説明

生コンクリート製造装置および製造方法

【課題】1回の練り混ぜ量に相当する破砕物をミキサーへ供給した後に、廃コンクリートの破砕作業を再開する場合でも破砕部に不具合が生じず、かつ適当な量の破砕物のみをミキサーに投入することが可能な生コンクリート製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】フィーダー3からのコンクリート塊を破砕するクラッシャー4と、クラッシャーからベルトコンベア5を介して投入された破砕物の投入量データを出力する計量ホッパー6と、投入量データが、第1基準値に達したときフィーダーを、第2基準値に達したときコンベアを停止させる制御装置8と、計量ホッパーからの破砕物とセメント等とを混練するミキサー7を備え、第2基準値は、1回の生コンクリート製造に必要な破砕物の量であり、第1基準値は、フィーダーの停止後コンベアが停止されるまでの間に、少なくともクラッシャーで破砕し終える破砕物の量を、第2基準値から差し引いた量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート塊の廃材(以下、廃コンクリートという)を破砕し、骨材として有効に利用して、生コンクリートを製造する生コンクリート製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃コンクリートを破砕機によって破砕する場合に、同一強度の廃コンクリートを同一の条件で破砕すれば、粗粒分から細粒分まで一定の粒度分布で安定した品質の粉砕物を供給できることがわかっている。これを利用して、廃コンクリートを粉砕した粉砕物を骨材として生コンクリートを製造する装置が開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、廃コンクリートのコンクリート塊をクラッシャー等の破砕部で破砕して破砕物とし、この破砕物をベルトコンベア等の搬送部で計量ホッパーに搬送して、1回の練り混ぜ量に相当する破砕物を貯留したら、いったん破砕部と搬送部を停止させて、破砕物を計量ホッパーからミキサーへ投入し、水やセメントなどと一緒に混練して生コンクリートを製造している。
【特許文献1】特開2001−150426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように生コンクリート製造装置では、1回の練り混ぜ量に相当する破砕物を計量ホッパーに貯留したら破砕部と搬送部を停止させ、ミキサーへの破砕物の投入が終了してから両者を再起動することとしていた。このため、停止した状態の破砕部の内部には廃コンクリートが入ったままの状態であり、再起動時には破砕部の破砕手段が廃コンクリートを噛み込んでしまい、非常停止するなどして破砕部の故障の原因になっていた。これを防ぐために、破砕部のみは生コンクリート混練中も稼働したままにする一方、破砕部と計量ホッパー間にベルトコンベア(搬送部)を介設し、この搬送部を停止させることが考えられたが、搬送部を停止させた際に、破砕部の排出口が、直下の搬送部位置において排出される破砕物の堆積によって詰まってしまい、破砕部、場合によっては搬送部が作動不良を起こす原因になってしてしまう。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みて創案されたものであり、その目的とするところは、1回の練り混ぜ量に相当する破砕物をミキサーへ供給した後に、廃コンクリートの破砕作業を再開する場合でも破砕部に不具合が生じず、かつ適当な量の破砕物のみをミキサーに投入することが可能な生コンクリート製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる生コンクリート製造装置は、コンクリート塊を破砕した破砕物を骨材として、別途供給されるセメントおよび水と練り混ぜて生コンクリートを製造するための装置であって、コンクリート塊を供給する供給部と、供給部から供給されるコンクリート塊を破砕する破砕部と、破砕部で破砕された破砕物を、破砕部の下方から受け入れて側方に搬送する搬送部と、搬送部から、搬送される破砕物が投入され、破砕物の投入量を検知すると共に投入量データを出力する計量部と、計量部から破砕物の投入量データが入力され、投入量データが第1基準値に達したときに供給部を停止させ、投入量データが第2基準値に達したときに搬送部を停止させる制御部と、計量部に投入された破砕物とセメントと水とを練り混ぜる混練手段とを備え、上記第2基準値は、1回の生コンクリートの製造に必要な破砕物の量であり、上記第1基準値は、供給部が停止されてから搬送部が停止されるまでの間に、少なくとも破砕部で破砕し終える破砕物の量を、第2基準値から差し引いた量であることを特徴とする。
