説明

現像剤収納容器及び画像形成装置

【課題】 簡単な構成で現像剤の使用量に応じてその容積が可変であり、現像剤の凝集抑制の可能な現像剤収納容器を提供する。
【解決手段】 現像剤収納容器は、自身が回転することでその内部に収納されている現像剤Tを、その一端側12aから他端側12bに形成された現像剤補給口12cへと搬送する容器本体12を備え、容器本体は、少なくとも一端側と他端側に位置し、径の異なる第1及び第2の円筒形容器30,31を有し、第1及び第2の円筒形容器には、現像剤を一端側から現像剤補給口側へ搬送する機能と、容器本体の全長を長短する方向に相対回転移動する機能を備えた係合搬送部40を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機やそれら複数の機能を備えた複合機などの画像形成装置で用いられる現像剤補給容器及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、複合機などの画像形成装置は広く知られている。電子写真方式ではレーザ光で感光体に静電潜像を形成し、その静電潜像に沿って帯電させたトナーを付着させ、トナー像を中間転写体に一旦転写した後、PPC用紙などの記録媒体上に転写し、加熱などで記録媒体上に定着させている。
このような画像形成装置では、トナーが現像により消費されるので、トナー補給装置により消費分が補給されるようになっている。トナー補給装置にはトナーを収納した現像剤収納容器して所謂トナーボトルが着脱自在に設けられていて、トナーボトルが空になると、予め用意されているトナー充填済みの新しいトナーボトルと交換される。
このトナーボトルは例えば、特許文献1に記載されているように螺旋形状のトナーボトルや、特許文献2に記載されているような袋状のトナーボトルが知られている。また、特許文献3では、現像装置で検知したトナー残量に応じてトナーボトルが縮む蛇腹状のトナーボトルも知られている。
特許文献1では、円筒形状の本体部と、この本体部の一端側について密閉された底部と、前記本体部の他端側について細く絞られたトナー吐出用の口部とを有し、本体部から口部にかけての内壁には底部側の本体部から口部に向けて連続して形成されたトナー搬送用の螺旋溝が設けられており、回転とともに螺旋溝により本体部のトナーを口部を経て外部、つまり、現像装置へ向けて送り出すようになっている。
特許文献2では、トナーボトルは袋状の変形可能部材であり、粉体ポンプを用いてトナーボトルから現像装置へトナーを供給している。
特許文献3では、多数の円盤状小容器をそれぞれの中心軸線が一致するように蛇腹状に結合されてトナーボトルが形成されていて、現像装置で検知したトナー残量に応じてトナーボトルが縮むことにより、現像装置内へトナー補給を行うような構成となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、新品のトナーボトルも使い終わったトナーボトルもトナーボトルの容積が変わらないため、廃棄する際にスペースを取る、または回収してもらうのを待つ間にも置き場所に困る等の大きさに課題があった。
特許文献2では、上記課題は解決可能だが、粉体ポンプが必要となり、装置構成が複雑になってしまい、装置の大型化、複雑化に繋がってしまう。
特許文献3では、特許文献1、2で発生する課題は解決可能だが、蛇腹状のトナーボトルがトナー使用量に応じて縮むと、トナーがストレスを受けるためトナーボトル内で凝集が発生する。トナーボトル内にトナー凝集体があると、良好な画像形成が行えなくなるため好ましくない。さらに、トナーボトル内側の螺旋形状を如何に保ったままトナーボトルをトナー使用量に応じて小さくするかには依然として課題が残っている。
本発明は、簡単な構成で現像剤の使用量に応じてその容積が可変であり、現像剤の凝集抑制の可能な現像剤収納容器及び、これを備えた画像形成装置を提案することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る、画像形成装置に用いられる現像剤を収容する現像剤収納容器は、自身が回転することでその内部に収納されている現像剤を、その一端側から他端側に形成された現像剤補給口へと搬送する容器本体を備え、容器本体は、少なくとも一端側と他端側に位置し、径の異なる第1及び第2の円筒形容器を有し、第1及び第2の円筒形容器には、現像剤を一端側から現像剤補給口側へ搬送する機能と、容器本体の全長を長短する方向に相対回転移動する機能を備えた係合搬送部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、現像剤を収容する容器本体が径の異なる少なくとも第1及び第2の円筒形容器を有し、第1及び第2の円筒形容器には、現像剤を一端側から現像剤補給口側へ搬送する機能と、容器本体の全長を長短する方向に相対回転移動する機能を備えた係合搬送部を有するので、第1と第2の円筒形容器を現像剤の使用量に応じて回転させることで現像剤の搬送とそれに応じた容器容積を可変することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一形態を示す要部構成図。
【図2】現像剤収納容器を収納する収納部の構成を示す拡大斜視図。
【図3】現像剤収納容器の第1の実施形態の構成を示す分解斜視図。
【図4】現像剤収納容器の第2の実施形態を構成を示す分解斜視図。
【図5】第1の円筒形容器の径が第2の円筒形容器の径よりも大きい容器本体における第1及び第2の螺旋部のピッチを説明する図。
【図6】第2の円筒形容器の径が第1の円筒形容器の径よりも大きい容器本体における第1及び第2の螺旋部のピッチを説明する図。
【図7】駆動歯車を有する現像剤収納容器の構成と、これを回転駆動する複数の駆動源を備えた駆動系の構成を示す図。
【図8】収納部に収納された駆動歯車を有する現像剤収納容器と、駆動歯車に噛合う入力歯車の配置関係を示す図。
【図9】駆動歯車を有する現像剤収納容器の構成と、これを回転駆動する単独の駆動源を備えた駆動系の構成を示す図。
【図10】第2の螺旋部に駆動歯車とシール部材が設けられた第2の円筒形容器の構成を示す図。
【図11】現像剤収納容器の第3の実施形態の構成を示す図。
【図12】図11に示す現像剤収納容器に駆動歯車を設けた現像剤収納容器と、これを回転駆動する複数の駆動源を備えた駆動系の構成を示す図。
【図13】第3の実施形態にかかる現像剤収納容器の動作を模式的に示す図であり、(a)は初期状態、(b)は第2の円筒形容器内の現像剤がなくなり第2の円筒形容器が移動した状態、(c)は第2の円筒形容器を収納した第3の円筒形容器が移動した状態、(d)は第2の円筒形容器を収納した第3の円筒形容器が第1の円筒形容器に収納されたトナーボルトエンドの状態をそれぞれ示す。
【図14】第3の実施形態にかかる現像剤収納容器の別な動作を模式的に示す図であり、(a)は初期状態、(b)は第3の円筒形容器内の現像剤がなくなり第2の円筒形容器が移動した状態、(c)は第2の円筒形容器を収納した第3の円筒形容器が移動した状態、(d)は第2の円筒形容器を収納した第3の円筒形容器が第1の円筒形容器に収納されたトナーボルトエンドの状態をそれぞれ示す。
【図15】駆動歯車に代えて高摩擦抵抗部材を有する現像剤収納容器の構成と、これを駆動する複数の駆動源を備えた駆動系の構成を示す図。
【図16】1つの駆動歯車と駆動用利リブを備えた現像剤収納容器と、これを回転駆動する複数の駆動源を備えた駆動系の構成を示す図。
【図17】分離防止手段を備えた現像剤収納容器の第4の実施形態の構成を示す斜視図。
【図18】分離防止手段となる突起部の構成と作用を軸線方向から見た拡大断面図。
【図19】分離防止手段を備えた別な現像剤収納容器の構成を示す斜視図。
【図20】第1の円筒形容器と第2の円筒形容器の長さの関係を説明する図であり、(a)は第1の円筒形容器の内部全長よりも第2の円筒形容器の全長が長い状態を示し、(b)は(a)の長さ状態で第2の円筒形容器を第1の円筒形容器に収納したときの不具合を示す状態を示し、(c)は第1の円筒形容器の内部全長よりも第2の円筒形容器の全長を短くして第1の円筒形容器内に完全に収納された状態をそれぞれ示す。
【図21】シール部材を備えた現像剤収納容器の構成を示す斜視図であり、(a)は初期状態、(b)は収納状態を示す。
【図22】図21に示すシール部材の詳細な配置状態を示す拡大断面図。
【図23】複数のシール部材を備えた現像剤収納容器の構成を示す斜視図であり、(a)は初期状態、(b)は収納状態をそれぞれ示す。
