説明

生理的状態分析方法、生理的状態分析システム、及びコンピュータシステムに生理的状態を分析するための処理を実行させるコンピュータプログラム

【課題】特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能な生理的状態分析システムを提供する。
【解決手段】生理的状態が既知である特定人の生体サンプル由来のmRNAに基づいて、1若しくはそれ以上の遺伝子の発現量を測定し、測定した遺伝子の発現量を、前記特定人の既知の生理的状態と、当該特定人の年齢その他の個体特徴情報とに関連付けて、遺伝子発現情報として格納し、前記既知の生理的状態毎に、前記遺伝子発現情報を少なくとも2以上の特定人について蓄積し、特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成し、分析目的の生理的状態が未知である分析対象者の遺伝子の発現量を、前記分析対象者の遺伝子発現情報として受け付け、前記分析対象者の遺伝子発現情報を、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルと比較することで、前記分析目的の生理的状態に関する指標値を出力することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能な生理的状態分析システム、このシステムによって実行される生理的状態分析方法、及びこのコンピュータシステムに生理的状態分析方法を実行させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の分子生物学的情報生成技術の発達により、特に医療分野において、生体サンプル中の特定のRNA分子の存在頻度(遺伝子発現情報)とその生体の状態との関連が明らかになりつつある。
【0003】
このような、医療処置を補助する情報としてRNA等の転写産物頻度を利用する医療行為では以下のような諸段階を経て医療が行われている。具体的には、まず癌やリウマチといった目的の疾患を特定し、その目的の疾患に罹患した患者を募り、その患者の了解の下で生体サンプルを収集する。その後、当該患者の身体的特徴と疾患の状態の情報とともに生体サンプルから取得した遺伝子発現情報を解析する。そして、その疾患の状態に相関のある転写産物を特定することによって、目的の疾患の分析を可能としている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、疾患という特殊な生理的状態に限らず、年齢、住所、性別、身体的特徴、職業、特定の生活習慣や住環境、労働環境等といった個人の特性又は特徴、境遇や環境に関しても、共通する遺伝子発現パターンが存在することは周知である。また、本発明者等は、筋肉疲労や労働疲労といった個人のある時点での生理的状態においても、共通する遺伝子発現パターンが存在することを確認しており、これは、学習疲労、精神疲労、睡眠不足、風邪やアレルギーといった疾患の進行度などの個人のある時点での生理的状態においても、共通する遺伝子発現パターンが存在することを示唆している。
【0005】
こうした個人の生活のときどきにおける生理的状態を反映する遺伝子発現情報を利用可能とすることは、例えば、疲労の度合や疲労回復における食品の効果、あるいは体調の維持改善を目的に行う運動や食生活の制御等の定量的な指標のない、あるいは、客観的判断が困難な生理的状態を可視的に明らかにすることを可能とする。また、生理的状態に相関した疾患の観察、風邪や生活習慣病等の多様な症状・疾患様態などの病理的状態の生理学的な分析・分類を可能とする。
【0006】
また、個人の特性又は特徴を反映する遺伝子発現情報と、上記のような生理的状態を反映する遺伝子発現情報とを組み合わせることにより、特定の個人にパーソナライズされた生理的特徴の指標の精度を向上させることが可能となる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能な生理的状態分析システム、このシステムによって実行される生理的状態分析方法、及びこのコンピュータシステムに生理的状態分析方法を実行させるためのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するために、本発明は、特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能な生理的状態分析システムによって実行される方法であって、(a)生理的状態が既知である特定人の生体サンプル由来のmRNAに基づいて、1若しくはそれ以上の遺伝子の発現量を測定する工程と、(b)前記測定した遺伝子の発現量を、前記特定人の既知の生理的状態と、当該特定人の年齢その他の個体特徴情報とに関連付けて、遺伝子発現情報として格納する工程と、(c)前記既知の生理的状態毎に、前記遺伝子発現情報を少なくとも2以上の特定人について蓄積し、特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成する工程と、(d)分析目的の生理的状態が未知である分析対象者の遺伝子の発現量を、前記分析対象者の遺伝子発現情報として受け付ける工程と、(e)前記分析対象者の遺伝子発現情報を、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルと比較することで、前記分析目的の生理的状態に関する指標値を出力する工程と、を有することを特徴とする方法、この方法を好適に実行できるシステム、及びコンピュータにこの方法を実行させるコンピュータプログラムを提供する。
