説明

生体装着型データ通信装置

【課題】生体装着型データ通信装置の消費電力を抑え、電源の消耗を抑える。
【解決手段】生体装着型データ通信装置100は、生体を媒介として外部装置との間で通信を行う通信部12と、通信部12を介して外部装置との間でデータを送受信するデータ処理部13と、データ通信装置100が生体に装着されているか否かを判別する、心拍センサ等の装着検出部14と、電源部15と、を備える。電源部15は、装着検出部14が生体に装着されていることを検出した場合には、通信部12とデータ処理部13に動作電力を供給し、生体に装着されてないことを検出した場合には、これらへの電力の供給を停止又は抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に装着され、生体を伝達媒体として外部装置と通信を行う生体装着型データ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信装置間で、人体等の生体を伝達媒体としてデータ通信を行う生体装着型データ通信装置が知られている。例えば、特許文献1は、ユーザがトイレを使用した際に、ユーザの体を介して信号を送信する生体装着型データ通信装置を開示する。
【0003】
従来の生体装着型データ通信装置は、生体に装着されるという特性上、動作電源としてバッテリを備え、バッテリから供給される電気エネルギーを用いて、データを収集及び加工し、データ通信を行っている。
【0004】
係る生体装着型データ通信装置でバッテリが消耗すると、装置が停止してしまい、データオン欠損が生じ、バッテリの交換が必要となる。このため、バッテリの寿命が長く、交換は最低限であることが望ましい。バッテリの使用期限を長くするため、バッテリの容量を大きくすることも可能であるが、バッテリのサイズ・重量が大型化し、生体装着型データ通信装置自体も大きくなってしまい、生体に装着されるという特性上、望ましくない。
【0005】
このため、バッテリの容量を抑えつつ、バッテリの寿命を長くする技術が望まれている。
【0006】
一方、省エネルギーのために、使用環境を判別し、使用環境に応じて不必要な電力の供給を停止する技術も提案されている。例えば、特許文献2には、使用者が居眠り状態にあることを検出し、居眠り状態にあるときに、不必要な電源を自動的に切るようにした居眠り検知装置が開示されている。
【0007】
しかし、この居眠り検知装置は、外部装置をオン・オフするにすぎず、バッテリで動作している自身の消費電力を抑えるための技術を何ら開示していない。このため、この技術を生体装着型のデータ通信装置の省電力化のために使用することは困難であり、実効性がない。
【特許文献1】特開2002−259569号公報
【特許文献2】特開平4−9140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、生体装着型データ通信装置のバッテリの長寿命化を目的とする。
また、本発明は、生体装着型データ通信装置を省電力化することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためこの発明の生体装着型データ通信装置は、
生体に装着され、生体を伝達媒体として外部装置と通信を行う生体装着型データ通信装置であって、
生体を媒介として通信を行う通信部と、
前記通信部を介して外部装置との間でデータ通信を行うデータ処理部と、
このデータ通信装置が生体に装着されているか否かを判別する装着判別手段と、
電源部と、
を備え、
前記電源部は、
前記装着判別手段が生体に装着されていることを検出した場合には、前記通信部、前記データ処理部、及び前記装着判別手段に動作電力を供給し、
前記装着判別手段が生体に装着されてないことを検出した場合には、少なくとも前記通信部への電力の供給を停止又は抑制する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、生体装着型データ通信装置が生体に装着されてないことを検出した場合には、前記通信部への電力の供給を停止又は抑制する。従って、電力の消費を抑え、電池の長寿命化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の一実施例に係る生体装着型データ通信装置について図面を参照して説明する。
【0012】
この実施の形態の生体装着型データ通信装置100は、人間などの生体に装着されて、装着されている生体を伝達媒体として外部装置と通信を行うデータ通信装置である。この生体装着型データ通信装置100は、図1に示すように通信部12と、データ処理部13と、装着検出部14と、電源部15と、から構成されている。
【0013】
