説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】現像剤供給ローラの多孔質表面層に現像剤が目詰まりすることを回避することができる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体Zに現像剤Gを供給する現像ローラ2と、該現像ローラ2に現像剤Gを供給しつつ現像ローラ上の現像剤Gを擦り落とすために現像ローラ2と接触するスポンジ層41を有する現像剤供給ローラ4と、が設けられている現像装置1において、現像剤供給ローラ4のスポンジ層41に、目詰まりした現像剤を除去するためにスポンジ層41に食い込む現像剤除去部材7を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成に用いる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成に用いる現像装置は、帯電された感光体ドラムなどの像担持体上の静電潜像を、トナーを含む現像剤によって現像するために用いられている。像担持体上のトナー像は転写ベルトに転写され、さらに転写ベルトから用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は定着装置によって加熱及び加圧され、トナー像が用紙に定着する。また、転写されずに像担持体や転写ベルト上に残ったトナーは、クリーニング手段を用いて清掃される。上記プロセスを繰り返し、連続的に印刷が行われる。
現像装置には、一般に、像担持体に隣接する現像ローラと、該現像ローラと隣接する現像剤供給ローラと、現像剤をほぐすための現像剤撹拌部材とが設けられている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
図5は、従来の現像装置の一例を模式的に示している。この現像装置1には、像担持体Zに現像剤を供給する現像ローラ2と、この現像ローラ2に現像剤の薄層を形成するために現像ローラ上の現像剤を規制する規制部材3とが設けられている。また、現像装置1には、現像ローラ2に現像剤を補給するために現像ローラ2に接触して配置された現像剤供給ローラ4と、現像装置内の現像剤Gをほぐすための現像剤撹拌部材5とが設けられている。
現像ローラ2は、現像スリーブ21と、この現像スリーブ内に設けられた磁石22とを備えている。現像スリーブ21には、ゴム層が形成されており、現像スリーブ21と接触する現像剤供給ローラ4にはスポンジ層41が形成されている。現像剤供給ローラ4は現像ローラ2と同方向に回転しており、摩擦抵抗が大きくされている。ところで、像担持体Zの上に現像されずに残った現像剤は、現像ローラ2を介して現像装置内に戻り、現像剤供給ローラ4によって擦り落とされる。その一方で、現像剤供給ローラ4は、スポンジ層41に現像剤が充填されるので、前記擦り落とし部分よりも現像剤供給ローラ4の回転方向上流側で現像ローラ2に現像剤を供給することになる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−79119号公報
【特許文献2】特開2007−79322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の現像装置では、現像剤供給ローラ4のスポンジ層41に現像剤が浸入し、徐々に目詰まりを起こす。現像剤供給ローラ4のスポンジ層41に目詰まりが発生すると、現像ローラ2からの現像剤の擦り落としや、現像ローラ2への現像剤の供給を的確に行うことができなくなる。像担持体Zにトナーを安定して供給するためには、現像ローラ2から現像剤供給ローラ4へ戻る現像剤の擦り落としを的確に行い、両部材の接触部に現像剤が滞留しないことが好ましい。現像剤の滞留が発生すると、現像ローラ2への現像剤の付着量が変化したり、電位の異なる現像剤が混在したりすることになり、現像後に濃度ムラが発生する。現像剤の滞留を抑止するため、スポンジ自体の材質や気泡の大きさを最適化し、目詰まりが発生しにくくすることが好ましいが、現実的には目詰まりの回避は困難である。
また、現像剤供給ローラ4のスポンジに現像剤による目詰まりが発生すると、スポンジ本来の柔軟性がなくなり硬化する。そのため、現像ローラ2及び現像剤供給ローラ4が回転する際に、回転トルクが大きくなり、駆動源となるモータの高出力化が要求され、装置が大型化する
