説明

環状ケトン化合物の製造方法、環化転位触媒、及び、その製造方法

【課題】 環化転位触媒を用い、分子内のオレフィン部位とアルデヒド基とを一工程で環化及び転位させることにより得られる環状ケトン化合物の製造方法、分子内のオレフィン部位とアルデヒド基とを一工程で環化及び転位させることのできる新規な環化転位触媒、及び、その製造方法を提供することである。
【解決手段】 固体酸とルイス酸との組み合わせからなる環化転位触媒の存在下、下記式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物を環化させ、それぞれ5、6又は7員環の環状化合物を得る環化工程、及び、これらの5、6又は7員環の環状化合物の転位反応を行い、それぞれ下記式(IV)、(V)又は(VI)で表される環状ケトン化合物を得る転位工程を含むことを特徴とする環状ケトン化合物の製造方法、固体酸とルイス酸との組み合わせからなることを特徴とする環化転位触媒、及び、その製造方法である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ケトン化合物の製造方法、環化転位触媒、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環状ケトン化合物は、メントンに代表されるように香料や抗菌剤として用いられ、また、その環状ケトン構造は天然物に多く見られる構造であり、医薬品、香料、抗菌剤、化粧品及び防臭剤等に有用な化合物である。
不均一系触媒である固体触媒を用い、分子内のオレフィン部位とアルデヒド基とを、6員環遷移状態を経由し環化させ環状化合物を得る反応は、シトロネラールからイソプレゴールへの変換反応に代表されるように種々の触媒が知られている(特許文献1等参照)。しかし、固体触媒を用い、分子内のオレフィン部位とアルデヒド基とを環化させ、さらにオレフィン部位の異性化を行い、環状ケトン化合物を得る反応は、Al/Fe架橋層状粘土化合物を用いた反応が知られているのみであるが、その触媒活性は低いという問題があった(非特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−267524号公報
【非特許文献1】M. R. Cramarossa, et al., Synthesis, 2001, No. 1, p.52-54
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一つの目的は、環化転位触媒を用い、分子内のオレフィン部位とアルデヒド基とを一工程で環化及び転位させることにより得られる環状ケトン化合物の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、分子内のオレフィン部位とアルデヒド基とを一工程で環化及び転位させることのできる新規な環化転位触媒、及び、その製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記従来技術における問題点を克服するために鋭意検討した結果、以下の<1>、<4>及び<8>により上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。好ましい実施態様である<2>、<3>、及び、<5>〜<7>と共に以下に記載する。
<1>固体酸とルイス酸との組み合わせからなる環化転位触媒の存在下、下記式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物を環化させ、それぞれ5、6又は7員環の環状化合物を得る環化工程、及び、これらの5、6又は7員環の環状化合物の転位反応を行い、それぞれ下記式(IV)、(V)又は(VI)で表される環状ケトン化合物を得る転位工程を含むことを特徴とする環状ケトン化合物の製造方法、
【0006】
【化1】

(ここで、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表し、R4はアルデヒド基とオレフィンとの間のメチレン鎖上の一価又は二価の置換基を表し、式(I)におけるR4の置換基数mは0〜6の整数を表し、式(II)におけるR4の置換基数nは0〜8の整数を表し、また、式(III)におけるR4の置換基数kは0〜10の整数を表す。)
【0007】
【化2】

