説明

生物活性生長促進添加剤を含む超吸収性ポリマー生成物の製造法および使用

生物活性生長促進添加剤をデンプン母材に取り込んで農業用途に用いるためのデンプンを基材とする超吸収性ポリマー生成物を形成させる方法およびそれによって形成される生成物には、(1)モノマーおよびデンプンをグラフト重合させて、デンプン母材を含むデンプングラフトコポリマーを形成させること;(2)デンプングラフトコポリマーを単離すること;(3)デンプングラフトコポリマーの粒子を形成させること;および(4)生物活性生長促進添加剤を加えて、少なくともいくらかの生物活性生長促進添加剤がデンプン母材によって取り込まれるようにすることが含まれる。生物活性生長促進添加剤を含むデンプンを基材とするSAP生成物を植物、根、種子、または苗木の近くに配置すると、有益な養分の利用率が高まるので、植物、根、種子、または苗木の生長は促進される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は農業の改善、特に、生物活性生長促進添加剤を含む超吸収性ポリマー生成物の製造法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
過去30年にわたって、ポリマー化学者および土壌科学者は農業用の制御放出農薬を開発してきた。制御放出農薬の2つの主な目標は、(1)農薬の効果を高めること及び(2)農薬使用による環境への悪い結果を減少させることである。いくつかの従来の制御放出農薬はデンプンに包まれていた。これらの従来のデンプンに包まれた制御放出農薬生成物は、デンプンおよび農薬を混合し、混合物のボールを形成させることによって一般に製造される。これらのデンプンに包まれた農薬では、デンプンからの農薬粒子の放出速度が制限されており、放出は拡散によって大きく支配される。特に、デンプンに包まれた農薬が土壌に施されると、それらは水を吸い込み、膨潤し、それによって農薬粒子はデンプン母材から植物、根、種子または苗木の周りの土壌に拡散することになる。
【0003】
1976年に、ポリマー化学者は超吸収性ポリマー(SAP)と呼ばれる種類の物質を開発した(例えば、米国特許第3,935,099号;第3,981,100号;第3,985,616号;および第3,997,484号(いずれも1976年発行)参照)。SAPは、水性液中でそれら自身の重量の少なくとも10倍を吸い込むまたは吸収する、および吸い込んだ又は吸収した水性液を適度の圧力下で保持する物質である。吸い込んだ又は吸収した水性液は、細孔に含まれる(液は絞ることによって細孔からなくなる)のではなく、分子構造に取り込まれる。いくつかのSAPは水性液中でそれらの重量の1,000倍まで吸収することができる。
【0004】
「完全合成コポリマー」と呼ばれるSAPのタイプの1つは、アクリル酸とアクリルアミドをカップリング剤の存在下で共重合させることによってつくられる。ほとんど全ての完全合成コポリマーSAPは、乳児用おむつ、成人用おむつ、生理用品、病院のベッドパッド、ケーブル被覆等に用いられる。今日、完全合成コポリマーの世界的市場は年間約20億ポンドと推定される。
【0005】
デンプングラフトコポリマーと呼ばれるSAPの別のタイプは、天然ポリマー、例えばデンプンを用いて、デンプングラフトコポリマーを含むSAP生成物を形成している。デンプングラフトコポリマーSAPのフィルムは、デンプングラフトコポリマー組成物をトレー上で乾燥させることによって、あるいは組成物をドラム乾燥機で乾燥させることによって一般に形成される。得られたフィルムはその後、フレーク又は粉末に粉砕又は微粉砕される。デンプングラフトコポリマーSAPのフィルムは、アルカリデンプングラフトコポリマーの粘性混合物をアルコールまたはアセトンのような水混和性有機溶媒で希釈して、アルカリデンプングラフトコポリマーを沈殿させることによっても製造しうる。次に、沈殿したアルカリデンプングラフトコポリマーは濾過およびさらなる乾燥によって微粉末の形で単離される。大量の水性液を吸収するデンプングラフトコポリマーSAP生成物は、土壌の保水能力を高め、且つ、繊維、粘土、紙等のコーティングを形成する吸収性軟質製品として一般に市販されている。
【0006】
SAPの水性液吸収能力が、長い間、SAPを農業従事者にとって望ましいものにしてきた。しかしながら、完全合成コポリマーSAPおよびフィルム又は粉末デンプングラフトコポリマーSAPを試験にかけると、主としてSAP生成物の粒度(小さく、細かい粒子の大きさは約80メッシュである)のために、農業上の性能がよくないことが分かった。より細かいメッシュの粒子に固有の制限の1つは、少なくとも25メッシュの粒度を必要とする一般的な顆粒用途に用いることができないことである。さらに、微粉末および/またはフィルムはSAP生成物を田畑または生育用基材に用いる間に風によってしばしば運び去られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デンプンと混合した農薬は何年もの間、製造されてきたが、農薬を、大規模農業での使用に適した、デンプンを基材とするSAP生成物(starch-based SAP product)にうまく取り込ませた者はいなかった。本発明の発明者等は、植物、根、苗木または種子へ、あるいは植物、根、苗木または種子の近くの生育用基材へ用いると植物、根、苗木または種子の生長を促す生物活性生長促進添加剤を含む、デンプンを基材とするSAP生成物を形成させる方法が農業分野において必要とされていることを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
本発明の1つの目的は、生物活性生長促進添加剤を含む、デンプンを基材とするSAP生成物の製造法および農業分野での使用を考案することである。得られるSAP生成物の適用は、SAP生成物の近くに置いた植物、根、苗木または種子の生長を促す。
【0009】
本発明の好ましい態様は、生物活性生長促進添加剤の粒子をデンプン母材に取り込んで、生物活性生長促進添加剤を含む、大規模農業用のデンプンを基材とするSAP生成物を形成させる方法、及び、その生成物に関する。デンプンを基材とするSAP生成物を植物、根、種子または苗木へ、あるいは植物、根、種子または苗木の近くの生育用基材へ適用すると、デンプンを基材とするSAP生成物は有益な養分の植物、根、種子または苗木への利用率(availability)を高める。これらの養分の利用率の増加は、作物の収穫量、生長速度、発芽および/または植物の大きさを増加させる。生物活性生長促進添加剤は、SAP生成物がデンプン母材部分によって物理的に保持され、取り込まれ、それによって安定な超吸収性ポリマー生成物が形成されること、及び、大雨、圧迫または輸送中の振動時に添加剤が流出することを最小限にし又は阻止する。植物、根または苗木は、生物活性生長促進添加剤の活性部分を、デンプンを基材とするSAP生成物から毛管作用により引き出し、そして種子は生物活性生長促進添加剤を添加剤のデンプン母材からの拡散によって該添加剤を利用すると考えられる。
【0010】
生物活性生長促進添加剤を含むSAP生成物の好ましい形成方法には、(1)少なくとも1種のグラフト試薬およびデンプンをグラフト重合させて、デンプン母材を含むデンプングラフトコポリマーを形成させること;(2)得られたデンプングラフトコポリマーを単離すること;(3)農業分野で用いるために大きさを加減したデンプングラフトコポリマーのフィルム、粉末又は粒子を形成させること;および(4)生物活性生長促進添加剤を加えて、少なくともいくらかの生物活性生長促進添加剤がデンプン母材によって取り込まれるようにすることが含まれる。生物活性生長促進添加剤の添加は、添加剤の種類および添加剤のデンプン母材中への取り込みの望ましい程度に応じて、このプロセス中の様々な時期に行うことが可能である。
【0011】
生物活性生長促進添加剤を含む、デンプンを基材とするSAP生成物を形成させる好ましい方法には少なくとも2つの好ましい実施態様がある。第1の好ましい実施態様は、(1)モノマーとデンプンを開始剤の存在下で化合させ、それによってモノマーがデンプンにグラフト重合してデンプン母材を有するデンプングラフトコポリマーを含む混合物を形成するようにすること;(2)混合物をケン化すること;(3)ケン化されたデンプングラフトコポリマーを混合物から沈殿させて、農業分野で用いるために大きさを加減されたSAP生成物の粒子を形成させること;および(4)生物活性生長促進添加剤を加え、それによって少なくともいくらかの生長促進添加剤がデンプン母材によって取り込まれるようにすることを含む。生物活性生長促進添加剤の添加は、例えば、下記加工工程の少なくとも1つの間で行いうる:(1)モノマーとデンプンを化合させる間;(2)デンプングラフトコポリマーのケン化の後;および(3)デンプンを基材とするSAP生成物の形成後。
