説明

環境機能性を富化する構造物の製造法

【課題】 生産と生活を支える構造物は年々増加しつつあるが、ポルトランドセメント以外のバインダーによって生態系環境機能を富化する構造物を製造する。
【解決手段】 カキ殻を新機構の焼結炉によって完全なCaO構造となったカリオンセラミックスをベースとし、イオン化促進手段を施した複数の有機資剤並びに複数の水和反応補完剤を加え混合して固化基剤Aとする。そのAに施工現場で新鮮粘土と有意量の特殊腐植物質抽出希釈液を加えて充分に攪拌して泥状バインダーの土壌固化剤Bとする。そのBに有意の土壌或いは骨材を加えて充分に混練して型枠成形或いは現場うちして保温養生させながら水和反応固化させる。内部原料栄養由来の含浸作用によって環境機能性を富化する構造物となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物理的環境維持構造物に積極的生態系富化機能を保持させることを目指した構造物の製造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代社会を支える土台とも云えるコンクリート構造物は、石灰岩とミネラルの多い粘土類をベースとする高温焼成物であるセメントをバインダーとし、有意の骨材と混合し、有意量の水で混錬し、充分な水和反応による凝結に至る原理と、セメントとコンクリート構造物が今日の品質に至る苦難の歴史に学ぶことが多く本発明者等の発想の底辺でもある。
【非特許文献1】コンクリートの話−技報出版社(1993年)
【0003】
土をベースとする固化構造物も多い。
【非特許文献2】軽焼マグネシア系土壌固化剤を開発−農業工学研究所(2000)
【特許文献1】環境機能性再生構造物の製造−特願−2004−163851
【0004】
自然生態系機能を富化する特性を持つ特殊腐植物質は長崎県に産出する。水分60%を含む泥状で純腐植態として存在し複種段階の特殊加工を経て活用されるが、特異な不飽和構造形態並びにフルボ酸等の成分機能によって広範な環境機能の向上に貢献することが知られてきた。
更に近似珪藻土(金属元素と結合度の低いもの)も本願では複合的に使用する割合が多い。特性並びに特殊処理等の経緯を示す資料を提示する。
【非特許文献3】特殊腐植物質の特性−宮島徹−日本腐植物質学会会長(国立佐賀大学教授)
【特許文献2】特殊腐植物質の特性を活かした環境保全型燃焼法(特願−2002−353098)
【0005】
カキ殻は海中にあってCaとCO2を大量に生化学反応合成した環境機能性に優れたバイオマスで、貴重な資質を秘めたその組成から完全に純CaO化した改質剤は、現今の珊瑚由来の石灰岩等を基材としたポルトランドセメントとも異なる活用法を生み出すものとの期待が高い。
【非特許文献4】カキ殻の科学組成−広島県水試研究報告(1977)
【0006】
カキ殻は610℃の加熱でも数%が減量するのみで、生合成し含有している58%の炭酸ガスは解離エネルギーが大きい如く、それをガス化分離せしめて純CaOとするには膨大な加熱量が予想される。(44%の炭酸ガスを含有する石灰岩をセメント化するに1,450℃で加熱しているのと単純比較すると1,914℃か?)
