説明

現像剤終了判定方法

【課題】 トナーカートリッジ、トナーホッパー、および現像槽内にセンサーを設けることなく、トナーカートリッジやトナーホッパーに収容されたトナーの量が予め定める量よりも少ないことを判定することができる現像剤終了判定方法を提供する。
【解決手段】 現像剤終了判定方法は、現像剤終了判定工程を含む。現像剤終了判定工程では、トナー補給装置81から現像装置33へのトナー補給動作前後にそれぞれ作成されたトナーパッチのトナー付着量を比較し、トナー補給動作後のトナーパッチのトナー付着量が、トナー補給動作前のトナーパッチのトナー付着量未満の場合に、トナー補給装置81に収容されたトナーの量が予め定める量よりも少ないと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤終了判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置では、たとえば帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を経ることによりトナー像が形成される。帯電工程で、回転駆動される感光体の表面を帯電装置によって均一に帯電し、露光工程で、帯電した感光体表面に露光装置によってレーザ光が照射され、感光体表面に静電潜像が形成される。次に現像工程で、感光体表面の静電潜像が現像装置によって現像剤を用いて現像されて感光体表面にトナー像が形成され、転写工程で、感光体表面のトナー像が転写装置によって記録媒体に転写される。その後、定着工程で、定着装置によってトナー像が記録媒体に定着される。転写工程後の感光体表面からは、クリーナーによって転写残留トナーが除去される。
【0003】
現像剤には、トナーのみを含む1成分現像剤と、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤とがある。トナーは、トナーカートリッジやトナーホッパーから現像装置の現像槽に補給される。
【0004】
2成分現像剤を用いる2成分現像方式の画像形成装置においては、トナーカートリッジやトナーホッパー中のトナーがなくなり、現像装置の現像槽中において2成分現像剤のトナー濃度が著しく低下すると、形成される画像の画像濃度が低下するだけでなく、キャリアが感光体に現像されることによって感光体やクリーナーが損傷するという問題がある。そのため、2成分現像方式の画像形成装置では、光学式検出手段として光学センサーを用いて、トナーカートリッジやトナーホッパーの中にトナーが残っているか否かを検知し、トナーカートリッジやトナーホッパーの中にトナーが残っていない場合にはトナーエンドと判定して、画像形成動作を停止させることが一般に行われる。
【0005】
また、特許文献1には、2成分現像剤のトナー濃度を測定できる透磁率センサーを現像槽に設け、トナーホッパーから現像槽へのトナー補給動作を所定時間行っても2成分現像剤のトナー濃度が変化しない場合に、トナーエンドと判断する方法が開示されている。
【0006】
特許文献1に開示の方法によれば、光学式検出手段を設置する必要がなくなるので、画像形成装置の小型化やコスト削減を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−289715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示の方法においては、現像槽に設けた透磁率センサーが、現像装置の一層の小型化の妨げになる。
【0009】
本発明の目的は、トナーカートリッジ、トナーホッパー、および現像槽にセンサーを設けることなく、トナーカートリッジやトナーホッパーに収容されたトナーの量が予め定める量よりも少ないことを判定することができる現像剤終了判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、静電潜像を担持する像担持体と、像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電させた像担持体を露光して静電潜像を形成させる露光手段と、静電潜像を現像することにより像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、像担持体上のトナー像のトナー付着量を測定する付着量測定手段と、現像手段に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、トナーを収容し、収容したトナーを現像手段に補給するトナー補給手段と、収容したトナーを現像手段に補給できるようにトナー補給手段を駆動させる駆動手段とを備える画像形成装置における前記トナー補給手段の現像剤終了判定方法において、
現像手段に所定の現像バイアス値の現像バイアスを印加して、像担持体上にトナー像を形成してトナーパッチを作成する第1パッチ作成工程と、
