設けられる。同様に、ケース板120の後面とケースボディ110の内周面とに跨って、第1前方突起151と向き合う側に、第2長溝132(図9を参照)の前方部分となる第2前方突起152が2つ設けられる。
【0032】
また、ケース板120の後面には、2つの第1前方突起151の間に位置して第1軸溝141が掘られており、第1軸溝141にホルダー40の第1軸42が挿入されることになる。同様に、ケース板120の後面の第1軸溝141と向き合う側に、2つの第2前方突起152の間に位置して第2軸溝142が掘られ、第2軸溝142にホルダー40の第2軸43が挿入されることになる。
【0033】
第2ケース200は、その前面に、第1係止突起121と係合される第1係止溝221が掘られ、第1係止溝221と向き合う側に、第2係止突起122と係合される第2係止溝222が掘られている。
【0034】
第2ケース200の外周面には、第1開口111(図4、5参照)に嵌められる第1装着突起211、第1装着突起211と向き合う側に、第2開口112(図4参照)に嵌められる第2装着突起212が備えられる。
【0035】
第2ケース200の後面には、第1長溝131(図9を参照)の後方部分となる第1後方突起231が、第1後方突起231と向き合う側に、第2長溝132(図9を参照)の後方部分となる第2後方突起232が設けられる。
【0036】
これにより、第1ケース100と第2ケース200とが結合されたとき、第1前方突起151と第1後方突起231の間が第1長溝131となり、第2前方突起152と第2後方突起232の間が第2長溝132となる(図9を参照)。
【0037】
第1係止突起121と第2係止突起122は、それぞれ第1係止溝221と第2係止溝222に係合することで、第1ケース100と第2ケース200とが結合される。このとき、第1装着突起211と第2装着突起212は、それぞれ第1開口111と第2開口112に嵌められることで、第2ケース200が自転することが防止できる。
【0038】
図8は、図3に示したホルダーの斜視図、図9は、このホルダーがケースの内部において移動及び回転する状態を示す図である。
ホルダー40は、ホルダーボディ41、第1軸42、第2軸43、滑り防止部44、45とから構成されている。ホルダーボディ41は円形である。ホルダーボディ41の中心部には、穴41aが設けられて、ここに磁石50(図3を参照)が嵌め合される。もちろん、磁石50を穴41aに嵌めるだけでなく接着剤により接着することもできるし、あるいは磁石50の周囲を取り囲んで射出してホルダー40と磁石50を一体化してもよい。
【0039】
第1軸42と第2軸43は、互いに反対方向となるホルダーボディ41の円周面に備えられる。
【0040】
図9に示すように、ホルダー40は、ケース30の内部において移動及び回転可能に設けられる。点線矢印は、ホルダー40が、ケース30の内部において移動及び回転する方向を示している。
【0041】
ホルダー40がケース30の内部において移動するとき、第1軸42は、第1長溝131によりガイドされ、第2軸43は、第2長溝132によりガイドされる。そして、ホルダー40は、第1軸42と第2軸43がそれぞれ第1軸溝141と第2軸溝142とに係合するまで前方へ移動でき、第1軸42と第2軸43がそれぞれ第1後方突起231と第2後方突起232とに当接するまで後方へ移動できる。
【0042】
ホルダー40がケース30の内部で軸Zを中心として回転するとき、第1軸42の終端は第1長溝131に挿入された状態で、第2軸43の終端は第2長溝132に挿入された状態で回転する。このとき、ホルダー40が円滑に回転するように、図8に示すように第1軸42の終端と第2軸43の終端がそれぞれ曲面状にラウンド(R)処理されるのがよい。
【0043】
図10は、図3に示したホルダーと磁石とが結合された図である。図11は、第1ブロックの結合面と第2ブロックの結合面とが当接した部分を拡大して示した図である。
【0044】
ホルダーの滑り防止部は、ホルダーボディ41の前面に形成された第1歯44と、ホルダーボディ41の後面に形成された第2歯45とから構成される。
【0045】
第1歯44と第2歯45とは、ピッチ(pitch)と深さ(depth)とが同じで、第1歯44と第2歯45との位相差は、180゜である。第1歯44の中間深さ(H/2)に磁石50の前面(この例では、N極)が位置する。第2歯45の中間深さ(H/2)に磁石50の後面(この例では、S極)が位置する。もちろん、第1歯44の中間深さ(H/2)に磁石50の後面(S極)が位置し、第2歯45の中間深さ(H/2)に磁石50の前面(N極)が位置することもできる。
【0046】
