説明

環境扇用の防虫ネット

【課題】 従来の防虫ネットは、防虫ネットを、現場で張装する構造であり、躯体、及び/又は、ビニールフィルムとの連結、張装、又は固定等の各作業を要するので、例えば、手間と経験を要する問題があり、その改良が要望される。また、この連結箇所の不備から、害虫の侵入が考えられること、そして、この不備による害虫侵入による問題も考えられる処であって、その改良が要望される。
【解決手段】 本発明は、複数本の枠体と、枠体に張装した防虫ネットとで、空間領域を形成した立体形状の防虫ネットを構成し、防虫ネットの取付側に、環境扇用の開口部を形成し、開口部を、環境扇の枠体に密着して取付け可能とし、また、防虫ネットは、建屋の躯体に設けた取付け部材で、開口部を妻面に位置するように設け、かつ躯体に吊下げる構成とした環境扇用の防虫ネットである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建屋の妻面に、吊下される環境扇用の防虫ネットであって、害虫の侵入防止(害虫捕獲)と、益虫の逃避防止等が図れる多用途と、並びに、この種の防虫ネットを、各建屋に確実・簡易に取付け、取外しできる簡便性と、実効性が図れる多目的とが達成できる、環境扇用の防虫ネット(チャンバー式の防虫ネット)に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、無公害の栽培、及び作物を図る、農薬の使用を、極力少なくした建屋(ハウス、温室等、以下、ハウスで説明する)の栽培方法がある。このような状況と、本出願人の業務の一環である、ハウス関係の資材、換気扇(送風、温調関係の機材)、又は防虫ネット等を提供することから、種々、提案する(出願をする)とともに、関連業者、ハウス栽培農家等から要望されている。このような状況から、この度の出願を提案する。そして、この出願に関連する本出願人の文献と、他の先行文献を、以下に概述する。
【0003】
文献(1)として、特開2008−118864の「ハウスの送風システム」がある。この発明は、ハウスの空気の流れを効率化すること、殊に、ハウス内に均一な空気の流れを確保するために、防虫ネットの新しい構造を提案する。即ち、天井、又は妻面(ハウスの吸込側か、又は排気側の壁面)等に張装したビニールフィルムと、このビニールフィルムの下側及び吸込側等に張装した防虫ネット材(防虫ネット)とで、防虫ネットを構成する。この構造では、換気扇からの吸込空気を、この防虫ネットで、ハウス内の内気とミキシングし、かつハウスの梁方向に分散し、その棟方向に向って、略均等に送風することと、この防虫ネットで害虫捕獲等を図ること、等を意図する。しかし、この発明では、防虫ネット材を、現場において、張装する構造であるので、例えば、この防虫ネット材と、ハウスの躯体、及び/又は、ビニールフィルムとの連結、張装、又は固定等の各作業に、手間と経験を要する問題があり、その改良が要望される。また、この防虫ネット材と、前記躯体、及び/又は、ビニールフィルムとの連結、張装、又は固定等する、所謂、取付け、連結箇所の不備(隙間、連結ミス等)から、害虫の侵入が考えられること、そして、この不備による害虫侵入による問題も考えられる処であって、その改良が要望される。
【0004】
また、文献(2)として、特開2010−99009の「ハウスの換気口に装着されるチャンバーボックスの構造と、ハウスの換気口に装着されるチャンバーボックスを利用した送風方法」がある。この発明は、通気性シート(防虫ネットととしても役立つ)を、ハウスの天井の遮蔽シートを利用し、一方の妻面の換気扇、及びその壁面を囲繞するように張装する構造であり、底面シートと内面シートとで構成する。そして、この通気性シートを介して、この一方の妻面に、立方体の通気性シートのチャンバーボックスを設ける構造である。その特徴は、文献(1)に準ずる。また、その改良すべき要望も、文献(1)に準ずる。
【0005】
