説明

生ゴミ処理機

【課題】 長期安定的に運転維持ができる生ゴミ処理機を提供する。
【解決手段】 生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材を混合・醗酵させるための何ゴミ処理機であって、被処理剤などを混合・破砕するための粉砕攪拌用の羽根が設けられ互いに逆方向に回転する平行する2本のスクリューが、互いに逆方向に回転し間歇的に回転方向が正回転と逆回転とで作動する、スクリュー主軸寸法に対して特定寸法比の羽根が特定角度で設けられた生ゴミ処理機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨介などの生ゴミや廃魚、魚の捌きかす、家畜糞、植木の剪定屑などの有機廃棄物を発酵させて減容、または堆肥などに変えるための、家庭用又は業務用の生ゴミ処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴミの焼却に伴う大気汚染が大きな問題になってきたことや、ゴミを埋設する場所が確保できなくなってきたことなどにより、ゴミを再資源化したり減容したりして、廃棄するゴミを減らすことの重要性がますます認識されてきた。厨介などの生ゴミや植木の剪定屑などは有機物であり、自然の環境下では腐敗して水や炭酸ガスなどに分解されて消滅するものである。この自然の営みを人為的に加速して、ゴミを減容し、堆肥や飼料にして再利用したりできれば、自然環境の保全にとってもなによりの方策である。
従来、生ゴミを発酵させて堆肥を得るための、種々の生ゴミ処理機が開発され、あるいは市販されてきた。
【0003】
例えば、生ゴミ等を粉砕して減容化を図ることができるとともに、短時間に安全に生ゴミ等を乾燥させながら発酵分解させて肥料にすることができる生ゴミ等の処理方法および生ゴミ等の処理装置として、生ゴミ等を粉砕機で粉砕する生ゴミ等の粉砕工程と、この生ゴミ等の粉砕工程で粉砕された生ゴミに該粉砕された生ゴミを分解して堆肥化する微生物および有機性水分等の調整材を混合する混合工程と、この混合工程で混合された混合物を撹拌しながら加熱して乾燥させるとともに、発酵分解させる発酵分解工程とで生ゴミ等の処理方法が提案されている(特許文献1参照)。
この処理装置には、生ゴミの投入口の直下に粉砕機が設けられていて、二枚の回転切削刃によって生ゴミを粉砕してから、処理槽に落とし入れ、回転する攪拌装置によって攪拌し発酵を進めるようにされている。この処理装置によれば、粉砕機が設けられているため、比較的大きくて固い生ゴミでも処理できるが、粉砕機と攪拌装置との二系列の回転機構を備えるため、安価で小型の処理装置とするのが難しいという問題があった。
【0004】
また、消費する熱エネルギーを著しく節減するため、処理槽の後端の投入口から槽内に投入した生ごみを攪拌して切返しながら徐々に前に推進する過程で堆肥化し、前端の製品取出口から連続的に堆肥として取出し、且つ槽内で発生する発酵ガスを脱臭して排気する処理を、攪拌用の1台のモータと、吸排気用の1台のブロアを使用し、熱エネルギーの消費を最小限にして行うことが提案されている(特許文献2参照)。
ここで提案された生ゴミの発酵処理装置においては、正面壁に設けられた投入口から処理槽の後端部に供給された生ゴミは、中空駆動軸に固定された攪拌推進羽根によって攪拌されながら処理槽の奥へ運ばれる。処理槽の奥に運ばれた生ゴミは、回転駆動軸から放射状に設けられた、推進能力のない攪拌羽根によって掻き回されて発酵し、昇温し、水分を減じて堆肥化する。そして、堆肥化された生ゴミは仕切板に設けられた小孔を通って製品室に移動し、製品室内の攪拌羽根によって攪拌されながら引き続き発酵を続ける。製品室内の生ゴミは、攪拌羽根の圧力などを受けて取出口から排出されるが、その一部はスクリューコンベアによって投入口近くに移送され、投入口から供給された水分の多い生ゴミと混合する。製品室からの、水分が少なくて温度の高い生ゴミと混合するため、投入された生ゴミの水分は下がり、温度が上昇し、発酵に適した状態に改善される。この発酵処理装置によれば、発酵の進んだ生ゴミの一部を戻して、投入直後の生ゴミに混合することにより、発酵に適した水分と温度に調整できるので、短時間に生ゴミを堆肥化処理できる効果が期待できる。しかしながら、粉砕機能については特別に配慮されてないため、例えば、植木の剪定屑など、比較的大きくて粉砕しにくい生ゴミなどには使用しにくい問題があった。また、攪拌推進羽根と攪拌羽根を回転させる機構と、スクリューコンベアを回転させる機構とが必要なため、装置が複雑になり、安価で小型の処理装置とするのが難しいなどの問題があった。
