説明

生物育成水槽

【課題】観賞用水槽の内部に配管、良好な液質を所定品質に維持するための器具を配置することなく空間を広く活用し広範囲な方向から観賞できるようにする。
【解決手段】水槽に溜められた液体の内部で育成される生物を観賞するために透明部材で形成される観賞用水槽101aと、液体の液質を所定品質に維持するための器具用水槽102aと、観賞用水槽101aの底部と器具用水槽102aの底部とを接続する連通管として機能する排水管104aと、観賞用水槽101aの底部と器具用水槽102aの底部とを接続する給水管105aと、を備える。前記器具用水槽の内部に配されるポンプは、観賞用水槽101aと器具用水槽102aとの間で、排水路104aおよび給水路105を介して液体を循環させ、観賞用水槽101aの液面の位置と器具用水槽102aの液面の位置とが等しくなるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物育成水槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水中において、魚類をはじめとする動物、または、水草をはじめとする植物を育成するとともに、それらを観賞するための生物育成水槽が広く用いられている。このような生物育成水槽としては、単に水を蓄えてその中で生物を育成するだけでなく、さらに特別の機能を有するようにしたものが提案されている。例えば、観賞魚が連通管を通る際の景観のバリエーションが楽しめるようにした水槽が知られている(特許文献1)。また、観賞用の水槽型魚類養殖池の上部に二階建て式に観賞植物を植えた植物水耕栽培池(槽)を設置した魚類養殖・水耕栽培装置の技術が知られている(特許文献2)。また、水槽と濾過装置を有し、魚を生かしたまま消費地まで搬送できる可搬式生魚等保存装置の技術が知られている(特許文献3)。また、産業上の分野を問わず、周知技術として、連通管を用いたパスカルの原理が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の発明では、魚が連通管を通る際の景観のバリエーションを楽しむ目的のために連通管が用いられることが記載されており、連通管そのものを見せることを目的としている。また、特許文献2に記載の発明では、水槽を2つに分けて、用途の多様化を図っているが、水槽内に観賞者の視認を妨げる水槽を結ぶ配管が存在する。また、特許文献3に記載の発明では、濾過装置によって限られた水量を有効に活用し、魚を鮮度よく運搬する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−183006号公報
【特許文献2】実用新案登録第3158233号公報
【特許文献3】特開平11−127726号公報
【特許文献4】特開2006−271254号公報
【特許文献5】特開2003−159587号公報
【特許文献6】特開平07−322788号公報
【特許文献7】実用新案登録第3108541号公報
【特許文献8】実用新案登録第3022824号公報
【特許文献9】実開平05−060263号公報
【特許文献10】特開2002−095381号公報
【特許文献11】特開2009−189361号公報
【特許文献12】特開平05−176652号公報
【特許文献13】実開平10−000282号公報
【特許文献14】実用新案登録第3111953号公報
【特許文献15】実公昭48−36953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明が解決しようとする課題は、生物を育成するための水槽の内部に配管、濾過装置、冷却・加熱器、または、液体の状態を所望の状態に維持するための他の器具を配置することなく空間を広く活用し、広範囲な方向から観賞できるようにするとともに、生物を育成する水槽内の液体の質を良好なものとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水槽は、水槽に溜められた液体の内部で育成される生物を観賞するために透明部材で形成される観賞用水槽と、前記液体の液質を所定品質に維持するための器具用水槽と、前記観賞用水槽と前記器具用水槽とを接続する連通管として機能する排水管と、前記観賞用水槽と前記器具用水槽とを接続する給水管と、前記観賞用水槽と前記器具用水槽との間で前記液体を循環させるための前記器具用水槽の内部に配されるポンプと、を備え、前記観賞用水槽の底部と前記器具用水槽の底部とには、板材の一面が接して配され、前記板材は、前記観賞用水槽の内部に接続される前記排水管の一方の開口部となる第1穴部と、前記観賞用水槽の内部に接続される前記給水管の一方の開口部となる第2穴部と、前記器具用水槽の底部に接続される前記排水管の他方の開口部となる第3穴部と、前記ポンプに接続される前記給水管の他方の開口部となる第4穴部と、前記第1穴部と前記第3穴部と連結する前記板材の内部に設けられる溝形状の第5穴部と、前記第2穴部と前記第4穴部と連結する前記板材の内部に設けられる溝形状の第6穴部と、を有し、前記観賞用水槽の液面の位置と前記器具用水槽の液面の位置とが等しくなるように、前記第5穴部および前記第6穴部を介して前記観賞用水槽と前記器具用水槽との間で液体を移動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の生物育成水槽によれば、観賞用水槽と器具用水槽とを分離して、観賞用水槽と器具用水槽との間に連通管を介在させて、観賞用水槽の液面の位置を管理して、観賞用水槽を広範囲な方向から観賞できるとともに、生物を育成する水槽内の液体の液質を良好なものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。
【図2】他の濾過の方式を示す図である。
【図3】第2実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。
【図4】第3実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。
【図5】第4実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。
【図6】第5実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。
【図7】第6実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。
【図8】第7実施形態の生物育成水槽を示す図である。
【図9】第8実施形態の生物育成水槽を示す図である。
【図10】補助水槽の変形の実施形態を示す図である。
【図11】連通管の取り付け位置の変形の実施形態を示す図である。
【図12】密閉槽を備える場合における、冷却・加熱器の配置の変形の実施形態を示す図である。
【図13】外置のポンプを用いる実施形態を示す図である。
【図14】外置のポンプを用いる別の実施形態を示す図である。
【図15】外置のポンプを用いるまた別の実施形態を示す図である。
【図16】外置のポンプを用いるさらに別の実施形態を示す図である。
【図17】実施形態の底面給排水ストレーナーを表面側と裏面側とから見た図である。
【図18】直方体の観賞用水槽に四角形の底面給排水ストレーナーを配置した場合における、観賞用水槽を上方から見た模式図である。
【図19】第1実施形態の生物育成水槽の一つの実施例を示す図である。
【図20】実施例における生物育成水槽の底部の内部の構造を分解図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための生物育成水槽は、観賞用水槽と、器具用水槽と、連通管と、ポンプと、を備える。
【0010】
第1実施形態ないし第3実施形態の生物育成水槽では、水槽に溜められた液体の内部で育成される生物を観賞するための観賞用水槽と、液体の液質を所定品質に維持するための器具用水槽と、観賞用水槽と器具用水槽とを接続する連通管と、観賞用水槽と器具用水槽との間で液体を循環させるためのポンプと、を備える。ここで、液体の液質を所定品質に維持するとは、例えば、濾過装置によって液体の内部に含まれる、塵等の不純物の含有量(濃度)を所定の量以下とすることが含まれる。また、例えば、冷却・加熱器によって液体の温度を所望の温度に保つことが含まれる。また、例えば、空気供給器によって空気を液体中に溶かして液体中の酸素量を所望の量とすることが含まれる。また、二酸化炭素供給器によって二酸化炭素を液体中に溶かして二酸化炭素量を所望の量とすることが含まれる。また、栄養(ミネラル)供給器によって栄養(ミネラル)を液体中に溶かして栄養(ミネラル)量を所望の量とすることが含まれる。その他、種々の器具を用いて液体の品質(液質)を所定品質に維持することを含むものである。
【0011】
第1実施形態ないし第3実施形態の生物育成水槽では、観賞用水槽と器具用水槽とを連通管で接続しているので、観賞用水槽の液面と器具用水槽の液面との位置を等しくすることができる。第1実施形態では、ポンプは、観賞用水槽の底部から伸びる給水管と接続され、器具用水槽の液体を観賞用水槽に移動させ、または、観賞用水槽の液体を器具用水槽に移動させる。第2実施形態では、ポンプは、観賞用水槽の上部から伸びる給水管と接続され、器具用水槽の液体を観賞用水槽に移動させる。第3実施形態では、ポンプと給水管との間に、液体を貯蔵することができる密閉槽を配して、生物育成水槽を循環する液体の容量を増やしている。
【0012】
第4実施形態ないし第6実施形態の生物育成水槽では、水槽に溜められた液体の内部で育成される生物を観賞するために透明部材で形成される観賞用水槽と、観賞用水槽の下部に配置され、前記液体の液質を所定品質に維持するための器具用水槽と、観賞用水槽と器具用水槽との間に配され、内壁で隔離された補助水槽第1隔離部と補助水槽第2隔離部とを有して形成される補助水槽と、観賞用水槽と補助水槽第1隔離部とを接続する連通管と、補助水槽第2隔離部と器具用水槽とを接続する排水管と、観賞用水槽と器具用水槽との間で液体を循環させるために器具用水槽の内部に配置されるポンプと、を備える。このようにして、器具用水槽を観賞用水槽の下部に配置することができる。
