説明

生物学的および生化学的サンプルの蛍光測定用低バックグラウンドマルチウェルプレート

【課題】低蛍光性および高透過性を有する層を含むマルチウェルプレートおよびプラットフォームを提供する。
【解決手段】シクロオレフィンコポリマーを含む、低蛍光性および高透過性を有する層を、ポリマープラットフォームに熱溶接することを含み、前記層が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じるマルチウェルプレートおよびプラットフォームは蛍光測定に特によく適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、分光測定法に使用するためのシクロオレフィン製マルチウェルプレートおよびプラットフォーム、ならびにかかる装置の製造方法に関する。マルチウェルプレートおよびプラットフォームは、特に化学的または生物学的サンプルの蛍光測定に有用である。
【背景技術】
【0002】
多くのマルチウェルプレートが、細胞培養、および化学アッセイまたは細胞アッセイの実施のため市販されている。これらのマルチウェルプレートの多くには望ましい生体適合特性、製造の容易性および実質的完全性(integrity)が備わっているが、本発明者らは、一般にこれらのプレート、特にポリマー製底部を有するプレートが、実質的に強い蛍光には不都合であることを見出した。ポリマー製底部を有する市販のプレートに固有の比較的多量のバックグラウンド蛍光は、一般にかかるプレートを、多くのアッセイ、特にマイクロリットル量以下のアッセイに関する高感度蛍光測定に関して不都合にさせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の発明者らは、結合アッセイまたは細胞に基づくアッセイのような化学的および生物学的事象のためのマルチウェルプレートおよびプラットフォームの、化学的および生物学的技術における必要性を認めた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、かかる用途のためのマルチウェルプレートおよびプラットフォームを製造するのに適切な物質に関する選択基準を作成した。選択基準の鍵となる例(本明細書にさらに十分に記載されている)として、本発明者らは、それらの蛍光および透過率をはじめとする化学的および生物学的事象の分光測定との適合性に関する様々なポリマーのスペクトル特性を調査した。必ずしもその用途に依存している必要はないが、生体適合性を有し、比較的化学的に不活性であり、かつ目的(at hand)の用途に対して十分な堅牢性(rigidity)を有し、また製造も容易である物質もまた望ましいであろう。発明者らは、一部ポリマーの構造的特徴に基づいて試験するために、多様なポリマーを選択し、これを本明細書でさらに詳細に説明する。ポリマーに関する発明者らの調査には、エレクトロニクス技術および音声記録(audio recording)技術のようなシクロオレフィンポリマーに関連した技術をはじめとする、分光測定に関連しない分野の調査をも含めた。本発明者らは多様な物質を、比較的微弱な固有の蛍光性を有する溶融シリカ板(例えば、ガラス)と比較した。発明者らは、驚くべきことに、試験した多くのフィルムの中でシクロオレフィンフィルムが、溶融石英ガラスに近い(あるいはそれを上回りさえする)蛍光および透過特性を有するということ見出した。
【0005】
本明細書で説明するように、発明者らが初めて、アッセイにおいて優れた性能特性を示すシクロオレフィンを用いた、新規マルチウェルプレートを開発した。かかるマルチウェルプレートは、慣用の96-ウェルプレートまたはさらに密度の高いフォーマットに用いることができる。また、本発明者らは初めて、特にシクロオレフィンを用いて製造した場合に改善の余地のあるアッセイまたは反応部位に使用することのできる新規なプラットフォームも本明細書に記載する。かかるプレートおよびプラットフォームは診断法または化学薬品の合成のような他の用途にも用いることができる。
【0006】
概要
本発明は、マルチウェルプレートおよびプラットフォームのような、分光学的測定装置を包含する。典型的には、かかる装置は、シクロオレフィンポリマーを含んでなる低蛍光性かつ高透過性を有する層と、この層を保持するためのマルチウェルプレートまたはプラットフォームのいずれかのウェルとを含む。
【0007】
本発明のマルチウェルプレートは、シクロオレフィンポリマーを含んでなる低蛍光性かつ高透過性を有する層と、該層を保持または形成するためのウェルとを含む。シクロオレフィンは通常、該マルチウェルプレートのウェルの底面の表面の少なくとも一部を構成する。
【0008】
本発明のプラットフォームは、通常、シクロオレフィンポリマーまたは他の低蛍光性の物質を含んでなる低蛍光性かつ高透過性を有する層またはウィンドウと、該層を保持または形成するための足場またはフレームとを含む。該ウィンドウは所定の寸法を有し、フレームに二次元配列をはじめとする任意の幾何学的配列で複数のウィンドウとして配列することができる。いくつかの実施形態では、該ウィンドウは分光学的事象の検出を可能にし、この場合、光はしばしば該ウィンドウを通過する。他の実施形態では、該ウィンドウは、基本的に化学的な反応またはアッセイの検出を可能にする反応部位またはアッセイ部位となる。
【0009】
また本発明は、本発明のマルチウェルプレートおよびプラットフォームに関連した検出および製造方法も包含している。
【0010】
定義
特に断りのない限り、本明細書で用いられるすべての専門用語および科学用語は、本発明が属する当業者により通常理解されているものと同様の意味を有する。一般に、本明細書で用いられる学術用語、ならびに以下に記載する分光学、薬剤発見、細胞培養、分子遺伝学、プラスチック製品、ポリマー化学、診断法、アミノ酸および核酸化学、および以下に記載の糖化学における実験室手法は周知なものであり、当該技術分野で通常使用されている。プラスチックの製造、シグナル検出、組換え核酸法、ポリヌクレオチド合成および微生物培養、および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)には標準的な技法が典型的に使用される。この技術および手法は一般に、当該技術分野において慣用の方法および本明細書の至るところで見られる種々の総説文献(概略的には、蛍光性技術に関するSambrookら, MolecularCloning: A LaboratoryManual,第2版(1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press. Cold Spring Harbor.N.Y.,およびLakowicz J.R. Principlesof Fluorescence Spectroscopy, New York: Plenum Press(1983)を参照;これは引用により本明細書の一部とみなす)に従って実施される。標準的技法は、化学合成、化学分析、および生化学的アッセイにために使用される。本開示を通じて使用されているように、以下の用語は、特に断りのない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
【0011】
「蛍光供与部分」とは、エネルギーを吸収することができ、そしてそのエネルギーを別の蛍光性分子または化合物の一部に移動させることができる蛍光性(fluorogenic)化合物の基をいう。好適な供与蛍光性分子としては、限定されるものではないが、クマリン類および関連色素、フルオレセイン類、ロードル類およびローダミン類などのキサンテン色素、レゾルフィン類、シアニン色素、バイマン類、アクリジン類、イソインドール類、ダンシル色素、ルミノールおよびイソルミノール誘導体などのアミノフタル系ヒドラジド類、アミノフタルイミド類、アミノナフタルイミド類、アミノベンゾフラン類、アミノキノリン類、ジシアノヒドロキノン類、ならびにユウロピウムおよびテルビウム錯体、および関連化合物が挙げられる。
【0012】
「消光物質」とは、発光供与体に結合すると、該蛍光供与体からの発光を減ずることができる発色団分子または化合物の一部をいう。消光は、蛍光共鳴エネルギー移動、光誘導電子移動、項間交差の常磁性の増大、デキスター変換結合(Dexter exchange coupling)、および暗複合体の形成のような励起カップリングをはじめとするいくつかのメカニズムのいずれによっても起こり得る。
【0013】
「受容体」とは、蛍光共鳴エネルギー移動を介して作用する消光物質をいう。多数の受容体は、移動エネルギーを蛍光として再び放射することができる。例としては、クマリン類および関連発蛍光団、フルオレセイン類、ロードル類およびローダミン類などキサンテン類、レゾルフィン類、シアニン類、ジフルオロボラジアザインダセン類(difluoroboradiazadanenes)、およびフタロシアニン類が挙げられる。受容体の他の化学的クラスは、一般に移動エネルギーを再放射しない。例としては、インディゴ類、ベンゾキノン類、アントラキノン類、アゾ化合物、ニトロ化合物、インドアニリン類、ジ-フェニルメタンおよびトリフェニルメタン類が挙げられる。
【0014】
「結合対」とは、互いに親和性を有する2つの部分(例えば、化学的または生化学的)をいう。結合対の例としては、抗原/抗体、レクチン/アビジン、標的ポリヌクレオチド/プローブオリゴヌクレオチド、抗体/抗-抗体、受容体/リガンド、酵素/リガンドなどが挙げられる。「結合対の一方のメンバー」とは、抗原またはリガンドなどのその対の一方の部分をいう。
【0015】
「色素」とは、限定するものではないが、紫外線をはじめとする光の特定の周波数を吸収する化合物の分子または一部分をいう。「色素」および「発色団」は同義語である。
【0016】
「発蛍光団」とは、蛍光を発する発色団をいう。
【0017】
「膜-透過型誘導体」とは、非誘導体化合物と比較して膜透過性が増大した化合物の化学的誘導体をいう。例としては、エステル、エーテル、およびカルバメート誘導体が挙げられる。これらの誘導体は、親水性基がマスクされて疎水性のより高い誘導体としてあるので、細胞膜を通過すること、すなわち膜透過をより可能になる。また、マスキング基は細胞内で前駆体(例えば、蛍光性基質前駆体)から切断されて、細胞内に誘導基質を生成するよう設計されている。なぜなら、その基質は膜透過性誘導体よりも親水性が高いので、この時細胞内に捕捉される。
【0018】
「アルキル」とは、一般に、1〜8個の炭素原子、好ましくは、1〜6個の炭素原子、最も好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖よび環状脂肪族基をいう。「低級アルキル」とは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖アルキル基をいう。
【0019】
「脂肪族」とは、一般に、1〜10個の炭素原子、好ましくは、1〜6個の炭素原子、最も好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する飽和および不飽和アルキル基をいう。
【0020】
「熱溶融溶接」とは、熱により誘発された溶接をいう。熱源は、化学反応、外部熱源(例えば、加熱した熱板、超音波または空気)、または内部加熱(例えば、高周波数加熱)をはじめとする物質の(分離した、またはその他の)2つの部分間の結合度をいくらか促進するのに十分ないずれの供給源であってもよい。
【0021】
「単離ポリヌクレオチド」とは、ゲノム、cDNA、または合成起源の、もしくはそれらのいくつかの組み合わせのポリヌクレオチドをいい、その起源によって、「単離ポリヌクレオチド」は、(1)その「単離ポリヌクレオチド」が天然に見られる細胞とは会合しないか、または(2)天然では結合しないポリヌクレオチドに作動可能なように連結されている。
【0022】
「単離タンパク質」とは、cDNA、組換えRNA、または合成起源のタンパク質、もしくはそれらのいくつかの組み合わせのタンパク質をいい、その起源によって、「単離タンパク質」は、(1)通常は天然に見出されることがわかっているタンパク質とは会合しないか、または(2)それが通常存在している細胞から単離されているか、または(3)同一細胞源からの他のタンパク質を含まずに(例えば、ヒト・タンパク質を含まずに)単離されているか、または(4) 異なる種に由来する細胞によって発現されるか、または(5)天然には存在しないものである。「単離された天然のタンパク質」とは、その起源により、「単離された天然のタンパク質」が、(1)通常、天然に見出されるタンパク質とは会合しないか、または(2)それが通常存在する細胞から単離されているか、または(3)同一細胞源からの他のタンパク質を含まずに(例えば、ヒト・タンパク質を含まずに)単離されているタンパク質をいう。
