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生体吸収性有孔オイルフィルムおよびその製造方法
説明

生体吸収性有孔オイルフィルムおよびその製造方法

生体吸収性独立型フィルムを、少なくとも一部を脂肪酸から誘導する。生体吸収性独立型フィルムは、癒着防止性、抗炎症性、非炎症性、および創傷治癒特性を有することができ、さらに、その中に組み入れられた1つまたは複数の治療剤を含むことができる。独立型フィルムはその中に形成された1つまたは複数の孔または凹みを有する。対応する、1つまたは複数の孔または凹みを有する生体吸収性独立型フィルムの製造方法は、鋳造、カッティング、カービング、穿刺、またはそうでなければ、生体吸収性独立型フィルム中に孔または凹みを作製するのに適した方法を含む。得られた独立型フィルムは生体吸収性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2004年9月28日に出願された米国特許仮出願第60/613,808号の優先権および恩典を主張する2005年9月28日に出願された同時係属中の米国特許出願第11/237,264号の一部継続出願である、2006年9月22日に出願された同時係属中の米国特許出願第11/525,390号の優先権および恩典を主張する。
【0002】
本出願はまた、2005年9月28日に出願された米国特許出願第11/237,420号(特許文献1)、および2006年9月22日に出願された米国特許出願第11/525,328号(特許文献2)に関連する。
【0003】
上記出願の開示はここに、参照により全体が本明細書に組み入れられる。
【0004】
発明の技術分野
本発明は一般に生体吸収性生物吸収性独立型フィルムに関し、より詳細には生体吸収性生物吸収性独立型有孔フィルムに関する。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
様々な外科的処置はしばしば鈍的切開(blunt dissection)と呼ばれる方法を使用する。鈍的切開は一般に、カッティング無しで、自然な切断線に沿って組織を分離することにより達成される切開として説明することができる。鈍的切開は、当業者により理解されるように、多くの異なる鈍的手術用ツールを用いて実施される。鈍的切開は、とりわけ、心血管、結腸直腸、泌尿器科、婦人科、上部消化管、および形成外科用途においてしばしば実行される。
【0006】
鈍的切開のいくつかの方法によれば、患者に小さな切開が形成される。小さなプロファイルを有する特異的に設計された鈍的切開ツールが切開を通して体内の所望の位置まで挿入される。切開から実質的に遠位にある位置に到達するために、より長いツールを使用することができ、一方、切開により近接する位置に到達するためには、より短いツールを使用することができる。
【0007】
鈍的切開により所望の組織を別々の領域に分離した後、それらの組織を分離したままにすることがしばしば必要となる。実際、ほとんどすべての型の手術後に、手術後癒着が起こり、重篤な術後合併症となる可能性がある。一般的な腹部手術および骨盤手術後、癒着により、腸閉塞、腸のねじれ、疼痛、および不妊症が引き起こされる可能性がある。癒着はまた、整形外科または心臓手術後に発することもありうる。外科的癒着疾患は、体内で正常に分離されたままの組織が、外科手術による外傷の結果として互いに向かって成長する複雑な炎症疾患である。従来の外科的方法は癒着防止性バリア、例えばJohnson & JohnsonのINTERCEED(登録商標)またはGenzyme CorporationのSEPRAFILM(登録商標)を使用する。
【0008】
INTERCEED(登録商標)は適用および取り扱いが比較的容易な織物である。しかしながら、出血が完全に制御されない場合、有効性が低下する可能性がある。SEPRAFILM(登録商標)は一般の手術において広く使用されている。しかしながら、フィルムは、その化学的構造および生体溶解性特性のために、水に暴露されると容易に分解する傾向があるため、外科医が適用し取り扱うのが困難である。これらの生体溶解性製品の組成および構造特性により、乾燥した手または器具により取り扱うことが要求され、これはほとんどの外科的介入手術中では困難な可能性がある。さらに、これらの生体溶解性フィルムの多くは組織破壊が最小に抑えられるように意図的に薄く作製されており、その結果、構造的に弱くなる(すなわち、取り扱い中に、容易に引き裂かれ、または折り畳まれる)。さらに、SEPRAFILM(登録商標)は2つの化学的に修飾された生体高分子、ヒアルロン酸ナトリウム(HA)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)から構成され、これらは活性化剤1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)と反応させられ、水不溶性の粉末ヒアルロン酸-カルボキシメチルセルロース(HA-CMC)を形成する。これは生分解性であるが、その分解生成物のいくつか、例えばより小さなCMCユニットおよびエチル-(3-ジメチルアミノプロピル)-尿素(EDU)は、患者の細胞組織により消費されない。このように、ポリマーなどの生分解性物質は親物質または分解中に形成されたそれらの物質による炎症反応を引き起こす可能性があり、また、組織により吸収され、または吸収されない場合がある。
【0009】
ほとんどのバリアフィルムの別の欠点はそれらのシート様構成による非弾性特性である。言い換えれば、バリアフィルムは機械的に伸縮性がない。このように、組織の三次元表面に適合するようにバリアフィルムを使用することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願第11/237,420号
【特許文献2】米国特許出願第11/525,328号
【発明の概要】
【0011】
本発明はフィルム構造内に設けられた1つまたは複数の孔または凹みを有する生体吸収性独立型フィルム、および対応する製造方法に関する。生体吸収性独立型フィルム内の孔により、生体吸収性フィルム自体が非弾性である態様においてさえ、フィルムは拡張し、組織の三次元表面に適合することができる。生体吸収性独立型フィルムは一般に、天然油、または一部が天然油で形成された油組成物から形成される。さらに、油組成物は治療剤成分、例えば薬物または他の生物活性剤を含むことができる。生体吸収性フィルム中の孔は、孔のないフィルムに比べ、フィルムのより多くの量の表面積に体液を接触させることにより、フィルムの生物学的吸収を促進することができる。生体吸収性独立型フィルムは短期間または長期間の適用に対し患者体内に埋め込むことができる。本明細書で実行されるように、生体吸収性独立型フィルムは、少なくとも一部が脂肪酸化合物から誘導された非ポリマー性架橋ゲルである。
【0012】
本発明に関して本明細書で使用されているように、架橋ゲルという用語は、非ポリマー性であり、実質的にランダム配置のエステル、エーテル、過酸化物、および炭素-炭素結合のうちの1つまたは複数により共有結合で架橋され三次元ネットワークとされた分子を含む油組成物から誘導されるゲルを示すことに注意すべきである。様々な好ましい態様では、油組成物は、脂肪酸分子、グリセリド、およびそれらの組み合わせを含む。
【0013】
本発明の1つの態様によれば、生体吸収性独立型フィルムは第1の側および第2の側を有し、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性架橋ゲル材料から形成されたフィルム構造、およびフィルム構造内に提供された1つまたは複数の孔を含む。
【0014】
本発明の局面によれば、脂肪酸化合物は、ω-3脂肪酸、魚油脂肪酸、遊離脂肪酸、トリグリセリド、魚油のエステル、またはそれらの組み合わせを含む。魚油脂肪酸は、アラキジン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの誘導体、類似体、および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を含むことができる。遊離脂肪酸は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、それらの類似体および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0015】
本発明の別の局面によれば、生体吸収性独立型フィルムはさらに、脂肪酸化合物の一部を形成するビタミンE化合物を含む。ビタミンE化合物は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、α-トコフェロールアセテート、β-トコフェロールアセテート、γ-トコフェロールアセテート、δ-トコフェロールアセテート、α-トコトリエノールアセテート、β-トコトリエノールアセテート、δ-トコトリエノールアセテート、γ-トコトリエノールアセテート、α-トコフェロールスクシネート、β-トコフェロールスクシネート、γ-トコフェロールスクシネート、δ-トコフェロールスクシネート、α-トコトリエノールスクシネート、β-トコトリエノールスクシネート、δ-トコトリエノールスクシネート、γ-トコトリエノールスクシネート、混合トコフェロール、ビタミンE TPGS、それらの誘導体、類似体、および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0016】
