説明

環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法

【課題】C1とC2との間のA−Pinstabilityを制動すると共に、術後の頚椎回旋可動域低下によるQOLの低下を避けることができ環軸関節に要求される動きである側屈、伸展、屈曲、回旋及びカップリングモーションに対応することが可能な環軸椎制動装置及び当該装置の装着方法を提供する。
【解決手段】C1プレート10の形状とC2プレート20の形状とを揃わせ両プレートを対面させた状態とし、C1プレート10の中空部16側からC2プレート20の各中空部24R及び24L側へポスト2R及び2Lを各々ナット4R及び4Lを介して捩じ込む。ポスト2L及び2Rは摺動面14(インサート部)に接して可動な状態でありC1プレート10との間に自由度がある。組み立てられた環軸椎制動装置1をC1及びC2に挿入された、ロッド36a及び36cがはめ込まれていない左右のVertex(登録商標)screw system二対に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの脊椎は大きく分けて頚椎、胸椎および腰椎から形成されており、この内の頚椎は第1頚椎から第7頚椎までの7個の骨からなる首の骨である。図8は頚椎モデル(モデルボーン)の正面図であり、頚椎の側屈の動きを示す。図8において、図上左側が右肩側であり右側が左肩側である。図8で符号51は第1頚椎(環椎、以下「C1」と呼ぶ。)、52は第2頚椎(環椎、以下「C2」と呼ぶ。)、57は第7頚椎である。第2頚椎52と第7頚椎57との間には第3頚椎から第6頚椎が示されているが符号付けは省略する。図8に示されるように、矢印Rlfは首を右へ傾ける右側屈の動きを示し、矢印Llfは首を左へ傾ける左側屈の動きを示す。
【0003】
図9は頚椎モデルの右側面図であり、頚椎の伸展および屈曲の動きを示す。図9において、図上左側が後側(背側)であり右側が前側(顔面側)である。図9で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図9に示されるように、矢印Extは上を向く方向へ首を傾ける伸展の動きを示し、矢印Bendは下を向く方向へ首を傾ける屈曲の動きを示す。
【0004】
図10は頚椎モデルの背面側から見た上面図であり、頚椎の回旋の動きを示す。図10において、図10上左側が左肩側であり右側が右肩側であり、上側が前側(顔面側)であり下側が後側(背側)である。図10で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図10に示されるように、矢印Lrotは首を左へ回転させる左回旋の動きを示し、矢印Rrotは首を右へ回転させる右回旋の動きを示す。C1(51)とC2(52)とがなす環軸椎または環軸関節は、図10に示されるように頚椎回旋角度の約半分を分担しており、頚椎の中でも最も可動域の大きい関節である。図8から図10に示される頚椎の側屈、伸展、屈曲および回旋等の組み合わせによる動きをカップリングモーション(coupling motion)と言う。実際のヒトの頚椎において、例えば首を回旋する際にC1が軽度伸展と側屈しながら回旋しているという研究報告が多く提唱されている(非特許文献1参照)。
【0005】
図11はC1とC2との結合を示すために両頚椎モデルのみを取り出した図である。図11で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図11(A)は両頚椎モデルの正面図であり、図上左側が右肩側であり右側が左肩側である。図11(B)は両頚椎モデルの左側面図であり、図上左側が前側(顔面側)であり右側が後側(背側)である。図11(C)は両頚椎モデルの背面図であり、図上左側が左肩側であり右側が右肩側であり、上側が前側(顔面側)であり下側が後側(背側)である。
【0006】
正常なC1およびC2では関節および靭帯の機能があるため、C1およびC2が前後方向(顔面側−背側)にずれることはない。しかし、C1、C2の外傷(骨折、脱臼等)および炎症(リウマチ等)などが起こった場合、C1とC2との間にある関節自体が安定せず(機能せず)、疼痛や腫脹が起こり、正常な可動性(側屈、伸展、屈曲、回旋)を失ってしまうという関節機能の破綻が起きることがある。図12はC1およびC2の関節機能の破綻の一種を説明するための両頚椎モデルの左側面図である。図12は図11(B)と同様の両頚椎モデルの左側面図であり、図上左側が前側(顔面側)であり右側が後側(背側)である。図12で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図12に示される関節機能の破綻は、本来、動いてはいけない方向への動きである、C2に対してC1が前方または後方へ移動する状態の破綻である。図12における矢印はC1とC2との間の前後方向のずれ(すべり)という現象である前後方向の不安定性(Antero-Posterior instability : A−Pinstability)を示す。図13は、A−Pinstabilityを説明するための模式図であり、符号60は脊髄を示す。図13で図8と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図13において、環軸椎C1(51)およびC2(52)が正常な場合は首を屈曲、伸展、側屈、回旋しても脊髄60を圧迫することはない。しかし、図13の矢印に示されるようなA−Pinstability(前方および後方への動き)が生じると、脊髄障害を発生させることとなる。より詳しくは、図13に示されるように、C1(51)が前側へずれると、脊髄60が存在している脊柱管P1部分の狭窄が起こり、脊髄60はC1(51)に圧迫されるため、いわゆる脊髄損傷をもたらし、呼吸筋麻痺や四肢麻痺となる。従って、A−Pinstabilityがあることは致命傷となる。