【0023】
「ポリペプチド」とは、本明細書で一般用語として使用する場合、天然タンパク質、断片、またはポリペプチド配列の類似体をいう。従って、天然タンパク質、断片および類似体はポリペプチド類の種である。
【0024】
本明細書中で用いられ物質に適用される「天然に存在する」とは、物質が天然に見出すことができるという事実をいう。例えば、天然源から単離できる生物体(例えば、ウイルス)中に存在し、かつ、研究室にて人間により意図的に修飾されていないポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は天然に存在するものである。
【0025】
「作動可能なように連結した」とは、そのように記載された成分類を、それらを意図した方法で機能させることを可能にするような関係で並べること(juxtaposition)をいう。コード配列に「作動可能なように連結した」調節配列は、該コード配列の発現が調節配列に適合した条件下で達成されるように連結される。
【0026】
「調節配列」とは、それが連結されるコード配列および非コード配列の発現を達成するのに必要なポリヌクレオチド配列をいう。かかる調節配列の特性は宿主生物によって異なり;原核生物では、一般に、かかる調節配列にはプロモーター、リボゾーム結合部位および転写終結配列が含まれ;真核生物では、一般に、かかる調節配列には、プロモーターおよび転写終結配列が挙げられる。「調節配列」とは、最低でも、その存在が発現に影響を及ぼすことのできる構成要素を含むよう意図したものであり、存在すると有利である追加の構成要素、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列も含むことができる。
【0027】
「ポリヌクレオチド」とは、少なくとも10塩基長の重合型ポリヌクレオチドの重合形態であって、リボヌレオチド、またはデオキシヌクレオチドのいずれか、あるいは各種のヌクレオチド修飾型をいう。この用語は、DNAの一本鎖型および二本鎖型を包む。
【0028】
「対応する」とは、ポリヌクレオチド配列が、基準ポリヌクレオチド配列のすべて、または一部と相同である(すなわち、同一であり、厳密には進化的に無関係である)こと、またはポリペプチド配列が基準ポリペプチド配列と同一であることをいう。これに対し、本明細書中では、「相補的である」とは、相補的配列が基準ポリヌクレオチド配列のすべて、または一部に相同であることを意味するのに用いられる。例示すれば、ヌクレオチド配列「TATAC」は、基準配列「TATAC」に対応し、基準配列「GTATA」に相補的である。
【0029】
「ポリペプチド断片」とは、アミノ末端および/またはカルボキシル末端欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は通常、例えば全長cDNA配列から推定される天然に存在する配列中の対応位置と同一であるポリペプチドをいう。断片は典型的には、少なくとも5、6、8または10個のアミノ酸長、好ましくは少なくとも14個のアミノ酸長、より好ましくは少なくとも20個のアミノ酸長、通常は少なくとも50個のアミノ酸長、なおさらに好ましくは少なくとも70個のアミノ酸長である。
【0030】
「プレート」とは、その使用の意味に関して別段修正されない限り、マルチウェルプレートをいう。
【0031】
「調節(modulation)」とは、生物学的活性またはプロセス(例えば、酵素活性または受容体結合)の機能特性を増強または抑制するいずれかの能力をいい;かかる増強または抑制は、シグナル変換経路の活性化のような特定の事象が起こることを条件とし得るか、および/または、特定の細胞種にのみ現れ得る。
【0032】
「モジュレーター」とは、生物学的巨大分子(例えば、核酸、タンパク質、非ペプチド、または有機分子)などの(天然に存在する、または天然に存在しない)化学化合物、または細菌、植物、糸状菌、あるいは動物(特に、哺乳類動物)細胞もしくは組織などの生物学的物質より作製された抽出物をいう。モジュレーターは、本明細書に記載のスクリーニングアッセイについていう場合、生物学的プロセスの(直接的または間接的)インヒビターまたはアクチベーター(例えば、アゴニスト、部分アンタゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、抗新形成剤、細胞障害剤、新形成性形質転換または細胞増殖の阻害剤、細胞増殖促進剤など)としての潜在的な活性について評価される。モジュレーターの活性は既知であっても、未知であっても、または部分的に既知であってもよい。
【0033】
「試験化学薬品」とは、仮想上のモジュレーターとして、1以上の本発明のスクリーニング法により試験される化学薬品をいう。
【0034】
「標識」または「標識された」とは、例えば、放射性標識アミノ酸の組み込み、または標識されたアビジン(例えば、蛍光性マーカー、または光学的または比色的方法により検出され得る酵素活性を含有するストレプトアビジン)により検出され得るビオチン部分のペプチドへの結合による、検出可能なマーカーの組み込みをいう。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する種々の方法が当業者には公知であり、使用可能である。ポリペプチドに対する標識の例としては、限定されるものではないが、下記のものが挙げられる:放射性同位体(例えば、H、14C、35S、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド燐光体)、酵素標識(またはリポーター遺伝子)(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ラタマーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリ性ホスファターゼ)、化学発光、ビオチン基、二次リポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)により認識される所定のポリペプチドエピトープ。いくつかの実施形態では、標識は種々の長さのスペーサーアームにより結合して、可能性のある立体障害を低減させる。
【0035】
「蛍光標識」とは、例えば、標的に結合する化学物質(chemical entity)への蛍光部分の組み込み、またはアビジン(例えば、蛍光検出法により検出され得る、蛍光標識または酵素活性を含有するストレプトアビジン)により検出され得るビオチン部分のペプチドへの結合による、検出可能なマーカーの組み込みをいう。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する種々の方法が当業者には公知であり、使用可能である。ポリペプチドに対する標識の例としては、限定されるものではないが、色素(例えば、FITCおよびローダミン)、本質的には蛍光性タンパク質、およびランタニド燐光体が挙げられる。いくつかの実施形態では、標識は種々の長さのスペーサーアームにより結合して、潜在的な立体障害を低減させる。
【0036】
「リポーター遺伝子」とは、限定されるものではないが、ルシフェラーゼ、緑色蛍光性タンパク質、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、分泌された胎盤アルカリホスファターゼ、β-ラクタマーゼ、ヒト成長ホルモン、および他の分泌された酵素リポーターをはじめとする、その存在または活性のいずれかによって容易に検出可能なタンパク質をコードするヌクレオチド配列をいう。一般に、リポーター遺伝子は、細胞分析(例えば、細胞の直接蛍光分析、放射性同位体分析、または分光光度分析)により、好ましくはウェルのシグナル分析のために細胞を除去する必要なしに検出可能な、宿主細胞以外からは産生されないポリペプチドをコードする。その遺伝子は、転写活性の定性的、定量的または半定量的機能により検出可能な宿主細胞の蛍光特性に変化を生ずる酵素をコードすることが好ましい。例示の酵素としては、エステラーゼ、ホスファターゼ、プロテアーゼ(組織プラスミノーゲンアクチベーターまたはウロキナーゼ)、およびその作用が当業者に公知の適当な発色性または蛍光性物質によって検出され得る他の酵素が挙げられる。また、リポーター遺伝子のタンパク質、特に酵素も、例えば標的または標的に結合する化学物質のいずれかへの適切な結合の後に、生化学的アッセイにおけるプローブとして用いることができる。
【0037】
「透過率」とは、所与の波長において媒質を通過する入射光の画分をいう。それはまた、特定の波長における、媒質に入射する輻射力に対する、媒質を通って透過した輻射力の比とも考えられる。
【0038】
本明細書における他の化学用語は、The McGraw-Hill Dictionaryof Chemical Terms(Parker, S.編,1985、McGraw-Hill, San Francisco;引用により本明細書の一部とする)により例証されるように、当該技術分野における慣用の用法に従って使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明の範囲に非限定的に組み入れられるものとして、本発明はいくつかの一般的かつ有用な態様を包む、それは;
1)蛍光測定に有用なシクロオレフィンウェル底部を有するマルチウェルプレート、
2) 蛍光測定に有用なシクロオレフィン層またはウィンドウを有するプラットフォーム、
3)(1)および(2)を製造する方法、ならびに
4)(1)および(2)に部分的に基づいた検出方法およびシステム
を包含する。
【0040】
これら本発明の態様は、本明細書に記載の他のものと同様、本明細書に記載の内容の方法および組成物の使用により達成することができる。本発明の範囲についての十分な理解を得るために、本発明の種々の態様を組み合わせて、本発明の望ましい実施形態をなすことができるということがさらに認識されよう。
【0041】
マルチウェルプレートおよびプラットフォーム
本発明は、マルチウェルプレートおよびプラットフォームなどの分光測定用装置を包含する。典型的には、かかる装置はシクロオレフィンポリマーを含んでなる低蛍光性かつ高透過性を有する層と、この層を保持するためのマルチウェルプレートのウェルまたはプラットフォームのいずれかとを含む。マルチウェルプレートおよびプラットフォームの双方を下記に記載する。
【0042】
マルチウェルプレート
本発明のマルチウェルプレートは、シクロオレフィンポリマーを含んでなる低蛍光性かつ高透過性を有する層と、この層を保持または形成するためのウェルとを有してなる。シクロオレフィンは通常、マルチウェルプレートのウェルの底面の少なくとも一部を構成する。多くの実施形態では、製造を容易にするために、シクロオレフィンは実質的に底部全体を構成する。またシクロオレフィンを用いて、プレートの壁面を形成することができ、これがプレート固有の蛍光を減ずる第2の手段となる。本発明のいくつかの成形例では、シクロオレフィンは、所望により、プレート底部、ウェル壁面、ウェル同士を互いに連結するウェル間の構造部材、プレート側面、プレート上面または下面、ならびにプレート蓋を含むプレートのいずれかの部分を構成する。
【0043】
マルチウェルプレートは、任意のマルチウェルプレートフォーマットまたはフットプリント上に、任意のウェル配置で、任意のウェル数提供することができる。典型的には、ウェルは二次元直線配列に配列され、通常約96〜9,600個のウェルを有し、好ましくはウェルの数は96の倍数である。シクロオレフィンポリマーは容易に多様なウェル形状および小さい寸法および少ない容量の形態に作製することができるので、多数のウェル、すなわち高いウェル密度もまた容易に達成することができる。他の一般的に用いられるウェル数としては1536、3456および9600が挙げられる。ウェルの容量は、ウェルの深さおよび断面積に応じて、典型的には500ナノリットル〜200マイクロリットルまでと多様である。一般には、1、2、5、10、20、50、100、200、および500マイクロリットルのウェル容量が用いられる。ウェルは、四角、円形、および六角形、およびそれらの組み合わせをはじめとするいずれの断面形状(平面図にて)にも作製可能である。ウェルは、平底または丸底を有する剪断垂直面、平底または丸底を有する円錐形壁、および平底または丸底を有する湾曲垂直面、およびそれらの組み合わせをはじめとするいずれの断面形状(立面図にて)にも作製作製可能である。焦点に集められた光(focused light)を利用できる本発明の応用では、シクロオレフィンを使用して、それがウェル底部の一部となるレンズを形成することができる。用途に応じて、レンズの厚さおよび湾曲は様々である。