【図24】図23に示す複数のシール部材の詳細な配置状態を示す拡大断面図。
【図25】鍔部を備えた現像剤収納容器の第5の実施形態の構成を示す分解斜視図。
【図26】第5の実施形態における現像剤収納容器の動作を模式的に示す図であり、(a)は第2の円筒形容器を第1の円筒形容器に組付けた時の状態、(b)は第2の円筒形容器が回転移動する状態、(c)は第2の円筒形容器が第1の円筒形容器に収納されたトナーボルトエンドの状態をそれぞれ示す。
【図27】鍔部を備えた現像剤収納容器にシール部材を設けた構成を示す図であり、(a)は第2の円筒形容器の鍔部にシール部材を設けた状態を示し、(b)は第1の円筒形容器にシールを設けた状態をそれぞれ示す。
【図28】(a),(b)は鍔部の変形例を示す拡大図。
【図29】(a)は鍔部を備えた現像剤収納容器における分割構造の第1の円筒形容器の構成を示す分解断面図、(b)は分割構造の第1の円筒形容器内に鍔部を有する第2の円筒形容器を組付けた状態を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特徴は、自身が回転することでその内部に収納されている現像剤を、その一端側から他端側に搬送する容器本体を備え、この容器本体が、少なくとも一端側と他端側に位置し、径の異なる第1及び第2の円筒形容器で構成されており、第1及び第2の円筒形容器が、現像剤を一端側から他端側の現像剤補給口に搬送する機能と、容器本体の全長を長短する方向に移動する機能を備えた係合搬送部を有する現像剤収納容器にある。
【0008】
以下、図を参照して本発明の実施形態を説明する。最初に画像形成装置の全体構成と動作を説明し、そのあとに現像剤収納容器とその周辺の構成について説明する。各実施の形態において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、先の説明との重複説明は省略する。
【0009】
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図であり、図2は現像剤収納容器となるトナーボトルの収納部の構成を示す。図1に示す画像形成装置は、モノクロのプリンタである。本発明の適用形態としては、単色の画像形成装置に限定されるものではなく、イエロ、シアン、マゼンタ、ブラックの現像剤となるトナーを用いたフルカラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置の形態としては、プリンタに限らず複写機、ファクシミリ、これら複数の機能を備えた複合機であってもよい。
【0010】
画像形成装置は、装置本体内に像担持体となるドラム状の感光体1を有している。感光体1の周りには、感光体1表面に電荷を与える帯電装置2、帯電した感光体の表面に黒色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置3、感光体1表面に形成された潜像を黒のトナーで現像してトナー像とする現像装置4、感光体1表面上のトナー像を記録材となる用紙Pに転写する転写装置5、トナー像転写後の感光体1表面のクリーニングをするクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。転写装置5の下流側には、転写された用紙P上のトナー像を熱と圧力にて用紙Pへ固定化して定着する定着装置9が設置されている。
【0011】
用紙Pは装置本体下部に配置された用紙トレイ7内に収納されていて、印刷要求に合わせて、給紙ローラなどの給紙搬送手段13によりレジストローラ8まで搬送される。ここでトナー像の転写のタイミングに合わせて、用紙Pはレジストローラ8から転写装置5まで搬送される。転写装置5でトナー像が転写された用紙Pは、定着装置9まで搬送されてトナー像が定着される。
【0012】
帯電装置2、現像装置4、転写装置5は、電装ユニット10に電気的に接続されていて、所定のバイアスが印加される。電装ユニット10は、交流電源(定電圧)、第1の直流電源(定電圧)、第2の直流電源(定電流)を備え、現像装置4には定電圧制御でDC電圧を、帯電装置2には定電圧制御でAC電圧を、転写装置5には定電流制御でDC電圧を印加するように構成されている。
【0013】
図1において装置本体の左側には、トナーボトル12を収納するトナーボトル収容部11が配置されている。トナーボトル収容部11は、図中左方に開閉するカバー14を有している。本形態では、装置本体の側部がカバーを兼用している。トナーボトル収容部11に収容されているトナーボトル12は、現像装置4に設けられている濃度センサ28によってトナー濃度の低減が検知されると回転してトナーを排出する補給動作が行われ、印字率や印刷枚数によって良好な画像が出力されるように常に補給動作が制御されている。トナーボトル収容部11と現像装置4は図示しないトナー搬送経路で連結されている。トナーボトルはトナーボトル収容部11に装着されることでトナー搬送経路と連通し、トナー供給可能とされる。なお、トナーボトル収容部11に装着されるトナーボトルはトナーボトル12に限るものでなくなく、実施の形態の欄で説明するすべてのトナーボトルが装着される。
【0014】
図2はトナーボトル収容部11の概略図を示す。トナーボトル収容部11はトナーボトル12を設置するボトルトレイ26、トナー補給を行うホッパー部24、トナーボトル12に設けられた後述のトナー補給口12cを開口するためのハンドル25、ボトルを常時ホッパー部に当接するためのバネ21から構成されている。トナーボトル収容部11では、トナー交換時に、トナーボトル収容部11のカバー14(図1参照)を開け、ハンドル25を上げることで、トナーホッパー部24に設けられた図示しないチャックがトナーボトル12のトナー補給口から外れ、ボトルトレイ26をスライドすることでトナーボトルを着脱し、ボトル交換する。また、ボトル交換後は、ボトルトレイ26をスライドさせ、ハンドル25を図中矢印Aで示す下方向に下げることで、トナーホッパー部内に設けられたチャックがトナーボトル12のトナー補給口12cを塞いでいる図示しないキャップが外され、トナーホッパー部内にトナーが補給される。これにより、トナーの使用に応じてトナーボトル12が図中矢印Bで示す方向に回転することより、後述する搬送部となるトナーボトル12内の内壁の螺旋部によって補給される。
(第1の実施形態)
図3を用いて本発明に係るトナーボトル12の第1の実施形態を説明する。トナーボトル12は、画像形成装置に用いられるトナーTを内部に収納するもので、自身が回転することでその内部に収納されているトナーTを、その一端側12aから他端側12bに設けられた現像剤補給口となるトナー補給口12cに搬送する容器本体30を備えている。容器本体30は、一端側12aと他端側12bに位置し、径の異なる第1及び第2の円筒形容器31,32で構成されている。本形態において、第1の円筒形容器31は、第2の円筒形容器32よりも径大であって、その内部空間に第2の円筒形容器32を収納可能に構成されている。他端側に位置する第1の円筒形容器31の端部には、トナー補給口12cが形成されている。第1の筒形容器31の内径は第2の筒形容器31の内径よりも大きく形成されている。
【0015】
トナー補給口12cと反対側に位置する第1の円筒形容器31の端面32dには、第2の円筒形容器32を受け入れるための開口31aが形成されている。開口31aはトナー補給口12cと第1の円筒形容器31内で連通している。第2の円筒形容器32は、一方の端面に開口32aが形成されていて、この開口32a側から第1の円筒形容器31の開口32aに挿入される。
【0016】
第1及び第2の円筒形容器31,32には、トナーTを一端側12aからトナー補給口12cに搬送する機能と、容器本体30の全長を長短する方向に相対回転移動する機能を備えた係合搬送部40を有している。係合搬送部40は、第1の円筒形容器31に形成された第1の螺旋部41と、第2の円筒形容器32に形成され、第1の螺旋部41と噛合う第2の螺旋部42を有している。第1の螺旋部41は現像剤搬送部と雄螺子を兼ねるように、第1の円筒形容器31の内周面31bに突出して形成されている。第2の螺旋部42は、第2の円筒形容器32の外周面31cに形成され、第1の螺旋部41に螺合する雌螺子となる溝部42Aと、第2の円筒形容器32の内周面32bに形成され、現像剤搬送部を構成する凸部42Bとして形成されている。
【0017】