さらに、文献(3)は、特開2008−157549の「換気用防虫ネットおよびビニールハウスの換気」がある。この発明は、据付枠と、この据付枠に立設した骨組を、リブ状付の板材で形成し、この据付枠及び骨組に方形状の防虫ネットを被嵌し、この防虫ネットが接触する据付枠の周辺隅部と、骨組のコ字形の立設部に、防虫ネット用の押えスプリングを介して、張装、かつ一体化する構造である。しかし、この発明は、ハウス内において、単に換気扇をカバーする構造であり、また、現場において、躯体の杆体に、前記据付枠を取付ける構造であり、現場で取付け、又は防虫ネットを取付ける構造となることから、例えば、取付けの簡略化、容易化等に問題を残している。また、この発明は、単に換気扇をカバーする構造であり、吸込み空気のハウス内での分散化と、この吸込み空気を、ハウス内に均一に送込むことは、等は不可能と考えられる。
【0006】
【特許文献1】特開2008−118864
【特許文献2】特開2010−99009
【特許文献3】特開2008−157549
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記文献(1)と、文献(2)は、防虫ネット材を、現場において、張装する構造であり、躯体、及び/又は、ビニールフィルムとの連結、張装、又は固定等の各作業を要するので、例えば、手間と経験を要する問題があり、その改良が要望される。また、この文献(1)と、文献(2)は、取付け、連結箇所の不備(隙間、連結ミス等)から、害虫の侵入が考えられること、そして、この不備による害虫侵入による問題も考えられる処であって、その改良が要望される。
【0008】
また、文献(3)は、ハウス内において、単に換気扇をカバーする構造であり、また、現場において、躯体の杆体に、据付枠を取付ける構造であり、現場で取付け、又は防虫ネットを取付けることは明らかであり、取付けの簡略化、容易化等に問題を残している。そして、また、この文献(3)は、単に換気扇をカバーする構造であり、吸込み空気のハウス内での分散化と、この吸込み空気を、ハウス内に均一に送込むことは、等は不可能と考えられ、その改良が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、枠組み構成した空間領域を備えた立体形状の防虫ネット(防虫ネットチャンバー)を、簡易に、かつ短時間に、ハウス内にセットする(取付ける)こと、その際に、特別な工具と、作業を要さず、確実に取付け可能とすること、等を意図する。そして、また、請求項1の発明は、壁面(妻面)に取付けた環境扇と、この壁面、及びハウスの躯体を利用して、防虫ネットを吊下する構造であり、ハウスの所定の箇所に確実に取付け可能とすること、又は防虫ネットは、繋目の隙間がなく、もって、益虫の外部逃避を回避すること、等を図ることを目的とする。さらに、請求項1の発明は、ハウスの壁面、又は取付け箇所の形状に即応して、その角隅部を折畳み可能な構造とすることで、その棟方向に沿った、空間領域を備えた立体形状の防虫ネットを、簡易に、かつ短時間に、取付け可能とすることを意図する。そして、また、請求項1の発明は、空間領域を備えた立体形状の防虫ネットは、当所より、所定の形状に形成されていることに鑑み、防虫ネットには、益虫の外部逃避を回避することを考えている。
【0010】
請求項1は、一枚又は数枚の防虫ネット材を立体的に構成し、その内部に空間領域を形成した立体形状の防虫ネットであり、
この防虫ネットは、取付側の防虫ネット材と、吹出側の防虫ネット材、及びこの取付側の防虫ネット材と吹出側の防虫ネット材とを連繋する繋ぎ側の防虫ネット材とで構成し、
この取付側の防虫ネット材は、建屋の壁面の躯体を利用して取付けるとともに、この取付側の防虫ネット材には、環境扇を取付けるための開口部を形成し、また、前記吹出側の防虫ネット材は、前記建屋の梁方向の躯体と、この梁方向の躯体に設けた取付け材とに設けて、この建屋の梁方向の全体に拡散して設け、さらに、前記繋ぎ側の防虫ネット材は、建屋の梁方向の躯体に取付ける構成とした環境扇用の防虫ネットである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明と同じ意図、目的等を達成することにある。そして、また、この請求項2の発明は、開閉部を底部に設けることで、この防虫ネットに侵入した害虫の捕獲と、益虫の保護を図ること、又はその防虫ネット内の清掃と、保守管理を図る際に、この防虫ネットへの進入を図ること、更には環境扇の部品を収容可能とし、体裁の確保と、この部品が防虫ネットから突出する弊害を回避すること、等を意図する。
【0012】
