説明

現像ローラ、現像装置、プロセスカートッリジ、及び、画像形成装置

【課題】スリーブとフランジとの嵌合作業を容易にして、かつ、不完全な嵌合によるローラの振れから生じる画像濃度むらの発生が未然に防止された現像ローラを提供する。
【解決手段】円筒状のスリーブと、スリーブの両端にそれぞれ挿入されたフランジと、を有する現像ローラにおいて、フランジには、先端側に設けられた円柱状の小径部と、小径部よりも後端側に小径部よりも大きい直径を有する円柱状の大径部とが、それぞれ同軸に設けられ、スリーブの両端部に、小径部が圧入される円筒内側面が設けられた小径対応部と、スリーブの端側に大径部が圧入される円筒内側面が設けられた大径対応部と、がそれぞれ設けられ、大径対応部の幅が、先端から小径部のスリーブへの挿入方向先端までの距離より大きくされており、かつ、小径部と小径対応部との圧入しろが、大径部と大径対応部の圧入しろよりも小さくされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像剤ローラ、現象装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、中空体に担持された現像剤を、感光体と中空体とが間隙をもって対向する現像領域に搬送し、該感光体上の静電潜像を現像してトナー像を形成する現像剤担持体及び現像装置に関する。また、本発明は、かかる現像装置を有するプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真方式の現像装置などに用いられる現像ローラとして、中空円筒状の現像スリーブとその両端に挿入されるフランジとから構成されるものが一般的である。
【0003】
ここで、一般的なフランジと現像スリーブとの結合方法としては、「軸の滑合嵌合+スリーブのかしめ」(方法1)、「軸の滑合嵌合+接着剤」(方法2)、「焼きばめ」(方法3)、及び、「軸の圧入嵌合」(方法4)などが考えられる。
【0004】
フランジと現像スリーブの結合には、相対位置関係だけではなく、結合強度も必要となるために、これらの結合方法では位置関係の精度と結合強度とに関して、それぞれメリット、及び、デメリットがある。
【0005】
方法1の「軸の滑合嵌合+スリーブのかしめ」では、位置関係精度は滑合嵌合で確保し、結合強度はスリーブにかしめを施すことで確保している。この方法では、フランジの抜け防止という点では非常に利点があるが、フランジの挿入後にスリーブを変形させるので組立工数の増加と、確実な結合を行うためにはスリーブのカシメ量が大きいことが必要なので、その変形は多部位へも影響し、現像スリーブ単体の振れもむしろ悪化するおそれがある。
【0006】
方法2の「軸の滑合嵌合と接着剤」では、方法1同様に、位置関係の精度は滑合嵌合で確保している。結合強度は、接着剤を用いることで確保しており、方法1のようにスリーブの変形といった影響が発生しない。しかし、接着剤は均一な塗布が難しく、挿入部全域で同等の結合強度を確保するのが難しい。まだ、接着剤のはみだしも生じてしまうために、現像剤を搬送する現像ローラに接着剤を使用するのは望ましくない。
【0007】
方法3の「焼きばめ」では、結合強度を焼きばめ、つまりスリーブを熱して膨張させた状態で、フランジを挿入し、冷えたスリーブによってフランジがはさまれることで確保している。この方法では、フランジの挿入時には、スリーブが膨張した状態であるために、位置関係の精度確保が難しい。
【0008】
方法4の「軸の圧入嵌合」では、軸の嵌合を圧入により行うために、滑合嵌合よりは位置精度が悪くなるが、滑合嵌合よりも高い結合強度が確保される。この結合強度は一般的には焼きばめよりは劣る。
【0009】
このように各結合方法によって、位置関係の精度と結合強度の確保のメリット・デメリットがあるものの、スリーブとフランジとからなる現像ローラの組み立て精度と結合強度の両立とが近年より強く望まれるようになった。
【0010】
ここで、複数の磁極がその表面に形成されたマグネットロールと、このマグネットロールが収容される円筒状のスリーブと、マグネットロールを収容したスリーブの両端部に結合される一対のフランジとで構成された現像ローラが、特開平11−125965号公報(特許文献1)等で提案されている。
【0011】
このような現像ローラを用いる現像装置では、マグネットロールを固定した状態で外周のスリーブのみを回転させることで、スリーブの表面に吸着させた現像剤が現像領域まで搬送される。
【0012】
現像領域まで搬送された現像剤は感光ドラムに供給され、感光ドラム表面に形成されている静電潜像を可視像化する。なお、感光ドラムに供給されずにスリーブ側に残留した現像剤は、スリーブの回転により現像剤剥離領域まで到達したところでスリーブから剥離される。なお、上記特許文献1では、現像ローラの製造におけるスリーブにフランジを嵌着固定する方法としては、スリーブ端部の内周面に形成された凹凸部に対応する凸凹をフランジ外周面に設け、これら凹凸が合致するように圧入する方法が示されている。
【0013】
しかしながら、特許文献1で提案されたこのような方法では、スリーブに形成された凹凸部とフランジ外周面に形成された凹凸部を嵌合させる工程において、両者の位置あわせを精密に行う必要があり、工程が頻雑になってしまう。