説明

生活習慣病改善および体力増強を目的とした運動処方に対する感受性を予測する方法

【課題】生活習慣病改善、介護予防等を目的とした運動処方に対する感受性の個人差が遺伝素因に起因するとの予測に基づき、このような感受性の遺伝子診断に用いることができる運動処方反応性遺伝子群を同定し、そのような運動処方反応性遺伝子群に基づき感受性を予測する方法を提案すること。
【解決手段】本発明者らは、運動処方反応性遺伝子群として、例えば、運動処方による収縮期血圧(最高血圧)の改善効果の予測に利用可能な次のものを見出した。
β2アドレナリン受容体(以下「ADRB2」という)遺伝子において、当該ADRB2の第175番目のアルギニン残基をコードするコドンがCGGであるかAGGであるかの一塩基多型
被験者の遺伝子から、このような運動処方反応性遺伝子を同定することにより、被験者の運動処方による効果改善性を予測でき、予測に基づき、被験者に最も適した運動処方を提案できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動処方(運動量、運動強度、運動時間、運動頻度などの指導)による各個人の改善効率(感受性)を遺伝子診断結果に基づいて予測する方法のうち、特に、生活習慣病改善や予防、および/もしくは、介護予防等のための体力増強を目的とした運動処方に対する感受性を予測する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧症、高脂血症、肥満、糖尿病などの生活習慣病は生活習慣が主な発症原因であると考えられている疾患の総称である。その原因としては生活習慣を含む環境因子に加えて遺伝素因が複雑に関与している。これらの疾患は虚血性心疾患、脳卒中、腎不全等の発症に強く関与する。したがって、これらの生活習慣病の改善や予防により、これらの重篤な疾患の発症を抑制できると考えられる。
【0003】
生活習慣病の治療は非薬物療法と薬物療法からなる。薬物療法は比較的高価であり、予測されている患者数の増加とあいまって、国民医療費、およびその今後のあり方にも大きな影響を与えている。
【0004】
一方、生活習慣病の改善や予防には生活習慣の改善、すなわち食生活の改善や運動(運動処方)が有効である。中でも運動は薬物療法と比較して費用も安価であり、特に症状が軽度である場合には薬物療法の前に運動処方が推奨される。
【0005】
しかしながら、運動による生活習慣病改善に関する感受性(程度、対象)には個人差がある。すなわち、同じ運動処方を実践しているにもかかわらず有意な生活習慣病の改善効果が得られる者がいる一方で、改善効果がほとんど認められない者や改善すべき対象以外にのみ改善効果が認められる者も存在する。前者では運動処方の適用により薬物療法を処方することなく効果的かつ経済的に生活習慣病を改善していけることが期待できる。後者では運動処方を取り入れることはむしろ患者に無用な負担および疾患重篤化への時間を与えるなどの不利益をもたらすことになる。
【0006】
もしも運動による生活習慣病改善に関する感受性を個人ごとに予測することができれば、非薬物療法か薬物療法かの診療方針の決定に極めて有用である。また、感受性の予測結果に基づいて、その人にとって効果的な運動処方(運動量、運動強度、運動時間、運動頻度などの指導)を行うことも可能となる。
【0007】
生活習慣病に対する罹り易さ、罹りにくさについての個人差の一部が遺伝素因に起因することから、運動による生活習慣病改善に関する感受性の個人差もまた遺伝素因に起因することが予測される。しかしながら、この点に関する科学的根拠(報告)はほとんど無いのが現状である。
【0008】
なお、特許文献1には、遺伝子情報に基づき高血圧症のリスクを予測する診断法が開示されており、特許文献2には、遺伝子情報に基づき心血管系疾患の危険性を診断するための方法が開示されている。また、特許文献3には、遺伝子情報に基づき個体の運動能力を予測する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−67902号公報
【特許文献2】特表2001−509024号公報
【特許文献3】特表2005−538710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、生活習慣病改善や予防を目的とした運動処方に対する感受性の個人差も遺伝素因に起因するとの予測に基づき、このような感受性の遺伝子診断に用いることができる運動処方反応性遺伝子群を同定し、そのような運動処方反応性遺伝子群に基づき感受性を予測する方法を提案することにある。
【0010】
また、本発明の課題は、生活習慣病予防や介護予防などに有効であることが認められている体力増強を目的とした運動処方に対する感受性の個人差も遺伝素因に起因するとの予測に基づき、このような感受性の遺伝子診断に用いることができる運動処方反応性遺伝子群を同定し、そのような運動処方反応性遺伝子群に基づき感受性を予測する方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、以下の(ア)〜(オ)の遺伝子多型が運動処方による収縮期血圧(最高血圧)の改善効果の予測に利用可能であることを見出した。
【0012】
(ア)β2アドレナリン受容体(以下「ADRB2」という)遺伝子において、米国National center for Biotechnology Information (以下NCBIという)データベース登録番号rs1042718により規定される一塩基多型、すなわち当該ADRB2の第175番目のアルギニン残基をコードするコドンがCGGであるかAGGであるかの一塩基多型