(ここで、R1〜R4、m、n及びkは、式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物中における置換基とその置換基数に対応したR1〜R4、m、n及びkを表す。)
<2>前記環化工程及び転位工程を、唯一の反応容器中で行う上記<1>に記載の環状ケトン化合物の製造方法、
<3>前記ケトン化合物が、メントンである上記<1>又は<2>に記載の環状ケトン化合物の製造方法、
<4>固体酸とルイス酸との組み合わせからなることを特徴とする環化転位触媒、
<5>前記固体酸がゼオライト又はシリカであり、前記ルイス酸がハロゲン化亜鉛である上記<4>に記載の環化転位触媒、
<6>前記固体酸がシリカであり、前記ルイス酸が臭化亜鉛である上記<5>に記載の環化転位触媒、
<7>前記固体酸がHY型ゼオライトであり、前記ルイス酸が塩化亜鉛である上記<5>に記載の環化転位触媒、
<8>(A)固体酸とルイス酸とを混合し混合体を得る工程、及び、前記混合体を焼成する工程を含む方法、(B)固体酸とルイス酸とを混合し混合体を得る工程、及び、前記混合体にマイクロ波を照射する工程を含む方法、(C)固体酸にルイス酸を含浸させる工程を含む方法の(A)〜(C)よりなる群から選ばれた方法で製造することを特徴とする環化転位触媒の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固体触媒の触媒活性が高く、温和な条件で行うことのできる新規な環状ケトン化合物の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、固体触媒であって、触媒活性の高い新規な環化転位触媒を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の環状ケトン化合物の製造方法、環化転位触媒、及び、その製造方法について詳述する。
【0010】
<環状ケトン化合物の製造方法>
本発明の環状ケトン化合物の製造方法は、固体酸とルイス酸との組み合わせからなる環化転位触媒の存在下、下記式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物を環化させ、それぞれ5、6又は7員環の環状化合物を得る環化工程、及び、これらの5、6又は7員環の環状化合物の転位反応を行い、それぞれ下記式(IV)、(V)又は(VI)で表される環状ケトン化合物を得る転位工程を含むことを特徴とする。
【0011】
【化3】

式(I)〜(III)中、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表し、R4はアルデヒド基とオレフィンとの間のメチレン鎖上の一価又は二価の置換基を表し、式(I)におけるR4の置換基数mは0〜6の整数を表し、式(II)におけるR4の置換基数nは0〜8の整数を表し、また、式(III)におけるR4の置換基数kは0〜10の整数を表す。
【0012】
【化4】

