説明

生体内管腔用固定装置

生体内管腔用固定装置であって、ベース(18)と、ベース(18)と固接される位置決め装置(5)とを含む。位置決め装置(5)は、位置決め装置ハウジング(5a)、少なくとも1セットの挟着ブラケット(3)及び回転軸(7)を含む。それぞれの前記挟着ブラケット(3)にはブラケット軸孔(3b)が設けられ、回転軸(7)はブラケット軸孔(3b)を貫通してそれぞれのセットの挟着ブラケット(3)を位置決め装置ハウジング(5a)に固定する。生体内管腔用固定装置が生体内管腔(11)内に配置される時に、管腔の軟組織(11a)が、前記1対の挟着ブラケットのブラケット前端(3c)により形成される遊隙空間(3d)内に進入する。そしてブラケット後端(3a)に作用する力が、挟着ブラケット(3)を回転軸(7)の周りに回転させ、遊隙空間(3d)内の軟組織が押圧されて強固に挟まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療装置技術分野に関し、特に生体内管腔用固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
素子の小型化の進展に伴って、微小の装置を生体内組織に固定して各種のバイタルサインの測定及び生理的病害の治療を行うことは、すでに現実的かつ有用になってきた。
【0003】
現在、軸方向運動の針を使用して組織を貫通することによって装置を組織に付着させる方法が存在しており、この方法は装置を組織に固定させることができるが、装置が組織内で軸方向に回転することを避けられないため、装置の敏感部材または治療部材を組織から離れて配置する結果となり、このことが監視データの不安定性や、誤った判断を侵すリスクの増大、または治療を必要とする部位の不正確な目標決定などの問題を引き起こす。
【0004】
従来技術はまた、組織を1点で固定する方法を提供しているが、この方法は組織に対して固定を行うことができるが、組織がスライドする場合に固定の失敗に至る恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は組織内で軸方向に回転せず、かつ組織の滑動に影響されない生体内管腔用固定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明の1実施形態は、
生体内管腔用固定装置において、ベース(18)と、記ベース(18)と固接される位置決め装置(5)と、を含み、
位置決め装置(5)は、位置決め装置ハウジング(5a)、少なくとも1セットの挟着ブラケット(3)及び回転軸(7)を含み、それぞれの挟着ブラケット(3)にはブラケット軸孔(3b)が設けられ、回転軸(7)はブラケット軸孔(3b)を貫通してそれぞれのセットの挟着ブラケット(3)を位置決め装置ハウジング(5a)に固定し;位置決め装置ハウジング(5a)には、力作用機構(1)が出入りするための開口通路(13)、及び気体が位置決め装置(5)に進入するための孔(8)が設置されており;
生体内管腔用固定装置が生体内管腔(11)内に配置される時に、気体が孔(8)から抜き出され、管腔の軟組織(11a)が、1対の挟着ブラケット間に位置する遊隙空間(3d)内に進入し、そしてブラケット後端(3a)に作用する力が、挟着ブラケット(3)を回転軸(7)の周りに回転させ、回転に伴って、挟着ブラケット(3)の2つのブラケット前端(3c)間の開度が小さくなるため、遊隙空間(3d)に進入した軟組織が押圧されて強固に挟まれ、挟着ブラケット(3)が定位置でクランプする時に、生体組織が押圧され、そして小さな空間内に封入され、それにより生体内管腔用固定装置が生体組織壁に固定される、ことを特徴とする生体内管腔用固定装置を提供する。
【0007】
挟着ブラケット(3)は、さらにブラケット位置規制機構(3e)を含み、挟着ブラケット(3)が定位置でクランプする時に、生体組織が押圧され、そして小さな空間内に封入される時に、挟着ブラケット(3)がブラケット位置規制機構(3e)によってロックされる。
【0008】
ブラケット後端(3a)に作用する力は力作用機構(1)によって、または、医療用線(12)の牽引によって形成される。
【0009】
生体内管腔用固定装置はさらに圧縮バネ(27)及び位置規制柱(26)を含み、圧縮バネ(27)が1対の挟着ブラケット(3)の後端と連接され、