このような構成によると、第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32は、個別に形成され、第1の円筒形容器31の第1の螺旋部41に対して第2の円筒形容器32の溝部42Aを螺合させることで、両者が一体化されて容器本体30が形成される。そして、容器本体30に対してはトナー補給口12cから所定量のトナーTを充填し、図示しないキャップでトナー補給口12cを塞ぐ。
【0018】
このトナーボトル12の場合、第1の円筒形容器31が停止状態で第2の円筒形容器32が回転すると、その回転方向によって第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31に対して進退する方向(長短方向)に移動し、容器本体30の全長を長短させることになる。あるいは、第1の円筒形容器31の回転よりも、第2の円筒形容器32の回転を相対的に早く回転させても、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31に対して進退する方向(長短方向)に移動して容器本体30の全長を長短させることになる。この形態の場合、第1の円筒形容器31にトナー補給口12cが形成され、容器本体30内のトナーTはトナー補給口12cに向かって搬送する必要があるので、効率的にトナーTを搬送するためには第1及び第2の円筒形容器31、32を回転させるのが好ましい。
(第2の実施形態)
図4に示す本形態に係るトナーボトル12Aは、図3に示したトナーボトル12に対して第1の円筒形容器31Aと第2の円筒形容器32Aの大きさを反対にして容器本体30Aを構成したものである。このため小径となった第1の円筒形容器31Aの外周面31cに雌螺子を構成する溝部42Aを、第1の円筒形容器31Aの内周面31bに現像剤搬送部となる凸部42Bをそれぞれ形成して第2の螺旋部42を設けている。一方、第2の円筒形容器32Aの内周面32bには、溝部42Aに螺合する雄螺子を成すように突出して第1の螺旋部41が形成されている。
【0019】
図4の場合も、容器本体30A内のトナーTをトナー補給口12cに向かって搬送するには、第1の円筒形容器31Aの回転を停止した状態で第2の円筒形容器32Aを回転させるか、第1の円筒形容器31Aの回転よりも、第2の円筒形容器32Aの回転を相対的に早く回転させることで、トナーTを搬送することができる。
【0020】
図3,図4に示すトナーボトル12,12Aの場合、容器本体30,30A内のトナーTをトナー補給口12cに向かって搬送する第1の円筒形容器31,31Aと第2の円筒形容器32、32Aの回転方向を、容器本体30,30Aの全長が短くなる方向とし、係合搬送部40を第1及び第2の螺旋部41,42の螺合による構成としているので、ボトル内のトナーが無くなり空になるトナーエンドになった時に、少なくとも第2の円筒形容器32、32A、好ましくは第1の円筒形容器31,31Aの回転よりも第2の円筒形容器32、32Aの回転を早くすることで、簡単な構成でトナー使用量に応じて容器本体30、30Aの容積を十分に小さくでき、使用済みトナーボトルの回収性に優れることになる。また容器本体30,30Aの全長を縮めるに当たり、第1及び第2の螺旋部41,42が形成された第1の円筒形容器31、31Aと第2の円筒形容器32、32Aの構造のみでトナーの使用量に応じて容積を小さくできるので、構造を単純化することが出来、安価なトナーボトルを提供することができる。
【0021】
第1の円筒形容器31、31Aと第2の円筒形容器32、32Aに形成した第1及び第2の螺旋部41,42は、その形状を保ったまま回転するので、トナーTを第1の螺旋部41と第2の螺旋部の凸部42Bに沿って搬送することができ、従来の蛇腹状のトナーボトルに比べて螺旋形状を変えることなくトナーTに対して流動性を与えながら容器本体30、30Aを収縮することができるため、トナーTに与えるストレスが低減する。このため、トナーボトル12,12A内でのトナー凝集の発生を抑制することができ、良好なトナー搬送を行えて良好な画像形成を行えるようになる。
【0022】
図3に示すトナーボトル12では、トナー使用量に応じて容器本体30の全長が収縮するように第1の円筒形容器31に対して第2の円筒形容器32が回転移動するので、トナー補給口12cから相反する一端側12aに位置する第2の円筒形容器32内にあるトナーTの搬送距離はトナー使用量に応じて短縮される。これにより、第1の円筒形容器31のトナー補給口12cにトナーが蓄積しやすいため、トナー補給口12cの詰まりやトナー補給口近辺でトナーTが凝集し易い傾向となる。そのため、第2の円筒形容器32の容器の容積が小さくなるため、トナーボトル12の回転と共に第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31内に収納される。収納されると、トナー補給口12cと第2の円筒形容器32からのトナー搬送経路長が短くなるため、必然的に第1の円筒形容器31にトナーが蓄積され、第1の円筒形容器31にもトナーTが常時蓄積される。
【0023】
そこで、図5に示すように、第1の円筒形容器31側の第1の螺旋部41のピッチ幅Pと、第2の円筒形容器32の外周面32cに形成した第2の螺旋部42の溝部42Aのピッチ幅P1は同じとしてまま、第2の円筒形容器32の内周面32bに形成した現像剤搬送部を構成する凸部42Bのピッチ幅P2を小さくすることで、第2の円筒形容器32でのトナー搬送量を小さくすることができ、トナー補給口12cの詰まり防止や凝集を防止できる。
【0024】
図4に示したトナーボトル12Aでは、第1の円筒形容器31Aよりも第2の円筒形容器32Aが大径で容積が大きくなるため、トナーボトル12Aの回転と共に小径の第1の円筒形容器31Aが第2の円筒形容器32Aに収納される。このため、図6に示すように、ピッチ幅Pとピッチ幅P1を同じ幅としながらも、ピット幅P2よりも小さく設定することで、第2の円筒形容器32Aのトナー搬送量を小さくすることができ、トナー補給口12cの詰まり防止や凝集を防止することができる。また、図6に記載の構成の場合、図3,図4に示す構成に比べて第2の円筒形容器32Aが、第1の螺旋部41と第1の円筒形容器31Aの外周面の螺旋状の溝部42Aの大きさが小さくなるため、第1の螺旋部41と第1の円筒形容器31Aの溝部42Aは回転しながらねじ込むように収納されることもあり、これにより第1の螺旋部41と溝部42Aとの螺合部からのトナー漏れの防止を高まる。
【0025】
次にトナーボトルを回転駆動する駆動系の構成について説明する。
図7に示すトナーボトル12Bは、トナーボトル12に駆動歯車50,51を設けたものである。駆動歯車50は、第1の円筒形容器31のトナー補給口12c側の外周面31cに容器と一体的に形成し、駆動歯車51は、第2の円筒形容器32の外周面32cの螺旋状の溝部42A内に形成している。
これら駆動歯車50,51には、駆動源として異なる駆動モータM1、M2によってそれぞれ回転駆動される入力歯車53,54が噛合っていて、駆動モータM1,M2が作動することで入力歯車53,54を介して駆動歯車50,51に回転駆動力が伝達され、第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32が回転駆動される。駆動モータM1、M2は、画像形成装置の制御手段200に電気的に接続されていて、各駆動モータの作動時期や回転数が制御されるように構成されている。
【0026】
本形態において、駆動モータM1と駆動モータM2の回転数は、第2の円筒形容器32の回転が第1の円筒形容器31の回転よりも早くなるように制御手段200で設定されている。つまり、トナー補給口12cが形成された第1の円筒形容器31を第2の円筒形容器32よりも遅く回転するように構成している。
【0027】
図8に示すように、入力歯車53,54は、トナーボトル収容部11のカバー14の内側に回転自在に支持されていて、カバー14を開いたときには駆動歯車50,51との噛合いが解除され、カバー14を閉じると駆動歯車50,51との噛合うようになっている。特に本形態において、入力歯車53,54は、カバー14を閉じた時に、駆動歯車50,51の上方から同歯車に当接して噛合うように配置されている。
【0028】