【0005】
これら従来の装置においては、醗酵分解されたものが装置の壁面に固着しその固着物が運転を停止、攪拌羽根などを破損することや、醗酵・分解による減容率が小さいこととその速度が小さくて醗酵・分解よりも腐敗のほうが進行して腐臭を発生しがちであるなどの難点を有しており、これら装置の長期の安定的運転に支障をきたしていた。
そこで本発明者は、従来技術の上述の問題点に鑑み、簡便な機構で小型化やコスト低減が可能であり、小型の家庭用にも大型の業務用にも対応できる、生ゴミ処理機について鋭意検討を重ねた結果本発明に至ったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開平07−195058号公報
【特許文献2】 特開平09−301791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、醗酵分解物の壁面固着による運転停止や攪拌羽根などの破損や、醗酵・分解による減容率が小さいことと醗酵・分解よりも腐敗のほうが進行して腐臭を発生しがちであるなどの難点を解決し、簡便な機構で小型化やコスト低減が可能であり、小型の家庭用にも大型の業務用にも対応できる、生ゴミ処理機を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、従来の処理機における課題を解決し、醗酵分解物の壁面固着による運転停止や攪拌羽根などの破損、醗酵・分解による減容率が小さいことと醗酵・分解よりも腐敗のほうが進行して腐臭を発生しがちであることを解決し、かつ粉砕機能の向上と長期の安定的運転の可能な、簡便な機構で小型化やコスト低減を図れる生ゴミ処理機を提供せんとして到達したものである。
本発明は以下の構成による。
1. 生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材を混合・醗酵させるための生ゴミ処理機であって、被処理剤などを混合・破砕するための羽根が設けられたスクリュー、被処理材投入口、排出口、フレッシュエアー吹き出し口、発生ガスや水分の排出口が備えられ、これらを収容するための処理槽で構成され、スクリューが間歇的に回転方向を正回転と逆回転とで作動し、正回転時には生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材とを破砕・混合しながらスクリューの軸に直交する処理層の一壁面に押し付けるように作動し、逆回転時にはこれらをほぐすように作動するように、スクリューの軸径(イ)に対して羽根長さ(ハ)が1.2倍〜3.8倍であり、羽根幅(ニ)が0.5倍〜1.8倍であり、羽根平均厚み(ホ)が0.05倍〜0.4倍である羽根を、スクリュー軸断面に対して10度〜60度の角度(ヘ)でボスを介して取り付け、スクリューの軸径(イ)に対してボス径(ロ)が1.1倍〜2.2倍であるボスを設けたことを特徴とする生ゴミ処理機。
2. スクリューが、互いに逆方向に回転する平行な2本のスクリューであり、互いに逆方向に回転する平行な2本のスクリューが間歇的に回転方向を正回転と逆回転とで作動するスクリューである1.の生ゴミ処理機。
3. 生ゴミ処理機が、生ゴミ処理機の総質量を測定しうる測定器と一体化した1.〜2.いずれかの生ゴミ処理機。
4. 生ゴミ処理剤が平均径1mm〜30mmの木材破砕粉と米糠醗酵物との混合物である1.〜3.いずれかの生ゴミ処理機。
【発明の効果】
【0009】
