生体活性骨移植片代替物
本発明は骨欠損を修復するための生体適合性骨移植片材料およびそのような骨移植片材料の適用に関する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、参照としてそのまま本明細書に援用される2006年6月29日に出願された米国仮特許出願番号第60/817,617号に対する優先権の利益を主張する。
技術分野
本発明は骨欠損を修復するための生体適合性骨移植片材料および本明細書に開示された骨移植片材料の適用に関する。本発明は、マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する無機成型ボディー、コラーゲン、および生体活性ガラスの利点を組み入れる。本発明の生体適合性骨移植片材料はまた、高度に多孔性で均質であり、相互連絡するマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する。
【0002】
発明の背景
改善された骨移植片材料に対する継続した必要性が存在してきた。現在の「至適基準(gold standard)」である自家移植片は理想的な特性と放射線不透過性を有するが、自己骨の使用はドナー側における二次的な手術、疼痛、および病的状態に患者を曝す。ドナー骨から処理される同種移植片デバイスはまた、疾患伝達のリスクを伴う。デバイスは型およびサイズのバリエーションに関して制限され、移植後に低下する至適下の強度特性を有する。同種移植片デバイスの性質は、デバイスが天然であるため変化する。その上、同種移植片を提供する会社は供給物をドナー組織バンクから得るため、供給が限定される傾向がある。近年、合成材料が自家移植片および同種移植片デバイスに対する実用的な代替物になってきている。そのような合成材料の1種として、Vitoss(登録商標)Scaffold Synthetic Cancellous Bone Void Filler(Orthovita,Inc.,Malvern,PA,本出願の譲受人)が挙げられる。自家移植片および同種移植片のように、合成移植片材料は骨の内部成長を促進する骨伝導性スカフォールドとして役立つ。骨増加が促進され、増すに従って、移植片材料は再吸収され、結局新規な骨と置換される。
【0003】
多くの合成骨移植片は、リン酸カルシウムを含む組成物のような、哺乳動物の骨を厳密に模倣する材料を含む。代表的なリン酸カルシウム組成物には、哺乳動物体内に見いだされる主要なミネラル相であるB型炭酸塩化ハイドロキシアパタイト[Ca5(PO4)3x(CO3)x(OH)]が挙げられる。ハイドロキシアパタイトから形成されるボディー部分の最終的な組成、結晶サイズ、形態、および構造は、タンパク質および有機化合物含有量のバリエーションによって決定される。リン酸カルシウムセラミックは、成型ボディーおよびセメントを含むがそれらに限定されない種々の形状で加工され、哺乳動物に移植されている。ハイドロキシアパタイト(Hap)、リン酸三カルシウム(TCP)、リン酸四カルシウム(TTCP)、ならびに他のリン酸カルシウム塩およびミネラルのような異なる化学量論の組成物が、天然の骨の順応性、生体適合性、構造、および強度に匹敵するように使用されている。骨の再血管形成、癒合、およびリモデリングにおける、ポアサイズおよび多孔度の役割が骨移植片材料の重要な特性として認識されている。厳密に骨に類似する代表的な多孔性リン酸カルシウム材料の製造物は、たとえば、参照として本明細書にそのまま援用される、米国特許第6,383,519号および第6,521,246号に開示されている。
【0004】
改善された骨移植片システムに対する継続した必要性が存在してきた。リン酸カルシウム骨移植片材料は広く受け入れられているが、多くは非常に広範な臨床適用において使用されるために必要な強度、操作性、および柔軟性を欠いている。今までは、リン酸カルシウム骨移植片代替物は単純な骨空隙充填剤などのような、主に耐荷重性でない適用において使用されてきた。荷重を担う移植片材料を必要とする、いっそう臨床的に困難な適用の場合、骨移植片材料と従来の柔軟性のない固定システムを組み合わせる再建システムが使用される。たとえば、MacroPore OS(登録商標)Reconstruction Systemは骨移植片代替物または複雑骨折に由来する骨フラグメントのような弱い骨組織の相対的な位置を補強し、維持することを意図する。該システムは、ポリ乳酸(PLA)から作製された種々のサイズの多孔性シートおよびスリーブ、小孔のないシートおよびスリーブ、ならびに関連したスクリュウおよびタックから構成される再吸収性移植片含有システムである。しかし、シートは温められた時に身体に対して成型されうるだけであるという点で限定される。
【0005】
Synthes SynMesh(登録商標)は、患者の解剖学的欠損の形状に合致するようにあつらえた、平たく、円形に、および楕円に成型された円柱から構成される。意図された用途は弱い骨組織の補強であり、市販の純粋なチタンから作製される。このメッシュは耐荷重性であってもよいが、柔軟性である再吸収性材料から完全には作製されない。
【0006】
多くの異なるガラス、ガラス‐セラミック、および結晶相材料が、単独で、あるいはアクリル性の重合性種、および他のファミリーのポリマーと組み合わせてのいずれかで、回復の目的で使用されてきた。これらには、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、オキシアパタイト、ワラストナイト、アノルサイト(anorthite)、カルシウムフルオリド、アグレライト(agrellite)、デビトライト(devitrite)、カナサイト(canasite)、フロゴパイト(phlogopite)、モネタイト(monetite)、ブルシャイト(brushite)、リン酸八カルシウム、ウィトロカイト(Whitlockite)、リン酸四カルシウム、コーディエライト(cordierite)、およびベルリナイト(Berlinite)が挙げられる。そのような使用を記載する代表的な特許には、米国特許第3,981,736号、4,652,534号、4,643,982号、4,775,646号、5,236,458号、2,920,971号、5,336,642号、および2,920,971号が挙げられる。付加的な参考文献には、日本特許第87−010939号およびドイツ特許OS2,208,236号が挙げられる。他の参考文献がW.F.Brown,“Solubilities of Phosphate & Other Sparingly Soluble Compounds,”Environmental Phosphorous Handbook,Ch.10(1973)に見いだされてもよい。前述のすべてのものは参照として本明細書に援用され、とりわけ、本発明の組成物と方法に含まれてもよい先行の回復材料および方法および組成物、ならびに本発明の一部として、あるいは本発明に補助的に利用されてもよい方法の開示を提供する。
【0007】
柔軟性で、もろくなく、そして圧縮抵抗性である、改善された操作性を有する合成再吸収性骨移植片に対する必要性が存在する。また、骨刺激性、骨伝導性、および骨誘導性である、柔軟性で、圧縮抵抗性の骨移植片に対する必要性が存在する。
【0008】
また、骨結合を便宜上形成する能力の性質によって生体活性または骨活性である、再吸収性骨移植片に対する必要性が存在する。
【0009】
高度に多孔性で流体の毛細管作用を促進するために相互連絡するマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有し、骨形成のために細胞を動員し、血管形成を可能にする再吸収性骨移植片に対する付加的な必要性が存在する。また、体内に細胞および分子を送達することが可能である流体吸い上げおよび保持特性を有する骨移植片に対する必要性も存在する。
【0010】
骨の欠損を回復させるために種々の形状の空隙をふさぐことができる、生体活性、流動性または成型可能(moldable)な、成型性(shapeable)移植片材料に対する必要性が存在する。
【0011】
また、改善された操作性を持つ、注射可能な、再吸収性骨移植片材料に対する必要性が存在する。
発明の概要
本発明は再吸収性リン酸カルシウム、再吸収性コラーゲン、および生体活性ガラスを含む生体適合性骨移植片材料に関する。本発明はまた、リン酸カルシウム;生体適合性、再吸収性コラーゲン;および生体活性ガラスを含む、生体適合性骨移植片材料に関し、ここで移植片はマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する。さらに、マクロ‐、メソ、およびミクロ多孔度を有するリン酸カルシウム;生体適合性、再吸収性コラーゲン;および生体活性ガラスからなる生体適合性、再吸収性で、実質的に均質な混合物を含む複合生体適合性骨移植片材料が提供される。
【0012】
また、回復することになる骨空間に近づくこと;およびリン酸カルシウム、生体適合性、再吸収性コラーゲン、および生体活性ガラスを含む骨移植片材料を骨空間に配置することを含む、哺乳動物において骨を回復させるか、または修復するための方法が開示される。また、リン酸カルシウムおよび生体適合性、再吸収性コラーゲンを含む骨移植片材料を提供すること;骨移植片材料を生物学的適合性流体で濡らすこと;骨移植片材料に生体活性ガラスを組み込むこと;および骨空間に骨移植片を配置することを含む、哺乳動物において骨を回復させるか、または修復するための方法が提供される。また、コラーゲンを含む組成物にpHを変化させる材料を添加することによってコラーゲン再吸収の速度を改変する方法が提供される。
【0013】
本出願はまた、再吸収性コラーゲンおよびリン酸カルシウム;およびある量のまたは容器1杯の生体活性ガラスを含む、生体適合性骨移植片を含むキットを提供する。
実例となる態様の詳細な説明
3種の要素:(1)高度に多孔性の再吸収性無機材料;(2)再吸収性コラーゲン;および(3)再吸収性生体活性ガラス/ガラス‐セラミックを混合することが、改善された再吸収および骨形成性を持つ骨刺激性および骨伝導性インプラントを提供し、さらになお、とりわけ濡らされた時に、材料が巧みに扱われる、たとえば包まれる、切断される、曲げられる、および/または成型されることを可能にする、柔軟な、しなやかな、または流動性の操作性を持つ骨移植片代替物を提供することが発見されている。本発明のインプラントは利用しやすい量の複合材料を提供し、ある種の臨床適用に対して現在の骨再建システムに優る進歩を提供する。
【0014】
本発明に従って、少なくとも1種の金属カチオン、少なくとも1種の酸化剤、および少なくとも1種の酸化可能な前駆体アニオンからなる酸化‐還元反応生成物;生体適合性、再吸収性コラーゲン;および生体活性ガラスを含む移植片材料が提供される。好ましくは、反応生成物はマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する(合成)リン酸カルシウムである。より好ましくは、反応生成物はマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有するβ‐リン酸三カルシウムである。より好ましくは、リン酸カルシウムの多孔度は相互連絡している。本発明における使用のためのリン酸カルシウムの好ましい形状の製造物は、本発明の譲受人によって譲渡され、そのまま参照として本明細書に援用される、米国特許第6,383,519号および6,521,246号に記載される。例となるリン酸カルシウム製品には、Vitoss(登録商標)Scaffold Synthetic Cancellous Bone Void Filler(Orthovita,Inc.,Malvern,PA,)が挙げられる。多孔性リン酸カルシウム細片は、好ましくはサイズが約0.25mmより大きい。リン酸カルシウムの細片は本発明の一部の態様の場合、サイズが約1〜2mmであってもよい。リン酸カルシウム細片は本発明の一部の態様の場合、サイズが約0.25mm〜約1mmまたは約2mmであってもよい。本発明の流動性組成物の場合、所望する送達装置を考慮して細片サイズが選択されることが認識される。たとえば、標準シリンジを使用した流動性組成物の送達の場合、シリンジ開口部を通って適合する細片サイズを選択することが必要である。適切な細片サイズの選択は当業者の能力次第であると考えられている。
【0015】
適切なコラーゲンは、たとえば米国特許第7,189,263号に記載され、それはそのまま参照として本明細書に援用される。本発明の一部の態様は100%までI型コラーゲンからなるコラーゲンを含む。他の態様では、使用されるコラーゲンは主として約90%までのI型コラーゲンからなっていてもよく、約5%までのIII型コラーゲンまたは約5%までの他の型のコラーゲンを伴う。適切なI型コラーゲンには、生来の線維性、不溶性のヒト、ウシ、ブタもしくは合成コラーゲン、可溶性コラーゲン、再構成コラーゲン、またはその組み合わせが挙げられる。
【0016】
本発明の骨移植片材料は柔軟性であるか、もしくは成型可能であってもよく、または材料は流動性であってもよい。コラーゲンの性質は移植片材料の柔軟性、成型可能性、または流動性に影響を与える。主として線維性コラーゲンを含む移植片は、コラーゲンの架橋の程度に依存して、濡れた時に柔軟性、または成型可能であってもよい。架橋が限定的であるか、全く持たない可溶性コラーゲンを主として含む移植片は濡れた時に流動性である。本発明の使用に適切なコラーゲンは、Semed FもしくはSemed S(Kensey Nash Corporation of Exton,PAにより大規模に製造される)、またはその組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用される「生体活性ガラス」は、いずれかのアルカリ含有セラミック、ガラス、ガラス‐セラミック、または結晶材料であってもよく、それは血液および血清を含むがそれらに限定されない体液と接触した時に反応し、そのことが骨形成を導く。好ましい態様では、生体活性ガラスは体液中に配置された場合、表面にアパタイト層を形成する。本発明の使用に適切な好ましい生体活性ガラスの例は、参照として本明細書に援用される米国特許第5,914,356号に記載される。適切な生体活性ガラスにはまた、45S5ガラスおよびガラス‐セラミック、58S5ガラス、S53P4ガラス、ガラスおよびガラス‐セラミックを含むアパタイト‐ワラストナイトが挙げられる。好ましくは、生体活性ガラスは、不規則な形態およびコンベアイト微結晶(「コンベアイトガラス‐セラミック」)の領域を有する異種粒子を含むガラス‐セラミック組成物である。一部の態様では、生体活性ガラスは約5〜50%の容積のコンベアイト微結晶の領域を含む。本発明の使用に適切な好ましい生体活性ガラスはカルシウム‐リン−ナトリウム‐ケイ酸およびカルシウム‐リン−ケイ酸を含む組成物である。そのような生体活性ガラスには、NovaBone Products,LLC,Alachuaにより販売される、NovaBone(登録商標)およびNovaBone(登録商標)‐ARが挙げられる。本発明の使用に適切であってもよい付加的な生体活性ガラス組成物は、米国特許第6,709,744号に記載される。
【0018】
理論に束縛されることを望まないが、約150μm以下の生体活性ガラス粒子の再吸収はアパタイトゲル層内に放出されるシリカとして起こるが、より大きな粒子は結局破骨細胞によって壊されると考えられている(Goasin,A.Bioactive Glass for Bone Replacement in Craniomaxillofacial Reconstruction,Plastic and Reconstructive Surgery(2004)Vol.114,No.2,pp590〜593)。本発明の骨移植片材料は生体活性ガラスとは別個の骨増加のための適切なスカフォールドを提供すると現在考えられている。その上、理論に束縛されることを望まないが、本明細書に記載の骨移植片中の生体活性ガラスの役割は破骨細胞に刺激性であることにあると考えられていて、そういうものとしての、同じ様に骨増加のためのスカフォールドを提供してもよい大粒子のガラス(>150μm)は、役立つことになる本発明の目的に必要ではなく、従って溶解によって再吸収される粒子が好ましい。しかし、再吸収性ガラス粒子のすべてのサイズが適切であると企図される。
【0019】
粒子サイズ測定は当該技術分野で公知である。特記しない限り、本明細書で使用される粒子サイズは粒子サイズを分けるために使用される篩サイズを表す。本発明に従って使用される生体活性ガラス粒子は好ましくは約90〜150μmである。生体活性ガラスは約1〜2mmで粒子の形状であってもよい。生体活性ガラス粒子は約100μm以下、約150μm以下であってもよく、または生体活性ガラスは約50〜約200μm、約75μm〜約175μm、もしくは約80〜約160μmでありうる。
【0020】
粒子サイズを測定する別の適切な方法には、光散乱によるもの(たとえば、光散乱粒子サイズアナライザーによる)がある。本発明の一部の態様では、光散乱により測定した粒子サイズ中央値は約2〜約200μmである。他の態様では、光散乱により測定した粒子サイズ中央値は約2〜約20μmである。他の態様では、光散乱により測定した粒子サイズ中央値は約10〜約20μmである。他の態様では、光散乱により測定した粒子サイズ中央値は約100〜約200μmである。
【0021】
コラーゲンおよび生体活性ガラスはリン酸カルシウムと混合することによって組み合わせ、実質的に均質な混合物を形成してもよい。これに関連して使用される、実質的に均質とは、混合物内の成分の比が全体にわたって同じであることを意味する。リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスはまた、組み合わせて種々の型およびサイズの複合マトリックスを形成してもよい。ある態様では、生体活性ガラスはコラーゲン鎖上のコーティングの形状でありうる。他では、生体活性ガラスはコラーゲンとリン酸カルシウムの均質混合物上のコーティングの形状でありうる。種々の好ましい加熱、フリーズドライ、および架橋技術を使用する処置により、本発明のそのような混合物は好ましくてもよい移植片材料を形成する。一方法では、3種の要素(無機成分、コラーゲン、および生体活性ガラス)が混合され、その間ホモジェネートのpHがモニターされる。生体活性成分は水性環境に感受性が高く、それでホモジェネートのpHのモニタリングは、骨活性を促進するために必要なイオンの早すぎる濾過によって混合物中の生体活性ガラス成分が変化しないことを保証する。ホモジェネートはその後、明確に定められた型に分散させられ、フリーズドライされ、そして一部の態様の場合架橋される。
【0022】
別の態様では、コラーゲンおよび無機成分は記載のように組み合わされ、そして生体活性ガラスは別個の成分として提供され、手術部位における使用のために製造中の骨移植片材料に組み込まれる。本発明の骨移植片および生体活性ガラスを含むキットが本明細書において企図される。キットにおいて提供される骨移植片はコラーゲンおよびリン酸カルシウムを含んでいてもよい。キットでは、生体活性ガラスは単位用量で提供され、提供される骨移植片の単位用量と組み合わされることになってもよい。
【0023】
キットにおいて提供される骨移植片は、シリンジのような送達装置中に含まれてもよく、または骨移植片を保有し、そして送達することが可能なシリンジに加えて、骨移植片が提供されてもよい。流動性骨移植片材料(たとえば、そのまま、本明細書に参照として援用される、2004年6月23日に出願された米国特許出願番号第10/874,994号に記載されたもの)はそのようなキットにとりわけ適切であると企図される。生体活性ガラスは骨移植片と一緒に送達または保持装置内にあってもよく、または生体活性ガラスはシリンジのような、別の装置中に提供されてもよい。生体活性ガラス‐含有装置は骨移植片装置に連結するように適合させられ、前後の均質な混合が許されてもよい。従って、結局、成分を混合して、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスを含む実質的に均質な骨移植片にすることが可能な複合装置が提供される。
【0024】
コラーゲンおよび生体活性ガラスと、高度に多孔性の反応生成物との混合により、広範なポアサイズ分布、増大した操作性を持ち、リン酸カルシウムだけの一部の形状によって獲得可能なものを越えた、高度に多孔性の骨移植片が生み出される。その上、本発明の移植片は、以前の骨移植片より改善された骨伝導性および骨刺激性を提示する。本発明の一部の態様の再吸収プロファイルは、使用されるコラーゲンの量、性質、および供給源に依存して変化してもよい。本発明の優れた再吸収特性を説明してもよい1つの理由は、コラーゲンと生体活性ガラスを混合して反応生成物を形成する時にさえ保持される高度な多孔度である。本発明の骨移植片は高度に多孔性であり、高度に多孔性とは約65〜95%の総多孔度を有すると定義される。
【0025】
好ましくてもよい本発明の骨移植片材料は、反応生成物をコラーゲンおよび生体活性ガラスと組み合わせることによって外科的に適切な型およびサイズにまとめられる。また、生体活性ガラスが外科的に適切な型およびサイズの表面に層またはコーティングとして添加されてもよいことが企図される。得られた品物は、成型性(shapeable)で、柔軟性の単位用量を形成しながら、‘519および‘246特許に教示された成型ボディーの生物学的および化学的特性のすべてを実質的に保持する。骨移植片材料は指示された寸法および容積の細片および円柱形に加工されてもよい。移植片材料は手術部位に送達後、再吸収され、先に述べた成型ボディーと同じ有益な生物学的反応(たとえば、骨形成)を提示する。
【0026】
一部の態様では、本発明の骨移植片材料は重量で10〜80%のリン酸カルシウム;重量で約5〜20%のコラーゲン;および重量で約5〜80%の生体活性ガラスを含むことになる。他の態様では、本発明の骨移植片材料は重量で50〜90%のリン酸カルシウム;重量で約5〜25%のコラーゲン;および重量で約5〜40%の生体活性ガラスを含むことになる。ある態様では、本発明の骨移植片材料は約70:10:20の重量比のリン酸カルシウム、コラーゲンおよび生体活性ガラスを含む。他の態様では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は80:10:10である。さらに他では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は80:15:5である。付加的な態様では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は50:10:40である。他では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は10:10:80である。リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比はまた60:20:20であってもよい。好ましい態様では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は75:10:15である。有効な骨移植片に起因すると考えられるすべての特性(たとえば、多孔度、ポアサイズ分布)を依然として維持(たとえば、同時の骨形成、強度および移植片再吸収)しながら、質量比は、適切でない試験をせずに、当該技術分野で容易に利用可能な方法を使用して変更されてもよい。本発明の骨移植片材料の1つの特有の特徴は、コラーゲンおよび生体活性ガラスと組み合わされた場合でさえ、ミネラルが多孔性を維持することである。さらに、結果として生じる骨移植片はそれ自体高度に多孔性で広範なポアサイズ分布を持つ。
【0027】
好ましくは、本発明の骨移植片材料は重量で約80%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。ある態様では、本発明の骨移植片材料は重量で約70%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。本発明の骨移植片材料はまた、重量で約60%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。他の態様では、本発明の骨移植片材料は重量で約50%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。さらに他では、骨移植片材料は重量で約10%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。一部の態様では、リン酸カルシウムはβ‐リン酸三カルシウムである。一部の態様では、リン酸カルシウムはミクロ‐、メソ‐、およびマクロ多孔度を有する。