【0012】
第2の好ましい実施態様は、(1)モノマーをデンプンに開始剤の存在下でグラフト重合させて、デンプン母材を有するデンプングラフトコポリマーを含む混合物を形成させること;(2)架橋剤を混合物に加えてデンプングラフトコポリマーを架橋すること;(3)混合物を中和すること;(4)架橋デンプングラフトコポリマーを沈殿させるか又は単離して、農業分野で用いるために大きさを加減されたSAP生成物の粒子を形成させること;および(5)生物活性生長促進添加剤を加え、それによって生物活性生長促進添加剤がデンプン母材によって取り込まれるようにすることを含む。生物活性生長促進添加剤の添加は、例えば、下記処理工程の少なくとも1つの間で行いうる:(1)モノマーをデンプンにグラフト重合する間;(2)中和の後;および(3)デンプンを基材とするSAP生成物の形成後。
【0013】
生物活性生長促進添加剤を含むデンプンを基材とするSAP生成物を植物、種子、苗木または根の生長を促すために用いる好ましい方法には、例えば、(1)生物活性生長促進添加剤を含むデンプンを基材とするSAP生成物(あるいはSAP生成物を含むスラリー、マットまたは肥料)を植物、種子、苗木または根の近くの生育用基材に直接配置すること;および(2)植物、種子、苗木または根に、デンプンを基材とするSAP生成物(あるいはSAP生成物を含むスラリーまたは肥料)を施し、その後、植物、種子、苗木または根を生育用基材に植えることが含まれる。生物活性生長促進添加剤を含むデンプンを基材とするSAP生成物を土壌、又は、植物、種子、苗木若しくは根に直接施すと、結果として、発芽および/または開花が早まり、注水の必要性が減少し、繁殖が増加し、作物の生長が増し、作物の収穫が増加し、そして土壌が固まることが少なくなる。従って、上記の方法で製造されたSAP生成物は、従来のSAP生成物並びにSAP生成物の形成方法及び大規模農業での使用法に比べて様々な利点を提供する。
【0014】
生物活性生長促進添加剤には、例えば、肥料、農薬、生物活性物質、植物生長ホルモン、および土壌に基づく養分が含まれる。農薬の例は、殺ダニ剤、殺藻薬、摂食阻害剤、殺鳥剤、殺菌剤、鳥忌避剤、化学的減菌剤、殺カビ剤、除草剤薬害軽減剤、除草剤、昆虫誘引剤、昆虫忌避剤、殺虫剤、哺乳動物忌避剤、交配混乱剤、軟体動物駆除剤、線虫駆除薬、植物活性剤、植物生長調節剤、殺鼠薬、共力剤、および抗ウイルス薬である。
【0015】
本発明の別の側面および利点は次の好ましい態様の詳細な説明から明らかであろう。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は一般に、生物活性生長促進添加剤をデンプン母材に取り込んで、農業分野で用いるためのデンプンを基材とするSAP生成物を形成させる方法及びそのようにして形成された生成物に関する。生物活性生長促進添加剤を含むデンプンを基材とするSAP生成物を植物、根、種子または苗木の近くの生育用基材へ直接施すと、該SAP生成物は、植物、根、種子または苗木への有益な養分の利用率を促進することによって、該SAP生成物の近くに置かれた植物、根、種子または苗木の生長を促す。デンプンを基材とするSAP生成物のデンプン母材の高吸収力は、デンプン母材中に生物活性生長促進添加剤を取り込むことを容易にし、それによって、大雨、圧迫、または輸送もしくは製造中あるいはSAP生成物の適用中の震動による生物活性生長促進添加剤のデンプン母材からの分離または放出を最小限にし若しく阻止する。生物活性生長促進添加剤はSAP生成物中に取り込まれるので、生長促進添加剤の流出率は、土壌、植物、根、苗木または種子へ直接施される生長促進添加剤の流出率より著しく少ない。
【0016】
ここで用いられる「取り込まれる」および「包まれる」という用語は、生物活性生長促進添加剤がSAP生成物のデンプン母材部分によって物理的に保持されることを意味する。「生物活性生長促進添加剤」という用語は、植物、根、苗木または種子の生長を促進するどのような添加剤も含むことを意味する。生長促進という表示には、(以下に限定されないが)早期の発芽および/または開花、注水の必要性の減少、繁殖の増加、作物の生長の増加、作物の収穫の増加、および土壌の固化の減少が含まれる。
【0017】
農業分野で用いるための生物活性生長促進添加剤を含むSAP生成物の好ましい形成方法には、(1)少なくとも1種のグラフト試薬およびデンプンをグラフト重合させて、デンプン母材を含むデンプングラフトコポリマーを形成させること;(2)得られたデンプングラフトコポリマーを単離すること;(3)農業分野で用いるために大きさを加減したデンプングラフトコポリマーの粒子を形成させること;および(4)生物活性生長促進添加剤を加えて、少なくともいくらかの生物活性生長促進添加剤がデンプン母材によって取り込まれるようにすることが含まれる。生物活性生長促進添加剤の添加は、添加剤の種類および添加剤のデンプン母材中への取り込みの望ましい程度により、この過程の間の様々な時期に行いうる。
【0018】
生物活性生長促進添加剤を含むデンプンを基材とするSAP生成物を製造する好ましい方法には少なくとも2つの好ましい実施態様がある。第1の好ましい実施態様は、(1)モノマーとデンプンを開始剤の存在下で化合させ、それによってモノマーがデンプンにグラフト重合してデンプン母材を有するデンプングラフトコポリマー含む混合物を形成するようにすること;(2)混合物をケン化すること;(3)ケン化されたデンプングラフトコポリマーを混合物から沈殿させて、農業分野で用いるために大きさを加減されたSAP生成物の粒子を形成させること;および(4)生物活性生長促進添加剤を加え、それによってこれがデンプン母材中に取り込まれるようにすることを含む。生物活性生長促進添加剤の添加は、例えば、下記処理工程の少なくとも1つの間で行いうる:(1)モノマーとデンプンを化合させる間;(2)混合物のケン化の後;および(3)デンプンを基材とするSAP生成物の形成後。
【0019】
この第1の好ましい実施態様において、好ましいモノマーの例はアクリロニトリルである。アクリロニトリルは単独でまたは他のモノマー、例えば、2−アクリロニトリル−2−メチル−プロパンスルホン酸、アクリル酸、およびアクリルアミドと共に用いうる。デンプン対アクリロニトリルの好ましいモル比は約1:1〜約1:6であり、SAP生成物中のアクリロニトリルの量はSAP生成物の吸収性に一般に比例する。
【0020】
アクリロニトリルはセリウム塩のような開始剤の存在下でデンプンにグラフト重合させるのが好ましい。好ましいセリウム塩には、(以下に限定されないが)硝酸第2セリウムアンモニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化第1鉄、硫酸第1鉄アンモニウム−過酸化水素、L−アスコルビン酸、および過マンガン酸カリウム−アスコルビン酸が含まれる。グラフト重合過程は数分内で一般に完了し、デンプンに結び付いた、ポリアクリロニトリルの長いグラフト鎖または他のモノマーと結合したポリアクリロニトリルを生じる。
【0021】
次に、デンプンに結び付いた、ポリアクリロニトリルの長いグラフト鎖または他のモノマーと結合したポリアクリロニトリルを、好ましくは水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムでケン化して、ニトリル基をカルボキサミドおよびアルカリカルボキシレートの混合物に変える。ケン化により、軟塊状(dough-like)のコンシステンシーを有するケン化物の非常に粘性な物質が生じる。
【0022】
次に、ケン化物(生物活性生長促進添加剤を含む又は含まない)を水混和性溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、またはイソプロパノールのようなアルコールを用いて固体形に沈殿させる。メタノールは通常、最も安価なアルコールのため、一般に好ましい。ケン化物をアルコールに浸して、アルカリデンプングラフトコポリマーを沈殿させ、粒子を形成させる。該粒子は、乾燥させ、望ましい大きさに篩い分けてもよい。アルコールは中和デンプングラフトコポリマーケン化物から水を除き、脱塩し、これを粒状化する。アルコールを用いる沈殿方法には様々なものがあり、本発明に用いることができる。好ましい沈殿法の例を以下でさらに詳しく説明する。
【0023】
