説明

生物学的廃棄物の嫌気性発酵のための方法及び発酵装置

本発明は、生物学的廃棄物の嫌気的発酵のための方法及びその方法を実施するための発酵装置に関する。本発明に従うと、出発材料、換言すると被処理生物学的廃棄物は、反応装置の高さ又は長さに沿って分布した複数の入口開口部を通して導入され、かつ/又は発酵生成物は、複数の発酵生成物の出口開口部を通して引き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の序文(プレアンブル部分)に従った生物学的廃棄物の嫌気性発酵方法及び特にこの方法を実施するための発酵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州における家庭有機ゴミの分別収集の導入時点で、都市ゴミの機械的な生成学的回収(mechanisch biologische Aufbereitung;MBA)が増々重要になってきた。バイオジェニックマスの分解は、微生物ベースで起こり、ここで好気性細菌と嫌気性細菌を区別することができる。好気性反応は究極的に、二酸化炭素と水という最終生成物を結果としてもたらし、腐敗と呼ばれる。嫌気性反応は発酵に典型的なものであり、形成される最終生成物は、なかんづくメタン、アンモニア及び硫化水素である。
【0003】
ドイツ特許第19648731号(A1)では、廃棄物画分の有機構成要素をパーコレータ内で洗い流し、残留物を例えば乾燥後に燃焼又は堆積させる好気的方法が記述されている。
【0004】
パーコレーションは例えば、国際公開WO97/27158(A1)に従ったボックスパーコレータの中で実施可能である。プロセス水の沸騰範囲内でパーコレーションが実施されるドイツ特許第10142.906号(A1)に従った沸騰パーコレータを用いた試験も、将来性あるものであることが判明した。
【0005】
パーコレータから抽出された有機負荷の高い出口水は、嫌気性分解のためにバイオガス設備と供給され、ここで有機部分はメタン菌を用いて変換され、エネルギー生成のためガス作製パイプラインを介してバイオガス燃焼へと補給され得る。パーコレータ内の廃棄物材料の上述の好気的処理は、嫌気的方法と極めて競合性あるものであることが判明しており、増々重要になってきている。
【0006】
欧州特許第0192900号(B1)においては、底面から投入される発酵装置の中で発酵が実施されるバロルガ(Valorga)法と呼ばれる方法が記述されている。回収すべき廃棄物は、半径方向外側の入口開口部の下に配置された出口まで栓流状で誘導される。廃棄物は、発酵装置の複数のセクターの中に配置されたガスノズルを介して圧縮バイオガス中へブローされることによって搬送され、ここでは、入口開口部と出口開口部の間に廃棄物の栓流を維持するように各セクターを個々に制御することができる。
【0007】
欧州特許第0476217号(A1)では、細菌接種材料として発酵装置に対して出発材料及びスラッジ材料が供給され、形成されたスラッジ材料が撹拌器を介してスラッジ材料出口まで輸送される加熱可能な発酵装置が開示されている。このような接種材料の添加段階は冒頭で記述した欧州特許第0192900号(B1)に従ったバロルガ法においても提供され得る。
【0008】
ドイツ特許第19624268号(A1)においては、流体形態の廃棄物すなわち乾燥物質含有率(Trockensubstanzgehalt;TS)が25%未満である廃棄物の発酵方法が開示されている。発酵生成物を撹拌器を介して入口開口部からチャンバを通り出口開口部まで輸送できる多重チャンバ反応装置がこの目的で使用される。発酵プロセス中に形成されたバイオガスがそこから引き出される。1つの共通ガスチャンバが、多重チャンバ反応装置に割当られている、個々のチャンバ内で、例えば熱交換器、接種材料の添加などを介したプロセスを別途行うことにより、個別に代謝を制御することができる。
【0009】
欧州特許第0794247号(A1)は、らせんが中に配置されている回転するドラムに発酵生成物が導入される発酵装置を開示している。発酵生成物は前記らせんを介して入口からスラッジ材料出口まで栓流形状で誘導される。この供給は、ドラムの順方向及び逆方向回転により行なうことができ、ここで順方向回転すなわち発酵生成物出口の方向での発酵生成物の輸送には、発酵生成物の予め定められた滞留時間が達成されるように反対方向よりも長い時間が必要である。