(イ)アルギニンバゾプレッシン1A受容体(以下「AVPR1A」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs1042615により規定される一塩基多型、すなわち当該AVPR1Aの第136番目のフェニルアラニン残基をコードするコドンがTTTであるかTTCであるかの一塩基多型
(ウ)レジスチン(以下「RETN」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs1862513により規定される一塩基多型、すなわち当該遺伝子の翻訳開始点に対して420ヌクレオチド上流に位置するヌクレオチドにおける塩基がシトシン残基(C)であるかグアニン残基(G)であるかの一塩基多型
(エ)RETN遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs3745367により規定される一塩基多型、すなわち当該遺伝子の第2イントロンの181番目に位置するヌクレオチドにおける塩基がアデニン残基(A)であるかグアニン残基(G)であるかの一塩基多型
(オ)メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(以下「MTHFR」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs2274976により規定される一塩基多型、すなわちMTHFRの第594番目のアミノ酸をコードするコドンがアルギニン残基をコードするCGGであるかグルタミン残基をコードするCAGであるかの一塩基多型
【0013】
本発明者らは、下記の(カ)および(キ)の遺伝子多型が、それぞれ、運動処方による血中総コレステロール濃度の改善効果の予測、および/または、血中LDLコレステロール濃度の改善効果の予測に利用可能であることを見出した。
【0014】
(カ)アポリポプロテインC3(以下「APOC3」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs5128により規定される一塩基多型、すなわち当該遺伝子の翻訳終止コドンに対して40ヌクレオチド下流に位置するヌクレオチドにおける塩基がシトシン残基(C)であるかグアニン残基(G)であるかの一塩基多型
(キ)アンジオテンシン変換酵素(以下「ACE」という)遺伝子において、当該遺伝子の第16イントロン内での287塩基対のポリヌクレオチド鎖の挿入・欠失多型(I/D多型)
【0015】
本発明者らは、上記の(キ)と、次の(ク)〜(コ)の遺伝子多型が、運動処方による体脂肪率の減少効果の予測に利用可能であることを見出した。
【0016】
(ク)β3アドレナリン受容体(以下「ADRB3」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs4994により規定される一塩基多型、すなわちADRB3の第64番目のアミノ酸をコードするコドンがアルギニン残基をコードするCGGであるかトリプトファン残基をコードするTGGであるかの一塩基多型
(ケ)ADRB3遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs2071493により規定される一塩基多型、すなわち当該遺伝子の第1イントロンの930番目に位置するヌクレオチドにおける塩基がアデニン残基(A)であるかグアニン残基(G)であるかの一塩基多型
(コ)α1Aアドレナリン受容体(以下「ADRA1A」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs1383914により規定される一塩基多型、すなわち当該遺伝子の翻訳開始点に対して563ヌクレオチド上流に位置するヌクレオチドにおける塩基がアデニン残基(A)であるかグアニン残基(G)であるかの一塩基多型
【0017】
本発明者らは、下記の(サ)および(シ)の遺伝子多型が、それぞれ、運動処方による最大酸素摂取量の改善効果の予測に利用可能であることを見出した。
【0018】
(サ)血管内皮リパーゼ(以下「LIPG」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs2000813により規定される一塩基多型、すなわちLIPGの第111番目のアミノ酸をコードするコドンがスレオニン残基をコードするACAであるかイソロイシン残基をコードするATAであるかの一塩基多型
(シ)ステアリン酸CoA脱飽和酵素(以下「SCD」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs3793768により規定される一塩基多型、すなわち当該遺伝子の第4イントロンの1386番目に位置するヌクレオチドにおける塩基がグアニン残基(G)であるかチミン残基(T)であるかの一塩基多型
【0019】
本発明者らは、下記の(ス)の遺伝子多型が、運動処方による最大酸素摂取量、最大心拍数、BMI、および血糖値の改善効果の予測に利用可能であることを見出した。
【0020】
(ス)ADRB2遺伝子において、ADRB2の第16番目のアミノ酸をコードするコドンが、アルギニン残基をコードするAGAであるかグリシン残基をコードするGGAであるかの一塩基多型
【0021】
本発明者らは、下記の(セ)の遺伝子多型が、運動処方によるBMIの改善効果の予測に利用可能であることを見出した。
【0022】
(セ)Secreted frizzled-related protein 2(以下「SFRP2」という)遺伝子において、NCBIデータベース登録番号rs3810765により規定される一塩基多型、すなわちSFRP2遺伝子の第1イントロンの6番目に位置するヌクレオチドにおける塩基がシトシン残基(C)かチミン残基(T)かの一塩基多型