生体内管腔用固定装置が生体外に配置される時に、位置規制柱26が、ハウジング(5a)に形成される第1位置規制孔(26a)と挟着ブラケットに形成される第2位置規制孔(26b)内に位置し、圧縮バネ(27)は圧縮状態になっており、挟着ブラケット(3)の2つのブラケット前端(3c)が開放の状態になっており、
生体内管腔用固定装置が生体内管腔(11)内に配置された後、気体が孔(8)から抜き出され、そして管腔の軟組織(11a)が遊隙空間(3d)内に進入し、
位置規制柱(26)を第1位置規制孔(26a)及び第2位置規制孔(26b)から引き出すことによって、圧縮バネ(27)によって形成される張力がブラケット後端(3a)に作用して、1対の前記挟着ブラケットの後端(3a)を閉鎖するように連動させ、1対の挟着ブラケットの前端(3c)を回転軸(7)の周りに回転させて閉鎖させ、そして生体内組織を押圧し堅くクランプして遊隙空間(3d)内に封入し、そしてさらに生体内管腔用固定装置を生体組織壁に固定させる。
【0010】
位置決め装置(5)が1セットの挟着ブラケット(3)を含む場合、セットの挟着ブラケット(3)は少なくとも1対の挟着ブラケット(3)を含み、
位置決め装置(5)が少なくとも2セットの挟着ブラケット(3)を含む場合、それぞれのセットの挟着ブラケット(3)は1対または複数対の挟着ブラケット(3)を含み、そしてそれぞれの挟着ブラケット(3)のブラケット後端(3a)が、同一の力の下で共同作用するように、医療用線(12)を介して連接される。
【0011】
ベース(18)はデータ収集検知ヘッドまたは治療機構(16)、及び無線送信ユニット(17)を含み、データ収集検知ヘッドまたは治療機構(16)が無線送信ユニット(17)と接続・固定され、データ収集検知ヘッドまたは治療機構(16)が生体内管腔用固定装置の外部に露出される。
【0012】
生体内管腔用固定装置はさらに装置リリースシート(19)を含み、位置決め装置(5)が装置リリースシート(19)を介してリリース装置(30)に固定される。
【0013】
リリース装置(30)は、リリース連接シート(10)、密閉ガスケット(21)、カテーテル(22)及びクランプ機構(9)、可動の操作栓(25)を有する操作把持用の操作ハンドル(23)、及び気体進入可能な気体ノズル(29)を含み、カテーテル(22)が操作ハンドル(23)と連接され、可動の力作用糸(24)がカテーテル(22)、密閉ガスケット(21)を貫通して密閉固定シート(27)に固定され、密閉固定シート(27)がクランプ機構(9)と連接され、クランプ機構(9)がリリース連接シート(10)内に嵌入され、リリース連接シート(10)内に、クランプ機構(9)が摺動するための1つのリリース摺動溝(10a)を有する。
【0014】
クランプ機構(9)は少なくとも2つの変形または運動可能な蝶弁(9a、9b)を含み、蝶弁(9a、9b)が装置リリースシート(19)の2つのリリースノッチ(19a,19b)と可動連接され、そして位置決め装置(5)は装置リリースシート(19)及びクランプ機構(9)を介してリリース連接シート(10)に固定され、
クランプ機構(9)とリリース連接シート(10)との間に相対運動が形成され、それにより蝶弁(9a、9b)が装置リリースシート(19)の2つのリリースノッチ(19a,19b)から離脱し、さらにリリース装置(30)が位置決め装置(5)から離脱し、それにより位置決め装置(5)がリリースされる。
【0015】
クランプ機構(9)はさらに、固定軸(9d)、リリース支持軸(9c)、及び2つのリリースバネ(9g,9h)を含み、蝶弁(9a,9b)が固定軸(9d)を介してリリース連接シート(10)と固定され、リリース支持軸(9c)が抜き出された後、蝶弁(9a,9b)がリリースバネ(9g,9h)に押されて固定軸(9d)の周りに回転して挟持隙間を増大させ、そして蝶弁(9a,9b)をリリースノッチ(19a,19b)から離脱させる。
【0016】
クランプ機構(9)はさらに、リリース支持軸(9c)、2つのリリースバネ(9g,
9h)を含み、蝶弁(9a,9b)がリリース支持軸(9c)及びリリースバネ(9g,9h)を介してリリース連接シート(10)に固定され、リリース支持軸(9c)が抜き出された後、蝶弁(9a,9b)がリリースバネ(9g,9h)に押されてリリース連接シート(10)に向かって運動して挟持隙間を増大させて、蝶弁(9a,9b)をリリースノッチ(19a,19b)から離脱させる。
【0017】