本発明の、生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材を混合・醗酵させるための生ゴミ処理機であって、被処理剤などを混合・破砕するための羽根が設けられ互いに逆方向に回転するスクリュウー(好ましくは平行な2本のスクリュー)、被処理材投入口、排出口、フレッシュエアー吹き出し口、発生ガスや水分の排出口が備えられ、これらを収容するための処理槽で構成され、互いに逆方向に回転する平行な2本のスクリューが間歇的に回転方向を正回転と逆回転とで作動し、正回転時には生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材とを破砕・混合しながらスクリューの軸に直交する処理層の一壁面に押し付けるように作動し、逆回転時にはこれらをほぐすように作動するように、スクリューの軸径(イ)に対して羽根長さ(ハ)が1.2倍〜3.8倍であり、羽根幅(ニ)が0.5倍〜1.8倍であり、羽根平均厚み(ホ)が0.05倍〜0.4倍である羽根を、スクリュー軸断面に対して10度〜60度の角度(ヘ)でボスを介して取り付け、スクリューの軸径(イ)に対してボス径(ロ)が1.1倍〜2.2倍であるボスを設けた生ゴミ処理機においては、羽根が特定条件でスクリューの軸に設けられており、互いに逆方向に回転する平行な2本のスクリューを間歇的に回転方向が正回転と逆回転とで作動し、正回転時には生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材とを破砕・混合しながらスクリューの軸に直交する処理層の一壁面に押し付けるように作動し、逆回転時にはこの押し付けが正回転時よりも極めて弱く押し付けられたこれらをほぐすように作動し、そのことで、これらの被処理物が処理層の壁面に付着・固着することを防ぎ、かつ好ましくは平均径1mm〜30mmの木材破砕粉と米糠醗酵物との混合物である生ゴミ処理剤を使用することで、醗酵分解物の壁面固着による運転停止や攪拌羽根などの破損、醗酵・分解による減容率が小さいことと醗酵・分解よりも腐敗のほうが進行して腐臭を発生しがちであることを解決し、かつ粉砕機能の向上と長期の安定的運転の可能な、簡便な機構で小型化やコスト低減を図れる生ゴミ処理機であり、環境問題の解決にも寄与できる生ゴミ処理機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の生ゴミ処理機の一例を模式的に示す側面図である。
【図2】本発明の図1に示される生ゴミ処理機の天面図である。
【図3】本発明の1に示される生ゴミ処理機の正面図である。
【図4】本発明の生ゴミ処理機の寸法関係を示す図である。aは天面図、bは側面図、正面図、側面図の順に示す図である。
【図5】本発明の羽根の形状例とボスとの取り付けの1例を示す図である。aは天面図、bは側面図である。
【図6】本発明の羽根の形状例と取り付けの3分割(3ツ割り)の1例を示す図である。
【図7】本発明の羽根の形状例と取り付けの4分割(4ツ割り)の1例を示す図である。
【図8】本発明の一軸式の生ゴミ処理機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の生ゴミ処理機においては、スクリューの軸径に対して羽根長さがの1.2倍〜3.8倍であり、羽根幅が0.5倍〜1.8倍であり、羽根平均厚みが0.05倍〜0.4倍である羽根をスクリュー軸断面(スクリューの軸に対して垂直な面)に対して10度〜60度の角度で取り付け設けることで、正回転時には生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材とを破砕・混合しながらスクリューの軸に直交する処理層の一壁面に押し付けるように作動し、スクリューが逆回転時にはこの押し付けが正回転時よりも極めて弱く押し付けられたこれらをほぐすように作動するように粉砕攪拌羽根が設けられることが必須であり、必要に応じて各スクリューの先端部に螺旋状のスクリューねじが設けられていてもよい。
また、本発明の生ゴミ処理機において、スクリューの回転によって被処理物などがスクリュー軸に直行する処理層の面に押し付けられるように移動し処理層のスクリュー軸断面に直角に対面する壁面に押し付けられ、直角に対面する壁面の処理層上方に移動するが、この上方に移動してきた被処理物などを下方に誘導するためのプレートを設けてもよく、このプレートの前傾角度が調節自在とされたものであってもよい。