これにより、図11に示すように、第1ブロック10と第2ブロック10’とが結合するとき、第1ブロック10にある第1歯44と、第2ブロック10’にある第2歯45’とが正確に噛み合うようになる。また、第1ブロック10の磁石50と第2ブロック107の磁石50’とが結合された状態で、第1ブロック10の結合面21と、第2ブロック10’の結合面21’とが面接触することで、第1ブロック10と、第2ブロック10’とが摺動しないように結合される。
【0047】
磁石50は、一般的な円形磁石である。したがって、円形磁石より値段が高い四角磁石でないので、磁石を購買する費用が低減される。また、磁石50は、前面と後面とが異なる極性を持つ。したがって、前面と後面とが異なる極性を持った磁石より高い、一面に2つの極性を持った1面多極磁石でないので、磁石を購買する費用が低減される。
【0048】
図12は、第1ブロックと第2ブロックとを結合すれば繋がる絵が、第1ブロックと第2ブロックとにそれぞれ描かれた図であり、第1ブロック10に絵P1が描かれ、第2ブロック10’には絵P2が描かれている。
【0049】
第1ブロック10にあるケース板120の前面の両側には、基準点M1が2つ示されている。これら2つの基準点M1を繋ぐ水平線H1はケース板120の中心を通り、ホルダー40(図11を参照)が回転する中心である軸Z1と直角に交差する。
【0050】
第2ブロック10’あるケース板120’の前面の両側には、基準点M2が2つ示されている。これら2つの基準点M2を繋ぐ水平線H2はケース板120’の中心を通り、ホルダー40’(図11を参照)が回転する中心である軸Z2と直角に交差する。
【0051】
基準点M1と基準点M2とを合わせて、第1ブロック10の結合面21側の磁石50と、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’とを結合させると、絵P1と絵P2とが外れないように繋がれる。この場合、第1ブロック10の結合面21側の第1歯44と、第2ブロック10’の結合面21’側の第2歯45’とが正確に噛み合い、第1ブロック10の結合面21と第2ブロック10’の結合面21’とが面で接触する。
【0052】
以下、第1ブロック10と第2ブロック10’とを結合させる手順を説明する。
図13は、第1ブロックと第2ブロックとを結合させる手順を示す図である。
第1ブロック10と第2ブロック10’とを結合させるには、先ず、(a)第1ブロック10と第2ブロック10’とを実線矢印方向に互いに近づける。ここでは、第1ブロック10の結合面21側の磁石50の極性と、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’の極性とが同じN極であると仮定する。
【0053】
すると、(b)に示すように、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’が斥力により軸Z2を中心として回転し、これにより、第2ブロック10’の結合面側の磁石50’の極性がS極に変わる。もちろん、第1ブロック10の結合面側の磁石50が、斥力により軸Z1を中心として回転してもよく、この場合、第1ブロック10の結合面21側の磁石50がS極に変わる。
【0054】
一方、第1ブロック10の結合面21側の磁石50の極性と、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’の極性とが異なると仮定すれば、第1ブロック10の結合面21側の磁石50と第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’とは、回転せずにそのまま結合する。
【0055】
図11及び図13の(c)に示すように、第1ブロック10と第2ブロック10’とが結合する時、第1ブロック10の結合面21側のホルダー40のホルダーボディ41は、第1ケース100にのケース板120の前面に形成された穴120aに挿入される。第2ブロック10’の結合面21’側のホルダー40’のホルダーボディ41’は、第1ケース100’のケース板120’の前面に形成された穴120a’に挿入される。第1ブロック10の結合面21側の磁石50と、第2ブロック10’の結合面21’側の磁石50’が結合され、第1ブロック10の結合面21側の第1歯44と、第2ブロック10’の結合面21’側の第2歯45’とが互いに噛み合う。
【0056】
そして、第1ブロック10側の第1軸42と第2軸43は、それぞれ第1軸溝141と第2軸溝142とに挿入され、第1ブロック10にあるホルダー40は自転できない。同様に、第2ブロック10’側の第1軸42’と第2軸43’とは、それぞれ第1軸溝141’と第2軸溝142’とに挿入され、第2ブロック10’にあるホルダー41’は自転できなくなる。
【0057】