【0013】
第4実施形態の生物育成水槽では、観賞用水槽とポンプとの間に、第2内壁で隔離された第2補助水槽第1隔離部と第2補助水槽第2隔離部とを有して形成される第2補助水槽を備え、ポンプは第2補助水槽第2隔離部に接続され、第2補助水槽第1隔離部は観賞用水槽と接続され、第2内壁の高さが、第1内壁の高さよりも高くされている。第5実施形態の生物育成水槽では、ポンプは、観賞用水槽の上部から伸びる給水管と接続され、器具用水槽の液体を観賞用水槽に移動させる。
【0014】
第6実施形態の生物育成水槽では、水槽に溜められた液体の内部で育成される生物を観賞するために透明部材で形成される第1観賞用水槽と、第1観賞用水槽の下部に配置され、水槽に溜められた液体の内部で育成される生物を観賞するために透明部材で形成される第2観賞用水槽と、第2観賞用水槽の下部に配置され、前記液体の液質を所定品質に維持するための器具用水槽と、器具用水槽の内部に配されたポンプと、第1観賞用水槽と第2観賞用水槽との間に配され、第1内壁で隔離された第1補助水槽第1隔離部と第1補助水槽第2隔離部とを有して形成される第1補助水槽と、第1観賞用水槽と第1補助水槽第1隔離部とを接続する第1連通管と、第1観賞用水槽とポンプとの間に配され、第2内壁で隔離された第2補助水槽第1隔離部と第2補助水槽第2隔離部とを有して形成される第2補助水槽と、第1観賞用水槽と第2観賞用水槽とを接続する給排水管と、第2観賞用水槽と器具用水槽との間に配され、第3内壁で隔離された第3補助水槽第1隔離部と第3補助水槽第2隔離部とを有して形成される第3補助水槽と、第2観賞用水槽と第3補助水槽第1隔離部とを接続する第2連通管と、第3補助水槽第2隔離部から器具用水槽に液体を排出する排水管と、を備える。
【0015】
上述した、第1実施形態ないし第6実施形態の生物育成水槽では、器具用水槽の内部にどのような器具を配するかは、自由に定め得るものである。例えば、生物育成水槽において、育成される生物の種類によっては、塵等の不純物の含有量(濃度)を所定の量以下とするための濾過装置を設けることが不要とされる場合もある。このような種類の生物を育成する場合には、器具用水槽の内部に濾過装置を設ける必要はない。また、濾過装置が必要とされる場合においても、必ずしも、器具用水槽の内部に濾過装置を設ける必要はない。また、器具用水槽の内部に、液体の温度を所望の温度に保つための冷却器・加熱器(冷却器または/および加熱器)を備えることもできるが、備えるか否かは任意に選択できる。また、濾過装置とポンプとを一体構成とすることもできる。その他の実施形態においても、器具用水槽の内部に配置する器具は同様な基準で適宜選択することができる。
【0016】
第7実施形態の生物育成水槽では、水槽に溜められた液体の内部で育成される生物を観賞するために透明部材で形成される観賞用水槽と、観賞用水槽の下部に配置され、液体に含まれる汚染物質を除去するための器具用水槽と、器具用水槽の中に配される第1ポンプと第2ポンプと、第1ポンプと第2ポンプとを制御するポンプ制御部と、観賞用水槽と第1ポンプとの間に配され、第1内壁で隔離された第1補助水槽第1隔離部と第1補助水槽第2隔離部とを有して形成される第1補助水槽と、観賞用水槽と第2ポンプとの間に配され、第2内壁で隔離された第2補助水槽第1隔離部と第2補助水槽第2隔離部とを有して形成される第2補助水槽と、観賞用水槽と第1補助水槽第1隔離部とを接続する第1配管と、観賞用水槽と第2補助水槽第1隔離部とを接続する第2配管と、第2補助水槽第2隔離部と第1ポンプとを接続する第3配管と、第1補助水槽第2隔離部と第2ポンプとを接続する第4配管と、を備え、第1内壁と第2内壁とは等しい高さとされ、ポンプ制御部が、第1ポンプを動作させるときには第1配管が連通管として機能し、第1ポンプを動作させるときには第2配管が連通管として機能して、観賞用水槽の内部における液体の流れの方向を変化させる。また、第8実施形態の生物育成水槽では、第1ポンプないし第3ポンプの3つのポンプを備えて、2つのポンプを備える場合よりもさらに、複雑な液体の流れを発生させる。
【0017】
以下に図面を参照して第1実施形態ないし第8実施形態、これらの変形の実施形態について順に説明をする。
【0018】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。図1に示す生物育成水槽1は、観賞用水槽11と器具用水槽12とポンプ13と排水管14と給水管15とを有している。観賞用水槽11の中では、生物が育成されている。育成される生物の例としては、淡水魚、熱帯魚、珊瑚等の動物、淡水中で生息する水草、海水中で生息する海草等の植物が挙げられる。
【0019】
観賞用水槽11は、全面が透明部材(光透過性の部材)で形成され、若しくは、底面、または、器具用水槽12側の面を除く他の面が透明部材で形成されている。透明部材の例としては、ガラス、プラステック等が挙げられる。このようにして観賞用水槽11の内部を視認し、観賞用水槽11に溜められた、水、塩水、または、海水(総称して液体と称する)の内部で育成される生物を観賞することができるようになされている。
【0020】
観賞用水槽11の底面には排水管14の一方の端部と給水管15の一方の端部が接続されている。そして、観賞用水槽11の内部に蓄えられた液体が排水管14に流出し、給水管15からの液体が観賞用水槽11に流入することができるようになされている。ここで、観賞用水槽11の側の、排水管14の端部と給水管15の端部とに、生物が通過できず、液体と液体に含まれる汚染物質とが通過できる程度の粗さの網を配することによって、観賞用水槽11の内部に生物を封じ込めることができる。
【0021】
器具用水槽12は、液体に含まれる汚染物質を除去して、液体の汚染を排除するために設けられている。器具用水槽12は、透明部材、または、内部を視認できないようにするための不透明部材(光不透過性の部材)で形成されている。さらに、器具用水槽12は、透明部材と不透明部材との中間にある適度に光を透過させる半不透明材で全体が形成されていてもよく、透明部材と不透明部材とを接合して、一部が視認できるように形成しても良い。器具用水槽12の底面には排水管14の他方の端部と給水管15の他方の端部が接続されている。そして、器具用水槽12の内部の液体が給水管15に流出し、排水管14からの液体が器具用水槽12に流入することができるようになされている。
【0022】
器具用水槽12の内部にはポンプ13が配されている。ポンプ13には濾過のためのフィルタが設けられている。ポンプ13は、観賞用水槽11の内部の液体と器具用水槽12の内部の液体とを循環させ、このフィルタによって汚染物質を取り除く。これによってフィルタを透過し、水質(液質)が良好なものとされた液体を器具用水槽12から給水管15に送り出す。給水管15を通過した液体は、観賞用水槽11に流入する。一方、パスカルの原理に基づき、観賞用水槽11の液面の位置と器具用水槽12の液面の位置とを等しくするように、観賞用水槽11から器具用水槽12に対して、排水管14を介して液体が移動する。つまり、観賞用水槽11の液面と器具用水槽12の液面とには大気圧が加わるようにされているので、排水管14は、2つの容器の底部を管で連結する連通管として機能することになる。図1に示す矢印は、液体の移動方向を示すものである。
【0023】
このような生物育成水槽1では、観賞用水槽11において育成されている生物は、器具用水槽12に移動することはなく、液体のみが自由に観賞用水槽11と器具用水槽12の間を移動する。このために、観賞用水槽11の液体の量と器具用水槽12の液体の量とを合わせた量の液体が生物の育成に用いられ、生物が出す老廃物によって液体が汚染される割合が、器具用水槽12を備えず観賞用水槽11のみを備える場合に比べて少なくでき、液体の水質を良好なものとできる。例えば、観賞用水槽11の液体の量が少ないものであっても、器具用水槽12の液体の量が十分であれば、生物育成に支障を及ぼさない水質を確保できる。
【0024】
また、観賞用水槽11の底部に排水管14と給水管15とは接続されているので、観賞に際して目障となるこれらの配管に妨げられることなく観賞用水槽11の内部は、側面3方向から視認することが可能となる。なお、観賞用水槽11の器具用水槽12の側の面を不透明部材で形成するか、器具用水槽12を不透明部材で形成するか、観賞用水槽11と器具用水槽12との間に不透明な板、例えば、観賞用水槽11を通して視認可能とされたディスプレイを配置するか、のいずれかの手法によって、器具用水槽12の内部を視認できないようにすることができる。また、連通管の作用によって、観賞用水槽11と器具用水槽12との間は大きく離間させることができるので、このようにすれば、観賞用水槽の内部を側面4方向から視認することが可能となる。
【0025】
この結果、視認に際する障害物が存在しない。観賞用水槽11の内部におけるレイアウトの幅が広がる。例えば、観賞用水槽11の内部に、種々の装飾物を配置することができる。また、様々の植物を自由に配置して色々な角度から観賞することができる。また、様々な動物の動きを色々な角度から観賞することができる。このようにして、観賞用水槽11の内部の見えない箇所(死角)をなくすことができるので、生物の状態に異変が生じた場合にも迅速に察知できる。また、観賞用水槽11の内部に置いた装飾用の小物に損傷が生じた場合にも直ちに発見して、取り替えることができる。
【0026】
また、観賞用水槽11の内部にはポンプ等の器具が配置されていないので、内部の掃除も容易である。同様に、器具用水槽12の内部には生物が育成されていないので、器具用水槽12の内部の掃除の際に、これらの生物に損傷を加える危険性を除去できる。
【0027】
図1には、図示しないが、器具用水槽12の内部には、ポンプ13のみならず、液体の温度を一定に保つための加熱器、または、冷却器を配することもできる。このように、ホンプ13、加熱器、冷却器を生物と隔離して配置することができるので、これらの機器のメンテナンスが容易となるとともに、生物が、ホンプ13に吸い込まれ、加熱器、冷却器に接触する等して損傷を受ける危険性を回避できる。