クランプ機構(9)はさらに、固定軸(9d)、牽引部材(9f)及びリリースバネ(9i)を含み、蝶弁(9a,9b)が固定軸(9d)を介してリリース連接シート(10)に固定され、牽引部材(9f)を引っ張る時に、蝶弁(9a,9b)を固定軸(9d)の周りに回転させて挟持隙間を増大させ、それにより蝶弁(9a,9b)をリリースノッチ(19a,19b)から離脱させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例によれば、生体内管腔用固定装置は生体内管腔の壁の複数のポイントで固定され、それにより、生体内管腔用固定装置の軸方向の回転が制限され、固定信頼性が増大し、装置の位置決め精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明により実施される技術的解決手段をより明確に説明するため、以下は実施例において使用される図面に対して簡単に説明する。以下の説明における図面は本発明の一部の実施例のみであり、本分野の当業者にとってこれらの図面に基づいてその他の図面を想到できることは明白である。
【0020】
【図1】本発明の実施例に基づく、複数の対の挟着ブラケット3が、回転によってブラケット間の距離を縮小して、固定装置を組織11の表面に固定させることを示す図である。
【図2】本発明の実施例に基づく、複数の挟着ブラケット3が、外部汎用挟持機構1の作用下で、生体内管腔用固定装置を組織11の表面にクランプし固定させることを示す図である。
【図3a】本発明の実施例に基づく、複数の挟着ブラケット3が、医療用線12の作用下で、生体内管腔用固定装置を組織11の表面にクランプし固定させることを示す図である。
【図3b】本発明の実施例に基づく、複数の挟着ブラケット3が、圧縮バネ27の作用下で、生体内管腔用固定装置を組織11の表面にクランプし固定させることを示す図である。
【図4】本発明の実施例に基づく、複数のセットの挟着ブラケット3が協働して、生体内管腔用固定装置を組織11の表面にクランプし固定させることを示す図である。
【図5】本発明の実施例に基づく、位置決め装置5の構造を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例に基づく、生体内管腔用固定装置の構造を示す図である。
【図7】本発明の実施例に基づく、生体内管腔用固定装置がリリース装置30に固定されることを示す図である。
【図8】本発明の実施例に基づく、リリース装置30の構造を示す図である。
【図9】本発明の実施例に基づく、生体内管腔用固定装置がリリース装置30に固定される構造の詳細を示す図である。
【図10a】クランプ機構9とリリース連接シート10との相対運動を許容する複数の構造を示す図である。
【図10b】クランプ機構9とリリース連接シート10との相対運動を許容する複数の構造を示す図である。
【図10c】クランプ機構9とリリース連接シート10との相対運動を許容する複数の構造を示す図である。
【図11a−c】固定装置の挟持、リリース、生体組織11表面の固定、の状態を示す図である。
【図11d−f】固定装置の挟持、リリース、生体組織11表面の固定、の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下で本発明の実施例における図面にあわせて、本発明の実施例における技術的解決手段に対して明確、完全な説明をする。説明される実施例は本発明の全部の実施例ではなく、一部の実施例のみであることは明白である。本発明における実施例に基づいて、本分野の当業者が想到する全てのその他の実施例は、ともに本発明の保護範囲に属する。
【0022】
本発明の実施例は生体内管腔用固定装置を提供し、該装置は生体内管腔の組織表面に堅牢に固定でき、可視または不可視の状態において、該装置は組織の運動に影響されずに組織の表面に良好に固定できる。
【0023】
クランプし固定する原理をよりよく説明するため、まず図1を参照する。それは本発明の実施例に基づく、1対の挟着ブラケット3の間の隙間が、挟着ブラケットの回転により縮小し、生体内管腔用固定装置を組織11の表面にクランプし固定させることを示す図である。図1において、1セットの挟着ブラケット3が複数対の挟着ブラケットによって構成され、それぞれの対の挟着ブラケット3は、クランプし固定する前は開放の状態になっており、2つのブラケット前端3c間に遊隙空間3dが形成される。該遊隙空間3dの寸法は1つの対の挟着ブラケット3の開放角度及び大きさによって決定される。
【0024】