【0023】
本発明の運動処方に対する感受性を予測する方法は、かかる知見に基づくものであり、生活習慣病改善および/または体力増強を目的とした運動処方に対する感受性の個人差を引き起こす運動処方反応性遺伝子の型を、被験者から採取した検体で調べ、前記運動処方反応性遺伝子の型に基づき、被験者の生活習慣病改善および/または体力増強を目的とした運動処方に対する感受性を予測することを特徴としている。
【0024】
運動処方反応性遺伝子には、下記(1)〜(11)の遺伝子のうちの少なくとも1つが含まれている。
【0025】
(1)β2アドレナリン受容体(以下「ADRB2」という。)遺伝子
(2)アルギニンバゾプレッシン1A受容体(以下「AVPR1A」という)遺伝子
(3)レジスチン(以下「RETN」という)遺伝子
(4)メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(以下「MTHFR」という)遺伝子
(5)アポリポプロテインC3(以下「APOC3」という)遺伝子
(6)アンジオテンシン変換酵素(以下「ACE」という)遺伝子
(7)β3アドレナリン受容体(以下「ADRB3」という)遺伝子
(8)α1Aアドレナリン受容体(以下「ADRA1A」という)遺伝子
(9)血管内皮リパーゼ(以下「LIPG」という)遺伝子
(10)ステアリン酸CoA脱飽和酵素(以下「SCD」という)遺伝子
(11)Secreted frizzled-related protein 2(以下「SFRP2」という)遺伝子
【発明の効果】
【0026】
本発明者らは、被験者から採取した血液などの検体から上記の運動処方反応性遺伝子を同定し、同定結果に基づき、各個人の運動処方に対する反応(感受性)の差を予測できることを確認した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の予測方法では、予め、運動処方反応性遺伝子を見つけ、運動処方反応性遺伝子の型ごとに、生活習慣病改善および体力増強を目的とした運動処方に対する感受性を調べておく。そして、被験者の血液などの試料を採取し、そこから核酸分子を抽出し、周知の同定方向により運動処方反応性遺伝子の型を同定する。この結果に基づき、運動処方、例えば、インターバル速歩による生活習慣病改善および体力増強に関する感受性(改善効率)を予測する。そして例えば、生活習慣病の改善効果を十分に期待できないと予測された被験者に対しては、薬物療法を採用するなどの処方を決定する。なお、本発明の方法は、運動処方反応性遺伝子を保有する全ての動物(マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、サル等)に対しても同様に適用可能である。
【実施例】
【0028】
まず、運動処方反応性遺伝子を見つけるために実施した遺伝子解析について説明する。以下の遺伝子解析においては、松本市熟年体育大学においてインターバル速歩による運動処方を6ヶ月間継続的に実施した女性201人(平均年齢64.8±6.1歳)、および男性99人(平均年齢70.1±6.0歳)を対象とした。
【0029】
インターバル速歩とは、通常歩行(もしくは緩歩)と速歩を、例えば3分ずつのような一定間隔で繰り返す運動方法であり、具体的な運動方法の典型例は次の通りである。歩き出し/歩き終わりは通常歩行する。通常歩行は、速歩時の呼吸の乱れを整えるくらいの歩行速度と時間が目安となる。速歩は腕を大きく振り、歩幅を大きく取り、速く歩く。このとき、個人の体力に応じてあらかじめ設定した目標運動強度を超える速さで歩く。速歩は開始から終了まで、同じ速度を保てるように歩く。
【0030】
血圧、血中総コレステロール濃度、LDLコレステロール濃度、体脂肪率、最大酸素摂取量、およびBMIに関する初期値、並びに、6ヶ月間の運動継続後の値を計測し、両者の差(変化値)を算出した。
【0031】
最高血圧改善効果の解析は、最高血圧の初期値が臨床的に高血圧と定義される基準値である140mmHg以上であった女性59人および男性42人を対象とした。
【0032】
総コレステロール濃度の改善効果の解析は、血中総コレステロール濃度の初期値が臨床的に高脂血症と定義される基準値である220mg/dl以上であった女性96人および男性31人を対象とした。
【0033】
LDLコレステロール濃度の改善効果の解析は、血中LDLコレステロール濃度の初期値が臨床的に高脂血症と定義される基準値である140mg/dl以上であった女性79人および男性31人を対象とした。
【0034】
体脂肪率の改善効果の解析は、体脂肪率の初期値が30%以上であった女性143人を対象とした。
【0035】
最大酸素摂取量の改善効果の解析は、全被験者を対象とした。
【0036】
BMIの改善効果の解析は、BMIの初期値が臨床的に肥満と定義される基準値である25以上であった女性40人および男性24人を対象とした。
【0037】
遺伝子解析に先立ち、被験者全員から遺伝子解析についてのインフォームドコンセントを取得し、連結可能匿名化した。
【0038】
(実施例1:ADRB2遺伝子内のrs1042718多型と運動による最高血圧改善効果との関連)
ADRB2遺伝子内のrs1042718多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0039】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による最高血圧の低下量を比較した。その結果を下記の表1に示す。
【0040】
[表1]
ADRB2遺伝子内rs1042718多型におけるAA型保有者とCアレル保有者との間での、
運動による最高血圧の低下量の比較(t検定)