さらに凹凸部の嵌合が完全でないと現像ローラとして用いた場合に振れが発生し、画像形成時に画像濃度むらが生じてしまうと云う問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、スリーブとフランジとの嵌合作業を容易にして、かつ、不完全な嵌合によるローラの振れから生じる画像濃度むらの発生が未然に防止された現像ローラ、そのような現像ローラを備えた現像装置、及び、このような現像装置を備えたプロセスカートリッジ、並びに、画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の現像ローラは、上記課題を解決するために、請求項1に記載の通り、円筒状のスリーブと、該スリーブの両端にそれぞれ挿入されたフランジと、を有する現像ローラにおいて、前記フランジには、前記スリーブへの挿入方向先端側に設けられた円柱状の小径部と、前記小径部よりもスリーブへの挿入方向後端側に該小径部よりも大きい直径を有する円柱状の大径部とが、それぞれ同軸に設けられ、前記スリーブの両端部に、前記フランジが挿入されたときに、前記小径部が圧入される円筒内側面が設けられた小径対応部と、該小径対応部よりも前記スリーブの端側に前記大径部が圧入される円筒内側面が設けられた大径対応部と、がそれぞれ設けられ、前記大径対応部の幅が、前記大径部の前記スリーブへの挿入方向先端から前記小径部の前記スリーブへの挿入方向先端までの距離より大きくされており、かつ、前記小径部と前記小径対応部との圧入しろが、前記大径部と前記大径対応部の圧入しろよりも小さくされていることを特徴とする現像ローラである。
【0016】
また、本発明の現像ローラは、請求項2に記載の通り、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記大径対応部の幅が、前記大径部の前記スリーブへの挿入方向先端から前記小径部の前記スリーブへの挿入方向先端までの距離の2倍以上とされていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の現像ローラは、請求項3に記載の通り、請求項1または請求項2に記載の現像ローラにおいて、前記大径対応部の幅が前記大径部の幅より広く、前記大径部の前記スリーブ挿入方向後端側に、該大径部よりも大きくかつ該スリーブの円筒の直径よりも小さい直径を有する鍔部が設けられていていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の現像ローラは、請求項4に記載の通り、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現像ローラにおいて、前記細径部側面にアヤメローレットが設けられていることを特徴とする。
【0019】
本発明の現像装置は請求項5に記載の通り、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の現像ローラが備えられていることを特徴とする現像装置である。
【0020】
本発明のプロセスカートリッジは、請求項7に記載の通り、請求項5に記載の現像装置が備えられていることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0021】
本発明の画像形成装置は、請求項7に記載の通り、請求項6に記載のプロセスカートリッジが備えられていることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の現像ローラは、大径対応部の幅が、大径部のスリーブへの挿入方向先端から小径部のスリーブへの挿入方向先端までの距離より大きくされており、かつ、小径部と小径対応部との圧入しろが、大径部と大径対応部との圧入しろよりも小さくされていることにより、まず、大径対応部に大径部が圧入され、ついで、小径対応部に小径部が圧入されるので、小径部と小径対応部との圧入しろが小さいにもかかわらず、大径対応部及び大径部によって小径部が小径対応部へ互いに同軸である状態を保ちながら誘導されるので、圧入ミスがなく、確実にかつ容易に圧入作業を完了させることができ、圧入後は小径部と小径対応部との圧入しろが小さいので、現像ローラとしての軸精度が高く、その結果、このような現像ローラを備えた画像形成装置を用いたときに、画像むらの発生があらかじめ防止される。
【0023】
また、大径対応部の幅が、大径部の前記スリーブへの挿入方向先端から小径部の前記スリーブへの挿入方向先端までの距離の2倍以上とされていることにより、上記大径対応部及び大径部によって小径部が小径対応部へ互いに同軸である状態を保ちながら誘導されるときの精度が高くなるので、上記効果がより確実に得られる。
【0024】
また、本発明の現像ローラにおいて、前記大径対応部の幅が前記大径部の幅より広いときに、前記大径部の前記スリーブへの挿入方向後端側に、大径部よりも大きくかつスリーブの円筒外径よりも小さい直径を有する鍔部が設けられていていると、フランジの挿入後のスリーブの端部の変形をあらかじめ防止することができる。
【0025】
また、前記細径部側面にアヤメローレットが設けられていると、画像への悪影響を排除しながら、フランジとスリーブとの結合を確実なものとすることができる。
【0026】
上記の現像ローラが備えられている現像装置は、画像むらの発生があらかじめ防止されている。
【0027】
上記の現像装置が備えられているプロセスカートリッジでは画像むらの発生があらかじめ防止されている。
【0028】
上記のプロセスカートリッジが備えられている画像形成装置では画像むらの発生があらかじめ防止されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明に係る画像形成装置の一例をモデル的に示す図である。
【図2】図2は、本発明に係る現像装置の一例をモデル的に示す図である。
【図3】図3は、本発明に係る現像ローラの一例をモデル的に示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る現像ローラに用いるフランジの例をモデル的に示す図である。
【図5】図5は、他のフランジの例を示すモデル図である。
【図6】図6は、フランジの現像スリーブへの挿入課程を示すモデル図である。
【図7】図7は、フランジの現像スリーブへの挿入課程を示すモデル図である。
【図8】図8は、他のフランジの現像スリーブへの挿入課程を示すモデル図である。
【図9】図9は、アヤメローレットを小径部に設けた例を示すモデル図である。