図1において、複数の挟着ブラケット3が回転軸7に固定され、それぞれの挟着ブラケット3はブラケット前端3c、ブラケット軸孔3b、ブラケット後端3a、ブラケット位置規制構造3eによって構成される。
【0025】
挟着ブラケット3が生体組織のデータ監視または治療が必要な特定の位置に設置される場合、挟着ブラケット3が生体内管腔11と接触し、管腔の軟組織11aが遊隙空間3d内に進入し、そして挟着機構の力がブラケット後端3aに作用すると、挟着ブラケット3全体が回転軸7の周りを回転し、回転に伴って、1対の挟着ブラケット3のブラケット前端3c間の開度が小さくなり、遊隙空間3dに進入した組織11aが押圧されて挟まれる。
【0026】
挟着ブラケット3がクランプ位置に達すると、生体内組織は押圧されそして小さな空間内に封入され、そしてその後挟着ブラケット3はブラケット位置規制構造3eにロックされる。
【0027】
図2は、本発明の実施例に基づく、複数の挟着ブラケット3が、外部汎用挟持機構1の作用下で、生体内管腔用固定装置を組織11の表面に固定させることを示す図である。
【0028】
図3aは、本発明の実施例に基づく、複数の挟着ブラケット3が、医療用線12の作用下で生体内管腔用固定装置を組織11の表面に固定させることを示す図である。
【0029】
図3bは、本発明の実施例に基づく複数の挟着ブラケット3が、圧縮バネ27の作用下で、生体内管腔用固定装置を組織11の表面に固定させることを示す図である。
【0030】
図4は、本発明の実施例に基づく、複数のセットの挟着ブラケット3が同時に作用する時に、生体内管腔用固定装置を組織11の表面に固定させることを示す図である。
【0031】
図6は、本発明の他の実施例に基づく、生体内管腔用固定装置の構造を示す図である。該生体内管腔用固定装置は、ベース18と、ベース18に固接される位置決め装置5と、を含む。位置決め装置5の具体的な構造は図5及び図1〜図4を参照。
【0032】
図5を参照し、位置決め装置5は、位置決め装置ハウジング5a、少なくとも1セットの挟着ブラケット3及び1つの回転軸7を含み、それぞれの挟着ブラケット3にはブラケット軸孔3bが設けられ、回転軸7はそれぞれの挟着ブラケット3のブラケット軸孔3bを貫通し、そしてそれぞれのセットの挟着ブラケット3を生体内管腔用固定装置の位置決め装置ハウジング5aに固定する。位置決め装置ハウジング5aには、力作用機構1の出入を許容するための開口通路13、及び気体が位置決め装置5に進入することを許容するための孔8が設置されている。
【0033】
図1〜図5を参照して、生体内管腔用固定装置が生体内管腔11の中に配置される場合、前記孔8の気体が開口通路13を通って抜き出され、管腔の軟組織11aが、1対の挟着ブラケット3間に位置する遊隙空間3d内に進入し、そして、ブラケット後端3aに作用する力が、挟着ブラケット3を回転軸7の周りに回転させ、そして、回転に伴って、挟着ブラケット3の2つのブラケット前端3c間の開度が小さくなるため、遊隙空間3dに進入した軟組織が押圧されて強固に挟まれ、挟着ブラケット3がクランプ位置に達する時に、生体組織は押圧されそして小空間内に封入され、それにより生体内管腔用固定装置を生体組織の壁に固定させる。
【0034】
図2及び図3aの実施例において、挟着ブラケット3は、さらにブラケット位置規制機構3eを含む。挟着ブラケット3がクランプ位置に達する時に、生体組織が押圧され、そして小さな空間内に封入される。一方挟着ブラケット3はブラケット位置規制機構3eによりロックされる。
【0035】
図2の実施例において、ブラケット後端3aに作用する力は力作用機構1により形成される。ここでこの実施例では、力作用機構1は一般的な力の印加機構例えば内視鏡生検鉗子等の可動アームなどであってもよく、専用の力の印加機構であってもよく、力作用機構1に使用される工具に対しても制限はない。図3aの実施例において、ブラケット後端3aに作用する力は医療用線12の牽引によって生成される。
【0036】
図3bの実施例において、生体内管腔固定装置はさらに圧縮バネ27及び位置規制柱26を含み、ここで圧縮バネ27が1対の挟着ブラケット3の後端に連接され、生体内管腔用固定装置が初期の段階において生体内管腔の外に配置される時に、位置規制柱26が、ハウジング5aに形成される第1位置規制孔26aと挟着ブラケット3に成形される第2位置規制孔26b内に配置され、より詳細には、位置規制柱26の1部がハウジング5aに形成される第1位置規制孔26a内に配置され、他の一部が挟着ブラケット3に形成される第2位置規制孔26b内に配置される。圧縮バネ27は圧縮状態になっていて、挟着ブラケット3の2つのブラケット前端3cが開放状態になっている。
