説明

生分解性吸水性樹脂を主成分とする植物育成用保水材

【課題】 生分解性、発根率および保水性に優れる粒子状吸水材を提供する。
【解決手段】 カルシウム化合物を吸水性樹脂の固形分に対して5〜50質量%の範囲で含有する、修正MITI法による生分解率が10%以上の粒子状吸水材である。該カルシウム化合物が吸水性樹脂の表面近傍に存在するとカルシウム供給能に優れ、かつ吸水倍率を低下させることなく、優れた保水性を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発根率、保水性および生分解性に優れ、かつ植物の育成に必要なカルシウムを含む粒子状吸水材およびその製造方法並びに該粒子状吸水材を用いた植物育成用保水材に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化が問題にされている今日、屋上緑化、壁面緑化などの都市緑化計画が行われ、植物育成用材の開発が望まれている。特に、植物育成による癒し効果や、植栽の新鮮な酸素供給による大気浄化効果、農業の近代化による移植や定植作業の省力化の観点から、植物の生育に好適でかつ保水力に優れる保水材の開発が求められている。また、植物育成補助材としては、植物移植後に高分子成分が迅速に土壌中で分解し環境保全に適する材質として、生分解性材料が多用されている。
【0003】
このような生分解性の育苗用材料として、アスパラギン酸塩を含む重合体を混合した育苗用土壌組成物が開示されている(特許文献1)。該組成物は、架橋ポリアスパラギン酸を使用することで形状を維持させた点に特徴があり、その形状維持効果によって植物を移植する際にも根鉢部分が崩れることがなく移植作業が効率化でき、保水性および生分解性に優れ、かつ分解成分が発根促進作用を奏する、というものである。該組成物は、土壌と混合して使用したり、該組成物から種苗育成用成形物を得て、これに播種して植物を育成することもできる。実施例では、ポリアスパラギン酸塩架橋物を0.1%の濃度で混合した土壌を用いてトマトの育苗を行っている。
【0004】
また、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースなどのアニオン性水溶性高分子化合物とアルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属塩と水とを含有する植物育成用ゲル組成物も開示されている(特許文献2)。アニオン性水溶性高分子化合物は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属と架橋反応させることで分子内に水分子を保持したゲル状物質を形成し、かつ得られたゲル状物質が保水性、保型性に優れ、土壌中に配置された際に土壌中のバクテリアにより生分解し、ゲルの架橋構造が崩壊され、格子間に包含されていた水を長期間に亘って徐々に放出する、というものである。
【0005】
さらに、従来から衛生材料に多用されているポリアクリル酸系吸水性樹脂の保水性を利用して、緑化工法、節水栽培、砂地栽培の保水材として利用する技術もある(特許文献3)。カルシウムイオン吸収量が0〜100mg/g、塩素イオン含有量が0.07〜7mmol/gおよび所定の吸水倍率が1.0×10〜1.0×10倍のカルボキシル基を含むハイドロゲル形成性の高分子からなる植物保水用担体である。該保水用担体は、カルシウムイオンの吸着量を限定して植物のカルシウム欠乏を防止し、塩素イオンの配合によって該保水用担体による根からのカルシウムイオンの直接吸収を抑制し、これによって植物の発根阻害、根の伸長阻害を実質的に抑制する、というものである。なお、ポリアクリル酸系ハイドロゲルによって、発根および根の伸長阻害が生じること(非特許文献1)や、植物における発根や根生長にはカルシウムが必須であることは公知である(非特許文献2)。
【特許文献1】特開平8−337775号公報
【特許文献2】特開2000−166380号公報
【特許文献3】特開2000−139208号公報
【非特許文献1】川島和夫ら、高吸水性高分子物質の作物の初期生長へ及ぼす影響、砂丘研究、31(1)、1−8、1984年
【非特許文献2】高倉直、植物の生長と環境、農文協、162頁表5−2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
環境保全に対する関心の高まりから、土壌汚染が少なく、生分解性に優れる植物育成用材の開発が望まれ、加えて、新規植物育成用材と直接接触しても発芽、発根率に優れ、かつ保水力が高い植物育成材の開発が求められている。しかしながら、上記特許文献1記載の育苗用土壌組成物は、所定範囲で土壌に混合するものであるが、該育苗用土壌組成物と種子とを直接に接触させても、該育苗用土壌組成物中に根が張らず、いわゆる発根障害が発生する場合がある。また、特許文献2記載の植物育成用ゲル組成物は、アニオン性水溶性高分子化合物の中に均一に多価金属が分布するものであるが、吸水能力が低下するため頻回の吸水が必要となる場合があり、生分解性の点でも不十分である。また、特許文献3記載の植物保水用担体は、塩素イオンを含有するために製造装置に腐食が発生する場合があり、土壌への繰り返し散布によって土壌環境が悪化する場合がある。また、吸水性樹脂中にカルシウムが均一に含まれているため、吸水能力が低いと推定される。加えて、ポリアクリル酸は生分解性に劣る場合があり、土壌中への残留が問題となる場合がある。
【0007】
このように、環境保護の観点から保水性を有する生分解性材料の要請が高いが、該生分解性材料にはカルシウム捕獲能があるため植物育成に使用すると発芽率、発根率が低下する。このような生分解性材料にカルシウム含有溶液を含浸させると、吸水倍率が低下するため保水性の確保が困難となる。したがって、植物の発芽率、発根率が高く、実際に粒子状保水材中に根を張ることができ、かつ保水性に優れる粒子状保水材はいまだ存在しない。
【0008】
上記現状に鑑み、本発明は、保水性、生分解性に優れ、かつ発芽率、発根率に優れ、種子が直接接触しても植物育成効果に優れる粒子状保水材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、粒子状吸水材について詳細に検討した結果、特定のカルシウム化合物を吸水性樹脂の固形分に対して5〜50質量%の範囲で含有させると、植物の発根率を向上させることができ、特に、粒子状吸水材の表面近傍にのみカルシウム化合物を被覆させると、カルシウム化合物による吸水性樹脂の内部架橋の形成を抑制して吸水倍率の低下を防止でき、保水率を確保しつつ発芽率や発根率を向上させ、該粒子状吸水材を単独で使用した場合であっても該吸水材中に種子の根を張らせ得ることを見い出し、本発明を完成させた。このような粒子状保水材は、修正MITI法による生分解率が10%以上であると生分解性に優れる。該粒子状吸水材は、含水率が50質量%以下の該吸水性樹脂に、該吸水性樹脂の固形分に対して5〜50質量%のカルシウム化合物を混合する工程を含ませることで調製することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の粒子状吸収材は、植物の育成に必要なカルシウムを担持しているので植物生長に対する発根生長を促進し得る。また、該カルシウムの水に対する溶解度を調整することで長期間にわたって栄養塩を徐放し続けることができる。
【0011】
本発明の粒子状吸水材は、保水材としての吸水特性に優れ、土壌への高濃度の使用が可能なため土壌の総保水量を向上させることが可能となる。さらに該粒子状吸水材は、従来にない優れた吸水速度を有するため、土壌や砂漠、砂地において水の流出や蒸発等の散逸が少なく、例えば、砂漠や砂地においての緑化や農業用途において潅水効率が高いので、潅水頻度を極めて少なくすることができる。該粒子状保水材は、植物への水の供給源としての機能を発揮するとともに、良好な植物体の発育を促進し、土壌や砂地への適用による土壌改質および緑化促進、植物体を支持または担持することができる。したがって、田圃栽培、露地栽培、節水栽培、切花用支持体や水耕栽培、緑化工法等への保水用担体として使用した際に、吸水速度が速く取り扱いに優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第一は、吸水性樹脂とカルシウム化合物とを含む粒子状吸水材であって、該カルシウム化合物の含有量が該吸水性樹脂の固形分に対して5〜50質量%であり、修正MITI法による生分解率が10%以上である該粒子状吸水材である。
【0013】
