説明

産業機械の診断装置及び方法並びにコンピュータのプログラム及び記録媒体

【課題】産業機械の診断装置及び診断方法に関し、産業機械の点検結果を考慮しながら生産性や品質の診断を容易に且つ適正に行なうことができるようにする。
【解決手段】入力部にマシン停止の際のマシン症状を入力され、処理部において、このマシン症状の発生原因となった発生原因事象との対応データを参照して入力されたマシン症状からマシン停止の発生原因事象を推定し、マシン点検結果とマシン点検結果から想定される発生原因事象との対応データを参照して、点検により得られるマシン不具合事項から発生原因事象を推定し、マシン症状から推定した発生原因事象とマシン不具合事項から推定した発生原因事象との異同から、マシン停止の原因となった前記発生原因事象を特定するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械の保守,管理に用いて好適の、産業機械の診断装置及び診断方法並びにコンピュータのプログラム及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
種々の製品を生産或いは加工する工場では、産業機械により優良な品質の製品を効率よく生産或いは加工するために、機械の消耗部品の交換等のメンテナンスを適切に行なったり、部品よりも大規模な機械要素(産業機械を構成する構成マシン)の交換を適切に行なったりすることが必要である。また、高価な部品の交換や、基本的に高価な構成マシンの交換は、投資効果の面を考慮して適切なタイミングで実施することが望ましい。
【0003】
投資効果の面から部品や構成マシンの交換等を判断するためには、機械の本来の生産能力(理論上可能な最大生産量、理想生産量)と機械の実際の生産状態(実生産量)とを把握することが必要になる。つまり、部品や構成マシンは、使用していく間に経時劣化によって次第に性能が低下していくため、生産或いは加工する製品の品質低下や生産効率の低下を招くようになる。このため、理想生産量と実生産量とから部品や構成マシンの劣化によるコスト面の影響を把握して、適切なタイミングで部品や構成マシンを交換したり或いは修理したりできれば、高い生産性を確保することができる。
【0004】
このような機械の理想生産量と実生産量との把握やこれに基づく部品や構成マシンの交換等のタイミングは、工場側で判断することもできるが、機械設備を熟知した機械メーカー側によって判断し工場側に提案する方が効率がよい。このため、機械メーカー側の営業系のサービスマン等は、工場側から機械に関するデータを入手して、実生産量を把握すると共に理想生産量を算出して、これらに基づいて適切なタイミングで部品や構成マシンの交換等を工場側(顧客)に提案することが行われる。
【0005】
例えば、図11は、段ボール製品を製造する段ボール工場1に設備されたコルゲータ2や製函機3といった産業機械に対してコルゲータ2や製函機3等を納品した機械メーカー側が実施している種々のサービスの形態を説明する図である。図11に示すように、サービスマンM1は、段ボール工場(顧客)1側から、設備されているコルゲータ2や製函機3等に関する運転データを収集して、これに基づいて実生産量と理想生産量とを算出する。
【0006】
また、サービスマンM1は、この理想生産量と実生産量とに基づいて生産性を分析すると共に、製品(段ボールシートや段ボール箱)を入手して品質状況を分析して、生産性・品質分析レポートを作成し、これらに基づいて適当なタイミングで部品や構成マシンの交換等を推奨する推奨工事提案書等を作成し、工場側(顧客)に提案する。これによって、機械メーカー側では設備交換等の工事の受注が期待できる。
【0007】
一方、メンテナンスについては、上記サービスマンとは別に、機械メーカー側の保守管理担当者M2が段ボール工場1に出向いてコルゲータ2や製函機3等の保守点検や整備を行なう。この保守点検や整備は、定期的に行なう場合もあり、機械に何らかの不具合が生じて工場側からの要請で行なう場合もある。この際、保守管理担当者M2は機械点検レポート等を作成し、工場側(顧客)に提出するとともに以降の保守管理に役立てる。
【0008】
なお、保守点検にかかる技術として、特許文献1に記載された建設機械の保守点検システムがある。この技術は、不具合が生じた建設機械の機種情報やユーザ情報をユーザ端末コンピュータで設定入力すると、インターネットを介してサーバの機械情報取得手段で認識し、サーバは、機種情報に基づいて建設機械に対応した保守点検フローを実行するプログラムをユーザ端末コンピュータにインターネットを介して出力する。これにより、専門知識を必要とせず点検手順情報に従って容易に点検でき、比較的軽微な不具合であればユーザ自ら処置でき、機械の保守点検コストを低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−178148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述のサービスマンM1の作業に必要な実生産量は機械の稼働履歴等が記録されていれば自動入手可能であるが、理想生産量はサービスマンM1がデータを収集して自らのノウハウによって算出する必要があり、算出までに非常に時間がかかり即応性がないうえ、サービスマンM1の負担になる。
また、サービスマンM1が分析する生産性や品質は、機械の状態に依存するが、この一方で、保守管理担当者M2が得る機械点検結果には、このような機械の状態を示す情報が含まれる。しかしながら、サービスマンM1が作成する生産性分析及び品質分析と、保守管理担当者M2が取得する機械点検結果とは特に紐付けされてはいないため、サービスマンM1が各分析から作成した報告書は機械点検結果を反映させたものとはならず、この点で顧客へのインパクトが薄いものとなる。