生体内管腔用固定装置が生体内管腔11の内部に配置された後、前記孔8の気体が開口通路13を通って抜き出され、管腔の軟組織11aが遊隙空間3d内に進入する。位置規制柱26が第1位置規制孔26a及び第2位置規制孔26bから引き出された後、圧縮バネ27によって生成される張力がブラケット後端3aに印加され、このことが1対の前記挟着ブラケット3の後端3aを閉じさせ、1対の前記挟着ブラケットの2つの前端3cを回転軸7の周りに回転させてクランプさせ、生体内組織を押圧して小さな遊隙空間3d内に封入し、生体内管腔用固定装置を生体内組織の壁に固定する。本実施例における圧縮バネ27はブラケット位置規制機構3eと見なすことができる。
【0037】
さらに、位置決め装置5が1セットの挟着ブラケット3からなる場合、該セットの挟着ブラケット3には少なくとも1対の挟着ブラケット3を有し、位置決め装置5が少なくとも2セットの挟着ブラケット3を含む場合、それぞれのセットの挟着ブラケット3は1対または複数対の挟着ブラケット3を有する。そしてそれぞれの挟着ブラケット3のブラケット後端3aが全て、1つの力の下で協働するように、医療用線12を介して連接される。図4を参照。
【0038】
続けて図6を参照し、ベース18にはデータ収集検知ヘッドまたは治療機構16、及び無線送信ユニット17を含んでもよく、データ収集検知ヘッドまたは治療機構16が無線送信ユニット17と接続・固定され、データ収集検知ヘッドまたは治療機構16は生体内管腔用固定装置の外部に露出する。収集した情報は、無線送信ユニット17経由で生体内管腔用固定装置の外部に送信される。
【0039】
図6及び図7を参照し、生体内管腔用固定装置はさらに装置リリースシート19を有してもよく、その場合位置決め装置5は装置リリースシート19を介してリリース装置30に固定される。
【0040】
図7は、本発明の実施例に基づく、生体内管腔用固定装置がリリース装置30に固定されることを示す図である。
【0041】
図8は、本発明の実施例に基づく、リリース装置30の構造を示す図である。
【0042】
図9は、本発明の実施例に基づく、生体内管腔用固定装置がリリース装置30と固定される詳細な構造を示す図である。
【0043】
図7〜図9を参照し、リリース装置30は、リリース連接シート10、密閉ガスケット21、カテーテル22及びクランプ機構9、可動の操作栓25を有する操作把持用の操作ハンドル23、及び気体ノズル29を含む。気体ノズル29は孔8の気体を開口通路13から抜き出すように適応されている。カテーテル22は操作ハンドル23と連接されている。可動の力作用糸24が前記カテーテル22、密閉ガスケット21を貫通して、さらに密閉固定シート27に固定される。密閉固定シート27はクランプ機構9と連接される。クランプ機構9はリリース連接シート10内に組み込まれ、リリース連接シート10は、クランプ機構9と摺動するための1つのリリース摺動溝10aを有する。
【0044】
気体ノズル29を使用して孔8の気体を開口通路13から抜き出す詳細な過程は以下の通りである。開口通路13が位置決め装置5のハウジング5aに形成され、そして位置決め装置5がリリース装置30と連接され(図8参照)、開口通路13がリリース装置30の密閉ガスケット21と気密連接されるため、孔8の気体が、リリース装置30の気体ノズル29とカテーテル22から形成される通気道から抜き出される。
【0045】
図9を参照し、クランプ機構9は少なくとも1対の変形可能または可動の蝶弁9a、9bを含み、蝶弁9a、9bは装置リリースシート19の2つのリリースノッチ19a,19bと可動連接されており、位置決め装置5は装置リリースシート19及びクランプ機構9を介してリリース連接シート10に固定される。クランプ機構9とリリース連接シート10はそれらの間で相対的運動をする機構を有し、その相対運動は、蝶弁9a、9bを装置リリースシート19の2つのリリースノッチ19a,19bから離脱させ、そしてさらにリリース装置30を位置決め装置5から離脱させ、それにより位置決め装置5がリリースされる。
【0046】
図10a〜図10cは、クランプ機構9とリリース連接シート10との間で相対運動を許容するいくつかの構造を示す図である。
【0047】