【0041】
最高血圧低下量の比較において、AA型保有者では5.2±12.4mmHgであるのに対し、Cアレル保有者では13.0±12.0mmHgであり、有意差が認められた(P=0.0053)。
【0042】
(実施例2:AVPR1A遺伝子内のrs1042615多型と運動による最高血圧改善効果との関連)
AVPR1A遺伝子内のrs1042615多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0043】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による最高血圧の低下量を比較した。その結果を下記の表2に示す。
【0044】
[表2]
AVPR1A遺伝子内rs1042615多型におけるCC型保有者とTアレル保有者との間での、
運動による最高血圧の低下量の比較(t検定)

【0045】
最高血圧低下量の比較において、CC型保有者では4.0±14.1mmHgであるのに対し、Tアレル保有者では12.8±11.7mmHgであり、有意差が認められた(P=0.0029)。
【0046】
実施例3:RETN遺伝子内のrs1862513多型と運動による最高血圧改善効果との関連)
RETN遺伝子内のrs1862513多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0047】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による最高血圧の低下量を比較した。その結果を下記の表3に示す。
【0048】
[表3]
RETN遺伝子内rs1862513多型におけるCC型保有者とGアレル保有者との間での、
運動による最高血圧の低下量の比較(t検定)

【0049】
最高血圧低下量の比較において、CC型保有者では1.8±10.3mmHgであるのに対し、Gアレル保有者では11.7±12.8mmHgであり、有意差が認められた(P=0.0199)。
【0050】
(実施例4:RETN遺伝子内のrs3745367多型と運動による最高血圧改善効果との関連)
RETN遺伝子内のrs3745367多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0051】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による最高血圧の低下量を比較した。その結果を下記の表4に示す。
【0052】
[表4]
RETN遺伝子内rs3745367多型におけるAA型保有者とGアレル保有者との間での、
運動による最高血圧の低下量の比較(t検定)

【0053】
最高血圧低下量の比較において、AA型保有者では2.5±11.1mmHgであるのに対し、Gアレル保有者では11.9±12.7mmHgであり、有意差が認められた(P=0.0123)。
【0054】
(実施例5:MTHFR遺伝子内のrs2274976多型と運動による最高血圧改善効果との関連)
MTHFR遺伝子内のrs2274976多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0055】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による最高血圧の低下量を比較した。その結果を下記の表5に示す。
【0056】
[表5]
MTHFR遺伝子内rs2274976多型におけるGG型保有者とAアレル保有者との間での、
運動による最高血圧の低下量の比較(t検定)