【0007】
上記混練手段は、計量部の下流に配置された混練部内に配設され、上記計量部は、混練部への破砕物の排出操作に応じて、排出信号を出力し、上記制御部は、計量部から入力される排出信号に応じて、供給部および搬送部を起動する起動信号を出力することを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる生コンクリート製造方法は、コンクリート塊を破砕した破砕物を骨材として、別途供給されるセメントおよび水と練り混ぜて生コンクリートを製造するための方法であって、コンクリート塊を供給部から破砕部に供給して破砕し、破砕部で破砕された破砕物を搬送部で側方に搬送して計量部へ投入し、計量部に破砕物の投入量データを出力させる第1工程と、投入量データが第1基準値に達したときに供給部を停止させる第2工程と、投入量データが第2基準値に達したときに搬送部を停止させる第3工程とを備え、上記第2基準値は、1回の生コンクリートの製造に必要な破砕物の量であり、上記第1基準値は、供給部を停止させてから搬送部を停止させるまでの間に、少なくとも破砕部で破砕し終える破砕物の量を、第2基準値から差し引いた量であることを特徴とする。
【0009】
上記計量部は、破砕物の排出操作に応じて排出信号を出力し、上記制御部は、計量部から入力される排出信号に応じて、供給部および搬送部を起動する起動信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる生コンクリート製造装置および製造方法にあっては、1回の練り混ぜ量に相当する破砕物を混練手段へ供給した後に、廃コンクリートの破砕作業を再開する場合でも破砕部に不具合が生じず、かつ適当な量の破砕物のみを混練手段に供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる生コンクリート製造装置および製造方法の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態を図1〜5に基づいて説明する。本実施形態の生コンクリート製造装置1は、図1および図3に示すようにフィーダー3(供給部)とクラッシャー4(破砕部)、ベルトコンベア5(搬送部)、計量ホッパー6(計量部)、ミキサー7(混練部)および制御装置8が架台2の上に載置されて構成される。フィーダー3とクラッシャー4,計量ホッパー6とミキサー7のそれぞれは上下方向に配設され、それぞれのブロックが水平方向に互いに隣接して配置されている。クラッシャー4と計量ホッパー6との間には斜め方向に伸びるベルトコンベア5が介設されている。このような装置構成を採ることにより、道路運行上の高さ制限を受けることなく、トラックの荷台に製造装置1全体を積み込むことが可能となる。なお、本実施形態で示す生コンクリート製造装置1は、その移動性の良さから、建設現場内で発生した廃コンクリートを、その現場内で破砕して再利用するための設備として好適に用いられるものである。
【0012】
本実施形態では、フィーダー3はクラッシャー4の投入口上に載置されたバケット31の下端部に設置される。該バケット31は下端に近づくにつれて幅が狭くなっており、受け入れたコンクリート塊をフィーダー3上に集中させることで、コンクリート塊をクラッシャー4へ安定して供給できる。本実施形態ではフィーダー3はプレートフィーダーとしており、鋼製プレートをカムまたはクランク機構によって前後に往復運動させて、鋼製プレート上にバケット31からコンクリート塊を引き出し、引き出されたコンクリート塊をクラッシャー4の投入口に押し出す形で投入する。フィーダー3はコンクリート塊を所定の量ずつクラッシャー4へ供給する。供給量を安定させるためにチェーンカーテンを用いてもよい。なお、本実施形態ではフィーダー3をプレートフィーダーとしたが、クラッシャー4へコンクリート塊を均一で安定して供給できればベルトコンベアでもよく、プレートフィーダーにはこだわらない。
【0013】
クラッシャー4はフィーダー3から供給されたコンクリート塊を破砕し、破砕物として排出する。コンクリート塊の供給は上部の供給口から行い、破砕物の排出は下部の排出口から行う。本実施形態ではクラッシャー4はジョークラッシャーとしており、固定刃と可動刃の刃巾の条件によって破砕物の粒度分布が決定する。なお、本実施形態ではクラッシャー4をジョークラッシャーとしたが、コーンクラッシャーや2軸せん断シュレッダー、ロールクラッシャーを用いてもよい。
