説明

環状炭化水素誘導体の製造方法

【課題】ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、変性アクリル樹脂等の原料として有用な環状炭化水素誘導体を腐食性が強く、専用の設備が必要となる塩化水素ガスを用いることなく、高純度かつ高収率で工業的に有利に製造する方法を提供する。
【解決手段】ヘテロポリ酸触媒の存在下、環状ケトン類とフェノール類等を反応させることを特徴とする、式(3)で表される環状炭化水素誘導体の製造方法。


(式中、nは整数を、m1、m2、k1、k2は0又は整数を、R1a、R1bはアルキル基等を、R2a、R2bはアルキレン基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、変性アクリル樹脂等の原料として有用な環状炭化水素誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビスアルキルフェノール環状炭化水素などの環状炭化水素誘導体は、耐熱性に優れたポリマー原料として有望であり、耐熱性樹脂やエンジニヤリングプラスチックなどの原料として期待されている。
【0003】
環状ケトンが6員環である環状炭化水素誘導体の製造法としては、シクロヘキサノンとフェノールから塩酸を用いて環状炭化水素誘導体の包接化合物を得た後、前記環状炭化水素誘導体の包接化合物から環状炭化水素誘導体を得る方法(特許文献1)がある。 しかし、この方法を7員環以上の環状ケトンに適用した場合、反応がほとんど進行しない。
【0004】
式(3)における環状ケトンが7員環以上である環状炭化水素誘導体の製造法としては、環状ケトンとフェノールから環状炭化水素誘導体をn−ブチルメルカプタンやメルカプト酢酸存在下に塩化水素ガスを用いて製造する方法が提案されている(特許文献2)。しかし、塩化水素ガスは腐食性が強く、取扱いが難しいため、工業的に行なおうとすると専用の設備が必要となるため、腐食性が強く、専用の設備が必要となる塩化水素ガスを用いることなく、式(3)で表される環状炭化水素誘導体を高純度かつ高収率で工業的に有利に製造する方法の開発が求められていた。
【0005】
【特許文献1】特開平10−36304号公報
【特許文献2】特開昭59−166528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、式(3)で表される環状炭化水素誘導体を腐食性が強く、専用の設備が必要となる塩化水素ガスを用いることなく、高純度かつ高収率で工業的に有利に製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、式(1)で表される環状ケトン類と式(2)で表される化合物をヘテロポリ酸触媒存在下に反応させることにより、式(3)で表される環状炭化水素誘導体を高純度かつ高収率で工業的に有利に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ヘテロポリ酸触媒の存在下、式(1)
【化1】

(式中、nは1〜10の整数を示す。)
で表される環状ケトン類と式(2)
【化2】

(式中、Rはアルキレン基、Rはアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はハロゲンを示す。mは0又は1以上の整数を示し、kは0又は1〜4の整数を示す。)
で表される化合物を反応させることを特徴とする、式(3)
【化3】

