説明

生体情報計測システム

【課題】計測結果を出力するまでの時間の短縮化を図ること、被測定者に応じた生体情報の計測を行うことができる生体情報計測システムを提供する。
【解決手段】血圧計10は、被測定者の生体情報を測定する測定部21と、測定された生体情報を用いて演算処理を行う演算部22と、演算部22の演算結果に基づいて生体情報の計測結果を出力する出力部23とを備える。また、血圧計10は、生体情報の測定開始を測定部21に指示する測定開始指示部24と、被測定者を認証する個人認証部25とを備えている。そして、測定開始指示部24による測定開始の指示に基づいて、測定部21による生体情報の測定および個人認証部25による被測定者の認証が並行して行われ、測定部21の測定態様および演算部22の演算処理態様および出力部23の出力態様が、個人認証部25により取得された被測定者の情報に基づいて変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者の生体情報を測定する測定部と、測定された生体情報を用いて演算処理を行う演算部と、この演算部の演算結果に基づいて生体情報の計測結果を出力する出力部とを備える生体情報計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報を測定するシステムとしては、例えば特許文献1に記載されるように、被験者を特定するための個人認識手段を備え、個人認証をトリガとして測定準備作業を行うものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−168720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被測定者の認証を行って生体情報を測定する場合において、認証を行った後に生体情報を測定すると、生体情報に基づく計測結果を出力するまでの時間が長い。認証を行わずに生体情報を測定すれば、計測結果を出力するまでの時間の短縮化を図ることができるものの、個人認証によって得られる被測定者の情報を計測に利用することができない。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、計測結果を出力するまでの時間の短縮化を図ること、被測定者に応じた生体情報の計測を行うことができる生体情報計測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の生体情報計測システムは、被測定者の生体情報を測定する測定部と、測定された前記生体情報を用いて演算処理を行う演算部と、この演算部の演算結果に基づいて前記生体情報の計測結果を出力する出力部とを備える生体情報計測システムにおいて、前記生体情報の測定開始を前記測定部に指示する測定開始指示部と、被測定者を認証する個人認証部とを備え、前記測定開始指示部による測定開始の指示に基づいて、前記測定部による前記生体情報の測定および前記個人認証部による被測定者の認証が並行して行われ、前記測定部の測定態様および前記演算部の演算処理態様および前記出力部の出力態様の少なくとも1つが、前記個人認証部により取得された被測定者の情報に基づいて変更されることを特徴とする。
【0007】
また、上記生体情報計測システムにおいて、被測定者の体動情報および姿勢情報および発声情報の少なくとも1つに基づいて、前記測定部の測定態様および前記演算部の演算処理態様および前記出力部の出力態様の少なくとも1つが変更されることが好ましい。
【0008】
また、上記生体情報計測システムにおいて、前記個人認証部は、被測定者を撮影し、撮影した画像のデータに基づいて前記体動情報および前記姿勢情報および前記発声情報の少なくとも1つを取得することが好ましい。
【0009】
また、上記生体情報計測システムにおいて、前記測定部は、被測定者に装着されたカフを用いて血圧を測定し、前記個人認証部は、前記姿勢情報として、被測定者の心臓の位置に対する前記カフの位置の情報を取得し、前記演算部は、前記心臓の位置に対する前記カフの位置に基づいて演算処理態様を変更することが好ましい。
【0010】
また、上記生体情報計測システムにおいて、前記個人認証部による被測定者の認証が完了したとき、被測定者の過去の生体情報の計測結果に基づいて、前記測定部の測定態様および前記演算部の演算処理態様および前記出力部の出力態様の少なくとも1つが変更されることが好ましい。
【0011】
また、上記生体情報計測システムにおいて、前記測定部は、カフを用いて血圧を測定するとともに、被測定者の過去の血圧の計測結果に基づいて前記カフの圧力を制御することが好ましい。