【0028】
ここで、加熱器は、例えば、熱帯魚のような暖かい海水で育つ生物を育成するために多用され、冷却器は、例えば、クリオネのような冷たい海水で育つ生物を育成するために多用される。いずれも、日本の風土にはなじまない生物であるが、加熱器、冷却器を用いることによって、このような生物の育成が可能とされる。器具用水槽12の内部に加熱器、冷却器は配置されるので、加熱器、冷却器の必要とされる大きさに応じて器具用水槽12の容量は自由に決定できる。
【0029】
また、図1には、図示しないが、器具用水槽12の内部には、動物を育成するための空気供給器、植物を育成するための二酸化炭素供給器を配することができる。さらには、無脊椎動物や植物のための栄養(ミネラル)供給器を配することができる。器具用水槽12の内部で発生された空気、二酸化炭素または栄養は、給水管15を介して観賞用水槽11に供給される。そして、動物は、空気中の酸素を十分に得て成長することができる。また、植物は二酸化炭素を得て光合成によって酸素を発生しながら成長することができる。動物と植物とが観賞用水槽11の中で共生する場合には、植物に二酸化炭素を供給して光合成によって発生した酸素を動物が利用するようにすることもできる。
【0030】
図1に示す矢印は、ポンプ13から液体が給水管15に供給され、排水管14によって観賞用水槽11から器具用水槽12に液体が排出される場合を示している。しかしながら、汚染除去の作用はポンプ13を動作させて液体を循環させてフィルタによって汚染物質を除去すれば発揮されるものであるので、液体の流入、流出の方向を逆にしても同様の効果を生じる。つまり、図1に示す矢印が逆方向であっても同様の効果を生じるものである。
【0031】
液体の流れが逆方向とする場合には液体は以下のように循環する。ポンプ13によって、給水管15を介して観賞用水槽11から器具用水槽12に液体が排出される。そして、連通管として機能する排水管14によって器具用水槽12から観賞用水槽11に液体が排出される。
【0032】
フィルタを有するポンプ13が配置された器具用水槽12と観賞用水槽11とを分離して配置する第1実施形態における液体の濾過の方式と、考え得る他の濾過の方式とを比べて、以下に比較して説明をする。
【0033】
図2は、他の濾過の方式を示す図である。図2(a)は上部濾過式であり、図2(b)は底面濾過式であり、図2(c)は外部濾過式であり、図2(d)はオーバーフロー式である。
【0034】
図2(a)に示す上部濾過式では、観賞用水槽111の上面に濾過装置が配置される。第1実施形態の観賞用水槽11と観賞用水槽111とを比較すると、観賞用水槽11では、その上部が完全に開放状態となっている。一方、観賞用水槽111では、その上部に濾過装置が配置されている。従って、観賞用水槽11の方が、観賞用水槽111よりも、上方からの視認が容易である。また、観賞用水槽11では、上方からの採光が容易であるが、観賞用水槽111では、上方からの採光に難がある。
【0035】
図2(b)に示す底面濾過式では、観賞用水槽112の内部に濾過装置が配置される。第1実施形態の観賞用水槽11と観賞用水槽112とを比較すると、観賞用水槽11では、その内部に濾過装置はない。一方、観賞用水槽112では、その内部に濾過装置が配置されている。従って、観賞用水槽11の容量と観賞用水槽111の容量とを同一とすれば、観賞用水槽11の方が、観賞用水槽111よりも、より広い空間を生物育成のための空間として使用できる。また、生物が同居する観賞用水槽111の濾過装置のメンテナンスには困難が伴うが、観賞用水槽11ではメンテナンスが容易である。
【0036】
図2(c)に示す外部濾過式では、観賞用水槽113の外部に濾過装置が配置される。第1実施形態の観賞用水槽11と観賞用水槽113とを比較すると、観賞用水槽11では、その内部に配管はない。一方、観賞用水槽113では、その内部に濾過装置に連結された配管が配置され、その上部にシャワーパイプが配置されている。従って、観賞用水槽11の方が、異物が目に付かずすっきりとした感じを観賞者に与える。
【0037】
図2(d)に示すオーバーフロー式では、観賞用水槽114の下部に濾過装置が配置される。第1実施形態の観賞用水槽11と観賞用水槽114とを比較すると、観賞用水槽11では、その内部に濾過装置および配管はない。一方、観賞用水槽114では、その内部に濾過装置に連結された配管が配置されている。従って、観賞用水槽11の方が、異物が目に付かずすっきりとした感じを観賞者に与える。
【0038】
要は、第1実施形態の生物育成水槽1では、器具用水槽12の内部には、観賞を目的とするもの以外を配置して、観賞用水槽11には、生物、装飾のための小物等の観賞に供するものだけを配置する。そして、観賞用水槽11の底部と器具用水槽12の底部とを排水管14で接続する。排水管14は連通管として機能して、観賞用水槽11の液面の位置と器具用水槽12の液面の位置とを等しくする。また、観賞用水槽11の底部と器具用水槽12の底部とを給水管15で接続して、観賞用水槽11と器具用水槽12との間で液体を循環させる。このようにして、観賞用水槽11の全体の形状を小さくしても良好な水質を長期的に維持でき、生物を多く入れ、大型の生物を育成することができるようになる。
【0039】
ここで、液体を循環させるためにポンプ13を用いる。ポンプ13は、液体の入口と液体の出口があり、出口と入口のどちらを給水管15に接続するかによって以下の2つのケースを取りうる。ポンプ13が器具用水槽12から観賞用水槽11に給水管15を介して液体を給水するようにし、その結果として排水管14が観賞用水槽11から器具用水槽12に液体を排水するようにして液体を循環させるのが第1のケースである。ポンプ13が観賞用水槽11から器具用水槽12に給水管15を介して液体を給水するようにし、その結果として排水管14が器具用水槽12から観賞用水槽11に液体を排水するようにして液体を循環させるのが第2のケースである。なお、第1のケースと第2のケースでは、観賞用水槽内の水流の向きが異なるものとなる。
【0040】
(第2実施形態)
図3は第2実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。図1に示す各部と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心として説明をする。図3に示す生物育成水槽2は、観賞用水槽21と器具用水槽22とポンプ13と排水管14と給水管25を有している。排水管14は第1実施形態に示すと同様に連通管として機能する。給水管25は第1実施形態の給水管15に替えて用いられるものであり、観賞用水槽21の上部から給水をするために用いられる。給水管25は、第1実施形態の給水管15に比べて水漏れに対する対策が容易であり、生物育成水槽の作成がより容易となる。
【0041】
要は、第2実施形態の生物育成水槽2では、第1実施形態の器具用水槽12と同様に、器具用水槽22の内部には、観賞を目的とするもの以外を配置して、観賞用水槽21には、第1実施形態の観賞用水槽11と同様に、生物、装飾のための小物等の観賞に供するものだけを配置する。そして、観賞用水槽21の底部と器具用水槽22の底部とを連通管として機能する排水管14で接続する。第2実施形態が第1実施形態と異なる特徴点は、給水管25を用いて観賞用水槽11の上部から給水して、観賞用水槽21と器具用水槽22との間で液体を循環させる点にある。このようにして、観賞用水槽21の全体の形状を小さくしても良好な水質を長期的に維持でき、生物を多く入れ、大型の生物を育成することができるようになる。
【0042】
(第3実施形態)
図4は第3実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。図1、図2に示す各部と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態、第2実施形態と異なる部分を中心として説明をする。図4に示す生物育成水槽3は、観賞用水槽11と器具用水槽32とポンプ13と排水管14と給水管35と給水管36とを有している。排水管14は、第1実施形態、第2実施形態に示すと同様に連通管として機能する。給水管35、密閉槽37および給水管36は、第1実施形態の給水管15、第2実施形態の給水管25に替えて用いられるものであり、観賞用水槽11の底部から給水をするために用いられる。
【0043】
生物育成水槽3は、観賞用水槽11と器具用水槽32とポンプ13とに加えて、給水管35と給水管36の間に配された密閉槽37を有して形成されている。器具用水槽32の機能は、第1実施形態の器具用水槽12、第2実施形態の器具用水槽22と同様である。密閉槽37は密閉した空間とされ、ポンプ13から給水管36を介して供給される液体を貯蔵して、給水管35に供給するためのものである。密閉槽37の容量に相当する分量だけ、生物育成水槽3を循環する液体の量を増加させている。このように循環する液体の量を増やすことによって、循環する液体の汚染の度合いを軽減することができる。また、密閉槽37をこのように密閉構造とすることによって密閉槽37をどのような位置に配置しても、液体が生物育成水槽3の中を循環するようにすることができる。なお、密閉槽37は使用時においては密閉した空間とされるが、密閉槽37の内部の掃除を容易にし、あるいは、密閉槽37の内部に濾材を入れたりできるように、メンテナンス時には、開封可能な構造を採用するようにしても良い。
【0044】
図4に示す生物育成水槽3では、給水管35は、器具用水槽32の内部を通過し、器具用水槽32の底部を貫通する構造とされている。このような構造を採用した理由は、給水管35が通過するための余分な空間を削減するためである。器具用水槽32を避けるようにして給水管35を配管することも当然に可能である。
【0045】
また、図4では矢印の向きに液体は流れるとして説明をしたが、密閉槽37は給水管35と同様の機能を有し、給水管35の途中に液体を多量に蓄えることができる部分を配したものである。したがって、ポンプ13が観賞用水槽11から液体を吸い出すように作用する場合には、図4に示す矢印の逆方向に液体は流れ、液体が流れる方向が逆向きになる以外は、生じる効果は同一である。