(式中、nは1〜10の整数を示し、R2aおよびR2bはアルキレン基を示し、R1aおよびR1bはアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はハロゲンを示す。k1およびk2は0又は1〜4の整数を示し、同一もしくは異なっていてもよい。m1およびm2は0又は1以上の整数を示し、同一もしくは異なっていてもよい。)で表される環状炭化水素誘導体の製造方法に関する。
【0009】
本発明に用いられるヘテロポリ酸とは、一般的には異なる2種以上の酸化物複合体からなる複合酸化物酸、およびこれらのプロトンの一部もしくはすべてを他のカチオンで置き換えたものである。ヘテロポリ酸は、例えば、リン、ヒ素、スズ、ケイ素、チタン、ジルコニウムなどの元素の酸素酸イオン(例えば、リン酸、ケイ酸)とモリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタルなどの元素の酸素酸イオン(バナジン酸、モリブデン酸、タングステン酸)とで構成されており、その組み合わせにより種々のヘテロポリ酸が可能である。
【0010】
ヘテロポリ酸を構成する酸素酸の元素は特に限定されるものではないが、例えば、銅、ベリリウム、ホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン、ジルコニウム、セリウム、トリウム、窒素、リン、ヒ素、アンチモン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、ウラン、セレン、テルル、マンガン、ヨウ素、鉄、コバルト、ニッケル、ロジウム、オスミウム、イルジウム、白金などが挙げられる。 これらのうち構成元素として(A)リンまたはケイ素、および(B)バナジウム、モリブデンまたはタングステンから選ばれた少なくとも1種を含むものが好ましい。
【0011】
ヘテロポリ酸骨格を構成するヘテロポリ酸アニオンとしては種々の組成のものを使用できる。例えば、XM1240、XM1242、XM1862、XM24などが挙げられる。好ましいヘテロポリ酸アニオンの組成は、XM1240である。各式中、Xはケイ素、リンなどの元素であり、Mはバナジウム、モリブデン、タングステンなどの元素である。これらの組成を有するヘテロポリ酸として、具体的には、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、リンバナドモリブデン酸、リンタングストモリブテン酸、リンバナドモリブテン酸、ケイタングストモリブデン酸、リンバナドタングステン酸などが例示される。
【0012】
ヘテロポリ酸は、遊離のヘテロポリ酸であってもよく、プロトンの一部もしくはすべてを他のカチオンで置き換えて、ヘテロポリ酸の塩として使用することもできる。従って、本発明で言うヘテロポリ酸とはこれらのヘテロポリ酸の塩も含まれる。プロトンと置換可能なカチオンとしては、例えば、アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられる。
【0013】
ヘテロポリ酸は無水物であってもよく、結晶水含有物であってもよいが、無水物の方がより反応が早く、また副生成物の生成が抑制され好ましい。結晶水含有物の場合、予め減圧乾燥や溶媒との共沸脱水等の脱水処理を行なうことにより無水物と同様の効果を得ることができる。ヘテロポリ酸は活性炭、アルミナ、シリカ−アルミナ、ケイソウ土などの担体に担持した形態で用いてもよい。これらのヘテロポリ酸は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲でヘテロポリ酸以外の他の触媒を併用してもよい。
【0014】
ヘテロポリ酸の使用量は特に限定されるものではないが、充分な反応速度を得るには、原料である環状ケトン類に対して、0.0001重量倍以上、好ましくは0.001〜30重量倍、更に好ましくは0.01〜5重量倍である。30重量倍より多い場合は経済的に望ましくない。
【0015】
前記式(1)で表される環状ケトン類は、前記式(3)で表される環状炭化水素誘導体の環状炭化水素骨格に対応しており、nは1〜10の整数である。前記式(1)で表される化合物の具体例としては、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノン、シクロテトラデカノン、シクロヘキサデカノンが挙げられる。好ましくはシクロオクタノン、シクロデカノン、シクロドデカノンであり、特にシクロドデカノンの反応において有効である。
【0016】
前記式(2)で表される化合物は、前記式(3)で表される環状炭化水素誘導体において、RはR1a又はR1bに、RはR2a又はR2bに、kはk1又はk2に、mはm1又はm2にそれぞれ対応している。
【0017】
1aおよびR1bは、同一もしくは異なっていてもよいが、通常、同一である。またR1a(又はR1b)は、同一のベンゼン環において同一もしくは異なっていてもよい。なお、R1a(又はR1b)の置換位置は特に限定されるものではない。置換基数k1およびk2は0又は1〜4であり、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0である。k1およびk2は同一もしくは異なっていてもよいが、通常、同一である。
【0018】
2aおよびR2bで表されるアルキレン基としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基、さらに好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基である。R2aおよびR2bは互いに同一もしくは異なっていてもよいが、通常、同一である。R2a(又はR2b)の置換位置は特に限定されるものではない。置換基数m1およびm2は0又は1以上であり、同一もしくは異なっていてもよい。好ましくは0〜5、さらに好ましくは0又は1、特に好ましくは0である。なお、 m1(又はm2)が2以上の場合、ポリアルコキシ基は、同一のアルコキシ基で構成されていてもよく、異種のアルコキシ基(例えばエトキシ基とプロピレンオキシ基)が混在して構成されていてもよいが、通常、同一のアルコキシ基で構成されている。
【0019】
前記式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、m=0、k=0の化合物としては、フェノール、m=0、k=1の化合物としては、2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、などのアルキルフェノールや2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノールなどのフェニルフェノール、2−メトキシフェノール、2−エトキシフェノールなどのアルコキシフェノール、m=0、k=2の化合物としては、2,3−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−キシレノールなどのジアルキルフェノールなどが挙げられる。これらのうち、好ましくはフェノール、2−アルキルフェノールであり、特に好ましくは、2−メチルフェノールである。