【0012】
また、上記生体情報計測システムにおいて、前記測定部は、前記生体情報として複数の項目を測定するとともに、前記個人認証部による認証結果に基づいて測定する項目を変更することが好ましい。
【0013】
また、上記生体情報計測システムにおいて、前記測定部は、前記複数の項目として被測定者の体重および体組成を測定することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、計測結果を出力するまでの時間の短縮化を図ること、被測定者に応じた生体情報の計測を行うことができる生体情報計測システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態の生体情報計測装置である血圧計の使用態様を示す模式図。
【図2】同実施形態の生体情報計測装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】(a)(b)本発明の第2の実施形態の生体情報計測装置である体重体組成計の使用態様を示す模式図。
【図4】同実施形態の生体情報計測装置の概略構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、生体情報測定システムとしての血圧計10は、演算処理等を行う本体部11と、袋状のベルトであるカフ14とを備えている。血圧計10は、被測定者の生体情報として血圧を計測する生体情報計測装置である。
【0017】
図2に示すように、血圧計10は、カフ14を用いて血圧を測定する測定部21を備えている。また、血圧計10は、本体部11に設けられる構成要素として、演算部22と、出力部23と、測定開始指示部24と、個人認証部25と、認証データ記憶部26と、血圧データ記憶部27と、制御部28とを備えている。
【0018】
測定部21は、内部の圧力が制御されることにより膨張および収縮するカフ14と、カフ14内の圧力であるカフ圧を制御する機構(図示略)とを含む血圧測定器である。カフ圧を制御する機構は、本体部11に設けられている。測定部21は、測定開始指示部24による測定開始の指示に基づいて、測定を開始して、被測定者に装着された圧迫帯であるカフ14を用いて血圧を測定する。測定部21によって測定された血圧のデータは、演算部22における演算処理に供される。
【0019】
演算部22は、測定部21により測定された血圧値に対して演算処理を行う電子回路である。すなわち、演算部22は、測定された血圧のデータを用いて演算処理を行って、生体情報に対して情報処理を行う。演算部22により処理が施された血圧のデータは、出力部23により計測結果として出力されるとともに血圧データ記憶部27に記憶される。
【0020】
出力部23は、表示部であるモニタを備え、計測結果として血圧のデータを表示して出力するユーザインタフェースである。出力部23は、演算部22から血圧についての演算結果が出力されたとき、この演算結果を血圧の計測結果としてモニタに表示する。また、出力部23は、個人認証により特定されたユーザの情報、およびユーザに報知すべき情報等も出力する。
【0021】
測定開始指示部24は、血圧計10のユーザにより操作される操作部であって、本体部11に設けられたスタートボタン13(図1参照)を含む。測定開始指示部24は、スタートボタン13が操作されたとき、測定開始を指示する信号を出力することにより、測定部21に対して測定開始の指示を行う。
【0022】
個人認証部25は、撮影装置であるカメラ12(図1参照)と、個人に応じた計測を可能とするように被測定者を認証する電子回路(図示略)とを備えた認証機器である。個人認証部25は、制御部28による認証開始の指示に基づいて被測定者の認証を開始して、カメラ12を用いて被測定者を特定する。具体的には、個人認証部25は、カメラ12により撮影された被測定者の画像のデータと、認証データ記憶部26に予め記憶されている被測定者に係るデータとを照合して、被測定者を特定する。このようにして個人認証部25が被測定者を特定して、被測定者が認証される。なお、被測定者の認証は、測定部21による測定の初期動作段階において完了する。すなわち、測定部21による血圧の測定が完了する前に、被測定者の認証は即座に完了する。
【0023】
認証データ記憶部26は、被測定者となる個人に係るデータを記憶するメモリである。認証データ記憶部26に記憶されたデータは、個人認証部25が個人認証を行うときに用いられる。
【0024】
血圧データ記憶部27は、計測結果である血圧のデータを記憶するメモリである。血圧データ記憶部27に記憶されたデータは、測定部21が血圧の測定を行うときに用いられる。