【0009】
このような構成によれば、生理的状態が既知である特定人の生体サンプルをもとに、その遺伝子発現情報と、前記特定人の既知の生理的状態と、当該特定人の年齢その他の個体特徴情報とを関連付けて格納する構成としたため、特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析することが可能となる。
【0010】
本発明の一の実施形態によれば、この方法において、前記(c)工程は、前記特定人について蓄積された遺伝子発現情報を、前記生体サンプル毎及び/若しくは前記既知の生理的状態毎に標準化することによって、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成するものである。
【0011】
また、本発明の他の実施形態によれば、この方法において、前記特定人の既知の生理的状態は、前記生理的状態を引き起こす既知の生体情報を含むものであり、前記(e)工程は、前記生理的状態に関する指標値及び/若しくは前記生理的状態を引き起こす既知の生体情報に関する指標値を出力するものである。
【0012】
ここで、前記既知の生体情報は年齢であり、前記(e)工程は、前記分析対象者の年齢の指標値を出力するものであることが好ましい。
【0013】
また、本発明の別の実施形態によれば、この方法において、前記既知の生体情報は運動量で、前記生理的状態は当該運動量によって引き起こされる筋肉疲労であり、前記(e)工程は、前記分析対象者の運動量の指標値及び/若しくは当該運動量によって引き起こされる筋肉疲労に関する指標値を出力するものであっても良い。
【0014】
ここで、前記(d)工程は、前記分析対象者の平常時、運動中、運動後、休息後における遺伝子の発現量を受け付けるものであり、前記(e)工程は、前記分析対象者の平常時、運動中、運動後、休息後における運動量の指標値及び/若しくは当該運動量によって引き起こされる筋肉疲労に関する指標値を出力するものであることが好ましい。
【0015】
本発明の更なる他の一実施形態によれば、この方法において、前記(e)工程は、前記分析対象者の過剰労働量の指標値及び/若しくは当該過剰労働量によって引き起こされる労働疲労に関する指標値を出力するものである。
【0016】
また、本発明の更なる別の一実施形態によれば、この方法において、前記生理的状態は疾患の有無又は進行度であり、前記(e)工程は、前記分析対象者の疾患の有無又は進行度に関する指標値を出力するものである。
【0017】
本発明の他の一実施形態によれば、この方法において、前記特定人の既知の生理的状態は、前記生理的状態を引き起こす既知の食品又は薬剤を含むものであり、前記(e)工程は、前記生理的状態に関する指標値及び/若しくは前記生理的状態を引き起こす既知の食品又は薬剤に関する指標値を出力するものである。
【0018】
ここで、前記(d)工程は、特定の食品又は薬剤の摂取前と摂取後とにおける前記分析対象者の遺伝子の発現量を受け付けるものであり、前記(e)工程は、前記分析対象者の特定の食品又は薬剤の摂取前と摂取後とにおける指標値を出力するものであることが好ましい。
【0019】
また本発明の更なる他の一実施形態によれば、この方法において、前記生体サンプルは、当該生体サンプルに係る特定人を特定可能な情報を含まないものである。
【0020】
また、この発明の第2の主要な観点によれば、特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能な生理的状態分析システムであって、(a)生理的状態が既知である特定人の生体サンプル由来のmRNAに基づいて、1若しくはそれ以上の遺伝子の発現量を測定する手段と、(b)前記測定した遺伝子の発現量を、前記特定人の既知の生理的状態と、当該特定人の年齢その他の個体特徴情報とに関連付けて、遺伝子発現情報として格納する手段と、(c)前記既知の生理的状態毎に、前記遺伝子発現情報を少なくとも2以上の特定人について蓄積し、特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成する手段と、(d)分析目的の生理的状態が未知である分析対象者の遺伝子の発現量を、前記分析対象者の遺伝子発現情報として受け付ける手段と、(e)前記分析対象者の遺伝子発現情報を、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルと比較することで、前記分析目的の生理的状態に関する指標値を出力する手段と、を有することを特徴とするシステムが提供される。
【0021】
このような構成によれば、上記した生理的状態分析方法を実行するためのシステムが提供される。
【0022】
