説明

球状メントール粒子

本発明は、下記工程を含む、球状メントール粒子の製造方法に関する。
メントール融解物を製造
0〜12℃の温度範囲の水に前記メントール融解物を計器で測定し入れる、ここで計器で測定する条件は、メントール液滴が、測定後、水中に一時的に存在し、その後水中で固形化して球状メントール粒子を形成するように選択される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、球状メントール粒子及び前記球状粒子の集合(多数の球状粒子)を製造するための方法及び装置に関する。
L-メントールは、独特の清涼味、ミント様の香り及び皮膚及び粘膜上で顕著な冷涼感を持つ。例えば、口腔ケア、化粧及び医薬製剤において、またタバコ及び菓子類において、例えば、Perfumer & Flavorist, Vol. 13, October-November 1988, p. 37に記載されているように、使用される。
【0002】
L-メントールは、メンタアルベニシス(薄荷、Mentha arvensis)(含量: 70〜80%)及びメンタピペリタ(セイヨウハッカ、Mentha piperita)(含量: 50〜60%)由来のペパーミントオイルの主成分である。L-メントールは、粗製ペパーミントオイルから結晶化により得ることができる。結晶化方法と出発物質に依って、得られた結晶は、味が異なり、また結晶のサイズと形状も異なる(Perfumer & Flavorist; Vol. 22, November-December 1997, p. 1)。少量の残存液体ペパーミントオイルは、ペパーミントオイルから得られたこれらのメントール結晶に付着し(l-メントール含量は通常、99.2質量%以下である)、メントール結晶の凝結あるいは凝集を抑制するが、また官能特性に影響を与える。
【0003】
多数の合成メントールの製造方法が知られている。合成l-メントールの経済的な製造方法は、例えば、出発物質としてチモールを用いる。水素化により形成された8つの立体異性体のメントールから、l-メントールを、>99%の化学的純度で複数のプロセス工程を経て、得ることができる(e.g. Bauer, Garbe, Surburg, Common Fragrance and Flavor Materials, 4th Ed., Wiley-VCH, Weinheim 2001, p. 52-55)。この方法から得られたl-メントールは、その純度及び強度により、感覚的に区別することができる。
【0004】
メントール、特にl-メントールは、様々な固形物形態で入手可能である; 例えば粉末、結晶、固化した蒸留物(流出物)、フレーク及びペレットが従来から知られている。
DE-A 2109456、DE-A 2530481又はEP 0 909 205に記載の方法に従って、製造し、結晶化した合成l-メントール(42〜43℃の融点を持つ)は、白色結晶又はペレットの形態で、更には固化した蒸留物の形態で、市販されている(Symrise GmbH & Co. KG, Holzminden)。
【0005】
フレーク状のL-メントールは米国特許第3,064,311号明細書に記載されている。その製造では、蒸留した(留出した)l-メントールを融解し、薄い融解したフィルム層を極低温の表面上へ塗布する。固化したl-メントールフィルムを、小片に破断する。この方法の生成物は、砕けやすいl-メントールフレークであり、厚さが0.125〜1.25 mmで、サイズが3〜25 mmである。このように製造されたフレーク化されたl-メントールは、前記米国特許明細書に記載されているように、24時間後、フレークの付着と凝集を示す。
【0006】
WO 03/101924は、α‐メントールを70質量%以上含むメントールペレットについて開示しており、これは比較的非常に低い凝結性または凝集性を示す傾向にある、。
JP08-020549は、約90質量%の合成l-メントール(粒子サイズが50〜200 μm)及び約10質量%のシリカゲル(粒子サイズが10 μm未満、好ましくは2〜5 μmの範囲)を含むl-メントール-含有粉末を開示する。この生成物(嵩高さ: 50 cm)は、1ヶ月保存後、凝結性を示さなかった。この生成物の製造では、界面活性剤(例、メントールとシリカゲルの全質量に対して、2質量%のデカグリセリルモノラウレート)を最初に水に、l-メントールの融点(42℃)より高い温度で導入する。次に、シリカゲル及び融解したメントール、またはシリカゲル上のメントールを連続して、50℃で、水と界面活性剤の混合物中へ導入した。短時間攪拌した後、混合物を氷冷し、水洗し、ろ過して、乾燥した。
また、常温で固化する融解可能な化学物質を、液状化し、得られた融解物を液体中に導入することにより粒子状にする方法も公知である。
【0007】
DE 518 090は、塩、特に肥料(fertilisers)の、球状若しくは球様構造への変換について述べている。そこに記載されている方法は、実質的に、粒子化すべき物質を融解した状態で、冷却した流動するその物質が不溶である液体中へ導入することである。冷却した液体を、例えばブレード攪拌機により、長いらせん経路(乱流)形態及び冷却液体中での物質の液滴の十分に長い滞留時間を達成するように、接線方向に流動させることが必要であり、それにより、冷却した容器の底部で続いて形成する球状若しくは球様構造が十分に固化し、冷却容器の底部において互いに付着しない。
【0008】
DE 1 157 202 (US 3,123,855に対応)は、融解物のストリームを冷却した液体中に流入することにより、融解可能な物質、特にピッチと合成樹脂を小さな球体に粒状化する方法に関する。これは、振動を公知の方法により与えた融解した物質の流れを、不規則な表面張力を有する熱い冷却液体(hot cooling liquid)中へ、好ましくは水中へ導入し、その物質の固化温度よりも低い温度の冷却剤ゾーンに得られた液滴を誘導することにより行われる。融解した物質のストリームは、好ましくは、表面の下側の熱い冷却液体中に流れ込む。変法(好ましくない方法であるが)もまた記載されており、それによると、冷却される物質は底部から上端へ流れ、一方冷却剤は反対方向の下方へ流れる。また冷却される物質及び冷却剤が同時に誘導される方法も記載されている。全てのケースにおいて、冷却される物質のストリームに沿った温度、顆粒の経路に沿った温度及び冷却剤のストリームに沿った温度は、急激に変わる事はないが、勾配に従って常に変化する。好ましい形態では、DE 1 157 202 に従う冷却剤に、冷却剤の表面/界面の張力を低下させる物質を添加した。具体的な実施例では、13atmの作動圧力で、180℃に加熱したピッチ(軟化点が90℃である)を、ノズルを介して、反対に流れる水柱内へ通過させた。水はピッチストリームの導入時点で160℃であり、カラムの底部(底部において円錐形であった)における得られたピッチの小球体の放出の時点で、水の温度は約20℃であった。
【0009】