【0025】
制御部28は、測定開始指示部24による測定開始の指示に基づいて、測定部21による血圧の測定および個人認証部25による被測定者の認証を並行して行わせる電子回路である。具体的には、制御部28は、操作部である測定開始指示部24が操作されたか否かを監視する回路であって、測定開始指示部24が測定部21に対して測定開始の指示を行ったときに、個人認証部25に対して認証開始を指示する回路である。
【0026】
次に、測定部21による血圧の測定態様について詳しく説明する。
測定部21は、個人認証部25により取得された被測定者の情報に基づき、特定された被測定者に応じて血圧の測定態様を変更する。
【0027】
具体的には、測定部21は、個人認証部25による被測定者の認証が完了したとき、その被測定者の過去の生体情報の計測結果である血圧のデータを血圧データ記憶部27から取得する。そして、測定部21は、過去の血圧のデータに基づいて、個人毎に最適なカフ圧の範囲内で、カフ14の圧力を制御する。
【0028】
測定部21は、血圧の測定を開始するときに、被測定者の過去の血圧のデータとして、過去1週間における最高血圧の平均値と、過去1週間における最低血圧の平均値とを血圧データ記憶部27から取得する。次いで、測定部21は、最高血圧の平均値に対して20mmHg高い圧力にカフ圧を上昇させる。そして、測定部21は、最高血圧の平均値に対して20mmHg高い圧力から、測定部21はカフ圧を一定速度で降下させ、上昇させたカフ圧が最低血圧の平均値に対して20mmHg低い圧力を下回ったとき、カフ圧の降下速度を大きくする。
【0029】
血圧を測定するときには、被測定者の真の最高血圧よりもカフ圧を高くする必要があるが、カフ圧が高すぎる場合には、カフ圧を降下させてから最高血圧が測定されるまでの時間が長くなる。また、カフ圧が高いことにより被測定者が不快感を覚えることもある。このため、血圧の測定開始時のカフ圧としては、真の血圧よりも高く、かつ真の血圧に近いことが好ましい。一方、被測定者が安静な状態においては、真の最高血圧が、過去1週間における最高血圧の平均から20mmHgよりも高くなる可能性は低い。したがって、測定開始時のカフ圧を、過去1週間における最高血圧の平均に対して20mmHgだけ大きくすることにより、カフ圧を被測定者の最高血圧に対して大きく乖離しないようにしている。よって、上記の問題の発生を抑制しつつ最高血圧を測定することができると考えられる。また、真の最低血圧が、過去1週間における最低血圧の平均から20mmHgよりも低くなる可能性は低い。したがって、カフ圧が最低血圧の平均値に対して20mmHg低い圧力を下回ったとき、カフ圧の降下速度を大きくすることにより、血圧の測定を早く完了するようにしている。
【0030】
次に、演算部22による演算処理態様について詳しく説明する。
演算部22は、個人認証部25により取得された被測定者の情報に基づいて演算処理態様を変更する。
【0031】
具体的には、演算部22は、血圧測定中の被測定者の体動情報および姿勢情報および発声情報を、個人認証部25から取得する。被測定者の体動情報および姿勢情報および発声情報は、例えば、個人認証に用いられるカメラ12によって撮影された被測定者の画像のデータを解析することにより得られる。発声しているか否かに係る発声情報は、画像における被測定者の唇部分の動きから得ることができる。
【0032】
演算部22は、体動情報および姿勢情報および発声情報に基づいて、真の血圧値となるように測定部21により測定された血圧値に演算処理を施して補正する。例えば、体動情報に基づき被測定者が落ち着いていないと判断される場合や、発声情報に基づき被測定者が発声していると判断される場合には、演算部22は、測定部21により測定された血圧値を低くする補正を行う。すなわち、被測定者が落ち着いていない場合や発声しているときには、真の血圧に対して測定される血圧が高くなるため、演算部22は、計測精度を向上させるために血圧値を低くする補正を行っている。
【0033】
また、演算部22は、画像のデータを解析することにより、姿勢情報として、被測定者の心臓の位置に対するカフ14の位置の情報を取得した場合には、心臓の位置に対するカフ14の位置に基づいて、測定部21により測定された血圧値の補正を行う。心臓の位置の情報は、上半身を含む画像から統計的手法に基づいて推定される。
【0034】
真の血圧と測定部21により測定される血圧は下記の数式を満たす関係となる。
Z=X−H×1.055/13.6
