説明

生物学的利用率が向上した吸入可能な組成物

本開示は、親油性生理活性物質を送達するために適した方法および組成物を提供する。組成物は、親油性生理活性物質の応用によって恩恵が得られるであろう多数の疾患および状態を処置するために利用されてもよい。態様において、組成物は吸入によって導入されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全開示が参照により本明細書に組み入れられる、2007年12月6日に提出された 米国特許仮出願第60/992,787号の恩典およびそれに対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
癌は、現在でも先進諸国における主要な死因の1つである。最近の研究により、腫瘍形成の多くの分子機序に関する理解は大きく増加して、癌の処置に関して多数の新しい道が提供されたが、ほとんどの悪性疾患に関する標準的な処置は、依然として肉眼による切除、化学療法、および放射線療法に留まっている。成功率は高くなっているが、これらの処置の各々は、多数の望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。たとえば、手術によって疼痛、健康な組織への外傷性損傷、および瘢痕形成が起こる可能性がある。放射線療法および化学療法は、悪心、免疫抑制、胃潰瘍、および二次腫瘍形成を引き起こす可能性がある。
【0003】
気道への治療物質の送達は、癌を含む局所および/または全身疾患を処置するための1つの手段である。しかし、肺に物質を送達するための従来の技術は不十分である可能性がある。化合物の呼吸に適した懸濁液を開発する試みは、粒子がエアロゾル化小滴によって送達されるには大きすぎて、薬物を効率的に放出できない可能性があることから、困難に直面している。
【0004】
薬物送達のために利用可能な肺の表面積の大部分が肺深部に位置することから、肺への送達は、肺深部の末梢肺胞への粒子の送達によって最もよく実現される可能性がある。対照的に、上部気道に沈着した粒子は、粘液線毛の昇降運動によって急速に除去され、その後咽頭に送達されて、嚥下されるかまたは咳によって除去される可能性がある。
【0005】
粒子形成技術は、機械的微粉化プロセスまたは溶液に基づく相分離プロセスのいずれかとして分類される可能性がある。機械的微粉化法には、米国特許第5,145,684号(特許文献1)において開示される技術などの粉砕技術が含まれる。しかし、これらの粉砕プロセスの際に生成される摩擦により、活性物質の熱または機械による分解が起こる可能性がある。薬物を微粉化するために用いられるもう1つの方法である噴霧乾燥は、形成される粒子が比較的小さい場合に、そのような粒子の捕捉に関して困難を生じうる。
【0006】
癌を含む疾患を処置するための改善された方法、ならびに吸入による送達を含む疾患および他の状態の処置において役立つ生理活性物質を送達することができる組成物がなおも望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,145,684号
【発明の概要】
【0008】
概要
本開示は、吸入によって身体に生理活性物質を送達するための製剤および方法を提供する。態様において、生理活性物質は、コエンザイムQ10(「CoQ10」)などの親油性生理活性物質であってもよい。生理活性物質は、呼吸に適した凝集体へと形成されて、吸入によって被験体に投与されてもよい。得られた呼吸に適した凝集体は、約1μm〜約5μmの空気力学的質量中位径を有してもよい。
【0009】
態様において、生理活性物質は、リポソーム製剤中に存在してもよく、次にこれを吸入による投与のために呼吸に適した凝集体へと形成してもよい。利用されてもよいリポソーム製剤には、任意で溶解剤と組み合わせて第一の相として調製される親油性生理活性物質が含まれてもよく、一方少なくとも1つのリン脂質を含有する第二の相が調製される。2つの相を組み合わせてもよく、それによって親油性生理活性物質を保有するリポソームが形成される。先に記したように、次にこれらのリポソームを、呼吸に適した凝集体へと形成して、吸入によって投与してもよい。
【0010】
態様において、本開示の組成物には、コエンザイムQ10またはその誘導体と、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、およびこれらの組み合わせなどの少なくとも1つのリン脂質とを保有するリポソームを含む、少なくとも1つの呼吸に適した凝集体が含まれてもよく、呼吸に適した凝集体は、約1μm〜約5μmの空気力学的質量中位径を有する。
【0011】
そのような呼吸に適した凝集体を形成するために利用されてもよい方法は、制御沈殿、水溶液中への蒸発沈殿、液体への噴霧凍結、超高速凍結、高内相エマルジョンプロセス、これらの組み合わせ等を含むがこれらに限定されるわけではない。
【0012】
態様において、本開示の方法には、任意で溶解剤と組み合わせて、親油性生理活性物質が含まれる第一の相を調製する段階;少なくとも1つのリン脂質が含まれる第二の相を調製する段階;第一の相を第二の相に接触させて、親油性生理活性物質を保有するリポソームを形成する段階;前記リポソームを回収する段階;および前記リポソームを、約1μm〜約5μmの空気力学的質量中位径を有する呼吸に適した凝集体へと形成する段階が含まれてもよい。
【0013】
凝集体は、ネブライザーもしくは加圧式定量噴霧式吸入器による小滴の形態、またはドライパウダー吸入器のための乾燥粉末の形態で投与されてもよい。
【0014】
CoQ10などの生理活性物質の投与により恩恵が得られる可能性がある全ての医学的状態は、本開示の呼吸に適した凝集体によって処置される可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本明細書において用いられる、「呼吸に適した凝集体」という用語には、約1 m2/gより大きい表面積(乾燥形態における場合)を有する、1つまたは複数の粒子の凝集体が含まれる。態様において、呼吸に適した凝集体の表面積は、約5 m2/gより大きくてもよく、他の態様において約10 m2/gより大きくてもよく、さらに他の態様において約20 m2/gより大きくてもよい。呼吸に適した凝集体にはまた、各々の活性物質粒子が約1μm未満の粒子径を有する、より小さな設計された活性物質粒子が含まれてもよい。呼吸に適した凝集体は、たとえば乾燥粉末、または液体中に分散されて1つもしくは複数の小滴を形成する乾燥粉末であってもよい。本開示の呼吸に適した凝集体はまた、呼吸に適した凝集体を錠剤の形態へと加圧することによって形成されたディスクに対する接触角測定によって示されるように、容易に水和性(wettable)であってもよい。そのような接触角測定は、約50°未満であってもよく、態様において約40°未満であってもよく、他の態様において約30°未満であってもよく、さらに他の態様において約20°未満であってもよい。さらに、本開示の呼吸に適した凝集体は、乾燥時に少なくとも約10%の多孔性を、態様において少なくとも約25%の多孔性を、他の態様において少なくとも約40%の多孔性を、さらに他の態様において約60%〜約80%の多孔性を有してもよい。本開示の呼吸に適した凝集体は、約0.1 g/mL〜約5 g/mLの密度を、態様において約0.2 g/mL〜約4 g/mLの密度を、他の態様において約0.3 g/mL〜約2 g/mLの密度を、いくつかの態様において約0.4 g/mLの密度を示す。
【0016】
本明細書において用いられる、「粒子」という用語には活性物質を含む粒子が含まれ、そのような活性物質は、以下により詳細に記載される。呼吸に適した凝集体が、呼吸に適した凝集体全体に分散される、活性物質を保有する1つまたは複数の粒子を含んでもよいように、前記粒子は、呼吸に適した凝集体内で個々の単位を形成してもよい。
【0017】
本明細書において用いられる「微粒子分画」という用語には、肺に実際に送達される送達材料(すなわち、呼吸に適した凝集体および粒子を含有する製剤である、液滴、乾燥粉末等のいずれか)の一部が含まれる。微粒子分画は、粒子および呼吸に適した凝集体の性能に依存するのみならず、送達機器の性能にも依存する。この微粒子分画には、約1μm〜約5μmの空気力学的質量中位径を有する呼吸に適した凝集体が含まれてもよい。これは、ネブライザーもしくは加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)によって送達される液滴、またはドライパウダー吸入器(DPI)のための乾燥粉末にとって適した大きさであり、このような液滴または粉末には凝集体および粒子が含まれる。
【0018】
本明細書において用いられる「薬学的有効量」および「治療的有効量」という用語には、ヒトを含む動物被験体に投与した場合に所望の薬理学的効果または治療効果を生じる、生理活性物質または薬物の量または濃度が含まれる。薬学的有効量または治療的有効量を含む、活性物質または薬物の量は、利用される薬物のタイプ、特定薬物の効力、製剤の投与経路、製剤を投与するために用いられるシステム、これらの組み合わせ等のような要因に応じて変動しうる。
【0019】
本明細書における「処置」または「処置する」という用語には、(i)疾患を予防する、すなわち疾患の臨床症状を発症しないようにすること、(ii)疾患を阻害する、すなわち、臨床症状の発症を停止させること、および/または(iii)疾患を軽減する、すなわち臨床症状の後退を引き起こすこと、を含む、哺乳動物における疾患の任意の処置が含まれる。
【0020】
本明細書において用いられる、「薬学的に許容される担体」という用語には、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、安定化賦形剤、吸収促進剤または吸収遅延剤、これらの組み合わせ等が含まれる。薬学的活性物に対してこのような媒体および物質を用いることは、当業者の範囲内である。補足的な活性成分も同様に、組成物に組み入れることができる。
【0021】
本明細書において用いられるナノ粒子からの活性物質の「即時放出」という用語は、可能な限り速やかに、すなわち、提供される物質が、その活性型で、前駆体として、および/または代謝物としてにかかわらず、動物にとって実際に利用可能となると直ちに活性物質の送達を行う放出特性を説明するものである。
【0022】
本明細書において用いられる「溶液」という用語には、懸濁液およびエマルジョンが含まれるだけでなく、生理活性物質および溶媒を含む溶液も含まれる。
【0023】
「1,3-ジオキソラン」は、有機溶媒である(たとえば、Aldrich Chemical Company, Inc.から市販されている)。
【0024】
「BRIJ 98」は、ポリオキシエチレン20オレイルエーテルである安定化剤/溶解剤である(たとえば、Sigmaから市販されている)。
【0025】
「トルエン」は、有機溶媒である(たとえば、Fisher Scientificから市販されている)。
【0026】
本明細書において時に「DCM」と呼ばれる「ジクロロメタン」は有機溶媒である。
【0027】
「PLURONIC F-127」は、ポロキサマー407安定化剤である(たとえばSigmaから市販されている)。
【0028】
「ポリソルベート20」および「ポリソルベート80」は、安定化剤/溶解剤である(たとえば、Aldrich Chemical Company, Inc.から市販されている)。
【0029】
「CP」は、本開示の粒子および呼吸に適した凝集体を作製するための例示的な方法である制御沈殿を意味する。
【0030】
「EPAS」は、本開示の粒子および呼吸に適した凝集体を作製するための例示的な方法である、水溶液中への蒸発沈殿を意味する。
【0031】
「SFL」は、本開示の粒子および呼吸に適した凝集体を作製するための例示的な方法である、液体への噴霧凍結を意味する。
【0032】
「URF」は、本開示の粒子および呼吸に適した凝集体を作製するための例示的な方法である、超高速凍結を意味する。
【0033】
「HIPE」は、本開示の粒子および呼吸に適した凝集体を作製するための例示的な方法である、高内相エマルジョンを意味する。
【0034】
呼吸に適した凝集体および粒子の調製
