説明

生物見本データのスライドへの局地的な保存

【課題】
【解決手段】 生物見本を分析する装置であって、見本のキャリアに取り付けられている読み出し/書き込みデータストレージデバイス中の分析に関するデータを保存する。データストレージデバイスは、高周波認識(RFID)タグ、磁気デバイス、あるいは光学デバイスであっても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術的分野
本発明は、生物見本の分析に関するものであり、特に、見本のキャリアに取り付けたデータ保存デバイス上にデータを保存し、アクセスすることに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
医学の専門家や技術者は、ビューイングスライド上に置いた生物見本を検査して、患者が特定の医学的症状あるいは疾病を有しているかどうか、または有するかもしれないか否かを分析する。例えば、細胞見本は、パパニコロウ(Rap)塗末標本試験やその他の癌の検出テストの一環として、悪性のまたは前悪性の細胞を検出するべく精査される。この検査プロセスを容易にするために、技術者の注意を最も関連性のある細胞あるいは細胞群に向け、関連性の低い細胞を更なる検査からはずす自動化されたシステムが開発されている。
【0003】
典型的な自動化システムは、撮像システムと、自動光学顕微鏡またはレヴュースコープを具える。撮像システムは見本をスキャンして、見本断片の画像を生成する。これらの画像を処理して、診断上興味のある細胞と細胞クラスタを同定する。いくつかのシステムでは、これらの細胞が悪性あるいは前悪性の細胞と一致する属性を有していそうであることと、スライド上のその位置(x−y軸)を同定するステップを具える。同定されたx−y座標を通じて順次進むこのx−y軸情報が顕微鏡に提供され、細胞又は細胞クラスタを技術者の視野内に置く。検査中に、技術者は、悪性のように見える、あるいはその他の問題が生じているように見える特定の見本部分または画像を同定する。技術者はこれらの同定された部分を更に検査するためにマークする。
【0004】
この分析に関するx−y座標データは、データベースやサーバなどの外部のストレージ部材に送られる。このデータは、イーサネットやその他のネットワーク接続を介して、またはコンパクトディスク(CD)などの保存媒体にアクセスされる。各患者のテストスライドは、識別番号またはその他の識別子が割り当てられる。このスライドは、識別番号でマークするか、識別子付のラベルをスライドに貼る。例えば、識別子付のバーコードラベルをスライドに貼るか、あるいは技術者がマーカを用いてスライド上に識別子を手で書き込んでも良い。
【0005】
同じ識別子あるいは識別番号を、保存されている画像およびデータに対応するスライドまたは見本にリンクさせるためのデータベース中でポインタとして使用する。例えば、識別番号、基準座標、撮像システムによって同定された見本部分の座標、および技術者によってマークされた見本部分の座標が、撮像システムまたはレビュースコープによって、ネットワーク上、及び識別子によって参照されるデータベースへ送信される。技術者も、保存されているデータを検査するまたは更新するために、ネットワークを介してこのデータベースに接続している。
【0006】
しかしながら、現在の生物見本用のデータ保存及び管理システムには改善の余地がある。例えば、技術者は、ネットワークと介して外部データベースからアクセスしたりダウンロードすることなしに、スライドと見本データに直接アクセスできるべきである。従来のシステムの外部データベースとネットワークは、そのデータベース又はネットワークが時間的に操作できないような場合に問題を生じることもある。例えば、見本の分析と、関与している患者へのテスト結果の報告が、データベースまたはネットワークの故障やメンテナンスのため、遅れてしまうことがある。
【0007】
保存能力と読み取り/書き込みのオプションも改善することができる。例えば、バーコードは通常、保存する情報量が制限されており、もっと少ない情報は手書きでスライドにマーキングすることによって保存できる。更に、従来のシステムは、通常、上書きをしたり、既存のデータを新規データで補充したりすることができない。例えば、バーコードの場合は、技術者は新しいバーコードを印刷しなければならない。手書きのテキスト又は番号の場合は、旧データを消して、新しいデータが消したデータの上に書き込まれる。さもなければ、新しいスライドを準備しなければならない。これらのステップは不便であり、時間の浪費である。
【0008】
更に、外部データベースからデータを取り出したり、外部データベースにデータを保存することは、直接データにアクセスするのに比べて効率が良くない。CDsなどの保存媒体も、置き間違えたり、ダメージを受けることがあり、データと分析を失う結果になりうる。技術者や検査技師によって何百、何千もの見本スライドの検査がディリィベースで行われているので、これらの欠点は、増幅される。
【0009】