本発明の別の局面によれば、脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体は、硬化されると、粘度が増加し、フィルムを形成する。生物吸収性独立型フィルムは、UV光の適用、熱の適用、気流、およびガスまたは化学架橋剤との反応を含む硬化法の群から選択される少なくとも1つの硬化方法を使用して硬化させる。本発明に関する硬化は一般に、熱、UV、または化学的手段により引き起こされる材料の濃縮(thickening)、硬化、または乾燥を示すことに注意すべきである。
【0017】
本発明の別の局面によれば、生物吸収性独立型フィルムはさらに治療剤を含む。治療剤は、抗酸化剤、抗炎症剤、抗凝固剤、脂質代謝を変える薬物、抗増殖剤、抗腫瘍剤、組織成長刺激剤、機能性タンパク質/因子送達剤、抗感染剤、造影剤、麻酔剤、化学療法剤、組織吸収促進剤、癒着防止剤、殺菌剤、鎮痛剤、プロドラッグ、および消毒剤からなる群より選択される薬剤を含むことができる。
【0018】
本発明の別の局面によれば、治療剤はフィルム形成前に脂肪酸化合物と組み合わせられ、治療剤はフィルム全体に散在することになる。または、治療剤はコーティングの形態でフィルムに適用される。
【0019】
本発明の別の局面によれば、生体吸収性独立型フィルムは生体吸収性である。生体吸収性独立型フィルムはまた、癒着防止特性を維持することができる。
【0020】
本発明の別の局面によれば、1つまたは複数の孔は規則的なパターンを形成する。1つまたは複数の孔の少なくとも1つは第1の側から第2の側まで、またはその逆でフィルムを通って切り開かれたスリットとしてもよい。1つまたは複数の孔は規則的な形状を有してもよい。1つまたは複数の孔の少なくとも1つは液体を保持するための空洞を含んでもよい。空洞は代わりに、1つまたは複数の粒子を保持するように適合されてもよい。また、空洞は、固体粒子を有する液体を含むように適合されてもよい。1つまたは複数の孔の少なくとも1つはフィルム内に、身体部位がフィルムを通過できるように適合され開口を形成してもよい。開口は代わりに、手術器具がフィルムを損傷させずにフィルムを通過するように適合されてもよい。フィルム内の開口は、流体がフィルムを損傷させずにフィルムを通過するように適合されてもよい。本発明の別の局面によれば、1つまたは複数の孔の少なくとも1つは第1の側および/または第2の側に配置され、フィルムを完全には貫通していない。
【0021】
本発明の別の局面によれば、独立型フィルムはさらに、フィルムの第1の側に配置された第1のコーティングを含んでもよい。第2のコーティングを第1のコーティングの少なくとも一部の上面に配置してもよい。また、第2のコーティングをフィルムの第2の側に配置してもよい。第1のコーティングおよび/または第2のコーティングは1つまたは複数の孔のうちの少なくとも1つに侵入してもよい。第1のコーティングは第1の表面の一部のみまたは第1の表面全体を被覆してもよい。
【0022】
本発明の別の局面によれば、独立型フィルムは滅菌される。独立型フィルムはまたパッケージングされてもよい。
【0023】
本発明の別の態様によれば、独立型フィルムの製造方法が紹介される。方法は第1の側および第2の側を有し、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性架橋ゲル材料から形成された無孔独立型フィルムを提供する工程を含む。
【0024】
本発明の1つの局面によれば、少なくとも1つの孔は、カッティング、カービング、穿刺、または他の孔形成動作により形成される。本発明の別の局面によれば、少なくとも1つの孔は、第1の側から第2の側まで、またはその逆で、フィルムを完全に貫通する。本発明のさらに別の局面によれば、少なくとも1つの孔が第1の側または第2の側に配置され、フィルムを完全には貫通しない。本発明のさらに別の局面では、少なくとも1つの孔がフィルム内に空洞を形成する。
【0025】
本発明の別の局面によれば、方法はさらに、液体、固体、気体、またはそれらの組み合わせで空洞を充填する工程を含む。方法はまた、フィルムを滅菌し、パッケージングする工程を含んでもよい。フィルムを滅菌し、パッケージングする過程は、非透過性チャンバおよびガス透過性ヘッダを有するパウチを提供する工程、フィルムをパウチ内に入れる工程、非透過性チャンバはガス透過性チャンバを通してアクセス可能なままとなるようガス透過性ヘッダに沿ってパウチを密閉する工程、ガス透過性ヘッダを通して非透過性チャンバに提供された滅菌剤でフィルムを滅菌する工程、パウチ内の非透過性チャンバ内でフィルムを密閉する工程、および任意で、ヘッダを除去し、非透過性チャンバ内でパッケージングされ、滅菌されたフィルムを残す工程を含む。1つの態様では、滅菌剤は、エチレンオキシド(ETO)ガス、γまたは電子線照射を用いた照射、蒸気、気体プラズマ、および気化過酸化水素からなる群より選択される。
【0026】
本発明の1つの局面によれば、方法は任意で、ガス透過性ヘッダを密閉した後、非透過性チャンバを密閉する前にパウチを不活性ガスでパージし、ガス透過性ヘッダを除去する工程を含む。不活性ガスはアルゴンまたは窒素を含むことができる。本発明の別の局面によれば、方法は任意で、パウチを真空状態に暴露する工程およびガス透過性ヘッダを密閉する前にパウチを不活性ガスでパージする工程を含む。不活性ガスはアルゴンまたは窒素を含むことができる。本発明のさらに別の局面によれば、フィルムをパウチ内に入れた後、方法は任意で、パウチを不活性ガスでパージする工程およびガス透過性ヘッダを密閉する前にパウチを真空状態に暴露する工程を含む。不活性ガスはアルゴンまたは窒素を含むことができる。
【0027】
本発明の別の局面によれば、ガス透過性ヘッダを密閉する前に、乾燥剤、脱酸素剤、酸素バリア、またはそれらの組み合わせをパウチに追加する。乾燥剤は、シリカゲル、クレイ、モレキュラーシーブ、過マンガン酸カリウム、活性炭、活性アルミナ、および吸水性ポリマーからなる群より選択される。
【0028】
本発明の別の態様によれば、第1の側および第2の側を有し、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性架橋ゲル材料から形成されたフィルム構造、ならびにフィルム構造内で第1の側および/または第2の側上に形成された1つまたは複数の凹みを含む独立型フィルムが提供される。1つまたは複数の凹みの少なくとも1つはフィルムを完全に貫通しなくてもよい。また、1つまたは複数の凹みの少なくとも1つは第1の側から第2の側まで、またはその逆で、フィルムを完全に貫通してもよい。独立型フィルムはさらに、第1の表面および/または第2の表面上に配置されたコーティングを含んでもよい。独立型フィルムはまた、滅菌されおよび/またはパッケージングされてもよい。
【0029】
本発明のさらに別の態様によれば、独立型フィルムを製造する方法が提供される。方法は、液体形態であり、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性材料である化合物を提供する工程;化合物を1つまたは複数の突起を有する鋳型に適用する工程;ならびに化合物を硬化させて第1の側および第2の側を有する独立型フィルムを形成する工程を含む。
【0030】
本発明の1つの局面によれば、1つまたは複数の突起は独立型フィルムの第1の側に1つまたは複数の凹みを形成させうる。また、1つまたは複数の突起は独立型フィルム内に1つまたは複数の穴を形成させうる。
【0031】
本発明の別の局面によれば、方法はさらに、非透過性チャンバおよびガス透過性ヘッダを有するパウチを提供する工程;フィルムをパウチに入れる工程;パウチをガス透過性ヘッダに沿って密閉し、非透過性チャンバがガス透過性ヘッダを介してアクセス可能なままとする工程;ガス透過性ヘッダを介して非透過性チャンバに提供された滅菌剤でフィルムを滅菌する工程;パウチ内で非透過性チャンバ中にフィルムを密閉する工程;ならびに任意で、ヘッダを除去し、非透過性チャンバ内でパッケージングさせ、滅菌させたフィルムを残す工程を含む。滅菌剤は、エチレンオキシド(ETO)ガス、γまたは電子線照射を用いた照射、蒸気、気体プラズマ、および気化過酸化水素からなる群より選択されてもよい。フィルムをパウチに入れた後、方法はさらに、パウチを真空状態に暴露する工程、およびガス透過性ヘッダを密閉する前に、パウチを不活性ガスでパージする工程を含んでもよい。不活性ガスはアルゴンまたは窒素を含んでもよい。また、フィルムをパウチ内に入れた後、方法はさらに、パウチを不活性ガスでパージする工程、およびガス透過性ヘッダを密閉する前に、パウチを真空状態に暴露する工程を含んでもよく、ここで不活性ガスはアルゴンまたは窒素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は下記の説明および添付の図面を参照するとよりよく理解されるであろう。
【0033】
【図1A】本発明の1つの態様による、規則的なパターンを形成する、切り開かれた孔を有する生体吸収性独立型フィルムの例示的な図である。
【図1B】本発明の1つの態様による、不規則なパターンを形成する円形孔を有する生体吸収性独立型フィルムの例示的な上面図である。
【図1C】本発明の1つの態様による、円形パターンを形成する不規則な形状の孔を有する生体吸収性独立型フィルムの例示的な上面図である。
【図1D】本発明の1つの態様による、X字を形成する2つの切り開かれた孔を有する生体吸収性独立型フィルムの例示的な上面図である。
