説明

甘藷加熱香り水及び該甘藷加熱香り水を原料として使用した食品の製造方法

【課題】 甘藷の蒸煮工程において従来利用されていなかった、甘藷中の香気成分を含んだ蒸気を有効に利用し甘藷加熱香り水を得ること。
【解決手段】 甘藷を蒸気で蒸す際に蒸煮器外に放出される、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を80℃以上の高温で凝縮させ取得することにより、青臭い臭気が排除され、蒸し芋特有の芳香を有する凝縮水が得られ、甘藷フレーバを必要とする各種食品加工用の原料水として有効に利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、甘藷を蒸気で蒸す際に蒸煮器外に放出される、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を凝縮取得する甘藷加熱香り水及び該甘藷加熱香り水を原料として使用した食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、芋焼酎や芋ペースト等の製造場で原料甘藷を蒸す場合には、甘藷を洗浄し、トリミング(根等の不要部分の除去やスライス)し、蒸煮器に入れ、蒸気を吹き込んで蒸している。
【0003】
甘藷を蒸す装置において、吹き込まれた蒸気は蒸煮器内で凝縮したドレンと凝縮せずに蒸煮器外に放出される蒸気となり、甘藷の蒸煮中は製造場内に蒸し芋の香りが漂うが、蒸煮器内で凝縮したドレンは澱粉、糖質、ポリフェノール等を含み、変色して腐りやすい。
【0004】
現在、甘藷の蒸煮工程において、甘藷載置層を通過し、甘藷中の香気成分を含んだ蒸気は、排気ダクトを通じて蒸煮器外あるいは屋外へ放出され、全く利用されていない。
【0005】
しかしながら甘藷の諸加工製品においては、その香りが重要な要素を持ち、該加工製品の好ましい香りには、甘藷特有の香気成分の他に加工過程での酵素反応や、加熱及び熟成による変化あるいは成分相互間の反応生成物などが含まれ、特に糖質とアミノ酸類のメイラード反応により生成される成分は、特有の甘い芳香を持つものが多い。
又焼き芋のように高温で長時間加熱されると上記反応物が生成され特有の甘みをともなった好ましい香りを発生することも知見されている。
【0006】
そこで本発明は甘藷の蒸煮工程において従来利用されていなかった、甘藷中の香気成分を含んだ蒸気を有効に利用しうることに着目したものである。
尚、天然原料を水蒸気により蒸し、香気成分を水蒸気とともに揮散させ、留出物を処理する技術は、香料分野では一般的に行われており、例えば特許文献1では常圧バッチ方式の単蒸留により、固形原料から香気成分を抽出する方法が開示されている。しかしながら、生甘藷を原料として同操作を行うと、青臭い凝縮液が得られ、蒸し芋の芳香とは異なる問題点が生じる。また、特許文献2では気液向流接触装置を利用し、液状またはスラリー状の動植物原材料から香気成分を回収する方法が開示されているが、装置が高価であり、固形原料を使用できない。さらに、特許文献3では、生甘藷の搾汁液を濃縮したのち、オートクレーブにより加熱して焼き芋香料を製造する方法が開示されているが、香気を取得するものではなく、使用する甘藷は原形を留めない。
【0007】
【特許文献1】特開2002−356696号公報
【特許文献2】特開2000−210045号公報
【特許文献3】特開平7−3286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、甘藷の蒸煮工程において従来利用されていなかった甘藷中の香気成分を含んだ蒸気を有効に利用することにより、青臭いにおいを持つことなく蒸し芋特有の芳香を有する甘藷加熱香り水が得られ、食品加工用の原料水として有効に利用できる甘藷加熱香り水及び該甘藷加熱香り水を原料として使用した食品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はかかる課題を解決するために、甘藷を蒸し器内で水蒸気を利用して蒸すとともに、該蒸し器より水蒸気とともに揮散させて得られた甘藷中の香気成分を含む放出蒸気を65℃以上、好ましくは80℃以上の温度で凝縮取得して甘藷加熱香り水を得ることを特徴とし、具体的には洗滌後の甘藷を蒸煮器内に載置して蒸し煮する蒸煮工程で、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を蒸煮器外で80℃〜100℃の温度で凝縮させて甘藷加熱香り水を得ることを特徴とする。