本開示の呼吸に適した凝集体は、肺深部への0.25 μg/gを超える活性物質の送達を容易にするために用いられてもよい。一定の態様において、肺深部への送達は、肺組織中に少なくとも約1、5、10、15、20、25および30μg/gもの活性物質を送達することであろう。活性物質には、薬学的に許容される担体が含まれてもよい。呼吸に適した凝集体は、呼吸に適しているおよび呼吸に適していない凝集体を含む分画の混合物からさらに分離されてもよい。
【0035】
本開示の呼吸に適した凝集体は、少なくとも約2時間、態様において少なくとも約4時間、他の態様において少なくとも約6時間、他の態様において少なくとも約8時間、およびさらに他の態様において少なくとも約12時間にわたり、肺に留まってもよい(本明細書において「滞留時間」と呼ばれる)。
【0036】
本開示の呼吸に適した凝集体は、当業者の範囲内の任意の適した方法を用いて作製されてもよい。このような方法には、急速凍結法、沈殿法およびエマルジョン法が含まれる。
【0037】
呼吸に適した凝集体を形成するための適した急速凍結法には、その全開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,862,890号において記載される液体への噴霧凍結(SFL)、およびその全開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2004/0137070号において記載される超高速凍結(URF)と本明細書において呼ばれる方法が含まれる。
【0038】
態様において、適したSFL法には、活性物質を溶液物質と混合する段階、および噴霧により凍結粒子が生成されるように、極低温液体の水位またはそれより下に位置する断熱ノズルを通して有効成分-溶液物質混合物を噴霧する段階が含まれてもよい。
【0039】
態様において、適したURF法には、活性物質と少なくとも1つの凍結可能な有機溶媒とを含む溶液を、該溶液が凍結するように低温表面に接触させる段階、および有機溶媒を除去する段階が含まれてもよい。
【0040】
呼吸に適した凝集体を形成するための適した沈殿法には、その全開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,756,062号において記載される水溶液中への蒸発沈殿(EPAS)、およびその全開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2003/0049323号において記載される制御沈殿(CP)と本明細書において呼ばれる方法が含まれる。
【0041】
態様において、適したEPAS法には、少なくとも1つの有機溶媒中に薬物または他の活性物質を溶解して、薬物/有機混合物を形成する段階、薬物/有機混合物を水溶液に噴霧して、同時に該水溶液の存在下で該有機溶媒を蒸発させ、薬物粒子の水性分散物を形成する段階が含まれてもよい。
【0042】
態様において、適したCP法には、混合ゾーンを通じて貧溶媒(anti-solvent)を再循環させる段階、薬物または他の活性物質を溶媒中に溶解して溶液を形成させる段階、溶液を混合ゾーンに添加して貧溶媒中に粒子スラリーを形成させる段階、および粒子スラリーの少なくとも一部を混合ゾーン通して戻し再循環させる段階が含まれてもよい。
【0043】
呼吸に適した凝集体を形成するための適したエマルジョン法には、その各々の全開示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,539,021号および第5,688,842号において記載される、HIPE(高内相エマルジョン)と本明細書において呼ばれる方法が含まれる。態様において、適したHIPE法には、乳化および安定化量(emulsifying and stabilizing amount)の界面活性剤の存在下で、流速R1を有する連続相液体流と流速R2を有する分散相液体流とを連続的に融合させて分散剤とする段階、ならびにR2:R1を十分に一定にして十分量の剪断力で融合流を混合し、外相への内相の転相または段階的分布を伴うことなく、高内相比エマルジョンを形成する段階が含まれてもよい。
【0044】
上記の方法は、形態が結晶質または非晶質である粒子および呼吸に適した凝集体を作り出す可能性がある。都合のよいことに、これらの方法はいずれも、活性物質の熱分解を引き起こしうる機械的粉砕または他の類似の単位操作を利用しない。
【0045】
先に記したように、いくつかの態様において、活性物質は、1つまたは複数の有機溶媒および/またはこの混合物と共に溶液中に存在してもよい。有機溶媒は水混和性または水に不混和性であってもよい。適した有機溶媒は、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、アセトン、tert-ブチルアルコール、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、塩化メチレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、1,3-ジオキソラン、イソプロパノール、n-プロパノール、プロピオンアルデヒド、これらの組み合わせ等を含むがこれらに限定されるわけではない。
【0046】
活性物質
いかなる活性物質も、本開示に従ってヒトを含む動物に投与されてもよい。態様において、適した活性物質には親油性生理活性物質が含まれてもよく、これは本明細書において疎水性生理活性物質と呼ばれることもある。態様において、親油性生理活性物質は、先に記載した技術を利用して形成された呼吸に適した凝集体として投与されてもよい。他の態様において、生理活性物質は、リポソーム内にあってもよく、これを次に、先に記載された技術を利用して呼吸に適した凝集体へと形成し、患者に投与してもよい。このように、本明細書において用いられる活性物質には、生理活性物質と、リポソームを含む本明細書において記載される任意の他の添加剤との双方が含まれて、これらを次に先に記載された呼吸に適した凝集体へと形成してもよい。
【0047】
本明細書において用いられる親油性生理活性物質には、水に不溶性の物質が含まれる。具体的には、本明細書において用いられる親油性生理活性物質は、水約1000部に対して生理活性物質が約1部未満である水溶性を有してもよい。
【0048】
単独で、または態様において先に記載されたリポソームに含まれて、呼吸に適した凝集体へと形成されてもよい適した親油性生理活性物質には、鎮痛剤、抗炎症剤、駆虫剤、抗不整脈剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗てんかん剤、抗真菌剤、抗痛風剤、抗高血圧剤、抗マラリア剤、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗新生物剤、勃起不全改善剤、免疫抑制剤、抗原虫剤、抗甲状腺剤、抗不安剤、鎮静剤、催眠剤、神経弛緩剤、β-遮断剤、心臓変力剤(cardiac inotropic agent)、コルチコステロイド、利尿剤、抗パーキンソン剤、消化器作用剤、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、角質溶解剤、脂質調節剤、抗狭心症剤、cox-2阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、マクロライド、筋弛緩剤、栄養剤、オピオイド鎮痛剤、プロテアーゼ阻害剤、性ホルモン、刺激剤、筋弛緩剤、抗骨粗鬆症剤、抗肥満剤、認知増強剤、抗尿失禁剤、栄養油、抗良性前立腺肥大剤、必須脂肪酸、非必須脂肪酸、これらの組み合わせ等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0049】
適した疎水性活性物質の非制限的な例には、アシトレチン(acutretin)、アルベンダゾール、アルブテロール、アミノグルテチミド(aminogluthemide)、アミオダロン、アムロジピン、アンフェタミン、アンフォテリシンB、アトルバスタチン、アトバコン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベクロメタゾン(beclomethsone)、ベナゼプリル(benezepril)、ベンゾナテート、ベタメタゾン、ビカルタミド(bicalutanide)、ブデソニド、ブプロピオン、ブスルファン、ブテナフィン、カルシフェジオール、カルシポトリエン(calciprotiene)、カルシトリオール、カンプトテシン(camptothecan)、カンデサルタン、カプサイシン、カルバマゼピン(carbamezepine)、カロテン、セレコキシブ、セリバスタチン(cerivistatin)、セチリジン(cetrizine)、クロルフェニラミン、コレカルシフェロール、シロスタゾール、シメチジン、シンナリジン、シプロフロキサシン、シサプリド、クラリスロマイシン、クレマスチン、クロミフェン、クロミプラミン、クロピドグレル(clopidrogel)、コデイン、コエンザイムQ10、シクロベンザプリン、シクロスポリン、ダナゾール、ダントロレン、デクスクロルフェニラミン(dexchlopheniramine)、ジクロフェナク、ジクマロール、ジゴキシン、デヒドロエピアンドロステロン(dihydroepiandrosterone)、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロタキステロール、ジリスロマイシン、ドネペジル、エファビレンツ、エプロサルタン(eposartan)、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、必須脂肪酸源、エトドラク、エトポシド、ファモチジン、フェノフィブレート、フェンタニル、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール(flucanazole)、フルルビプロフェン、フルバスタチン、フォスフェニトイン(fosphenytion)、フロバトリプタン、フラゾリドン、ギャバペンチン、ゲムフィブロジル、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド(glymepride)、グリセオフルビン、ハロファントリン、イブプロフェン、イルベサルタン、イリノテカン、イソソルビドジニトレート、イソトレチノイン(isotreinoin)、イトラコナゾール、イベルメクチン、ケトコナゾール、ケトロラック、ラモトリジン、ランソプラゾール(lanosprazole)、レフルノミド、リシノプリル、ロペラミド、ロラタジン、ロバスタチン、L-チロキシン(L-thryroxine)、ルテイン、リコペン、メドロキシプロゲステロン、ミフェプリストン(mefepristone)、メフロキン、酢酸メゲストロール(megesterol acetate)、メタドン、メトキサレン、メトロニダゾール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミグリトール、ミノキシジル、ミトキサントロン、モンテルカスト、ナブメトン、ナルブフィン、ナラトリプタン(naratiptan)、ネルフィナビル、ニフェジピン、ニソルジピン(nilsolidipine)、ニルタミド(nilutanide)、ニトロフラントイン、ニザチジン、オメプラゾール、オプレルベキン(oprevelkin)、エストラジオール(osteradiol)、オキサプロジン、パクリタキセル、パリカルシトール、パロキセチン、ペンタゾシン、ピオグリタゾン、ピゾチフェン(pizofetin)、プラバスタチン、プレドニゾロン、プロブコール、プロゲステロン、プソイドエフェドリン、ピリドスチグミン、ラベプラゾール、ラロキシフェン、ロフェコキシブ(refocoxib)、レパグリニド、リファブチン、リファペンチン、リメキソロン、リトナビル(ritanovir)、リザトリプタン、ロシグリタゾン(rosigiltazone)、サキナビル、セルトラリン、シブトラミン、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、スピロノラクトン、スマトリプタン、タクリン、タクロリムス、タモキシフェン、タムスロシン、ターグレチン、タザロテン、テルミサルタン、テニポシド、テルビナフィン、テラゾシン(terzosin)、テトラヒドロカンナビノール、チアガビン、チクロピジン(ticlidopine)、チロフィバン(tirofibran)、チザニジン、トピラメート、トポテカン、トレミフェン、トラマドール、トレチノイン、トログリタゾン、トロバフロキサシン、バルサルタン、ベンラファキシン、ベルテポルフィン(vertoporfin)、ビガバトリン、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ザフィルルカスト、ジロートン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、これらの組み合わせ等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。上記の生理活性物質の塩、異性体、および/または他の誘導体のみならず、これらの組み合わせも同様に用いられてもよい。