【0028】
本発明のある変形では、骨移植片材料は重量で約5%までのコラーゲンを含んでいてもよい。本発明のある他の変形では、骨移植片材料は重量で約15%までのコラーゲンを含んでいてもよい。他の変形では、骨移植片材料は重量で約10%までのコラーゲンを含んでいてもよい。さらに他では、骨移植片材料は重量で約20%までのコラーゲンを含んでいてもよい。
【0029】
本発明の骨移植片材料は、重量で約40%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。本発明の骨移植片材料は、重量で約20%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。ある態様では、本発明の骨移植片材料は、重量で約15%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。ある他の態様では、本発明の骨移植片材料は、重量で約10%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。他の態様では、本発明の骨移植片材料は、重量で約5%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。一部の態様では、骨移植片材料は重量で約80%までの生体活性ガラスを含んでいてもよいことが予見される。一部の態様では、骨移植片材料は生体活性ガラスを含む形状で提供されるが、代わりの態様では骨移植片に組み込まれてある量の生体活性ガラス用量が手術部位への移植前、または移植中に提供される。
【0030】
好ましくてもよい本発明の骨移植片材料は高度の多孔度を提示する。また、多孔度が広範な有効ポアサイズで存在することが好ましい。これに関して、当業者は本発明の好ましい態様が、マクロ多孔度、メソ多孔度、およびミクロ多孔度を同時に有していてもよいことを認識する。マクロ多孔度は約100μmより大きい、そして一部の態様では約1000μm〜2000μmまでのポア直径によって特徴付けられる。メソ多孔度は、約100μm〜10μmのポア直径によって特徴付けられるが、ミクロ多孔度は、ポアが約10μm未満の直径を有する場合に存在する。マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度が同時に存在し、本発明の生成物中で相互連絡されることが好ましい。それぞれの多孔度の型を高度に定量化することは必要ではない。むしろ、当業者は試験を通して、たとえば水銀圧入ポロシメトリーおよび走査型電子顕微鏡法の好ましい方法を通して、材料がそれぞれの型の多孔度を有するかどうかを容易に測定することができる。試料を特有の形状の多孔度の実質的な度合いを有すると特徴付けるために、必要なサイズ範囲内に1つより多いか、または数個より多いポアが必要とされることは確かに真実であるが、特定の数や割合は求められない。むしろ、当業者による定量的な評価を使用して、マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を決定するべきである。
【0031】
一部の態様では、本発明に従って製造された材料の全体的な多孔度が高いことが認識される。この特徴は百分率で表された、ポア容積によって測定される。ゼロパーセントポア容積は、必然的に全くポアのない、完全に高密度の材料を表す。百パーセントポア容積は「すべてポア」または空気を表すことになるため、意味をなして存在するはずがない。しかしながら当業者はポア容積の概念を理解し、容易にそれを計算し、適用することができる。たとえば、ポア容積は多孔度の測定のための式を提供するKingery,W.D.,Introduction to Ceramics,Wiley Series on the Science and Technology of Materials,1版,Hollowman,J.H.,et al.,(編),Wiley & Sons,1960,p.409−417に従って決定されてもよい。。百分率として多孔度を表現することはポア容積を生み出す。式は:ポア容積=(1−fp)100%であり、式中fpは達成される理論的密度の割合である。
【0032】
多孔度はヘリウムピクノメトリー(pycnometry)のような、当該技術分野で公知の方法によって測定されうる。この手順は、キャリブレーションされた容積中のヘリウムの圧変化を測定することにより試料の密度と真の容積を決定する。既知の重量および寸法の試料はピクノメーターに配置され、それが密度と容積を決定する。試料の質量から、ピクノメーターは真の密度と容積を決定する。測定された大きさから、見かけの密度および容積が決定されうる。試料の多孔度はその後(見かけの容積−測定された容積)/見かけの容積を使用することによって計算される。多孔度およびポアサイズ分布はまた、当該技術分野で公知の別の方法である水銀圧入ポロシメトリーによって測定されてもよい。
【0033】
約30%より多いポア容積は、本発明に従って達成されてもよいが、50%または60%より多いポア容積を有する材料もごく普通に獲得可能であってもよい。本発明の一部の態様は、少なくとも約70%のポア容積を有していてもよい。他の態様は約75%または約80%より多いポア容積を有する。約85%より大きいポア容積が可能であり、約90%の容積も同様である。好ましい事例では、マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度の存在ならびに生産された材料の物理的安定性も獲得しながら、そのような高いポア容積が獲得される。高いポア容積と共にマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を同時に有し、濡れた時に多少の圧縮抵抗性および柔軟性、成型可能性、または流動性も保持する移植片材料を製造することは非常に好都合であると考えられている。
【0034】
本発明の移植片の高い多孔度および広範なポアサイズ分布(1μm〜1000μm)のゆえに、インプラントは非常に速やかに材料を吸い上げる/濡らす/吸収することが可能なだけでなく、それらを保持することも可能である。血液、骨髄液吸引物、生理食塩水、抗生物質および骨形成タンパク質(BMP)のようなタンパク質を含む、多様な流体が本発明と一緒に使用されうる。本発明の材料はまた、細胞(たとえば、線維芽細胞、間葉系、ストロマ、骨髄および幹細胞)、血小板に富む血漿、他の体液、および上記のいずれかの組み合わせによって吸収されうる。本発明の骨移植片はそれらがいったん吸収されると、流体を実際に保有し、維持し、および/または保持し、吸収された流体を含み、局所送達を可能にする。この能力は、細胞播種、薬物送達、および生物分子の送達、ならびに骨組織エンジニアリングの適用、整形外科学、および薬物のキャリアにおいて用途を有する。
【0035】
濡れ性は試料材料によって吸収される流体の量および、材料が特定された時間内に適切な量の流体を吸収するかどうかを決定する。材料の断片は無作為に選択され、量られ、そして120秒間流体の容器中に配置される。試料が適切に流体を吸収する場合、それらは再度量られ、流体吸収に由来する質量増加の割合を決定する。
【0036】
一部の態様は、少なくとも100%の質量増加を伴って、骨移植片材料が120秒以内に十分に飽和される濡れ性を提示する。一部の態様では、移植片材料は150%の質量増加、そしてさらに、他では、およそ200%〜300%の質量増加を経験する。本発明において使用されてもよい流体は、骨髄液吸引物、血液、生理食塩水、抗生物質および骨形成タンパク質(BMP)のようなタンパク質などであってもよい。
【0037】
本発明の柔軟性移植片は、圧縮下でさえ、流体を吸い上げ、そして保有することが可能であることが好ましい。成型可能な態様は、濡れ環境においてさえ、流体を吸い上げ、そして保有することが可能であることが好ましい。たとえば、濡らされた、柔軟性移植片が計量計(weigh boat)上につり下げられたメッシュに配置され、500gの重さをかけられる場合、移植片は移植片の質量の少なくとも約95%の質量の、または移植片の質量にほぼ等しい流体の質量を維持することが好ましい。本発明の濡らされた、成型可能な移植片が流体中に配置された場合、移植片は連続した物として維持され、本来の寸法より実質的に大きなサイズに膨潤しないことが好ましい。一部の例では、定量的査定により、移植片は本来の寸法を上回ってサイズが約50%より大きく膨潤しない。本発明の濡れされた、成型可能な移植片が圧縮される場合、移植片は移植片の質量の少なくとも約85%の、または移植片の質量にほぼ等しい流体の質量を維持することが好ましい。
【0038】
本発明に従って、開示された一部の骨移植片材料は、酸化還元反応の結果生じた、材料、または細片を部分的に含んでいてもよい。これらの材料は金属カチオンの水性溶液および少なくとも1種の酸化剤を製造することを含む方法によって生産されてもよい。溶液は酸化剤により酸化可能な少なくとも1種の可溶性前駆体アニオンにより増やされ、沈殿物オキソアニオンを生じる。そのように企図される酸化還元反応は、好都合には該反応を生じるために有効な温度および圧の条件下で溶液を加熱することにより開始される。本発明の好ましい態様に従って、酸化還元反応は少なくとも1種の気体生成物の放出、および所望する中間体前駆体ミネラルの、溶液からの沈殿を引き起こす。本発明のある好ましい態様に従って、本発明に従った反応性混合物は、それを吸収して、多孔性ミネラルを生産することが可能な材料に吸収されてもよい。材料が顕著な多孔度を有し、毛管現象を介して、顕著な量の反応性混合物を吸収可能であること、および同じものが実質的に不活性で自家酸化還元反応の前に混合物と反応しないことが好ましくてもよい。
【0039】
そのようにして製造された中間体前駆体ミネラルは、「そのまま」使用されうるか、またはいつくかの方法で処理されうる。従って、1種以上のパラダイムに従って、該ミネラルは約800℃より高い、または好ましくは、約1100℃より高い温度で加熱処理され、その中に予め選択された結晶構造、または他の予め選択された形態構造を生じてもよい。好ましい態様に従って、酸化剤は硝酸イオンであり、そして気体生成物は一般的にはNOx(g)として表される酸化窒素である。本発明の方法によって提供される前駆体ミネラルは実質的に均質であることが好ましい。これに関して使用される実質的に均質とは、前駆体ミネラル全体の多孔度およびポアサイズ分布が全体にわたって同じであることを意味する。
【0040】
他の好ましい態様に従って、本発明によって提供される中間体前駆体ミネラルはいずれのカルシウム塩であってもよい。その後の適度な加熱処理が中間体材料を、たとえば新規な単相性リン酸カルシウムミネラル、または新規な二相性β‐リン酸三カルシウム(β‐TCP)+B型、炭酸塩化アパタイト(c−HAp)[β‐Ca3(PO4)2+Ca5(PO4)3−x(CO3)x(OH)]微粒子に変換する。より好ましくは、加熱処理は中間体材料を主としてβ‐TCP材料に変換する。
【0041】
多孔度は‘519および‘246特許に開示された無機成型ボディーのそれに類似することは認識される。本発明の骨移植片材料は、確かに‘519および‘246特許に開示された成型ボディーに対する改善である。本発明の一部の態様の場合、‘519および‘246特許の成型ボディーは、種々の天然および合成ポリマー、フィルム形成材料、レジン、スラリー、水性混合物、プレポリマー、有機材料、金属、および他のアジュバントを使用して改変される。ワックス、グリセリン、ゼラチン、ポリカプロラクトン、種々のナイロンへの前駆体のようなプレポリマー材料、アクリル、エポキシ樹脂、ポリアルキレンなどのような材料は、‘519および‘246特許に従って形成された成型ボディーのすべてまたは一部に浸透させられた。本明細書に開示された一部の移植片材料の浸漬および保留特性は血液の少なくとも100%の質量増加を示す。本発明の多くの骨移植片材料は、‘519および‘246特許のボディーと比較した場合、臨床的操作性が改善された、構造的完全性を有する。
【0042】
骨移植片材料はまた、単位用量送達を提供しうる改善された操作性を有していてもよい。本発明の移植片材料におけるコラーゲンの添加は、生成物の能力を大いに高め、砕かずに成型または切断されることになる。移植片材料はメスまたはハサミのような種々の器具を使用して、成型または切断されてもよい。とりわけ、充填されることになる骨空隙が不規則な形態である場合、患者の必要性に適合するために骨移植片は手術室において「in situ」で形成されうるため、この特徴は多様な外科的適用に用途を見いだす。開示された一部の移植片材料はまた、手術中にオペレーターによって直接骨部位に送達され、成型され、体液を吸い上げることを可能にしてもよい。
【0043】
本発明の材料はまた、図11に示すように、放射線不透過性である。骨移植片材料は滅菌されてもよく、そして好ましくは約25kGy〜40kGyの範囲でガンマ照射されてもよい。
【0044】
本発明の骨移植片材料は骨伝導性および骨刺激性特性を有する。ある態様では、本発明の生体活性ガラスの添加は生成物が骨増加を促進する能力を高める。本発明の骨移植片材料はまた、骨誘導性特性を有していてもよい。
【0045】
本明細書に開示された多くの態様は骨空隙および欠損を充填することである。本発明の態様の適用には、体間固定デバイス/ケージ(リングケージ、円柱ケージ)を充填すること、ケージに隣接した(すなわち、ケージ前方における)配置、後側面融合(PLF)手順における後側面溝における配置、腸骨稜の埋め戻し、股臼再建ならびに臀部および膝の修正、大腫瘍空隙、高位脛骨骨切り術における使用、骨孔充填、および他の頭蓋欠損における使用が挙げられるが、それらに限定されないことは認識されることになる。骨移植片材料細片は後側面溝における配置によるPLF、およびオンレイ(onlay)融合移植における使用に適合してもよい。付加的な使用は、損傷/空隙部位のカバリングまたはラッピングを必要とする頭蓋顔面および外傷手順を含んでいてもよい。骨移植片材料円柱は脊髄ケージおよび大骨空隙を充填するために、および脊椎の後側面溝に沿った配置のために適合してもよい。
【0046】
本発明のある態様の走査型電子顕微鏡写真(SEM)は、これらの移植片材料の高度な多孔度を証明している(たとえば、図8〜10、12〜14を参照されたい)。図12〜14はさらに、本発明のある態様の形態を表し、多孔度の部分およびコンベアイトガラス‐セラミックの部分を強調している。図13Bおよび13Cは本発明の一態様の多孔性領域の元素分析を示す。
【0047】
本発明の態様の広範な適用のため、本発明の移植片材料が標準成型技術により多様な型およびサイズで作製されうることは理解されるべきである。たとえば、本発明のブロックおよび円柱は骨空隙充填および体間融合デバイスの充填に用途を見いだしてもよく;本発明の楔形に成型されたデバイスは高位脛骨骨切り術に用途を見いだしてもよく;そして細片は頭蓋欠損修復に用途を見いだしてもよい。移植片閉じ込めデバイスのための、半球(図3A)、半チューブ(図7A〜7C)または円盤型(図4A)細片としての一部の移植片材料の使用に、とりわけ関心があってもよい。半球形102の使用における態様は図3Bに表される。
【0048】
これらの型の改変が存在して当業者の必要性を満たしてもよいため、これらの型が本発明の範囲を限定することを意図しないことは認識される。たとえば、本発明から作製された、股臼再建に使用されてもよい移植片閉じ込め材料の利点は数倍である。移植片材料は、他のインプラントの移動を妨げるための障壁、および骨移植片の両方としての役割を果たしてもよく、そして骨形成を促進することが可能な、骨伝導性再吸収性骨移植片として役立つ。移植片閉じ込めデバイスは相対的に耐荷重性でないか、または部分的に耐荷重性であってもよく、あるいは以下に記載のように十分に耐荷重性であるように補強されてもよい。移植片材料はその構造完全性を維持するゆえ、形状に依存して障壁特性を有する。
【0049】
耐荷重能を持つ移植片材料を必要とする適用では、本発明の移植片材料は張り付けられたメッシュまたは固定プレートを有していてもよい。メッシュまたはプレートはチタンもしくはステンレススチールのような金属からなるか、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはニチノールのような、ポリマーもしくは複合ポリマーからなっていてもよい。図6Aおよび6Bに示すように、金属メッシュ270は骨移植片材料272の一面に配置され、インプラントに強度および耐荷重性を添加してもよい。図6Aでは、メッシュプレート270は移植片材料272の一表面に張り付けられている。図6Bでは、メッシュプレート270は上面に曝されたメッシュの一面を持つ移植片材料272の一表面に入り込む。図6Cでは、メッシュプレート270は移植片材料272内に、図6Bよりいっそう深く浸漬される。図7A〜7Cは、半チューブ型における移植片材料272の別の態様を表す。メッシュは長骨補強における付加的な支持のために表面に張り付けられてもよい。本発明の骨移植片材料の独特の特性のために、メッシュは、縫合糸、ステープル、スクリュー、周回ワイヤー(cerclage wire)などを使用して、身体に張り付けられてもよい。
【0050】
当業者は選択された手順に必要な選択された身体空隙のいずれかの位置にメッシュを配置してもよい。たとえば、メッシュと移植片材料の複合材料は頭蓋顎顔面の頭骨欠損に使用され、いっそうしなやかな移植片表面が脳にいっそう接近して配置され、そしていっそう弾力のある移植片表面が頭骨の弾力のある皮質骨と接続してもよい。このやり方では、メッシュまたはプレートは移植片材料の一面に張り付けられてもよい。あるいは、メッシュまたはプレートは、サンドイッチ様式でメッシュまたはプレートの両側に張り付けられてもよい。同様に、移植片材料はメッシュまたはプレートの両側に張り付けられてもよい。一部の態様では、メッシュは移植片材料内に浸漬されてもよい。メッシュは平らであってもよく、あるいは、半球、半チューブ、またはカスタム型におけるように、成型されて、移植片材料の輪郭を描いてもよい。これらの態様は移植片材料とメッシュ間の不可欠な関係のゆえに独特であってもよい。これは、移植片材料が構造インプラントに隣接して、またはケージの場合、インプラント内に配置される、当該技術分野の他の生成物とは相反する。
【0051】
本発明に従って、別の態様は、β‐リン酸三カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスからなる、生体適合性、再吸収性半チューブ型、またはスリーブを含む長骨補強のための骨移植片を提供し、移植片全体は相互に連絡したマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する。メッシュはスリーブの表面に張り付けられてもよく、またはスリーブに浸漬されてもよい。メッシュはチタン、ステンレススチール、ニチノール、複合ポリマー、またはポリエーテルエーテルケトンから作製されてもよい。スリーブの横断面は三日月型であってもよい(図7B)。
【0052】
他の態様では、成型ボディーの形状における骨回復のための移植片があり、成型ボディーはβ‐リン酸三カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスを含み、移植片材料は相互に連絡したマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有し;ボディー型は、一般に哺乳動物の解剖上の骨構造に一致するように選択される。型は修復される身体部分に依存して変化することになる。一部の基本型は、円盤、半球、半チューブ、またはトーラスであってもよい。一部の態様では、型は一般に股臼に一致することになる。
【0053】
耐荷重能を有する本発明の他の移植片材料はオープンフレームであってもよく、その結果、骨移植片材料はフレームの中心開口部に埋め込まれる。フレームはチタンのような金属から、またはPEEKのような耐荷重再吸収性複合材料から、またはポリ乳酸(PLA)のいずれかの形状の複合材料から作製されてもよい。後者の場合、PLAに由来する酸は、埋め込まれた骨移植片材料のリン酸カルシウムと協働するか、または相互作用し、優れた再吸収が特徴のインプラントを提供する。
【0054】
移植片材料はまた、いずれかの生体吸収性ポリマーまたはフィルム‐形成物質、たとえばポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ‐L‐乳酸(PL−LA)、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルケノイック、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエステルなどによって吸収されてもよい。結果として生じる移植片材料は強力で、刻むことが可能であり、そして圧縮可能である。先に述べたような物質によってコーティングされた本発明の移植片はさらに血液を吸収してもよい。
【0055】
本発明の別の態様では、移植片材料はいずれかの整形外科インプラント、たとえば、金属股関節ステム、股臼成分、上腕骨または中足骨インプラント、椎体置換デバイス、椎弓骨スクリュー、一般固定スクリュー、プレートなどに対するアタッチメントまたはコーティングとして使用されてもよい。コーティングは、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの実質的に均質なスラリー中に、ある期間インプラントを浸すか、またはつり下げ、その後フリーズドライ/凍結乾燥(lyophilization)および架橋技術によって処理することによって形成されてもよい。これに関連して使用される実質的に均質とは、スラリー内の要素の比が全体にわたって同じであることを意味する。あるいは、雌の鋳型がインプラントから作製されてもよく、そしてスラリーは先に記載のように、鋳型に注がれ、加工されてコーティングを形成してもよい。
【0056】
本発明のさらに別の態様では、移植片材料は断片に刻まれるか、または切断されてもよい。これらのより小さく刻まれた断片はその後フィラーとして使用されうるか、またはシリンジボディー中に配置されうる。この方法では、流体は直接シリンジボディーに吸引されるか、または注入されることが可能であり、それによって粘着性のある、成型性(shapeable)の骨移植片塊を適用必要性に依存して「in situ」で形成する。細かく刻まれた断片は不規則な骨空隙欠損に対するフィラーとして特有の使用を見いだす。さらに、伝統的な骨移植片代替物とは異なり、それらは高度に圧縮性であり、それゆえ有益な治癒のためにパッキングされるか、またははめ込まれて、隣接する骨との最大接触を保証することができる。
実施例
実施例1:濡れ性
25x100x4mmである乾燥試験試料は重さを量られ、その後生理食塩水溶液に30秒間浸された(dipped)(「浸された(soaked)」)。浸された試料の重量が測定された。これらの試験の結果は表1に表される。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例2:生体活性の査定
生体活性解析は重量比80:10:10および80:15:5のリン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスを含むスカフォールド調製物に対して実施された。in vitroアパタイト形成は、Na2SO4、K2HPO4・3H2O、NaHCO3、CaCl2、MgCl2・6H2O、NaCl、およびKClを含むSBFを使用して査定された。これらの試薬は脱イオン水に溶解され、Tris(ヒドロキシル‐メチル‐アミノ‐メタン)および塩酸を使用して、およそpH7.3に調整された。結果として得られた溶液のイオン濃度はヒト血漿のそれに非常に類似する。
【0059】
それぞれのスカフォールド調製物の1x1cm標本は20mlのSBFに浸漬され、37℃でインキュベーションされた。1、2および4週間の特定された時点で試料は溶液から除去され、蒸留水およびアセトンですすがれ、デシケーターで乾燥された。生体活性査定は走査型電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型分光分析(EDS)を使用して行われ、表面の形態および組成の変化をそれぞれ確認した。