本発明の、生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材を混合・醗酵させるための生ゴミ処理機であって、被処理剤などを混合・破砕するための羽根が設けらたスクリュー、被処理材投入口、排出口、フレッシュエアー吹き出し口、発生ガスや水分の排出口が備えられ、これらを収容するための処理槽で構成され、スクリューが間歇的に回転方向を正回転と逆回転とで作動し、正回転時には生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材とを破砕・混合しながらスクリューの軸に平行な処理層の一壁面に押し付けるように作動し、逆回転時にはこの押し付けが正回転時よりも極めて弱く押し付けられたこれらをほぐすように作動するように、スクリューの軸径(イ)に対して羽根長さ(ハ)がの1.2倍〜3.8倍であり、羽根幅(ニ)が0.5倍〜1.8倍であり、羽根平均厚み(ホ)が0.05倍〜0.4倍である羽根をスクリュー軸断面に対して10度〜60度の角度でボスを介して取り付け、スクリューの軸径(イ)に対してボス径(ロ)が1.1倍〜2.2倍であるボスを設けた生ゴミ処理機では、その強力な攪拌・破砕・搬送能力によって、醗酵・分解が促進され、かつ被処理物の付着などによる運転阻害が減じられて、従来の処理機に比べて、小型の処理層でより大量の生ゴミを処理することができる。
本発明においては、スクリューに設けられる羽根が所定の寸法比および所定角度であれば、スクリューが一本の場合の一軸形態でもよく、平行する三軸形態であってもよいが、本発明の主旨、効果が最も現れるケースとして、好ましくは平行する2本のスクリューが使用される二軸形態である。しかし、定期的に投入され、醗酵・分解される被処理材の量が10Kg/日以下である場合には、むしろ一軸形態のものが好ましい。
【0012】
以下、主として二軸形態の生ゴミ処理機について説明する。
図1〜3は、本発明の実施態様の一例を説明するものである。それぞれ側面図、天面図、および正面図である。この生ゴミ処理機は、それぞれ羽根を設けた平行する2本のスクリューの軸3が底部に備えられた略箱型の処理槽4とで構成されている。
スクリューの軸3の後方部(図1における右側)上方には投入口(図示せず)が設けられ、投入口蓋によって開閉自在とされている。また、スクリューの軸の先端に直面する側壁には排出口(図示せず)が設けられていて、ダンパーなど(図示されてない)によって開閉自在とされている。そして、スクリューの軸3の先端部上方には、スクリューの軸3の後方側に前傾するプレート(図示せず)が側壁から突き出している。2本のスクリューの軸3は、ギアなど(図示せず)を介して、駆動装置(図示せず)により互いに逆方向に内向きに回転または外向きに回転するようにされている。そして、スクリューの軸3のそれぞれには羽根1がボス2を介して設けられている、この例ではそれぞれに羽根1が、スクリューの軸3の回りに60°づつの間隔で設けられている(この場合を、3ツ割りまたは3分割の配置と称する)。
【0013】
また、投入口側の側壁の上部には、フレッシュエアー吹出口(図示せず)が設けられており、このフレッシュエアー吹出口の上を庇が覆うようにして吹出角度調整板(図示せず)が処理槽4内に突出している。一方、排出口側の側壁の上部には、換気口(図示せず)が設けられており、処理槽4の底部は保温用ヒーター(図示せず)で覆われていてもよい。フレッシュエアー吹出口は吹出ファンやバタフライバルブなど(図示せず)に接続されていて、生ゴミの発酵を促進するための酸素供給の役目を担い、供給量や供給時間を調整しながら、処理槽4内に新鮮な外気を送り込むものである。また、換気口は吸引ファンやバタフライバルブなど(図示せず)に接続されていて、処理槽4内の雰囲気を排気することにより、生ゴミの発酵に適した水分とする役目を担っている。排気は、定法により消臭処理などが施されて行われる。保温用ヒーターは発酵に適した温度を維持するためのものであり、発酵に伴い発熱して昇温した生ゴミが冷めないように保温したり、温度が低い場合には加熱したりする機能を有する。