化学物質、特に肥料(fertilisers)、の顆粒化プロセスは、DE 932 246に記載されている。その明細書には、融解容器から流れ出た融解した物質が、開口を通じて(例えば、穿孔した底部)、頂上付近で円錐形に広がった垂直に配置されたタワー状の容器に導入され、この融解物は、冷却用空気の上昇ストリーム(反対方向)により冷却されて、液滴形態に分けられて、顆粒化物質が固化された液滴の形態でタワー状容器の底部に存在するように行われることが記載されている。
【0010】
DE 1 300 514は、硫黄系のピッチ又は溶融性プラスチックのペレット化法を提案している。その方法では、問題の物質を、小球の付着性を低下させる添加剤を添加した冷却水浴に滴下し、小球を冷却水浴で形成する。使用する添加剤は液体シリコーンであり、これを冷却水中に約10ppmの量で添加する。液体シリコーンの添加により、形成された小球がすばやく固化し(少なくともその表面が固化する)、その結果、もはや小球は他の小球により破壊されることなく、更に、互いに付着してより大きな集合体を形成することもない。DE 1 300 514において特に述べられている利点は、他の点では同じ条件と比較して、形成された小球が非常に高い温度においても集めることができ、ペレット化容器から除去することができることである。更に、得られた顆粒が全て、より硬く、砕けやすさが低減されていることが述べられている。
【0011】
GB 1,115,071によれば、顆粒化する物質、この場合には特に肥料(fertilisers)の液滴を、融解した形態で、沸騰液体(冷却用液体)中に導入する。顆粒化する物質は沸騰液体に実質的に不溶である。適する冷却用液体は、特に有機溶媒である。一方、水については記載されていない。重要な点は、冷却用液体の沸点が、顆粒化する物質の沸点よりも少なくとも20度低くなければならず、更に冷却用液体の密度が好ましくは、顆粒化する融解した物質のそれよりも低いことである。GB 1,115,071によれば、球状の顆粒が得られる。比較試験(顆粒化する物質として硝酸アンモニウムを使用)では、沸騰していない(30℃)冷却用液体中に、冷却用液体を攪拌しながら、顆粒化する融解した物質を滴下して導入すると、不整形状、すなわち非球状の顆粒が得られた。
いわゆる湿潤造粒方法(wet prilling process)では、(硫黄系)融解物を一又は複数の穿孔プレート(ノズルフロア)を通じて、水を満たした造粒容器または造粒タワーへ流すまたはドリップするか、あるいはノズル先端(nozzle lance)から微粒子化する(US 3,637,351)。
【0012】
EP 0 064 311は、低融点物質、例えば、水に不溶である物質、特に硫黄のための湿潤造粒方法に関し、その造粒する物質の融解物を、穿孔プレートを通じて初めにガス状雰囲気に入れ、各液滴の形成を行い、次に冷却用液体(例、水)に入れ、そこで造粒物を冷却し固化する。EP 0 064 31では造粒物の除去を、造流タワーの末端に位置する推進ジェットポンプにより行い、そのポンプは、造粒物を非常に穏やかに運ぶことができる。EP 0 064 311によれば、冷却液体の表面と造粒タワーの融解物供給装置との間の距離は、融解物ストリームの中で液滴形成と液滴除去が起こるときに最適に調整され、造粒粒子は、冷却用液体の実質的に静止した表面と接触した際、粉末状にもならず、若しくは大きく変形しない。湿潤造粒方法では球状の顆粒が従来得られており、その表面特性は、冷却用媒体中に存在する添加剤(例、界面活性剤)等により影響される。
【0013】
IN 157 628は、メントール顆粒の水中での製造を述べている。その方法では、水及び固体メントールを初めに攪拌された容器に、2:1〜25:1の質量比で導入し、及び次に、容器の中身を40〜60℃に加熱(攪拌しながら)し、融解したメントールの水中の分散物を作成する(融点l-メントール: 42〜43℃、dl-メントール: 38℃)。メントール/水分散物を50〜500ppmの範囲の攪拌スピードで攪拌しながら10〜25℃の温度範囲に冷却して1〜10mmの平均直径を持つ顆粒を、メントール液滴から固化することにより形成した(冷却用-水循環で使用した冷却用水は、2〜10℃の温度範囲を有する)。容器の内容物を、その温度で更に30〜60分維持し、その後水を分離し、顆粒を乾燥する。IN 157 628に従う方法における不利益な点は、存在する水を加熱し次に冷却するために大量のエネルギーが必要なことであり、及び長い冷却相の結果としてメントールまたは顆粒の長い滞留時間が必要なことである。攪拌メカニズムによるメントール液滴に生じる機械的な応力と乱流のため、非常に不均整な顆粒の非均一形状が得られる。更に、本発明者ら自身の試験では、IN 157 628に従い製造された顆粒は、24時間の乾燥後、4質量%までの水分含量を有しており、粒子サイズ分布は非常にブロードであり、更に望ましくない微粒子含量が得られた(更なる差異については、下記記載を参照;本発明の方法または本発明のメントール顆粒との直接の比較、及びIN 157 628に従う顆粒のプロセスは実施例5に記載した)。
【0014】
本発明の目的は、できる限り球状であり、かつ均一である、メントール粒子を提供することであり、また前記粒子を製造する方法及び装置を提供することでる。
メントール粒子(メントール顆粒)は、改良された、高い保存安定性を有し、製造が簡単であり、扱い易く、更に凝結しにくいものである。
【0015】
本発明の第一の態様によれば、上述した目的は、下記工程を含む球状メントール粒子の製造方法により達成される:
-メントール融解物を調製する、
-メントール融解物を、0〜12℃の温度の水への計量して入れ(あるいは計器で計り入れ)(投与)、ここで計量する条件は、計量後、水の中でメントール液滴が一時的に存在し、メントール液滴が次に水中で固化して、球状メントール粒子を形成するように選択される。
【0016】
用語"メントール液滴"は、液滴の形態の融解したメントールを意味する。
用語"球状メントール粒子"は、少なくとも0.8の球形度(現実の表面積に対する等体積の球の表面積の比:Wadellによる球形度)をもつメントール粒子を意味する。
計器で測定している間のメントール融解物の温度は、好ましくは42〜60℃の範囲であり、より好ましくは45〜55℃である。
極めてより低い温度の水に計量して入れた後、本発明のメントール融解物は、水中でメントール液滴の形態となり、このメントール液滴を、メントール液滴が最終的に水中で固化されて球状メントール粒子を与えるまで冷却する。
【0017】
使用される水は、蒸留水若しくは脱塩水であることができるが飲料水を用いることが好ましく、またその水は溶解された物質を少量含むことができる。
【0018】
本発明によれば、メントール融解物を計量して入れる水の温度は、0〜12℃である。水温は好ましくは0℃より高いことが好ましく、2〜10℃であることが好ましく、更に4〜8℃であることが特に好ましい。本発明において、温度範囲の維持は、本発明の方法の成否に重要である。他の点において同じ試験条件で、15〜17℃の温度範囲の水を使用した比較試験では、スポンジ状で、高度に分岐した構造であり、かつ球状形状をもたない顆粒が得られた。