【0011】
生産性及び品質の分析結果から、何らかの不具合があれば、推奨する提案(構成マシンの交換、改造、部品交換、調整)を検討することになるが、これもサービスマンM1の技量任せであり、経験の浅いサービスマンM1では、的確な提案を提示できないケースもある。
また、顧客先で各提案に要する費用や価格を速やかに算出できるようにはなっていないため、見積書等によって、顧客側担当者M3に、投資額や投資効果を提示できず、例えば、投資優先順位が不明確なまま報告を行なうことになる。
【0012】
このため、推奨する提案に関する商談がスムーズに進まず、推奨する提案に要する費用や価格を後日改めて顧客に提示することになり、このような情報提示の遅れに起因して、顧客の投資意欲が減退し、受注機会を失うことにもなる。
また、この場合には、工場側にとっても、対策の遅れから生産効率の点からも好ましくない状態を招くこともある。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みて創案されたもので、産業機械の点検結果を考慮しながら生産性や品質の診断を容易に且つ適正に行なうことができるようにした産業機械の診断装置及び診断方法を提供すること、さらには、このような診断結果から必要な提案やこの提案に要する費用等を診断結果とリンクさせて開示することができるようにした産業機械の診断装置及び診断方法並びにコンピュータのプログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の産業機械の診断装置は、情報入力部と、前記情報入力部が接続されたデータ処理部と、前記データ処理部と接続されたデータ記憶部とを有する産業機械の診断装置であって、前記データ記憶部には、前記産業機械(或いは、前記産業機械と同種の産業機械)に関してマシン停止の際のマシン症状と該マシン症状の発生原因事象とを対応させた第1データと、前記産業機械(或いは、前記産業機械と同種の産業機械)に関してマシン点検により得られるマシン不具合事項と該マシン不具合事項から想定される前記発生原因事象とを対応させた第2データと、が記憶され、前記データ処理部は、前記情報入力部に入力された前記マシン停止にかかる前記マシン症状の情報と、前記データ記憶部に記憶された前記第1データとに基づいて、前記マシン停止にかかる前記発生原因事象を推定する第1推定手段と、前記情報入力部に入力された前記マシン不具合事項と、前記データ記憶部に記憶された前記第2データとに基づいて、前記マシン不具合事項から想定される前記発生原因事象を推定する第2推定手段と、前記第1推定手段により推定された前記発生原因事象と、前記第2推定手段により推定された前記発生原因事象との異同から、前記マシン停止の原因となった前記発生原因事象を特定するマシン停止原因特定手段とを、備えていることを特徴としている。
【0015】
前記情報入力部に入力された前記マシン点検による結果からマシン不具合事項を抽出する点検結果抽出手段を更に備え、前記第2推定手段による推定に用いる前記マシン不具合事項は、前記点検結果抽出手段により抽出されることが好ましい。
前記データ記憶部には、前記産業機械(或いは、前記産業機械と同種の産業機械)に関して前記発生原因事象と前記発生原因事象に対する対策とを対応させた第3データが更に記憶され、前記データ処理部は、前記マシン停止原因特定手段により特定された前記発生原因事象と、前記データ記憶部に記憶された前記第3データとに基づいて、特定された前記発生原因事象に対する対策を選定する対策選定手段を更に備えていることが好ましい。
【0016】
前記データ処理部と接続された表示部をさらに有し、前記表示部には、前記第1推定手段による推定に関する前記マシン停止にかかる前記マシン症状と前記発生原因事象とを対応表示する第1の表示と、前記第2推定手段による推定に関する前記マシン不具合事項と前記発生原因事象とを対応表示する第2の表示と、前記マシン停止原因特定手段により特定された前記発生原因事象をこれにかかる前記マシン症状と前記マシン不具合事項と対応表示する第3の表示と、前記対策選定手段により選定された対策をこれにかかる前記マシン症状と前記発生原因事象と前記マシン不具合事項と対応表示する第4の表示との、少なくともいずれかが行なわれることが好ましい。
【0017】
前記データ処理部には、前記情報入力部に入力された前記産業機械のマシン運転データとマシン仕様データとから、前記産業機械の実生産量及び理想生産量を算出する生産量算出手段と、実生産量からのマシン停止時間情報と、前記情報入力部に入力された前記マシン停止にかかる前記マシン症状の情報と、前記生産量算出手段により算出された前記実生産量及び前記理想生産量とから、前記マシン症状別に前記産業機械の生産ロス量を算出する生産ロス量算出手段と、を更に備え、前記表示部には、前記生産ロス量算出手段により算出された生産ロス量を前記マシン症状又は前記マシン不具合事項と対応表示する第5の表示が行なわれることが好ましい。
【0018】
前記データ記憶部には、前記対策選定手段により選定された対策と前記対策に対して要した実績価格とを対応させた第4データが更に記憶され、前記表示部による前記第5の表示には、前記対策が複数リスト表示され、前記データ処理部には、前記第5の表示としてリスト表示された前記対策の中から前記情報入力部により選択入力された対策選択情報と、前記データ記憶部に記憶された前記第4データとに基づいて、前記選択入力された対策に対応した実績価格を算出する価格算出手段が更に備えられ、前記表示部には、前記選択入力された対策と、前記価格算出手段により算出された前記選択入力された対策に対応した実績価格とを対応表示する第6の表示が行なわれることが好ましい。