【0044】
プレート製造のための物質は典型的にはポリマー性のものである。なぜならば、これらの物質は大量製造技術を可能にするからである。当業者に公知の成形方法および将来開発されるであろう成形方法により、ポリマー性物質はプレート製造を特に容易にすることができる。シクロオレフィンと適合するポリマーは、シクロオレフィンと物理的に接触するプレートの領域で使用すべきである。いくつかの実施形態では、プレートウェルは、シクロオレフィンポリマー以外の物質、ならびに第2の物質に結合され、溶接され、または溶融されたシクロオレフィンを用いて製造できる。ウェルおよびプレートの他の部分を製造するためには、熱により誘導されるシクロオレフィンとの溶融のために適切なガラス転移温度を有するポリマーが選択され得る。好ましくは、蛍光性が低いポリマーか、または本明細書に記載する他の特性を有したポリマーが選択される。プレート全体は、底部を除き、第2のポリマーから製造され、次いで、当業者に公知な、または将来開発されるであろう方法を用いて、適当な寸法のシクロオレフィン層へと熱溶接され得る。また、シクロオレフィンの実質的部分またはプレート全体を製造することも好ましい。かかる第2のポリマーの使用もまた、本発明の他の実施形態をなすための指針(guide)として用いることができる。
【0045】
大部分の測定は典型的にはウェルの壁面を通過する光を必要としないので、ポリマーは、ウェル壁を暗くするか光を吸収する色素を含有する。かかる色素の利用はバックグラウンド蛍光を低減させるのに役立つ。色素は、重合プロセス中の被覆または混合のような、当業者に公知な任意の方法によって導入することができる。色素の選択は、ポリマーに固有のすべてのバックグラウンドを低下させる色素の混合物、もしくは所望の波長において光を通過または吸収するよう選択された単一の色素または色素団をベースとするものであり得る。色素はカーボンブラックを含んでもよい。ウェルの内容物を照射する方法のような、ウェル壁面を通って光が入ってくるという実施形態においては、かかる発色は一般に望ましくない。かかる技術はまた、本発明のプラットフォームの実施形態に適用することができる。
【0046】
プレート底部を構成するシクロオレフィンの厚さは、特定の用途によって提示され得るプレート底部に必要とされる総合的特性に応じて様々に変えることができる。かかる特性には、固有蛍光量、堅牢性、破断強さ、およびプレートで用いられるシクロオレフィンに関する製造上の必要条件が含まれる。ウェル底部シクロオレフィン層は典型的には、約30〜500ミクロン、好ましくは約50〜300ミクロンの厚さを有する。かかる厚さの値もまた、本発明の他の実施形態をなすための指針として用いることができる。
【0047】
本発明のマルチウェルプレートの顕著な特徴の1つは、それらの固有の蛍光性が低いことである。シクロオレフィンからなる底部層は、典型的には、150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して約400パーセント〜200パーセント以下の蛍光しか生じない。溶融石英ガラスは典型的には、相対蛍光の比較のための「優良基準(gold standard)」として用いられる。蛍光および相対蛍光は、当該技術分野で公知であるか、または開発されるであろう任意の信頼性の高い技術を用いて測定することもでき、好ましくは本明細書に記載の技術が用いられる。シクロオレフィンの驚くほど低い蛍光性を示すためには、本明細書で用いた溶融シリカ標準を標準として用いることが好ましい。好ましくは、シクロオレフィンからなる底部層は典型的には、約150ミクロンの厚さの溶融シリカに比較して約100〜50パーセント以下の蛍光しか生じない。固有蛍光量は層の厚さによりある程度示すことができる。層に大きな構造強度が必要とされない用途などの、特に薄い層を許容できるいくつかの用途においては、層から生じる蛍光を低減させるために、層の厚さを相当薄くすることが可能である(例えば20〜80ミクロン)。通常、層の厚さは、製造工程中においてより薄い層を均一に溶接または作製する難度によって考慮される。シクロオレフィン装置の低い相対蛍光は通常、約300〜400nmの間の励起波長および約300〜800nmの間の発光波長に存在する。かかる相対蛍光値もまた、本発明の他の実施形態をなすための指針として用いることができる。
【0048】
本発明のマルチウェルプレートは、本明細書に記載の、および関係技術分野で公知であるか開発されるであろうプレートの様々な応用を容易にするための被覆(coating)または表面修飾を含み得る。被覆は、印刷(printing)、噴霧、放射エネルギー、イオン化技術、または浸漬をはじめとする当該技術分野で公知の任意の適当な方法を用いて導入することもできる。表面修飾もまた、製造工程前または後に、適切にポリマーを誘導体化することにより、および、シクロオレフィン層に適切な誘導体化ポリマーを配合することにより導入される。次いで、誘導体化ポリマーを、プレートの利用において用いられる化学的部分と反応させることが可能である。化学的部分との反応に先立ち、かかるポリマーはシクロオレフィンにおける共有または非共有結合部位のいずれかをもたらし得る。シクロオレフィン面の内部、または上のかかる部位を用いて、アッセイ成分(例えば、結合対の一方のメンバー)、化学反応成分(例えば、アミノ酸または核酸合成のための固体合成成分)、および細胞培養成分(例えば、成長または付着を促進するタンパク質)のような部分を結合させることができる。誘導体化ポリマーの例としては、米国特許第5,583,211号(Coassinら)に記載のものが挙げられる。特に好ましい実施形態は、シクロオレフィンコポリマーとして包含され得るポリエチレンおよびポリプロピレン誘導体をベースとするものである。
【0049】
シクロオレフィン層はまた、多数の生細胞を含み得る。かかる実施形態は本明細書に記載の細胞ベースのアッセイおよび培養法を用いる細胞の増殖に対して有用である。発明のプレートは細胞の付着を増大させる被覆(例えば、ポリリジン)を包み得る。
【0050】
マルチウェルプレートの使用は関連技術分野で公知であり、診断アッセイ、化学的または生化学的結合アッセイ、濾過アッセイ、化学合成部位、貯蔵場所などを包含する。かかる使用もまた本発明に適用される。分光測定用の数種のマルチウェルプレートは、しばしば他のマルチウェルプレートの利用にも用いることができることが理解されよう。典型的には、マルチウェルプレートはサンプルからのシグナルを検出するのに使用される。本明細書では、異なる種のシグナル測定が論じられる。
【0051】
もう1つの実施形態では、本発明は、多数のウェルおよびフレームを含んでなる分光測定用のマルチウェルプレートを提供し、各ウェルはシクロオレフィンコポリマーを含んでなる、低蛍光性かつ高透過性部分を有する壁面および底部、ならびにフレームを有してなり、このウェルはフレーム内に配置されている。このマルチウェルプレートは、サンプルからのシグナルを検出するのに使用することができる。いくつかの実施形態において、このマルチウェルプレートは標準96-ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを欠いている(すなわち、「非標準フットプリント」)。標準96-ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントは、長さ12.7cm、幅8.5cmである。自動装置に利用するための標準96-ウェルマイクロタイタープレートについて一般に受容される標準のフットプリントは、長さ12.77±0.25cm、幅8.55±0.25cmである(T. Astle.Standards in Robotics and Instrumentation, J. of Bimolecular Screening, 第1巻 163-168頁(1996)を参照)。標準フットプリントは、決して表1にある長さおよび幅の範囲より大きくも小さくもなく、それは長さに関しては最大12.83cmで最小12.63cm、幅に関しては最大8.63cmで最小8.37cmである。非標準フットプリントでは、マルチウェルプレートは864以上(例えば、1536、3456、および9600)のウェルを有していてもよい。
【0052】
【表1】

【0053】
典型的には、マルチウェルプレートは、1つのウェル中央から1つのウェル中央までの間隔が約9〜6mm未満、好ましくは3mm未満、ある場合には約1mm未満のウエルを有する。容量が小さな場合には、ウェル中央からウェル中央までの間隔が小さいほど好ましい。かかるプレートでは典型的には、シクロオレフィンポリマーの厚さが約20〜200ミクロンの間、好ましくは、約30〜80ミクロンの間である。好ましくは、シクロオレフィンポリマーは約300〜500nmの励起光からの低蛍光を有し、この低蛍光性かつ高透過性を有する部分は実質的には底部全体である。しばしばウェルおよび所望によりフレームはシクロオレフィンコポリマーから製造され、これが蛍光を減ずるのに役立つ。
【0054】
本発明は所望により、マルチウェルプレートが標準96-ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有し、かつ、マイクロタイターウェルを有するマイクロタイタープレートである場合には、マイクロタイターウェルの数は864個のマイクロタイターウェルを上回らないという条件を包む。
【0055】
プラットフォーム
発明のプラットフォームは、通常は、シクロオレフィンポリマーまたは他の低蛍光性物質を含んでなる低蛍光性かつ高透過性を有する層またはウィンドウと、この層を保持または形成するための足場もしくはフレームとを含んでなる。ウィンドウは所定の寸法を有し、フレーム上に、2次元配列をはじめとする任意の幾何学的配列で多数のウィンドウとして配列できる。いくつかの実施形態では、該ウィンドウは、光がしばしば該ウィンドウを通過する分光学的事象の検出を可能にする。他の実施形態では、該ウィンドウは基本的に、例えば、光の屈折または反射率の測定による、化学反応またはアッセイの検出を可能にする反応部位またはアッセイ部位となる。ウィンドウが反応またはアッセイ部位であるとき、光は必ずしもウィンドウを通過しなくてよい。
【0056】
シクロオレフィンは、通常、少なくともウィンドウの一部を構成する。多くの実施形態では、シクロオレフィンは、製造を容易にするために、実質的にウィンドウ全体およびプラットフォームを包含する。また、シクロオレフィンを使用して、プラットフォームを形成する足場またはフレームを形成することもでき、これがプレート固有の蛍光を減ずる第2の手段となる。本発明のいくつかの成形例において、シクロオレフィンは所望により、プラットフォーム底部、壁面、ウェルを互いに連結するウィンドウ間構造部材、プラットフォーム側面、プラットフォーム上面または下面、ならびにプラットフォーム蓋を含むプラットフォームの任意の部分を有してもよい。アッセイまたは反応の分光学的または他の必要条件に応じて、他のポリマーをシクロオレフィンの代わりに用いてもよい。
【0057】
1つの実施形態では、プラットフォームは、この層上に空間的に予め決められたアッセイ部位のマトリックスのための足場を含み、この足場は、アッセイ部位からのシグナルの検出を実質的に妨害しない。典型的には、その層は約40〜300ミクロンの厚さを有する。アッセイ部位としては、200ミクロン以上のより大きな部位(例えば、500〜2,000ミクロン以上)および10ミクロン以下のより小さな部位(例えば、5〜0.5ミクロン以下)も考えられるが、典型的には、約10平方ミクロン〜200平方ミクロンの面積である。その層は本明細書に記載の化学物質の結合に対し誘導体化され得る。このアッセイ部位もまた層上にプリントできる。かかるプラットフォームは本明細書に記載のマルチウェルプレートのような多数の例において使用および製造することができる。好ましくは、プラットフォームはシクロオレフィンコポリマーを含んでなる。
【0058】