この数式において、「Z」は測定部21により測定される血圧(mmHg)を示している。「X」は真の血圧(mmHg)を示している。「H」は、心臓よりも高い位置にあるカフ14の高さと、心臓の高さとの高低差(mm)を示している。なお、「1.005」は血液の比重であって、「13.6」は水銀の比重である。
【0035】
したがって、心臓の位置に対するカフ14の位置が高ければ、真の血圧に対して測定される血圧が低くなるため、演算部22は、姿勢情報に基づいて、計測精度を向上させるために血圧値を高くする補正を行う。
【0036】
次に、出力部23による出力態様について詳しく説明する。
出力部23は、個人認証部25により取得された被測定者の情報に基づいて出力態様を変更する。
【0037】
具体的には、出力部23は、血圧測定中の被測定者の体動情報および姿勢情報および発声情報を個人認証部25から取得して、取得した情報に基づいて出力する内容を変更する。例えば、体動情報に基づき被測定者が全く落ち着いていないと判断される場合や、発声情報に基づき測定中に被測定者の発声時間の割合が高いと判断される場合には、出力部23は、正確に計測できない旨の情報内容を表示して、再度測定することをユーザに促す。また、姿勢情報に基づき被測定者の手のひらが上向きになっていないと判断される場合や、被測定者の上半身やひじの位置が適切でないと判断される場合には、出力部23は、正確に計測できない旨の情報内容を表示して、再度測定することをユーザに促す。また、心臓の位置に対するカフ14の位置が著しく高いと判断される場合にも、出力部23は、正確に計測できない旨の情報内容を表示する。出力部23は、正確に計測できない旨の情報内容を表示する場合に、その理由も情報内容として表示する。
【0038】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)血圧計10は、血圧の測定開始を測定部21に指示する測定開始指示部24と、被測定者を認証する個人認証部25とを備えている。そして、測定開始指示部24による測定開始の指示に基づいて、測定部21による血圧の測定および個人認証部25による被測定者の認証が並行して行われる。このため、被測定者の認証が完了した後に血圧の測定を開始する場合に比べて、計測結果を出力するまでの時間を短くすることができる。また、血圧の測定開始を指示する測定開始指示部24により、被測定者の認証開始も指示されるため、ユーザが血圧の測定開始の操作とは別に個人認証を開始するための操作を行う必要がない。このため、ユーザの操作ミスを低減することができる。また、測定部21の測定態様および演算部22の演算処理態様および出力部23の出力態様が、個人認証部25により取得された被測定者の情報に基づいて変更される。このため、被測定者に応じた生体情報の計測が可能となる。
【0039】
(2)被測定者の体動情報および姿勢情報および発声情報に基づいて、演算部22の演算処理態様および出力部23の出力態様が変更される。すなわち、血圧測定中の被測定者の態様に応じて、演算処理の内容が変更される。また、血圧測定中の被測定者の態様に応じて、再測定を促す情報内容が出力される。これにより、計測結果の精度向上を図ることができる。
【0040】
(3)個人認証部25は、被測定者を撮影して、撮影した画像のデータに基づいて体動情報および姿勢情報および発声情報を取得する。これにより、取得した情報に応じて被測定者の態様に応じた演算処理を行わせることができる。
【0041】
(4)個人認証部25は、姿勢情報として、被測定者の心臓の位置に対するカフ14の位置の情報を取得する。演算部22は、心臓の位置に対するカフ14の位置に基づいて演算処理態様を変更する。このため、カフ14が心臓の位置に対して高いことに起因する計測結果の精度低下を抑制することができる。
【0042】
(5)個人認証部25による被測定者の認証が完了したとき、被測定者の過去の血圧の計測結果に基づいて、血圧の測定態様が変更される。このため、測定部21が過去の血圧の計測結果を計測に利用することによって、測定時間の短縮化等を図ることができる。
【0043】
(6)測定部21は、カフ14を用いて血圧を測定するとともに、被測定者の過去の血圧の計測結果に基づいてカフ14の圧力を制御する。このため、測定部21が、被測定者の過去の血圧に対して大きく乖離しないようにカフ14の圧力を制御することによって、上記(5)に記載したように測定時間の短縮化を図ることができる。また、カフ14の装着者である被測定者の負担を軽減することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