m=1、k=0の化合物として、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシブタノールなどのフェノキシアルキルアルコール、(2−メチル−フェノキシ)エタノール、(3−メチル−フェノキシ)エタノール、(3−エチル−フェノキシ)エタノール、(3−ブチル−フェノキシ)エタノール、(2−メチル−フェノキシ)プロパノール、(3−メチル−フェノキシ)プロパノールなどのアルキルフェノキシアルキルアルコール、(2,3−ジメチルフェノキシ)エタノール、(2,5−ジメチルフェノキシ)エタノール、(2,6−ジメチルフェノキシ)エタノール、(2,6−ジブチルフェノキシ)エタノールなどのジアルキルフェノキシアルキルアルコール、(2−メトキシフェノキシ)エタノールなどのアルコキシフェノキシアルキルアルコール、(2−シクロヘキシルフェノキシ)エタノールなどのシクロアルキルフェノキシアルキルアルコール、ビフェニリルオキシエタノールなどのアリールフェノキシアルキルアルコールなどが挙げられる。これらのうち、フェノキシアルキルアルコールが好ましく、フェノキシエタノールが特に好ましい。また、mが2以上の化合物としては、これらフェノキシアルキルアルコールに対応するポリオキシアルキレンフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
前記式(2)で表される化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、副反応抑制及び経済性の点から、通常、式(1)で表される環状ケトン類1モルに対して、2〜50モル倍、好ましくは2.5〜20モル倍、さらに好ましくは3〜10モル倍である。また、これらの化合物を反応溶媒として用いることもできる。50モル倍以上使用する場合は経済的に好ましくない。
【0021】
本発明において必要に応じて、助触媒として用いられるチオール類としては、メルカプトカルボン酸、例えばチオ酢酸、β―メルカプトプロピオン酸が挙げられる。アルキルメルカプタンとしては、例えばn-オクチルメルカプタン、n-デシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン等のC1〜12のアルキルメルカプタンが挙げられる。チオール類は単独または二種類以上の組み合わせで使用できる。これらのチオール類の中でも特にn-ドデシルメルカプタンが好ましい。
【0022】
本発明において必要に応じて、チオール類を助触媒として用いることにより、反応時間の短縮や副反応を抑制することができ、その使用量は、通常、式(1)で表される環状ケトン類1モルに対して、0.001〜0.1モル倍、好ましくは0.002〜0.05モル倍、さらに好ましくは0.003〜0.03モル倍である。0.1モル倍以上使用する場合は経済的に好ましくない。
【0023】
本発明において式(3)で表される環状炭化水素誘導体の合成方法は、通常、式(1)で表される環状ケトンとアルキルフェノール類、およびヘテロポリ酸触媒及び必要により
チオール類を反応装置に仕込み、空気中又は窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下、トルエン、キシレンなどの不活性溶媒存在下又は非存在下で加熱攪拌することにより行うことができる。 この際、触媒含有水や反応生成水など、反応系内の水分を除去する脱水条件下で反応を行うことにより、脱水しない場合より反応が早く進行し、副生成物の生成が抑制され、より高収率で目的物を得ることができる。脱水方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、脱水剤の添加による脱水、減圧による脱水、常圧又は減圧下、溶媒との共沸による脱水などが挙げられる。特に反応時間が短い減圧脱水法が望ましい。
【0024】
本発明の反応において、必要に応じて用いられる脱水剤としては、特に限定されるものではないが、モレキュラーシーブ、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。脱水剤の使用量は特に限定されるものではないが、脱水効果および経済性の点から、通常、式(1)で表される環状ケトンに対して、0.0001重量倍以上、好ましくは0.001〜100重量倍、更に好ましくは0.01〜50重量倍である。
【0025】
本発明の反応においては、溶媒中で実施しても良い。 反応に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではないが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジ−iso−プロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの脂肪族および環状エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、N,N−ジメチルアセトアルデヒド、1−メチル−2−ピロリジノンなどのアミン類などが挙げられる。好ましくは芳香族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類であり、さらに好ましくはトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンである。その使用量は特に限定されるものではないが経済性の点から、通常、式(1)で表される環状ケトンに対して0.1重量倍以上、好ましくは0.5〜100重量倍、さらに好ましくは1〜20重量倍である。
反応温度は使用する原料、溶媒の種類により異なるが、通常、30〜200℃、好ましくは40〜150℃、更に好ましくは40〜130℃である。反応はガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどの分析手段で追跡することができる。
【0026】
反応後、反応液に溶媒を加え、冷却晶析することにより結晶として環状炭化水素誘導体を得ることができ、析出した結晶は濾過等により回収される。また必要に応じて洗浄、吸着、水蒸気蒸留、再晶析などの精製操作を行うことができる。晶析および精製に用いられる溶媒は、反応溶媒をそのまま使用してもよいし、別の溶媒を使用することもできる。晶析溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどの脂肪族低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族低級ケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、酢酸エチルなどのエステル類、水などが特に好ましい。
【0027】
