生薬含有組成物及びその利用
【課題】日常的に手軽にかつ安全に摂取でき、更には、メタボリックシンドロームの改善や、肥満の抑制等が期待できる生薬含有組成物、及び、安全性が高く、かつ、改善効果に優れた、メタボリックシンドローム改善組成物、肥満抑制組成物、体内脂肪の増加抑制組成物、血中中性脂肪の増加抑制組成物及び肝機能改善組成物を提供する。
【解決手段】ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータを含む生薬成分を含有する生薬含有組成物を、メタボリックシンドローム改善組成物、肥満抑制組成物、体内脂肪の増加抑制組成物、血中中性脂肪の増加抑制組成物及び肝機能改善組成物の有効成分として用いる。生薬含有組成物は、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(インドメギ)、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有することが好ましい。
【解決手段】ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータを含む生薬成分を含有する生薬含有組成物を、メタボリックシンドローム改善組成物、肥満抑制組成物、体内脂肪の増加抑制組成物、血中中性脂肪の増加抑制組成物及び肝機能改善組成物の有効成分として用いる。生薬含有組成物は、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(インドメギ)、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有することが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタボリックシンドロームの改善、肥満抑制、体内脂肪の増加抑制、血中中性脂肪の増加抑制、肝機能の改善、血糖値上昇抑制などに有効な生薬含有組成物及び、該生薬含有組成物を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善組成物、肥満抑制組成物、体内脂肪の増加抑制組成物、血中中性脂肪の増加抑制組成物、肝機能改善組成物及び血糖値上昇抑制組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活の欧米化や、ライフサイクルなどの変化に伴い肥満が増加している。肥満は糖尿病や動脈硬化等の原因ともなることから、その予防・改善は医学的にも社会的にも大きな課題となっている。そこで、最近では、痩身を目的としたダイエット食品用として、ギムネマシルベスタ、ガルシニア、アムラ等の生薬由来の成分を配合したダイエット組成物などが開発されている(例えば、特許文献1,2など)。
【0003】
また、肥満の増加に伴いメタボリックシンドロームの患者が増加しつつある。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に、高血糖、高血圧、高脂血症などの複数の生活習慣病が複合した症候群であって、糖尿病、高血圧症、高脂血症の一歩手前の段階であっても、これらが内臓脂肪型肥満をベースに複数重なることによって、動脈硬化が進行し、ひいては心筋梗塞や脳卒中などに至ることがある。このように、メタボリックシンドローム状態の患者は、心筋梗塞や脳卒中が発症するリスクが高いことから、近年では、メタボリックシンドロームを改善する安全性の高い、医薬や機能性食品などが求められている。
【0004】
例えば、下記特許文献3には、コエンザイムQ10を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善用組成物が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献4には、大豆胚芽タンパク質を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−352702号公報
【特許文献2】特開2006−8526号公報
【特許文献3】特開2008−44894号公報
【特許文献4】特開2008−31121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生薬成分を有効成分として用いたメタボリックシンドローム改善組成物は、これまで知られていなかった。
【0008】
また、ギムネマシルベスタ、ガルシニア、アムラなどの生薬は、ダイエット組成物に用いられているが、これまで知られている生薬成分を配合したダイエット組成物は、肥満抑制効果や体内脂肪の増加抑制効果、血中中性脂肪の増加抑制効果、肝機能改善効果、血糖値上昇抑制効果などが十分とは言えなかった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、日常的に手軽かつ安全に摂取でき、更には、メタボリックシンドロームの改善、肥満の抑制、体内脂肪の増加抑制、血中中性脂肪の増加抑制、肝機能の改善、血糖値上昇の抑制が期待できる生薬含有組成物、及び、安全性が高く、かつ、改善効果に優れた、メタボリックシンドローム改善組成物、肥満抑制組成物、体内脂肪の増加抑制組成物、血中中性脂肪の増加抑制組成物、肝機能改善組成物及び血糖値上昇抑制組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するにあたり、本発明の第一は、ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータを含む生薬成分を含有する生薬含有組成物である。
【0011】
ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータは、安全性が高く、臓器に負担を及ぼすことがないので、日常生活の中で手軽に摂取することができる。
【0012】
また、上記生薬含有組成物を摂取することで、メタボリックシンドロームとの関連性が高いといわれている血中アディポネクチン濃度を上昇させることができ、メタボリックシンドロームの症状を改善することができる。また、体重の増加を抑制できるので、肥満の症状を改善ないし肥満の発生を抑制することができる。そして、血中コレステロールや内臓脂肪などの脂肪を効率よく減少できるので、体内脂肪の増加を効果的に抑制できる。更には、血中中性脂肪の増加抑制、肝機能の改善、血糖値上昇の抑制のためにも、特に有効である。
【0013】
本発明の生薬含有組成物は、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(または「インドメギ」ともいう。)、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有することが好ましい。これらの生薬成分を更に含有させることで、メタボリックシンドロームの改善効果や、肥満抑制効果や、体内脂肪の増加抑制効果や、血中中性脂肪の増加抑制効果や、肝機能の改善効果や、血糖値上昇の抑制効果が更に向上する。
【0014】
本発明の第二は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善組成物である。
【0015】
本発明の第三は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する肥満抑制組成物である。
【0016】
本発明の第四は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する体内脂肪の増加抑制組成物である。
【0017】
本発明の第五は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する血中中性脂肪の増加抑制組成物である。
【0018】
本発明の第六は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する肝機能改善組成物である。
【0019】
本発明の第七は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する血糖値上昇抑制組成物である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、メタボリックシンドロームの改善作用や、肥満抑制作用や、体内脂肪の増加抑制作用や、血中中性脂肪の増加抑制作用や、肝機能の改善作用や、血糖値上昇抑制作用に優れており、また、化学薬品などにみられる副作用などの心配はないので、臓器に負担を及ぼすこともなく、日常生活の中で手軽に摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】治療期間中における各群のラットの体重変化を示す図表である。
【図2】治療期間終了後の各群のラットの血中コレステロール濃度を示す図表である。
【図3】治療期間終了後の各群のラットの血中トリグリセライド濃度を示す図表である。
【図4】治療期間中における各群のラットのアディポネクチン濃度の変化量を示す図表である。
【図5】治療期間終了後の各群のラットの脂肪量を示す図表である。
【図6】被験者の血中トリグリセライド濃度の変化を示す図表である。
【図7】被験者の血清を検体としてチモール混濁液試験(TTT)を行ったときの検査数値の変化を示す図表である。
【図8】被験者の血清を検体としてクンケル混濁試験(ZTT)を行ったときの検査数値の変化を示す図表である。
【図9】被験者の体脂肪率の変化を示す図表である。
【図10】被験者の空腹時血糖値の変化を示す図表である。
【図11】被験者の血清を検体としてγ―GTP測定を行ったときの検査数値の変化を示す図表である。
【図12】被験者の1人の服用開始前のCTスキャンの写真(A)及び3ヶ月後のCTスキャンの写真(B)である。
【図13】被験者の他の1人の服用開始前のCTスキャンの写真(A)及び3ヶ月後のCTスキャンの写真(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の生薬含有組成物は、ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータを含む生薬成分を含有し、好ましくは、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(または「インドメギ」ともいう。)、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有する。