【0057】
最高血圧低下量の比較において、GG型保有者では11.7±13.1mmHgであるのに対し、Aアレル保有者では4.3±9.3mmHgであり、有意差が認められた(P=0.0429)。
【0058】
(実施例6:APOC3遺伝子内のrs5128多型と運動による血中総コレステロール濃度、およびLDLコレステロール濃度改善効果との関連)
APOC3遺伝子内のrs5128多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0059】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による血中総コレステロール濃度の変化量を比較した。その結果を下記の表6Aに示す。
【0060】
[表6A]
APOC3遺伝子内rs5128多型におけるCC型保有者とGアレル保有者との間での、
運動による血中総コレステロール濃度の変化量の比較(t検定)

【0061】
血中総コレステロール濃度変化量の比較において、CC型保有者では+4.7±15.7mg/dlであるのに対し、Gアレル保有者では-10.5±17.7mg/dlであり、有意差が認められた(P=0.0012)。
【0062】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による血中LDLコレステロール濃度の変化量を比較した。その結果を下記の表6Bに示す。
【0063】
[表6B]
APOC3遺伝子内rs5128多型におけるCC型保有者とGアレル保有者との間での、
運動による血中LDLコレステロール濃度の変化量の比較(t検定)

【0064】
血中LDLコレステロール濃度変化量の比較において、CC型保有者では+1.6±16.0 mg/dlであるのに対し、Gアレル保有者では-10.1±18.8 mg/dlであり、有意差が認められた(P=0.003)。
【0065】
(実施例7:ACE遺伝子内のI/D多型と運動による血中LDLコレステロール濃度改善効果との関連)
ACE遺伝子内のI/D多型に関し、被験者についてPCR/アガロースゲル電気泳動法によるタイピングを行なった。
【0066】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による血中LDLコレステロール濃度の変化量を比較した。その結果を下記の表7に示す。
【0067】
[表7]
ACE遺伝子内I/D多型におけるDD型保有者とIアレル保有者との間での、
運動による血中LDLコレステロール濃度の変化量の比較(t検定)

【0068】
血中LDLコレステロール濃度変化量の比較において、DD型保有者では-23.0±22.1mg/dlであるのに対し、Iアレル保有者では-7.0±17.4mg/dlであり、有意差が認められた(P=0.0059)。
【0069】
(実施例8:ADRB3遺伝子内のrs4994多型と運動による体脂肪率改善効果との関連)
ADRB3遺伝子内のrs4994多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0070】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による体脂肪率の低下量を比較した。その結果を下記の表8に示す。
【0071】
[表8]
ADRB3遺伝子内rs4994多型におけるTT型保有者とCアレル保有者との間での、
運動による体脂肪率の低下量の比較(t検定)

【0072】
体脂肪率低下量の比較において、TT型保有者では1.35±1.13%であるのに対し、Cアレル保有者では2.32±1.33%であり、有意差が認められた(P<0.0001)。
【0073】
(実施例9:ADRB3遺伝子内のrs2071493多型と運動による体脂肪率改善効果との関連)
ADRB3遺伝子内のrs2071493多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0074】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による体脂肪率の低下量を比較した。その結果を下記の表9に示す。
【0075】
[表9]
ADRB3遺伝子内rs2071493多型におけるGG型保有者とAアレル保有者との間での、
運動による体脂肪率の低下量の比較(t検定)

【0076】
体脂肪率低下量の比較において、GG型保有者では1.34±1.13%であるのに対し、Aアレル保有者では2.32±1.33%であり、有意差が認められた(P<0.0001)。
【0077】
(実施例10:ADRA1A遺伝子内のrs1383914多型と運動による体脂肪率改善効果との関連)
ADRA1A遺伝子内のrs1383914多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0078】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による体脂肪率の低下量を比較した。その結果を下記の表10に示す。
【0079】
[表10]
ADRA1A遺伝子内rs1383914多型におけるAA型保有者とGアレル保有者との間での、
運動による体脂肪率の低下量の比較(t検定)