尚、蒸煮工程及び凝縮工程に至る空間が正圧(加圧空間)の場合は、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を蒸煮器外で正圧空間で100℃〜115℃の温度で凝縮させて甘藷加熱香り水を得るようにしてもよい。
【0010】
即ち本発明者等は種々の研究により、甘藷を蒸気で蒸す際に蒸煮器外に放出される、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を熱交換により65℃以下の温度で冷却回収すると青臭い凝縮液になること、青臭い臭気は主にアルデヒド成分に由来すること、青臭い臭気を除けば蒸し芋の芳香が得られること、凝縮させるには潜熱を奪う必要があること、などの知見を得た。
【0011】
そこで、本発明は、甘藷を蒸気で蒸す際に蒸煮器外に放出される、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を、凝縮工程において65℃以上、好ましくは80℃以上の高温で凝縮する画分を取得し、揮発性の高いアルデヒド成分との分離を図ることにより青臭い臭気を排除し、蒸し芋の芳香が得られることを特徴とする。
具体的には甘藷を蒸煮器内で蒸し煮する蒸煮工程で、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を蒸煮器外で80℃〜100℃の温度で凝縮させて甘藷加熱香り水を得ることを特徴とする。
この場合に正圧空間で100℃〜115℃の温度で凝縮させて甘藷加熱香り水を得るように構成すると、より甘藷香りの高い水を得ることが出来るが、又蒸煮器外で80℃〜115℃の温度で空間貯留した後、大気以上の圧力で凝縮させて甘藷加熱香り水を得るようにしてもよい。
【0012】
凝縮工程において80℃以上の高温で凝縮する画分を取得するためには、様々な手法が考えられるが、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を蒸煮器外に放出するためのダクト内に80℃以上の熱媒体と熱交換させる熱交換部位で凝縮させてもよいし、新たに別の受器を設けて、熱交換器等で温度制御して分画取得してもよい。
【0013】
また、本発明の甘藷を蒸気で蒸す際に蒸煮器外に放出される、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を取得する凝縮水の製造方法は、原料甘藷の蒸煮工程において原料や蒸煮設備は従来のままでよく、蒸煮器から放出される甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を80℃以上の高温で凝縮させるだけでよいことから、既存の設備に安価に応用できる。
【0014】
さらに、蒸した甘藷は蒸す前の形状を留めており、スラリー状や搾汁粕になっていないので、芋焼酎や芋ペースト等の製造場で加工原料として従来通り使用できるという実用上の有利さもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、甘藷を蒸気で蒸す際に蒸煮器外に放出される、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を80℃以上の高温で凝縮させ取得することにより、青臭い臭気を排除し、蒸し芋特有の芳香を有する凝縮水が得られ、甘藷フレーバを必要とする各種食品加工用の原料水として有効に利用できる。当該凝縮水は蒸し芋の芳香を有することから、例えば芋製焼酎の仕込み水やお湯割り用の水、甘藷を原料の一部とする食品の製造用水として用いると、蒸し芋のイメージを強調でき、また甘藷製菓子の原料水として用いると香料の使用を抑えることができ、なおかつ蒸し芋のイメージが強調された、より天然に近い風味を有する甘藷製菓子の製造が可能となるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている方法の条件などについては特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0017】