式(IV)〜(VI)中、R1〜R4、m、n及びkは、式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物中における置換基とその置換基数に対応したR1〜R4、m、n及びkを表す。
【0013】
また、本発明の環状ケトン化合物の製造方法の好ましい一実施態様は、固体酸とルイス酸との組み合わせからなる環化転位触媒の存在下、シトロネラールを環化させ、イソプレゴールを得る環化工程、及び、イソプレゴールの転位反応を行い、メントンを得る転位工程を含むことを特徴とするメントンの製造方法である。
【0014】
(固体酸)
本発明に用いることのできる固体酸としては、ゼオライト、シリカ、アルミナ、ジルコニア、シリカアルミナ、チタニア、及び、ヘテロポリ酸等が好ましく挙げられ、ゼオライト、シリカがより好ましい。
ゼオライトとしては、合成ゼオライト、天然ゼオライト、モレキュラーシーブ等が挙げられ、具体的には、例えば、X型ゼオライト及びY型ゼオライトで代表されるフォージャサイト型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、A型ゼオライト、L型ゼオライト、並びに、ベータ型ゼオライトが好ましく挙げられる。この中でも、環化転位触媒としての反応性の面からHY型ゼオライトが特に好ましい。HY型ゼオライトとは、天然ゼオライトであるフォージャサイトと同じ幾何構造をもつ立方晶の合成ゼオライトであるY型ゼオライトのうち、その単位胞組成がHnAlnSi192-n384・xH2Oであり、nが48〜76のものをいう。X型はnが77〜96のものである。
上記のこれらゼオライトの名称は、例えば、小野嘉夫・八嶋建明編「ゼオライトと科学と工学」((株)講談社発行、2000年刊)等に記載された周知の名称である。
なお、本発明に用いることのできるゼオライトは、固体酸として用いるため、塩基触媒として用いられる場合の多い、ナトリウムイオンやカリウムイオン等のアルカリ金属イオンでイオン交換されたゼオライトは含まないものとする。例えば、ナトリウムイオン交換Y型ゼオライト(以下、NaY型ゼオライトともいう。)は、その単位胞組成がNanAlnSi192-n384・xH2Oであり、nが48〜76のものをいう。
シリカ、アルミナ、ジルコニア、シリカアルミナ、及び、チタニアとしては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。この中でも、環化転位触媒としての反応性の面からシリカが特に好ましい。
ヘテロポリ酸は、中心のオキソ酸を形成するヘテロ元素のオキソ酸と、その周りで重合するポリ元素のオキソ酸からなり、ヘテロ元素としては、Si、P、As、S、Fe、Coなどが挙げられ、ポリ元素としては、Mo、W、Vが挙げられる。
【0015】
(ルイス酸)
本発明に用いることのできるルイス酸としては、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化チタン、ハロゲン化スズ、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム等が挙げられる。この中でも、ハロゲン化亜鉛が好ましく、塩化亜鉛及び臭化亜鉛がより好ましい。
ルイス酸の使用量としては、固体酸1gに対し、環化転位触媒としての反応性やコストの面から0.05〜20mmolであるのが好ましく、0.1〜15mmolであるのがより好ましく、1〜10mmolであるのがさらに好ましい。
【0016】
(環化転位触媒)
本発明の環化転位触媒は、固体酸とルイス酸との組み合わせからなることを特徴とする。本発明の環化転位触媒とは、分子内のオレフィン部位とアルデヒド基とを環化させることができ、かつ、前記環化により生成したオレフィン部位を転位させることのできる触媒である。
本発明の環化転位触媒は、環化転位触媒としての反応性の面からゼオライト又はシリカとハロゲン化亜鉛とからなるのが好ましく、HY型ゼオライト及び塩化亜鉛、シリカ及び臭化亜鉛、又は、シリカ及び塩化亜鉛の組み合わせからなるのがより好ましく、HY型ゼオライト及び塩化亜鉛、又は、シリカ及び臭化亜鉛の組み合わせからなるのが特に好ましい。
また、本発明の環化転位触媒は、後述する焼成法、マイクロ波照射法、含浸法により製造されたものを用いるのが好ましく、環化転位触媒としての反応性の面から焼成法、マイクロ波照射法がより好ましく、マイクロ波照射法がさらに好ましい。
【0017】
本発明の環化転位触媒は、環化転位反応の終了後、濾過等によって容易に基質や溶媒等と分離することができ、反応後の後処理が簡便である。
反応に用いた環化転位触媒は、生成物や溶媒等と分離し、必要に応じて洗浄及び/又は乾燥し、さらに必要に応じて公知の方法により焼成を行い、環化転位触媒として再利用することもできる。