本発明者らは、吸水性樹脂が植物生長阻害を引き起こす要因を詳細に検討した結果、植物は、発芽、発根の際にカルシウムの要求性が高いが、吸水性樹脂に種子を直播すると該樹脂に含まれるカルボン酸ナトリウム基等の酸基により、潅水中のカルシウムが捕獲され、植物によるカルシウムの利用率が制限されること、該吸水性樹脂は植物の発芽直後の根から、植物体に蓄えているカルシウムも捕獲するため、カルシウム不足によって発芽率、発根率が低下すること、および、発根した場合であっても吸水性樹脂中に根を張ることができず、植物体の水分摂取が不十分となり、さらに植物生長に必要なカルシウム不足を助長するために発芽、発根率を低下させることを見い出した。特に、吸水性樹脂がカルボキシル基の塩を含む場合にはカルシウムを捕獲しやすく発根障害を起こしやすい。しかしながら本発明では、吸水性樹脂の表面に特定量のカルシウムを含ませることで、吸水倍率や吸水速度といった吸水性能を低下させることなく植物体へのカルシウム元素の供給能力を向上させることができる。特に、生分解性に優れる吸水性樹脂としてポリアミノ酸やその架橋体があるが、これらに含まれるカルボキシル基の塩はカルシウムを捕獲しやすく発根障害を起こしやすい。しかしながら本発明では、吸水性樹脂の表面に特定のカルシウムを含ませることで、吸水倍率や吸水速度といった吸水性能を低下させることなく植物体へのカルシウム供給能力を向上させることができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
(1) 吸水性樹脂
本発明の吸水性樹脂とは、粒子状であって、ヒドロゲルを形成しうる水膨潤性水不溶性の架橋重合体のことであり、例えば、水膨潤性とはイオン交換水中において吸水倍率が、20〜1,000g/g、好ましくは50〜1,000g/g、より好ましくは100〜1,000g/gという多量の水を吸収するものを指し、水不溶性とは吸水性樹脂中の未架橋の水可溶性成分(水溶性高分子)が好ましくは50質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下、さらに特に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは7質量%以下のものを指す。水可溶性成分量が50質量%を越えると、溶出分による生長の阻害が生じ、植物育成効果が低減する場合がある。また、吸水によって形状維持効果が低減するため、種苗を樹脂中に定植できない場合がある。なお、吸水倍率および水可溶性成分の数値は、後記する実施例で規定する測定方法によるものとする。
【0015】
本発明の粒子状吸水材は、修正MITI法による生分解率が10%以上であり、原料として使用する吸水性樹脂は生分解性を有することが好ましい。一般には、本発明では該生分解性が10%以上、好ましくは10〜95%、より好ましくは15〜90%、特に好ましくは15〜80%である。該生分解性が10%を下回ると、得られる粒子状吸水材の該生分解性が10%未満となる場合がある。また、該生分解性が95%を超える場合は実使用時に分解速度が速すぎるので好ましくない。なお、本発明における修正MITI法による生分解率は、後記する実施例に記載する方法によって測定した数値とする。
【0016】
本発明で好適に使用できる吸水性樹脂としては、ポリアミノ酸の架橋体、多糖類の架橋体、ポリエステルの架橋体、ポリアセタールの架橋体、およびこれらの複合体からなる吸水性樹脂がある。好ましくは、ポリアミノ酸の架橋体、多糖類の架橋体、ポリアセタールの架橋体などからなる吸水性樹脂である。いずれも生分解性に優れ、該吸水材を植物育成用に使用した場合には分解物が植物育成の栄養源として使用できるからである。なお、本発明において、ポリアミノ酸の架橋体、多糖類の架橋体、ポリアセタールの架橋体には、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などの塩を含むものとする。また、アミノ酸にはアミノ酸の誘導体を含み、ポリアミノ酸にはアミノ酸誘導体の重合物やポリアミノ酸の誘導体、アミノ酸と他の成分との共重合体を含み、多糖類には糖類誘導体の重合物および多糖類の誘導体を含み、多糖類には糖類誘導体の重合物および多糖類誘導体を含むものとする。なお、上記本発明で好適に使用できる吸水性樹脂のうち、特に農園芸用途や緑化用途、植物育成用途として使用する場合には、ポリアミノ酸系架橋体が植物体の必須栄養素である窒素分を含んでいるため、発芽発根後の植物体の生長にとって好ましい。
【0017】
上記ポリアミノ酸は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体が脱水縮合したポリペプチドからなる。使用できるアミノ酸およびアミノ酸誘導体としては、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、プロリン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、セリン、シスチン、L−オルニチン、γ−アミノ酪酸、酸性アミノ酸のω−エステル、塩基性アミノ酸のN置換体などを挙げることができる。これらのアミノ酸およびその誘導体は、光学活性体(L体、D体)であってもラセミ体であってもよい。なお、アミノ酸の誘導体としては、これらに更にアミノ基、カルボキシル基、リン酸基、ニトロ基、水酸基、スルホン基、などの官能基、エステル結合、アミド結合、チオエステル結合、イミド結合やアミノ酸無水物等がある。前記アミノ酸のうち、アスパラギン酸、グルタミン酸等の分子内にカルボキシル基2個を有する酸性アミノ酸が、吸水性樹脂を製造したときの吸水倍率等の吸水性能に優れるために好ましい。これらアミノ酸やその誘導体は、単独で使用してもよく、また、二種類以上を適宜混合して使用してもよい。
【0018】
本発明で使用するポリアミノ酸としては、上記単量体成分に加えて、他の共重合体の単量体成分を結合したものであってもよい。そのような他の単量体成分としては、アミノカルボン酸、スクシンイミド、アミノスルホン酸、ヒドロキシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトスルホン酸、メルカプトホスホン酸等が挙げられる。さらに、多価アミン、多価アルコール、多価チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホスホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化合物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化合物、多価金属等も挙げられる。本発明では、ポリアスパラギン酸の架橋体、ポリグルタミン酸の架橋体を使用することが好ましい。
【0019】
一方、多糖類としては、セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヘミセルロース、デンプン、メチルデンプン、エチルデンプン、メチルエチルデンプン、寒天、カラギーナン、アルギン酸、ペクチン酸、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、コンニャクマンナン、デキストラン、ザンサンガム、プルラン、ゲランガム、キチン、キトサン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ヒアルロン酸等が挙げられる。また、多糖類として多糖類の誘導体を使用することもできる。このような多糖類の誘導体としては、上記の多糖類をカルボキシアルキル化、ヒドロキシアルキル化、した化合物がある。具体的には、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプングリコール酸、寒天誘導体、カラギーナン誘導体等が挙げられる。これら多糖類やその誘導体は、単独で使用してもよく、また、二種類以上を適宜混合して使用してもよい。本発明では、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルデンプン、および、これらの塩類が好ましい。尚、塩類としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。なお、上記多糖類のカルボキシアルキル化物のアルカリ金属塩類は、例えば、セルロースを含有する針葉樹パルプ等の木材パルプやリンターパルプ等を、含水親水性有機溶媒中でクロロ酢酸等のエーテル化剤、およびアルカリ金属水酸化物と反応させることにより得ることができる。上記カルボキシアルキル化物のアルカリ金属塩類のエーテル化度は、通常、0.2〜1.0の範囲内であり、好ましくは、0.3〜0.8の範囲内である。エーテル化度が0.2よりも低い場合には、所望の吸水倍率の吸水性樹脂が得られない場合がある。エーテル化度が1.0よりも高い場合には、得られる吸水性樹脂の生分解率が低下するため好ましくない。
【0020】
ポリアセタールは、アセタール結合を主鎖にする重合体であって、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類の重合体であり、α−ポリオキシメチレン、β−ポリオキシメチレン、γ−ポリオキシメチレン、δ−ポリオキシメチレン、ε−ポリオキシメチレン、ポリグリオキシル酸などがある。本発明では、ポリグリオキシル酸を好適に使用することができる。
【0021】
また、ポリエステルの架橋体としては、トリカルボン酸とジオールとの重合物などの架橋体を単独で使用することができるが、前記したポリアミノ酸、多糖類またはポリアセタールなどにポリエステルをグラフト共重合および架橋させ、吸水性樹脂として使用してもよい。
【0022】