【0050】
態様において、コエンザイムQ10を本開示に従う生理活性物質として利用してもよい。CoQ10は、ヒトの体のほとんどの組織および他の哺乳動物の組織全体を通して見いだされ、ミトコンドリアにおいて濃縮される。CoQ10は、非常に親油性であり、たいていの場合水に不溶性である。本明細書においてCoQ10またはユビデカレノンと呼ばれることのあるコエンザイムQ10は、人気のある栄養サプリメントであり、CoQ10(ユビキノン)の還元型であるユビキノールの抗酸化剤特性を通して免疫系の保護に役立つようにビタミン様サプリメントとして、栄養食品店、健康食品店、薬局等でカプセル形態で見いだされうる。本明細書において用いられるコエンザイムQ10にはまた、たとえばユビキノールを含むその誘導体も同様に含まれる。コエンザイムQ10は、本明細書において記載されるように、またはその全開示が参照により本明細書に組み入れられる国際出願WO 2005/069916において記載されるように、呼吸に適した凝集体として適用されてもよい。
【0051】
態様において、コエンザイムQ10などの親油性生理活性物質を、インビボで投与するために他の生理活性物質または化合物と組み合わせてもよい。たとえばいくつかの態様において、生理活性物質の組み合わせは、肺癌などの、しかしこれに限定されない癌の処置のために、本開示に従って利用されてもよい。任意の生理活性物質を、先に記載した他の生理活性物質のみならず、本明細書において記載される追加の添加剤および賦形剤と組み合わせてもよい。
【0052】
いくつかの態様において、コエンザイムQ10などの親油性生理活性物質を、混合物または混和物として2-デオキシグルコースおよび/または2-デオキシグルコース塩、6-デオキシグルコースおよび/または6-デオキシグルコース塩を含むデオキシグルコースと組み合わせて、インビボで患者に投与してもよい。適した塩には、たとえばリン酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、ヒドロキシ酪酸塩、これらの組み合わせ等が含まれる。いくつかの態様において、例示的な塩には、2-デオキシグルコースリン酸、6-デオキシグルコースリン酸、その組み合わせ等などのリン酸塩が含まれる。他の態様において、ユビキノンまたはユビキノールのキノン環またはキノール環を、1位、4位、またはその双方で、2-デオキシグルコースもしくは6-デオキシグルコース、または2-デオキシグルコースリン酸もしくは6-デオキシグルコースリン酸を含むその塩などの、デオキシグルコースまたはその塩によって置換してもよく、次に置換されたユビキノンまたはユビキノールを患者に投与してもよい。
【0053】
同様に、他の態様において、ジヒドロキシアセトンを混合物または混和物としてコエンザイムQ10と組み合わせて、患者にインビボで投与してもよい。同様に、なお他の態様において、ユビキノンまたはユビキノールのキノン環またはキノール環を、1位、4位、または双方で、ジヒドロキシアセトンによって置換してもよく、次に置換されたユビキノンまたはユビキノールを患者に投与してもよい。
【0054】
なお他の態様において、コエンザイムQ10などの親油性生理活性物質と共に投与されてもよい化合物には、コハク酸塩、ピルビン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、乳酸塩、グルタル酸塩、これらの組み合わせ等が含まれ、具体的的な例には、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、その組み合わせ等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0055】
先に記したように、態様において、コエンザイムQ10などの親油性生理活性物質を、任意で他の生理活性物質および/または添加剤と組み合わせて、先に記載された技術を利用して形成された呼吸に適した凝集体として投与してもよい。他の態様において、生理活性物質をリポソームの中に入れてもよく、これを先に記載した技術を利用して形成された呼吸に適した凝集体の形で患者に投与してもよい。生理活性物質がリポソームの中に存在する場合、親油性生理活性物質を封入するためのリポソームを形成するために、任意のリン脂質および/またはリゾリン脂質などのリン脂質誘導体を利用してよい。そのようなリポソームを形成するために適した、適切なリン脂質および/またはリン脂質誘導体には、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、これらの組み合わせ等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0056】
いくつかの態様において、鶏卵または大豆に由来するレシチンをリン脂質として利用してもよい。そのようなレシチンには、American Lecithin Company, Oxford, CTからPHOSPHOLIPON(登録商標)85G、PHOSPHOLIPON(登録商標)90G、およびPHOSPHOLIPON(登録商標)90H(PHOSPHOLIPON(登録商標)90Gの完全な水和形態)として市販されているレシチンが含まれる。他の適したレシチンには、Nikko ChemicalsからのLECINOL S-10(登録商標)が含まれる。
【0057】
上記のリン脂質またはその誘導体は、生理活性物質を含有するリポソームを形成するために利用されてもよい。態様において、ホスファチジルコリン含有量の高いレシチンを、リポソームを形成するために利用してもよい。一部の態様において、利用されてもよい高ホスファチジルコリンのレシチンには、リノール酸に基づくホスファチジルコリンを少なくとも85%含有する大豆由来レシチンであるPHOSPHOLIPON(登録商標)85Gが含まれる。このレシチンは使用が容易で、任意の他の特殊な添加剤を加えることなく、低い処理温度(約20℃〜約55℃)でサブミクロンのリポソームを産生することができる。PHOSPHOLIPON(登録商標)85Gは、ホスファチジルコリンに加えて、およそ5〜7%のホスファチジン酸を含有する。ホスファチジン酸は、得られたリポソーム小胞に負の表面電荷を付与して、処理時間および処理エネルギーを低減させて、安定なリポソームの形成に役立つ。
【0058】
態様において、生理活性物質/リポソーム濃縮物を形成することが望ましい可能性があり、これを利用して本開示の呼吸に適した凝集体を形成してもよい。したがってリポソームの形成においては、その後のリポソームへの封入のために、親油性生理活性物質を適切な媒体中で、一部の態様においては水中で可溶化することができる材料と、親油性生理活性物質とを合わせることが望ましい可能性がある。親油性生理活性物質の溶解剤として利用されてもよい適した材料には、たとえばポリオキシアルキレンデキストラン、サッカロースの脂肪酸エステル、オリゴグルコシドの脂肪アルコールエーテル(たとえば、TRITON(商標)などのアルキルポリグルコシド)、グリセロールの脂肪酸エステル(たとえば、モノ/ジステアリン酸グリセロール、またはモノラウリン酸グリセロール)、およびポリオキシエチレン型化合物(たとえば、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、SOLUTOL(商標)、CREOMOPHOR(商標)、MACROGOL(商標)、CARBOWAX(商標)、POLYOXYL(商標))が含まれる。適した溶解剤にはまた、ソルビタンのポリエトキシル化脂肪酸エステル(たとえば、ポリソルベート20およびポリソルベート80を含むTWEEN(商標)、SPAN(商標)などのポリソルベート)、ポリ(エチレンオキサイド)の脂肪酸エステル(たとえば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、ポリ(エチレンオキサイド)の脂肪アルコールエーテル(たとえば、ポリオキシエチル化ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン20オレイルエーテル(BRIJ 98))、ポリ(エチレンオキサイド)のアルキルフェノールエーテル(たとえば、ポリエトキシル化オクチルフェノール)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(同様に、PLURONIC F-127を含む「PLURONICS」などのポロキサマーとしても知られる)、ならびにエトキシル化脂肪および油(たとえば、エトキシル化ヒマシ油、またはポリエチレングリコール-トリリシノール酸グリセリルとしても知られるポリオキシエチル化ヒマシ油)が含まれる。これらの溶解剤の組み合わせも同様に態様において利用されてもよい。そのような溶解剤および組み合わせは標準的な販売元から入手可能である。
【0059】
いくつかの態様において、適した溶解剤には、ポリソルベート、たとえばTWEEN(商標)の名称で販売されるポリソルベートが含まれる。そのようなポリソルベートの例には、ポリソルベート80(TWEEN(商標)80)、ポリソルベート20(TWEEN(商標)20)、ポリソルベート60(TWEEN(商標)60)、ポリソルベート65(TWEEN(商標)65)、ポリソルベート85(TWEEN(商標)85)等、ならびに界面活性剤および界面活性剤混合物のHLB(親水-親油バランス)がO/W型エマルジョンシステムの形成に都合がよい限り、これらの材料とARLACEL(登録商標)界面活性剤を含む他の類似の界面活性剤との併用が含まれる。
【0060】
可溶化を補助するために、態様において、親油性生理活性物質と溶解剤とを適切な期間加熱することが望ましい可能性がある。加熱温度および加熱時間は、具体的な親油性生理活性物質、該生理活性物質の内因性の熱安定性、および利用される溶解剤に依存するであろう。たとえば、態様において、親油性生理活性物質および溶解剤を約40℃〜約65℃の温度まで加熱してもよく、態様において、約50℃〜約55℃で約5分間〜約60分間にわたり加熱してもよく、態様において、約15分間〜約30分間にわたり加熱してもよい。親油性生理活性物質対溶解剤の重量比は約1:1であってもよく、態様において、約1:1〜約4:2であってもよく、他の態様において、約1:2〜約3:2であってもよい。
【0061】
たとえば、ポリソルベート80などの溶解剤は、親油性生理活性物質、態様においてCoQ10、を高レベルで溶解することができ、親油性生理活性物質は、CoQ10の融解点(約47℃〜約48℃である)を超える温度である約50℃〜約55℃の温度まで加熱した場合に、約1:2〜約3:2の比率で溶解剤に完全に可溶性である。
【0062】
先に記したように、親油性生理活性物質に添加される溶解剤の量は、溶解剤、親油性生理活性物質、およびリポソームを形成するために利用されるリン脂質に依存する可能性がある。態様において、その中に親油性生理活性物質を含むリポソームを保有する本開示の組成物は、約0.2重量%〜約12重量%の量で溶解剤を保有してもよく、態様において、約1.5重量%〜約6.5重量%を保有してもよい。
【0063】