【図1E】本発明の1つの態様による、フィルム構造内に開口を形成する孔を有する生体吸収性独立型フィルムの例示的な上面図である。
【図1F】本発明の1つの態様による、フィルム内に空洞を形成する孔を有する生体吸収性独立型フィルムの例示的な上面図および拡大図である。
【図1G】本発明の1つの態様による、孔または凹みを有する生体吸収性独立型フィルムの例示的な上面図である。
【図1H】本発明の1つの態様による、フィルムをAA’線に沿って切断した場合の図1Gのフィルムの側面図である。
【図2A】本発明の1つの態様による、組織の三次元表面に適合する有孔独立型フィルムを示す図である。
【図2B】本発明の別の態様による、組織の三次元表面に適合する有孔独立型フィルムを示す図である。
【図3A】本発明の1つの態様による、フィルムの1つの側がコーティングで被覆された独立型フィルムの例示的な側面図である。
【図3B】本発明の1つの態様による、フィルムの両側がコーティングで被覆された独立型フィルムの例示的な側面図である。
【図3C】本発明の1つの態様による、フィルムの1つの側が2つのコーティングで被覆された独立型フィルムの例示的な側面図である。
【図3D】本発明の1つの態様による、フィルムの1つの側がコーティングで被覆され、コーティングがフィルム内に形成された孔に侵入している、独立型フィルムの例示的な側面図である。
【図3E】本発明の1つの態様による、フィルムの1つの側がコーティングで被覆され、コーティングがフィルム内に形成された凹みを被覆している、独立型フィルムの例示的な側面図である。
【図4】本発明の1つの態様による、独立型フィルムをコーティングする方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の1つの態様による、独立型フィルムをコーティングする別の方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の1つの局面による、ヘッダを有するパッケージングパウチの概略図である。
【図7】本発明の1つの態様による、1つまたは複数の孔を有する独立型フィルムを製造する方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の1つの局面による、生体吸収性独立型フィルムをパッケージングし、滅菌する方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の1つの態様による、1つまたは複数の凹みを有する独立型フィルムを製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
本発明は、生体吸収性独立型フィルムを形成するために主に脂肪酸を使用する。1つまたは複数の孔または凹みがフィルム内に形成される。独立型フィルムという句は、本明細書では、フィルムに構造を提供するフィルム材料の他にいずれの材料も必要としないフィルムを示すために使用される。魚油のコーティングを有する医療装置は、フィルムに構造を提供するために魚油のコーティングが装置に依存するため、独立型フィルムではない。生体吸収性独立型フィルム内の孔により、生体吸収性フィルムが非弾性である場合であっても、フィルムは拡張し、組織の三次元表面に適合することができる。独立型フィルムは生体吸収性であり、細胞が分解生成物、脂肪酸、短鎖および長鎖アルコール、ならびにグリセリド分子を消費しうる。生体吸収性物質は分解して、炎症反応を引き起こさず、体組織を形成する細胞により消費されうる物質または成分となる。生体吸収性フィルム内の孔はまた、孔のないフィルムに比べ、より多くの量のフィルム表面積に体液を接触させることにより、フィルムの生物学的吸収を促進する。さらに、得られたフィルムは可撓性で、取り扱いが簡単で、かなり強い。得られたフィルムは、所定の時間の間、癒着防止性が望ましい場合、多くの外科手技と共に使用してもよい。
【0035】
図1A〜図9は、本発明による、フィルム内に孔または凹みが形成された非ポリマー性生体吸収性独立型フィルムおよび製造方法の例示的な態様を示す。図1Aは本発明の1つの態様による例示的な生体吸収性独立型フィルム100を示す。生体吸収性独立型フィルム100は第1の側102および第2の側104を有する。生体吸収性独立型フィルム100は、患者体内で平面、湾曲、または巻き構造で配置できる程度まで可撓性である。独立型フィルム100は短期間および長期間の両方の適用に対し、埋め込みできる。生体吸収性独立型フィルム100は0.003インチ〜0.008インチの範囲の厚さを有する。当業者であれば、いくつかの生体吸収性独立型フィルム100を共に層状にすることによりフィルムが厚くなる可能性がある、またはフィルム自体が厚く製造される可能性があることを認識するであろう。言い換えれば、生体吸収性独立型フィルム100が厚いほど、生体吸収性独立型フィルム100が患者の体内で完全に分解するのにかかる時間が長くなる。生体吸収性独立型フィルム100は、例えば、これらに限定されないが、数時間、数週間、または数ヶ月の所定の期間の間バリアを提供するように構成されてもよい。
【0036】
生体吸収性独立型フィルム100は脂肪酸、例えばω-3脂肪酸、魚油脂肪酸、遊離脂肪酸、トリグリセリド、魚油のエステル、またはそれらの組み合わせから作製される。魚油脂肪酸はさらに、アラキジン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの誘導体、類似体、および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは組み合わせとしてもよい。遊離脂肪酸は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、またはそれらの誘導体、類似体、および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは組み合わせとしてもよい。
【0037】
より詳細には、生体吸収性独立型フィルム100は脂肪酸化合物から誘導した非ポリマー性架橋ゲルから形成される。脂肪酸は、生体吸収性独立型フィルムを形成するために使用される油が魚油またはその類似体もしくは誘導体である場合、ω-3脂肪酸を含む。液体魚油を加熱すると、酸素が魚油中に吸収されて自己酸化が起き、ヒドロペルオキシドが魚油中の不飽和(C=C)部位の量に依存する量で生成する。しかしながら、(C=C)結合は最初の反応で消費されない。ヒドロペルオキシドの形成と同時に、二重結合共役に加えてシスからトランスへの二重結合(C=C)の異性化が起こる。ヒドロペルオキシド形成は温度と共に増加することが証明されている。魚油の加熱により、ペルオキシド(C-O-O-C)、エーテル(C-O-C)、および炭化水素(C-C)架橋の組み合わせを使用した魚油不飽和鎖間の架橋が起こる。(C=C)結合実質的にトランス構造に異性化された後、架橋の形成により、フィルムのゲル化が生じる。(C=C)結合はまた、Diels-Alder反応を使用してグリセリド炭化水素鎖内でC-C架橋を形成することができる。架橋によりフィルムが固化する他に、ヒドロペルオキシドおよび(C=C)結合の両方が二次反応を受けることができ、アルデヒド、ケトン、アルコール、脂肪酸、エステル、ラクトン、エーテル、および炭化水素を含む、より低分子量の二次酸化副産物に変換される。
【0038】
したがって、魚油化合物などの脂肪酸化合物から誘導されるフィルムは、遊離および結合グリセロール、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、脂肪酸、無水物、ラクトン、脂肪族ペルオキシド、アルデヒド、ならびにケトン分子の他に、トリグリセリドおよび脂肪酸分子の架橋構造を含む。フィルム内の架橋の大部分を形成するペルオキシド結合の他に、硬化後、相当量のエステル結合が残っている。フィルムは、脂肪酸、短鎖および長鎖アルコール、ならびにグリセリド分子に分解し、これらは全て非炎症性であり、その上、フィルムが適用された柔組織中の細胞により消費可能である。このように、フィルムは生体吸収性である。
【0039】
生体吸収性独立型フィルム100はさらに、組織に対し滑らかな癒着防止表面を提供する。生体吸収性独立型フィルムはそれ自体、その実質的に硬化された構造では、組織の2つの部分の間に物理的な癒着防止バリアを提供することができる。天然油、例えば魚油を使用することにより、フィルム表面に追加の滑らかさが提供され、損傷の減少が促進される。損傷が少なくなると、炎症反応がより少なくなり、要求される治癒が少なくなる。フィルムの油性表面が癒着防止特性を提供する。当業者であれば、異なる油は異なる癒着防止特性を有し、所望であれば、修飾してより液体もしくは固体の、または蝋状のものとすることができることを認識するであろう。したがって、フィルムにより提供される癒着防止特性の程度は変動可能である。より液体の物理状態からより固体とするが、依然として可撓性とする油の修飾は、硬化過程を介して実行される。油が硬化されると、とりわけ魚油などの脂肪酸系油の場合、架橋してゲルが形成する。硬化過程を長時間および/または高温状態および/または高UV出力で実行すると、より多くの架橋が起こり、かなり液体のゲルからかなり固体様であるが、依然として可撓性のゲル構造へ移行する。
【0040】