【0010】
被処理廃棄物は同じくかなり大きな割合で高重力固体及び不純物をも含有していることから、特に機械式搬送手段を用いた解決法(欧州特許第0794247号(A1)、欧州特許第0476217号(A1)、ドイツ特許第19624268号(A1))は、利用される搬送手段及びその他の内部部分が不純物/高重力固体を内含する堆積物により損傷を受ける可能性があるということを理由として比較的高い磨耗を受ける。
【0011】
その上、全ての発酵プロセスは18〜30日の非常に長い滞留時間を必要とする。かかる滞留時間はそれ自体著しい緩衝液容量を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上の点にかんがみて、本発明の目的は、生物学的廃棄物の嫌気性発酵方法ならびに、従来の解決法に比べ滞留時間を実質的に削減できる発酵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的は、方法に関しては、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴の組合せにより、又発酵装置に関しては、請求項10に記載の特徴の組合せにより達成される。
【0014】
本発明に従うと、嫌気性発酵用反応装置(発酵装置)には、出発材料又は発酵生成物(後者は接種材料として)を供給することができかつ/又は発酵生成物を引き出すことのできる複数の入口開口部及び発酵生成物出口開口部が具備されている。このように入口及び出口開口部が複数存在することにより、発酵用反応装置の内側の有機酸及びアンモニウムの濃度を最大限に均等化できるような形で、代謝プロセスを制御することが可能となる。冒頭に記述されている従来の栓流解決法においては、反応装置の異なる長手方向区分内に異なる濃度が発生し、これは、発酵プロセスを著しく阻害するかさらにはそれを停滞させ、かくして滞留時間を著しく延長させる。
【0015】
先行技術において、このことは、活性バクテリアマス(bacteria mass)の接種又は場合によっては圧縮水による希釈が入口開口部の部域内でのみ専ら行なわれ、滞留時間全体にわたり、入口側と出口側の間のチャネリング(channeling)ひいては短絡流が回避される、という事実により裏付けられている。
【0016】
出発材料/接種材料の複数の入口開口部を通した供給そして該当する場合には同様に複数の出口開口部を通した発酵生成物の引き出しをも用いる本発明に従った解決法においては、発酵生成物は部分的に混合され、接種材料は反応装置内部で処理されるべき廃棄物の流路に沿って導入され、その結果滞留時間を先行技術において必要とされる滞留時間の一部分まで削減することが可能となる。本発明に従った解決法における滞留時間は2日より短かいものと予想される。
【0017】
特に好ましい実施形態においては、発酵生成物は機械式撹拌器を介してかつ/又はバイオガス注入により、発酵プロセスがさらに改善されるような形で発酵用反応装置の内部で徹底的に混合される。
【0018】
ここでは、徹底的混合をさらに改善させるべく発酵プロセス中に撹拌器の回転方向を逆転させることが特に好ましい。
【0019】
バイオガスは好ましくは、反応装置底面内に配置されたガス注入ノズルにより発酵用反応装置内に注入される。該ガス注入ノズルは好ましくは、フィールド内で組合わされうまく制御される。ガス注入は、それぞれに制御されたフィールドの部域内でスカムが分散するように制御される。
【0020】
特定の好ましい実施形態においては、不純物/高重力固体は、2つの搬送手段を介して発酵用反応装置の中央まで搬送され放出される。
【0021】
出発材料/発酵生成物の導入及び引き出しは好ましくは中央搬送ステーションを介して実施され、これにより、流路を入口開口部/出口開口部へ進入及びそこから退出するように逆転させることができ、かくして発酵用反応装置内で適切に変動する材料流プロフィールを形成することが可能となる。
【0022】
かかる材料流プロフィールの形成は、発酵プロセス中にその回転方向を逆転させることのできる撹拌器によって支援される。
【0023】
本発明の有利な実施形態においては、撹拌器の隣接する混合用ブレードは、反応装置内容物の完全な混合が確保されるように軸方向に重なり合っている。
【0024】