時に本明細書において第一相と呼ばれる親油性生理活性物質と溶解剤の溶液を、先に記載したリン脂質、いくつかの態様においてはレシチン、と合わせてもよい。いくつかの態様において、時に本明細書において第二相と呼ばれる分散液の中に、リン脂質を入れることが望ましく、この中に親油性生理活性物質と溶解剤の溶液(すなわち、第一相)を添加する。分散液/第二相を形成するための適した溶媒には、水、精製水、脱イオン水、エタノール、イソプロパノール、グリコール、ジグリコール、ポリグリコール、これらの組み合わせ等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。添加される場合、溶媒は、第二の分散液の約50重量%〜約100重量%の量で存在してもよく、態様において第二の分散液の約85重量%〜約90重量%で存在してもよく、リン脂質は、第二の分散液の約5重量%〜約20重量%の量で存在してもよく、態様において、第二の分散液の約8重量%〜約12重量%で存在してもよい。
【0064】
いくつかの態様において、親油性生理活性物質を保有するリポソーム製剤を増強するため、リポソームの全体的な流体学的および処理特性を改善するため、ならびに得られたリポソーム濃縮物の貯蔵の際の微生物学的完全性を確保するために、追加の成分を第二相と合わせてもよい。そのような成分には、吸収剤、消泡剤、酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝液、抗菌剤、抗酸化剤(たとえば、アスコルビン酸塩、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ポリフェノール、フィチン酸)、結合剤、生物学的添加剤、キレート剤(たとえば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、EDTA四ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等)、変性剤、外部鎮痛剤(たとえば、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤等)、ステロイド性抗炎症剤(ヒドロコルチゾン等などの)、保存剤(たとえば、イミダゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン等)、還元剤、溶解補助剤、溶媒、粘度調整剤、湿潤剤、濃化剤、およびこれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されるわけではない。これらの追加の成分は、第二の分散液の約0.001重量%〜約10重量%の量で存在してもよく、態様において、第二の分散液の約0.1重量%〜約1重量%で存在してもよい。
【0065】
適した湿潤剤の例には、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール(時に、本明細書において1,2-ペンタンジオールと呼ばれる)、イソプレングリコール(1,4-ペンタンジオール)、1,5-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、エリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-10、PEG-12、PEG-14、PEG-16、PEG-18、PEG-20などのポリエチレングリコール(「PEG」)、およびこれらの組み合わせが含まれるポリオールおよびポリオール誘導体、糖および糖誘導体(中でも、果糖、グルコース、マルトース、マルチトール、マンニトール、イノシトール、ソルビトール、ソルビチルシランジオール、蔗糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、グルクロン酸およびその塩が含まれる)、エトキシル化ソルビトール(Sorbeth-6、Sorbeth-20、Sorbeth-30、Sorbeth-40)、これらの組み合わせ等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。他の態様において、ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、グリセリン、1,5-ペンタンジオール、これらの組み合わせ等などのグリコールを湿潤剤として利用してもよい。利用される場合、その組み合わせを含む上記の湿潤剤のいずれも、第二の分散液の約0.1重量%〜約20重量%の量で存在してもよく、態様において、第二の分散液の約1重量%〜約5重量%の量で存在してもよい。
【0066】
いくつかの態様において、フェノキシエタノールなどの保存剤およびプロピレングリコールなどの湿潤剤をいずれも第二相に添加してもよい。態様において、プロピレングリコールは、湿潤性を提供して、フェノキシエタノールと合わせた場合に濃縮物の保存を助ける可能性がある。フェノキシエタノールとプロピレングリコールの混合物は水溶性で非揮発性であるべきである。これは、しばしばリポソーム分散液の供給元によって利用される、保存のためにエタノールを用いる場合と対照的である。存在する場合、そのような保存剤は、第二の分散液の約0.01重量%〜約3重量%の量で存在してもよく、態様において、第二の分散液の約0.3重量%〜約1重量%の量で存在してもよい。
【0067】
本明細書において時に第二相と呼ばれるリン脂質を含有する分散液、および本明細書において時に第一相と呼ばれる親油性生理活性物質と溶解剤とを含有する溶液を、ホモジナイザー、ミキサー、ブレンダー、および当業者の範囲内の類似の装置を利用して高剪断力で混合することによってホモジナイズし、リポソーム濃縮物を形成してもよい。いくつかの態様において、Silverson L4RTホモジナイザーまたはGifford-Wood、Frain、IKAおよび他社製の類似のタイプのステーター/ローターホモジナイザーを含む市販のホモジナイザーのみならず、マルチステージホモジナイザー、コロイドミル、ソノレーター、または他のタイプのホモジナイザーを用いて、親油性生理活性物質のサブミクロンのリポソーム分散液を産生してもよい。上記のステーター/ローター型ホモジナイザーは、約100 rpm〜約10,000 rpmの操作範囲を有し、低剪断力、標準的剪断力、および高剪断力の範囲のヘッドスクリーンと共に供給されてもよい。
【0068】
ホモジナイゼーションは、たとえば約4,000 rpm〜約12,000 rpm、態様において約5,000 rpm〜約10,000 rpm、いくつかの態様において約7,000 rpmの適した速度で2つの相を混合することによって起こってもよい。ホモジナイザーの剪断速度はまた、ホモジナイザーヘッド周囲の処理スクリーンの大きさを増加または減少させることによって、ホモジナイズするシャフトの速度とは無関係に増加または減少させてもよい。態様において、Silverson L4RTホモジナイザーに関して供給される標準的な乳化スクリーンおよび高剪断スクリーンの双方によってリポソームを作製してもよい。混合は、約90分間未満、態様において約2分間〜約60分間、態様において約5分間〜約45分間の適切な期間で行われうる。得られたリポソームは、粒子径約600 nm未満、態様において約100 nm〜約500 nm、他の態様において約200 nm〜約400 nm、いくつかの態様において約300 nmの粒子径を有してもよい。
【0069】
態様において、2つの相を約45℃〜約65℃の温度まで、態様において約50℃〜約55℃まで個別に加熱して、先に記載した速度および期間での高剪断ホモジナイゼーションにより混合して、CoQ10のサブミクロンリポソームを形成してもよい。親油性生理活性物質がCoQ10である場合、CoQ10相、水/リン脂質相、および合わせた相の処理温度は、CoQ10の酸化的分解を回避するために約55℃を超えてはならない。しかし、約45℃〜約55℃での温度で混合物を処理することは、約5,000 cP〜約100,000 cP、態様において約35℃〜約45℃で約15,000 cP〜約40,000 cPの濃縮物の所望の粘度を得るために望ましい可能性がある。いくつかの態様において、長時間の処理、たとえばこの温度範囲内での先に記した速度における最大約60分間の処理は、得られたリポソームの完全性に有害な影響を及ぼさないであろう。
【0070】
生理活性物質は、約15重量%〜約30重量%の濃度で、態様において約18重量%〜約26重量%の濃度で、いくつかの態様において約22重量%の濃度で、得られた濃縮物に存在してもよい。濃縮物におけるリン脂質の量は約2重量%〜約20重量%の範囲であってもよく、態様において濃縮物において約4重量%〜約16重量%の範囲であってもよい。
【0071】
形成された後、得られたリポソームを、当業者の範囲内である任意の担体システムと組み合わせてもよい。先に記されたように、態様において、上記のリポソームを、先に記載された技術を利用して呼吸に適した凝集体へと形成して、患者に投与してもよい。
【0072】
態様において、呼吸に適した凝集体の形態で上記のリポソームを含む任意の組成物内に、肺サーファクタントおよび/または粘液溶解剤を含めることが望ましい可能性がある。適した肺サーファクタントには、天然の肺サーファクタントの機能を有する肺サーファクタント調製物が含まれるがこれらに限定されるわけではない。これらには、天然および合成の肺サーファクタントの双方が含まれうる。態様において、リン脂質および/または肺サーファクタントタンパク質を含有する組成物を利用してもよい。
【0073】
本開示に従う肺サーファクタントとして利用されてもよい例示的なリン脂質には、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレイルホスファチジルグリセロール(POPG)、および/またはホスファチジルグリセロール(PG)が含まれる。他の適したリン脂質には、様々なリン脂質の混合物、たとえばジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)とパルミトイルオレイルホスファチジルグリセロール(POPG)の約7〜約3対約3〜約7の比率の混合物が含まれる。
【0074】
肺サーファクタント調製物として利用されてもよい市販の製品には、ホモジナイズしたブタ肺からの天然のサーファクタントであるCUROSURF(登録商標)(INN: PORACTANT ALFA)(Serono, Pharma GmbH, Unterschleiβheim);ウシ肺の抽出物であるSURVANTA(登録商標)(INN: BERACTANT)(Abbott GmbH, Wiesbaden);ウシ肺の抽出物であるALVEOFACT(登録商標)(INN: BOVACTANT)(Boehringer Ingelheim);賦形剤を含有する合成リン脂質であるEXOSURF(登録商標)(INN: COLFOSCERIL PALMITATE)(Glaxo SmithKline);ウシ肺から抽出された肺サーファクタントであるSURFACTEN(登録商標)(INN: SURFACTANT-TA)(Mitsubishi Pharma Corporation);仔ウシ肺から抽出されたサーファクタントであるINFASURF(登録商標)(INN: CALF ACTANT)(Forest Pharmaceuticals);DPPCおよびPGの人工サーファクタントであるALEC(登録商標)(INN: PUMACTANT)(Britannia Pharmaceuticals);ならびにウシ脂質抽出物サーファクタントであるBLES(登録商標)(BLES Biochemical Inc.)が含まれる。
【0075】
適した肺サーファクタントタンパク質には、肺洗浄液または羊水からの抽出物などの天然起源から得られたタンパク質と、遺伝子操作または化学合成によって調製されたタンパク質の双方が含まれる。SP-B(サーファクタントタンパク質-B)およびSP-C(サーファクタントタンパク質-C)と呼ばれる肺サーファクタントタンパク質、ならびにタンパク質の組み換え型を含むその改変誘導体を、いくつかの態様において利用してもよい。
【0076】
適した粘液溶解剤には、グアイフェネシン、ヨウ素化グリセロール、グアヤコール酸グリセリル、テルピン水和物、塩化アンモニウム、N-アセチルシステイン、ブロムヘキシン、アンブロキソール、ヨウ化物、その薬学的に許容される塩、およびこれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0077】