第1パッチ作成工程で作成したトナーパッチのトナー付着量を測定する第1付着量測定工程と、
第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量に基づいて、第1パッチ作成工程で印加する現像バイアス値を補正するバイアス値補正工程と、
バイアス値補正工程で補正した現像バイアス値の絶対値が所定値以上であるか否かを判断する判断工程と、
判断工程で、前記補正した現像バイアス値の絶対値が前記所定値以上であると判断された場合に、前記駆動手段によってトナー補給手段を駆動させるトナー補給工程と、
トナー補給工程の直後に、現像手段に直前の第1パッチ作成工程と同様の現像バイアス値を印加して、像担持体上にトナーパッチを作成する第2パッチ作成工程と、
第2パッチ作成工程で作成したトナーパッチのトナー付着量を測定する第2付着量測定工程と、
第2付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量が、直前の第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量未満の場合に、トナー補給手段に収容されたトナーの量が予め定める量よりも少ないと判定する現像剤終了判定工程と、を含むことを特徴とする現像剤終了判定方法である。
【0011】
また本発明は、第2付着量測定工程の後工程として、第2付着量測定工程で測定されたトナーパッチのトナー付着量を、現像バイアス値に変換する変換工程を含み、
現像剤終了判定工程では、第2付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量の代わりに、変換工程で変換された現像バイアス値を用い、直前の第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量の代わりに、第1パッチ作成工程で印加した現像バイアスの現像バイアス値を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、現像剤終了判定方法は、静電潜像を担持する像担持体と、像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電させた像担持体を露光して静電潜像を形成させる露光手段と、静電潜像を現像することにより像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、像担持体上のトナー像のトナー付着量を測定する付着量測定手段と、現像手段に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、トナーを収容し、収容したトナーを現像手段に補給するトナー補給手段と、収容したトナーを現像手段に補給できるようにトナー補給手段を駆動させる駆動手段とを備える画像形成装置における前記トナー補給手段の現像剤の終了を判定する方法である。
【0013】
現像剤終了判定方法は、第1パッチ作成工程と、第1付着量測定工程と、バイアス値補正工程と、判断工程と、トナー補給工程と、第2パッチ作成工程と、第2付着量測定工程と、現像剤終了判定工程とを含む。
【0014】
第1パッチ作成工程では、現像手段に所定の現像バイアス値の現像バイアスを印加して、像担持体上にトナー像を形成してトナーパッチを作成する。第1付着量測定工程では、第1パッチ作成工程で作成したトナーパッチのトナー付着量を測定する。バイアス値補正工程では、第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量に基づいて、第1パッチ作成工程で印加する現像バイアス値を補正する。判断工程では、バイアス値補正工程で補正した現像バイアス値の絶対値が所定値以上であるか否かを判断する。トナー補給工程では、判断工程で、前記補正した現像バイアス値の絶対値が前記所定値以上であると判断された場合に、駆動手段によってトナー補給手段を駆動させる。第2パット作成工程では、トナー補給工程の直後に、現像手段に直前の第1パッチ作成工程と同様の現像バイアス値を印加して、像担持体上にトナーパッチを作成する。第2付着量測定工程では、第2パッチ作成工程で作成したトナーパッチのトナー付着量を測定する。現像剤終了判定工程では、第2付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量が、直前の第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量未満の場合に、トナー補給手段に収容されたトナーの量が予め定める量よりも少ないと判定する。
【0015】
このような現像剤終了判定方法であることによって、トナー補給装置または現像装置のどちらにもセンサーを設けることなく、トナー補給装置に収容されたトナーの量が予め定める量よりも少ないことを判定することができるので、トナー補給装置および現像装置を小型化し、画像形成装置を小型化することができるとともに、画像形成装置の設計の自由度を高めることができる。
