説明

生産管理システム

【課題】作業者の作業待ちや作業の作業者待ちを低減する生産管理システムの提供。
【解決手段】作業者情報記録部10は、作業者の処理能力を記録する。装置情報記録部12は、作業者が作業に使用する装置の処理能力を記録する。作業実績記録部14は、作業者が行った作業の作業実績を記録する。生産要求入力部16は、製品の品種、数量及び納期を含む生産要求が入力される。ホストコンピュータ18は、作業者情報記録部10、装置情報記録部12及び作業実績記録部14に記録された情報を元に、生産要求入力部16に入力された生産要求を達成するために作業者が行うべき作業を示す作業指示を順番に出力する。このホストコンピュータ18が出力した作業指示を生産情報表示端末20,22や携帯端末24,26などの表示端末が表示する。ここで、ホストコンピュータ18は、作業者がある作業を完了する前でも作業者に他の作業を行うように作業指示を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品を生産する生産ラインにおいて複数の作業を掛け持ちする作業者に行うべき作業を順番に指示する生産管理システムに関し、特に作業者の作業待ちや作業の作業者待ちを低減することができる生産管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品を生産する生産ラインにおいて、作業者に行うべき作業を順番に指示するために生産管理システムが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−215215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の生産管理システムは、生産要求を達成するための生産スケジュールと作業者割付と装置割付を計算する際に、各作業の開始・終了のスケジュールを優先し、作業者の作業効率を考慮していなかった。このため、作業者がある作業を完了するまでは、作業者に他の作業を行うように指示することはなかった。従って、作業者が複数の作業を掛け持ちして同時に並行して行う場合、取り掛かる作業が無くて作業待ちとなる作業者や、取り掛かれる作業者がいなくて作業者待ちとなる作業も頻発していた。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、作業者の作業待ちや作業の作業者待ちを低減することができる生産管理システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、製品を生産する生産ラインにおいて複数の作業を掛け持ちする作業者に行うべき作業を順番に指示する生産管理システムであって、前記作業者の処理能力を含む作業者情報を記録する作業者情報記録部と前記作業者が作業に使用する装置の処理能力を含む装置情報を記録する装置情報記録部と、前記作業者が行った作業の作業実績を記録する作業実績記録部と、前記製品の品種、数量及び納期を含む生産要求が入力される生産要求入力部と、前記作業者情報記録部、前記装置情報記録部及び前記作業実績記録部に記録された情報を元に、前記生産要求入力部に入力された生産要求を達成するために前記作業者が行うべき作業を示す作業指示を順番に出力するホストコンピュータと、前記ホストコンピュータが出力した前記作業指示を表示する表示端末とを備え、前記ホストコンピュータは、前記作業者がある作業を完了する前でも前記作業者に他の作業を行うように作業指示を出力することを特徴とする生産管理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、作業者の作業待ちや作業の作業者待ちを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る生産管理システムを示す図である。
【図2】図1のホストコンピュータが出力した作業指示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施の形態に係る生産管理システムを示す図である。この生産管理システムは、製品を生産する生産ラインにおいて複数の作業を掛け持ちする作業者に行うべき作業を順番に指示するシステムである。
【0010】
作業者情報記録部10は、作業者の処理能力を記録する。装置情報記録部12は、作業者が作業に使用する装置の処理能力を記録する。作業実績記録部14は、作業者が行った作業の作業実績を記録する。生産要求入力部16は、製品の品種、数量及び納期を含む生産要求が入力される。
【0011】
ホストコンピュータ18は、作業者情報記録部10、装置情報記録部12及び作業実績記録部14に記録された情報を元に、生産要求入力部16に入力された生産要求を達成するための生産スケジュールと作業者割付と装置割付を計算する。そして、ホストコンピュータ18は、この計算結果から作業者が行うべき作業を示す作業指示を順番に出力する。このホストコンピュータ18が出力した作業指示を、所定の場所に固定された生産情報表示端末20,22や作業者が携帯する携帯端末24,26などの表示端末が表示する。
【0012】
図2は、図1のホストコンピュータが出力した作業指示を示す図である。まず、作業Aの開始作業を指示する(S1)。次に、作業Aのマシンタイム中に作業Bの開始作業を指示する(S2)。次に、作業A及び作業Bのマシンタイム中に作業Cの開始作業を指示する(S3)。次に、作業Aの終了作業を指示する(S4)。次に、作業B及び作業Cのマシンタイム中に2回目の作業Aの開始作業を指示する(S5)。次に、作業Cの終了作業を指示する(S6)。次に、作業Bの終了作業を指示する(S7)。次に、作業Aのマシンタイム中に2回目の作業Bの開始作業を指示する(S8)。
【0013】