このような駆動系の構成によると、画像形成装置の印字動作が開始され、例えばトナー補給時期となると、制御手段200からの信号が駆動モータM1,M2に伝達され、各駆動モータの回転が開始される。図7においては、駆動モータM1、M2が作動することで、第2の円筒形容器32が早く回転し、第1の円筒形容器31が遅く回転する。この場合、駆動モータ50が遅い回転数で、駆動モータ51が速い回転数となっている。この駆動モータM1、M2を作動することにより、第2の円筒形容器32が回転し、第2の円筒形容器32内のトナーTをトナー補給口12cに向かって搬送しながらも自身も第1の円筒形容器31内に向かって回転移動する。また、第1の円筒形容器31も回転するので容器本体30のトナー補給口12cからトナーTが効率よく排出されて図1の現像装置4へ補給されることになる。
【0029】
図9は、駆動系の別な形態を示す、この駆動系は駆動源として単一の駆動モータM1を用いて、入力歯車53,54Aを介して第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32を回転するようにしたものである。この場合、入力歯車54Aは入力歯車53よりも小径として、単位時間当たりの回転数が速くなるように構成されている。
【0030】
図9の構成の場合、径の異なる入力歯車53,54Aはカバー14に回転自在に装着し、カバー14を開いたときには駆動歯車50,51との噛合いが解除され、カバー14を閉じると駆動歯車50,51との噛合うように構成する。そして、入力歯車53,54Aは、カバー14を閉じた時に、駆動歯車50,51の上方から同歯車に当接して噛合うように配置する(図8参照)。
【0031】
このような駆動系の構成によると、画像形成装置の印字動作が開始され、例えばトナー補給時期となると、制御手段200からの信号が駆動モータM1に伝達され、駆動モータM1の回転が開始される。図9においては、駆動モータM1が作動することで、ギア径の小さい入力歯車54Aで回転される第2の円筒形容器32が早く回転し、ギア径の大きい入力歯車53で回転される第1の円筒形容器31が遅く回転する。この駆動モータM1を作動することにより、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31内に収納され、第1の円筒形容器31も回転するので容器本体30Bのトナー補給口12cからトナーTが効率よく排出されて図1の現像装置4へ補給されることになる。また、図7の構成に対して駆動モータの数を低減することができるので、部品点数を低減しつつもコストの低減を図ることができる。
【0032】
上述した各トナーボトルの本体容器を構成する第1及び第2の円筒形容器に用いる材質としては、主にポリエチレン、ポリプロピレンのような低溶融粘度の材料やPET材料などの原料を用いていて、所謂ハードボトルとして各トナーボトルを構成している。そのため、各第2の円筒形容器を回転しながら各第1の円筒形容器内に収納する際に、密閉性が損なわれ、第1と第2の円筒形容器に形成した螺旋部の螺合部分の隙間からトナーTが漏れることが想定されるので、図10に示すトナーボトル12Cでは、大径の第1の円筒形容器31内に収納される小径の第2の円筒形容器32の螺旋状の溝部42A内の先端側となる開口32aよりにシール部材60を配置して容器本体30Cを構成した。シール部材60としては、圧縮性や弾性に優れたシリコーンゴムなどのラバー材料を用いている。
【0033】
図4に示す小径の第1の円筒形容器31Aと大径の第2の円筒形容器32Aで容器本体30Aが構成されたトナーボトル12Aの場合には、第1の円筒形容器31Aが第2の円筒形容器32A内に収納されるため、第1の円筒形容器31Aの開口31a側に形成され、第2の円筒形容器32Aの第1の螺旋部41に螺合する螺旋状の溝部42A内にシール部材60を配置する。
【0034】
このように第1と第2の円筒形容器に形成した螺旋部分のシール部材60を配置することで、螺旋部分の密閉性を確保でき、トナー漏れを防ぐことができるとともに、機内汚染や使用済みトナーボトルを交換する際にユーザーがトナーで汚れるのを防止することかできる。さらには、シール部材60がラバー材料では摩擦抵抗が高い場合、各円筒形容器を回転する際にトルクが必要になる場合もあり、シール部材は摩擦抵抗の低い植毛タイプでも良い。
【0035】
上記説明したトナーボトル収容部11のカバー14としては、トナーボトル収容部11内部を、カバー14を閉じたままユーザーが目視で確認できるように、少なくともその一部が半透明あるいは透明とされているのが好ましい。これは、本発明に係るトナーボトルは、その全長がトナー使用量に応じて収縮するため、ユーザーがボトル長を可視することで、画像形成装置の上部に設けられた図示しない操作部にトナー残量表示をする必要なくなり、トナー残量をトナーボトルの大きさで直感的に確認することができる。視認性や製造工程を考えると、カバー14の一部ではなく全てを半透明あるいは透明とするのが好まく、透明度の高く強度の高い合成樹脂などで構成するとよい。
【0036】
このようにトナーボトル収容部11に収納されているトナーボトルを、ユーザーが画像形成装置の外部から常時確認できるようにカバー14を透明又は半透明にすると、操作部にトナー残量をする必要もなくなるため、操作部の記憶部となるメモリ容量の低減や、ボトル残量検知手段として必要なセンサなどの部品点数を減らすことができコスト低減につながる。
(第3の実施形態)
図11を用いて第3の実施形態を説明する。本形態に係る現像剤収納容器となるトナーボトル12Dは、径の異なる第1の円筒形容器31、第2の円筒形容器32及び第3の円筒形容器33を備えた容器本体30Dを備えている。容器本体30D内にはトナーTが収納される。このトナーボトル12Dの場合、第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32の間に第3の円筒形容器33を配置し、第1と円筒形容器31と第2の円筒形容器32とに螺合するように構成している。第1〜第3の円筒形容器の径の大小関係は、第1>第3>第2の円筒形容器とされている。
【0037】
第3の円筒形容器33は、長短方向に位置する両端面に開口33a、33dが形成されている。第3の円筒形容器33の外周面33cには、第1の円筒形容器31の内周面31bから突出して雄螺子を構成する第1の螺旋部41に螺合する第3の螺旋部43の溝部43Aが形成されている。第3の円筒形容器33の内周面33bには、第2の円筒形容器31の外周面32cに形成された溝部42Aと螺合し、雄螺子とトナー搬送部として機能する凸部43Bが形成されている。
【0038】
このため、本形態では第3の円筒形容器33の回転よりも第2の円筒形容器32の回転を速めることで、第2の円筒形容器32は第3の円筒形容器33内に内部のトナーをトナーTを搬送しつつも収納されて容器本体30Dの全長が縮む方向に移動し、さらに第3の円筒形容器33の回転を第1の円筒形容器31の回転よりも早めることで、第3の円筒形容器33は内部に収納された第1の円筒形容器31と一緒にトナーTを搬送しつつも第1の円筒形容器33内に収納されて容器本体30Dの全長が縮む方向に移動する。
【0039】
このような構成によると、第1の円筒形容器31に第3の円筒形容器33を螺合させ、第3の円筒形容器33に第2の円筒形容器32を螺合させることで、三者が一体化されて容器本体30Cが形成される。そして、容器本体30Dが回転することで、内部のトナーTがトナー補給口12cに向かって搬送され所定量のトナーTを排出することができる。
【0040】
すなわち、本形態では容器本体30Dの全長が短くなる方向に移動するとともに、トナー搬送も行う係合搬送部40Aを第1〜第3の螺旋部41,42、43で構成しているので、ボトル内がトナーエンドになった時に、簡単な構成でトナー使用量に応じて容器本体30Dの容積を十分に小さくでき、使用済みトナーボトルの回収性に優れることになる。また容器本体30Dの全長を縮めるに当たり、第1〜第3の螺旋部41〜43が形成された第1の円筒形容器31〜第3の円筒形容器33の構造のみでトナーの使用量に応じて容器本体30Dの容積を小さくできるので、構造を単純化することが出来、安価なトナーボトルを提供することができる。
【0041】
さらに、第1〜第3の円筒形容器31〜33に形成した第1〜第3の螺旋部41〜43は、その形状を保ったまま回転することで、第1〜第3の螺旋部41〜43に沿ってトナーTを搬送するため、従来のような蛇腹状のトナーボトルに比べて螺旋形状を変えることなくトナーTに対して流動性を与えながら容器本体30Dを収縮することができるため、トナーTに与えるストレスが低減する。このため、トナーボトル12D内でのトナー凝集の発生を抑制することができ、良好なトナー搬送を行えて良好な画像形成を行えるようになる。
【0042】