実施例3:4週間目におけるリン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス骨移植片代替物(80:15:5)の生体活性
リン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス(80:15:5)の試料は、実施例2に記載の方法により、4週間SBFに浸漬された。4週間後、SEMおよびEDAXスペクトルが取られた。図15、16A、および17Aに見られるように、SBF浸漬前の試料のSEMと比較して、新規なリン酸カルシウム形成はその明確な形態に基づいて確認されうる。新規なリン酸カルシウム形成の確証は、EDAXスペクトル(図16B、17B〜D)によって確証された。図16Bはリン酸カルシウム組成を確証する、新規な増加のEDAXスペクトルを示す。図17Bおよび17Dでさらに証明されるように、新規な増加はVitossとは異なる形態および関連したEDAXスペクトルを有する。図17Cに示されたEDAXスペクトルは、図17Aで見られる基礎骨移植片代替物のコラーゲン鎖を確証する。
実施例4:4週間目におけるリン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス骨移植片代替物(80:10:10)の生体活性
リン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス(80:10:10)の試料は、実施例2に記載の方法により、4週間SBFに浸漬された。4週間後、SEMおよびEDAXスペクトルが取られた。図18、および19Aに見られるように、SBF浸漬前の試料のSEMと比較して、新規なリン酸カルシウム形成はその明確な形態に基づいて確認されうる(図8〜10、12〜14を参照されたい)。新規なリン酸カルシウム組成物の確証は、EDAXスペクトル(図19C)によって確証された。コンベアイトガラス‐セラミックの部分(基礎骨移植片代替物の一部)は図19Bに示されたEDAXスペクトルによって確証される。
実施例5:生体活性ガラス:コンベアイトガラス‐セラミックの生体活性査定
リン酸カルシウム、コラーゲン、およびコンベアイトガラス‐セラミック粒子を含む骨移植片材料は7日間SBFに浸漬された。SEM画像を使用してガラス表面上のリン酸カルシウムの形成が査定された。図20に見られるように、SBFに7日間浸漬されたガラス粒子(図20B)は表面のリン酸カルシウム成長を示し、ガラス‐セラミックの生体活性特質を暗示する。図20Aは比較のために、無反応コンベアイトガラス‐セラミックのSEMを示す。
実施例6:リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの複数の組成物の生体活性試験
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスからなる骨移植片の試料が製造され、生体活性が評価された。試料それぞれのリン酸カルシウムは、商標名Vitoss(登録商標)(Orthovita,Inc.,Malvern,PA)の下で販売される多孔性β‐リン酸三カルシウムであり、そしてそれぞれの試料中で使用される生体活性ガラスはコンベアイトガラス‐セラミックであった。表2に示される調製物が試験された:
【0060】
【表2】
【0061】
表3は容積%による表2の試験製品の組成を示す。容積%計算のための仮定は以下の通りであった:Vitoss(登録商標)b−TCPのバルク密度(十分に高密度)は3g/ccであり、コンベアイトガラス‐セラミックのバルク密度は2.84g/ccであり、コラーゲンのバルク密度は1.1g/ccであり、そして均一な混合/分布。
【0062】
【表3】
【0063】
研究のために、6x4x10mmの試料は密閉されたプラスチックカップの蓋からナイロン釣り糸によってつり下げられ、150mLのSBFに浸漬され、37Cインキュベーター中の回転プレート上に保たれた。14日目、またはそれ以前に除去される試料のいずれでもSBFは交換されなかった。15日目に、残っている28日の試料に溶液交換が起こった。1、3、7、14、および28日目に、それぞれの調製物のn=1が除去された。それぞれの試料は水で3回およびアセトンで1回すすがれた。試料はデシケーター中で小さなガラスバイアルに保存された。少なくとも1日、デシケーター中で乾燥後、それぞれの試料はカミソリの刃で半分に切断され、分析のために外側表面が曝されるように試料スタブ(stub)上に載せられた。試料は60〜80mTorrおよび15〜20mAパルスを使用して、Au−Pdによりスパッタコーティング(sputter coated)された
すべての試料は後方散乱モードで画像を撮られた。SEM画像を使用して、新規なリン酸カルシウム増加が形態学的に確認された。生体活性ガラスを全く含まない試料(0%コンベアイトガラス‐セラミック試料)ではいずれの時点でも、リン酸カルシウム増加は全く観察されなかった。溶液はこれらの非生体活性試料の表面上で自然に増加を引き起こさないため、これらの結果は試験方法の適切性を確証する。無反応調製物の代表的な図は図21(0日目、100x拡大)に見ることができる。すべての成分がすべての調製物中で見ることができる。SBF中1日目のすべての調製物の代表的な図は図22に示す(1日目、2500x拡大)。すべての調製物中のコンベアイトガラス‐セラミック粒子は0日目のものと比較して、けばだった表面の外見を有する。40%組成物では、新規に形成されたリン酸カルシウム層が生体活性ガラス粒子から隣接するコラーゲン鎖に広がることが認められうる。80%組成物では、周囲の材料に広がり始めているリン酸カルシウムにより生体活性ガラス粒子の大部分はすでに覆われている。
【0064】
3日目(データは示されない)までには、すべてのガラス‐含有調製物にリン酸カルシウム層が形成されていて、広がっているように見え、20および40%調製物は成長した、広範な増加を有する。80%組成物はスカフォールド表面全体にわたる広範囲のリン酸カルシウム増加を示した。組成分析(EDSスペクトル、データは示されない)は、層がリン酸カルシウムからなることを確証した。
【0065】
7日目(図23)にすべてのガラス‐含有調製物はリン酸カルシウム層の継続した増加を示す。40%および80%調製物は共に、試料の全表面をほとんど覆う連続したリン酸カルシウム層を有するように見える。図24は、14日目にすべてのガラス‐含有調製物の全表面をほとんど覆う、十分に発達したリン酸カルシウム増加を表す代表的な画像を示す。すべてのガラス‐含有試料のリン酸カルシウム増加は14日目に類似しているように見え、成熟し、そして広範に及ぶように見える(データは示されない)。
【0066】
一般に、より大きな生体活性ガラス含有量は、結果としてより速く、そしていっそう広範に及ぶリン酸カルシウム形成を生じる。
【0067】
また、容積で約23%のコラーゲンを含む試験製品は、熱分解されて、コラーゲンを消散させたことは注目される。残余の無機成分の容積パーセントは約77%であり、調製物中に存在するリン酸カルシウムおよびコンベアイトガラス‐セラミックの容積パーセントと一致した。
実施例7:臨床操作性
コラーゲン、リン酸カルシウム、および80%、40%、20%、10%または0%コンベアイトガラス‐セラミックを含む試験製品は血液によって吸収され、柔軟性、構造完全性、および操作性に関して手動で調査された。すべての試験調製物は、血液を吸い上げる能力を証明し、すべては濡れた時に柔軟性であった(図23Bの例を参照されたい;「クラシック」は0%の生体活性ガラス含有量を表す)。生体活性ガラス40%以下を含む試料は圧縮下で血液を保有し、付加的な調査のために選択された。
実施例8:粒子サイズ<53μmのガラス‐セラミックを持つ試料
コラーゲン、リン酸カルシウム、および粒子サイズ<53μmを有する10%、20%、または40%コンベアイトガラス‐セラミックを含む骨移植片試料が作り出され、SEMにより種々の倍率で分析された。すべての調製物は移植片全体に都合よく分布した3種すべての成分を含むことが見いだされた。代表的な画像は図25に示される。
実施例9:粒子サイズ38〜250μmの45S5生体活性ガラスを持つ試料
コラーゲン、リン酸カルシウム、および粒子サイズ38〜250μmを有する10%、20%、または40%45S5生体活性ガラスを含む骨移植片試料が作り出され、種々の倍率でSEMにより分析された。すべての調製物は移植片全体に都合よくした3種すべての成分を含むことが見いだされた。代表的な画像は図26に示される。
実施例10:粒子サイズ90〜150μmのガラス‐セラミックを持つ試料
コラーゲン、リン酸カルシウム、および粒子サイズ90〜150μmを有する15%コンベアイトガラス‐セラミックを含む骨移植片試料が作り出され、種々の倍率でSEMにより分析された。この調製物は3種すべての成分が満足のゆく分布をすることが見いだされた。代表的な画像は図27に示される。
実施例11:リン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス骨移植片代替物(75:10:15)の生体活性査定
75%リン酸カルシウム、粒子サイズ90〜150μmを有する15%コンベアイトガラス‐セラミック、および10%コラーゲンは25x100x8mmまたは25x50x4mmの寸法の細片として製造された。試料は表面積約240mmの小さな長方形の棒に切断され、3または7日間、約150mLのSBF中にナイロン線によりつり下げられた。試料は、生体活性を示す新規なリン酸カルシウムの増加に関してSEMおよびEDAXにより分析された。
【0068】
SEMおよびEDAXにより、リン酸カルシウム増加がすでに3日目までに始まっていたことが明らかになった(データは示されない)。7日目の代表的なデータは図28および29に示される。図28Bはコンベアイトガラス‐セラミック部分の新規なリン酸カルシウム増加(SEM画像の四角で囲んだ部分)を示し、そして対応するEDAXスペクトルはガラス上にリン酸カルシウムの存在を確証する。図28Aは比較のために無反応対照を示す。図29Bは骨移植片代替物の表面全体のリン酸カルシウム増加を示す。移植片自体ならびにコラーゲンおよびリン酸カルシウム成分の多孔性は図29Aにおいて明白である。
実施例12:骨移植片代替物の多孔度
コラーゲン;マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有するリン酸カルシウム;および10、20、40、または80%生体活性ガラス(コンベアイトガラス‐セラミック、<53粒子サイズ)を含む骨移植片の多孔性の特徴は、水銀圧入ポロシメトリーを使用して検査された。それぞれの調製物の多孔度プロファイルは表4に示される。標準化されたポア容積(%)はそれぞれのポアサイズ範囲に対して示される。
【0069】
【表4】
【0070】
表4に示すように、すべての調製物は類似の多孔度プロファイルを有し、すべては高度な多孔度を示した。調製物の総多孔度は約81〜約83%の範囲であった。
実施例13:リン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス骨移植片代替物(75:10:15)の特性の査定
75%リン酸カルシウム(細片サイズ1〜2mm)、15%コンベアイトガラス‐セラミック(90〜150μm粒子サイズ)、および10%コラーゲンを含む生体活性骨移植片材料の試料は望ましい操作性に関して試験された。
【0071】
血液で濡れた時、濡れ性は約136%〜約174%に及び、平均濡れ性は約156%であった。容積による濡れ性は約71%〜約90%に及んだ。
【0072】
骨移植片は約2分間流体に浸漬され、重さを量られ、そして計量計上につり下げられたメッシュに配置され、そして500gの質量が約10秒間、柔軟性移植片に配置された。移植片はその後再び重さを量られ、圧縮性荷重下での保持を査定された。圧縮性荷重下での流体保持は約95%〜約99%に及び、平均流体保持は約97%であった。試料はまた、臨床適用のために適切に扱われ、砕けることなく、ハサミで切断され得た。
実施例14:リン酸カルシウムおよびコラーゲンを含む骨移植片代替物への生体活性ガラスの添加
重量で10%または40%いずれかの生体活性ガラス(コンベアイトガラス‐セラミック、<53μmまたは90〜150μmのいずれかの粒子サイズ)は、重量で約80%の多孔性リン酸カルシウムおよび重量で約20%のコラーゲンを含む骨移植片(Vitoss(登録商標)Foam Pack,Orthovita,Inc.,Malvern,PAとして市販される)に添加され、成型可能な複合生体活性移植片を形成した。材料を製造するために、約1.2mLのリン酸カルシウム/コラーゲン骨移植片は約1.3mLの生理食塩水に吸収され、約2分間こねられた。次にコンベアイトガラス‐セラミックが添加され、複合材料はさらにおよそ2分間こねられ、試料のだいたい中心から一部が除去され、脱水され、SEM分析のために準備された。
【0073】
10%および40%の90〜150μmのコンベアイトガラス‐セラミック調製物は結果として非常に滑らかな外見の試料を生じた。10%の<53μm調製物は操作性および肉眼的外観においてガラスを含まない移植片材料と識別不可能であった。40%の<53μm調製物は非粘着性であった。
【0074】
いずれかの粒子サイズ(図30に示される代表的なSEM画像)を10%および90〜150μmのガラス(図31A)を40%含む調製物に関して、SEM分析は移植片全体にわたる都合のよいガラスの分布を示した。40%の<53調製物(図31B)はガラスが際立つように見えた。
実施例15:骨移植片材料のin vivo試験
イヌの両側上腕骨欠損インプラント研究は、骨組織と直接接触する骨移植片材料を評価するために行われる。骨リモデリング、新規骨形成、およびインプラント再吸収は周期的で評価される。
【0075】
骨移植片材料は、濡れた時に結果として柔軟性移植片を生じる形状で供給される。(本発明の他の移植片が同じやり方で検査されてもよい。)生体活性ガラスを含まない移植片材料は対照として役立つ。
【0076】
試験または対照材料は、18匹のイヌ上腕の多孔質骨に外科的に作り出された両側ドリル欠損に移植される。研究開始前に作成された無作為化スケジュールに従って、試験製品はそれぞれの動物の一方の上腕骨のドリル欠損に移植され、そして対照製品は他方の上腕骨のドリル欠損に移植される。ドリル欠損は直径およそ10mm、深さおよそ25mmである。側面および背掌側撮影図は術後すぐに得られ、すべての動物はその後、それぞれの屠殺時点で放射線写真を撮られる。予め決められた暴露時間(3、6、12、24、または52週)後、動物は屠殺され、移植部位が暴露される。インプラント部位は肉眼観察され、採取され、生理食塩水に浸したガーゼスポンジで包まれ、その後の分析のために−20℃で凍結される。
【0077】
採取されたインプラント部位の分析は欠損部位の骨の内部成長およびリモデリングを査定するための機械的試験を含む。組織インプラント部位はまた、当該技術分野で公知の標準組織学技術を使用して検査される。治癒の程度および欠損内に含まれる組織の性質は組織病理学的、組織形態計測的評価により特徴付けられる。
【0078】
一態様では、生体活性骨移植片材料(生体活性ガラスを含む材料)により治療された欠損は改善された治癒を示すことになる。好ましい態様では、移植片材料+生体活性ガラスにより治療された欠損における治癒の速度および程度は、対照移植片材料により治療された欠損において観察されたものに等しいか、またはそれより好ましいことになる。
実施例16:骨移植片代替物の多孔度
10%コラーゲン;マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する75%リン酸カルシウム(75%);および15%生体活性ガラス(コンベアイトガラス‐セラミック)を含む骨移植片の多孔性の特徴は、水銀圧入ポロシメトリーを使用して検査された。15%コンベアイトガラス‐セラミックを含む移植片の2種の形態、寸法25x100x4mm(15%薄型)の1種、および寸法25x50x8mm(15%厚型)の1種の多孔度プロファイルは表5に示される。また、生体活性ガラスを含まない(0%)移植片の多孔度プロファイルが示される。標準化されたポア容積(%)はそれぞれのポアサイズ範囲に対して示される。
【0079】
【表5】
【0080】
表5に示すように、15%コンベアイトガラス‐セラミックを含む両方のサイズの骨移植片は類似の多孔度プロファイルを有し、マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を示した。多孔度プロファイルは生体活性ガラスを含まない移植片のものに類似した。移植片はまた75%より高度な総多孔度を示した。
実施例17:生体活性ガラスを含む成型可能な移植片の崩壊抵抗性および流体保持
多孔性リン酸カルシウムおよびコラーゲンからなる約5ccの骨移植片材料(Vitoss(登録商標)Foam Pack,Orthovita,Inc.,Malvern,PAとして市販される)は約4.5ccの生理食塩水により水和され、成型可能な硬さにこねられた。粒子サイズ90〜150μmを有する約0.54gのコンベアイトガラス‐セラミック(移植片の乾燥質量2.15gに基づいて約20%)は水和材料の中にこねられた。
【0081】
崩壊抵抗性を試験するために、記載のように製造された複合材料はボールに丸められ、約2分間、着色された生理食塩水溶液で満たされた計量計に配置された(図33を参照されたい)。材料は依然として連続した物のままであり、別個の小片に分解せず、そして実質的に元の大きさより大きいサイズに膨潤しなかった。
【0082】
記載のように製造された複合材料の質量が測定され、材料は10ccシリンジ中に配置された。シリンジは秤に配置され、秤は風袋を差し引いた。シリンジはInstron4467器具の押し出し試験ジグに配置され、30lbfで圧縮された。圧縮後のシリンジ質量の測定を使用して、流体保持割合を決定した。平均流体保持(5試料)は約92%であり、複合材料が高度な流体保持特性を有することを示唆した。
実施例18:コラーゲン再吸収/安定性の速度に対する生体活性ガラスの効果
リン酸カルシウム、コラーゲン、およびコンベアイトガラス‐セラミックを含む試料は「薄型」10x6x4mm試料(表面積248mm2)および「厚型」5x6x8mm試料(表面積248236mm2)に切断され、150mLのSBF中にナイロン線でつり下げられた。28日間の研究で7日目の厚型試料は線から抜け、ばらばらに壊れた。SEMによる精査では、大部分のコラーゲンが分解したが、多少のリン酸カルシウムにコーティングされたコラーゲンが観察された。厚型および薄型両方の14日目の試料は線から抜け、ばらばらに壊れた。3日目に採取された溶液のpH示度は厚型試料で7.6、薄型試料で7.53であった。7日目では、pHは厚型で7.58,そして薄型で7.54であった。
【0083】
表6に示された、コラーゲン、リン酸カルシウムを含み、そしてコンベアイトガラス‐セラミックパラメータを有する「薄型」25x25x4(表面積1650mm2)および「厚型」25x13x8(表面積1250mm2)骨移植片試料の付加的な試験はPBS中で行われ、いっそう短い時間尺度でのpH変化を検査した。
【0084】
【表6】
【0085】
<53μmコンベアイトガラス‐セラミックはより大きな「バースト」または初期のpH変化を引き起こし、そのことは粒子サイズが小さいほど表面積が大きいことに起因してもよい。しかし、4日目までには最も高いガラス含有量(40%)を有する組成物が最も大きなpH変化を引き起こした。
【0086】
別の態様では、表7に示された量および型の生体活性ガラスを含むコラーゲンおよびリン酸カルシウムの移植片材料の「薄型」試料(25x25x4mm)および「厚型」試料(25x25x8mm)は、攪拌器(1Hz)上で、12日間、37℃で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中およびSBF中に浸漬された。
【0087】
【表7】
【0088】
SBFおよびPBSの両方中の15%「薄型」試料はPBS中の2種の40%組成物と同じように、粉末に縮小された。
【0089】
一般に、骨移植片材料はPBS中ではいっそうコラーゲンが分解されやすく見え、それらはいっそうpH変化を受けやすくてもよい。幅8mm(「厚型」)の材料はより高いpHを生み出すように見え、そしていっそう分解されやすいように見える。理論に束縛されることを望まないが、観察および試験はガラスの添加が移植片内のpHを変化させ、局所のコラーゲンを変性させ、それを分解することを暗示する。作用はガラスにとって局所的であると考えられ、たぶん密度‐依存的である。
【0090】
従って、体液中のコラーゲン再吸収または分解の速度は移植片における生体活性ガラスの量または密度によって影響を受けてもよい。一般に、ガラス部位が多いほどよりコラーゲンの速い分解および再吸収を引き起こす。
【0091】
また、pHを変化させる材料を添加することによってコラーゲン再吸収の速度を改変する方法が提供される。pHを変化させる材料は生体活性ガラスを含んでいてもよい。インプラント材料において、生体適合性、再吸収性コラーゲンの再吸収速度を改変する方法が本明細書に開示され、該方法は生体適合性で、再吸収性コラーゲンを含むインプラント材料を提供すること、該材料に生体活性ガラスを添加すること、および動物の表面にまたは中に材料を配置することを含む。また、コラーゲンを含む組成物の再吸収能を改変する方法が提供され、該方法は組成物の再吸収能を変化させるために、コラーゲンに近接したpHを変化させるために十分な1以上の特徴に関して予め選択されている材料を提供すること、およびコラーゲンを該材料と接触させることを含む。該方法はまた、コラーゲンを含む組成物の再吸収能を変化させるために、コラーゲンに近接したpHを変化させることが可能な材料を提供すること、およびコラーゲンを該材料と接触させることを含む。また、コラーゲンを含む組成物の再吸収能を増す方法が開示され、該方法はコラーゲンに近接したpHを上げるために十分な1以上の特徴に関して予め選択されている材料を提供すること、およびコラーゲンを該材料と接触させることを含む。コラーゲンに近接したpHの変化は局所的に、すなわち1カ所以上の部分のコラーゲンに対して空間的に近接して起こってもよい。
【0092】
先の記載を考慮して、生体活性ガラスの特徴、たとえば、生体活性ガラスの量および表面積がコラーゲン分解の速度に影響を与えうること、およびこれらのパラメータがコラーゲン‐含有骨移植片材料に関して所望される使用に従って操作されうることが認識されうる。また、変更されることになる速度がコラーゲンの性質に依存してもよいこと、および生体活性ガラスの特徴がコラーゲンの種々の形状に対して最適化されうることが認識されることになる。
【0093】
これらの方法は、骨移植片、ならびに創傷または熱傷包帯(dressing)、止血剤、皮膚インプラント、歯周膜、角膜シールド、縫合糸、移植片含有デバイス、軟骨置換材料、および硬膜置換材料を含むがそれらに限定されない、他のコラーゲン‐含有技術に適用されてもよいことが企図される。
【0094】
特有のコラーゲン‐含有技術に関連して、当業者は最適化された再吸収速度を選択してもよい。個々のコラーゲン‐含有技術の最適化再吸収速度は、生理的治癒速度、材料移植部位に対して局所的なリモデリングおよび他の因子のようなパラメータに従って変化してもよく、当業者は特有のコラーゲン‐含有技術にとっての最適化再吸収速度を誘導することにおいてそのようなパラメータを考慮してもよい。
【0095】
コラーゲンに対する生体活性ガラスの効果はpH変化に起因すると考えられているため、コラーゲンインプラント材料内のpH変化を生み出すことが可能な他の材料も結果を獲得するために適切である。たとえば、pHを変化させるマイクロスフェアは生体活性ガラスの代わりに使用されうる。pH変化は材料が体液と接触する場合に起こることが好ましい。従って、本発明の別の側面は生体適合性、再吸収性コラーゲンを含むインプラント材料を提供すること、インプラント材料と混合したpH変更材料を配置すること、および動物の身体上に、または身体内に複合インプラントを配置することを含む、インプラント材料の再吸収速度を変化させる方法である。
【0096】