【0007】
上述した関節機能の破綻が生じた場合、従来、隣接したC1およびC2を固定する手術である関節固定術(非特許文献2参照)が行われてきた。図14は関節固定術に用いられるVertex(登録商標)screw system(メドトロニックソファモアダネック株式会社製。「メドトロニック」は登録商標。)を示す。図14では図面の都合上、引き出し線が図面中の写真内では白色に表示され、写真外では黒色で表示されている(以下、他の図面でも同様の場合がある。)。図14(A)に示されるVertex(登録商標)screw system一対は、スクリュー34aおよびスクリュー34aを可動的に保持する保持部30aと、スクリュー34bおよびスクリュー34bを可動的に保持する保持部30bと、保持部30aと30bとを貫通する心棒状のロッド36aとから構成されている。図14(B)はVertex(登録商標)screw system一対の部品を示す。図14(B)で図14(A)と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図14(B)において、符号32aはスクリュー34aと保持部30aとを固定するネジ、32bはスクリュー34bと保持部30bとを固定するネジである。ネジ32a等は図14(A)に示される保持部30a等の右側(スクリュー34a側の反対側)から締めて固定する。図14(B)ではロッド36aおよび36cが示されているが、これは撮影の都合によるものであってVertex(登録商標)screw system一対にはロッド36aまたは36cのいずれか1本があればよい。図14(C)はネジ32aまたは32bの拡大図であり、後述するようにネジ3a等は六角レンチで締めるようになっている。
【0008】
次に、Vertex(登録商標)screw system一対の組み立て方等を説明する。図15(A)ないし(F)はVertex(登録商標)screw system一対の組み立て手順等を示す。図15(A)ないし(F)で図14と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図15(A)ないし(F)で示される組み立て手順は本来の手術における組み立て手順とは異なるところがあるが、これは後述する本願発明の環軸椎制動装置の理解を容易にするためである。図15(A)に示されるように、スクリュー34aの保持部30a側はボール状になっているため、スクリュー34aと保持部30aとは図の矢印で示されるように自由に可動するようになっている。まず、通常の手技通り、保持部30aと可動的に固定されたスクリュー34a等4本をC1およびC2に2本ずつ挿入する。図15(B)以降の図では、便宜上スクリュー34a等は指で支えられているが、実際にはスクリュー34a等は例えばC1に挿入されている。図15(B)に示されるように、C1等に挿入されたスクリュー34aと可動的に固定された保持部30aには、スクリュー34a側とは反対側に溝38aがある。続いて、図15(C)に示されるように、保持部30aの溝38aにロッド36aをはめ込む。その後、図15(D)に示されるように、ロッド36aがはめ込まれた保持部30aにネジ32aをはめ込む。図15(E)に示されるように、六角レンチ40を用いてロッド36aがはめ込まれた保持部30aにネジ32aを捩じ込む。ネジ32aを保持部30aに締めこむと、スクリュー34aと保持部30aとの間は全く動かなくなり、スクリュー34aと保持部30aとが固定される。最後に図15(F)に示されるように、C2に挿入されたスクリュー34bと可動的に固定された保持部30bに、図15(C)から15(E)と同様にしてロッド36aをはめ込み、ネジ32bを捩じ込み、スクリュー34bと保持部30bとを固定する。この結果、図15(F)のP2およびP3で示される部分は全く動かなくなる。
【0009】
図16は、Vertex(登録商標)screw system二対をC1およびC2の両頚椎モデルに取り付けた状態を示す。図16で図8および図15(F)と同じ符号を付した箇所は同じ部分を示すため、説明は省略する。図16(A)は両頚椎モデルの後方図であり、図上左側が左肩側であり右側が右肩側であり、下側が後側(背側)である。図16(B)は両頚椎モデルの左側面図であり、図上左側が前側(顔面側)であり右側が後側(背側)である。図16で、符号30c、30dは保持部、36cは保持部30cおよび30dの溝(不図示)にはめ込まれたロッド、45はVertex(登録商標)screw system二対を両頚椎モデルに取り付けるために用いられるセメントである。図16(A)に示されるように、一対のVertex(登録商標)screw system(保持部30a、ロッド36aおよび保持部30b)がC1とC2との間の右側に取り付けられ、他の一対のVertex(登録商標)screw system(保持部30c、ロッド36cおよび保持部30c)がC1とC2との間の左側に取り付けられている。上述のように、二対のVertex(登録商標)screw systemは各々ネジ32aおよび32b、ネジ32cおよび32dにより固定されているため、全く動かなくなる。
【0010】
【非特許文献1】Ishii T, Mukai Y, Hosono N, et al. Kinematics of the Upper Cervical Spine in Rotation.In Vivo Three-Dimensional Analysis. Spine, Volume 29, Number 7, pp. E139-144,2004, Lippincott Williams & Wilkins, Inc.
