説明

生体情報検出体、ベッド装置、及び着座装置

【課題】違和感を軽減し且つ耐久性が高い生体情報検出体の提供を解決課題とする。
【解決手段】圧力変動を検出する薄膜状の検出部10と、検出部10から延設される信号線20と、検出部10及び信号線20の間の接続部分に着設されるモールド部30と、検出部10のモールド部30から露出する部位に密着可能な表面形状をもち検出部10表面との間では相対移動可能に配設された弾性材料から形成される圧力伝達部材40とを有する。検出部10は薄膜状なので使用者に違和感を抱かせない。接続部にモールド部30を設けていることにより応力が低減できる。検出部10に密着可能な圧力伝達部材40を設けているため、僅かな圧力変化についても効率よく伝達可能であると共に、外部からの圧力変化による変形が生じたとしても、圧力伝達部材が検出部に固定されていないため、検出部や、検出部及び信号線の接続部に局所的に大きな応力が印加されるおそれがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体(例えば人体、ペット等の動物)の情報を検出する生体情報検出装置、当該センサユニットを搭載するベッド装置、当該センサユニットを搭載する着座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、生体情報検出用パネル及び生体情報検出体を開示している。
【0003】
このパネルは生体情報を検出するためのものであり、使用者の下側に配置される所定の曲げ剛性をもつ板状をなす金属(アルミニウム又はアルミニウム合金製)で形成された敷き板部と、敷き板部に配置され敷き板部の曲げ歪みを検出する歪み検出センサとを備えている。使用者の生体活動に基づいて発生する敷き板部の曲げ歪みの変動を、歪み検出センサが検出する。
【特許文献1】特開2006−43445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術によればベースとなる金属製の敷き板部が必須である。このため使用者の寝心地、座り心地等に影響を与え、大きな違和感を与えるおそれがある。
【0005】
このような問題を解決する方法として、例えばPVDF等の有機圧電フィルムセンサのような、敷き板を用いる必要がなくセンサ自身も柔軟性がある検出装置を用いれば、寝心地等における違和感は軽減される。
【0006】
しかし、このようなセンサをベッドマットレス上部あるいは内部に搭載した場合には、使用者の動き・状態によってはマットレスが大きく変形することにより、フィルム状のセンサが大きく変形したり、しわが発生したりしてフィルムが破断することがある。また、センサにはセンサ出力信号を伝送する信号線を接続する必要があるが、この接続部には応力が集中するため接続部の破断が起こる場合がある。
【0007】
この問題を解決するためには、マットレス下部にセンサを搭載することが考えられる。その結果、マットレスが乗っている部材(ベッド筐体・床)の剛性により、センサの過大な変形や、センサへの過大な応力の印加は抑えられるが、センサの変形が抑制され過ぎてしまうと共に、使用者−センサ間が遠くなるため、もともと微小である使用者の心拍や呼吸による振動を検知したセンサ出力信号がさらに減衰してしまい、生体信号が捕らえきれず検出できない場合がある。
【0008】
また、センサ及び信号線の固定のために、センサフィルム及び信号線を周囲の弾性体と接着する方法が用いられる場合があるが、使用者の動き・状態によっては接着された部位に応力集中が生じ、フィルム破断・信号線断線といった問題が生じることがある。
【0009】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、生体情報の検知に際して、使用者等の生体が感じる違和感を軽減又は解消させるのに有利であると共に、生体情報の検出感度が高く且つ耐久性が高い生体情報検出体、そして生体情報を検出感度良く且つ高い耐久性にて検出するベッド装置及び着座装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する請求項1に係る生体情報検出体の特徴は、生体からの圧力が印加される軟質材料からなる軟質部材の内部又はその表面に接して使用される生体情報検出体であって、
伝達された圧力変動を検出する薄膜状の検出部と、
前記検出部から延設され、前記検出部が検出した圧力変動に対応する圧力変動信号を伝送する信号線と、
前記検出部及び前記信号線の間の接続部分に着設され、硬質材料にて形成されるモールド部と、
前記検出部の前記モールド部から露出する部位における表面形状に対して密着可能な表面形状をもち、前記検出部表面との間では相対移動可能に配設された弾性材料から形成される圧力伝達部材と、
を有することにある。