【図10】図10は、現像ローラの評価方法についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態を、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の構成を正面からみた説明図である。図2は、図1に示された画像形成装置の本発明の一実施形態にかかる現像装置の断面図である。図3は、図2中のIII−III線に沿う断面図である。
【0031】
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107(図1に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。
【0032】
画像形成装置101は、図1に示すように、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとを少なくとも備えている。
【0033】
装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを収容している。
【0034】
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に複数設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104の後述する搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述する現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。
【0035】
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとの間に送り出す。
【0036】
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ127と、従動ローラ128と、搬送ベルト129と転写ローラ130Y,130M,130C,130Kとを備えている。駆動ローラ127は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ128は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ127が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との回りを図中反時計回りに循環(無端走行)する。
【0037】
転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
【0038】
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
【0039】
レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、それぞれ、装置本体102の上部に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、それぞれ、一つのプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kに対応している。レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
【0040】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kとの間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
【0041】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、図2に示すように、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、感光体ドラム(像担持体ともいう)108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113と、を備えている。このため、画像形成装置101は、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を少なくとも備えている。
【0042】
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する現像ローラ115と間隔をあけて配されている。感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。感光体ドラム108は、対応するレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kにより、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。現像装置113は、図2に示すように、現像剤供給部114と、ケース125と、現像剤担持体としての現像ローラ115と、規制部材としてのドクタブレード116とを少なくとも備えている。
【0043】
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、を備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。また、第1空間120と第2空間121とは、両端部が互いに連通している。
【0044】
収容槽117は、第1空間120と第2空間121との双方に現像剤126を収容する。現像剤126は、トナーと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とを含んでいる。トナーは、第1空間120と、第2空間121とのうち現像ローラ115から離れた側の第1空間120の一端部に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより形成されていても良い。
【0045】
磁性キャリアは、第1空間120と第2空間121との双方に収容されている。磁性キャリアの平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。