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、現像剤供給ローラの多孔質表面層に現像剤が目詰まりすることを回避することができる現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の現像装置は、像担持体に現像剤を供給する現像ローラと、該現像ローラに現像剤を供給しつつ現像ローラ上の現像剤を擦り落とすために前記現像ローラと接触する多孔質表面層を有する現像剤供給ローラと、が設けられている現像装置において、前記現像剤供給ローラの多孔質表面層に、目詰まりした現像剤を除去するために前記多孔質表面層に食い込む現像剤除去部材が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の現像装置は、さらに、請求項1に記載の現像装置において、前記現像剤除去部材の先端側にはブレード部を有し、前記現像剤除去部材が現像剤供給ローラを押圧したときの食込み形状は、現像剤供給ローラの回転方向上流側のブレード部の刃先面と現像剤供給ローラの回転方向下流側のブレード部の刃先面とが、前記ブレード形状の先端における現像剤供給ローラの同心円に対する接線となす角度を、それぞれθ1及びθ2としたとき、θ1<θ2となる形状であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の現像装置は、さらに、前記現像剤除去部材は、現像剤を収容する現像容器に一体成形されていることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記現像剤除去部材は板材であることを特徴とする。
また、本発明の現像装置は、さらに、前記現像剤除去部材は、可撓性を有する板バネ状の部材であることを特徴とする。
本発明のプロセスカートリッジは、上記のいずれかに記載の現像装置を備えていることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、上記のいずれかに記載の現像装置を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記解決する手段としての現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置では、現像剤供給ローラの多孔質表面層に、目詰まりした現像剤を除去するために多孔質表面層に食い込む現像剤除去部材が設けられているので、現像剤供給ローラの多孔質表面層に現像剤が目詰まりすることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0012】
図1は本発明の現像装置の一実施形態を示している。この現像装置1の現像容器6の内側に設けられている回転可能な現像剤撹拌部材5は、現像剤Gをほぐすために設けられている。回転方向は、時計回り方向と反時計回り方向とのうちのいずれでもよい。現像容器内の現像剤Gは、ほぐされると自重で現像剤供給ローラ4の近傍に移動する。現像剤供給ローラ4は、空孔を有した発泡材料で被覆されたローラであり、多孔質表面層であるスポンジ層41を有している。この現像剤供給ローラ4は、像担持体Zに現像剤を供給する現像ローラ2に現像剤を供給しつつ現像ローラ上の現像剤を擦り落とすために現像ローラ2と接触している。この擦り落とす機能を確保するため、現像ローラ2と現像剤供給ローラ4とは、同方向に回転している。現像ローラ2には、該現像ローラ上の現像剤の薄層を形成するために規制部材3が設けられている。
【0013】
現像剤供給ローラ4にスポンジ層41が形成されているのは、現像剤供給ローラ上に十分に現像剤を付着させるためであり、また、現像ローラ2との接触部での圧力による現像剤の劣化を防止するためである。現像剤供給ローラ4の発泡材料にはカーボン微粒子を含有させた導電性のもの又はイオン導電性のものが用いられる。
現像装置1の作動時には、現像剤供給ローラ4の中心にある電極42に電圧が印加される。例えば、現像バイアスに対して現像剤の帯電極性と逆方向にオフセットされたDCバイアス、又は現像バイアスに対して現像剤の帯電極性と逆方向にオフセットされたDCバイアスにACバイアスを重畳させたバイアス、が印加される。また、例えば、現像バイアスに対して現像剤の帯電極性と同方向にオフセットされたDCバイアス、又は現像バイアスに対して現像剤の帯電極性と同方向にオフセットされたDCバイアスにACバイアスを重畳させたバイアス、が印加される。
【0014】
現像ローラ2には、ゴム層を被覆したローラが用いられ、さらにゴム層の表面には現像剤と逆の極性に帯電しやすい材料からなる表面コート層が形成されている。ゴム層は、規制部材3との当接部での圧力による現像剤劣化を防止するために、JIS−Aで60度以下の硬度に設定されている。表面粗さは、算術平均粗さRaで0.3〜2.0μmに設定されており、必要量の現像剤が表面に保持される。また、現像ローラ2には、像担持体Zとの間に電界を形成させるための現像バイアスが印加されるので、ゴム層は所定の抵抗値に設定される。現像ローラ2は図中、反時計回り方向に回転し、表面に保持した現像剤を規制部材3や像担持体Zとの対向位置へ搬送する。