本発明において、甘藷の蒸煮法は公知の方法が適用される。家庭用の蒸篭を用いて甘藷を蒸気で蒸す際に、蒸篭外に放出される、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気について、80℃以上の高温で凝縮する画分を取得する場合の例を図1に示す。
【0018】
甘藷は洗浄し、根除去や尾切り若しくは必要に応じてスライス加工等のトリミング(前処理加工)を行い、貫通孔を多数形成した支持板2を設けた蒸篭上段1に入れ、蒸篭下段3の水4を沸騰させるためにガスバーナー5を点火する。ここで蒸篭の蓋6には、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を通過させる穴を設け、耐熱性管7により受器8へ導く、この際受器8を湯煎により80〜90℃に維持する。この間に耐熱性管7内で凝縮した蒸し芋の香気成分を含む蒸気は受器8に溜まり、凝縮しなかった蒸気は耐熱性の管9を通過し放出してもよいが、本実施例では受器8で凝縮しなかった蒸し芋の香気成分を含む蒸気を、耐熱性の管9を通過した後、水道水(25℃)を用いた熱交換器10で65℃以下に冷却凝縮させ、受器11に溜めると青臭い凝縮液が得られることが確認出来た。
【0019】
一方80℃の高温で凝縮する画分を取得する受器8は、温度を80℃以上に維持しておれば複数連結して分画採取することも可能である。受器8内の温度は65℃以下では青臭さが混入してしまうので、80℃〜100℃(常圧の場合)、好ましくは95℃〜100℃(常圧の場合)がよい。又圧力印加することにより100℃〜115℃の温度で凝縮させて甘藷加熱香り水を得るように構成すると、より甘藷香りの高い水を得ることが出来る
【0020】
また、上記方法で得られる受器8に取得した凝縮液は、青臭い臭気が排除され、蒸し芋特有の芳香を有することから、食品加工用の原料水として有効に利用できる。
【0021】
また、受器8に取得した青臭い臭気が排除され、蒸し芋特有の芳香を有する凝縮液を、減圧濃縮法、有機溶剤抽出法、多孔性樹脂吸着法などの公知の方法によって濃縮することもできる。
【0022】
受器8に取得した青臭い臭気が排除され、蒸し芋特有の芳香を有する凝縮液の主な香気成分は、バニリンやモノテルペンアルコール類であり、一方受器11に回収した青臭い凝縮液の主な香気成分は、ヘキサナールを主体とする脂肪族アルデヒドであることを確認した。
【0023】
さらに本発明では、蒸煮する甘藷の品種を変えることにより、品種毎に特徴的な香りを備えた蒸し芋特有の芳香を有する凝縮水を得ることができる。例えば、紫芋を原料として用いると、紫芋特有の芳香を有する凝縮水を得ることができる。
この場合も青臭い凝縮液の主な香気成分は、ヘキサナールを主体とする脂肪族アルデヒドであるために、やはり紫芋特有の芳香を有する凝縮水を得るためには凝縮温度が80℃以上である必要がある。
【実施例1】
【0024】
(実験条件)使用品種:コガネセンガン、甘藷投入量:2.5kg、蒸煮時間:75分間、受器:500ml容三角フラスコ。
家庭用の蒸篭を用い、図2に示す方法で蒸し芋の香気成分を含む凝縮水を得る実験を行った。尚、図1の装置と図2の装置の違いは、受器8(A,B)が、複数連結して分画採取するように構成し、上流側の受器8(A)は95℃〜100℃に、又下流側の受器8(B)は80℃〜90℃の温度で湯煎している。下流側の受器8(B)で凝縮されなかった蒸発分は、耐熱性の管9を通過した後、冷却水(15℃)を用いた熱交換器10で65℃以下に冷却凝縮させている。
【0025】
3回の実験により得られた各受器の凝縮液量および官能結果を表1に示す。受器は蒸篭に近い順番から受器A(凝縮温度95〜100℃)、受器B(凝縮温度80〜90℃)、受器Cとし、受器Cを15℃で冷却し、受器8(A)の95℃〜100℃で凝縮させた画分は、蒸し芋の甘い香りが確認され、又受器8(B)の80℃〜90℃の温度で凝縮した画分は、蒸し芋の芳香を有する凝縮水を取得できたが、冷却回収した受器Cの凝縮水は青臭かった。
【0026】
【表1】

【実施例2】