第2の好ましい実施態様は、(1)モノマーおよびデンプンを開始剤の存在下で化合し、それによってモノマーがデンプンにグラフト重合してデンプン母材を有するデンプングラフトコポリマーを含む混合物を形成するようにすること;(2)架橋剤を混合物に加えて架橋デンプングラフトコポリマーを形成させること;(3)混合物を中和すること;(4)農業分野で用いるために大きさを加減されたSAP生成物の粒子を形成させること;および(5)生物活性生長促進添加剤を加え、それによってそのいくらかがデンプン母材に取り込まれるようにすることを含む。生物活性生長促進添加剤の添加は、例えば、下記処理工程の少なくとも1つの間で行いうる:(1)モノマーをデンプンにグラフト重合する間;(2)中和の後;および(3)デンプンを基材とするSAP生成物の粒子の形成後。
【0024】
この第2の好ましい実施態様において、好ましいモノマーの例は、(以下に限定されないが)アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−アクリロニトリル−2−メチル−プロパンスルホン酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、エチルアクリレート、それらの誘導体、およびそれらの混合物である。
【0025】
モノマーは開始剤の存在下でデンプンにグラフト重合されるのが好ましい。上記の方法で用いられる開始剤の例は、セリウム(+4)塩、例えば硝酸第2セリウムアンモニウム;過硫酸アンモニウム;過硫酸ナトリウム;過硫酸カリウム、過酸化第1鉄;硫酸第1鉄アンモニウム−過酸化水素;L−アスコルビン酸;および過マンガン酸カリウム−アスコルビン酸である。本技術分野における当業者に公知の他の適した開始剤を用いてもよい。開始剤の使用量は、選択された開始剤、選択されたモノマーおよび選択されたデンプンにより変わる。いくつかの開始剤、例えば過硫酸塩は熱の存在が必要である。開始剤は1つの工程でまたは複数の工程で加えてもよく、そして複数の開始剤を用いてもよい。
【0026】
次に、架橋剤を混合物に加えて架橋デンプングラフトコポリマーを形成させる。デンプングラフトコポリマーが架橋されないと、それは水性液に溶解するので、架橋剤は必要である。架橋剤は、デンプングラフトコポリマーが溶解することなく水性液を吸収することを可能にする。架橋剤の添加量は、得られるSAP生成物の吸収性に間接的に比例する。好ましい架橋剤の例は、グリセリド;ジエポキシド;ジグリシジル;シクロヘキサジアミド;メチレンビス−アクリルアミド;ビス−ヒドロキシアルキルアミド、例えばビス−ヒドロキシプロピルアジパミド;ホルムアルデヒド、例えば尿素−ホルムアルデヒドおよびメラミン−ホルムアルデヒド樹脂;ジ−およびトリ−イソシアネートを含むイソシアネート;一般に塩基触媒の存在下でのエポキシ樹脂;それらの誘導体、およびそれらの混合物である。
【0027】
架橋剤の使用は好ましいが、自己架橋性コポリマーも用いうる。自己架橋性コポリマーを用いるならば、単一または複数の自己反応性官能基または複数の共反応性官能基を混合物に混合する。共反応性官能基の一例はグリシジルメタクリレートである。
【0028】
架橋デンプングラフトコポリマーが形成されたら、架橋デンプングラフトコポリマーを中和して、カルボキシル基をカリウム塩に変換する。例えば、水酸化カリウムまたはカリウムメトキシドを用いて、架橋デンプングラフトコポリマーを中和する。ケン化を必要とする従来法とは対照的に、本発明の中和工程は著しくより速く、より簡単であり、そしてより安価である。また、中和はアンモニアのような腐食性で危険な副生成物を生じさせない。中和に用いうる溶媒の例は、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、およびそれらの混合物であり、いずれもメタノールで希釈しうる。
【0029】
得られた中和された架橋デンプングラフトコポリマーは次に単離するか又は沈殿させてSAP生成物の粒子を形成させる。好ましい単離または沈殿方法の例は以下でさらに詳しく論じる。単離は本技術分野における当業者に公知の方法によって行うことができ、該公知方法には、(1)例えば二段ドラム乾燥機で押出しおよび乾燥させること、(2)中和された軟塊を二段ドラム乾燥機で乾燥してSAP生成物のフレークを形成させることおよびその後、SAP生成物のフレークから望ましい大きさの粒子を形成させること、(3)中和された軟塊をトレー乾燥させてSAP生成物のフレークを形成させること、及びその後、SAP生成物のフレークから望ましい大きさの粒子を形成させること、並びに(4)粒子を中和された軟塊から形成させること、そしてその後、これらの粒子をトレー乾燥することなどがある。
【0030】
第1および第2の好ましい実施態様では、生物活性生長促進添加剤はSAP軟塊または粒子に加えるのが好ましく、これによって全体にわたって十分に分配される。生物活性生長促進添加剤の添加を行いうる好ましい方法の一例は、(添加の間、軟塊または粒子を攪拌しながら又は攪拌せずに)添加剤を溶媒に溶解し、次に生長促進添加剤の溶液をSAP軟塊またはSAP生成物の粒子を噴霧することである。生物活性生長促進添加剤を添加する第2の好ましい方法には、添加剤のスラリーを形成させること、そして加工中のいずれかの時点でスラリーをSAP軟塊または粒子に加えることが含まれる。SAP生成物の粒子形成後に生物活性生長促進添加剤を加える1つの利点は、粒子の高度な吸収性が結果として添加剤を容易に吸収することである。1つの好ましい態様では、デンプンを基材とするSAP生成物の粒子は添加剤を施した後に乾燥される。
【0031】
生物活性生長促進添加剤は一般に2つのカテゴリーの1つに入る:水溶性添加剤および水不溶性添加剤。水溶性添加剤は加工中のいずれかの時点で又はSAP生成物を生育用基材に施す際にSAP軟塊または粒子に直接加えることができる。好ましい方法の第1の好ましい実施態様を用いるとき、水溶性添加剤はケン化後またはSAP生成物の粒子形成後にSAP軟塊に加えるのが好ましい。グラフト試薬およびデンプンの化合中に生物活性生長促進添加剤を添加すると、添加剤はケン化の際に追い出されることになるからである。
【0032】
水不溶性生物活性生長促進添加剤は加工中のどのような時点でSAP粒子へ加えても、又はSAP生成物を生育用基材に施す際に加えてもよい。一般に、水不溶性添加剤を溶媒、例えばアルコールのような水に混和性の溶媒に溶解し、溶液をSAP軟塊、SAP粒子、または生育用基材に施す。溶解した生物活性生長促進添加剤の溶液またはスラリーを施した後、溶媒は、加熱または乾燥して蒸発によって残留溶媒を追い出すことによりSAP軟塊または粒子から除去しうる。
【0033】
SAP生成物1ポンド当たりの生物活性生長促進添加剤の好ましい割合は、1ポンド当たり約1オンスである。生物活性生長促進添加剤の例には、肥料、植物生長調節剤、農薬、植物生長ホルモン、および土壌に基づく養分が含まれ、これらはいずれも固体、結晶質、水性、または液体の形でありうる。
【0034】
農薬の例は、殺ダニ剤、殺藻薬、摂食阻害剤、殺鳥剤、殺菌剤、鳥忌避剤、化学的減菌剤、殺カビ剤、除草剤薬害軽減剤、除草剤、昆虫誘引剤、昆虫忌避剤、殺虫剤、哺乳動物忌避剤、交配混乱剤、軟体動物駆除剤、線虫駆除薬、植物活性剤、植物生長調節剤、殺鼠薬、共力剤、抗ウイルス薬、それらの誘導体、それらのブレンド、およびそれらの組み合わせである。商業的に入手しうる農薬の3つの例は次の通りである:サウスカロライナ州フェアファックスのヘレナ・ケミカルズ社製造のAsset(登録商標);コロラド州グリーリーのUAP社製造のACA(登録商標);およびオハイオ州メリーズビルのスコッツ社製造のMiracle−Gro(登録商標)。
【0035】
植物生長調節剤の例は、抗オーキシン、例えば2,3,5−トリ−ヨード安息香酸;オーキシン、例えば2,4−D;サイトカイニン、例えばキネチン;落葉剤、例えばメトクスロン;エチレン阻害剤;エチレン放出剤、例えばACCおよびグロキシム;ジベレリン;生長阻害剤;生長遅延剤;生長刺激剤;それらの誘導体;およびそれらの混合物である。
【0036】
