説明

現像装置、およびそれを備えた画像形成装置

【課題】現像ローラーと磁気ローラーとを備える現像装置において、現像ローラーに残留するトナーを磁気ローラー側に回収するとともに、回収したトナーの磁気ローラー上への堆積を防止する
【解決手段】現像動作が行われていない所定のタイミングで、制御部90は、交流成分を備えた回収バイアスBrを印加し、現像ローラー83から磁気ローラー82にトナーを回収する回収動作を実行する。制御部90は、回収動作の実行に先立ち、最新の現像バイアスの設定値を確認し、確認された現像バイアスに対応した回収バイアスBrの値を決定する。この際、回収バイアスBrを構成する交流バイアスのうち、トナーが現像ローラーから磁気ローラーに移動する側の極性のDuty比成分が変更可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター等の画像形成装置に用いられる現像装置に関し、特に、キャリアおよびトナーを含む2成分現像剤を採用した現像装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置は、像担持体(例えば、感光体ドラムや転写ベルト)上に形成された静電潜像に現像剤を供給して該静電潜像を現像することにより、像担持体上にトナー像を形成する。前記現像を行う方式の一つとして、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む二成分現像剤を用いたタッチダウン現像方式が知られている。この場合、磁気ローラー上に二成分現像剤層(いわゆる磁気ブラシ層)が担持され、現像ローラー上に前記二成分現像剤層からトナーを受け取ってトナー層が担持される。更に、該トナー層から像担持体にトナーが供給されることで前記静電潜像が可視化される。
【0003】
タッチダウン現像方式が採用された現像装置において、像担持体側に供給されなかったトナーが現像ローラーのトナー層中に滞留すると、次の現像時にトナーが十分現像されず、濃度低下をもたらしてしまう。これを防止するために、現像ローラーに補助電極を備え、この補助電極が磁気ローラー側にトナーを回収させる技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、現像ローラーと磁気ローラーとの間に、現像時とは逆極性のバイアスを印加することで、滞留したトナーを磁気ローラー側に回収する技術が知られている(例えば特許文献2乃至4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−67546号公報
【特許文献2】特開2000−66508号公報
【特許文献3】特開2003−345134号公報
【特許文献4】特開2005−55837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、磁気ローラー側へのトナーの一時的な回収は可能となるが、補助電極がトナーで汚染されると、その回収性が低下することがある。また、特許文献2乃至4に記載の技術は、いずれも現像時とは逆極性のバイアスがトナー回収時に印加されているため、磁気ローラー側に大量のトナーが堆積しやすい。この結果、磁気ローラーの見かけの表面電位が変化するため、次の現像時に濃度低下などの問題が生じることがある。
【0006】
このように、現像ローラー上に残留するトナーの回収が不十分であった場合、像担持体への現像が十分行われず、画像欠陥を生じることとなる。また、回収したトナーが磁気ローラー上に多く堆積すると、次の現像動作時の電位に影響を与え、結果的に濃度低下を引き起こすことがある。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、現像ローラーに残留するトナーの磁気ローラー側への回収性を向上させるとともに、回収したトナーの磁気ローラー上での堆積を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る現像装置は、トナーおよびキャリアを含む現像剤を貯留する現像ハウジングと、所定の方向に回転しつつ前記現像ハウジング内の現像剤を受け取って、現像剤層を担持する現像剤担持体と、前記現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持し、表面に静電潜像が形成され前記トナーによって顕在化されるトナー像を担持する像担持体に、該トナーを供給するトナー担持体と、前記現像剤担持体及び前記トナー担持体の少なくとも一方にバイアスを印加し、両者間に所定の電位差を形成するバイアス印加手段と、前記現像剤担持体から前記トナー担持体にトナーが供給される現像動作時に、前記バイアス印加手段に現像バイアスを印加させるとともに、前記トナー担持体に担持されたトナーを前記現像剤担持体へ強制的に戻す回収動作時に、前記バイアス印加手段に回収バイアスを印加させるバイアス制御手段と、前記現像動作時および前記回収動作時に、前記現像剤担持体および前記トナー担持体を回転駆動させる回転駆動手段と、を有し、前記バイアス制御手段は、現像条件の変化に応じて、前記現像バイアスを変更するとともに、該現像バイアスを増大させるに伴って、回収動作時のトナーの回収性能が増大するように前記回収バイアスを制御することを特徴とする。
【0009】
本構成によれば、例えば、耐久(装置の使用)に応じて、現像条件が変化した場合であっても、バイアス制御手段がバイアス印加手段を制御して、現像バイアスを変更する。更に、バイアス制御手段は、現像バイアスが増大するように変更された場合、トナーの回収性能が増大するように回収バイアスを制御する。これによって、現像条件の変化に応じて、トナーの回収性能が調整されるため、トナー担持体から現像剤担持体へのトナー回収を安定的に実施することができる。特に、装置の使用によって、トナーがチャージアップした場合でも、トナーの回収性能が増大するように制御されるため、トナー担持体にトナーが残存し蓄積することが防止される。
【0010】
上記の構成において、前記バイアス印加手段は、直流バイアスに交流バイアスを重畳して前記回収バイアスを形成するものであり、前記バイアス制御手段は、前記現像条件の変化に応じて、前記現像バイアスを増大させるに伴って、前記回収バイアスを構成する前記交流バイアスにおける、前記トナーが前記トナー担持体から前記現像剤担持体に移動する側の極性のDuty比を増加させることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、電位差が増大するように現像バイアスが変更されるに伴って、バイアス制御手段が回収バイアスを構成する交流バイアスのDuty比を変更する。この際、トナーがトナー担持体から現像剤担持体に移動する側の極性のDuty比を増加させるため、トナーの回収性能が増大する。このため、トナーがチャージアップした場合でも、トナー回収性能が増大し、トナー担持体に小粒径トナーなどの特定のトナーが残存し蓄積することが防止される。
【0012】
上記の構成において、前記バイアス制御手段は、前記回収動作時の前記現像剤担持体の回転に伴って、前記トナーの回収性能が低下するように前記回収バイアスを制御することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、回収動作中の現像剤担持体の回転に伴って、トナーの回収性能が低下するよう、バイアス印加手段が制御される。このため、現像剤担持体1回転あたりのトナー回収量が減少し、現像剤担持体にトナーが過剰に堆積することを防ぐことが可能となる。
【0014】
上記の構成において、前記バイアス印加手段は、直流バイアスに交流バイアスを重畳して前記回収バイアスを形成するものであり、前記バイアス制御手段は、回収動作時の前記現像剤担持体の回転に伴って、前記回収バイアスを構成する前記交流バイアスにおける、前記トナーが前記トナー担持体から前記現像剤担持体に移動する側の極性のDuty比を減少させることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、回収動作中の現像剤担持体の回転に伴って、回収バイアスを構成する交流バイアスのDuty比が変更される。この際、トナーがトナー担持体から現像剤担持体に移動する側の極性のDuty比が減少されるため、現像剤担持体の回転に伴って、トナーの回収性能が低下する。このため、現像剤担持体1回転あたりのトナー回収量が減少し、現像剤担持体にトナーが過剰に堆積することを防ぐことが可能となる。