【0011】
上記課題を解決する請求項2に係る生体情報検出体の特徴は、請求項1において、前記信号線は前記モールド部近傍部を除く部分の少なくとも一部が、前記軟質部材及び前記圧力伝達部材のうちの少なくとも一方に固定されていることにある。
【0012】
上記課題を解決する請求項3に係る生体情報検出体の特徴は、請求項2において、前記信号線の前記モールド部近傍部は蛇行して配設されていることにある。
【0013】
上記課題を解決する請求項4に係る生体情報検出体の特徴は、請求項1〜3の何れか1項において、前記圧力伝達部材は前記検出部及び前記モールド部を隙間なく被覆することにある。
【0014】
上記課題を解決する請求項5に係る生体情報検出体の特徴は、請求項1〜4の何れか1項において、前記圧力伝達部材は、前記検出部の広がり方向にて前記モールド部に隙間なく密着する凹部をもち、前記検出部を厚み方向から挟持する2枚の平板状部材であることにある。
【0015】
上記課題を解決する請求項6に係るベッド装置の特徴は、請求項1〜5の何れか1項に記載の生体情報検出体と、
前記生体情報検出体の前記検出部を内部に配設する前記軟質部材をもつ、生体が横たわるためのマットレス本体と、
を有することにある。
【0016】
上記課題を解決する請求項7に係る着座装置の特徴は、請求項1〜5の何れか1項に記載の生体情報検出体と、
前記生体情報検出体の前記検出部を内部に配設する前記軟質部材をもつ、生体が着座するための着座部本体と、
を有することにある。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成した請求項1に係る生体情報検出体においては、以上の構成をもつことから以下の作用効果を発揮する。まず、圧力変動を検出する検出部として薄膜状の部材を採用しているため、使用者に違和感を抱かせない。そして、検出部と信号線との接続部に硬質材料から形成されるモールド部を設けていることにより接続部分に加わる応力を低減できるため、耐久性が向上している。また、検出部とモールド部の検出部近傍との形状に応じた密着可能な形状(例えば弾性により変形して密着する形状、相補的な形状)をもつ圧力伝達部材を設けているため、生体から発生する僅かな圧力変化についても効率よく検出部に伝達することが可能になり、高い感度が実現できると共に、外部からの圧力変化による変形が生じたとしても、圧力伝達部材は検出部とモールド部の検出部近傍との双方に密着して同様の変形が生じるため、検出部や、検出部及び信号線の接続部に局所的に大きな応力が印加されるおそれがない。更に、圧力伝達部材と検出部の表面との間は相対移動可能にしているため、外部からの大きな圧力印加による変形により圧力伝達部材が大きく変形しても検出部の広がり方向には大きな応力が加わることはない。つまり、圧力伝達部材が大きく変形して検出部の変形の程度と大きく異なることになったとしても両者の間でずれ方向(検出部の広がり方向)での応力はそのまま伝達されることはないため圧力伝達部材の変形に連れて検出部が大きく変形することはなくなることになる。
【0018】
上記のように構成した請求項2に係る生体情報検出体においては、信号線を固定し、その移動を制限することにより信号線を介した応力の印加が防止でき、信号線がモールド部に接続される部分における破断などの不具合の発生を抑制できる。そして信号線を固定する際に、モールド部の近傍を除いて軟質部材及びは圧力伝達部材のうちの少なくとも一方に固定していることにより、モールド部から信号線が延びる部分に過大な応力が加わることを更に防止できる。特に、請求項3に係る生体情報検出体におけるように、モールド部の近傍において信号線を蛇行させて配設することにより、モールド部から信号線が延びる部分に印加される応力をその蛇行部分にて緩和できることから接続部分における不具合の発生を効果的に防止できる。
【0019】
上記のように構成した請求項4に係る生体情報検出体においては、圧力伝達部材が検出部とモールド部とを隙間なく被覆する構成を採用することにより、検出部とモールド部との接続部分に加わる応力を更に低減できる。特に、請求項5に係る生体情報検出体におけるように構成することにより、簡単に作成することができる。
【0020】
上記のように構成した請求項6に係るベッド装置及び請求項7に係る着座装置においては、上述した請求項1〜5の何れか1項に記載の生体情報検出体を生体情報を取得するためのセンサとして採用することにより、生体情報を安定的且つ高感度に取得できる耐久性に優れたベッド装置及び着座装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の生体情報検出体、ベッド装置、及び着座装置について実施形態に基づき以下詳細に説明する。
【0022】
(生体情報検出体)