本発明の1つの局面によれば、生体吸収性独立型フィルム100はさらに、治療剤を含むことができる。治療剤は、抗酸化剤、抗炎症剤、抗凝固剤、脂質代謝を変える薬物、抗増殖剤、抗腫瘍剤、組織成長刺激剤、機能タンパク質/因子送達剤、抗感染剤、造影剤、麻酔剤、化学療法剤、組織吸収促進剤、癒着防止剤、殺菌剤、鎮痛剤、プロドラッグ、および消毒剤からなる群より選択される薬剤を含むことができる。治療剤は、生体吸収性独立型フィルムを形成する前に脂肪酸化合物に添加してもよく、そのため、治療剤は生体吸収性独立型フィルム100全体に散在する。また、脂肪酸化合物が生体吸収性独立型フィルムを形成した後、治療剤を生体吸収性独立型フィルム100に適用し、生体吸収性独立型フィルムの表面にコーティングを形成させてもよい。
【0041】
本発明の1つの局面によれば、治療剤はビタミンE化合物を含むことができる。ビタミンE化合物は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、α-トコフェロールアセテート、β-トコフェロールアセテート、γ-トコフェロールアセテート、δ-トコフェロールアセテート、α-トコトリエノールアセテート、β-トコトリエノールアセテート、δ-トコトリエノールアセテート、γ-トコトリエノールアセテート、α-トコフェロールスクシネート、β-トコフェロールスクシネート、γ-トコフェロールスクシネート、δ-トコフェロールスクシネート、α-トコトリエノールスクシネート、β-トコトリエノールスクシネート、δ-トコトリエノールスクシネート、γ-トコトリエノールスクシネート、混合トコフェロール、ビタミンE TPGS、それらの誘導体、類似体、および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0042】
当業者であれば、本発明の生体吸収性独立型フィルムは、上に記載されていない他の治療剤と共に適用してもよいことを認識するであろう。これらの治療剤は治癒目的で添加されるものであり、生体吸収性独立型フィルムに構造を提供するものではない。さらに、生体吸収性独立型フィルムは、フィルムの天然油成分の利点を依然として維持しながら、治療剤の制御された長期放出の可能性を生み出す様式で形成させることができる。本発明を用いると、柔組織適用の分野では、治療剤の取り込みは生体吸収性独立型フィルムによる細胞膜への治療剤の送達により促進される。
【0043】
生体吸収性独立型フィルム100は、多くの異なる種類の孔または凹みを有するように形成することができる。本発明の1つの局面によれば、生体吸収性独立型フィルム100は、第1の側から第2の側まで、またはその逆に切り開かれたスリットである孔106を有してもよい。孔106は規則的なパターンを形成し、互いに一列に並べられている。孔106は同じ長さのスリットを形成する。任意の2つの隣接する孔の間の距離もまた同じである。
【0044】
本発明の別の態様によれば、独立型フィルムは図1Bで示されるように、フィルム内に小さな穴を形成する孔108を有してもよい。孔108は規則的な円形状を有する。孔は同じサイズであってもよく、またはそうでなくてもよい。孔108は、規則パターンを形成してもよく、またはそうでなくてもよいが、本実施例では無作為に配置される。
【0045】
本発明のさらに別の局面によれば、独立型フィルムは図1Cに示されるような孔110を有してもよい。孔110は不規則形状を有するが、円形態の規則的なパターンを形成する。
【0046】
本発明のさらに別の局面によれば、独立型フィルムは、例えば図1Dに示されるように、互いに交差するか、または重なる複数の孔を有してもよい。孔112は互いに交差する2つのスリットである。スリットは第1の側102から第2の側104まで切り開かれる。そのような配列により、必要な時にフィルムを通して器具を挿入することができるが、依然として、フィルムの両側から組織がかなり良好に分離されたままとされる。また、孔により、身体部位が必要な時にフィルムを通過することもできる。そのような孔の利点は、フィルム内に大きな開口を形成させずに、必要な時にフィルム内に異なるサイズの開口が形成されるが、フィルムがそのバリア機能を依然として維持することができるように孔を適合させることができることである。
【0047】
本発明のさらに別の局面によれば、図1Eに示される独立型フィルムは、フィルムを損傷することなく、手術器具がフィルムを貫通するのに十分大きい開口を形成する孔114を有してもよい。開口はまた、身体部位がフィルムを貫通できるように適合させることができる。開口はまた、フィルムを損傷することなく、流体がフィルムを貫通できるように適合させることができる。
【0048】
本発明のさらに別の局面によれば、図1Fに示される独立型フィルムは空洞を含む孔116を有する。空洞は開口120およびコンパートメント118を有する。開口120はフィルムの1つの表面上にあり、コンパートメント118はフィルムの第1の表面102と第2の表面104との間にある。言い換えれば、空洞はフィルムの1つの側からもう一方の側まで貫通していない。空洞はコンパートメント118内に液体を保持するために使用してもよい。空洞はまた、コンパートメント118内に1つまたは複数の粒子を保持するために使用されてもよい。空洞は、液体および固体粒子の両方を保持してもよい。
【0049】
本発明のさらに別の態様によれば、図1Gに示される独立型フィルムは、第1の側102および/または第2の側104上に配置されているにすぎず、フィルムを完全には貫通していない孔122を有する。孔122は規則的な形状を有するが、この場合、規則的なパターンを形成していないが、パターンは可能である。また、孔122は表面上にのみ形成され、フィルムを貫通しない凹み122として考えてもよい。図1Hは図1Gの線AA’からの側面図を示す。図1Hは、孔/凹み122がフィルムの片側からもう一方の側まで貫通しないことをよりよく示している。
【0050】
当業者であれば、本発明は本明細書で開示された特定の形状および寸法に限定されず、例示的な態様は実証目的のみのものにすぎないことを認識するであろう。具体的には、当業者には理解されるように、孔の位置、パターン、配置、サイズ、形状、深さ、および他の変動が可能である。
【0051】
図2Aは、本発明の1つの態様による、有孔独立型フィルムをどのように使用して組織の三次元表面に適合させることができるかを示す図である。有孔独立型フィルム100は孔として狭いスリット124を有する。孔124により独立型フィルム100は、先行技術による非弾性バリアフィルムでは不可能である様式で拡張することができる。有孔独立型フィルム100は、フィルム100を引き裂くことなく、組織126の三次元表面に適合することができる。これは、孔124を用いると達成されるが、孔が、そうでなければ非拡張性または非弾性材料において拡張点または領域を提供するからである。孔124はフィルム内に開口を生成し、これにより、体液がフィルムを通過し、フィルムの患者の身体による生体吸収過程を促進することができる。
【0052】
図2Bは、本発明の別の態様による、どのように有孔独立型フィルムを使用して組織の三次元表面に適合させることができるかを示す図である。生体吸収性独立型フィルム100は、フィルム100が組織の三次元表面126を包み込むことができるようにする孔124を有する。当業者であれば、独立型フィルム100が有することができる多くの異なる孔構造および配向が存在し、そのためフィルムは様々な組織表面に適合することができることを認識するであろう。独立型フィルム内の孔はまた、孔を有しない同じサイズの独立型フィルムに比べ、より多くの量の表面積のために、フィルムの分解を促進する。このように、有孔独立型フィルムは組織の三次元表面に適合することができ、また、フィルムの患者の身体による生体吸収を促進することができる。
【0053】
本発明の別の局面によれば、独立型フィルムはフィルムの1つの側または両側にコーティングを有してもよい。図3Aに示されるように、独立型フィルム100はフィルムの第1の側102に配置されたコーティング130を有する。コーティング130は第1の表面の一部または第1の表面全体を被覆してもよい。図3Bでは、独立型フィルム100は、第1の表面102上に配置された第1のコーティング130の他に、第2の表面104上に配置された第2のコーティング132を有してもよい。この図では、第2のコーティング132は第2の表面104の一部しか被覆していないが、当業者であれば、第2のコーティング132はまた、第2の表面104の全体を被覆してもよいことを認識するであろう。図3Cでは、独立型フィルム100は第1のコーティング130の少なくとも一部の上面に配置された第2のコーティング132を有する。当業者であれば、フィルム100の第1の表面102および/または第2の表面104上に別のコーティングを適用してもよいことを認識するであろう。図3Dでは、第1のコーティング130は孔114に侵入する。当業者であれば、第1のコーティングもまた適用することができ、孔106に侵入しないことを認識するであろう。図3Eでは、第1のコーティング130は独立型フィルム100の凹み122を被覆する。当業者であれば、第1のコーティング130はまた、フィルム100の凹み122を被覆しないものとすることができ、または凹み122は異なるコーティングにより被覆されてもよいことを認識するであろう。当業者であれば、フィルムの何らかの部分がコーティングにより被覆される多くの異なる構造が存在することを認識するであろう。
【0054】