【0016】
上記の構成において、前記回転駆動手段は、前記回収動作時に、前記現像剤担持体を複数回、回転させ、前記バイアス制御手段は、前記現像剤担持体の1回転単位で、前記回収動作時の前記回収バイアスを制御することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、回収動作時に、現像剤担持体が複数回、回転され、回収期間を十分確保することができる。この際、1回転単位で回収性能が低下するように、回収バイアスが制御されるため、トナー担持体の周面から均一にトナーを回収することができる。
【0018】
上記の構成において、前記回転駆動手段は、前記回収動作時に前記現像剤担持体を3回転以上、回転駆動させることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、現像剤担持体へのトナーの過剰な堆積を防止するために、トナーの回収性能が低下するように制御された場合であっても、現像剤担持体が3回転以上回転され、回収期間を十分確保することができる。
【0020】
上記の構成において、前記バイアス制御手段は、前記回収動作中の前記現像剤担持体の回転に伴って、前記回収バイアスが、前記回転単位で、間欠的に印加されるよう、前記バイアス印加手段を制御することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、回収動作中に、回収バイアスが印加されない状態で、現像剤担持体を回転させることが可能となる。このため、回収したトナーを随時現像剤担持体外に移動させることができ、現像剤担持体にトナーが過剰に堆積することを防ぐことができる。
【0022】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、静電潜像及び前記トナー担持体から供給されたトナーが形成するトナー像を担持する像担持体と、上記の何れか1に記載の現像装置と、を有することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、トナー担持体に小粒径トナーが蓄積することを防止することができ、大粒径トナーがトナー担持体から像担持体側に選択的に現像されることを防止することができる。したがって、選択的な現像によって引き起こされる画像上の濃度低下を抑制することが可能となる。更に、現像剤担持体に回収したトナーが過剰に堆積することによって生じる画像上の濃度低下を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、トナー担持体に残留するトナーの現像剤担持体側への回収性を向上させるとともに、回収したトナーの現像剤担持体上での堆積を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る現像装置の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る現像装置内の構造を示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電気的構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る現像動作を示した模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る現像バイアス調整動作のフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る回収動作を示した模式図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る回収モード判定のフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る回収モードのタイミングチャートである。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る回収バイアス調整動作のフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る回収バイアスの波形を示した模式図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る回収バイアスの波形を示した模式図である。
【図13】本発明の実施例および比較例における回収バイアスの波形を示した模式図である。
【図14】本発明の実施例および比較例における画像濃度の推移を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として、プリンター機能と複写機能とを備えた複合機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置であってもよい。
【0027】
<画像形成装置の説明>
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40又は給紙トレイ46から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
【0028】
自動原稿給送装置(ADF)20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。ADF20は、装置本体10における所定の原稿読取位置に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置に載置する場合は、ADF20は上方に開かれる。ADF20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0029】
読取ユニット25は、装置本体10の上面のADF20から自動給送される原稿シート又は手置きされる原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
【0030】
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
【0031】
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321(像担持体)と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
【0032】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0033】
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、スクリューフィーダー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。この現像装置324の詳細については、後記で詳細に説明する。
【0034】
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0035】
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332及び従動ローラー333を備える。中間転写ベルト331は、駆動ローラー332及び従動ローラー333に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される。中間転写ユニット33は図1では反時計回りに回転される。
【0036】
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部となる。駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。また、駆動ローラー332よりも、中間転写ベルト331の回転方向上流側の位置には、中間転写ベルト331の周面に対向する位置に、濃度センサー35Aが対向配置されている。濃度センサー35Aは、中間転写ベルト331上に形成された画像の濃度に応じた電気信号を出力する。