【0016】
また本発明によれば、第2付着量測定工程の後工程として、第2付着量測定工程で測定されたトナーパッチのトナー付着量を、現像バイアス値に変換する変換工程を含む。そして、現像剤終了判定工程では、第2付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量の代わりに、変換工程で変換された現像バイアス値を用い、直前の第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量の代わりに、第1パッチ作成工程で印加した現像バイアスの現像バイアス値を用いる。
【0017】
トナー付着量の代わりに現像バイアス値を用いて現像剤終了判定を行うことによって、データ処理が簡素化され、演算処理の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の現像剤終了判定方法が実施される画像形成装置100の構成を示す断面図である。
【図2】付着量測定手段34の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に含まれるトナー補給要否判断工程を示すフローチャートである。
【図4】トナーパッチの実際のトナー付着量と、光学反射濃度測定ユニット34によって検出されるセンサー出力値との関係を示すグラフである。
【図5】トナーパッチのトナー付着量と現像バイアス値の補正量との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第1の実施形態に含まれるトナーエンド判定工程を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施形態に含まれるトナーエンド判定工程を示すフローチャートである。
【図8】現像バイアス値とトナーパッチのトナー付着量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の現像剤終了判定方法が実施される画像形成装置100の構成を示す断面図である。本実施形態では、以後、現像剤終了、すなわち、後述するトナー補給装置に収容されたトナーの量が予め定める量よりも少なくなることをトナーエンドと呼ぶ。予め定める量とは、トナー補給装置の容量に対して3%である。なお、トナー補給装置に収容されたトナーの量が予め定める量よりも少なくなることには、トナー補給装置に収容されたトナーがなくなることも含まれる。
【0020】
画像形成装置100は、モノクロ印刷画像を提供するもので、記録媒体(OHP等の記録媒体を含む。)に画像を形成する画像形成モードとしてコピアモード、プリンタモード、FAXモードを有し、各モードはユーザーによって選択され、また両面印刷が可能である。
【0021】
画像形成装置100は、原稿読取部10、給紙部20、画像形成部30、排紙部40および図示しない操作パネル部等から構成される。
【0022】
原稿読取部10は、装置本体の上部に配置され、プラテンガラス11、原稿載置トレイ12およびスキャナ光学系13等から構成される。スキャナ光学系13は、光源14、反射ミラー15A〜15C、光学レンズ16およびCCD(Charge Coupled Device)17を有する。
【0023】
光源14は、プラテンガラス11に載置された原稿または原稿載置トレイ12から原稿搬送路R上を搬送される原稿に光を照射する。反射ミラー15A〜15Cは、原稿からの反射光を反射させて光学レンズ16に導く。光学レンズ16は、反射ミラー15A〜15Cによって導かれた反射光をCCD17に結像する。CCD17は、反射光に応じた電気信号を出力する。
【0024】
給紙部20は、装置本体の下部に配置され、給紙トレイ21およびピックアップローラ22を備えている。給紙トレイ21は、画像形成時に用紙搬送路S1に給紙すべき記録媒体を収納する。ピックアップローラ22は、回転して給紙トレイ21に載置された記録媒体を用紙搬送路S1に給紙する。
【0025】
画像形成部30は、静電潜像を担持する感光体ドラム31と、感光体ドラム31を帯電させる帯電手段である帯電装置32と、帯電させた感光体ドラム31を露光して静電潜像を形成させる露光手段である露光装置(レーザスキャニングユニット、以下LSUと言う)38と、2成分現像剤で静電潜像を現像することにより感光体ドラム31上にトナー像を形成する現像手段である現像装置33と、感光体ドラム31の回転方向に沿って設けられ、感光体ドラム31上のトナー像のトナー付着量を測定する付着量測定手段34と、現像装置33に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段(図示せず)と、現像装置33にトナーを補給するトナー補給手段であるトナー補給装置81と、トナー補給装置81を駆動させる図示しないトナー補給装置駆動手段と、感光体ドラム31上のトナー像を記録媒体に転写する転写装置35と、記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着装置37を備える。