好ましい除草剤の例は次の通りである:クロロアセトアニリド除草剤(例えば、アラクロールおよびメトラクロール)を含むアミド除草剤;抗生物質除草剤;安息香酸除草剤(例えば、クロラムベンおよびジカムバ)、フタル酸除草剤、ピコリン酸除草剤、およびキノリンカルボン酸除草剤を含む芳香族酸除草剤;砒素系除草剤;ベンゾイルシクロヘキサンジオン除草剤;ベンゾフランアルキルスルホネート除草剤;カルバメート除草剤;カルバニレート除草剤;シクロヘキセンオキシム除草剤;シクロプロピルイソキサゾール除草剤;ジカルボキシイミド除草剤;ジニトロアニリン除草剤(例えば、トリフルラリンおよびペンジメタリン);ジニトロフェノール除草剤;ジフェニルエーテル除草剤;ジチオカルバメート除草剤;ハロゲン化脂肪族除草剤;イミダゾリノン除草剤;無機除草剤;ニトリル除草剤;有機リン除草剤;フェノキシ除草剤(例えば、2−4D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸とも言われる)およびMercoprop);フェニレンジアミン除草剤;ピラゾリルオキシアセトフェノン除草剤;ピラゾリルフェニル除草剤;ピリダジン除草剤;ピリダジノン除草剤(例えば、Norflurazon(登録商標));ピリジン除草剤;ピリミジンジアミン除草剤;第4アンモニウム除草剤;チオカルバメート除草剤(ブチレートおよびEPTCを含む);チオカーボネート除草剤;チオ尿素除草剤;チアジン除草剤(例えば、アトラジンおよびシマジン);トリアジノン除草剤(例えば、Metribuzinn(登録商標));チアゾール除草剤;トリアゾロン除草剤;トリアゾロピリミジン除草剤;ウラシル除草剤;尿素除草剤;Roundup(登録商標)除草剤(ミズーリ州セントルイスのモンサント社製造);Chloropropham(登録商標);Surflan(登録商標)(フロリダ州パーメットーのサザーン・アグリカルチュラル・インセクティサイズ社製造);およびClomazone(登録商標)。これらの除草剤の組み合わせまたはブレンドを用いてもよい。
【0037】
微生物農薬の例は、バシラス・スリンギエンシス(thuringiensis)およびマイコルヒザル(mycorrhizal)菌である。殺虫剤の例は、チオダン、ジアジノン、およびマラチオンである。殺菌剤の例は、ノースカロライナ州リサーチトライアングルパークのバイエル・クロップ・サイエンス社製造のAliette(登録商標)(活性成分=アルミニウムトリス(o−エチルホスフェネート));Mancozeb(登録商標);カナダのBASFアゴルーションズ社製造のSovran(登録商標)(活性成分=クレソキシム−メチル);ノバルティス社製造のFlint(登録商標)(活性成分=トリフロキシストロビン);ノースカロライナ州グリーンスボロのシンジェンタ・クロップ・プロテクション社製造のRidomil(活性成分=メフェノキサン)およびRidomil Gold(登録商標)(活性成分=メトキシアセチルアミノ−R−2−2[2,6−ジメチルフェニル−プロピオン酸メチルエステル]);ノースカロライナ州グリーンスボロのシンジェンタ・クロップ・プロテクション社製造のDividend(登録商標)(活性成分=ジフェノコナゾール);メリーランド州コロンビアのセルティスUSA社製造のSoilGard(登録商標)(活性成分=グリオクラジウム ビレンス);ノースカロライナ州グリーンスボロのシンジェンタ・クロップ・プロテクション社製造のBravo(登録商標)(活性成分=クロロタロニル);カナダのグスタフソンLLC社製造のVitavax(登録商標)(活性成分=カルボキシン);カナダのグスタフソンLLC社製造のThiram(登録商標)(活性成分=テトラメチルチウラムジスルフィド);ノースカロライナ州グリーンスボロのシンジェンタ・クロップ・プロテクション社製造のMaxim(登録商標)(活性成分=フルジオキソニル);ノースカロライナ州グリーンスボロのシンジェンタ・クロップ・プロテクション社製造のQuadris(登録商標)(活性成分=アゾキシストロビン);ノースカロライナ州リサーチトライアングルパークのバイエル・クロップ・サイエンス社製造のElite(登録商標)(活性成分=テブコナゾール)である。これらの組み合わせまたはブレンドを用いてもよい。
【0038】
土壌に基づく養分の例は、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、硼素、亜鉛、マンガン、銅、鉄、硫黄、窒素、モリブデン、リン酸アンモニウム、魚肉、並びにそれらの誘導体、ブレンドおよび混合物である。生長促進添加剤の例についてのさらなる情報は、1992年にメイスター出版社が発行したThe Farm Chemicals Handbookにある。
【0039】
上記の方法に関連して用いられるデンプンの例は、純粋なデンプン、穀物細粉、穀物あらびき粉である。好ましいデンプンはコーンスターチ、トウモロコシあらびき粉、コムギデンプン、モロコシデンプン、タピオカデンプン、穀物の細粉およびあらびき粉、バナナ細粉、ユッカ細粉、剥いだユッカの根、剥いでないユッカの根、オートムギ細粉、バナナ細粉、およびタピオカ細粉である。これらの組み合わせ、誘導体およびブレンドも用いうる。これらのデンプン源は糊化して吸収性を最適なものにするのが好ましい。商業的に入手しうるデンプンの例は、天然のデンプン(例えば、コーンスターチ(例えば、A.E.ステイリー社(A.E.Staley)製造のPure Food Powder(登録商標)、ワクシー(waxy)トウモロコシデンプン(例えば、A.E.ステイリー社製造のWaxy(登録商標)7350)、コムギデンプン(例えば、ミッドウエスト・グレイン・プロダクツ社製造のMidsol(登録商標)50)、およびジャガイモデンプン(A.E.ステイリー社製造のAvebe(登録商標))、デキストリンデンプン(例えば、A.E.ステイリー社製造のStadex(登録商標)9)、デキストランデンプン(例えば、ファーマケム社製造のGrade2P)、トウモロコシあらびき粉、剥いだユッカの根、剥いでないユッカの根、オートムギ細粉、バナナ細粉、タピオカ細粉、および工業用グレードの未調整コーンスターチである。デンプン対モノマーの好ましいモル比は約1:1〜約1:6である。
【0040】
上記のように、様々な好ましい単離法を本発明に関連させて用いることができる。単離は、SAP軟塊の沈殿によって又は乾燥および/若しくは機械操作(manipulation)によって行うことができる。沈殿は、粒子、顆粒、粉末、ストランド、ロッド、フィルム等(これらはいずれもここでは「粒子」と呼ばれる)の形成に用いることができる。いくつかの好ましい沈殿法では、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、またはイソプロパノールのような水混和性溶媒を加えることが含まれる。アルコールに基づく沈殿生成の1つの好ましい方法には、デンプングラフトコポリマーをアルコールに浸し、それによってデンプングラフトコポリマーを沈殿させて粒子にし、その後、乾燥した後に望ましい大きさに篩い分けることが含まれる。アルコールはデンプングラフトコポリマーから水を除去し、余分な塩を除去し、そしてデンプングラフトコポリマーを粒状にする。
【0041】
アルコールに基づく沈殿生成の第2の好ましい方法には、十分なアルコールをデンプングラフトコポリマーにブレンドして滑らかな分散液にすることが含まれる。その後、滑らかな分散液は、滑らかなデンプングラフトコポリマー分散液を加えながらアルコールを激しく攪拌することができる攪拌システムを含む沈殿槽へポンプで送られる。いったん混合すれば、得られたアルコールおよびデンプングラフトコポリマー粒子は(1)デカントまたはアルコールでの洗浄によって集めるか、あるいは(2)遠心分離しそして集め、次に約1〜約20%の水分レベルに乾燥する。
【0042】
アルコールに基づく沈殿生成の第3の好ましい方法には、ケン化物または中和デンプングラフトコポリマーの表面を少量のアルコールで湿らせ、そしてデンプングラフトコポリマーを互いに再付着しないより大きい「塊状物」(“chunk”)に切り刻むことが含まれる。いったんケン化物または中和デンプングラフトコポリマーの表面がアルコールで湿ったならば、得られた物質はつるつるした触感となり、もはや粘着しない。この効果は、例えば、固体1部当たりメタノール約1〜約2部の組成比にすることによって得られる。いったんアルコールを加えたら、ケン化物または中和デンプングラフトコポリマーを(1)インラインチョッパーに送って直径が1インチ未満の塊状物を形成させるか、あるいは(2)手ではさみを用いて切り刻む。次に、得られた混合物を、デンプングラフトコポリマー1ポンド当たり追加アルコール約1.5〜約2.0ガロンの入った槽またはウェアリング(Waring)ブレンダーに供給する。より大きい槽中のアルコールはカウルズ(Cowles)ディソルバーまたは他の高速ミキサーで攪拌する。
【0043】