通信部12は、例えば、絶縁体を介して生体に電気的に接続される送受信電極を備え、生態を伝送媒体として外部装置、例えば、トイレに設置された通信装置との間で、データ通信を行う。
【0014】
通信部12は、例えば、データ処理部13から供給される送信対象のベースバンド信号で搬送波を変調して送信信号を生成し、生成した送信信号を送受信電極を介して、生体を伝送媒体として外部装置に送信する。また、通信部12は、例えば、外部装置から生体を伝達されて来た信号を送受信電極を介して受信し、これを復調してベースバンド信号を再生し、データ処理部13に供給する。
【0015】
データ処理部13は、プロセッサ、内部メモリ等を備え、種々のデータ処理を行う。例えば、データ処理部13は、図示せぬセンサ等により各種データを収集し、収集したデータを処理し、外部装置に送信すべきデータを生成すると、これを通信部12に提供する。また、データ処理部13は、通信部12から、外部装置からの受信データを提供されると、これを処理する。
【0016】
装着検出部14は、生体装着型データ通信装置100が生体に装着されていること、即ち、生体装着型データ通信装置100が有意な状態にあることを検出し、検出信号を電源部15に供給する。装着検出部14は、例えば、心拍センサから構成され、心拍を検出したときに、検出信号を出力する。
【0017】
電源部15は、バッテリを備え、バッテリに蓄積されている電力を上述の各部に供給する。ここで、電源部15は、生体装着型データ通信装置100が生体に装着されているとき、即ち、装着検出部14から検出信号が出力されているときには、通信部12とデータ処理部13と装着検出部14の全てに電力を供給し、検出信号が出力されていないときには、装着検出部14に電力を供給し、通信部12とデータ処理部13とへの電力の供給を停止する。
【0018】
次に、上記構成の生体装着型データ通信装置100の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0019】
電源部15は、動作を開始すると、まず、装着検出部14に動作電力を供給し、通信部12とデータ処理部13への電力の供給は行わない(ステップS11)。このため、生体装着型データ通信装置100が動作を開始し、生体装着型データ処理装置100が生体に装着されたか否かの検出を開始する。装着検出部14は、当初は、非装着であることを検出し、検出信号を出力しない状態を維持する。この間、通信部12とデータ処理部13とは動作せず、電力を消費しない。
【0020】
続いて、電源部15は、装着検出部14が検出信号を出力しているか否か、即ち、生体装着型データ通信装置100が装着されたか否かを判別する(ステップS12)。
【0021】
生体装着型データ通信装置100が生体に装着されると、装着検出部14は生体に装着したことを検出し、検出信号を出力する。検出信号に応答し、電源部15は、ステップS12でYesと判別し、通信部12とデータ処理部13とに電力の供給を開始すると共に装着検出部14への電力の供給を継続する(ステップS13)。
【0022】
これにより、通信部12とデータ処理部13とが動作を開始する。以後、データ処理部13は、データ処理を実行する。例えば、データ処理部13は、図示せぬセンサ等からデータ、例えば、生体情報を収集し、内部メモリに蓄積する。
【0023】
一方、通信部12は、外部装置との間で、送受信電極及び生体を介して通信が可能であるか否かを間欠的に判別する。
【0024】
生体装着型データ通信装置100を装着した生体が、例えば、通信機能を備える外部装置に直接触れたり、外部装置との通信機能を有する便器で小用すると、外部装置と通信部12とが電気的に接続される。すると、通信部12と外部装置とは、それぞれ、両者の間での通信が可能となったことを判別する。
【0025】
通信部12は、外部装置との通信が可能となると、その旨をデータ処理部13に通知する。
【0026】
データ処理部13は、通知に応答し、内部メモリに蓄積しておいたデータを通信部12を介して、生体を伝送媒体として外部装置に供給する。また、データ処理部13は、外部装置が送信したデータを通信部12を介して受信し、内部メモリに格納する。
電源部15は、生体装着型データ通信装置100が生体に取り付けられている間、ステップS12とS13を繰り返す。
【0027】
生体装着型データ通信装置100が生体から取り外されると、装着検出部14が検出信号を出力しなくなり、ステップS12でNoと判別され、フローはステップS11に進み、電源部15は、通信部12とデータ処理部13への電力の供給を停止し、装着検出部14に電力の供給を継続する。
【0028】