このようにホストコンピュータ18は、作業者がある作業を完了する前でも作業者に他の作業を行うように作業指示を出力する。これにより、作業者の作業待ちや作業の作業者待ちを低減することができる。従って、人員、設備及び生産時間を低減することができる。
【0014】
また、ホストコンピュータ18は、作業実績記録部14に記録された作業実績を自動取得し、それを統計処理して作業者情報記録部10に記録された作業者情報を自動更新する。これにより、システム管理担当者が定期的に作業者情報を更新する必要はない。そして、作業者の処理能力が作業経験により時間とともに変化しても、作業者情報記録部10は最新の作業者情報を保有することができる。
【0015】
また、ホストコンピュータ18は、作業実績記録部14に記録された作業実績を自動取得し、それを統計処理して装置情報記録部12に記録された装置情報を自動更新する。これにより、システム管理担当者が定期的に装置情報を更新する必要はない。そして、装置の処理能力が装置の改善などにより時間とともに変化しても、装置情報記録部12は最新の装置情報を保有することができる。
【0016】
また、作業指示を表示する表示端末として作業者が携帯する携帯端末24,26を用いることで、作業者は所定の場所に固定された生産情報表示端末20,22まで作業指示を見に行く必要がない。従って、作業者に作業指示が伝わる時間を短縮することもできる。
【0017】
また、装置異常や製品の品質異常などの突発的な状況変化により作業の優先順序が変更された場合、ホストコンピュータ18は、作業者が第1の作業を行っている途中でも、第1の作業を中断して第1の作業よりも優先順位の高い第2の作業を開始するように携帯端末24,26を介して作業者に指示する。これにより、作業の優先順序が変更された場合でも、より優先順位の高い作業を作業者に遅滞無く開始させることができる。
【0018】
また、従来は、現在の作業者の人数・処理能力及び装置の台数・処理能力を上限として計算を行い、生産スケジュールを作成していた。しかし、現在の作業者の人数等では、要求される製品を、要求される納期までに、要求される数量を生産できない場合があった。そこで、本実施の形態では、ホストコンピュータ18は、まず、要求された品種・数量の製品を納期までに生産するのに必要な作業者の人数・処理能力及び装置の台数・処理能力を算出する。次に、ホストコンピュータ18は、それを現在の作業者の人数・処理能力及び装置の台数・処理能力と比較して、余剰又は不足する作業者の人数・処理能力及び装置の台数・処理能力を算出する。そして、ホストコンピュータ18は、この算出結果を生産情報表示端末20,22に表示させる。これにより、要求された品種・数量の製品を納期までに生産するのに必要な能力増強が遅滞無く行える。
【符号の説明】
【0019】
10 作業者情報記録部
12 装置情報記録部
14 作業実績記録部
16 生産要求入力部
18 ホストコンピュータ
20,22 生産情報表示端末(表示端末)
24,26 携帯端末(表示端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を生産する生産ラインにおいて複数の作業を掛け持ちする作業者に行うべき作業を順番に指示する生産管理システムであって、
前記作業者の処理能力を含む作業者情報を記録する作業者情報記録部と、
前記作業者が作業に使用する装置の処理能力を含む装置情報を記録する装置情報記録部と、
前記作業者が行った作業の作業実績を記録する作業実績記録部と、
前記製品の品種、数量及び納期を含む生産要求が入力される生産要求入力部と、
前記作業者情報記録部、前記装置情報記録部及び前記作業実績記録部に記録された情報を元に、前記生産要求入力部に入力された生産要求を達成するために前記作業者が行うべき作業を示す作業指示を順番に出力するホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータが出力した前記作業指示を表示する表示端末とを備え、
前記ホストコンピュータは、前記作業者がある作業を完了する前でも前記作業者に他の作業を行うように作業指示を出力することを特徴とする生産管理システム。
【請求項2】
前記ホストコンピュータは、前記作業実績記録部に記録された前記作業実績を元に、前記作業者情報記録部に記録された前記作業者情報を自動更新することを特徴とする請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記ホストコンピュータは、前記作業実績記録部に記録された前記作業実績を元に、前記装置情報記録部に記録された前記装置情報を自動更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記表示端末は、前記作業者が携帯する携帯端末であることを特徴とする請求項1−3の何れか1項に記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記ホストコンピュータは、作業の優先順序が変更された場合、前記作業者が第1の作業を行っている途中でも、前記第1の作業を中断して前記第1の作業よりも優先順位の高い第2の作業を開始するように前記作業者に指示することを特徴とする請求項1−4の何れか1項に記載の生産管理システム。
【請求項6】
前記ホストコンピュータは、要求された品種・数量の製品を納期までに生産する上で余剰又は不足する作業者の人数・処理能力及び装置の台数・処理能力を算出することを特徴とする請求項1−5の何れか1項に記載の生産管理システム。

【図1】
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【図2】
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