【0046】
攪拌スクリュー118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。攪拌スクリュー118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。
【0047】
攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリアとを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤126を搬送する。
【0048】
図示例では、第1空間120内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。第2空間121内の攪拌スクリュー118は、現像剤126を他端部から一端部に向けて搬送する。
【0049】
前述した構成によれば、現像剤供給部114は、第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリアと攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第2空間121内でトナーと磁性キャリアとを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、現像ローラ115の外表面に供給する。
【0050】
ケース125は、箱状に形成され、前述した現像剤供給部114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、現像ローラ115などを覆う。また、ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
【0051】
現像ローラ115は、円柱状に形成され、第2空間121と、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に設けられている。現像ローラ115は、感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行である。現像ローラ115は、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤126のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
【0052】
現像ローラ115は、図2及び図3に示すように、芯金134と、円筒状のマグネットローラ(磁石体ともいう)133と、前述した円筒状の現像スリーブ132と、フランジ135を備えている。芯金134は、長手方向が感光体ドラム108の長手方向と平行に配され、前述したケース125に回転することなく固定されている。フランジ135は後述する嵌合方法にて固定されている。
【0053】
マグネットローラ133は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、図示しない複数の固定磁極が取り付けられている。マグネットローラ133は、芯金134の外周に軸芯回りに回転することなく固定されている。
【0054】
固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ133に取り付けられている。固定磁極は、マグネットローラ133則ち現像ローラ115の長手方向に沿って延びており、該マグネットローラ133の全長に亘って設けられている。前述した構成のマグネットローラ133は、現像スリーブ132内に収容されている(内包されている)。
【0055】
一つの固定磁極は、前述した攪拌スクリュー118と相対している。該一つの固定磁極は、汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、収容槽117の第2空間121内の現像剤126を現像スリーブ132の外表面に吸着する。
【0056】
他の一つの固定磁極は、前述した感光体ドラム108と相対している。この固定磁極は、現像磁極をなしており、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この固定磁極は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤126のトナーを感光体ドラム108に受け渡すようになっている。
【0057】
前述した汲み上げ磁極と現像磁極との間には、少なくとも一つの固定磁極が設けられている。この少なくとも一つの固定磁極は、現像スリーブ132即ち現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤126を感光体ドラム108に向けて搬送するとともに、現像済みの現像剤126を感光体ドラム108から収容槽117内まで搬送する。
【0058】
前述した固定磁極は、現像スリーブ132の外表面に現像剤126を吸着すると、現像剤126の磁性キャリアが該固定磁極が生じる磁力線に沿って複数重ねさせて、該現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。このように、磁性キャリアが磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリアが現像スリーブ132の外表面上に穂立ちするという。すると、この穂立ちした磁性キャリアに前述したトナーが吸着する。則ち、現像スリーブ132は、マグネットローラ133の磁力により外表面に現像剤126を吸着する。現像スリーブ132は、円筒状に形成されている。
【0059】
現像スリーブ132は、マグネットローラ133を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。現像スリーブ132は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。現像スリーブ132は、アルミニウム合金、真鍮、ステンレス鋼(SUS)、導電性の樹脂などの非磁性材料で構成されている。現像スリーブ132は、外表面に粗面化処理が施されている。