それを克服して純CaOとする手段の参考に、別件の木材炭化例で遠赤外線放射、窒素ガス雰囲気、過熱蒸気雰囲気等の触媒や自媒作用が相乗機能する乾溜加熱によると効率よくガス化を促進する事例がある。
又通常の木炭を蒸気を吹込みながら1,000℃で乾溜加熱する賦活によって活性炭化する事が試みられている等、物質の改質操作はその環境雰囲気が触媒機能的働きをすることが知られ、改質効率化の開発が競われている。
【特許文献3】自燃植物素材遠赤外線乾溜炭化装置−特願−2004−90516
【特許文献4】環境機能性セラミックスの製造方法−特願−2004−163851
【非特許文献5】炭のかがく−柿沼力夫−誠文堂新光社(2003)
【0007】
甲殻類のキチン質は、地球上で微生物が生合成した物質でセルローズに次ぐ生産量と云われる。カニ、オキアミに代表されるキチン質を海洋が生み出すメカニズムは何なのか。
カニ殻を低分子キトサンにする解離エネルギーの大きさを知るにつけ海洋生態系の生合成における結合エネルギーの基となる酵素触媒反応の力の偉大さを改めて知らされた。
【非特許文献6】微生物によるキトサンの生産−島根大学農学部研究報告−松田英幸
【0008】
海洋性生物化石は多様なミネラルを含有し、加熱して酸化するとイオン化し急激な反応を誘起するに至り、他の物質との融合反応を先導する。
【非特許文献7】ミネラルはねっこ−具化石肥料分析−東邦亜鉛(株)−昭和61年
【0009】
燐酸質原料は、マドラグアノと呼ぶインドネシアに産する有機珊瑚燐酸で、それを施用した牧草やデントコーンの硝酸態窒素測定で、対象区の25ー10%に低下した実績をもつ生態系維持機能が高く、水和反応過程でコロイドの拡大による凝固安定化と含侵作用効果に関与する。
【非特許文献8】北海道北根室普及協議会比較試験報告書−2001
【0010】
成熟した玄米を包む籾殻は、硬い組織と有機珪酸と発芽抑制酵素アブシジン酸等を含み低温破砕すると酵素が活性化し、有機質の凝固反応を珪酸と共に先導する。
それに関連して高熱の影響を受けた岩石(福島県産)から抽出されたミネラル−ミクロールが珪酸を核とする“シリケート四面体構造体”で、四面体構造体が高熱の影響で歪みを生じており、その反発力が活性化のもととなって、そのミネラルが他の物質に活力を与えていると云うロマンに触発され考案したのが、モミ殻の低温破砕機で、新しいモミ殻活用技術が拓かれた。
成熟したモミ殻が低温破砕されると有機珪酸と共に含有する発芽抑制酵素アブシジン酸や抽出成分モミラクトーンフェノール等が先導し織りなす複数有機質の法則的もどり分解によるボカシ肥手法で歪みを受けたシリケート四面体構造体がつくり出されたのか?との希望を与えてくれた事象効果を多く得た。
前記記述は、低温破砕モミ殻の魅力と共に、現代セメントの焼成温度が1,450℃以上となっている事は純CaO生石灰化の温度(石灰岩は1,000℃で結晶)を遥かに越えると考えられることから、生石灰構造体が歪みを生ずる域まで加熱されて、強力な水和反応力を備えたと理解するのが正しいとの教えかも知れないとの思いで述べたものである。
物質構造体のもつ深みや生態系について考えさせられる事象である。
【特許文献5】食品の健康機能性を高める成熟植物性有機肥料−特願−2003−43673
【非特許文献9】[シリケート四面体構造体]−ミネラル、ミクロール−関東総業(1990)
【0011】
成熟した玄米の表皮である米糠は、動植物の栄養源としては重宝される外に、パルチミン酸、オレイン酸、リノール酸より成る有機酸には、γオリザノールやスチアノールなどが多く含まれ、更にフェラル酸、フイチン酸・フィチン、並びにイノレトール等も含み、それぞれの特性機能が注目されている。
更に脱脂米糠とフェノール樹脂の混合物を窒素ガス置換焼成すると堅固な含油金属態物質に変身する等多才な資質を備え、環境条件で変化する物質の特質を教えている。
【非特許文献10】食品加工総論−素材論・総論−谷口 久次
【特許文献6】脱脂米糠原料のRBセラミックス−東北大、大学院堀切川教授
【0012】
梅酢液は梅果実と塩等との生化学反応によって作り出されたエキスであって、人の食べ物の消化に至大に関与するクエンサン・サイクルが知られる外にクエン酸主体の有機酸機能が各種の活用技術を作り出す事が知られて来た。
【特許文献7】梅酢液並びにカキ殻を高機能性資源に再生する方法(特願2005−43087)
【0013】
土壌を主体にした固化構造体とするバインダーとして水和反応を誘起するにカキ殻生石灰と並んで高度にイオン化が進んだフライアッシュやシリカヒュームへの期待が高い。水和反応は3CaO・Al2O3並びに3CaO・SiO2を主体に進行し、生成するC−S−H(カルシウムシリケートハイドレート)によって緻密化、硬化が進行すると云うパターンが解明されている情報は貴重である。(前文献コンクリートのお話)
【0014】
カキ殻と云うバイオマスを高度にイオン化を進めたカキ殻CaOをベースとする構造物として複数の特願を提案した、本願と同じく高度にイオン化されたカキ殻CaOの限りない可能性の期待の上に組み立てられたものである。
【特許文献8】バイオマスを循環再生した海草礁並びに装置(特願2005−135359)
【特許文献9】バイオマスを再生循環した水中汚泥固化剤並びに装置(特願2005−133042)
【0015】
先行技術の教唆と考察
▲1▼本発明に至る発想の源は、高度にイオン化された物質が誘導する化学反応である水和反応過程における基軸物質の固有らしき特性のもつ意味についてである。
▲2▼今の高度に発達したセメントの基礎となる石灰岩は珊瑚が生合成したCaOであるが、その生合成に同伴した物質とカキの生合成に同伴した物質とは微妙な違いがあるのではないだろうか?海洋生態系と生物個性との合作の妙技?