また、この発明の第3の主要な観点によれば、特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能なコンピュータシステムの記憶装置に格納され、このコンピュータシステムに、生理的状態を分析するための処理を実行させるコンピュータプログラムであって、(a)生理的状態が既知である特定人の生体サンプル由来のmRNAに基づいて、1若しくはそれ以上の遺伝子の発現量を測定する工程と、(b)前記測定した遺伝子の発現量を、前記特定人の既知の生理的状態と、当該特定人の年齢その他の個体特徴情報とに関連付けて、遺伝子発現情報として格納する工程と、(c)前記既知の生理的状態毎に、前記遺伝子発現情報を少なくとも2以上の特定人について蓄積し、特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成する工程と、(d)分析目的の生理的状態が未知である分析対象者の遺伝子の発現量を、前記分析対象者の遺伝子発現情報として受け付ける工程と、(e)前記分析対象者の遺伝子発現情報を、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルと比較することで、前記分析目的の生理的状態に関する指標値を出力する工程と、を有することを特徴とするコンピュータプログラムが提供される。
【0023】
このような構成によれば、上記した生理的状態分析システムに上記した生理的状態分析方法を実行さためのコンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、遺伝子発現頻度として測定される生物の生理的状態を指標として、各種対外的要因の注目する生理的状況に対する影響を、客観的に得ることが可能となる。具体的には、従来、客観的な指標の設定が困難であった、年齢、特定品目や量の食品の摂取やダイエット、体調管理のための運動、疲労(筋肉、労働、学習、記憶、反射神経、徹夜)、成長効果(学習、筋力)、体調の変化(感染症、花粉症自己免疫疾患、慢性ウィルス疾患への罹患と病気の進行・回復)等の生理学的状態に対して、恣意的でない、標準化された指標値が提供可能となり、個人における注目する生理学的状態のモニタリングや、注目する生理学的状態改善のための商品の研究開発や、病理学的状態の生理学的な分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
本実施形態に係る生理的状態分析システムは、生理的状態が既知である特定人の生体サンプル収集し、その遺伝子発現頻度の測定を行い、その測定した遺伝子発現頻度を当該特定人の個体情報および生理的状態の情報と共に蓄積することで、生理的状態が未知である分析対象者の目的の生理学的状態を得ることを可能にするものである。
【0027】
(全体構成)
まず、図1を参照して、本実施形態によって実現される遺伝子生理状態計測・解析・提供スキームの概要を説明する。
【0028】
図1に符号1で示す生理的状態分析システムは、遺伝子生理状態計測・解析システム2と、この遺伝子生理状態計測・解析システム2と専用回線や公衆回線等の通信ネットワークによって電子的に接続される遺伝子生理状態計測・提供システム3とによって構成されている。
【0029】
前記遺伝子生理状態計測・解析システム2は、生理的状態が既知の特定人4から分子診断検査用RNA採血管等で採取された核酸を含む生体サンプル5を元に核酸分析を行う核酸分析装置6と、前記生体サンプル5に前記生理的状態が既知の特定人4を特定可能な個人情報が含まれていないことを確認する個人情報確認装置7と、前記核酸分析装置6から得られる遺伝子発現頻度(転写産物頻度、転写産物の絶対頻度、翻訳産物頻度、等)の測定値を含む核酸分析結果7と前記生理的状態が既知の特定人4から得た既知の個体特徴情報や生理的状態を表す個体・生理情報9とを関連付けて格納する遺伝子発現・個体・生理情報DB10と、前記核酸分析結果8の標準化処理等を行う核酸分析結果処理システム11と、目的の生理状態を反映する値(遺伝子生理状態計測値)を計測するための遺伝子発現プロファイル12を前記遺伝子発現・個体・生理情報DB10に格納された情報を元に生成する遺伝子発現生理状態分析システム13と、を備えている。
【0030】
前記核酸分析装置7は、前記生理的状態が既知の特定人4から得られた生体サンプル5についてマイクロアレイ法、PCR法、ボディーマップ法、RT−PCR、ビーズ法、SAGE法、高速シーケンシング法等の核酸分析を行って、転写産物頻度情報、特定転写産物存在情報、特定転写構造情報等の核酸分析結果8を得る。この核酸分析結果8は、前記生理的状態が既知の特定人4から得られた個体・生理情報9に関連付けられて、遺伝子発現・個体・生理情報DB10に格納される。ここで、前記個体・生理情報9とは、個々の特定人における年齢、性別、身長、体重、血液型、職業(職種)、住所、生活習慣、生活・労働環境、勤務実態、サンプル収集時点の運動量や運動後の経過時間、摂食内容、睡眠時間、等の個人に関する肉体的・精神的状態等を表す任意の情報である。
【0031】
前記核酸分析結果処理システム11は、前記核酸分析装置6から得られた核酸分析結果8を、例えばQuantile NormalizationやLoess/Lowess Normalization等の方法を用いて標準化する。そして、この標準化された核酸分析結果8は、前記遺伝子発現・個体・生理情報DB9に格納される。
【0032】