【0037】
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
【0038】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。
【0039】
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64及び誘導加熱ユニット65を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
【0040】
<現像装置の構成>
続いて、現像装置324について詳細に説明する。図2は、現像装置324の内部構造を概略的に示す垂直方向の断面図、図3は、現像装置324の水平方向の断面図である。現像装置324は、該現像装置324の内部空間を画定する現像ハウジング80を含む。この現像ハウジング80には、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留する現像剤貯留部81が備えられている。また、現像ハウジング80の内部には、現像剤貯留部81の上方に配置された磁気ローラー82(現像剤担持体)と、磁気ローラー82の斜め上方位置で磁気ローラー82に対向配置された現像ローラー83(トナー担持体)と、磁気ローラー82に対向配置された現像剤規制ブレード84とが配設されている。
【0041】
現像剤貯留部81は、現像装置324の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室81a,81bを含む。現像剤貯留室81a,81bは、現像ハウジング80に一体に形成され長手方向に延びる仕切り板801によって互いに仕切られているが、図3に示すように、長手方向における両端部において連通路803、804によって互いに連通されている。各現像剤貯留室81a,81bには、軸回りに回転することにより現像剤を攪拌及び搬送するスクリューフィーダー85,86が収容されている。スクリューフィーダー85,86は、図略の駆動機構により回転駆動されるが、その回転方向が互いに逆方向に設定されている。これにより現像剤は、図3に矢印で示すように、現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81b間を攪拌されつつ循環搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが例えばプラスに帯電される。
【0042】
磁気ローラー82は、現像装置324の長手方向に沿って配設されており、図2では時計方向に回転可能である。磁気ローラー82の内部には、固定式の所謂磁石ロール(図示せず)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、本実施形態では汲上極821、規制極822及び主極823を有する。汲上極821は現像剤貯留部81に対向し、規制極822は現像剤規制ブレード84に対向し、主極823は現像ローラー83に対向している。
【0043】
磁気ローラー82は、汲上極821の磁力によって現像剤貯留部81から現像剤をその周面82A上に磁気的に汲み上げる(受け取る)。汲み上げられた現像剤は、磁気ローラー82の周面82A上に磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として保持され、磁気ローラー82の回転に伴って現像剤規制ブレード84に向けて搬送される。
【0044】
現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の回転方向から見て現像ローラー83よりも上流側に配置され、磁気ローラー82の周面82Aに磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像ハウジング80の適所に固定された所定の支持部材841によって支持されている。また、現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の周面82Aとの間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面842(つまり現像剤規制ブレード84の先端面)を有する。
【0045】
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の規制極822によって磁化される。これにより、現像剤規制ブレード84の規制面842と規制極822との間には、すなわち規制ギャップGには、磁路が形成される。汲上極821によって磁気ローラー82の周面82A上に付着した現像剤層が、磁気ローラー82の回転に伴って規制ギャップG内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制される。これにより、周面82A上には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
【0046】
現像ローラー83は、現像装置324の長手方向に沿って、且つ、磁気ローラー82に対して平行に延びるように配設されており、図2では時計方向に回転可能である。現像ローラー83は、磁気ローラー82の周面82A上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持する周面83Aを有する。現像動作が行なわれる現像時には、前記トナー層のトナーが感光体ドラム321の周面に供給される。
【0047】
現像ローラー83および磁気ローラー82は、駆動部962(回転駆動手段)によって回転駆動される。現像ローラー83の周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの間には、所定の寸法の隙間Sが形成されている。隙間Sは例えば約130μmに設定されている。現像ローラー83は、現像ハウジング80に形成された開口を通して感光体ドラム321に臨むように配置され、周面83Aと感光体ドラム321の周面との間にも所定の寸法の隙間が形成されている。
【0048】
<電気的構成、ブロック図>
続いて、画像形成装置1の主要な電気的構成について説明する。画像形成装置1は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部90を備える。図4は、制御部90の機能ブロック図である。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部90には、前述の画像形成部30に加え、第1印加部88(バイアス印加手段)、第2印加部89(バイアス印加手段)、駆動部962(回転駆動手段)、濃度センサー35A、画像メモリー963、I/F964などが電気的に接続されている。
【0049】
第1印加部88は、直流電源と交流電源とから構成され、バイアス制御部94(バイアス制御手段)からの制御信号に基づき、現像装置324内の磁気ローラー82にバイアスを印加する。同様に、第2印加部89は、直流電源と交流電源とから構成され、バイアス制御部94からの制御信号に基づき、現像装置324内の現像ローラー83にバイアスを印加する。
【0050】
駆動部962は、モーター及びそのトルクを伝達するギア機構からなり、制御部90からの制御信号に応じて、後記の現像動作及び回収動作時に、現像装置324内の現像ローラー83、磁気ローラー82およびスクリューフィーダー85、86などを回転駆動させる。
【0051】
濃度センサー35Aは、中間転写ベルト331上に形成されたトナー像の画像濃度を検知し、電気信号に変換する。濃度センサー35Aは、回転駆動された中間転写ベルト125のベルト表面に光を発光する発光部と、該ベルト表面からの反射光を受光する受光部とを備える(不図示)。濃度センサー35Aから出力された画像濃度に関する情報は、バイアス制御部94によって参照され、後記する現像バイアス調整動作に反映される。
【0052】