▲3▼カキ殻を高温焼成したCaOを利用した漆喰は遠赤外線を放射して健康的環境になると云う先人が会得した経験は、通常の生石灰を用いたそれとでは異なるものとの教える事象で、発明者はその天恵の妙技を掘り起こしてその活用にすがろうとするものである。
▲4▼今のセメントの水和反応成果物はあまりにアルカリ度が強く環境面から必らずしも歓迎されない面がなきにしもあらずと云う事象は何故であろうか?
▲5▼セメントが1,200℃の焼結から1,450℃の焼結に至って飛躍的に品質性能が向上したと云う歴史的対比は大きな意味があると感じている。この解明の先に物質の究極の改質像に迫る新しい道が拓けているのではないか?炭火で焼いた魚は組織に歪みを生じ美味しいと?
▲6▼発明者等はまずカキ殻が高温焼結によって歪みを生じたCaO構造体とはどう云うものなのか、その目標の実現解明を基点とし、58%にも及ぶ炭酸ガスを吸着生合成するに至る海洋触媒的環境と含有微量要素の組合わせと、焼成処理後の反対的反応である水和反応過程の関連を解く事によって、より環境機能性に富む水和反応成果物が産出される事への期待を高めている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
生産と生活を補完する構造物は、コンクリート等を土台とした人工の構造物が多い。本発明者等は、その分野において非セメント系コンクリートで生活圏環境の資源を活用し、生態系維持機能を富化しながら自然界を補完する構造物を創出する技術を開発しようとするものである。
環境機能とは太陽光線を受けて天上天下の微生物がバランスを保ち自然界の物質循環系が正常に機能する事と表現するのも一つの考え方として許されると信じている。その中で有機と無機をつなぐ接点として森林の腐葉土層が果たしている役割についても大方の理解が得られている。その中身はフルボ酸と云う名の物質が生成され溶出し多才な効用のあることも知られて来た。
本発明が非セメントのコンクリート構造物をと陽言しても、水和反応過程を経て固化する構造物を求めることに変わりはない。非生態系的と云われるポルトランドセメントを避けながらも堅固な構造物を目指し、生態系保持基剤を組み合わせることによって環境機能を富化する品質を保持し徐々にそれを外界に放出する含侵作用と云う多面的機能を備えた欲張りな構造物を作り出そうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
あらゆる生産と生活の現場にセメントを基剤とするコンクリートが使用されて久しいが、その起源は、古代人が石灰岩上の焚火跡が雨に打たれて異常に堅くなったことに気付いたとされる事は説得力が高く、ローマ時代、石灰岩と、ピンク色の火山灰砂(アルミナやシリカが多い)とをもとに作ったセメントが、水にも強いコンクリートをつくり出すことを知りローマ帝国を築いたと云う先人の知恵と歴史は貴重で大きな励ましとなる。
本発明者は物質の電子の特性と法則に関心を持った事から、イオンの動向に的をしぼり、イオン化傾向物質をイオン化に転換させる手段を加えると、爾後速やかに水和反応が進行する事を確かめたことから本願技術がスタート台に立った。
本発明者は長年農業に従事しながら、人の健康に直結する生態系に関心を高め、その維持発展に精力を傾注してきた立場から、環境機能性を再生すると云う目標を得、バイオマスを再生循環しながら、その構造物に栄養の源となる機能を閉じ込め徐々に放出する含侵手法にたどり着いた。
【0018】
具体的には実施例で示すが要約すると次の手段となる。
a.使用基剤源となるカキ殻と言うバイオマスを革新技術によって強力にイオン化してカリオンセラミックス化を図り基剤とする。
b.更に複数の基剤材料の特性と役割を吟味し選択調整し、処理を積み重ね加えて固化基剤Aとする。
c.固化基剤Aに地域の特性を表す土産の粘土とマリネックス希釈液を有意量加えて混合し、土壌固化剤Bとする。
d.土壌固化剤Bに現地又は構造物目的に選択した土壌或いは骨材、更には生態系機能資材を加えて成形体を維持し、保温養生せしめて水和反応固化構造体とする。