これらの欠点によって、データベースとネットワーク設備、および分析時間が長くなるため、見本の分析にかかるコストが高くなる。更に、失われたデータあるいは破壊されたデータは、テストを再度行うことになり、処理時間が増え、結果が不正確になる。ネットワークとデータベースへアクセスするように構成された特別の撮像システムと光学顕微鏡を含む特別な場所で分析を行うために技術者が閉じ込められるので、スライドと見本データを保存するデータベースとネットワークも制限を受ける。
【0010】
特に、使用されている撮像装置や分析装置のタイプに無関係に、また、データベースやネットワーク接続の可能性に依存することなく、技術者に迅速かつ容易に見本部分を同定することができるようにして、更なる分析を保障することが必要である。
【0011】
発明の概要
本発明の一の態様によれば、生物見本及び/又はその分析に関連するデータを局地的に保存する手段を具える生物見本を分析する装置が提供される。一の実施例では、この装置は、スライド、バイアル、ボトル、あるいはその他の容器などの生物見本のキャリアと、このキャリアに取り付けた読み取り/書き込みデータストレージデバイスを具える。見本及び/又は見本の分析に関するデータは、このデータストレージデバイス内に保存することができ、このデータストレージデバイスからアクセスすることができる。
【0012】
本発明のその他の態様および更なる態様、および実施例がここに述べられており、これは以下の詳細な説明と図面を参照して明らかになるであろう。
【0013】
実施例の詳細な説明
技術者に必要な生物見本と分析情報を効率的に提供し、外部のデータベースとネットワークを介してこのようなデータにアクセスする必要を取り除いたシステムと装置の実施例をここに述べる。ここに記載したシステムと装置によれば、更なる分析を保障し、必要に応じてスライド上の情報を局地的に更新することができる見本部分を技術者が迅速かつ容易に同定できるようにするために、生物見本キャリア上に十分な情報を局地的に保存することができる。以下の説明では、添付図面に引用がなされており、この添付図面は本発明を実施することができる特定の実施例を説明する目的で示す。その他の実施例を用いて、本発明の範囲から外れることなく様々な変更ができると理解される。
【0014】
図1を参照すると、本発明の一実施例によれば、生物見本の分析に関連するデータを局地的に保存する装置100は、見本120を伴う生物見本キャリア110と、この生物見本キャリア110に取り付けられたデータ保存デバイス130(一般的にはブロック130で示す)を具える。データストレージデバイス130は、例えば、接着剤又はラベルを用いてスライドに直接的又は間接的に取り付けられている。本発明の概念と、ここに述べる実施例は、異なるタイプの生物見本キャリア、見本、データストレージデバイスおよび分析と共に用いることができることを当業者は認識するであろう。
【0015】
例えば、生物見本キャリア110は、図に示すように、ガラスまたはプラスチックスライドなどのスライドであっても良い。生物見本キャリアは、ボトル、バイアル、あるいはその他の容器や、生物見本を保持する、保存する、あるいは支持する対象物であっても良い。生物見本120は、分析して、癌性の症状あるいはその他の医学的症状を同定するヒトの細胞見本であってもよい。見本120は、また、獣医が分析する動物見本であっても良い。説明を容易にするために、実施例は、スライド上の人間の患者の細胞学的(例えば、パパニコロウ塗末標本)およびその他の癌に関する見本120について述べる。しかしながら、本発明は限定されるものではなく、その他の様々な見本及び生物見本キャリアの収集と分析に用いることができることは自明である。
【0016】
様々なタイプのデータストレージデバイス130を使用することができる。データストレージデバイス130は読み出し専用であっても、読み出し/書き込みストレージデバイスであっても良く、様々なタイプのデータを保存することができる。例示的データストレージデバイスは、例えば、高周波識別(Radio Frequency Identification:RFID)タグ、および磁気および光学ストレージデバイスと媒体を含む。データは、限定するものではないが、生物見本、見本の特定の部分、キャリア、患者、撮像装置、審査あるいは分析装置、および時間及びデータのデータに関するデータを含んでいる。当業者は、特定の患者、テスト、実行されている分析に応じて、保存デバイス130にその他のデータを保存できることを認識するであろう。この構成によれば、スライド110上のデータ保存デバイス130内にデータを局地的に保存することができ、ネットワーク接続を介して外部のデータベースにアクセスすることなくデータ保存デバイス130から直接データへアクセスすることができる。この結果、データが技術者に容易に入手可能となり、見本120をより迅速かつ効率よく分析することができ、したがって、パパニコロウ塗末標本やその他の癌の分析にかかる時間とコストが低減される。更に、装置100は、撮像および考察装置の選択に順応性を提供する。例えば、本発明の好ましい実施例によれば、特別なデータベースとネットワーク接続用に手元に配置された、又は構成された特別な撮像及び分析装置を用いる必要がないので、見本120の撮像と分析を様々な検査及び分析装置で実行することが可能である。