【0027】
尚、同様な実験を耐圧性受器および導管を用い、又蒸煮器に圧力釜(正圧蒸煮器)を用いて実験した結果、蒸気圧(絶対圧力)が1.5kg/cm以上になると、正圧蒸煮器内温度は115℃となり蒸煮時間を70分に設定して耐熱性管7により受器8へ導くと、95℃〜115℃で凝縮されて蒸し芋の更に甘い香りを得ることが出来た。
従って正圧蒸煮器を用いることにより、凝縮温度を80℃〜115℃(蒸気圧:1.5kg/cm)、好ましくは95℃〜115℃(蒸気圧:1.5kg/cm)に設定するのがよい。
【実施例3】
【0028】
(実験条件)使用品種:コガネセンガン、甘藷投入量:23kg、蒸煮時間:90分間、受器:ステンレス製30L容タンク。
実施例1の約10倍の原料重量規模で同様の実験を行った。
受器は蒸煮器に近い順番から受器D、受器Eとした2つの受器を連結し、加熱水との熱交換により受器Dは80〜100℃で熱交換するように設定され、そして受器Dで凝縮しなかった通過蒸気は、25℃の水道水を通した熱交換器により冷却し、受器Eに回収した。
【0029】
2回の実験により得られた各受器の凝縮液量および官能評価を表2に示す。受器D内で凝縮した画分は、蒸し芋の甘い香りがある凝縮水を取得できたが、冷却回収した受器Eの凝縮水は青臭かった。
【0030】
【表2】

【0031】
尚、表3は実施例3の主要揮発性成分分析結果で、定性分析によるピーク面積での比較を行った。本表より明らかなように、80〜100℃で熱交換するように設定された受器Dでは冷却回収した受器Eより香気成分が大幅に増加し、臭気成分が減少していることが理解される。
【表3】

【0032】
受器Dに取得した蒸し芋の香りのある水を芋焼酎の割り水として使用し、比較対照に蒸留水で同様に割り水したものとを、7名の専門パネラーにより2点比較法で官能評価を行った。芋焼酎にはアルコール度数37%の市販原酒を使用し、一般的な飲酒度数であるアルコール度数15%に割り水して評価した。
【0033】
その結果、7名の専門パネラー全員が蒸留水で割り水したものよりも蒸し芋の芳香が強く、やわらかな甘味があるという点で優れていると判断した。表4は官能試験結果をまとめたものである。
【表4】

【実施例4】
【0034】
(実験条件)使用品種:コガネセンガン、甘藷投入量:4,500kg、蒸煮時間:50分間、受器:ステンレス製300L容タンク。
芋焼酎製造場の芋蒸し機を用い、ボイラー蒸気により甘藷を蒸した。芋蒸し機から放出される甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気をシェルアンドチューブ式コンデンサーへ導き、チューブ内に90℃の湯を循環させて熱交換し、蒸し芋の香気成分を含む蒸気の一部を凝縮させてステンレス製タンクの受器Fに取得し、凝縮しなかった通過蒸気は大気放出した。
【0035】
上記の操作手順について図3に基づいて説明する。
洗浄・トリミングを経た甘藷4.5トンを芋蒸煮機12に投入し、ボイラー蒸気配管13より蒸煮機12内に蒸気を吹き込んで甘藷を蒸す。この時、甘藷SPの上から蒸気を吹込んでもよく、下から吹き込んでもよい。また、バッチ式ではなく連続式の芋蒸煮機を適用してもよく、いずれにしても甘藷SPが載置されている層を通過した蒸気を凝縮工程へ導けば良い。
蒸気を吹き込むと、蒸煮機12や甘藷SPが温まるまではドレンが排出される。当然の事ながら、このドレンは蒸煮初期に多く、蒸煮機や原料が温まるにつれ、次第に少なくなっていく。ドレンは蒸煮ドレン排出口14から出ていく。
蒸煮機12内で凝縮しない蒸気の画分は、凝縮器への導入配管15を通過し凝縮器に導く。
図3では、凝縮器がシェルアンドチューブ式であるが、凝縮器は特に限定しない。本試験では、予め温水タンク22に水を入れ、蒸気で加温して温度設定した温水を造り、ポンプにより凝縮器のチューブ内に温水入口23および温水出口24から循環しておく。本発明では、この温水の温度を65℃以上にすることが条件である(常圧の場合は上限が100℃であるが、加圧して115℃前後に設定してもよい)。
蒸煮機12から導かれた甘藷SPの加熱香気を持つ蒸気は、凝縮器のシェル16内で温水の循環するチューブと熱交換し、一部が凝縮して取り出し口19から凝縮水として垂れ落ちる。また、凝縮器内で凝縮しなかった蒸気も取り出し口19から気体として排出される。後者は気体であるから受器20には溜らず、空間へ放散される。