前記遺伝子発現生理状態分析システム13は、前記遺伝子発現・個体・生理学情報DB10に十分なデータが蓄積されると、この遺伝子発現・個体・生理情報DB10から取得した情報を元に前記遺伝子発現プロファイル12を生成する。そして、この遺伝子発現プロファイル12を遺伝子生理状態計測値の計測のために、遺伝子生理状態計測・提供システム3の遺伝子生理状態計測システム19に送信する。
【0033】
この遺伝子発現プロファイル12の生成には、複数の特定人4の標準化された核酸分析結果8が用いられる。また、これ以外に、遺伝子発現・個体・生理学情報DB10に蓄積された個体・生理情報9を用いることによって、遺伝子発現プロファイル12の対象サンプルをカテゴライズすることにより、算出精度を向上させることも有効である。
【0034】
また、前記遺伝子生理状態計測・提供システム3は、生理的状態が未知の分析対象者14由来の核酸を含む生体サンプル15を元に核酸分析を行う核酸分析装置16と、この核酸分析装置16から得られる核酸分析結果17と前記生理的状態が未知の分析対象者14から得た個体・生理情報18と前記遺伝子生理状態計測・解析システム2で得られる遺伝子発現プロファイル12とを用いて遺伝子生理状態を計測する遺伝子生理状態計測システム19と、この遺伝子生理状態計測システム19によって計測された遺伝子生理状態計測値を出力する出力部20と、を備えている。
【0035】
前記遺伝子生理状態計測システム19は、前記核酸分析装置6と同様の機能を有する核酸分析装置16から得た核酸分析結果17と前記分析対象者14の個体・生理情報18と共に、前記遺伝子生理状態計測・解析システム2から送信された遺伝子発現プロファイル12を取得し、遺伝子生理状態計測値を計測する。
【0036】
なお、前記特定人4および前記分析対象者14は、ヒトであることが好ましいが、ヒト以外の他の動植物(マウス、イネなど)であっても良い。
【0037】
また図1では、遺伝子生理状態計測・解析システム2および遺伝子生理状態計測・提供システム3は、独立した2つのシステムとして構成され、遺伝子発現プロファイル12の生成と利用とを独立して実施可能なシステムとして表現しているが、両システムの機能を合同し、1つのシステムとすることも可能である。
【0038】
(システム構成)
次に、図2の機能ブロック図を参照して、上記した生理的状態分析システム1の構成を説明する。なお、本図においては、図1における遺伝子生理状態計測・解析システム2および遺伝子生理状態計測・提供システム3を、生理的情報分析システム1として、単一のシステムで実現した場合を示している。
【0039】
この生理的情報分析システム1は、コンピュータシステムに内蔵されたCPU21にシステムバス22を介してRAM23、ROMやHDD、磁気ディスクなどの外部記憶装置24及び入出力インターフェース(I/F)25が接続されて構成される。入出力I/F25には、キーボードやマウスなどの入力装置26、ディスプレイなどの出力装置27、及びモデムなどの通信デバイス28が夫々接続されている。外部記憶装置24は、遺伝子発現・個体・生理情報DB10とプログラム格納部29とを備えている。何れも、記憶装置24内に確保された一定の記憶領域である。
【0040】
このようなハードウェア構成において、入力装置26を介して各種の指令(コマンド)が入力されることで、又は通信I/Fや通信デバイス28等を介してコマンドを受信することで、この記憶装置24にインストールされたソフトウェアプログラムがCPU21によってRAM23上に呼び出されて展開され実行されることで、OS(オペレーションシステム)と協働してこの発明の機能を奏するようになっている。
【0041】
遺伝子発現・個体・生理情報DB10には、前記特定人4由来の核酸分析結果8や既知の個体・生理情報9等、若しくは通信デバイス28等を介して取得した情報が随時書き込まれ、更新される。具体的には、この遺伝子発現・個体・生理情報DB10は、図3に示すように、サンプルを提供する特定人4の情報を格納するサンプル提供者マスタテーブル31、遺伝子発現データ収集のための実験種別の情報を格納する実験種別マスタ32、遺伝子発現情報を収集する対象である各種遺伝子の情報を格納する遺伝子マスタ33、及び各種既知の個体・生理情報の情報を格納する既知の個体・生理情報マスタテーブル34を備えている。サンプル提供者(特定人4)、実験種別、遺伝子及び既知の個体・生理情報の情報を各マスタテーブルで管理することにより、蓄積対象となるサンプルに帰属する情報を、各マスタテーブルにおいて定義されたIDにより管理することが可能となる。
【0042】
この遺伝子発現・個体・生理情報DB10には、サンプルのエントリー情報として、サンプル提供者ID35、実験種別ID36、サンプル情報37、核酸分析結果38、既知の個体・生理情報39、及び標準化核酸分析結果40がサンプルID41に関連付けて格納される。ここで、標準化核酸分析結果40は、核酸分析結果8を核酸分析結果処理システム11によって処理して得られる情報である。
【0043】
また、プログラム格納部21に格納されるコンピュータプログラムは、コンピュータを、上記した核酸分析結果処理システム11、遺伝子発現生理状態分析システム13、遺伝子生理状態計測システム19、及び個人情報確認装置7として構成するものであり、具体的には以下の各機能を備えている。