【0026】
図2は、付着量測定手段34の構成を示す図である。本実施形態では、付着量測定手段34として、光学反射濃度測定ユニット34を用いる。光学反射濃度測定ユニット34は、感光体ドラム31に向けて光を照射する発光素子34aと、感光体ドラム31上に作成される、後述するトナーパッチで正反射した光を受光し、受光した光の量に応じた電圧をセンサー出力値として出力する正反射受光素子34bとから構成される。光学反射濃度測定ユニット34は、感光体ドラム31の長手方向一端部に対向するように設けられる。
【0027】
図1に戻って、排紙部40は、給紙トレイ21の上方に配置され、排紙ローラ41、排紙トレイ42を備えている。排紙ローラ41は、用紙搬送路S1上を搬送されてきた記録媒体を排紙トレイ42に排出する。排紙ローラ41は、可逆回転が可能であり、記録媒体の両面に画像形成を行う際、用紙搬送路S1上を搬送されてきた、表面の画像形成が終了した記録媒体を挟持した状態で、該記録媒体を排出する回転方向とは逆方向に回転して用紙搬送路S2に搬送する。これにより、記録媒体の表裏面を反転させて裏面が感光体ドラム31に対向し、裏面にトナー像の転写が行われる。排紙トレイ42は、排紙ローラ41から排出された記録媒体を積層して収納する。
【0028】
このような画像形成装置100において、操作パネル部に設けられたスタートキーが押下されると、画像形成装置100は、ピックアップローラ22を回転させて用紙搬送路S1に記録媒体を給紙する。給紙された記録媒体は、用紙搬送路S1上に設けられたレジストローラ45に搬送される。
【0029】
レジストローラ51は、記録媒体の先端部が到達した時には回転を停止している。レジストローラ45は、記録媒体の先端部が感光体ドラム31と転写装置35との間で感光体ドラム31上に形成されるトナー像の先端部に一致するタイミングで回転を開始する。
【0030】
原稿読取部10によって読み取られた画像データは、操作パネル部から入力された条件で画像処理が施された後、LSU38にプリントデータとして送信される。LSU38は、帯電装置32によって所定の電位に帯電された感光体ドラム31表面に、図示しないポリゴンミラーおよび各種レンズを介して上記画像データに基づいたレーザ光を照射して静電潜像を形成する。その後、現像バイアス印加手段で現像バイアスを印加することによって、現像装置33に設けられたMGローラ33Aの表面に付着しているトナーが、感光体ドラム31表面上の電位ギャップに応じて感光体ドラム31表面に引き寄せられて付着し、静電潜像がトナー像に顕像化される。なお、現像バイアス印加手段で印加される現像バイアスの現像バイアス値は、後述するトナー補給要否判断工程において、現像装置33に収容されているトナーの量に応じて変更される。
【0031】
感光体ドラム31の表面のトナー像は、転写装置35によって記録媒体に転写される。この転写工程後に感光体ドラム31上に残留したトナーは、クリーニングユニット36によって回収される。回収されたトナーは、トナーリサイクルに利用される。具体的には、クリーニングユニット36から回収トナー搬送部(搬送パイプ)80を経由して、トナー補給装置(トナーホッパー)81へトナーが投入される。
【0032】
転写工程を終了した記録媒体は、定着装置37を通過することで熱と圧力が加えられるとともにトナー像を構成するトナーが溶融・固着された後、排紙ローラ41によって排紙トレイ42に排出される。
【0033】
図示しない制御部は、画像形成装置100における画像形成動作を統括的に制御する。制御部は、画像形成装置100に記憶されている各種プログラムを読み出し、実行することにより各処理を実現する。ここで、制御部は、たとえば演算を行うCPU(Central
Processing Unit)により構成されている。
【0034】
このような画像形成装置100を用いるトナー補給装置81のトナーエンド判定方法は、トナー補給装置81から現像装置33へのトナーの補給が必要か否か判断するトナー補給要否判断工程と、トナー補給装置81のトナーエンドを判定するトナーエンド判定工程とを含む。
【0035】
(第1実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態に含まれるトナー補給要否判断工程を示すフローチャートである。トナー補給要否判断工程を行うトナー補給要否判断プログラムは、予め定められた間隔(電源ON時や画像形成動作回数)で実施される。
【0036】