このような構成によれば、生体装着型データ通信装置100が生体に装着されるまでは、電源部15からの電力は装着検出部14で消費されるのみであり、電源部15が備えるバッテリの消耗を抑えることができる。従って、バッテリの寿命を延ばし、交換頻度を抑えることができる。また、生体装着型データ通信装置100が生体に装着されると、電源部15からの電力が、通信部12、データ処理部13、及び、装着検出部14に供給され、データ処理及び通信を正常に実行することができる。
【0029】
上記実施の形態では、生体装着型データ通信装置100が生体に装着されたか否かを検出するため、装着検出部14に電力が常時供給されている。装着検出部14を、外部からの電力の供給が不要なタイプとすることにより、電源部15から装着検出部14への電力の供給を停止し、消費電力をより抑制することが可能となる。
【0030】
(第2の実施の形態)
以下、より詳細な第2の実施の形態に係る人体装着タグ200について説明する。
人体装着タグ200は、人体に装着される小型携帯型の装置であり、心拍センサを内蔵し、心拍センサの検出データ(ユーザの心拍数)を記憶し、記憶したデータを、人体を伝達媒体として外部装置に送信する。
【0031】
人体装着タグ200は、図3に示すように、電力供給部21と、データ格納部22と、制御部23と、送受信回路24と、送受信電極25と、絶縁体26と、心拍センサ27と、ケース28と、から構成されている。
【0032】
電力供給部21は、電池21aと、レギュレータ21b、電源コントローラ21c等を内蔵し、電池21aに蓄積された電力を、レギュレータ21bで各部の動作用の電圧に変換し、各部に供給する。電源コントローラ21cは、電源制御用プロセッサ等から構成され、心拍センサ27から供給される検出信号に応答して、レギュレータ21bの電力供給動作を制御する。
【0033】
データ格納部22は、RAM (Random Access Memory)、ROM (Read Only Memory)等から構成され、制御部23の動作プログラムや制御データを記憶する。また、データ格納部22は、心拍センサ27の計測した心拍数を記憶する。
【0034】
制御部23は、プロセッサ等から構成され、データ格納部22に記憶されているプログラムに従って動作し、心拍センサ27が検出した心拍数を示すデータを、例えば、その時刻と対応付けてデータ格納部22に記憶させる。また、制御部23は、データ送信時に、データ格納部22に一旦格納した心拍データを符号化してベースバンド信号を生成し、送受信回路24に供給する。
また、制御部23は、外部装置から人体を介して供給されたデータを送受信電極25及び送受信回路24を介して受信し、処理する。
【0035】
送受信回路24は、制御部23から供給された送信対象のベースバンド信号で搬送波を変調し、変調信号を増幅して送受信電極25に供給する。また、送受信回路24は、送受信電極25を介して外部装置からの信号を受信し、これを復調してベースバンド信号を再生し、制御部23に供給する。
【0036】
送受信電極25は、絶縁体(誘電体)26を介して人体に装着(接触)させるための電極であり、人体との間で静電結合し、信号(交流信号)を人体に送信し、また、人体から交流信号を受信し、送受信回路24に供給する。
【0037】
絶縁体26は、送受信電極25が人体に直接触れる(ショートする)ことがないように、送受信電極25を被覆して絶縁すると共に送受信電極25と人体とを容量結合する。
【0038】
心拍センサ27は、この人体装着タグ200が人体に装着されたことを検出するためのものであり、心拍を検出すると、検出信号と検出した心拍数を示すデータを制御部23に供給する。
【0039】
次に、上記構成を有す人体装着タグ200の動作を、図4のフローチャートを参照して説明する。
初期状態においては、制御部23は、待機モードにあり(ステップS21)、電源コントローラ21cに、待機モードを指示する。この指示に応答して、電源コントローラ21cは、レギュレータ21bを制御し、制御部23に待機モード(スリープモード)用の低電圧の動作電圧VLを供給し、データ格納部22には、記憶データを維持できる(新たなデータの記憶は困難)程度の待機電圧を印加し、心拍センサ27には、心拍の検出が可能な通常動作用の電圧を印加する。また、送受信回路24には、電力の供給を行わない。
制御部23は、続いて、心拍センサ27が心拍を検出したか否かを判別する(ステップS22)。当初は、人体装着タグ200は、人体に装着されていないため、心拍センサ200は心拍を検出しない。従って、電源コントローラ21cは、ステップS22で、Noと判別し、ステップS21とS22を繰り返す。
【0040】