【0060】
アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を用いる場合には、A6063、A5056あるいはA3003を用いるのが好ましい。
【0061】
ステンレス鋼を用いる場合には、SUS303、SUS304あるいはSUS316を用いるのが好ましい。なお、図示例では、現像スリーブ132は、アルミニウム合金で構成されている。
【0062】
現像スリーブ132の外径は、コンパクトさと求められる機能とを満足するために14mm〜30mm程度であるのが望ましい。現像スリーブ132の軸(軸芯)方向の長さは、300mm〜350mm程度であるのが望ましい。ドクタブレード116は、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。ドクタブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。ドクタブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤126を所望の厚さにする。
【0063】
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤126を固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像スリーブ132が回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、ドクタブレード116で所望の厚さになった現像剤126を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤126を現像ローラ115に担持し、現像領域131に搬送して、感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
【0064】
そして、現像装置113は、現像済みの現像剤126を、収容槽117に向かって離脱させる。さらに、そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤126は、再度、第2空間121内で他の現像剤126と十分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。なお、現像装置113は、現像剤供給部114が例えば感光体ドラム108に供給されるトナーの濃度が低下したことを後述するトナー濃度センサが検知すると、撹拌スクリュー118の回転駆動によりトナーを現像ローラ115に向けて繰り出すようになっている。
【0065】
前述した構成の画像形成装置101は、以下に示すように、記録紙107に画像を形成する。まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により−700Vに帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、感光体ドラム108を露光して、画像部分を−150Vに減衰させて、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、この静電潜像に−550Vの現像バイアス電圧を印加して、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤126が感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。
【0066】
そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
【0067】
一方、転写されずに感光体ドラム108上に残ったトナーはクリーニングブレード112によって回収される。残留トナーを除去された感光体ドラム108は図示しない除電ランプで初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。
【0068】
また、前述した画像形成装置101では、環境変動や経時変動による画質の変動を抑えるために、プロセスコントロールを行なっている。具体的には、まず現像装置113における現像能力を検出する。例えば、あるトナーパターンの画像を、現像バイアス電圧を一定にした条件下で感光体ドラム108上に形成し、その画像濃度を図示しない光センサで検出し、濃度変化から現像能力を把握する。そして、この現像能力が所定の目標現像能力になるように、トナー濃度の目標値を変更することで、画質を一定に保つことができる。例えば、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を高くするように、図示しない制御手段としてのCPUが撹拌スクリュー118を回転駆動するモータの駆動回路を制御する。一方、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を低くするように、CPUが前述したモータの駆動回路を制御する。ここで、上記トナー濃度は図示しないトナー濃度センサで検知される。なお、感光体ドラム108上に形成されるトナーパターンの画像濃度は、現像スリーブ132による画像濃度周期むらの影響で多少変動することがある。
【0069】
前述した現像ローラは、円筒状の現像スリーブ132と、この現像スリーブ132の両端に挿入された2つのフランジ135及び140とから構成されている。
【0070】
フランジ135には、現像スリーブ132への挿入方向先端側に設けられた円柱状の小径部135aと、現像スリーブ132への挿入方向後端に設けられた軸部135eと、小径部135aと軸部135cとの間に小径部135aよりも大きい直径を有する円柱状の大径部135bとが、それぞれ同軸に設けられている。