ステップS1の第1パッチ作成工程では、制御部は、所定の現像バイアス値を印加して、感光体ドラム31上に、たとえば1cm×1cmの正方形のトナー像を形成することによって、トナーパッチを作成する。トナーパッチは、光学反射濃度測定ユニット34と対向する、感光体ドラム31の長手方向一端部に作成される。所定の現像バイアス値は、後述する目標値のトナーをトナーパッチに付着させることができる値であれば特に限定されないが、本実施形態では−400Vである。すなわち、感光体ドラム31上にトナー像を形成する際に印加する、現在設定されている現像バイアスの現像バイアス値は、−400Vである。
【0037】
ステップS2の第1付着量測定工程では、制御部は、光学反射濃度測定ユニット34を用いて、ステップS1の第1パッチ作成工程で作成したトナーパッチのトナー付着量T1を測定する。
【0038】
図4は、トナーパッチの実際のトナー付着量と、光学反射濃度測定ユニット34によって検出されるセンサー出力値との関係を示すグラフである。X軸がトナー付着量(mg/cm)を示し、Y軸がセンサー出力値(V「ボルト」)を示す。図4は、感光体ドラム31上のトナーパッチに光学反射濃度測定ユニット34の発光素子34aから光を照射して、正反射した光を正反射受光素子34bで受光することで検出されたセンサー出力値と、トナーパッチの実際のトナー付着量との関係を予め実験的に求めたものである。トナーパッチの実際のトナー付着量は、トナーパッチを構成しているトナーの重量を測定し、その重量を、トナーパッチの面積で割ることで求めることができる。トナーパッチを構成しているトナーの重量は、トナーパッチが形成された感光体ドラム31から吸引機能を有する装置を用いてトナーを吸引し、吸引したトナーをフィルターに付着させ、そのフィルターの重量を測定し、この重量から、予め測定しておいた、トナーを付着させる前のフィルターの重量を引くことで求めることができる。
【0039】
図4のグラフの、トナー付着量が0.3mg/cm以上0.7mg/cm以下の範囲内において、トナー付着量とセンサー出力値との関係は下記式(1)で近似される。
Y=aX・X+bX+c …(1)
Y:センサー出力値(V)
X:トナー付着量(mg/cm
【0040】
このように、トナーパッチのトナー付着量と光学反射濃度測定ユニット34で検出されるセンサー出力値とは上記の関係式が成り立つことから、光学反射濃度測定ユニット34を用いてトナーパッチのトナー付着量を算出することができる。
【0041】
ステップS3のバイアス値補正工程では、制御部は、トナーパッチのトナー付着量が目標値となるように、感光体ドラム31上にトナー像を形成する際に印加する、現在設定されている現像バイアスの現像バイアス値を補正する。トナーパッチのトナー付着量は、現像バイアス値および現像装置33に収容されているトナーの量によって変動し、印加する現像バイアス値が同じであっても、現像装置33に収容されているトナーの量が少ないほど減少する。そのため、トナーパッチのトナー付着量を一定に維持するためには、現像装置33に収容されているトナーが画像形成に使用されて減少すると、現像バイアス値を大きくする必要がある。
【0042】
トナーパッチのトナー付着量は、画像形成のために感光体ドラム31上に形成されるトナー像である画像形成トナー像のトナー付着量に等しい。すなわち、トナーパッチのトナー付着量が少なければ、画像形成トナー像のトナー付着量も少なく、トナーパッチのトナー付着量が多ければ、画像形成トナー像のトナー付着量も多い。次にトナー補給判断工程が行われるまで、画像形成トナー像を形成するために印加する現像バイアス値は、本ステップで補正した後の現像バイアス値が用いられる。そのため、現像装置33に収容されているトナーの量に対応して現像バイアス値を補正することによって、長期間にわたって、画像濃度の均一な画像を形成することができる。トナーパッチのトナー付着量の目標値は、充分な画像濃度の画像を形成できれば特に限定されないが、本実施形態では、0.5mg/cmである。
【0043】
図5は、トナーパッチのトナー付着量と現像バイアス値の補正量との関係を示すグラフである。X軸がトナー付着量(mg/cm)を示し、Y軸が現像バイアス値補正量(V)を示す。図5のグラフは、トナーパッチのトナー付着量の目標値が0.5mg/cmの場合のグラフであり、現像バイアス値とトナー付着量との関係を予め測定した上で、トナーパッチのトナー付着量が目標値に近づくように、トナーパッチのトナー付着量と現像バイアス値補正量との関係を求めたものである。
【0044】
トナー付着量が0.3mg/cm以上0.7mg/cm以下の範囲内において、トナーパッチのトナー付着量と現像バイアス値補正量との関係は、下記式(2)で1次近似される。
Y=1000X−500 …(2)
X:トナー付着量(mg/cm
Y:現像バイアス補正量(V)
【0045】