【非特許文献2】Harms J, Melcher R. Posterior C1-C2 Fusion With Polyaxial Screw and Rod Fixation.Spine, Volume 26, Number 22, pp. 2467-2471, 2001, Lippincott Williams &Wilkins, Inc.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した関節固定術によりC1とC2との間は固定されるため、A−Pinstabilityは生じないようになる。しかし、その代償としてC1とC2との間は回旋不可能となる(勿論、屈曲、伸展および側屈も不可能となる。)。具体的には、顔が正面を向いた状態を回旋0°とすると、C1とC2との間は左右に回旋0°となる。上述したように頚椎は第7頚椎57まであり、第2頚椎52〜第7頚椎57も軽度ではあるが回旋する。しかし、C1とC2との間で首の回旋の約50%を担っているため、もし左右にそれぞれ80°回旋できる人が従来の関節固定術を行った場合、左右にそれぞれ40°しか回旋できなくなる。特に、術後患者から車両運転時に後方確認がしづらいという訴えが多い。このため、術後の頚椎回旋可動域低下による生活の質(Quality of Life : QOL)の低下が避けられないという問題があった。
【0012】
上述の問題を解決するために、C1とC2との間が回旋可能な装置を考案するという方法がある。しかし、上述したようにヒトが首を回旋する際にはC1が軽度伸展と側屈しながら回旋しているという研究報告が多く提唱されている。このため、単にC1とC2との間が回旋可能なだけの装置では、カップリングモーションに対応することができず、結果として無理な回旋運動になり、当該装置破損および骨折の原因となるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになされたものであり、C1とC2との間のA−Pinstabilityを制動すると共に、術後の頚椎回旋可動域低下によるQOLの低下を避けることが可能な環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第2の目的は、C1とC2との間のA−Pinstabilityを制動すると共に、環軸関節に要求される動きの特徴である側屈、伸展、屈曲、回旋、およびそれらの組み合わせによるカップリングモーションに対応することが可能な環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明の環軸椎制動装置は、第1頚椎背面側に適合する形状を有する上部プレートであって、中空部及び左右端部を有するものと、第2頚椎背面側に適合する形状を有する下部プレートであって、2つの中空部及び左右端部を有するものと、2組のポスト及びナットとを備えた環軸椎制動装置であって、前記上部プレートの形状と前記下部プレートの形状とが揃い両プレートを対面させた状態で、該上部プレートの中空部側から該下部プレートの各中空部側へ2つの前記ポストが各々前記ナットを介して捩じ込まれており、前記上部プレートの左右端部は第1頚椎背面側に挿入された左右の保持部と各々固定され、前記下部プレートの左右端部は第2頚椎背面側に挿入された左右の保持部と各々固定されたことを特徴とする。
【0016】
ここで、この発明の環軸椎制動装置において、前記上部プレート及び前記下部プレートはチタン合金製とすることができる。
【0017】
ここで、この発明の環軸椎制動装置において、前記上部プレートと中空部は超高分子ポリエチレン製の摺動面で覆われたものとすることができる。
【0018】
ここで、この発明の環軸椎制動装置において、前記上部プレート及び下部プレートは各々第1頚椎、第2頚椎の個体差に対応した複数のサイズを有することができる。
【0019】
ここで、この発明の環軸椎制動装置において、前記ポストは第1頚椎、第2頚椎の個体差に対応した複数のサイズを有することができる。
【0020】
この発明の環軸椎制動装置の装着方法は、第1頚椎背面側に適合する形状を有する上部プレートであって中空部及び左右端部を有するものと、第2頚椎背面側に適合する形状を有する下部プレートであって2つの中空部及び左右端部を有するものと、2組のポスト及びナットとを備えた環軸椎制動装置の装着方法であって、該環軸椎制動装置は、該上部プレートの形状と該下部プレートの形状とが揃い両プレートを対面させた状態で、該上部プレートの中空部側から該下部プレートの各中空部側へ2つの該ポストが各々該ナットを介して捩じ込まれており、前記上部プレートの左端部と第1頚椎背面側に挿入された左の保持部とを連結する左上連結ステップ、前記上部プレートの右端部と第1頚椎背面側に挿入された右の保持部とを連結する右上連結ステップ、前記下部プレートの左端部と第2頚椎背面側に挿入された左の保持部とを連結する左下連結ステップ、前記下部プレートの右端部と第2頚椎背面側に挿入された右の保持部とを連結する右下連結ステップの4つの連結ステップを任意の順に行うことを特徴とする。
【0021】
ここで、この発明の環軸椎制動装置の装着方法において、前記上部プレートの連結後であって且つ前記下部プレートの連結前、又は前記下部プレートの連結後であって且つ前記上部プレートの連結前に、前記ポストの長さを調節する調節ステップをさらに備えることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法によれば、C1プレートの形状とC2プレートの形状とを揃わせ両プレートを対面させた状態とし、C1プレートの中空部側からC2プレートの2つの各中空部側へ、2つのポストを2つの各ナットを介して捩じ込む。摺動面は2本のポストをC1プレートへ挿入するインサート部であり、2本のポストはこの摺動面に接して可動な状態となっている。以上のようにして、各部品(C1プレート、C2プレート、2つのポスト、2つのナット)から環軸椎制動装置を組み立てることができる。