【0046】
要は、第3実施形態の生物育成水槽3では、第1実施形態の器具用水槽12、第2実施形態の器具用水槽22と同様に、器具用水槽32の内部には、観賞を目的とするもの以外を配置して、観賞用水槽11には、第1実施形態の観賞用水槽11、第2実施形態の観賞用水槽21と同様に、生物、装飾のための小物等の観賞に供するものだけを配置する。そして、観賞用水槽11の底部と器具用水槽32の底部とを連通管として機能する排水管14で接続する。第2実施形態が第1実施形態、第2実施形態と異なる特徴点は、密閉槽37を用いて生物育成水槽3を循環する液体の量を増加させている点である。このようにして、観賞用水槽11の全体の形状を小さくしても良好な水質を長期的に維持でき、生物を多く入れ、大型の生物を育成することができるようになる。
【0047】
(第4実施形態)
図5は第4実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。図1、図2、図3に示す各部と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態ないし第3実施形態と異なる部分を中心として説明をする。図5に示す生物育成水槽4は、観賞用水槽11と器具用水槽42とポンプ13と補助水槽(第2補助水槽)48と補助水槽(第1補助水槽)49と排水管(第1排水管)44と排水管(第2排水管)46と給水管(第1給水管)45と給水管(第2給水管)47とを有している。観賞用水槽11は器具用水槽42の上方に配置されている。図5はポンプ13の動作を停止した状態を示す図である。
【0048】
補助水槽(第2補助水槽)48は円筒状の外周部と底部を有して上方が開放された外壁(第2外壁)48aと長方形の内壁(第2内壁)48bとを有している。外壁48aの内部に内壁48bは設けられている。外壁48aと内壁48bとは、外壁48aの底部と外壁48aの内側において相互に接着され、内壁48bによって隔離された2つの部分である、補助水槽隔離部(第2補助水槽第1隔離部)48cと補助水槽隔離部(第2補助水槽第2隔離部)48dとが形成されている。
【0049】
補助水槽(第1補助水槽)49は円筒状の外周部と底部を有して上方が開放された外壁(第1外壁)49aと長方形の内壁(第1内壁)49bとを有している。外壁49aの内部に内壁49bは設けられている。外壁49aと内壁49bとは、外壁49aの底部と外壁49aの内側において相互に接着され、内壁49bによって隔離された2つの部分である、補助水槽隔離部(第1補助水槽第1隔離部)49cと補助水槽隔離部(第1補助水槽第2隔離部)49dとが形成されている。
【0050】
排水管44は観賞用水槽11と補助水槽隔離部(第1補助水槽第1隔離部)49cとを接続する連通管(第1連通管)として機能し、給水管45は観賞用水槽11と補助水槽隔離部(第1補助水槽第1隔離部)49cとを接続する連通管(第2連通管)として機能する。排水管44と給水管45とが連通管として機能するために、観賞用水槽11の液面の位置と補助水槽隔離部(第2補助水槽第1隔離部)48cの液面の位置と補助水槽隔離部(第1補助水槽第1隔離部)49cの液面の位置と、は、内壁49bの高さ(以下、高さは、重力方向を基準とする高さを言うものである)と等しくなる。
【0051】
内壁(第1内壁)49bの高さに比べて、観賞用水槽11の外壁11aの高さはH1だけ高くされ(図5を参照)、内壁(第2内壁)48bの高さはH2だけ高くされている(図5を参照)。また、補助水槽隔離部(第2補助水槽第2隔離部)48dの液体と補助水槽隔離部(第1補助水槽第2隔離部)49dの液体は、器具用水槽42に流れ込み、空となっている。なお、図5においては、H2>H1となるように図示されているが、H1>H2であっても良い。要は、内壁49bの高さに対して、外壁11aと内壁48bの高さの各々がより高ければ良いものである。
【0052】
ここで、内壁49bの高さに比べて、内壁48bの高さがH2だけ高くされているのは、内壁49bの高さによって液面の位置を決めるようにするためである。つまり、ポンプ13が停止した状態においては、上述したように、観賞用水槽11の液面の位置と補助水槽隔離部48cの液面の位置と補助水槽隔離部49cの液面の位置とが、相互に等しい高さになるために、補助水槽隔離部(第2補助水槽第1隔離部)48cから内壁48bを越えて、液体が器具用水槽42に流こむ事態は生じることがない。
【0053】
仮に、内壁48bの高さが、内壁49bの高さに比べて低いか、または、内壁48bが存在しないとしても、ホンプ13が動作している場合には、液体の循環機能に何ら問題が生じない。しかしながら、ホンプ13が停止した場合には、内壁48bの高さが、内壁49bの高さに比べて低いか、または、内壁48bが存在しない場合には、観賞用水槽11の液体の一部、または、全部が補助水位槽48を介して器具用水槽42に流れ込んでしまい、生物の育成に致命的なダメージを与えるのみならず、器具用水槽42の容量を過大なものとしなければ器具用水槽42から液体が溢れることを防止できなくなってしまう。
【0054】
ポンプ13が動作している状態においては、図5において矢印で示す方向に液体は循環する。つまり、器具用水槽42の液体は給水管47から補助水槽隔離部48dに流れ補助水槽隔離部48dを満たす。そして、内壁48bを乗り越え補助水槽隔離部48cに流れ込む。そして、補助水槽隔離部48cの水位と観賞用水槽11の液面の位置とを等しくするように、補助水槽隔離部48cから観賞用水槽11に給水管45を介して液体が流れ続ける。
【0055】
観賞用水槽11には給水管45を介して液体が流れ込むが、連通管として機能する排水管44の作用によって、観賞用水槽11の液面の位置と補助水槽隔離部49cの液面の位置とは等しく保たれる。つまり、補助水槽隔離部49cの液面の位置は、液体が補助水槽隔離部49dへオーバーフローすることによって内壁49bの高さと等しくなろうとする。そして、排水管44の連通管としての作用によって、観賞用水槽11の液面の位置と補助水槽隔離部49cの液面の位置とは、ポンプ13が動作している場合にも等しく保たれることとなる。
【0056】
ここで、ポンプ13が動作している場合においても、給水管45と排水管44との各々は、観賞用水槽11を接続する連通管として機能するので、原理的には、上述したように観賞用水槽11の液面の位置と補助水槽隔離部49cの液面の位置とは等しく保たれる筈である。しかしながら、このような原理状態は、給水管45と排水管44とが、単位時間当たりに通過する液体の量が無限大の通過能力(液体の通過抵抗が0)を有し、かつ、補助水槽48と補助水槽49の各々の容量が無限大である場合に成り立つものである。実際には、給水管45と排水管44とは有限の断面積を有するものであるから液体が通過するに際して抵抗があり、単位時間当たり一定容量の液体しか通過させることができない。また、このような抵抗に抗して液体を観賞用水槽11に流し込むためには、圧力を液体に加えなければならないこととなる。
【0057】
よって、原理状態ではない場合には以下の現象が発生する。ポンプ13が動作している状態では、ポンプ13が停止している場合に比べて、観賞用水槽11の液面の位置は高くなる。その理由は、液体が、内壁49bを越えて補助水槽隔離部49cから補助水槽隔離部49dへオーバーフローするためには、補助水槽隔離部49cの液面の位置が内壁49bの位置よりも高い必要があるためである。そして、排水管44の連通管としての作用によって、観賞用水槽11の液面の位置は補助水槽隔離部49cの液面の位置と等しくなろうとするので、両方の液面の位置はポンプ13の停止時よりも若干高くなる。なお、第1実施形態ないし第3実施形態においても、同様の理由によって、原理状態(例えば、排水系統の能力を無限にするために連通管の断面積を無限に大きくした場合)ではない場合には、ポンプが動作している状態では、ポンプが停止している場合に比べて、観賞用水槽の液面の位置は高くなる。
【0058】
なお、排水管44の断面積が小さい程(すなわち、通過抵抗が大きくなる程)、補助水槽隔離部49cの断面積が小さい程(すなわち、液体に加わる圧力が小さくなり内壁49をオーバーフローする液体の量が少なくなる程)観賞用水槽11の液面の位置は高くなる。
【0059】
また、補助水槽隔離部48cの液面の位置は、単位時間当たりに循環する液体の量に応じて高くなる。単位時間当たりに循環する液体の量をより多くするためには、補助水槽隔離部48cの液面の位置と観賞用水槽11の液面の位置との落差をより大きくして液体により大きな圧力を加える必要があるからである。つまり、循環する液体の単位時間当たりの量が多くなる程、補助水槽隔離部48cの液面の高さが高くなり、観賞用水槽11へ流入する液体の量が多くなっている。
【0060】
なお、排水管44の断面積が小さい程(すなわち、通過抵抗が大きくなる程)、補助水槽隔離部48cの断面積が小さい程(すなわち、液体に加わる圧力が小さくなり、観賞用水槽11に流し込む液体の量が少なくなる程)補助水槽隔離部48cの液面の位置は高くなる。
【0061】
上述したように、観賞用水槽11の液面の位置は、単位時間当たりに循環する液体の量に応じて、若干変化するが、ポンプ13が停止している場合に比べた観賞用水槽11の液面の位置の上昇は、高さH1(図5を参照)を限度として可能とされる。高さH1よりも液面の位置が高くなると、観賞用水槽11の壁面から液体が流れ出してしまうからである。
【0062】
さらに付け加えると、給水管45、排水管44、補助水槽隔離部48c、補助水槽隔離部49cの断面積が小さいにもかかわらずに、ポンプ13の液体送出能力が過大である場合には、補助水槽隔離部48c、補助水槽隔離部49cの内部はすべて液体で満たされてしまい、さらに時間が経過すると補助水槽隔離部48c、補助水槽隔離部49cから液体が溢れてしまうこととなり、もはや、所望の動作をしなくなってしまう。よって、実施形態では、ポンプ13の単位時間当たりの液体を送り出す能力(以下、ポンプの能力と省略する)と、給水管45、排水管44、補助水槽隔離部48cおよび補助水槽隔離部49cの各断面積との関係を適正に選択して、このような事態が生じないようにしている。なお、第1実施形態ないし第3実施形態においても、同様の理由によって、ポンプの能力が、配管が連通管として機能する能力に比べて過渡に大きすぎる場合、例えば、ポンプの能力自体が過度に大きい場合のみならず、連通管の断面積が小さい場合には、観賞用水槽の液面の位置が高くなりすぎ、観賞用水槽から液体が溢れる場合もあり得る。よって、実施形態では、ポンプの能力、連通管の断面積を適宜に定めている。