現在、好ましい骨移植片代替物、そのような材料を含むキット、およびそれらの使用の方法が記載されている。本発明は、現在好ましいその態様に関してとりわけ示され、記載されているが、本発明は本明細書に特に開示された態様または実施例に限定されないことは理解されることになる。骨欠損を処置する方法は本発明の態様によって先見されることが認識される。本明細書では、回復することになる部位に近づくこと;ならびに生体適合性、再吸収性コラーゲン、少なくとも1種の金属カチオン、少なくとも1種の酸化剤、および少なくとも1種の酸化可能な前駆体アニオンからなる酸化‐還元反応生成物;および生体活性ガラスを含む骨移植片材料を骨空間に移植することを含む、動物の骨を回復させるか、または修復するための方法が企図される。この方法において使用される移植片材料は本出願に開示されたものの中から当業者によって選択されてもよい。非常に多くの変更および改変が本発明の好ましい態様に対して行われてもよく、そのような変更および改変が本発明の範囲から逸脱せずに行われてもよい。従って、添付の特許請求の範囲は、それらが本発明の真の意図および範囲内にあるような等価なバリエーションのすべてを包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1A】円柱形の生体適合性移植片材料の1つの基本形を図解する。
【図1B】ヒト膝内の脛骨プラトー82における大腿骨81下の骨空隙83に挿入された円柱形80の移植片材料を図解する。
【図2】細片形の本発明の別の基本形を図解する。
【図3A】移植片封じ込めデバイスとして使用される半球形の本発明の生体適合性移植片材料の一態様を図解する。
【図3B】人工インプラント103を適応させるために使用される移植片材料102の半球形を図解する。この態様では、移植片材料102はポリエチレンカップ105を保有する股臼カップ106を含む。
【図4A】円盤形の本発明の移植片材料を図解する。
【図4B】頭蓋顎顔面76、頬骨再建物72、および下顎骨インプラント74として使用される、本発明の生体適合性移植片材料の別の態様を図解する。
【図5】ブロック/楔形に成型され、脛骨プラトー再建物として使用される、記載された骨移植片材料の一態様を図解し、該材料は正しい場所にスクリューで留められる、接着される、セメントで固められる、ピンで止められる、係留される、または他の方法で接合する。
【図6A】一面に接着されたメッシュ270を有する、骨回復のための、再吸収性欠損充填骨移植片材料272を図解する。
【図6B】一面に接着されたメッシュ270を有する、骨回復のための、再吸収性欠損充填骨移植片材料272を図解する。
【図6C】メッシュ270が移植片代替物272間に挟まれている、合成再吸収性欠損充填骨移植片材料ブロックを表す。
【図7】長骨補強スリーブとして使用される半チューブ形における本発明の生体適合性移植片材料の態様を図解する。図面に示すように、半チューブは均一な厚さを有する、月の横断面(図7A);または次第に細くなって点になる半径(図7B)もしくは次第に細くなり、端が丸くなった半径(図7C)を有する三日月形の横断面を有していてもよい。
【図8A】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(二次、20x)である。
【図8B】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(後方散乱、20x)である。
【図9A】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(二次、50X)である。
【図9B】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(後方散乱、50x)である。
【図10A】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(二次、250x)である。
【図10B】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(後方散乱、250x)である。
【図11】0%生体活性ガラスを含む合成骨移植片材料と比較した、本発明の態様の放射線不透過性を表す高分解能X‐線写真である(市販のVitoss(登録商標)Foam Stripであり、「市販の発泡体」とラベルを貼られる)。
【図12】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(250x)である。リン酸カルシウムの多孔性構造は四角で囲まれた部分によって確認される。コンベアイトガラス‐セラミック粒子は丸で囲まれる。
【図13】13Aは、重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(250x、後方散乱)を表す。13Bは、コンベアイト領域の元素分析を表す。13Cは、多孔性リン酸カルシウム領域の元素分析を表す。金(Au)およびパラジウム(Pd)は標本に適用された伝導性コーティングの結果として存在する。
【図14】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様の微小構造の詳細を表すSEM(1000x)である。コンベアイトガラス‐セラミックの部分は丸で囲まれる。
【図15】SBFに4週間浸漬した後の、重量で80%のリン酸カルシウム、15%のコラーゲン、および5%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEMである。図15Aおよび15Bは100xに拡大される。図15Cは250xに拡大される。
【図16A】SBFに4週間浸漬後の、重量で80%のリン酸カルシウム、15%のコラーゲン、および5%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(1000xに拡大)である。
【図16B】(現存する骨移植片のリン酸カルシウムに比べて識別可能な)明確な形態に基づいた新規なリン酸カルシウム増加を表す、図16Aの四角で囲んだ部分のEDAXスペクトルを表す。
【図17A】SBFに4週間浸漬後の、重量で80%のリン酸カルシウム、15%のコラーゲン、および5%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(1000xに拡大)である。
【図17B】図17AのVitoss(登録商標)部分のEDAXスペクトルである。
【図17C】図17Aのコラーゲン部分のEDAXスペクトルである。
【図17D】リン酸カルシウムの形態とは異なる形態に基づいた、図17Aの新規なリン酸カルシウム増加部分のEDAXスペクトルである。
【図18】SBFに4週間浸漬後の、重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEMである。図18Aおよび18Bは100xに拡大される。図18Cは250xに拡大される。
【図19A】SBFに4週間浸漬後の、重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(250xに拡大)である。
【図19B】図19Aのコンベアイトガラス‐セラミック部分のEDAXスペクトルである。
【図19C】図19Aの四角で囲んだ部分のEDAXスペクトルであり、骨移植片代替物の新規なリン酸カルシウム増加を表す。
【図20】Aは、本発明に従った生体活性ガラス‐セラミックのSEM(1000xに拡大)である。Bは、ガラス‐セラミック表面上のリン酸カルシウム増加を示す、本発明に従った生体活性ガラス‐セラミックのSEM(1000xに拡大)である。
【図21】リン酸カルシウム、コラーゲン、および重量で0%、10%、20%、40%、または80%のコンベアイトガラス‐セラミック(「コンベアイトg−c」)を含む、本発明の態様に従った骨移植片の例の代表的なSEM画像(100xに拡大)を表す。
【図22】シミュレーションした体液(SBF)中、1日目のリン酸カルシウム、コラーゲン、および重量で0%、10%、20%、40%、または80%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様に従った骨移植片の例の代表的なSEM画像(2500xに拡大)を示す。
【図23】SBF中、7日目のリン酸カルシウム、コラーゲン、および重量で0%、10%、20%、40%、または80%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様に従った骨移植片の例の代表的なSEM画像(100xに拡大)を表す。
【図24】SBF中、14日目のリン酸カルシウム、コラーゲン、および重量で0%、10%、20%、40%、または80%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様に従った骨移植片の例の代表的なSEM画像(250xに拡大)を表す。
【図25】<53μmの粒子サイズを有する、重量で10、20、または40%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様の代表的なSEM画像(100xに拡大)を示す。
【図26】38〜250μmの粒子サイズを有する、重量で10、20、または40%の45S5生体活性ガラスを含む、本発明の態様の代表的なSEM画像(100xに拡大)を示す。
【図27】90〜150μmの粒子サイズを有する、重量で15%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様の代表的なSEM画像(100xに拡大)を示す。
【図28】Aは、画像の四角で囲んだ部分に対応するEDAXスペクトルを持つ生体活性ガラスを含む、無反応移植片の高倍率SEMを示す。Bは、新規なリン酸カルシウム増加を示す、画像の四角で囲んだ部分に対応するEDAXスペクトルを持つ、SBF中7日目の生体活性ガラスを含む移植片のSEMを示す。
【図29】Aは、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスを含む、本発明の一態様の骨移植片の代表的なSEMを示す。Bは、SBF中7日目の骨移植片の代表的なSEMを示す。
【図30A】粒子サイズ90〜150μmのコンベアイトガラス‐セラミック10%が添加されている、成型可能な骨移植片の態様の代表的なSEM(100xに拡大)を示す。
【図30B】粒子サイズ<53μmのコンベアイトガラス‐セラミック10%が添加されている、成型可能な骨移植片の態様の代表的なSEM(100xに拡大)を示す。
【図31A】粒子サイズ90〜150μmのコンベアイトガラス‐セラミックが40%添加されている、成型可能な骨移植片の態様の代表的なSEM(100xに拡大)を示す。
【図31B】粒子サイズ<53μmのコンベアイトガラス‐セラミック40%が添加されている、成型可能な骨移植片の態様の代表的なSEM(100xに拡大)を示す。
【図32】Aは、生体活性ガラスを全く含まない、市販の骨移植片材料(Vitoss(登録商標) Foam Strip,Orthovita,Inc.,Malvern,PA)の柔軟性(濡らされた場合)を示す。Bは、生体活性ガラス(古典的)を全く含まないか、または10%、20%、もしくは40%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、柔軟性骨移植片調製物を示す。
【図33】崩壊(wash−away)試験中、および試験後それぞれの成型可能な骨移植片を示す。
【背景技術】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、参照としてそのまま本明細書に援用される2006年6月29日に出願された米国仮特許出願番号第60/817,617号に対する優先権の利益を主張する。
技術分野
本発明は骨欠損を修復するための生体適合性骨移植片材料および本明細書に開示された骨移植片材料の適用に関する。本発明は、マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する無機成型ボディー、コラーゲン、および生体活性ガラスの利点を組み入れる。本発明の生体適合性骨移植片材料はまた、高度に多孔性で均質であり、相互連絡するマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する。
【0002】
発明の背景
改善された骨移植片材料に対する継続した必要性が存在してきた。現在の「至適基準(gold standard)」である自家移植片は理想的な特性と放射線不透過性を有するが、自己骨の使用はドナー側における二次的な手術、疼痛、および病的状態に患者を曝す。ドナー骨から処理される同種移植片デバイスはまた、疾患伝達のリスクを伴う。デバイスは型およびサイズのバリエーションに関して制限され、移植後に低下する至適下の強度特性を有する。同種移植片デバイスの性質は、デバイスが天然であるため変化する。その上、同種移植片を提供する会社は供給物をドナー組織バンクから得るため、供給が限定される傾向がある。近年、合成材料が自家移植片および同種移植片デバイスに対する実用的な代替物になってきている。そのような合成材料の1種として、Vitoss(登録商標)Scaffold Synthetic Cancellous Bone Void Filler(Orthovita,Inc.,Malvern,PA,本出願の譲受人)が挙げられる。自家移植片および同種移植片のように、合成移植片材料は骨の内部成長を促進する骨伝導性スカフォールドとして役立つ。骨増加が促進され、増すに従って、移植片材料は再吸収され、結局新規な骨と置換される。
【0003】
多くの合成骨移植片は、リン酸カルシウムを含む組成物のような、哺乳動物の骨を厳密に模倣する材料を含む。代表的なリン酸カルシウム組成物には、哺乳動物体内に見いだされる主要なミネラル相であるB型炭酸塩化ハイドロキシアパタイト[Ca5(PO4)3x(CO3)x(OH)]が挙げられる。ハイドロキシアパタイトから形成されるボディー部分の最終的な組成、結晶サイズ、形態、および構造は、タンパク質および有機化合物含有量のバリエーションによって決定される。リン酸カルシウムセラミックは、成型ボディーおよびセメントを含むがそれらに限定されない種々の形状で加工され、哺乳動物に移植されている。ハイドロキシアパタイト(Hap)、リン酸三カルシウム(TCP)、リン酸四カルシウム(TTCP)、ならびに他のリン酸カルシウム塩およびミネラルのような異なる化学量論の組成物が、天然の骨の順応性、生体適合性、構造、および強度に匹敵するように使用されている。骨の再血管形成、癒合、およびリモデリングにおける、ポアサイズおよび多孔度の役割が骨移植片材料の重要な特性として認識されている。厳密に骨に類似する代表的な多孔性リン酸カルシウム材料の製造物は、たとえば、参照として本明細書にそのまま援用される、米国特許第6,383,519号および第6,521,246号に開示されている。
【0004】
改善された骨移植片システムに対する継続した必要性が存在してきた。リン酸カルシウム骨移植片材料は広く受け入れられているが、多くは非常に広範な臨床適用において使用されるために必要な強度、操作性、および柔軟性を欠いている。今までは、リン酸カルシウム骨移植片代替物は単純な骨空隙充填剤などのような、主に耐荷重性でない適用において使用されてきた。荷重を担う移植片材料を必要とする、いっそう臨床的に困難な適用の場合、骨移植片材料と従来の柔軟性のない固定システムを組み合わせる再建システムが使用される。たとえば、MacroPore OS(登録商標)Reconstruction Systemは骨移植片代替物または複雑骨折に由来する骨フラグメントのような弱い骨組織の相対的な位置を補強し、維持することを意図する。該システムは、ポリ乳酸(PLA)から作製された種々のサイズの多孔性シートおよびスリーブ、小孔のないシートおよびスリーブ、ならびに関連したスクリュウおよびタックから構成される再吸収性移植片含有システムである。しかし、シートは温められた時に身体に対して成型されうるだけであるという点で限定される。
【0005】
Synthes SynMesh(登録商標)は、患者の解剖学的欠損の形状に合致するようにあつらえた、平たく、円形に、および楕円に成型された円柱から構成される。意図された用途は弱い骨組織の補強であり、市販の純粋なチタンから作製される。このメッシュは耐荷重性であってもよいが、柔軟性である再吸収性材料から完全には作製されない。
【0006】
多くの異なるガラス、ガラス‐セラミック、および結晶相材料が、単独で、あるいはアクリル性の重合性種、および他のファミリーのポリマーと組み合わせてのいずれかで、回復の目的で使用されてきた。これらには、ハイドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、オキシアパタイト、ワラストナイト、アノルサイト(anorthite)、カルシウムフルオリド、アグレライト(agrellite)、デビトライト(devitrite)、カナサイト(canasite)、フロゴパイト(phlogopite)、モネタイト(monetite)、ブルシャイト(brushite)、リン酸八カルシウム、ウィトロカイト(Whitlockite)、リン酸四カルシウム、コーディエライト(cordierite)、およびベルリナイト(Berlinite)が挙げられる。そのような使用を記載する代表的な特許には、米国特許第3,981,736号、4,652,534号、4,643,982号、4,775,646号、5,236,458号、2,920,971号、5,336,642号、および2,920,971号が挙げられる。付加的な参考文献には、日本特許第87−010939号およびドイツ特許OS2,208,236号が挙げられる。他の参考文献がW.F.Brown,“Solubilities of Phosphate & Other Sparingly Soluble Compounds,”Environmental Phosphorous Handbook,Ch.10(1973)に見いだされてもよい。前述のすべてのものは参照として本明細書に援用され、とりわけ、本発明の組成物と方法に含まれてもよい先行の回復材料および方法および組成物、ならびに本発明の一部として、あるいは本発明に補助的に利用されてもよい方法の開示を提供する。
【0007】
柔軟性で、もろくなく、そして圧縮抵抗性である、改善された操作性を有する合成再吸収性骨移植片に対する必要性が存在する。また、骨刺激性、骨伝導性、および骨誘導性である、柔軟性で、圧縮抵抗性の骨移植片に対する必要性が存在する。
【0008】
また、骨結合を便宜上形成する能力の性質によって生体活性または骨活性である、再吸収性骨移植片に対する必要性が存在する。
【0009】
高度に多孔性で流体の毛細管作用を促進するために相互連絡するマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有し、骨形成のために細胞を動員し、血管形成を可能にする再吸収性骨移植片に対する付加的な必要性が存在する。また、体内に細胞および分子を送達することが可能である流体吸い上げおよび保持特性を有する骨移植片に対する必要性も存在する。
【0010】
骨の欠損を回復させるために種々の形状の空隙をふさぐことができる、生体活性、流動性または成型可能(moldable)な、成型性(shapeable)移植片材料に対する必要性が存在する。
【0011】
また、改善された操作性を持つ、注射可能な、再吸収性骨移植片材料に対する必要性が存在する。
発明の概要
本発明は再吸収性リン酸カルシウム、再吸収性コラーゲン、および生体活性ガラスを含む生体適合性骨移植片材料に関する。本発明はまた、リン酸カルシウム;生体適合性、再吸収性コラーゲン;および生体活性ガラスを含む、生体適合性骨移植片材料に関し、ここで移植片はマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する。さらに、マクロ‐、メソ、およびミクロ多孔度を有するリン酸カルシウム;生体適合性、再吸収性コラーゲン;および生体活性ガラスからなる生体適合性、再吸収性で、実質的に均質な混合物を含む複合生体適合性骨移植片材料が提供される。
【0012】
また、回復することになる骨空間に近づくこと;およびリン酸カルシウム、生体適合性、再吸収性コラーゲン、および生体活性ガラスを含む骨移植片材料を骨空間に配置することを含む、哺乳動物において骨を回復させるか、または修復するための方法が開示される。また、リン酸カルシウムおよび生体適合性、再吸収性コラーゲンを含む骨移植片材料を提供すること;骨移植片材料を生物学的適合性流体で濡らすこと;骨移植片材料に生体活性ガラスを組み込むこと;および骨空間に骨移植片を配置することを含む、哺乳動物において骨を回復させるか、または修復するための方法が提供される。また、コラーゲンを含む組成物にpHを変化させる材料を添加することによってコラーゲン再吸収の速度を改変する方法が提供される。
【0013】
本出願はまた、再吸収性コラーゲンおよびリン酸カルシウム;およびある量のまたは容器1杯の生体活性ガラスを含む、生体適合性骨移植片を含むキットを提供する。
実例となる態様の詳細な説明
3種の要素:(1)高度に多孔性の再吸収性無機材料;(2)再吸収性コラーゲン;および(3)再吸収性生体活性ガラス/ガラス‐セラミックを混合することが、改善された再吸収および骨形成性を持つ骨刺激性および骨伝導性インプラントを提供し、さらになお、とりわけ濡らされた時に、材料が巧みに扱われる、たとえば包まれる、切断される、曲げられる、および/または成型されることを可能にする、柔軟な、しなやかな、または流動性の操作性を持つ骨移植片代替物を提供することが発見されている。本発明のインプラントは利用しやすい量の複合材料を提供し、ある種の臨床適用に対して現在の骨再建システムに優る進歩を提供する。
【0014】
本発明に従って、少なくとも1種の金属カチオン、少なくとも1種の酸化剤、および少なくとも1種の酸化可能な前駆体アニオンからなる酸化‐還元反応生成物;生体適合性、再吸収性コラーゲン;および生体活性ガラスを含む移植片材料が提供される。好ましくは、反応生成物はマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する(合成)リン酸カルシウムである。より好ましくは、反応生成物はマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有するβ‐リン酸三カルシウムである。より好ましくは、リン酸カルシウムの多孔度は相互連絡している。本発明における使用のためのリン酸カルシウムの好ましい形状の製造物は、本発明の譲受人によって譲渡され、そのまま参照として本明細書に援用される、米国特許第6,383,519号および6,521,246号に記載される。例となるリン酸カルシウム製品には、Vitoss(登録商標)Scaffold Synthetic Cancellous Bone Void Filler(Orthovita,Inc.,Malvern,PA,)が挙げられる。多孔性リン酸カルシウム細片は、好ましくはサイズが約0.25mmより大きい。リン酸カルシウムの細片は本発明の一部の態様の場合、サイズが約1〜2mmであってもよい。リン酸カルシウム細片は本発明の一部の態様の場合、サイズが約0.25mm〜約1mmまたは約2mmであってもよい。本発明の流動性組成物の場合、所望する送達装置を考慮して細片サイズが選択されることが認識される。たとえば、標準シリンジを使用した流動性組成物の送達の場合、シリンジ開口部を通って適合する細片サイズを選択することが必要である。適切な細片サイズの選択は当業者の能力次第であると考えられている。
【0015】
適切なコラーゲンは、たとえば米国特許第7,189,263号に記載され、それはそのまま参照として本明細書に援用される。本発明の一部の態様は100%までI型コラーゲンからなるコラーゲンを含む。他の態様では、使用されるコラーゲンは主として約90%までのI型コラーゲンからなっていてもよく、約5%までのIII型コラーゲンまたは約5%までの他の型のコラーゲンを伴う。適切なI型コラーゲンには、生来の線維性、不溶性のヒト、ウシ、ブタもしくは合成コラーゲン、可溶性コラーゲン、再構成コラーゲン、またはその組み合わせが挙げられる。
【0016】