【0023】
上述のように組み立てられた環軸椎制動装置をC1およびC2に挿入された左右のVertex(登録商標)screw system二対に装着することにより、C1とC2との間は固定されるため、A−Pinstabilityは生じない。一方、左右のVertex(登録商標)screw system二対にはロッドがはめ込まれていないため、C1プレートは2本のポストと摺動面で接しながら左右に回旋することが可能である。この結果、C1とC2との間のA−Pinstabilityを制動すると共に、術後の頚椎回旋可動域低下によるQOLの低下を避けることが可能な環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法を提供することができるという効果がある。
【0024】
上述のように組み立てられた環軸椎制動装置は、左右の回旋だけではなく、屈曲、伸展および側屈もできるようにC1プレートと2本のポストとの間(厳密にはポリエチレン製のインサート部と2本のポストとの間)に自由度を持たせている。このため、C1とC2との間のA−Pinstabilityを制動すると共に、環軸関節に要求される動きの特徴である側屈、伸展、屈曲、回旋、およびそれらの組み合わせによるカップリングモーションに対応することが可能な環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法を提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の実施例1における環軸椎制動装置1の斜視図である。図1に示されるように、環軸椎制動装置1は背景技術で説明したVertex(登録商標)screw system二対に装着して用いられる。図1に示されるVertex(登録商標)screw system二対の構成要素(図1で右側一対が保持部30a、スクリュー34a、ネジ32a、保持部30b、スクリュー34b、ネジ32b、左側一対が保持部30c、スクリュー34c、ネジ32c、保持部30d、スクリュー34d(不図示)、ネジ32d)に関する説明は背景技術で行った説明と同様であるため省略する。以下では、まず環軸椎制動装置1の構造および部品等について説明し、次に環軸椎制動装置1のVertex(登録商標)screw systemへの装着方法について説明する。
【0027】
図1において、符号10はC1の背面側に適合するような例えば弓状の形状を有する上部プレート(以下、「C1プレート」と言う。)であって、その内側には同様の形状を有する中空部16が設けられている。C1プレート10の図1上の右側にはC1プレート10から右側へ伸びた右端部12Rが形成され、左側にはC1プレート10から左側へ伸びた左端部12Lが形成されている。続いて図1において、符号20はC2の背面側に適合するような例えば弓状の形状を有する下部プレート(以下、「C2プレート」と言う。)であって、円形状の2つの中空部24Rおよび24L(いずれも不図示)が設けられている。C2プレート20の図1上の右側にはC2プレート20から右側へ伸びた右端部22Rが形成され、左側にはC2プレート20から左側へ伸びた左端部22Lが形成されている。C1プレート10およびC2プレート20は、生体内材料に用いられているチタン合金を使用した。例えば、生体内インプラントに用いられているチタン合金金属元素(チタン90%、アルミニウム6%、バナジウム4%。いずれも重量%)とすればよい。これは、チタンの性質上、非常に生体の適合性がよく、アレルギー反応も(他の金属に比べて)少ないためである。
【0028】
図1において、符号14はC1プレート10と中空部16とを覆う摺動面であり、人工関節で実際に臨床応用されている超高分子ポリエチレンを使用した。図1に示されるようにC1プレート10の形状とC2プレート20の形状とを揃わせ両プレート10および20を対面させた状態とし、C1プレート10の中空部16側からC2プレート20の各中空部24Rおよび24L側へ、2つのポスト2Rおよび2Lを各々ナット4Rおよび4Lを介して捩じ込む。C2プレート20の各中空部24Rおよび24Lは、各々ポスト2Rおよび2Lを捩じ込むための穴となっている。摺動面14は2本のポスト2Lおよび2RをC1プレート10へ挿入するインサート部であり、2本のポスト2Lおよび2Rはこの摺動面14に接して可動な状態となっている。ポスト2Lおよび2R、ナット4Lおよび4Rの材質は、C1プレート10等と同様に生体内材料として用いられているチタン合金を使用した。
【0029】
図1に示されるように、C1プレート10の左右端部12Lおよび12Rは、C1の背面側に挿入された左右のVertex(登録商標)screw system二対における上側の構成要素(図1上で左側は保持部30c、右側は保持部30a)と各々固定されている。C2プレート20の左右端部22Lおよび22Rは、C2の背面側に挿入された左右のVertex(登録商標)screw system二対における下側の構成要素(図1上で左側は保持部30d、右側は保持部30b)と各々固定されている。背景技術で説明した図16では、一対のVertex(登録商標)screw system(保持部30a、ロッド36aおよび保持部30b)がC1とC2との間の右側に取り付けられ、他の一対のVertex(登録商標)screw system(保持部30c、ロッド36cおよび保持部30c)がC1とC2との間の左側に取り付けられていた。しかし、図1では左右のVertex(登録商標)screw system二対には背景技術で説明したロッド36aおよび36がはめ込まれていない。このため、C1プレート10は2本のポスト2Lおよび2Rと摺動面14で接しながら左右に回旋することが可能である。環軸椎制動装置1は、左右の回旋だけではなく、屈曲、伸展および側屈もできるようにC1プレート10と2本のポスト2Lおよび2Rとの間(厳密にはポリエチレン製のインサート部と2本のポスト2Lおよび2Rとの間)に自由度を持たせている。これにより、背景技術で述べた実際のC1とC2との間のカップリングモーションに対応することができる。