【0063】
そして、ポンプ13の能力が一定の範囲の場合には、観賞用水槽11の液面の位置を若干であるが上下に自動的に調整し、上述したような平衡状態を保ちながら、液体は、生物育成水槽4の内部を循環する。つまり、生物育成水槽4は、フィードバック制御系として安定した制御が可能とされる。
【0064】
なお、ポンプ13の能力が過度に大きくなった場合には、給水系の液体供給能力が排水系の排水能力を超えてしまい、上述した補助水槽隔離部48c、補助水槽隔離部49cの溢れ出しが生じ、または、観賞用水槽11の液面が外壁11aを越えて溢れ出しが生じることとなる。
【0065】
要するに、観賞用水槽11の液面の位置を一定に保つ作用は、給水管45を介して流れ込む液体の量(給水管45を単位時間当たりに通過する液体の体積)と、排水管44を介して流れ出す液体の量(排水管44を単位時間当たりに通過する液体の体積)と、が等しくなる場合に成り立つものである。上述したように、ポンプ13の能力が過度に大きくなった場合には、給水管45を介して流れ込む液体の量が、排水管44を介して流れ出す液体の量よりも大きくなり、観賞用水槽11の液面の位置が時間の経過とともに上昇し続け、器具用水槽42の水位は、時間の経過とともに下降し続けることになる。
【0066】
よって、ポンプ13の能力を適正な範囲にとどめ、給水系の液体供給の能力が配水系の液体排出の能力を越えないようにすることが重要である。ここで、給水系は、ポンプ13と給水管47と補助水槽48と給水管45とで形成されており、排水系は、排水管44と補助水槽49と排水管46とで形成されている。
【0067】
また、ポンプ13の能力自体が過大ではない場合でも、補助水槽48の容量が、循環する液体の量と比較して十分ではない場合(補助水槽隔離部48cの断面積が小さい場合)、給水管45の断面積が小さい場合には、補助水槽48の外壁を越えて液体が溢れ出してしまうこととなる。つまり、補助水槽48がバッファ(調整池)として機能するに十分な容量を有することが重要である。なお、給水管45は、連通管(第2連通管)としても機能し、補助水槽48の液面の位置を観賞用水槽11の液面の位置と等しくするように作用して、観賞用水槽11に液体を供給する。
【0068】
この点、排水系については、その排水能力が大きいことによって問題が生じることはないので、許される範囲で排水系の各部のサイズを大きくするのが望ましい。例えば、排水管44、排水管46、補助水槽隔離部49c、補助水槽隔離部49dの断面積は可能な限り大きなものとすることが望ましい。また、液体が補助水槽隔離部49dへ容易にオーバーフローできるような形態とするのが望ましい。
【0069】
第4実施形態の生物育成水槽では、補助水槽を備えることによって、観賞用水槽の下部に器具用水槽を配置することができる。また、観賞用水槽と器具用水槽との離間距離は、排水管(排水管46)と給水管(給水管47)の長さを調整することによって任意の長さとすることができる。従って、排水管(排水管46)と給水管(給水管47)の長さを伸ばして、観賞用水槽と器具用水槽との離間距離を大きく取るようにして、器具用水槽に直接に手を入れて、器具用水槽の掃除、器具用水槽内の器具のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0070】
(第5実施形態)
図6は第5実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。図5に示す各部と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、第4実施形態と異なる部分を中心として説明をする。図6に示す生物育成水槽5は、観賞用水槽51と器具用水槽42とポンプ13と排水管44と排水管46と給水管55を有している。排水管44は第5実施形態に示すと同様に連通管として機能する。給水管55は第4実施形態の補助水槽48に替えて用いられるものであり、観賞用水槽51の上部から給水をするために用いられる。
【0071】
(第6実施形態)
図7は第6実施形態の生物育成水槽の断面を示す図である。図5、図6に示す各部と同一の部分については同一符号を付して説明を省略し、第4実施形態、第5実施形態と異なる部分を中心として説明をする。図7に示す生物育成水槽6は、観賞用水槽(第1観賞用水槽)11と補助水槽(第2補助水槽)48と補助水槽(第1補助水槽)49と排水管(第1排水管)44と給水管(第1給水管)45と給水管(第2給水管)47とを有している。これらの各部材は、第4実施形態、第5実施形態におけると同様の構成を有している。
【0072】
また、図7に示す生物育成水槽6は、観賞用水槽(第2観賞用水槽)61と補助水槽(第3補助水槽)69と給排水管(第1給排水管)64と排水管(第2排水管)65と排水管66(第3排水管)と器具用水槽62とポンプ13とを有している。補助水槽69(第3補助水槽)は、補助水槽49と同様の構成とされており、補助水槽隔離部(第3補助水槽第1隔離部)69cと補助水槽隔離部(第3補助水槽第2隔離部)69dとを有している。排水管65(第3連通管)は、連通管(第1連通管)として機能する排水管44、連通管(第2連通管)として機能する給水管45と同様に、連通管として機能する。給排水管64は、補助水槽49の排水管として機能するとともに観賞用水槽61の給水管として機能する。給排水管66は、補助水槽69の排水管として機能するとともに器具用水槽62に対する給水管として機能する。ポンプ13は器具用水槽62から液体をくみ上げて給水管47を介して補助水槽48に供給する。
【0073】
図7に示す生物育成水槽6では、観賞用水槽11が最上部、器具用水槽62が最下部、観賞用水槽61が観賞用水槽11と器具用水槽62との中間の中間部に配置されている。
【0074】
生物育成水槽6では、観賞用水槽11と観賞用水槽61と器具用水槽62とが、このような上下に配置される関係を有して、観賞用水槽11と観賞用水槽61との2つの観賞用水槽を有することを特長としている。そして、排水管(第1排水管)44と排水管(第2排水管)65とが各々連通管として機能することによって、ポンプ13の停止中、運転中のいずれにおいても、観賞用水槽11と観賞用水槽61との各々の液面の位置を略一定位置に保つようにしている。ここで、器具用水槽62の液面の位置を一定に保つための直接的な作用はないが、液体の総量が一定である場合には、結果的には、器具用水槽62の液面の位置も一定に保たれることとなる。なお、観賞用水槽を2以上設ける場合には、観賞用水槽のいずれかに、目立たないように、器具用水槽62に格納することができなかった器具を入れ、または、濾材を入れて濾過能力を強化することもできる。
【0075】
(第7実施形態)
上述した、第1実施形態ないし第6実施形態のいずれにおいても、液体を循環させるポンプの数は一つとされた。そのために、給水と排水の方向は一定の方向とされた。しかしながら、海の中では潮の満ち干があり、海流の流れの中でしか成長することができない生物が存在する。例えば、珊瑚がその代表例である。また、海草の一部にはその様な性質を有するものが存在する。また、観賞者としても、潮に流され海水に揺らぐ海草を見ることで心の安らぎを感じることもある。このような理由から、給排水の方向(給水と排水の方向)を切替えて、自然界の海流の流れを水槽の中で作ることは意義のあることである。
【0076】
これに応える技術としては、第1実施形態、第3実施形態で説明したように、ポンプ13の液体の入口と出口とを入れ替えて、給水と排水の方向を切替える技術が考えられる。例えば、ポンプ13の回転方向をモータの回転方向を切り替えて変化させて、同一配管を採用しながら給水と排水の方向を切替えることが考えられる。しかしながら、両方向に回転するポンプの入手は困難である。また、上述した第1実施形態ないし第6実施形態の中には、ポンプの回転方向を切替えることによっては、給水と排水の方向を切替えることができない技術も存在する。これに応えるものが、複数個のポンプを備える、第7実施形態、第8実施形態である。
【0077】
図8は、第7実施形態の生物育成水槽を示す図である。図8に示す生物育成水槽7は、図5に示す生物育成水槽5と共通部分を有するので、同一構成部には、図5におけると同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
生物育成水槽7では、生物育成水槽5における補助水槽48に替えて補助水槽78が用いられている。補助水槽78は、補助水槽49と同一の構成を有している。つまり、内壁78bと内壁49bとは同一の高さを有するようにされている。配管74(第1配管)と配管75(第2配管)と配管76(第4配管)と配管77(第3配管)は、給排水管として機能する。器具用水槽72の内部にはポンプ13(第1ポンプ)に加えてポンプ73(第2ポンプ)が配されている。配管77の端部はポンプ13に連結され、配管76の端部はポンプ73に連結されている。
【0079】
図8に記載された矢印はポンプ13が動作する場合の液体の流れの方向を示し、ポンプ73が動作する場合の液体の流れの方向は、これとは逆向きとなる。なお、ポンプ13とポンプ73との動作は、ポンプ制御部79で制御される。ポンプ13とポンプ73との動作の組み合わせの数は、ポンプは2個であるので、2=4個あることになる。ポンプ13とポンプ73との両方が停止する。ポンプ13が動作し、ポンプ73が停止する。ポンプ73が動作し、ポンプ13が停止する。ポンプ13とポンプ73との両方が動作する。以上の4個である。ここで、ポンプ13とポンプ73との両方が動作することは意味がないので、実際には、これを除く3つの状態のいずれかが採用される。