【0071】
一方、フランジ140には、現像スリーブ132への挿入方向先端側に設けられた円柱状の小径部140aと、前記小径部140aよりもスリーブ132への挿入方向後端側に小径部140aよりも大きい直径を有する円柱状の大径部と、それぞれ同軸に設けられ、さらに、現像スリーブ132への挿入方向先端から後端まで貫通する、マグネットローラ133が固定された芯金134が貫入するための貫通孔140cとが、それぞれ同軸に設けられている。
【0072】
これらフランジ135及び140の小径部135a、140aと大径部135b、140bとの間にはそれぞれ小径部135a及び140aよりも細い連絡部135d及び140dが設けられている。これは、これらフランジ135及び140を旋盤加工により製造する際に、この連絡部135d及び140dなしに直接、小径部135a及び140aと大径部135b及び140bとをそれぞれ隣接させて背作製すると、図5(拡大図)に示すように「R」のついた、加工精度の低い部分が形成されてしまい、フランジのスリーブへの挿入位置が不正確となる恐れがあるためである。
【0073】
一方、図7(a)及び図7(b)に示すように、スリーブ132の両端部に、フランジ135及び140が挿入されたときに、大径部135a及び140aが圧入される円筒内側面に設けられた小径対応部132aと、小径対応部132bよりも現像スリーブ132の端側に大径部135bが圧入される円筒内側面に設けられた大径対応部132bと、がそれぞれ設けられ、大径対応部132bの幅a2が大径部135bの現像スリーブ132への挿入方向先端から小径部135aの現像スリーブ132への挿入方向先端までの距離a1より大きくされており、かつ、小径部135aと小径対応部132aとの圧入しろΔt1が、前記大径部と前記大径対応部の圧入しろΔt2よりも小さくされている。
【0074】
このような構成により、フランジ135の挿入時(図6(a)参照)に、まず、図6(b)に示すように、大径部135bが大径対応部132bに圧入される。そしてその後フランジ135はさらに挿入されるが、その際には大径部135bと大径対応部132bとが、ガイドとなって、小径対応部132aへの小径部135aの圧入時にこれらの位置を同軸に保つために、圧入しろΔt2が大きいにもかかわらず、図7(c)のように小径対応部132aの軸に対するずれの発生による圧入の失敗があらかじめ防止されると同時に、フランジ135の現像スリーブ132への挿入(図6(c)がスムーズに進行し、最終位置までフランジ135は現像スリーブ132に挿入され最終的に両者は高精度で同軸位置に保たれた状態で現像ローラが組み立てられる。
【0075】
上記ではフランジ135の現像スリーブ132への挿入について説明したが、フランジ140の現像スリーブ132への挿入も同様に行われる(以下も同様である)。
【0076】
ここで、図8(a)に示すように大径対応部132bの幅a2が、大径部の前記スリーブへの挿入方向先端から前記小径部の前記スリーブへの挿入方向先端までの距離の2倍以上とされていると、小径対応部132aへの小径部135aとの圧入時のこれらの位置の同軸性がより高く確保された状態で挿入が継続される(図8(b)及び、図8(c)参照)ので好ましい。このとき、大径部135bの幅a3が上記幅a1と等しいか幅a1より広いことがより高い同軸性が確保さmれるので好ましい。
【0077】
なお、大径対応部132bの幅が大径部135bの幅に対して広いとき、図8(c)に示すように現像スリーブ132端部が中空となるために、変形し、結果として、形成される画像にむらが生じる恐れがある。この様な問題をあらかじめ防止するために、大径部135bの現像スリーブ132への挿入方向後端側に、大径部135bよりも大きくかつ現像スリーブ132の円筒外径よりも小さい直径を有する鍔部135cが設けられている。
【0078】
また、図9に示すように小径部135a側面にアヤメローレットが設けられていると、現像スリーブ132と現像スリーブ132に挿入されたフランジ135との間のずれの発生が防止され、現像ローラの組み立て精度の低下が未然に防止される。
【0079】
本発明に係る現像ローラは上記構成より極めて精度が高く、また、その精度が継続的に維持されるために、使用開始直後は勿論、長期間に亘って良好な画像形成に寄与する。
【実施例】
【0080】
<実施例1>
小径部幅が5mm、小径部直径が23mm、大径部幅が10mm、大径部直径が23.68mm、大径部のスリーブへの挿入方向先端から小径部の前記スリーブへの挿入方向先端までの距離が7mmのステンレス製フランジを、アルミニウム製現像スリーブ(外径25mm)に挿入した。このとき、小径対応部と小径部との圧入しろは55μm、大径対応部と大径部との圧入しろは5μm、大径対応部の幅が10mmであり、また小径部の幅のうち、4.5mmが小径部対応に挿入された。
【0081】
この構成の現像ローラ(スリーブ及びフランジ以外は従来で用いられていた現像ローラの仕様に従い製作されたもの)を用いて画像形成装置で画像を形成したところ、位置決め精度としては、2μm以下を確保し、耐トルク(トルク測定機にてフランジ軸を回転させて測定)は4Nm以上を達成した。これにより周方向に濃淡むらのない良好な画像が得られた。また、この条件での製造では、位置精度と耐トルクとの良品率はともに100%であった。(位置決め精度とは、図10におけるXの部分の振れ成分である。すなわち、スリーブ外径を基準としたフランジの面振れを評価したものである。また、図10中黒三角で示されたのは測定時の基準となる面であり、現像ローラの場合、むらのない画像を得るために振れが0.003mm以下であることが求められる。)
【0082】
<実施例2>
、小径部にはアヤメローレット(溝部の深さは0.3mm)を施した以外は実施例1で用いたものと同じステンレス製フランジを、アルミニウム製現像スリーブ(外径25mm)に挿入した。このとき、小径対応部と小径部との圧入しろは5μm、大径対応部と大径部との圧入しろは55μm、大径対応部の幅が10mmであり、また小径部の幅のうち、4mmが小径部対応に挿入された。