画像メモリー963は、当該画像形成装置1がプリンターとして機能する場合に、例えばパーソナルコンピューターなどの外部機器から与えられる印刷用画像データを一時的に記憶する。また、画像メモリー963は、画像形成装置1が複写機として機能する場合には、ADF20により光学的に読み取られた画像データを一時的に記憶する。
【0053】
I/F964は、外部機器とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路であり、例えば画像形成装置1と外部機器とを接続するネットワークの通信プロトコルに従った通信信号を作成すると共に、ネットワーク側からの通信信号を画像形成装置1が処理可能な形式のデータに変換する。パーソナルコンピューター等から送信される印刷指示信号はI/F964を介して制御部90に与えられ、また画像データは、I/F964を介して画像メモリー963に記憶される。
【0054】
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、モード判定部91、時間積算部92、濃度情報記憶部93、バイアス制御部94(バイアス制御手段)及び電位差記憶部95を備えるように機能する。
【0055】
モード判定部91は、回収モードを実行させるか否かの判定動作を実行する。本実施形態では、現像条件に応じて、回収モード1または回収モード2が選択、実行される。回収モード1は、現像ローラー83および磁気ローラー82の回転時間において1回転分、現像ローラー83上のトナーを磁気ローラー82側に回収する。回収モード2は、現像ローラー83および磁気ローラー82の2回転以上の周回に対して、現像ローラー83上のトナーを磁気ローラー82側に回収する。モード判定部91は、現像条件を推定するために、時間積算部92が積算する現像ローラー83の低印字率の駆動累積時間Tを参照し、その値の大小に応じて、回収モードの実行要否を判定する。
【0056】
時間積算部92は、現像条件を推定するために、現像ローラー83の低印字率の駆動累積時間Tを積算し、一時的に記憶する。ここで、低印字率の駆動累積時間Tとは、現像ローラー83の回転において、低印字率の画像を作像する際の回転時間を意味する。時間積算部92は、低印字率の画像把握のために、画像メモリー963から画像情報を受け取り、予め定められた印字率以下の場合にのみ、現像ローラー83の回転時間を積算する。低印字率の駆動累積時間Tは、後記の回収モード2が実行されると、ゼロリセットされる。
【0057】
濃度情報記憶部93は、現像バイアス調整動作において、濃度センサー35Aが検出した中間転写ベルト331上の画像濃度情報と比較される濃度閾値D1、D2を予め格納している。濃度閾値D1、D2は、中間転写ベルト331上に作成された基準画像の濃度と比較されるための許容上下限の閾値である。該比較結果に応じて、画像濃度の濃さが判定され、画像濃度を許容範囲に収めるために、制御部90によって現像バイアスが調整される。
【0058】
バイアス制御部94(バイアス制御手段)は、現像動作の実行に際し、現像ローラー83および磁気ローラー82へのバイアス設定値を決定し、第1印加部88および第2印加部89を制御して、現像バイアスを印加させる。また、バイアス制御部94は、現像バイアス調整動作を実行し、濃度センサー35Aによる濃度検出結果に応じて、現像バイアスを変更する。更に、バイアス制御部94は、回収動作の実行に際し、現像ローラー83および磁気ローラー82へのバイアス設定値を決定し、第1印加部88および第2印加部89を制御して、回収バイアスを印加させる。
【0059】
電位差記憶部95は、種々の条件下においてバイアス制御部94が設定する現像動作時の現像バイアス及び回収動作時の回収バイアス、並びに磁気ローラー82と現像ローラー83との電位差の設定値を記憶する。
【0060】
<現像バイアスの印加、現像動作について>
次に、図5を参照して、現像装置324のバイアス印加のための構成及び現像動作について説明する。現像装置324は、現像動作を制御するために、第1印加部88と、第2印加部89(いずれもバイアス印加手段)と、第1印加部88および第2印加部89を制御する制御部90とをさらに含む。同図に示すように、第1印加部88は、直列に接続された直流電圧源881と交流電圧源882とを有し、磁気ローラー82に接続されている。直流電圧源881から出力された直流バイアスに交流電圧源882から出力された交流バイアスが重畳された電圧が磁気ローラー82に印加される。第2印加部89は、直列に接続された直流電圧源891と交流電圧源892とを有し、現像ローラー83に接続されている。直流電圧源891から出力された直流バイアスに交流電圧源892から出力された交流バイアスが重畳された電圧が、現像ローラー83に印加される。
【0061】
磁気ローラー82および現像ローラー83に印加される直流バイアスおよび交流バイアスの値は、現像装置324が感光体ドラム321の周面上にトナーを供給する(静電潜像を現像する)現像動作に際し、供給されるトナーの帯電性に応じて変更される。また、現像動作終了後に、現像ローラー83に付着したトナーを磁気ローラー82に回収するための回収動作において、更に異なるバイアスの値が磁気ローラー82および現像ローラー83に印加される。
【0062】
次に、感光体ドラム321上の静電潜像の現像メカニズム(現像動作)を説明する。磁気ローラー82の周面82A上の磁気ブラシ層は、現像剤規制ブレード84によって層厚が均一に規制された後、磁気ローラー82の回転に伴って現像ローラー83に向けて搬送される。その後、隙間S(図2)の領域において、磁気ブラシ層中の多数の磁気ブラシDBが、回転中の現像ローラー83の周面83Aに接触する。
【0063】
このとき、バイアス制御部94は、第1印加部88および第2印加部89を制御して所定の直流バイアスおよび交流バイアスを磁気ローラー82および現像ローラー83のそれぞれに印加する。これにより、磁気ローラー82の周面82Aと現像ローラー83の周面83Aとの間に所定の電位差(現像用電位差)が生じる。この電位差により、周面82Aと周面83Aとの対向位置において(主極823(図2)と周面83Aとの対向位置において)、磁気ブラシDBからトナーTのみが周面83Aに移動し、磁気ブラシDBのキャリアCと残留する一部のトナーとは周面82A上に残る。これにより、現像ローラー83の周面83A上に所定厚さのトナー層TLが担持される。
【0064】
周面83A上のトナー層TLは、現像ローラー83の回転に伴って感光体ドラム321の周面に向けて搬送される。現像ローラー83には、直流電圧と交流電圧との重畳電圧が印加されている。したがって、静電潜像に応じて表面に電位を有している感光体ドラム321の周面と該現像ローラー83の周面83Aとの間には所定の電位差が生じている。この電位差により、トナー層TLのトナーTが感光体ドラム321の周面に移動する。これにより、感光体ドラム321の周面上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
【0065】
なお、バイアス制御部94が、現像動作時において第1印加部88及び第2印加部89を制御して、磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加する現像バイアスの一例は次の通りである。
【0066】
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;350V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
磁気ローラー82の交流バイアスVmag_ac;2500V(4.7kHz)
現像ローラー83の交流バイアスVslv_ac;1500V(4.7kHz)
感光体ドラム321−現像ローラー83間のバイアスのDuty比;43%
現像ローラー83−磁気ローラー82間のバイアスのDuty比;70%
【0067】
<現像バイアスの調整について>