第1ブロック10と第2ブロック10’とを結合させた状態で、第1ブロック10を中心軸(Z3)を中心として実線矢印方向に回転させると、第1ブロック10の結合面21側の第1歯44が、第2ブロック10’の結合面21’側の第2歯45’を跨ることとなり、“カチカチ”という音がする。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の玩具組立用ブロックは、取扱いし易く、さらに互いに摺動なく、離脱しないように結合させて組立てることができ、子供に安全に遊ばせることができる玩具となる。
【符号の説明】
【0059】
5;玩具自転車
6,7,8,10;玩具組立用ブロック
20; ボディ
21;(ボディの)結合面
21a;(ボディの結合面にある)穴
30;ケース
40;ホルダー
41;ホルダーボディ
41a;(ホルダーボディにある)穴
42;(ホルダーの)第1軸
43;(ホルダーの)第2軸
44;(滑り防止部)第1歯
45;(滑り防止部)第2歯
50;磁石
100;第1ケース
200;第2ケース
110;ケースボディ
110a;スリット
111;第1開口
112;第2開口
120;ケース板
120a;(ケースに形成された)穴
121;第1係止突起
122;第2係止突起
131;第1長溝
132;第2長溝
141;第1軸溝
142;第2軸溝
151;第1前方突起
152;第2前方突起
231;第1後方突起
232;第2後方突起
L1;(ケースの)長さ
L2;(穴の)深さ
M1、M2;基準点
H;(第1歯および第2歯の)深さ
H1、H2;(2つの基準点を繋ぐ)水平線
P;(第1歯および第2歯の)ピッチ
P1;(第1ブロックに描かれた)絵
P2;(第2ブロックに描かれた)絵
R;ラウンド処理
Z1、Z2;(ホルダーの)回転軸
Z3;(ブロックの)回転軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディに設けられたケースと、
前記ケースの内部において移動及び回転可能に設けられ、滑り防止部を有するホルダーと、
前記ホルダーに設けられ、前面と後面とが異なる極性を持った磁石と、を有して構成されていることを特徴とする玩具組立用ブロック。
【請求項2】
前記ボディは、木材で作製されていることを特徴とする請求項1に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項3】
前記ホルダーは、ホルダーボディと、前記ホルダーボディの外周面に突出した第1軸及び第2軸とから構成されて、前記ホルダーボディは、中心部に前記磁石が設置される穴が形成され、前記第1軸と前記第2軸は、共にその終端がそれぞれラウンド処理されていることを特徴とする請求項1に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項4】
前記ケースは、ケースボディと前記ケースボディの前面を覆うケース板とからなる第1ケースと、前記第1ケースに結合される第2ケースと、から構成されていることを特徴とする請求項3に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項5】
前記ケース板の前面には、2つの基準点が示され、前記2つの基準点を結ぶ水平線と前記ホルダーが回転する中心線とが直角になるとともに、前記水平線が前記ケース板の中心点を通ることを特徴とする請求項4に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項6】
前記ケース板は、中心部に穴が形成され、
前記ケースボディは、その終端に第1開口と第2開口、および第1係止突起と第2係止突起が形成され、
前記第2ケースは、前面に前記第1係止突起に係合される第1係止溝と前記第2係止突起に係合される第2係止溝とが掘られて形成され、外周面に前記第1開口に嵌められる第1装着突起と前記第2開口に嵌められる第2装着突起とが形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項7】
前記第1ケースは、前記ケース板の後面と前記ケースボディの内周面とに跨って、第1長溝の前方部分を形成する2つの第1前方突起と、前記第1前方突起と向い合う側に第2長溝の前方部分を形成する2つの第2前方突起とが形成され、さらに前記ケース板の後面に、前記2つの第1前方突起の間に位置して前記第1軸が挿入される第1軸溝と、前記第1軸溝と向い合う側に前記2つの第2前方突起の間に位置して前記第2軸が挿入される第2軸溝が掘られて形成され、
前記第2ケースは、その後面に、前記第1長溝の後方部分を形成する第1後方突起と、前記第1後方突起と向い合う側に前記第2長溝の後方部分を形成する第2後方突起が形成される、
ことを特徴とする請求項4に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項8】
