説明

生ごみ乾燥処理装置

【課題】清掃の労力が著しく軽減されると共に、攪拌手段を必要とせずに生ごみに温風が効率良く作用し、更に強力な脱臭機能を有する脱臭手段を必要としない生ごみ乾燥処理装置を提供する。
【解決手段】この生ごみ乾燥処理装置は、密閉された生ごみ収納室3に生ごみ30が中空に支持され、生ごみ収納室3の空気が流通する循環通路4aを生ごみ収納室3の上下方向に形成し、循環通路4aは、生ごみ収納室3の上部に入口を有する流入通路部12と、生ごみ収納室3の下部に出口を有する流出通路部13からなり、さらに、循環通路4aに、放熱フィン22と冷却フィン20を有するペルチィエ素子23を備え、放熱フィン22は、ペルチィエ素子23の放熱面に接続された構成であり、この放熱フィン22を流入通路部12に配置し、冷却フィン20は、ペルチィエ素子23の吸熱面に接続された構成であり、この冷却フィン20を流出通路部13に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般家庭の台所で発生する生ごみを乾燥処理する生ごみ乾燥処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生ごみは、非常に多くの水分を含んでいるので、水分を如何に効率よく除去して処理するかが課題となっている。小型で一般家庭用に適した生ごみ乾燥処理装置として、例えば特許文献1及び2が挙げられる。
【0003】
特許文献1及び2は、いずれもごみ収納容器に直接生ごみを入れるようになっており、吸引口より外部の空気を吸引し、排気口より外部に排気するようになっている。また特許文献1は、ごみ収納容器内の生ごみを攪拌させる攪拌手段を設けると共に、ごみ収納容器の上方に温風噴出口と戻り口を設けて循環空気路を形成している。特許文献2は、ごみ収納容器の内部に網状板を設置し、この網状板上に生ごみを入れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−275752号公報
【特許文献2】特開2008−55421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、ごみ収納容器を用いるので、乾燥した生ごみがごみ収納容器に付着し、ごみ収納容器の清掃が大変である。特に特許文献2は網状板が目詰まりし、清掃が一層大変である。また外気を吸引して外部に排気するので、強力な脱臭機能を有する脱臭手段を配設する必要がある。また特許文献1では、ごみ収納容器に温風を上方より供給し、上方より排気するので、攪拌手段が無ければ温風が効率良く生ごみに作用しない。
【0006】
この発明の課題は、清掃の労力が著しく軽減されると共に、攪拌手段を必要とせずに生ごみに温風が効率良く作用し、更に強力な脱臭機能を有する脱臭手段を必要としない生ごみ乾燥処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
請求項1に記載の発明は、密閉された生ごみ収納室に生ごみが中空に支持され、
前記生ごみ収納室の空気が流通する循環通路を前記生ごみ収納室の上下方向に形成し、
前記循環通路は、前記生ごみ収納室の上部に入口を有する流入通路部と、前記生ごみ収納室の下部に出口を有する流出通路部からなり、
さらに、前記循環通路に、放熱フィンと冷却フィンを有するペルチィエ素子を備え、
前記放熱フィンは、前記ペルチィエ素子の放熱面に接続された構成であり、この放熱フィンを前記流入通路部に配置し、
前記冷却フィンは、前記ペルチィエ素子の吸熱面に接続された構成であり、この冷却フィンを前記流出通路部に配置した
ことを特徴とする生ごみ乾燥処理装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記ペルチィエ素子の前記放熱面と前記放熱フィンとの間には、冷却水を通す通路を形成した導熱体を介在したことを特徴とする請求項1に記載の生ごみ乾燥処理装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記流出通路部の出口に、送風ファンを設けたことを特徴とする請求項1記載の生ごみ乾燥処理装置である。
【発明の効果】
【0010】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0011】
請求項1に記載の発明では、生ごみ収納室の空気が流通する循環通路を生ごみ収納室の上下方向に形成し、循環通路は、生ごみ収納室の上部に入口を有する流入通路部と、生ごみ収納室の下部に出口を有する流出通路部からなり、さらに、循環通路に、放熱フィンと冷却フィンを有するペルチィエ素子を備え、放熱フィンは、ペルチィエ素子の放熱面に接続された構成であり、流入通路部に配置し、冷却フィンは、ペルチィエ素子の吸熱面に接続された構成であり、流出通路部に配置したので、ペルチィエ素子の発生する熱で放熱フィンを通過する温風の温度が上昇し、生ごみ収納室の生ごみが乾燥し、生ごみの水滴が激減する。