【0014】
図4は、本発明における羽根とスクリューの軸との寸法関係を示す図である。図4に示されるように、本発明の根幹であるこれらの寸法比(寸法関係)は、スクリューの軸径の寸法(図におけるイ)に対して、羽根長さ(図におけるハ)が1.2倍〜3.8倍であること、さらに羽根幅(ニ)がイに対して0.5倍〜1.8倍であり、羽根平均厚み(ホ)がイに対して0.05倍〜0.4倍である羽根であることが必須であり、またこれらの羽根がスクリューの軸径(イ)に対してボス径(ロ)が1.1倍〜2.2倍であるボスを介してスクリュー軸断面に対して10度〜60度の角度で取り付けられていることが必須である。
本発明における、前記寸法関係を満たすものであれば、羽根の形状は特に限定されるものではないが、湾曲の無い長方形板状、湾曲のある板状、先端部を歯状に成形したものまたは先端部のみ厚くまたは薄くした形状のものなどが挙げられる。
特に破砕に主目的を置く場合には、先端部を歯状に成形した羽根を使用しかつこの歯状に相応するように処理層の壁面に歯状を設けたものが好ましく採用し得る。
2本のスクリューの軸3には、前記した羽根が全て配されたものでよいが、これらの羽根以外に従来のスクリュウーねじ(図に示さず)を羽根と共に設けたものであってもよい。
また粉砕攪拌用の羽根1については、図6と図7を参照しながら説明する。図7では、それぞれの羽根1は、スクリューの軸3の回りに90°づつ間隔をあけて、軸にボスを介して設けられたものであり、4ツ割り(4分割)の羽根配置例を示すものである。図6では、それぞれの羽根1は、スクリューの軸3の回りに60°づつ間隔をあけて、軸にボスを介して設けられたものであり、3ツ割り(3分割)の羽根配置例を示すものである。これらの例で示される羽根1は全て同一の羽根であることが好ましいが、前記寸法関係を満たしておればそれぞれ異なる羽根同士であってもよい。
図5は、羽根1とボス2との配置の1例を示す図であり、個々ではスクリューの軸は図示していない。
【0015】
必要によって設けられるプレートは、スクリューや羽根などの回転によって、その先端側へ移送される生ゴミや処理剤を、再び後方に戻す対流機能を担うものであり、本発明の主旨を逸脱しない限り設けてもよいものである。生ゴミはスクリューの回転によって運ばれ、運ばれる先の側壁に押し当てられて行き所を失い、側壁に沿って上に持ち上げられる。そして、前傾するプレートに行く手を阻まれ、プレートに沿って反転移動して後方に戻される。
【0016】
本例の生ゴミ処理機によれば、生ゴミは次のようにして処理される。まず、生ゴミは投入口蓋を開けて処理槽に投入される。通常、生ゴミ処理剤が先に投入されているか、または既に生ゴミを醗酵・分解した生ゴミと生ゴミ処理剤とが存在しており、運転中は生ゴミだけが投入される。処理槽は、生ゴミが発酵しやすいように、保温用ヒーターによって予め加温されていてもよい。投入された生ゴミは、回転するスクリューや羽根などの上に落ちるが、スクリューの回転方向が互いに逆方向で内向きであるため、それぞれのスクリューに設けられたそれぞれの羽根に挟まれて粉砕される。
図1における、粉砕攪拌用の羽根1のように、交差する羽根間での粉砕力は特に強い。
また、スクリューの回転方向が互いに逆方向で内向きであるため、生ゴミはスクリューとスクリューの間に寄せられる力を受けることになり、スクリューや羽根などの上に乗って先端方向に安定に送られる。生ゴミは粉砕され、攪拌され、搬送されながら発酵が進行する。やがて、スクリューの先端部まで送られた生ゴミは、側壁に突き当たり、プレートがある場合はプレートに沿って反転して対流し、再び後方のスクリュー上に落ちる。このようにして、対流が繰り返されて十分に発酵し、満足な堆肥が得られた時、または、所定の減容度に達した時に、排出口を開放して処理された生ゴミを取り出せばよい。この間、バクテリアを活性化するための酸素を、フレッシュエアー吹出口からの新鮮空気で供給し、換気口から排気することにより、生ゴミ中の水分を発酵に適した量に調節する。
【0017】