【0023】
ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータから得られる成分を組み合わせたものは、メタボリックシンドロームとの関連性が高いといわれている血中アディポネクチン濃度を上昇させることができ、メタボリックシンドロームの症状を改善することができる。また、体重の増加を抑制できるので、肥満の症状を改善ないし肥満の発生を抑制することができる。更には、血中コレステロールや血中トリグリセライド、内臓脂肪などの脂肪を効率よく減少できるので、体内脂肪の増加を効果的に抑制できる。更に、肝機能を改善することができる。
【0024】
また、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(インドメギ)、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有させることで、上記した効果が更に向上する。
【0025】
ここで、アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌されるサイトカインの一種であって、インスリン感受性を高めたり、脂肪燃焼を促進させたり、血液中のぶどう糖で血管が障害された部位を修復して動脈硬化の発生を抑制したりする働きを有している。そして、詳細なメカニズムは不明であるが、肥大化した脂肪細胞からはアディポネクチンの分泌量が少なくなるので、血中アディポネクチン濃度は内臓脂肪量に逆相関する傾向にある。
【0026】
次に、本発明の生薬含有組成物に用いられる生薬成分について説明する。
【0027】
ガルシニアは、ガルシニアカンボジア(Garcinia cambogia)の果実から抽出して得られる成分であり、ガルシニアカンボジアの果実部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。ガルシニアは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で8〜25質量部含有させることが好ましく、8〜20質量部がより好ましい。
【0028】
ビビータキー(Terminalia beleria)は、シクンシ科の植物であり、果実の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。ビビータキーは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で7〜25質量部含有させることが好ましく、7〜20質量部がより好ましい。
【0029】
ググル(Commiphora mukul)は、カンラン科の植物であり、樹脂の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ググルは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で6〜18質量部含有させることが好ましく、6〜15質量部がより好ましい。
【0030】
ギムネマシルベスタ(Gymnema sylvestre)は、ガガイモ科の植物であり、葉の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ギムネマシルベスタは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で5〜15質量部含有させることが好ましく、5〜12質量部がより好ましい。
【0031】
ボスウェリア(Boswellia serrata)は、カンラン科の植物であり、樹脂の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ボスウェリアは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で4〜12質量部含有させることが好ましく、4〜10質量部がより好ましい。
【0032】
サラシアレティキュラータ(Salacia reticulata)は、ニシキギ科の植物であり、根の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。サラシアレティキュラータは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で3〜12質量部含有させることが好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
【0033】
アムラ(Emblica officinalis)は、トウダイグサ科の植物であり、果実の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。アムラは本発明の組成物において任意成分であり、アムラを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で3〜12質量部含有させることが好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
【0034】
ニーム(Azadiracta indica)は、センダン科の植物であり、葉の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。ニームは本発明の組成物において任意成分であり、ニームを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で4〜12質量部含有させることが好ましく、4〜10質量部がより好ましい。
【0035】
セイヨウメギ(または「インドメギ」ともいう。)(Berberis aristata)は、メギ科の植物であり、根又は樹皮の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。セイヨウメギ(インドメギ)は本発明の組成物において任意成分であり、セイヨウメギ(インドメギ)を含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0036】
センシンレン(Andrographis paniculata)は、キツネノマゴ科の植物であり、葉の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。センシンレンは本発明の組成物において任意成分であり、センシンレンを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0037】
ニガウリ(Momordica charantia)は、ウリ科の植物であり、果実の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。ニガウリは本発明の組成物において任意成分であり、ニガウリを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0038】
イボツヅラフジ(Tinospora crispa)は、ツヅラフジ科の植物であり、全草の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。イボツヅラフジは本発明の組成物において任意成分であり、イボツヅラフジを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0039】
スダルサナバリ(Tinospora sinensis)は、ツヅラフジ科の植物であり、茎の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。スダルサナバリは本発明の組成物において任意成分であり、スダルサナバリを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0040】
ニンニク(Allium sativum)は、ユリ科の植物であり、鱗茎の部位の粉砕物を用いることが好ましい。ニンニクは本発明の組成物において任意成分であり、ニンニクを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0041】
ウコン(Curcuma longa)は、ショウガ科の植物であり、根茎の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ウコンは本発明の組成物において任意成分であり、ウコンを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0042】
コレウスフォルスコリ(Coleus forskohlii)は、シソ科の植物であり、根茎の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。コレウスフォルスコリは本発明の組成物において任意成分であり、コレウスフォルスコリを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
【0043】
ナガコショウ、(Piper longum)は、コショウ科の植物であり、果穂の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ナガコショウは本発明の組成物において任意成分であり、ナガコショウを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
【0044】
ショウガ(Zingiber officinale)は、ショウガ科の植物であり、根茎の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ショウガは本発明の組成物において任意成分であり、ショウガを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
【0045】
クロコショウ(Piper nigrum)は、コショウ科の植物であり、果実の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。クロコショウは本発明の組成物において任意成分であり、クロコショウを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
【0046】
本発明の生薬含有組成物の形態は、経口投与できる形態であれば特に限定はなく、粉末状、カプセル状、錠剤状、顆粒状などが一例として挙げられる。