本発明における、前記式(3)で表される環状炭化水素誘導体としては、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロオクタン、 1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロノナン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロウンデカン、 1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロウンデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロドデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロトリデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロテトラデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロペンタデカン、 1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロペンタデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)フェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルキルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルキルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−ジアルキルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アルコキシフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−シクロアルキルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)シクロヘキサデカン等が挙げられる。
【0028】
具体的には、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロノナン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロウンデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロトリデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロテトラデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロヘプタン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロオクタン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロノナン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロウンデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロドデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロトリデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロテトラデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロペンタデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)シクロヘキサデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘプタン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロオクタン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロノナン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロウンデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロトリデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロテトラデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロペンタデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサデカン、1,1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロヘプタン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロオクタン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロノナン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロウンデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロドデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロトリデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロテトラデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロペンタデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロヘキサデカン等が挙げられ、これらのうち1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロオクタン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロオクタン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロドデカンが好ましく、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル))シクロドデカンがさらに好ましく、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンが特に好ましい。
【発明の効果】
【0029】
式(3)であらわされる環状ケトンが7員環以上である環状炭化水素誘導体を腐食性が強く、専用の設備が必要となる塩化水素ガスを用いることなく、高純度かつ高収率で工業的に有利に製造する方法を提供することができる。
【0030】
(実施例)
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例中、特にことわらないかぎり%はHPLCにおける面積百分率値であり、部は重量基準である。
[HPLC測定条件]
装置 :島津 LC−2010A
カラム:L−Column ODS(5μm、4.6mmΦ×150mm)
移動相:A液:水/メタノール=70/30(v/v)、B液:メタノール
B液濃度:30%→100%(25分)→100%(35分)
流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃、検出波長:UV 254nm