【0030】
図2は、環軸椎制動装置1の部品を示す。図2で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図2において、背景技術の図14と同様に図面の都合上、引き出し線が図面中の写真内では白色に表示され、写真外では黒色で表示されている(以下、本発明の他の図面でも同様の場合がある。)。図2では、C1プレート10の弓状の形状および中空部16の弓状の形状が明瞭に示されており、さらにC2プレート20が有する円形状の2つの中空部24Rおよび24Lが明瞭に示されている。ポスト2Rおよび2Lのネジ溝も明瞭に示されている。図2に示されるC1プレート10の中空部16側から2つのポスト2Rおよび2Lを挿入し、各々ナット4Rおよび4Lを介してC2プレート20の各中空部24Rおよび24L側へ捩じ込む。以上のようにして、図2で示される各部品(C1プレート10、C2プレート20、ポスト2Rおよび2L、ナット4Rおよび4L)から環軸椎制動装置1を組み立てることができる。中空部24Rおよび24LのC2プレート20内における位置は、左右への所望の回旋角度に応じて適宜選択することができる。図2ではC1プレート10およびC2プレート20は一種類のサイズのみ示しているが、C1プレート10およびC2プレート20は各々C1、C2の個体差に対応した複数のサイズ、例えば大小の2種類のサイズを備えるようにすることができる。同様に、ポスト2Rおよび2Lは各々C1、C2の個体差に対応した複数の長さのサイズ、例えば大中小の3種類のサイズを備えるようにすることができる。
【0031】
図3は、環軸椎制動装置1の設計図を示す。図3で図1および図8と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図3(A)は環軸椎制動装置1の平面図(上面図)であり、C1プレート10の摺動面14と2本のポスト2Lおよび2Rとの接し具合が明瞭に示されている。図3(B)は環軸椎制動装置1の底面図であり、図1では示されなかったスクリュー34dが明瞭に示されている。図3(C)は環軸椎制動装置1の左側面図であり、C1プレート10、ポスト2L、ナット4LおよびC2プレート20に関しては図3(A)のX−X’線断面図的に示されている。ポスト2LがC1プレート10から挿入されナット4Lを介してC2プレート20へ捩じ込まれている状態が明瞭に示されている。図3(D)は環軸椎制動装置1の正面図であり、簡略のため保持部30a等は省略されている。図3(E)はポスト2Rおよび2Lの側面図、ナット4Rおよび4Lの側面図および平面図である。
【0032】
次に、環軸椎制動装置1のVertex(登録商標)screw systemへの装着方法について説明する。図4は、環軸椎制動装置1のVertex(登録商標)screw systemへの装着方法を示す。図4で図1と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図4(A)に示されるように、まず環軸椎制動装置1を組み立てる。この際、C1プレート10およびC2プレート20のサイズ、ポスト2Rおよび2Lの長さを患者の頚椎の大きさに合わせて決定しておく。通常の手技通り、保持部30cと可動的に固定されたスクリュー34c等4本をC1およびC2に2本ずつ挿入する。図4(B)以降の図では、便宜上スクリュー34c等は指で支えられているが、実際にはスクリュー34c等は例えばC1に挿入されている。図4(B)に示されるように、保持部30cはその溝38cが水平になるように横方向にしておく。図4(C)に示されるように、保持部30cの溝38cにC1プレート10の左端部12Lをはめ込む。ここで、C1プレート10とC2プレート20との間の幅が患者のC1とC2との間の幅に合わない場合、ポスト2Rおよび2Lの長さをナット4Rおよび4Lを介したC2プレート20側への捩じ込み具合の調節により適宜変更すればよい。続いて、図4(D)に示されるようにネジ32cを溝38cへはめ込み、六角レンチ40を用いてネジ32cを保持部30cへ捩じ込む。図4(E)に示されるように、図4(B)から4(D)と同様にして、保持部30dの溝38dにC2プレート20の左端部22Lをはめ込み、ネジ32dを溝38dへはめ込んで、六角レンチ40を用いネジ32dを保持部30dへ捩じ込む。背景技術では図15(F)等に示されるように、保持部30aの溝38aと保持部30bの溝38bとはロッド36aにより両保持部を繋ぐために用いられた。一方、環軸椎制動装置1では保持部30cの溝38cと保持部30dの溝38dとは、各々C1プレート10の左端部12L、C2プレート20の左端部22Lと連結するために用いられる。C1プレート10の右端部12Rと保持部30aとの連結およびC2プレート20の右端部22Rと保持部30bとの連結も図4(B)から4(E)と同様に行う。以上により、C1およびC2に左右2本ずつ挿入されたVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ環軸椎制動装置1を装着することができる。装着した状態は図1に示した通りになる。