次に、トナーの帯電量(現像条件)に応じた現像バイアスの調整動作について説明する。現像装置324内のトナーの帯電量は、画像形成装置1の使用時間や周辺の温度環境などに伴って変化する。この際、先に例示した現像バイアスを固定値として継続的に採用すると、トナーの帯電量(電荷)が変化しているにも関わらず、設定される現像バイアスが一定となる。この結果、感光体ドラム321への現像量(トナー供給量)が変化し、最終的に転写されたシート上での濃度変化に繋がる。このため、本実施形態では、中間転写ベルト331上に形成された濃度検出用画像の濃度が濃度センサー35Aによって検知される。その検知結果(現像条件)に応じて、バイアス制御部94が現像バイアスを制御する。
【0068】
図6は、現像バイアス調整動作のフローチャートである。現像バイアス調整動作の開始に伴い、制御部90は、画像形成部30を制御し、中間転写ベルト331上に濃度検出用画像を作成させる。更に、制御部90は、濃度センサー35Aを制御して、作成した濃度検出用画像の画像濃度を検知させる(ステップS010)。
【0069】
濃度センサー35Aによって検知された濃度情報は、制御部90によって、予め濃度情報記憶部93に格納された下限濃度閾値D1と比較される(ステップS020)。ここで、検知された画像濃度が、下限濃度閾値D1以上である場合(ステップS020でYES)、制御部90は、上限濃度閾値D2との比較に進む(ステップS030)。一方、検知された画像濃度が、下限濃度閾値D1未満である場合(ステップS020でNO)、制御部90は、画像濃度が薄い(トナーの帯電量が高い)と判断し、現像バイアスを調整して、現像用電位差の拡大を実行する(ステップS060)。
【0070】
ステップS030では、制御部90は、検知された画像濃度と上限濃度閾値D2との比較を行う。ここで、検知された画像濃度が、D2以上である場合(ステップS030でNO)、制御部90は、画像濃度が濃い(トナーの帯電量が低い)と判断し、現像バイアスを調整して、現像用電位差の縮小を実行する(ステップS050)。なお、検知された画像濃度が、D2未満である場合は(ステップS030でYES)、制御部90は、画像濃度が適正範囲内と判断し、現像バイアスの調整動作を実行せず、制御を終了する(ステップS040)。
【0071】
なお、本実施形態において、上記の現像バイアスの調整動作における現像用電位差の拡大、縮小は、バイアス制御部94によって段階的に実行される。すなわち、制御部90によって、ステップS050での縮小またはステップS060での拡大が判断されると、バイアス制御部94は、第1印加部88及び第2印加部89を制御して、現像用電位差を調整する。この際、バイアス制御部94は、たとえば、磁気ローラー82の直流バイアス成分を10Vずつ変更し、現像バイアス(現像用電位差)を調整する。なお、制御部90は、現像バイアスの調整後、調整された最新の現像バイアス情報を、電位差記憶部95に格納する。
【0072】
以上のように、本実施形態では、トナーの帯電量に応じた画像濃度の変化を抑制するため、現像条件としての中間転写ベルト331上に作成した濃度検出用画像の画像濃度に応じて、現像バイアスの調整動作が実行される。なお、上記の現像バイアス調整動作は、画像形成装置1が出力するシート枚数を所定枚数カウントした後や、画像形成装置1の使用時間を所定時間カウントした後、あるいは、装置周辺の温度環境の急激な変化などを検出した後に、実行される態様が好ましい。
【0073】
<回収動作の説明>
次に、本発明の第1の実施形態における現像装置324内の回収動作について説明する。図7(a)は、現像ローラー83から磁気ローラー82側へのトナーの回収動作を説明するための模式図である。この回収動作は、先の現像動作が実行されていないタイミングであって、たとえば画像形成動作中のシート間に相当する時間や、画像形成動作後などに実行される。
【0074】
実際の現像動作では、トナー層TL中のトナーTのうち、感光体ドラム321に移動せず周面83A上に残留する残留トナーRTが発生する。残留トナーRTは、現像ローラー83の回転に伴って周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの対向位置に搬送されたとき、磁気ブラシDBによる掻き取り力と両ローラー82、83間の電気的な力とによって回収される。回収した残留トナーRTを有する磁気ブラシDBは、磁気ローラー82の回転に伴って主極823よりも下流側に搬送されると、前記磁石ロールの回収極(図示せず)の磁力によって周面82Aから回収され、スクリューフィーダー85、86を収容する現像剤貯留部81(図2)に戻される。
【0075】
ここで、バイアス制御部94が、回収動作のために設定する回収バイアスBrの一例は、次の通りである。
【0076】
磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;150V
現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
磁気ローラー82の交流バイアスVmag_ac;600V(3.6kHz)
現像ローラー83の交流バイアスVslv_ac;1000V(3.6kHz)
感光体ドラム321−現像ローラー83間のバイアスのDuty比;30%
現像ローラー83−磁気ローラー82間のバイアスのDuty比;70%
【0077】
上記の回収バイアスBrが、現像ローラー83および磁気ローラー82に印加されることで、現像ローラー83の周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの間には、図7(b)に示すように、交流波形を有する回収用電位差が設定される。図中、duty1+duty2が交流波形の1周期に相当し、回収動作では、現像ローラー83および磁気ローラー82の1回転に対して、この交流波形が複数周期分、印加される。なお、Vrmvは現像ローラー83における直流バイアス電位を意味する。
【0078】
画像形成装置1によって出力される画像の中には、用紙面積に対する印字率が数%程度という比較的トナー消費が少ない条件が存在する。このような条件においては、現像装置324内で消費されずに循環し続けるトナーが増え、トナーの帯電量が高くなることがある(チャージアップ現象)。この場合、トナー層TL中には、感光体ドラム321側に飛翔しにくい小粒径のトナーが多く存在することとなる。したがって、上記の回収動作を促進させ、現像ローラー83から磁気ローラー82に、小粒径トナーの回収を定期的に実行する必要がある。
【0079】
本実施形態では、このような条件下であっても、効率的に磁気ローラー82側にトナーを回収させるために、異なる2種の回収モードを有する。
【0080】
<回収モードの説明>
本実施形態では、回収モードとして、回収モード1及び回収モード2が備えられている。回収モード1は、前述の回収バイアスBrが印加される回収動作が現像ローラー83および磁気ローラー82の回転時間において1回転分、実行されるものである。原則として、画像形成動作が終了する度に、回収モード1が実行される。また、回収モード2は、現像ローラー83および磁気ローラー82の2回転以上の周回に対して、回収動作が実行されるものであり、後述のフローチャートの条件を満たした場合に、回収モード1に代わって実行される。回収モード2は、回収モード1に比べて、多くのトナーを回収することが可能である。
【0081】
図8は、これらの回収モードが選択される際のフローチャートである。制御部90は、通常の画像形成動作の開始(ステップS110)および終了(ステップS120)を制御したのち、モード判定部91に回収モードの判定を実行させる(ステップS130)。モード判定部91は、時間積算部92が積算する低印字率条件での現像ローラー83の駆動累積時間Tと、予め設定された時間閾値T1とを比較する。ここで、駆動累積時間Tが、時間閾値T1よりも小さい場合は(ステップS130でYES)、低印字率条件での現像ローラー83の駆動時間が短いため、モード判定部91は、最低限の回収動作でトナーの回収は可能であると判定する。この結果、制御部90によって、回収モード1が実行される(ステップS140)。
【0082】
一方、駆動累積時間Tが、時間閾値T1よりも大きい場合は(ステップS130でNO)、低印字率条件での現像ローラー83の駆動時間が長いことを意味し、現像ローラー83には小粒径トナーが多く残留している可能性がある。したがって、モード判定部91は、回収モード2の実行が必要であると判定する。この結果、制御部90によって、回収モード2が実行される(ステップS150)。