[イオウ分測定方法および測定条件]
試験法: 酸水素炎燃焼−イオンクロマト法
装置 : 酸水素炎燃焼装置:N-LS(東京科学精機社製)

イオンクロマトグラフ:DX−120(DIONEX社製)
カラム;DIONEX IonPac AS14
検出器;DS4 DETECTION STABILIZER
MODEL DS4−1
【実施例1】
【0031】
攪拌機、窒素吹込管、温度計およびT字管を付けたガラス製反応器に、シクロドデカノン23.7g(0.13モル)、2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)および触媒としてリンタングステン酸[(HPW1240)・nHO]0.6g、n-ドデシルメルカプタン2.63g(0.013モル)を加え、温度を70℃に保ちながら反応により生成する水を減圧下1.3×10Paで系外に除去しながら8時間攪拌した。得られた反応混合物にトルエンを加え、得られたトルエン混合物を70℃に調整し、水を加え水酸化ナトリウムで中和後し、水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰の2−メチルフェノールを除去した。得られた混合物にトルエンを加え、加熱し溶解させた後、得られた溶液をそのまま5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過により取り出し、乾燥させることにより、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンの白色結晶41g(収率82.8%、HPLC純度99.0%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例2】
【0032】
攪拌機、窒素吹込管、温度計およびT字管を付けたガラス製反応器に、シクロドデカノン23.7g(0.13モル)、2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)および触媒としてリンタングステン酸[(HPW1240)・nHO]0.6gを加え、温度を70℃に保ちながら反応により生成する水を減圧下1.3×10Paで系外に除去しながら20時間攪拌した。得られた反応混合物にトルエンを加え、得られたトルエン混合物を70℃に調整し、水を加え水酸化ナトリウムで中和後し、水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰の2−メチルフェノールを除去した。得られた混合物にトルエンを加え、加熱し溶解させた後、得られた溶液をそのまま5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過により取り出し、乾燥させることにより、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンの白色結晶32g(収率64.7、HPLC純度98.4%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例3】
【0033】
攪拌機、窒素吹込管、温度計およびT字管を付けたガラス製反応器に、シクロドデカノン23.7g(0.13モル)、フェノール159.05g(1.69モル)および触媒としてリンタングステン酸[(HPW1240)・nHO]0.6g、n-ドデシルメルカプタン2.63g(0.013モル)を加え、温度を70℃に保ちながら反応により生成する水を減圧下1.3×10Paで系外に除去しながら8時間攪拌した。得られた反応混合物にトルエンを加え、得られたトルエン混合物を70℃に調整し、水を加え水酸化ナトリウムで中和後し、水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰のフェノールを除去した。得られた混合物にトルエンを加え、加熱し溶解させた後、得られた溶液をそのまま5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過により取り出し、乾燥させることにより、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンの白色結晶37.6g(収率82.0%、HPLC純度99.6%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例4】
【0034】
攪拌機、窒素吹込管、温度計およびT字管を付けたガラス製反応器に、シクロドデカノン23.7g(0.13モル)、2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)および触媒としてリンタングステン酸[(HPW1240)・nHO]0.6g、n-デシルメルカプタン2.27g(0.013モル)を加え、温度を70℃に保ちながら反応により生成する水を減圧下1.3×10Paで系外に除去しながら8時間攪拌した。得られた反応混合物にトルエンを加え、得られたトルエン混合物を70℃に調整し、水を加え水酸化ナトリウムで中和後、水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰のo-クレゾールを除去した。得られた混合物にトルエンを加え、加熱し溶解させた後、得られた溶液をそのまま5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過により取り出し、乾燥させることにより、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンの白色結晶41g(収率82.9%、HPLC純度98.9%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例5】
【0035】
攪拌機、窒素吹込管、温度計およびT字管を付けたガラス製反応器に、シクロドデカノン23.7g(0.13モル)、2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)および触媒としてリンモリブデン酸[(HPMo1240)・nHO]7.5g、n-ドデシルメルカプタン2.63g(0.013モル)を加え、温度を70℃に保ちながら反応により生成する水を減圧下1.3×10Paで系外に除去しながら8時間攪拌した。得られた反応混合物にトルエンを加え、得られたトルエン混合物を70℃に調整し、水を加え水酸化ナトリウムで中和後し、水で洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰の2−メチルフェノールを除去した。得られた混合物にトルエンを加え、加熱し溶解させた後、得られた溶液をそのまま5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過により取り出し、乾燥させることにより、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンの白色結晶39.6g(収率80.0%、HPLC純度99.1%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例6】
【0036】
攪拌機、窒素吹込管、温度計およびT字管を付けたガラス製反応器に、シクロドデカノン23.7g(0.13モル)、2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)および触媒としてケイタングステン酸[(HSiW1240)・nHO]0.6g、n-ドデシルメルカプタン2.63g(0.013モル)を加え、温度を70℃に保ちながら反応により生成する水を減圧下1.3×10Paで系外に除去しながら8時間攪拌した。得られた反応混合物にトルエン133gを加え、得られたトルエン混合物を70℃に調整し、水を加え水酸化ナトリウムで中和後し、水で3回洗浄した。得られた有機層を減圧濃縮することにより、トルエンおよび過剰の2−メチルフェノールを除去した。得られた混合物にトルエンを加え、加熱し溶解させた後、得られた溶液をそのまま5℃まで冷却した。析出した結晶を濾過により取り出し、乾燥させることにより、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンの白色結晶40.5g(収率81.9%、HPLC純度99.5%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例7】
【0037】
実施例1におけるシクロドデカノン23.7g(0.13モル)をシクロオクタノン16.4g(0.13モル)に代える以外は、実施例1と同様の操作を行い、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロオクタンの白色結晶34g(収率80.6%、HPLC純度99.2%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例8】
【0038】
実施例1におけるシクロドデカノン23.7g(0.13モル)をシクロデカノン20.1g(0.13モル)に代える以外は、実施例1と同様の操作を行い、1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロデカンの白色結晶37.3g(収率81.2%、HPLC純度98.8%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例9】
【0039】
実施例1における2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)をフェノキシエタノール233.5g(1.69モル)に代える以外は、実施例1と同様の操作を行い、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル)シクロドデカンの白色結晶43g(収率75.1%、HPLC純度97.4%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例10】
【0040】
実施例7における2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)をフェノール159.05g(1.69モル)に代える以外は、実施例7と同様の操作を行い、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカンの白色結晶34g(収率80.6%、HPLC純度98.8%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例11】
【0041】
実施例7における2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)をフェノキシエタノール233.49g(1.69モル)に代える以外は、実施例7と同様の操作を行い、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル)シクロデカンの白色結晶42g(収率78.1%、HPLC純度98.1%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例12】
【0042】
実施例6における2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)をフェノール159.05g(1.69モル)に代える以外は、実施例6と同様の操作を行い、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタンの白色結晶32g(収率83.1%、HPLC純度98.4%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例13】
【0043】
実施例6における2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)をフェノキシエタノール233.49g(1.69モル)に代える以外は、実施例6と同様の操作を行い、1, 1−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシフェニル)シクロオクタンの白色結晶36g(収率72.0%、HPLC純度98.3%)を得た。得られた結晶中のイオウ分は10ppm未満であった。
【実施例14】
【0044】
実施例6における2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)を2−メチルフェノール91.4g(0.84モル)とフェノール79.1g(0.84モル)の混合物に代える以外は、実施例6と同様の操作を行い、1, 1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1, 1−ビス(4−(3−メチルフェニル)シクロオクタンおよび1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−(3−メチルフェニル)シクロオクタンの混合物34g(収率84.3%、HPLC純度98.3%)を得た。得られた混合物中のイオウ分は10ppm未満であった。
【0045】
(比較例1)
攪拌機、窒素吹込管、温度計およびT字管を付けたガラス製反応器に、シクロドデカノン23.7g(0.13モル)、2−メチルフェノール182.76g(1.69モル)および触媒として98%硫酸を加え、温度を70℃に保ちながら反応により生成する水を減圧下1.3×10Paで系外に除去しながら5時間攪拌した。得られた反応混合物について分析したところ1, 1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカノンは生成していなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロポリ酸触媒の存在下、式(1)
【化1】