請求項2は、一枚又は数枚の防虫ネット材を立体的に構成し、その内部に空間領域を形成した立体形状の防虫ネットであり、
この防虫ネットは、取付側の防虫ネット材と、吹出側の防虫ネット材、及びこの取付側の防虫ネット材と吹出側の防虫ネット材とを連繋する繋ぎ側の防虫ネット材とで構成し、
この取付側の防虫ネット材は、建屋の壁面の躯体を利用して取付けるとともに、この取付側の防虫ネット材には、環境扇を取付けるための開口部を形成し、また、前記吹出側の防虫ネット材は、前記建屋の梁方向の躯体と、この梁方向の躯体に設けた取付け材とに設けて、この建屋の梁方向の全体に拡散して設け、さらに、前記繋ぎ側の防虫ネット材は、建屋の梁方向の躯体に取付ける構成とするとともに、この繋ぎ側の防虫ネット材を構成する底側の防虫ネット材には、開閉部と、この開閉部を開閉する開閉手段を設ける構成とした環境扇用の防虫ネットである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2の発明と同じ意図、目的等を達成することにある。そして、また、この請求項3の発明は、現場において、速やかに防虫ネットを取付け、又は取外しすること、又はこの取付けと、取外し作業が、経験と時間等を要せず、行えるようにすること、等を意図する。
【0014】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載の環境扇用の防虫ネットであって、
この建屋の梁方向の躯体は、屋根構成パイプであって、この屋根構成パイプに天井側の防虫ネット材の長手方向の複数部位を、それぞれ添接し、この添接した各部位の前記防虫ネットの短手方向の複数個所を、各屋根構成パイプに、挾持具、又は紐の取付具を介して、固止する構成とした環境扇用の防虫ネットである。
【0015】
請求項4と請求項5の発明は、請求項1〜請求項3の何れかの発明と同じ意図、目的等を達成することにある。そして、また、この請求項4と請求項5の発明は、この防虫ネットを、ハウスの内部に確実、かつ簡易に取付けことと、この防虫ネットを、既設の躯体を利用することのみで、取付けること、等を意図する。
【0016】
請求項4は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の環境扇用の防虫ネットであって、
この防虫ネットを構成する繋ぎ側の防虫ネット材は、一方・他方の側面側の防虫ネット材と、天井側・底側の防虫ネット材とで構成した立体形状となることを特徴とした環境扇用の防虫ネットである。
【0017】
請求項5は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の環境扇用の防虫ネットであって、
この防虫ネットを構成する繋ぎ側の防虫ネット材は、天井側・底側の防虫ネット材とで構成するドーム形状となることを特徴とした環境扇用の防虫ネットである。
【0018】
請求項6の発明は、請求項2の発明と同じ意図、目的等を達成することにある。そして、また、この請求項6の発明は、この開閉部に設けた開閉手段で、この開閉部を利用し、防虫ネットの建屋への設置・取外しと、この防虫ネット内の虫の取出し、又は、この防虫ネットの内部への物の収容、更には、この防虫ネットの内部の清掃を可能とすること、等を意図する。
【0019】
請求項6は、請求項2に記載の環境扇用の防虫ネットであって、
前記開閉部は、前記底側の防虫ネットの長手方向の略全幅に一条、又は短手方向の略全幅に複数条設ける構成することを特徴とした環境扇用の防虫ネットである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明は、一枚又は数枚の防虫ネット材を立体的に構成し、内部に空間領域を形成した立体形状の防虫ネットであり、
防虫ネットは、取付側の防虫ネット材と、吹出側の防虫ネット材、及び取付側の防虫ネット材と吹出側の防虫ネット材とを連繋する繋ぎ側の防虫ネット材とで構成し、
取付側の防虫ネット材は、建屋の壁面の躯体を利用して取付けるとともに、取付側の防虫ネット材には、環境扇を取付けるための開口部を形成し、また、吹出側の防虫ネット材は、建屋の梁方向の躯体と、梁方向の躯体に設けた取付け材とに設けて、建屋の梁方向の全体に拡散して設け、さらに、繋ぎ側の防虫ネット材は、建屋の梁方向の躯体に取付ける構成とした環境扇用の防虫ネットである。