【0019】
2〜10℃の温度範囲の水を使用した場合、球状メントール粒子が得られ、これは10〜12℃の水温で得られたメントール粒子と比較して、より高い球形度を示すものであった。
メントール融解物を水に導入する様式は様々な方法がある。しかし、本発明によれば、メントール液滴は、計量して入れた後、一時的に水中に存在しなければならず、次に水中で固化して球状メントール粒子を与える。特にメントール融解物は、(a)液滴の形態で水中に計量して入れることができるか、又は(b)水中で液滴の形態に破断されるような様式でストリームの形態で水中に計量して入れることができる。(b)の方法が好ましい。
【0020】
格別に好ましい態様において、メントール融解物は、一又は複数の開口を通して直接(冷却用)水に導入され(すなわち、液滴形態のためのガス状媒体を通過させずに行われる。EP 0 064 311参照)、前記水は好ましくは特定の温度である。メントール融解物は、好ましくはストリームの形態で水に導入され、及び好ましくは振動(例えば、2〜120ヘルツ、好ましくは10〜600ヘルツの範囲)を融解したメントールストリームに(例えば圧力変動により)与える(imposed/impressed)。あるいは、好ましくは、融解したメントールストリームを開口(例えば、一又は複数の穴を有する穿孔プレート)を通して冷却用水に計量して入れる。そのストリームは、上に存在する水柱により生じる圧力より若干高い圧力下で導入される。各々の好ましい変法は、融解した(液体)メントール液滴を水中に形成し、その液滴を次に固化して球状メントール粒子を与える。
【0021】
メントール粒子の球状形態は、本発明の方法に従って存在するメントールの水中での液滴形態により与えられる。したがって、本発明の好ましい態様において、融解したメントールのストリームが破壊されて液滴になることにより、与えられる。液滴は典型的にはせん断力(例えば攪拌メカニズム)の影響を受けることなく、冷却及び固化(硬化)の間に上昇する。水中に形成する球状形態は、球状メントール粒子に固化されるまで維持される。固化の間、メントール粒子はほとんど互いに擦りあうことなく、時折の接触は、本発明の方法の結果に重大な影響を及ぼさない。
【0022】
本発明の方法では、メントールの冷却及び固化の間に放出される熱のみを水から除去する。ノズルに形成されるメントール液滴は、干渉されずに形成することができ(form unhindered)、水の含有をできうる限り防ぐことができる。本発明の方法を、(冷却用)水を動かすことなく行うことができ、そのような場合には、水の冷却を好ましくはジャケット冷却により行うことができ、又は(冷却用)水を動かすことができ、好ましくは、流れ(特に上方への流れ)が起こるような方法で行うことができ、メントール液滴(又は固化によりそれから得られたメントール粒子)を同時に輸送する。
【0023】
従って、本発明において好ましくは
(a)メントール融解物をメントール液滴が水中で上昇するような様式で、水中へ計量して入れる(例、水と比較して低密度であることに起因する)
及び/又は
(b)水流を作り、メントール融解物を流水中へ、メントール液滴が水流と共に輸送されるような、好ましくは上方に輸送されるような、より好ましくは、渦状あるいはらせん状で上方に輸送されるような様式で、計量して入れられる。
【0024】
本発明の方法において、メントール液滴が水中(静止又は動いている水)で上方に上昇するとき、上昇経路内のメントール液滴(メントール粒子)の平均上昇速度は、好ましくは、3〜20 cm/sの範囲であり、より好ましくは5〜15 cm/sの範囲である。同時に、または交互に、水中でのメントール液滴又はメントール粒子の平均滞留時間を、2〜120秒間、好ましくは5〜60秒間、特に好ましくは5〜30秒間とすることが好ましい。
固化した球状メントール粒子は、水中に少なくともその表面温度が20℃以下となるまで置くことが好ましい。メントール粒子のサイズに依拠するが(そしてメントール粒子のサイズはメントール液滴(固化前)のサイズ、また任意に融解したメントールのストリームの幅に依拠する)、上記好ましい平均滞留時間の範囲の滞留時間が、一般に十分である。
【0025】
本発明のメントール粒子の“直径”は、粒子の最大直径と最小直径の算術的平均値を意味する。
メントール融解物を(冷却用)水に計量して入れる様式、すなわち、例えば穿孔プレート、ノズル(プレート)、又は供給ノズル等の開口の直径によって、本発明の方法により製造することができるメントール粒子の直径は、好ましくは0.3 mm 〜10 mm、より好ましくは0.5〜8 mm、特に好ましくは1〜5 mmの範囲である。
メントール粒子の直径を更に、冷却用液体の挿入速度(計量して入れるスピード)により変えることができ、スピードは、計量ノズル(若しくはメントールスループット)と選択されたノズル断面における吸気圧力により与えられる。
【0026】
装置に関連する理由から、底部を備える容器内に水を入れ、底部から水へメントール融解物を計量して入れることが好ましい。特に、上述した工程において、融解したメントールを開口から(冷却用)水に導入し、次に装置において容易に粒子に変えることができる。
本発明の方法により調製された球状メントール粒子は顕著に保存安定性であり、長い保存期間後であっても、流れる(flow)ことができ、容易かつ安全に取り扱うことができ、さらに自由に流れ、注ぐことが可能でありかつ計量することが可能である。特にIND157628の生成物と比べて均一な球状形状とサイズ分布を有することから、本発明の方法により製造された球状メントール粒子は、凝結する傾向が低く、また、凝集した球状メントール粒子は、より容易に分離しやすい傾向にある。
【0027】
本発明の方法の上述した特に好ましい実施態様において、球状メントール粒子は、(冷却用)水(関連して、本発明の装置の好ましい実施態様に関する下記コメント参照されたい)から分離し、次にメントール粒子の全質量に基づいて、1質量%、好ましくは0.5質量%より少ない水分含量になるまで乾燥する。
【0028】
本発明の方法において、水を好ましくはオーバーフローを備える容器内に入れ、球状メントール粒子を容器から水と共にオーバーフローから放出する。そのような方法は特に容易である(関連して、本発明の装置の好ましい実施態様に関する下記記載を参照のこと)。
【0029】
(冷却用)水への、表面/界面の表面張力を低下させる薬剤の添加(例えば、界面活性剤)、及び/又は液体シリコーンの添加は不要であり、本発明の方法では不利である。本発明の方法で使用される(冷却用)水は従って、表面/界面の表面張力を低下させる薬剤を含まないこと、特に界面活性剤を含まないこと、及び/又は液体シリコーンを含まないことが好ましい。
【0030】