【0080】
ポンプ13が動作する場合には、液体は、配管77を通過して、補助水槽隔離部78dを経て補助水槽隔離部78cに流入し、配管75から観賞用水槽11へ流入する。そして、観賞用水槽11の液面の位置が内壁49bの高さと一致するように、配管74から補助水槽隔離部49cへ液体が流入し、補助水槽隔離部49cから補助水槽隔離部49dへ液体が流入し、配管76を通過して器具用水槽72へ戻る。この場合には、配管74(第1配管)が連通管として機能し、配管75(第2配管)は観賞用水槽11に液体を供給する配管として機能することとなる。なお、配管75は、連通管としても機能し、補助水槽78の液面の位置を観賞用水槽11の液面の位置と等しくするように作用して、観賞用水槽11に液体を供給する。
【0081】
ポンプ73が動作する場合には、液体は、配管76を通過して、補助水槽隔離部49dを経て補助水槽隔離部49cに流入し、配管74から観賞用水槽11へ流入する。そして、観賞用水槽11の液面の位置が内壁78bの高さと一致するように、配管75から補助水槽隔離部78cへ液体が流入し、補助水槽隔離部78cから補助水槽隔離部78dへ液体が流入し、配管77を通過して器具用水槽72へ戻る。この場合には、配管75(第2配管)が連通管として機能し、配管74(第1配管)は観賞用水槽11に液体を供給する配管として機能することとなる。なお、配管74は、連通管としても機能し、補助水槽49の液面の位置を観賞用水槽11の液面の位置と等しくするように作用して、観賞用水槽11に液体を供給する。
【0082】
このようにして、観賞用水槽11の中で液体の流れる方向が変化する。ここで、例えば、液体の動きを海の潮流に似た動きとするためには、ポンプ13とポンプ73との同時停止の時間の長さの制御と、ポンプ13とポンプ73とのいずれかが動作する時間の長さの制御とをポンプ制御部79が行う。ポンプ13とポンプ73との各々の動作時間を制御することによって、複雑な潮流に模した液体の流れを観賞用水槽の中に再現することができる。一般的な、海底が平坦な海における潮の流れを表現する場合には、ポンプ13とポンプ73とを交互に動作させる。
【0083】
(第8実施形態)
図9は、第8実施形態の生物育成水槽を示す図である。図9に示す生物育成水槽8は、図8に示す生物育成水槽7と共通部分を有するので、同一構成部には、図8におけると同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0084】
生物育成水槽8では、生物育成水槽7における補助水槽49、補助水槽78に加えて補助水槽88が用いられている。補助水槽88は、補助水槽78および補助水槽49と同一の構成を有している。つまり、内壁88bと内壁78bと内壁49bとは同一の高さを有するようにされている。配管74と配管75と配管76と配管77に加えて、配管86と配管87は、給排水管として機能する。器具用水槽82の内部にはポンプ13(第1ポンプ)、ポンプ73(第2ポンプ)に加えてポンプ83(第3ポンプ)が配されている。配管87の端部はポンプ83に連結されている。
【0085】
図9に記載された矢印は、ポンプ13が動作し、ポンプ73とポンプ83とが停止している場合の液体の流れの方向を示す。なお、ポンプ13とポンプ73とポンプ83との動作は、ポンプ制御部89で制御される。ポンプ13とポンプ73とポンプ83との動作の組み合わせの数は、ポンプは3個であるので、2=8個あることになる。ポンプ13とポンプ73とポンプ83とが停止する。ポンプ13が動作し、ポンプ73とポンプ83とが停止する。ポンプ73が動作し、ポンプ13とポンプ83とが停止する。ポンプ13とポンプ73との両方が動作し、ポンプ83が停止する。ポンプ83が動作し、ポンプ73とポンプ13とが停止する。ポンプ83とポンプ13とが動作し、ポンプ73が停止する。ポンプ83とポンプ73との両方が動作し、ポンプ13が停止する。ポンプ13とポンプ73とポンプ83とが動作する。以上の8個である。ここで、ポンプ13とポンプ73とポンプ83とが動作することは意味がないので、実際には、これを除く7つの状態のいずれかが採用される。
【0086】
例えば、図9の矢印で示すように、ポンプ13のみが動作する場合には、液体は、配管77を通過して、補助水槽隔離部78dを経て補助水槽隔離部78cに流入し、配管75から観賞用水槽11へ流入する。そして、観賞用水槽11の液面の位置が内壁49bの高さと一致するように、配管74から補助水槽隔離部49cへ液体が流入し、補助水槽隔離部49cから補助水槽隔離部49dへ液体が流入し、配管76を通過して器具用水槽82へ戻る。同時に、観賞用水槽11の液面の位置が内壁88bの高さと一致するように、配管86から補助水槽隔離部88cへ液体が流入し、補助水槽隔離部88cから補助水槽隔離部88dへ液体が流入し、配管86を通過して器具用水槽82へ戻る。
【0087】
同様にして3つのポンプの内の、0個、いずれか1個、3個のうちのいずれかの2個、の組み合わせからなる他の6つの状態は、上述したものとは異なる液体の流れとなり、観賞用水槽11の中における液体の流れる方向を第7実施形態よりもより複雑に変化させることができる。ここで、例えば、液体の動きを海の潮流に似た動きとするためには、ポンプ13とポンプ73とポンプ83との動作する時間の各時間の長さの制御をポンプ制御部89が行う。
【0088】
ポンプ、配管、補助水槽の数をより増やして、より複雑な液体の流れを観賞用水槽の中に実現することが可能である。一般式で書けば、ポンプの数を正の整数nとすれば、取り得る液体の流れのモードの数は、2−1となる。
【0089】
「実施形態の変形実施形態」
以下に、第1実施形態ないし第6実施形態の変形の実施形態について説明をする。
【0090】
(補助水槽の変形の実施形態)
上述した実施形態においては、補助水槽は、外壁と長方形の内壁とを有し、内壁は外壁の底部と外壁の内側において相互に接着され、内壁によって分離された2つの空間を形成するものであった。しかしながら、補助水槽の形態はこのようなものに限られず、図10に示すようなものであっても良い。
【0091】
図10は、補助水槽の変形の実施形態を示す図である。図10に示す補助水槽481は、2組の内部に空間を有する円筒のパイプを基本として形成されている。円筒パイプ(第1円筒パイプ)481aの直径は、円筒パイプ(第2円筒パイプ)481bの直径よりも大きくされ、円筒パイプ481aの内部に円筒パイプ481bは配置されている。円筒パイプ481a、円筒パイプ481bは、例えば、プラステック材で形成されている。図10(a)は補助水槽481の斜視図を示し、図10(b)は補助水槽481のA−A'断面を示す図である。
【0092】
円筒パイプ481aの上部は開放され、円筒パイプ481aの下部(底部)は蓋によって閉じられている。円筒パイプ481bの上部481cは開放され、円筒パイプ481bの下部は、円筒パイプ481aの側面を貫通して、そのまま、配管482として機能するようになされている。円筒パイプ481bが貫通する円筒パイプ481aの側面部分には接着剤が塗布されて円筒パイプ481aから液体が漏れるのを防止している。円筒パイプ481aの側面には、穴が配され、この穴に配管483が取り付けられており、接着材によって円筒パイプ481aからの水漏れを防止している。
【0093】
このような、補助水槽481は、第4実施形態ないし第6実施形態における補助水槽に置き換えて使用することができる。ここで、配管482を、観賞用水槽の側に接続するか、濾過装置の側に接続するかは、任意に選択できる。つまり、配管482から液体が流入する場合には、円筒パイプ481bの上部481cから液体がオーバーフローすることによって、液面の位置が上部481cの高さ付近に保たれる。また、配管483から液体が流出する場合には、円筒パイプ481aの内部の液体が、上部481cから円筒パイプ481bに流入することによって、液面の位置が上部481cの高さ付近に保たれる。
【0094】
図10(b)に示す、円筒パイプ481aと円筒パイプ481bで囲まれたドーナツ形状の断面積と、円筒パイプ481bで囲まれた円形状の断面積とは、各々任意の断面積とすることができる。円筒パイプ481aと円筒パイプ481bで囲まれたドーナツ形状の断面積と、円筒パイプ481bで囲まれた円形状の断面積とを等しくする場合には、液体の単位長当たりの通過抵抗を均一とすることができる。多くの場合には、配管482の長さと配管483の長さは大きくは異ならない長さに配管されるので、単位長当たりの通過抵抗を均一とすれば、給水能力と排水能力とが略等しいものとできる。また、両者の断面積を等しくすることによって、ドーナツ形状の断面積を有する補助水槽隔離部に溜められる液体の量と、円形状の断面積を有する補助水槽隔離部に溜められる液体の量とは等しくなり、配管482と配管483とのいずれかの一方を給水管として用い、他方を排水管として用いる場合において、液体貯蔵能力は等しいものとなる。
【0095】
(連通管の取り付け位置の変形の実施形態)
上述した実施形態では連通管は、観賞用水槽の底部に取り付けられるものとして説明をしてきたが、液面から下方に配置するのであれば、必ずしも底部ではなくても良い。
【0096】
図11は、第1実施形態に対応する連通管の取り付け位置の変形の実施形態を示す図である。観賞用水槽と器具用水槽の各々の側面に、連通管として機能する排水管141と給水管151との各々が連結されている。
【0097】
(加熱器、冷却器の配置の変形の実施形態)
加熱器、冷却器を配置する場合には器具用水槽の内部に、加熱器、冷却器を配置することができるが、第3実施形態における生物育成水槽3では、密閉槽37を備えるので、加熱器、冷却器を液体の内部ではなく、液体の外部に配置することができる。
【0098】