【0014】
ベルトコンベア5はクラッシャー4の下方から排出された破砕物を受け入れて、計量ホッパー6へ向かって側方に搬送する。ベルトコンベア5は途中で屈曲しており、屈曲部を境界として一辺をクラッシャー4の排出口下に設置する。ベルトコンベア5の他辺が、クラッシャー4等の周辺の機材の障害にならない位置から斜め上方に立ち上がり、上端は計量ホッパー6に掛かるようにして、搬送した破砕物を計量ホッパー6内に投入するようにしている。これによってクラッシャー4の排出口から排出された破砕物はベルトコンベア5上に投下され、計量ホッパー6上に搬送されて、ベルトコンベア5の上端から計量ホッパー6内に投入される。ベルトの形状は立ち上がり部分でも破砕物が滑り落ちないように、桟付きのあるものとする。ベルトコンベア5の搬送能力は、クラッシャー4からの破砕物がクラッシャー4の排出口まで堆積しない程度以上とする。また、ベルトコンベア5上には吊り下げ型の磁選機9が設置されており、破砕物に混じって鉄筋などがある場合はその磁力により吸着させてラインから取り除くようにする。なお、ベルトコンベア5の形状は、他の設備にとって障害にならないのであれば、一直線状でもよく、また屈曲させることなく複数のベルトコンベアを連続して用いてもよい。
【0015】
計量ホッパー6は、ミキサー7の上方に配置され、受入ホッパー部61およびロードセル62を備える。ベルトコンベア5から投入された破砕物を受入ホッパー部61で受け入れて、ロードセル62で受入ホッパー部61内に投入された破砕物の重量(投入量)を検知して投入量データとして測定して出力する。受入ホッパー部61の形状は下方に行くに従って幅の狭くなる略四角錐であり、下端には左右に開放する扉63がついている。ロードセル62は受入ホッパー部61とこれを支える架台2との間に設置され、ロードセル62の伸びから重量を計測する。1回に製造される生コンクリートの量(以下、1バッチ)はミキサー7の容量から決まっており、その練り混ぜの能力を超えない重量で、受入ホッパー部61からミキサー7へ破砕物を投入する。
【0016】
計量ホッパー6内の破砕物の重量はロードセル62による計測値(重量値)として、制御装置8へ出力される。制御装置8は、計測値が第1基準値および第2基準値に達しているかを確認し、第1基準値に達した場合にはフィーダー3を停止させる第1制御信号を出力し、第2基準値に達した場合にはベルトコンベア5を停止させる第2制御信号を出力する。
【0017】
ミキサー7は受入ホッパー部61下端の扉63の下に配置され、この扉63を開放することで破砕物がミキサー7に供給される。受入ホッパー部61内の破砕物が全てミキサー7に排出されると、ロードセル62から制御装置8に排出信号が出力され、これに応じて制御装置8はフィーダー4とベルトコンベア5を再起動させる起動信号を出力する。また、排出信号は受入ホッパー部61下端の扉63が開放された時点で出力し、所定時間経過時に起動信号を自動で出力するようにしてもよく、さらには、排出信号を出力することなく、作業員が排出完了を視認して起動信号を手動で出力するようにしてもよい。
【0018】
ミキサー7は、これに投入された破砕物と別途供給されるセメント、水およびその他の混和剤とともに混練して生コンクリートを製造する。本実施形態ではミキサー7の形状は円筒形をしており、計量ホッパー6の下流に配置されたミキサー7内に混練手段である練り混ぜ棒を有する。また、下端には開放扉があり、1バッチ分の生コンクリートが練りあがったら、この開放扉を開放して生コンクリートを運搬車10に移して、所定のコンクリート打設場所に搬送する。
【0019】
上記の第1基準値および第2基準値について図4および図5を用いて説明する。第2基準値は生コンクリート1バッチ分に必要な破砕物の重量であり、ミキサー7の容量と生コンクリートの各構成材料(破砕物、水、セメント、混和剤)の配合割合から決定する(T1)。したがって、第2基準値は破砕物の重量が1バッチ分の配合量を超えないように設定(T2)され、これに応じてベルトコンベア5を停止させる。
【0020】