上記吸水性樹脂の合成に際しては、例えば単量体となるアミノ酸やアミノ酸無水物等の誘導体に内部架橋剤を調整して架橋重合してもよく、また、ポリアミノ酸や多糖類、ポリアセタール等の吸水性樹脂の前駆体となる水溶性ポリマー(以下、単に前駆体ポリマーとも称する。)に内部架橋剤を調整し架橋することで製造することができる。このような内部架橋剤としては官能基と反応しうる基を2個以上有する親水性の化合物を広く使用することができ、より好ましくは水溶性の化合物である。例えば、吸水性樹脂を構成する単量体または前記前駆体ポリマーがカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を有する場合は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノ−ルアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、等の多価グリシジル化合物類;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N−ジエチレンウレア等の多価アジリジン類;エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物類;グルタルアルデヒド、グリオキサール等の多価アルデヒド類;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等の多価アミン類;2,4−トルイレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート類;塩化アルミニウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム等の多価金属塩類等を例示することができる。特に好ましくは多価グリシジル化合物、多価アミン類、多価金属塩類である。
【0023】
また、吸水性樹脂を構成する単量体または前記前駆体ポリマーが水酸基を有する場合は、マロニルジクロリド、こはく酸クロリド、グルタルジクロリド、塩化テレフタロイル等の酸塩化物類;グルタルアルデヒド、グリオキサール等の多価アルデヒド類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、等の多価グリシジル化合物類;二塩化エタン、テトラメチレンクロロブロマイド、ジブロモプロパン、ジブロモブタン等の多価ハロゲン化物類、エピクロルヒドリン、α−メチルクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物類を例示することができる。
【0024】
これらの内部架橋剤の使用量は、吸水性樹脂を構成する単量体または前記前駆体ポリマーに対して0.001〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜10質量%で用いる。この量が0.001質量%未満の場合には架橋が不十分で吸水倍率や水可溶性成分量が増加する場合がある。一方、10質量%を越えると、吸水倍率が低下する場合がある。
【0025】
なお、ポリアミノ酸の架橋体としては、例えば含まれるジスルフィド結合や、酸性アミノ酸や塩基性アミノ酸によるポリアミノ酸の自己架橋体であってもよい。また、ポリアミノ酸が糖類によって架橋されていてもよく、逆に多糖類がアミノ酸やポリアミノ酸を介して架橋されていてもよい。
【0026】
一方、本発明で使用するポリアミノ酸、多糖類、ポリアセタールとしては、上記内部架橋を有する架橋体の表面に表面架橋を行ったものや、内部架橋を有しないポリアミノ酸、多糖類、ポリアセタール、などの表面に表面架橋を行ったものであってよい。このような表面架橋剤としては、上記内部架橋剤のほか、少なくとも2個の官能基を有するポリアミノ酸、アミノ酸、糖類、多糖類、これらの誘導体などを好適に使用することができる。表面架橋剤の使用によって、膨潤ゲル状態での強度が増すことで、例えば土壌中での圧力下における吸水時の形状維持効果を向上させることができる。なお、表面架橋剤の使用量は吸水性樹脂を構成するポリマーや吸水性樹脂の吸水倍率等の性能により適宜選択されるものではあるが、表面架橋前の吸水性樹脂に対して0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜5質量%使用される。なお、表面架橋は、従前公知の方法で行うことができる。
【0027】
その他、生分解性を有する吸水性樹脂としては、特表平6−506244号公報記載の実質的に水不溶性で架橋されたポリペプチド、特開平7−309943号公報記載の酸性アミノ酸系樹脂、特許第3383085号公報記載の酸性ポリアミノ酸を塩基性ポリアミノ酸により架橋させてなる架橋ポリアミノ酸(塩)吸水性樹脂、特許第3450914号公報記載のポリコハク酸と、リジン、オリニチン、シスチン、シスタミンなどのジアミン化合物とを反応させて得た吸水性樹脂、特開平8−196901号公報記載のアミノ酸類で架橋された多糖類で構成され、表面近傍が表面架橋剤で架橋されている吸水性樹脂、特開平10−298282号公報記載の水溶性ポリアミノ酸(塩)をポリグリシジル化合物で架橋して得られた吸水倍率5g/g以上で水可溶性成分50質量%以下のポリアミノ酸吸水性樹脂、特開平10−251402号公報記載のゲル化率91〜100%のポリ−γ−グルタミン酸架橋体からなる生分解性吸水性樹脂、特開平11−61129号公報記載の段落0014〜0023に記載される架橋ポリアミノ酸系樹脂、特開平11−124575号公報の段落0026〜0089に記載される、特定の繰り返し単位を有する架橋重合体、特許第3437072号公報記載の架橋ポリアスパラギン酸系樹脂、特開2001−131283号公報記載の架橋ポリアミノ酸含有粒子、特開2003−192794号公報記載のポリアミノ酸または多糖類を含有する培養液と、カルボキシル基などの官能基を分子内に2個以上有する化合物とを反応させて調製した生分解性吸水性樹脂などを使用することができる。
【0028】
また、特許第3274550号公報記載のカルボキシアルキルセルロースアルカリ金属塩架橋体や該架橋体の水性ゲルを得た後、該ゲル中の水分を親水性有機溶媒で置換および脱水してから乾燥して得た吸水材、特開2000−166380号公報記載のアニオン性水溶性高分子化合物、特開2001−224959号公報に記載される、乾燥した多糖類粒子または粉末を多価金属イオン含有する溶液中に添加し、多糖類粒子または粉末の表面近傍を架橋させて表面架橋多糖類粒子を形成させ、その粒子を架橋剤溶液中で膨潤させ架橋ゲル体を形成させてから乾燥して調製した吸水剤、特開2001−226525号公報記載のガラクトマンナンおよびその誘導体と多価金属イオンからなり、吸水剤粒子の表面と内部の架橋程度が異なる不均一性を有し、脱イオン水の吸水量および5重量%以下の塩化ナトリウム水溶液の吸水量が自重の20倍以上である吸水剤、特開2003−311150号公報記載のガラクトマンナンを水に溶解・膨潤して、ガラクトマンナンゾルを形成し、次いでホウ素およびホウ素以外の三価以上の多価金属イオンを添加して架橋体を形成し乾燥することを特徴とする、吸収材などを使用することができる。更に、特開平8−89796号公報記載の多糖類をアミノ酸類で架橋させて調製した吸水性樹脂なども使用できる。その他、特開平9−124754号公報の請求項5に記載される、−CH(COOH)−O−で示される繰り返し単位を有するポリアセタールカルボキシレートの架橋体からなる吸水性樹脂であってもよい。
【0029】
本発明において吸水性樹脂が特にカルボキシル基を有する場合は、吸水性樹脂の単位重量当たりのカルボキシル基(塩)が3mmol/g以上、好ましくは5〜25mmol/g、より好ましくは10〜25mmol/gのものが好ましい。なお、吸水性樹脂のカルボキシル基(塩)とはカルボキシル基(以下、カルボン酸基とも称す。)とカルボキシル基塩(以下、カルボン酸塩とも称す。)との双方を含む概念である。ただし、カルボン酸エステル基はカルボキシル基(塩)には含まない。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などがある。ただし、カルボン酸エステル基はカルボキシル基(塩)には含まない。本発明で使用する吸水性樹脂に含まれるカルボン酸(塩)はナトリウム塩やカルシウム塩、アンモニウム塩等の一価の塩基で中和された塩が好ましく、該一価の塩基の中和率はカルボキシル基のモル数に対して、好ましくは5〜75モル%、より好ましくは5〜70モル%、さらに好ましくは10〜70モル%、よりさらに好ましくは10〜65モル%、次に好ましくは10〜60モル%、特に好ましくは15〜50モル%、最も好ましくは15〜40モル%である。中和率が5モル%未満、特に1モル%未満の場合、植物育成用保水材の吸収特性例えば吸水倍率や吸水速度が低下する場合があり好ましくない。一方、75モル%、特に90モル%を超える場合は植物にとって有用な栄養塩であるカルシウムに対するカルボキシル基含有吸水性樹脂自身の吸収能力が強まり、植物体の生長阻害を引き起こす場合があり好ましくない。なお、カルボキシル基(塩)(mmol/g)は、中和率、吸水性樹脂を構成する単量体の使用量から概算することができる。
【0030】