人体装着タグ200が人体に装着されると、心拍センサ27は、心拍数を計測し、検出信号とカウント数とを制御部23に供給する。制御部23は、検出信号に応答して、ステップS22で、Yesと判別し、待機モードから通常モードへの移行を電源コントローラ21cに指示する(ステップS23)。
【0041】
この指示に応答して、電源コントローラ21cは、レギュレータ21bを制御し、制御部23に通常動作用の高電圧(VLよりも高い)の動作電圧VHを供給し、データ格納部22には、新たなデータの記憶や既存記憶の更新が可能な程度の通常動作電圧を印加し、心拍センサ27には、心拍の検出が可能な通常動作用の電圧を印加し、送受信回路24には、データの送受信が可能な動作電圧を供給させる。
【0042】
以後、制御部23は、心拍センサ27の検出した心拍数を周期的にデータ格納部22に蓄積する。また、制御部23は、送受信回路24を介したデータ転送を行う信号経路が確立されるのを待機する。
【0043】
人体装着タグ200と外部装置との間にて人体を伝達媒体とした信号経路が確立されると、送受信回路24は、これを検出し、制御部23に通知する。制御部23は、データ格納部22に蓄積されたデータを読み出し、符号化してベースバンド信号を生成し、送受信回路24に供給する。送受信回路24は供給されたベースバンド信号で搬送波を変調して送信信号を生成し、これを増幅して送受信電極25に供給する。
【0044】
送受信電極25は、供給された送信信号を静電結合により、人体に供給し、人体を媒体として送信先の外部装置に伝達する。
【0045】
制御部23は、心拍センサ27が検出信号を出力し続けているあいだ(人体装着タグ200が人体に装着されている間)、ステップS22とS23の処理を繰り返す。
【0046】
人体装着タグ200が、人体から取り外されると、心拍センサ27は、心拍を検出できなくなり、検出信号の出力を停止する。制御部23はこれを検出し(ステップS22;No)、待機モードに移行する(ステップS21)。
【0047】
待機モードに切り替わったことにより、制御部23は、電力供給部21の電源コントローラ21cに待機モードへの切り替えを指示する。この指示に応答して、電源コントローラ21cは、レギュレータ21bを制御し、初期状態と同様に、制御部23に待機モード用の低電圧の動作電圧VLを供給し、データ格納部22には、記憶データを維持できる程度の待機電圧を印加し、心拍センサ27には、心拍の検出が可能な通常動作用の電圧を印加し、送受信回路24への電力の供給を停止する。
【0048】
以後、同様の電源制御処理を繰り返す。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の人体装着タグ200は、心拍センサ27により人体への装着の有無を監視し、人体との装着状況により電源制御を行い、利用者が人体装着タグ200を装着していないときに、動作不要である各部への電力供給を停止させ、あるいは、その機能を抑える低電圧・小電力の供給とする。これにより、人体装着タグ200の消費電力を低減し、電池21aの消耗を低減することができる。
【0050】
第2の実施の形態において、心拍センサ27は、例えば、図5に示すように、薄板状の永久磁石121と、永久磁石121を支持する複数の弾性体122、例えば、バネから構成される。永久磁石121は、樹脂基板等の基板123に形成された開口124内に支持される。
【0051】
基板123の開口124の周囲には、コイル状にアンテナ125が形成され、アンテナ125には、共振回路126と整流・平滑化回路127が接続されている。整流・平滑化回路127の出力が検出信号として、データ格納部22〜送受信電極25が形成された回路ブロック128に供給される。
【0052】
永久磁石121の重量と、弾性部材122の弾性定数、個数、配置は、この人体装着タグ200を胸部に貼り付けた場合に、永久磁石122が人間の心拍による体表面の振動や、呼吸による振動に共振するように、共振周波数が50Hz〜80Hz程度となるように設定される。また、共振回路126は、共振周波数が50Hz〜80Hz程度となるように設定されている。
【0053】
次に、このような構成の心拍センサ27を備える人体装着タグ200の動作について説明する。
人体装着タグ200が人体に非装着の状態では、永久磁石121は振動せず、アンテナ125の出力信号はほぼ0Vである。このため、整流・平滑化回路127の出力も0vであり、検出信号は出力されない。
一方、人体装着タグ200が人間の胸部等に装着された状態では、心拍或いは呼吸による体表面の振動に永久磁石121が共振し、永久磁石121は比較的大きく振動する。このため、永久磁石121からの磁束をアンテナ125が横切ることになり、アンテナ125に誘導起電力が発生する。この誘導起電力の周波数は、共振回路126の共振周波数にほぼ等しく、共振回路126は、心拍による信号を増幅し、ノイズ周波数を減衰して出力する。整流・平滑化回路127は、共振回路126の出力する交流信号を整流及び平滑化して回路ブロック128内の制御部に供給する。