【0019】
総括、(0016)項に述べている如く、非セメント系構造物を目指す本願では珊瑚由来の石灰岩をベースとするポルトランドセメントと異なるイオン化基剤をベースとした水和反応による固化構造物を目指す。
具体的には先人が会得したカキ殻の高温焼成物を用いた漆喰が遠赤外線を放射すると言う特性の差に着目し、珊瑚由来のCaCO素剤とカキ殻由来のCaCO素剤のもつ差の意義を熟考。
高温焼成物で遠赤外線を放射することが知られている白磁は、カリオン素地セラミックスとも呼ばれるが、その原料粘土とカキ殻が似かよった複雑な組成に成り立っているものとの考えに到達し、キルーンによる1200℃焼成物に出会って、正に白磁セラミックスと呼ぶにふさわしい微粉化され、水和反応を先導する力の大きい事に触れたのが本願のもととなった。(特願2005−43087)
カキ殻生石灰をカリオンセラミックスとよぶのは前述の白磁の様にカキ殻が高温焼結によって改質され新しい物質となったことの認識によるからである。
石灰岩が44%の炭酸ガスをかかえた組成なのにカキ殻が数年で58%の炭酸ガスを抱える組成の差は、それぞれ生合成に際して同伴するミネラルにも差異を生ずる海洋生態系の未知の惠与かも知れない。
上記を手掛かりとし困難な究極のカキ殻生石灰化の革新技術を開拓して今のセメントと異なるイオン化基剤カリオンセラミックスを見つけ出してベースとし本願の目指した生態系に近い固化構造物への進展を図ろうとするものである。背景技術に集約された情報を生かしながら新機能の合浸作用を備えた固化構造体創りへの途が垣間見えて来た。
【発明の効果】
【0020】
生産と生活を取巻く生態系のアンバランスの課題が取り上げられて久しく、一方では物理的自然環境保全の工作物も顕著に増加している。本願が二律相反する要件を再立させ、生産と生活環境の生態系機能を富化しようとする次元で鋭意開発した本発明は、環境保全と生産振興分野からどれ程の社会貢献となるか数字的予測は困難な程大きい。
土産の資源や産廃的有機質バイオマス資源を再生利用するビジョンは数多く提案されているが、その基盤となる技術の提案は少なかった。例えば山の頂上から海までの資源バイオマスを再生し循環する産業の基盤ずくりの一つとして、山の木材を炭化し、海のカキ殻を高温焼成して基剤とする外、骨材とし更に地域の山土を加えて、特殊腐植物質抽出液で泥水状とした土壌固化剤Bのバインダーに木炭や生態系資源剤を加えて混練成型して仕上げた海草礁等は、正に山の頂上と海をつなぎ海産物基盤を富化する代表的なものである。ポルトランドセメントによるコンクリートの固形体と異なる直接的な生産環境を富化するものである。河川護岸の構造物も周辺の草を繁らせ川苔を豊かに川魚の増殖に貢献する。陸上における構造物にしても水田哇畔の固化から始まり、傾斜斜面保護構造物や簡易舗装等の外、含浸作用機能を利用する住宅内外壁等とうへの利用は、化学建材のもたらす住環境汚染と対象的に住居環境の富化と健康に大きく貢献する例である。
【発明を実施する為の最良の型態】
【0021】
本発明に類する非セメント構造物にかかる資源再生技術は数多い。しかれども環境機能性を再生する為の具体策として、その構造体に含浸作用を付与して産業振興に資する例は寡聞にして聞こえない。
本発明は背景技術の多くの先行技術情報や知見にささえられ、自然現象からの教唆を綜合的に組み立てた広い意味でのバイオマス再生技術で供給と需要の面的厚さの広がりは非常に大きい事から、地域、関係者の連携と共同実行のネットワーク形成が成否を決める事は明らかである。環境と生産と健康を並立させる一助として活用されたいものである。
【実施例】
【0022】
前提−本発明は(0003)項特願2004−163851環境機能性再生構造物の製造−を全面的に改良したもので、先願はイオン化傾向の強い化学的原料でスタートしたが本願ではカキ殻と云うバイオマスを高度にイオン化する技術手段を基礎として組み立てられているので、化学的原料による実施例は割愛し、バイオマス再生を基礎としたイオン化そして水和反応による固化構造体ずくりの実施例にしぼり詳述する。