第1基準値については以下のように設定する(T4)。第1基準値は、第1制御信号が出力されてから第2制御信号が出力されるまでの間に、少なくともクラッシャー4で破砕し終える破砕物の重量を、当該第2基準値から差し引いた重量とする。本発明では、クラッシャー4を常時稼働させるようにするため、第2基準値に達したことで出力される第2制御信号によってベルトコンベア5が停止した状態でクラッシャー4内にコンクリート塊がある場合、全てベルトコンベア5上に堆積することになる。すなわち、第1基準値と第2基準値との差が小さすぎる場合は、クラッシャー4内にコンクリート塊がまだ残っている状態でベルトコンベア5が停止するので、堆積した破砕物がクラッシャー4の排出口まで届いてこれを詰まらせてしまう。これは、作動不能の原因になるので、これを防ぐために、第2制御信号が出力される第2基準値に達した時点でクラッシャー4内にはコンクリート塊が残っていないようにする必要がある。したがって、第1基準値と第2基準値との差は、その差の分だけベルトコンベア5が計量ホッパー6内に破砕物を搬出する間に、クラッシャー4が破砕し終える破砕物の重量以上とする。これによって、第2基準値に達した時点でクラッシャー4内にはコンクリート塊は残っていないか、残っているとしても微量であり、全てを破砕してもクラッシャー4の排出口直下のベルトコンベア5上位置に堆積する量はクラッシャー4の排出口まで達しない程度とすることができる。以上により、第1基準値は少なくとも第2基準値よりも、クラッシャー4一杯分の破砕が終了するまでにベルトコンベア5が計量ホッパー6内に投入する破砕物の重量よりも小さくする必要がある。これにより、計量ホッパー6内の破砕物の重量が第2基準値に達してベルトコンベア5が停止していても、クラッシャー4を継続して稼働させることが可能となる。他方、第2基準値と第1基準値との設定値の差が大きすぎる場合には、第1基準値に達してクラッシャー4内へのコンクリート塊の供給が停止してから、ベルトコンベア5上の破砕物とクラッシャー4内に残ったコンクリート塊からの破砕物とを全て計量ホッパー6内に投入しても第2基準値に達せず、1バッチ分に足りないことになる。したがって、第2基準値と第1基準値との設定値の差は、クラッシャー4一杯分の破砕物重量と第1基準値に達した時点でベルトコンベア5によって運搬されている破砕物重量の合計よりも小さくする。上述したように、第1基準値を設定するにあたっては、前提として、ベルトコンベア5の積載能力とクラッシャー4の容量を考慮に入れる(T3)。また、次の計量ホッパー6への破砕物供給の際の未供給時間を短くして生コンクリート製造の効率化を図るためには、第1基準値と第2基準値との差分は上述した範囲内において最小とするのが好ましいが、クラッシャー4を一旦作動不能とすると、その復旧に相当の時間を要し、生コンクリートの打設サイクルを大きく乱すことになるので、クラッシャー4内の空間の容量・形状とそこに投入するコンクリート塊のサイズ・形状等を考慮して、確実にクラッシャー4が作動不能とならない適度な値に設定することが好ましい。
【0021】
次に、本実施形態にかかる生コンクリート製造方法について説明する。
【0022】
上記実施形態にかかる生コンクリートの製造装置1による生コンクリートの製造の流れを図2に示す。まず、生コンクリートの製造に先がけて、ベルトコンベア5、フィーダー3、クラッシャー4の運転を無負荷状態で開始(S1)して動作を確認する(S2)。
【0023】
外部からコンクリート塊をバケット31内に投入し、フィーダー3によりクラッシャー4へ供給する(S3)。クラッシャー4は供給されたコンクリート塊を破砕(S4)して破砕物とし、排出口から破砕物を排出する。排出された破砕物はベルトコンベア5上に搭載されて搬送され、計量ホッパー6へ投入される(S5)。計量ホッパー6では投入された破砕物の重量を計測しており、計測値(重量値)は制御装置8に送られる(第1工程)。
【0024】
計量ホッパー6内の破砕物の重量が第1基準値を満たさない場合は、上記の第1工程を継続して行う(S6→S3)。計量ホッパー6内の破砕物の重量が第1基準値を満たす場合は、制御装置8がフィーダー3を停止させる第1制御信号を送り、クラッシャー4へのコンクリート塊の供給を停止させる(S6→S7;第2工程)。この時点では、クラッシャー4内にはコンクリート塊が残っており、継続して破砕作業を行う。また、ベルトコンベア5上には破砕物が搭載されており、新たにクラッシャー4から排出される破砕物とともに、ベルトコンベア5上の破砕物は計量ホッパー6に搬出される。計量ホッパー6では引き続いて内部の破砕物の重量を計測しており、計測値は制御装置8に送られる。
【0025】
計量ホッパー6内の破砕物の重量が第2基準値を満たさない場合は、計量ホッパー6にベルトコンベア5から破砕物が搬出される(S8→S5)。計量ホッパー6内の破砕物の重量が第2基準値を満たす場合は、制御装置8がベルトコンベア5を停止させる第2制御信号を送り、破砕物の計量ホッパー6への供給を停止させる(S8→S9;第3工程)。計量ホッパー6内の破砕物が第2基準値に達した時点では、計量ホッパー6内には生コンクリートを1バッチ分製造するために必要な量の破砕物が供給されている。