次に3つの円筒形容器を備えたトナーボトルを回転駆動する駆動系の構成について説明する。
図12に示すトナーボトル12Eは、第1〜第3の円筒形容器31〜33に駆動歯車50,51、52を設けたものであり、この駆動歯車50〜52を備えた第1〜第3の円筒形容器31〜33で容器本体33Eを構成している。駆動歯車50は、第1の円筒形容器31のトナー補給口12c側の外周面31cに容器と一体的に形成し、駆動歯車51は第2の円筒形容器32の外周面32cの螺旋状の溝部42A内に形成し、駆動歯車52は、第3の円筒形容器33の外周面33cの螺旋状の溝部43A内に形成している。
【0043】
これら駆動歯車50、51、52には、駆動源として異なる駆動モータM1、M2、M3によってそれぞれ回転駆動される入力歯車53,54、55が噛合っていて、駆動モータM1,M2、M3が作動することで入力歯車53,54,55を介して駆動歯車50,51、52に回転駆動力が伝達され、第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32と第3の円筒形容器33が回転駆動される。駆動モータM1、M2、M3は制御手段200に電気的に接続されていて、駆動モータの回転数と作動時期が制御手段200Aによって制御されるように構成されている。入力歯車54、55には、駆動モータM2、M3からの回転駆動力を駆動歯車51、52に伝達する方向に機能する一方向クラッチが装着されている。
このような3つの円筒形容器を備えたトナーボトル12Eにおいて、第2の円筒形容器32と第3の円筒形容器33を容器本体30Eの全長を短くする方向に移動させる制御パターンを幾つか説明する。
(パターン1)
駆動モータM1〜M3の回転数は、第3の円筒形容器33の回転が第1の円筒形容器31の回転よりも早く、第2の円筒形容器32の回転が第3の円筒形容器33の回転よりも早くなるように制御手段200によって設定されている。つまり、トナー補給口12cが形成された第1の円筒形容器31を第2、第3の円筒形容器32、33よりも遅く回転するように構成している。
入力歯車53、54、55は、トナー収容部11のカバー14の内側に回転自在に支持されていて、カバー14を開いたときには駆動歯車50,51、52との噛合いが解除され、カバー14を閉じると駆動歯車50、51、52との噛合うようになっている。特に本形態において、入力歯車52,53、54は、カバー14を閉じた時に、駆動歯車50、51、52の上方から同歯車に当接して噛合うように配置されている(図8参照)。
このような駆動系の構成によると、画像形成装置の印字動作が開始され、例えばトナー補給時期となると、制御手段200Aからの信号が駆動モータM1,M2、M3に伝達され、各駆動モータの回転が開始される。図12においては、駆動モータM1、M2、M3が作動することで、第2の円筒形容器32が最も早く回転し、次いで第3の円筒形容器33が早く回転し、第1の円筒形容器31が最も遅く回転する。このため、第2の円筒形容器32が回転移動して第3の円筒形容器33内に収納され、第3の円筒形容器33が回転移動して第1の円筒形容器31に収納される。また第1の円筒形容器31も回転するので、容器本体30EのトナーTはトナー補給口12cへ向かって搬送されるため、効率よくトナー補給口12cから排出されて図1の現像装置4へ補給されることになる。
(パターン2)
容器本体30E内のトナーTの減り方には、トナー補給口12cから最も距離のある第2の円筒形容器32内から減る場合と、第1と第2の円筒形容器31,32の間に位置する第3の円筒形容器33内から減る場合が想定される。
そこで、パターン2では、第2の円筒形容器32が空になり次第、第2の円筒形容器32を第3の円筒形容器33に収納させる制御を想定した駆動系の制御について説明する。この場合、最下部となる第2の円筒形容器32の開口32a側で第3の円筒形容器33内に蓄積されたトナーTを押し出すように搬送するため、搬送性が向上する。
【0044】
詳しくは、図13を用いて説明する。図13は主に第1〜第3の円筒形容器31〜33の移動を模式的に示すものであり、駆動モータ、制御手段、各螺旋部等の既に説明した構成要素は省力しているので、適宜図12を参照するものとする。
【0045】
画像形成装置の印字動作が開始され、トナーボトル12Eの回転動作が始まると、制御手段200Aからの信号が駆動モータM1に伝達し、駆動モータM1の作動することで図13(a)に示すように、第1の円筒形容器31が回転を開始される。第1の円筒形容器31が印字動作と共に回転しても駆動モータM2、M3は停止状態であるので、第1から第3の螺旋部41〜43で螺合している第3及び第2の円筒形容器33、32も第1の円筒形容器31と連動して回転する。つまり容器本体30E全体が内部のトナーTをトナー補給口12cに向かって搬送する方向に回転する。この回転によって、容器本体30E内のトナーTがトナー補給口12cから排出されて図1の現像装置4へ補給されることになる。なお、入力歯車54,55には、一方向クラッチが装備されているので、駆動モータM1により容器本体30Eが回転すると、入力歯車54,55は空転するので、容器本体30Eの回転抵抗を抑えられる。
【0046】
トナーTの排出及び容器本体30Eの回転により、各円筒形容器内のトナーTはトナー補給口12c側に移動するので、次第に各容器のトナーが少なくなり空になる。ここで第2の円筒形容器32が空になると、制御手段200Aは駆動モータM2に対して信号を出力して作動する。駆動モータM2が駆動モータM1よりも速い回転数が作動すると図13(b)に示すように、第2の円筒形容器32が回転移動して第3の円筒形容器33内に収納される。第2の円筒形容器32の移動量、すなわち、駆動モータM2の駆動時間は、第3の円筒形容器33内を通過しない移動量となるように設定しているので、この移動量だけ駆動モータM2を作動させることで、第2の円筒形容器32の移動は停止する。
【0047】
次に第3の円筒形容器33が空になると、制御手段200Aは駆動モータM3に対して信号を出力して駆動モータM1よりも速い回転数で作動する。駆動モータM3が作動すると図13(c)に示すように、第3の円筒形容器33が回転移動して図13(d)に示すように第1の円筒形容器31内に収納される。第3の円筒形容器33の移動量、すなわち、駆動モータM3の駆動時間は、第3の円筒形容器33の開口33a側が第1の円筒形容器31のトナー補給口12c側の端面に当接するよりも手前で停止する移動量となるように設定すれば良い。
【0048】
このような駆動系の動作制御を行うことで、トナーTが無くなった第2の円筒形容器32及び第3の円筒形容器33を、トナー補給口12に向かって回転移動させるので、空になった第2の円筒形容器32や第3の円筒形容器33の移動方向に位置する端部で、移動方向側に位置する容器内のトナーTを押し出せるため、トナーTの搬送性が向上し、トナー補給口12cに近い第1の円筒形容器31にトナーを効率よく搬送することができる。
(パターン3)
このパターンは第3の円筒形容器33内からトナーTが減り次第、第2の円筒形容器32を第3の円筒形容器33に収納させる制御を想定した駆動系の制御について説明する。詳しくは、図14を用いて説明する。図14は図13同様、主に第1〜第3の円筒形容器31〜33の移動を模式的に示すものであり、駆動モータ、制御手段,各螺旋部等の既に説明した構成要素は省力しているので、適宜図12を参照するものとする。
【0049】
画像形成装置の印字動作が開始され、トナーボトル12Eの回転動作が始まると、制御手段200Aからの信号が駆動モータM1に伝達され、駆動モータM1が作動することで図14(a)に示すように、第1の円筒形容器31が回転を開始する。第1の円筒形容器31が印字動作と共に回転すると、駆動モータM2、M3は停止状態であるので、第1〜第3の螺旋部41〜43で螺合している第3及び第2の円筒形容器33、32も第1の円筒形容器31と連動して回転する。つまり容器本体30E全体が内部のトナーTをトナー補給口12cに向かって搬送する方向に回転する。この回転によって、容器内のトナーTがトナー補給口12cから排出されて図1の現像装置4へ補給されることになる。なお、入力歯車54,55には、一方向クラッチが装備されているので、駆動モータM1による容器本体30Eが回転すると、入力歯車54,55は空転して回転抵抗を抑えられる。
【0050】