本実施形態の生体情報検出体は生体からの圧力が印加される軟質材料からなる軟質部材の内部又はその表面に接して使用される装置であり、検出部と信号線とモールド部と圧力伝達部材とを有する。軟質部材としては、軟質部材としてのマットレスを備えるベッドや、軟質部材としての背もたれ、座部を備える椅子などの着座装置が挙げられる。検出部を複数有することもできる。複数の検出部をマットレスの広がり方向に分散させて配置することにより任意の部位における圧力変動(体動)を検知できる。その場合に、検出部のそれぞれから信号線が延びる形態を採用し、外部からの圧力変化により、それぞれの検出部が独立して変位可能とすることが望ましい。圧力変化として検出可能な生体情報としては、生体の有無、寝返りなどの体動、心拍、呼吸などである。
【0023】
本実施形態の生体情報検出体は検出部と信号線と圧力伝動部材とを有する。検出部は薄膜状の形態をもち、伝達される圧力変動を検出する手段である。薄膜状とすることにより、柔軟性に優れ、使用者における違和感を低減乃至は解消できる。検出部の広がり方向における大きさは特に限定しないが、本実施形態の生体情報検出体が適用される対象により決定できる適正な大きさを採用する。具体的には検出部の広がり方向における大きさを大きくすると、圧力変動の検出は良好に行うことができ、小さくすると、局所的な応力の集中を効果的に防止できる。例えば、ベッド装置や椅子に適用する場合には膝頭、肘、かかとなどにより大きな圧力が印加されることが想定されるため、それらにより圧力が印加されても局所的な変形が生起しない大きさ(例えば60mm程度の大きさの円内に収まる大きさ)にすることができる。検出部としては圧力変動に伴う歪みを検出する材料を採用可能であり、具体的には圧電ポリマー、圧電セラミックスなどの圧電素子を採用することが望ましい。特に圧電ポリマーは伸縮性に優れるため、広い周波数特性をもち、柔軟性、耐衝撃性、耐高電圧性、耐水性、化学的安定性にも優れている。圧電ポリマーとしてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)が例示される。
【0024】
信号線は検出部にて検出した圧力変動を圧力変動信号として伝送する手段である。伝送先としては生体情報検出体により検出した生体情報を処理する手段が挙げられる。圧力変動信号としては電気的に伝送したり、光として伝送したりできる。信号線により伝送する前に検出部の近傍にて信号処理を行う処理手段をもつことができる。処理手段としては検出部が検出した圧力変動を効率的に伝送可能にするため、電気的に増幅したり、変調したりする手段が挙げられる。信号線には処理手段や検出部の駆動に必要なエネルギー(電力など)を供給するエネルギー供給線を伴うことができる。信号線自身をエネルギー供給線として共用することもできる。信号線と圧力伝動部材との関係については圧力伝動部材における説明にて詳細に説明する。
【0025】
モールド部は検出部と信号線との接続部分に着設されている。前述した処理手段を有する場合には接続部分には処理手段と検出部との接続部分、処理手段と信号線との接続部分の双方を含む。モールド部は硬質材料にて形成される。硬質材料とは接続部分よりも屈曲し難いものであれば特に限定しないが、本生体情報検出体が適用される装置の環境下において屈曲し難い程度であることが望ましい。モールド部としては樹脂から形成することができる。樹脂中にはシリカ、アルミナなどの充填材を充填することもできる。モールド部の形状は特に限定されず、直方体などが例示できる。
【0026】
圧力伝達部材は本生体情報検出体が配設・適用される軟質材料から伝達される圧力変動を効果的に検出部に伝達すると共に、検出部に過大な応力が印加されないようにする部材である。圧力伝達部材は検出部に密着する形状をもつ。1つの圧力伝達部材は1つの検出部に密着するものであっても良いし、複数の検出部に密着するものであっても良い。具体的には検出部がモールド部から延設されて露出する部位(換言すると、外観上、検出部のモールド部が着設された部位の近傍)の近傍に密着する。外部から加えられる応力は、検出部がモールド部から露出する部位に集中し、その境界部分に加わることになり、そのままではその境界部分が最も損傷を受けやすい。そこで、検出部の表面形状に対し、密着可能な表面形状をもつ圧力伝達部材により、その境界部分を含めた近傍を保持することにより、その境界部分に応力が集中することを抑制している。圧力伝達部材の全体の形状は特に限定しないが、モールド部に相当する部分にはモールド部に密着する形態をもつ凹部が形成された形態が例示できる。形成された凹部により、圧力伝達部材は検出部及びモールド部の全体に密着させることができる。特に2つの平板状部材にて検出部を挟持する形態が例示でき、モールド部も一緒に挟持することが望ましい。その場合に、検出部に相当する部位には接着剤などを用いずに圧力伝達部材と検出部との間の固定はしない。圧力伝達部材とモールド部との間には接着剤などにより固定することもできる。モールド部から延びる信号線についてもモールド部の近傍については固定しないことが望ましい。モールド部近傍の固定されていないようにした信号線は蛇行させることにより外部からの応力の伝達を抑制することが望ましい。