図5を用いて具体的に説明すると、ステップS1で印加した現像バイアス値は−400Vであり、ステップS2で測定された、−400Vの現像バイアス値を印加することで作成されたトナーパッチのトナー付着量が0.4mg/cmであったとする。
【0046】
この場合、トナーパッチのトナー付着量を目標値の0.5mg/cmとするためには、現像バイアス値補正量が−100Vとなり、補正後の現像バイアス値として(−400)V+(−100)V=−500Vが算出される。
【0047】
ステップS4の判断工程では、制御部は、ステップS3で算出した補正後の現像バイアス値Vの絶対値が、予め定める閾値V以上であるか否か判断する。
【0048】
本実施形態では、現像装置33に収容されているトナーの量が少なくなるほど、現像バイアス値が大きくなる。ステップS3で算出した補正後の現像バイアス値Vの絶対値が、予め定める閾値V以上であるか否か判断することによって、現像装置33に収容されているトナーの量が、トナー補給が必要なほど少なくなっているか否か判断することができる。
【0049】
閾値Vは、トナーパッチのトナー付着量が好ましい量よりも少なくなる前にトナー補給ができる値であれば特に限定されず、本実施形態では、600Vである。
【0050】
補正後の現像バイアス値Vの絶対値が、予め定める閾値V以上であれば、Aに進む。この場合は、現像装置33に収容されているトナーの量が少なくなってきており、トナー補給装置81から現像装置33へのトナー補給が必要である。
【0051】
補正後の現像バイアス値Vが、予め定める閾値V未満であれば、トナー補給要否判断工程を終了する。この場合は、現像装置33に収容されているトナーの量が充分であり、トナー補給装置81から現像装置33へのトナー補給は不要である。
【0052】
なお、トナー補給装置81から現像装置33へのトナー補給が行われることなく、次にトナー補給要否判断工程を行う場合、ステップS1の第1パッチ作成工程では、前回のトナー補給要否判断工程におけるステップS3のバイアス値補正工程で補正された現像バイアス値を印加してトナーパッチを作成する。
【0053】
図6は、本発明の第1の実施形態に含まれるトナーエンド判定工程を示すフローチャートである。
【0054】
図3に示すフローチャートのステップS4で、補正後の現像バイアス値Vの絶対値が予め定める閾値V以上であれば、ステップS5に進み、トナーエンド判定工程が開始される。そのため、トナーエンド判定工程が行われるまでに、トナー補給要否判断工程が複数回行われることがある。
【0055】
ステップS5のトナー補給工程では、制御部は、トナー補給装置駆動手段によって、トナー補給装置81から現像装置33へのトナー補給動作を行い、ステップS6に進む。本実施形態において、トナー補給動作とは、トナー補給装置81が現像装置33にトナーを補給するための機械的動作(トナー補給装置の回転動作など)を行うようにトナー補給装置駆動手段を動作させることであって、この動作によって現像装置33に実際にトナーが補給されることを意味しない。
【0056】
たとえば、トナー補給装置81が、自身の回転によりトナーを補給するトナーボトルである場合、トナー補給装置駆動手段はトナーボトルを回転させるモータである。トナーボトルにトナーが充分に収容されている状態でモータによりトナーボトルを回転させると、現像装置33に実際にトナーが補給される。トナーボトルに収容されたトナーの量が予め定める量よりも少ない場合(トナーがない場合も含む)は、モータによってトナーボトルを回転させても、トナーは実際には現像装置33に補給されない。トナー補給動作の時間は特に限定されないが、本実施形態では、30秒間である。
【0057】
ステップS6の第2パッチ作成工程では、ステップS1と同様にして、感光体ドラム31上にトナーパッチを作成する。その後、ステップS7に進む。なお、トナーエンド判定工程が行われるまでに、トナー補給要否判断工程が複数回行われている場合、ここで印加する現像バイアスの現像バイアス値は、直前のトナー補給要否判断工程のステップS1での現像バイアス値が用いられる。
【0058】
ステップS7の第2付着量測定工程では、ステップS2と同様にして、トナーパッチのトナー付着量T2を測定する。その後、ステップS8に進む。
【0059】
ステップS8の判定工程では、制御部は、ステップS7で測定したトナー付着量T2が、ステップS2で測定したトナー付着量T1以上であるか否か判断することによって、トナー補給装置81のトナーエンドを判定する。なお、トナーエンド判定工程が行われるまでに、トナー補給要否判断工程が複数回行われている場合、ここで比較に用いられるトナー付着量T1は、直前のトナー補給要否判断工程のステップS2でのトナー付着量T1である。
【0060】
トナー付着量T2がトナー付着量T1以上であれば、トナーエンド判定処理を終了する。この場合は、トナー補給動作後において、トナー補給動作前と同じ現像バイアス値の現像バイアスを印加して作成したトナーパッチのトナー付着量が、トナー補給動作前と同じまたは増加していることから、トナー補給装置81から現像装置33へトナーが補給されており、トナー補給装置81にトナーが収容されていることを示す。