使用する吸水性樹脂の粒子径に限定はなく、用途によって適宜選択することができる。例えば、植物育成用保水材として使用するには、150μm未満の粒子径は好ましくは0〜20質量%であり、より好ましくは0〜10質量%であり、特に好ましくは0〜5質量%である。150μm以下の粒子径が20質量%を超えると、吸水性樹脂から溶出される水可溶分量が増加するために植物生長阻害を引き起こす場合がある。また、600μm以上の粒子が全体の20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。さらに、好適に用いられる吸水性樹脂の重量平均粒子径は、200〜10,000μmであり、好ましくは500〜5,000μm、特に好ましくは500〜2,000μmである。重量平均粒子径が10,000μmを超える場合は吸水速度が大きく低下するために植物育成用の吸水性樹脂としての取り扱い性が低下する場合がある。また重量平均粒子径が特に200μm未満の場合は吸水ゲル状態での表面積が大きいため乾燥しやすく、植物体への水分供給以上に水分の蒸散が早いため好ましくない。なお、重量平均粒子径は、後記する実施例で記載する方法で測定する。
【0031】
(2) カルシウム化合物
本発明において、粒子状吸水材に含まれるカルシウム化合物としてはその形態を問わず、カルシウム化合物を吸水性樹脂表面に物理的に吸着させてもよく、カルシウム化合物を含む溶液を使用し、粒子状吸水材にカルシウムイオンとして含ませてもよい
このようなカルシウム化合物としては、カルシウムの硫酸塩、炭酸塩等の無機の正塩および複塩、乳酸や脂肪酸等との有機塩、および水酸化物や酸化物が例示できる。これらの中で、吸水材としての吸水特性(吸水倍率や吸水速度等)や吸水ゲル状態の安定性、植物発芽生長等の植物体への生理作用の点から硫酸塩や炭酸塩の無機の正塩および複塩、乳酸や有機酸、脂肪酸等との有機塩、および水酸化物や酸化物が好ましい。より具体的には、硫酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムの有機酸カルシウムがあるが、特に好ましくは硫酸カルシウムや炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどである。
【0032】
該カルシウム化合物は、水溶性または微溶性であることが好ましく、20℃での100gのイオン交換水に対する溶解度が0を超えて10.0g以下、好ましくは0.001〜10.0g、より好ましくは0.001〜5.0g、さらに好ましくは0.005〜1.0g、より好ましくは0.005〜0.5g、特に好ましくは0.005〜0.3gである。上記溶解度が10.0gを超えると、吸水性樹脂粒子内部へカルシウムイオンが浸透しやすく、吸水性樹脂粒子内部のカルボキシル基と金属架橋を引き起こすため吸水倍率を低下させる。また、植物生長の栄養塩となりうるこれらのカルシウムイオンの溶解度が高い場合、実使用時では降水や散水によって急激な放出拡散のために、植物体への持続的な栄養塩供給といった面からも好ましくない。一方、水に不溶性のカルシウム化合物は、植物がカルシウム化合物を利用することができず、好ましくない。
【0033】
(3) 粒子状保水材
本発明の粒子状吸水材には、吸水性樹脂とカルシウム化合物とが含まれており、吸水性樹脂とカルシウム化合物とが少なくとも一部が、好ましくは実質的に一体化しているものである。特には、吸水性樹脂の表面ないし表層付近にカルシウム化合物が一体化されているものが好ましい。ここに「一体化」とは、少なくともカルシウム化合物の一部が吸水性樹脂に化学的または物理的に結合している形態をいう。このような一体化の態様としては、該吸水性樹脂に存在する官能基にカルシウム化合物が化学的に結合しているもの、該吸水性樹脂の表面にカルシウム化合物が物理的に付着しているもの、または該吸水性樹脂の表面にカルシウム化合物が浸透しているものなどがある。
【0034】
上記したように生分解性を有する吸水性樹脂は、カルボン酸ナトリウムのようなカルボン酸一価塩を有している場合が多い。カルボン酸一価塩はキレート作用によって、発芽発根生長に必要なカルシウムイオン等の植物体に必要な栄養塩である多価金属イオンを奪う特性があり、特にカルボキシル基(塩)が3mmol/g以上有する場合に顕著である。従って、たとえ吸水特性に優れる吸水性樹脂であっても植物体と吸水性樹脂とが直接接触する状況では、例えば潅水効率向上のために吸水性樹脂の使用濃度が1質量%以上、特には5質量%以上の土壌濃度で使用することは困難であった。しかしながら、本発明のように、吸水性樹脂とカルシウム化合物が吸水性樹脂の表面ないし表層付近で一体化して存在すると、吸水性樹脂の表面に存在するカルボン酸一価塩が植物体からカルシウムイオンを捕獲することができず、植物体の生長阻害を防止することができる。このため、土壌中での使用量を1質量%以上、特に5質量%以上という高濃度にでき、潅水効果を大幅に向上させることが可能となる。なお、カルシウム化合物と吸水性樹脂を別個に投与した場合には、吸水性樹脂粒子の表面に存在するカルボン酸一価塩によって上記植物生長抑制効果が発現されるため好ましくない。
【0035】
本発明では、植物生長促進作用と保水材としての吸水特性を確保するため、該カルシウム化合物が前記吸水性樹脂の表面に付着および/または被覆して担持されていることが好ましい。なお、本発明において「吸水性樹脂の表面」とは、吸水性樹脂の少なくとも最外表面の一部を含む概念である。すなわち、最外表面と、粒子の直径に対して最外表面から中心方向に通常0〜20%、好ましくは0〜10%、より好ましくは0〜5%、特に好ましくは0〜1%の距離で形成される殻層とのことを指し、吸水材の粒子平均で最外表面から通常0〜50μm、好ましくは0〜20μm、より好ましくは0〜5μm、特に好ましくは0〜1μmの距離で形成される殻層と最外表面を指す。よって、該カルシウム化合物が該吸水性樹脂の最外表面に被覆される形態や、吸水性樹脂にカルシウム化合物を表面および/または表層にのみ担持させた形態でもよく、特に、吸水性樹脂の表層部分に存在するカルボキシル基(塩)とカルシウムイオンとを塩交換して、吸水性樹脂の表面および表層付近にカルシウムイオンを置換された形態などが含まれる。よって、該吸水材においてのカルシウム化合物の分布は、最外表面から中心方向に対して最外表面にカルシウム化合物が分布する割合が高く、中心方向に向かうに従ってカルシウム化合物の分布する割合が低くなり、中心付近にはほとんど存在しない形態となるものである。粒子状吸水材の表面や表層付近に、水微溶性の前記溶解度を有するカルシウム化合物が存在すると、植物栄養塩であるカルシウムがゆっくりと土壌中に徐放されるために塩害を引き起こすことなく、植物体に効率よく供給することが可能となる。また、吸水性樹脂粒子の内部にカルシウム化合物が浸透すると、吸水性樹脂内部のカルボン酸一価塩(カルボン酸ナトリウム基やカルボン酸カリウム基等)とカルシウムイオンとの置換によるイオン架橋が引き起こされ、吸水倍率や吸水速度が大きく低下する。しかしながら、特定の溶解度を有するカルシウム化合物を使用し、吸水性樹脂の表面または表層付近にカルシウム化合物を存在させることで、イオン架橋による吸水特性低下を防ぎ、吸水特性の高い粒子状吸水材となる。
【0036】
なお、粒子状吸水材に含まれるカルシウムの分布は、例えば電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)等により分析確認することが可能であり、該吸水材の表面をホモジナイザー等により研磨することにより表層および粒子内部のカルシウム濃度や分布を分析することができる。
【0037】
該カルシウム化合物の含有量は、該吸水性樹脂固形分に対して5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%、最も好ましくは15〜30質量%である。5質量%未満の場合は植物生長阻害作用を低減する効果が低く、一方50質量%を超えると粒子状吸水材としての吸水能力の低下を引き起こす場合がある。
【0038】
粒子状吸水材の粒子径は用途により適宜選択されるが、植物育成用保水材として使用するには、150μm未満の粒子径は好ましくは0〜20質量%であり、より好ましくは0〜10質量%であり、特に好ましくは0〜5質量%である。150μm以下の粒子径が20質量%を越えると、吸水性樹脂から溶出される水可溶分量が増加するために植物生長阻害を引き起こす場合がある。また、600μm以上の粒子が全体の20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。さらに、好適に用いられる吸水材の重量平均粒子径は、200〜10,000μmであり、好ましくは500〜5,000μm、特に好ましくは500〜2,000μmである。重量平均粒子径が10,000μmを超える場合は吸水速度が大きく低下するために植物育成用の保水材としての取り扱い性が低下する場合がある。また重量平均粒子径が特に200μm未満の場合は吸水ゲル状態での表面積が大きいため乾燥しやすく、植物体への水分供給以上に水分の蒸散が早いため好ましくない。
【0039】
また、本発明の粒子状保水材は、修正MITI法による生分解率が10%以上の粒子状吸水材である。該粒子状吸水材は種子の発根、発芽に好適に使用できるが、発芽後の種子を育成用の土壌に移植する場合には、該粒子状吸水材が分解して土壌に残留しないことが好ましい。また、予め土壌に散布および混合して保水材として使用した場合にも、その後の植物の生育に応じて、保水の必要性が低減した場合には土壌中に分解されることが好ましい。保水性の確保と使用後の残留を回避する好適な範囲として、本発明では該生分解性が10%以上、好ましくは10〜95%、より好ましくは15〜90%、特に好ましくは15〜80%である。該生分解性が10%を下回ると、得られる粒子状吸水材の土壌中での分解が遅く環境負荷が高くなり、また該生分解性が95%を超える場合は実使用時に分解速度が速すぎるので、保水機能が十分に発揮されにくく好ましくない。