アルコールに基づく沈殿生成の第4の好ましい方法には、アルコールに基づく沈殿生成の前に粒子の大きさを予め決定する。様々な形および直径のストランドまたはロッドを形成するダイを用いると、粒子サイズ形成過程を大きく改善することができる。この第4の方法は最終粒子サイズの調整を強化するものである。デンプングラフトコポリマー(中和された又はされていない)は様々な直径(例えば、約1/16インチないし1/4インチ以上)および様々な形(例えば、丸、星、リボン等の形)の穴を有するダイプレートに押し通す。デンプングラフトコポリマーをダイプレートに押し通す方法には、手動プランジャー、スクリューフィーディング、オーガリング(auguring)、ポンピング、および他の一般的な公知の方法を用いることが含まれる。得られたストランドまたはロッドは、予備混合剤としてのアルコールをさらに添加することなく、沈殿槽に入れる。ストランド又はロッドは互いに粘着するのを防止するために、例えば、ストランドまたはロッドをアルコールで湿らすことまたはそれらをダスティング剤、例えばセルロース、クレー、デンプン、穀物細粉、または天然もしくは合成ポリマーでダスティングすることによって処理しうる。あるいは、ストランドまたはロッドをアルコールで軽くスプレーして、それらが互いに粘着するのを防止してもよい。得られたストランドまたはロッドは攪拌アルコールで沈殿させ、槽から取り出し、そして乾燥させる。
【0044】
アルコールの添加を含まない、デンプングラフトコポリマーの単離方法の例は、デンプングラフトコポリマーの加熱ドラム上での乾燥か又は空気乾燥である。得られたSAP生成物粒子を処理して、望ましい農業用途に適した大きさおよび形の最終SAP生成物を形成させる。生物活性生長促進添加剤を含むSAP生成物を形成させる方法の第2の好ましい実施態様では、余分な塩をごくわずかしか含有しない比較的純粋な系である中和された架橋デンプングラフトコポリマーが形成されるので、この実施態様を用いて形成されたSAP生成物の単離は、SAP生成物を単に乾燥することによって行うことができる。これに対して、従来のデンプングラフトコポリマーはかなりの量の余分な塩およびアンモニアを含み、従って、アルコール、一般にはメタノールで処理しなければならない。メタノールの廃棄には非常に費用がかかるので、メタノールの使用はSAP生成物の製造コストを著しく高める。
【0045】
アルコールを加えずにデンプングラフトコポリマーを単離する方法の別の例は、中和された架橋デンプングラフトコポリマーを加熱スクリューに通して押出して、SAP生成物の粒子を形成させることである。粒子の再凝集を最小限にするために、粒子はそれらが互いに粘着する傾向を減じるダスティング剤(dusting agent)で被覆するのが好ましい。ダスティング剤の例は、粒子が互いに粘着するのを防止するセルロース、クレー、デンプン、穀物細粉、および天然もしくは合成ポリマーである。あるいは、粒子をメタノールで軽くスプレーして、それらが互いに粘着するのを防止してもよく、および/または高圧下で押出してもよい。
【0046】
SAP生成物を粒子形で用いる場合、デンプンを基材とするSAP生成物の好ましい粒子サイズは、目的の具体的な農業用途に左右される。デンプンを基材とするSAP生成物を生育用基材に直接付着させる農業用途に好ましい粒子サイズは、50メッシュ未満、より詳細には約8〜約25メッシュである。商業的に入手しうる粒子の利用者はこの粒子サイズを求めるので、この粒子サイズが好ましい。既存の農業用装置でデンプンを基材とするSAP生成物を散布又は計量するには、1立方フィート当たり約25〜約35ポンド、最も好ましくは1立方フィート当たり32ポンドの密度を有する8〜約25メッシュの粒状のデンプンを基材とするSAP生成物が好ましい。
【0047】
他の農業用途、例えば種子のコーティングおよび根の浸漬には、より微細な粒子サイズを用いる。種子のコーティングの場合、望ましい粒子サイズは約75〜約200メッシュ、より好ましくは約100メッシュである。根の浸漬の場合、望ましい粒子サイズは約30〜約100メッシュ、より好ましくは約50メッシュである。さらに、デンプンを基材とするSAP生成物の放出速度はその粒子サイズに影響される。例えば、予備試験の結果は、ペレット化粒子が、生物活性生長促進添加剤の活性部分を、同じ表面積の顆粒生成物と比較してより時間をかけて放出し得ることを示唆している。
【0048】
その存在が生物活性生長促進添加剤の加工性または効果に影響を与える充填剤、吸収剤、担体、および界面活性剤を用いて、デンプンを基材とするSAP生成物を形成してもよい。担体の例は、カオリンクレー、フラー土、珪藻土生成物、非糊化粒状デンプン、シリケート、並びにそれらのブレンド、混合物および誘導体である。一般に、デンプンを基材とするSAP生成物の膨潤力はクレーの割合が増加するにつれて低下する。充填剤、吸収剤、担体、および界面活性剤を加える加工時期は、得られるSAP生成物の望ましい特性により変わり得る。充填剤、吸収剤、担体、および界面活性剤を加える好ましい加工時期の2つの例は、(1)デンプンとの予備ブレンドおよび(2)下流での加工中の別の添加である。
【0049】
生物活性生長促進添加剤を含むSAP生成物はどのような作物とも関連させて用いうる。作物の例は次の通りである:アルファルファ、アスパラガス、オオムギ、マメ類(リラマメ、サヤマメ、インゲンマメを含む)、ブロッコリー、カノーラ、ニンジン、カリフラワー、セロリ、コリアンダー、ハルシャギク、綿花、キュウリ、ディル、スモモ(elymus glaucus)、トウモロコシ(スイートコーンを含む)、ウシノケグサ(fine fescus)、ニンニク、ナガハグサ、ヒラマメ、レタス(ムスクラン、ヘッドレタス、リーフレタス、タチチシャ、およびキャベツを含む)、オートムギ、タマネギ、メロン(スイカ、カンタループメロン、およびハネーデューメロンを含む)、マッシュルーム、パセリ、エンドウ(乾燥)、コショウ(ピーマンを含む)、ジャガイモ、カボチャ、ラディッシュ、ライグラス、芝生、モロコシ、大豆、ホウレンソウ、カボチャ、テンサイ、ヒマワリ、フダンソウ、トールウシノケグサ、タバコ、トマト、カブ、コムギ、シロツメクサ、ワイルドライムギ、およびヒャクニチソウ。
【0050】
SAP生成物の植物、根、種子、または苗木への適用は、(以下に限定されないが)植物、根、種子、または苗木をSAP生成物粒子、SAP生成物粒子のスラリー、SAP生成物粒子を含むペーストに浸すこと;泥、土壌、肥料、または他の生育用基材をSAP生成物と混合し、その後、植物、根、種子、または苗木を生育用基材/SAP生成物混合物に植えること;並びに生育用基材へ直接適用するSAP生成物のスラリーを形成させることを含む本技術分野における当業者に公知の方法によって行いうる。
【0051】
生物活性生長促進添加剤を含む、デンプンを基材とするSAP生成物を植物、種子、苗木または根の生長を促すために用いる好ましい方法には、例えば、(1)生物活性生長促進添加剤を含むデンプンを基材とするSAP生成物(あるいはSAP生成物を含むスラリー、マットまたは肥料)を植物、種子、苗木または根の近くの生育用基材に直接置くこと;および(2)植物、種子、苗木または根にデンプンを基材とするSAP生成物(あるいはSAP生成物を含むスラリーまたは肥料)を施し、その後、植物、種子、苗木または根を生育用基材に植えることが含まれる。ルートディップ(root dip)として用いるためのスラリーの好ましい製造法の1つの例は、約3〜約6オンスのSAP生成物を約5ガロンの水と合わせて、成長基体および/または植物、根、種子、または苗木に施すスラリーを形成させることである。SAP生成物を含む種子コーティングを製造する方法の1つの例は、結合剤およびSAP生成物を溶媒、好ましくは水と合わせて、種子に施すスラリーを形成させることである。あるいは、乾燥SAP生成物を結合剤または粘着付与剤、例えば鉱物、石膏、またはクレーと合わせて、種子に粘着する混合物を形成させることである。これらの方法は植物、根、種子、または苗木のいずれにも施されるコーティングの製造にも用いることができる。
【0052】
本発明の発明者等は、デンプンを基材とするSAP生成物の取り込み効率、膨潤力、放出速度、および効果が使用材料の種類、実施される加工条件、並びに下流の加工の程度および種類によって様々な程度に影響されることを認識している。組成および加工条件は生成物の性能および加工効率を最大にするよう選択されるので、好ましい加工パラメーター、例えば、温度、固形分濃度、デンプンの濃度、生長促進添加剤の濃度、添加剤の種類、添加剤の数、添加レベル、添加方法、および添加のタイミングは非常に異なる。このため、次の実施例は本発明をさらに説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0053】
実施例1:Asset(登録商標)農薬のSAP粒子への噴霧使用
