説明

球根あるいは栽培種用の台紙

【課題】
本発明は、球根あるいは栽培種の購入時から栽培、鑑賞に至るまで、購入者に対して継続的な品種名称の表示を促すことができる台紙を提供することにある。
【解決手段】
球根9あるいは栽培種を入れた袋8の口を封じると共に、前記球根9あるいは栽培種の品種名称等を表示する台紙であって、台紙本体1には、刺し部7と前記球根9あるいは栽培種の品種名称の表示部6とを有するラベル2a,2b,2cを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は販売時、袋に入れた球根や栽培種の品種名称等を購入者にわかりやすく表示するための球根あるいは栽培種用の台紙に関する。
【背景技術】
【0002】
購入者が球根や栽培種の色や形状等からその品種を見分けることは容易ではなく、通常は球根や栽培種を入れた袋の口を台紙で閉じ、この台紙に品種名称や写真などを表示する印刷が施されていた。
【特許文献1】特開2003−162223号公報(1頁目、図1)
【特許文献2】特開2003−134904号公報(1頁目、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、植木鉢の土の中に球根や栽培種を埋めた後は、品種は勿論、球根や栽培種の有無すら分からなくなるため、栽培中の球根や栽培種の品種名称を示すラベル等を刺し込むものであった。ところが前述のようなラベルは、例えば販売者側から別に用意されるか、あるいは購入者が適当な樹脂板等で自作するものであったため、購入した球根や栽培種を土の中に埋めた後は、改めてラベルを用意する煩わしさが伴い、結果、何も表示がなされないまま育成されるケースが多い。
【0004】
本発明は、球根あるいは栽培種の購入時から栽培、鑑賞に至るまで、購入者に対して継続的な品種名称の表示を促すことができる台紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のうち請求項1記載の発明は、球根あるいは栽培種を入れた袋の口を封じると共に、前記球根あるいは栽培種の品種名称等を表示する台紙であって、台紙本体には、刺し部と前記球根あるいは栽培種の品種名称の表示部とを有するラベルを備えていることを特徴とする。
【0006】
ここで台紙本体の形状や大きさは特に限定するものではない。また台紙本体へのラベルの取付けを行う手段は、台紙本体とラベルとが一定の接合力を有し、さらにラベルの取り出しが容易になされるものであればよく、例えば、ラベルの一面側に両面テープを備えたものや、あるいは台紙本体にラベルの形状をなす切取線を設け、栽培時に前記ラベルの該当部分を抜き出すようなものでもよい。さらにラベルは、樹脂や防水加工がなされた厚手のボール紙などで形成してあり、土への刺し込み時に折れない程度の強度と、一定の防水性を有したものが使用されている。またラベルの形状は例えば円形、方形、あるいは植物の葉の形等、土への刺し込みができ、さらに栽培途中の球根や栽培種の品種名称を確実に表示できるものであれば、特に限定するものではない。また台紙の表示内容は、球根や栽培種の品種名称の他に、栽培方法や生育に適切な時期、あるいはイベント等で配布する場合のロゴデザイン等、様々である。
【0007】
以上のように本発明の台紙を形成すると、あらかじめ台紙本体の適宜な箇所に球根の品種名称を示すラベルを備えていることで、栽培時、例えば植木鉢の土の中に球根や栽培種を埋めた後に、台紙本体から前述のラベルを取り出して前記土の中に刺し込むことで、栽培中、特に生育前の球根や栽培種の品種を容易に識別できる。
【0008】
また請求項2記載の発明のように、前記台紙本体の適宜な箇所にラベルの刺し部の抜き差しが可能な幅を有するスリットを設けると、ラベルを取り付ける前の段階では、台紙本体が凹凸のないフラットな状態となり、台紙の製造時や搬送時においてコンパクトに梱包できる。さらに請求項3のように、前記台紙本体には、第1スリットから間隔をあけた箇所に、前記ラベルの表示部の保持が可能な第2スリットを設けると、第1スリットに差し込んだラベルの反差込側の部分においても同時に台紙本体に保持しておけるため、例えば製品の搬送中に、台紙本体からラベルの表示部が捲れるような事故が起こりにくくなり、製品ロスの低減が図られる。また請求項4のように、スリットの縁部分が丸みを帯びていることで、スリットの切欠した端面に鋭角な部分がなくなり、差込用スリットへのラベルの挿入時、あるいは押さえ用スリットにより前記ラベルを保持する際に、各スリットの縁部分に柔らかく接触し、ラベルや台紙本体の破損を防ぐことができ、しかも、購入者が各スリットの縁部分で指を切るような事故も防がれる。
【0009】
台紙本体に設けるスリットの数は特に限定するものではないが、1箇所乃至2箇所程度あればよい。また差込用スリットと押さえ用スリットとの間隔の目安は、ラベルの表示部よりも僅かに幅広にとってあればよい。さらに各スリットの縁部分が丸みを帯びているとは、台紙本体に鋭角な部分が形成されないものであればよく、具体的にはシャツの丸首のような半円状のRが付いたもの、あるいは各スリットの縁部分において切欠した端面が球面状をなすようにコーティングを施したもの等が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のうち請求項1及び2記載の発明によれば、あらかじめ台紙本体にラベルを取り付けていることで、購入時のみならず、その栽培時においても生育前の球根あるいは栽培種の品種を容易に識別できるのは勿論、購入者は、栽培時に球根や栽培種を表示するラベルを改めて用意するような煩わしさが解消される。
【0011】