【0027】
圧力伝達部材は弾性材料から構成されている。弾性材料としては特に限定しないが、適用される対象がもつ軟質部材と同程度の弾性をもつ材料から形成することにより、違和感を無くすことができる。圧力伝達部材は検出部に密着するものの検出部の表面に固定されておらず、検出部表面との間では検出部の広がり方向において相対移動可能に配設されている。例えば、薄膜状の検出部を厚み方向から挟持する形態が挙げられる。厚み方向から挟持することにより検出部は安定して保持されるが、単に挟持されているだけなので検出部の広がり方向に滑ることができるため、両者は相対移動することができる。相対移動可能であるため、両者の動きにずれが生じた場合であってもそのずれが検出部に伝達されて検出部に過大な応力が加わることはない。圧力伝達部材を構成する弾性材料としてはゴム、軟質樹脂等の高分子材料が例示され、特に発泡体等の多孔質体が例示できる。
【0028】
(ベッド装置及び着座装置)
本実施形態のベッド装置及び着座装置は前述した本実施形態の生体情報検出体が配設され、その生体情報検出体により生体情報を検出できる装置である。着座装置としては椅子、自動車用シート装置、洋式トイレの弁座装置などが挙げられる。生体情報検出体は生体への違和感が許容できる限度においてできるだけ生体に近接して配設されることが望ましい。前述した本実施形態の生体情報検出体は生体に違和感を生じさせない程度の大きさに調節することもできるため、生体に近接して配設することも可能である。
【0029】
生体情報検出体を軟質部材に配設する方法としては特に限定しない。例えば、軟質部材に接着剤、糸、ピンなどにて固定したり、面ファスナー、両面テープにて固着させたりすることができる。
・ベッド装置は生体が横たわるためのマットレスと前述した本実施形態の生体情報検出体とを有する。マットレスはその少なくとも一部が軟質部材から構成されており、その軟質部材の内部乃至表面に生体情報検出体が配設される。マットレスの広がり方向に複数の検出部を配設し、それぞれの検出部による検出結果を解析することでマットレス上における生体の様子を更に詳細に検出することができる。例えば、生体がマットレスの端部に近づき落下しそうになっていることなどを検出できる。
・着座装置は生体が着座するための着座部本体と前述した本実施形態の生体情報検出体とを有する。着座部本体はその少なくとも一部が軟質部材から構成されており、その軟質部材の内部乃至表面に生体情報検出体が配設される。着座部本体の広がり方向に複数の検出部を配設し、それぞれの検出部による検出結果を解析することで着座部本体上における生体の様子を更に詳細に検出することができる。
【0030】
(実施形態1:ベッド装置)
(構成)
以下に本実施形態の生体情報検出体について図面を参照しながら具体的に説明を行う。本実施形態の生体情報検出体はベッド装置のマットレス内に配設される。図1及び2に示すように、本実施形態の生体情報検出体1は検出部10と信号線20とモールド部30と圧力伝動部材40とを有する。検出部10はPVDF製の薄膜をシールドとして作用する金属薄膜にて挟持した構造になっている。信号線20は検出部10から導出され検出部10が検出した圧力変動を圧力変動信号として伝送する。モールド部30は検出部10及び信号線20の間の接続部分を被覆するように着設されており、その外形は直方体である。モールド部30は硬質樹脂にて形成される。モールド部30の検出部10の厚み方向における長さは検出部10及び信号線20のそれぞれよりも大きい。圧力伝動部材40はウレタンフォームから構成される。検出部10がモールド部30から露出する大きさはモールド部30から延びる方向に40mm、幅が10mmである。信号線20がモールド部30から延びる部分には弾性チューブ(図略)により被覆しても良い。弾性チューブは信号線20よりも曲げ応力に対する変形が小さく、信号線20がモールド部30から延びる部分への応力集中が緩和できる。
【0031】
圧力伝動部材40は上側圧力伝動部材41と下側圧力伝動部材42との2枚の平板状部材をもつ。図2に示すように、上側圧力伝動部材41及び下側圧力伝動部材42はそれぞれ中央付近に表裏面を貫通する開口部411及び421が形成されている。開口部411及び421はモールド部30が隙間無く嵌め込み可能な大きさをもつ。開口部411及び421によりモールド部30を嵌合・保持する相対位置とした状態で上側圧力伝動部材41及び下側圧力伝動部材42にて検出部10を挟持する。上側圧力伝動部材41及び下側圧力伝動部材42の間は固定せず、検出部10との間では相対移動可能になっている。信号線20は圧力伝動部材40の間に位置する部分(モールド部30の近傍部分)は蛇行させた蛇行部20aとしている。