本発明の骨移植片材料は柔軟性であるか、もしくは成型可能であってもよく、または材料は流動性であってもよい。コラーゲンの性質は移植片材料の柔軟性、成型可能性、または流動性に影響を与える。主として線維性コラーゲンを含む移植片は、コラーゲンの架橋の程度に依存して、濡れた時に柔軟性、または成型可能であってもよい。架橋が限定的であるか、全く持たない可溶性コラーゲンを主として含む移植片は濡れた時に流動性である。本発明の使用に適切なコラーゲンは、Semed FもしくはSemed S(Kensey Nash Corporation of Exton,PAにより大規模に製造される)、またはその組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0017】
本明細書で使用される「生体活性ガラス」は、いずれかのアルカリ含有セラミック、ガラス、ガラス‐セラミック、または結晶材料であってもよく、それは血液および血清を含むがそれらに限定されない体液と接触した時に反応し、そのことが骨形成を導く。好ましい態様では、生体活性ガラスは体液中に配置された場合、表面にアパタイト層を形成する。本発明の使用に適切な好ましい生体活性ガラスの例は、参照として本明細書に援用される米国特許第5,914,356号に記載される。適切な生体活性ガラスにはまた、45S5ガラスおよびガラス‐セラミック、58S5ガラス、S53P4ガラス、ガラスおよびガラス‐セラミックを含むアパタイト‐ワラストナイトが挙げられる。好ましくは、生体活性ガラスは、不規則な形態およびコンベアイト微結晶(「コンベアイトガラス‐セラミック」)の領域を有する異種粒子を含むガラス‐セラミック組成物である。一部の態様では、生体活性ガラスは約5〜50%の容積のコンベアイト微結晶の領域を含む。本発明の使用に適切な好ましい生体活性ガラスはカルシウム‐リン−ナトリウム‐ケイ酸およびカルシウム‐リン−ケイ酸を含む組成物である。そのような生体活性ガラスには、NovaBone Products,LLC,Alachuaにより販売される、NovaBone(登録商標)およびNovaBone(登録商標)‐ARが挙げられる。本発明の使用に適切であってもよい付加的な生体活性ガラス組成物は、米国特許第6,709,744号に記載される。
【0018】
理論に束縛されることを望まないが、約150μm以下の生体活性ガラス粒子の再吸収はアパタイトゲル層内に放出されるシリカとして起こるが、より大きな粒子は結局破骨細胞によって壊されると考えられている(Goasin,A.Bioactive Glass for Bone Replacement in Craniomaxillofacial Reconstruction,Plastic and Reconstructive Surgery(2004)Vol.114,No.2,pp590〜593)。本発明の骨移植片材料は生体活性ガラスとは別個の骨増加のための適切なスカフォールドを提供すると現在考えられている。その上、理論に束縛されることを望まないが、本明細書に記載の骨移植片中の生体活性ガラスの役割は破骨細胞に刺激性であることにあると考えられていて、そういうものとしての、同じ様に骨増加のためのスカフォールドを提供してもよい大粒子のガラス(>150μm)は、役立つことになる本発明の目的に必要ではなく、従って溶解によって再吸収される粒子が好ましい。しかし、再吸収性ガラス粒子のすべてのサイズが適切であると企図される。
【0019】
粒子サイズ測定は当該技術分野で公知である。特記しない限り、本明細書で使用される粒子サイズは粒子サイズを分けるために使用される篩サイズを表す。本発明に従って使用される生体活性ガラス粒子は好ましくは約90〜150μmである。生体活性ガラスは約1〜2mmで粒子の形状であってもよい。生体活性ガラス粒子は約100μm以下、約150μm以下であってもよく、または生体活性ガラスは約50〜約200μm、約75μm〜約175μm、もしくは約80〜約160μmでありうる。
【0020】
粒子サイズを測定する別の適切な方法には、光散乱によるもの(たとえば、光散乱粒子サイズアナライザーによる)がある。本発明の一部の態様では、光散乱により測定した粒子サイズ中央値は約2〜約200μmである。他の態様では、光散乱により測定した粒子サイズ中央値は約2〜約20μmである。他の態様では、光散乱により測定した粒子サイズ中央値は約10〜約20μmである。他の態様では、光散乱により測定した粒子サイズ中央値は約100〜約200μmである。
【0021】
コラーゲンおよび生体活性ガラスはリン酸カルシウムと混合することによって組み合わせ、実質的に均質な混合物を形成してもよい。これに関連して使用される、実質的に均質とは、混合物内の成分の比が全体にわたって同じであることを意味する。リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスはまた、組み合わせて種々の型およびサイズの複合マトリックスを形成してもよい。ある態様では、生体活性ガラスはコラーゲン鎖上のコーティングの形状でありうる。他では、生体活性ガラスはコラーゲンとリン酸カルシウムの均質混合物上のコーティングの形状でありうる。種々の好ましい加熱、フリーズドライ、および架橋技術を使用する処置により、本発明のそのような混合物は好ましくてもよい移植片材料を形成する。一方法では、3種の要素(無機成分、コラーゲン、および生体活性ガラス)が混合され、その間ホモジェネートのpHがモニターされる。生体活性成分は水性環境に感受性が高く、それでホモジェネートのpHのモニタリングは、骨活性を促進するために必要なイオンの早すぎる濾過によって混合物中の生体活性ガラス成分が変化しないことを保証する。ホモジェネートはその後、明確に定められた型に分散させられ、フリーズドライされ、そして一部の態様の場合架橋される。
【0022】
別の態様では、コラーゲンおよび無機成分は記載のように組み合わされ、そして生体活性ガラスは別個の成分として提供され、手術部位における使用のために製造中の骨移植片材料に組み込まれる。本発明の骨移植片および生体活性ガラスを含むキットが本明細書において企図される。キットにおいて提供される骨移植片はコラーゲンおよびリン酸カルシウムを含んでいてもよい。キットでは、生体活性ガラスは単位用量で提供され、提供される骨移植片の単位用量と組み合わされることになってもよい。
【0023】
キットにおいて提供される骨移植片は、シリンジのような送達装置中に含まれてもよく、または骨移植片を保有し、そして送達することが可能なシリンジに加えて、骨移植片が提供されてもよい。流動性骨移植片材料(たとえば、そのまま、本明細書に参照として援用される、2004年6月23日に出願された米国特許出願番号第10/874,994号に記載されたもの)はそのようなキットにとりわけ適切であると企図される。生体活性ガラスは骨移植片と一緒に送達または保持装置内にあってもよく、または生体活性ガラスはシリンジのような、別の装置中に提供されてもよい。生体活性ガラス‐含有装置は骨移植片装置に連結するように適合させられ、前後の均質な混合が許されてもよい。従って、結局、成分を混合して、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスを含む実質的に均質な骨移植片にすることが可能な複合装置が提供される。
【0024】
コラーゲンおよび生体活性ガラスと、高度に多孔性の反応生成物との混合により、広範なポアサイズ分布、増大した操作性を持ち、リン酸カルシウムだけの一部の形状によって獲得可能なものを越えた、高度に多孔性の骨移植片が生み出される。その上、本発明の移植片は、以前の骨移植片より改善された骨伝導性および骨刺激性を提示する。本発明の一部の態様の再吸収プロファイルは、使用されるコラーゲンの量、性質、および供給源に依存して変化してもよい。本発明の優れた再吸収特性を説明してもよい1つの理由は、コラーゲンと生体活性ガラスを混合して反応生成物を形成する時にさえ保持される高度な多孔度である。本発明の骨移植片は高度に多孔性であり、高度に多孔性とは約65〜95%の総多孔度を有すると定義される。
【0025】
好ましくてもよい本発明の骨移植片材料は、反応生成物をコラーゲンおよび生体活性ガラスと組み合わせることによって外科的に適切な型およびサイズにまとめられる。また、生体活性ガラスが外科的に適切な型およびサイズの表面に層またはコーティングとして添加されてもよいことが企図される。得られた品物は、成型性(shapeable)で、柔軟性の単位用量を形成しながら、‘519および‘246特許に教示された成型ボディーの生物学的および化学的特性のすべてを実質的に保持する。骨移植片材料は指示された寸法および容積の細片および円柱形に加工されてもよい。移植片材料は手術部位に送達後、再吸収され、先に述べた成型ボディーと同じ有益な生物学的反応(たとえば、骨形成)を提示する。
【0026】
一部の態様では、本発明の骨移植片材料は重量で10〜80%のリン酸カルシウム;重量で約5〜20%のコラーゲン;および重量で約5〜80%の生体活性ガラスを含むことになる。他の態様では、本発明の骨移植片材料は重量で50〜90%のリン酸カルシウム;重量で約5〜25%のコラーゲン;および重量で約5〜40%の生体活性ガラスを含むことになる。ある態様では、本発明の骨移植片材料は約70:10:20の重量比のリン酸カルシウム、コラーゲンおよび生体活性ガラスを含む。他の態様では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は80:10:10である。さらに他では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は80:15:5である。付加的な態様では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は50:10:40である。他では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は10:10:80である。リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比はまた60:20:20であってもよい。好ましい態様では、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの重量比は75:10:15である。有効な骨移植片に起因すると考えられるすべての特性(たとえば、多孔度、ポアサイズ分布)を依然として維持(たとえば、同時の骨形成、強度および移植片再吸収)しながら、質量比は、適切でない試験をせずに、当該技術分野で容易に利用可能な方法を使用して変更されてもよい。本発明の骨移植片材料の1つの特有の特徴は、コラーゲンおよび生体活性ガラスと組み合わされた場合でさえ、ミネラルが多孔性を維持することである。さらに、結果として生じる骨移植片はそれ自体高度に多孔性で広範なポアサイズ分布を持つ。
【0027】
好ましくは、本発明の骨移植片材料は重量で約80%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。ある態様では、本発明の骨移植片材料は重量で約70%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。本発明の骨移植片材料はまた、重量で約60%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。他の態様では、本発明の骨移植片材料は重量で約50%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。さらに他では、骨移植片材料は重量で約10%までのリン酸カルシウムを含んでいてもよい。一部の態様では、リン酸カルシウムはβ‐リン酸三カルシウムである。一部の態様では、リン酸カルシウムはミクロ‐、メソ‐、およびマクロ多孔度を有する。
【0028】
本発明のある変形では、骨移植片材料は重量で約5%までのコラーゲンを含んでいてもよい。本発明のある他の変形では、骨移植片材料は重量で約15%までのコラーゲンを含んでいてもよい。他の変形では、骨移植片材料は重量で約10%までのコラーゲンを含んでいてもよい。さらに他では、骨移植片材料は重量で約20%までのコラーゲンを含んでいてもよい。
【0029】
本発明の骨移植片材料は、重量で約40%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。本発明の骨移植片材料は、重量で約20%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。ある態様では、本発明の骨移植片材料は、重量で約15%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。ある他の態様では、本発明の骨移植片材料は、重量で約10%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。他の態様では、本発明の骨移植片材料は、重量で約5%までの生体活性ガラスを含んでいてもよい。一部の態様では、骨移植片材料は重量で約80%までの生体活性ガラスを含んでいてもよいことが予見される。一部の態様では、骨移植片材料は生体活性ガラスを含む形状で提供されるが、代わりの態様では骨移植片に組み込まれてある量の生体活性ガラス用量が手術部位への移植前、または移植中に提供される。
【0030】
好ましくてもよい本発明の骨移植片材料は高度の多孔度を提示する。また、多孔度が広範な有効ポアサイズで存在することが好ましい。これに関して、当業者は本発明の好ましい態様が、マクロ多孔度、メソ多孔度、およびミクロ多孔度を同時に有していてもよいことを認識する。マクロ多孔度は約100μmより大きい、そして一部の態様では約1000μm〜2000μmまでのポア直径によって特徴付けられる。メソ多孔度は、約100μm〜10μmのポア直径によって特徴付けられるが、ミクロ多孔度は、ポアが約10μm未満の直径を有する場合に存在する。マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度が同時に存在し、本発明の生成物中で相互連絡されることが好ましい。それぞれの多孔度の型を高度に定量化することは必要ではない。むしろ、当業者は試験を通して、たとえば水銀圧入ポロシメトリーおよび走査型電子顕微鏡法の好ましい方法を通して、材料がそれぞれの型の多孔度を有するかどうかを容易に測定することができる。試料を特有の形状の多孔度の実質的な度合いを有すると特徴付けるために、必要なサイズ範囲内に1つより多いか、または数個より多いポアが必要とされることは確かに真実であるが、特定の数や割合は求められない。むしろ、当業者による定量的な評価を使用して、マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を決定するべきである。
【0031】
一部の態様では、本発明に従って製造された材料の全体的な多孔度が高いことが認識される。この特徴は百分率で表された、ポア容積によって測定される。ゼロパーセントポア容積は、必然的に全くポアのない、完全に高密度の材料を表す。百パーセントポア容積は「すべてポア」または空気を表すことになるため、意味をなして存在するはずがない。しかしながら当業者はポア容積の概念を理解し、容易にそれを計算し、適用することができる。たとえば、ポア容積は多孔度の測定のための式を提供するKingery,W.D.,Introduction to Ceramics,Wiley Series on the Science and Technology of Materials,1版,Hollowman,J.H.,et al.,(編),Wiley & Sons,1960,p.409−417に従って決定されてもよい。。百分率として多孔度を表現することはポア容積を生み出す。式は:ポア容積=(1−fp)100%であり、式中fpは達成される理論的密度の割合である。
【0032】
多孔度はヘリウムピクノメトリー(pycnometry)のような、当該技術分野で公知の方法によって測定されうる。この手順は、キャリブレーションされた容積中のヘリウムの圧変化を測定することにより試料の密度と真の容積を決定する。既知の重量および寸法の試料はピクノメーターに配置され、それが密度と容積を決定する。試料の質量から、ピクノメーターは真の密度と容積を決定する。測定された大きさから、見かけの密度および容積が決定されうる。試料の多孔度はその後(見かけの容積−測定された容積)/見かけの容積を使用することによって計算される。多孔度およびポアサイズ分布はまた、当該技術分野で公知の別の方法である水銀圧入ポロシメトリーによって測定されてもよい。
【0033】
約30%より多いポア容積は、本発明に従って達成されてもよいが、50%または60%より多いポア容積を有する材料もごく普通に獲得可能であってもよい。本発明の一部の態様は、少なくとも約70%のポア容積を有していてもよい。他の態様は約75%または約80%より多いポア容積を有する。約85%より大きいポア容積が可能であり、約90%の容積も同様である。好ましい事例では、マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度の存在ならびに生産された材料の物理的安定性も獲得しながら、そのような高いポア容積が獲得される。高いポア容積と共にマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を同時に有し、濡れた時に多少の圧縮抵抗性および柔軟性、成型可能性、または流動性も保持する移植片材料を製造することは非常に好都合であると考えられている。
【0034】
本発明の移植片の高い多孔度および広範なポアサイズ分布(1μm〜1000μm)のゆえに、インプラントは非常に速やかに材料を吸い上げる/濡らす/吸収することが可能なだけでなく、それらを保持することも可能である。血液、骨髄液吸引物、生理食塩水、抗生物質および骨形成タンパク質(BMP)のようなタンパク質を含む、多様な流体が本発明と一緒に使用されうる。本発明の材料はまた、細胞(たとえば、線維芽細胞、間葉系、ストロマ、骨髄および幹細胞)、血小板に富む血漿、他の体液、および上記のいずれかの組み合わせによって吸収されうる。本発明の骨移植片はそれらがいったん吸収されると、流体を実際に保有し、維持し、および/または保持し、吸収された流体を含み、局所送達を可能にする。この能力は、細胞播種、薬物送達、および生物分子の送達、ならびに骨組織エンジニアリングの適用、整形外科学、および薬物のキャリアにおいて用途を有する。
【0035】
濡れ性は試料材料によって吸収される流体の量および、材料が特定された時間内に適切な量の流体を吸収するかどうかを決定する。材料の断片は無作為に選択され、量られ、そして120秒間流体の容器中に配置される。試料が適切に流体を吸収する場合、それらは再度量られ、流体吸収に由来する質量増加の割合を決定する。
【0036】
一部の態様は、少なくとも100%の質量増加を伴って、骨移植片材料が120秒以内に十分に飽和される濡れ性を提示する。一部の態様では、移植片材料は150%の質量増加、そしてさらに、他では、およそ200%〜300%の質量増加を経験する。本発明において使用されてもよい流体は、骨髄液吸引物、血液、生理食塩水、抗生物質および骨形成タンパク質(BMP)のようなタンパク質などであってもよい。
【0037】
本発明の柔軟性移植片は、圧縮下でさえ、流体を吸い上げ、そして保有することが可能であることが好ましい。成型可能な態様は、濡れ環境においてさえ、流体を吸い上げ、そして保有することが可能であることが好ましい。たとえば、濡らされた、柔軟性移植片が計量計(weigh boat)上につり下げられたメッシュに配置され、500gの重さをかけられる場合、移植片は移植片の質量の少なくとも約95%の質量の、または移植片の質量にほぼ等しい流体の質量を維持することが好ましい。本発明の濡らされた、成型可能な移植片が流体中に配置された場合、移植片は連続した物として維持され、本来の寸法より実質的に大きなサイズに膨潤しないことが好ましい。一部の例では、定量的査定により、移植片は本来の寸法を上回ってサイズが約50%より大きく膨潤しない。本発明の濡れされた、成型可能な移植片が圧縮される場合、移植片は移植片の質量の少なくとも約85%の、または移植片の質量にほぼ等しい流体の質量を維持することが好ましい。
【0038】
本発明に従って、開示された一部の骨移植片材料は、酸化還元反応の結果生じた、材料、または細片を部分的に含んでいてもよい。これらの材料は金属カチオンの水性溶液および少なくとも1種の酸化剤を製造することを含む方法によって生産されてもよい。溶液は酸化剤により酸化可能な少なくとも1種の可溶性前駆体アニオンにより増やされ、沈殿物オキソアニオンを生じる。そのように企図される酸化還元反応は、好都合には該反応を生じるために有効な温度および圧の条件下で溶液を加熱することにより開始される。本発明の好ましい態様に従って、酸化還元反応は少なくとも1種の気体生成物の放出、および所望する中間体前駆体ミネラルの、溶液からの沈殿を引き起こす。本発明のある好ましい態様に従って、本発明に従った反応性混合物は、それを吸収して、多孔性ミネラルを生産することが可能な材料に吸収されてもよい。材料が顕著な多孔度を有し、毛管現象を介して、顕著な量の反応性混合物を吸収可能であること、および同じものが実質的に不活性で自家酸化還元反応の前に混合物と反応しないことが好ましくてもよい。
【0039】
そのようにして製造された中間体前駆体ミネラルは、「そのまま」使用されうるか、またはいつくかの方法で処理されうる。従って、1種以上のパラダイムに従って、該ミネラルは約800℃より高い、または好ましくは、約1100℃より高い温度で加熱処理され、その中に予め選択された結晶構造、または他の予め選択された形態構造を生じてもよい。好ましい態様に従って、酸化剤は硝酸イオンであり、そして気体生成物は一般的にはNOx(g)として表される酸化窒素である。本発明の方法によって提供される前駆体ミネラルは実質的に均質であることが好ましい。これに関して使用される実質的に均質とは、前駆体ミネラル全体の多孔度およびポアサイズ分布が全体にわたって同じであることを意味する。
【0040】
他の好ましい態様に従って、本発明によって提供される中間体前駆体ミネラルはいずれのカルシウム塩であってもよい。その後の適度な加熱処理が中間体材料を、たとえば新規な単相性リン酸カルシウムミネラル、または新規な二相性β‐リン酸三カルシウム(β‐TCP)+B型、炭酸塩化アパタイト(c−HAp)[β‐Ca3(PO4)2+Ca5(PO4)3−x(CO3)x(OH)]微粒子に変換する。より好ましくは、加熱処理は中間体材料を主としてβ‐TCP材料に変換する。
【0041】
多孔度は‘519および‘246特許に開示された無機成型ボディーのそれに類似することは認識される。本発明の骨移植片材料は、確かに‘519および‘246特許に開示された成型ボディーに対する改善である。本発明の一部の態様の場合、‘519および‘246特許の成型ボディーは、種々の天然および合成ポリマー、フィルム形成材料、レジン、スラリー、水性混合物、プレポリマー、有機材料、金属、および他のアジュバントを使用して改変される。ワックス、グリセリン、ゼラチン、ポリカプロラクトン、種々のナイロンへの前駆体のようなプレポリマー材料、アクリル、エポキシ樹脂、ポリアルキレンなどのような材料は、‘519および‘246特許に従って形成された成型ボディーのすべてまたは一部に浸透させられた。本明細書に開示された一部の移植片材料の浸漬および保留特性は血液の少なくとも100%の質量増加を示す。本発明の多くの骨移植片材料は、‘519および‘246特許のボディーと比較した場合、臨床的操作性が改善された、構造的完全性を有する。
【0042】
骨移植片材料はまた、単位用量送達を提供しうる改善された操作性を有していてもよい。本発明の移植片材料におけるコラーゲンの添加は、生成物の能力を大いに高め、砕かずに成型または切断されることになる。移植片材料はメスまたはハサミのような種々の器具を使用して、成型または切断されてもよい。とりわけ、充填されることになる骨空隙が不規則な形態である場合、患者の必要性に適合するために骨移植片は手術室において「in situ」で形成されうるため、この特徴は多様な外科的適用に用途を見いだす。開示された一部の移植片材料はまた、手術中にオペレーターによって直接骨部位に送達され、成型され、体液を吸い上げることを可能にしてもよい。
【0043】
本発明の材料はまた、図11に示すように、放射線不透過性である。骨移植片材料は滅菌されてもよく、そして好ましくは約25kGy〜40kGyの範囲でガンマ照射されてもよい。
【0044】