【0047】
本発明の生薬含有組成物は、上記各生薬の各部位の水抽出物又はアルコール抽出物を濃縮乾燥し、粉末体にして、それぞれ常法で混合することで製造できる。
【0048】
カプセル状の剤形にする場合には、各生薬成分の粉末体を所定の割合で混合し、カプセル容器に該混合物を所定量充填して製剤化できる。
【0049】
錠剤や顆粒などの剤形に製剤化する場合は、上記生薬成分に、更に賦形剤を加え、慣用方法により造粒や打錠成形して製剤化できる。賦形剤としては、特に限定はなく、アラビアガム、コーンスターチ、コーンスターチペースト、乳糖、デキストリン、カオリン、果糖、カルメロース、キシリトール、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、D−ソルビトール、白糖、精製白糖、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、D−マンニトール、リン酸水素カルシウム、アルファー化デンプン、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチなどを用いることができるが、アラビアガム、コーンスターチ、コーンスターチペースト及び乳糖の4種類で構成された賦形剤であることがより好ましい。
【0050】
本発明の生薬含有組成物は、全て天然素材から構成されているため、化学薬品のような副作用がなく、臓器に及ぼす影響も極めて低いので、安全性が高く、日常生活の中で手軽に摂取することができる。また、メタボリックシンドロームの改善作用や、肥満抑制作用や、体内脂肪の増加抑制作用や、血中中性脂肪の増加抑制作用や、肝機能の改善作用や、血糖値の上昇抑制作用に優れているので、これらの症状の治療や予防を図るための医薬品、健康食品等として、効果的に利用することができる。
【0051】
次に、本発明のメタボリックシンドローム改善組成物について説明する。本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0052】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、メタボリックシンドローム改善組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0053】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0054】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0055】
次に、本発明の肥満抑制組成物について説明する。本発明の肥満抑制組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0056】
本発明の肥満抑制組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、肥満抑制組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0057】
本発明の肥満抑制組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0058】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0059】
次に、本発明の体内脂肪の増加抑制組成物について説明する。本発明の体内脂肪の増加抑制組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0060】
本発明の体内脂肪の増加抑制組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、体内脂肪の増加抑制組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0061】
本発明の体内脂肪の増加抑制組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0062】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0063】
次に、本発明の血中中性脂肪の増加抑制組成物について説明する。本発明の血中中性脂肪の増加抑制組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0064】
本発明の血中中性脂肪の増加抑制組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、血中中性脂肪の増加抑制組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0065】
本発明の血中中性脂肪の増加抑制組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0066】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0067】
次に、本発明の肝機能改善組成物について説明する。本発明の肝機能改善組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0068】
本発明の肝機能改善組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、肝機能改善組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0069】
本発明の肝機能改善組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0070】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0071】
次に、本発明の血糖値上昇抑制組成物について説明する。本発明の血糖値上昇抑制組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0072】
本発明の血糖値上昇抑制組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、血糖値上昇抑制組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0073】
本発明の血糖値上昇抑制組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0074】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【実施例】
【0075】
[生薬含有組成物の製造例]
ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア、サラシアレティキュラータ、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(インドメギ)、ニガウリ、イボツヅラフジ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウを生薬成分として用いた。
【0076】
ガルシニア、ビビータキー、サラシアレティキュラータ、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(インドメギ)、ニガウリ、イボツヅラフジは、それぞれの使用部位を洗浄・乾燥して、適当な大きさに粉砕・破砕した後、木綿製の袋に詰め、タンクに水を加えて長時間かけて加熱し、生薬エキスを水抽出した。そして、得られた生薬エキスを濃縮乾燥した後、破砕・粉砕して乾燥粉末体を得た。
【0077】
また、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウは、それぞれの使用部位を洗浄・乾燥して、適当な大きさに粉砕・破砕した後、木綿製の袋に詰め、タンクに水を加えて長時間かけて加熱し、冷却後アルコール発酵させて生薬エキスをアルコール抽出した。そして、得られた生薬エキスを濃縮乾燥した後、破砕・粉砕して乾燥粉末体を得た。
【0078】
また、ニンニクは、洗浄・乾燥後、破砕・粉砕して、乾燥粉末体を得た。
【0079】
上記各生薬の乾燥粉末体を、表1に示す割合で混合して、生薬含有組成物を製造した。
【0080】
【表1】
【0081】
(試験例1)
1週間予備飼育したSprague Dawleyラットを用いて試験を行った。
【0082】
予備飼育した40匹のラットをA〜Dの4群(n=10)に分け、高脂肪・高コレステロール飼料(飼料100g中に、黄レンズ32g、ショ糖27g、粉乳17g、無機塩混合物5g、酵母1g、バター2g、ラッカセイ油11g、コレステロール5gを含む飼料)を与え、8週間飼育した(以下、誘導期という)。誘導期間中、水は自由摂取させた。
【0083】
誘導期終了後、各群のラットを、水を自由摂取できる状態で一晩絶食させ、その後、以下の被験物質を、ゴムを裏打ちした経口給餌針を用いて1日1回経口投与し、8週間更に飼育した(以下、治療期という)。治療期間中、飼料としては、げっ歯類用飼料を与えた。また、水は自由摂取させた。
【0084】
≪被験物質≫
A群:0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液10ml(ラット体重1kg当たり1回分)
B群:0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液10mlに、製造例で得られた生薬含有組成物350mgを混合した懸濁液(ラット体重1kg当たり1回分)
C群:0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液10mlに、製造例で得られた生薬含有組成物700mgを混合した懸濁液(ラット体重1kg当たり1回分)
D群:0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液10mlに、シブトラミン7mgを混合した混合液(ラット体重1kg当たり1回分)