図12は、第3実施形態のように、密閉槽を備える場合における、冷却・加熱器の配置の変形の実施形態を示す図である。密閉槽37の上部に冷却・加熱器38は取り付けられている。冷却・加熱器38はペルチェ素子38a、放熱フィン38b、ファン38cを有している。ペルチェ素子38aに流す電流の方向を切替えることによって、冷却・加熱器38は加熱器または冷却器として機能させることができる。ここで、密閉槽37の上部は熱伝導特性の良好なる素材、例えば、銅、アルミニューム等で形成されているので、冷却・加熱器38は液体を効果的に加温・冷却することができるようになる。このような構造を採用すれば、冷却・加熱器38は液体から隔離されているので、腐食の心配もなく、電気絶縁も容易であり、メンテナンスも容易なものとできる。
【0099】
(観賞用水槽の数の変形実施形態)
図7に示す第6実施形態の生物育成水槽6では、上下方向に配置した、観賞用水槽11と観賞用水槽61の2個の水槽を用いた。このような配置は、連通管を構成の一部に含む補助水槽を採用することによって可能となったことは既に説明をした。ここで、上段の補助水槽48は、ホンプ13を介して供給された器具用水槽62からの液体を連通管の作用を利用して観賞用水槽11に送るとともに、ホンプ13が停止したときに、連通管の作用を利用して観賞用水槽11からの液体が器具用水槽62に流れ込むのを防止する機能を有するものであった。
【0100】
また、上段の補助水槽49は、連通管の作用を利用して、観賞用水槽11の液面の位置を所定位置とする機能を有するものであった。さらに、下段の補助水槽69は、連通管の作用を利用して、観賞用水槽61の液面の位置を所定位置とする機能を有するものであった。
【0101】
同様にして、観賞用水槽の数は2以上の任意の数(但し、ポンプ13の能力の範囲で)とすることができる。例えば、観賞用水槽の数を3とする場合には、以下のようにする。図7に示す給排水管66を、観賞用水槽61よりも下部であり、器具用水槽よりも上部にある3番目の観賞用水槽(図示せず)の底部に連結して、連結管として機能させる。この3番目の観賞用水槽の底部に連結管を介して4番目の補助水槽(図示せず)を連結する。この4番目の補助水槽からの排水管(図示せず)を介して液体を器具用水槽62に流すようにする。このような構成を採用することによって、観賞用水槽の数を4とすることができる。同様にして、観賞用水槽の数を5以上とすることもできる。
【0102】
(観賞用水槽、器具用水槽、補助水槽の蓋について)
外部からの埃の混入を防止し、生物育成水槽を移動するときの液体の零れを防止するために、観賞用水槽、器具用水槽、補助水槽の各開口部に蓋をすることも考えられる。この場合に蓋が空間を密閉するような構造とすると、液面に大気圧が加わらないこととなり、連通管としての機能の発揮が妨げられることとなる。よってこの場合には蓋に空気が流通する穴、隙間を設けることとなる。
【0103】
(補助水槽内に器具を配する実施形態)
上述した補助水槽を設ける実施形態では、補助水槽は専ら水位を調整する用途に用いている。しかしながら、実施形態の変形例としては、補助水槽の内部に器具、例えば、濾過器(フィルタ)、液体の温度を調整する冷却・加熱器を配置するようにしても良い。
【0104】
図示はしないが、濾過器、冷却・加熱器等を補助水槽または補助水槽に接続される流路に配することによって、液質を所定の品質に維持し、良好なる液質とする目的を達することができる。
【0105】
(ポンプの配置の他の実施形態)
水槽の水を循環させるポンプは、上述したような水中ポンプに限らず、水陸両用ポンプ(水中でも水中外でも使用可能なポンプ)、外置のポンプ、を利用することも可能である。
【0106】
図13は、外置のポンプを用いる実施形態を示す図である。図13に示す生物育成水槽10は、図4に示す第3実施形態の変形例であり、ポンプ130は外置のポンプである点、給水管36に替えて給水管361と給水管362とが用いられる点が、第3実施形態と異なる点である。器具用水槽32からの液体は、給水管361、ポンプ130、給水管362を経て、密閉槽37に至り、さらに、給水管35を経て、観賞用水槽11に注入される。
【0107】
図14は、外置のポンプを用いる別の実施形態を示す図である。図14に示す生物育成水槽181は、2つの観賞用水槽である、観賞用水槽111と観賞用水槽211と、を有している。また、連通管191と連通管192と連通管197とを有している。また、補助水槽148と補助水槽149とを有している。また、補助水槽190を有している。また、配管196を有している。生物育成水槽181では、補助水槽148と補助水槽149と補助水槽190の内部に各種の器具を入れることができるようになされている。外置のポンプ130は外置きポンプで、配管126から吸入した液体を配管125へ排出するようにされている。
【0108】
図15は、外置のポンプを用いるまた別の実施形態を示す図である。図15に示す生物育成水槽182は、図14に示す生物育成水槽181において補助水槽148を補助水槽193に替えたものである。外置のポンプ130は外置きポンプで、配管126から吸入した液体を配管125へ排出するようにされている。ここで、配管125は補助水槽193の液面に接することがなく、このようにして、外置のポンプ130が停止した場合においても配管125から配管126へ液体が逆流することを防止している。
【0109】
図16は、外置のポンプを用いるさらに別の実施形態を示す図である。図16に示す生物育成水槽183は、図15に示す生物育成水槽182において、補助水槽190を省いたものである。ここで、配管125は観賞用水槽111の液面に接することがなく、このようにして、外置のポンプ130が停止した場合においても配管125から配管126へ液体が逆流することを防止している。
【0110】
(排水用の開口部、給水用の開口部の保護について)
上述した実施形態では、観賞用水槽の底部、もしくは、側面部に排水用の開口部、給水用の開口部が設けられている。この場合に、開口部がむき出しになっていると、開口部から水槽内の生物を吸い込んでしまう可能性がある。また、大きなゴミを吸ってしまって連通管が詰まってしまう問題が生じる虞がある。従来の一般的な水槽のような砂利を敷き詰めても、砂利が開口部から吸われてしまう事態が生じることもある。そこで、水槽底面の内側に挿入される板(底面給排水ストレーナーと称する)を下駄状にして設置することで、このような問題を解決することができる。
【0111】
図17は底面給排水ストレーナーを表面側と裏面側とから見た図である。底面給排水ストレーナーの形状は、観賞用水槽の形状が直方体なら四角形、円柱なら丸形とされる。図17(a)は、四角形の底面給排水ストレーナーを表面側から見た図であり、図17(b)は、四角形の底面給排水ストレーナーを裏面側から見た図である。また、図17(c)は、丸形の底面給排水ストレーナーを表面側から見た図であり、図17(b)は、丸形の底面給排水ストレーナーを裏面側から見た図である。
【0112】
底面給排水ストレーナーは、下駄状の突起を有しており、この突起によって、底面より少し浮いた状態で観賞用水槽の底部に配される。また、この下駄状の突起は、平面部分よりも突出しており、底面給排水ストレーナーの突起の先端が観賞用水槽の壁面と接触して、底面給排水ストレーナーの平面部と観賞用水槽の壁面との間に空隙を形成するようにされている。
【0113】
図18は、直方体の観賞用水槽に四角形の底面給排水ストレーナーを配置した場合における、観賞用水槽の上方から見た模式図である。矢印A、矢印Bは液体の流れる方向を示すものであり、矢印Aで示すように底面給排水ストレーナー261の平面部と観賞用水槽161の壁面との間の空隙から液体は排水され、矢印Bで示すように底面給排水ストレーナー261の平面部と観賞用水槽161の壁面との間の空隙から液体は給水される。ここで、下駄状の突起262は、開口部である給水口162と排水口163とを分離するように設けられている。このようにして、給水口162と排水口163とを分離することによって、液体の円滑な循環が保障される。
【0114】
また、底面給排水ストレーナー261の平面部と観賞用水槽161の壁面との間の空隙の幅次第で吸い込む物の大きさを調整できる。例えば、空隙の幅を2〜3mmにすれば、この幅以上のサイズを有する物が吸い込まれることがなくなる。砂利や小石を敷く際も、砂利の直径を、例えば、4mm以上とすれば、砂利を敷き詰めても吸い込まれる心配はない。また、底面給排水ストレーナー261の平面部に2〜3mmの開口部をたくさん設けて、底面フィルタ(底面に配置されたフィルタ)の役割を兼ねることもできる。開口部よりも大きい砂利を敷き詰めれば液体が」排水される際に砂利の中を通ることとなり濾過が可能となる。
【0115】
(実施例)
図19は第1実施形態の生物育成水槽の一つの実施例を示す図である。実施例の生物育成水槽1aは、観賞用水槽11の一つの実施例である観賞用水槽101aと、器具用水槽12の一つの実施例である器具用水槽102aと、排水管14の一つの実施例である排水管104aと、給水管15の一つの実施例である給水管105aとを備えている。器具用水槽102aは不透明部材で形成されているので、その内部のポンプを視認することができない。また、排水管104aと、給水管105aとは観賞用水槽101aの不透明な底部16の内部に配されているので、視認することができない。なお、観賞者から見えない部分にある、器具用水槽12の一部を透明部材で形成するようにしても良い。例えば、観賞者の視認する側の反対側の面を透明部材で形成するようにしても良い。このようにして、観賞用水槽101aを観賞する際の印象を良好なものとし、器具用水槽12の内部に配置された器具の状態、例えば、濾過装置の汚れ、ポンプの状態を視認することができる。
【0116】
図19に示すように、観賞用水槽101aの内部は広く、器具用水槽102aの方向以外からは、その内部を容易に見ることができる。また、底部16の厚みは薄く、インテリア性も高いものとなっている。
【0117】
図20は、実施例における底部16の内部の構造を分解図で示す図である。底部16は、3枚の板材である、板材107(第1板材)と板材108(第2板材)と板材109(第3板材)とで形成されている。板材の材料は、接着が容易な部材、例えば、アクリル板とされている。
【0118】