本発明の方法において、0〜12℃の温度範囲のフレッシュな水を、メントール融解物が計量される領域へ連続的の導入することが好ましい。同時に、系から、同様に連続的に除去することが好ましく、この水は、メントール融解物(メントール液滴、メントール粒子)からの熱の損失により加熱されたものである。(冷却用)水は、好ましくは循環するように誘導され、メントール融解物を水に計量する容器内のメントール融解物から熱を有利に奪い、容器の外側で冷却される。
【0031】
好ましくは循環するように誘導された(冷却用)水とメントール粒子の分離を、公知の分離技術(例えば、ふるい、ろ過(連続若しくは非連続)、遠心等)により行うことができる。
本発明の方法の更なる好ましい実施態様は、下記記載、実施例及びクレームにより明らかである。
【0032】
本発明はまた、本発明の方法を行うための装置に関する。前記装置は下記を備える。
-メントールを融解し、融解したメントールを42〜60℃の範囲の温度に加熱する手段(融解及び加熱手段)、
-底部を備える、水を受けるための容器、及び
-容器に備えられた手段(好ましくは、融解及び加熱手段にも連結されている)であって、42〜60℃の範囲の温度の融解したメントールを(a)液滴の形態、若しくは(b)底部から水に入れられたストリームの形態で、計量するための手段。
【0033】
水を受けるために提供される(冷却用)容器の寸法(長さ又は高さ)は、メントール液滴/メントール粒子の滞留に必要な時間の要求により実質的に決められる。滞留時間は、経験的にメントール顆粒の適切な結晶化が行われるように選択されるが、一般的にそれは、粒状メントール粒子の表面温度が20℃以下となる場合である。当業者は、適切な容器を選択する際にこの要件を考慮に入れるべきである。また、底部から水に融解したメントールを計量するための手段が水中に存在するメントール液滴のサイズに影響し、次に、それが容器の必要な寸法に影響するという事実を考慮に入れるべきである(メントール液滴が上昇する速度とその固化する挙動は、液滴サイズに依存するからである。)。
【0034】
本発明の方法を行うための本発明の装置は、好ましくは、少なくとも計量部位において、容器内の水温をモニターする手段及び/又は容器内の水温を0〜12℃の範囲に設定する手段を含む。
【0035】
また、本発明の装置の容器はオーバーフローを備えることが有利である。本発明の方法における対応する記載を参照のこと。
【0036】
本発明の装置は更に、(冷却用)水から形成された球状メントール粒子を分離する手段を備えることが有利である。そのような分離装置は、例えば、ふるいまたはフィルターである。これらについては下記実施例を参照のこと。
【0037】
水を受ける容器は、底部を備える、上方に伸びるパイプ(管)であることが有利である。操作の間、パイプは(冷却用)水で満たされている。融解したメントールを水に計量する手段は、パイプの底部に配置されている。メントール液滴の形態で計量されたメントール融解物は、容器の内側を上昇し、そこで固化する。
【0038】
本発明の装置は、水を流す手段、好ましくは渦状あるいはらせん状で上方に流す手段を備えることが好ましい。そのような場合、本発明の装置内のメントール液滴は、水の流れと共に、好ましくは上方へ、好ましくは渦状あるいはらせん状で、移送される。例えば、水の流れを作る手段は水注入口を備えることができ、それから水を容器内に導入することができる。例えば、容器内に存在する水柱の上昇する乱流が形成されるように容器の壁に対して接線方向に導入することができる。
【0039】
更に好ましい本発明の実施態様は、本発明の方法に関して上述した説明に従う。好ましい工程を行うためには、対応する手段が当然に対応する装置内に存在する。更に、本発明の装置の好ましい実施態様は、下記記載、実施例及びクレームにより明らかになる。
【0040】
本発明はまた、本発明の方法により得ることができる、球状メントール粒子及び所定量(数)の球状メントール粒子に関する。用語"球状メントール粒子"については、下記を参照のこと。
【0041】
少なくとも80%のメントール粒子の量、好ましくは少なくとも90%のメントール粒子の量において、最小直径と最大直径の比率(商)d/Dが1.00 ≧ d/D ≧ 0.80の範囲である。
メントール粒子の少なくとも80%の量、好ましくは少なくとも90%の量において、最小直径と最大直径の商d/Dが、1.00 ≧ d/D ≧ 0.90の式を満たし、より好ましくは、1.00 ≧ d/D ≧ 0.95の式を満たすことが、特に好ましい。
本発明の方法により、そのような好ましい球状粒子の集合を製造することができる。すなわち、メントールペレットとは異なり、成形時の隙間が無い、非常に均一な形状の球状メントール(メントール顆粒)を製造することができる。
【0042】
粒子サイズ分布は従来非常に狭く、また微粒子含量(存在する場合には)は非常に低い。関連して下記実施例を参照のこと。本発明の球状メントール粒子の集合のかさ密度は好ましくは500 g/リットルより高い値である。
【0043】
本発明の方法を行うと、通常、本発明の球状メントール粒子の集合が得られ、その各々の球状メントール粒子のモース高度が少なくとも2である。本発明のこのような球状メントール粒子はIN 157 628に従って得ることができるメントール粒子(メントール顆粒)よりも高い硬度を有する(下記実施例参照のこと)。
【0044】
本発明の球状メントール粒子の集合の残存水分は、残存水分を含む球状メントール粒子の集合の合計質量に基づいて、好ましくは1質量%より低く、より好ましくは0.5質量%よりも低い。上述した、本発明の方法の好ましい実施態様、及び後述する実施例を参照のこと。
【0045】
特に好ましい態様は、本発明の方法により得ることができる球状メントール粒子の集合であり、下記特徴を有するものである。
-かさ密度が500 g/リットルより大きい、
-メントール粒子の少なくとも80%の量、好ましくは少なくとも90%の量において、最小直径と最大直径の商d/Dが、1.00 ≧ d/D ≧ 0.80の式を満たす、
-球状メントール粒子のモース硬度が少なくとも2である、及び
-残存水分を含む球状粒子の集合の全質量に基づいて、球状メントール粒子の残存水分含量は、1質量%より低く、好ましくは0.5質量%より低い。
本発明の球状メントール粒子は、IN 157 628の方法により得られるようなメントール粒子と比較して、顕著によりスムースな表面を示す。その結果、メントールの極めて強力な昇華特性がかなり低減される。更なる結果としては、本発明の球状メントール粒子は、IN 157 628の方法により得られるようなメントール粒子と比較して、凝結する傾向が顕著に低減されている。
本発明の球状メントール粒子は、同じサイズを持ちかつ同じ溶解条件下で、メントールペレット(すなわち、圧力をかけて圧縮したメントール顆粒)よりも極めて迅速に溶解する。
【0046】
本発明の方法により得ることができる本発明の球状メントール粒子は、d-メントール、l-メントール及びd-メントール及びl-メントールの望ましい混合物から製造することができる。前記メントールとしては、l-メントール、d-メントール及びラセミ体のメントールが好ましく、l-メントールが特に好ましい。