試験期間中、1回/1週間の頻度で、各群のラットの体重を測定した。また、1回/1日の頻度で、摂餌量を測定した。また、誘導期直前(高脂肪・高コレステロール飼料の給餌直前[試験開始0日目])、誘導期終了後(高脂肪・高コレステロール飼料の給餌56日経過後[試験開始56日目])、治療期終了後(被験物質の投与56日経過後[試験開始112日目])のラットから採血し、血清分析及び血中アディポネクチン濃度の分析を行った。また、治療期終了後のラットの腹部及び精巣上体の脂肪重量を測定した。
【0085】
[容認性について]
試験期間中、生薬含有組成物を投与したB,C群のラットは、いずれにも、死亡例及び重篤な毒性症状は生じず、また、内臓機能に損傷はなかった。
【0086】
[摂餌量について]
試験期間中、各群で摂餌量に変化はほとんど見られなかった。
【0087】
[体重変化について]
治療期間中の各群のラットの体重(g)の経時変化を表2に記す。また、治療期間中における各群のラットの体重の推移を図1に記す。なお、表2中のカッコ内の値は、治療期開始直前の状態からの変化量(g)である。
【0088】
【表2】
【0089】
生薬含有組成物を投与量したB群,C群のラットは、シブトラミンを投与したD群のラットとほぼ同程度の体重増加抑制効果があった。そして、B群とC群との対比から、生薬含有組成物の投与量を増加させることで、その効果が向上することが確認できた。
【0090】
[血清化学について]
誘導期直前、誘導期終了後、治療期終了後の各群のラットから採血して、血清成分を分析した。表3にA群のラットの血清成分を、表4にB群のラットの血清成分を、表5にC群のラットの血清成分を、表6にD群のラットの血清成分を記す。また、図2に、治療期間終了後の各群のラットの血中コレステロール濃度を、図3に血中トリグリセライド濃度を示す。なお、血清分析は、Human社製生化学試薬を用い、自動臨床化学分析装置(商品名「Human Star 300」 Human社製)で検査した。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
上記結果より、生薬含有組成物を投与量したB群,C群のラットは、血中コレステロールや血中トリグリセライドの低減効果が認められた。特に血中コレステロールに関しては、シブトラミンを投与したD群のラットとほぼ同程度の効果が得られた。そして、B群とC群との対比から、生薬含有組成物の投与量を増加させることで、血中コレステロールや血中トリグリセライドの低減効果が向上することが確認できた。
【0096】
[血中アディポネクチン濃度について]
誘導期直前、誘導期終了後、治療期終了後の各群のラットから採血し、血中アディポネクチン濃度を測定した、血清成分を表7に記す。表7中のカッコ内の値は、治療期直前からの血中アディポネクチン濃度の変化量である。また、治療期間中における各群のラットのアディポネクチン濃度の変化量を図4に記す。なお、血中アディポネクチン濃度は、Lonco Research社製のサンドイッチラットアディポネクチンELISAキットを用いて行った。分析感度は0.155ng/mlであった。
【0097】
【表7】
【0098】
上記結果より、生薬含有組成物を投与量したB群,C群のラットは、血中アディポネクチン濃度の増加が認められ、メタボリックシンドロームの症状が改善する傾向にあることが確認できた。そして、B群とC群との対比から、生薬含有組成物の投与量を増加させることで、その効果がより向上することが確認できた。
【0099】
[脂肪組織重量について]
試験終了後のラットの脂肪重量を表8及び図5に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
生薬含有組成物を投与したB群,C群のラットは、A群,D群のラットよりも、脂肪重量が低減されていた。
【0102】
(試験例2)
35歳から68歳の男女ボランティア10名にインフオームドコンセント(説明と同意)を実施して、被験者となってもらい、以下の試験を行った。
【0103】
[生薬含有組成物の調製]
生薬含有組成物としては、上記表1に示す組成のものを錠剤化した錠剤を用意した。その1錠中の含有量は290mgとした。
【0104】
[服用方法]
被験者を2群に分け、1日6錠を摂取してもらう被験者群と、12錠を摂取してもらう被験者群とを設定した。服用期間は2ヶ月とした。表9には、被験者の性別、年齢、並びに服用開始前/服用開始2ヶ月後の血圧、体重、腹囲を示す。表9中網かけを施した被験者が1日12錠を摂取してもらった被験者であり、それ以外が6錠を摂取してもらった被験者である。
【0105】
【表9】
【0106】
[検査方法]
服用開始前、並びに服用開始40日後及び/又は41日後、1ヵ月後、2ヵ月後、服用中止1ヵ月後に、被験者の末梢血液20mlを採血した。そして、一般的な血液検査、又は生化学検査を、各種検査項目について網羅的に実施して、その検査数値の推移を観察した。また、被験者から体調の変化の有無について申告してもらった。
【0107】
[結果]
上記表9に示すように、服用開始前/服用2ヶ月後の血圧、体重、腹囲において、特に有意な変化は認められなかった。被験者からの体調の変化の申告もなく、また、急性毒性を示唆する所見も認められなかった。
【0108】
一方、下記表10−表19にはそれぞれ各被験者の検査数値を示す。その結果、血液検査、又は生化学検査の各種検査項目について、被験者ごとに数値の推移を観察したなかで、特に多数の被験者で数値の改善の傾向が認められた項目は、血中中性脂肪(血中トリグリセライド濃度)と、チモール混濁液試験(TTT)、及びクンケル混濁試験(ZTT)の値であった。なお、チモール混濁液試験(TTT)、又はクンケル混濁試験(ZTT)は、肝疾患障害時における血漿蛋白成分の量的、質的異常を検知するための簡便な方法として広く用いられている試験である。
【0109】
【表10】
【0110】
【表11】
【0111】
【表12】
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
【表15】
【0115】
【表16】
【0116】
【表17】
【0117】
【表18】
【0118】
【表19】
【0119】
図6には、被験者ごとの血中中性脂肪(血中トリグリセライド濃度)の推移(41日後のデータ除く)をグラフにした。これによれば、全体の傾向として、上記生薬含有組成物を摂取することで、血中中性脂肪(血中トリグリセライド濃度)の値が低減することが認められた。ことに、服用前に30〜149mg/dLの参考基準値を上回っていた被験者については、その効果が顕著であった。
【0120】
また、図7には、被験者ごとのチモール混濁液試験(TTT)の数値の推移(41日後のデータ除く)をグラフにした。これによれば、全体の傾向として、上記生薬含有組成物を摂取することで、チモール混濁液試験(TTT)の数値が低減することが認められた。ことに、服用前に5単位以下の参考基準値を上回っていた被験者については、その効果が顕著であった。また、服用中止後には、数値がリバウンドしてしまう傾向が認められた。
【0121】
また、図8には、被験者ごとのクンケル混濁試験(ZTT)の数値の推移(41日後のデータ除く)をグラフにした。これによれば、全体の傾向として、上記生薬含有組成物を摂取することで、クンケル混濁試験(ZTT)の数値が低減することが認められた。また、服用中止後には、数値がリバウンドしてしまう傾向が認められた。
【0122】
以上から、上記生薬含有組成物を摂取することで、血中中性脂肪の増加を抑制する効果や、肝機能改善の効果が得られることがわかった。
【0123】
(試験例3)
46歳から65歳の男女ボランティア5名にインフオームドコンセント(説明と同意)を実施して、被験者となってもらい、以下の試験を行った。
【0124】
[生薬含有組成物の調製]
生薬含有組成物としては、下記表20に示す組成のものを錠剤化した錠剤を用意した。その1錠中の含有量は290mgとした。
【0125】
【表20】
【0126】
[服用方法及び検査方法]
被験者には1日6錠を摂取してもらい、その服用期間は3ヶ月とした。服用開始前、並びに服用開始1ヵ月後、2ヵ月後、又は3ヵ月後に、被験者の体脂肪率、空腹時血糖値、血中γ―GTP値を測定した。また、被験者のうち2人については、服用開始3ヵ月後に腹部CTスキャンをとり、その画像解析により、全体脂肪の面積、内臓脂肪の面積、皮下脂肪の面積、臍周囲皮下脂肪厚、腹直筋厚、及び腹斜筋群厚を測定した。
【0127】
[結果]
図9には体脂肪率の結果を、図10には空腹時血糖値の結果を、図11にはγ―GTP値の結果をそれぞれ示す。これらの図にみられるように、体脂肪率、空腹時血糖値、γ―GTP値のいずれにおいても、服用後、服用開始前に比べて、それらの値が低減する傾向が認められた。したがって、上記生薬含有組成物は、体脂肪の増加抑制、血糖値上昇抑制、及び肝機能の改善のために有用であることが明らかとなった。
【0128】
また、図12及び13は、被験者の2人についての腹部CTスキャン及び画像解析の結果である。その結果、図12の被験者では、被験者服用後、服用開始前に比べて全体脂肪の面積、内臓脂肪の面積、皮下脂肪の面積、臍周囲皮下脂肪厚、腹直筋厚において、それらの値が低減していた。、また、図13の被験者では、被験者服用後、服用開始前に比べて全体脂肪の面積、内臓脂肪の面積、臍周囲皮下脂肪厚、腹斜筋群厚において、それらの値が低減していた。したがって、上記生薬含有組成物は、おなか回りの脂肪や内臓脂肪を減少するのに有用であることが明らかとなった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタボリックシンドロームの改善、肥満抑制、体内脂肪の増加抑制、血中中性脂肪の増加抑制、肝機能の改善、血糖値上昇抑制などに有効な生薬含有組成物及び、該生薬含有組成物を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善組成物、肥満抑制組成物、体内脂肪の増加抑制組成物、血中中性脂肪の増加抑制組成物、肝機能改善組成物及び血糖値上昇抑制組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食生活の欧米化や、ライフサイクルなどの変化に伴い肥満が増加している。肥満は糖尿病や動脈硬化等の原因ともなることから、その予防・改善は医学的にも社会的にも大きな課題となっている。そこで、最近では、痩身を目的としたダイエット食品用として、ギムネマシルベスタ、ガルシニア、アムラ等の生薬由来の成分を配合したダイエット組成物などが開発されている(例えば、特許文献1,2など)。
【0003】