【0080】
体脂肪率低下量の比較において、AA型保有者では2.22±1.21%であるのに対し、Gアレル保有者では1.51±1.27%であり、有意差が認められた(P=0.0063)。
【0081】
(実施例11:ACE遺伝子内のI/D多型と運動による体脂肪率改善効果との関連)
ACE遺伝子内のI/D多型に関し、被験者についてPCR/アガロースゲル電気泳動法によるタイピングを行なった。
【0082】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による体脂肪率の低下量を比較した。その結果を下記の表11に示す。
【0083】
[表11]
ACE遺伝子内I/D多型におけるDD型保有者とIアレル保有者との間での、
運動による体脂肪率の低下量の比較(t検定)

【0084】
体脂肪率低下量の比較において、DD型保有者では2.79±1.01%であるのに対し、Iアレル保有者では1.54±1.24%であり、有意差が認められた(P=0.0004)。
【0085】
(実施例12:LIPG遺伝子内のrs2000813多型と運動による最大酸素摂取量改善効果との関連)
LIPG遺伝子内のrs2000813多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0086】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による最大酸素摂取量の増加量を比較した。その結果を下記の表12に示す。
【0087】
[表12]
LIPG遺伝子内rs2000813多型におけるCC型保有者とTアレル保有者との間での、
運動による最大酸素摂取量増加量の比較(t検定)

【0088】
最大酸素摂取量増加量の比較において、CC型保有者では3.5±3.2 ml/kg/minであるのに対し、Tアレル保有者では1.1±3.4 ml/kg/minであり、有意差が認められた(P=0.003)。
【0089】
(実施例13:SCD遺伝子内のrs3793768多型と運動による最大酸素摂取量改善効果との関連)
SCD遺伝子内のrs3793768多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0090】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動による最大酸素摂取量の増加量を比較した。その結果を下記の表13に示す。
【0091】
[表13]
SCD遺伝子内rs3793768多型におけるGG型保有者とCアレル保有者との間での、
運動による最大酸素摂取量の増加量の比較(t検定)

【0092】
最大酸素摂取量増加量の比較において、GG型保有者では0.2±2.2 ml/kg/minであるのに対し、Cアレル保有者では1.5±3.6 ml/kg/minであり、有意差が認められた(P =0.03)。
【0093】
(実施例14:SFRP2遺伝子内のrs3810765多型と運動によるBMI改善効果との関連)
SFRP2遺伝子内のrs3810765多型に関し、被験者についてTaqMan PCR法によるタイピングを行なった。
【0094】
次いで、得られたデータをt検定によって解析し、各遺伝子型保有者間で運動によるBMIの低下量を比較した。その結果を下記の表14に示す。
【0095】
[表14]
SFRP2遺伝子内rs3810765多型におけるTT型保有者とCアレル保有者との間での、
運動によるBMI低下量の比較(t検定)