凝縮器に蒸気が入ると、チューブ内の温水は蒸気から熱を奪う。従って凝縮器から戻る温水は温水タンク22の温水よりも高い温度となっているのでこれを温度制御するために、冷却水21が必要となる。
【0036】
2回の実験により得られた各凝縮液の量および官能結果を表5に示す。熱交換により凝縮した画分として、蒸し芋の甘い香りがある凝縮水を取得できた。
【0037】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明によれば甘藷の蒸煮工程において従来利用されていなかった、甘藷中の香気成分を含んだ蒸気を有効に利用し甘藷加熱香り水を得ることが出来、その香り水は既存の設備を用いて簡単に製造できるとともに、本香り水は蒸し芋の芳香を有することから、例えば芋製焼酎の仕込み水やお湯割り用の水、甘藷を原料の一部とする食品の製造用水として用いると、蒸し芋のイメージを強調でき、また甘藷製菓子の原料水として用いると香料の使用を抑えることができ、なおかつ蒸し芋のイメージが強調された、より天然に近い風味を有する甘藷製菓子の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】家庭用の蒸篭を用い、蒸し芋の香気成分を含む蒸気を比較的高温で凝縮取得する場合の説明図である。
【図2】受器を3つ用いた図1の変形例である。
【図3】芋焼酎製造場の芋蒸し機を用い、ボイラー蒸気により甘藷を蒸した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を比較的高温で凝縮取得する場合の説明図である。
【符号の説明】
【0040】
SP 甘藷
1 蒸篭上段
2 支持板
3 蒸篭下段
4 水
5 ガスバーナー
6 蓋
7 耐熱性管
8 受器
9 耐熱性管
10 熱交換器
11 受器
12 芋蒸煮機
13 蒸気配管
14 蒸煮ドレン排出口
15 導入配管
16 シェル
17 邪魔板
18 保温材
19 凝縮水取り出し口
20 受器
21 冷却水
22 温水タンク
23 温水入口
24 温水出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘藷を蒸し器内で水蒸気を利用して蒸すとともに、該蒸し器より水蒸気とともに揮散させて得られた甘藷中の香気成分を含む放出蒸気を65℃以上の温度で凝縮取得して甘藷加熱香り水を得ることを特徴とする甘藷加熱香り水の製造方法。
【請求項2】
甘藷を蒸煮器内で蒸し煮する蒸煮工程で、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を蒸煮器外で80℃〜100℃の温度で凝縮させて甘藷加熱香り水を得ることを特徴とする甘藷加熱香り水の製造方法。
【請求項3】
甘藷を蒸煮器内で蒸し煮する蒸煮工程で、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を蒸煮器外で正圧空間で100℃〜115℃の温度で凝縮させて甘藷加熱香り水を得ることを特徴とする甘藷加熱香り水の製造方法。
【請求項4】
甘藷を蒸煮器内で蒸し煮する蒸煮工程で、甘藷載置層を通過した蒸し芋の香気成分を含む蒸気を蒸煮器外で80℃〜115℃の温度で空間貯留した後、大気以上の圧力で凝縮させて甘藷加熱香り水を得ることを特徴とする甘藷加熱香り水の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2、3若しくは4記載の方法により得られた甘藷加熱香り水を原料として使用した食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−254740(P2006−254740A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74081(P2005−74081)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(500533558)株式会社かんしょ利用技術研究所 (1)
【Fターム(参考)】