トナーTの排出及び容器本体30Eの回転により、各円筒形容器内のトナーTはトナー補給口12c側に移動するので、次第に容器のトナーが少なくなり空になる。ここで中間に位置する第3の円筒形容器33が空になると、制御手段200Aは駆動モータM2に対して信号を出力して作動する。駆動モータM2を駆動モータM1よりも速い回転数が作動すると図14(b)に示すように、第2の円筒形容器32が回転移動して第3の円筒形容器33内に収納される。駆動モータM2は第2の円筒形容器32が第3の円筒形容器33内に収納される所定量だけ駆動した後停止する。
【0051】
この状態で駆動モータM1が回転すると、第3の円筒形容器33内に収納された第2の円筒形容器32内のトナーTが第1の円筒形容器31に向かって搬送され、第1の円筒形容器31のトナーはトナー補給口12cから排出される。そして、第1の円筒形容器31内のトナーが無くなりトナーエンド状態となると、既に第1の円筒形容器31内は空の状態なので、制御手段200Aは駆動モータM3に対して信号を出力して駆動モータM1よりも速い回転数で作動する。駆動モータM3が作動すると図14(c)に示すように、第3の円筒形容器33が回転して図14(d)に示すように第1の円筒形容器31内に収納される。駆動モータM3は第3の円筒形容器33が第1の円筒形容器31内に収納される所定量だけ駆動した後停止する。
【0052】
このような駆動系の制御を行うことで、トナーTが無くなった第3の円筒形容器33に対して第2の円筒形容器32を、トナーTが無くなった第1の円筒形容器31に対して第3の円筒形容器33と第2の円筒形容器32とを同時に収納することができるので、容器同士を収納する際に、内部のトナーTが各螺旋部に入り込むことを低減することができ、第3の円筒形容器33や第2の円筒形容器32を収納する際のトナー漏れを防止するのに効果を発揮する。
【0053】
図15は、駆動歯車51,52に代えて第2の円筒形容器32と第3の円筒形容器33の溝部42A、43Aに、リング状や螺旋状のゴムなどからなる高摩擦抵抗部材56,57を設けて本体容器30Fを構成したトナーボトル12Fを示す。
【0054】
また、駆動系には、入力歯車54,55に代えて高摩擦抵抗部材56,57に接触するゴムローラなどの回転部材58,59を回転可能に支持して用いる。回転部材58,59は駆動モータM2,M3によって回転駆動されるとともに、入力歯車同様の一方向クラッチが装備されている。
【0055】
このような構成とすると、駆動モータM2,M3を図13,図14に示すように、制御することで、第2の円筒形容器32と第3の円筒形容器33を容器本体30Eの全長が縮む方向に移動して最終的には第1の円筒形容器31内に収納できると共に、高摩擦抵抗部材56,57によるシール性の確保も期待することができる。
【0056】
上記各トナーボトルでは、駆動歯車32,33、高摩擦抵抗部材56,57をそれぞれ第2の円筒形容器32と第3の円筒形容器33に設けて、第2の円筒形容器32と第3の円筒形容器33を回転させて容器本体の全長が縮む方向に移動させたが、図16に示すトナーボトル12Gでは、第1の円筒形容器31の駆動歯車50はそのままにして、トナーボトル12Gの一端側12a側に位置する第2の円筒形容器32の端部に軸線方向に突出した駆動用リブ62を形成して容器本体30Gとした。このトナーボトル12Gの駆動系には、入力歯車54,55や回転部材58,59に代えて、駆動用リブ62に噛合う回転部材63を設け、この回転部材63を駆動モータM2で回転駆動するように構成した。つまり、第3の円筒形容器33を直接駆動する為の駆動源や駆動伝達機構は省力している。また、回転部材63は軸線方向に移動自在に図示しないスライダーに固定されていて、軸線方向、すなわち容器本体30Gの全長を長短する方向に移動可能とされている。本形態も場合も、駆動モータM2は駆動モータM1よりも回転数が速く、第2の円筒形容器32を第1の円筒形容器31よりも速く回転するように、制御手段200Aによって制御される。
【0057】
このような構成によると、画像形成装置の印字動作が開始され、トナーボトル12Gの回転動作が始まると、制御手段200Aからの信号が駆動モータM1に伝達され、駆動モータM1が作動することで、第1の円筒形容器31が回転を開始する。第1の円筒形容器31が印字動作と共に回転すると、第3及び第2の円筒形容器33、32も第1の円筒形容器31と連動して回転する。つまり容器本体30G全体が内部のトナーTをトナー補給口12cに向かって搬送する方向に回転する。この回転によって、容器内のトナーTがトナー補給口12cから排出されて図1の現像装置4へ補給されることになる。
そして、駆動モータM2が作動すると、第2の円筒形容器33が第1及び第3の円筒形容器31、33よりも速く回転移動するので、第2の円筒形容器33が第3の円筒形容器33内に収納される。第2の円筒形容器33が第3の円筒形容器33内に収納されて、両者が一体化された状態で、駆動モータM2が作動すると、第3の円筒形容器33と第2の筒形容器32が、第1の円筒形容器31よりも速く回転移動するので、第2の筒形容器32を収納した第3の円筒形容器33が第1の円筒形容器31内に収納される。
【0058】
このような構成とすると、駆動モータや歯車などの駆動伝達系の部品点数を上述の構成に比べて低減しながらトナー使用量に応じて容器本体30Gの容積を減少することができる。
【0059】
第1〜第3の円筒形容器31〜33で容器本体が構成されたトナーボトルにおいては、中間に位置する第3の円筒形容器33の内部に、第2の円筒形容器32を収納したときに、第2の円筒形容器32のトナー補給口12cへの移動を規制する、例えば図16に示すストッパー70を形成しておくことで、第3の円筒形容器33に対する第2の円筒形容器32の侵入量を規制することができると共に、第2の円筒形容器32の回転を第1の円筒形容器31の回転よりも早めたときに、第2の円筒形容器32の移動が規制されることで、第3の円筒形容器33と一体回転することができるようになる。また、各容器内のトナーの残量や空であることの検知は、周知のトナー検知手段を制御手段200、200Aに接続することで達成することができる。
(第4の実施形態)
トナーボトルを構成する第1及び第2の円筒形容器31,32、あるいは第1〜第3の円筒形容器31〜33は、第1、第2の螺旋部41,42あるいは第1〜第3の螺旋部41〜43で隣接する容器同士が螺合して一体化されている。このため、容器本体の全長が縮む方向に各円筒形容器を回転移動させる分には問題ないが、全長が延びる逆方向に回転移動させてしまうと各容器同士の螺合による連結が絶たれて、トナー漏れの要因となってしまう。そこで、本形態では、隣接する円筒形容器が互いに分離しないようにするための分離防止手段をトナーボトルに設けた。
【0060】
図17は、第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32で容器本体が構成されたトナーボトルであり、第1の円筒形容器31の内周面31bと第2の円筒形容器32の外周面32cに、それぞれ分離防止手段として突起部81,82を形成したものである。
【0061】
突起部81は、第1の円筒形容器31の開口部31a寄りの内周面31bの形成し、突起部82は、第2の円筒形容器32の開口32aよりの外周面32bに形成している。突起部80と突起部81は図18に示すように、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31内に収納される方向(容器本体の全長が縮む方向)に回転する際には、突起部81が突起80を乗り越えるように形成された案内面81a、82aと、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31内に収納される方向(容器本体の全長が縮む方向)とは逆方向に回転する際には、互いが対向して接触する当接面81b、82bを有し、それぞれ内周面31bと外周面32bから外方に向かって突出している。
【0062】
このため、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31内に収納される方向へ回転すると、突起82が突起81を乗り越えるので、第2の円筒形容器32の第1の円筒形容器31内への移動は許容されるが、収納される方向と逆方向に回転すると、当接面82bが当接面81bと接触してその回転が妨げられるので、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31から抜けなくなる。このため、第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32の分離により内部のトナーTが飛散することを防ぐことができる。