【実施例1】
【0023】
A:本発明に用いる資剤について述べる。
▲1▼カキ殻を高温焼成してポルトランドセメントと異なる特性のカリオンセラミックスを創出して基剤とする。カキ殻の純CaO構造体が歪みを生ずるまで新機構の焼結炉で処理する事によって新機軸の水和反応固化構造物への途が拓かれる。
▲2▼新鮮(有機質と接触しない)な粘土。アルミナや珪酸を含むが焼成しない。
▲3▼米糠に梅酢液とマリネックス抽出液を混合し、米糠のイオン化を促す。
▲4▼サク土(マリネックス近似土)が粉状珪藻土(金属元素と化合の少ないもの)
▲5▼ミネラルはねっこ−海洋性貝化石(福島県産) 300℃に加熱。
▲6▼フライアッシュ−二酸化珪素45%以上と酸化アルミニューム含有。
▲7▼シリカフューム−二酸化珪素90%以上含有し、マイクロフィラー効果やポゾラン効果がある。
▲8▼ピートモス−北海道産はフミン酸等の有機酸が28%を含む。
上記資剤の特性は背景技術資料に詳しい。
【0024】
B:固化基剤A、土壌固化剤B,現場打込C、の順序が基本になる。


上記を混合し防湿包装する。
II.土壌固化剤B、−現場施工で粘土や土壌の水分状態に合せ試行の事。
▲1▼固化基剤A,10kgに,+(0023)−▲2▼の新鮮粘土を40kgを混合。
▲2▼マリネックス500倍希釈液100Lで溶解し泥状バインダーとする。
III.現地産土壌、骨材(チップや破砕モミガラ)100〜150Lに混和し練り固める。
【0025】
▲1▼上記基本は型枠成形、傾斜法面舗装、平面舗装等、現場対象地に合せて基剤Aとの割合を調整し実施する。
▲2▼水田畦畔等に対する施工では畦畔成形機の前に供給装置を備えて定量搬布し現地土壌と混合し練り固める。
▲3▼固化基剤Aに有意の粘土と近似珪藻土等を混合して、直接壁塗りするか或いは建材に加工して用い、シックハウス症候群予防と積極的健康指向環境に資する。
▲4▼本発明の基となるカキ殻の高温焼成炉については先願(特願2005−43087)以来重複記載されているので実施例では割愛するが、炉壁の改良から遠赤外線照射、無酸素(近似窒素ガス雰囲気)、加熱蒸気雰囲気の乾溜環境維持を含めてその効率向上は全てに優先する技術となるので検証把握と改善目標が設定される。
▲5▼本実施例時点で、1,200℃での焼結カリオンセラミックスが未完?らしき認識をもったのは先特願2005−73876機能性セラミックスの実施例(0024)において通常電気炉による1,000℃焼成物を分析した結果、Cが特段に多かったので検証の結果、原素剤14分の1相当のカキ殻焼成物に、炭酸ガスが尚相当量残留していた事象(気化不完全)以外に考えられなかったからである。装置改善努力がカリオンセラミックスの特性向上に直結することを教唆する現象である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、産廃資源化したバイオマスのカキ殻を再生循環したカリオンセラミックスを基剤とする事からスタートした。その上で他のバイオマスや粘土並びに土壌も多用し、更に古代の地球が現代に遺してくれた貴重な資源を活用する事によって生態系の環境機能性を富化する構造物を実現せしめた。
本願の基礎となるカキ殻焼結炉々壁を構成するセラミックス(特許文献4−特願2004−163851)は特殊機能(−イオン発生)を目指しており、試作過程で特性実現の手がかりが期待されて来たので、焼結炉内での炭酸ガス気化に際してCが分離されて可燃ガス化する可能性が見えてきた。カキ殻のかかえる炭酸ガスの解離エネルギーの強大なことと対比して、設定された機構による加熱エネルギーの節減により、改質処理のコストの大幅な低減となるので、関連してバイオマスの再生循環、生産施設の拡大、環境保全や生活環境の改善等々、産業規模での利用の拡がりが期待される。
【0027】
高温焼成されたカキ殻は、自磁の如く真白く、微細粒子化される改質経緯を見ると、カリオンセラミックスの究極の品質は如何なるものなのか?如何なる特性を秘めているものなのか?未知の機能に胸が躍る。