【0021】
従って、この請求項1は、枠組み構成した空間領域を備えた立体形状の防虫ネットを、簡易に、かつ短時間に、ハウス内にセットできる(取付け得る)こと、その際に、特別な工具と、作業を要さず、確実に取付け可能となること、等の特徴を有する。そして、また、この請求項1は、壁面(妻面)に取付けた環境扇と、この壁面、及びハウスの躯体を利用して、防虫ネットを吊下する構造であり、ハウスの所定の箇所に確実に取付け可能となること、又は防虫ネットは、繋目の隙間がなく、もって、益虫の外部逃避を回避できること、等で、その目的を達成できる。さらに、この請求項1は、ハウスの壁面、又は取付け箇所の形状に即応して、その角隅部を折畳み可能な構造とすることで、その棟方向に沿った、空間領域を備えた立体形状の防虫ネットを、簡易に、かつ短時間に、取付け可能となる実益がある。そして、また、この請求項1は、空間領域を備えた立体形状の防虫ネットは、当所より、所定の形状に形成されていることに鑑み、防虫ネットには、益虫の外部逃避を回避できることが考えられる。
【0022】
請求項2の発明は、一枚又は数枚の防虫ネット材を立体的に構成し、内部に空間領域を形成した立体形状の防虫ネットであり、
防虫ネットは、取付側の防虫ネット材と、吹出側の防虫ネット材、及び取付側の防虫ネット材と吹出側の防虫ネット材とを連繋する繋ぎ側の防虫ネット材とで構成し、
取付側の防虫ネット材は、建屋の壁面の躯体を利用して取付けるとともに、取付側の防虫ネット材には、環境扇を取付けるための開口部を形成し、また、吹出側の防虫ネット材は、建屋の梁方向の躯体と、梁方向の躯体に設けた取付材とに設けて、建屋の梁方向の全体に拡散して設け、さらに、繋ぎ側の防虫ネット材は、建屋の梁方向の躯体に取付ける構成とするとともに、繋ぎ側の防虫ネット材を構成する底側の防虫ネット材には、開閉部と、開閉部を開閉する開閉手段を設ける構成とした環境扇用の防虫ネットである。
【0023】
従って、この請求項2は、請求項1の発明と同じ意図、目的等を達成できる特徴がある。そして、また、この請求項2は、開閉部を底部に設けることで、この防虫ネットに侵入した害虫の捕獲と、益虫の保護が図れること、又はその防虫ネット内の清掃と、保守管理を図る際に、この防虫ネットへの進入が図れること、更には環境扇の部品を収容可能とし、体裁の確保と、この部品が防虫ネットから突出する弊害を回避できること、等の実益がある。
【0024】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の環境扇用の防虫ネットであって、
建屋の梁方向の躯体は、屋根構成パイプであって、屋根構成パイプに天井側の防虫ネット材の長手方向の複数部位を、それぞれ添接し、添接した各部位の前記防虫ネットの短手方向の複数個所を、各屋根構成パイプに、挾持具、又は紐の取付具を介して、固止する構成とした環境扇用の防虫ネットである。
【0025】
従って、この請求項3は、請求項1、又は請求項2の発明と同じ意図、目的等を達成できる特徴がある。そして、また、この請求項3は、現場において、速やかに防虫ネットを取付け、又は取外しができること、又はこの取付けと、取外し作業が、経験と時間等を要せず、行えること、等の実益がある。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の環境扇用の防虫ネットであって、
防虫ネットを構成する繋ぎ側の防虫ネット材は、一方・他方の側面側の防虫ネット材と、天井側・底側の防虫ネット材とで構成した立体形状となることを特徴とした環境扇用の防虫ネットである。
【0027】
請求項5の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の環境扇用の防虫ネットであって、
この防虫ネットを構成する繋ぎ側の防虫ネット材は、天井側・底側の防虫ネット材とで構成するドーム形状となることを特徴とした環境扇用の防虫ネットである。
【0028】
従って、この請求項4と請求項5は、請求項1〜請求項3の何れかの発明と同じ意図、目的等を達成できる特徴がある。そして、また、この請求項4と請求項5は、この防虫ネットを、ハウスの内部に確実、かつ簡易に取付け得ることと、この防虫ネットを、既設の躯体を利用することのみで、取付けできること、等の実益がある。