図3および図4を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態の生体情報計測システムは、被測定者の体重および体組成を測定するものとして構成されている。以下に、第1の実施形態のシステムとの相違点の詳細を示す。
【0045】
図3に示すように、生体情報測定システムとしての体重体組成計30は、起立した被測定者が両足を乗せる人体載置部41と、被測定者が手で掴む把持部42とを備えている。体重体組成計30は、被測定者の生体情報として体重と体組成(体脂肪率、筋肉量等)を計測する生体情報計測装置である。
【0046】
図4に示すように、体重体組成計30は、重量センサ(図示略)と電極(図示略)とを用いて、体重および体組成を測定する測定部51を備えている。また、体重体組成計30は、人体載置部41および把持部42の少なくとも一方に設けられる構成要素として、演算部52と、出力部53と、測定開始指示部54と、個人認証部55と、認証データ記憶部56と、項目データ記憶部57と、制御部58を備えている。
【0047】
測定部51は、被測定者の体重を検出する重量センサと、被測定者の生体インピーダンスを検出する電極とを含む測定機器である。重量センサは人体載置部41に設けられ、電極は人体載置部41および把持部42に設けられている。測定部51は、測定開始指示部54による測定開始の指示に基づいて、測定を開始する。そして、測定部51は、重量センサを用いて、被測定者の体重と重心位置を測定するとともに、電極を用いて、被測定者の体脂肪率や筋肉量等の体組成を測定する。測定部51によって測定された体重および体組成のデータは、演算部52における演算処理に供される。
【0048】
演算部52は、測定部51により測定された体重および体組成に対して演算処理を行う電子回路である。すなわち、演算部52は、測定された体重および体組成のデータを用いて演算処理を行う。演算部52により処理が施された体重および体組成のデータは、出力部23により計測結果として出力される。
【0049】
出力部53は、表示部であるモニタを備え、計測結果として体重および体組成のデータを表示して出力するユーザインタフェースである。出力部53は、演算部52から体重および体組成についての演算結果が出力されたとき、この演算結果を体重および体組成の計測結果としてモニタに表示する。
【0050】
測定開始指示部54は、体重体組成計30のユーザにより操作される操作部であって、例えば把持部42に設けられたスタートボタン13(図3参照)を含む。測定開始指示部54は、スタートボタン13が操作されたとき、測定開始を指示する信号を出力することにより、測定部51に対して測定開始の指示を行う。
【0051】
個人認証部55は、把持部42に設けられたカメラ12(図3参照)を備えた認証機器である。個人認証部55は、上記の個人認証部25と同様に、制御部58による認証開始の指示に基づいて被測定者の認証を開始して、カメラ12を用いて被測定者を特定する。被測定者の認証は、測定部51による体重および体組成の測定が完了する前に、即座に完了する。
【0052】
認証データ記憶部56は、上記の認証データ記憶部26と同様に、被測定者となる個人に係るデータを記憶するメモリである。認証データ記憶部56に記憶されたデータは、個人認証部55が個人認証を行うときに用いられる。
【0053】
項目データ記憶部57は、被測定者となる個人に応じて測定すべき項目のデータを記憶するメモリである。項目データ記憶部57に記憶されたデータは、測定部51における生体情報の選択的な測定に供される。
【0054】
制御部58は、測定開始指示部54による測定開始の指示に基づいて、測定部51による体重と体組成の測定および個人認証部55による被測定者の認証を並行して行わせる電子回路である。具体的には、制御部58は、制御部28と同様に、測定開始指示部54が測定部51に対して測定開始の指示を行ったときに、個人認証部55に対して認証開始を指示する回路である。
【0055】
次に、測定部51による体重および体組成の測定態様について詳しく説明する。
測定部51は、個人認証部55により取得された被測定者の情報に基づき、特定された被測定者に応じて体重および体組成の測定態様を変更する。
【0056】
具体的には、測定部51は、個人認証部55による被測定者の認証が完了したとき、その被測定者に応じて測定すべき項目のデータを項目データ記憶部57から取得する。そして、測定部51は、測定する項目を個人毎に変更して、測定すべき項目の生体情報のみを測定する。
【0057】