図10aを参照して、クランプ機構9はさらに、固定軸9d、リリース支持軸9c、及び2つのリリースバネ9g,9hを有する。蝶弁9a,9bが固定軸9dを介してリリース連接シート10に固定され、リリースバネ9gの片端がリリース連接シート10に固定され、他端が蝶弁9aに固定され、リリースバネ9hの片端がリリース連接シート10に固定され、他端が蝶弁9bに固定される。リリース支持軸9cが抜き取られた後、蝶弁9a,9bはリリースバネ9g,9hに押されて固定軸9dの周りを回転し、それは挟持隙間を増大させて、蝶弁9a,9bをリリースノッチ19a,19bから離脱させる。
【0048】
図10bを参照し、クランプ機構9はさらに、リリース支持軸9c、2つのリリースバネ9g,
9hを有する。蝶弁9a,9bはリリース支持軸9c及びリリースバネ9g,9hを介してリリース連接シート10に固定される。リリース支持軸9cが取り出された後、蝶弁9a,9bがリリースバネ9g,9hに押されてリリース連接シート10方向に運動し、それは挟持隙間を増大させて、蝶弁9a,9bをリリースノッチ19a,19bから離脱させる。
【0049】
図10cを参照し、クランプ機構9はさらに、固定軸9d、牽引部材9f及びリリースバネ9iを有する。蝶弁9a,9bは固定軸9dを介してリリース連接シート10と固定される。牽引部材9fが引っ張られると、蝶弁9a,9bは固定軸9dの周りを回転して、それが挟持隙間を増大させて、蝶弁9a,9bをリリースノッチ19a,19bから離脱させる。
【0050】
図11は、生体内管腔用固定装置5のクランプ、リリース、生体組織11の表面への固定の過程を示す図である。図11aにおいて本発明の生体内管腔用固定装置がリリース装置30の案内で、生体内組織11の管腔の内部に進入して、そして管腔壁に付着する。図11bにおいて気体が開口通路13から抜き出され、それは管腔壁の組織11を遊隙空間3d内に進入させる。図11cにおいて挟着ブラケット3が力作用機構1の作用によって、生体組織11aをクランプし押圧し、それにより該生体組織11aを遊隙空間3d内に封入し、生体内管腔用固定装置を生体組織11aに固定する。図11dにおいて力作用機構1が挟着ブラケット3と分離される。図11eにおいてリリース機構30のクランプ機構9が生体内管腔用固定装置の装置リリースシート19と分離されて、生体内管腔用固定装置をリリース機構30から離脱させる。図11fにおいてリリース機構30を取り除いた後、生体内管腔用固定装置が生体組織11にクランプし、生体内管腔用固定装置が生体組織11に固定される。
【0051】
本発明の実施例において、本発明の生体内管腔用固定装置は生体内管腔の壁の複数のポイントで固定され、それにより管腔内部での装置の軸方向の回転を制限し、固定の信頼性を向上させ、装置の位置決め精度を向上させた。
【0052】
本文において、用語「含む」、「包含」またはその他の類似表現は、所与のプロセス、方法、物品または設備の存在を示すことを意図し、他のプロセス、方法、物品または設備の存在を除外するものではない。語句「1つの・・・を含む」により限定された要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品または設備においてさらに別の同様な要素を含むことを排除しない。
【0053】
以上の説明は本発明のより好ましい実施例のみを示し、本発明の保護範囲を限定することに用いられるものではない。本発明の主旨及び原則内に行った全ての修正、同等な入れ替え、改善などは、すべて本発明の保護範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内管腔用固定装置において、ベース(18)と、前記ベース(18)と固接される位置決め装置(5)と、を含み、
前記位置決め装置(5)は、位置決め装置ハウジング(5a)、少なくとも1セットの挟着ブラケット(3)及び回転軸(7)を含み、それぞれの前記挟着ブラケット(3)にはブラケット軸孔(3b)が設けられ、前記回転軸(7)はブラケット軸孔(3b)を貫通して前記それぞれのセットの挟着ブラケット(3)を前記位置決め装置ハウジング(5a)に固定し;前記位置決め装置ハウジング(5a)には、力作用機構(1)が出入りするための開口通路(13)、及び気体が前記位置決め装置(5)に進入するための孔(8)が設置されており;