【0033】
上述の装着方法ではC1プレート10の左端部12Lと保持部30cとを連結し、C2プレート20の左端部22Lと保持部30dとを連結してから、C1プレート10の右端部12Rと保持部30aとを連結し、C2プレート20の右端部22Rと保持部30bとを連結した。即ち図1を参照すれば、C1プレート10の左端部12LとC1の背面側に挿入された左の保持部30cとを連結し(左上連結ステップ)、C2プレート20の左端部22LとC2の背面側に挿入された左の保持部30dとを連結し(左下連結ステップ)、C1プレート10の右端部12RとC1の背面側に挿入された右の保持部30aとを連結し(右上連結ステップ)、C2プレート20の右端部22RとC2の背面側に挿入された右の保持部30bとを連結する(右下連結ステップ)という順に連結を行った。しかし、これは一例であって、上記4つの連結ステップは任意の順に行うことができる。詳しくは、各連結ステップの順列となる4!=24通りの順に連結を行うことができる。但し、上述したC1プレート10とC2プレート20との間の幅が患者のC1とC2との間の幅に合わない場合のポスト2Rおよび2Lの長さの調整は、C1プレート10の連結後であって且つC2プレート20の連結前、またはC2プレート20の連結後であって且つC1プレート10の連結前に行う必要がある。
【0034】
図5(A)は、環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の背面図(後面図)を示す。図5(A)上で左側が左肩側であり右側が右肩側である。図5(B)は、環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の正面図(前面図)を示す。図5(B)上で左側が右肩側であり右側が左肩側であり、手前が前側(顔面側)である。図5(C)は、環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の左側面図を示す。図5(C)上で左側が前側(顔面側)であり右側が後側(背側)である。図5(D)は環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の平面図(上面図)を示す。図5(D)上で左側が左肩側であり右側が右肩側である。図5(D)は図3(A)の設計図に相当する実物図である。図5(E)は環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の底面図(下面図)を示す。図5(E)上で左側が右肩側であり右側が左肩側である。図5(E)は図3(B)の設計図に相当する実物図である。図5(A)ないし(E)で図1および図2と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。
【0035】
図6(A)は、頚椎モデルボーン(C1(51)およびC2(52))に環軸椎制動装置1を装着し、左回旋を行った時の状態を示す。図6で図1、図8および図16と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図6(B)は、同じ左回旋を行った時における環軸椎制動装置1の状態を頚椎モデルボーン(C1(51)およびC2(52))とセメント45とを取り除いた形で示す。図6(B)において符号34bは図面中の写真の都合により白字で示してある。図6(A)および(B)に示されるように、C1およびC2に挿入された左右のVertex(登録商標)screw system二対に環軸椎制動装置1を装着することにより、C1とC2との間は固定されるため、A−Pinstabilityは生じないようになっている。一方、左右のVertex(登録商標)screw system二対には背景技術で説明したロッド36aおよび36cがはめ込まれていない。このため、C1プレート10は2本のポスト2Lおよび2Rと摺動面14で接しながら左に回旋することが可能である。
【0036】
図7(A)は、頚椎モデルボーン(C1(51)およびC2(52))に環軸椎制動装置1を装着し、右回旋を行った時の状態を示す。図7で図1、図8および図16と同じ符号を付した箇所は同じ要素を示すため、説明は省略する。図7(B)は、同じ右回旋を行った時における環軸椎制動装置1の状態を頚椎モデルボーン(C1(51)およびC2(52))とセメント45とを取り除いた形で示す。図7(B)において符号34dは図面中の写真の都合により白字で示してある。図7(A)および(B)に示されるように、C1およびC2に挿入された左右のVertex(登録商標)screw system二対に環軸椎制動装置1を装着することにより、C1とC2との間は固定されるため、A−Pinstabilityは生じないようになっている。一方、左右のVertex(登録商標)screw system二対には背景技術で説明したロッド36aおよび36cがはめ込まれていない。このため、C1プレート10は2本のポスト2Lおよび2Rと摺動面14で接しながら右に回旋することが可能である。
【0037】
上述した頚椎モデルボーンを使用して、実験数(=N)が4体の頚椎モデルボーン実験を行った。この結果、C1プレート10の平均回旋角度は、顔が正面を向いた状態を回旋0°として、左右約20°となった。C1プレート10の最大回旋角度は左右約28°となった。
【0038】