【0054】
この構成によれば、心拍センサ27は、電力の供給を受けずに、装着の有無に応じた検出信号を出力することが可能である。従って、非装着時の消費電力をさらに抑えることができる。
なお、この発明は、上記実施例に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0055】
例えば、上記実施の形態においては、人体装着タグ200の人体への装着状態を検出するために心拍センサ27を使用したが、他の人体装着センサ31を使用することも可能である。例えば、図6に示すように、心拍センサ27の代わりに加速度センサ31を配置し、人体と装着する際の加速度を検出し、加速度に応じて電力供給の制御を行うようにしてもよい。また、心拍センサ27の代わりに熱センサあるいは温度センサ31を配置し、人体からの熱あるいは体温を検出し、検出結果から電力供給の制御を行うようにしてもよい。
【0056】
上記実施の形態においては、制御部23が装着検出部(心拍センサ等)14の出力する検出信号に応答して、電源コントローラ21cに指示して電力の供給状態を制御した。これに限定されず、例えば、図7に示すように、電源コントローラ21cを除去し、制御部23がレギュレータ21bを直接制御するようにしてもよい。
【0057】
また、装着検出部(心拍センサ等)14の出力する検出信号を電源コントローラ21cに供給し、電源コントローラ21cが、制御部23とは独立して、レギュレータ21bの動作を制御するようにしてもよい。なお、動作の手順等は、図2,図4に示す手順と同一である。
【0058】
次に、上記構成の人体装着タグ200の使用例について説明する。
(第1の使用例)
データ格納部22にユーザID(識別情報)を予め登録しておく。
一方、コンピュータ300に接続されたマウス301上には、ユーザが無意識に触れる電極302が配置されている。電極302は、通信線303を介してI/O装置(入出力装置)311に接続されている。I/O装置311は、人体装着タグ200の送受信回路24とシリアル通信を行う機能を備える。プロセッサ312は、I/O装置311を介して人体装着タグ200と通信を行うと共に通信部313を介してネットワーク400上の装置との通信も可能である。
【0059】
人体装着タグ200を装着したユーザがコンピュータ300のマウス301を操作すると、ユーザは無意識に電極302に触れ、送受信回路24とコンピュータ300のI/O装置311との間が、送受信電極25、人体、電極302、ケーブル303で接続される。
【0060】
これにより、コンピュータ300内のプロセッサ312と人体装着タグ200内の制御部23との間の通信が可能となり、制御部23は、送受信回路24及び送受信電極25を介して、人体を媒介として、データ格納部22に格納されているユーザIDをプロセッサ312に送信する。プロセッサ312は、供給されたユーザIDに基づいてユーザ認証を行う。プロセッサ312は、認証に失敗した場合、以後の、操作を無視する。
【0061】
コンピュータ300内のメモリ314には、ユーザIDとユーザIDで特定されるユーザにアクセスが認められているデータ或いはファイルの対応表が格納されている。この対応表は、外部からのアクセスが禁止されている記憶エリアに格納されている。
【0062】
認証に成功した場合には、プロセッサ312は、そのIDをキーとして対応表を参照し、アクセスが認められているデータやファイルを判別し、メモリ314に格納されているデータやファイルのうち、当該ユーザにアクセス権が与えられているものへのアクセスを許容する。
【0063】
一方で、人体装着タグ200は、ユーザの生体データ、例えば、心拍数、心電図、体温、血圧などのデータを常時収集し、データ格納部22に蓄積している。そして、コンピュータ300と接続された時点で、コンピュータ300にこれらのデータを送信すると共に処理コマンドを送信する。この処理コマンドに応答して、プロセッサ312は、受信した生体データを処理する。
【0064】
例えば、プロセッサ312は、受信した生体データをメモリ314に格納し、生体データの履歴を求め、履歴情報を表示部315に表示し、また、履歴から変動・変調を検出した場合には、表示部315に変動が発生したことを報知する。或いは、プロセッサ312は、通信部313とネットワーク400を介して、専門のサイト(ASP(Application Service Provider))のサーバにデータを提供し、該サーバから診断データを受信して、表示部315に表示する。