【0063】
図17,図18の場合、突起部81が第1の円筒形容器31の開口31aよりに形成されているので、第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32とが外れることは防止できるが、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器32内に収納された位置で保持することができない。これでは折角、第2の円筒形容器32の回転により容器本体30の全長が短くなったものが延びた位置まで戻ってしまう。
【0064】
そこで、図19に示す構成では、突起部81を、第1の円筒形容器31のトナー補給口12c寄りの内周面31bの形成し、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31内に深く収納されて全長が短くなった状態で逆回転しないようにした。
【0065】
このため、一度短くなったトナーボトル12が元の長さに戻ることを防止できるとともに、ユーザーとしては、トナーボトルの長さから使用済みかどうかが一目で見分けることができ、利便性が良くなる。
【0066】
図20(a)に示すように、第2の円筒形容器32の全長Lが第1の円筒形容器31の内部全長L1よりも長いと、第2の円筒形容器32を第1の円筒形容器31に完全に収納することができず、図20(b)に示すように、第1の円筒形容器31から飛び出した部分が発生する。この飛び出し部分90があるとユーザーが手で持ってしまい不用意に回転させてしまうことが想定される。このため、図20(c)に示すように、第2の円筒形容器32の全長Lを第1の円筒形容器31の内部全長L1よりも短く設定して、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31の内部に完全に収納できる長さとするのが好ましい。このような構成とすると、トナーボトル30がトナーエンドなったときに、第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31の内部に完全に収納されるので、人為的ミスによるトナー飛散を防止することができる。
【0067】
図10に示した形態では、第2の円筒形容器32に形成した螺旋状の溝部42A内にシール部材60を配置してシール性を高めたが、シール部材の形態としては、例えば図21の構成が挙げられる。図21(a)は、トナーボトル12の使用中の概略図で、図21(b)はトナーボトルエンド時の概略図である。ここでは第1の円筒形容器31の後端となる開口31aに、シール部材としてゴム製でリング状の弾性部材91を配置した。弾性部材91の中央の穴91aの径は、少なくとも第2の円筒形容器32の外径と同寸法か、幾分小さめとする。
【0068】
このようなリング状の弾性部材91を開口31aに配置することで、使用中およびトナーボトルエンド時のトナー飛散を防ぐことができるとともに、第1の円筒形容器31内部に第2の円筒形容器32が完全に収納された場合には、弾性部材91によって第2の円筒形容器32が第1の円筒形容器31から突出方向の回転移動が規制されるので、分離防止手段としての機能させることができる。
【0069】
図22に示すように、トナーボトルエンド時は、第2の円筒形容器32の開口32aと反対側に位置する端面32dと第1の円筒形容器31の開口31aに設けたゴム製でリング状の弾性部材91との間に隙間ができないような設計にすることにより、トナーボトル12がボトルエンドを迎えた後のボトル交換時やボトル搬送中のトナー飛散を防ぐことも可能になる。
【0070】
図23は、図22で示した第1の円筒形容器31に加えて、第2の円筒形容器32にもシール部材としてゴム製でリング状の弾性部材92を設けたものである。図23(a)は、トナーボトル12の使用中の概略図で、図23(b)はトナーボトルエンド時の概略図である。弾性部材92は、第2の円筒形容器32の先端となる開口32aに設けた。
【0071】
このように第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32にシール部材として弾性部材91、92を配置すると、図23(b)に示すように、トナーボトルエンドとなって第1の円筒形容器31内に第2の円筒形容器32が完全に収納されたときに、第1の円筒形容器31の開口31a側は弾性部材91でシールされ、トナー補給口12c側は弾性部材92でシールされるので、よりトナーボトルエンドのシール性を向上することができる。
【0072】
また、第1の円筒形容器31と第2の円筒形容器32とは、螺旋部によって螺合しているので、構造上クリアランスをとっているとともに、製造誤差にガタも生じてトナー漏れによるトナー飛散の懸念がある。しかし、第1の円筒形容器31に設けた弾性部材91は、第2の円筒形容器32の外周面32cとのシール性を確保し、第2の円筒形容器32に設けた弾性部材92は、第1の円筒形容器31の内周面31bとのシール性を確保することができるので、クリアランスやガタ分の吸収が可能となる。このことにより、製造時の精度がある程度低くてもシール性が高いため、ボトル製造コストが低減可能となる。
【0073】
図24は、図23(b)の拡大断面図である。弾性部材91は図22同様、第2の円筒形容器32の開口32aと反対側に位置する端面32dと第1の円筒形容器31の開口31aに隙間ができないような設計し、トナーボトルエンド時は、第2の円筒形容器32の弾性部材92が第1の円筒形容器31の内周面31bに接触、好ましく弾性変形して圧接するようにすることで、よりシール性を高めることができる。
【0074】
なお、弾性部材91,92としては、例えばブチルゴムまたはそれに近い材料を主成分とするゴム材料を用いることができる。好ましくは、フレキシブルで耐トナー性に優れたポリウレタン、二トリル、EPDM等のゴム材料で形成されたものを利用するのがよい。
(第5の実施形態)
図25に示す現像剤収納部材となるトナーボトル12Hは、現像剤となるトナーTが収納される第1の円筒形容器310と第2の円筒形容器320で構成された容器本体30Hを備えている。第1の円筒形容器310は第2の円筒形容器320よりも径大に形成されている。
【0075】
第1及び第2の円筒形容器310,320には、トナーTを一端側12aから他端側12bのトナー補給口12cに搬送する機能と、容器本体30Hの全長を長短する方向に移動する機能を備えた係合搬送部400を有している。係合搬送部400は、第1の円筒形容器31に形成された第1の螺旋部410と、第2の円筒形容器320に形成され、第1の螺旋部410と噛合う第2の螺旋部420で構成されている。
【0076】
長短方向(軸線方向)に位置する第1の円筒形容器310の一方の端面にはトナー補給口12cが形成され、他方の端面には円形の開口310aが形成されている。この開口310aの内径は、第1の円筒形容器310の内径よりも小さく設定されていて、開口310aと第1の円筒形容器310の内周面310bの間に環状部330を形成している。第1の円筒形容器310の内周面310bには、内部のトナーTをトナー補給口12cに向かって搬送するとともに雄螺子となり、内周面310bから内側に向かって形成された螺旋状の突起で構成された第1の螺旋部410が設けられている。
【0077】
第2の円筒形容器320は、開口310aと対向する端面に開口320aが形成されていて、内部のトナーTが第1の円筒形容器310内に排出できるように構成されている。第2の円筒形容器320の内周面320bには、内部のトナーTを開口320a(トナー補給口12c)に向かって搬送するための螺旋状の突起420Bが内周面320bから内側に向かって形成されている。開口320a側に位置する第2の円筒形容器320の外周面320cには、第1の円筒形容器310に形成されている第1の螺旋部410に沿って移動する鍔部420Aが形成されている。本形態において第2の螺旋部420は鍔部420Aと突起420Bで構成されている。
【0078】
このような構成のトナーボトル12Hであると、第2の円筒形容器320を第1の円筒形容器310内にトナー補給口12c側から挿入し、容器本体30Hの全長が延びる方向に回転して組付けると、図26(a)に示すように第2の円筒形容器320の端部320dが開口310aから外部に突出する。そして鍔部420Aが環状部330と接触するまで第2の円筒形容器320を回転させることで、本体容器30Hが最も長い状態となる。このとき、鍔部420Aと環状部330が、容器本体30Hの全長を長短する方向から接触して引っかかるので、第1の円筒形容器310と第2の円筒形容器320とが分離するのを防止して一体化した状態を保持でき、トナーTのもれを防止できる。