【0083】
この構成の現像ローラ(スリーブ及びフランジ以外は従来で用いられていた現像ローラの仕様に従い製作されたもの)を用いて画像形成装置で画像を形成したところ、位置決め精度としては、2μm以下を確保し、耐トルクは4Nm以上を達成した。これにより周方向に濃淡むらのない良好な画像が得られた。また、この条件での製造では、位置精度と耐トルクとの良品率はともに100%であった。
【0084】
<実施例3>
実施例2と同様に、ただし、大径対応部の幅が8mmとしたフランジを用いて、現像ローラを得た。
【0085】
このとき、位置決め精度は、1μm以下を確保し、耐トルクは4.0Nm以上を達成した。また、三つ目の段があることにより、スリーブとフランジの端面に段差が生じることのない現像ローラを製造できた。この現像ローラでは、周方向に濃淡むらのない良好な画像が得られた。また、この条件での製造では、位置精度と耐トルクの良品率は100%であった。
【0086】
<比較例1>
実施例1と同様にただし、大径対応部と大径部との圧入しろは設けずに現像ローラを得た。
【0087】
この場合、フランジ挿入時に小径部が小径対応部に曲がって挿入されてしまい、耐トルクは満足するが位置精度が悪い現像ローラが発生した。このような現像ローラでは、周方向に濃淡むらのある異常画像が発生するために、不良と判断された。
【0088】
上記の条件で得られた現像ローラの位置精度の良品率は96%、耐トルク良品率は98%であった。
【0089】
<比較例2>
実施例1と同様に、ただし、圧入しろを設けずに、すきまばめとして、かつ、接着剤を用いてフランジをスリーブに固定して現像ローラを製造した。この場合、接着剤の接着強度のばらつきにより、位置精度は満足するが、耐トルクが低いという現像ローラが発生した。この現像ローラでは、フランジとスリーブの結合強度が不足しているために、画像形成に使用していると経時で結合部が破損してしまう問題が生じた。
【0090】
上記の条件で得られた現像ローラの位置精度の良品率は100%、耐トルク良品率は98%であった。また、接着剤のはみ出しによる不良品発生が2%であった。
【0091】
<比較例3>
実施例1と同様に、ただし、圧入しろは設けずに、すきまばめとしてスリーブにフランジを挿入後、スリーブ端部にカシメを実施することで、フランジを接合した現像ローラを製造した。この場合、カシメを実施することで、耐トルクは満足するが、カシメによりフランジの位置がわずかながらに変化してしまい、位置精度が悪い現像ローラが発生した。このような現像ローラでは、周方向に濃淡むらのある異常画像が発生するため、不良品となった。
【0092】
上記の条件で得られた現像ローラの位置精度の良品率は93%、耐トルク良品率は100%であった。
【符号の説明】
【0093】
115 現像ローラ
132 現像スリーブ
132a 小径対応部
132b 大径対応部
133 マグネットローラ
135、140 フランジ
135a、140a 小径部
135b、140b 大径部
135d、140d 連絡部
135e 鍔部
140c 貫通孔
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開平11−125965号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のスリーブと、該スリーブの両端にそれぞれ挿入されたフランジと、を有する現像ローラにおいて、
(イ)前記フランジには、前記スリーブへの挿入方向先端側に設けられた円柱状の小径部と、前記小径部よりもスリーブへの挿入方向後端側に該小径部よりも大きい直径を有する円柱状の大径部とが、それぞれ同軸に設けられ、
(ロ)前記スリーブの両端部に、前記フランジが挿入されたときに、前記小径部が圧入される円筒内側面が設けられた小径対応部と、該小径対応部よりも前記スリーブの端側に前記大径部が圧入される円筒内側面が設けられた大径対応部と、がそれぞれ設けられ、
(ハ)前記大径対応部の幅が、前記大径部の前記スリーブへの挿入方向先端から前記小径部の前記スリーブへの挿入方向先端までの距離より大きくされており、かつ、
(ニ)前記小径部と前記小径対応部との圧入しろが、前記大径部と前記大径対応部の圧入しろよりも小さくされている
ことを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記大径対応部の幅が、前記大径部の前記スリーブへの挿入方向先端から前記小径部の前記スリーブへの挿入方向先端までの距離の2倍以上とされていることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記大径対応部の幅が前記大径部の幅より広く、
前記大径部の前記スリーブ挿入方向後端側に、該大径部よりも大きくかつ該スリーブの円筒外径よりも小さい直径を有する鍔部が設けられていていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記細径部側面にアヤメローレットが設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の現像ローラが備えられていることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の現像装置が備えられていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項6に記載のプロセスカートリッジが備えられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−108367(P2012−108367A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257969(P2010−257969)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】