【0012】
請求項2の発明では、ペルチィエ素子の放熱面と放熱フィンとの間には冷却水を通す通路を形成した導熱体を介在したので、ペルティエ素子の急激な温度上昇が抑制され装置の損傷を防ぐことができる。
【0013】
請求項3の発明では、流出通路の出口に送風ファンを設けたので、生ごみ収納室の空気を入口から吸い込み強制的に出口から排出でき、温風が効率良く生ごみに作用し、攪拌手段を必要としなく装置の低廉化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】生ごみ乾燥処理装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】生ごみ乾燥処理装置の導熱体を示す概略図である。
【図4】生ごみ乾燥処理装置の導熱体の他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の生ごみ乾燥処理装置の一実施の形態を図1により説明する。装置枠体1は、隔壁2によって生ごみ収納室3と、この生ごみ収納室3の温風が流通する温風処理室4とが形成されている。なお、図示しないが、この実施の形態においては、装置の前面(図1の前面)には開閉蓋が回動自在に設けられており、開閉蓋を閉じた時は、密閉循環式となっている。勿論、上方が開閉するように上方に蓋を設けてもよいことは言うまでもない。
【0016】
生ごみ収納室3と温風処理室4を仕切る隔壁2の上下は、入口5と出口6とで連通している。上方の入口5には吸引ファン7が配設され、下方の出口6には送風ファン8が配設されている。この実施の形態においては、吸引ファン7と送風ファン8を設けたが、いずれか一方のみでもよい。しかし、この実施の形態のように、吸引ファン7と送風ファン8を設けると、空気の循環効率がよい。
【0017】
温風処理室4は、2つの仕切板10、11によって流入通路部12と、流出通路部13とよりなり循環通路4aが形成される。仕切板10は、入口5の下端部分より温風処理室4の横方向に伸び、流入通路部12を形成するように下方に伸びて装置枠体1の底板に固定されている。なお、仕切板10の下方部分に流出通路部13に連通する第1連通孔10aが形成されている。また、仕切り板11は第2連通孔11aを有し、この第2連通孔11aを介して流出通路13を上向きから下向きに変えて出口6に通じるように設けられている。
【0018】
温風処理室4の循環通路4aには冷却フィン20と放熱フィン22を有するペルチィエ素子23が配置される。このペルチィエ素子23は仕切板10に設けた開口に嵌め込まれ、ペルチィエ素子23の放熱面に接続された放熱フィン22と、ペルチィエ素子23の吸熱面に接続された冷却フィン20とで挟持される。放熱フィン22は流出通路部12に沿って配置され、ねじにより仕切板10に固定する。
【0019】
冷却フィン20は流入通路部12に沿って配置され、ねじにより仕切板10に固定する。放熱フィン22の表面積はペルチィエ素子23の表面積より大きくして放熱をよくする。なお、ペルチィエ素子23は、温度調整手段(図示せず。)によって温度制御されるようになっており、このペルチィエ素子23は、小型で騒音・振動が発生しなく、制御が容易で家庭用としては好ましい。
【0020】
循環通路4aの流入通路部12の底部に水受け41を設け、この水受け41に流入通路部12の冷却フィン20により凝結した水滴を溜めるとか、排水パイプ(図示せず。)を設けて適宜処理してもよい。
【0021】
ペルティエ素子23の放熱面と放熱フィン22と間に銅材よりなる導熱体24を介在し、この導熱体24に冷却水を通す通路25を形成する。通路25はパイプ26aを介してポンプ26に接続され、このポンプ26の作動により冷却水が通路25内を循環して、放熱面の温度上昇を抑制する。ポンプ26に接続したパイプ26aは、装置枠体1に沿って設けることが好ましい。
【0022】
放熱フィン22の下方の流出通路部13には脱臭器21が配設されている。この脱臭器21としては、例えば簡易の脱臭フィルタ(粒状活性炭フィルタ、揮発性有機化合物対応型脱臭フィルタ等)を使用する。
【0023】
生ごみ収納室3の上方部分には、生ごみを収納した水切りごみ袋30を吊るす生ごみ袋吊り棒31が横方向に伸びて固定されている。水切りごみ袋30としては、台所の流し台において使用する排水口用の水切りごみ袋及び三角コーナ用の水切りごみ袋を使用している。なお、生ごみ収納室3の底部には生ごみ袋30から落ちる水滴を溜める受け皿40を設置する。
【0024】
次に作用について説明する。前扉を開いて生ごみを入れた水切りごみ袋30を生ごみ袋吊り棒31に吊るし、前扉を閉じる。そして、スイッチをオンにすると、吸引ファン7、送風ファン8が作動すると共に、ペルチィエ素子23もオンとなる。放熱フィン22によって加熱された温風は、送風ファン8によって前記生ごみ収納室3に送り込まれる。この温風により、水切りごみ袋30内の生ごみの水分が蒸発され、この水蒸気を含んだ温風は吸引ファン7によって流入通路部12に送り込まれる。