(式中、nは1〜10の整数を示す。)
で表される環状ケトン類と式(2)
【化2】

(式中、Rはアルキレン基、Rはアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はハロゲンを示す。mは0又は1以上の整数を示し、kは0又は1〜4の整数を示す。)
で表される化合物を反応させることを特徴とする、式(3)
【化3】

(式中、nは1〜10の整数を示し、R2aおよびR2bはアルキレン基を示し、R1aおよびR1bはアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はハロゲンを示す。k1およびk2は0又は1〜4の整数を示し、同一もしくは異なっていてもよい。m1およびm2は0又は1以上の整数を示し、同一もしくは異なっていてもよい。)で表される環状炭化水素誘導体の製造方法。
【請求項2】
助触媒としてチオール類を添加することを特徴とする請求項1記載の環状炭化水素誘導体の製造方法。
【請求項3】
式(1)で表される環状ケトン類がシクロオクタノン、シクロデカノン、シクロドデカノンから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
式(2)で表される化合物がフェノール、2−メチルフェノール、フェノキシエタノールから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3記載の環状炭化水素誘導体の製造方法。
【請求項5】
式(1)がシクロドデカノンであり、式(2)が2−メチルフェノールである請求項1〜2記載の1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカンの製造方法。
【請求項6】
ヘテロポリ酸が、構成元素として次の(A)および(B)の元素を含むことを特徴とする請求項1〜5記載の製造方法。
(A)リンまたはケイ素
(B)バナジウム、モリブデンまたはタングステンから選ばれた少なくとも1種

【公開番号】特開2010−248164(P2010−248164A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114865(P2009−114865)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000216243)田岡化学工業株式会社 (115)
【Fターム(参考)】