【0061】
トナー付着量T2がトナー付着量T1未満であれば、トナーエンドと判定され、ステップS9に進む。この場合は、トナー補給動作後において、トナー補給動作前と同じ現像バイアス値の現像バイアスを印加して作成したトナーパッチのトナー付着量が、トナー補給動作前よりも減少していることから、トナー補給装置81から現像装置33へトナーが補給されず、トナー補給装置81に収容されていたトナーがなくなったことを示す。
【0062】
ステップS9のトナーエンド表示工程では、制御部は、画像形成装置100の図示しない操作パネル部にトナーエンドを表示し、画像形成動作を中断する。これによって、トナーエンド判定工程が終了する。なお、トナーエンド判定工程後、1番最初に行われるトナー補給要否判定工程において、ステップS1では、前記所定の現像バイアス値の現像バイアスが印加される。
【0063】
このように、本実施形態では、トナー補給装置81または現像装置33のどちらにもセンサーを設けることなく、トナー補給装置81のトナーエンドを判定することができるので、トナー補給装置81および現像装置33を小型化し、画像形成装置100を小型化することができるとともに、画像形成装置100の設計の自由度を高めることができる。
【0064】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態であるトナー補給装置81のトナーエンド判定方法は、トナー補給要否判断工程と、トナーエンド判定工程とを含む。第2の実施形態のトナー補給要否判断工程は、第1の実施形態と同様なので記載を省略する。
【0065】
図7は、本発明の第2の実施形態に含まれるトナーエンド判定工程を示すフローチャートである。本実施形態に含まれるトナーエンド判定工程も、第1の実施形態に含まれるトナーエンド判定工程と同様に、トナー補給要否判断工程でトナー補給が必要であると判断されるとステップS15に進み、開始される。
【0066】
ステップS15〜S17は、第1の実施形態のトナーエンド判定工程におけるステップS5〜S7と同様である。
【0067】
ステップS18の変換工程では、ステップS17で測定したトナー付着量を、現像バイアス値Vに変換する。その後、ステップS19に進む。ここでトナー付着量から変換される現像バイアス値Vは、現像装置33にトナーが充分に収容されている状態において、トナーパッチのトナー付着量を、ステップS17で測定されたトナー付着量とするために必要な現像バイアス値である。図8は、現像バイアス値とトナーパッチのトナー付着量との関係を示すグラフである。図8のグラフは、トナーパッチを作成する際に印加する現像バイアス値とトナー付着量との関係を予め測定して作成したものである。このグラフは、現像装置33にトナーが充分に収容されている状態で作成される。トナーパッチのトナー付着量が0.2mg/cm以上0.6mg/cm以下の範囲内において、現像バイアス値とトナーパッチのトナー付着量との関係は、下記式(3)で1次近似される。
Y=dX+e …(3)
Y:トナー付着量(mg/cm
X:現像バイアス値V(V)
【0068】
このように、トナーパッチのトナー付着量と現像バイアス値Vとは上記の関係式が成り立つことから、トナーパッチのトナー付着量に基づいて、現像バイアス値Vを算出することができる。
【0069】
図8を用いて具体的に説明すると、ステップS17で測定されたトナー付着量が0.5mg/cmであるとき、現像バイアス値Vとしては−500Vが求められる。
【0070】
ステップS19の判定工程では、ステップS18で求めた現像バイアス値Vの絶対値が、直前のトナー補給要否判断工程のステップS1で印加した現像バイアスの現像バイアス値Vの絶対値以上であるか否か判断することによって、トナー補給装置81のトナーエンドを判定する。
【0071】
本実施形態では、現像装置33に収容されているトナーの量が少なくなるほど、現像バイアス値が大きくなる。ステップS18で求めた現像バイアス値Vの絶対値が、直前のトナー補給要否判断工程のステップS1で印加した現像バイアスの現像バイアス値Vの絶対値以上であるか否か判断することによって、トナー補給装置81にトナーが収容されているか否か判断することができる。
【0072】
現像バイアス値Vの絶対値が現像バイアス値Vの絶対値以上であれば、トナーエンド判定処理を終了する。この場合は、トナー補給動作後において、トナー補給動作前と同じ現像バイアス値の現像バイアスを印加して作成したトナーパッチのトナー付着量が、トナー補給動作前と同じまたは増加していることから、トナー補給装置81から現像装置33へトナーが補給されており、トナー補給装置81にトナーが収容されていることを示す。
【0073】