【0047】
本発明の方法で使用されるメントールは、合成品であっても、天然由来品であっても良いが、合成メントールが好ましい。特に、天然由来のメントールを使用する場合には、しばしば要求されるメントールの高い純度を確保することが困難である。
【0048】
また、合成メントール及び天然メントールの混合物、ラセミ体及び純粋なエナンチオマーメントールの混合物等のいずれかの望ましい混合物を使用することが可能である。
上述した従来の方法により得られるメントール生成物と比較して、本発明のメントール粒子は特に、感覚(官能試験)において優れている。特に本発明のメントール粒子は、より清涼感があり、香り、そして特に味においてより強くかつ明瞭である。
【0049】
従って、本発明はまた、本発明の球状メントール粒子若しくは球状メントール粒子の集合を含む物品に関する。
物品として好ましくは、消費に適切な製品、喫煙に関する製品、タバコ製品、香料(フラグランス混合物)、フレーバー混合物、口腔衛生製品、化粧、医薬及び皮膚科学的製品、カプセル化又は被覆化された本発明のメントール粒子からなる群から選択される。
【0050】
本発明の他の態様は、本発明のメントール粒子若しくは球状メントール粒子の集合のメントール含有物品、特に下記からなる群より選択される物品の製造における使用に関する。物品は、消費に適切な製品、喫煙に関する製品、タバコ製品、香料(フラグランス混合物)、フレーバー混合物、口腔衛生製品、化粧、医薬及び皮膚科学的製品、カプセル化又は被覆化された本発明のメントール粒子からなる群から選択される。
【0051】
本発明の球状メントール粒子は特に、上述した物品のフレーバー若しくはフラグランス付与のために使用される。
製品における本発明のメントール粒子は、その製品の型によって大きく変動しえる。
【0052】
使用準備完了製品(例えば、口腔衛生製品、消費に適切な製品(例、食物)若しくは化粧品)において、本発明のメントール粒子の量は、使用準備完了製品の全質量に基づいて、好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。
一方、フレーバー若しくはフラグランス混合物において、本発明のメントール粒子の量はもっとずっと高くすることができ、通常、フレーバー若しくはフラグランス混合物の全質量に基づいて0.01〜70質量%、好ましくは1〜50質量%の範囲である。
【0053】
消費に適切な製品とは、ヒトの口腔に導入し、所定時間そこに残存し、かつ飲み下される(すなわち消費される(例、食物))か、あるいは口腔から再び除去される(例、チューイングガム)ことを意図した製品を意味する。また、ヒトにより消化されることを意図した全ての物質または製品を含み、それらは加工品、半加工品若しくは未加工品を含む。更に、製品の製造、加工若しくは処理の間に消費に適切な製品に添加される全ての物質をも含む。
【0054】
好ましい消費に適切な製品は、例えば、焼き製品(ビスケット、ケーキ、マフィン、ワッフル、ベーキング混合物)、砂糖製品(ハードカラメル、ソフトカラメル、チューイースウィート(噛むお菓子)、圧縮製品(compressed products)、ドラジェ、砂糖パール(sugar pearls)、砂糖フィリング)、乳製品(ヨーグルト、プディング、アイスクリーム)、チョコレート製品(ホワイト、ミルクまたはダークチョコレート、チョコレートバー)脂肪類(焼き製品のためのフィリング、例えばビスケットのためのフィリング、チョコレートのための脂肪フィリング、バーのための脂肪フィリング等)、チューイングガム(砂糖非含有、砂糖含有、ストリップ、圧縮製品、ドラジェ)、スナック及びスナック混合物、水溶性粉末製品、トッピング等からなる群より選択される。
【0055】
本発明における口腔衛生製品(以下、口腔ケア製品若しくは口腔衛生調製品とも呼ぶ)は、当業者に、口腔および咽頭のクリーニングとケアのため、また息をフレッシュにするための処方として知られているものであると理解されるべきである。歯のケアとガムについても明確に含まれる。従来の口腔衛生処方の投与形態はクリーム、ジェル、ペースト、泡、エマルション、懸濁液、エーロゾル、スプレー、並びに、カプセル、顆粒、トローチ、タブレット、甘味剤若しくはチューイングガムが挙げられる。しかし、これらのリストは本発明の観点を限定するものではない。
好ましい口腔衛生製品は、特に歯のケア剤(例えば、歯磨きペースト、歯科用クリーム、歯科用ジェル、歯科用粉末、マウスウォッシュ、デンタルフロス、シームレスカプセル、おしゃぶり用甘味、及び砂糖非含有チューイングガム)が挙げられる。
【0056】
本発明のメントール粒子は、更に特にカプセル化することができる。好ましくは、本発明のメントール粒子及び/又はそれを含む液体若しくは固体調製物は、固体カプセル化材料によりカプセル化される。その材料は、好ましくは、デンプン、崩壊デンプン若しくは化学的あるいは物理的に修飾したデンプン(特にデキストリン及びマルトデキストリンゼラチン、アラビアガム、寒天、ガティガム(ghatti gum)、ゲランガム、修飾若しくは非修飾セルロース、プルラン、カードラン、カラギーナン、アルギニン酸、アルギネート、ペクチン、イヌリン、キサンタンガム、及びこれらの2若しくはそれ以上の混合物から選択される。
【0057】
本発明の球状メントール粒子を含む化粧品及び/又は皮膚科学的製品はその他の点においては、従来のとおり構成されており、及び化粧品及び/又は皮膚科学的日焼け防止品に使用することができ、また皮膚及び/又は髪の毛の処置、ケア及びクレンジング(洗浄)に使用することができ、同様に装飾化粧品におけるメークアップ製品としても使用することができる。従って、その組成によって、例えば、皮膚保護クリーム、クレンジングミルク、日焼け防止ローション、栄養クリーム、昼間又は夜間用クリーム等に使用することができる。医薬製品のベースとして使用することが任意に可能であり、また有利である。
【0058】
これらの化粧品及び皮膚科学的製品のうち特に好ましいものは、皮膚ケア製品若しくはメークアップ製品の形態のものである。典型的な形態としては、クリーム、ゲル、ローション、アルコール性若しくは水性/アルコール性溶液、エマルション若しくはスティック状の調製物が挙げられる。そのような剤はまた、更に補助物質及び添加剤、マイルド界面活性剤、共乳化剤(co-emulsifiers)、過脂肪剤、真珠光沢ワックス、稠度付与剤、増粘剤、ポリマー、シリコーン化合物、脂肪、ワックス、安定剤、生体活性成分、デオドラント活性成分、ふけ防止剤、膜形成剤、棒潤剤、ハイドロトピック剤(hydrotopic agent)、保存料、防虫剤、日焼け剤、人工的セルフタンニング剤(例、ジヒドロキシアセトン)、可溶化剤、香料油、着色剤、細菌抑制剤等を含むことができる。
【0059】
使用するために、前記化粧品及び皮膚科学的製品は、従来の化粧品と同様の様式で、皮膚及び/又は髪の毛に十分な量で適用する。