【0029】
請求項6の発明は、請求項2に記載の環境扇用の防虫ネットであって、
開閉部は、底側の防虫ネットの長手方向の略全幅に一条、又は短手方向の略全幅に複数条設ける構成することを特徴とした環境扇用の防虫ネットである。
【0030】
従って、この請求項6は、請求項2の発明と同じ意図、目的等を達成できる特徴がある。そして、また、この請求項6は、この開閉部に設けた開閉手段で、この開閉部を利用し、防虫ネットの建屋への設置・取外しと、この防虫ネット内の虫の取出し、又は、この防虫ネットの内部への物の収容、更には、この防虫ネットの内部の清掃を可能となること、等の実益がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施例を示したハウス内部より視認した要部の正面模式図
【図2】本発明の第一実施例を示した防虫ネットとハウスの躯体との関係を説明する要部の側面模式図
【図3】本発明の第一実施例を示した防虫ネットと枠体との関係を説明する要部の平面模式図
【図4−1】防虫ネット材と、屋根構成パイプとを、挾持具(商品名、パッカー)で固止した(挾持、緊締、又は取付け等して固止した)状態の拡大正面模式図
【図4−2】防虫ネット材と、屋根構成パイプとを、係止環及び紐等の連結具で固止した状態の拡大正面模式図
【図4−3】防虫ネット材と、梁パイプ(差渡し杆)とを、挾持具(商品名、パッカー)で固止した(挾持、緊締、又は取付け等して固止した)状態の拡大断面模式図
【図5−1】図2に示した第一実施例の防虫ネットの他の一例を示した要部の平面模式図
【図5−2】図2に示した第一実施例の防虫ネットのさらに他の一例を示した要部の平面模式図
【図5−3】開閉手段を示した要部拡大図
【図6】本発明の第二実施例を示したハウス内部より視認した要部の正面模式図
【図7】本発明の第二実施例を示した防虫ネット材とハウスの躯体との関係を説明する要部の側面模式図
【図8】本発明の第二実施例を示した防虫ネット材と枠体との関係を説明する要部の平面模式図
【図9】図7に示した第二実施例の防虫ネットの他の一例を示した要部の平面模式図
【図10】本発明の第三実施例を示したハウス内部より視認した要部の正面模式図
【図11】本発明の第三実施例を示した防虫ネット材とハウスの躯体との関係を説明する要部の側面模式図
【図12】本発明の第三実施例を示した防虫ネット材と枠体との関係を説明する要部の平面模式図
【図13】図11に示した第三実施例の防虫ネット材の他の一例を示した要部の平面模式図
【図14】各実施例における環境扇の拡大正面図
【図15】各実施例における環境扇の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1〜図5−4に示した第一実施例において、長方体を呈する立体形状(チャンバー式)の防虫ネット1(防虫ネットチャンバー)は、この立体形状を確保するために、各面状の防虫ネット材2a〜2e(後述する)を組付けて構成する。その好ましい、一例を説明すると、建屋(ハウスHとする)の妻面H1に位置する方形状の取付側100の取付側の防虫ネット材2aと、この取付側の防虫ネット材2aの長手方向X(梁方向X1)の両端部に連接して設けた一方・他方側面側101・102の一方・他方の側面側の防虫ネット材2b・2cと、及び天井側103・底側104の天井側・底側の防虫ネット材2d・2eと、並びにハウスHの内部H2に位置する吹出側105の吹出側の防虫ネット材2fとで構成する。また、一方・他方の側面側の防虫ネット材2b・2cと、天井側・底側の防虫ネット材2d・2eとは同じ形状であり、長方体を形成する。この各一枚構造、又は筒体との組合せ等でなる取付側〜吹出側の防虫ネット材2a〜2fの必要とする隣接部を縫合するか、又は編成で一体的に構成した立体形状の防虫ネット1を構成し、かつこの防虫ネット1には、同じ立体形状の空間領域3が形成される(各例とも同じ)。また、前記取付側100には、環境扇8(後述する)を取付けるための開口部5を形成する。尚、前記防虫ネット1の編成製造時において、一体の袋体とする構造は、密着性、強度性、或いはコストの低廉化等の面から好ましい。そして、この第一実施例では、繋ぎ側の防虫ネット1は、前記一方・他方の側面側の防虫ネット材2b・2cと、天井側・底側の防虫ネット材2d・2eとで構成する。