【0044】
すなわち、核酸分析結果処理システム11は、遺伝子発現量標準化機能を、遺伝子発現生理状態分析システム13は、遺伝子発現・個体・生理情報取得機能、遺伝子発現プロファイル生成機能、及び遺伝子発現プロファイル送信機能を、遺伝子生理状態計測システム19は、核酸分析結果取得機能、個体・生理情報取得機能、遺伝子発現プロファイル受信機能、及び遺伝子生理状態計測機能を、個人情報確認装置7は、個人情報監視機能を夫々備えている。これらの各機能は、夫々が独立したコンピュータプログラムやそのモジュール、ルーチンなどであり、上記CPU21によって実行されることでコンピュータを各システムや装置として構成させるものである。なお、以下においては、夫々のシステムにおける各機能が協働して夫々のシステムを構成しているものとする。
【0045】
(フローチャート)
次に、図4および図7のフローチャートを参照して、各システムや装置の具体的な動作を説明する。
【0046】
図4は、遺伝子生理状態計測・解析システムにおいて、生体サンプル5から目的の遺伝子生理状態を表わす遺伝子発現プロファイル12を得る処理フローを示すフローチャートである。なお、このフローチャートにおいては、便宜のため、前記生理的状態が既知の特定人4をサンプル提供者と称することとする。また、図中の各符号S1〜S6は、以下の説明中の各ステップS1〜ステップS6に対応するものである。
【0047】
まず、ステップS1において、サンプル提供者から血液等の生体サンプル5が採取される。このステップでは、生体サンプル5取得に加え、サンプル提供者に関連する既知の個体・生理情報9が取得され、遺伝子発現・個体・生理情報DB10に保存される。なお、前記採取される生体サンプル5は、血液であることが好ましいが、皮膚、粘膜、毛髪、等の分子生物学的手法によって当該生体サンプル5からDNAやRNA等の遺伝子発現情報が得られるものであれば良い。
【0048】
ステップS1において採取された生体サンプル5は、ステップS2において、核酸分析装置6によって処理され、遺伝子発現量のデータを含む核酸分析結果8が得られる。得られた核酸分析結果8は、ステップS1において取得されたサンプル提供者の既知の個体・生理情報9と関連付けられて、遺伝子発現・個体・生理情報DB10に保存される。
【0049】
続いてステップS3において、ステップ2において得られ蓄積された核酸分析結果8が任意の標準化の手法を用いて標準化される。この標準化された核酸分析結果8は、遺伝子発現・個体・生理情報DB10に保存される。標準化の手法としては、例えば、Quantile normalizationやLoess/Lowess Normalization等による方法が有効であるが、これに限られるものではない。例えばQuantile normalizationでは、例えばデータ1の上から3番目のシグナル値と、データ2の上から3番目のシグナル値を、これらの平均で代替するように計算し、これをすべての遺伝子について行う。アルゴリズムが単純であるため、遺伝子数が増えても比較的高速に計算することができ、有効な方法といえる。
【0050】
以上のステップS1〜ステップS3は、少なくとも2以上の生体サンプル5について繰り返され、複数の核酸分析結果8および既知の個体・生理情報9が遺伝子発現・個体・生理情報DB10に蓄積される。
【0051】
複数の生体サンプル5について標準化された核酸分析結果8が蓄積されると、ステップS4において、複数の生体サンプル5において共通に測定された各遺伝子について、標準化された核酸分析結果8の変化と、同じサンプルセットにおける目的とする個体・生理情報9の変化との相関値が計算される。相関値を算出する最良の形態の具体例として、遺伝子毎の相関値の計算においては、生体サンプル5間の平均値を標準偏差で除算する等によって発現値の正規化を行い、正規化発現値に対して目的の個体・生理情報9との相関が最大となる線形関数の係数を算出することが挙げられる。正規化発現値の算出に必要なパラメータは、遺伝子発現プロファイル12の構成要素であることが望ましい。
【0052】
上記相関値が算出されると、目的とする個体・生理情報9との相関が高い順に各遺伝子がソートされ、遺伝子リストが生成される(ステップS5)。続いてステップS6において、ステップS5で生成された遺伝子リストを用いて回帰式が作成される。具体的には、例えば、遺伝子リストの上位から複数の遺伝子の正規化発現値から、目的の個体・生理情報9との多変量関数が最大となる係数が算出され、その係数が極大となる遺伝子の数とそのときの係数とが得られ、これが遺伝子発現プロファイル12となる。
【0053】
図5は、遺伝子発現プロファイル12の例を示す模式図である。図中に符号51で示した回帰式は、目的の個体・生理情報9を「年齢」とし、異なる100個の生体サンプル(血液サンプル)5から遺伝子発現頻度情報を算出し、図4に示す一連のステップによってサンプル提供者の年齢に相関が高くなるように求めたものである。ここで、係数52は、サンプル提供者の年齢に相関の高い遺伝子の上位9遺伝子について、その標準化・正規化発現量53に対して、多変量としてより相関が高くなるように求めたものである。
【0054】