特に好ましくは、これらの化粧品及び/又は皮膚科学的製品は、皮膚又は髪の毛を保護する化粧剤の形態である。本発明に従って使用される、UV-A、UV-B及び/又は広域フィルターに加えて、そのような化粧剤は、少なくとも一つの無機顔料、好ましくは無機マイクロ顔料を有利に含むことができる。
【0060】
化粧品及び/又は皮膚科学的製品は、例えばそのような製品に従来使用されている化粧品補助物質(例えば保存料、抗菌剤、香料、起泡抑制物質、着色剤、着色作用のある顔料、増粘剤、保湿剤(moisturising)及び/又は保湿成分(humectant)、脂肪分、油分、ワックス若しくは他の従来の化粧品若しくは皮膚科学的製品のための成分(アルコール、ポリオール、ポリマー、泡安定剤、電解質、有機溶媒若しくはシリコーン誘導体等))を含むことができる。
【0061】
本発明は図面を参照して説明することができる。
図1は本発明の方法を行うための装置を図示したものである。図1は本発明の方法を行うための本発明の装置を図示する。
装置は水を受けるための管状容器1を備え、底部3を有する。底部3に伴い、計量ノズル5が存在し、それは底部から融解したメントールを計量する役割を果たす。また、容器1の底部3に伴って、水注入口7が存在し、それを通じて、0〜12℃の温度の水を管状容器へ導入することができる。
【0062】
容器1は更にオーバーフロー9を備え、それは出口11を備えており、水のフィルターである分離装置13に連結する。分離装置13において、出口11は、水の戻り部15と生成物放出口17内に連結している。水の戻り部15は冷却用装置を備えた水容器17、特に加熱交換機19に連結する。水容器17から、水ポンプ21により、容器1の底部2に存在する注入口7を通じて水を容器1に入れることができる。最後に、温度計35が容器1に備えられており、温度計35は、オーバーフローのすぐ下で水温を測定するように配置される。
【0063】
本発明の装置は任意に融解パイプ23を備え、これは水加熱ジャケット25(熱水注入口27及び熱水出口29を備える)により加熱される。融解パイプ23は、生成物注入口31を通じてメントールにより満たされる。融解パイプ23は振動子33及び計量バルブ35.をもつ。本発明のメントール粒子の調製方法において、
【0064】
本発明のメントール粒子製造のため、容器1を水で満たし、底部3及びオーバーフロー9の間を伸びる水の柱を形成する。容器1に導入する水は水容器17から得るが、図1にはその計量は示されていない。熱交換機19により、水の温度は0〜12℃の範囲の温度に調整する。容器1内の水温を、温度計35でモニターする。水のレベルがオーバーフロー9の高さに達するとすぐに容器1から水が流れ、オーバーフロー9を通じて出口11へ流れる。そこから、水は分離装置(水フィルター)13を通って、水の戻り部15を通り、更に水容器17へ戻り冷却される。操作の間は、循環するように誘導される。
【0065】
本発明の装置の操作において、メントールを、生成物注入口31を介して融解パイプ23に導入する。融解パイプ23において、メントールを加熱ジャケット25融解し、前記ジャケットは熱水で満たされており、熱水は、熱水注入口27を通じて前記加熱ジャケット25に流れ込み、熱水出口29を通じて再び流れ出る。融解パイプ23から、融解したメントール(振動子33、計量バルブ35及び選択した計量ノズル5の設定に依存した量で)が、底部から管状容器1へと通過する。例えばストリームの形態の、融解したメントールが容器1に既に存在する水柱に入ったとき、メントールのストリーム(メントールライン)は、破断されて、メントールの個々の(液体)の液滴になる。その低密度のため、更に、水容器17からの連続した水の供給から得られる流れのため、液滴は上昇し、そこで固化し、固形球状メントール粒子が形成される。最後にこれらの粒子はオーバーフロー9に到達し、水と共に本発明の容器の出口11から移動する。上述したように、水フィルター(分離装置の一例)と接触した時、水は水の戻り部15へ移動する一方、球状メントール粒子はそれが抑制され、その結果水から分離される。球状メントール粒子が生成物放出口17へ移動し、それにより図1の矢印により示される方向へ移動する。水の戻り部15内へ移動し、水溶液17へ移動した水は、再び冷却され、再び容器1へ水ポンプ21により導入される。(冷却用)水はこのように回路内を誘導される。
【0066】
下記実施例は、本発明を説明するものである。特に示さない限り、量は質量表示である。
実施例1
5リットルの容積の垂直に配置した管状容器内に、水を入れ、ポンピングによる循環により温度を5℃に調整した。700 gのメントールを融解し、50℃まで加熱した。
容器の底部にある直径0.8mmの直径を有する開口(穿孔したプレート)を通して、メントールを、ストリームの形態で計量して入れ、1140mbarの低い吸気圧力で、計量して入れた。液体メントールストリームは、破断して液滴となり、水の縦方向において上方にゆっくりと上昇し、それにより固形化する。上昇する液滴の滞留時間は13秒間であり、容器の高さ1.2 mから決定した。固形化して粒子になった液滴は、オーバーフローにより除去し、次に20℃、湿度50%で、24または48時間の間、空気乾燥した。得られた球状メントール粒子の集合は、水の含量が1%より少なく、下記の粒子サイズ分布を持っていた:
【0067】
粒子サイズ分布:
> 2.5 mm = 71 %
> 1.25 mm = 27 %
> 1 mm = 1.5 %
> 0.8 mm = 0.5 %
> 0.5 mm = 0 %
> 0.2 mm = 0 %
< 0.2 mm = 0 %
【0068】
実施例2
5リットルの容積の垂直に配置した管状容器内に、水を入れ、ポンプにより循環させて温度を5℃に冷却する。加えて、開口部から容器内に特定の温度の水を入れ、容器の壁に対して接線方向に流し、水柱の上昇乱流を起こす。700 gのメントールを融解し、50℃に加熱する。容器の底部において、開口は直径0.8 mmであるが、メントールを、ストリームの形態で、吸気圧力1215 mbarで水へ計量して入れる。液体メントールストリームは、細かい液滴に破断され、水の渦に沿って運ばれ、上方へ上昇し、それにより固化する。上昇するメントール粒子の滞留時間は24秒間であり、これは、容器の高さ1.2mと、乱流の強度から決定した。顆粒に固化した液滴は、オーバーフローにより除去され、24時間空気乾燥される(20℃、湿度50%)。得られた球状メントール粒子の集合は、水の含量が1%より少なく、実施例1と同等の粒子サイズ分布をもつ。
【0069】
実施例3