撹拌器は、その撹拌器シャフトが反応装置内で両側で支持され、反応装置内で発生する浮力により撹拌器シャフトが充分に支持されるような形で直径が寸法決定される場合に、特に単純な設計を有し得る。
【0025】
発酵用反応装置は好ましくは水平に配置され円形又はほぼ台形の断面を有する。後者の場合、2つの傾斜した表面とその間に配置された1つの水平表面が、反応装置底面の部域内に形成される。
【0026】
バイオガスを注入するためのガス注入ノズルは、台形断面をもつ反応装置内で2つの傾斜した表面の部域内に配置される。
【0027】
ガス注入ノズルは、垂直方向すなわち垂直な反応装置軸に対して平行か又は傾斜した表面に対し直角に開放し得る。
【0028】
最適運転温度を調整するため、発酵装置のシェルを加熱することができる。
【0029】
材料流が中央搬送ステーションによって制御される場合、搬送ステーションとは独立してそれを通して出発材料を補給することのできる出発材料の別段の直接補給をさらに具備することができる。
【0030】
本発明に従った発酵設備の組立ては、発酵反応装置が、後に建設現場においてその場で組立てられる輸送準備完了状態にあるセグメントで構成されている場合に、特に単純である。
【0031】
本発明のその他の有利なさらなる展開が、さらに記載する従属請求項の主題である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下では、概略的な図面を用いて、本発明の好ましい実施形態が詳細に説明されている。なお、図面中、図1は、本発明に従った発酵用反応装置を含んで成る、生物学的廃棄物の嫌気性発酵のための本発明に従ったプロセスのプロセスダイアグラム、図2は、図1の発酵用反応装置の側面図、図3は、発酵用反応装置のもう1つの実施形態の側面図、図4は、図3の発酵用反応装置の切断正面図、図5は、セグメント設計での図3の発酵用反応装置、そして図6は、高重力固体抽出システムを含みかつセグメント設計での図2の発酵用反応装置である。
【0033】
図1では、バイオジェニック廃棄物の嫌気性発酵のための本発明に従ったプロセスのプロセスダイアグラムが示されている。導入される出発材料1は、例えば比較的高い有機構成要素を有する家庭廃棄物(残留廃棄物)、分別収集からの生物学的廃棄物、食品業界からの及び過剰貯蔵された食品からの有機負荷の高い廃棄物、食肉処理廃棄物、例えば下水処理場からの活性スラリーといったような有機的に富化されたスラリーを含有する。この出発材料1から、以下に記載されるプロセスSTで発生する不純物/高重力固体4ならびに不純物が除去され、残りの出発材料1は発酵用反応装置16に供給される。この発酵用反応装置の中で、発酵プロセスからの代謝生成物として発酵用ガス特にバイオガス3(メタンガス)が形成され、これは上面から抽出される。大方が有機構成要素から遊離される発酵生成物は発酵プロセスの完了後に抽出され、例えば脱水、乾燥又は堆肥化といったようなさらなる処理へと供給される。法現定に従うと、残留廃棄物からの発酵生成物は堆積させるか燃焼させるか又は少なくとも代用燃焼にするべく回収しなければならない。生物学的廃棄物又は再生可能な原料からの発酵生成物は、脱水及びさらなる堆肥化の後、肥料又は土壌改良剤として使用可能である。
【0034】
図1に従うと、流入する出発材料1はかくして、不純物/高重力固体2、4、生物学的廃棄物5及びバイオガス3へと分解される。
【0035】
補給された出発材料1は、最初機械的受入及び前処理設備に供給され、この中で不純物固体2が選別され、圧砕され抽出される。その上、この受入及び前処理設備8では、過剰に貯蔵された食料が開梱され、乾燥物質含有量を調整するのに用いる充填剤及び液体廃棄物が添加され状態調整される。
【0036】
次に、前処理された状態調整された出発材料はポンプ収集タンク9に補給され、そこで場合によって、以下でさらに詳述するように図6に従った高重力固体の浄化中に発生する汚水7と混合される。
【0037】
収集タンク9は、パイプラインに及びスライド弁11を介し、該設備の事実上全ての実質的材料流を制御する中央パイプ/搬送ステーション10に連絡されている。
【0038】
ポンプ/搬送ステーション10は、出発材料1がパイプライン14及び適切に調整されたスライド弁11を介して収集用タンク9から、入口開口部15まで搬送されるか、又はパイプライン14及び適切に逆転されたスライド弁11を介して発酵生成物5が抽出され得さらに中央抽出開口部16.3を介して発酵用反応装置16から不純物/高重力固体が抽出され得るような形で、吸引及び圧送運転の両方で運転可能である。