本発明の骨移植片材料は骨伝導性および骨刺激性特性を有する。ある態様では、本発明の生体活性ガラスの添加は生成物が骨増加を促進する能力を高める。本発明の骨移植片材料はまた、骨誘導性特性を有していてもよい。
【0045】
本明細書に開示された多くの態様は骨空隙および欠損を充填することである。本発明の態様の適用には、体間固定デバイス/ケージ(リングケージ、円柱ケージ)を充填すること、ケージに隣接した(すなわち、ケージ前方における)配置、後側面融合(PLF)手順における後側面溝における配置、腸骨稜の埋め戻し、股臼再建ならびに臀部および膝の修正、大腫瘍空隙、高位脛骨骨切り術における使用、骨孔充填、および他の頭蓋欠損における使用が挙げられるが、それらに限定されないことは認識されることになる。骨移植片材料細片は後側面溝における配置によるPLF、およびオンレイ(onlay)融合移植における使用に適合してもよい。付加的な使用は、損傷/空隙部位のカバリングまたはラッピングを必要とする頭蓋顔面および外傷手順を含んでいてもよい。骨移植片材料円柱は脊髄ケージおよび大骨空隙を充填するために、および脊椎の後側面溝に沿った配置のために適合してもよい。
【0046】
本発明のある態様の走査型電子顕微鏡写真(SEM)は、これらの移植片材料の高度な多孔度を証明している(たとえば、図8〜10、12〜14を参照されたい)。図12〜14はさらに、本発明のある態様の形態を表し、多孔度の部分およびコンベアイトガラス‐セラミックの部分を強調している。図13Bおよび13Cは本発明の一態様の多孔性領域の元素分析を示す。
【0047】
本発明の態様の広範な適用のため、本発明の移植片材料が標準成型技術により多様な型およびサイズで作製されうることは理解されるべきである。たとえば、本発明のブロックおよび円柱は骨空隙充填および体間融合デバイスの充填に用途を見いだしてもよく;本発明の楔形に成型されたデバイスは高位脛骨骨切り術に用途を見いだしてもよく;そして細片は頭蓋欠損修復に用途を見いだしてもよい。移植片閉じ込めデバイスのための、半球(図3A)、半チューブ(図7A〜7C)または円盤型(図4A)細片としての一部の移植片材料の使用に、とりわけ関心があってもよい。半球形102の使用における態様は図3Bに表される。
【0048】
これらの型の改変が存在して当業者の必要性を満たしてもよいため、これらの型が本発明の範囲を限定することを意図しないことは認識される。たとえば、本発明から作製された、股臼再建に使用されてもよい移植片閉じ込め材料の利点は数倍である。移植片材料は、他のインプラントの移動を妨げるための障壁、および骨移植片の両方としての役割を果たしてもよく、そして骨形成を促進することが可能な、骨伝導性再吸収性骨移植片として役立つ。移植片閉じ込めデバイスは相対的に耐荷重性でないか、または部分的に耐荷重性であってもよく、あるいは以下に記載のように十分に耐荷重性であるように補強されてもよい。移植片材料はその構造完全性を維持するゆえ、形状に依存して障壁特性を有する。
【0049】
耐荷重能を持つ移植片材料を必要とする適用では、本発明の移植片材料は張り付けられたメッシュまたは固定プレートを有していてもよい。メッシュまたはプレートはチタンもしくはステンレススチールのような金属からなるか、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)もしくはニチノールのような、ポリマーもしくは複合ポリマーからなっていてもよい。図6Aおよび6Bに示すように、金属メッシュ270は骨移植片材料272の一面に配置され、インプラントに強度および耐荷重性を添加してもよい。図6Aでは、メッシュプレート270は移植片材料272の一表面に張り付けられている。図6Bでは、メッシュプレート270は上面に曝されたメッシュの一面を持つ移植片材料272の一表面に入り込む。図6Cでは、メッシュプレート270は移植片材料272内に、図6Bよりいっそう深く浸漬される。図7A〜7Cは、半チューブ型における移植片材料272の別の態様を表す。メッシュは長骨補強における付加的な支持のために表面に張り付けられてもよい。本発明の骨移植片材料の独特の特性のために、メッシュは、縫合糸、ステープル、スクリュー、周回ワイヤー(cerclage wire)などを使用して、身体に張り付けられてもよい。
【0050】
当業者は選択された手順に必要な選択された身体空隙のいずれかの位置にメッシュを配置してもよい。たとえば、メッシュと移植片材料の複合材料は頭蓋顎顔面の頭骨欠損に使用され、いっそうしなやかな移植片表面が脳にいっそう接近して配置され、そしていっそう弾力のある移植片表面が頭骨の弾力のある皮質骨と接続してもよい。このやり方では、メッシュまたはプレートは移植片材料の一面に張り付けられてもよい。あるいは、メッシュまたはプレートは、サンドイッチ様式でメッシュまたはプレートの両側に張り付けられてもよい。同様に、移植片材料はメッシュまたはプレートの両側に張り付けられてもよい。一部の態様では、メッシュは移植片材料内に浸漬されてもよい。メッシュは平らであってもよく、あるいは、半球、半チューブ、またはカスタム型におけるように、成型されて、移植片材料の輪郭を描いてもよい。これらの態様は移植片材料とメッシュ間の不可欠な関係のゆえに独特であってもよい。これは、移植片材料が構造インプラントに隣接して、またはケージの場合、インプラント内に配置される、当該技術分野の他の生成物とは相反する。
【0051】
本発明に従って、別の態様は、β‐リン酸三カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスからなる、生体適合性、再吸収性半チューブ型、またはスリーブを含む長骨補強のための骨移植片を提供し、移植片全体は相互に連絡したマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する。メッシュはスリーブの表面に張り付けられてもよく、またはスリーブに浸漬されてもよい。メッシュはチタン、ステンレススチール、ニチノール、複合ポリマー、またはポリエーテルエーテルケトンから作製されてもよい。スリーブの横断面は三日月型であってもよい(図7B)。
【0052】
他の態様では、成型ボディーの形状における骨回復のための移植片があり、成型ボディーはβ‐リン酸三カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスを含み、移植片材料は相互に連絡したマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有し;ボディー型は、一般に哺乳動物の解剖上の骨構造に一致するように選択される。型は修復される身体部分に依存して変化することになる。一部の基本型は、円盤、半球、半チューブ、またはトーラスであってもよい。一部の態様では、型は一般に股臼に一致することになる。
【0053】
耐荷重能を有する本発明の他の移植片材料はオープンフレームであってもよく、その結果、骨移植片材料はフレームの中心開口部に埋め込まれる。フレームはチタンのような金属から、またはPEEKのような耐荷重再吸収性複合材料から、またはポリ乳酸(PLA)のいずれかの形状の複合材料から作製されてもよい。後者の場合、PLAに由来する酸は、埋め込まれた骨移植片材料のリン酸カルシウムと協働するか、または相互作用し、優れた再吸収が特徴のインプラントを提供する。
【0054】
移植片材料はまた、いずれかの生体吸収性ポリマーまたはフィルム‐形成物質、たとえばポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ‐L‐乳酸(PL−LA)、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアルケノイック、ポリアクリル酸(PAA)、ポリエステルなどによって吸収されてもよい。結果として生じる移植片材料は強力で、刻むことが可能であり、そして圧縮可能である。先に述べたような物質によってコーティングされた本発明の移植片はさらに血液を吸収してもよい。
【0055】
本発明の別の態様では、移植片材料はいずれかの整形外科インプラント、たとえば、金属股関節ステム、股臼成分、上腕骨または中足骨インプラント、椎体置換デバイス、椎弓骨スクリュー、一般固定スクリュー、プレートなどに対するアタッチメントまたはコーティングとして使用されてもよい。コーティングは、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの実質的に均質なスラリー中に、ある期間インプラントを浸すか、またはつり下げ、その後フリーズドライ/凍結乾燥(lyophilization)および架橋技術によって処理することによって形成されてもよい。これに関連して使用される実質的に均質とは、スラリー内の要素の比が全体にわたって同じであることを意味する。あるいは、雌の鋳型がインプラントから作製されてもよく、そしてスラリーは先に記載のように、鋳型に注がれ、加工されてコーティングを形成してもよい。
【0056】
本発明のさらに別の態様では、移植片材料は断片に刻まれるか、または切断されてもよい。これらのより小さく刻まれた断片はその後フィラーとして使用されうるか、またはシリンジボディー中に配置されうる。この方法では、流体は直接シリンジボディーに吸引されるか、または注入されることが可能であり、それによって粘着性のある、成型性(shapeable)の骨移植片塊を適用必要性に依存して「in situ」で形成する。細かく刻まれた断片は不規則な骨空隙欠損に対するフィラーとして特有の使用を見いだす。さらに、伝統的な骨移植片代替物とは異なり、それらは高度に圧縮性であり、それゆえ有益な治癒のためにパッキングされるか、またははめ込まれて、隣接する骨との最大接触を保証することができる。
実施例
実施例1:濡れ性
25x100x4mmである乾燥試験試料は重さを量られ、その後生理食塩水溶液に30秒間浸された(dipped)(「浸された(soaked)」)。浸された試料の重量が測定された。これらの試験の結果は表1に表される。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例2:生体活性の査定
生体活性解析は重量比80:10:10および80:15:5のリン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスを含むスカフォールド調製物に対して実施された。in vitroアパタイト形成は、Na2SO4、K2HPO4・3H2O、NaHCO3、CaCl2、MgCl2・6H2O、NaCl、およびKClを含むSBFを使用して査定された。これらの試薬は脱イオン水に溶解され、Tris(ヒドロキシル‐メチル‐アミノ‐メタン)および塩酸を使用して、およそpH7.3に調整された。結果として得られた溶液のイオン濃度はヒト血漿のそれに非常に類似する。
【0059】
それぞれのスカフォールド調製物の1x1cm標本は20mlのSBFに浸漬され、37℃でインキュベーションされた。1、2および4週間の特定された時点で試料は溶液から除去され、蒸留水およびアセトンですすがれ、デシケーターで乾燥された。生体活性査定は走査型電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散型分光分析(EDS)を使用して行われ、表面の形態および組成の変化をそれぞれ確認した。
実施例3:4週間目におけるリン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス骨移植片代替物(80:15:5)の生体活性
リン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス(80:15:5)の試料は、実施例2に記載の方法により、4週間SBFに浸漬された。4週間後、SEMおよびEDAXスペクトルが取られた。図15、16A、および17Aに見られるように、SBF浸漬前の試料のSEMと比較して、新規なリン酸カルシウム形成はその明確な形態に基づいて確認されうる。新規なリン酸カルシウム形成の確証は、EDAXスペクトル(図16B、17B〜D)によって確証された。図16Bはリン酸カルシウム組成を確証する、新規な増加のEDAXスペクトルを示す。図17Bおよび17Dでさらに証明されるように、新規な増加はVitossとは異なる形態および関連したEDAXスペクトルを有する。図17Cに示されたEDAXスペクトルは、図17Aで見られる基礎骨移植片代替物のコラーゲン鎖を確証する。
実施例4:4週間目におけるリン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス骨移植片代替物(80:10:10)の生体活性
リン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス(80:10:10)の試料は、実施例2に記載の方法により、4週間SBFに浸漬された。4週間後、SEMおよびEDAXスペクトルが取られた。図18、および19Aに見られるように、SBF浸漬前の試料のSEMと比較して、新規なリン酸カルシウム形成はその明確な形態に基づいて確認されうる(図8〜10、12〜14を参照されたい)。新規なリン酸カルシウム組成物の確証は、EDAXスペクトル(図19C)によって確証された。コンベアイトガラス‐セラミックの部分(基礎骨移植片代替物の一部)は図19Bに示されたEDAXスペクトルによって確証される。
実施例5:生体活性ガラス:コンベアイトガラス‐セラミックの生体活性査定
リン酸カルシウム、コラーゲン、およびコンベアイトガラス‐セラミック粒子を含む骨移植片材料は7日間SBFに浸漬された。SEM画像を使用してガラス表面上のリン酸カルシウムの形成が査定された。図20に見られるように、SBFに7日間浸漬されたガラス粒子(図20B)は表面のリン酸カルシウム成長を示し、ガラス‐セラミックの生体活性特質を暗示する。図20Aは比較のために、無反応コンベアイトガラス‐セラミックのSEMを示す。
実施例6:リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスの複数の組成物の生体活性試験
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスからなる骨移植片の試料が製造され、生体活性が評価された。試料それぞれのリン酸カルシウムは、商標名Vitoss(登録商標)(Orthovita,Inc.,Malvern,PA)の下で販売される多孔性β‐リン酸三カルシウムであり、そしてそれぞれの試料中で使用される生体活性ガラスはコンベアイトガラス‐セラミックであった。表2に示される調製物が試験された:
【0060】
【表2】
【0061】
表3は容積%による表2の試験製品の組成を示す。容積%計算のための仮定は以下の通りであった:Vitoss(登録商標)b−TCPのバルク密度(十分に高密度)は3g/ccであり、コンベアイトガラス‐セラミックのバルク密度は2.84g/ccであり、コラーゲンのバルク密度は1.1g/ccであり、そして均一な混合/分布。
【0062】
【表3】
【0063】
研究のために、6x4x10mmの試料は密閉されたプラスチックカップの蓋からナイロン釣り糸によってつり下げられ、150mLのSBFに浸漬され、37Cインキュベーター中の回転プレート上に保たれた。14日目、またはそれ以前に除去される試料のいずれでもSBFは交換されなかった。15日目に、残っている28日の試料に溶液交換が起こった。1、3、7、14、および28日目に、それぞれの調製物のn=1が除去された。それぞれの試料は水で3回およびアセトンで1回すすがれた。試料はデシケーター中で小さなガラスバイアルに保存された。少なくとも1日、デシケーター中で乾燥後、それぞれの試料はカミソリの刃で半分に切断され、分析のために外側表面が曝されるように試料スタブ(stub)上に載せられた。試料は60〜80mTorrおよび15〜20mAパルスを使用して、Au−Pdによりスパッタコーティング(sputter coated)された
すべての試料は後方散乱モードで画像を撮られた。SEM画像を使用して、新規なリン酸カルシウム増加が形態学的に確認された。生体活性ガラスを全く含まない試料(0%コンベアイトガラス‐セラミック試料)ではいずれの時点でも、リン酸カルシウム増加は全く観察されなかった。溶液はこれらの非生体活性試料の表面上で自然に増加を引き起こさないため、これらの結果は試験方法の適切性を確証する。無反応調製物の代表的な図は図21(0日目、100x拡大)に見ることができる。すべての成分がすべての調製物中で見ることができる。SBF中1日目のすべての調製物の代表的な図は図22に示す(1日目、2500x拡大)。すべての調製物中のコンベアイトガラス‐セラミック粒子は0日目のものと比較して、けばだった表面の外見を有する。40%組成物では、新規に形成されたリン酸カルシウム層が生体活性ガラス粒子から隣接するコラーゲン鎖に広がることが認められうる。80%組成物では、周囲の材料に広がり始めているリン酸カルシウムにより生体活性ガラス粒子の大部分はすでに覆われている。
【0064】
3日目(データは示されない)までには、すべてのガラス‐含有調製物にリン酸カルシウム層が形成されていて、広がっているように見え、20および40%調製物は成長した、広範な増加を有する。80%組成物はスカフォールド表面全体にわたる広範囲のリン酸カルシウム増加を示した。組成分析(EDSスペクトル、データは示されない)は、層がリン酸カルシウムからなることを確証した。
【0065】
7日目(図23)にすべてのガラス‐含有調製物はリン酸カルシウム層の継続した増加を示す。40%および80%調製物は共に、試料の全表面をほとんど覆う連続したリン酸カルシウム層を有するように見える。図24は、14日目にすべてのガラス‐含有調製物の全表面をほとんど覆う、十分に発達したリン酸カルシウム増加を表す代表的な画像を示す。すべてのガラス‐含有試料のリン酸カルシウム増加は14日目に類似しているように見え、成熟し、そして広範に及ぶように見える(データは示されない)。
【0066】
一般に、より大きな生体活性ガラス含有量は、結果としてより速く、そしていっそう広範に及ぶリン酸カルシウム形成を生じる。
【0067】
また、容積で約23%のコラーゲンを含む試験製品は、熱分解されて、コラーゲンを消散させたことは注目される。残余の無機成分の容積パーセントは約77%であり、調製物中に存在するリン酸カルシウムおよびコンベアイトガラス‐セラミックの容積パーセントと一致した。
実施例7:臨床操作性
コラーゲン、リン酸カルシウム、および80%、40%、20%、10%または0%コンベアイトガラス‐セラミックを含む試験製品は血液によって吸収され、柔軟性、構造完全性、および操作性に関して手動で調査された。すべての試験調製物は、血液を吸い上げる能力を証明し、すべては濡れた時に柔軟性であった(図23Bの例を参照されたい;「クラシック」は0%の生体活性ガラス含有量を表す)。生体活性ガラス40%以下を含む試料は圧縮下で血液を保有し、付加的な調査のために選択された。
実施例8:粒子サイズ<53μmのガラス‐セラミックを持つ試料
コラーゲン、リン酸カルシウム、および粒子サイズ<53μmを有する10%、20%、または40%コンベアイトガラス‐セラミックを含む骨移植片試料が作り出され、SEMにより種々の倍率で分析された。すべての調製物は移植片全体に都合よく分布した3種すべての成分を含むことが見いだされた。代表的な画像は図25に示される。
実施例9:粒子サイズ38〜250μmの45S5生体活性ガラスを持つ試料
コラーゲン、リン酸カルシウム、および粒子サイズ38〜250μmを有する10%、20%、または40%45S5生体活性ガラスを含む骨移植片試料が作り出され、種々の倍率でSEMにより分析された。すべての調製物は移植片全体に都合よくした3種すべての成分を含むことが見いだされた。代表的な画像は図26に示される。
実施例10:粒子サイズ90〜150μmのガラス‐セラミックを持つ試料
コラーゲン、リン酸カルシウム、および粒子サイズ90〜150μmを有する15%コンベアイトガラス‐セラミックを含む骨移植片試料が作り出され、種々の倍率でSEMにより分析された。この調製物は3種すべての成分が満足のゆく分布をすることが見いだされた。代表的な画像は図27に示される。
実施例11:リン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス骨移植片代替物(75:10:15)の生体活性査定
75%リン酸カルシウム、粒子サイズ90〜150μmを有する15%コンベアイトガラス‐セラミック、および10%コラーゲンは25x100x8mmまたは25x50x4mmの寸法の細片として製造された。試料は表面積約240mmの小さな長方形の棒に切断され、3または7日間、約150mLのSBF中にナイロン線によりつり下げられた。試料は、生体活性を示す新規なリン酸カルシウムの増加に関してSEMおよびEDAXにより分析された。
【0068】
SEMおよびEDAXにより、リン酸カルシウム増加がすでに3日目までに始まっていたことが明らかになった(データは示されない)。7日目の代表的なデータは図28および29に示される。図28Bはコンベアイトガラス‐セラミック部分の新規なリン酸カルシウム増加(SEM画像の四角で囲んだ部分)を示し、そして対応するEDAXスペクトルはガラス上にリン酸カルシウムの存在を確証する。図28Aは比較のために無反応対照を示す。図29Bは骨移植片代替物の表面全体のリン酸カルシウム増加を示す。移植片自体ならびにコラーゲンおよびリン酸カルシウム成分の多孔性は図29Aにおいて明白である。
実施例12:骨移植片代替物の多孔度
コラーゲン;マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有するリン酸カルシウム;および10、20、40、または80%生体活性ガラス(コンベアイトガラス‐セラミック、<53粒子サイズ)を含む骨移植片の多孔性の特徴は、水銀圧入ポロシメトリーを使用して検査された。それぞれの調製物の多孔度プロファイルは表4に示される。標準化されたポア容積(%)はそれぞれのポアサイズ範囲に対して示される。
【0069】
【表4】
【0070】
表4に示すように、すべての調製物は類似の多孔度プロファイルを有し、すべては高度な多孔度を示した。調製物の総多孔度は約81〜約83%の範囲であった。
実施例13:リン酸カルシウム:コラーゲン:生体活性ガラス骨移植片代替物(75:10:15)の特性の査定
75%リン酸カルシウム(細片サイズ1〜2mm)、15%コンベアイトガラス‐セラミック(90〜150μm粒子サイズ)、および10%コラーゲンを含む生体活性骨移植片材料の試料は望ましい操作性に関して試験された。
【0071】
血液で濡れた時、濡れ性は約136%〜約174%に及び、平均濡れ性は約156%であった。容積による濡れ性は約71%〜約90%に及んだ。
【0072】
骨移植片は約2分間流体に浸漬され、重さを量られ、そして計量計上につり下げられたメッシュに配置され、そして500gの質量が約10秒間、柔軟性移植片に配置された。移植片はその後再び重さを量られ、圧縮性荷重下での保持を査定された。圧縮性荷重下での流体保持は約95%〜約99%に及び、平均流体保持は約97%であった。試料はまた、臨床適用のために適切に扱われ、砕けることなく、ハサミで切断され得た。
実施例14:リン酸カルシウムおよびコラーゲンを含む骨移植片代替物への生体活性ガラスの添加
重量で10%または40%いずれかの生体活性ガラス(コンベアイトガラス‐セラミック、<53μmまたは90〜150μmのいずれかの粒子サイズ)は、重量で約80%の多孔性リン酸カルシウムおよび重量で約20%のコラーゲンを含む骨移植片(Vitoss(登録商標)Foam Pack,Orthovita,Inc.,Malvern,PAとして市販される)に添加され、成型可能な複合生体活性移植片を形成した。材料を製造するために、約1.2mLのリン酸カルシウム/コラーゲン骨移植片は約1.3mLの生理食塩水に吸収され、約2分間こねられた。次にコンベアイトガラス‐セラミックが添加され、複合材料はさらにおよそ2分間こねられ、試料のだいたい中心から一部が除去され、脱水され、SEM分析のために準備された。
【0073】
10%および40%の90〜150μmのコンベアイトガラス‐セラミック調製物は結果として非常に滑らかな外見の試料を生じた。10%の<53μm調製物は操作性および肉眼的外観においてガラスを含まない移植片材料と識別不可能であった。40%の<53μm調製物は非粘着性であった。
【0074】