本発明の実施形態は、典型的に情報の保存および検索に用いられる光学的情報記録媒体(例えば、音声記録またはコンピューターデータ用のCD(コンパクトディスク))は包まれない。かかる光学記録媒体は記録層を有する。この記録層は通常、1)予め正確に定められた位置で記録層を照射することにより形成した記録層表面の所定の物理的変形(例えば、ピットまたは凹面)、または2)予め正確に定められた位置で記録層を照射することにより形成した記録層表面の屈折率または反射を変える所定の部位のいずれかを有してなる。記録層は典型的には、低融点金属(例えば、Te)から製造され、かつ、所望の特性のために他の元素(例えば、Cr、CおよびH)を含有してもよい。この記録層は通常、シクロオレフィンなどのポリマーを含んでなる物質上に設けられる。これに対し、本発明は、コンピューターまたはオーディオ技術に対するものとして、非光学情報記録媒体、ならびに化学的および生化学的技術において使用するための低蛍光性かつ高透過性を有するシクロオレフィンの使用に関する。これらの実施形態の多くでは、光が記録層に「ぶつかった(bounces off)」場合、光情報記録媒体とは対照的に、その光はしばしばシクロオレフィン層を通過するであろう。従来の光学情報記録媒体もまた、本発明とは異なっている。何故ならば、かかる媒体の記録層は軟質金属層を含有しているからである。この軟質金属層は通常、化学的または生物学的事象の測定には不都合な特徴を有している。多くの例において、かかる記録層は多くの化学反応または生物学的部分とは適合しないであろう。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態が、本発明の寸法および他の特徴に従い、CDフォーマットまたは改変CDフォーマットにおいて生ずる化学的または生物学的事象に関する情報を含み、または保存し、同時にそれに関する部位を提供することが理解される。いくつかの例において、かかる化学的または生物学的事象は、光の屈折または反射の変化として測定できるシグナルをもたらし得る。さらに、本発明のいくつかの実施形態が、従来のコンパクトディスクフォーマットに類似したフォーマットで情報を保存および検索できる化学的または生物学的事象のための部位を含み得ることもまた理解される。本発明は、ブリスターポケットまたはパッキング材料として製造されるシクロオレフィンは包まない。
【0059】
物質、選択基準および試験
この節は、物質、選択基準、および本明細書に記載のマルチウェルプレートおよびプラットフォーム用のシクロオレフィンの選択を容易にする迅速な試験について記載する。
【0060】
物質
本発明者らは、分光シグナル、特に蛍光シグナルを検出するための適当な特性を呈するポリマーを求めて、広範囲にわたる種々のポリマーの研究を行った。本発明に用いられる物質は表1に挙げられた市販のプレートには使われていなかった。驚いたことに、これらの物質は、本明細書において初めて実証された、低い固有蛍光等の非常に優れた特性を呈する。「シクロオレフィン」は、一般に、その使用に関して修飾されていない限り、シクロオレフィンポリマーをいい、本明細書で例示したもののようなコポリマーを含む。「シクロオレフィンコポリマー」とは、一般に、その使用に関して修飾されていない限り、シクロオレフィンコポリマーをいう。
【0061】
典型的には、シクロオレフィンはフィルムまたは樹脂のいずれかとして用いられ、本発明の種々の実施態様をなす。シクロオレフィンポリマーを基本とする樹脂およびフィルムは、関連技術分野で公知であり、本明細書にも記載した種々の製造工程において使用することができる。シクロオレフィンフィルムまたは樹脂の選択基準は、以下にさらに十分に記載する。一般に、紫外線吸収体、スチレン部分等の芳香環部分を含有するシクロオレフィンフィルムまたは樹脂は好ましくない。
【0062】
本発明の多くの実施態様に適切なシクロオレフィンとしては、米国特許第5,278,238号(Lee B. L.ら);同第4,874,808号(Minamiら);同第4,918,133号(Moriyaら);同第4,935,475号(Kishimuraら);同第4,948,856号(Minchakら);同第5,115,052号(Wamuraら);同第5,206,306号(Shen);同第5,270,393号(Saganeら);同第5,272,235号(Wakatsuruら);同第5,278,214号(Moriyaら);同第5,534,606号(Bennettら);同第5,532,030号(Hiroseら);同第4,689,380号(Nahmら);および同第4,899,005号(Laneら)に記載のものが挙げられる。Hoechstから入手可能なシクロオレフィンが好ましく、特にシクロオレフィン(例えば、シクロペンテン、シクロヘキサンおよびシクロヘプテン)およびそれらのポリエチレンコポリマー、ならびに非結晶構造(TOPASライン)の熱可塑性のオレフィンポリマーが好ましい。
【0063】
複数の機能的必要条件が単一の積層物(例えば、層またはフィルム)から得ることが困難である場合、多層積層物が好ましい。透過性、堅牢性、熱密封性、蛍光性、水分浸透性という特性は、様々な樹脂のフィルムの使用により配合され得る。当該技術分野で公知であり、将来開発される配合樹脂は、多層積層物フィルムまたは配合樹脂が本発明のそれらと一致する特性を有するのであれば、用いることができる。例えば、米国特許第5,532,030号(Hiroseら)は、本明細書に記載の装置における使用に適合し得る、あるシクロオレフィンフィルムの、単一および多層積層物の双方の製造について記載している。
【0064】
選択基準および試験
本発明で使用されるシクロオレフィンフィルムまたは樹脂の所望の特性は、所望のマルチウェルプレートまたはプラットフォームのタイプにより多様である。一般に、その物質は、低蛍光性、高透過性、変形に耐え、実質的に単一プレート(特に、分光学的実施態様に対して)のままにしておくのに十分な堅牢性、良好な化学的不活性、比較的低い細胞傷害性、低水分吸収、約150℃までの耐熱性/撓み、ならびに酸および塩基に対する耐性を有する最終生成物を得るために選択される。良好な成形特性を有する出発物質が特に望ましい。
【0065】
フィルムまたは最終生成物の蛍光は容易に測定できる。かかる測定法は迅速に行うことができ、および多数のフィルム(例えば、20〜80のフィルム)または原型産物は、約数時間または数日以内に、通常は1人1週間未満で迅速に試験できる。結局、最終生成物を製造するために使用されるフィルムまたは樹脂は、特定の用途に重要な所望の特性に関して迅速に選択できる。この蛍光測定は、その測定が本明細書に記載の測定の感度に匹敵する(またはより良好である)限り、本明細書に記載のように、また当該技術分野で公知のもののように使用することができる。本明細書に記載の標準のような相対的蛍光に対する標準参照点は、特に、異なるシクロオレフィンを比較するために、また、ある用途に対するそれらの適用性を決定するために有用である。本明細書に記載の相対的蛍光特性は、特に望ましい。同様に、透過率は関連技術分野で公知の技術を用いて測定することができる。
【0066】
最終生成物において、一般に約20〜500ミクロンの層の厚さが、本明細書に記載の装置における使用に望ましい特性、特に低蛍光性および高透過性を与える可能性が最も高いと思われる。しかしながら、約10〜1,500ミクロンのような、より薄いまたはより厚いフィルムも、低蛍光性および高透過性フィルムに対する要求がそれほど極端には厳密でない場合、またはフィルムの厚さに依存して望ましい特性の低下がほとんど見られない場合の適用には用いることができる。好ましくは、フィルムの厚さは、マルチウェルプレートへの使用については約30〜200ミクロン、より好ましくは約80〜200ミクロン、最も好ましくは約80〜200ミクロンの間である。好ましくは、フィルムの厚さは、そのフィルムが典型的に、通常、さらなる強度または堅牢性を必要とする装置の構造的機能に貢献する足場への使用については、約30〜600ミクロン、より好ましくは約100〜500ミクロン、最も好ましくは約120〜200ミクロンの間である。好ましくは、フィルムの厚さは、そのフィルムが典型的に構造的機能に貢献する射出成形のより薄い領域への使用については、約75〜600ミクロン、より好ましくは約100〜500ミクロン、最も好ましくは約120〜200ミクロンの間である。フィルムの厚さは、使用するフィルムの厚さ(材料の厚さ)である。層の厚さは、一般にフィルムの厚さの約100〜200パーセントで、好ましくはフィルムの厚さの約100〜150パーセント、より好ましくはフィルムの厚さの約100〜125パーセントである。
【0067】
最終生成物において、一般に約400〜3,000Kg/cmの破断応力(22℃におけるKg/cm) が、本明細書に記載の装置、特に低蛍光性かつ高透過性を有する堅牢な装置における使用に望ましい特性を与える可能性が最も高いと思われる。しかしながら、約200〜3,500Kg/cmのような、より弱いまたはより強いフィルムも、装置の破断応力に対する要求に基づいた種々の利用において用いることができる。例えば、フィルムの破断応力は、一般にそのフィルムがマルチウェルプレートの、または実質的にそのフィルム自体から製造される反応プラットフォームのいずれかのフレームの一部である場合の利用に比較して、マルチウェルプレートの底部に同様の強さを必要とするわけではない。好ましくは、破断応力は、マルチウェルプレートへの使用では約500〜2,000Kg/cmの間、より好ましくは約800〜1,600Kg/cmの間、最も好ましくは約900〜1,400Kg/cmの間である。好ましくは、破断応力は、プラットフォーム/足場への使用では、マルチウェルプレートへの使用より約15〜60パーセント高い。破断応力は、当該技術分野で公知の標準技術により測定することができる。
【0068】
製造方法
本発明はシクロオレフィンに基づくマルチウェルプレートおよびプラットフォームを製造する方法を包含する。熱溶接、インサート成形、射出成形、ならびに本明細書に記載の、および当該技術分野で公知の他の方法をはじめとする種々の方法を使用することができる。1つの方法は、シクロオレフィンコポリマーを含んでなる、低蛍光性かつ高透過性を有する層をポリマープラットフォームに熱溶接することを含んでなる。この方法では、典型的には、シクロペンテン・ポリエチレンコポリマー、シクロヘキサン・ポリエチレンコポリマー、およびシクロヘプテン・ポリエチレンコポリマーからなる群より選択されるシクロオレフィンコポリマーを使用する。この方法は選択的に、あるいは所望により、この層とポリマーを十分量の高周波エネルギーに曝して、この層とポリマーの内部加熱を促進するか、または超音波溶接する工程を含んでもよい。あるいは、この方法は、ポリマーを溶融させるのに十分な時間の間、ウェルを形成する層とポリマーを約320℃まで加熱する必要があるかも知れない。圧力をかけて溶接工程を促進することもできる(例えば、低粘性モノマー溶液を用いる低圧法については、層とポリマーに対して約100〜1,000psiの圧力、インサート成形などの高圧法については、約10,000〜25,000psi)。
【0069】
もう1つの実施態様では、本発明は、射出成形またはインサート成形によるマルチウェルプレート製造法を提供する。当該技術分野で公知の、または将来開発される射出成形技術を適用することができる。この方法は、マルチウェルプレートのウェルの1つの底部に対して少なくとも1つのウェルをインサート成形することを含んでなり、この底部はシクロオレフィンコポリマーである。この方法を用いれば、基本的にシクロオレフィンフィルムが支持構造(例えばウェル壁面)に熱溶融して、プレートを形成することができる。全ウェルまたはプレートをシクロオレフィンで製造することも可能である。インサート成形は、約195〜350℃の間で行うことができ、好ましくは樹脂を260〜320℃まで加熱する。使用する圧力は典型的には、10,000〜25,000psi、好ましくは約15,000〜22,000psiの間である。
【0070】
シクロオレフィンおよびそれらのポリマーの製造方法が記載されている。初期の方法およびシクロオレフィンは、米国特許第4,002,815号;同第4,069,376号;同第4,110,528号;同第4,262,103号;同第4,380,617号(Robert J. Minchakおよび共同研究者)に記載されている。当該技術分野で公知の、または将来開発されるシクロオレフィンの製造には多くの触媒を用いることができ、かつ、本発明の種々の実施態様のための物質を製造するのに使用することもできる。かかる触媒としては、米国特許第5,278,238号(Leeら)および同第5,278,214号(Moriyaら)に記載されたものが挙げられる。使用される的確な種の触媒系にかかわらず、触媒とエチレンを基本とする機能性コポリマーの存在下でシクロオレフィンモノマーを重合させ、射出成形に適切な本発明の実施態様をなすことができる。重合はバルクで行えることが好ましい。反応射出成形(RIM)、液体射出成形(LIM)、強化反応射出成形(RRIM)および樹脂転移成形(RTM)ならびにそれらの組み合わせをはじめとするバルク重合は、当該技術分野で十分に公知であり、将来開発される技術としても公知である。バルク重合とは、溶媒または希釈剤の不在下で行う重合である。反応射出成形はバルク重合の1種であり、モノマーの重合が触媒系の存在下で起こるところで、液体状のモノマーを鋳型に移すか、または注入する。RIMは融解ポリマーに対する従来の射出成形ではなく、それらから容易に識別される。