【0018】
(アルデヒド化合物)
本発明に用いることのできるアルデヒド化合物は、下記式(I)〜(III)に示す化合物である。
【0019】
【化5】

【0020】
式(I)〜(III)中、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表し、R4はアルデヒド基とオレフィンとの間のメチレン鎖上の一価又は二価の置換基を表し、式(I)におけるR4の置換基数mは0〜6の整数を表し、式(II)におけるR4の置換基数nは0〜8の整数を表し、また、式(III)におけるR4の置換基数kは0〜10の整数を表す。式(I)〜(III)中の波線により結合する基は、R1を基準としてcis、又は、transのどちらに結合していてもよいことを示す。
1〜R4の一価の置換基としては、以下に示す置換基群より選ばれた任意の1価の置換基を表す。
【0021】
[置換基群]
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基である)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキニル基である)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基である)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアラルキル基である)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基である)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基である)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、さらに好ましくは2〜5のアルコキシカルボニル基である)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10のアシルオキシ基である)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルホニル基である)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールスルホニル基である)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルスルフィニル基である)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールスルフィニル基である)が含まれる。
これらの置換基は、さらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0022】
4の二価の置換基としては、アルキリデン基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアルキリデン基である)、オキソ基が挙げられる。
また、R1〜R4は、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(I)〜(III)でR4の置換基数m、n又はkが0の場合は、アルデヒド基とオレフィンとの間のメチレン鎖上にR4がないことを表し、m、n又はkが1〜10の場合は、アルデヒド基とオレフィンとの間のメチレン鎖上にR4がそれぞれ1〜10あることを表す。ただし、m、n又はkの値は、それぞれ式(I)〜(III)のアルデヒド基とオレフィンとの間のメチレン鎖上に置換可能な置換基の数を限度とする。
m、n又はkが2以上の場合は、アルデヒド基とオレフィンとの間のメチレン鎖上のそれぞれのR4において、互いに独立に一価又は二価の置換基を選ぶことができ、また、互いに結合して環を形成していてもよい。
【0023】
本発明に用いるのことのできるアルデヒド化合物としては、シトロネラールが好ましい。シトロネラールを用いると、本発明の環状ケトン化合物の製造方法により、医薬品、香料、抗菌剤、化粧品及び防臭剤等に特に有用なメントンを得ることができる。また、シトロネラールからはメントンと同時に、そのジアステレオ異性体であるイソメントンを得ることもできる。イソメントンも医薬品、香料、抗菌剤、化粧品及び防臭剤等に有用な化合物である。なお、本発明では「(±)−メントン」等を単に「メントン」等ともいう。
【0024】
(5、6又は7員環の環状化合物)
本発明の環状ケトンの製造方法で、中間体として前記式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物より得られる5、6又は7員環の環状化合物は、以下の式(VII)、(VIII)又は(IX)で表される化合物である。
【0025】
【化6】