【0019】
前記データ処理部には、前記生産ロス量算出手段により算出された生産ロス量と、前記価格算出手段により算出された前記選択入力された対策に対応した実績価格とから、投資効果を算出する投資効果算出手段を更に備え、前記表示部には、前記投資効果算出手段により算出された投資効果が前記マシン症状又は前記第2事象と対応表示する第7の表示が行われることが好ましい。
前記第7の表示では、前記投資効果に優先順位が付けて表示されることが好ましい。
【0020】
前記データ処理部には、前記各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成する報告書作成手段を更に備えていることが好ましい。
前記データ処理部では、前記産業機械の停止時に、前記各手段の処理を実行することが好ましい。
前記データ記憶部には、前記産業機械により生産される製品の品質項目と該品質項目に関する基準値とを対応させた第5データと、前記製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを前記品質項目毎に対応させた第6データとが、更に記憶され、前記データ処理部には、前記情報入力部に入力された前記製品の品質計測結果と、前記データ記憶部に記憶された前記第5データとに基づいて、前記製品の品質が品質基準を満足しているかを前記品質項目毎に判断する判断手段と、前記判断手段により前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、前記品質エラーとされた前記品質項目と、前記データ記憶部に記憶された前記第6データとに基づいて、前記品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する第3推定手段と、前記情報入力部に入力された前記マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する点検結果抽出手段と、前記第3推定手段により推定されたマシン不具合事項と、前記点検結果抽出手段により抽出されたマシン不具合事項との異同から、前記品質エラーの原因となった前記マシン不具合事項を特定するマシン不具合特定手段とが、更に備えられていることが好ましい。なお、品質基準とは、品質項目に関する基準値のことである。
【0021】
本発明のもう一つの産業機械の診断装置は、情報入力部と、前記情報入力部が接続されたデータ処理部と、前記データ処理部と接続されたデータ記憶部とを有する産業機械の診断装置であって、前記データ記憶部には、前記産業機械により生産される製品の品質項目と該品質項目に関する基準値とを対応させた第5データと、前記製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを前記品質項目毎に対応させた第6データと、が記憶され、前記データ処理部には、前記情報入力部に入力された前記製品の品質計測結果と、前記データ記憶部に記憶された前記第5データとに基づいて、前記製品の品質が前記品質基準を満足しているかを前記品質項目毎に判断する判断手段と、前記判断手段により前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、前記品質エラーとされた前記品質項目と、前記データ記憶部に記憶された前記第6データとに基づいて、前記品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する第3推定手段と、前記情報入力部に入力された前記マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する点検結果抽出手段と、前記第3推定手段により推定されたマシン不具合事項と、前記点検結果抽出手段により抽出されたマシン不具合事項との異同から、前記品質エラーの原因となった前記マシン不具合事項を特定するマシン不具合特定手段とが、備えられていることを特徴としている。
【0022】
前記データ記憶部には、前記マシン不具合事項と該マシン不具合事項に対する対策とを対応させた第7データが更に記憶され、前記データ処理部には、前記マシン不具合事項特定手段により特定された前記マシン不具合事項と、前記データ記憶部に記憶された前記第7データとに基づいて、前記特定された前記マシン不具合事項に対する対策を選定する品質対策選定手段が更に備えられていることが好ましい。
【0023】
前記データ処理部と接続された表示部をさらに有し、前記表示部には、前記判断手段により前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると前記品質エラーとされた前記品質項目を表示する第8の表示と、前記第3推定手段により推定された前記マシン不具合事項をこれに関する前記品質エラーとされた前記品質項目と対応表示する第9の表示と、前記点検結果抽出手段により抽出されたマシン不具合事項を表示する第10の表示と、前記品質エラーの前記品質項目と前記マシン不具合事項特定手段により特定された前記マシン不具合事項とを対応表示する第11の表示とが、前記品質対策選定手段により選定された対策と前記品質エラーの前記品質項目と前記特定された前記マシン不具合事項とを対応表示する第12の表示との、少なくともいずれかが行なわれることが好ましい。
【0024】