図6は、図5に示す遺伝子発現プロファイルの算出結果を出力するユーザインターフェース61の例を示す模式図である。図6中の画面左側に表示されるグラフにおいて、縦軸62および横軸63は、それぞれ、遺伝子発現プロファイル12の値および目的の固有・生理情報9の値を示す。本図においては、例として、横軸63は、サンプル提供者の個体情報である「年齢」を示している。また図6中の画面右側に表示されるリストにおいて、遺伝子発現測定対象の遺伝子が、個別に、目的の個体・生理情報9に対して相関の高い順にリストアップされる。ここでは、例として、遺伝子名67、個別の遺伝子と目的の個体・生理情報9との間の相関値68、相関値の得られる確率69を表示した。本図では、上記リスト中の上位9種類の遺伝子が選択され、同9種類の遺伝子による、目的の個体・生理情報9に対して最も相関が高くなる遺伝子発現プロファイル12の係数が計算され、各生体サンプル5を示すその値64が上記グラフにプロットされている。本実施形態では、上位9遺伝子によって図5に示す遺伝子発現プロファイル12が生成され、これは、目的の個体・生理情報9との間の相関係数が0.841、確率が0.001未満であり、サンプル提供者の年齢を良く反映する遺伝子発現プロファイル12が得られたことが分かる。
【0055】
図7は、遺伝子生理年齢計測・提供システム3における処理フローの例を示すフローチャートである。本図では、目的の個体・生理情報9を「年齢」としたときの例を示した。なお、図中の各符号S1〜S9は、以下の説明中の各ステップS1〜ステップS9に対応するものである。
【0056】
まず、計測目的とする生理的状態が未知である分析対象者14(被験者)から生体サンプル15が採取され(ステップS1)、核酸分析装置16によって生体サンプル15における遺伝子発現量が測定される(ステップS2)。遺伝子発現量が測定されると、その測定された遺伝子発現量が標準化され(ステップS3)、遺伝子生理年齢計測・解析システム2から送信された遺伝子発現プロファイル12を用いた遺伝子生理的年齢の計算が行われる(ステップS4)。これにより、分析対象者14の生体サンプル15提供時における遺伝子生理的年齢を報告することが可能となる。この得られた遺伝子生理的年齢を図6に示される画面中に表示することにより、遺伝子発現プロファイル12作成時の生理的状態が既知である特定人4のデータと比較した上で、計測目的とする分析対象者14のデータを確認することが可能である。また、その際、遺伝子発現プロファイル12から誤差範囲情報を求め、分析対象者14のデータに関連付けて表示することが効果的である。
【0057】
さらに、分析対象者14が生理的状態を変化させる要因を経た後に新たに生体サンプル15を採取することにより、当該生理的状態を変化させる要因が遺伝子生理的年齢に与える影響を報告することが可能となる。この場合、分析対象者14が生理的状態を変化させる要因を経た後に、この分析対象者14から新たに生体サンプル15が採取され(ステップS5)、核酸分析装置16によって遺伝子発現量が測定され(ステップS6)、その遺伝子発現量の標準化が行われ(ステップS7)、遺伝子発現プロファイル12を用いた遺伝子生理的年齢の計算が行われる(ステップS8)。この遺伝子生理的年齢の計算が行われると、ステップS1〜ステップS4で得られた分析対象者14が生理的状態を変化させる要因を経る前(初期状態)の遺伝子生理的年齢と比較される(ステップS9)。これにより、当該生理的状態を変化させる要因が遺伝子生理的年齢に与える影響を報告することが可能となる。
【0058】
この生理的状態を変化させる要因としては、特定の食品や特定量の食品の摂取、ダイエット、体調管理のための運動、疲労(筋肉、労働、学習、記憶、反射神経、徹夜)、成長効果(学習、筋力)、体調の変化(感染症、花粉症自己免疫疾患、慢性ウィルス疾患への罹患と病気の進行・回復)、運動前後あるいは運動時に使用・着用する器具・装置・衣類、血流制御や神経刺激(マッサージ、針、冷却、温熱等)等が挙げられる。また、分析対象者14の初期状態として、特殊な生理的状態を設定することにより、その状態からの生理的な変化を報告することも可能である。例えば、運動により筋肉疲労負荷をかけた状態を初期状態とし、運動の継続や休息による遺伝子生理的状態変化や、運動の継続や休息時の特定食品の摂食による遺伝子生理的状態の変化を報告することが可能である。すなわち、分析対象者14の個人的な遺伝子生理的状態の報告に加え、遺伝子生理的状態に変化を与える要因の報告が可能となる。また、遺伝子発現・個体・生理情報DB10に蓄積された情報より、特定の生理的状態を変化させる要因毎に典型的な生理的状態変化のパターンを算出することにより、分析対象者14の特定の生理的状態における現時点の状態や、これからの状態変化の予測を行うことも可能となる。また、遺伝子発現・個体・生理情報DB10に蓄積された情報より、特定の病理学的状態にある特定人4の遺伝子生理的状態の特徴を抽出することにより、病理学的状態の生理学的な分類・分析(疾患と老化の関係等)が可能となる。
【0059】