以上より、本発明の実施例1によれば、C1プレート10の形状とC2プレート20の形状とを揃わせ両プレート10および20を対面させた状態とし、C1プレート10の中空部16側からC2プレート20の各中空部24Rおよび24L側へ、2つのポスト2Rおよび2Lを各々ナット4Rおよび4Lを介して捩じ込む。摺動面14は2本のポスト2Lおよび2RをC1プレート10へ挿入するインサート部であり、2本のポスト2Lおよび2Rはこの摺動面14に接して可動な状態となっている。以上のようにして、各部品(C1プレート10、C2プレート20、ポスト2Rおよび2L、ナット4Rおよび4L)から環軸椎制動装置1を組み立てることができる。
【0039】
上述のように組み立てられた環軸椎制動装置1をC1およびC2に挿入された左右のVertex(登録商標)screw system二対に装着することにより、C1とC2との間は固定されるため、A−Pinstabilityは生じない。一方、左右のVertex(登録商標)screw system二対には背景技術で説明したロッド36aおよび36cがはめ込まれていないため、C1プレート10は2本のポスト2Lおよび2Rと摺動面14で接しながら左右に回旋することが可能である。この結果、C1とC2との間のA−Pinstabilityを制動すると共に、術後の頚椎回旋可動域低下によるQOLの低下を避けることが可能な環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法を提供することができる。
【0040】
上述のように組み立てられた環軸椎制動装置1は、左右の回旋だけではなく、屈曲、伸展および側屈もできるようにC1プレート10と2本のポスト2Lおよび2Rとの間(厳密にはポリエチレン製のインサート部と2本のポスト2Lおよび2Rとの間)に自由度を持たせている。このため、C1とC2との間のA−Pinstabilityを制動すると共に、環軸関節に要求される動きの特徴である側屈、伸展、屈曲、回旋、およびそれらの組み合わせによるカップリングモーションに対応することが可能な環軸椎制動装置および環軸椎制動装置の装着方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の活用例として、C1およびC2を固定する手術である関節固定術に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例1における環軸椎制動装置1の斜視図である。
【図2】環軸椎制動装置1の部品を示す図である。
【図3】環軸椎制動装置1の設計図である。
【図4】環軸椎制動装置1のVertex(登録商標)screw systemへの装着方法を示す図である。
【図5(A)】環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の背面図(後面図)である。
【図5(B)】環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の正面図(前面図)である。
【図5(C)】環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の左側面図である。
【図5(D)】環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の平面図(上面図)である。
【図5(E)】環軸椎制動装置1をVertex(登録商標)screw systemの保持部30a、30b、30cおよび30dへ装着した状態の底面図(下面図)である。
【図6】頚椎モデルボーン(C1(51)およびC2(52))に環軸椎制動装置1を装着し、左回旋を行った時の状態を示す図である。
【図7】頚椎モデルボーン(C1(51)およびC2(52))に環軸椎制動装置1を装着し、右回旋を行った時の状態を示す図である。
【図8】頚椎モデルの正面図であり、頚椎の側屈の動きを示す図である。
【図9】頚椎モデルの右側面図であり、頚椎の伸展および屈曲の動きを示す図である。
【図10】頚椎モデルの背面側から見た上面図であり、頚椎の回旋の動きを示す図である。
【図11】C1とC2との結合を示すために両頚椎モデルのみを取り出した図である。
【図12】C1およびC2の関節機能の破綻の一種を説明するための両頚椎モデルの左側面である。
【図13】A−Pinstabilityを説明するための模式図である。
【図14】関節固定術に用いられるVertex(登録商標)screw systemを示す図である。
【図15(A)】Vertex(登録商標)screw system一対の組み立て手順等を示す図である。
【図15(B)】Vertex(登録商標)screw system一対の組み立て手順等を示す図である。
【図15(C)】Vertex(登録商標)screw system一対の組み立て手順等を示す図である。
【図15(D)】Vertex(登録商標)screw system一対の組み立て手順等を示す図である。
【図15(E)】Vertex(登録商標)screw system一対の組み立て手順等を示す図である。
【図15(F)】Vertex(登録商標)screw system一対の組み立て手順等を示す図である。
【図16】Vertex(登録商標)screwsystem二対をC1およびC2の両頚椎モデルに取り付けた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 環軸椎制動装置、 2R、2L ポスト、 4R、4L ナット、 10 C1プレート、 12R、22R 右端部、 12L、22L 左端部、 14 摺動面、 16、24R、24L中空部、 20 C2プレート、 22R 右端部、 30a、30b、30c、30d 保持部、 32a、32b、32c、32d ネジ、 34a、34b、34c、34d スクリュー、 36a、36c ロッド、 38a、38c、38d 溝、 40 六角レンチ、 45 セメント、 51 第1頚椎(C1)、 52 第2頚椎(C2)、 57 第7頚椎、 60 脊髄。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1頚椎背面側に適合する形状を有する上部プレートであって、中空部及び左右端部を有するものと、