【0032】
以上のように構成した生体情報検出体1を2×3(計6個)並べ、それぞれの圧力伝動部材40の更に両側からウレタンフォーム製のクッション91及び92により挟持する。クッション91及び92の間は接着剤により固定する。クッション91及び92により挟持された信号線20もクッション91及び92に固定される。クッション91及び92の更に外側を布などにより構成されるシート部材81及び82により包み込み、周辺部を熱融着させて生体情報検出ユニットSを形成する(図3)。それぞれの信号線20はまとめて信号処理部50に伝送され、圧力変動が算出される。算出された圧力変動は生体情報算出部60により生体情報に関連づけられる。生体情報への関連づけは圧力変動の変動幅、周期、頻度などに基づき行う。シート部材82には保持部材70が固定される。保持部材70は面ファスナーである。
【0033】
この生体情報検出ユニットSはベッド装置B内に配設される(図5)。ベッド装置Bは中央部上方に横たわることが想定される使用者Hが概ね入る程度の大きさの凹部が形成されたマットレス本体部94(軟質部材)と、その凹部に隙間無く嵌め込み可能なマットレス表面部93(軟質部材)と、保持部材70に対応する面ファスナーから形成されマットレス本体部94の長手方向に延び凹部の表面に付設された保持部材95と、保持部材95に保持部材70を固定して配設された生体情報検出ユニットSとを有する。生体情報検出ユニットSはベッド装置Bの幅方向にその長手方向を向けて配置される。生体情報検出ユニットSはベッド装置Bにおいて使用者の心臓、肺、肩が位置する部分に配置される。
【0034】
(作用効果)
以上の構成を有することから本実施形態のベッド装置は以下の作用効果を発揮する。すなわち、使用者の心臓などに近接した位置に配設されているため、使用者が発する生体情報を高感度に検出することができる。特に検出部10に対して圧力伝動部材40が密着しているため、外部から伝達される圧力変動が効果的に検出部10に伝達される。検出部10に伝達された圧力変動は電気的な信号に変換され信号線20を通じて信号処理部50に伝送されて圧力変動が算出される。外部からの圧力変動が効果的に検出部10に伝達されるため圧力変動信号は相対的に大きなものになり、ノイズなどによる影響が少なくなる。算出された圧力変動から生体情報算出部60は生体情報を算出・関連づける。
【0035】
次に生体情報検出ユニットSにおける個々の生体情報検出体1に対して圧力が印加された場合における他の部材の作用について説明する。モールド部30により検出部10及び信号線20の間の接続部分を被覆・保護していることから接続部分における折れ曲がりが発生し難くなる。接続部分は他の部分と比較して折れ曲がりに対する耐久性が相対的に低いため、外部からの圧力変動がそのまま接続部分に伝達されると、接続部分に損傷が生じるおそれが高くなるが、折れ曲がりの発生からモールド部30により保護されているため、接続部分の損傷が抑制できる。
【0036】
また、検出部10は圧力伝動部材40により挟持されているため、外部から大きな圧力変動が印加されると、両者の間においてズレが生じることがある。検出部10と圧力伝動部材40との間は接着されていないため、圧力伝動部材40と検出部10との間にズレが生じても両者の間はすべり方向(図1(a)における左右方向)に相対移動することが可能であり、圧力伝動部材40の変形につられて発生する検出部10への局所的な応力集中は防止できる。具体的には、図4に示すように、上側圧力伝動部材41及び下側圧力伝動部材42の間は接着されておらず、その間に挟持された検出部10、モールド部30、信号線20は圧力伝動部材40からある程度自由に動くことが可能になっている。クッション91及び92の間は接着されているため、その間に挟持された圧力伝動部材40は固定され、生体情報検出体1がずれて圧力変動を検出する部位が予期せぬ部位に移動することはない。
【0037】
また、ベッド装置B上に印加される大きな外力として想定されるものとして膝頭や肘によるものがあり、その外力がそのまま検出部10の一部に印加されると、検出部10が損傷することもあり得るが、検出部10の大きさは10mm×40mmであるため、それらの外力は検出部10の全体に対して印加されることとなるため損傷のおそれはない。特に、圧力伝動部材40から検出部10の一部に対して局所的に外力が印加されても、圧力伝動部材40内にてすべり方向に相対移動自在に配設されているため検出部10がすべることにより局所的な応力集中が防止できる。更に、モールド部30が開口部411及び421にて保持されて相対移動が制限されているため、モールド部30に接続されている検出部10の相対移動も制限されることになるから、相対移動により検出部10が変形することが防止できる。