【0039】
図1及び図2に従うと、発酵用反応装置16はほぼ円筒形の構造を有し水平方向に配置され、ここでその外径及びその長さに沿って複数の入口及び出口開口部15及び中央抽出開口部16.3が具備されている。入口/出口開口部15は、中央ポンプ/搬送ステーション10を介した制御及びスライド弁11の適切な調整に応じて、出発材料のための入口開口部又は発酵生成物のための出口開口部として使用可能である。図2に破線で示されているように、この適切な制御により、発酵生成物の最適な混合が確保されるよう形で選択される入口/出口開口部15の間の所望の材料流の調整を行うことができる。その上、該ポンプ/搬送ステーションは、例えば入口/出口開口部15のうちの1方を介して発酵生成物を抽出して次に入口/出口開口部15のうちのもう1方のものを介して接種材料としてそれを再補給することを可能にする。例えば流れの誘導は、反応装置の内部で有機酸とアンモニアの濃度のいかなる実値的な差異も調整されずかくして発酵プロセスが予め定められた要領で起こり得るような形で選択される。
【0040】
ポンプ/搬送ステーション10においては、例えば、農業において又は下水道清掃のために用いられる搬送手段として、好ましくはロータリーピストン、容積式又は吸引/圧力タンクシステムが利用される。スライド弁11を適切に調整することにより、このとき、基本的ポンプ/搬送ステーション10により以下の機能を実施することできる:
a)パイプライン12を介した収集タンク9からの出発材料1の吸引;
b)入口及び出口開口部15を通した収集用タンク9から反応装置16内への出発材料1の導入、又は
c)入口及び出口開口部15ならびに適切なスライド弁位置11を通した及びパイプライン14を通した異なる方向で反応装置16の異なる場所での反応装置内容物又は発酵用スラッジ20の循環。
【0041】
さらなる機能は、図2を用いて以下で例示されることになる。
【0042】
図1及び図2に示されている円筒形の水平方向に配置された発酵用反応装置16は、反応装置16の面上に取付けられた2つのトルクベースのギヤモーター22.1により駆動される撹拌器22を含む。前記モータは、周波数変換器を介して制御され、かくしてその回転方向は周期的にかつ/又はその他の運転パラメータに応答して反転され得る。1つの平面内に配置されるか又は周囲に沿って均等に分布された撹拌アーム22.2が、撹拌器シャフト22.4に締めつけられ、発酵用反応装置の周囲方向壁に向かって半径方向外向きに延びている。軸に対して平行に延びる撹拌器ブレード22.3が撹拌器アーム22.2の半径方向外側端部部分に締め付けられており、ここで撹拌器アーム22.2の半径方向長さは、形成しつつあるスカム層が破壊されるか又は少なくとも混合されるような形で回転中に撹拌器ブレード22.3が発酵スラッジレベル20.1の上をかすめるように選択される。
【0043】
大型設備では、発酵用反応装置16の軸方向長さは、容易に30メートルを超え得る。本発明に従うと、発酵用反応装置16の内部にはできるだけ数少ない部品を具備するように試みられていることから、撹拌器シャフト22.4は、それが発酵用反応装置16内で、発酵スラッジ20の浮力により支持されかくして垂れ下がらず、ひいては反応装置チャンバ内部の高価な取付け具を無しで済ますことができるような形で寸法決定される。
【0044】
発酵スラッジレベル20.1より上で、バイオガス3がそこから引き出されるガスドーム3.2内に開放したガスチャンバ3.1が発酵用反応装置16内で形成されている。反応装置底面2には、図1に示されている実施形態において2つの相互作用するプッシャプレート23の形をしている2つの沈降材料放出手段が具備されている。これらは、沈降材料(高重力/不純物固体)が放出されるときに通ることのできる中央に配置された抽出開口部16.3まで軸方向に沈降材料を搬送する。2つのプッシャプレート23は、電気的に又は油圧により作動するように適合されたシリンダ/ピストンユニット23.1によって駆動される、前記シリンダ/ピストンユニット23.1により、プレッシャープレート23は、抽出開口部16.3の方向に沈降材料を搬送するべく矢印23.2の方向にストロークを実施する。図1に従った図面では、撹拌器ブレード22.3は、沈降材料が撹拌器22により反応装置の内側で下向きに搬送されるような形でプレッシャープレート23よりも幾分か上で終結する。ガスチャンバ3.1は、いかなる過剰圧も発生し得ないように安全手段33により保護されている。