【0017】
更に、データストレージデバイス130は、スライド100の他の部分又は場所に取り付けることができる。例えば、データストレージデバイス130は、上面111、底面112、第1の側面113、第2のまたは反対側の側面114、第1のエッジ115、第2のまたは反対側のエッジ116、および後端部分117に取り付けることができる。いくつかのスライドの上面は、「つや消し」をした端部117を具えており、より高い摩擦面を提供して、技術者のスライドの取り扱いをより容易にする。図1に示すように、データストレージデバイス130は、スライド110の端部117または上表面111に取り付けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々なストレージデバイス130がその他のスライド110の場所に適する。見本120は、通常、スライド110のつや消し部分117の端部間の見本部分118の中央に配置されているが、見本120を、スライド100の一方の端部117に配置して、反対側の端部を技術者が操作するようにしても良い。したがって、図1に示す構成は、見本120とデータストレージデバイス130の様々な配置可能性を単に図に示したものである。
【0018】
図2Aを参照すると、テストスライド100に取り付ける一の例示的なデータストレージデバイス130が、高周波認識(RFID)タグまたはトランスポンダ200である。テキサス州75023、プラーノ、MS8470、6550チェースオークスブルバードに所在のテキサスインスツルメント社、高周波識別システム部から入手できるTag−IT(登録商標)RFIDタグ、あるいは、オハイオ州45104、フェアフィールド、ラサントドライブ9290に所在の、インターメックテクノロジィ社、識別システム部から入手可能な、RFIDインサートを有するIntellitag(登録商標)ラベルなど、様々なRFIDタグ200を好適に使用できる。これらの例示的なRFID200デバイスは、好ましくは、図2Aに示すように、スライド110に取り付けられているラベル210の中に埋め込まれている。RFIDタグ200は、別の方法でスライドに取り付けることもできる。例えば、RFIDタグ200の上に塗布した保護コーティング(図示せず)を用いて、RFIDタグ200をスライド110に固着させるなどである。RFIDタグ200をスライド110に取り付けるのに、様々な接着剤を使用することができる。
【0019】
図2Bを参照すると、RFIDタグ200は通常、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)などの、集積回路(IC)220を具えており、この集積回路は、データを保存するメモリ230を有している。様々なサイズのメモリ230を、様々な量の見本情報を保存するのに使用することができる。
【0020】
図2Cを参照すると、一般的なRFIDタグシステム240は、上述のRFIDタグ200と、リーダ242と、アンテナ244を具える。RFIDタグ200は、アンテナ244を介して送られるリーダ242からの命令又は信号によって始動する。例えば、リーダ242は、アンテナ310を介してIC220に信号を送り、IC210のメモリ230へ無線でデータを書き込んだり、メモリ230からデータを読み取ったりする。使用に際しては、ユーザは、通常、RFIDタグ200を始動してメモリ230からデータを読み取ることができる。また、メモリ230の読み取り/書き込み構造に応じて、メモリ230にデータを書き込むことができる。更に、メモリ230の構成によって、メモリ230に保存されたデータを現存のデータを補充するために更新したり、上書きしたりすることができる。更に、RFIDタグ200とリーダ230間に視線は不要なので、RFIDタグ200はスライド100の様々な面および位置に取り付けることができる。RFIDタグ200は、タグ200が見本120の分析を妨害しないようにスライド110の上面117に取り付けられることが好ましい。
【0021】
図3を参照すると、代替の実施例では、データストレージデバイス130が磁気媒体300である。当業者は、様々な磁気ストレージデバイス300を使用できることを認識するであろう。例示的な磁気デバイス300には、カリフォルニア州、ヒュラートン、サウスプレセンティアアベニュ、1047所在の識別テック社から入手可能な磁気符号化ストリップが含まれる。これらの例示的な磁気コード化ストリップと、関連するリーダは、ANSIおよびISO/IEC標準に基づく符号化特性に基づいており、様々なタイプの文字と数字を組み合わせた見本データを保存することができる。
【0022】
図4A−Cを参照すると、更なる代替の実施例では、データストレージデバイス130が光学データストレージデバイスである。一の例示的な光学データストレージデバイスは、図4Aに示すように、バーコード400、またはその他のバイナリ変調シンボルまたはデバイスである。バーコード400は、例えばスライド110の端部117において、スライド110に取り付けられている接着ラベル410の上に印刷することができる。代替的に、図4B−Cに示すようにスライド110の表面にマークをつけるあるいは情報をエッチング420することもできる。例えば、エッチング420は、様々なタイプ細胞見本あるいは生物見本情報を含むあるいは表す、ライン、パターン、テキスト、または数字420であっても良い。