いくつかの態様において、リポソーム中の親油性生理活性物質を含む本開示の組成物中で利用される保存剤の量も同様に、先に記載された添加剤を含む追加の添加剤を含めることによって低減させてもよい。たとえば、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセロール、またはジグリセロール、これらの組み合わせ等を含むがこれらに限定されるわけではない多機能ジオールを添加することによって、ならびに、上記の湿潤剤の添加を介しておよび可溶性成分の添加を通して水の活性Awを低下させることによって、本開示の組成物中で保存剤の量を低減させてもよい。
【0078】
態様において、リポソーム中の親油性生理活性物質を含む本開示の組成物に添加されてもよい他の可溶性成分は、必要な保存剤のレベルを低減させる可能性がある。そのような追加の可溶性成分には、pH調節および緩衝剤、等張性調節剤、湿潤剤等、たとえば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。添加されてもよい他の緩衝剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、トロメタミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、クエン酸、酢酸、乳酸、および乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸リチウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛を含む乳酸塩、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸銀、乳酸銅、乳酸鉄、乳酸マンガン、乳酸アンモニウム、これらの組み合わせ等が含まれる。これらの添加剤は、先に記載されたリポソームおよび/または呼吸に適した凝集体を形成するために利用される上記の任意の相に添加されてもよい。
【0079】
態様において、親油性および親水性の両特性を有する材料におけるCoQ10などの親油性生理活性物質の可溶化は、PHOSPHOLIPON(登録商標)85Gなどの高ホスファチジルコリンレシチンによる封入のための水分散性のCoQ10を形成することによって、態様において、リポソーム製剤を支援する可能性がある。
【0080】
態様において、上記で形成されたサブミクロンのリポソーム濃縮物を利用して、親油性生理活性物質を保有する、投与量範囲の呼吸に適した凝集体を作製してもよい。態様において、リポソーム濃縮物は、高リノール酸-ホスファチジルコリンマルチラメラリポソーム内でCoQ10可溶化、流動化、または乳化されてもよい。
【0081】
他の賦形剤およびアジュバント
任意でリポソーム中に、態様において生理活性物質を含む、上記の組成物を、上記のように呼吸に適した凝集体へと形成してもよい。リポソーム中の生理活性物質は、上記の濃縮物中に存在してもよく、次にこれを上記のおよび本明細書において記載される他の添加剤および/または賦形剤と混合して、呼吸に適した凝集体の形成に適した本開示の組成物を形成させてもよい。
【0082】
それ自体がたとえば抗酸化剤として何らかの活性を潜在的に有しつつ、本開示において用いられてもよい賦形剤およびアジュバントは、一般的に、活性物質の効率および/または有効性を増強する化合物を含む。同様に、2つ以上の賦形剤、アジュバント、または、任意の呼吸に適した凝集体中の活性物質さえも、有することが可能である。本開示に従う呼吸に適した凝集体に含まれてもよい化合物の非制限的な例には、サーファクタント、増量剤、安定化剤、ポリマー、プロテアーゼ阻害剤、抗酸化剤、吸収増強剤、これらの組み合わせ等が含まれる。
【0083】
適切な投与のために薬物または活性物質粒子を均一に混合することができるように、薬物または生理活性物質粒子が形成される前または後いずれかに、賦形剤を選択し、薬物/有機混合物、リポソーム、存在する場合は水溶液、または上記の全てに添加してもよい。賦形剤には、リポソームの形成にとって適した上記の項目が含まれてもよい。他の適した賦形剤には、ポリマー、吸収増強剤、溶解増強剤、溶解速度増強剤、安定性増強剤、生体接着剤、放出制御剤、流動補助剤および処理補助剤が含まれる。態様において、適した賦形剤には、セルロースエーテル、アクリル酸ポリマー、胆汁酸、およびこれらの組み合わせが含まれる。他の適した賦形剤には、その関連部分が参照により本明細書に組み入れられる、the American Pharmaceutical AssociationとThe Pharmaceutical Society of Great Britain, the Pharmaceutical Press, 1986との共同出版であるthe Handbook of Pharmaceutical Excipientsにおいて詳細に記載される賦形剤が含まれる。そのような賦形剤は市販されており、かつ/または当業者の範囲内である技術によって調製されうる。
【0084】
また賦形剤を、活性物質の流動もしくは生物学的利用率を改善することによって有効な成分の意図される機能を改変するために、または活性物質の放出を制御もしくは遅らせるために、単独または組み合わせて選択してもよい。賦形剤の特異的かつ非制限的な例には:SPAN 80、TWEEN 80、BRIJ 35、BRIJ 98、PLURONICS、SUCROESTER 7、SUCROESTER 11、SUCROESTER 15、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸、laureth-9、laureth-8、ラウリン酸、ビタミンE、TPGS、GELUCIRE 50/13、GELUCIRE 53/10、LABRAFIL、ジパルミトイルホスファチジルコリン、グリコール酸および塩、デオキシコール酸および塩、フシジン酸ナトリウム、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、ラブラソール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、チロキサポル、セルロース誘導体、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、これらの組み合わせ等が含まれる。本開示に従って、有効成分の形態を改変することができ、それによって非常に多孔性の粒子および呼吸に適した凝集体を得ることができる。
【0085】
態様においてリポソームおよび上述の生理活性物質ならびに上述の他の添加剤を含む、上述の呼吸に適した凝集体を保有する本開示の組成物には、組成物の約0.5重量%〜約20重量%の量のリン脂質が含まれてもよく、態様において組成物の約2重量%〜約15重量%のリン脂質が含まれてもよく、生理活性物質は、組成物の約2重量%〜約20重量%の量で、態様において、組成物の約5重量%〜約15重量%の量で存在してもよい。
【0086】
吸入器およびネブライザー
本開示の呼吸に適した凝集体の肺への送達は、ネブライザー、ドライパウダー吸入器、加圧式定量噴霧式吸入器等を含む任意の適した送達手段を通して達成されうる。最も適した送達手段は、肺に送達される活性物質、活性物質に関して望ましい有効量、および所定の患者に関する特定の特徴に依存するであろう。そのような機器を操作する詳細は当業者の範囲内である。
【0087】
本開示では吸入製剤をいくぶん詳細に記載してきたが、リポソームに任意で含まれる上記の親油性生理活性物質はまた、、処置される特異的状態に応じて製剤化されてもよく、かつ他の全身経路および/または局所経路によって投与されてもよい。適した投与経路には、局所適用/経皮、経口、直腸内、膣内、経粘膜、腸管内、筋肉内、皮下、脊髄内、髄腔内、直接心室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内、腫瘍内、これらの組み合わせ等を含む非経口経路が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0088】
組成物を注射によって投与する場合、組成物は1回ボーラス、多数回注射、または持続的注入(たとえば、静脈内または腹膜透析によって)によって投与してもよい。非経口投与の場合、組成物は、発熱物質のない滅菌形態で製剤化されてもよい。本開示の組成物はまた、(たとえばインビトロ培養において癌細胞内でアポトーシスを誘導するために、)細胞を含む液体に組成物を単に添加することによって、インビトロで細胞に投与することができる。
【0089】
処置
本開示の組成物は、その全開示が参照により本明細書に組み入れられる国際出願番号WO 2005/069916において開示されるものを含む、親油性生理活性物質の適用によって恩恵が得られる可能性がある任意の疾患または状態を処置するために、親油性生理活性物質を投与するために利用されてもよい。
【0090】
いくつかの態様において、本開示の組成物は、癌の処置において利用されてもよい。本明細書において用いられる「癌」は、白血病、リンパ腫、黒色腫、癌腫および肉腫を含むがこれらに限定されるわけではない、哺乳動物で認められる全ての種類の癌、新生物、または悪性腫瘍を指す。本明細書において用いられる「癌」、「新生物」、および「腫瘍」という用語は、互換的に用いられ、単数形または複数形のいずれにおいても、宿主生物に対してそれらを病的にする悪性トランスフォーメーションを受けた細胞を指す。
【0091】
原発性癌細胞(すなわち、悪性トランスフォーメーション部位の近傍で得られた細胞)は、組織学的検査を含む十分に確立された技術によって、非癌様細胞とは容易に区別されうる。本明細書において用いられる癌細胞の定義には、原発性癌細胞のみならず、癌細胞の祖先に由来する任意の細胞が含まれる。これには、転移した癌細胞、ならびに癌細胞に由来するインビトロ培養物および細胞株が含まれる。
【0092】
通常は固形腫瘍として発症する癌の種類を指す場合、「臨床的に検出可能な」腫瘍とは、たとえばCATスキャン、MRイメージング、X線、超音波または触診などの技法によって腫瘍塊に基づいて検出可能である、かつ/または患者から得ることができる試料における1つまたは複数の癌特異的抗原の発現のために検出可能である腫瘍である。
【0093】
癌の例には、脳、乳腺、膵臓、子宮頚部、結腸、頭頚部、腎臓、肺、非小細胞肺、黒色腫、中皮腫、卵巣、肉腫、胃、子宮、および髄芽腫の癌が含まれる。
【0094】
「肉腫」という用語は一般的に、胚結合組織様の物質で構成され、一般的に原線維または均一な物質に埋もれている密に充填された細胞からなる腫瘍を指す。本開示の呼吸に適した凝集体と、任意で増強物質および/または化学療法剤とを含む組成物によって処置されうる肉腫の例は、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、脂肪の肉腫、脂肪肉腫、胞状軟部肉腫、エナメル上皮肉腫、ブドウ状肉腫、緑色肉腫、コリン(chorine)肉腫、胎生期肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素沈着出血性肉腫、B細胞の免疫芽肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クップファー細胞肉腫、血管肉腫、白血病性肉腫、悪性間葉腫肉腫、骨膜傍肉腫、網赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢腫肉腫、滑膜肉腫、および毛細管拡張性肉腫を含むがこれらに限定されるわけではない。
【0095】
「黒色腫」という用語には、皮膚および他の臓器の褐色細胞系から生じた腫瘍が含まれる。本開示の呼吸に適した凝集体を含む組成物によって処置することができる黒色腫は、末端部黒子黒色腫、メラニン欠乏性黒色腫、良性若年性I型黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング-パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子黒色腫、悪性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫、および表在拡大型黒色腫を含むがこれらに限定されるわけではない。