【0040】
本発明の粒子状吸水材の吸水倍率は、20〜1,000g/g、好ましくは50〜1,000g/g、より好ましくは100〜1,000g/gである。また、本発明における粒子状吸水材の吸水速度は、通常20g/g以上を示すものであり、上限は限定されないが、製造コスト等経済性とのバランスで好ましくは30〜1,000g/g、より好ましくは50〜1,000g/g、特に好ましくは70〜500g/g、最も好ましくは100〜500g/gと従来にない優れた吸水速度を示す。吸水速度が20g/gを下回ると土壌に対して水を散布し潅水する場合、土壌中から拡散流出する場合があり、所望の保持水量が確保されず潅水頻度を高くなり非効率となる。
【0041】
また、本発明において、吸水材の水可溶性成分量(可溶分量/抽出可溶物量)は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜15質量%、次に好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜7質量%、特に好ましくは0〜5質量%、最も好ましくは0〜3質量%である。可溶分量が上記範囲を超える場合は、可溶分を主として構成する未架橋の水溶性高分子(ポリアクリル酸(塩)など)が植物体の生存環境に溶出するために植物の生長阻害を引き起こすので好ましくない。また、本発明の吸水材を特定の吸水倍率、例えばイオン交換水吸水ゲル化し、吸水倍率20g/gの膨潤状態や30g/gの膨潤状態、50g/gの膨潤状態、70g/gの膨潤状態、100g/gの膨潤状態とし、24時間、25℃の密閉状態で放置したときの保水材から溶出する可溶分量(溶出可溶物量)は、少ないほど好ましく、0〜0.5質量%、好ましくは0〜0.3質量%、さらに好ましくは0〜0.1%以下であり、最も好ましくは0〜0.05質量%である。
【0042】
また、粒子状吸水材は、含水率が0〜20質量%の乾燥状態においても、付着性が少なく、内部摩擦係数または内部摩擦角が小さいために、安息角が小さくなり粉体の流動性が優れる特徴を示す。前記粉体特性における内部摩擦係数や内部摩擦角は粉体層のせん断試験から求めることができる。粉体のせん断試験をおこなう装置としてはせん断箱式、リングせん断式、あるいは平行平板式などがあり、例えば、Jenike Shear Cell等がある。さらに吸湿時の流動性(以下、単に吸湿流動性と略す)にも優れた特性を示す。吸湿流動性とは、25℃相対湿度90%RH放置下でブロッキングないしケーキングや粉体としての流動性について評価したものであり、本発明の吸水材は、吸水材の含水率が通常10〜30質量%、特に15〜30質量%の範囲において、ブロッキングないしケーキングがなく、吸湿流動性の優れた特徴を示す。これら粉体としての流動性に優れることから、製造時の搬送や実使用時における散布性等に優れた特性を示す。本発明吸水材の吸湿時の吸湿流動性は、0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%である。なお、該吸湿流動性は後記する実施例で記載する方法による測定値である。
【0043】
(4) 用途
本発明の粒子状吸水材は、給水(潅水)してゲル化させ、これに播種すると発芽率および発根率に優れるため、特に植物育成用保水材として好適に使用できる。このような植物育成用保水材は、代替土壌とも言うべきものであり、他の植物育成用担体を併用することなく優れた発芽率および発根率を確保することができる。しかも、該粒子状吸水材中に根を張らせることができるため、保水効率にも優れる。また、本発明の粒子状吸水材は、その他、使い捨ておむつ等の吸収物品や消火用ゲル、蓄冷材や保冷材、保温材、廃液処理剤等やケーブル止水材等建築資材に使用することもできる。
【0044】
本発明の粒子状吸水材は、用途に応じて、更に、消臭剤、抗菌剤、害虫及び動物の忌避剤、農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤等)、植物活力剤、植物延命剤、植物ホルモン、ミネラル、顔料、染料、増粘剤、粘着剤、塩類、pH調整剤を0〜1.0質量%含んでいてもよい。
【0045】
特に、植物ホルモンとしては、発根とカルス化を促進する2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、ナフタレン酢酸、インドール酢酸等のオーキシン、芽の分化を促進するカイネチン、ゼアチン、インペンテニルアデニン、ベンジルアデニン等のサイトカイニンが挙げられる。その他、茎や葉梢の生長を促進するジベレリン、成長バランスの調節作用を有するアブシジン酸、開花や果実の成熟を促進するエチレン等も挙げられる。必要となるホルモンは、植物の種類によっても異なる。これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。また、ミネラルの具体例としては、マグネシウム、リチウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム等があり、特に限定されないが、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等の形で用いられる。
【0046】
特に、該粒子状保水材を植物育成用に使用する場合には、乳酸、酢酸、木酢等の抗菌作用を示すものや抗菌剤を該吸水材に含有させておくことが好ましい。これらの添加量は、粒子状吸水材100質量部に対して0〜30質量部、好ましくは0〜10質量部、より好ましくは0〜1質量部である。
【0047】
本発明の粒子状吸水材は、土壌、その他の植物育成用担体と混合して使用することもできる。混合可能な植物育成用担体としては、土壌、砂礫、軽石、炭化物、ピート、スポンジ、パーミキュライト、バークや、パーライトやゼオライト、フィルトン、多孔質セラミックやくんたん等の多孔質無機資材や、ロックウール、スポンジ、水苔、ヤシガラ、クリプトモスやポリスチレンやポリウレタン等の合成樹脂発泡体およびその破砕物、パルプ等を単独あるいは2種以上混合して組み合わせて使用することができる。該粒子状吸水材の配合率は任意に設定することができ、また対象植物の種類や対象植物の生育状態、該粒子状吸水材の使用方法に応じて適宜選択することができる。
【0048】
本発明の粒子状吸水材や植物育成用保水材の使用方法は特に限定されず、田畑に散布する方法、ゲル化して保水材として苗床等に使用する方法が一般的である。更に、砂漠、砂丘等の乾燥地、道路の中央分離帯、側帯、街路樹用、屋内観賞用、ビル等の屋上緑化用等の人工地盤土壌などに混合して使用することもできる。また、成形苗等に含ませて植物と一緒に移植しても構わない。対象とする種子や植物の種類や状態も限定されず、例えば、種子の発芽、育苗、葉菜、果菜、根菜、花等の生育、成木の植え替え等に使用できる。
【0049】
(5) 製造方法
上記粒子状吸水材は、いずれの方法によっても調製できるが、該吸水性樹脂の含有率が0〜50質量%の状態で、該吸水性樹脂の固形分に対して5〜50質量%のカルシウム化合物を混合する工程を含むことが好適である。特に、本発明の粒子状吸水材は、吸水性樹脂の表面にカルシウム化合物が存在することが好ましく、例えば所定の含水率の該吸水性樹脂に所定量のカルシウム化合物を混合することで調整できる。
【0050】
(a−1)吸水性樹脂の含水率が0〜50質量%の状態で、該吸水性樹脂の固形分に対して5〜50質量%のカルシウム化合物を混合する工程を含む製造方法。
【0051】
(a−2)吸水性樹脂の含水率が20質量%以下、好ましくは10質量%以下の粉体状態で、該吸水性樹脂の固形物に対して5〜50質量%のカルシウム化合物の粉体を添加混合した後、水性液または水蒸気を添加混合する工程を含む製造方法。
【0052】
(a−3)吸水性樹脂の含水率が50〜20質量%の状態で、カルシウム化合物を粉体で混合する工程を含む製造方法。
【0053】
上記(a−1)から(a−3)の製法以外の例えば、含水率が20質量%以下の吸水性樹脂とカルシウム化合物とを粉体どうしで添加混合するドライブレンド法により製造してもよいが、該吸水性樹脂の表面に、該カルシウム化合物が担持ないし付着および/また被覆していることが望ましいので、上記(a−1)から(a−3)の製法が好ましい。
【0054】
また、前記吸水性樹脂の含水率が50質量%を超える状態でカルシウム化合物を溶液やスラリー状態で混合した場合、前記吸水性樹脂の樹脂内部までカルシウム化合物が浸透し、吸水性樹脂内部がカルシウム化合物により塩架橋されるために粒子状吸水材としての吸水特性が大きく低下するために好ましくない。その他、吸水性樹脂の重合時に単量体へ添加した場合も、該吸水性樹脂の内部がカルシウム化合物により塩架橋されるため好ましくない。
【0055】