蒸留水(1,4000ml)を3リットル樹脂反応釜に入れ、攪拌機で一定の攪拌を行った。デンプン細粉またはあらびき粉(110g)を反応釜にゆっくり加え、得られた混合物を約5分間攪拌した。窒素のおそい流れを混合物に加え、同時に、混合物を約95℃に達するまで加熱した。この温度に達したら、混合物をこの温度に維持し、約45分間攪拌して、デンプンを確実に糊化した。次に、加熱マントルを除き、樹脂反応釜を冷水バケット浴に入れた。温度が25℃に達するまで、混合物を窒素下で連続攪拌した。アクリロニトリル(115g)および2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(23g)を加えた。得られた混合物を約10分間、窒素下で連続攪拌した。0.1M硝酸溶液(50ml)に溶解した硝酸セリウムアンモニウム(5.5g)を含む触媒溶液を混合物に加え、同時に、混合物を冷却した。樹脂反応釜を冷水バケツに約60分間入れたままで、混合物を窒素下で連続攪拌した。60分の終わりでの混合物の温度は約40℃であった。水(200g)に溶解した水酸化カリウムフレーク(90g)を含む溶液を、攪拌および加熱しながら混合物に加えた。95℃の温度に達するまで、混合物を攪拌および加熱し、その後、混合物をさらに60分間攪拌した。次に、塩酸の10%溶液を用いて混合物をpH7.5に中和した。得られた軟塊を約40℃に冷却した。上記沈殿法の1つを用いて粘性の軟塊をメタノール中で沈殿させて、SAP粒子を得た。
【0054】
得られたSAP粒子を肥料分析試験にかけて、各種生物活性成分の存在を分析した。SAP生成物と本発明のデンプンを基材とするSAP生成物を比較できるように、結果を表Iに示す。
【0055】
【表1】

【0056】
試験A:3パイント/エーカーの濃度でのAsset(登録商標)農薬の使用
標準的な商業的に入手しうるガーデンスプレーを用いて、約3パイントのAsset(登録商標)農薬を、上記の方法を用いて形成したメッシュサイズ約10〜約20のSAP生成物10ポンドに噴霧した。Asset(登録商標)農薬を施す間、SAP粒子は、生物活性成長促進添加剤が確実にSAP粒子を完全に被覆するように攪拌した。Asset(登録商標)農薬は少し緑色がかっており、従って、Asset(登録商標)農薬をSAP粒子に施すと、粒子は少し緑色になる。得られたデンプンを基材とするSAP粒子を肥料分析試験にかけて、各種生物活性成分の存在を分析した。結果は表IIに示す。
【0057】
【表2】

【0058】
試験B:8パイント/エーカーの濃度でのAsset(登録商標)農薬の使用
標準的な商業的に入手しうるガーデンスプレーを用いて、約8パイントのAsset(登録商標)農薬を、上記の方法を用いて形成したメッシュサイズ約10〜約20のSAP生成物10ポンドに噴霧した。Asset(登録商標)農薬を施す間、SAP粒子は、生物活性成長促進添加剤が確実にSAP粒子を完全に被覆するように攪拌した。Asset(登録商標)農薬は少し緑色がかっており、従って、Asset(登録商標)農薬をSAP粒子に施すと、粒子は少し緑色になる。得られたデンプンを基材とするSAP粒子を肥料分析試験にかけて、各種生物活性成分の存在を分析した。結果は表IIIに示す。
【0059】
【表3】

【0060】
実施例2:Asset(登録商標)農薬のSAP粒子へのスラリーとしての使用
メッシュサイズ約20〜約40のSAP粒子を実施例1に記載の方法により製造した。約25gのSAP粒子をAsset(登録商標)農薬の水性スラリー1Lと合わせた。得られた少し緑色がかったスラリーは、Asset(登録商標)農薬が確実にスラリー全体に均等に分布するように攪拌した。スラリーを肥料分析試験にかけて、各種生物活性成分の存在を分析した。結果は表IVに示す。
【0061】
【表4】

【0062】
実施例3:Miracle−Gro(登録商標)農薬のSAP粒子への噴霧使用
メッシュサイズ約10〜約20のSAP粒子を実施例1に記載の方法により製造した。約6〜約8パイントのMiracle−Gro(登録商標)農薬を、標準的な商業的に入手しうるガーデンスプレーを用いて、約1ポンドのSAP生成物へ噴霧した。得られたデンプンを基材とするSAP生成物の粒子は、Miracle−Gro(登録商標)農薬が確実に均等に分布するように攪拌した。噴霧の後、SAP生成物は少し緑色がかっていた。
【0063】
実施例4:Miracle−Gro(登録商標)農薬のSAP軟塊への混合
蒸留水(1,4000ml)を3リットル樹脂反応釜に入れ、攪拌機で一定の攪拌を行った。デンプン細粉またはあらびき粉(110g)を反応釜にゆっくり加え、得られた混合物を約5分間攪拌した。窒素ガスをゆっくりと流して混合物に加え、同時に、混合物を約95℃に達するまで加熱した。混合物をこの温度に維持し、約45分間攪拌して、デンプンを確実に糊化した。次に、加熱マントルを除き、樹脂反応釜を冷水浴に入れた。温度が25℃に達するまで、混合物を窒素下で連続攪拌した。アクリロニトリル(115g)および2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(23g)を加えた。得られた混合物を約10分間、窒素下で連続攪拌した。0.1M硝酸溶液(50ml)に溶解した硝酸セリウムアンモニウム(5.5g)を含む触媒溶液を混合物に加え、同時に、混合物を冷却した。樹脂反応釜を冷水浴に約60分間入れたままで、混合物を窒素下で連続攪拌した。60分の経過時点での混合物の温度は約40℃であった。水(200g)に溶解した水酸化カリウムフレーク(90g)を含む溶液を、攪拌および加熱しながら混合物に加えた。95℃の温度に達するまで、混合物を攪拌および加熱し、その後、混合物をさらに60分間攪拌した。次に、塩酸の10%溶液を用いて混合物をpH7.5に中和した。得られた軟塊を約40℃に冷却した。約12パイントのMiracle−Gro(登録商標)農薬液を約1ポンドの軟塊に加えた。得られた少し緑色がかった軟塊を約30分間攪拌して、確実にMiracle−Gro(登録商標)農薬とSAP軟塊を緊密に混合物した。得られた軟塊を押出して顆粒にした。1つの実施態様では、パスタ製造機を用いてロッド形の顆粒を押し出した。押し出した後、顆粒を乾燥した。ロッド形の顆粒は粘着性であったので、十分なクレー、デンプン、穀物細粉、セルロース、またはセライトをふりかけて粘着性をなくした。1つの実施態様では、ロッド形の顆粒を望ましい粒子サイズの粒子に粉砕した。必要に応じて、粒子を望ましいサイズのペレットにしてもよい。ペレット化の方法は本技術分野における当業者によく知られている。
【0064】
実施例5:リン酸アンモニウムのSAP軟塊への混合
蒸留水(1,4000ml)を3リットル樹脂反応釜に入れ、攪拌機で一定の攪拌を行った。デンプン細粉またはあらびき粉(115g)を反応釜にゆっくり加え、得られた混合物を約5分間攪拌した。窒素ガスをゆっくりと流して混合物に加え、同時に、混合物を約95℃に達するまで加熱した。混合物をこの温度に維持し、約45分間攪拌して、デンプンを確実に糊化した。次に、加熱マントルを除き、樹脂反応釜を冷水浴に入れた。温度が25℃に達するまで、混合物を窒素下で連続攪拌した。アクリロニトリル(115g)および2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸(23g)を加えた。得られた混合物を約10分間、窒素下で連続攪拌した。0.1M硝酸溶液(50ml)に溶解した硝酸セリウムアンモニウム(5.5g)を含む触媒溶液を混合物に加え、同時に、混合物を冷却した。樹脂反応釜を冷水浴に約60分間入れたままで、混合物を窒素下で連続攪拌した。60分の経過時点での混合物の温度は約40℃であった。水(200g)に溶解した水酸化カリウムフレーク(90g)を含む溶液を、攪拌および加熱しながら混合物に加えた。95℃の温度に達するまで、混合物を攪拌および加熱し、その後、混合物をさらに60分間攪拌した。次に、塩酸の10%溶液を用いて混合物をpH7.5に中和した。次に軟塊を約40℃に冷却した。約36.5gのリン酸アンモニウムを約1ポンドの軟塊に直接加えた。得られた軟塊を約30分間攪拌して、確実にリン酸アンモニウムとSAP軟塊を緊密に混合物した。得られた軟塊を押出して顆粒にした。1つの実施態様では、パスタ製造機を用いてロッド形の顆粒を押し出した。押し出した後、顆粒を乾燥した。ロッド形の顆粒は粘着性であったので、十分なクレー、デンプン、穀物粉、セルロース、またはセライトをふりかけて粘着性を取り除いた。1つの実施態様では、ロッド形の顆粒を望ましい粒子サイズの粒子に粉砕した。必要に応じて、粒子を望ましいサイズのペレットにしてもよい。ペレット化の方法は本技術分野における当業者によく知られている。
【0065】
一般に、高度に糊化されたデンプンは、部分的に糊化されたデンプンよりも水素結合度が高く、放出速度がよりゆるやかになるので、生物活性生長促進添加剤の取り込みの最適レベルは、デンプンが力学的エネルギーおよび熱エネルギーの組み合わせによって高度に糊化されるときに生じる。これに対して、より低い加工温度を用いると、顆粒のデンプンを基材とするSAP生成物の放出速度は増加する。