独立型フィルム上のコーティングの型は特に制限されないが、例えば、生分解性および非生分解性コーティング;ポリエチレンコーティングなどのポリマーコーティング;非ポリマーコーティング、生体吸収性コーティングなどを含むことができる。したがって、独立型フィルム上のコーティングは化学的に感応性であり、または化学的に感応性の成分または治療薬を含んでもよい。本発明の1つの態様によれば、コーティングは非ポリマー性架橋ゲルの形態とすることができる。
【0055】
1つの態様では、コーティングは、1つまたは複数の治療剤を有する、または有しない、上記コーティングのうちのいずれかとすることができる。本発明において使用するのに適した治療剤は特に限定されない。治療剤は、親水性、親油性、両親媒性、または疎水性とすることができ、生体吸収性担体、溶媒、または生体吸収性担体および溶媒に溶解することができる。治療剤は、被験体、例えば哺乳類に投与した場合に薬効を有する任意の薬剤とすることができる。
【0056】
本明細書で使用されるように、「治療剤」という句は、入手可能な数々の異なる薬物または薬剤、ならびに本発明の生体吸収性独立型フィルムと共に使用するのに有益である可能性のある次世代の薬剤を示す。治療剤は、抗酸化剤、抗炎症剤、抗凝固剤、脂質代謝を変える薬物、抗増殖剤、抗腫瘍剤、組織成長刺激剤、鎮痛剤、機能タンパク質/因子送達剤、抗感染剤、造影剤、麻酔剤、治療剤、組織吸収促進剤、癒着防止剤、遊走防止剤、治癒促進剤、ECM/タンパク質産生阻害剤、殺菌剤、消毒剤、プロテオグリカン、GAG、遺伝子送達(ポリヌクレオチド)、多糖(ヘパリン)、ラパマイシン、メラトニン、パクリタキセル、プロテインキナーゼC阻害剤、セリバスタチン、シロスタゾール、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、またはそれらの誘導体、類似体、プロドラッグ、および薬学的に許容される塩、ならびに下記表1に列挙したものなどの任意の追加の所望の治療剤を含むがそれに限定されない、多くの形態をとることができる。
【0057】
【表1】


【0058】
抗再狭窄領域において有用な治療剤のいくつかの具体例としては、セリバスタチン、シロスタゾール、フルバスタチン、ロバスタチン、パクリタキセル、プラバスタチン、ラパマイシン、ラパマイシン炭水化物誘導体(例えば、米国特許出願公開第2004/0235762号に記載)、ラパマイシン誘導体(例えば、米国特許第6,200,985号に記載)、エベロリムス、セコ-ラパマイシン、セコ-エベロリムス、およびシンバスタチンが挙げられる。
【0059】
薬物負荷では、治療剤は、本発明の1つの態様によるフィルムの形成前に脂肪酸化合物と組み合わされる。このように、得られたフィルムはフィルム全体に散在する治療剤を有する。薬物コーティングでは、治療剤は、生体吸収性独立型フィルム上のコーティングの形態で適用される。1つの態様では、コーティングは生体吸収性独立型フィルム上に薬物負荷された脂肪酸化合物を重ねることにより適用することができる。治療剤を適当な溶媒に溶解した後、脂肪酸化合物とブレンドし、コーティング材料を形成させる。コーティング材料を生体吸収性独立型フィルム上にコーティングとして適用する前に、溶媒を蒸発させる。あるいは、治療剤は、溶媒を使用せずに、脂肪酸化合物中に直接ブレンドしてもよい。コーティング材料は例えば、生体吸収性独立型フィルム上に噴霧または刷毛塗りすることができる。コーティング材料はまた、生体吸収性独立型フィルム上面に直接鋳造させることができる。コーティング材料を有する生体吸収性独立型フィルムを加熱し、またはUV光に暴露させ、コーティング材料の粘度を、ゲル化点を超えて上昇させ、このように、生体吸収性独立型フィルム上に架橋ゲルコーティングを生成させる。また、コーティング材料をより低い粘度状態のままで残し、薬物回収速度を維持し、またはコーティング材料中で使用される治療剤の放出特性を変化させることができる。
【0060】
本発明の1つの態様によれば、コーティングは図4のフローチャートにより示されるように、ポリイオンレイヤーバイレイヤー(LBL)技術を用いて適用することができる。生体吸収性独立型フィルム100を提供した(工程140)後、生体吸収性独立型フィルムを、ある期間の間カチオン溶液(+荷電)に接触させ(工程142)、その後、生体吸収性独立型フィルムを脱イオン水ですすぐ(工程144)。この結果、生体吸収性独立型フィルムには、正荷電高分子電解質コーティングの層が追加される。生体吸収性独立型フィルムをある期間の間アニオン溶液(-荷電)に接触させ(工程146)、その後、生体吸収性独立型フィルムを脱イオン水で再びすすぐ(工程148)ことにより、別のコーティング層を次に適用させる。当業者であれば、高分子電解質の濃度を変動できることを認識するであろう。LBL系の高分子電解質成分の1つを治療剤に置き換えることにより、治療剤を生体吸収性独立型フィルム上にコートする(工程150)。治療剤を適用した後、生体吸収性独立型フィルムを脱イオン水ですすいでもよい(工程152)。この一般的な手順を使用して、単一の薬物層を生体吸収性独立型フィルムの表面上にコートすることができる。また、薬物を生体吸収性独立型フィルムの表面上にコートした後キャッピング高分子電解質二重層を適用することができ(工程154)、手順(工程148、150、および154)を数回繰り返し、複数の埋め込み薬物層を生成させることができる。
【0061】
本発明のさらに別の態様によれば、図5のフローチャートに示されるように、コーティングは生体吸収性独立型フィルムを溶媒-治療薬混合物に浸漬させ、治療剤を生体吸収性独立型フィルム上に負荷させることにより適用することができる。治療剤を適当な溶媒に溶解する(工程160)。生体吸収性独立型フィルムをその後、ある期間の間溶液中に浸漬し、フィルムの表面をコートさせ、またはフィルムを膨潤させ、溶液のいくらかを吸収するようにする(工程162)。生体吸収性独立型フィルムをその後取り出し(工程164)、フィルム中の溶媒を蒸発させる(工程166)。この方法と共に使用してもよい溶媒の例としては、エタノールおよびnMPが挙げられるが、それらに限定されない。
【0062】
当業者であれば、上記方法以外に、独立型フィルム上にコーティングを適用するためには、噴霧または塗装などの他の方法が存在することを認識するであろう。当業者であればまた、コーティングはその中に組み入れられた治療剤を有してもよく、または有さなくてもよいことを認識するであろう。独立型フィルムは、最初、治療剤無しで作製してもよく、後に、治療剤を有するコーティングをフィルムに適用することができる。フィルムおよびコーティング中で使用される治療剤の型は、同じであってもよく、またはそうでなくてもよい。例えば、有孔独立型フィルムは、より長く作用する薬剤がフィルム中に加工されていてもよく、一方、コーティングは、より短く作用する薬剤を有してもよい。
【0063】
本発明の別の局面によれば、フィルムは滅菌され、またはパッケージングされてもよい。図6は、非透過性チャンバおよびガス透過性ヘッダを有するパッケージングパウチの概略図であり、この場合、パウチを使用してフィルムを滅菌および/またはパッケージングしてもよい。本発明の1つの局面によれば、パッケージングパウチ200は、非透過性材料210およびガス透過性ヘッダ220から構成される。透過性材料は、TYVEKなどの材料から構成させてもよい。材料は、本明細書で記載されるように、滅菌ガスまたは生成物が材料を透過できる程度まで透過性である。パッケージンングパウチは様々な独立型フィルムを含むことができるチャンバ230を有する。本発明と共に使用するのに適した独立型フィルムとしては、例えば、埋め込み可能な独立型フィルム(すなわち、ステント、バルーン、カテーテル、独立型フィルム、手術用メッシュなど)、手術器具(すなわち、鉗子、メス、開創器など)、および滅菌を必要とする任意の他の独立型フィルムまたは器具が挙げられる。さらに、パッケージングパウチは、任意の様式の独立型フィルムまたは器具を含むように任意のサイズおよび/または形状で製造することができる。
【0064】
図6に戻ると、パッケージングパウチは滅菌のためにパウチを密閉する2つの部位を有する。第1の密閉部位240はガス透過性ヘッダ220の上部のパウチの開口に存在する。第2の密閉部位250はヘッダ120の底に存在する。
【0065】
当業者であれば、パッケージングパウチ200は、本発明により使用することができるパッケージ構造の態様を示す一例にすぎないことを認識するであろう。例えば、ヘッダ220は、所望の滅菌および不活性ガスに対するその透過性を含む本明細書で記載したヘッダの機能局面が維持される限り、多くの異なる構造態様で組み入れることができる。ヘッダ220は、パッチ、アクセスポイント、バルブ、または、本発明の滅菌法に関し本明細書で記載したヘッダと同様の様式で実行する他のガス透過性実行部として組み入れることができる。ヘッダ220は、滅菌法を可能にするパッケージ上の任意の位置に配置することができる。
【0066】
さらに、パッケージの材料210は、空気に対し非透過性である、または実質的に非透過性であるという機能性が維持される限り、多くの異なる材料から作製することができる。例えば、プラスチック、複合物、金属、および他の材料が、この機能性を提供することができる。
【0067】
さらに、当業者であれば、本発明が密閉部の位置(第1の密閉部位240および第2の密閉部位250)、ならびに本明細書で図示し、記載した特定の構造に関して限定されないことを認識するであろう。密閉部は、密閉部がガス透過性領域(例えば、ヘッダ220)を含むチャンバを密封し、その後、パッケージングパウチ200の箔材料210領域を密封する機能を提供し、パッケージングパウチ200の滅菌された内容物がその滅菌環境で維持される限り、多くの実行において構成、配置させることができる。