前記生体内管腔用固定装置が生体内管腔(11)内に配置される時に、気体が前記孔(8)から抜き出され、管腔の軟組織(11a)が、前記1対の挟着ブラケット間に位置する遊隙空間(3d)内に進入し、そしてブラケット後端(3a)に作用する力が、前記挟着ブラケット(3)を前記回転軸(7)の周りに回転させ、回転に伴って、前記挟着ブラケット(3)の2つのブラケット前端(3c)間の開度が小さくなるため、前記遊隙空間(3d)に進入した前記軟組織が押圧されて強固に挟まれ、前記挟着ブラケット(3)がクランプ位置に達する時に、生体組織が押圧され、そして小さな空間内に封入され、それにより前記生体内管腔用固定装置が生体組織壁に固定される、ことを特徴とする生体内管腔用固定装置。
【請求項2】
前記挟着ブラケット(3)は、さらにブラケット位置規制機構(3e)を含み、前記挟着ブラケット(3)がクランプ位置に達する時に、生体組織は押圧されそして小さな空間内に封入され、一方前記挟着ブラケット(3)はブラケット位置規制機構(3e)によってロックされる、ことを特徴とする請求項1に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項3】
前記ブラケット後端(3a)に作用する力は力作用機構(1)によって、または、医療用線(12)の牽引によって形成される、ことを特徴とする請求項2に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項4】
前記生体内管腔用固定装置はさらに圧縮バネ(27)及び位置規制柱(26)を含み、前記圧縮バネ(27)が1対の前記挟着ブラケット(3)の後端と連接され、
前記生体内管腔用固定装置が生体外に配置される時に、前記位置規制柱26が、前記ハウジング(5a)に形成される第1位置規制孔(26a)と前記挟着ブラケットに形成される第2位置規制孔(26b)内に位置し、前記圧縮バネ(27)は圧縮状態になっており、前記挟着ブラケット(3)の2つの前記ブラケット前端(3c)が開放の状態になっており、
前記生体内管腔用固定装置が生体内管腔(11)内に配置された後、気体が前記孔(8)から抜き出され、そして前記管腔の軟組織(11a)が前記遊隙空間(3d)内に進入し、
前記位置規制柱(26)を前記第1位置規制孔(26a)及び前記第2位置規制孔(26b)から引き出すことによって、前記圧縮バネ(27)によって形成される張力が前記ブラケット後端(3a)に作用して、1対の前記挟着ブラケットの前記後端(3a)を閉鎖するように連動させ、1対の前記挟着ブラケットの前記前端(3c)を回転軸(7)の周りに回転させて閉鎖させ、そして生体内組織を押圧し強固にクランプして前記遊隙空間(3d)内に封入し、そしてさらに前記生体内管腔用固定装置を生体組織壁に固定させる、ことを特徴とする請求項1に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項5】
前記位置決め装置(5)が1セットの前記挟着ブラケット(3)を含む場合、該セットの挟着ブラケット(3)は少なくとも1対の前記挟着ブラケット(3)を含み、
前記位置決め装置(5)が少なくとも2セットの前記挟着ブラケット(3)を含む場合、それぞれのセットの前記挟着ブラケット(3)は1対または複数対の前記挟着ブラケット(3)を含み、そしてそれぞれの前記挟着ブラケット(3)のブラケット後端(3a)が、同一の力の下で協働するように、医療用線(12)を介して連接される、ことを特徴とする請求項1に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項6】
前記ベース(18)はデータ収集検知ヘッドまたは治療機構(16)、及び無線送信ユニット(17)を含み、前記データ収集検知ヘッドまたは治療機構(16)が前記無線送信ユニット(17)と接続、固定され、前記データ収集検知ヘッドまたは治療機構(16)が前記生体内管腔用固定装置の外部に露出される、ことを特徴とする請求項1に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項7】
前記生体内管腔用固定装置はさらに装置リリースシート(19)を含み、前記位置決め装置(5)が前記装置リリースシート(19)を介してリリース装置(30)に固定される、ことを特徴とする請求項1に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項8】