【0023】
図5A−Bに示すように、見本情報は、ラベル500の上に直接印刷して、その後スライド110に取り付けたものであっても良い。様々な文字、数字、シンボル、その他のマーキング510を十分に小さいフォントでタイプすることもできるし、あるいは、ラベル500の上に記号でフィットさせることもできる。マーキング510は、裸眼で読み取ることができるものであっても良いし、拡大鏡や、顕微鏡などの拡大装置の助けを借りて読み取るものであっても良い。マーキング510のサイズ、したがって、ラベル500に保存できる情報量は、スライド110上に保存すべき情報の量と、入手可能なヴューイングデバイスに依存して、増減させることができる。
【0024】
データストレージデバイス130には、様々な量のデータを保存する様々な量のメモリが含まれる。更に、データストレージデバイスは、保存されたデータを更新するあるいは補充する場合に、データストレージデバイスへデータを書き込む、及び/又は、データストレージデバイスからデータを読み出すように構成することができる。したがって、本発明の実施例は、強化されたデータ保存能力と読み取り/書き込みオプションを具える。
【0025】
装置100と共に使用することができる様々な例示的データストレージデバイス230について述べてきたが、図6は、見本120の画像を生成し分析し、スライド100に取り付けたストレージデバイス130へデータを保存し、このデバイスからデータを取り出す一般的なシステム600を示す。例示的なシステム600は、上述したとおりデータストレージデバイス130を伴うスライド110と、撮像デバイスまたはシステム610、および、顕微鏡620やその他の好適なデバイスなどの、自動化したまたは半自動化した検査デバイスまたはシステムを具える。
【0026】
撮像システム610は、見本120をスキャンして、例えばソフトウエアプログラム612を用いて見本120部分の一連の画像630を生成または準備する。システム600は、必要であれば、顕微鏡620を用いて検査する前に画像630から関係のないデータを削除するフィルタまたはプロセッサ640を具える。限定するものではないが、アルファべット、数字、アルファベットと数字を組み合わせた識別子などのスライド、患者または見本の識別子650(まだ割り当てられていなければ)、撮像システム識別子651、画像630が画像システム610で生成された日付と時間を表示する時間スタンプ652、画像630を生成するのに使用された撮像システムソフトウエア612のバージョン653、以下に述べる興味のあるフィールド(FOIs)654の座標(x、y)を含む、画像システム610に関連する様々なタイプの情報とデータをデータストレージデバイス230に記録することができる。
【0027】
図7を参照すると、スライド見本120の分解図が示されており、撮像システム610は見本120の部分を同定することができる基準座標システム700を構築している。特に、撮像システム610は、基準座標システムを構築する3つの基準マーク:(X0、Y0)701;(X1、Y1)702;および(X2、Y2)703を配置している。これらの3つの座標701−703は、x=0、y=0を表す座標701を用いて基準グリッド700を構築している。見本120部分の画像630は、基準グリッド700に対してマッピングされる。
【0028】
撮像システム610は、画像630を処理または分析して、細胞検査技師による分析が更に必要な属性があるような細胞および細胞クラスタを有する画像を同定し選択する。一の実施例では、これらの属性は、悪性または前悪性の細胞に合致する属性である。いずれの場合でも、これらの同定された細胞は、興味のある対象物(Object of Interest:OOI)710として参照することができる。画像分析は、例えば、プログラムを実装したプロセッサを用いて行うことができる。一又はそれ以上のOOIs710は、規定された境界、または興味のあるフィールド(Field of Interest:FOI)720内で組織化することができる。FOI720は、様々な数のOOIs710を含めるために、様々なジオメトリを用いて、様々な方法で同定することができる。例えば、FOI720は、矩形、楕円形、三角形、多角形といった形状と大きさを有していてもよく、見本120の様々な部分と、様々な数のOOIs710をカバーすることができる。図7は、説明の目的で、四角形または長方形としてのFOIsを示している。したがって、4つの(x、y)座標を用いて、各FOIの境界を同定することができる。
【0029】