【0065】
(第2の使用例)
ユーザIDとこのユーザ用の設定情報を対応付けてデータ格納部22に予め格納しておき、ユーザがコンピュータ300に触れた時に、新規ユーザであるか否かを判別し、新規ユーザであると判別した場合に、データ格納部22から設定情報を読み出して、コンピュータ300に設定し、コンピュータを使い易くするように使用することも可能である。
【0066】
例えば、この場合、ユーザ認証に成功すると、コンピュータ300のプロセッサ312は、自装置の設定情報(各種設定パラメータ)を読み出して、制御部23に送信する。制御部23は、受信した設定情報をデータ格納部22にセーブする。
【0067】
続いて、制御部23は、データ格納部22に格納されている設定情報、即ち、このユーザの好みに合致した設定情報をプロセッサ312に送信する。プロセッサ312は通知された設定情報に従ってコンピュータ300を設定し直す。以後、ユーザは、通常使用している設定状態でコンピュータ300を使用することができる。
【0068】
ユーザがコンピュータ300の使用を終了する場合、ユーザは「終了」をプロセッサ312に指示する。この指示に応答して、プロセッサ312は、制御部23に、セーブしていた設定情報の送信を要求する。制御部23は、要求に応答して、データ格納部22からセーブしていた設定情報を読み出し、プロセッサ312に送信する。プロセッサ312は、受信した設定情報に従って、コンピュータ300を設定し直す。これにより、コンピュータ300は元の設定状態に復帰する。
【0069】
(第3の使用例)
ユーザがコンピュータ300によるデータ処理を終了した際に、データ処理の結果等をデータ格納部22に格納し、コンピュータ300を次回アクセスした際に、人体装着タグ200からコンピュータ300に前回までのデータを提供し、プロセッサ312が後続のデータ処理を行うようにしてもよい。
【0070】
この場合、例えば、人体装着タグ200のデータ格納部23には、ユーザIDと「データ処理の結果」とが格納される。
人体装着タグ200を装着したユーザがコンピュータ300のマウス301を操作すると、ユーザは電極302に触れ、送受信回路24とコンピュータ300との間でのデータ通信が可能となる。
【0071】
制御部23は、データ格納部22に格納されているユーザIDをプロセッサ312に送信する。プロセッサ312は、供給されたユーザIDに基づいてユーザ認証を行う。プロセッサ312は、認証に成功すると、その旨を制御部23に通知する。この通知に応答して、制御部23は、データ格納部22に格納されている「データ処理の結果」をプロセッサ312に送信する。プロセッサ312は、受信した「データ処理の結果」に基づいて、後続するデータ処理を行う。
【0072】
プロセッサ312は、プログラムが所定のチェックポイントに到達又は所定の処理を終了する際に、データ処理の結果を制御部23に送信する。制御部23は、受信したデータ処理の結果を、データ格納部22に格納する。
【0073】
データ処理の内容は任意である。例えば、データ処理の一例としてゲーム(コンピュータゲーム)を利用可能である。
この場合、データ格納部22には、例えば、ステータス(レポート)情報、ゲームの進度(例えば、どのステージまでゲームが進んだかを示す情報)、ゲームの場面を設定する情報(例えば、登場人物、プレーヤが獲得したポイント、アイテム等の種々のパラメータ情報)が格納される。
【0074】
人体装着タグ200を装着したプレーヤがマウス301を操作すると、送受信回路24とコンピュータ300との間で通信が可能となり、制御部23は、データ格納部22に格納されているユーザIDをプロセッサ312に送信する。プロセッサ312は、供給されたユーザIDに基づいてユーザ認証を行う。プロセッサ312は、認証に成功した場合には、その旨を制御部23に通知する。制御部23は、データ格納部22から、ステータス情報を読み出し、プロセッサ312に送信する。
【0075】
プロセッサ312は、受信したステータス情報に基づいて、ゲームを継続する(ステータス情報に基づいてゲームの場面を再構築し、以後、ゲームを継続する)。
【0076】
ゲームが進行し、所定の進度、例えば、所定のセーブポイントに到達すると、プロセッサ312は、その時点での、ゲームのステータス情報を制御部23に伝達する。プロセッサ312は、受信したステータス情報をデータ格納部22に上書き保存する。
【0077】
このようなセーブ方法により、ステータス情報が人体装着タグ200に自動的に保存され、また、コンピュータ300に自動的に提供される。従って、利用者は、煩雑なセーブ動作を行わなくてもゲームを楽しむことができる。