本発明で用いる粒子状吸水材を上記(a−1)の方法で製造する場合、吸水性樹脂の含水率は、該吸水性樹脂内部へのカルシウム化合物の浸透を防ぐために低い方が好ましく、好ましい含水率は0〜50質量%であり、次に好ましくは0〜40質量%、より好ましくは0〜35質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%、最も好ましくは0〜10質量%である。
【0056】
また、カルシウム化合物は溶液または、水性液等に分散させたスラリー状態で添加されるが、使用するカルシウム化合物は20℃での100gのイオン交換水に対する溶解度が0を超えて10.0g以下と水に対する溶解度が低いため水性液等の溶媒と混合され、スラリー状態で該吸水性樹脂と混合することが好ましい。
【0057】
該スラリー中のカルシウム化合物濃度は50質量%以上が好ましく、より好ましくは50〜90%質量、特に好ましくは50〜80質量%である。該濃度が90質量%以上の場合、スラリーが流動性を失って湿粉状態となるために均一な添加が困難なために好ましくない。該スラリーの添加量は、カルシウム化合物の種類等により特に限定されないが、水性液を溶媒としてスラリーに用いる場合、添加量が多い場合は前記吸水性樹脂の含水率が高くなるため、該吸水性樹脂の質量に対して、前記スラリーの添加量は0〜50質量%が好ましく、より好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%、さらに特に好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。なお、いずれの方法においても、吸水性樹脂の固形分に対するカルシウム化合物の含有量が5〜50質量%となるように調製する。
【0058】
また、前記カルシウム化合物を含むスラリーに使用される溶媒はカルシウム化合物を均一に分散させることが出来れば特に限定されるものではないが、前記吸水性樹脂の表面に該カルシウム化合物を担持ないし付着させるためには極性溶媒が好ましく特に水が好ましい。使用する溶媒中の水の割合は通常80〜100質量%、好ましくは90〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%とされる。
【0059】
なお、前記スラリーに使用する溶媒については、目的やその必要に応じて、吸水性樹脂表面架橋処理の表面架橋剤や、不溶性微粒子や親水性溶媒、乳化剤を添加してもよい。また、該スラリーの流動性を調整するために、有機または無機分散剤を添加してもよい。本発明では種々の混合方法のうち、スラリーを吸水性樹脂に噴霧あるいは滴下混合する方法が好ましい。さらに、前記カルシウム化合物ごとの種類によっては、温度と該カルシウム化合物の水に対する溶解度や、温度に対するスラリー濃度とスラリー流動性を考慮して、適宜スラリーを加熱あるいは冷却してもよいが、通常、凝固点を超えて沸点までの加熱であるが、好ましくは20〜80℃が好ましい。
【0060】
本発明で用いる粒子状吸水材を含水ゲル状態の吸水性樹脂にカルシウム化合物を混合して製造する場合、カルシウム化合物を粉体で混合することが好ましい。含水状態の吸水性樹脂とは通常粉体または粒子として取り扱うことの困難な含水率が20〜50質量%、特に30〜50質量%、例えば重合直後の40〜50質量%の状態を指す。含水ゲル状態の吸水性樹脂にカルシウム化合物を混合する場合の吸水性樹脂の含水率は、通常50〜20質量%の状態でより好ましくは40〜20質量%である。該吸水性樹脂の含水率が50質量%を超えると前述のように該吸水性樹脂の内部にカルシウムによる塩架橋で吸水特性が低下し、20質量%未満の含水率では該吸水性樹脂表面にカルシウム化合物が担持または付着することができなくなるので好ましくない。なお、粉末として添加するカルシウム化合物は粉体として取り扱える含水率であれば、とくに限定されるものではないが、通常30質量%以下、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%である。
【0061】
本発明で用いる粒子状吸水材を上記(a−2)の方法で製造する場合、吸水性樹脂の含水率が0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%の粉体状態で、カルシウム化合物の粉体を添加混合した後に、水性液または水蒸気を添加混合することにより製造される。水性液を添加する場合、添加される水性液は前述(a−1)記載の水性液が使用され、その使用量は0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。また、水蒸気を添加する場合、最終的に得られる植物育成用保水剤の含水率が0〜30質量%となるように調整することが好ましい。
【0062】
本発明で用いる粒子状吸水材を上記(a−3)の方法で製造する場合、吸水性樹脂の含水率が50〜20質量%の状態で、カルシウム化合物を粉体で混合することが好ましく、より好ましくは40〜20質量%である。該吸水性樹脂の含水率が50質量%以上では前述のように吸水性樹脂の内部に多価金属による塩架橋で吸水特性が低下し、20質量%以下の含水率では前記吸水性樹脂表面にカルシウム化合物が担持ないし付着することができなくなるので好ましくない。
【0063】
なお、上記(a−1)〜(a−3)で使用される混合装置としては両者を均一にかつ確実に混合するための混合装置としては、混合力が大きい装置であることが好ましく、例えば、2軸溝型撹拌乾燥装置、円筒型混合機、二重壁円錐混合機、高速攪拌型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、双腕型ニーダー、粉砕型ニーダー、回転式混合機、気流型混合機、タービュライザー、バッチ式レディゲミキサー、連続式レディゲミキサー、ミートチョッパー等のスクリュウ式押出機等が好適である。また、該吸水性樹脂とカルシウム化合物との混合時の温度は、該吸水性樹脂表面にカルシウム化合物が担持ないし付着することができれば特に限定されるものではないが、該吸水性樹脂の温度は30℃以上が好ましく、より好ましくは40〜80℃である。さらに、目的に応じて前記工程で複合無機化合物を混合後に、適宜乾燥や粉砕、造粒、分級を行なって粒子状吸水材を製造してもよい。
【0064】
なお、表面架橋剤の混合に際しては、表面架橋前にカルシウム化合物と混合したり、または、表面架橋剤と共存させても本発明の粒子状吸水材を得ることもできる。また表面架橋剤の混合に際し、本発明の効果を妨げない範囲で、前記カルシウム化合物以外に例えば二酸化珪素等の水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよいし、さらに前記の植物育成用担体等と混合してもよい。
【0065】
本発明の粒子状吸水材には、更に植物育成用担体等と混合してもよい。
【0066】
本発明の粒子状吸水材は、特定サイズの粒子状の吸水材であり、吸水特性や生分解性に優れるが、このような粒子状吸水材は、第一の発明に記載した吸水性樹脂を原料とし、上記方法によって製造することができる。なお、本発明の植物育成用保水材は、上記粒子状吸水材を用いたものであるが、前記したように必要に応じて、消臭剤、抗菌剤などの他の成分を添加する場合には、上記混合工程でこれらの成分を添加すればよい。
【0067】
上記の方法で得られる粒子状吸水材は、乾燥していてもよく、含水していてもよい。このようにして得られた粒子状吸水材は、含水率が約10〜30%の範囲でブロッキングやケーキングがなく、吸湿流動性に優れる。また、該粒子状吸水材は緑化や農園芸保水材等の植物育成用保水材として使用する場合、培養土や砂礫、真砂土等の土壌と0.1質量%以上、好ましくは0.5〜50質量%、より好ましくは1.0〜30質量%(対土壌と保水材の総量)混合した場合、該混合物を使用することで優れた保水効果と植物育成効果を発揮する。
【実施例】
【0068】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。また、特に記載ない場合、「部」は質量部を意味する。
【0069】
(測定方法)
吸水性樹脂、粒子状吸水材および/または植物育成用保水材は以下の方法によってその測定をした。以下に、吸水性樹脂を対象として説明するが、各実施例および比較例で製造した粒子状吸水材および/または植物育成用保水材の特性は、吸水性樹脂に代えて各粒子状吸水材を使用して同様に測定することができる。
【0070】
(1)吸水倍率
吸水性樹脂の粉末0.02gを不織布製の袋(60mm×80mm)に均一に入れ、25℃に調温した500mlのイオン交換水(電気伝導度5μS/cm以下)に浸漬した。24時間後に袋を引き上げ、遠心分離機を用いて250Gで3分間水切りを行った後、袋の重量W(g)を測定した。同様の操作を吸水性樹脂粉末を用いずに行い、そのときの重量W(g)を測定した。これら重量W、Wから、次式に従って吸水倍率(g/g)を算出した。
【0071】
【数1】

【0072】
(2)吸水速度(イオン交換水中の10分間での吸水倍率(g/g))
底に目開き38μmのステンレス製網(400メッシュ(2000年、JISZ8801−1))を融着させた内径60mmのプラスチック支持円筒の測定セルに、室温(20〜25℃)、相対湿度50%の条件で、吸水性樹脂1.0gを厚さを均一に投入し、質量W(g)を測定した。
【0073】