【0071】
RIMは低圧、1工程または1ショット、2以上の液体成分の密閉鋳型中への混入および注入であり、ここで急速な重合が起こり、結果として成形プラスチック製品が得られる。RIMは多くの重要な面で従来の射出成形とは異なっている。従来の射出成形は、固体樹脂を融解し、次いで、樹脂の融解温度よりも低い温度で維持した鋳型中にそれを運ぶことにより、鋳型キャビティに約10,000〜20,000psiの圧力をかけて行う。約150〜350℃の射出温度では、従来の射出成形法で成形された樹脂の粘性は、一般に、50,000〜1,000,000の範囲にあり、典型的には約200,000cpsである。射出成形法では、成形された製品の大きさにもよるが、樹脂の固化は約10〜90秒で起こり、その後にこの成形製品を鋳型から取り出す。樹脂を鋳型に導入した場合、従来の射出成形法では化学反応は起こらない。
【0072】
RIM法では、混合チャンバーへ供給された物質の粘性は、異なるシクロオレフィンモノマー系に対し、室温〜約100℃の様々な射出温度において、約1〜10,000cps、好ましくは1〜約1500cpsである。RIM法における成形温度は約50℃〜150℃の範囲であり、鋳型内の圧力は一般に、約50〜150psiの範囲である。RIM組成の少なくとも1種の構成要素は、鋳型内でポリマーへと重合されるモノマーである。従来の射出成形とRIMの間の違いは、RIMでは、任意に加熱を伴う混合の際に化学反応が開始され、その鋳型中で終結し、モノマーが重合状態へと変換されることである。実施のためには、この化学反応を約2分以内で迅速に行わなければならない。また、従来の射出成形を用いて、本発明の種々の実施態様をなすことも可能である。射出成形とは、従来の射出成形および本明細書に記載の、ならびに当該技術分野で公知の、または開発される他種の射出成形の双方をいう。
【0073】
LIM法は、インピンジメントヘッドを使用しないことを除けば、RIM法と同様である。代わりに、静置ミキサー、攪拌ミキサーなどのような単純なミキサーを使用する。さらに、LIM系では、射出成形サイクルはより長時間にわたって行われ、かくして、化学反応は約5〜10分までの時間で起こり得る。
【0074】
種々の強化粒子も使用でき、これはRIMまたはLIM法のいずれかを用いる場合、溶液とともに射出される。実際には、RIM法が常に適切であるとは限らず、従って、強化粒子は一般にLIM法、すなわち、強化液体射出成形法でしか用いられない。もう1つの選択肢として、鋳型中に既に存在するマット、例えば、ガラス繊維マットなどの使用がある。従って、かかる系はRMRIM、RMLIMまたはRTMと呼ばれている。射出成形時間と同様、反応硬化時間により、一般にRMLIM系が好ましい操作もあれば、RMRIMまたはRTMが好ましい操作もある。
【0075】
ゆえに、シクロオレフィンの配合または合金と適したコポリマーを、前記のバルク重合系ならびにそれらの変法のいずれにおいても使用することができる。前記の系など多くは、一般に、慣例であり、当該技術分野ならびに文献で公知であり、それらは本明細書では詳細に論じられないが、目的について簡単に、あるいは簡潔に論じられる。
【0076】
Minchakの米国特許第4,426,502号には、触媒とともに改良した助触媒を用いるシクロオレフィンのバルク(例えば、RIM)重合について記載されており、それによりシクロオレフィンモノマーの重合が溶媒または希釈剤の不在下で起こり得る。アルキルハロゲン化アルミニウム助触媒を、それをアルコールまたは活性ヒドロキシ含有化合物と予備反応させて、後に重合反応に使用されるアルコキシアルキルハロゲン化アルミニウムまたはアリルオキシアルキルハロゲン化アルミニウムを形成させることにより改良される。予備反応は、酸素、アルコールまたはフェノールを使用して行うことができる。かかる助触媒の改良は、触媒の還元力を低下させる結果となる。
【0077】
ハロゲン化物複分解触媒系またはハロゲンフリー複分解触媒系のいずれを用いるかにかかわらず、その反応速度は一般に前記アルコールの使用により低下する。かくして、アルコールがほとんど、または全く用いられないかどうかにより、ハロゲン化物複分解触媒系が、何分という単位で、さらには何秒という単位で、種々のシクロオレフィンを硬化させることができる。多量のアルコールが使用される場合には、硬化は何時間、さらには何日という単位となり得る。
【0078】
かかるバルク重合反応を実施するためには、いずれかの複分解系の助触媒の還元力を低下させることが重要である。非改良アルキルアルミニウム助触媒で希釈したモノマーを、モノマーで希釈した触媒と混合してシクロオレフィンを重合させた場合、この反応は極めて急速である。かかる系では、混合中に境界に、または2つの流れで形成されたポリマーが完全な混合を妨げ、良好な変換が得られないので、この重合は通常は許容されない。ヒドロキシ含有物質との予備反応による助触媒の改良は、液体成分の十分な混合が起こり、かつ、許容されるポリマー産物が生産できる点まで助触媒の活性を低下させる。シクロオレフィンモノマーは、本質的に助触媒の活性を低下させる種々の不純物を含んでいることもある。このような場合には、活性ヒドロキシ含有物質を添加して助触媒の活性を低下させる必要はない。改良した助触媒を用いれば、混合、すなわちシクロオレフィンと他の成分との混合は、直ちに重合が開始されることなく、室温のような低温で行うことができる。助触媒は、室温、混合液体成分の鋳型内での熱活性化にて、妥当な可使時間を可能にするように配合することができる。また、この助触媒を配合して混合により開始されるRIM系を得ることもできる。
【0079】
バルク重合を使用する場合、シクロオレフィンモノマーとエチレンを基本とする機能性コポリマー、ならびに触媒およびいずれの任意の添加物のそこへの配合を、重合したシクロオレフィンポリマーのTgを十分下回る温度を有するバルク重合鋳型に加えることができる。この反応は通常発熱反応であり、約120℃まで鋳型の温度を上昇させる結果となるので、このことは特に望ましい。このように最終の鋳型温度は、約50℃〜約200℃、一般には約50℃〜約150℃、好ましくは約50℃〜約90℃である。もちろん、かかる温度は使用される具体的な触媒系の種、シクロオレフィンモノマーの具体的な種などにより様々である。本明細書に記載の触媒系を使用した場合、シクロオレフィンモノマーとエチレンを基本とする機能性コポリマーとの混合物は、約24時間までという良好な保存寿命を有する。それより長時間が望ましい場合は、この触媒系を混合物に加えずに、分離しておけばよい。かくして、シクロオレフィンモノマーの重合を実施する時点で触媒系を混合物に加え、バルクにて重合させる。好ましい重合方法には前記のRIM法が含まれる。
【0080】
サンプルからのシグナルの検出法
本発明はまた、サンプルと分光測定用装置を接触させることを含んでなるシグナル検出方法であって、シクロオレフィンコポリマーを含んでなる、低蛍光性かつ高透過性を有する層と、この層を保持するためのプラットフォームを有してなり、該プラットフォームルがサンプルからシグナルを検出するためのものであり、ただし、該プラットフォームがマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートである場合は、マイクロタイターウェル数は864を上回ることはなく、サンプルからシグナルを検出することを含んでなる方法を提供する。好ましくは該検出は、マルチウェルプレートまたはプラットホームの底部からのエピフルオレセンスを検出することを含んでなる。この検出工程ではまた、マルチウェルプレートにおけるウェルの密度および配列に対応する光学的配列を利用することもできる。本発明を用いるアッセイでは種々の標識が使用されてよい。アッセイ系の一部分としての使用のため、マルチウェルプレートまたはプラットホームには付着部位を提供することがしばしば所望されるであろう。かかる標識は直接または間接的にポリマー表面に付着させてよい。本発明とともに、比色分析法、分光光度分析法、発光法および蛍光法のような種々の分光技術を用いてよい。屈折および反射法のような、光に基づく非分光学的方法を用いてもよい。
【0081】
蛍光測定法
蛍光プローブを用いて本発明を行うにあたり、蛍光色素または基質のような、種々のタイプの蛍光モニター系が使用可能であることが認められている。好ましくは、例えば96ウェルまたはそれ以上のマイクロタイタープレートのような高流量のスクリーニングに供されるシステムを使用する。蛍光物質を用いてアッセイを行う方法は当該技術分野において十分公知であり、例えばLakowicz, J.R., 蛍光分光分析の原理,New York:Plenum Press(1983);Herman, B., 共鳴エネルギー移動顕微鏡検査法,生存培養細胞の蛍光顕微鏡検査法,Part B, Methods in Cell Biology, vol.30, Taylor, D.L. & Wang, Y.L.編, San Diego:Academic Press(1989), 219-243頁;Turro, N.J., 現代の分子光化学,Menlo Park:Benjamin/Cummings PublishingCol, Inc.(1978), 296-361頁および分子プローブカタログ(1997), OR, USAに記載されている。
【0082】
サンプル中の蛍光は、本明細書に記載の、または当該技術分野において公知のマルチウェルプレート用検出器を用いて測定することができる。一般に、第一波長を有する励起光源からの励起放射線が、所望により励起オプチックスを通過する。この励起オプチックスが励起放射線にサンプルを励起させる。これに対し、サンプル中の蛍光プローブは励起波長と異なる波長の放射線を放出する。次いで収集オプチックスがサンプルから放出された光線を収集する。この装置は、走査されている間、サンプルを特定の温度に維持するための温度制御装置を含むことができる。1つの実施態様によれば、異なるウェルを露光される位置へ動かすために、多軸平行移動ステージ(例えばX,Yポジショナー)が、多数のサンプルを保持するマイクロタイタープレートを動かす。この多軸平行移動ステージ、温度制御装置、自動焦点合わせ特性および画像とデータ収集に関連する電子工学機器は、正しくプログラムされたデジタルコンピューターにより操作することができる。このコンピューターはまた、アッセイ中に収集したデータを提示のための他のフォーマットに変換することができる。
【0083】
好ましくは、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)がサンプル中(細胞または生化学的サンプル)のプローブをモニターする方法として使用される。FRETの程度は、励起構築物のスペクトルまたは蛍光の寿命特性のいずれによっても決定することができ、例えば供与体からの蛍光シグナルの強度、受容体からの蛍光シグナルの強度、受容体の放出最大値付近の蛍光振幅と供与体の放出最大値付近の振幅の比、または供与体の励起状態における寿命の定量により決定することができる。例えば、リンカーの開裂は供与体からの蛍光強度を増大させ、受容体からの蛍光強度を減少させ、受容体からの蛍光振幅の、供与体からのそれに対する比を減少させ、供与体の励起状態の寿命を長くする。
【0084】
好ましくは、シグナルにおける変化は「定量(rationing)」と呼ばれるプロセス、つまり2種の異なる放出波長において蛍光の比として測定する。プローブ(または基質)、細胞、励起強度および濁度またはアドレスで呼び出すことのできるウェル間の他のバックグラウンド吸収の絶対量の差異が蛍光シグナルに影響する。従って、放出強度のみよりも、2つの放出強度の比のほうがより強力かつ好ましい活性測定である。
【0085】
本発明とともに、比率を測定する蛍光プローブ系を使用できる。例えば、PCT公開公報WO96/30540(Tsien)に記載されているレポーター系は、現存する遺伝子完全解析のためのレポーターに対して有意な利点を有し、発現または発現していない単一の生細胞双方の、感度の高い検出および単離が可能となる。このアッセイ系は、容易に装填でき、次いで細胞内で捕捉される、無毒性、非極性の蛍光基質を使用する。β−ラクタマーゼによる蛍光基質の開裂により、基質が生産物に変換される際、蛍光放出のシフトが起こる。β−ラクタマーゼレポーターの読み取りは比率測定によるため、レポーター遺伝子アッセイの中でも珍しく、個々の細胞中に装填された基質の量のような変数を制御する。この、安定かつ容易に検出される細胞内読み取りにより、洗浄工程の必要性がなくなってアッセイ手順が簡略化され、本発明を用いる細胞スクリーニングが容易になる。