【0078】
なお、複数のゲームのステータスをデータ格納部22に格納しておくことも可能である。この場合、プロセッサ312は、ゲームの進行上、必要が生ずると、制御部23に実行中のゲームのゲームIDを通知する。制御部23は、通知されたゲームIDに対応するステータス情報をデータ格納部22から読み出して、プロセッサ312に供給する。ゲームが進行し、所定の進度、例えば、所定のセーブポイントに到達すると、プロセッサ312は、実行中のゲームのゲームIDとゲームのステータス情報を制御部23に伝達する。制御部23は、受信したステータス情報をデータ格納部22に保存する。
【0079】
また、遊技媒体を使用するようなゲームなどにおいて、保有している遊技媒体の数を格納する媒体として人体装着タグ200を使用可能である。
【0080】
この場合、例えば、遊技媒体貸出機(コンピュータ300)に現金を投入すると、プロセッサ312は、投入金額に対応する数の遊技媒体の数を示すデータを制御部23に通知する。制御部23は、通知された数を示すデータをデータ格納部22に格納する。なお、データ格納部22に既に遊技媒体数が格納されている場合には、追加数との合計数に置換してもよい。
【0081】
ユーザが、遊技機(コンピュータ300)で遊技を行う場合、制御部23は、データ格納部22に格納しているデータが示す遊技媒体数を遊技機に通知する。制御部23は、データ格納部22に格納されている遊技媒体数まで遊技媒体の払い出し(貸し出し)を認める。遊技機が遊技媒体を払い出すと、プロセッサ312はその数を制御部23に通知し、制御部23は、その数分だけ、データ格納部22に格納されている遊技媒体数を減らすように更新する。
【0082】
ユーザが、遊技機又は精算機(コンピュータ300)に、貯玉を指示すると、遊技媒体の数がカウントされ、カウント値が制御部23に通知される。制御部23は、通知された遊技媒体数を、データ格納部22に格納されている遊技媒体数に加算する。
【0083】
(第4の使用例)
ユーザがコンピュータ300によるデータ処理を終了した際に、データ処理の結果等をネットワーク400上の任意の記憶装置に格納して、データ格納部22に、記憶装置のアドレスと認証情報を格納しておき、コンピュータ300に次回アクセスした際に、人体装着タグ200からコンピュータ300にアドレスと認証情報を提供して、プロセッサ312がそのデータを外部記憶装置から読み出し、後続のデータ処理を行うようにしてもよい。このような構成によれば、任意のコンピュータ300で継続したデータ処理が可能となる。
【0084】
(第5の使用例)
コンピュータ300によるデータ処理の結果等をネットワーク400上の記憶装置に格納し、データ格納部22に、記憶位置のアドレスと認証情報を格納しておき、次回任意のコンピュータにアクセスした際に、人体装着タグ200からコンピュータにアドレスと認証情報を提供し、コンピュータが提供された情報に基づいて記憶装置からデータを読み出し、後続のデータ処理を行うようにしてもよい。このような構成によれば、任意のコンピュータで継続したデータ処理が可能となる。
その他、生体装着型データ通信装置は任意の場面に応用可能である。
【0085】
なお、生体装着型データ通信装置が収集・送信するデータの種類や、フォーマットは任意である。また、人体に限らず、生体を介してデータを送信するデータ送受信装置に本発明を広く適用可能である。
【0086】
上記実施の形態では、送受信電極25が絶縁体26を介して静電(容量)結合で人体と接触する例を示したが、送受信電極25が人体に直接触れる等してもよく、送受信される信号の種類などに応じて、電極の形態を選択すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る生体装着型データ通信装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示す生体装着型データ通信装置の動作を説明するための図である。
【図3】この発明の第2の実施形態に係る人体装着タグの構成を示す図である。
【図4】図3に示す人体装着タグの電源モードの変化を説明するための図である。
【図5】心拍センサの構成例を示す図である。
【図6】この発明の他の実施形態に係る人体装着タグの構成を示す図である。
【図7】この発明の他の実施形態に係る人体装着タグの構成を示す図である。
【図8】この発明の実施形態に係る生体装着型データ通信装置と通信を行うコンピュータの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
12 通信部
13 データ処理部
14 装着検出部
15 電源部