また、肥満の増加に伴いメタボリックシンドロームの患者が増加しつつある。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に、高血糖、高血圧、高脂血症などの複数の生活習慣病が複合した症候群であって、糖尿病、高血圧症、高脂血症の一歩手前の段階であっても、これらが内臓脂肪型肥満をベースに複数重なることによって、動脈硬化が進行し、ひいては心筋梗塞や脳卒中などに至ることがある。このように、メタボリックシンドローム状態の患者は、心筋梗塞や脳卒中が発症するリスクが高いことから、近年では、メタボリックシンドロームを改善する安全性の高い、医薬や機能性食品などが求められている。
【0004】
例えば、下記特許文献3には、コエンザイムQ10を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善用組成物が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献4には、大豆胚芽タンパク質を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−352702号公報
【特許文献2】特開2006−8526号公報
【特許文献3】特開2008−44894号公報
【特許文献4】特開2008−31121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生薬成分を有効成分として用いたメタボリックシンドローム改善組成物は、これまで知られていなかった。
【0008】
また、ギムネマシルベスタ、ガルシニア、アムラなどの生薬は、ダイエット組成物に用いられているが、これまで知られている生薬成分を配合したダイエット組成物は、肥満抑制効果や体内脂肪の増加抑制効果、血中中性脂肪の増加抑制効果、肝機能改善効果、血糖値上昇抑制効果などが十分とは言えなかった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、日常的に手軽かつ安全に摂取でき、更には、メタボリックシンドロームの改善、肥満の抑制、体内脂肪の増加抑制、血中中性脂肪の増加抑制、肝機能の改善、血糖値上昇の抑制が期待できる生薬含有組成物、及び、安全性が高く、かつ、改善効果に優れた、メタボリックシンドローム改善組成物、肥満抑制組成物、体内脂肪の増加抑制組成物、血中中性脂肪の増加抑制組成物、肝機能改善組成物及び血糖値上昇抑制組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するにあたり、本発明の第一は、ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータを含む生薬成分を含有する生薬含有組成物である。
【0011】
ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータは、安全性が高く、臓器に負担を及ぼすことがないので、日常生活の中で手軽に摂取することができる。
【0012】
また、上記生薬含有組成物を摂取することで、メタボリックシンドロームとの関連性が高いといわれている血中アディポネクチン濃度を上昇させることができ、メタボリックシンドロームの症状を改善することができる。また、体重の増加を抑制できるので、肥満の症状を改善ないし肥満の発生を抑制することができる。そして、血中コレステロールや内臓脂肪などの脂肪を効率よく減少できるので、体内脂肪の増加を効果的に抑制できる。更には、血中中性脂肪の増加抑制、肝機能の改善、血糖値上昇の抑制のためにも、特に有効である。
【0013】
本発明の生薬含有組成物は、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(または「インドメギ」ともいう。)、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有することが好ましい。これらの生薬成分を更に含有させることで、メタボリックシンドロームの改善効果や、肥満抑制効果や、体内脂肪の増加抑制効果や、血中中性脂肪の増加抑制効果や、肝機能の改善効果や、血糖値上昇の抑制効果が更に向上する。
【0014】
本発明の第二は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するメタボリックシンドローム改善組成物である。
【0015】
本発明の第三は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する肥満抑制組成物である。
【0016】
本発明の第四は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する体内脂肪の増加抑制組成物である。
【0017】
本発明の第五は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する血中中性脂肪の増加抑制組成物である。
【0018】
本発明の第六は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する肝機能改善組成物である。
【0019】
本発明の第七は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有する血糖値上昇抑制組成物である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、メタボリックシンドロームの改善作用や、肥満抑制作用や、体内脂肪の増加抑制作用や、血中中性脂肪の増加抑制作用や、肝機能の改善作用や、血糖値上昇抑制作用に優れており、また、化学薬品などにみられる副作用などの心配はないので、臓器に負担を及ぼすこともなく、日常生活の中で手軽に摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】治療期間中における各群のラットの体重変化を示す図表である。
【図2】治療期間終了後の各群のラットの血中コレステロール濃度を示す図表である。
【図3】治療期間終了後の各群のラットの血中トリグリセライド濃度を示す図表である。
【図4】治療期間中における各群のラットのアディポネクチン濃度の変化量を示す図表である。
【図5】治療期間終了後の各群のラットの脂肪量を示す図表である。
【図6】被験者の血中トリグリセライド濃度の変化を示す図表である。
【図7】被験者の血清を検体としてチモール混濁液試験(TTT)を行ったときの検査数値の変化を示す図表である。
【図8】被験者の血清を検体としてクンケル混濁試験(ZTT)を行ったときの検査数値の変化を示す図表である。
【図9】被験者の体脂肪率の変化を示す図表である。
【図10】被験者の空腹時血糖値の変化を示す図表である。
【図11】被験者の血清を検体としてγ―GTP測定を行ったときの検査数値の変化を示す図表である。
【図12】被験者の1人の服用開始前のCTスキャンの写真(A)及び3ヶ月後のCTスキャンの写真(B)である。
【図13】被験者の他の1人の服用開始前のCTスキャンの写真(A)及び3ヶ月後のCTスキャンの写真(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の生薬含有組成物は、ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータを含む生薬成分を含有し、好ましくは、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(または「インドメギ」ともいう。)、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有する。
【0023】
ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータから得られる成分を組み合わせたものは、メタボリックシンドロームとの関連性が高いといわれている血中アディポネクチン濃度を上昇させることができ、メタボリックシンドロームの症状を改善することができる。また、体重の増加を抑制できるので、肥満の症状を改善ないし肥満の発生を抑制することができる。更には、血中コレステロールや血中トリグリセライド、内臓脂肪などの脂肪を効率よく減少できるので、体内脂肪の増加を効果的に抑制できる。更に、肝機能を改善することができる。
【0024】
また、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(インドメギ)、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有させることで、上記した効果が更に向上する。
【0025】
ここで、アディポネクチンとは、脂肪細胞から分泌されるサイトカインの一種であって、インスリン感受性を高めたり、脂肪燃焼を促進させたり、血液中のぶどう糖で血管が障害された部位を修復して動脈硬化の発生を抑制したりする働きを有している。そして、詳細なメカニズムは不明であるが、肥大化した脂肪細胞からはアディポネクチンの分泌量が少なくなるので、血中アディポネクチン濃度は内臓脂肪量に逆相関する傾向にある。
【0026】
次に、本発明の生薬含有組成物に用いられる生薬成分について説明する。
【0027】
ガルシニアは、ガルシニアカンボジア(Garcinia cambogia)の果実から抽出して得られる成分であり、ガルシニアカンボジアの果実部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。ガルシニアは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で8〜25質量部含有させることが好ましく、8〜20質量部がより好ましい。
【0028】
ビビータキー(Terminalia beleria)は、シクンシ科の植物であり、果実の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。ビビータキーは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で7〜25質量部含有させることが好ましく、7〜20質量部がより好ましい。
【0029】