【0086】
検出器
1つの実施態様では、本発明は、マルチウェルプレートまたはプラットホームを有する、分光学的事象をモニターするための検出器を提供する。好ましくは、この検出器は蛍光検出器であり、より好ましくはエピフルオレセンスのために使用することのできる型である。特にプレートあたり96、192、384および864ウェルを有するプレートのための本発明のいくつかの実施態様において、多くの検出器が利用可能である。かかる検出器は米国特許第5,589,351号(Harootunian)、米国特許第5,355,215号(Schroeder)、およびPCT特許出願WO93/13423(Akong)に記載されている。あるいは、全プレートはMolecular Dynamics Fluor-Imager595のような画像処理装置を用いて「読み取って」もよい。本発明のプラットホームの適用に関しては、分光分析ならびに屈折光または反射光の測定のため、関連技術分野で公知の従来の光学ディスクリーダーを採用することができる。
【0087】
この検出器は、好ましくは400〜800nmの範囲で蛍光放出測定能力を有する。典型的には、この検出器は350〜800nmの範囲における蛍光の励起のための手段を包含する。この検出器ではしばしば薬物開発アッセイの要求を容易にする多くの異なる操作モードが可能となる。これらの操作モードとしては:単一励起波長と単一放出波長検出、単一励起波長と二重放出波長検出、系列二重励起波長と二重放出波長検出および比率測定定量法、系列二重励起波長と四重放出波長検出および比率測定定量法、均一時間分解蛍光と単一励起波長および単一放出波長検出、均一時間分解蛍光と単一励起波長および二重放出波長検出および比率測定定量法、均一時間分解蛍光と系列二重励起波長および二重放出波長検出および比率測定定量法、二重系列励起波長および単一放出波長と比率測定定量法、単一波長における発光測定と二重波長における発光測定、比率定量を伴う二重波長における発光測定、および時間分解蛍光放出(結合を伴うまたは伴わない本質的な色素の特性)などを挙げることができる。好ましくは、検出器は、好ましい照明がプレートの底部から得られ、かつ好ましい収集もまたプレートの底部から得られるエピフルオレセンスモードにおいて機能する。この検出器は、プレート底部を調べることにより前記したすべてのモードにおいて機能し得る。
【0088】
検出器の比率モードは、複雑な校正なしに、相対的シグナルレベルに対するシグナルレベルの変化を観察することを可能にする。検出器の比率モードは単離された標的、細胞および細胞中に装填された色素の量における差異に対して寛容である。細胞および色素レベルに対しての差異が、ウェル間ばかりでなく1つのウェル内にも存在し得るが、これらの差異は強度における相対的変化に対して標準化することができる。比率測定検出なしでは、絶対的シグナルレベルは各ウェル内でのわずかな変化を不鮮明にする可能性がある。
【0089】
検出器の種々の操作モードの選択は、しばしば行われるアッセイの種類に基づく。かくして、検出器は通常、検出における融通性を提供するために多数の操作モードを持つように設計される。各モードは、特定の蛍光プローブと試薬のセットに対する適合性に基づいて選択される。次いで検出はアッセイおよびプローブの必要条件に適合するように調整される。
【0090】
本発明はまた、分光学的測定システムを提供する。このシステムは1)アッセイ、2)シクロオレフィンコポリマーを含んでなる、低蛍光性かつ高透過性を有する層と、層を保持するためのプラットホームを有してなる装置のための試薬を含んでなる。このシステムはさらに検出器を含んでなることができる。
【実施例】
【0091】
実施例1 ガラスおよび他のポリマー材料と比較したシクロオレフィンの蛍光特性
種々の選択されたフィルムの蛍光特性を検討するため、所定の励起波長における蛍光放出について、種々のポリマーフィルムを試験し、2タイプの溶融石英ガラスシート(標準)と比較した。これらの実験は、励起波長315〜425nmのSPEX FluorologIII蛍光光度計を使用して行った。フィルムおよびガラス材料はホルダー上に配置した。サンプル表面に励起光線が垂直に当たるようにサンプルを置いた。サンプルからの蛍光放出は約12.5度の角度で集めた。このサンプルからの蛍光放出を鏡でモノクロメーター上に反射させた。放出放射線は単色の格子により選択し、機器の光電子増倍管により検出した。SPEX FluorologIII蛍光光度計は、校正および機器測定の日間差のバックグラウンド補正のために水のラマン放射線を用いる。このバックグラウンド補正は毎日、校正のため、機器を使用する前に行った。校正ファイルはその日に行われた測定値とともに保存し、次いでSPEX機器を用いるそれに続く測定値と直接比較し、機器変動を補正することができる。
【0092】
試験した材料は1)溶融シリカシート(Corning Glass Works cover-slipNo 1(カタログ番号2935/583331)) ,2)ポリスチレンフィルム(ps1,ps2(Plastic Suppliers製)およびps3(Dow Chemical Company製),3)ポリカーボネートフィルム(pc1(General Electric Corporation製)およびpc2(Plastic Suppliers製);4)非芳香性、アルキルポリマー(nap;MobilOil Companyより入手),5)シクロオレフィンコポリマーフィルム(coc;Hoechst,Topasより入手)および6)Aclar(Allied Signal製のフルオロカーボン材料)であった。
【0093】
表2は400〜650nmにわたる3種の異なる励起波長における蛍光標準化放出データを示している。データは、溶融シリカおよび機器間差の補正に対して標準化する。マルチウェルプレートの成分としてしばしば使用されるポリスチレン(表1参照)は、その芳香環構造に一致して、高レベルのバックグラウンド蛍光を生ずる。驚くべきことに、しばしば生体適合性ポリマーであるポリカーボネートは、特に長波長において一般にポリスチレンよりもより良好なポリマーであった。驚くべきことに、非芳香族アルキルポリマーは一般に、試験した波長の範囲にわたり、2番目に良好なポリマーであった。また驚くべきことに、シクロオレフィンコポリマーは、溶融シリカの非常に低い蛍光レベルにほぼ近い最良の結果を出した。
【0094】
【表2】

【0095】
実施例2 ガラスおよび他のポリマー材料と比較したシクロオレフィンの蛍光特性
種々の選択されたフィルムの蛍光特性をさらに検討するために、所定の励起波長における蛍光放出について、種々のポリマーフィルムを試験し、2種の溶融石英ガラスシート(標準)と比較した。これらの実験は、水性溶媒を用いる生化学的または細胞に基づくアッセイをシミュレートするために行った。従って、水性溶媒を滴下できるようにフィルムを水平プラスチックホルダー上に乗せた。3mlの水をフィルム上に滴下し、ツァイス倒立蛍光顕微鏡を用いて蛍光を記録した。フィルムなしのバックグラウンドを記録して、フィルム存在時のシグナルから差し引いた。
【0096】
試験した材料は1)溶融シリカシート(Fisher cover-slip Number 1(Fisherカタログ番号12-542B(1996))、2)ポリスチレンフィルム(ps1、ps2(Plastic Suppliers製)およびps3(Dow Chemical Company製)、3)ポリカーボネートフィルム(pc1(General Electric Corporation製)およびpc2(Plastic Suppliers製);4)非芳香性、アルキルポリマー(Mobilより入手)、5)シクロオレフィンコポリマーフィルム(coc;Hoechst,Topasより入手)および6)Aclar(Allied Signal製のフルオロカーボン材料)および7)サランラップ(Syran Wrap)であった。
【0097】
表3は、460nm、350nmおよび405nm(励起波長)における蛍光標準化放出データを示す。データは、溶融シリカに対して標準化する。マルチウェルプレートの成分としてしばしば使用されるポリスチレン(表1参照)は、実施例1のようにその芳香性の構造に一致して、高レベルのバックグラウンド蛍光を生じた。実施例1とは対照的に、しばしば生体適合性ポリマーであるポリカーボネートは、特に長波長においてポリスチレンよりも悪かった。概して実施例1と一致して、非芳香族、アルキルポリマーは一般的に、試験した波長の範囲にわたり、ポリスチレンよりも良い値であった。概して実施例1と一致して、シクロオレフィンコポリマーは最良の結果を生じ、驚くべきことに従前に得られた溶融シリカの非常に低い蛍光レベルよりも低かった。Aclarフィルムもまた、驚くべきことに溶融シリカと比較して低いか、非常に低い蛍光値を示した。
【0098】
【表3】

【0099】
実施例3 シクロオレフィンは培養細胞に対して細胞傷害性を示さない
シクロオレフィンの細胞傷害性を、シクロオレフィン製マルチウェルプレート中で細胞を37℃にて60時間培養することにより評価した。約90個のチャイニーズハムスター卵巣(CHO)を含有する容量1.8μlの培地を、シクロオレフィン製マルチウェルプレートに先細ピペットを用いて分注した。蒸発を防ぐためにウェル上にガラスカバーを置いた。細胞を5%CO2下、37℃、相対湿度90%のインキュベーター中で60時間インキュベートした。次いで生体染色剤カルセインを装填することにより細胞を生存率に関して試験した。このCHO細胞を4μMカルセイン/AMを含有する溶液中で室温にて30分間インキュベートすることにより装填を行った。細胞総数を測定するために位相差顕微鏡を、また生存細胞数を測定するために蛍光顕微鏡の双方を使用することにより細胞を検査した。カルセイン染色剤の装填により、ほぼ95%以上の細胞が生存していることが示された(およそ200細胞/ウェル)。
【0100】
実施例4 シクロオレフィンは培養細胞に対して細胞傷害性を示さず、薬物スクリーニングアッセイに使用することができる。
シクロオレフィンの細胞傷害性を検討するために、細胞生存性のためのアッセイを用いてシクロオレフィンフィルムを試験した。生体染色剤であるCCF2は、PCT公開公報WO96/30540(Tsien)に記載されているように、細胞中に分散させ、分子上のエステル基を開裂させ、その結果細胞内部で捕捉される負電荷を持つ分子を生ずる、エステラーゼ活性を有する生細胞により捕捉される。捕捉された色素は生細胞中で緑色に見える。CCF2をJurkat細胞とともに、黒色の壁面およびシクロオレフィン底を有する1μlのウェル中で1時間インキュベートし、おおよその蛍光をモニターした。これらのJurkat細胞は、本質的にβ-ラクタマーゼを発現する。実施例3の条件下で、細胞を60時間培養した。60時間後、β-ラクタマーゼ活性をCCF2を用いて測定した。細胞が青色に見え、これは、通常β-ラクタマーゼを含有しないこれらの細胞の中で、実際にβ-ラクタマーゼが活性であることを示す。これらの結果は、このフィルムは低い蛍光バックグラウンドしか生じないため、シクロオレフィンを感度の高い蛍光アッセイに用いることが可能であることを証明している。これは、アッセイ容量が微量でよく(例えば2μlまたはそれ以下)、微弱なシグナルの測定(例えばより少ない細胞またはより少ない数の単離生化学的標的)も可能であるために特に有益である。
【0101】
刊行物
本出願に記載した特許文献および科学文献を含むすべての刊行物は、個々の刊行物の各々がそれぞれ参考として組み込まれるのと同様に、あらゆる目的のためにその全体が参考として本明細書に組み込まれる。
【0102】
すべての表題は読者の便宜のためのものであり、特に断りのない限り、表題の後に続く本文の意味を制限するために使用されるものではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロオレフィンコポリマーを含む、低蛍光性および高透過性を有する層を、ポリマープラットフォームに熱溶接することを含み、前記層が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、分光測定装置の製造方法。
【請求項2】