21 電力供給部
21a 電池
21b レギュレータ
21c 電源コントローラ
22 データ格納部
23 制御部
24 送受信回路
25 送受信電極
26 絶縁体
27 心拍センサ
31 生体装着センサ(加速度センサ、熱センサ、温度センサ)
100 生体装着型データ通信装置
121 磁石
122 弾性部材(バネ)
123 基板
124 開口
125 アンテナ(コイル)
126 共振回路
127 整流・平滑化回路
128 回路ブロック
200 人体装着タグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に装着され、生体を伝達媒体として外部装置と通信を行う生体装着型データ通信装置であって、
生体を媒介として通信を行う通信部と、
前記通信部を介して外部装置との間でデータ通信を行うデータ処理部と、
このデータ通信装置が生体に装着されているか否かを判別する装着判別手段と、
電源部と、
を備え、
前記電源部は、
前記装着判別手段が生体に装着されていることを検出した場合には、前記通信部、前記データ処理部、及び前記装着判別手段に動作電力を供給し、
前記装着判別手段が生体に装着されてないことを検出した場合には、少なくとも前記通信部への電力の供給を停止又は抑制する、
ことを特徴とする生体装着型データ通信装置。
【請求項2】
前記装着判別手段は心拍センサから構成され、
前記電源部は、
前記心拍センサが生体の心拍を検出している時には、前記データ処理部及び前記通信部に電力を供給し、
前記心拍センサが生体の心拍を検出していない時には、少なくとも前記通信部への電力の供給を停止又は抑制する、
ことを特徴とする請求項1に記載の生体装着型データ通信装置。
【請求項3】
前記心拍センサは、
磁石と、
前記磁石が心拍による体表面の振動に共振するように支持する弾性部材と、
前記磁石の振動による磁界の変動により電磁誘導により発電するアンテナと、
前記アンテナの誘導起電力を出力する手段と、
から構成される、ことを特徴とする請求項2に記載の生体装着型データ通信装置。
【請求項4】
前記装着判別手段は、装着時の加速度を検出する加速度センサ、体温を検出する熱センサ又は温度センサから、構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の生体装着型データ通信装置。
【請求項5】
被装着者の生体情報を収集する生体情報収集手段を備え、
前記電源部は、前記装着判別手段が非装着を検出している間、前記生体情報収集手段への電力の供給を停止又は抑圧し、
前記通信手段は、前記生体情報収集手段により収集されたデータを外部装置に送信する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体装着型データ通信装置。
【請求項6】
コンピュータを、所定の設定状態に設定するための設定データと認証情報とを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記データ処理部は、外部装置であるコンピュータとの通信が可能となったときに、前記認証情報を該コンピュータに送信し、認証に成功したときに、前記コンピュータが送信してくる該コンピュータのその時点での設定状態を示す設定情報を前記記憶手段にセーブし、コンピュータからの処理終了の通知に応答して、セーブしておいた設定情報を、リストアのために、前記コンピュータに送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生体装着型データ通信装置。
【請求項7】
データ処理の処理結果と認証情報とを記憶する記憶部を更に備え、
前記データ処理手段は、外部装置であるコンピュータとの通信が可能となったときに、前記認証情報を該コンピュータに送信し、認証に成功したときに、前記データ処理の処理結果を後続処理のために送信し、コンピュータから、処理結果を受信したときに、最新の処理結果として前記記憶部に格納する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の生体装着型データ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−240730(P2009−240730A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94385(P2008−94385)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(390001395)NECシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】