前記滑り防止部は、前記ホルダーボディの前面に形成された第1歯と、前記ホルダーボディの後面に形成された第2歯とからなり、前記第1歯と前記第2歯とは、ピッチ(pitch)と深さ(depth)とが同じであり、かつ位相差が180゜であることを特徴とする請求項3に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項9】
前記磁石の前面が前記第1歯の中間深さに位置し、前記磁石の後面が前記第2歯の中間深さに位置することを特徴とする請求項8に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項1】
ボディと、
前記ボディに設けられたケースと、
前記ケースの内部において移動及び回転可能に設けられ、滑り防止部を有するホルダーと、
前記ホルダーに設けられ、前面と後面とが異なる極性を持った磁石と、を有して構成されていることを特徴とする玩具組立用ブロック。
【請求項2】
前記ボディは、木材で作製されていることを特徴とする請求項1に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項3】
前記ホルダーは、ホルダーボディと、前記ホルダーボディの外周面に突出した第1軸及び第2軸とから構成されて、前記ホルダーボディは、中心部に前記磁石が設置される穴が形成され、前記第1軸と前記第2軸は、共にその終端がそれぞれラウンド処理されていることを特徴とする請求項1に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項4】
前記ケースは、ケースボディと前記ケースボディの前面を覆うケース板とからなる第1ケースと、前記第1ケースに結合される第2ケースと、から構成されていることを特徴とする請求項3に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項5】
前記ケース板の前面には、2つの基準点が示され、前記2つの基準点を結ぶ水平線と前記ホルダーが回転する中心線とが直角になるとともに、前記水平線が前記ケース板の中心点を通ることを特徴とする請求項4に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項6】
前記ケース板は、中心部に穴が形成され、
前記ケースボディは、その終端に第1開口と第2開口、および第1係止突起と第2係止突起が形成され、
前記第2ケースは、前面に前記第1係止突起に係合される第1係止溝と前記第2係止突起に係合される第2係止溝とが掘られて形成され、外周面に前記第1開口に嵌められる第1装着突起と前記第2開口に嵌められる第2装着突起とが形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項7】
前記第1ケースは、前記ケース板の後面と前記ケースボディの内周面とに跨って、第1長溝の前方部分を形成する2つの第1前方突起と、前記第1前方突起と向い合う側に第2長溝の前方部分を形成する2つの第2前方突起とが形成され、さらに前記ケース板の後面に、前記2つの第1前方突起の間に位置して前記第1軸が挿入される第1軸溝と、前記第1軸溝と向い合う側に前記2つの第2前方突起の間に位置して前記第2軸が挿入される第2軸溝が掘られて形成され、
前記第2ケースは、その後面に、前記第1長溝の後方部分を形成する第1後方突起と、前記第1後方突起と向い合う側に前記第2長溝の後方部分を形成する第2後方突起が形成される、
ことを特徴とする請求項4に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項8】
前記滑り防止部は、前記ホルダーボディの前面に形成された第1歯と、前記ホルダーボディの後面に形成された第2歯とからなり、前記第1歯と前記第2歯とは、ピッチ(pitch)と深さ(depth)とが同じであり、かつ位相差が180゜であることを特徴とする請求項3に記載の玩具組立用ブロック。
【請求項9】
前記磁石の前面が前記第1歯の中間深さに位置し、前記磁石の後面が前記第2歯の中間深さに位置することを特徴とする請求項8に記載の玩具組立用ブロック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−234050(P2010−234050A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56123(P2010−56123)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(509246161)エディトイ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(509246161)エディトイ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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