したがって、本発明の生ゴミ処理機によれば、2本のスクリューとボスを介してこれに配された特定寸法を満たす羽根とを組み合わせて粉砕機能を向上させたことにより、剪定屑などの、比較的大きくて固い生ゴミも処理できるようになる。また、プレートを設けることにより生ゴミを定常的に対流させ、均一に十分な発酵を行える。また、平行する2本のスクリューとボスを介してこれに配された特定寸法を満たす羽根とを組み合わせた混合・攪拌機能を付与したため、これらを駆動するだけで簡便であり、装置の小型化やコスト低減が可能となる。
【0018】
図1〜3に例示された生ゴミ処理機では、図5(a)に示されるような、略短冊状の粉砕攪拌用の羽根1が使用される。羽根1は、用途に応じて種々の形状とされる。
例えば、図5(b)に示される羽根1は、ほぼ長方形状のものである。
【0019】
本発明においては、2本のスクリューの回転方向が左右に可変とされる。その結果、粉砕できない生ゴミが、スクリューとスクリューの間(羽根などを含めて)に挟まった場合などに、逆回転させて取り出すことができるようになる。あるいは、処理される生ゴミの性状によっては、内向きの回転(正回転と称する)に外向きの回転(逆回転と称する)を間歇的に運転することによって粉砕・攪拌効率をさらに高めることができる。本発明の生ゴミ処理機では、スクリューの軸径(イ)に対して羽根長さ(ハ)が1.2倍〜3.8倍であり、羽根幅(ニ)が0.5倍〜1.8倍であり、羽根平均厚み(ホ)が0.05倍〜0.4倍である羽根をスクリュー軸断面に対して10度〜60度の角度で取り付けたことによって、正回転時には生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材とを破砕・混合しながらスクリューの軸に平行な処理層の一壁面に押し付けるように作動し、逆回転時にはこの押し付けが正回転時よりも極めて弱く押し付けられたこれらをほぐすように作動するようになり、破砕・攪拌・混合が協力に進行し、かつ被処理物の処理層の壁などに付着または固着して、これらの運転維持を阻害することを充分に抑止することができる。
【0020】
また、本発明の特に有用な別の実施態様は、生ゴミ処理機が、生ゴミ処理機の総質量を測定しうる測定器と一体化した生ゴミ処理機であり、測定器と一体化する方法は特に限定されるものではないが、好ましくは感度のよい台秤の上に生ゴミ処理機を設置して必要に応じてその総質量を測定できるようにしたものである。測定器の感度は生ゴミ処理機の大きさによって異なるが、投入される(一回あたりの)生ごみなどの総質量の10分の1〜100分の1程度が好ましい。また測定器は台秤に限定されるものではなく、適宜好ましい測定器を選定使用することができる。
この生ゴミ処理機が、生ゴミ処理機の総質量を測定しうる測定器と一体化した生ゴミ処理機とすることで、投入され処理されるべき生ゴミの醗酵・分解による減質量が把握でき、過剰な生ゴミの投入を制御することが可能であり、そのことによって生ゴミ処理機の適正な運転が寄り一層可能となる。
【0021】
本発明においては、生ゴミ処理剤として、平均径1mm〜30mmの木材破砕粉と米糠醗酵物との混合物が好ましく使用できる。平均径1mm〜30mmの木材破砕粉としては、木材の破砕粉や挽き粉が使用でき、その中でも杉の挽き粉が最も好ましく、その平均径は1mm〜30mmが好ましい。
米糠の醗酵物としては、Empedobacter属細菌による米糠の醗酵(培養)物(特許4041519号公報に記載)が好ましく使用できる。
この平均径1mm〜30mmの木材破砕粉と米糠醗酵物との混合物における比率は、前者1に対して後者が0.1〜0.5(質量比)が好ましい。
また、この平均径1mm〜30mmの木材破砕粉と米糠醗酵物との混合物である生ゴミ処理剤に対する被処理物の投入量は0.1〜0.3が好ましい。
この投入比を維持して、攪拌・混合・醗酵・分解処理を、8時間〜24時間行なえば、被処理物の減容が元の容積の0.01から0.2となり、次の被処理物の投入を行い、これらの操作を1〜4ヶ月程度継続維持できる。