【0033】
この防虫ネット1をハウスHに取付ける一例を説明すると、天井側の防虫ネット材2dの長手方向Xの複数部位2d−1〜2d−nを、ハウスHの躯体HHを構成する複数本の屋根構成パイプH3に、それぞれ添接し、添接した各部位2d−1〜2d−nの防虫ネット材2dの短手方向Y(棟方向Y1)の複数個所2d1−1〜2d1−nを、各屋根構成パイプH3に、挾持具、又は紐の取付具6を介して、固止する。そして、吹出側の防虫ネット材2fか、又は底側104の防虫ネット材2e(この防虫ネット材2fと、底側の防虫ネット材2eとの縫合部位も可能)の長手方向Xの複数部位2f−1〜2f−n、又は2e−1〜2e−nを、取付け材となる梁パイプH4(後付けパイプも可能)に止め具6を介して固止する。この天井側の防虫ネット材2dと、底側の防虫ネット材2e等との固止を介して、その取付側の防虫ネット材2aが妻面H1に設けた環境扇8に密着状に取付けられ、かつその吹出側の防虫ネット材2fがハウスHの内部H2に取付けられる。また、この吹出側の防虫ネット材2fがハウスHの梁方向X1の略全体に張装される。そして、場合により、図示しないが、ハウスHへの取付け時に、防虫ネット1の上方の両角隅部(番号なし)を、躯体HHの屋根梁体パイプH3の形状に合わせて、折畳み、ハウスHの形状に合わせた使用例もあり得る。また、屋根構成パイプH3、又は梁パイプH4への止め具6の取付けは、ハウスHの内側と外側のどちらからでも、任意に固止することができる。
【0034】
また、この防虫ネット1の取付側100には、前述の如く、環境扇8を取付けるための開口部5を有しており、例えば、環境扇8(換気扇、循環扇、排気扇等)の他方枠体8a周辺に挾持部材800を設け、この挾持部材800に、開口部5の周辺の取付側の防虫ネット材2aを重畳し、この重畳部を挾持具(図示しない)で、挾持部材800に固止する構造とする。この構造により、取付側の防虫ネット材2aと、環境扇8の密着性と、取付側の防虫ネット材2aの簡便で、かつスムーズな取付けが図れること、等の特徴がある。
【0035】
そして、また、図5−1の如く、防虫ネット1の底側の防虫ネット材2eには、この防虫ネット材2eの長手方向Xの略全幅に掛けて、開閉可能な開閉部10を形成する。この開閉部10は、開閉手段11(ファスナー)を介して、自由に開閉する。そして、この開閉部10は、種々の目的に使用されるものであり、例えば、防虫ネット1のハウスHへの設置・取外しと、この防虫ネット1に侵入した害虫の捕獲と、益虫の保護が図れること、又はその防虫ネット1内の清掃と、保守管理を図る際に、この防虫ネット1への進入が図れること、更には環境扇8の部品(操作チェーン801)を収容可能とし、体裁の確保と、この部品が防虫ネット1から突出する弊害を回避できること、等の実益がある。尚、図5−2は、防虫ネット1の底側の防虫ネット材2eの短手方向Yの略全幅に複数条の開閉可能な開閉部10を形成したものを示す。
【0036】
この防虫ネット1は、例えば、その略全体を、図1の如く、躯体HH、又は前記の如く、躯体HHの屋根構成パイプH3に吊下し、その下端を梁パイプH4(錘、又は図示しない紐、柱体H5等での張装も可能)で緊張する構成とし、また、この防虫ネット1の開口部5は、躯体HHの方形状の棧枠H6に支持した環境扇8に密着して支持される。この略全体と開口部5の支持で、この防虫ネット1は、ハウスHの妻面H1に取付けられる。この防虫ネット1のハウスHの妻面H1への取付けは、簡易な操作と、経験を要さず実施できること、また、この防虫ネット1には隙間もなく、空間領域3での害虫の捕獲と、空間領域3への益虫の侵入防止(逃避防止)に役立つこと、等の特徴がある。また、防虫ネット1の立体形状と、この立体形状と相似形の空間領域3とを利用することで、例えば、ハウスH内の梁方向X1の全体に、略均等に、緩やかな風を送りつつ、ハウスH内の空気と外気をミキシングすることができこと、また、このハウスH内における作物への送風領域の拡充と、梁方向X1の全体に介して、効率的な送風を確保できること、等の特徴がある。そして、また、送風量の少量化と、環境扇8及び/又はファン804の低容量化等による経済的な効果及び/又は省資源化の達成と、ランニングコストの低廉化が図れ、又は作地面積の拡充による作物の収穫量の上昇、作物への作業性の向上等に有益である。また、作物の高温障害の回避、病気の発生・蔓延防止・萎凋化防止等(植物の生育環境の確保)にも実益が期待できる。尚、その取外しも、取付け時と同様に、簡易な操作と、経験を要さず支持できる。