その他、この発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るシステム構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る生理的状態分析システムの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る既知の個体・生理情報DBのデータ構成を示す概略構成図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る遺伝子生理状態計測・解析システムの処理フローを示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る遺伝子発現プロファイルの例を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る遺伝子発現プロファイルによるサンプルの分布の例を示す模式図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る遺伝子生理年齢計測・提供システムの処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1...生理的状態分析システム
2...遺伝子生理状態計測・解析システム
3...遺伝子生理状態計測・提供システム
4...生理的状態が既知である特定人
5...生理的状態が既知である特定人の生体サンプル
6...核酸分析装置
7...個人情報確認装置
8...生理的状態が既知である特定人の生体サンプルの核酸分析結果
9...生理的状態が既知である特定人の既知の個体・生理情報
10...遺伝子発現・個体・生理情報DB
11...核酸分析結果処理システム
12...遺伝子発現プロファイル
13...遺伝子発現生理状態分析システム
14...分析対象者
15...分析対象者の生体サンプル
16...核酸分析装置
17...分析対象者の生体サンプルの核酸分析結果
18...分析対象者の既知の個体・生理情報
19...遺伝子生理的状態計測システム
20...出力部
21...CPU
22...システムバス
23...RAM
24...外部記憶装置
25...入出力インターフェース(I/F)
26...入力装置
27...出力装置
28...通信デバイス
29...プログラム格納部
31...サンプル提供者マスタテーブル
32...実験種別マスタ
33...遺伝子マスタ
34...既知の個体・生理情報マスタテーブル
35...サンプル提供者ID
36...実験種別ID
37...サンプル情報
38...核酸分析結果
39...既知の個体・生理情報
40...標準化核酸分析結果
41...サンプルID
51...回帰式
52...係数
53...標準化・正規化発現量
61...ユーザインターフェース
62...縦軸
63...横軸
64...遺伝子名
65...相関値
66...相関値の得られる確率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能な生理的状態分析システムによって実行される方法であって、
(a)生理的状態が既知である特定人の生体サンプル由来のmRNAに基づいて、1若しくはそれ以上の遺伝子の発現量を測定する工程と、
(b)前記測定した遺伝子の発現量を、前記特定人の既知の生理的状態と、当該特定人の年齢その他の個体特徴情報とに関連付けて、遺伝子発現情報として格納する工程と、
(c)前記既知の生理的状態毎に、前記遺伝子発現情報を少なくとも2以上の特定人について蓄積し、特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成する工程と、
(d)分析目的の生理的状態が未知である分析対象者の遺伝子の発現量を、前記分析対象者の遺伝子発現情報として受け付ける工程と、
(e)前記分析対象者の遺伝子発現情報を、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルと比較することで、前記分析目的の生理的状態に関する指標値を出力する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記(c)工程は、前記特定人について蓄積された遺伝子発現情報を、前記生体サンプル毎及び/若しくは前記既知の生理的状態毎に標準化することによって、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、
前記特定人の既知の生理的状態は、前記生理的状態を引き起こす既知の生体情報を含むものであり、
前記(e)工程は、前記生理的状態に関する指標値及び/若しくは前記生理的状態を引き起こす既知の生体情報に関する指標値を出力するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法において、
前記既知の生体情報は年齢であり、
前記(e)工程は、前記分析対象者の年齢の指標値を出力するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法において、
前記既知の生体情報は運動量で、前記生理的状態は当該運動量によって引き起こされる筋肉疲労であり、
前記(e)工程は、前記分析対象者の運動量の指標値及び/若しくは当該運動量によって引き起こされる筋肉疲労に関する指標値を出力するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、