前記した好ましい例示に比べて、他の市販の生ゴミ処理剤(バイオ処理剤)を使用した以外は同様にして実施した場合には、機械的な混合・攪拌は問題なく実施できたが、腐敗臭の発生や減容の効果が少ないなどの課題を示すものであった。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材を混合・醗酵させるための生ゴミ処理機であって、被処理剤などを混合・破砕するための羽根が設けられたスクリュー(好ましくは、互いに逆方向に回転する平行する2本のスクリュー)、被処理材投入口、排出口、フレッシュエアー吹き出し口、発生ガスや水分の排出口が備えられ、これらを収容するための処理槽で構成され、(互いに逆方向に回転する平行する2本の)スクリューが間歇的に回転方向を正回転と逆回転とで作動し、正回転時には生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材とを破砕・混合しながらスクリューの軸に平行な処理層の一壁面に押し付けるように作動し、逆回転時にはこの押し付けが正回転時よりも極めて弱く押し付けられたこれらをほぐすように作動するように、スクリュー軸径に対して羽根長さがの1.2倍〜3.8倍であり、羽根幅が0.5倍〜1.8倍であり、羽根平均厚みが0.05倍〜0.4倍である羽根をスクリュウー軸断面に対して10度〜60度の角度で設けた生ゴミ処理機は、被処理物などが処理の進行による処理層の壁面に付着・固着することを抑止し、かつ木材破砕粉と米糠醗酵物との混合物である生ゴミ処理剤を使用することで、醗酵・分解が迅速に進行し、腐敗の進行を防ぎ腐臭の発生を防止することができ、生ゴミなどの処理が、安定的に長期にわたって維持でき、環境問題の解決にも寄与できる生ゴミ処理機を提供することができ、小型で大量の生ゴミを処理できる生ゴミ処理機として極めて有用である。
【符号の説明】
【0023】
1:攪拌・混合用の羽根
2:羽取り付けようのボス
3:スクリューの軸
4:処理層
イ:スクリューの軸径
ロ:ボスの外径
ハ:羽根の長さ
二:羽根の幅
ホ:羽根の厚さ
ヘ:羽根のスクリュー軸断面に対する取り付け角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材を混合・醗酵させるための生ゴミ処理機であって、被処理剤などを混合・破砕するための羽根が設けられたスクリュー、被処理材投入口、排出口、フレッシュエアー吹き出し口、発生ガスや水分の排出口が備えられ、これらを収容するための処理槽で構成され、スクリューが間歇的に回転方向を正回転と逆回転とで作動し、正回転時には生ゴミ処理剤と生ゴミなどの被処理材とを破砕・混合しながらスクリューの軸に直交する処理層の一壁面に押し付けるように作動し、逆回転時にはこれらをほぐすように作動するように、スクリューの軸径(イ)に対して羽根長さ(ハ)が1.2倍〜3.8倍であり、羽根幅(ニ)が0.5倍〜1.8倍であり、羽根平均厚み(ホ)が0.05倍〜0.4倍である羽根を、スクリュー軸断面に対して10度〜60度の角度(ヘ)でボスを介して取り付け、スクリューの軸径(イ)に対してボス径(ロ)が1.1倍〜2.2倍であるボスを設けたことを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項2】
スクリューが、互いに逆方向に回転する平行な2本のスクリューであり、互いに逆方向に回転する平行な2本のスクリューが間歇的に回転方向を正回転と逆回転とで作動するスクリューである請求項1記載の生ゴミ処理機。
【請求項3】
生ゴミ処理機が、生ゴミ処理機の総質量を測定しうる測定器と一体化した請求項1〜2いずれかに記載の生ゴミ処理機。
【請求項4】
生ゴミ処理剤が平均径1mm〜30mmの木材破砕粉と米糠醗酵物との混合物である請求項1〜3いずれかに記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−284632(P2010−284632A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160214(P2009−160214)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(393026227)株式会社林田鉄工 (3)
【Fターム(参考)】