【0037】
尚、環境扇8は、他方枠体8aと妻面H1に取付けられる方形状の一方枠体8bと、この他方枠体8aと一方枠体8bとの対峙する隅角に差渡した梁枠体8cで枠組みし、この他方枠体8aに鉛直方向に旋回(360°回転)できる構造とする。そして、この環境扇8は、他方枠体8aに枢支される環境扇枠802と、モータ803と、ファン804と、カバー805を主構造部品とし、操作チェーン801の回転操作で、ロック解除と、環境扇8の旋回を図り、その後、この操作チェーン801の停止操作で、ロックと、旋回終了を図る構造である。以上の旋回機構を利用して、この環境扇8を吸込用、又は排気用として利用する構造である。
【0038】
次に、図6〜図9に示した第二実施例において、天井側103がドーム形状(ドーム形)を呈する立体形状の防虫ネット1で、この防虫ネット1の好ましい構成は、ハウスHの妻面H1に位置する扇形形状の取付側の防虫ネット材2aと、この取付側の防虫ネット材2aに設けた湾曲形状の天井側の防虫ネット材2d(前記)と、底側の防虫ネット材2eと、ハウスHの内部H2に位置する扇形形状でなる吹出側の防虫ネット材2fとで構成する。そして、この取付側の防虫ネット材2aと吹出側の防虫ネット材2fとは同じ形状である。そして、前述の例と同様に、この取付側の防虫ネット材2aと、天井側の防虫ネット材2d、及び底側の防虫ネット材2e、並びに吹出側の防虫ネット2fとで構成した立体形状の防虫ネット1には、同じ形状の空間領域3が形成される。また、前記取付側100には、環境扇8を取付けるための開口部5を形成する。尚、この防虫ネット1の取付け、取外し、又はその特徴は、前述の例に準ずる。そして、この第三実施例では、ハウスHへの取付け時に、防虫ネット1を、躯体HHの屋根構成パイプH3に添って、取付けできるので有益である。そして、この第二実施例では、繋ぎ側の防虫ネット1は、前記天井側・底側の防虫ネット材2d・2eとで構成する。そして、この第二実施例では、この天井側の防虫ネット材2dは、前記一方・他方の側面側の防虫ネット材2b・2cも兼ねる構造である。
【0039】
続いて、図10〜図13に示した第三実施例において、第一実施例の上方両角隅部1aを欠截した長方体を呈する立体形状の防虫ネット1で、この防虫ネット1の、好ましい構成は、ハウスHの妻面H1に位置し、その上方両角隅部1aを欠截した梁方向X1の取付側の防虫ネット材2aと、この取付側の防虫ネット2の棟方向Y1に設けた一方・他方の側面側の防虫ネット材2b・2cと、天井側・底側の防虫ネット材2d・2eと、ハウスHの内部H2に位置し、その上方両角隅部1aを欠截した方形状でなる吹出側の防虫ネット材2fとで構成する。そして、この取付側の防虫ネット材2aと吹出側の防虫ネット材2fとは同じ形状であり、また、一方側の面側の防虫ネット材2bと、他方の側面側の防虫ネット材2cとは同じ形状とする。そして、前述の例と同様に、この取付側の防虫ネット材2aと、一方・他方の側面側の防虫ネット材2b・cと、天井側の防虫ネット材2d、及び底側の防虫ネット材2eとで構成した立体形状の防虫ネット1には、同じ形状の空間領域3が形成される。また、前記取付側100には、環境扇8を取付けるための開口部5を形成する。尚、この防虫ネット1の取付け、取外し、又はその特徴は、前述の例に準ずる。そして、この第三実施例では、繋ぎ側の防虫ネット1は、前記一方・他方の側面側の防虫ネット材2b・2cと、天井側・底側の防虫ネット材2d・2eとで構成する。
【0040】
以上で説明した、第一乃至第三実施例は、好ましい形態の防虫ネット1を説明したものであり、この各実施例に限定されない。例えば、この防虫ネット1を、台形を呈する立体形状にすることも考えられる。この場合、取付側の防虫ネット材2aを収斂側、吹出側の防虫ネット材2f拡開側とすることが望ましい。
【符号の説明】
【0041】
1 防虫ネット
1a 角隅部
100 取付側
101 一方側面側
102 他方側面側
103 天井側
104 底側
105 吹出側
2a 取付側の防虫ネット材
2b 側面側の防虫ネット材