【0045】
撹拌器22のギヤモーター22.1の上述の制御は、回転方向の反転及び適切なタイミングによりプレッシャープレート23の放出シャフト内へと両側から均等に沈降材料4が導入されるように、設計されている。
【0046】
図1及び図2に従うと、発酵用反応装置16のシェル16.1には、予め定められた発酵温度を維持するための断熱材が具備されている。この発酵温度は、発酵用反応装置16の外周囲に沿って分布された加熱ポケット18(図2)を用いて調整可能であり、反応装置の内側で予め定めされた温度プロフィールが調整されるような形で設備制御機構により制御され得る。
【0047】
図2を見ればわかるように、出口及び出口開口部15を介して導入又は引き出され得る中央ポンプ/搬送ステーションによって調整された材料流(出発材料、発酵生成物、接種材料)に加えて、直接的投入を介して出発材料をさらに導入することができる。この出発材料は適切に調整されたスライド弁11によって分岐させられ、熱交換器17により加工温度にまで加熱される。熱交換器17は加熱シェル17.3によってとり囲まれ、それを通って出発材料が導入されさらに搬送されるコンベヤらせん17.1が中に配置され前記シェルにより加熱されている誘導管17.2を内含する。加工温度まで加熱された出発材料1は次に例えばさらなるスライド弁11及びらせんコンベヤ32を介して反応装置の内部へと搬送され、ここでらせんコンベヤ32は、発酵スラッジレベル20.1の下に入っている。
【0048】
予熱された出発材料は、さらなるスライド弁11を介して熱交換器17の下流側で分岐され得、分岐配管13を介して中央ポンプ/搬送ステーションまで誘導され得る。図2に従った表示から、プレッシャープレート23により搬送された沈降材料がそれを通ってスライド弁11a,11b,11cにより搬送用パイプライン14に向かって抽出され得る3つ以上の平行な抽出部域16.3a,16.3b,16.3cにより抽出開口部16.3を形成することができる、ということがわかる。
【0049】
図2では、撹拌器ブレード22.3が沈降材料をプレッシャープレート23までかき集め、発酵用反応装置6の内部のポンプ/搬送ステーション10を介して、スライド11の制御に応じて、発酵用反応装置16内部の強い混合及び濃度の均等化を結果としてもたらす発酵スラッジの異なる流れ方向20.2の調整が可能である、ということもきわめて明確に例示されている。
【0050】
上述の円筒形反応装置の形状は、比較的単純に製造でき、圧縮濃度に関しその他の解決法よりも優れている。しかしながら、或る種の条件下では、異なる幾何形状を有するように発酵用反応装置16を設計することも必要であり得る。
【0051】
従って、発酵用反応装置16は、ほぼ矩形の断面を有し、底面は、水平方向に延びる水平表面16.5により互いに連結されている2つの傾斜した表面16.4によって形成されている。前記水平表面16.5の部域内で、2つのプレッシャープレート23及び抽出開口部16.3a、b、cが形成される。
【0052】
入口及び出口開口部15はこのとき、垂直方向に延びる発酵用反応装置16の側壁内に具備される。
【0053】
材料流は、−前述の実施形態の場合と同様に−発酵用反応装置16の内側で今度は異なる材料流経路20.2を調整できるように、中央ポンプ/搬送ステーション10により制御される。
【0054】
上述の実施形態とは対照的に、図3及び図4に示された解決法に従うと、機械式撹拌器22の代りにガス注入設備が使用される、すなわち空気圧撹拌が用いられる。
【0055】
ガス注入設備は、好ましくは発酵用反応装置16の傾斜した表面16.4内で開放する複数のノズル30.1を有する。図3には2つの異なるノズルオリフィス部域が示されている。図3の左側部分では、ノズル30.1は傾斜した表面16.4に対してほぼ直角に延び、一方右側部分のノズル30.1は発酵用反応装置16の法線軸(図3では垂直)に平行に配置されている。すなわち、左側の図3に示されている通りのノズル30.1の配置の場合、注入されたガスは法線軸との関係において斜めに反応装置チャンバ内に流入し、一方右側に示された実施形態においては、それは法線軸に対し平行に注入される。
【0056】