本発明のうち請求項3記載の発明によれば、前述した効果に加えて、ラベルの刺し部、及び表示部の2箇所を同時に保持することで、台紙本体からのラベルの捲れが防がれ、製品の確実な保全が図れる上に意匠的な見栄えもよくなり、製品価値の向上が見込まれる。
【0012】
さらに請求項4記載の発明によれば、前述した効果に加えて、台紙本体との接触によるラベルの破損や、あるいは台紙本体からのラベル取出し時の不意な怪我が防がれるので、製品の確実な保護と本台紙使用時の購入者の安全性が充分に確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の球根あるいは栽培種用の台紙の具体的な構成について、各図面に基づいて以下に説明する。
【0014】
本台紙は図1(a)(b)に示すように、上寄りの箇所に縦向きの折目5の付いた方形をなす台紙本体1と、該台紙本体1の上辺やや右寄りの箇所に設けられた上下の各スリット3a,3bと、この各スリット3a,3b内に差し込まれる球根9の品種名称を印刷したラベル2aとから構成したものである。
尚、符号4は、例えば店頭への陳列時に利用される引掛け孔である。
【0015】
前記ラベル2aは、円形をなす膨大部6を上部に備え、一方の下部には下端側に向かって次第に狭まるような尖り状の刺し部7を備えている。これは栽培時、前記刺し部7によって土への刺し込みを可能とするのみではなく、差込用スリット3aへの挿入を容易なものとする。また各スリット3a,3bのうち、上側、つまりはラベル2aの膨大部6の上側に対応する箇所にある押さえ用スリット3bは、縁部分Rが下向きに弧を描く半円状の切り込みを入れて形成してある。これにより、ラベル2aの膨大部6の上端部を押さえ用スリット3bに差し入れた際、膨大部6の上端部に前述の半円部分を被せることでラベル2aの2点保持がなされ、しかも押さえ用スリット3bの縁部分Rの丸みによりラベル2a上端部を受け止めるような状態となるので、ラベル2a及び台紙本体1がそれぞれ欠損し難くなる。また、前記縁部分Rに鋭角な箇所がなくなることで、購入者が触って不意に指を切るような事故が防がれる。さらに、前記差込用スリット3aに挿入したラベル2aの刺し部7の先端は、台紙本体1の裏面側に突き出し、ラベル2aが台紙本体1の各スリット3a,3b間に保持される。
【0016】
図2は台紙本体1により、球根9を入れた網の袋8の口を封じたものである。具体的には、袋8の口に折目5を合わせ、この折目5を基準に台紙本体1を谷折りに曲げてクリップ等で止めることで、球根9を入れた袋8が封じられる。そして台紙本体1の差込用スリット3aからラベル2aの刺し部7を挿入し、膨大部6の上端部を押さえ用スリット3bに差し込むことで、ラベル2aが台紙本体1に保持される。
【0017】
次に図3と図4に示すものは、本台紙の他の実施形態を示すものであり、まず図3はラベル2bの膨大部6の形状を多角形状としたものである。また図4は、ラベル2cの膨大部6をチューリップの花のような形状としたものである。このように本発明の台紙では、ラベル2a,2b,2cの形状や大きさ、該ラベル2a,2b,2cの台紙本体1への取付位置を、販売時の状況や製品の特性に合わせて自由に選択できるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1(a)(b)】本発明の球根あるいは栽培種用の台紙の平面図である。
【図2】本発明の球根あるいは栽培種用の台紙の使用状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【図4】同じく、本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 台紙本体
2a,2b,2c ラベル
3a 差込用スリット
3b 押さえ用スリット
6 表示部(膨大部)
7 刺し部
8 袋
9 球根
R 縁部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球根(9)あるいは栽培種を入れた袋(8)の口を封じると共に、前記球根(9)あるいは栽培種の品種名称等を表示する台紙であって、
台紙本体(1)には、刺し部(7)と前記球根(9)あるいは栽培種の品種名称の表示部(6)とを有するラベル(2a,2b,2c)を備えていることを特徴とする球根あるいは栽培種用の台紙。
【請求項2】
前記台紙本体(1)の適宜な箇所には、前記ラベル(2a,2b,2c)の刺し部(7)の抜き差しが可能な幅を有する差込用スリット(3a)を設けていることを特徴とする請求項1記載の球根あるいは栽培種用の台紙。
【請求項3】
前記台紙本体(1)には、差込用スリット(3a)から間隔をあけた箇所に、前記ラベル(2a,2b,2c)の表示部(6)の保持が可能な押さえ用スリット(3b)を設けていることを特徴とする請求項2記載の球根あるいは栽培種用の台紙。
【請求項4】
前記差込用スリット(3a)及び押さえ用スリット(3b)は、縁部分(R)が丸みを帯びていることを特徴とする請求項2又は3記載の球根あるいは栽培種用の台紙。

【図1(a)(b)】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−51985(P2006−51985A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235263(P2004−235263)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(504309232)新潟県花卉球根農業協同組合 (1)
【出願人】(502379527)農事組合法人 新潟育苗センター (2)
【Fターム(参考)】