【0096】
「癌腫」は、周辺組織に浸潤して転移を生じる傾向を有する上皮細胞で構成される悪性新生物を指す。本開示の呼吸に適した凝集体を含む組成物によって処置することができる癌腫には、小葉癌、胞状癌、腺嚢癌、腺様嚢胞癌、腺腫様癌、副腎皮質癌、肺胞細胞癌、基底細胞癌、基底細胞癌、類基底細胞癌、基底有棘細胞癌、気管支肺胞癌、細気管支癌、気管支原性癌、大脳様癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、コメド癌、体部癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱状癌、円柱細胞癌、腺管癌、緻密癌、胎生期癌、脳様癌、上皮様癌、上皮腺様癌、外方増殖癌、潰瘍癌、線維癌、ゼラチン様癌、ゼラチン状癌、巨細胞癌、巨細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、血液様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、ヒアリン様癌、副腎様癌、乳児胎生期癌、上皮内癌、表皮内癌、上皮内癌、クロムペッカー(Krompecher's)癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌、レンズ状癌、脂肪腫癌、リンパ上皮癌、髄様癌、髄様癌、黒色癌、モウエ(moue)癌、粘液性癌腫、粘液産生癌、粘液細胞癌、粘液性類表皮癌、粘液癌、粘液癌、粘液腫癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、骨形成癌、類骨癌、乳頭状癌、門脈周囲癌、上皮内癌、有棘細胞癌、かゆ状癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、類肉腫癌、シュナイダー癌、硬性癌、陰嚢癌、環状体細胞癌、単純癌、小細胞癌、ソレノイド癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿状癌、扁平上皮癌、扁平上皮癌、ストリング(string)癌、毛細血管拡張性癌、毛細管拡張性癌、移行上皮癌、結節癌、結節癌、疣贅癌等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0097】
本開示の呼吸に適した凝集体を含む組成物によって処置されうる追加の癌には、たとえば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、結腸癌、悪性膵臓インスリノーマ、尿悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、神経芽腫、食道癌、尿性器管癌、悪性高カルシウム血症、子宮頚癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、および前立腺癌が含まれる。
【0098】
しかしさらに、および上記したように、親油性生理活性物質の適用によって恩恵が得られる可能性がある任意の疾患または状態の処置に関して親油性生理活性物質を投与するために、本開示の組成物を利用することもできる。
【0099】
以下の実施例は、本開示の態様を例証するために提出される。これらの実施例は説明のみを意図したものであり、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。また、割合および百分率は、特に明記していなければ重量あたりである。
【実施例】
【0100】
実施例1
親油性生理活性物質としてCoQ10を用いて、濃縮物を産生した。ポリソルベート80約10 キログラム(kg)を真空釜に入れて約50℃〜約55℃に加熱した。CoQ10約8.8 kgをPHOSPHOLIPON(登録商標)85Gと合わせて、温度を約50℃〜約55℃に維持しながら真空を適用して、内容物を約15分間混合した。得られた材料は、本明細書においてCoQ10相または第一の相と呼ぶ。真空釜を密封して、真空にし、ポリソルベート/CoQ10の混合物の温度を約50℃〜約55℃としながら、CoQ10をポリソルベート80に溶解した。
【0101】
異なる釜において、水約15.8 kgを約50℃〜約55℃の温度に加熱し、フェノキシエタノール約0.2 kgおよびHYDROLITE-5(登録商標)ペンチレングリコール約2 kgを添加して、透明かつ均一になるまで混合した。次に、PHOSPHOLIPON(登録商標)85G約8 kgを分散するまで添加した。得られた材料は、本明細書において水相または第二の相と呼ぶ。水相は、レシチンの均一な分散および水和を達成しており、これを以下に記載されるように、前記のCoQ10/ポリソルベート液に50℃〜約55℃で添加した。
【0102】
実験室規模のバッチに対して用いるSilverson L4RTモデルと類似の、Silversonインライン式生産規模ホモジナイザーを利用して前記の2つの相を合わせた。Silverson標準エマルジョンヘッドスクリーンを用いて、最高能力(7000〜10,000 rpm)で閉鎖再循環ループを通じて、温度約50℃〜約55℃の真空(18〜20 mmHg)下で、掃引するように撹拌しながら計約5分間、溶解したCoQ10が完全に封入されかつ均一に分散されるまで混合することによって、ホモジナイゼーションを行い、濃い均一なリポソーム分散液を作製した。得られたCoQ10濃縮物は約22%w/wの濃度でCoQ10を保有した。PHOSPHOLIPON 85Gの濃度は、全組成物の、すなわち先に記載した2つの相の組み合わせの約8%w/wであった。
【0103】
異なる実験において、22%CoQ10濃縮物の実験室バッチ1 kgを作製して、ホモジナイゼーションのあいだ試料を5分間隔で採取して、その処理時点でのリポソームの粒子径を、製造元の説明書に従ってレーザー回折装置(Malvern 2000)を利用して、測定した。ホモジナイゼーションプロセスの詳細およびホモジナイゼーションの際に得られた粒子径を、以下の表1に記載する。
【0104】
(表1)

【0105】
表1から分かりうるように、先に記載されたCoQ10濃縮配合物およびプロセスは、平均径107 nmで、かつ産生された全てのリポソームの85%が59〜279 nmの範囲内に含まれる粒子分布を有するリポソームを産生することができた。短い処理時間(5分間)は、長い処理時間(45分)と全く同様に効率よくCoQ10のリポソーム分散物を産生した。上記からも分かりうるように、CoQ10を約55℃超の温度に曝露しない場合に、最適なリポソーム粒子が得られた。
【0106】
リポソームCoQ10濃縮物を、本開示に従って処理して呼吸に適した凝集体を形成してもよい。
【0107】
実施例2
SFL法を用いる、粒子および呼吸に適した凝集体の調製。均質な有機原料溶液(organic feed solution)からSFL粉末を調製する。原料溶液は、CoQ10または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物と、アセトニトリル中に溶解したポリソルベート80(約0.3%w/v総固体)とを約1:1比で含有する。次に、この原料溶液を液体窒素中へ直接霧化して、凍結粒子を産生する。この粒子を液体窒素から分離して、非断熱容器に移して、液体窒素トラップを備えたVirTis Advantage Benchtop Tray Lyophilizer(VirTis Corp., Gardiner, NY)を用いて凍結乾燥して、昇華した有機溶媒を凝縮する。一次乾燥段階を約-40℃で約24時間行う。次に、棚温度を約0.9℃/分の速度で約25℃まで増加させて、ここで二次乾燥段階を少なくとも約12時間行う。一次乾燥段階の間は約200 mTorrの真空を維持して、残りの凍結乾燥サイクルの間は約100 mTorrまで増加させる。
【0108】
実施例3
SFL法を用いて産生された呼吸に適した凝集体の噴霧。実施例2由来の粒子を水中に再分散させて、濃度約20 mg/mLのCoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)を形成する。この懸濁液をAeroneb Proネブライザー(Aerogen Inc., Mountain View, CA)を用いて、1.8 Lスペーサーを備えたAndersonカスケードインパクタ内に噴霧する。
【0109】
実施例4
SFL法を用いて産生された呼吸に適した凝集体の肺滞留試験。実施例3と同様に調製された懸濁液を、各々が体重約32 グラムでかつ疾患を有しない(試験前)、7週齢のICR/Swissマウス(Harlan-Sprague-Dawley, Indianapolis, IN)に投与する。被験体(n=14)を改変麻酔室に収容して、前記懸濁液を実施例3と同じ機器を用いてエアロゾル化して室内に入れ、CoQ10製剤の肺への有効性を試験する。異なるマウス2匹から肺を採取して、粒子の滞留を測定する。
【0110】
実施例5
SFL法を用いて産生された粒子および呼吸に適した凝集体の調製。原料溶液が、CoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)対、ポロキサマー407対、アセトニトリル中に溶解したポリソルベート80(約0.3%w/v総固体)を約1:0.75:0.75比で含有するように、原料エマルジョンの代わりに均質な原料溶液を用いることを除き、実施例2と同様にSFL粉末を調製する。次に、原料溶液を液体窒素中へ直接霧化して、凍結粒子を産生する。
【0111】
実施例6
SFL法を用いて産生された呼吸に適した凝集体の噴霧。実施例5由来の粒子を用いることを除き、実施例3において記載された手順を行う。
【0112】
実施例7
SFL法を用いて産生された呼吸に適した凝集体の肺滞留試験。実施例6と同様に調製された懸濁液を用いることを除き、実施例4において記載された手順に従う。
【0113】
実施例8
EPAS法を用いて調製された粒子および呼吸に適した凝集体の調製。EPAS粒子および呼吸に適した凝集体を以下のように作製する。CoQ10または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物(約15 グラム)と、ポロキサマー407(約2 グラム)とを、ジクロロメタン(約100 mL)中に溶解して、CoQ10/有機原料溶液を産生する。CoQ10/有機原料溶液を(約80℃に)加熱して、霧化ノズルを通した加圧下(AP=20 MPa)で、脱イオン水と粒子安定化剤(約2%(w/v)ポリソルベート80)とを含む水溶液(約100 mL)の中でかつ液面の下に(約1 mL/分で)直接注入する。処理の間にジクロロメタンが除去され、水溶液中に粒子が分散する。
【0114】
実施例9
EPAS法を用いて産生された呼吸に適した凝集体の噴霧。実施例8由来の、既に懸濁状態の粒子および呼吸に適した凝集体を用いることを除き、実施例3において記載された手順に従う。
【0115】
実施例10
EPAS法を用いて産生された呼吸に適した凝集体の肺滞留試験。実施例9由来の懸濁液を用いることを除き、実施例4において記載された手順に従う。
【0116】
実施例11
EPAS法を用いて調製された粒子および呼吸に適した凝集体からの乾燥粉末の調製。実施例8において調製された懸濁液を液体窒素中で急冷凍結する。次に、これを実施例2と同様に凍結乾燥する。
【0117】
実施例12
EPAS法を用いて産生された呼吸に適した凝集体の噴霧。実施例11由来の粒子を用いることを除き、実施例3において記載された手順に従う。
【0118】
実施例13
SFL法を用いて産生された呼吸に適した凝集体のエアロゾル化。実施例2と同様に調製された粒子をHFA 134aを用いて加圧容器内に分散させる。得られた試料をAndersonカスケードインパクタ内で約5回発動させる。
【0119】
実施例14