【0096】
BMI低下量の比較において、TT型保有者では0.26±0.58であるのに対し、Cアレル保有者では0.70±0.62あり、有意差が認められた(P=0.01)。
【0097】
(実施例15:ADRB2遺伝子中の多型と体力増強効果などとの関連)
実施例15では、実施例1〜14と同様に、松本市熟年体育大学においてインターバル速歩による運動処方を実施した者を対象としたが、実施期間は17ヶ月間とした。
【0098】
ADRB2の第16番目のアミノ酸の多型において、Arg16/Arg型(n=44)を有する者と、Gly16/Gly型(n=87)を有する者を比較した場合、トレーニング期間中のウォーキング実施率は、Arg16/Arg型保有者0.50±0.03、Gly16/Gly型保有者0.52±0.02で、群間に有意差を認めなかった。期間中の速歩時間はArg16/Arg型保有者24±1、Gly16/Gly型保有者24±1min/dayで、群間に有意差を認めなかった。速歩エネルギー消費量はArg16/Arg型保有者103±8、Gly16/Gly型保有者104±6kcal/dayで、群間に有意差を認めなかった。
【0099】
トレーニング前の最大酸素摂取量は、Arg16/Arg型保有者で21.7±0.6、Gly16/Gly型保有者で20.6±0.4ml/min/kgと群間に有意差を認めなかった。17ヶ月間のインターバルトレーニング後にArg16/Arg型保有者で27.1±0.9、Gly16/Gly型保有者では25.3±0.5ml/min/kgに上昇し、その値はGly16/Gly型保有者と比較して、Arg16/Arg型保有者で高値だった(P<0.05)。
【0100】
トレーニング前の持久力測定時の最大心拍数は、Arg16/Arg型保有者で127±2、Gly16/Gly型保有者で124±2beats/minと群間に有意差を認めなかった。17ヶ月間のインターバルトレーニング後にArg16/Arg型保有者で143±2、Gly16/Gly型保有者で136±2beats/minに上昇し、その値はGly16/Gly保有者と比較して、Arg16/Arg型保有者で高値だった(P<0.05)。
【0101】
トレーニング前のBMIは、Arg16/Arg型保有者で23.6±0.5、Gly16/Gly型保有者で24.1±0.4kg/m2と群間に有意差を認めなかった。17ヶ月間のインターバルトレーニング後にArg16/Arg型保有者で22.4±0.4、Gly16/Gly型保有者では23.2±0.3kg/m2に低下し、その値はGly16/Gly型保有者と比較して、Arg16/Arg型保有者で低い傾向を示した。
【0102】
トレーニング前の血糖値は、Arg16/Arg型保有者で104±2、Gly16/Gly型保有者で110±2mg/dlとArg16/Arg型保有者で有意に低値であった(P<0.05)。17ヶ月間のインターバルトレーニング後にArg16/Arg型保有者で97±2、Gly16/Gly型保有者では104±2mg/dlに低下し、その値はGly16/Gly型保有者と比較して、Arg16/Arg型保有者で低値であった(P<0.05)。
【0103】
以上のように、いくつかの運動処方反応性遺伝子が見つかり、また、それぞれの運動処方反応性遺伝子の型ごとに、生活習慣病改善および/または体力増強を目的とした運動処方に対する感受性が明らかになった。
【0104】
次に、被験者の血液などの試料を採取し、そこから核酸分子を抽出し、周知の同定方向により運動処方反応性遺伝子の型を同定する。そして、この結果に基づき、例えば、インターバル速歩による生活習慣病改善および体力増強に関する感受性(改善効率)を予測する。そして例えば、生活習慣病の改善効果を十分に期待できないと予測された被験者に対しては、薬物療法を採用するなどの処方を決定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生活習慣病改善および/または体力増強を目的とした運動処方に対する感受性について、特定の遺伝子あるいは遺伝子群(以下、運動処方反応性遺伝子あるいは運動処方反応性遺伝子群という)の型を調べ、
前記運動処方反応性遺伝子あるいは運動処方反応性遺伝子群の型に基づき、被験者の生活習慣病改善および/または体力増強を目的とした運動処方に対する感受性を予測することを特徴とする、運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記運動処方反応性遺伝子は、複数の遺伝子型(以下、多型という)が存在し、運動処方に対する感受性が、少なくとも2つ以上の遺伝子型間で統計解析の結果有意に異なることを特徴とする、運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記運動処方反応性遺伝子は、下記(1)〜(11)のうちの少なくとも1つの遺伝子であることを特徴とする、運動処方に対する感受性を予測する方法。
(1)β2アドレナリン受容体(以下「ADRB2」という。)遺伝子
(2)アルギニンバゾプレッシン1A受容体(以下「AVPR1A」という)遺伝子
(3)レジスチン(以下「RETN」という)遺伝子
(4)メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(以下「MTHFR」という)遺伝子
(5)アポリポプロテインC3(以下「APOC3」という)遺伝子
(6)アンジオテンシン変換酵素(以下「ACE」という)遺伝子
(7)β3アドレナリン受容体(以下「ADRB3」という)遺伝子
(8)α1Aアドレナリン受容体(以下「ADRA1A」という)遺伝子
(9)血管内皮リパーゼ(以下「LIPG」という)遺伝子
(10)ステアリン酸CoA脱飽和酵素(以下「SCD」という)遺伝子
(11)Secreted frizzled-related protein 2(以下「SFRP2」という)遺伝子
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項において、
前記感受性は、次のいずれか一つ、もしくは、複数であることを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
a) 血圧の改善効果
b) 血中総コレステロール濃度の改善効果
c)血中LDLコレステロール濃度の改善効果
d)体脂肪率の改善効果
e)Body Mass Index(以下BMIという)の改善効果
f)血糖値の改善効果
g)最大酸素摂取量の改善効果
h)最大心拍数の改善効果
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項において、
前記運動処方には、運動量、運動強度、運動時間および運動頻度のうちの少なくとも一つの指導が含まれることを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項6】
請求項1において、