いずれかの粒子サイズ(図30に示される代表的なSEM画像)を10%および90〜150μmのガラス(図31A)を40%含む調製物に関して、SEM分析は移植片全体にわたる都合のよいガラスの分布を示した。40%の<53調製物(図31B)はガラスが際立つように見えた。
実施例15:骨移植片材料のin vivo試験
イヌの両側上腕骨欠損インプラント研究は、骨組織と直接接触する骨移植片材料を評価するために行われる。骨リモデリング、新規骨形成、およびインプラント再吸収は周期的で評価される。
【0075】
骨移植片材料は、濡れた時に結果として柔軟性移植片を生じる形状で供給される。(本発明の他の移植片が同じやり方で検査されてもよい。)生体活性ガラスを含まない移植片材料は対照として役立つ。
【0076】
試験または対照材料は、18匹のイヌ上腕の多孔質骨に外科的に作り出された両側ドリル欠損に移植される。研究開始前に作成された無作為化スケジュールに従って、試験製品はそれぞれの動物の一方の上腕骨のドリル欠損に移植され、そして対照製品は他方の上腕骨のドリル欠損に移植される。ドリル欠損は直径およそ10mm、深さおよそ25mmである。側面および背掌側撮影図は術後すぐに得られ、すべての動物はその後、それぞれの屠殺時点で放射線写真を撮られる。予め決められた暴露時間(3、6、12、24、または52週)後、動物は屠殺され、移植部位が暴露される。インプラント部位は肉眼観察され、採取され、生理食塩水に浸したガーゼスポンジで包まれ、その後の分析のために−20℃で凍結される。
【0077】
採取されたインプラント部位の分析は欠損部位の骨の内部成長およびリモデリングを査定するための機械的試験を含む。組織インプラント部位はまた、当該技術分野で公知の標準組織学技術を使用して検査される。治癒の程度および欠損内に含まれる組織の性質は組織病理学的、組織形態計測的評価により特徴付けられる。
【0078】
一態様では、生体活性骨移植片材料(生体活性ガラスを含む材料)により治療された欠損は改善された治癒を示すことになる。好ましい態様では、移植片材料+生体活性ガラスにより治療された欠損における治癒の速度および程度は、対照移植片材料により治療された欠損において観察されたものに等しいか、またはそれより好ましいことになる。
実施例16:骨移植片代替物の多孔度
10%コラーゲン;マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する75%リン酸カルシウム(75%);および15%生体活性ガラス(コンベアイトガラス‐セラミック)を含む骨移植片の多孔性の特徴は、水銀圧入ポロシメトリーを使用して検査された。15%コンベアイトガラス‐セラミックを含む移植片の2種の形態、寸法25x100x4mm(15%薄型)の1種、および寸法25x50x8mm(15%厚型)の1種の多孔度プロファイルは表5に示される。また、生体活性ガラスを含まない(0%)移植片の多孔度プロファイルが示される。標準化されたポア容積(%)はそれぞれのポアサイズ範囲に対して示される。
【0079】
【表5】
【0080】
表5に示すように、15%コンベアイトガラス‐セラミックを含む両方のサイズの骨移植片は類似の多孔度プロファイルを有し、マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を示した。多孔度プロファイルは生体活性ガラスを含まない移植片のものに類似した。移植片はまた75%より高度な総多孔度を示した。
実施例17:生体活性ガラスを含む成型可能な移植片の崩壊抵抗性および流体保持
多孔性リン酸カルシウムおよびコラーゲンからなる約5ccの骨移植片材料(Vitoss(登録商標)Foam Pack,Orthovita,Inc.,Malvern,PAとして市販される)は約4.5ccの生理食塩水により水和され、成型可能な硬さにこねられた。粒子サイズ90〜150μmを有する約0.54gのコンベアイトガラス‐セラミック(移植片の乾燥質量2.15gに基づいて約20%)は水和材料の中にこねられた。
【0081】
崩壊抵抗性を試験するために、記載のように製造された複合材料はボールに丸められ、約2分間、着色された生理食塩水溶液で満たされた計量計に配置された(図33を参照されたい)。材料は依然として連続した物のままであり、別個の小片に分解せず、そして実質的に元の大きさより大きいサイズに膨潤しなかった。
【0082】
記載のように製造された複合材料の質量が測定され、材料は10ccシリンジ中に配置された。シリンジは秤に配置され、秤は風袋を差し引いた。シリンジはInstron4467器具の押し出し試験ジグに配置され、30lbfで圧縮された。圧縮後のシリンジ質量の測定を使用して、流体保持割合を決定した。平均流体保持(5試料)は約92%であり、複合材料が高度な流体保持特性を有することを示唆した。
実施例18:コラーゲン再吸収/安定性の速度に対する生体活性ガラスの効果
リン酸カルシウム、コラーゲン、およびコンベアイトガラス‐セラミックを含む試料は「薄型」10x6x4mm試料(表面積248mm2)および「厚型」5x6x8mm試料(表面積248236mm2)に切断され、150mLのSBF中にナイロン線でつり下げられた。28日間の研究で7日目の厚型試料は線から抜け、ばらばらに壊れた。SEMによる精査では、大部分のコラーゲンが分解したが、多少のリン酸カルシウムにコーティングされたコラーゲンが観察された。厚型および薄型両方の14日目の試料は線から抜け、ばらばらに壊れた。3日目に採取された溶液のpH示度は厚型試料で7.6、薄型試料で7.53であった。7日目では、pHは厚型で7.58,そして薄型で7.54であった。
【0083】
表6に示された、コラーゲン、リン酸カルシウムを含み、そしてコンベアイトガラス‐セラミックパラメータを有する「薄型」25x25x4(表面積1650mm2)および「厚型」25x13x8(表面積1250mm2)骨移植片試料の付加的な試験はPBS中で行われ、いっそう短い時間尺度でのpH変化を検査した。
【0084】
【表6】
【0085】
<53μmコンベアイトガラス‐セラミックはより大きな「バースト」または初期のpH変化を引き起こし、そのことは粒子サイズが小さいほど表面積が大きいことに起因してもよい。しかし、4日目までには最も高いガラス含有量(40%)を有する組成物が最も大きなpH変化を引き起こした。
【0086】
別の態様では、表7に示された量および型の生体活性ガラスを含むコラーゲンおよびリン酸カルシウムの移植片材料の「薄型」試料(25x25x4mm)および「厚型」試料(25x25x8mm)は、攪拌器(1Hz)上で、12日間、37℃で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中およびSBF中に浸漬された。
【0087】
【表7】
【0088】
SBFおよびPBSの両方中の15%「薄型」試料はPBS中の2種の40%組成物と同じように、粉末に縮小された。
【0089】
一般に、骨移植片材料はPBS中ではいっそうコラーゲンが分解されやすく見え、それらはいっそうpH変化を受けやすくてもよい。幅8mm(「厚型」)の材料はより高いpHを生み出すように見え、そしていっそう分解されやすいように見える。理論に束縛されることを望まないが、観察および試験はガラスの添加が移植片内のpHを変化させ、局所のコラーゲンを変性させ、それを分解することを暗示する。作用はガラスにとって局所的であると考えられ、たぶん密度‐依存的である。
【0090】
従って、体液中のコラーゲン再吸収または分解の速度は移植片における生体活性ガラスの量または密度によって影響を受けてもよい。一般に、ガラス部位が多いほどよりコラーゲンの速い分解および再吸収を引き起こす。
【0091】
また、pHを変化させる材料を添加することによってコラーゲン再吸収の速度を改変する方法が提供される。pHを変化させる材料は生体活性ガラスを含んでいてもよい。インプラント材料において、生体適合性、再吸収性コラーゲンの再吸収速度を改変する方法が本明細書に開示され、該方法は生体適合性で、再吸収性コラーゲンを含むインプラント材料を提供すること、該材料に生体活性ガラスを添加すること、および動物の表面にまたは中に材料を配置することを含む。また、コラーゲンを含む組成物の再吸収能を改変する方法が提供され、該方法は組成物の再吸収能を変化させるために、コラーゲンに近接したpHを変化させるために十分な1以上の特徴に関して予め選択されている材料を提供すること、およびコラーゲンを該材料と接触させることを含む。該方法はまた、コラーゲンを含む組成物の再吸収能を変化させるために、コラーゲンに近接したpHを変化させることが可能な材料を提供すること、およびコラーゲンを該材料と接触させることを含む。また、コラーゲンを含む組成物の再吸収能を増す方法が開示され、該方法はコラーゲンに近接したpHを上げるために十分な1以上の特徴に関して予め選択されている材料を提供すること、およびコラーゲンを該材料と接触させることを含む。コラーゲンに近接したpHの変化は局所的に、すなわち1カ所以上の部分のコラーゲンに対して空間的に近接して起こってもよい。
【0092】
先の記載を考慮して、生体活性ガラスの特徴、たとえば、生体活性ガラスの量および表面積がコラーゲン分解の速度に影響を与えうること、およびこれらのパラメータがコラーゲン‐含有骨移植片材料に関して所望される使用に従って操作されうることが認識されうる。また、変更されることになる速度がコラーゲンの性質に依存してもよいこと、および生体活性ガラスの特徴がコラーゲンの種々の形状に対して最適化されうることが認識されることになる。
【0093】
これらの方法は、骨移植片、ならびに創傷または熱傷包帯(dressing)、止血剤、皮膚インプラント、歯周膜、角膜シールド、縫合糸、移植片含有デバイス、軟骨置換材料、および硬膜置換材料を含むがそれらに限定されない、他のコラーゲン‐含有技術に適用されてもよいことが企図される。
【0094】
特有のコラーゲン‐含有技術に関連して、当業者は最適化された再吸収速度を選択してもよい。個々のコラーゲン‐含有技術の最適化再吸収速度は、生理的治癒速度、材料移植部位に対して局所的なリモデリングおよび他の因子のようなパラメータに従って変化してもよく、当業者は特有のコラーゲン‐含有技術にとっての最適化再吸収速度を誘導することにおいてそのようなパラメータを考慮してもよい。
【0095】
コラーゲンに対する生体活性ガラスの効果はpH変化に起因すると考えられているため、コラーゲンインプラント材料内のpH変化を生み出すことが可能な他の材料も結果を獲得するために適切である。たとえば、pHを変化させるマイクロスフェアは生体活性ガラスの代わりに使用されうる。pH変化は材料が体液と接触する場合に起こることが好ましい。従って、本発明の別の側面は生体適合性、再吸収性コラーゲンを含むインプラント材料を提供すること、インプラント材料と混合したpH変更材料を配置すること、および動物の身体上に、または身体内に複合インプラントを配置することを含む、インプラント材料の再吸収速度を変化させる方法である。
【0096】
現在、好ましい骨移植片代替物、そのような材料を含むキット、およびそれらの使用の方法が記載されている。本発明は、現在好ましいその態様に関してとりわけ示され、記載されているが、本発明は本明細書に特に開示された態様または実施例に限定されないことは理解されることになる。骨欠損を処置する方法は本発明の態様によって先見されることが認識される。本明細書では、回復することになる部位に近づくこと;ならびに生体適合性、再吸収性コラーゲン、少なくとも1種の金属カチオン、少なくとも1種の酸化剤、および少なくとも1種の酸化可能な前駆体アニオンからなる酸化‐還元反応生成物;および生体活性ガラスを含む骨移植片材料を骨空間に移植することを含む、動物の骨を回復させるか、または修復するための方法が企図される。この方法において使用される移植片材料は本出願に開示されたものの中から当業者によって選択されてもよい。非常に多くの変更および改変が本発明の好ましい態様に対して行われてもよく、そのような変更および改変が本発明の範囲から逸脱せずに行われてもよい。従って、添付の特許請求の範囲は、それらが本発明の真の意図および範囲内にあるような等価なバリエーションのすべてを包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1A】円柱形の生体適合性移植片材料の1つの基本形を図解する。
【図1B】ヒト膝内の脛骨プラトー82における大腿骨81下の骨空隙83に挿入された円柱形80の移植片材料を図解する。
【図2】細片形の本発明の別の基本形を図解する。
【図3A】移植片封じ込めデバイスとして使用される半球形の本発明の生体適合性移植片材料の一態様を図解する。
【図3B】人工インプラント103を適応させるために使用される移植片材料102の半球形を図解する。この態様では、移植片材料102はポリエチレンカップ105を保有する股臼カップ106を含む。
【図4A】円盤形の本発明の移植片材料を図解する。
【図4B】頭蓋顎顔面76、頬骨再建物72、および下顎骨インプラント74として使用される、本発明の生体適合性移植片材料の別の態様を図解する。
【図5】ブロック/楔形に成型され、脛骨プラトー再建物として使用される、記載された骨移植片材料の一態様を図解し、該材料は正しい場所にスクリューで留められる、接着される、セメントで固められる、ピンで止められる、係留される、または他の方法で接合する。
【図6A】一面に接着されたメッシュ270を有する、骨回復のための、再吸収性欠損充填骨移植片材料272を図解する。
【図6B】一面に接着されたメッシュ270を有する、骨回復のための、再吸収性欠損充填骨移植片材料272を図解する。
【図6C】メッシュ270が移植片代替物272間に挟まれている、合成再吸収性欠損充填骨移植片材料ブロックを表す。
【図7】長骨補強スリーブとして使用される半チューブ形における本発明の生体適合性移植片材料の態様を図解する。図面に示すように、半チューブは均一な厚さを有する、月の横断面(図7A);または次第に細くなって点になる半径(図7B)もしくは次第に細くなり、端が丸くなった半径(図7C)を有する三日月形の横断面を有していてもよい。
【図8A】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(二次、20x)である。
【図8B】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(後方散乱、20x)である。
【図9A】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(二次、50X)である。
【図9B】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(後方散乱、50x)である。
【図10A】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(二次、250x)である。
【図10B】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の骨移植片材料の一態様のSEM(後方散乱、250x)である。
【図11】0%生体活性ガラスを含む合成骨移植片材料と比較した、本発明の態様の放射線不透過性を表す高分解能X‐線写真である(市販のVitoss(登録商標)Foam Stripであり、「市販の発泡体」とラベルを貼られる)。
【図12】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(250x)である。リン酸カルシウムの多孔性構造は四角で囲まれた部分によって確認される。コンベアイトガラス‐セラミック粒子は丸で囲まれる。
【図13】13Aは、重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(250x、後方散乱)を表す。13Bは、コンベアイト領域の元素分析を表す。13Cは、多孔性リン酸カルシウム領域の元素分析を表す。金(Au)およびパラジウム(Pd)は標本に適用された伝導性コーティングの結果として存在する。
【図14】重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様の微小構造の詳細を表すSEM(1000x)である。コンベアイトガラス‐セラミックの部分は丸で囲まれる。
【図15】SBFに4週間浸漬した後の、重量で80%のリン酸カルシウム、15%のコラーゲン、および5%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEMである。図15Aおよび15Bは100xに拡大される。図15Cは250xに拡大される。
【図16A】SBFに4週間浸漬後の、重量で80%のリン酸カルシウム、15%のコラーゲン、および5%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(1000xに拡大)である。
【図16B】(現存する骨移植片のリン酸カルシウムに比べて識別可能な)明確な形態に基づいた新規なリン酸カルシウム増加を表す、図16Aの四角で囲んだ部分のEDAXスペクトルを表す。
【図17A】SBFに4週間浸漬後の、重量で80%のリン酸カルシウム、15%のコラーゲン、および5%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(1000xに拡大)である。
【図17B】図17AのVitoss(登録商標)部分のEDAXスペクトルである。
【図17C】図17Aのコラーゲン部分のEDAXスペクトルである。
【図17D】リン酸カルシウムの形態とは異なる形態に基づいた、図17Aの新規なリン酸カルシウム増加部分のEDAXスペクトルである。
【図18】SBFに4週間浸漬後の、重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEMである。図18Aおよび18Bは100xに拡大される。図18Cは250xに拡大される。
【図19A】SBFに4週間浸漬後の、重量で80%のリン酸カルシウム、10%のコラーゲン、および10%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の一態様のSEM(250xに拡大)である。
【図19B】図19Aのコンベアイトガラス‐セラミック部分のEDAXスペクトルである。
【図19C】図19Aの四角で囲んだ部分のEDAXスペクトルであり、骨移植片代替物の新規なリン酸カルシウム増加を表す。
【図20】Aは、本発明に従った生体活性ガラス‐セラミックのSEM(1000xに拡大)である。Bは、ガラス‐セラミック表面上のリン酸カルシウム増加を示す、本発明に従った生体活性ガラス‐セラミックのSEM(1000xに拡大)である。
【図21】リン酸カルシウム、コラーゲン、および重量で0%、10%、20%、40%、または80%のコンベアイトガラス‐セラミック(「コンベアイトg−c」)を含む、本発明の態様に従った骨移植片の例の代表的なSEM画像(100xに拡大)を表す。
【図22】シミュレーションした体液(SBF)中、1日目のリン酸カルシウム、コラーゲン、および重量で0%、10%、20%、40%、または80%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様に従った骨移植片の例の代表的なSEM画像(2500xに拡大)を示す。
【図23】SBF中、7日目のリン酸カルシウム、コラーゲン、および重量で0%、10%、20%、40%、または80%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様に従った骨移植片の例の代表的なSEM画像(100xに拡大)を表す。
【図24】SBF中、14日目のリン酸カルシウム、コラーゲン、および重量で0%、10%、20%、40%、または80%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様に従った骨移植片の例の代表的なSEM画像(250xに拡大)を表す。
【図25】<53μmの粒子サイズを有する、重量で10、20、または40%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様の代表的なSEM画像(100xに拡大)を示す。
【図26】38〜250μmの粒子サイズを有する、重量で10、20、または40%の45S5生体活性ガラスを含む、本発明の態様の代表的なSEM画像(100xに拡大)を示す。
【図27】90〜150μmの粒子サイズを有する、重量で15%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、本発明の態様の代表的なSEM画像(100xに拡大)を示す。
【図28】Aは、画像の四角で囲んだ部分に対応するEDAXスペクトルを持つ生体活性ガラスを含む、無反応移植片の高倍率SEMを示す。Bは、新規なリン酸カルシウム増加を示す、画像の四角で囲んだ部分に対応するEDAXスペクトルを持つ、SBF中7日目の生体活性ガラスを含む移植片のSEMを示す。
【図29】Aは、リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスを含む、本発明の一態様の骨移植片の代表的なSEMを示す。Bは、SBF中7日目の骨移植片の代表的なSEMを示す。
【図30A】粒子サイズ90〜150μmのコンベアイトガラス‐セラミック10%が添加されている、成型可能な骨移植片の態様の代表的なSEM(100xに拡大)を示す。
【図30B】粒子サイズ<53μmのコンベアイトガラス‐セラミック10%が添加されている、成型可能な骨移植片の態様の代表的なSEM(100xに拡大)を示す。
【図31A】粒子サイズ90〜150μmのコンベアイトガラス‐セラミックが40%添加されている、成型可能な骨移植片の態様の代表的なSEM(100xに拡大)を示す。
【図31B】粒子サイズ<53μmのコンベアイトガラス‐セラミック40%が添加されている、成型可能な骨移植片の態様の代表的なSEM(100xに拡大)を示す。
【図32】Aは、生体活性ガラスを全く含まない、市販の骨移植片材料(Vitoss(登録商標) Foam Strip,Orthovita,Inc.,Malvern,PA)の柔軟性(濡らされた場合)を示す。Bは、生体活性ガラス(古典的)を全く含まないか、または10%、20%、もしくは40%のコンベアイトガラス‐セラミックを含む、柔軟性骨移植片調製物を示す。
【図33】崩壊(wash−away)試験中、および試験後それぞれの成型可能な骨移植片を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再吸収性リン酸カルシウム、再吸収性コラーゲン、および再吸収性生体活性ガラスを含む生体適合性骨移植片材料。
【請求項2】
生体活性ガラスの粒子サイズが約150μm未満である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項3】
生体活性ガラスの粒子サイズが約90〜約150μmである、請求項2に記載の骨移植片材料。
【請求項4】
濡れた時に柔軟性である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項5】
濡れた時に成型可能である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項6】
濡れた時に流動性である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項7】
流体により濡らされる、請求項1に記載の骨移植片。
【請求項8】
流体が血液、骨髄吸引物、生理食塩水、抗生物質またはタンパク質を含む溶液である、請求項7に記載の骨移植片。
【請求項9】
骨移植片が濡れた時に少なくとも約100%質量が増加する、請求項1に記載の骨移植片。
【請求項10】