2c 側面側の防虫ネット材
2d 天井側の防虫ネット材
2d−1〜2d−n 部位
2d1−1〜2d1−n 個所
2e 底側の防虫ネット材
2e−1〜2e−n 部位
2f 吹出側の防虫ネット材
2f−1〜2f−n 部位
3 空間領域
5 開口部
6 取付け具
8 環境扇
8a 他方枠体
8b 一方枠体
8c 梁枠体
800 挾持部材
801 操作チェーン
802 環境扇枠
803 モータ
804 ファン
805 カバー
10 開閉部
11 開閉手段
H ハウス
HH 躯体
H1 妻面
H2 内部
H3 屋根構成パイプ
H4 梁パイプ
H5 柱体
H6 棧枠
X 長手方向
X1 梁方向
Y 短手方向
Y1 棟方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚又は数枚の防虫ネット材を立体的に構成し、その内部に空間領域を形成した立体形状の防虫ネットであり、
この防虫ネットは、取付側の防虫ネット材と、吹出側の防虫ネット材、及びこの取付側の防虫ネット材と吹出側の防虫ネット材とを連繋する繋ぎ側の防虫ネット材とで構成し、
この取付側の防虫ネット材は、建屋の壁面の躯体を利用して取付けるとともに、この取付側の防虫ネット材には、環境扇を取付けるための開口部を形成し、また、前記吹出側の防虫ネット材は、前記建屋の梁方向の躯体と、この梁方向の躯体に設けた取付け材とに設けて、この建屋の梁方向の全体に拡散して設け、さらに、前記繋ぎ側の防虫ネット材は、建屋の梁方向の躯体に取付ける構成とした環境扇用の防虫ネット。
【請求項2】
一枚又は数枚の防虫ネット材を立体的に構成し、その内部に空間領域を形成した立体形状の防虫ネットであり、
この防虫ネットは、取付側の防虫ネット材と、吹出側の防虫ネット材、及びこの取付側の防虫ネット材と吹出側の防虫ネット材とを連繋する繋ぎ側の防虫ネット材とで構成し、
この取付側の防虫ネット材は、建屋の壁面の躯体を利用して取付けるとともに、この取付側の防虫ネット材には、環境扇を取付けるための開口部を形成し、また、前記吹出側の防虫ネット材は、前記建屋の梁方向の躯体と、この梁方向の躯体に設けた取付け材とに設けて、この建屋の梁方向の全体に拡散して設け、さらに、前記繋ぎ側の防虫ネット材は、建屋の梁方向の躯体に取付ける構成とするとともに、この繋ぎ側の防虫ネット材を構成する底側の防虫ネット材には、開閉部と、この開閉部を開閉する開閉手段を設ける構成とした環境扇用の防虫ネット。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載の環境扇用の防虫ネットであって、
この建屋の梁方向の躯体は、屋根構成パイプであって、この屋根構成パイプに天井側の防虫ネット材の長手方向の複数部位を、それぞれ添接し、この添接した各部位の前記防虫ネットの短手方向の複数個所を、各屋根構成パイプに、挾持具、又は紐の取付具を介して、固止する構成とした環境扇用の防虫ネット。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の環境扇用の防虫ネットであって、
この防虫ネットを構成する繋ぎ側の防虫ネット材は、一方・他方の側面側の防虫ネット材と、天井側・底側の防虫ネット材とで構成した立体形状となることを特徴とした環境扇用の防虫ネット。
【請求項5】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の環境扇用の防虫ネットであって、
この防虫ネットを構成する繋ぎ側の防虫ネット材は、天井側・底側の防虫ネット材とで構成するドーム形状となることを特徴とした環境扇用の防虫ネット。
【請求項6】
請求項2に記載の環境扇用の防虫ネットであって、
前記開閉部は、前記底側の防虫ネットの長手方向の略全幅に一条、又は短手方向の略全幅に複数条設ける構成することを特徴とした環境扇用の防虫ネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−250765(P2011−250765A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128328(P2010−128328)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】