一方、直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmのガラスフィルター(株式会社相互理化学硝子製作所製、細孔直径100〜120μm)を置き、イオン交換水(20〜25℃、電気伝導度5μS/cm以下)をガラスフィルターの上面と同じ高さになるように加えた。
【0074】
次いで、上記測定セルを前記ガラスフィルターの上に載せ、吸水性樹脂にイオン交換水を吸収させた。なお、吸水中はイオン交換水の液面が一定になるように随時イオン交換水を給水して補充した。10分後、前記測定セルの質量W(g)測定した。そして、W、Wから、下式に従って吸水速度(イオン交換水中の10分間での吸水倍率)(g/g)を算出した。
【0075】
【数2】

【0076】
(3)発芽勢指数および発根勢指数
種子としては短期的に発芽勢試験が容易で、市販で入手可能なカイワレ大根の種子(例えばタキイ種苗株式会社等より入手される発芽率85%以上のカイワレ大根種子)を使用した。
【0077】
内径80mm、高さ250mmのポリプロピレン製容器にイオン交換水を150ml投入し、次いで、吸水性樹脂を1.5g秤量して該容器中に投入し、投入後1時間放置することにより吸水性樹脂からなるゲル培地(吸水倍率100倍のゲル培地)を作成した。なお、ゲル培地の吸水倍率が100倍未満の吸水性樹脂については、吸水性樹脂の吸水倍率を考慮して所望により吸水樹脂の仕込み量を適宜調整することにより作成した(例えば、吸水倍率30倍のゲル培地の作成時には5g秤量して仕込む)。続いて上記カイワレ大根種子を30粒播き、前記容器の上に不織布で蓋をして、培養室(25℃、500Lux、12時間日長)で1週間培養し発芽させた。1週間後、発芽したカイワレ大根を取り出し、発芽した固体の基部(根と茎の分岐点)から葉先までを茎葉長(地上部長さ;L(mm))として測定し、地下部の長さは発芽した固体の基部から主根の先端までの根長(地下部長さ;L(mm))として測定した。
【0078】
なお、発芽勢試験は試験間での比較をより正確に行なうために、対照としてカルシウム化合物を含まない75%ナトリウム塩中和のポリアクリル酸架橋重合体の吸水性樹脂を使用して、茎葉長(地上部長さ:L(mm))と根長(地下部長さ:L(mm))との相対値(%)を下式より算出し、播種した種子30粒の平均値を求め発芽勢指数および発根勢指数とした。なお、発芽発根しなかった種子はそれぞれ発芽勢指数0、発根勢指数0と規定した。根生長の勢いについて根毛が生長しているかどうかを目視で確認した。
【0079】
【数3】

【0080】
(4)重量平均粒子径
吸水性樹脂粉末を5,600μm、4,750μm、4,000μm、3,350μm、2,800μm、2,360μm、2,000μm、1,700μm、1,400μm、1,000μm、850μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、75μmのJIS標準ふるいで篩い分けし、残留百分率を対数確率紙にプロットした。これにより、重量平均粒子径(D50)を読み取った。
【0081】
篩い分けは、吸水性樹脂10gを室温(20〜25℃)、相対湿度50±5%RHの条件下で上記開きのJIS標準ふるい(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm)に仕込み、ロータップ型ふるい振盪機(株式会社飯田製作所製ES−65型ふるい振盪機:回転数230rpm、衝撃数130rpm)で10分間分級して行った。なお、重量平均粒子径(D50)とは、一定目開きの標準ふるいで粒子全体の50重量%に対応する標準ふるいの粒子径のことである(米国特許5061259号公報参照)。
【0082】
(5)吸湿流動性
JIS 20メッシュ(目開き850μm)を通過した吸水性樹脂を直径52mmのアルミカップに均一に約2gを散布した後、温度25±1℃、相対湿度90±5%の恒温恒湿機内に1時間放置した。1時間後、アルミカップ内の吸水性樹脂をJIS 8.6メッシュ(目開き2,000μm)のJIS標準ふるい(The IIDA TESTING SIEVE:内径80mm)の上に移し、ロータップ型ふるい振盪機を用いて、室温(20〜25℃)、相対湿度50%の条件で5秒間分級し、2,000μmメッシュ上に残存した吸水性樹脂の重量(Ag)と該メッシュを通過した吸水性樹脂の重量(Bg)を測定した。本発明においては、吸湿流動性は下式に従って算出した。
【0083】
【数4】

【0084】
(6)吸水性樹脂の水可溶性成分量(可溶分量)
吸水性樹脂0.5gを1,000mlの脱イオン水に分散させて16時間攪拌下で放置して水可溶性成分を抽出した。16時間後、この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過した。濾液E(g)をナスフラスコに回収し、80℃に加温しながらロータリーエバポレーター(東京理化器械株式会社製、タイプN)を用いて全量濃縮し、濃縮した濾液をアルミカップに入れ180℃の無風オーブンで3時間加熱し、濾液中に含まれる固形分量D(g)を測定し下式に従って算出した。
【0085】
【数5】

【0086】
(7)含水率
吸水性樹脂1.000gをアルミカップに入れ、180℃の無風オーブンで3時間加熱し、その乾燥減量により算出した。
【0087】
【数6】

【0088】
(8)修正MITI法による生分解率
下記A液、B液、C液、D液を各々3mlにイオン交換水を加えて1,000mlに定容して基礎培養液を調製した。
【0089】
A液;燐酸ニカリウム21.75g、燐酸一カリウム8.5g、燐酸ニナトリウム12水和物塩44.6g、塩化アンモニウム1.7gをイオン交換水に溶解させ1,000mlに定容したもの。
【0090】
B液;硫酸マグネシウム7水和物塩22.5gをイオン交換水に溶解させ1,000mlに定容したもの。
【0091】
C液;塩化カルシウム27.5gをイオン交換水に溶解させ1,000mlに定容したもの。
【0092】
D液;塩化第二鉄6水和物塩をイオン交換水に溶解させ1,000mlに定容したもの。
【0093】
前記基礎培養液200mlに吸水性樹脂を100ppmとなるように添加し、これに活性汚泥を30ppmとなるように添加した。その後、該培養液を暗所下25℃に保ち、攪拌しながら28日間培養した。培養期間中に活性汚泥により消費された酸素量を定期的に測定し、生物化学的酸素要求量(Biological Oxygen Demand)曲線を求めた。
【0094】
修正MITI法による生分解率は、上記BOD曲線から得られる吸水性樹脂の生物化学的酸素要求量A(mg)とBOD曲線から得られるブランク、つまり基礎培養液の酸素消費量B(mg)と、試験物質を完全に酸化させる場合に必要な全酸素要求量(TOD;Total Oxygen Demand)C(mg)とから下式により算出した。
【0095】
【数7】

【0096】
(参考例1)
単量体としてL−アスパラギン酸(和光純薬工業株式会社製)133gと架橋剤としてL−リジン(和光純薬工業株式会社製)15g、溶媒として85質量%の燐酸水溶液(和光純薬工業株式会社製)83gを5,000mlのガラスビーカー中で混合後、混合物を窒素シールされたイナートオーブン(タバイエスペック株式会社、1PHH−201)中で静置加熱して重合した。4時間後、オーブンから塊状の重合体を取り出し2mm角以下に粉砕してさらに4時間静置加熱した。次いで195℃の真空減圧乾燥機(HITEC株式会社製DP−31)で静置加熱を4時間行い粉末状のコハク酸イミド架橋重合体を得た。得られた該粉末状コハク酸イミド架橋重合体を5,000mlの水に分散させて濾過する洗浄操作を3回行い溶媒の燐酸を除去した後、該粉末を90℃で減圧乾燥した。
【0097】
得られた粉末状コハク酸イミド架橋体56gを2,000mlフラスコ中60℃で、10質量%の水酸化ナトリウム水溶液200gに分散させることにより鹸化してポリアスパラギン酸架橋体の膨潤ゲルを得た。得られた膨潤ゲルを60℃で減圧乾燥後、振動ミルを用いて粉砕して目開きが850μmのJIS標準篩を通過させた。上記操作を10回繰り返すことで吸水性樹脂(1)を得た。該吸水性樹脂(1)は、1g当たり6.5mmolのカルボキシル基を有していた。
【0098】
(参考例2)
D,L−アスパラギン酸(和光純薬工業株式会社製)1,000gと85%燐酸水溶液(和光純薬工業株式会社製)500gを混合し195℃の真空減圧乾燥機(HITEC株式会社製DP−31)で5時間反応させた。次いで、該反応物を4LのN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製)に溶解した後、イオン交換水により再沈させて減圧乾燥し、重量平均分子量が100,000のポリコハク酸イミドを得た。一方、リジンメチルエステル・2塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)36gとリジン1塩酸塩(和光純薬工業株式会社製)113gをイオン交換水200gに溶解し、水酸化ナトリウムを少しずつ加えて中和し、リジン水溶液を調整した。続いて、前記ポリコハク酸イミド500gをジメチルホルムアミド2,000gに溶解し、前記リジン水溶液を加え室温で1時間攪拌した後、攪拌を止め20時間反応させた。得られたゲル状の反応物を、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに投入し、イオン交換水2,000gとメタノール2,000gを加えて前記反応物を攪拌細断した。細分化されたゲル状反応物に対して、前記ニーダー中で27%水酸化ナトリウム水溶液650gを攪拌しながら滴下した。さらに、7%塩酸水溶液を滴下してpH=7となるまで中和した。中和後メタノールを3,000g加えて沈殿させて沈殿物を60℃で減圧乾燥し、振動ミルを用いて粉砕し目開きが850μmのJIS標準篩を通過させ、吸水性樹脂(2)を得た。該吸水性樹脂(2)は、1g当たり6.5mmolのカルボキシル基を有していた。