前記プラットフォームが、マイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーがシクロペンテン・ポリエチレンコポリマー、シクロヘキサン・ポリエチレンコポリマーおよびシクロヘプテン・ポリエチレンコポリマーからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記層および前記ポリマーを十分量の高周波エネルギーに曝して、前記層と前記ポリマーの内部加熱を促進する工程をさらに含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記熱溶接が前記層と前記ポリマーを320℃まで加熱することをさらに含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記層と前記ポリマーに15,000〜22,000PSIの圧力をかける工程をさらに含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
アッセイ用試薬、および
シクロオレフィンコポリマーを含む低蛍光性および高透過性を有する層と、前記層を保持するためのプラットフォームとを含んでなる装置、
を有してなり、前記プラットフォームがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、前記層が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、分光測定システム。
【請求項8】
前記プラットフォームがマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有する、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
検出器をさらに有してなる、請求項7記載のシステム。
【請求項10】
a) シクロオレフィンコポリマーを含む低蛍光性および高透過性を有する層と、前記層を保持するためのプラットフォームとを有してなり、前記プラットフォームがサンプルからのシグナルを検出するためのものである分光測定装置にサンプルを接触させ、次いで
b) 前記サンプルからのシグナルを検出する、
ことを含み、前記層が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じるシグナル検出法。
【請求項11】
前記プラットフォームがマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記検出が前記プラットフォーム底部からのエピフルオレッセンスを検出することを含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記プラットフォームがマルチウェルプレートであり、かつ、前記検出が前記マルチウェルプレート内のウェルの密度に対応する光学アレイを用いて検出することを含む、請求項10記載の方法。
【請求項14】
各ウェルが壁面と、シクロオレフィンコポリマーを含む底部の低蛍光性および高透過性部分とを有してなる複数のウェルと、
前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなる分光測定用マルチウェルプレートであって、
前記マルチウェルプレートはサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、ただし、前記マルチウェルプレートはマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、分光測定用マルチウェルプレート。
【請求項15】
前記マルチウェルプレートがマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートである、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項16】
前記マルチウェルプレートが96〜3,456のウェルを有する、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項17】
前記マルチウェルプレートが864以上のウェルを有する、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項18】
前記マルチウェルプレートのウェル中心からウェル中心までの間隔が3mm未満である、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項19】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが20〜200ミクロンである、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項20】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが30〜80ミクロンである、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項21】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが20〜200ミクロンである、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項22】
前記シクロオレフィンポリマーが300〜500nmの光からの低蛍光を有し、かつ、低蛍光性および高透過性部分が前記底部の実質的にすべてにわたる、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項23】
前記フレームがシクロオレフィンコポリマー製である、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項24】
前記層が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において、100ミクロンの厚さの溶融石英ガラスに比べ、200パーセントまたはそれ以下の蛍光を生じる、請求項14記載のマルチウェルプレート。
【請求項25】
ウェル、およびシクロオレフィンコポリマーからのマルチウェルプレートの前記ウェルの底部をインサート成形することを含んでなる、分光測定用マルチウェルプレートの製造方法であって、
前記マルチウェルプレートはサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、ただし、前記マルチウェルプレートはマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記方法。
【請求項26】
前記マルチウェルプレートがマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートである、請求項25記載の方法。
【請求項27】
射出成形を260〜320℃の間で行う、請求項25記載の方法。
【請求項28】
シクロオレフィンコポリマーを含む低蛍光性および高透過性を有する層と、前記層を保持するためのプラットフォームとを有してなる装置であって、
ただし、前記プラットフォームが光学情報記録媒体のフォーマットを有する場合は、前記プラットフォームが軟質金属を用いる記録層を欠いており、前記層が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記装置。
【請求項29】
前記プラットフォームがマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートである、請求項28記載の装置。
【請求項30】
各ウェルが壁面と、シクロオレフィンコポリマーを含む底部の低蛍光性および高透過性部分とを有する複数のウェルと、
前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなる、生物学的および生化学的サンプルの蛍光測定用マルチウェルプレートであって、
前記マルチウェルプレートはサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、だだし、前記マルチウェルプレートはマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記マルチウェルプレート。
【請求項31】
前記マルチウェルプレートがマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートである、請求項30記載のマルチウェルプレート。
【請求項32】
前記マルチウェルプレートが標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントをもたない、請求項31記載のマルチウェルプレート。
【請求項33】
前記マルチウェルプレートが864以上のウェルを有する請求項32記載のマルチウェルプレート。
【請求項34】
前記マルチウェルプレートはウェル中心からウェル中心までの間隔が3mm未満であるウェルを有する、請求項33記載のマルチウェルプレート。
【請求項35】
前記シクロオレフィンコポリマーの厚さが20〜200ミクロンである、請求項34記載のマルチウェルプレート。
【請求項36】
前記シクロオレフィンコポリマーの厚さが30〜80ミクロンである、請求項35記載のマルチウェルプレート。
【請求項37】
前記シクロオレフィンコポリマーの厚さが20〜200ミクロンである、請求項30記載のマルチウェルプレート。
【請求項38】
前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において、100ミクロンの厚さの溶融石英ガラスに比べ、200パーセントまたはそれ以下の蛍光を生じる、請求項37記載のマルチウェルプレート。
【請求項39】
前記フレームがシクロオレフィンコポリマー製である、請求項38記載のマルチウェルプレート。
【請求項40】
前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において、100ミクロンの厚さの溶融石英ガラスに比べ、200パーセントまたはそれ以下の蛍光を生じる、請求項30記載のマルチウェルプレート。
【請求項41】
前記マルチウェルプレートがインサート成形されている、請求項40記載のマルチウェルプレート。
【請求項42】
前記マルチウェルプレートが96〜3,456のウェルを有する、請求項40記載のマルチウェルプレート。
【請求項43】
前記マルチウェルプレートが864以上のウェルを有する、請求項30記載のマルチウェルプレート。
【請求項44】
前記マルチウェルプレートがシクロオレフィンポリマー以外の材料から製造されたウェル壁面を有してなる、請求項30記載のマルチウェルプレート。
【請求項45】
前記マルチウェルプレートがバックグラウンド低下のための色素をさらに含む、請求項43記載のマルチウェルプレート。
【請求項46】
前記底部が結合対の一方のメンバーをさらに含む、請求項40記載のマルチウェルプレート。
【請求項47】
前記底部が複数の生細胞をさらに含む、請求項40記載のマルチウェルプレート。
【請求項48】
前記マルチウェルプレートがシクロオレフィンコポリマー製である、請求項40記載のマルチウェルプレート。
【請求項49】
アッセイ用試薬、および
シクロオレフィンコポリマーを含む低蛍光性および高透過性を有する層と、前記層を保持するためのプラットフォームとを含んでなる装置、
を有してなり、前記プラットフォームがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、前記層が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、分光測定システム。
【請求項50】
前記プラットフォームがマイクロタイターウェルを有する標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するマイクロタイタープレートである、請求項49記載のシステム。
【請求項51】
さらに検出器を含んでなる、請求項49記載のシステム。
【請求項52】
各ウェルが壁面と、シクロオレフィンポリマーを含む低蛍光性および高透過性部分を有する底部とを有してなる複数のウェルと、
前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなるマルチウェルプレートであって、前記マルチウェルプレートはサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、かつ標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、マルチウェルプレート。
【請求項53】
前記低蛍光性および高透過性部分が前記底部の実質的にすべてにわたる、請求項52記載のマルチウェルプレート。
【請求項54】
前記マルチウェルプレートが3456以上のウェルを有する、請求項52記載のマルチウェルプレート。
【請求項55】