OOI710は、様々な基準に基づいてFOI720に割り当てることができる。例えば、対象であるOOI710が以前にFOI720に割り当てられていない場合は、OOI710を、FOI720に割り当てることができる。FOI720は、すべてのOOIs710を含むようにと、あるいは、FOI720中のOOIs720の数を最大または最小に制限するように規定することができる。OOIs710は、例えば、OOI710が診断上の興味のある細胞を有している見込みに基づいてランク付けすることもでき、このランキングに基づく特定のFOI720内の包含のために選択することもできる。一の実施例では、分析システム610は、基準座標システム700に関連して、22個のFOIs720、すなわち、22個の(X,Y)座標を構築して、一またはそれ以上のOOIs710を伴うFOIs720を同定または規定している。
【0030】
技術者は、22個のFOIs720に関連するあるいは割り当てられたOOIs710を顕微鏡620で分析する。この顕微鏡は、撮像システム610で同定された各FOI720のx−y座標を介して処理を行い、これらを技術者の視野内に配置する。好ましい実施例では、検査のためにFOIsが与えられている順番が、いわゆる「トラベリングセールスマン」アルゴリズムのバージョンによって左右され、結果として顕微鏡のステージの最小移動量となる。検査を行う間に、悪性または前悪性細胞を含んでいそうな、あるいはその他の症状を引き起こしそうな特定のFOIs720を同定することができる。技術者はこれらの同定されたFOIs720の座標をマークし、あるいは強調することができ、マークをつけたターゲットゾーン(Marked Target Zones:MTZs)730として引用される。
【0031】
図6を参照すると、画像630を考察し分析することに関連する様々なタイプの情報を、スライド110のデータストレージデバイス130内に保存することができる。この情報は、限定するものではないが、そのスライドまたは患者の識別子650、レビュースコープ620の識別子660、レビュースコープ620が使用された日付と時間を伴う時間スタンプ661、レビュースコープ分析620を実行した技術者の識別子662、レビュースコープのソフトウエア662のバージョン663、MTZsの数664、MTZsの座標665、MTZ730がFOI720内にあるかどうかの表示666、および自動スキャン667が行われたか否か、を含む。スライド見本を考察及び分析するためのシステム上の更なる情報は、米国特許第6,562,299号に見ることができる。
【0032】
図8を参照すると、本発明の例示的な装置と例示的なシステムの様々な構成を述べており、テストスライドに取り付けたデータストレージデバイスへの見本分析に関連するデータの局地的な保存と、このストレージデバイスからのデータの読み出しを行うための本発明の実施例を用いた方法の記載が提供されている。最初に、ステップ800において、データストレージデバイスが、スライドなどの生物見本キャリアに取り付けられる。例えば、データストレージデバイスは、スライドに添付されるラベルに取り付けたり、あるいは、被覆あるいは接着剤で取り付けることができる。ステップ805において、見本の複数の画像が、撮像システムによって生成される。ステップ810において、複数の画像のうちの一またはそれ以上の画像が分析される。ステップ815では、例えば、見本またはスライドの識別子、撮像システムに関連するデータ(例えば、識別子、ソフトウエアのバージョン、時間スタンプ)、および見本の考察システムまたは考察に関連するデータ(例えば、技術者と考察システムの識別子、ソフトウエアのバージョン、時間スタンプ、興味のあるフィールド、座標、マーカターゲットゾーン)など、見本あるいは見本分析に関するデータが、データストレージデバイスに局地的に保存される。ステップ820では、撮像システムからのデータが、データストレージデバイスに記録される。ステップ825では、レビュースコープからのデータが、データストレージデバイスに記録される。ステップ830では、記録されたデータを必要に応じて更新することができる。ステップ835では、ストレージデバイス内に局地的に保存されたデータに、技術者が、外部のデータベースあるいはネットワークに接続することなくアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面を参照すると、全体を通じて同じ符号で対応する部分を表している。
【図1】図1は、本発明にかかる、テストスライドなどの生物見本キャリアに取り付けたデータストレージデバイスの斜視図である。
【図2A】図2Aは、生物見本キャリアに取り付けられた接着ラベルに埋め込まれた高周波識別(Radio Frequency Identification:RFID)データストレージデバイスを示す。
【図2B】図2Bは、典型的なRFIDタグの部材を示す図である。
【図2C】図2Cは、典型的なRFIDタグシステムを示す図である。
【図3】図3は、生物見本キャリアに取り付けた磁気データストレージデバイスを示す図である。
【図4】図4Aは、生物見本キャリアに取り付けたバーコードラベル形式の光学ストレージデバイスを示す。図4Bないし4Cは、生物見本キャリアの表面内に形成させたエッチング形式の光学データストレージデバイスを示す。
【図5】図5Aおよび5Bは,生物見本キャリアに取り付けた印刷したキャリア情報または見本情報が付いたラベルを示す図である。