第2頚椎背面側に適合する形状を有する下部プレートであって、2つの中空部及び左右端部を有するものと、
2組のポスト及びナットとを備えた環軸椎制動装置であって、
前記上部プレートの形状と前記下部プレートの形状とが揃い両プレートを対面させた状態で、該上部プレートの中空部側から該下部プレートの各中空部側へ2つの前記ポストが各々前記ナットを介して捩じ込まれており、
前記上部プレートの左右端部は第1頚椎背面側に挿入された左右の保持部と各々固定され、前記下部プレートの左右端部は第2頚椎背面側に挿入された左右の保持部と各々固定されたことを特徴とする環軸椎制動装置。
【請求項2】
請求項1記載の環軸椎制動装置において、前記上部プレート及び前記下部プレートはチタン合金製であることを特徴とする環軸椎制動装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の環軸椎制動装置において、前記上部プレートと中空部は超高分子ポリエチレン製の摺動面で覆われたことを特徴とする環軸椎制動装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の環軸椎制動装置において、前記上部プレート及び下部プレートは各々第1頚椎、第2頚椎の個体差に対応した複数のサイズを有することを特徴とする環軸椎制動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の環軸椎制動装置において、前記ポストは第1頚椎、第2頚椎の個体差に対応した複数のサイズを有することを特徴とする環軸椎制動装置。
【請求項6】
第1頚椎背面側に適合する形状を有する上部プレートであって中空部及び左右端部を有するものと、第2頚椎背面側に適合する形状を有する下部プレートであって2つの中空部及び左右端部を有するものと、2組のポスト及びナットとを備えた環軸椎制動装置の装着方法であって、該環軸椎制動装置は、該上部プレートの形状と該下部プレートの形状とが揃い両プレートを対面させた状態で、該上部プレートの中空部側から該下部プレートの各中空部側へ2つの該ポストが各々該ナットを介して捩じ込まれており、
前記上部プレートの左端部と第1頚椎背面側に挿入された左の保持部とを連結する左上連結ステップ、前記上部プレートの右端部と第1頚椎背面側に挿入された右の保持部とを連結する右上連結ステップ、前記下部プレートの左端部と第2頚椎背面側に挿入された左の保持部とを連結する左下連結ステップ、前記下部プレートの右端部と第2頚椎背面側に挿入された右の保持部とを連結する右下連結ステップの4つの連結ステップを任意の順に行うことを特徴とする環軸椎制動装置の装着方法。
【請求項7】
請求項6記載の環軸椎制動装置の装着方法において、前記上部プレートの連結後であって且つ前記下部プレートの連結前、又は前記下部プレートの連結後であって且つ前記上部プレートの連結前に、前記ポストの長さを調節する調節ステップをさらに備えたことを特徴とする環軸椎制動装置の装着方法。


【図3】
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【図13】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5(A)】
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【図5(B)】
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【図5(C)】
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【図5(D)】
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【図5(E)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15(A)】
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【図15(B)】
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【図15(C)】
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【図15(D)】
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【図15(E)】
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【図15(F)】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−115285(P2010−115285A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289318(P2008−289318)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(504229284)国立大学法人弘前大学 (162)
【Fターム(参考)】