【0068】
滅菌は、化学的に感応性の独立型フィルム、または独立型フィルムに適用された任意のコーティングまたはコーティングに含まれる任意の治療剤を実質的に劣化させずに起こることに注意すべきである。1つの態様では、滅菌は、シス二重結合の損失により、またはコーティングの架橋度を変化させることにより、実質的にコーティングを変化させることはない。
【0069】
図7はフィルム構造内に1つまたは複数の孔を有する独立型フィルムを作製する方法を示すフローチャートである。本発明の1つの局面によれば、第1の側および第2の側を有し、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性架橋ゲル材料から形成された無孔独立型フィルムが提供される(工程302)。少なくとも1つの孔(106、108、110、112、114、116、122)がその後、フィルム内に形成される(工程304)。少なくとも1つの孔(106、108、110、112、114、116、122)は、フィルムをカッティング、カービング、または穿刺することにより形成することができる。少なくとも1つの孔(106、108、110、112、114)は、第1の側から第2の側まで、またはその反対で、フィルムを完全に貫通することができる。あるいは、少なくとも1つの孔(110、116、122)はまた、第1の側および/または第2の側上に配置することができ、フィルムを完全に貫通しない。少なくとも1つの孔(116)はフィルム中に空洞(118)を形成してもよい。空洞(118)は任意で、液体、固体、気体、またはそれらの組み合わせで充填させることができる(工程306)。フィルムはその後任意で、滅菌してパッケージングすることができる(工程308)。
【0070】
図8は、化学的に感応性の独立型フィルムを工程308で滅菌剤を用いてパッケージングおよび滅菌する詳細な工程を示すフローチャートである。本発明の1つの局面によれば、化学的に感応性の独立型フィルム100を提供する(工程405)。本明細書で使用されるように、「化学的に感応性の」という用語は、熱、蒸気、水、空気、もしくは化学薬品、またはその組み合わせに暴露されると分解するおよび/または化学的に反応する可能性のある任意の材料を示す。化学的に感応性の独立型フィルム100は、装置の1つまたは複数の構成要素が、熱、蒸気、水、空気、もしくは化学薬品、またはその組み合わせに暴露されると分解するおよび/または化学的に反応する可能性のある装置とすることができる。独立型フィルムの化学的に感応性の構成要素としては、例えば、それ自体が装置を構成する任意の材料、ならびに任意のコーティングおよび/またはコーティングまたは独立型フィルム内に含まれる治療剤が挙げられる。
【0071】
さらに図8について説明すると、パッケージングパウチ200を提供する(工程410)。独立型フィルム100をその後、パッケージングパウチ200に入れる(工程415)。本発明の1つの局面によれば、パウチを密閉する前に、乾燥剤、脱酸素剤、酸素バリア、またはそれらの組み合わせをパッケージングパウチに追加してもよい。適した乾燥剤としては、例えば、シリカゲル、クレイ、モレキュラーシーブ、過マンガン酸カリウム、活性炭、および活性アルミナが挙げられる。適した脱酸素剤としては、酸素を吸収することができる任意の無機材料、例えば、パウチに封入された、またはパッケージ内に添加された、酸化鉄粉末、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、酸素吸収性ポリマーが挙げられる(例えば、Chevron-Phillips Chemical Companyのエチレンメチルアクリレートシクロヘキセンメチルアクリル化(EMCM)ポリマーまたはCiba’s Specialty ChemicalのSHELFPLUS)。酸素バリアの例としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)-コートフィルムおよびポリビニルアルコール(PVOH)が挙げられる。1つの態様では、抗酸化剤および/または乾燥剤材料を、パウチを製造するために使用する材料中に組み入れてもよい。別の態様では、パッケージングパウチは抗酸化パッケージ材料から構成させてもよい。抗酸化パッケージング材料の例としては、例えば、エチレンメチルアクリレートシクロヘキセンメチルアクリル化(EMCM)ポリマー(Chevron-Phillips)、Ciba Specialty Chemicals SHELFPLUS、または他の市販の抗酸化パッケージング材料が挙げられる。さらに別の態様では、パッケージング材料は任意でガス透過性としてもよい。
【0072】
1つの態様では、パウチは不活性ガスでパージし(工程420)、その後真空条件に供し(工程425)、その後、ガス透過性ヘッダを密閉する(工程440)ことができる。別の態様では、パウチを真空条件に供し(工程430)、その後、不活性ガスでパージし(工程435)、その後、ガス透過性ヘッダを密閉する(工程440)ことができる。さらに別の態様では、独立型フィルムをパウチ内に入れた直後に、独立型フィルムを含むパウチをヘッダの上部のパウチの開口で密閉する(工程440)。この時点で密閉すると、パッケージングパウチはガスおよび蒸気に対し透過性であり、滅菌過程を実施することができる。
【0073】
独立型フィルム100を含む密閉したパウチ200をその後、滅菌剤で滅菌する(工程445)。滅菌剤は当技術分野で周知であり、例えば、標準のエチレンオキシド(ETO)ガス、冷ETOガス、グルタルアルデヒド水溶液、γまたは電子線照射を用いた照射、ならびに蒸気、気体プラズマ、および気化過酸化水素(VHP)が挙げられる。1つの特別な態様では、滅菌剤は気化過酸化水素である。別の特別な態様では、滅菌剤は冷ETOガスであり、この場合、ETOガスは約25〜130℃で投与される。別の態様では、ETOガスは約37℃で投与される。したがって、コーティングおよび任意で1つまたは複数の治療剤を有する独立型フィルムが、VHPまたは冷ETOガスで滅菌されると、独立型フィルム、コーティングおよび/または1つもしくは複数の治療剤の分解が減少する。さらに、滅菌されると、独立型フィルムの有効期間が延長される。
【0074】
さらに図8を参照すると、パッケージングパウチ200内で独立型フィルム100を滅菌した後、非透過性チャンバを点250で真空密閉する(工程450)。本発明の一例の態様によれば、パッケージングパウチ200をアルゴンまたは窒素などの不活性ガスでパージし、その後、第2の密閉点250で非透過性チャンバを真空密閉することができる(工程446)。パッケージングパウチを第2の密閉点250で真空密閉する。パッケージングパウチを第2の密閉点250で真空密閉した後、所望であれば、ヘッダをその後除去することができる(工程460)。本発明の別の態様によれば、滅菌パッケージングパウチを真空条件に供し(工程447)、不活性ガス、例えば、アルゴンまたは窒素でパージし(工程448)、第2の密閉点250で密閉する(工程449)ことができる。パッケージングパウチを密閉した後、所望であれば、ヘッダをその後除去することができる(工程460)。
【0075】
図9は、1つまたは複数の凹み122を有する独立型フィルム100を製造する形式の、本発明の別の方法を示すフローチャートである。本発明の1つの局面によれば、液体形態で、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体で形成された非ポリマー性材料である化合物を提供する(工程502)。その後、化合物を1つまたは複数の突起を有する鋳型に適用する(工程504)。化合物を鋳型上で硬化させ、第1の側102および第2の側104を有する独立型フィルム100を形成させる(工程506)。1つまたは複数の突起は独立型フィルムの第1の側または第2の側上に1つまたは複数の凹み122を生成させる。または、1つまたは複数の突起は独立型フィルム100内に1つまたは複数の穴を生成させることができる。1つまたは複数の突起は、同じサイズ、形状、幅、または高さを有しても有さなくてもよい。このように、凹みおよび穴の両方を有する独立型フィルムを作製するために鋳型を使用することができる。最後に、フィルムは工程308において任意で滅菌、パッケージングしてもよい。
【0076】
本発明の有孔生体吸収性独立型フィルム100は、組織を分離したまま癒着しないようにするバリアとして使用してもよい。癒着防止のための適用例としては、腹部手術、脊髄修復、整形外科手術、腱および靱帯の修復、婦人科および骨盤手術、ならびに神経修復用途が挙げられる。有孔生体吸収性独立型フィルムは外傷部位上に適用し、または組織もしくは器官を包み込んで、癒着形成を制限してもよい。これらの癒着防止用途において使用される生体吸収性独立型フィルムに治療剤を添加すると、さらなる有益な効果、例えば疼痛緩和または感染の最小化が得られる。生体吸収性独立型フィルムの他の外科的用途としては、硬膜パッチ、強化材料、内部創傷治療(移植片吻合部など)、および内部薬物送達系としての生体吸収性独立型フィルムの使用が挙げられる。有孔生体吸収性独立型フィルムはまた、経皮、創傷治癒、および非外科的分野における用途で使用してもよい。有孔生体吸収性独立型フィルムは、外部創傷治療、例えば火傷または皮膚潰瘍のための治療において使用してもよい。有孔生体吸収性独立型フィルムは、いずれの治療剤も無しで、清浄な非透過性、癒着防止性、非炎症性、抗炎症包帯材として使用してもよく、または、有孔生体吸収性独立型フィルムは、追加の有益な効果のために1つまたは複数の治療剤と共に使用してもよい。有孔生体吸収性独立型フィルムに1つまたは複数の治療剤を負荷またはコートさせる場合、有孔生体吸収性独立型フィルムはまた、経皮薬物送達パッチとして使用してもよい。生体吸収性独立型フィルム内の孔により、たとえ生体吸収性フィルムが非弾性であっても、フィルムは拡張し組織の三次元表面に適合することができる。生体吸収性フィルム内の孔により、孔のないフィルムに比べ、体液をフィルムのより多くの量の表面積と接触させることができることにより、フィルムの生物学的吸収も促進される。