【0083】
図9は、回収モードのタイミングチャートの一例である。「Print」は画像形成ジョブのオンオフ時間を表している。図中、P1、P2は通常の印字率で画像形成ジョブが行われたオン時間を意味する。これに対して、P3は、低印字率での画像形成ジョブが行われたオン時間を意味している。また、「Motor」は現像ローラー83の回転駆動時間を意味し、上記の画像形成ジョブP1、P2、P3に対応して、M1、M2、M3の期間で、現像ローラー83が回転駆動される。また、M11、M21、M31は回収モード実行時の現像ローラー83の回転駆動を表す。更に、「Bias(Br)」は回収バイアスの印加を意味し、期間B1、B2、B3はそれぞれ回収モード実行中の現像ローラー83の回転期間M11、M21、M31に対応している。
【0084】
図9では、画像形成ジョブP1、P2の終了後に、それぞれ回収モード1が実行されている。駆動部962によって、磁気ローラー82および現像ローラー83が、期間M11、M21の間、1回転ずつ駆動される。この間、磁気ローラー82と現像ローラー83との間には、回収バイアスBrが印加される(期間B1、B2)。
【0085】
他方、画像形成ジョブP3の終了後には、時間積算部92が積算する低印字率条件での現像ローラー83の駆動累積時間Tが、予め設定された時間閾値T1を上回ったことによって、回収モード2が実行されている。この場合、磁気ローラー82および現像ローラー83は、期間M31の間、3回転ずつ駆動される。更に、磁気ローラー82と現像ローラー83との間には、回収バイアスBrが、期間M31に対応して印加される(期間B3)。磁気ローラー82および現像ローラー83の3回転分の期間、現像ローラー83からトナーが回収されるため、低印字率条件で現像ローラー83上に堆積した小粒径のトナーを十分回収することができる。なお、制御部90は、回収モード2が実行されると、現像ローラー83上に残留していた小粒径トナーが十分回収されたものとして、駆動累積時間Tの累積をゼロリセットする。
【0086】
<トナーの帯電量(現像条件)に応じた回収バイアスの調整>
更に、本実施形態では、トナーの帯電量に応じて、回収動作を効果的に実行するために、回収バイアスBrの調整動作が実行される。前述のとおり、現像装置324内での長期的なトナーの循環や、周辺環境の変動などによって、トナーの帯電量(電荷)が変化する場合がある。ここで、印加される回収バイアスBrを一定とすると、トナーの帯電量が高くなった場合に、現像ローラー83から磁気ローラー82へのトナーの回収が不十分となってしまう。この場合、現像されにくいトナーが現像ローラー83上に滞留することによって、画像濃度低下などが生じることとなる。
【0087】
そこで、本実施形態では、前述のトナーの帯電量に応じた現像バイアス調整動作時の記憶情報を用いて、回収バイアス調整動作が実行される。図10は、回収バイアス調整動作のフローチャートである。先の回収モードの選択フロー(図8)において、回収モード1または回収モード2が選択された場合、制御部90は、回収動作の実行に先立って、現像バイアスの調整動作において決定された最新の現像バイアスを、電位差記憶部95より入手する(ステップS210)。
【0088】
制御部90は、入手した最新の現像バイアスを用いて、予め電位差記憶部95に格納されたテーブル値を参照し、回収バイアスBr1を調整する(ステップS220)。なお、本実施形態では、制御部90は、回収バイアスBr1の中で、トナー回収量を調整するパラメータとして、交流バイアスのDuty比(%)を変化させる。表1は、ステップS220において、制御部90が電位差記憶部95から参照するテーブル値の一例である。最新の現像バイアスに対応して、調整される回収バイアスのDuty比(%)が段階的に格納されている。なお、表1では、現像バイアスの下限値をVminとし、最新の現像バイアスが該Vminとの差分で表されている。また、duty1は回収バイアスBr1における負側の印加時間の割合を意味し、duty2は正側の印加時間の割合を意味する。本実施形態では、トナーが正側(プラス)に帯電しているため、duty2に対応して、トナーが磁気ローラー82側に強く回収される(回収性能が発現する)。したがって、現像バイアス(現像用電位差)が現像バイアス調整動作によって拡大されるに伴って、回収バイアスBr1におけるトナーが回収される成分(duty2)が増大するように調整されている。
【0089】
【表1】

【0090】
回収バイアスBr1が調整されると、制御部90は、各回収モードを実行する(ステップS230)。制御部90は、駆動部962を制御して現像ローラー83および磁気ローラー82を回転させるとともに、第1印加部88および第2印加部89を制御して、各ローラーに対して、調整された回収バイアスBr1を印加する。
【0091】
このように、本実施形態では、トナーの帯電量(現像条件)に応じて、回収バイアスBr1が調整される。従って、トナーの帯電量が変化した場合であっても、現像ローラー83から磁気ローラー82へのトナーの回収が効果的に実現される。特に、現像装置内324内のトナーが低印字率条件などによって、チャージアップした場合でも、トナーの回収性能が増大するように制御される。このため、現像ローラー83に小粒径トナーなどの特定のトナーが残存し蓄積することが防止される。また、この際、トナーの帯電量に対応した情報として、現像バイアス調整動作によって決定された最新の現像バイアスが採用される。このため、トナーの消費(現像動作)とトナーの回収のいずれのバイアスも、同時期に調整されるため、常に、使用されているトナーの帯電量に応じた制御が可能となる。
【0092】
<回収動作中の回収バイアスの変更について>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、前述の回収モード2が選択された場合に、回収動作実行中の回収バイアスBr1が回収バイアスBr2として可変制御される点が特徴となっている。
【0093】
トナーのチャージアップなどに対応するため、現像ローラー83および磁気ローラー82を複数回回転駆動させ、トナーを回収する回収モード2では、磁気ローラー82側に大量の回収されたトナーが付着する。この場合、スクリューフィーダー85、86(図2)へのトナーの落下、回収が追いつかず、磁気ローラー82上に回収したトナーが堆積することがある。この結果、磁気ローラー82上の見かけの表面電位が変化するために、次の現像動作時に濃度低下などの不具合を生じてしまう。
【0094】
このため、本実施形態では、回収バイアスBr2が、現像ローラー83および磁気ローラー82が回転駆動される周回ごとに、徐々にトナーの回収性能が低下するように制御される。また、このトナーの回収性能の低下にあたり、本実施形態では、トナー回収量を調整するパラメータとして、回収バイアスBr2における交流バイアスのDuty比(%)が制御される。
【0095】
図11は、本実施形態における回収モード2の実行中、現像ローラー83と磁気ローラー82との間に印加される回収バイアスBr2の波形を模式的に表したものである。同図では、現像ローラー83および磁気ローラー82がそれぞれ3回転ずつ回転され、周回ごとに、異なるDuty比(%)にて、回収バイアスBr2が印加されている。ここで、Duty11、Duty21は各ローラーの1回転目に印加される負側、正側のDuty比を意味する。同様に、Duty12、Duty22は2回転目の負側、正側のDuty比を意味し、Duty13、Duty23は3回転目の負側、正側のDuty比を意味する。
【0096】
以下に、この回収バイアスBr2のDuty比(%)を例示する。先の実施形態と同じく、この電位設定値も予め電位差記憶部95に格納される。
【0097】
Duty11:34(%)、Duty21:66(%)
Duty12:40(%)、Duty22:60(%)
Duty13:46(%)、Duty23:54(%)
【0098】