【0026】
式(VII)、(VIII)又は(IX)中、R1〜R4、m、n及びkは、式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物中における置換基とその置換基数に対応したR1〜R4、m、n及びkを表す。式(VII)〜(IX)中の波線により結合するR2及びR3は、オレフィンとの結合位置が、R1を基準として、R2がcis、R3がtrans、又は、R2がtrans、R3がcisのどちらでもよいことを示す。また、R1〜R4がオレフィン部位を有する場合、そのオレフィン部位が異性化していてもよい。
【0027】
(環状ケトン化合物)
本発明の環状ケトンの製造方法により得られる環状ケトン化合物は、以下の式(IV)、(V)又は(VI)で表される化合物である。
【0028】
【化7】

【0029】
式(IV)、(V)又は(VI)中、R1〜R4、m、n及びkは、式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物中における置換基とその置換基数に対応したR1〜R4、m、n及びkを表す。また、R1〜R4がオレフィン部位を有する場合、そのオレフィン部位が異性化していてもよい。
前記環状ケトン化合物としては、医薬品、香料、抗菌剤、化粧品及び防臭剤等に有用なメントン又はイソメントンであることが好ましく、メントンであることがより好ましい。メントン及び/又はイソメントンは、本発明の環状ケトンの製造方法により、原料のアルデヒド化合物としてシトロネラールを用い、中間体の環状化合物としてイソプレゴールを経由し製造することができる。
【0030】
(環化工程及び転位工程)
本発明の環状ケトンの製造方法における環化工程は、固体酸とルイス酸との組み合わせからなる環化転位触媒存在下、前記アルデヒド化合物を溶媒中で環化させ、それぞれ5、6又は7員環の環状化合物を得る工程である。
また、本発明の環状ケトンの製造方法における転位工程は、これらの5、6又は7員環の環状化合物の転位反応を行い、それぞれ前記環状ケトン化合物を得る工程である。
前記環化工程及び転位工程は、唯一の反応容器中で行う(いわゆる、ワンポット反応)ことが好ましい。ワンポット反応で行う場合、環化工程と転位工程との区別をつける必要は特になく、反応容器中では前記アルデヒド化合物、前記環状化合物、及び、前記環状ケトン化合物が混在していてもよい。
【0031】
本発明における環化工程及び転位工程では、溶媒を用いても、用いなくともよい。本発明に用いることのできる溶媒としては、無極性溶媒が好ましく、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロペンタン及びシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素類等を挙げることができるが、反応温度等の面からトルエンが特に好ましい。
反応温度としては、反応が進行する限り特に制限はないが、80〜150℃が好ましく、100〜120℃がより好ましい。
反応時間としては、触媒量や反応温度等に依存するが、反応が進行する限り特に制限はなく、ワンポット反応で行う場合は10分〜3時間であるのが好ましい。
環化転位触媒の使用量としては、固体酸とルイス酸とのモル比にもよるが、アルデヒド化合物1gに対し、0.01〜10gが好ましく、0.05〜5.0gがより好ましく、0.1〜3.0gがさらに好ましい。
【0032】
<環化転位触媒の製造方法>
本発明の環化転位触媒の製造方法は、以下の(A)〜(C)よりなる群から選ばれた方法で製造することを特徴とする。
(A)固体酸とルイス酸とを混合し混合体を得る工程、及び、前記混合体を焼成する工程を含む方法(以下、焼成法ともいう。)、
(B)固体酸とルイス酸とを混合し混合体を得る工程、及び、前記混合体にマイクロ波を照射する工程を含む方法(以下、マイクロ波照射法ともいう。)、
(C)固体酸にルイス酸を含浸させる工程を含む方法(以下、含浸法とも言う)である。
【0033】
上記(A)及び(B)の方法に含まれる固体酸とルイス酸とを混合し混合体を得る工程は、固体酸とルイス酸とを単に混合するだけでもよく、さらにすり潰したり、任意の形状に成形してもよい。固体酸は事前に焼成しておくのが好ましく、焼成温度は特に限定されないが、100℃以上が好ましく、250〜650℃がより好ましい。ルイス酸は無水物を用いるのが好ましく、また、湿気等による含有水分が少ない方が好ましい。
上記(A)の方法に含まれる前記混合体を焼成する工程は、公知の方法を用いることができる。焼成温度は100℃以上が好ましく、150〜300℃がより好ましく、170〜270℃がさらに好ましい。焼成時間は、温度にも依存するが、30分〜2時間が好ましい。また、焼成し得られた環化転位触媒は、例えば真空ポンプやデシケータ等を用い、湿度の少ない雰囲気下で室温へ冷却及び/又は保存するのが好ましい。
上記(B)の方法に含まれる前記混合体にマイクロ波を照射する工程は、公知のマイクロ波照射装置(例えば、家庭用電子レンジ等)を用いることができる。照射時間は、用いるマイクロ波の強度にもよるが、5〜30分が好ましい。また、マイクロ波を照射し得られた環化転位触媒は、例えば真空ポンプやデシケータ等を用い、湿度の少ない雰囲気下で室温へ冷却及び/又は保存するのが好ましい。
【0034】