【0077】
創傷治癒過程は、損傷に応じた組織修復を伴い、上皮成長および分化、線維組織生成および機能、血管新生、ならびに炎症を含む多くの異なる生物学的過程を含む。発明の生体吸収性独立型フィルムを製造するために使用する架橋ゲルは動物モデルにおいて炎症反応を引き起こさないが、依然として優れた細胞過成長を提供し、線維性膜の形成がほとんど〜全くないことが示されている。したがって、生体吸収性独立型フィルムは創傷治癒用途に対し優れた材料を提供する。
【0078】
本発明は孔または凹みを有する生体吸収性独立型フィルムを製造するための方法を提供する。独立型フィルムの生体吸収性により、フィルムは時間の経過に伴い体組織の細胞により完全に吸収される。生分解性合成ポリマー外科用フィルムの場合のように、炎症性であることが知られており、最終的には身体全体に分配され、場合によっては身体により排出される成分および物質に生体吸収性独立型フィルムが分解することはない。さらに、生体吸収性独立型フィルム表面は体組織に対して滑らかまたは癒着防止性であるように製造することができる。生体吸収性独立型フィルムを構成する脂肪酸由来架橋ゲルは、フィルム自体、またはそのコーティング中で1つまたは複数の治療剤を使用することにより、局在組織に対し最小の抗炎症反応を示す〜全く抗炎症反応を示さないように作製することができ、または非炎症特性を示すように作製することができる。生物油ブレンドの選択は、薬剤の有無に関係なく、炎症量に影響するように行うことができ、これにより、選択された局在組織適用において、鈍的組織切開後の自然の癒着を減少させ、最小に抑えるまたは変化させることができる。脂肪酸化合物から製造された有孔生体吸収性独立型フィルムは可撓性であり、取り扱いが容易で、その改善された適合性のために容易に成形することができる。1つまたは複数の治療剤を、1つまたは複数の治療薬負荷コーティングを使用することにより、有孔生体吸収性独立型フィルムに適用してもよい。このように、生体吸収性独立型フィルムは非弾性生物学的フィルム材料に改善された生体力学的性能を提供するだけでなく、さらに、治療剤が望ましい場合に生物学的送達機構を増強する。
【0079】
前記記載を考慮すると、本発明の多くの改変または別の態様が当業者には明らかであろう。したがって、この記載は例示に過ぎないと考えるべきであり、当業者に本発明を実施するための最良の様式を教示する目的のためのものである。構造の詳細は本発明の精神から実質的に逸脱せずに変動する可能性があり、開示した発明の範囲内にある全ての改変の排他的な使用が確保される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側および第2の側を有し、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性架橋ゲル材料から形成される、フィルム構造;および
フィルム構造内に提供された1つまたは複数の孔
を含む、独立型フィルム。
【請求項2】
脂肪酸化合物が、ω-3脂肪酸、魚油脂肪酸、遊離脂肪酸、トリグリセリド、魚油のエステル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項3】
魚油脂肪酸が、アラキジン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、またはそれらの誘導体、類似体、および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を含む、請求項2記載の独立型フィルム。
【請求項4】
遊離脂肪酸が、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、それらの類似体、および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を含む、請求項2記載の独立型フィルム。
【請求項5】
脂肪酸化合物の一部を形成するビタミンE化合物をさらに含む、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項6】
ビタミンE化合物が、α-トコフェロール、β-トコフェロール、δ-トコフェロール、γ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、α-トコフェロールアセテート、β-トコフェロールアセテート、γ-トコフェロールアセテート、δ-トコフェロールアセテート、α-トコトリエノールアセテート、β-トコトリエノールアセテート、δ-トコトリエノールアセテート、γ-トコトリエノールアセテート、α-トコフェロールスクシネート、β-トコフェロールスクシネート、γ-トコフェロールスクシネート、δ-トコフェロールスクシネート、α-トコトリエノールスクシネート、β-トコトリエノールスクシネート、δ-トコトリエノールスクシネート、γ-トコトリエノールスクシネート、混合トコフェロール、ビタミンE TPGS、それらの誘導体、類似体、および薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を含む、請求項5記載の独立型フィルム。
【請求項7】
鎮痛剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗凝固剤、脂質代謝を変える薬物、抗増殖剤、抗腫瘍剤、組織成長刺激剤、機能性タンパク質/因子送達剤、抗感染剤、造影剤、麻酔剤、化学療法剤、組織吸収促進剤、癒着防止剤、殺菌剤、鎮痛剤、プロドラッグ、および消毒剤からなる群より選択される薬剤を含む治療剤をさらに含む、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項8】
治療剤がフィルム形成前に脂肪酸化合物と組み合わせられ、治療剤がフィルム全体に散在することになる、請求項7記載の独立型フィルム。
【請求項9】
治療剤がコーティングの形態でフィルムに適用される、請求項7記載の独立型フィルム。
【請求項10】
生体吸収性である、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項11】
1つまたは複数の孔が規則的なパターンを形成する、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項12】
1つまたは複数の孔の少なくとも1つが、第1の側から第2の側まで、またはその逆で、フィルムを通って切り開かれたスリットを含む、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項13】
1つまたは複数の孔が規則的な形状を有する、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項14】
1つまたは複数の孔の少なくとも1つが液体を保持するための空洞を含む、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項15】
1つまたは複数の孔の少なくとも1つが、フィルム内に、身体部位がフィルムを通過できるように適合された開口を形成する、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項16】
1つまたは複数の孔の少なくとも1つが、フィルム内に、手術器具がフィルムを損傷させずにフィルムを通過するように適合された開口を形成する、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項17】
1つまたは複数の孔の少なくとも1つが、フィルム内に、流体がフィルムを損傷させずにフィルムを通過するように適合された開口を形成する、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項18】
1つまたは複数の孔の少なくとも1つが、第1の側および/または第2の側に配置され、フィルムを完全には貫通しない、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項19】
1つまたは複数の孔の少なくとも1つが、1つまたは複数の粒子を保持するように適合された空洞を有する、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項20】
1つまたは複数の孔の少なくとも1つが、固体粒子を有する液体を含むように適合される、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項21】