このように、回収モード2の実行中、現像ローラー83および磁気ローラー82の回転に伴い、トナーの帯電極性と同じ極性側のDuty比がDuty21(66%)から、Duty23(54%)へと減少する。よって、現像ローラー83から磁気ローラー82へのトナーの移動量が減少する(回収性能が低下する)。したがって、回収されたトナーが磁気ローラー82に大量に付着することがなく、回収動作中であっても、磁気ローラー82からスクリューフィーダー86に余裕をもってトナーが落下し、回収されることが可能となる。
【0099】
以上、回収バイアスBr2(Duty比)の制御について、所定のタイミングで実行される回収モード2の中でのDuty比の推移として説明した。ここで、この回収バイアスBr2に、前述の第1の実施形態において説明した、トナーの帯電量に応じた回収バイアスBr1の制御をあわせると、電位差記憶部95に格納されるテーブル値は表2に例示するようにマトリクス構造となる。
【0100】
【表2】

【0101】
すなわち、現像バイアスに応じて、言い換えれば、トナーの帯電量に応じて、回収バイアスBr1(=Br2の初期値(1回転目))が選択される。更に、回収モード2が実行される場合は、選択された1回転目の値に応じて、2回転目、3回転目のバイアス設定値(Duty比)が選択される。(なお、1回転分の回収動作を実行する回収モード1が選択された場合は、表2の1回転目の値が選択される。)
【0102】
このように本実施形態では、トナーの帯電量に応じた回収バイアスBr1の調整と、回収モード実行中に周回ごとに行われる回収バイアスBr2の変更とが実現可能とされている。したがって、トナーの帯電量が変化した場合であっても、現像ローラー83上に、小粒径トナーなどの現像されにくいトナーが堆積せず、また回収されたトナーが、磁気ローラー82に堆積することを防ぐことが可能となる。
【0103】
以上、本発明の実施形態に係る現像装置324について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記の実施形態では、回収バイアスBrの中で、トナーの回収量を調整するパラメータとして、交流バイアスのDuty比を変化させて説明したが、これに限るものではない。すなわち、回収動作中のトナーの回収量を制御できるものであればよく、たとえば、交流バイアスのVpp(ピーク・トゥ・ピーク)を変更するものでもよい。
(2)また、上記の実施形態では、時間積算部92が積算する低印字率条件での現像ローラー83の駆動累積時間Tによって、回収モードが選択された。しかしながら、回収モードの選択条件は、これに限るものではなく、たとえば、印字率を問わずに、現像ローラー83の駆動時間を累積し、累積時間に応じて、回収モードを選択する態様でもよい。
(3)また、上記の実施形態では、現像条件の変化として、濃度センサー35Aが検知する画像濃度情報に応じて、現像バイアスが制御され、該現像バイアスの最新の値から回収バイアスが制御される態様について説明した。回収バイアスの制御はこれに限るものではなく、現像条件の変化として、上記の画像濃度情報に加え、トナーの帯電量に相当する特性値を検知し、該結果に応じて回収バイアス(たとえば、Duty比)を直接制御するものであってもよい。
(4)更に、上記の実施形態では、回収モード2における現像ローラー83および磁気ローラー82の回転は、それぞれ3回ずつ回転させる態様で説明したが、これに限るものではなく、2回または4回以上回転させる態様であってもよい、また、周回数は整数倍に限られるものでもない。更に、回収モード2での回転条件を設定するにあたって、回収バイアスBrが、現像ローラー83および磁気ローラー82の1回転単位で、間欠的に印加される態様であってもよい。図12は、その例として、回収モード2が実行される際の回収バイアスBr31およびBr32のバイアス波形を示したものである。いずれも制御部90は、現像ローラー83および磁気ローラー82を3回ずつ回転させ、回収動作を実行している。ここで、回収バイアスBr31では、3回転の周回のうち、2回転目では回収バイアスが印加されないよう、第1印加部88および第2印加部89が制御されている。このため、2回転目の回収動作は、磁気ローラー82の磁気ブラシDBによる掻き取り力(図7)によってのみ実行され、回収バイアスBrが印加される場合に比較して、磁気ローラー82側に回収されるトナー量が少ない。したがって、1回転目に磁気ローラー82上に回収されたトナーが、余裕をもってスクリューフィーダー86側に回収され、磁気ローラー82は、3回転目に回収されるトナーを受け入れることが可能となる。この結果、磁気ローラー82の周面82Aにトナーが過度に堆積することが抑制され、安定的な回収動作を実施することが可能となる。
【0104】
また、回収バイアスBr32では、上記の回収バイアスBr31と比較して、3回転目の回収バイアスが変更されている点が相違している。回収バイアスBr32の3回転目では、第2の実施形態同様、Duty比が変更され、トナーの回収性能が低下するように設定されている。このため、3回転目の回収動作中に磁気ローラー82に堆積するトナーが減少し、回収されたトナーをより安定的にスクリューフィーダー86側に回収させることが可能となる。なお、回収バイアスBr31およびBr32のいずれの場合であっても、3回転の回転動作に限るものではなく、これらの間欠的な回転駆動を繰り返し実行するものであってもよい。
【実施例】
【0105】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の実施形態につき更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施した比較実験での各実験条件は以下のとおりである。
[実施例1〜6、比較例の共通条件]
<感光体ドラム321>
・材料:単層OPC
・線速:130mm/sec
<現像ローラー83>
・直径:16mm
・感光体ドラム321とのギャップ(対向箇所の距離):100μm
・回転数: 252rpm
<磁気ローラー82>
・直径:16mm
・磁気ローラー82と現像ローラー83とのギャップS:280μm
・回転数: 285rpm
<2成分現像剤>
・トナー個数平均粒径:6μm
・キャリア個数平均粒径:35μm
・テスト初期のトナー帯電量:15μC/g
<テストプリント条件>
・印字率:1%
・印刷ジョブ単位枚数:100枚
・総印刷枚数:5000枚
<回収モードの実施条件>
・回収モード1:100枚おきに現像ローラー83および磁気ローラー82の1回転分実行される。回収バイアスは固有条件にて設定(後記)。
・回収モード2:1000枚おきに実行される。回収バイアス、各ローラーの周回数ともに固有条件(後記)。
<回収バイアスの共通条件>
・磁気ローラー82の直流バイアスVmag_dc;150V
・現像ローラー83の直流バイアスVslv_dc;50V
・磁気ローラー82の交流バイアスVmag_ac;600V(3.6kHz)
・現像ローラー83の交流バイアスVslv_ac;1000V(3.6kHz)
[実施例1〜6、比較例の回収モード固有条件]
<比較例>
・現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御:なし
・回収モード2実行中の回収バイアスBr2のDuty比制御:なし
・duty11:30(%)、duty12:70(%)
・回収モード2のローラー周回数:3回転
<実施例1>
・現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御:あり
・回収モード2実行中の回収バイアスBr2のDuty比制御:なし
・回収モード2のローラー周回数:3回転
<実施例2>
・現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御:あり
・回収モード2実行中の回収バイアスBr2のDuty比制御:あり
・回収モード2のローラー周回数:3回転
<実施例3>
・現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御:あり
・回収モード2実行中の回収バイアスBr2のDuty比制御:あり
・回収モード2のローラー周回数:2回転
<実施例4>
・現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御:あり