上記(C)の方法に含まれる固体酸にルイス酸を含浸させる工程は、ルイス酸を溶媒に溶解し、その溶液中に固体酸を添加し、溶媒を除去する工程である。上記溶媒としては、用いるルイス酸を溶解するものであれば、特に制限はないが、湿気等による含有水分が少ない方が好ましい。溶媒を除去する方法としては、公知の方法を用いることができる。固体酸は、事前に焼成しておくのが好ましく、焼成温度は特に限定されないが、100℃以上が好ましく、250〜650℃がより好ましい。ルイス酸は無水物を用いるのが好ましく、また、湿気等による含有水分が少ない方が好ましい。得られた環化転位触媒は、公知の方法で乾燥するのが好ましく、また、例えば真空ポンプやデシケータ等を用い、湿度の少ない雰囲気下で室温へ冷却及び/又は保存するのが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例で用いる器具及び装置等は、特に断りのない限り、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、市販又は公知の器具及び装置を適宜用いることができる。
また、以下の実施例の反応は、空気雰囲気下、又は、必要に応じアルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下のいずれかで行うのが好ましい。
【0036】
(実施例1)
<焼成法による塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒の製造>
事前に空気中500℃で焼成したHY型ゼオライト(東ソー(株)製 HSZ−350HUA)3.0gと、ZnCl2(無水物)0.4088g(3.0mmol)とをすり潰したものを200℃、1時間で焼成した。デシケータにて保存した。この方法により、1mmol/gの塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(焼成法)を調製した。
【0037】
(実施例2)
<マイクロ波照射法による塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒の製造>
事前に空気中500℃で焼成したHY型ゼオライト(東ソー(株)製 HSZ−350HUA)3.0gと、ZnCl2(無水物)0.4088g(3.0mmol)とをすり潰したものを家庭用電子レンジ(2.45GHz,500W)で15分間照射し、真空ポンプにてよく冷えるまで放置した。その後、デシケータにて保存した。この方法により、1mmol/gの塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)を調製した。
【0038】
(実施例3)
<含浸法による塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒の製造>
ZnCl2(無水物)0.4088g(3.0mmol)をメタノール(200ml)に溶解し、その中に事前に空気中500℃で焼成したHY型ゼオライト(東ソー(株)製 HSZ−350HUA)3.0gを加えた。35℃を保持してロータリーエバポレーターにより、ゆっくりとメタノールを除去した。さらに、120℃で一晩オーブンにて乾燥した。その後、200℃、1時間で焼成したものをデシケータにて保存した。この方法により、1mmol/gの塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(含浸法)を調製した。
【0039】
(実施例4)
<焼成法による臭化亜鉛−シリカ触媒の製造>
事前に空気中500℃で焼成したSiO2(Merck社製シリカゲル60(0.063〜0.200mm))3.0gと、ZnBr2(無水物)1.3512g(6.0mmol)とをすり潰したものを200℃、1時間で焼成した。デシケータにて保存した。この方法により、2mmol/gの臭化亜鉛−シリカ触媒(焼成法)を調製した。
【0040】
(実施例5)
<マイクロ波照射法による臭化亜鉛−シリカ触媒の製造>
事前に空気中500℃で焼成したSiO2(Merck社製シリカゲル60(0.063〜0.200mm))3.0gと、ZnBr2(無水物)1.3512g(6.0mmol)とをすり潰したものを家庭用電子レンジ(2.45GHz,500W)で15分間照射し、真空ポンプによる減圧下、室温に冷却されるまで放置した。その後、デシケータにて保存した。この方法により、2mmol/gの臭化亜鉛−シリカ触媒(マイクロ波照射法)を調製した。
【0041】
(実施例6)
<含浸法による臭化亜鉛−シリカ触媒の製造>
ZnBr2(無水物)1.3512g(6.0mmol)をメタノール(200ml)に溶解し、その中に事前に空気中500℃で焼成したSiO2(Merck社製シリカゲル60(0.063〜0.200mm))3.0gを加えた。35℃を保持してロータリーエバポレーターにより、ゆっくりとメタノールを除去した。さらに、120℃で2時間オーブンにて乾燥した。この方法により、2mmol/gの臭化亜鉛−シリカ触媒(含浸法)を調製した。
【0042】
(実施例7)
<含浸法による塩化亜鉛−シリカ触媒の製造>
ZnCl2(無水物)0.8176g(6.0mmol)をメタノール(200ml)に溶解し、その中に事前に空気中500℃で焼成したSiO2(Merck社製シリカゲル60(0.063〜0.200mm))3.0gを加えた。35℃を保持してロータリーエバポレーターにより、ゆっくりとメタノールを除去した。さらに、120℃で2時間オーブンにて乾燥した。この方法により、2mmol/gの塩化亜鉛−シリカ触媒(含浸法)を調製した。
【0043】
<シトロネラールからのメントンの合成>
(実施例8)
【0044】
【化8】