前記マルチウェルプレートはウェル中心からウェル中心までの間隔が2.5mm未満であるウェルを有する、請求項53記載のマルチウェルプレート。
【請求項56】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが20〜200ミクロンである、請求項53記載のマルチウェルプレート。
【請求項57】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが30〜80ミクロンである、請求項56記載のマルチウェルプレート。
【請求項58】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが20〜200ミクロンである、請求項52記載のマルチウェルプレート。
【請求項59】
前記シクロオレフィンポリマーが300〜500nmの励起光からの低い自己蛍光を有する、請求項52記載のマルチウェルプレート。
【請求項60】
前記フレームがシクロオレフィンポリマー製である、請求項59記載のマルチウェルプレート。
【請求項61】
前記底部が前記ウェルとの熱溶融溶接部を有してなる、請求項58記載のマルチウェルプレート。
【請求項62】
前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において、100ミクロンの厚さの溶融石英ガラスに比べ、200パーセントまたはそれ以下の蛍光を生じる、請求項61記載のマルチウェルプレート。
【請求項63】
前記壁面がバックグラウンド低下のための色素を含む、請求項61記載のマルチウェルプレート。
【請求項64】
前記底部が結合対の一方のメンバーをさらに含む、請求項63記載のマルチウェルプレート。
【請求項65】
前記底部が複数の生細胞をさらに含む、請求項63記載のマルチウェルプレート。
【請求項66】
前記底部が化学物質の結合のために誘導体化される、請求項63記載のマルチウェルプレート。
【請求項67】
前記底部が生物学的細胞の付着を高める被覆をさらに含む、請求項66記載のマルチウェルプレート。
【請求項68】
各ウェルがポリマー壁を含むマルチウェルプレートの製造方法であって、
シクロオレフィンポリマーを含む低蛍光性および高透過性を有する底部を、前記マルチウェルプレートのポリマー壁面に熱溶接することを含んでなり、
前記ウェルが前記フレーム内に配置されており、前記マルチウェルプレートがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、かつ、標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記方法。
【請求項69】
前記ポリマーがシクロオレフィンポリマーである、請求項68記載の方法。
【請求項70】
熱溶接が30〜150ミクロンのシクロオレフィン底部をもたらす、請求項69記載の方法。
【請求項71】
前記熱溶接が前記底部および前記ポリマーを200〜300℃まで加熱することをさらに含む、請求項70記載の方法。
【請求項72】
前記底部および前記ポリマーに100〜1,000PSIの圧力をかける工程をさらに含む、請求項70記載の方法。
【請求項73】
ウェル、およびシクロオレフィンポリマーからのマルチウェルプレートの前記ウェルの底部をインサート成形することを含んでなるマルチウェルプレートの製造方法であって、前記マルチウェルプレートがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、かつ、標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記方法。
【請求項74】
インサート成形を260〜320℃で行う、請求項73記載の方法。
【請求項75】
a) アッセイ用試薬、および
b) i) 各ウェルが壁面と、シクロオレフィンポリマーを含む低蛍光性および高透過性部分を有する底部とを含んでなる複数のウェルと、
ii) 前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなるマルチウェルプレートであって、前記マルチウェルプレートがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、かつ、標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じるマルチウェルプレート、
を含んでなるキット。
【請求項76】
さらに検出器を含んでなる、請求項75記載のキット。
【請求項77】
蛍光検出法であって、
a) i) a)各ウェルが壁面と、シクロオレフィンポリマーを含む低蛍光性および高透過性部分を有する底部とを含んでなる複数のウェルと、
b)前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなるマルチウェルプレートであって、前記マルチウェルプレートがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、かつ、標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じるマルチウェルプレートに、
サンプルを接触させ、
b) 次いで、前記サンプルからのシグナルを検出する、
ことを含んでなる、上記方法。
【請求項78】
前記検出が前記マルチウェルプレートの底部からのエピフルオレッセンスを検出することを含む、請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記検出が前記低蛍光性および高透過性部分を通して光を通過させることを含む、請求項77記載の方法。
【請求項80】
蛍光を検出するマルチウェルプレートであって、
各ウェルが壁面と、シクロオレフィンコポリマーを含む低蛍光性および高透過性部分を有する底部とを有してなる複数のウェルと、
前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなり、前記マルチウェルプレートがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、かつ、標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記マルチウェルプレート。
【請求項81】
生物学的および生化学的サンプルの蛍光測定用マルチウェルプレートであって、
各ウェルが壁面と、シクロオレフィンコポリマーを含む低蛍光性および高透過性部分を有する底部とを含んでなる複数のウェルと、
前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなり、前記マルチウェルプレートが生物学的および生化学的サンプルからの蛍光シグナルを検出するためのものであり、かつ標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記マルチウェルプレート。
【請求項82】
前記低蛍光性および高透過性部分が前記底部の実質的にすべてにわたる、請求項81記載のマルチウェルプレート。
【請求項83】
前記マルチウェルプレートが3456以上のウェルを有する、請求項82記載のマルチウェルプレート。
【請求項84】
前記マルチウェルプレートはウェル中心からウェル中心までの間隔が2.5mm未満であるウェルを有する、請求項82記載のマルチウェルプレート。
【請求項85】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが20〜200ミクロンである、請求項84記載のマルチウェルプレート。
【請求項86】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが30〜80ミクロンである、請求項85記載のマルチウェルプレート。
【請求項87】
前記シクロオレフィンポリマーの厚さが20〜200ミクロンである、請求項81記載のマルチウェルプレート。
【請求項88】
前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において、100ミクロンの厚さの溶融石英ガラスに比べ、200パーセントまたはそれ以下の蛍光を生じる、請求項87記載のマルチウェルプレート。
【請求項89】
前記フレームがシクロオレフィンポリマー製である、請求項88記載のマルチウェルプレート。
【請求項90】
前記マルチウェルプレートが射出成形されている、請求項87記載のマルチウェルプレート。
【請求項91】
前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において、100ミクロンの厚さの溶融石英ガラスに比べ、200パーセントまたはそれ以下の蛍光を生じる、請求項90記載のマルチウェルプレート。
【請求項92】
前記壁面がバックグラウンド低下のための色素を含む、請求項90記載のマルチウェルプレート。
【請求項93】
前記底部がさらに結合対の一方のメンバーを含む、請求項91記載のマルチウェルプレート。
【請求項94】
前記底部がさらに多数の生細胞を含む、請求項92記載のマルチウェルプレート。
【請求項95】
前記壁面がシクロオレフィンコポリマー製である、請求項92記載のマルチウェルプレート。
【請求項96】
各ウェルがポリマー壁面を含む、生物学的および生化学的サンプルの蛍光測定用マルチウェルプレートの製造方法であって、
シクロオレフィンコポリマーを含む低蛍光性および高透過性を有する底部を有する前記マルチウェルプレートを射出成形することを含んでなり、
前記マルチウェルプレートの前記ウェルがフレーム内に配置されており、かつ、前記マルチウェルプレートが生物学的および生化学的サンプルからの蛍光シグナルを検出するためのものであり、かつ、標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記方法。
【請求項97】
前記ウェルがシクロオレフィンポリマー製である、請求項96記載の方法。
【請求項98】
射出成形が30〜150ミクロンのシクロオレフィン底部をもたらす、請求項96記載の方法。
【請求項99】
a) アッセイ用試薬、および
b) i) 各ウェルが壁面と、シクロオレフィンコポリマーを含む低蛍光性および高透過性部分を有する底部とを含んでなる複数のウェルと、
ii) 前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなる、生物学的および生化学的サンプルの蛍光測定用マルチウェルプレートであって、前記マルチウェルプレートがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、かつ、標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じるマルチウェルプレート、
を含んでなるキット。
【請求項100】
さらに検出器を含んでなる、請求項99記載のキット。
【請求項101】
生物学的および生化学的サンプルの蛍光測定用マルチウェルプレートであって、
各ウェルが壁面と、シクロオレフィンポリマーを含む低蛍光性および高透過性部分を有する底部とを有してなる、二次元直線配置の複数のウェルと、
前記ウェルが内部に配置されているフレームと、
を有してなり、前記マルチウェルプレートがサンプルからのシグナルを検出するためのものであり、かつ、標準96ウェルマイクロタイタープレートのフットプリントを有するものであり、前記底部が、300〜400nmの励起波長および300〜800nmの発光波長において150ミクロンの厚さの溶融シリカと比較して400〜200パーセント以下の蛍光を生じる、上記マルチウェルプレート。
【請求項102】
前記マルチウェルプレートがインサート成形されている、請求項101記載のマルチウェルプレート。
【請求項103】
前記底部の厚さが20〜200ミクロンである、請求項102記載のマルチウェルプレート。


【公開番号】特開2009−80119(P2009−80119A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261171(P2008−261171)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【分割の表示】特願平11−502625の分割
【原出願日】平成10年5月29日(1998.5.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.サランラップ
【出願人】(508270624)オーロラ バイオサイエンシズ コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】