例えば、測定部51は、認証された被測定者がユーザAの場合には、ユーザAに応じて予め設定されている測定項目である体重および体脂肪率および筋肉量を測定する。また、測定部51は、認証された被測定者がユーザBの場合には、ユーザBに応じて予め設定されている測定項目である体重のみを測定する。このように測定部51が測定する項目を変更することにより、被測定者の所望の項目が測定される。
【0058】
次に、演算部52による演算処理態様について詳しく説明する。
演算部52は、個人認証部55により取得された被測定者の情報に基づいて演算処理態様を変更する。
【0059】
具体的には、演算部52は、体重および体組成測定中の被測定者の姿勢情報を、個人認証部55から取得する。演算部52は、取得した姿勢情報に基づき把持部42を掴む被測定者の腕が水平でないと判断される場合には、測定部51により測定された体脂肪率等に演算処理を施して補正する。すなわち、水平方向に対する被測定者の腕の角度によって電極を用いて検出される生体インピーダンスは変化するため、演算部52は、姿勢情報に基づいて、真の値となるように測定部51により測定された体脂肪率等の補正を行う。
【0060】
次に、出力部53による出力態様について詳しく説明する。
出力部53は、個人認証部55により取得された被測定者の情報に基づいて出力態様を変更する。
【0061】
具体的には、出力部53は、体重測定中の被測定者の体動情報および体組成測定中の被測定者の姿勢情報を、個人認証部55から取得して、体動情報および姿勢情報に基づいて、出力すべき内容を変更する。例えば、体動情報に基づき被測定者が落ち着いていないと判断される場合や、姿勢情報に基づき把持部42を掴む被測定者の腕が延びていないと判断される場合には、出力部53は、正確に計測できない旨の情報内容を表示して、再度測定することをユーザに促す。
【0062】
本実施形態によれば、上記(1)〜(6)に準じた効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(7)測定部51は、複数の項目を測定するとともに、個人認証部55による認証結果に基づいて測定する項目を変更する。このため、被測定者に応じて、所望の項目のみを測定することが可能となり、全ての項目が測定される場合に比べて、計測結果を出力するまでの時間を短くすることができる。
【0063】
(8)測定部51は、複数の項目として被測定者の体重および体組成を測定する。従って、被測定者に応じて、体重、体脂肪率、筋肉量等を測定することができ、上記(7)に記載したように、被測定者の所望の項目のみを測定することが可能である。
【0064】
(その他の実施形態)
・被測定者の心臓の位置に対するカフ14の位置の情報を正確に取得するために、カフ14の中心部にマーカを設けてもよい。
【0065】
・姿勢情報以外の体動情報および発声情報に基づいて、測定部51により測定された体重値および体組成率等が補正されてもよい。
・被測定者の発声情報に基づいて出力部53による出力態様が変更されてもよい。
【0066】
・測定部21,51が、個人認証部25,55により取得された被測定者の情報に基づいて測定態様を変更してもよい。具体的には、例えば、体動情報に基づき被測定者が全く落ち着いていないと判断される場合や、発声情報に基づき測定中における被測定者の発声時間の割合が高いと判断される場合には、測定部21,51が、生体情報の測定を繰り返してもよい。また、姿勢情報に基づき被測定者の姿勢が適切でないと判断される場合には、測定部21,51が、生体情報の測定を繰り返してもよい。
【0067】
・演算部22,52が、個人認証部25,55により取得された被測定者の情報に基づき、特定された被測定者に応じて演算処理態様を変更してもよい。
・出力部23,53が、個人認証部25,55により取得された被測定者の情報に基づき、特定された被測定者に応じて出力態様を変更してもよい。
【0068】
・被測定者の過去の生体情報の計測結果に基づいて、演算部22,52の演算処理態様や、出力部23,53の出力態様が変更されてもよい。例えば、演算部22,52が、測定された生体情報とその測定時よりも過去の生体情報とを比較するための演算処理を行ってもよい。また、例えば、出力部23,53が、測定された生体情報とその測定時よりも過去の生体情報とをまとめて出力してもよい。
【0069】
・個人認証部25,55により取得された被測定者の情報に基づいて、測定部21,51の測定態様および演算部22,52の演算処理態様および出力部23,53の出力態様のうち、1つまたは2つが変更されてもよい。
【0070】
・個人認証部25,55は、被測定者を撮影する認証機器でなくてもよい。例えば、指紋、網膜の毛細血管のパターン、手や指における静脈パターン、声紋等に係る情報を取得する認証機器により個人認証部25,55を構成してもよい。