【0015】
規制部材3は、ステンレス鋼やリン青銅などの金属製の板バネである。規制部材3の自由端側は、現像ローラ2の表面に所定の圧力で当接している。そして、この押圧部を通過する現像剤は薄層化されるとともに、摩擦帯電によって電荷が付与される。さらに規制部材3には、摩擦帯電を補助するために、現像バイアスに対して現像剤の帯電極性と同方向にオフセットさせたDCバイアス、又は現像バイアスに対して現像剤の帯電極性と同方向にオフセットされたDCバイアスにACバイアスを重畳させたバイアスが印加される。
【0016】
像担持体Zは、図中、時計回り方向に回転しており、現像ローラ2は像担持体Zと反対方向に回転している。規制部材3で薄層化された現像剤は、像担持体Zとの対向位置へ搬送され、現像ローラ2に印加された現像バイアスと像担持体上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、像担持体Zの表面に移動し、現像が行われる。像担持体上に現像されずに現像ローラ上に残された現像剤は現像容器6の内側へ戻る。図中、像担持体Zと現像ローラ2とは接触して配置されているが、非接触にして配置してもよい。
【0017】
スポンジ層41には現像剤が目詰まりしやすいので、目詰まりした現像剤を除去するために、現像剤供給ローラ4の周上にはスポンジ層41に食い込む現像剤除去部材7が設けられている。この現像剤除去部材7の先端側はブレード形状にされ、現像剤除去部材7はブレード部7aを有する。また、現像剤除去部材7は、現像容器6に固定して設けられている。なお、現像剤除去部材7は、現像容器6と一体形成して設けてもよい。
【0018】
図2は、現像剤供給ローラ4と現像剤除去部材7との位置関係を示している。この図に示すように、現像剤除去部材7のブレード部7aは現像剤供給ローラ4に食い込んでいる。ブレード部7aの先端には、スポンジ層41を切り裂かないように、僅かな丸みが形成されている。現像剤供給ローラ4と同心円であって、ブレード部7aの先端を通過する円(図中、二点鎖線)と現像剤供給ローラ4の外周面との半径の差がブレード部7aの食込み深さLである。この食込み深さLは、現像剤除去部材7の形態やブレード部7aの形状などにより適宜選択される。
【0019】
現像剤除去部材7が現像剤供給ローラ4を押圧したときの食込み形状は、現像剤供給ローラ4の回転方向上流側のブレード部7aの刃先面7a1と現像剤供給ローラ4の回転方向下流側のブレード部7aの刃先面7a2とが、ブレード部7aの先端における現像剤供給ローラ4の同心円に対する接線となす角度を、それぞれ突入角θ1及び脱出角θ2としたとき、θ1<θ2となる形状である。
ここで、突入角θ1が大きくなると、現像剤供給ローラ4のスポンジ層41が圧縮される際に、スポンジ層41を緩やかに圧縮することができないので押込み抵抗が大きくなり、現像剤の擦り落とし量が増加する。しかし、この場合、現像剤除去部材7と現像容器6の内壁と現像剤供給ローラ4との間のスペースSに現像剤が詰まりやすくなり、現像ローラ2(図1記載)から剥離させた現像剤が現像容器6の外に落下することになる。そのため、突入角θ1の角度を小さくした方が、現像容器内での現像剤詰まりを防止することができる。したがって、突入角θ1を一定の範囲にすることが好ましいが、この範囲は食込み深さLなどの他の要因を含めて適宜設定するとよい。
【0020】
また、現像剤除去部材7によって現像剤供給ローラ4が部分的に圧縮されているので、脱出角θ2が大きくなると圧縮部分から元の形状に戻る変位の勾配を大きくなるため、元の形状に戻る時の反発力が大きくなる。そのため、脱出角θ2が大きい方が、現像剤供給ローラ4の表面の現像剤を剥離させやすい。したがって、脱出角θ2は一定角度以上にすることが好ましいが、これは食込み深さLなどの他の要因を含めて適宜設定するとよい。
概していえば、ブレード部7aはθ1<θ2となるような形状にするとよい。
【0021】
上述した実施形態の現像装置1では、現像剤供給ローラ4のスポンジ層41に、目詰まりした現像剤を除去するために、スポンジ層41に食い込む現像剤除去部材7が設けられているので、現像剤供給ローラ4のスポンジ層41に現像剤が目詰まりすることを回避することができる。
また、上述した実施形態の現像装置1は、画像形成装置に組み込まれるが、例えば、現像装置や像担持体などが一体となったプロセスカートリッジとして組み込むことができる。