URF法を用いる粒子および呼吸に適した凝集体の調製。PLURONIC F-127(約0.0239 g)を含むCoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)(約0.0798 g)の溶液を、乾燥固体をバイアルに入れることによって調製する。調製されたt-ブタノールとトルエンとの95/5重量%混和物(約10.03 g)をバイアルに入れる。溶液が形成されるまで(約68℃〜約70℃の温度で)、得られたスラリーを加熱する。得られた溶液を、3分間にわたって約-78℃に冷却しておいたURFユニットの凍結表面に適用する。凍結した溶媒、薬物、および賦形剤マトリクスを、ドライアイスで冷却しておいたトレイに収集して、ドライアイスによって冷却した約60 mLのジャーに移す。次に、URF処理した凍結固体を含有するジャーを凍結乾燥ユニット上に置いて、約100 mTorrで約17時間凍結乾燥する。
【0120】
凍結乾燥後、URF処理した固体約0.07 グラムを流動可能な乾燥粉末として回収する。再構成させた(reconstitute)薬物粒子の平均体積平均粒子径を(超音波処理を行っておよび行わずに)Coulter LS 230を用いて測定する。粒子は非晶質である。
【0121】
実施例15
制御沈殿(CP)法を用いる粒子および呼吸に適した凝集体の調製。バッチ制御沈殿プロセスを用いる。BRIJ 98のアリコート約1.77 グラムを、脱イオン水約148.33 グラム中に溶解する。次に、遠心ポンプ(Cole-Parmer Model 75225-10)を最高ポンプ速度(約9000 rpm)で用いて、その再循環ループおよび熱交換器(Exergy Inc. Model 00283-01, 23シリーズ熱交換器)を通じて、水温が約5℃になるまで前記水溶液を再循環させる。約5重量%のCoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)を1,3-ジオキソラン中に含有する溶液のアリコート約30.19 グラムを、前記の再循環している水溶液の中に約25秒間かけて添加し、これによって粒子スラリーの制御沈殿を得る。粒子スラリーの粒子径を、濾過も超音波処理も行わずにCoulter LS 230を用いて測定する。次に粒子スラリーを、ジャケット温度約40℃、絶対圧約8 mmHg、および供給速度約15 mL/分のワイプドフィルム(wiped-film)エバポレーターに供給する。溶媒除去済スラリーの粒子径を、濾過も超音波処理も行わずにCoulter LS 230を用いて測定する。
【0122】
薬物粒子を単離するために、得られた除去済スラリーを最高真空で操作するEdwards真空ポンプによって約48時間凍結乾燥する。この粒子は結晶質である。この薬物粒子を脱イオン水を用いて約1〜2重量%固体のレベルまで分散させて、撹拌することによって、再構成する。
【0123】
実施例16
エマルジョン法を用いて調製された粒子および呼吸に適した凝集体。CoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)のアリコート約2 グラムを、塩化メチレン約23 グラム中に溶解して、有機溶液を産生する。この溶液は分散相となる。連続相には、約2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液約12.5 グラムが含まれる。有機水溶液を一緒に手で振とうさせて、粗エマルジョンを形成させる。
【0124】
前記エマルジョンを、直径20 mmのジェネレータ(ローター/ステーター)アセンブリを有するFisher PowerGen 700D変速モーターを用いて、約20,000 rpmで約30〜約60秒間ホモジナイズする。約5%Methocel E3水溶液のアリコート20 グラムを、ホモジナイゼーションの間に脱イオン水約16.3 グラムと共に前記エマルジョンに添加する。得られた混合物から塩化メチレンを除去する。得られた懸濁液を凍結乾燥して、非晶質の粒子を含む粉末を形成する。
【0125】
各々の単離された粉末を脱イオン水中に約1〜2重量%で再分散させて、粒子径分析のためのスラリーを形成させる。このスラリーの粒子径を、濾過も超音波処理も行わずにCoulter LS 230を用いて測定する。
【0126】
実施例17および18
エマルジョン法を用いて調製された粒子および呼吸に適した凝集体。SDSの代わりにオレイン酸ナトリウムを用いることを除き、実施例16と同じ手順を用いて他の2つの試料を調製する。全ての単離された粉末は検出不可能な残留塩化メチレンレベルを有し、非晶質の粒子を含む。実施例17および18の凝集体の詳細を以下の表2に要約する。
【0127】
(表2)実施例17および18のエマルジョンにおいて用いられた材料

【0128】
実施例19および20
CoQ10製剤の経肺投与後の肺組織(実施例19)および血清(実施例20)における、CoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)の1回投与の薬物動態。雄性Harlan-Spague-Dawley ICRマウス(Hsd:ICR, Harlan Sprague Dawley, Inc., Indianapolis, IN)に、実施例4において用いられたCoQ10経肺製剤を、投与室を用いて投与する。
【0129】
約20 mg/mL CoQ10経肺分散物を、通常生理食塩水約4 ml中で形成させる。AERONEB PROマイクロポンプネブライザー(Aerogen, Inc., Mountain View, CA)を投与室の入口に設置して、CoQ10経肺分散物のアリコート約8 mLの噴霧を各投与について約20分間行う。24時間の薬物動態試験に関して、各時点(0.5、1、2、4、6、10、24時間)でマウス2匹を二酸化炭素ナルコーシスにより屠殺して、それらの血清を収集して肺を摘出し、CoQ10含有量に関して分析する。
【0130】
実施例21
CoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)経肺製剤の経肺投与に関連する毒性。マウスにCoQ10経肺製剤約30 mg/kgを、経肺投与を通して12時間毎に最長12日間投与する。多数回投与量を投与されたマウスの健康状態を判定するために観察を行う。
【0131】
実施例22
経肺投与によって送達されたCoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)に関する多数回投与のトラフレベル。マウスにCoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10リポソーム濃縮物)経肺製剤約30 mg/kgを、経肺投与を通して12時間毎に最長約12日間投与する。3、8および12日目の最後の投与(トラフレベル)の約12時間後、マウス4匹を二酸化炭素ナルコーシスによって屠殺する。
【0132】
心臓穿刺によって採血して、20分間凝固させる。この時間のあと、血液を遠心分離して、血清を収集する。外科手術を各マウスに対して行って、肺組織を摘出し、これを次に通常生理食塩水1 mL中でホモジナイズして、0.25 mLアリコート4つを、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってCoQ10に関して分析する。
【0133】
実施例23
CoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10リポソーム濃縮物)の肺への投与に対する炎症反応。屠殺したマウスに対して外科手術を行って、胸膜腔、および咽頭で気管を露出させる。小さな切開部を気管に切り入れて、プラスチックチューブ(外径(OD)約0.037"および約0.025" ID)の外筒をもつ約23ゲージの針を有するカニューレを、気管の底部へ切開部を通して挿入して、クランプで固定して開口部を塞ぐ。気管支および肺胞表面を洗浄するために、リン酸緩衝生理食塩水のアリコート(約0.75 mL)をカニューレを通して肺の中に滴下し、除去する。合計3回の洗浄のために、このプロセスを繰り返す。細胞を含有するリン酸緩衝生理食塩水を遠心器バイアルに入れて、約3000 rpm(MiniSpin Plus, Eppendorf International, Hamburg, DE)で遠心分離する。収集された細胞をペレット中に残して、上清を取り出す。BAL(気管支肺胞洗浄液)からの上清を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、IL-12上昇に関して分析する(試験した試料あたりn=2)。
【0134】
CoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10リポソーム濃縮物)の投与は、IL-12レベルの上昇には関係なく、肺炎の原因とはならない。
【0135】
実施例24
経肺CoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10リポソーム濃縮物)を投与されたマウスの肺の組織学的分析。マウスに、CoQ10(または先の実施例1において産生されたCoQ10のリポソーム濃縮物)製剤を、吸入によって最長約8日間投与する。組織学的変化を評価して、Cimolai組織病理採点システムに従って採点する。肺を採取して約10%ホルムアルデヒドに入れた後、処理およびパラフィンワックスへの包埋に供する。肺全体の冠状断面を染色して、光学顕微鏡によって観察する。
【0136】
上記開示のおよびその他の様々な特色および機能、またはこれらの代用物を望ましくは組み合わせて、多くの他の異なるシステムまたは応用としてもよいことが認識されるであろう。同様に、現在では予見できないまたは予測されない様々なその代用物、改変、変化、または改善が、今後当業者によってなされる可能性があり、これらも同様に、添付の特許請求の範囲に包含されると企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親油性生理活性物質を含むリポソームを含む少なくとも1つの呼吸に適した凝集体を含む組成物であって、呼吸に適した凝集体が、約1μm〜約5μmの空気力学的質量中位径を有する、組成物。
【請求項2】
リポソームが、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるリン脂質を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
リン脂質が、組成物中に組成物の約0.5重量%〜約20重量%の量で存在し、かつ生理活性物質が、組成物の約2重量%〜約20重量%の量で存在する、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