【0038】
信号線20についても圧力伝動部材40にて挟持された部位は圧力伝動部材40との間で相対移動可能であるため、圧力伝動部材40の変形に連れて信号線20に外力が加わるおそれはない。また、圧力伝動部材40にて挟持された部位は蛇行させた蛇行部20aとしているため、万が一、信号線20を通じて外力が印加されても蛇行部20aにより外力は吸収される。
【0039】
(実施形態2:着座装置)
本実施形態の着座装置は車両シートであり、図6に示すように、シートクッション96、シートバック97、ヘッドレスト98を備える。シートクッション96内に生体情報検出体1が配設される。生体情報検出体1は実施形態1にて説明したものと同じであるので説明を省略する。生体情報検出体1は、図6(b)に示すように、シートクッション96の着座面961にあるシート表皮962とパッド963(軟質部材)との間に配設されている。上述した生体情報検出体1を採用しているため、局所的に外力が印加されても検出部10の一部に局所的な応力が集中することはない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態の生体情報検出体の一部断面図(a)、分解断面図(b)である。
【図2】本実施形態の生体情報検出体の分解斜視図である。
【図3】本実施形態の生体情報検出ユニットの透視図である。
【図4】本実施形態の生体情報検出ユニットの断面図(図3のA−A断面)である。
【図5】本実施形態のベッド装置の上面図(a)、断面図(b)である。
【図6】本実施形態の着座装置の斜視図(a)、シートクッションの一部断面図(b)である。
【符号の説明】
【0041】
S…生体情報検出ユニット
1…生体情報検出体
10…検出部 20…信号線 30…モールド部 40…圧力伝動部材(41…上側圧力伝動部材、42…下側圧力伝動部材)
91、92…クッション
B…ベッド装置 M…着座装置(車両シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体からの圧力が印加される軟質材料からなる軟質部材の内部又はその表面に接して使用される生体情報検出体であって、
伝達された圧力変動を検出する薄膜状の検出部と、
前記検出部から延設され、前記検出部が検出した圧力変動に対応する圧力変動信号を伝送する信号線と、
前記検出部及び前記信号線の間の接続部分に着設され、硬質材料にて形成されるモールド部と、
前記検出部の前記モールド部から露出する部位における表面形状に対して密着可能な表面形状をもち、前記検出部表面との間では相対移動可能に配設された弾性材料から形成される圧力伝達部材と、
を有することを特徴とする生体情報検出体。
【請求項2】
前記信号線は前記モールド部近傍部を除く部分の少なくとも一部が、前記軟質部材及び前記圧力伝達部材のうちの少なくとも一方に固定されている請求項1に記載の生体情報検出体。
【請求項3】
前記信号線の前記モールド部近傍部は蛇行して配設されている請求項2に記載の生体情報検出体。
【請求項4】
前記圧力伝達部材は前記検出部及び前記モールド部を隙間なく被覆する請求項1〜3の何れか1項に記載の生体情報検出体。
【請求項5】
前記圧力伝達部材は、前記検出部の広がり方向にて前記モールド部に隙間なく密着する凹部をもち、前記検出部を厚み方向から挟持する2枚の平板状部材である請求項1〜4の何れか1項に記載の生体情報検出体。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の生体情報検出体と、
前記生体情報検出体の前記検出部を内部に配設する前記軟質部材をもつ、生体が横たわるためのマットレス本体と、
を有することを特徴とするベッド装置。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の生体情報検出体と、
前記生体情報検出体の前記検出部を内部に配設する前記軟質部材をもつ、生体が着座するための着座部本体と、
を有することを特徴とする着座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−69020(P2010−69020A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239948(P2008−239948)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】