【0045】
50mlナスフラスコに(±)−シトロネラール(Citronellal)2mmol(0.3085g)と溶媒としてトルエン(toluene)20mlを加え、1mmol/gの塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)(ZnCl2/HY-zeolite (microwave irradiation method))を800mg加え、煮沸還流下で3時間撹拌した。反応終了後、ジエチルエーテルで洗いながらろ過を行い、溶媒を留去後、ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出した。(±)−メントン(Menthone)が収率49%、(±)−イソメントン(Isomenthone)が収率22%、メントン及びイソメントンの総収率71%、メントン:イソメントン=69:31で得られた。
【0046】
【化9】

【0047】
なお、得られたメントンとイソメントンの混合物は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:1)により、ジアステレオマーを分離できた。
【0048】
(±)−メントン:
1H NMR (CDCl3) δ(ppm) = 0.78 (d, J =6.9 Hz, 3H), 0.84 (d, J =6.9 Hz, 3H), 0.94 (d, J = 6.4 Hz 3H), 1.22-1.36 (m, 2H), 1.73-1.85 (m, 2H), 1.88-2.02 (m, 3H), 2.06 (qqd, J = 6.7, 6.7, 1.4 Hz, 1H), 2.28 (ddd, J = 12.9, 4.0, 2.1 Hz, 1H).
13C NMR (CDCl3) δ(ppm) = 19.9, 20.9, 21.4, 26.9, 26.9, 29.4, 34.4, 48.0, 57.2, 214.6.
【0049】
(±)−イソメントン:
1H NMR (CDCl3) δ(ppm) = 0.85 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 0.94 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.99 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 1.44-1.53 (m, 1H), 1.66-1.76 (m, 2H), 1.91-2.07 (m, 4H), 2.11 (dd, J = 13.0, 10.0 Hz, 1H), 2.30 (ddt, J = 13.5, 4.6, 1.3 Hz, 1H).
13C NMR (CDCl3) δ(ppm) = 19.9, 20.9, 21.4, 26.8, 26.9, 29.4, 34.4, 48.0, 57.2, 214.6.
【0050】
(実施例9)
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)に代え、1mmol/gの塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(焼成法)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、(±)−メントンが収率43%、(±)−イソメントンが収率25%、メントン及びイソメントンの総収率68%、メントン:イソメントン=63:37で得られた。
【0051】
(実施例10)
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)に代え、1mmol/gの塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(含浸法)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、(±)−メントンが収率37%、(±)−イソメントンが収率16%、メントン及びイソメントンの総収率53%、メントン:イソメントン=70:30で得られた。
【0052】
(実施例11)
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)800mgに代え、2mmol/gの臭化亜鉛−シリカ触媒(マイクロ波照射法)400mgを用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、(±)−メントンが収率59%、(±)−イソメントンが収率30%、メントン及びイソメントンの総収率89%、メントン:イソメントン=66:34で得られた。
【0053】
(実施例12)
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)800mgに代え、2mmol/gの臭化亜鉛−シリカ触媒(焼成法)400mgを用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、(±)−メントンが収率56.5%、(±)−イソメントンが収率30.5%、メントン及びイソメントンの総収率87%、メントン:イソメントン=65:35で得られた。
【0054】
(実施例13)
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)800mgに代え、2mmol/gの臭化亜鉛−シリカ触媒(含浸法)400mgを用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、(±)−メントンが収率47%、(±)−イソメントンが収率34%、メントン及びイソメントンの総収率81%、メントン:イソメントン=58:42で得られた。
【0055】
(実施例14)
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)800mgに代え、2mmol/gの塩化亜鉛−シリカ触媒(含浸法)400mgを用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、(±)−メントンが収率46.5%、(±)−イソメントンが収率28.5%、メントン及びイソメントンの総収率75%、メントン:イソメントン=62:38で得られた。
【0056】
(比較例1)
<臭化亜鉛−ヒドロキシアパタイト触媒>
【0057】
【化10】