ググル(Commiphora mukul)は、カンラン科の植物であり、樹脂の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ググルは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で6〜18質量部含有させることが好ましく、6〜15質量部がより好ましい。
【0030】
ギムネマシルベスタ(Gymnema sylvestre)は、ガガイモ科の植物であり、葉の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ギムネマシルベスタは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で5〜15質量部含有させることが好ましく、5〜12質量部がより好ましい。
【0031】
ボスウェリア(Boswellia serrata)は、カンラン科の植物であり、樹脂の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ボスウェリアは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で4〜12質量部含有させることが好ましく、4〜10質量部がより好ましい。
【0032】
サラシアレティキュラータ(Salacia reticulata)は、ニシキギ科の植物であり、根の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。サラシアレティキュラータは本発明の組成物において必須成分であり、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で3〜12質量部含有させることが好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
【0033】
アムラ(Emblica officinalis)は、トウダイグサ科の植物であり、果実の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。アムラは本発明の組成物において任意成分であり、アムラを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で3〜12質量部含有させることが好ましく、3〜10質量部がより好ましい。
【0034】
ニーム(Azadiracta indica)は、センダン科の植物であり、葉の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。ニームは本発明の組成物において任意成分であり、ニームを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で4〜12質量部含有させることが好ましく、4〜10質量部がより好ましい。
【0035】
セイヨウメギ(または「インドメギ」ともいう。)(Berberis aristata)は、メギ科の植物であり、根又は樹皮の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。セイヨウメギ(インドメギ)は本発明の組成物において任意成分であり、セイヨウメギ(インドメギ)を含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0036】
センシンレン(Andrographis paniculata)は、キツネノマゴ科の植物であり、葉の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。センシンレンは本発明の組成物において任意成分であり、センシンレンを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0037】
ニガウリ(Momordica charantia)は、ウリ科の植物であり、果実の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。ニガウリは本発明の組成物において任意成分であり、ニガウリを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0038】
イボツヅラフジ(Tinospora crispa)は、ツヅラフジ科の植物であり、全草の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。イボツヅラフジは本発明の組成物において任意成分であり、イボツヅラフジを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0039】
スダルサナバリ(Tinospora sinensis)は、ツヅラフジ科の植物であり、茎の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、水抽出物が特に好ましい。スダルサナバリは本発明の組成物において任意成分であり、スダルサナバリを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0040】
ニンニク(Allium sativum)は、ユリ科の植物であり、鱗茎の部位の粉砕物を用いることが好ましい。ニンニクは本発明の組成物において任意成分であり、ニンニクを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0041】
ウコン(Curcuma longa)は、ショウガ科の植物であり、根茎の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ウコンは本発明の組成物において任意成分であり、ウコンを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で1〜5質量部含有させることが好ましく、1〜4質量部がより好ましい。
【0042】
コレウスフォルスコリ(Coleus forskohlii)は、シソ科の植物であり、根茎の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。コレウスフォルスコリは本発明の組成物において任意成分であり、コレウスフォルスコリを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
【0043】
ナガコショウ、(Piper longum)は、コショウ科の植物であり、果穂の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ナガコショウは本発明の組成物において任意成分であり、ナガコショウを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
【0044】
ショウガ(Zingiber officinale)は、ショウガ科の植物であり、根茎の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。ショウガは本発明の組成物において任意成分であり、ショウガを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。
【0045】
クロコショウ(Piper nigrum)は、コショウ科の植物であり、果実の部位の水抽出物又はアルコール抽出物を用いることが好ましく、アルコール抽出物が特に好ましい。クロコショウは本発明の組成物において任意成分であり、クロコショウを含有させる場合は、生薬成分100質量部に対し、固形分換算で0.1〜4質量部含有させることが好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
【0046】
本発明の生薬含有組成物の形態は、経口投与できる形態であれば特に限定はなく、粉末状、カプセル状、錠剤状、顆粒状などが一例として挙げられる。
【0047】
本発明の生薬含有組成物は、上記各生薬の各部位の水抽出物又はアルコール抽出物を濃縮乾燥し、粉末体にして、それぞれ常法で混合することで製造できる。
【0048】
カプセル状の剤形にする場合には、各生薬成分の粉末体を所定の割合で混合し、カプセル容器に該混合物を所定量充填して製剤化できる。
【0049】
錠剤や顆粒などの剤形に製剤化する場合は、上記生薬成分に、更に賦形剤を加え、慣用方法により造粒や打錠成形して製剤化できる。賦形剤としては、特に限定はなく、アラビアガム、コーンスターチ、コーンスターチペースト、乳糖、デキストリン、カオリン、果糖、カルメロース、キシリトール、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、D−ソルビトール、白糖、精製白糖、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、D−マンニトール、リン酸水素カルシウム、アルファー化デンプン、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチなどを用いることができるが、アラビアガム、コーンスターチ、コーンスターチペースト及び乳糖の4種類で構成された賦形剤であることがより好ましい。
【0050】
本発明の生薬含有組成物は、全て天然素材から構成されているため、化学薬品のような副作用がなく、臓器に及ぼす影響も極めて低いので、安全性が高く、日常生活の中で手軽に摂取することができる。また、メタボリックシンドロームの改善作用や、肥満抑制作用や、体内脂肪の増加抑制作用や、血中中性脂肪の増加抑制作用や、肝機能の改善作用や、血糖値の上昇抑制作用に優れているので、これらの症状の治療や予防を図るための医薬品、健康食品等として、効果的に利用することができる。
【0051】
次に、本発明のメタボリックシンドローム改善組成物について説明する。本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0052】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、メタボリックシンドローム改善組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0053】
本発明のメタボリックシンドローム改善組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0054】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0055】