発酵スラッジ20の空気圧搬送及び循環のためには、圧縮器26を用いてガスドーム3.2から吸引され次にガス注入配管27ならびに複数の制御バルブ28、29及び連絡されて、分岐配管を介して複数のノズル30.1から成るそれぞれのノズルフィールド30まで誘導されるバイオガスが使用される。
【0057】
図4の上面図を見ればわかるように、フィールド30は(図3の投影平面に対し直角な)反応装置の長手方向で傾斜された表面16.4に沿って連続的に配置されており、ここでシステム制御機構により各フィールド30に対し別々にバイオガスを適用することが可能である。圧縮器26は、その停滞の場合にいかなる発酵スラッジ20もガス注入配管27を介して圧縮器に進入できないように、H4の量だけ発酵スラッジレベル20.1より上に配置される。
【0058】
発酵スラッジ20を循環させるために必要とされる最小ガス圧は、パイプライン抵抗を克服するのに必要とされる充填レベルの気圧高さ(H2×1.5(バール))にほぼ対応する。ノズルフィールド30あたりのガス注入ノズル30.1の数は同様に、寸法x、yすなわちノズルフィールド30の長さ及び幅によっても左右され、ここで、高さH2に応じて1平方メートルの底面面積あたり8〜16本のノズルが配置される。
【0059】
フィールド30には、制御バルブ28、29を交互に切換えることにより長手方向に連続的に加圧ガスがあたる。発酵スラッジ20は、上行気泡により変位され、図3に示す矢印の方向に起こっている吸引によって移動させられ、ここで垂直方向に開放しているノズル30.1は当初上向きの流れをもたらし、一方斜めに開放したノズル30.1は発酵スラッジ流を右に偏向させる。
【0060】
ポンプ/搬送ステーション10及びガス注入ノズル30.1の適切な制御により、矢印の方向とは逆方向に循環を行なうことも可能である。
【0061】
ノズル30.1を介したガス適用時間は、タンクの高さH2、H2及び調整された乾燥物質含有量(TS)によって左右される。ガスは、形成しつつあるスカム31.1が引裂されるまで各フィールド30に適用される。
【0062】
図3に示された流れの調整誘導により、沈降材料は傾斜表面16.4で堆積し、勾配に起因して、中央に配置された抽出開口部16.3まで沈降材料を搬送する2枚のプレッシャープレートに向かって搬送される。
【0063】
流れのもう1つの誘導は、さらなる説明をせずに済ますことができるように図1からの実施形態のものに対応している。
【0064】
すでに言及した通り、本発明に従った発酵用反応装置16はかなりの長さ(30m)を有することができる。従って、完成した反応容器を建設現場まで輸送することはできない。これまでは、その場所すなわち建設現場でそれを製造しなくてはならなかったため、多大な製造費が必要とされる。本発明に従うと、後に比較的低コストで現場で組立てされるいつでも道路輸送できる状態にある複数の要素の発酵用反応装置16を製造することが提供されている。この目的で、容器の長さL1は、約12〜15mの長さと約3〜4mの幅b1を有する、いつでも輸送できる状態にある要素に分割される。図3及び図5に従った矩形容器の場合、建設高H1は、約15mの輸送長及び約4mの幅B1(水平方向の水平表面16.5及び傾斜表面16.4の幅に対応)にほぼ対応する。
【0065】
図6に従った円形反応装置においては、容器は、建設現場までの比較的容易な輸送及びその場での迅速な組立てが可能となるように、各々上述の約12〜15mの長さと3〜4mの幅b1をもつ複数のセグメントに分割される。
【0066】
図6においては、高重力固体出口手段が示されている。機械式撹拌器22の効果による又はノズル30.1を通しての空気圧搬送により沈降させられプレッシャープレート23から中央に配置された抽出開口部16.3まで搬送された高重力固体は、まず第1に、傾斜したコンベヤ25に補給を行なう放出用らせんコンベヤ24内に入る。この傾斜コンベヤにより、高重力固体4は斜め上向きに、発酵スラッジレベル20.1より上に具備された清浄用設備25.1まで搬送される。前記清浄用設備25.1内で、汚れた高重力固体4は、清浄された高重力固体4.1が引き出されるように土壌を洗い流すため外側から清浄用水6が適用されるスクリーニングバスケットを通して、搬送される。汚れた清浄用水7は収集タンク9に戻され(図1及び図2を参照のこと)、そこで乾燥物資(TS)含有量を調整するために使用される。清浄された高重力固体4.1は、堆積されても、又その池のあらゆる用途に供給されてもよい。例えば、清浄用水6として、工業用水又は淡水を用いることができる。