リン脂質が、吸収剤、消泡剤、酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、抗菌剤、抗酸化剤、結合剤、溶解補助剤、溶媒、粘度調整剤、湿潤剤、濃化剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される追加の成分と組み合わされる、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの親油性生理活性物質が、鎮痛剤、抗炎症剤、駆虫剤、抗不整脈剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗てんかん剤、抗真菌剤、抗痛風剤、抗高血圧剤、抗マラリア剤、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗腫瘍剤、勃起不全改善剤、免疫抑制剤、抗原虫剤、抗甲状腺剤、抗不安剤、鎮静剤、催眠剤、神経弛緩剤、β-遮断剤、心臓変力剤(cardiac inotropic agent)、コルチコステロイド、利尿剤、抗パーキンソン剤、消化器作用剤、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、角質溶解剤、脂質調節剤、抗狭心症剤、cox-2阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、マクロライド、筋弛緩剤、栄養剤、オピオイド鎮痛剤、プロテアーゼ阻害剤、性ホルモン、刺激剤、筋弛緩剤、抗骨粗鬆症剤、抗肥満剤、認知増強剤、抗尿失禁剤、栄養油、抗良性前立腺肥大剤、必須脂肪酸、非必須脂肪酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1つの親油性生理活性物質が、アシトレチン(acutretin)、アルベンダゾール、アルブテロール、アミノグルテチミド(aminogluthemide)、アミオダロン、アムロジピン、アンフェタミン、アンフォテリシンB、アトルバスタチン、アトバコン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベクロメタゾン(beclomethsone)、ベナゼプリル(benezepril)、ベンゾナテート、ベタメタゾン、ビカルタミド(bicalutanide)、ブデソニド、ブプロピオン、ブスルファン、ブテナフィン、カルシフェジオール、カルシポトリエン(calciprotiene)、カルシトリオール、カンプトテシン(camptothecan)、カンデサルタン、カプサイシン、カルバマゼピン(carbamezepine)、カロテン、セレコキシブ、セリバスタチン(cerivistatin)、セチリジン(cetrizine)、クロルフェニラミン、コレカルシフェロール、シロスタゾール、シメチジン、シンナリジン、シプロフロキサシン、シサプリド、クラリスロマイシン、クレマスチン、クロミフェン、クロミプラミン、クロピドグレル(clopidrogel)、コデイン、コエンザイムQ10、シクロベンザプリン、シクロスポリン、ダナゾール、ダントロレン、デクスクロルフェニラミン(dexchlopheniramine)、ジクロフェナク、ジクマロール、ジゴキシン、デヒドロエピアンドロステロン(dihydroepiandrosterone)、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロタキステロール、ジリスロマイシン、ドネペジル、エファビレンツ、エプロサルタン(eposartan)、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、必須脂肪酸源、エトドラク、エトポシド、ファモチジン、フェノフィブレート、フェンタニル、フェキソフェナジン、フィナステリド、フルコナゾール(flucanazole)、フルルビプロフェン、フルバスタチン、フォスフェニトイン(fosphenytion)、フロバトリプタン、フラゾリドン、ギャバペンチン、ゲムフィブロジル、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド(glymepride)、グリセオフルビン、ハロファントリン、イブプロフェン、イルベサルタン、イリノテカン、イソソルビドジニトレート、イソトレチノイン(isotreinoin)、イトラコナゾール、イベルメクチン、ケトコナゾール、ケトロラック、ラモトリジン、ランソプラゾール(lanosprazole)、レフルノミド、リシノプリル、ロペラミド、ロラタジン、ロバスタチン、L-チロキシン(L-thryroxine)、ルテイン、リコペン、メドロキシプロゲステロン、ミフェプリストン(mefepristone)、メフロキン、酢酸メゲストロール(megesterol acetate)、メタドン、メトキサレン、メトロニダゾール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミグリトール、ミノキシジル、ミトキサントロン、モンテルカスト、ナブメトン、ナルブフィン、ナラトリプタン(naratiptan)、ネルフィナビル、ニフェジピン、ニソルジピン(nilsolidipine)、ニルタミド(nilutanide)、ニトロフラントイン、ニザチジン、オメプラゾール、オプレルベキン(oprevelkin)、エストラジオール(osteradiol)、オキサプロジン、パクリタキセル、パリカルシトール、パロキセチン、ペンタゾシン、ピオグリタゾン、ピゾチフェン(pizofetin)、プラバスタチン、プレドニゾロン、プロブコール、プロゲステロン、プソイドエフェドリン、ピリドスチグミン、ラベプラゾール、ラロキシフェン、ロフェコキシブ(refocoxib)、レパグリニド、リファブチン、リファペンチン、リメキソロン、リトナビル(ritanovir)、リザトリプタン、ロシグリタゾン(rosigiltazone)、サキナビル、セルトラリン、シブトラミン、クエン酸シルデナフィル、シンバスタチン、シロリムス、スピロノラクトン、スマトリプタン、タクリン、タクロリムス、タモキシフェン、タムスロシン、ターグレチン、タザロテン、テルミサルタン、テニポシド、テルビナフィン、テラゾシン(terzosin)、テトラヒドロカンナビノール、チアガビン、チクロピジン(ticlidopine)、チロフィバン(tirofibran)、チザニジン、トピラメート、トポテカン、トレミフェン、トラマドール、トレチノイン、トログリタゾン、トロバフロキサシン、バルサルタン、ベンラファキシン、ベルテポルフィン(vertoporfin)、ビガバトリン、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ザフィルルカスト、ジロートン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
リン脂質がレシチンを含み、かつ少なくとも1つの親油性生理活性物質がコエンザイムQ10を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの親油性生理活性物質が、デオキシグルコース、デオキシグルコース塩、ジヒドロキシアセトン、コハク酸塩、ピルビン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、乳酸塩、グルタル酸塩、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される添加剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
添加剤が、2-デオキシグルコース、2-デオキシグルコースリン酸、6-デオキシグルコース、6-デオキシグルコースリン酸、ジヒドロキシアセトン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
親油性生理活性物質が、1位、4位、またはその組み合わせにおいて添加剤によって置換されたコエンザイムQ10を含む、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
請求項7記載の組成物を患者に投与する段階を含む、癌を処置するための方法。
【請求項12】
癌が肺癌を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
コエンザイムQ10またはその誘導体を含むリポソームを含む、少なくとも1つの呼吸に適した凝集体と、
レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1つのリン脂質と
を含む組成物であって、呼吸に適した凝集体が、約1μm〜約5μmの空気力学的質量中位径を有する、組成物。
【請求項14】
リン脂質が、組成物中に組成物の約0.5重量%〜約20重量%の量で存在し、かつコエンザイムQ10が、組成物の約2重量%〜約20重量%の量で存在する、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
請求項13記載の組成物を患者に投与する段階を含む、肺癌を処置するための方法。
【請求項16】
任意で溶解剤と組み合わせて、親油性生理活性物質を含む第一の相を調製する段階;
少なくとも1つのリン脂質を含む第二の相を調製する段階;
第一の相を第二の相に接触させて、親油性生理活性物質を保有するリポソームを形成する段階;
前記リポソームを回収する段階;および
前記リポソームを、約1μm〜約5μmの空気力学的質量中位径を有する呼吸に適した凝集体へと形成する段階
を含む方法。
【請求項17】
少なくとも1つのリン脂質が、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、リゾホスファチジルセリン、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、かつ前記リン脂質が任意で、吸収剤、消泡剤、酸性化剤、アルカリ化剤、緩衝剤、抗菌剤、抗酸化剤、結合剤、溶解補助剤、溶媒、粘度調整剤、湿潤剤、濃化剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される追加の成分と組み合わされる、請求項16記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1つの親油性生理活性物質が、鎮痛剤、抗炎症剤、駆虫剤、抗不整脈剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗凝固剤、抗うつ剤、抗糖尿病剤、抗てんかん剤、抗真菌剤、抗痛風剤、抗高血圧剤、抗マラリア剤、抗偏頭痛剤、抗ムスカリン剤、抗腫瘍剤、勃起不全改善剤、免疫抑制剤、抗原虫剤、抗甲状腺剤、抗不安剤、鎮静剤、催眠剤、神経弛緩剤、β-遮断剤、心臓変力剤、コルチコステロイド、利尿剤、抗パーキンソン剤、消化器作用剤、ヒスタミン受容体アンタゴニスト、角質溶解剤、脂質調節剤、抗狭心症剤、cox-2阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、マクロライド、筋弛緩剤、栄養剤、オピオイド鎮痛剤、プロテアーゼ阻害剤、性ホルモン、刺激剤、筋弛緩剤、抗骨粗鬆症剤、抗肥満剤、認知増強剤、抗尿失禁剤、栄養油、抗良性前立腺肥大剤、必須脂肪酸、非必須脂肪酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、かつ任意の溶解剤が、ポリオキシアルキレンデキストラン、サッカロースの脂肪酸エステル、オリゴグルコシドの脂肪アルコールエーテル、グリセロールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ソルビタンのポリエトキシル化脂肪酸エステル、ポリ(エチレンオキサイド)の脂肪酸エステル、ポリ(エチレンオキサイド)の脂肪アルコールエーテル、ポリ(エチレンオキサイド)のアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、エトキシル化油、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
親油性生理活性物質がコエンザイムQ10を含み、かつ少なくとも1つのリン脂質がレシチンを含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
リポソームを呼吸に適した凝集体へと形成する段階が、制御沈殿、蒸発沈殿、液体への噴霧凍結、超高速凍結、高内相エマルジョンプロセス、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるプロセスによって起こる、請求項16記載の方法。
【請求項21】
肺癌を処置するために患者に呼吸に適した凝集体を投与する段階をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
呼吸に適した凝集体を小滴の形態で投与する段階をさらに含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
呼吸に適した凝集体が、ネブライザー、加圧式定量噴霧式吸入器、およびドライパウダー吸入器からなる群より選択される方法によって投与される、請求項21記載の方法。

【公表番号】特表2011−506340(P2011−506340A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537106(P2010−537106)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/085669
【国際公開番号】WO2009/073843
【国際公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(510156653)サイトテック ラブズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (3)
【Fターム(参考)】