7リットルの容積の垂直に配置した管状容器内に、水を入れ、ポンプにより循環させて温度を13℃に冷却する。加えて、それぞれが10mmの直径をもつ、底部の4つの開口部から容器内に特定の温度の水を入れ、容器の壁に対して接線方向に流し、水柱の上昇乱流を起こし、その結果、均一に上昇する流れが、水柱内に発生する。700 gのメントールを融解し、50℃に加熱した。容器の底部の直径0.8 mmの3つの開口部(開口部の距離:2 cm)を通じて、メントールをストリームの形態で、1140mbarの低い吸気圧で、水柱内に計量する。液体メントールストリームは破断されて液滴となり、液滴は水柱内で上方にゆっくり上昇し、それにより固化する。上昇するメントール粒子の滞留時間は16秒間であり、これは、容器の高さ1.6mから決定した。粒子に固化した液滴は、オーバーフローにより除去され、24時間空気乾燥される(20℃、湿度50%)。得られた球状メントール粒子の集合は、水の含量が1%より少なく、実施例1と同等の粒子サイズ分布をもつ。
【0070】
実施例4:比較例(IN 157 628の実施例1に基づく例)
940 gの水及び188 gのl-メントールを共に、二重壁の反応容器内に入れ、攪拌しながら49-50℃に加熱した(プロペラ攪拌、580 rpm)。混合物は攪拌しながら、49-50℃に15分間維持し、次にジャケット冷却システムで、攪拌しながら、冷却水を用いて12℃に冷却し、この温度を40分間維持した。得られたメントール顆粒(粒子)を水から分離した。より早く乾燥するために、この顆粒を、3000 rpmで5分間、脱水した。脱水後の顆粒の水分含量は、8.9%であった。
ノート: IN 157 628の実施例1とは異なり、攪拌スピードを少なくとも550rpmにする必要があった。何故なら、これよりスピードを低減させると、乾燥時に大量のメントールが、攪拌装置上に析出してしまい、その結果大きな不均衡が生じて試験を中止することになったからである。更に、サイズ分布及び形状についてより均一な顆粒形成を達成するためには、冷却の間に微細な結晶メントール(結晶サイズが0.5〜1 mmの範囲のもの)を接種しなければならないことが見出された。接種しない場合には、より粗く、より不均一な形状の顆粒が得られた。
【0071】
湿度50%において、空気循環を行わずに、20℃で乾燥した後の水分含量:
24時間後 4.0%
48時間後 2.15%
48時間後の乾燥顆粒の粒子サイズ分布
> 2.5 mm = 90 %
> 1.25 mm = 6.1 %
> 1 mm = 1.3 %
> 0.8 mm = 0.9 %
> 0.5 mm = 1.0 %
> 0.2 mm = 0.3 %
< 0.2 mm = 0.4 %
【0072】
実施例5: 性質の比較
本発明の粒子と、IN157 628に従う顆粒の比較



【0073】
処方例:
F1.プラークに対する歯科用クリーム

F2.敏感歯のケアのための歯科クリーム

【0074】
F3.フッ素含有使用準備完了マウスウォッシュ

【0075】
F4.砂糖含有チューイングガム

【0076】
F5.砂糖非含有チューイングガム

【0077】
F6.チューイングガムドラジェ、砂糖非含有
Q1:チューイングガム粗製塊の成分


【0078】
チューイングガム粗製の塊(Q1)の全ての成分を混合し、チューイングガムストリップに圧力をかけて、各クッション形状のチューインガムタブレットに成形した。各クッション形状のチューインガムタブレットは次に40質量%のアラビアゴム溶液を用いて、回転式糖コーティングドラム内で湿潤(ガム化)した。ガム化したクッション形状のチューインガムタブレットを、続いて、回転式糖コーティングドラム内で粉末混合物Aによりコーティングした。混合物Aは、本発明のメントール粒子、砂糖代替物(イソマルト、ソルビトール及びマンニトール; キシリトール、マルチトール、及び/又はマンニトールを代わりに用いることができる; 粉末化アラビヤガムを任意に更に用いることができる)からなる。冷却した空気により十分乾燥した後、このようにコーティングしたクッション形状のチューイングガムタブレットを一晩乾燥した。更に、乾燥し、コーティングしたクッション形状チューイングガムタブレットを、溶液Bを用いてコーティングするために、15層を最初に、砂糖コーティングの手法で塗布し、16番目の層において、コーティングCと混合物Bとの混合物を塗布した。次に、混合物Bを用いて更なる層を、コーティングの合計質量(Q2)が、当初のクッション形状チューイングガムタブレット(Q1)の約35質量%となるまで塗布した。チューイングガムドラジュにつやを与えるためには、それらは次に、等質量部のカルナバワックスとビーワックスの混合物からなるつや出し剤で処理した。噛んだ時、使用準備完了品であるチューイングガムドラジェが、口の中で生成され、新しい型のメントール味(とてもクリアであり、強力であり、新鮮である)を与えた。
【0079】
Q2: 成分コーティングは、クッション形状チューイングガムタブレット(Q1)に塗布した
(示された質量部は、クッション形状チューイングガムタブレット(Q1)に塗布したコーティング(Q2)の全質量に基づく:質量Q1に基づくQ2の全質量は約35%である。)
【0080】

【0081】
F7.直接消費のためのゼラチンカプセル

【0082】
本ゼラチンカプセルを、WO 2004/050069に従い製造した。
フレーバーBは下記組成を有する(量はそれぞれ、質量%である):
0.1%のネオタメ粉末(neotame powder)、0.05%のアスパルテーム、29.3%のレモンオイル、29.3%のオレンジオイル、2.97%のスクラロース、2.28%のトリアセチン、5.4%の酒石酸ジエチル、12.1%のペパーミントオイル Yakima、0.7%のエタノール、3.36%の2-ヒドロキシエチルメンチルカーボネート、3.0%の2-ヒドロキシプロピルメンチルカーボネート、0.27%のバニリン、5.5%のD-リモネン、5.67%のL-メンチルアセテート
【0083】
直接消費に適するゼラチンカプセルは、5 mmの直径をもち、コア物質対コーティング物質の質量比は、90 : 10である。カプセルは口の中で10秒未満で開口し、50秒未満で完全に溶解した。
【0084】
F8.噛むタイプのスウィート(Chewy sweet)

【0085】
製造における注意:
a)70℃で2時間、ゼラチンを水中で膨潤させる(ゼラチン量の1.8倍)
b)砂糖、シロップ、水、脂肪及びレシチンを123℃で煮る;
c)ゼラチン溶液と煮た混合物をゆっくり攪拌する
d)メントール粒子及び任意の着色剤内に攪拌する;
e)得られた塊を約70℃に、冷却テーブル上で調整し、次にフォンダンを添加し、及び延伸機上で約3分間、空気に曝す;
f)次に、噛むタイプのスウィートの塊をカットしてパックする。
噛むタイプのスウィートが消費されるとき、強力なメントール味が噛んでいる間認識され、噛むタイプのスウィートのテクスチャを好ましいものにする。
【0086】
F9. 砂糖を含むか、あるいは含まない、圧縮製品


全ての成分を混合し、混合物を適切な機械で圧縮し、圧縮製品を形成した。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の装置を図示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を有する球状メントール粒子を製造する方法:
メントール融解物を調製する、
0〜12℃の温度範囲の水に前記メントール融解物を計量して入れ、ここで計量する条件は、メントール液滴が、計量後、水中に一時的に存在し、その後水中で固化して球状メントール粒子を形成するように選択される。
【請求項2】
メントール融解物が、計量する間、42〜60℃、好ましくは45〜55℃の範囲の温度である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水が2〜10℃、好ましくは4〜8℃の範囲の温度である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
メントール融解物が
(a)液滴の形態で水に計量して入れられるか、
又は
(b)ストリーム(流れ)の形態で水に計量して入れられ、前記ストリームが水中で破断されて、液滴を形成する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(a)メントール融解物が、メントール液滴が水中で上方に上昇するような様式で、水中に計量して入れられる、
及び/又は
(b)水流が作られ、メントール液滴が前記水流により、好ましくは上方に、更に好ましくは渦状またはらせん状で上方に、輸送されるような様式で、メントール融解物が前記流水中に計量して入れられる、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
メントール液滴又はメントール粒子について、
(i)上昇経路内で上昇する平均速度が、3〜20 cm/s、好ましくは5〜15 cm/sの範囲であり、及び/又は
(ii)水中における平均存在時間が、2〜120秒間、好ましくは5〜60秒間、特に好ましくは5〜30秒間である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
固化した球状メントール粒子を、少なくともその表面温度が20℃以下になるまで、水中に残存させる、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
底部を備える容器中に水を入れ、メントール融解物を前記底部から前記水に計量して入れる、
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
固化した球状メントール粒子が、0.3〜10 mm、好ましくは0.5〜8 mm、特に好ましくは1〜5 mmの範囲の直径をもつ、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
球状メントール粒子を水から分離し、水分含量が、メントール粒子の全質量に基づいて、1質量%より少なくなるまで、より好ましくは0.5質量%より少なくなるまで乾燥する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
オーバーフローを有する容器に水を入れ、前記球状メントール粒子を、前記容器からオーバーフローにより排出する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
下記を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法を行うための装置:
-メントールを融解し、融解したメントールを42〜60℃の範囲の温度まで加熱するための手段(23、25)、
-底部(3)を備える、水を受けるための容器(1)、及び
-前記容器(1)に伴う、(a)液滴の形態あるいは(b)前記底部から水中へのストリーム(流れ)の形態である、42〜60℃の温度範囲の融解したメントールを計量するための手段(5)。
【請求項13】
更に、
-容器中の水の温度をモニターするための手段(35)及び/又は容器内の少なくとも計量する部位における水の温度範囲を0〜12℃にするための手段(19)、
を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
容器がオーバーフロー(9)を有する、請求項12又は13記載の装置。
【請求項15】
更に、
‐水から形成された球状メントール粒子を分離するための手段(13)
を有する、請求項12〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
水を受けるための容器が、底部を備える上方に伸びたパイプである、請求項12〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法により得ることができる球状メントール粒子又は球状メントール粒子の集合。
【請求項18】
メントール粒子の集合の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%において、最小直径と最大直径の商d/Dが、1.00 ≧ d/D ≧ 0.80の式を満たす、請求項17記載の球状メントール粒子の集合。
【請求項19】
嵩密度が500 g/リットルより大きい、請求項17または18記載の球状メントール粒子の集合。
【請求項20】
球状メントール粒子のモース硬度が少なくとも2である、請求項17〜19のいずれか一項に記載の球状メントール粒子の集合。
【請求項21】
残存水分を含む球状粒子の集合の全質量に基づいて、残存水分が1質量%より少なく、より好ましくは0.5質量%より少ない、請求項17〜20のいずれか一項に記載の球状メントール粒子の集合。
【請求項22】
-その嵩密度が500 g/リットルより大きく、
-メントール粒子の少なくとも80%の量において、好ましくは少なくとも90%の量において、最小直径と最大直径の商d/Dが、1.00 ≧ d/D ≧ 0.80の式を満たし、
-球状メントール粒子のモース硬度が少なくとも2であり、及び、残存水分を含む球状粒子の集合の全質量に基づいて、残存水分が1質量%未満であり、より好ましくは0.5質量%未満である、請求項17〜21のいずれか一項に記載の球状メントール粒子の集合。
【請求項23】
請求項17〜21のいずれか一項に記載の球状メントール粒子の集合若しくは球状メントール粒子の、メントール含有製品の製造における使用。

【図1】
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【公表番号】特表2009−519992(P2009−519992A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546323(P2008−546323)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068700
【国際公開番号】WO2007/071512
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(503236223)シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】