【0067】
上述のプロセスで発生する発酵生成物5は、例えば脱水、乾燥又は堆肥化といったさらなる処理に付される。
【0068】
撹拌運動(機械式/空気圧式)は、図2及び図3の流れ線20.2に沿った発酵用反応装置16の内側での発酵スラッジの流れの上述の誘導により補助されるが、主として、反応装置16の異なる位置での又は出口からの活性バクテリアマス(接種材料)を用いた導入出発材料の接種は改善され、かくして生物学的反応は加速化される。
【0069】
当然のことながら、図3に従ってガス注入ノズルに対し機械式撹拌器を付加することもできる。該ガス注入ノズルは、図1に従った円形断面をもつ発酵用反応装置の中でも使用することができる。
【0070】
生物学的廃棄物の嫌気性発酵のための方法及びこの方法を実施するための発酵装置が開示されている。本発明に従うと、出発材料つまり処理すべき生物学的廃棄物は、反応装置の高さ及び/又は長さに沿って分布した複数の入口開口部を通して導入され、かつ/又は発酵生成物が複数の発酵生成物出口開口部を通して抽出される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に従った発酵用反応装置を含んで成る、生物学的廃棄物の嫌気性発酵のための本発明に従ったプロセスのプロセスダイアグラムを示す模式図である。
【図2】図1の発酵用反応装置の側面図である。
【図3】発酵用反応装置のもう1つの実施形態の側面図である。
【図4】図3の発酵用反応装置の切断正面図である。
【図5】図3の発酵用反応装置のセグメント設計図である。
【図6】高重力固体抽出システムを含む図2の発酵用反応装置のセグメント設計図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で生物学的構成要素がバイオガスに転換され、発酵生成物(5)が発酵生成物出口(15)を通って引き出される反応装置(16)に対して出発材料として導入される40%未満、好ましくは15〜30%の乾燥物質(TS)含有率を有する生物学的廃棄物を嫌気的に発酵させるものであって、発酵生成物(5)の一部分を接種材料として反応装置に戻すことができる方法において、
出発材料(1)及び発酵生成物(5)が、反応装置の高さ(H)及び/又は長さ(2)に沿って分布した複数の入口開口部を通して選択的に導入されかつ/又は発酵生成物(5)が複数の発酵生成物の出口開口部(15)を通して引き出されることを特徴とする嫌気的発酵方法。
【請求項2】
入口開口部(15)を通して接種材料も供給することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発酵生成物(5)が機械式撹拌器(22)によってか又はガス注入(30.1)によって混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
撹拌器(22)の回転方向が発酵プロセス中に逆転される第1の変形形態である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
バイオガスが、反応装置の底面(16.4)内に配置されたガス注入ノズル(30.1)を通して注入される第2の変形形態である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ガス注入ノズル(30.1)がフィールド毎に連続的に制御されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
スカム(31.1)がその部域内で分散するまで1つのフィールド(30)を通してガスが注入される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
沈降した材料(4)などが反応装置(16)の底面(16.5)の中央から引き出される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
反応装置(16)の底面(16.5)で、中央の沈降材料/不純物出口(16.3)に向かって不純物/沈降材料(4)の2本の相対する流れが形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