【0025】
流入通路部12に送り込まれた水蒸気を含んだ温風は、冷却フィン20によって凝結して水滴となって水受け41に落下する。また冷却フィン20を通過した臭気を含んだ温風は、第1連通孔10aを通って流出通路部13に送り込まれ、脱臭器21で脱臭された後、放熱フィン22によって加熱されて流出通路部14より生ごみ収納室3に送り込まれる。
【0026】
[実施形態2]
この発明の実施態様2に係る生ごみ乾燥処理装置の導熱体24について図4を参照して説明する。なお、実施態様1と同一の構成については符号を同じにする。導熱体24に冷却水の通路27を形成し、この通路27に冷却タンク28に接続され、冷却タンク28を冷却水が自然対流により循環するようになっている。
【0027】
このように、この実施の形態においては、生ごみ収納室3の上下方向に循環通路4a形成し、この循環通路4aは生ごみ収納室3の上部に入口5を有する流入通路部12と、生ごみ収納室3の下部に出口6を有する流出通路部13からなり、さらに循環通路4aには放熱フィン22と冷却フィン20を有するペルチィエ素子23を設置し、ペルチィエ素子23の放熱面に接続された放熱フィン22を流出通路部13に、ペルチィエ素子23の吸熱面に接続された冷却フィン20を流出通路部12に配置するので、ペルチィエ素子23の発生する熱で放熱フィン22を通過する温風の温度が上昇し、生ごみ収納室の生ごみが乾燥し、生ごみの水滴が激減する。
【0028】
また、ペルチィエ素子23の放熱面と放熱フィン22との間には冷却水を通す通路を形成した導熱体を介在したので、ペルチィエ素子23の急激な温度上昇が抑制され装置の損傷を防ぐことができる。
【0029】
さらに、流出通路25の出口6に送風ファン8を設けたので、生ごみ収納室3の空気を入口5から吸い込み強制的に出口6から排出でき、温風が効率良く生ごみに作用し、攪拌手段を必要としなく装置の低廉化が図れる。
【0030】
この実施の形態においては、密閉された収納室に生ごみが中空に支持されるので、殆ど生ごみ収納室3は汚れなく、雫程度で清掃が簡単である。また生ごみ袋30をそのまま宙吊りにすることにより、下方より上方に流れる温風が生ごみに作用するので、温風が効率良く生ごみに作用し、攪拌手段を必要としなく、装置の低廉化が図れる。また水蒸気を含んだ温風が冷却フィン20で凝結して水分が除去され、この温風は臭気を脱臭すると共に、密閉循環式とすることにより、脱臭器21としては、安価な脱臭剤等が使用できる。またごみの回収日に合わせて時間をかけて生ごみを処理すればよく経済的である。また日常使用する水切りごみ袋30を吊るして保管及び処理できるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0031】
この発明は、水分を含む生ごみの乾燥が迅速にでき、しかも装置を小型化して経済的で、環境によい生ごみ乾燥処理装置を提供する。
【符号の説明】
【0032】
1 装置枠体
2 隔壁
3 生ゴミ収納室
4 温風処理室
4a 循環通路
7 吸引ファン
8 送風ファン
10,11 仕切板
12 流入通路部
13 流出通路部
20 冷却フィン
21 脱臭器
22 放熱フィン
30 水切りごみ袋
31 生ごみ袋吊り棒



【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された生ごみ収納室に生ごみが中空に支持され、
前記生ごみ収納室の空気が流通する循環通路を前記生ごみ収納室の上下方向に形成し、
前記循環通路は、前記生ごみ収納室の上部に入口を有する流入通路部と、前記生ごみ収納室の下部に出口を有する流出通路部からなり、
さらに、前記循環通路に、放熱フィンと冷却フィンを有するペルチィエ素子を備え、
前記放熱フィンは、前記ペルチィエ素子の放熱面に接続された構成であり、この放熱フィンを前記流入通路部に配置し、
前記冷却フィンは、前記ペルチィエ素子の吸熱面に接続された構成であり、この冷却フィンを前記流出通路部に配置した
ことを特徴とする生ごみ乾燥処理装置。
【請求項2】
前記ペルチィエ素子の前記放熱面と前記放熱フィンとの間には、冷却水を通す通路を形成した導熱体を介在したことを特徴とする請求項1に記載の生ごみ乾燥処理装置。
【請求項3】
前記流出通路部の出口に、送風ファンを設けたことを特徴とする請求項1記載の生ごみ乾燥処理装置。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−162536(P2010−162536A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286546(P2009−286546)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(594173902)マイクロメーション株式会社 (10)
【Fターム(参考)】