板材107は、観賞用水槽101aの底を形成する部材であり、板材107の上部に観賞用水槽101a(図20には図示しない)の壁面の下部が接着剤で接着されている。板材107には、表面と裏面とを貫く、穴部107aと穴部107bと穴部107cと穴部107dとが配されている。
【0119】
板材108は所定の厚さd(例えば、1cm)とされる板材である。板材108には、表面と裏面とを貫く、溝形状の穴部108aと溝形状の穴部108bとが配されている。穴部108aは、その上方に穴部107aと穴部107cとが配されるように形成され、穴部108bは、その上方に穴部107bと穴部107dとが配されるように形成されている。穴部108aの溝幅W1は、例えば、6cmとされ、穴部108bの溝幅W2は、例えば、1cmとされている。
【0120】
板材109は、板材107とともに、板材108を挟み込むようにされ、板材108と板材107および板材108と板材109は、各々が接着剤で接着されている。このようにして、穴部108aは断面積として6cmを有する空間を形成し、穴部108bは断面積として1cmを有する空間を形成している。穴部108aは、図1における、排水管14の実施例の排水管104aとして機能し、穴部108bは、図1における、給水管15の実施例の給水管105aとして機能する。ここで、穴部108aの断面積を穴部108bの断面積よりも大きくするのは、排水能力を給水能力よりも大きくするためである。
【0121】
穴部107cと穴部107dの上部には器具用水槽102a(図20には図示しない)の壁面の底部が接着剤によって接着されている。そして、穴部107cは器具用水槽102aの内部空間に連結され、穴部107dにはポンプ(図示しない)が連結されている。
【0122】
上述した、各実施形態、実施例の効果の主要なものを以下に簡単にまとめる。
【0123】
上述した、第1実施形態ないし第3実施形態、実施例のいずれにおいても、連通管として機能する配管で接続される、観賞用水槽、器具用水槽の高さ方向の位置関係(上下関係)は、各実施形態に説明されるように限定されるが、水平方向の位置については何ら限定されない。また、連通管をどのように配置するかは連通管として機能する限りでは大きな自由度がある、したがって、観賞用水槽が最も印象深くなるような配置が可能であり、観賞用水槽と器具用水槽および補助水槽との間に種々の目隠し(遮蔽物)を配することも可能となる。第1実施形態では、観賞用水槽の底部から器具用水槽と接続されるので配管が目立たない。また、実施例では、配管の厚みを薄くして、さらに、目立たなくすることができる。第2実施形態では、水漏れに注意を払うべき配管の数を減らすことができる。第3実施形態では密閉槽を備えることによって、液体の循環量を増やすことができ、水質の改善効果が高い。また、冷却・加熱器の取り付け、メンテナンスが容易となる。
【0124】
上述した、第4実施形態ないし第6実施形態のいずれにおいても、観賞用水槽の下に器具用水槽を配置することができる。第4実施形態では、観賞用水槽の底部から配管されるので配管が目立たない。また、第5実施形態では、水漏れに注意を払うべき配管の数を減らすことができる。また、第6実施形態では、観賞用水槽を上下の2段配置とすることができる。
【0125】
上述した、第7実施形態、第8実施形態のいずれにおいても、観賞用水槽の内部の液体の流れる方向を時間とともに変化させることができる。第7実施形態では3つの流れのモードを生成することができ、第8実施形態では7つの流れのモードを生成することができる。
【0126】
以上述べた、第1実施形態ないし第8実施形態、変形の実施形態の中から2以上の実施形態を組み合わせた実施形態も可能である。また、本発明は、上述した、実施形態に限られず、同一の技術思想の範囲に及ぶことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0127】
1、1a、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13 生物育成水槽、 11 観賞用水槽、 11a 外壁、 12 器具用水槽、 13 ポンプ(第1ポンプ)、 14 排水管、 15 給水管、 16 底部、 21 観賞用水槽、 22 器具用水槽、 25 給水管、 32 器具用水槽、 35、36、361、362 給水管、 37 密閉槽、 38 冷却・加熱器、 38a ペルチェ素子、 38b 放熱フィン、 38c ファン、 42 器具用水槽、 44 排水管、 45 給水管、 46 排水管、 47 給水管、 48 補助水槽(第2補助水槽)、 48a 外壁、 48b 内壁、 48c 補助水槽隔離部(第2補助水槽第1隔離部)、 48d 補助水槽隔離部(第2補助水槽第1隔離部)、 49 補助水槽(第1補助水槽)、 49a 外壁、 49b 内壁、 49c 補助水槽隔離部(第1補助水槽第1隔離部)、 49d 補助水槽隔離部(第1補助水槽第2隔離部)、 51 観賞用水槽、 55 給水管、 61 観賞用水槽(第2観賞用水槽)、 62 器具用水槽、 64 給排水管、65 排水管、 66 給排水管、 69 補助水槽(第3補助水槽)、 69c 補助水槽離隔部(第3補助水槽第1隔離部)、 69d 補助水槽(第3補助水槽第2隔離部)、 72 器具用水槽、 73 ポンプ(第2ポンプ)、 74 配管(第1配管)、 75 配管(第2配管)、 76 配管(第4配管)、 77 配管(第3配管)、 78 補助水槽、 78b 内壁、 78c 補助水槽第1隔離部、 78d 補助水槽第2隔離部、 79 ポンプ制御部、 82 器具用水槽、 83 ポンプ(第3ポンプ)、 86 配管、 87 配管、 88 補助水槽、 88b 内壁、 88c 補助水槽隔離部、 88d 補助水槽隔離部、 89 ポンプ制御部、 101a 観賞用水槽、 102a 器具用水槽、 104a 排水管、 105a 給水管、 107 板材、 107a、107b、107c、107d、108a、108b 穴部、 108 板材、 109 板材、 111 観賞用水槽、 112 観賞用水槽、 113 観賞用水槽、 114 観賞用水槽、 125、126、196 配管、 148、149 補助水槽、 191、192、197 連通管、 111、211 観賞用水槽、 130 ポンプ、 141 排水管、 151 給水管、 161 観賞用水槽、 162 給水口、 163 排水口163、 261 底面給排水ストレーナー、 突起 262、 481 補助水槽、 481a 円筒パイプ、 481b 円筒パイプ、 481c 上部、 482 配管、 483 配管、 W1 溝幅、 W2 溝幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽に溜められた液体の内部で育成される生物を観賞するために透明部材で形成される観賞用水槽と、
前記液体の液質を所定品質に維持するための器具用水槽と、
前記観賞用水槽と前記器具用水槽とを接続する連通管として機能する排水管と、
前記観賞用水槽と前記器具用水槽とを接続する給水管と、
前記観賞用水槽と前記器具用水槽との間で前記液体を循環させるための前記器具用水槽の内部に配されるポンプと、を備え、
前記観賞用水槽の底部と前記器具用水槽の底部とには、板材の一面が接して配され、
前記板材は、
前記観賞用水槽の内部に接続される前記排水管の一方の開口部となる第1穴部と、
前記観賞用水槽の内部に接続される前記給水管の一方の開口部となる第2穴部と、
前記器具用水槽の底部に接続される前記排水管の他方の開口部となる第3穴部と、
前記ポンプに接続される前記給水管の他方の開口部となる第4穴部と、
前記第1穴部と前記第3穴部と連結する前記板材の内部に設けられる溝形状の第5穴部と、
前記第2穴部と前記第4穴部と連結する前記板材の内部に設けられる溝形状の第6穴部と、を有し、
前記観賞用水槽の液面の位置と前記器具用水槽の液面の位置とが等しくなるように、前記第5穴部および前記第6穴部を介して前記観賞用水槽と前記器具用水槽との間で液体を移動させる、生物育成水槽。
【請求項2】
前記板材は、
第1板材と、第2板材と、前記第1板材と前記第2板材との間に挟まれた第3板材とによって形成され、
前記観賞用水槽の底部および前記器具用水槽の底部は、前記第1板材の一面で形成され、
前記第1板材は、
前記観賞用水槽の底部に前記第1穴部および前記第3穴部を有し、
前記器具用水槽の底部に前記第2穴部および前記第4穴部を有し、
前記第3板材は、
前記第1穴部と前記第3穴部とを連結するように前記第3部材を貫通して形成される溝形状の第5穴部と、
前記第2穴部と前記第4穴部とを連結するように前記第3部材を貫通して形成される溝形状の第6穴部と、を有し、
前記第2板材は、
前記第5穴部および前記第6穴部を覆う板材とされる、請求項1に記載の生物育成水槽。
【請求項3】
前記第5穴部の断面積は、前記第6穴部の断面積よりも大きいことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の生物育成水槽。
【請求項4】
前記器具用水槽の内部に前記液体に含まれる汚染物質を除去するための濾過装置が配される、請求項1または請求項2に記載の生物育成水槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図20】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−250782(P2011−250782A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68100(P2011−68100)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【分割の表示】特願2010−125614(P2010−125614)の分割
【原出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【特許番号】特許第4791606号(P4791606)
【特許公報発行日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(510152600)
【Fターム(参考)】