次に、本発明の肥満抑制組成物について説明する。本発明の肥満抑制組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0056】
本発明の肥満抑制組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、肥満抑制組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0057】
本発明の肥満抑制組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0058】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0059】
次に、本発明の体内脂肪の増加抑制組成物について説明する。本発明の体内脂肪の増加抑制組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0060】
本発明の体内脂肪の増加抑制組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、体内脂肪の増加抑制組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0061】
本発明の体内脂肪の増加抑制組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0062】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0063】
次に、本発明の血中中性脂肪の増加抑制組成物について説明する。本発明の血中中性脂肪の増加抑制組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0064】
本発明の血中中性脂肪の増加抑制組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、血中中性脂肪の増加抑制組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0065】
本発明の血中中性脂肪の増加抑制組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0066】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0067】
次に、本発明の肝機能改善組成物について説明する。本発明の肝機能改善組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0068】
本発明の肝機能改善組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、肝機能改善組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0069】
本発明の肝機能改善組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0070】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【0071】
次に、本発明の血糖値上昇抑制組成物について説明する。本発明の血糖値上昇抑制組成物は、上記生薬含有組成物を有効成分として含有するものである。この生薬含有組成物は、天然素材由来の成分からなるものであるので、安全性に優れ、多量に摂取しても、臓器にかかる負荷が低い。
【0072】
本発明の血糖値上昇抑制組成物は、生薬含有組成物の含有量が50〜100質量%が好ましい。生薬含有組成物の含有量が50質量%未満であると、十分な効果を得るためには、血糖値上昇抑制組成物を多量に摂取しなければならなくなり、日常生活の中で手軽に摂取できなくなることがある。
【0073】
本発明の血糖値上昇抑制組成物の投与量は、大人1人の1日当たりの摂取量が500〜10,000mgであることが好ましく、800〜3,000mgがより好ましい。投与回数は、1日当たり2〜3回に分けて、6〜12時間間隔で摂取することが好ましい。
【0074】
摂取量が500(mg/人・日)未満であると、十分な改善効果が得られないことがあり、10,000(mg/人・日)を超えても、安全性の観点からは問題がないが、さほど効果が向上しない傾向にある。
【実施例】
【0075】
[生薬含有組成物の製造例]
ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア、サラシアレティキュラータ、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(インドメギ)、ニガウリ、イボツヅラフジ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウを生薬成分として用いた。
【0076】
ガルシニア、ビビータキー、サラシアレティキュラータ、アムラ、ニーム、セイヨウメギ(インドメギ)、ニガウリ、イボツヅラフジは、それぞれの使用部位を洗浄・乾燥して、適当な大きさに粉砕・破砕した後、木綿製の袋に詰め、タンクに水を加えて長時間かけて加熱し、生薬エキスを水抽出した。そして、得られた生薬エキスを濃縮乾燥した後、破砕・粉砕して乾燥粉末体を得た。
【0077】
また、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウは、それぞれの使用部位を洗浄・乾燥して、適当な大きさに粉砕・破砕した後、木綿製の袋に詰め、タンクに水を加えて長時間かけて加熱し、冷却後アルコール発酵させて生薬エキスをアルコール抽出した。そして、得られた生薬エキスを濃縮乾燥した後、破砕・粉砕して乾燥粉末体を得た。
【0078】
また、ニンニクは、洗浄・乾燥後、破砕・粉砕して、乾燥粉末体を得た。
【0079】
上記各生薬の乾燥粉末体を、表1に示す割合で混合して、生薬含有組成物を製造した。
【0080】
【表1】
【0081】
(試験例1)
1週間予備飼育したSprague Dawleyラットを用いて試験を行った。
【0082】
予備飼育した40匹のラットをA〜Dの4群(n=10)に分け、高脂肪・高コレステロール飼料(飼料100g中に、黄レンズ32g、ショ糖27g、粉乳17g、無機塩混合物5g、酵母1g、バター2g、ラッカセイ油11g、コレステロール5gを含む飼料)を与え、8週間飼育した(以下、誘導期という)。誘導期間中、水は自由摂取させた。
【0083】
誘導期終了後、各群のラットを、水を自由摂取できる状態で一晩絶食させ、その後、以下の被験物質を、ゴムを裏打ちした経口給餌針を用いて1日1回経口投与し、8週間更に飼育した(以下、治療期という)。治療期間中、飼料としては、げっ歯類用飼料を与えた。また、水は自由摂取させた。
【0084】
≪被験物質≫
A群:0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液10ml(ラット体重1kg当たり1回分)
B群:0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液10mlに、製造例で得られた生薬含有組成物350mgを混合した懸濁液(ラット体重1kg当たり1回分)
C群:0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液10mlに、製造例で得られた生薬含有組成物700mgを混合した懸濁液(ラット体重1kg当たり1回分)
D群:0.5%CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液10mlに、シブトラミン7mgを混合した混合液(ラット体重1kg当たり1回分)
試験期間中、1回/1週間の頻度で、各群のラットの体重を測定した。また、1回/1日の頻度で、摂餌量を測定した。また、誘導期直前(高脂肪・高コレステロール飼料の給餌直前[試験開始0日目])、誘導期終了後(高脂肪・高コレステロール飼料の給餌56日経過後[試験開始56日目])、治療期終了後(被験物質の投与56日経過後[試験開始112日目])のラットから採血し、血清分析及び血中アディポネクチン濃度の分析を行った。また、治療期終了後のラットの腹部及び精巣上体の脂肪重量を測定した。
【0085】
[容認性について]
試験期間中、生薬含有組成物を投与したB,C群のラットは、いずれにも、死亡例及び重篤な毒性症状は生じず、また、内臓機能に損傷はなかった。
【0086】
[摂餌量について]
試験期間中、各群で摂餌量に変化はほとんど見られなかった。
【0087】
[体重変化について]
治療期間中の各群のラットの体重(g)の経時変化を表2に記す。また、治療期間中における各群のラットの体重の推移を図1に記す。なお、表2中のカッコ内の値は、治療期開始直前の状態からの変化量(g)である。
【0088】
【表2】
【0089】
生薬含有組成物を投与量したB群,C群のラットは、シブトラミンを投与したD群のラットとほぼ同程度の体重増加抑制効果があった。そして、B群とC群との対比から、生薬含有組成物の投与量を増加させることで、その効果が向上することが確認できた。
【0090】
[血清化学について]
誘導期直前、誘導期終了後、治療期終了後の各群のラットから採血して、血清成分を分析した。表3にA群のラットの血清成分を、表4にB群のラットの血清成分を、表5にC群のラットの血清成分を、表6にD群のラットの血清成分を記す。また、図2に、治療期間終了後の各群のラットの血中コレステロール濃度を、図3に血中トリグリセライド濃度を示す。なお、血清分析は、Human社製生化学試薬を用い、自動臨床化学分析装置(商品名「Human Star 300」 Human社製)で検査した。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
上記結果より、生薬含有組成物を投与量したB群,C群のラットは、血中コレステロールや血中トリグリセライドの低減効果が認められた。特に血中コレステロールに関しては、シブトラミンを投与したD群のラットとほぼ同程度の効果が得られた。そして、B群とC群との対比から、生薬含有組成物の投与量を増加させることで、血中コレステロールや血中トリグリセライドの低減効果が向上することが確認できた。
【0096】
[血中アディポネクチン濃度について]