現像バイアス値Vの絶対値が現像バイアス値Vの絶対値未満であれば、トナーエンドと判定され、ステップS20に進む。この場合は、トナー補給動作後において、トナー補給動作前と同じ現像バイアス値の現像バイアスを印加して作成したトナーパッチのトナー付着量が、トナー補給動作前よりも減少していることから、トナー補給装置81から現像装置33へトナーが補給されず、トナー補給装置81に収容されていたトナーがなくなっていることを示す。
【0074】
ステップS20のトナーエンド表示工程は、ステップS9と同様である。これによって、トナーエンド判定工程が終了する。
【0075】
このように、トナーパッチのトナー付着量の代わりに現像バイアス値を用いてトナーエンド判定を行うことによって、トナー補給装置81または現像装置33のどちらにもセンサーを設けることなく、トナー補給装置81のトナーエンドを判定することができるので、トナー補給装置81および現像装置33を小型化できるとともに、画像形成装置100の設計の自由度を高めることができるだけでなく、データ処理が簡素化され、演算処理の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 原稿読取部
11 プラテンガラス
12 原稿載置トレイ
13 スキャナ光学系
14 光源
15A〜15C 反射ミラー
16 光学レンズ
17 CCD
20 給紙部
21 給紙トレイ
22 ピックアップローラ
30 画像形成部
31 感光体ドラム
32 帯電装置
33 現像装置
34 付着量測定手段
34a 発光素子
34b 正反射受光素子
35 転写装置
37 定着装置
38 露光装置
40 排紙部
81 トナー補給装置
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する像担持体と、像担持体を帯電させる帯電手段と、帯電させた像担持体を露光して静電潜像を形成させる露光手段と、静電潜像を現像することにより像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、像担持体上のトナー像のトナー付着量を測定する付着量測定手段と、現像手段に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段と、トナーを収容し、収容したトナーを現像手段に補給するトナー補給手段と、収容したトナーを現像手段に補給できるようにトナー補給手段を駆動させる駆動手段とを備える画像形成装置における前記トナー補給手段の現像剤終了判定方法において、
現像手段に所定の現像バイアス値の現像バイアスを印加して、像担持体上にトナー像を形成してトナーパッチを作成する第1パッチ作成工程と、
第1パッチ作成工程で作成したトナーパッチのトナー付着量を測定する第1付着量測定工程と、
第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量に基づいて、第1パッチ作成工程で印加する現像バイアス値を補正するバイアス値補正工程と、
バイアス値補正工程で補正した現像バイアス値の絶対値が所定値以上であるか否かを判断する判断工程と、
判断工程で、前記補正した現像バイアス値の絶対値が前記所定値以上であると判断された場合に、前記駆動手段によってトナー補給手段を駆動させるトナー補給工程と、
トナー補給工程の直後に、現像手段に直前の第1パッチ作成工程と同様の現像バイアス値を印加して、像担持体上にトナーパッチを作成する第2パッチ作成工程と、
第2パッチ作成工程で作成したトナーパッチのトナー付着量を測定する第2付着量測定工程と、
第2付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量が、直前の第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量未満の場合に、トナー補給手段に収容されたトナーの量が予め定める量よりも少ないと判定する現像剤終了判定工程と、を含むことを特徴とする現像剤終了判定方法。
【請求項2】
第2付着量測定工程の後工程として、第2付着量測定工程で測定されたトナーパッチのトナー付着量を、現像バイアス値に変換する変換工程を含み、
現像剤終了判定工程では、第2付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量の代わりに、変換工程で変換された現像バイアス値を用い、直前の第1付着量測定工程で測定したトナーパッチのトナー付着量の代わりに、第1パッチ作成工程で印加した現像バイアスの現像バイアス値を用いることを特徴とする請求項1に記載の現像剤終了判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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