【0026】
1バッチ分の破砕物が投入された計量ホッパー6は、下端の扉63を開放して全ての破砕物をミキサー7に投入する(S10)。同時に、1バッチ分のセメント、水、混和剤等をミキサー7内に投入し、生コンクリートの混練を開始する(S11)。さらに、生コンクリートの混練が終了したら、ミキサー7を停止し、下端の開放扉を開けて全ての生コンクリートを運搬車10へと移す(S12)。本実施形態の製造方法では生コンクリート製造終了の段階を考慮して、計量ホッパー6内の破砕物をミキサー7に投入する一方、破砕物をミキサー7に投入した後に破砕物の製造を終了するか判断し(S13)、終了する場合は計量ホッパー6からの排出信号を停止しておき、投入後は全ての機材を停止する(S14)。また、終了しない場合は、計量ホッパー6から排出信号を制御装置8に発信するようにし(S13→S2)、制御装置8からは起動信号を発信してフィーダー3とベルトコンベア5を再起動し、上記の手順を再度行っていく。
【0027】
上記のような本実施形態の生コンクリート製造装置および製造方法によれば、コンクリート構造物を解体する際に生じる廃コンクリートを、クラッシャー等で破砕することで、新たに製造する生コンクリートの骨材として使用する場合において、以下のような効果がある。
【0028】
背景技術における課題で説明したように、クラッシャー4内に廃コンクリートを残した状態で一旦停止してから再起動したり、破砕物がこれを受けるベルトコンベア5上に堆積してクラッシャー4から排出されない状態のまま稼働を続けたりすると、クラッシャー4の作動不良や非常停止を起こし、故障の原因にもなる。しかし、本実施形態は、第1基準値および第2基準値に基づく制御を行う生コンクリート製造装置および製造方法であるので、一連の作業が終了するまではクラッシャー4を連続して稼働することが可能で作動不良や非常停止の発生を防ぐことができる。つまり、一日あたりの作業の開始から終了するまでの間、クラッシャー4を連続して稼働することで非常停止等の不具合の発生を防ぐことができ、計量ホッパー6内の破砕物の量が第1基準値に達したらフィーダー3を、第2基準値に達したらベルトコンベア5を停止させることで、クラッシャー4を連続して稼働することができる。
【0029】
また、計量ホッパー6内の破砕物の重量を計測して、これが第1基準値ではフィーダー3を停止させることで、クラッシャー4が継続して稼働していても、破砕物の詰まりの発生を止めることができる。また、第2基準値ではベルトコンベア5を停止させることで、クラッシャー4が継続して稼働する場合でも、計量ホッパー6内の破砕物重量が1バッチ分を超えないようにすることができる。第1基準値と第2基準値との差が、その差の分の破砕物をベルトコンベア5が搬送する間にクラッシャー4が破砕し終える重量以上とすることで、第2基準値に達した時点でクラッシャー4内にコンクリート塊はなく、あったとしても微量であり、停止したベルトコンベア5上に破砕物がクラッシャー4の排出口まで堆積することがない。さらに、第1基準値と第2基準値との差が、クラッシャー4一杯分の破砕物と第1基準値に達した時点でのベルトコンベア5上の破砕物の重量の和以下とすることで、排出された破砕物を全て計量ホッパー6内に投入しても第2基準値に達しないということがなく、フィーダー3とベルトコンベア5を再起動して第2基準値まで破砕物を追加するといった、余計な手間と時間をかけることを防ぐことができる。
【0030】
本実施形態ではロードセル62は受入ホッパー部61内の破砕物の重量を常時計測しているが、常時計測する必要はなく、第1基準値および第2基準値に達した場合のみに信号を制御装置8に送るようにしてもよい。また、計量ホッパー6と制御装置8は別個の機材としたが、制御装置8はロードセル62と一体になっていてもよい。
【0031】
本実施形態では計量ホッパー6とミキサー7とを個別に設けたが、破砕物をベルトコンベア5から直接ミキサー7に搬出し、ロードセル62でミキサー7の重量の増加分を破砕物重量として計測するようにしてもよい。すなわち、計量部に混練手段を設けた装置構成としてもよい。
【0032】