【0022】
上述した実施形態では、現像剤除去部材7としてブロック状の部材を用いた形態について説明したが、スポンジ層41の目詰まりを抑止することができる形態であればよく、上述した実施形態の現像剤除去部材7の形状に限定されるものではない。
例えば、図3に示すように、板材の現像剤除去部材7を現像容器内に固定して取り付けた形態であってもよい。固定方法としては、図3では、ボルトで締結する方法が用いられている。このような構成にすると、現像剤除去部材7の交換が容易である。この現像剤除去部材7の場合、板材の先端側の裏面の角部がブレード部7aとなる。
【0023】
また、例えば、図4に示すように、図3の板材より薄い板バネ状の現像剤除去部材7を設けてもよい。この現像剤除去部材7の材質としては、樹脂や金属など各種材料を用いることができる。より薄くするには、金属が好ましい。現像剤除去部材7は撓んで、薄板の裏面がスポンジ層41に接触する。現像剤除去部材7の先端はスポンジ層41に微小ながら食い込んでいる。この部分がブレード部7aとなる。
このような構成にすると、現像装置の組立工程において、現像剤除去部材7を最初に現像容器6に取り付けても、現像剤除去部材7は可撓性を有するので、現像剤供給ローラ4などの部品を後工程で組み付けたり着脱したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の現像装置の一実施形態を示す説明図である。
【図2】図2は、現像剤供給ローラと現像剤除去部材との接触部の詳細を示す説明図である。
【図3】図3は、図2の現像剤除去部材の変形例を示す説明図である。
【図4】図4は、図2の現像剤除去部材の変形例を示す説明図である。
【図5】図5は、従来の現像装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 現像装置
2 現像ローラ
21 現像スリーブ
22 磁石
3 規制部材
4 現像剤供給ローラ
41 スポンジ層
42 電極
5 現像剤撹拌部材
6 現像容器
7 現像剤除去部材
7a ブレード部
7a1、7a2 刃先面
G 現像剤
L 食込み深さ
S スペース
Z 像担持体
θ1 突入角
θ2 脱出角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に現像剤を供給する現像ローラと、該現像ローラに現像剤を供給しつつ現像ローラ上の現像剤を擦り落とすために前記現像ローラと接触する多孔質表面層を有する現像剤供給ローラと、が設けられている現像装置において、
前記現像剤供給ローラの多孔質表面層に、目詰まりした現像剤を除去するために前記多孔質表面層に食い込む現像剤除去部材が設けられている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤除去部材の先端側にはブレード部を有し、
前記現像剤除去部材が現像剤供給ローラを押圧したときの食込み形状は、
現像剤供給ローラの回転方向上流側のブレード部の刃先面と現像剤供給ローラの回転方向下流側のブレード部の刃先面とが、前記ブレード形状の先端における現像剤供給ローラの同心円に対する接線となす角度を、それぞれθ1及びθ2としたとき、θ1<θ2となる形状である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、
前記現像剤除去部材は、現像剤を収容する現像容器と一体形成されている
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、
前記現像剤除去部材は板材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の現像装置において、
前記現像剤除去部材は、可撓性を有する板バネ状の部材である
ことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の現像装置を備えている
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の現像装置を備えている
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−156951(P2009−156951A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332540(P2007−332540)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】