フィルムの第1の側に配置された第1のコーティングをさらに含む、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項22】
第1のコーティングが1つまたは複数の孔のうちの少なくとも1つに浸透する、請求項21記載の独立型フィルム。
【請求項23】
第1のコーティングが第1の表面の少なくとも一部を被覆する、請求項21記載の独立型フィルム。
【請求項24】
フィルムの第2の側に配置された第2のコーティングをさらに含む、請求項21記載の独立型フィルム。
【請求項25】
第1のコーティングが第2のコーティングとは材料的に異なる、請求項24記載の独立型フィルム。
【請求項26】
第1のコーティングの少なくとも一部の上面に配置された第2のコーティングをさらに含む、請求項21記載の独立型フィルム。
【請求項27】
滅菌される、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項28】
パッケージングされる、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項29】
1つまたは複数の孔によって、フィルムが引き裂かれずに組織の三次元表面に合致するようになる、請求項1記載の独立型フィルム。
【請求項30】
第1の側および第2の側を有し、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性架橋ゲル材料から形成される無孔独立型フィルムを提供する工程;および
フィルムに少なくとも1つの孔を形成する工程
を含む、独立型フィルムの製造方法。
【請求項31】
少なくとも1つの孔がカッティングにより形成される、請求項30記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの孔がカービングにより形成される、請求項30記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つの孔が穿刺により形成される、請求項30記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの孔が、第1の側から第2の側まで、またはその逆で、フィルムを完全に貫通する、請求項30記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つの孔が、第1の側および/または第2の側に配置され、フィルムを完全には貫通しない、請求項30記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つの孔がフィルムに空洞を形成する、請求項30記載の方法。
【請求項37】
液体、固体、気体、またはそれらの組み合わせで空洞を充填する工程をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
フィルムを滅菌し、パッケージングする工程をさらに含む、請求項30記載の方法。
【請求項39】
非透過性チャンバおよびガス透過性ヘッダを有するパウチを提供する工程;
フィルムをパウチ内に入れる工程;
非透過性チャンバがガス透過性ヘッダを通してアクセス可能なままとなるように、ガス透過性ヘッダに沿ってパウチを密閉する工程;
ガス透過性ヘッダを通して非透過性チャンバに提供された滅菌剤でフィルムを滅菌する工程;
パウチ内で非透過性チャンバ中にフィルムを密閉する工程;ならびに
任意で、ヘッダを除去して、非透過性チャンバ内でパッケージングされ、滅菌されたフィルムを残す工程
をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
滅菌剤が、エチレンオキシド(ETO)ガス、γまたは電子線照射を用いた照射、蒸気、気体プラズマ、および気化過酸化水素からなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
ガス透過性ヘッダを密閉した後、さらに、非透過性チャンバを密閉する前にパウチを不活性ガスでパージし、ガス透過性ヘッダを除去する工程を含む、請求項39記載の方法。
【請求項42】
不活性ガスがアルゴンまたは窒素を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
フィルムをパウチ内に入れた後、さらに、
パウチを真空状態に暴露する工程;および
ガス透過性ヘッダを密閉する前にパウチを不活性ガスでパージする工程
を含む、請求項39記載の方法。
【請求項44】
不活性ガスがアルゴンまたは窒素を含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
フィルムをパウチ内に入れた後、さらに、
パウチを不活性ガスでパージする工程;および
ガス透過性ヘッダを密閉する前にパウチを真空状態に暴露する工程
を含む、請求項39記載の方法。
【請求項46】
不活性ガスがアルゴンまたは窒素を含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
ガス透過性ヘッダを密閉する前に、乾燥剤、脱酸素剤、酸素バリア、またはそれらの組み合わせをパウチに追加する、請求項39記載の方法。
【請求項48】
乾燥剤が、シリカゲル、クレイ、モレキュラーシーブ、過マンガン酸カリウム、活性炭、活性アルミナ、および吸水性ポリマーからなる群より選択される、請求項47記載の方法。
【請求項49】
第1の側および第2の側を有し、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性架橋ゲル材料から形成される、フィルム構造;および
フィルム構造内で第1の側および/または第2の側上に形成された1つまたは複数の凹み
を含む、独立型フィルム。
【請求項50】
1つまたは複数の凹みの少なくとも1つがフィルムを完全に貫通しない、請求項49記載の独立型フィルム。
【請求項51】
1つまたは複数の凹みの少なくとも1つが、第1の側から第2の側まで、またはその逆で、フィルムを完全に貫通する、請求項50記載の独立型フィルム。
【請求項52】
滅菌される、請求項51記載の独立型フィルム。
【請求項53】
パッケージングされる、請求項51記載の独立型フィルム。
【請求項54】
フィルムの第1の表面の少なくとも一部の上に配置された第1のコーティングをさらに含む、請求項49記載の独立型フィルム。
【請求項55】
液体形態であり、少なくとも一部が脂肪酸化合物またはその誘導体もしくは類似体から形成された非ポリマー性材料である化合物を提供する工程;
化合物を1つまたは複数の突起を有する鋳型に適用する工程;ならびに
化合物を硬化させ、第1の側および第2の側を有する独立型フィルムを形成させる工程
を含む、独立型フィルムの製造方法。
【請求項56】
1つまたは複数の突起が、独立型フィルムの第1の側に1つまたは複数の凹みを形成させる、請求項55記載の方法。
【請求項57】
1つまたは複数の突起が、独立型フィルム内に1つまたは複数の穴を形成させる、請求項55記載の方法。
【請求項58】
非透過性チャンバおよびガス透過性ヘッダを有するパウチを提供する工程;
フィルムをパウチ内に入れる工程;
非透過性チャンバがガス透過性ヘッダを介してアクセス可能なままとなるように、パウチをガス透過性ヘッダに沿って密閉する工程;
ガス透過性ヘッダを介して非透過性チャンバに提供された滅菌剤でフィルムを滅菌する工程;
パウチ内で非透過性チャンバ中にフィルムを密閉する工程;ならびに
任意で、ヘッダを除去して、非透過性チャンバ内にパッケージングされ、滅菌されたフィルムを残す工程
をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項59】
滅菌剤が、エチレンオキシド(ETO)ガス、γまたは電子線照射を用いた照射、蒸気、気体プラズマ、および気化過酸化水素からなる群より選択される、請求項58記載の方法。
【請求項60】
フィルムをパウチ内に入れた後、さらに、
パウチを真空状態に暴露する工程;および
ガス透過性ヘッダを密閉する前に、パウチを不活性ガスでパージする工程
を含む、請求項58記載の方法。
【請求項61】
不活性ガスがアルゴンまたは窒素を含む、請求項60記載の方法。
【請求項62】
フィルムをパウチ内に入れた後、さらに、
パウチを不活性ガスでパージする工程;および
ガス透過性ヘッダを密閉する前に、パウチを真空状態に暴露する工程
を含む、請求項58記載の方法。
【請求項63】
不活性ガスがアルゴンまたは窒素を含む、請求項62記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−504327(P2010−504327A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529197(P2009−529197)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/019978
【国際公開番号】WO2008/039308
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(506087004)アトリウム メディカル コーポレーション (8)
【氏名又は名称原語表記】ATRIUM MEDICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】5 Wentworth Drive, Hudson, NH03051 (US).
【Fターム(参考)】