【0058】
焼成SiO2の代わりにヒドロキシアパタイト(HAP:Ca10(PO46(OH)2)を用いた以外は、実施例6と同様に、2mmol/gの臭化亜鉛−ヒドロキシアパタイト触媒を調製した。
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)800mgに代え、上記臭化亜鉛−ヒドロキシアパタイト触媒(ZnBr2/HAP)400mgを用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、メントン及びイソメントンは全く得られず、(±)−イソプレゴール(Isopulegol)及び(±)−ネオイソプレゴール(Neo-isopulegol)が総収率86%(イソプレゴール:ネオイソプレゴール=93:7)で得られた。
【0059】
(比較例2)
<臭化亜鉛−フルオロアパタイト触媒>
焼成SiO2の代わりにフルオロアパタイト(FAP:Ca10(PO462)を用いた以外は、実施例6と同様に、2mmol/gの臭化亜鉛−フルオロアパタイト触媒を調製した。
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)800mgに代え、上記臭化亜鉛−フルオロアパタイト触媒400mgを用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、メントン及びイソメントンは全く得られず、イソプレゴール及びネオイソプレゴールが総収率83%(イソプレゴール:ネオイソプレゴール=91:9)で得られた。
【0060】
(比較例3)
<臭化亜鉛−NaY型ゼオライト触媒>
焼成SiO2の代わりにNaY型ゼオライト(東ソー(株)製 HSZ−320NAA)を用いた以外は、実施例6と同様に、2mmol/gの臭化亜鉛−NaY型ゼオライト触媒を調製した。
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)800mgに代え、上記臭化亜鉛−NaY型ゼオライト触媒400mgを用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、メントン及びイソメントンは全く得られず、イソプレゴール及びネオイソプレゴールが総収率89%(イソプレゴール:ネオイソプレゴール=70:30)で得られた。
【0061】
(比較例4)
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)800mgに代え、塩化亜鉛 0.5451g(4.0mmol)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、メントン及びイソメントンは全く得られず、イソプレゴール及びネオイソプレゴールが総収率68%(イソプレゴール:ネオイソプレゴール=86:17)で得られた。
【0062】
(比較例5)
塩化亜鉛−HY型ゼオライト触媒(マイクロ波照射法)に代え、HY型ゼオライト(東ソー(株)製 HSZ−350HUA)を用いた以外は、実施例8と同様に反応を行った。ガスクロマトグラフィーにて生成割合を算出したところ、メントン及びイソメントンの総収率44%(メントン:イソメントン=65:35)で得られた。
【0063】
実施例8〜14、及び、比較例1〜5で得られたメントン、イソメントン、イソプレゴール、及び、ネオイソプレゴールの収率を、以下の表1に示す。
【0064】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体酸とルイス酸との組み合わせからなる環化転位触媒の存在下、下記式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物を環化させ、それぞれ5、6又は7員環の環状化合物を得る環化工程、及び、
これらの5、6又は7員環の環状化合物の転位反応を行い、それぞれ下記式(IV)、(V)又は(VI)で表される環状ケトン化合物を得る転位工程
を含むことを特徴とする
環状ケトン化合物の製造方法。
【化1】

(ここで、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子又は一価の置換基を表し、R4はアルデヒド基とオレフィンとの間のメチレン鎖上の一価又は二価の置換基を表し、式(I)におけるR4の置換基数mは0〜6の整数を表し、式(II)におけるR4の置換基数nは0〜8の整数を表し、また、式(III)におけるR4の置換基数kは0〜10の整数を表す。)
【化2】

(ここで、R1〜R4、m、n及びkは、式(I)、(II)又は(III)に示すアルデヒド化合物中における置換基とその置換基数に対応したR1〜R4、m、n及びkを表す。)
【請求項2】
前記環化工程及び転位工程を、唯一の反応容器中で行う請求項1に記載の環状ケトン化合物の製造方法。
【請求項3】
前記ケトン化合物が、メントンである請求項1又は2に記載の環状ケトン化合物の製造方法。
【請求項4】
固体酸とルイス酸との組み合わせからなることを特徴とする
環化転位触媒。
【請求項5】
前記固体酸がゼオライト又はシリカであり、前記ルイス酸がハロゲン化亜鉛である請求項4に記載の環化転位触媒。
【請求項6】
前記固体酸がシリカであり、前記ルイス酸が臭化亜鉛である請求項5に記載の環化転位触媒。
【請求項7】
前記固体酸がHY型ゼオライトであり、前記ルイス酸が塩化亜鉛である請求項5に記載の環化転位触媒。
【請求項8】
(A)固体酸とルイス酸とを混合し混合体を得る工程、及び、前記混合体を焼成する工程を含む方法、
(B)固体酸とルイス酸とを混合し混合体を得る工程、及び、前記混合体にマイクロ波を照射する工程を含む方法、
(C)固体酸にルイス酸を含浸させる工程を含む方法
の(A)〜(C)よりなる群から選ばれた方法で製造することを特徴とする
環化転位触媒の製造方法。

【公開番号】特開2006−248920(P2006−248920A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64056(P2005−64056)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年11月1日 第43回日本油化学会年会実行委員会発行の「第43回 日本油化学会年会(JOCS−MPOB ジョイントシンポジウム併催)講演要旨集」に発表
【出願人】(801000027)学校法人明治大学 (161)
【Fターム(参考)】