【0071】
・本発明を、血圧計10や体重体組成計30以外の生体情報計測装置に適用してもよい。また、生体情報計測システムは、血圧計10や体重体組成計30等の単体の生体情報計測装置からなるものでなくてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…血圧計(生体情報計測システム)、11…本体部、12…カメラ、13…スタートボタン、14…カフ、21…測定部、22…演算部、23…出力部、24…計測開始指示部、25…個人認証部、26…認証データ記憶部、27…血圧データ記憶部、28…制御部、30…体重体組成計(生体情報計測システム)、41…人体載置部、42…把持部、51…測定部、52…演算部、53…出力部、54…計測開始指示部、55…個人認証部、56…認証データ記憶部、57…項目データ記憶部、58…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の生体情報を測定する測定部と、測定された前記生体情報を用いて演算処理を行う演算部と、この演算部の演算結果に基づいて前記生体情報の計測結果を出力する出力部とを備える生体情報計測システムにおいて、
前記生体情報の測定開始を前記測定部に指示する測定開始指示部と、
被測定者を認証する個人認証部とを備え、
前記測定開始指示部による測定開始の指示に基づいて、前記測定部による前記生体情報の測定および前記個人認証部による被測定者の認証が並行して行われ、
前記測定部の測定態様および前記演算部の演算処理態様および前記出力部の出力態様の少なくとも1つが、前記個人認証部により取得された被測定者の情報に基づいて変更される
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体情報計測システムにおいて、
被測定者の体動情報および姿勢情報および発声情報の少なくとも1つに基づいて、前記測定部の測定態様および前記演算部の演算処理態様および前記出力部の出力態様の少なくとも1つが変更される
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生体情報計測システムにおいて、
前記個人認証部は、被測定者を撮影し、撮影した画像のデータに基づいて前記体動情報および前記姿勢情報および前記発声情報の少なくとも1つを取得する
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項4】
請求項3に記載の生体情報計測システムにおいて、
前記測定部は、被測定者に装着されたカフを用いて血圧を測定し、
前記個人認証部は、前記姿勢情報として、被測定者の心臓の位置に対する前記カフの位置の情報を取得し、
前記演算部は、前記心臓の位置に対する前記カフの位置に基づいて演算処理態様を変更する
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体情報計測システムにおいて、
前記個人認証部による被測定者の認証が完了したとき、被測定者の過去の生体情報の計測結果に基づいて、前記測定部の測定態様および前記演算部の演算処理態様および前記出力部の出力態様の少なくとも1つが変更される
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項6】
請求項5に記載の生体情報計測システムにおいて、
前記測定部は、カフを用いて血圧を測定するとともに、被測定者の過去の血圧の計測結果に基づいて前記カフの圧力を制御する
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の生体情報計測システムにおいて、
前記測定部は、前記生体情報として複数の項目を測定するとともに、前記個人認証部による認証結果に基づいて測定する項目を変更する
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項8】
請求項7に記載の生体情報計測システムにおいて、
前記測定部は、前記複数の項目として被測定者の体重および体組成を測定する
ことを特徴とする生体情報計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−200412(P2011−200412A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70270(P2010−70270)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】