前記リリース装置(30)は、リリース連接シート(10)、密閉ガスケット(21)、カテーテル(22)及びクランプ機構(9)、可動の操作栓(25)を有する操作把持用の操作ハンドル(23)、及び気体進入可能な気体ノズル(29)を含み、前記カテーテル(22)が前記操作ハンドル(23)と連接され、可動の力作用糸(24)が前記カテーテル(22)、前記密閉ガスケット(21)を貫通して密閉固定シート(27)に固定され、前記密閉固定シート(27)が前記クランプ機構(9)と連接され、前記クランプ機構(9)が前記リリース連接シート(10)内に組み込まれ、前記リリース連接シート(10)内に、前記クランプ機構(9)が摺動するための1つのリリース摺動溝(10a)を有する、ことを特徴とする請求項1、2または4に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項9】
前記クランプ機構(9)は少なくとも2つの変形または運動可能な蝶弁(9a、9b)を含み、前記蝶弁(9a、9b)が装置リリースシート(19)の2つのリリースノッチ(19a,19b)と可動連接され、そして前記位置決め装置(5)は前記装置リリースシート(19)及び前記クランプ機構(9)を介して前記リリース連接シート(10)に固定され、
前記クランプ機構(9)と前記リリース連接シート(10)との間に相対運動が形成され、それにより前記蝶弁(9a、9b)が前記装置リリースシート(19)の2つの前記リリースノッチ(19a,19b)から離脱し、さらに前記リリース装置(30)が前記位置決め装置(5)から離脱し、それにより前記位置決め装置(5)がリリースされる、ことを特徴とする請求項8に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項10】
前記クランプ機構(9)はさらに、固定軸(9d)、リリース支持軸(9c)、及び2つのリリースバネ(9g,9h)を含み、前記蝶弁(9a,9b)が前記固定軸(9d)を介して前記リリース連接シート(10)と固定され、前記リリース支持軸(9c)が抜き出された後、前記蝶弁(9a,9b)が前記リリースバネ(9g,9h)に押されて固定軸(9d)の周りに回転して挟持隙間を増大させ、そして前記蝶弁(9a,9b)を前記リリースノッチ(19a,19b)から離脱させる、ことを特徴とする請求項9に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項11】
前記クランプ機構(9)はさらに、リリース支持軸(9c)、2つのリリースバネ(9g, 9h)を含み、前記蝶弁(9a,9b)が前記リリース支持軸(9c)及び前記リリースバネ(9g,9h)を介して前記リリース連接シート(10)に固定され、前記リリース支持軸(9c)が抜き出された後、前記蝶弁(9a,9b)がリリースバネ(9g,9h)に押されて前記リリース連接シート(10)に向かって運動して挟持隙間を増大させて、前記蝶弁(9a,9b)を前記リリースノッチ(19a,19b)から離脱させる、ことを特徴とする請求項9に記載の生体内管腔用固定装置。
【請求項12】
前記クランプ機構(9)はさらに、固定軸(9d)、牽引部材(9f)及びリリースバネ(9i)を含み、前記蝶弁(9a,9b)が前記固定軸(9d)を介して前記リリース連接シート(10)に固定され、前記牽引部材(9f)を引っ張ることにより、前記蝶弁(9a,9b)を前記固定軸(9d)の周りに回転させて挟持隙間を増大させ、それにより前記蝶弁(9a,9b)を前記リリースノッチ(19a,19b)から離脱させる、ことを特徴とする請求項9に記載の生体内管腔用固定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11a−c】
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【図11d−f】
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【公表番号】特表2013−509210(P2013−509210A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535588(P2012−535588)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001708
【国際公開番号】WO2011/050576
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512089841)チョンチン ジンシャン サイエンス アンド テクノロジー(グループ)カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】