重量で約50〜90%のリン酸カルシウム;重量で約5〜25%のコラーゲン;および重量で約5〜40%の生体活性ガラスである、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項11】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約70:10:20の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項12】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約80:10:10の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項13】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約75:10:15の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項14】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約50:10:40の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項15】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約60:20:20の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項16】
重量で約80%までのリン酸カルシウムを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項17】
重量で約60%までのリン酸カルシウムを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項18】
重量で約20%までのコラーゲンを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項19】
重量で約10%までのコラーゲンを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項20】
重量で約5%までのコラーゲンを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項21】
重量で約40%までの生体活性ガラスを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項22】
重量で約20%までの生体活性ガラスを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項23】
重量で約10%までの生体活性ガラスを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項24】
重量で約15%までの生体活性ガラスを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項25】
リン酸カルシウムがマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項26】
多孔度が相互連絡する、請求項25に記載の骨移植片材料。
【請求項27】
リン酸カルシウムがβ‐リン三酸カルシウムである、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項28】
コラーゲンがI型コラーゲンである、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項29】
骨移植片が約70%より大きい総多孔度を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項30】
骨移植片が約80%より大きい総多孔度を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項31】
生体活性ガラスがアルカリ‐含有ガラスセラミックである、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項32】
生体活性ガラスが不規則な形態とコンベアイト微結晶領域を有する不均質な粒子を含む組成物である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項33】
生体活性ガラスが容積で約5〜50%のコンベアイト微結晶領域を含む、請求項32に記載の骨移植片材料。
【請求項34】
生体活性ガラスがカルシウム‐リン‐ナトリウム‐ケイ酸材料を含む組成物である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項35】
生体活性ガラスがカルシウム‐リン‐ケイ酸材料を含む組成物である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項36】
円柱、ブロック、または円盤型を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項37】
金属メッシュをさらに含む、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項38】
金属メッシュがチタン、ステンレススチール、ニチノール、複合ポリマー、またはポリエーテルエーテルケトンを含む、請求項37に記載の骨移植片材料。
【請求項39】
マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する再吸収性リン酸カルシウム;再吸収性コラーゲン;および再吸収性生体活性ガラスを含む、生体適合性骨移植片材料。
【請求項40】
少なくとも約70%の総多孔度を有する、請求項39に記載の骨移植片材料。
【請求項41】
マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有するリン酸カルシウム;再吸収性コラーゲン;および再吸収性生体活性ガラスからなる、生体適合性、再吸収性で、実質的に均質なブレンドを含む、複合生体適合性骨移植片材料。
【請求項42】
メッシュをさらに含む、請求項41に記載の骨移植片。
【請求項43】
メッシュがスリーブの表面に張られた、請求項42に記載の骨移植片。
【請求項44】
メッシュが移植片に浸漬された、請求項43に記載の骨移植片。
【請求項45】
メッシュがチタン、ステンレススチール、ニチノール、複合ポリマー、またはポリエーテルエーテルケトンを含む、請求項43に記載の骨移植片材料。
【請求項46】
回復することになる骨空間に到達すること;ならびに再吸収性リン酸カルシウム、再吸収性コラーゲン、および再吸収性生体活性ガラスを含む生体適合性骨移植片材料を該骨空間に配置することを含む、哺乳動物において骨を回復させるか、または修復するための方法。
【請求項47】
骨部位における配置前に骨移植片が濡らされる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
濡らされた骨移植片が柔軟性、成型可能、または流動性である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
生体活性ガラスが<150μmの粒子サイズを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
再吸収性コラーゲン、再吸収性リン酸カルシウムを含む骨移植片;および容器1杯の生体活性ガラスを含むキット。
【請求項51】
生体活性ガラスがコンベアイトガラス‐セラミック、45S5ガラス、45S5ガラス‐セラミック、58S5ガラス、S53P4ガラス、アパタイト‐ワラストナイトガラス、またはアパタイト‐ワラストナイトガラス‐セラミックを含む、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
生体活性ガラスが150μm未満の粒子サイズを有する、請求項50に記載のキット。
【請求項53】
生体活性ガラスが単位用量で提供される、請求項50に記載のキット。
【請求項54】
生体活性ガラスがコンベアイトを含む、請求項50に記載のキット。
【請求項55】
骨移植片がマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する、請求項50に記載のキット。
【請求項56】
リン酸カルシウムがベータ‐TCPである、請求項50に記載のキット。
【請求項57】
骨移植片が濡れた時に柔軟性、成型可能、または流動性である、請求項50に記載のキット。
【請求項58】
哺乳動物において骨を回復させるか、または修復するための方法であって:
再吸収性リン酸カルシウム、および再吸収性コラーゲンを含む生体適合性骨移植片材料を提供すること;
生物学的適合性流体で骨移植片材料を濡らすこと;
骨移植片材料に再吸収性生体活性ガラスを取り込ませること;および
骨空間に骨移植片を配置することを含む、方法。
【請求項59】
生体活性ガラスがコンベアイトガラス‐セラミック、45S5ガラス、45S5ガラス‐セラミック、58S5ガラス、S53P4ガラス、アパタイト‐ワラストナイトガラス、またはアパタイト‐ワラストナイトガラス‐セラミックを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
生物学的適合性流体が骨髄吸引物である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
コラーゲンを含む組成物の再吸収能を増す方法であって:
増大した再吸収能をもたらすために、コラーゲンに近いpHを上げるために十分な1以上の特徴に対して予め選択されている材料を提供すること;
および、
該材料とコラーゲンを接触させることを含む、方法。
【請求項62】
前記特徴が粒子サイズを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記特徴が粒子表面部分を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記特徴が量を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
材料が生体活性ガラスである、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
生体活性ガラスがコンベアイトガラス‐セラミック、45S5ガラス、45S5ガラス‐セラミック、58S5ガラス、S53P4ガラス、アパタイト‐ワラストナイトガラス、またはアパタイト‐ワラストナイトガラス‐セラミックを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
生体活性ガラスが約150μm未満の粒子サイズを有する、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
材料が骨移植片材料である、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
材料が再吸収性リン酸カルシウムをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項1】
再吸収性リン酸カルシウム、再吸収性コラーゲン、および再吸収性生体活性ガラスを含む生体適合性骨移植片材料。
【請求項2】
生体活性ガラスの粒子サイズが約150μm未満である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項3】
生体活性ガラスの粒子サイズが約90〜約150μmである、請求項2に記載の骨移植片材料。
【請求項4】
濡れた時に柔軟性である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項5】
濡れた時に成型可能である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項6】
濡れた時に流動性である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項7】
流体により濡らされる、請求項1に記載の骨移植片。
【請求項8】
流体が血液、骨髄吸引物、生理食塩水、抗生物質またはタンパク質を含む溶液である、請求項7に記載の骨移植片。
【請求項9】
骨移植片が濡れた時に少なくとも約100%質量が増加する、請求項1に記載の骨移植片。
【請求項10】
重量で約50〜90%のリン酸カルシウム;重量で約5〜25%のコラーゲン;および重量で約5〜40%の生体活性ガラスである、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項11】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約70:10:20の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項12】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約80:10:10の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項13】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約75:10:15の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項14】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約50:10:40の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項15】
リン酸カルシウム、コラーゲン、および生体活性ガラスが約60:20:20の重量比を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項16】
重量で約80%までのリン酸カルシウムを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項17】
重量で約60%までのリン酸カルシウムを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項18】
重量で約20%までのコラーゲンを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項19】
重量で約10%までのコラーゲンを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項20】
重量で約5%までのコラーゲンを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項21】
重量で約40%までの生体活性ガラスを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項22】
重量で約20%までの生体活性ガラスを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項23】
重量で約10%までの生体活性ガラスを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項24】
重量で約15%までの生体活性ガラスを有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項25】
リン酸カルシウムがマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項26】
多孔度が相互連絡する、請求項25に記載の骨移植片材料。
【請求項27】
リン酸カルシウムがβ‐リン三酸カルシウムである、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項28】
コラーゲンがI型コラーゲンである、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項29】
骨移植片が約70%より大きい総多孔度を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項30】
骨移植片が約80%より大きい総多孔度を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項31】
生体活性ガラスがアルカリ‐含有ガラスセラミックである、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項32】
生体活性ガラスが不規則な形態とコンベアイト微結晶領域を有する不均質な粒子を含む組成物である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項33】
生体活性ガラスが容積で約5〜50%のコンベアイト微結晶領域を含む、請求項32に記載の骨移植片材料。
【請求項34】
生体活性ガラスがカルシウム‐リン‐ナトリウム‐ケイ酸材料を含む組成物である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項35】
生体活性ガラスがカルシウム‐リン‐ケイ酸材料を含む組成物である、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項36】
円柱、ブロック、または円盤型を有する、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項37】
金属メッシュをさらに含む、請求項1に記載の骨移植片材料。
【請求項38】
金属メッシュがチタン、ステンレススチール、ニチノール、複合ポリマー、またはポリエーテルエーテルケトンを含む、請求項37に記載の骨移植片材料。
【請求項39】
マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する再吸収性リン酸カルシウム;再吸収性コラーゲン;および再吸収性生体活性ガラスを含む、生体適合性骨移植片材料。
【請求項40】
少なくとも約70%の総多孔度を有する、請求項39に記載の骨移植片材料。
【請求項41】
マクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有するリン酸カルシウム;再吸収性コラーゲン;および再吸収性生体活性ガラスからなる、生体適合性、再吸収性で、実質的に均質なブレンドを含む、複合生体適合性骨移植片材料。
【請求項42】
メッシュをさらに含む、請求項41に記載の骨移植片。
【請求項43】
メッシュがスリーブの表面に張られた、請求項42に記載の骨移植片。
【請求項44】
メッシュが移植片に浸漬された、請求項43に記載の骨移植片。
【請求項45】
メッシュがチタン、ステンレススチール、ニチノール、複合ポリマー、またはポリエーテルエーテルケトンを含む、請求項43に記載の骨移植片材料。
【請求項46】
回復することになる骨空間に到達すること;ならびに再吸収性リン酸カルシウム、再吸収性コラーゲン、および再吸収性生体活性ガラスを含む生体適合性骨移植片材料を該骨空間に配置することを含む、哺乳動物において骨を回復させるか、または修復するための方法。
【請求項47】
骨部位における配置前に骨移植片が濡らされる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
濡らされた骨移植片が柔軟性、成型可能、または流動性である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
生体活性ガラスが<150μmの粒子サイズを有する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
再吸収性コラーゲン、再吸収性リン酸カルシウムを含む骨移植片;および容器1杯の生体活性ガラスを含むキット。
【請求項51】
生体活性ガラスがコンベアイトガラス‐セラミック、45S5ガラス、45S5ガラス‐セラミック、58S5ガラス、S53P4ガラス、アパタイト‐ワラストナイトガラス、またはアパタイト‐ワラストナイトガラス‐セラミックを含む、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
生体活性ガラスが150μm未満の粒子サイズを有する、請求項50に記載のキット。
【請求項53】
生体活性ガラスが単位用量で提供される、請求項50に記載のキット。
【請求項54】
生体活性ガラスがコンベアイトを含む、請求項50に記載のキット。
【請求項55】
骨移植片がマクロ‐、メソ‐、およびミクロ多孔度を有する、請求項50に記載のキット。
【請求項56】
リン酸カルシウムがベータ‐TCPである、請求項50に記載のキット。
【請求項57】
骨移植片が濡れた時に柔軟性、成型可能、または流動性である、請求項50に記載のキット。
【請求項58】
哺乳動物において骨を回復させるか、または修復するための方法であって:
再吸収性リン酸カルシウム、および再吸収性コラーゲンを含む生体適合性骨移植片材料を提供すること;
生物学的適合性流体で骨移植片材料を濡らすこと;
骨移植片材料に再吸収性生体活性ガラスを取り込ませること;および
骨空間に骨移植片を配置することを含む、方法。
【請求項59】
生体活性ガラスがコンベアイトガラス‐セラミック、45S5ガラス、45S5ガラス‐セラミック、58S5ガラス、S53P4ガラス、アパタイト‐ワラストナイトガラス、またはアパタイト‐ワラストナイトガラス‐セラミックを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
生物学的適合性流体が骨髄吸引物である、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
コラーゲンを含む組成物の再吸収能を増す方法であって:
増大した再吸収能をもたらすために、コラーゲンに近いpHを上げるために十分な1以上の特徴に対して予め選択されている材料を提供すること;
および、
該材料とコラーゲンを接触させることを含む、方法。
【請求項62】
前記特徴が粒子サイズを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記特徴が粒子表面部分を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記特徴が量を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
材料が生体活性ガラスである、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
生体活性ガラスがコンベアイトガラス‐セラミック、45S5ガラス、45S5ガラス‐セラミック、58S5ガラス、S53P4ガラス、アパタイト‐ワラストナイトガラス、またはアパタイト‐ワラストナイトガラス‐セラミックを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
生体活性ガラスが約150μm未満の粒子サイズを有する、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
材料が骨移植片材料である、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
材料が再吸収性リン酸カルシウムをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30A】
【図30B】
【図31A】
【図31B】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【公表番号】特表2009−542347(P2009−542347A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518354(P2009−518354)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/015424
【国際公開番号】WO2008/002682
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(501129169)オーソヴィータ・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/015424
【国際公開番号】WO2008/002682
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(501129169)オーソヴィータ・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】
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