【0079】
一方、容器本体30Hとして組付けられた後、容器本体30H内にはトナーTが充填される。この状態で第2の円筒形容器320を容器本体30Hの全長が短くなる方向に回転させると、図26(b)に示すように鍔部420Aが第1の螺旋部410に沿って回転しながら移動すると共に、凸部420Bによって第2の円筒形容器320のトナーTがトナー補給口12cに向かって移動する。
【0080】
このトナーボトル12Hの場合でも、第1の円筒形容器310に対して第2の円筒形容器320を速く回転させることで、図26(c)に示すように第2の円筒形容器320を第1の円筒形容器310内に収納することができ、トナー使用量に応じて容器本体30Hの容積を減少することができ、使用済みトナーボトルの回収性に優れることになる。また容器本体30Hの全長を縮めるに当たり、第1及び第2の螺旋部410,420が形成された第1の円筒形容器310と第2の円筒形容器320の構造のみでトナーの使用量に応じて容積を小さくできるので、構造を単純化することが出来、安価なトナーボトルを提供することができる。
【0081】
トナーボトル12Hの駆動系としては、図7に示した駆動モータM1,M2と入力歯車52,53を用い、トナーボトル12Hに駆動歯車50,51を形成することで回転駆動することができる。あるいは図9に示すように1つの駆動モータM1で回転駆動するようにしてもよい。
【0082】
本形態においては、鍔部420Aと第1の螺旋部410とで分離防止手段を構成することができるが、第1の円筒形容器310と第2の円筒形容器320とのシール性を考慮すると、図27(a)に示すように、少なくとも環状部330または鍔部420Aの何れか一方にリング状のシール部材610を配置するのがよく、よりシール性を高めるには環状部330と鍔部420Aの双方にシール部材610を設けるのが好ましい。なお、シール部材610としては、スポンジやゴムなどの固体を想定したがグリス等のゲル状で粘性のある部材を用いてもよい。
【0083】
鍔部410の形状としてはリング状に限定されるものでは無く、例えば図28(a)、図28(b)に示すように、第2の円筒形容器320の開口320a寄りの外周面320bから部分的に外方に向かって突出した鍔部410Aaまたは鍔部410Abとしても良い。鍔部410Aaまたは鍔部410Abとするかは、第1の円筒形容器310の第1の螺旋部410のピッチを考慮して適宜選択すれば良い。
【0084】
第5の実施形態では、第1の円筒形容器310内に挿入する第2の円筒形容器320に環状部330に当接する鍔部410が形成されているので、環状部330側から組付けることができない。そこで、第1の円筒形容器310は、図29(a)に示すように、筒部310Aと筒部310Aを開閉する蓋部310Bとの分割式とし、蓋部310Bにトナー補給口12cを設けている。このように第1の円筒形容器310を筒部310Aと蓋部310Bの分割式にすると、図29(b)に示すように、第2の円筒形容器320を筒部310A内に挿入した後に、蓋部310Bを筒部310Aに装着して固定することで、容器本体30Hを容易に組付けることができる。
【0085】
なお、第5の実施形態で説明した第1の円筒形容器310を筒部310Aと蓋部310Bの分割式にする構成は、他の実施形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
12(A〜H) 現像剤収納容器
12a 一端側
12b 他端側
12c 現像剤補給口
30(A〜H) 容器本体
31、31A、310 第1の円筒形容器
31b、310b 第1の円筒形容器の内周面
32、32A、32B、320 第2の円筒形容器
32c、320c 第2の円筒形容器の外周面
33 第3の円筒形容器
40、40A、400 係合搬送部
41、410 第1の螺旋部(雄螺子)
42、420 第1の螺旋部
42B、420B 現像剤搬送部
42A、420A 雌螺子
60、91、92、610 シール部材
81,82 突起部(分離防止手段)
420A 鍔部
M1、M2、M3 駆動源
T 現像剤
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開平10−063084号公報
【特許文献2】特開2001‐324863号公報
【特許文献3】特開平07−064380号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられる現像剤を収容する現像剤収納容器において、
自身が回転することでその内部に収納されている現像剤を、その一端側から他端側に形成された現像剤補給口へと搬送する容器本体を備え、
前記容器本体は、少なくとも前記一端側と他端側に位置し、径の異なる第1及び第2の円筒形容器を有し、第1及び第2の円筒形容器には、前記現像剤を一端側から前記現像剤補給口側へ搬送する機能と、前記容器本体の全長を長短する方向に相対回転して移動する機能を備えた係合搬送部を有することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項2】
請求項1記載の現像剤収納容器において、
前記第1または第2の円筒形容器は、何れかが他方側よりもその径が大きく、
前記係合搬送部は、第1の円筒形容器に形成された第1の螺旋部と、第2の円筒形容器に形成され、第1の螺旋部と噛合う第2の螺旋部を有し、
第1の螺旋部は現像剤搬送部と雄螺子を兼ね、第2の螺旋部はその内側が現像剤搬送部を構成すると共に、その外側が前記雄螺子に螺合する雌螺子を兼ねていることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項3】
請求項1または2記載の現像剤収納容器において、
第1または第2の円筒形容器は、現像剤の使用量に応じて前記容器本体の全長が縮む方向に回転移動することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項4】
請求項1または2記載の現像剤収納容器において、
第1の円筒形容器の内径が第2の円筒形容器の内径より大きく形成されていることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の現像剤収納容器において、
少なくとも第1及び第2の円筒形容器は、それぞれ駆動源によって回転駆動され、
前記駆動手段は、前記第2の円筒形容器の回転数が第1の円筒形容器の回転数よりも高くなるように作動することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の現像剤収納容器において、
前記第1及び第2の円筒形容器は、前記容器本体の全長が延びる方向への前記第1または第2の円筒形容器の移動を規制する分離防止手段を有することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項7】
請求項6記載の現像剤収納容器において、
前記分離防止手段は、第1の円筒形容器の内周面と第2の円筒形容器の外周面にそれぞれ形成され、第1または第2の円筒形容器の前記容器本体の全長を縮める方向への回転移動は許容し、前記容器本体の全長が延びる方向への回転は阻止する突起部で構成されていることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項8】
請求項6記載の現像剤収納容器において、
前記分離防止手段は、第1または第2の円筒形容器の内周面に形成された第1の螺旋部に螺合する鍔部を有することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか1項に記載の現像剤収納容器において、
前記第1または第2の円筒形容器の少なくとも一方には、互いの接触面の少なくとも一方にシール部材を有することを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の現像剤収納容器を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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