【0066】
生物活性生長促進添加剤を含む顆粒のデンプンを基材とするSAP生成物によってもたらされる1つの利点は、養分を苗木、根、種子、および植物へ運ぶのに非常にすぐれていることである。さらに、デンプン制御放出母材は、従来のデンプン母材に取り込まれていない肥料の使用と比較して、浸出、地下水汚染、毒性、臭い、揮発性、および分解問題が少ない。米国におけるデンプン(特にコーンスターチ)の十分な入手容易性、低コスト、および物理的性質によって、生物活性生長促進添加剤を含む、デンプンを基材とするSAP生成物の顆粒は、製造に比較的費用がかからない。
【0067】
生物活性生長促進添加剤を含む、デンプンを基材とするSAP生成物の別の利点は、生物活性生長促進添加剤の活性部分が生長環境に放出される期間を延長するように考案された制御放出技術を提供することである。制御放出の2つの目的は、(1)利用率を改善することおよび(2)生物活性生長促進添加剤の使用による環境へのマイナスの影響を減少させることである。
【0068】
生物活性生長促進添加剤を含む、デンプンを基材とするSAP生成物を形成させる方法の第2の好ましい実施態様の1つの利点は、ケン化工程がなくなることである。ケン化には様々な欠点がある。第1に、ケン化には高価な機械が必要であり、そして腐蝕性であり、除去にコストがかかり、および廃棄に経費がかかるアンモニアを生じる。第2に、ケン化中に加える水酸化カリウム(KOH)は、ケン化されたデンプングラフトコポリマー混合物を塩基性にし、そしてデンプングラフトコポリマー混合物のpHを中和するために、酸、例えば塩酸、硝酸、硫酸、またはリン酸を混合物に加えなければならない。加えなければならない酸の量がかなりな量であると、SAPの吸収性は低下する。第3に、ケン化廃棄溶液は、カリウムおよびアンモニウム塩並びに他の余分な塩を含むので、廃棄に経費がかかる。第4に、アクリロニトリルは使用上危険であり、廃棄に経費がかかる。
【0069】
1つの好ましい態様では、生物活性生長促進添加剤の活性部分はデンプン母材から、植物、根、または苗木の毛管作用によって引き出される。別の好ましい態様では、種子は、生物活性生長促進添加剤がデンプン母材からゆっくり拡散するにつれて、該添加剤の活性部分を利用する。拡散が生じる1つの道筋は次の通りである:生物活性生長促進添加剤を含むSAP生成物の粒子が水を吸い込み、膨潤し、それによってデンプン母材に取り込まれた生物活性生長促進添加剤の活性部分が粒子からゆっくり拡散することが可能になる。温度および微生物活性は、拡散速度を含む放出速度に影響を与えることができる。
【0070】
本発明の原則から逸脱することなく上記の態様の詳細に多くの変更を加えうることは、本技術分野における当業者にとって明らかなことであろう。従って、本発明の範囲は請求の範囲によってのみ決定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農業分野で用いられる生物活性生長促進添加剤を含む超吸収性ポリマー生成物を形成させる方法であって、
グラフト試薬とデンプンを化合させ、それによってグラフト試薬がデンプンにグラフト重合してデンプングラフトコポリマーを含む混合物を形成するようにすること、ここで、前記デンプングラフトコポリマーはデンプン母材を形成する;
前記デンプングラフトコポリマーを単離すること;
前記デンプングラフトコポリマーを含む粒子を形成させること、ここで、前記粒子は農業分野で用いられるために大きさを加減される;および
生物活性生長促進添加剤を加え、それによって少なくともいくらかの生長促進添加剤が前記デンプン母材によって取り込まれるようにすること
を含む、前記方法。
【請求項2】
生物活性生長促進添加剤の添加が、グラフト試薬およびデンプンを化合させてデンプングラフトコポリマーを形成させる間に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生物活性生長促進添加剤の添加が、デンプングラフトコポリマーを単離する間に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
生物活性生長促進添加剤の添加が、生物活性生長促進添加剤を粒子に施すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
架橋剤を混合物に加えて、架橋デンプングラフトコポリマーを形成させること;および
前記架橋デンプングラフトコポリマーを中和すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
架橋剤が、グリセリド、ジエポキシド、ジグリシジル、シクロヘキサジアミド、メチレンビス−アクリルアミド、ビス−ヒドロキシアルキルアミド、ビス−ヒドロキシプロピルアジパミド、ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、イソシアネート、ジ−イソシアネート、トリ−イソシアネート、エポキシ樹脂、自己架橋性ポリマー、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
混合物をケン化することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
グラフト試薬とデンプンを化合させことが、開始剤の存在下でモノマーをデンプンにグラフト重合させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
モノマーが、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリルアミド、2−アクリロニトリル−2−メチル−プロパンスルホン酸、メタクリルアミド、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、エチルアクリレート、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
デンプンおよびモノマーが約1:1〜約1:6のモル比で存在する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
開始剤がセリウム塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
デンプンが、純粋なデンプン、穀物細粉、穀物あらびき粉、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
デンプンが糊化デンプンである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
粒子を形成させることが、(1)混合物に十分な量のアルコールを加えてデンプングラフトコポリマーを沈殿させること、および(2)混合物を機械的に操作し、それによってデンプングラフトコポリマーが沈殿を形成するようにすること、のうちの1つによってデンプングラフトコポリマーを沈殿させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
粒子を形成させることが、混合物を乾燥させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
生物活性生長促進添加剤対デンプンの比率が約0.5オンス:1ポンド〜約1.5オンス:1ポンドである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
生物活性生長促進添加剤が、肥料、農薬、生物活性物質、植物生長ホルモン、植物生長調節剤、土壌に基づく養分、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
充填剤、吸収剤、担体、界面活性剤、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される物質を加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
生物活性生長促進添加剤を含む超吸収性ポリマー生成物を、(1)植物、苗木、根および種子の1つに近い生育用基材、又は、(2)植物、苗木、根および種子の1つ、に施すこと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
農業分野で用いられる生物活性生長促進添加剤を含む超吸収性ポリマー生成物を形成させる方法であって、
モノマーとデンプンを開始剤の存在下で化合させ、それによってモノマーがデンプンにグラフト重合してデンプングラフトコポリマーを含む混合物を形成するようにすること、ここで、前記デンプングラフトコポリマーはデンプン母材を形成する;