【図6】図6は、見本画像を生成し分析すると共に、生物見本のキャリアに取り付けたデータ保存デバイスにデータを局地的に保存し、取り出すシステムを示す図である。
【図7】図7は、技術者の検査用に、興味のある画像または対象をどのように組織化することができるかを示す図である。
【図8】図8は、見本画像を生成し分析すると共に、生物見本キャリアに取り付けたデータ保存デバイスにデータを局地的に保存し、取り出すための本発明のシステムを用いた方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物見本の分析装置において:
生物見本キャリアと;
前記キャリアに取り付けた読み出し/書き込みデータ保存デバイスと;を具え、
前記キャリアに担持されている生物見本の分析に関連するデータを、前記データストレージデバイスに保存し、このデバイスから取り出すことができることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記生物見本が細胞見本であることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記生物見本キャリアがスライドを具えることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、前記生物見本キャリアがバイアルを具えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置において、前記データストレージデバイスが高周波認識デバイスを具えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記データストレージデバイスが磁気ストレージデバイスを具えることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、前記データストレージデバイスが光学ストレージデバイスを具えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記生物見本の分析に関連するデータが、識別子、時間スタンプ、興味のあるフィールドの座標、あるいはマークしたターゲットゾーンの座標であることを特徴とする装置。
【請求項9】
生物見本を分析するシステムにおいて、
生物見本キャリアと;
前記キャリア内に担持されている生物見本の画像を得るように構成された撮像デバイスと;
前記撮像デバイスによって得た前記見本の画像を分析し、前記画像から前記見本中の対象物を同定するプログラムを実装したプロセッサと;
前記プログラムを実装したプロセッサによって同定された前記見本中の対象物を見るための顕微鏡と;
前記生物見本キャリアに取り付けられている読み出し/書き込みデータストレージデバイスと;を具え、
前記見本の分析に関連するデータを、前記データストレージデバイスに保存し、このデバイスから取り出すことができることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記生物見本が細胞見本であることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記生物見本キャリアがスライドを具えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記生物見本キャリアがバイアルを具えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記データストレージデバイスが高周波認識デバイスを具えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記データストレージデバイスが磁気ストレージデバイスを具えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記データストレージデバイスが光学ストレージ媒体を具えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記データが、前記見本中の同定された対象物の位置のスライド座標を具えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記見本の分析に関連するデータが、識別子、時間スタンプ、興味のあるフィールドの座標、あるいはマークしたターゲットゾーンの座標であることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−504458(P2007−504458A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525362(P2006−525362)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/027439
【国際公開番号】WO2005/027014
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(505364083)サイティック コーポレイション (7)
【Fターム(参考)】