誘導期直前、誘導期終了後、治療期終了後の各群のラットから採血し、血中アディポネクチン濃度を測定した、血清成分を表7に記す。表7中のカッコ内の値は、治療期直前からの血中アディポネクチン濃度の変化量である。また、治療期間中における各群のラットのアディポネクチン濃度の変化量を図4に記す。なお、血中アディポネクチン濃度は、Lonco Research社製のサンドイッチラットアディポネクチンELISAキットを用いて行った。分析感度は0.155ng/mlであった。
【0097】
【表7】
【0098】
上記結果より、生薬含有組成物を投与量したB群,C群のラットは、血中アディポネクチン濃度の増加が認められ、メタボリックシンドロームの症状が改善する傾向にあることが確認できた。そして、B群とC群との対比から、生薬含有組成物の投与量を増加させることで、その効果がより向上することが確認できた。
【0099】
[脂肪組織重量について]
試験終了後のラットの脂肪重量を表8及び図5に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
生薬含有組成物を投与したB群,C群のラットは、A群,D群のラットよりも、脂肪重量が低減されていた。
【0102】
(試験例2)
35歳から68歳の男女ボランティア10名にインフオームドコンセント(説明と同意)を実施して、被験者となってもらい、以下の試験を行った。
【0103】
[生薬含有組成物の調製]
生薬含有組成物としては、上記表1に示す組成のものを錠剤化した錠剤を用意した。その1錠中の含有量は290mgとした。
【0104】
[服用方法]
被験者を2群に分け、1日6錠を摂取してもらう被験者群と、12錠を摂取してもらう被験者群とを設定した。服用期間は2ヶ月とした。表9には、被験者の性別、年齢、並びに服用開始前/服用開始2ヶ月後の血圧、体重、腹囲を示す。表9中網かけを施した被験者が1日12錠を摂取してもらった被験者であり、それ以外が6錠を摂取してもらった被験者である。
【0105】
【表9】
【0106】
[検査方法]
服用開始前、並びに服用開始40日後及び/又は41日後、1ヵ月後、2ヵ月後、服用中止1ヵ月後に、被験者の末梢血液20mlを採血した。そして、一般的な血液検査、又は生化学検査を、各種検査項目について網羅的に実施して、その検査数値の推移を観察した。また、被験者から体調の変化の有無について申告してもらった。
【0107】
[結果]
上記表9に示すように、服用開始前/服用2ヶ月後の血圧、体重、腹囲において、特に有意な変化は認められなかった。被験者からの体調の変化の申告もなく、また、急性毒性を示唆する所見も認められなかった。
【0108】
一方、下記表10−表19にはそれぞれ各被験者の検査数値を示す。その結果、血液検査、又は生化学検査の各種検査項目について、被験者ごとに数値の推移を観察したなかで、特に多数の被験者で数値の改善の傾向が認められた項目は、血中中性脂肪(血中トリグリセライド濃度)と、チモール混濁液試験(TTT)、及びクンケル混濁試験(ZTT)の値であった。なお、チモール混濁液試験(TTT)、又はクンケル混濁試験(ZTT)は、肝疾患障害時における血漿蛋白成分の量的、質的異常を検知するための簡便な方法として広く用いられている試験である。
【0109】
【表10】
【0110】
【表11】
【0111】
【表12】
【0112】
【表13】
【0113】
【表14】
【0114】
【表15】
【0115】
【表16】
【0116】
【表17】
【0117】
【表18】
【0118】
【表19】
【0119】
図6には、被験者ごとの血中中性脂肪(血中トリグリセライド濃度)の推移(41日後のデータ除く)をグラフにした。これによれば、全体の傾向として、上記生薬含有組成物を摂取することで、血中中性脂肪(血中トリグリセライド濃度)の値が低減することが認められた。ことに、服用前に30〜149mg/dLの参考基準値を上回っていた被験者については、その効果が顕著であった。
【0120】
また、図7には、被験者ごとのチモール混濁液試験(TTT)の数値の推移(41日後のデータ除く)をグラフにした。これによれば、全体の傾向として、上記生薬含有組成物を摂取することで、チモール混濁液試験(TTT)の数値が低減することが認められた。ことに、服用前に5単位以下の参考基準値を上回っていた被験者については、その効果が顕著であった。また、服用中止後には、数値がリバウンドしてしまう傾向が認められた。
【0121】
また、図8には、被験者ごとのクンケル混濁試験(ZTT)の数値の推移(41日後のデータ除く)をグラフにした。これによれば、全体の傾向として、上記生薬含有組成物を摂取することで、クンケル混濁試験(ZTT)の数値が低減することが認められた。また、服用中止後には、数値がリバウンドしてしまう傾向が認められた。
【0122】
以上から、上記生薬含有組成物を摂取することで、血中中性脂肪の増加を抑制する効果や、肝機能改善の効果が得られることがわかった。
【0123】
(試験例3)
46歳から65歳の男女ボランティア5名にインフオームドコンセント(説明と同意)を実施して、被験者となってもらい、以下の試験を行った。
【0124】
[生薬含有組成物の調製]
生薬含有組成物としては、下記表20に示す組成のものを錠剤化した錠剤を用意した。その1錠中の含有量は290mgとした。
【0125】
【表20】
【0126】
[服用方法及び検査方法]
被験者には1日6錠を摂取してもらい、その服用期間は3ヶ月とした。服用開始前、並びに服用開始1ヵ月後、2ヵ月後、又は3ヵ月後に、被験者の体脂肪率、空腹時血糖値、血中γ―GTP値を測定した。また、被験者のうち2人については、服用開始3ヵ月後に腹部CTスキャンをとり、その画像解析により、全体脂肪の面積、内臓脂肪の面積、皮下脂肪の面積、臍周囲皮下脂肪厚、腹直筋厚、及び腹斜筋群厚を測定した。
【0127】
[結果]
図9には体脂肪率の結果を、図10には空腹時血糖値の結果を、図11にはγ―GTP値の結果をそれぞれ示す。これらの図にみられるように、体脂肪率、空腹時血糖値、γ―GTP値のいずれにおいても、服用後、服用開始前に比べて、それらの値が低減する傾向が認められた。したがって、上記生薬含有組成物は、体脂肪の増加抑制、血糖値上昇抑制、及び肝機能の改善のために有用であることが明らかとなった。
【0128】
また、図12及び13は、被験者の2人についての腹部CTスキャン及び画像解析の結果である。その結果、図12の被験者では、被験者服用後、服用開始前に比べて全体脂肪の面積、内臓脂肪の面積、皮下脂肪の面積、臍周囲皮下脂肪厚、腹直筋厚において、それらの値が低減していた。、また、図13の被験者では、被験者服用後、服用開始前に比べて全体脂肪の面積、内臓脂肪の面積、臍周囲皮下脂肪厚、腹斜筋群厚において、それらの値が低減していた。したがって、上記生薬含有組成物は、おなか回りの脂肪や内臓脂肪を減少するのに有用であることが明らかとなった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータを含む生薬成分を含有することを特徴とする生薬含有組成物。
【請求項2】
アムラ、ニーム、セイヨウメギ、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有する、請求項1に記載の生薬含有組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とするメタボリックシンドローム改善組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする肥満抑制組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする体内脂肪の増加抑制組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする血中中性脂肪の増加抑制組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする肝機能改善組成物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする血糖値上昇抑制組成物。
【請求項1】
ガルシニア、ビビータキー、ググル、ギムネマシルベスタ、ボスウェリア及びサラシアレティキュラータを含む生薬成分を含有することを特徴とする生薬含有組成物。
【請求項2】
アムラ、ニーム、セイヨウメギ、センシンレン、ニガウリ、イボツヅラフジ、スダルサナバリ、ニンニク、ウコン、コレウスフォルスコリ、ナガコショウ、ショウガ、クロコショウからなる群より選ばれる1種以上の生薬成分を更に含有する、請求項1に記載の生薬含有組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とするメタボリックシンドローム改善組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする肥満抑制組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする体内脂肪の増加抑制組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする血中中性脂肪の増加抑制組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする肝機能改善組成物。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の生薬含有組成物を有効成分として含有する、ことを特徴とする血糖値上昇抑制組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−202634(P2010−202634A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135200(P2009−135200)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(501058869)グリーン漢方製薬株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(501058869)グリーン漢方製薬株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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