【0099】
(参考例3)
参考例2で得られたポリアスパラギン酸架橋体(2)100gにエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業製、商品名デナコールEX810)0.5g、イオン交換水1g、メタノール4gを添加混合した後、140℃で20分間加熱処理をすることで吸水性樹脂(3)を得た。該吸水性樹脂(3)は、1g当たり6.5mmolのカルボキシル基を有していた。
【0100】
(参考例4)
市販の納豆3kgをイオン交換水5kg中に攪拌しながら3時間分散させた。続いて、目開き850μmの金網にて濾過して濾液を回収した。次に、回収した濾液をエチルアルコール10kg中に攪拌しながら滴下することにより約500gの沈殿物を得た。得られた沈殿物を500gイオン交換水に溶解し、再び水溶液とした後にさらにエチルアルコール3,000gに滴下混合して沈殿物を得た。得られた沈殿物を60℃減圧乾燥することによりポリ−γ−グルタミン酸を得た。続いて、前記で得られたポリ−γ−グルタミン酸200gをイオン交換水400g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業製、商品名デナコールEX810)10g、及び110gの炭酸ナトリウムを混合し、均一な反応溶液とした。続いて該反応溶液を80℃で16時間加熱することにより部分ナトリウム中和型ポリ−γ−グルタミン酸架橋体のゲル状物を得た。得られたゲル状物を60℃で減圧乾燥し、振動ミルを用いて粉砕し目開きが850μmのJIS標準篩を通過させ、吸水性樹脂(4)を得た。該吸水性樹脂(4)は、1g当たり5.9mmolのカルボキシル基を有していた。
【0101】
(参考例5)
カルボキシメチルセルロース(Aqualon株式会社製、商品名アクアソルブB313)300g、架橋剤としてD,L−アスパラギン酸(和光純薬工業株式会社製)30gおよびイオン交換水2,670gを混合して均一に溶解し、反応溶液を調整した。次いで該反応溶液を120℃で1時間加熱乾燥することで乾燥物を得た。続いて乾燥物を振動ミルで粉砕することにより吸水性樹脂(5)を得た。該吸水性樹脂(5)は、1g当たり7.2mmolのカルボキシル基を有していた。
【0102】
(参考例6)
参考例5のカルボキシメチルセルロースに代えて、デンプングリコール酸(松谷化学工業社製、商品名プリモジェル)を用いた以外は同様の操作を行い吸水性樹脂(6)を得た。該吸水性樹脂(6)は、1g当たり3.1mmolのカルボキシル基を有していた。
【0103】
(参考例7)
部分中和型ポリグリオキシル酸ナトリウム(重量平均分子量20万、カルボキシル基の中和率は70モル%)300gにエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業製、商品名デナコールEX810)15g、イオン交換水685gを混合して均一に溶解し、反応溶液を調整した。次いで該反応溶液を80℃で16時間加熱することにより部分中和型ポリグリオキシル酸ナトリウム架橋体のゲル状物を得た。得られたゲル状物を60℃で減圧乾燥し、振動ミルを用いて粉砕し目開きが850μmのJIS標準篩を通過させ、吸水性樹脂(7)を得た。該吸水性樹脂(7)は、1g当たり12.6mmolのカルボキシル基を有していた。
【0104】
(参考例8)
20モル%のアクリル酸と80モル%アクリル酸ナトリウムからなる単量体水溶液5500g(単量体濃度38重量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数8)12.0gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を窒素ガス雰囲気下で30分間脱気した。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウム2.46g及びL−アスコルビン酸0.10gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。そして、30℃〜90℃で重合を行い、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は、その径が約5mmに細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目開き300μm)の金網上に広げ、150℃で90分間熱風乾燥した。次いで得られた乾燥物を、振動ミルを用いて粉砕し、さらに目開きが850μmのJIS標準篩の金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂(8)を得た。なお、吸水性樹脂(8)を、前記種子発芽勢指数、発根勢指数のコントロールサンプルとして用いた。該吸水性樹脂(8)は、1g当たり11.2mmolのカルボキシル基を有していた。
【0105】
(実施例1)
含水率5%の吸水性樹脂(1)300gをレディゲミキサー(レディゲ社製、タイプ:M5R)に投入し、50質量%濃度の硫酸カルシウムスラリーを120g滴下しながら330rpmで15秒間攪拌混合した。混合後120℃10分間熱風乾燥し、目開き2mmの金網を通過させて吸水材(1)を得た。なお、硫酸カルシウムは、20℃での100gのイオン交換水に対する溶解度が0.27gである。
【0106】
(実施例2〜7)
実施例1において吸水性樹脂(1)を吸水性樹脂(2)〜(7)に代える以外は同様の操作を行い、吸水材(2)〜(7)を得た。
【0107】
(実施例8)
実施例1において硫酸カルシウムに代えて水酸化カルシウムを用いた以外は同様の操作を行い、吸水材(8)を得た。なお、水酸化カルシウムは、20℃での100gのイオン交換水に対する溶解度が0.18gである。
【0108】
(比較例1)
実施例1において硫酸カルシウムスラリーに代えて50質量%塩化カルシウム水溶液を使用する以外は同様の操作を行い、比較吸水材(1)を得た。
【0109】
(比較例2)
実施例1において硫酸カルシウムスラリーを600g滴下混合する以外は同様の操作を行い、比較吸水材(2)を得た。
【0110】
(実施例9)
実施例1において50質量%濃度硫酸カルシウムスラリーを60gとする以外は同様の操作を行い、吸水材(9)を得た。
【0111】
吸水性樹脂(1)〜(8)、吸水材(1)〜(9)および比較吸収材(1)、(2)の結果を表1に記載した。また、吸水性樹脂(1)〜(8)、吸水材(1)〜(9)および比較吸収材(1)、(2)を植物育成用保水材として使用した場合の発芽勢指数、発根勢指数についてもあわせて表1に記載した。
【0112】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の粒子状吸水材は、生分解性および吸水倍率に優れ、かつ植物の育成に必要なカルシウムを含むため、特に植物育成用に好適に使用することができる。例えば、砂漠や砂地においての緑化や農業用途において潅水効率が高く、有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性樹脂とカルシウム化合物とを含む粒子状吸水材であって、該カルシウム化合物の含有量が該吸水性樹脂の固形分に対して5〜50質量%であり、修正MITI法による生分解率が10%以上である粒子状吸水材。
【請求項2】
該カルシウム化合物が該吸水性樹脂の表面に存在することを特徴とする、請求項1記載の粒子状吸水材。
【請求項3】
該カルシウム化合物が、該吸水性樹脂の表面に付着および/または被覆または担持されている、請求項2記載の粒子状吸水材。
【請求項4】
該カルシウム化合物の20℃での100gのイオン交換水に対する溶解度が0を超えて10.0g以下である請求項1〜3のいずれかに記載の粒子状吸水材。
【請求項5】
該吸水性樹脂が、ポリアミノ酸の架橋体、多糖類の架橋体および/またはポリアセタールの架橋体からなる吸水性樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の粒子状吸水材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の粒子状吸水材を用いた植物育成用保水材。

【公開番号】特開2006−75054(P2006−75054A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261351(P2004−261351)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】