・回収モード2実行中の回収バイアスBr2のDuty比制御:なし
・回収モード2のローラー周回数:3回転(2回転目は回収バイアス印加せず)
<実施例5>
・現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御:あり
・回収モード2実行中の回収バイアスBr2のDuty比制御:あり
・回収モード2のローラー周回数:3回転(2回転目は回収バイアス印加せず)
<実施例6>
・現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御:あり
・回収モード2実行中の回収バイアスBr2のDuty比制御:あり
・回収モード2のローラー周回数:5回転(2、4回転目は回収バイアス印加せず)
【0106】
なお、実施例1〜6の設定Duty比を表3および表4に示す。表3は、各実施例における現像ローラー83および磁気ローラー82の周回中の回収バイアス(Duty比)設定条件を表す。また、いずれの実施例も現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御を実行しているため、設定値A、B、Cは回収モード実行時の最新の現像バイアスに応じて、表4のとおり可変制御される。なお、実施例1〜6および比較例におけるバイアス波形の模式図を図13に示す。
【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
以上のような条件において、印刷を実行し、1000枚おきに実行される回収モード2の終了時に、単色ベタ画像を採取し、画像先端25mmの位置で測定した濃度結果(ID)の推移を図14に示す。この結果から、現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御を実行していない比較例に比べて、Duty比制御を実行している各実施例は、印刷枚数2000枚以降において、濃度低下が抑制されていることがわかる。これは、比較例では、固定された回収バイアス値を採用しているため、トナーのチャージアップに対応できず、現像ローラー83上に小粒径のトナーが溜まったためと考えられる。
【0110】
また、実施例1および3に比べて、実施例2および実施例4〜6は、印刷枚数5000枚が終了した時点でも、濃度低下が更に抑制されている。実施例1では、回収モード2を実行中の回収バイアスBr2(Duty比)制御を行っていないため、周回が進むにつれて、磁気ローラー82にトナーが堆積したためと考えられる。また、実施例3は、回収モード2の周回数を2周に設定しているため、実施例2および実施例4〜6と比較して、若干の濃度低下を生じたものと考えられる。
【0111】
このように、比較例と比べて、現像バイアスに基づく回収バイアスBr1のDuty比制御を実行したいずれの実施例も、現像ローラー83からのトナー回収と、磁気ローラー82上に付着するトナーのスクリューフィーダー86側への回収が効果的に実現され、印刷画像での濃度低下が抑制された。更に、回収モード2での周回数を3回転以上に設定し、回収モード2中の回収バイアスBr2のDuty比制御を実行した実施例(実施例2、4〜6)では、更なる濃度低下の改善が確認された。
【符号の説明】
【0112】
1 画像形成装置
10 装置本体
30 画像形成部
32 画像形成ユニット
33 中間転写ユニット
321 感光体ドラム(像担持体)
324 現像装置
35A 濃度センサー
80 現像ハウジング
81 現像剤貯留部
82 磁気ローラー(現像剤担持体)
821 汲上極
822 規制極
823 主極
83 現像ローラー(トナー担持体)
84 現像剤規制ブレード
85 スクリューフィーダー
86 スクリューフィーダー
88 第1印加部(バイアス印加手段)
89 第2印加部(バイアス印加手段)
90 制御部
91 モード判定部
92 時間積算部
93 濃度情報記憶部
94 バイアス制御部(バイアス制御手段)
95 電位差記憶部
962 駆動部(回転駆動手段)
963 画像メモリ
964 I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよびキャリアを含む現像剤を貯留する現像ハウジングと、
所定の方向に回転しつつ前記現像ハウジング内の現像剤を受け取って、現像剤層を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持し、表面に静電潜像が形成され前記トナーによって顕在化されるトナー像を担持する像担持体に、該トナーを供給するトナー担持体と、
前記現像剤担持体及び前記トナー担持体の少なくとも一方にバイアスを印加し、両者間に所定の電位差を形成するバイアス印加手段と、
前記現像剤担持体から前記トナー担持体にトナーが供給される現像動作時に、前記バイアス印加手段に現像バイアスを印加させるとともに、前記トナー担持体に担持されたトナーを前記現像剤担持体へ強制的に戻す回収動作時に、前記バイアス印加手段に回収バイアスを印加させるバイアス制御手段と、
前記現像動作時および前記回収動作時に、前記現像剤担持体および前記トナー担持体を回転駆動させる回転駆動手段と、を有し、
前記バイアス制御手段は、現像条件の変化に応じて、前記現像バイアスを変更するものであって、該現像バイアスを増大させるに伴って、回収動作時のトナーの回収性能が増大するように前記回収バイアスを制御することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記バイアス印加手段は、直流バイアスに交流バイアスを重畳して前記回収バイアスを形成するものであり、
前記バイアス制御手段は、前記現像条件の変化に応じて、前記現像バイアスを増大させるに伴って、前記回収バイアスを構成する前記交流バイアスにおける、前記トナーが前記トナー担持体から前記現像剤担持体に移動する側の極性のDuty比を増加させることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記バイアス制御手段は、前記回収動作時の前記現像剤担持体の回転に伴って、前記トナーの回収性能が低下するように前記回収バイアスを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記バイアス印加手段は、直流バイアスに交流バイアスを重畳して前記回収バイアスを形成するものであり、
前記バイアス制御手段は、回収動作時の前記現像剤担持体の回転に伴って、前記回収バイアスを構成する前記交流バイアスにおける、前記トナーが前記トナー担持体から前記現像剤担持体に移動する側の極性のDuty比を減少させることを特徴とする請求項3記載の現像装置。
【請求項5】
前記回転駆動手段は、前記回収動作時に、前記現像剤担持体を複数回、回転させ、
前記バイアス制御手段は、前記現像剤担持体の1回転単位で、前記回収バイアスを制御することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記回転駆動手段は、前記回収動作時に前記現像剤担持体を3回転以上、回転駆動させることを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記バイアス制御手段は、前記回収動作中の前記現像剤担持体の回転に伴って、前記回収バイアスが、前記1回転単位で、間欠的に印加されるよう、前記バイアス印加手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
静電潜像及び前記トナー担持体から供給されたトナーが形成するトナー像を担持する像担持体と、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の現像装置と、を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−64782(P2013−64782A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202076(P2011−202076)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】