前記混合物をケン化すること;
前記デンプングラフトコポリマーを前記ケン化混合物から沈殿させて、農業分野で用いるために大きさを加減された超吸収性ポリマー生成物の粒子を形成させること;および
生物活性生長促進添加剤を加え、それによって少なくとも一部の生長促進添加剤が前記デンプン母材によって取り込まれるようにすること
を含む、上記の方法。
【請求項21】
生物活性生長促進添加剤の添加が、モノマーとデンプンを化合させる間に行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
生物活性生長促進添加剤の添加が、デンプングラフトコポリマーを沈殿させる間に行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
生物活性生長促進添加剤の添加が、生物活性生長促進添加剤を超吸収性ポリマー生成物の粒子に施すことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
モノマーが、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリルアミド、2−アクリロニトリル−2−メチル−プロパンスルホン酸、メタクリルアミド、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、エチルアクリレート、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
デンプンおよびモノマーが約1:1〜約1:6のモル比で存在する、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
開始剤がセリウム塩である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
デンプンが、純粋なデンプン、穀物細粉、穀物あらびき粉、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
デンプングラフトコポリマーを沈殿させることが、(1)十分な量のアルコールをケン化混合物に加えてデンプングラフトコポリマーを沈殿させること、および(2)ケン化混合物を機械的に操作し、それによってデンプングラフトコポリマーが沈殿を形成するようにすること、の中の少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
生物活性生長促進添加剤が、肥料、農薬、生物活性物質、植物生長調節剤、植物生長ホルモン、土壌に基づく養分、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
生物活性生長促進添加剤を含む超吸収性ポリマー生成物の粒子を、(1)植物、苗木、根および種子の1つに近い生育用基材,又は、(2)植物、苗木、根および種子の1つ、に施すことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
農業分野で用いられる生物活性生長促進添加剤を含む超吸収性ポリマー生成物を形成させる方法であって、
モノマーとデンプンを開始剤の存在下で化合させ、それによってモノマーがデンプンにグラフト重合してデンプングラフトコポリマーを含む混合物を形成するようにすること、ここで、前記デンプングラフトコポリマーはデンプン母材を形成する;
架橋剤を混合物に加えて架橋性デンプングラフトコポリマーを形成させること;
前記混合物を中和すること;
前記超吸収性ポリマー生成物の粒子を形成させること、ここで、前記粒子は農業分野で用いるために大きさを加減される;および
生物活性生長促進添加剤を加え、それによって少なくとも一部の生物活性生長促進添加剤が前記デンプン母材によって取り込まれるようにすること
を含む、前記方法。
【請求項32】
生物活性生長促進添加剤の添加が、モノマーとデンプンを化合させる間に行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
生物活性生長促進添加剤の添加が、超吸収性ポリマー生成物の粒子を形成させる間に行われる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
生物活性生長促進添加剤の添加が、生物活性生長促進添加剤を超吸収性ポリマー生成物の粒子に施すことを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
モノマーが、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリルアミド、2−アクリロニトリル−2−メチル−プロパンスルホン酸、メタクリルアミド、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、エチルアクリレート、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
デンプンおよびモノマーが約1:1〜約1:6のモル比で存在する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
開始剤がセリウム塩である、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
デンプンが、純粋なデンプン、穀物細粉、穀物あらびき粉、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
超吸収性ポリマー生成物の粒子を形成させることが、(1)十分な量のアルコールを混合物に加えて超吸収性ポリマー生成物を沈殿させること、および(2)混合物を機械的に操作し、それによって超吸収性ポリマー生成物が沈殿を形成するようにすること、の中の少なくとも1つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
生物活性生長促進添加剤が、肥料、農薬、生物活性物質、植物生長ホルモン、植物生長調節剤、土壌に基づく養分、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
生物活性生長促進添加剤を含む超吸収性ポリマー生成物の粒子を、(1)植物、苗木、根および種子の1つに近い生育用基材、又は、(2)植物、苗木、根および種子の1つ、に施すことをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
超吸収性ポリマー生成物であって、
前記超吸収性ポリマーの農業での使用が、前記超吸収性ポリマー生成物の近くに配置された植物、根、苗木または種子の生長を促進することを特徴とし、且つ
デンプングラフトコポリマー母材;および
生物活性生長促進添加剤、ここで、前記生物活性生長促進添加剤は前記デンプングラフトコポリマー母材によって取り込まれる
を含む、前記超吸収性ポリマー生成物。
【請求項43】
デンプングラフトコポリマー母材が、純粋なデンプン、穀物細粉、穀物あらびき粉、糊化デンプンおよびそれらの混合物より本質的になる群から選択されるデンプンを含む、請求項42に記載の超吸収性ポリマー生成物。
【請求項44】
超吸収性ポリマー生成物の粒子サイズが約200メッシュ以下である、請求項42に記載の超吸収性ポリマー生成物。
【請求項45】
超吸収性ポリマー生成物の粒子サイズが約5〜約50メッシュである、請求項42に記載の超吸収性ポリマー生成物。
【請求項46】
超吸収性ポリマー生成物の粒子サイズが約8〜約25メッシュである、請求項42に記載の超吸収性ポリマー生成物。
【請求項47】
生物活性生長促進添加剤が、肥料、農薬、生物活性物質、植物生長ホルモン、植物生長調節剤、土壌に基づく養分、それらの誘導体、およびそれらの混合物より本質的になる群から選択される、請求項42に記載の超吸収性ポリマー生成物。

【公表番号】特表2007−526198(P2007−526198A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545409(P2006−545409)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/042192
【国際公開番号】WO2005/059023
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(506043114)アブソーベント・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】