本実施形態では、第1基準値、第2基準値となる投入量データを、破砕物の重量の計測値としたが、計量ホッパー6内の破砕物の上端位置をレーザー測量等で計測し、投入された破砕物の体積を求出してこれを投入量データとしても良い。また、単位時間当たりのクラッシャー4の破砕量やベルトコンベア5の運搬量を特定できるのであれば、タイマー等を用いてその破砕時間や運搬時間を計測し、この時間に単位時間当たりの破砕量や運搬量を乗ずることにより投入量データを求出するようにしても良い。
【0033】
また、排出信号を出力するのは排出操作後であればいつでもよく、破砕物のミキサー7への投入直後でも、ミキサー7の起動時でもよく、生コンクリートの練り上がり時でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にかかる生コンクリート製造装置の好適な一実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明にかかる生コンクリート製造方法の好適な一実施形態を示すフロー図である。
【図3】図1に示した装置の概略図である。
【図4】本発明に採用される第1基準値および第2基準値を説明する説明図である。
【図5】本実施形態の計量ホッパーにおける第1基準値および第2基準値の関係を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 生コンクリート製造装置
3 フィーダー
4 クラッシャー
5 ベルトコンベア
6 計量ホッパー
7 ミキサー
8 制御装置
61 受入ホッパー部
62 ロードセル
63 下端扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート塊を破砕した破砕物を骨材として、別途供給されるセメントおよび水と練り混ぜて生コンクリートを製造するための装置であって、
コンクリート塊を供給する供給部と、
供給部から供給されるコンクリート塊を破砕する破砕部と、
破砕部で破砕された破砕物を、破砕部の下方から受け入れて側方に搬送する搬送部と、
搬送部から、搬送される破砕物が投入され、破砕物の投入量を検知すると共に投入量データを出力する計量部と、
計量部から破砕物の投入量データが入力され、投入量データが第1基準値に達したときに供給部を停止させ、投入量データが第2基準値に達したときに搬送部を停止させる制御部と、
計量部に投入された破砕物とセメントと水とを練り混ぜる混練手段とを備え、
上記第2基準値は、1回の生コンクリートの製造に必要な破砕物の量であり、
上記第1基準値は、供給部が停止されてから搬送部が停止されるまでの間に、少なくとも破砕部で破砕し終える破砕物の量を、第2基準値から差し引いた量であることを特徴とする生コンクリート製造装置。
【請求項2】
上記混練手段は、計量部の下流に配置された混練部内に配設され、
上記計量部は、混練部への破砕物の排出操作に応じて、排出信号を出力し、
上記制御部は、計量部から入力される排出信号に応じて、供給部および搬送部を起動する起動信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の生コンクリート製造装置。
【請求項3】
コンクリート塊を破砕した破砕物を骨材として、別途供給されるセメントおよび水と練り混ぜて生コンクリートを製造するための方法であって、
コンクリート塊を供給部から破砕部に供給して破砕し、破砕部で破砕された破砕物を搬送部で側方に搬送して計量部へ投入し、計量部に破砕物の投入量データを出力させる第1工程と、
投入量データが第1基準値に達したときに供給部を停止させる第2工程と、
投入量データが第2基準値に達したときに搬送部を停止させる第3工程とを備え、
上記第2基準値は、1回の生コンクリートの製造に必要な破砕物の量であり、
上記第1基準値は、供給部を停止させてから搬送部を停止させるまでの間に、少なくとも破砕部で破砕し終える破砕物の量を、第2基準値から差し引いた量であることを特徴とする生コンクリートの製造方法。
【請求項4】
上記計量部は、破砕物の排出操作に応じて排出信号を出力し、
上記制御部は、計量部から入力される排出信号に応じて、供給部および搬送部を起動する起動信号を出力することを特徴とする請求項3に記載の生コンクリート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−208334(P2009−208334A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−53353(P2008−53353)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【出願人】(000140292)株式会社奥村組 (469)
【Fターム(参考)】