特に、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を実施するための発酵装置であって、出発材料(1)を導入できしかもバイオガス(3)を抽出するためのガスドーム(3.2)ならびに発酵生成物(5)を抽出するための発酵生成物出口(15)を有する嫌気的発酵用反応装置(16)を含み、混合用手段が該反応装置(16)の中に具備されている発酵装置において、
発酵用反応装置(16)が複数の入口及び出口開口部(15)を有し、この開口部を通して出発材料(1)又は発酵生成物(5)を選択的に導入する及び/又は引き出すことができることを特徴とする発酵装置。
【請求項11】
出口開口部(15)を通して発酵生成物(5)を引き出すことができかつ入口開口部(15)を通して接種材料として発酵生成物(5)を導入できる中央搬送ステーション(10)を含み、開口部(15)へ及びそこからの流路を該搬送ステーション(10)を介して逆転させることができ、それぞれに変動する材料流れプロフィール(20.2)が発酵反応装置(16)の中に形成される、請求項10に記載の発酵装置。
【請求項12】
タイミング制御機構を介してか、又は発酵パラメータに反応して発酵プロセス中にその回転方向を逆転させることのできる撹拌器(22)を含む、請求項10又は11に記載の発酵装置。
【請求項13】
隣接撹拌器プレート(22.3)が軸方向に重なり合っている、請求項11又は12に記載の発酵装置。
【請求項14】
撹拌器(22)の撹拌器シャフト(22.4)が両側で支持され、浮力により反応装置(16)内の中央で支持されるような形で寸法決定されている、請求項11、12又は13に記載の発酵装置。
【請求項15】
発酵用反応装置(16)の底面に2つの不純物/沈降材料搬送手段、特にプレッシャープレート(23)が具備されており、これによって、沈降材料はこれらのプレートの間に配置された中央沈降材料抽出開口部(16.3)に向かって搬送されるように適合されている、請求項10〜14のいずれか1項に記載の発酵装置。
【請求項16】
沈降材料を洗浄するための清浄設備を含む、請求項15に記載の発酵装置。
【請求項17】
発酵用反応装置(16)が水平方向に配置され、円形又はほぼ矩形の断面を有し、後者の場合には2つの傾斜した表面(16.4)及びその間に配置された水平表面(16.5)が底面を形成する、請求項10〜16のいずれか1項に記載の発酵装置。
【請求項18】
バイオガスのためのガス注入装置(30.1)を含む、請求項10〜17のいずれか1項に記載の発酵装置。
【請求項19】
ガス注入ノズル(30.1)が発酵用反応装置(16)の底面内に配置されている、請求項18に記載の発酵装置。
【請求項20】
ガス注入ノズル(30.1)が傾斜した表面(16.4)に配置されている、請求項19及び17に記載の発酵装置。
【請求項21】
ガス注入ノズル(30.1)が垂直方向又は傾斜した表面に対し直角に開口する、請求項20に記載の発酵装置。
【請求項22】
ガス注入ノズル(30.1)が、互いに独立して制御され得る複数のフィールド(30)の形に組合わされる、請求項18,19又は20に記載の発酵装置。
【請求項23】
発酵用反応装置(16)のシェルが加熱される、請求項10〜20のいずれか1項に記載の発酵装置。
【請求項24】
搬送ステーション(10)とは独立して加熱された後の出発材料を導入することのできる出発材料直接投入手段(32)を含んで成る、請求項11〜23のいずれか1項の発酵装置。
【請求項25】
発酵用反応装置(16)が輸送準備の完了した状態のセグメントで構成されている、請求項10〜24のいずれか1項に記載の発酵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−537850(P2007−537850A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517087(P2007−517087)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005452
【国際公開番号】WO2005/113469
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506386424)
【Fターム(参考)】