検体のADRB2遺伝子における塩基配列中の第175番目のアルギニン残基をコードするコドンがCGGおよびAGGのいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、収縮期血圧(最高血圧)の改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項7】
請求項1において、
検体のADRB2遺伝子において、ADRB2の第16番目のアミノ酸をコードするコドンがアルギニン残基をコードするAGAおよびグリシン残基をコードするGGAのいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、最大酸素摂取量、最大心拍数、BMI、および血糖値の少なくとも一つの改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項8】
請求項1において、
検体のAVPR1A遺伝子において、AVPR1Aの第136番目のフェニルアラニン残基をコードするコドンが、TTTおよびTTCのいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、収縮期血圧(最高血圧)の改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項9】
請求項1において、
検体のRETN遺伝子における翻訳開始点に対して420ヌクレオチド上流に位置するヌクレオチドにおける塩基がシトシン残基(C)およびグアニン残基(G)のいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、収縮期血圧(最高血圧)の改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項10】
請求項1において、
検体のRENT遺伝子における第2イントロンの181番目に位置するヌクレオチドの塩基が、アデニン残基(A)およびグアニン残基(G)のいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、収縮期血圧(最高血圧)の改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項11】
請求項1において、
検体のMTHFR遺伝子において、MTHFRの第594番目のアミノ酸をコードするコドンが、アルギニン残基をコードするCGGおよびグルタミン残基をコードするCAGのいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、収縮期血圧(最高血圧)の改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項12】
請求項1において、
検体のAPOC3遺伝子の翻訳終止コドンに対して40ヌクレオチド下流に位置するヌクレオチドにおける塩基がシトシン残基(C)およびグアニン残基(G)のいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、血中総コレステロール濃度、および血中LDLコレステロール濃度の少なくとも一つの改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項13】
請求項1において、
検体のACE遺伝子の第16イントロン内での287塩基対のポリヌクレオチド鎖の挿入・欠失多型を同定し、
同定結果に基づき、血中LDLコレステロール濃度の改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項14】
請求項1において、
検体のADRB3遺伝子において、ADRB3の第64番目のアミノ酸をコードするコドンがアルギニン残基をコードするCGGおよびトリプトファン残基をコードするTGGのいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、体脂肪率の減少効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項15】
請求項1において、
検体のADRB3遺伝子の第1イントロンの930番目に位置するヌクレオチドにおける塩基がアデニン残基(A)およびグアニン残基(G)のいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、体脂肪率の減少効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項16】
請求項1において、
検体のADRA1A遺伝子の翻訳開始点に対して563ヌクレオチド上流に位置するヌクレオチドにおける塩基がアデニン残基(A)およびグアニン残基(G)のいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、体脂肪率の減少効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項17】
請求項1において、
検体のACE遺伝子の第16イントロン内での287塩基対のポリヌクレオチド鎖の挿入・欠失多型を同定し、
同定結果に基づき、体脂肪率の減少効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項18】
請求項1において、
検体のLIPG遺伝子において、LIPGの第111番目のアミノ酸をコードするコドンが、スレオニン残基をコードするACAおよびイソロイシン残基をコードするATAのいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、持久性体力の指標である最大酸素摂取量の改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項19】
請求項1において、
検体のSCD遺伝子の第4イントロンの1386番目に位置するヌクレオチドにおける塩基がグアニン残基(G)およびチミン残基(T)のいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、持久性体力の指標である最大酸素摂取量の改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。
【請求項20】
請求項1において、
検体のSFRP2遺伝子の第1イントロンの6番目に位置するヌクレオチドにおける塩基がシトシン残基(C)およびチミン残基(T)のいずれの一塩基多型であるのかを同定し、
同定結果に基づき、BMIの改善効果を予測することを特徴とする運動処方に対する感受性を予測する方法。


【公開番号】特開2009−22252(P2009−22252A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191507(P2007−191507)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(506320336)特定非営利活動法人熟年体育大学リサーチセンター (5)
【出願人】(594175249)キッセイコムテック株式会社 (6)
【Fターム(参考)】