石灰岩のそれはクリンカーとなるのに、カキ殻のそれは違って風に飛ぶ。
試用過程で見られた急激な水和反応力、ある物質(ホウ酸等)とでつくり出す断熱機能等々。
脱脂米糠がRBセラミックスに生まれ変わる如くに、カリオンセラミックスの未来はまだ予測もつかない。
はるかに遠いオボロ像の一端として、本実施例の外にも例えばアスベストの被封剤から、多様な断熱資剤としての資質が隠されているのでは!!との可能性への夢がふくらむ。
特記してカリオンセラミックスの利用法の一つとしての権利を留保する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mg,Na,K,Caの如きイオン化傾向の大きい物質がそれぞれ硫酸或いは塩酸と結合して安定する資剤を必須に、カルシウム、シリカ、ミネラルを含む有機リン酸資剤を加えて混合したものを固化基剤Aとし、製造現場で新鮮な粘土を加え、不飽和構造の外に多面な特性を持つ特殊腐植物質抽出希釈液を有意量加えて充分に攪拌して泥状のバインダーである土壌固化剤Bにする。
そのBに構造物目的に合わせた土壌或いは骨材を加えて充分に混練した後、有意の成型体を維持してイオン化を進行させ、充分に水和反応を進める為の保温養生をさせて固化構造体とする。
前述手段に基づく有意の栄養成分に因っている構造体内部の原料由来の物質が少しずつ侵食され放出される含侵作用を有することにより生態系循環機能性を富化する機能を有するに至る構造物と成る機構構造であることを特徴とする 環境機能性を富化する構造物の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の無機化学的素剤に替えて、カキ殻を特殊機構の焼成炉で遠赤外線照射、窒素ガス雰囲気、過熱蒸気雰囲気の触媒、自媒機能を維持して高温焼成し完全なCaOイオン化したカキ殻生石灰−カリオンセラミックスを基剤とし、更に触媒的酵素反応によってイオン化を進めた複数の有機資剤と、複数の水和反応補完資剤を加えて固化基剤Aとする。そのA剤に新鮮粘土と有意量の特殊腐植物質抽出希釈液を加えて十二分に攪拌して泥状バインダーの土壌固化剤Bとする。そのBに有意の土壌或いは有意の資質骨材を混合して充分に混練し、有機化学多重複合反応を経て水和反応せしめる保温養生によって固化し、原料栄養由来の含侵作用を強化した生態系環境機能の再生機能を有する構造物に至る構成に成ることを特徴とする請求項1記載の 環境機能性を富化する構造物の製造法。
【請求項3】
請求項2記載の特殊機構焼成炉装置は、平面炉床と近半円形天井壁より成り、素材が自然流下する有意の角度と長さを有する斜傾炉で、内面に遠赤外線等を放射する機能性セラミックスの炉壁を装着し、下方天井壁端に強力な吸引機能口を設ける。上部に素材供給口を備え窒素ガスと共に素材を供給する。天井壁上部に複数のガスバーナー口を設け、上方に向けた燃焼炎を下方に吸引して対向流燃焼反応させ、素材と燃焼ガス炎流を平行させながら乾溜ガスの可燃分も燃焼せしめて燃焼炉内の天井上層を流動する燃焼ガス炎流は、下方に下がる程累進高温の無酸素と過熱蒸気雰囲気の触媒並びに自媒環境となる機構により熱せられた炉壁からは設定された遠赤外線等の輻射熱線が放射、反射され燃焼炉炉床層を流下する素材には天井壁からの熱線照射と、燃焼ガスの流動熱線そして炉床からの伝導熱によって、酸欠乾溜的に焼成されて炭酸ガス等を放出し生石灰(CaO)化に至る素材層と気層分流的機構構造であることを特徴とする請求項1記載の 環境機能性を富化する構造物の製造法。

【公開番号】特開2007−49977(P2007−49977A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267614(P2005−267614)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(500222630)
【出願人】(503128467)
【Fターム(参考)】