前記(d)工程は、前記分析対象者の平常時、運動中、運動後、休息後における遺伝子の発現量を受け付けるものであり、
前記(e)工程は、前記分析対象者の平常時、運動中、運動後、休息後における運動量の指標値及び/若しくは当該運動量によって引き起こされる筋肉疲労に関する指標値を出力するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項3記載の方法において、
前記既知の生体情報は過剰労働量で、前記生理的状態は当該過剰労働量によって引き起こされる労働疲労であり、
前記(e)工程は、前記分析対象者の過剰労働量の指標値及び/若しくは当該過剰労働量によって引き起こされる労働疲労に関する指標値を出力するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項3記載の方法において、
前記生理的状態は疾患の有無又は進行度であり、
前記(e)工程は、前記分析対象者の疾患の有無又は進行度に関する指標値を出力するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、
前記特定人の既知の生理的状態は、前記生理的状態を引き起こす既知の食品又は薬剤を含むものであり、
前記(e)工程は、前記生理的状態に関する指標値及び/若しくは前記生理的状態を引き起こす既知の食品又は薬剤に関する指標値を出力するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、
前記(d)工程は、特定の食品又は薬剤の摂取前と摂取後とにおける前記分析対象者の遺伝子の発現量を受け付けるものであり、
前記(e)工程は、前記分析対象者の特定の食品又は薬剤の摂取前と摂取後とにおける指標値を出力するものである
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、
前記生体サンプルは血液である
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、
前記生体サンプルは、当該生体サンプルに係る特定人を特定可能な情報を含まないものである
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能な生理的状態分析システムであって、
(a)生理的状態が既知である特定人の生体サンプル由来のmRNAに基づいて、1若しくはそれ以上の遺伝子の発現量を測定する手段と、
(b)前記測定した遺伝子の発現量を、前記特定人の既知の生理的状態と、当該特定人の年齢その他の個体特徴情報とに関連付けて、遺伝子発現情報として格納する手段と、
(c)前記既知の生理的状態毎に、前記遺伝子発現情報を少なくとも2以上の特定人について蓄積し、特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成する手段と、
(d)分析目的の生理的状態が未知である分析対象者の遺伝子の発現量を、前記分析対象者の遺伝子発現情報として受け付ける手段と、
(e)前記分析対象者の遺伝子発現情報を、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルと比較することで、前記分析目的の生理的状態に関する指標値を出力する手段と、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項14】
特定人の生体サンプルによって当該特定人の現状の生理的状態を分析可能なコンピュータシステムの記憶装置に格納され、このコンピュータシステムに、生理的状態を分析するための処理を実行させるコンピュータプログラムであって、
(a)生理的状態が既知である特定人の生体サンプル由来のmRNAに基づいて、1若しくはそれ以上の遺伝子の発現量を測定する工程と、
(b)前記測定した遺伝子の発現量を、前記特定人の既知の生理的状態と、当該特定人の年齢その他の個体特徴情報とに関連付けて、遺伝子発現情報として格納する工程と、
(c)前記既知の生理的状態毎に、前記遺伝子発現情報を少なくとも2以上の特定人について蓄積し、特定生理的状態遺伝子発現プロファイルを作成する工程と、
(d)分析目的の生理的状態が未知である分析対象者の遺伝子の発現量を、前記分析対象者の遺伝子発現情報として受け付ける工程と、
(e)前記分析対象者の遺伝子発現情報を、前記特定生理的状態遺伝子発現プロファイルと比較することで、前記分析目的の生理的状態に関する指標値を出力する工程と、
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−134773(P2010−134773A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311346(P2008−311346)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(501002172)株式会社DNAチップ研究所 (33)
【出願人】(503293444)ビッツ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】