前記データ記憶部には、前記品質対策選定手段により選定された対策と前記対策に対して要した実績価格とを対応させた第8データが更に記憶され、前記表示部による前記第12の表示には、前記対策が複数リスト表示され、前記データ処理部には、前記第12の表示としてリスト表示された前記対策の中から前記情報入力部により選択入力された対策選択情報と、前記データ記憶部に記憶された前記第8データとに基づいて、前記選択入力された対策に対応した実績価格を算出する価格算出手段が更に備えられ、前記表示部には、前記選択入力された対策と、前記価格算出手段により算出された実績価格と前記選択入力された対策とを対応表示する第13の表示が行なわれることが好ましい。
【0025】
前記データ処理部には、前記品質に関する各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成する報告書作成手段を更に備えていることが好ましい。
前記データ記憶部に記憶された前記各データは、新たな入手データに基づき更新されることが好ましい。
モバイルパーソナルコンピュータを用いて構成されていることが好ましい。
【0026】
本発明の産業機械の診断方法は、事前に、前記産業機械に関して過去に生じたマシン停止の際のマシン症状と該マシン症状の発生原因となった発生原因事象とを対応させた第1データと、前記産業機械に関してマシン点検から得られるマシン不具合事項と該マシン不具合事項から想定される前記発生原因事象とを対応させた第1データと、を用意し、前記マシン停止にかかる前記マシン症状の情報と、前記第1データとに基づいて、前記マシン停止にかかる前記発生原因事象を推定する第1ステップと、前記マシン点検結果にかかるマシン不具合事項と、前記第2データとに基づいて、前記マシン不具合事項から想定される前記発生原因事象を推定する第2ステップと、前記マシン症状の情報から推定した前記発生原因事象と、前記マシン不具合事項から想定した前記発生原因事象との異同から、前記マシン停止の原因となった前記発生原因事象を特定する第3ステップとを有することを特徴としている。
【0027】
事前に、前記産業機械により生産される製品の品質項目と該品質項目に関する基準値とを対応させた第5データと、過去に生じた前記製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを前記品質項目毎に対応させた第6データと、をさらに用意し、前記製品の品質計測結果と、前記第5データとに基づいて、前記製品の品質が前記品質基準を満足しているかを前記品質項目毎に判断する第4ステップと、前記第4ステップにより前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、前記品質エラーとされた前記品質項目と、前記第6データとに基づいて、前記品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する第5ステップと、前記マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する第6ステップと、前記第5ステップにより推定されたマシン不具合事項と、前記第6ステップにより抽出されたマシン不具合事項との異同から、前記品質エラーの原因となった前記マシン不具合事項を特定する第7ステップとを、さらに有することも好ましい。
【0028】
本発明のもう一つの産業機械の診断方法は、事前に、前記産業機械により生産される製品の品質項目と該品質項目に関する基準値とを対応させた第5データと、過去に生じた前記製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを前記品質項目毎に対応させた第6データと、を用意し、前記製品の品質計測結果と、前記第5データとに基づいて、前記製品の品質が前記品質基準を満足しているかを前記品質項目毎に判断する第4ステップと、前記第4ステップにより前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、前記品質エラーとされた前記品質項目と、前記第6データとに基づいて、前記品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する第5ステップと、前記マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する第6ステップと、前記第5ステップにより推定されたマシン不具合事項と、前記第6ステップにより抽出されたマシン不具合事項との異同から、前記品質エラーの原因となった前記マシン不具合事項を特定する第7ステップとを有することを特徴としている。
【0029】
本発明の産業機械の診断プログラムは、上記の何れかの産業機械の診断方法の各ステップをコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴としている。
本発明の記録媒体は、上記の産業機械の診断プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、マシン停止があると、予め記憶されたデータを用いて、その際のマシン症状を招いた原因となった発生原因事象を推定すると共に、マシン点検により得られるマシン不具合事項から想定される発生原因事象を推定し、これらの推定された発生原因事象の異同から、マシン停止の原因となった発生原因事象を特定するので、マシン停止の原因となった発生原因事象をより正確に推定することができ、産業機械の生産性にかかる診断を容易に且つ適正に行なうことができる。
【0031】
また、予め記憶されたデータを用いて、特定された発生原因事象に対する対策を選定することにより、適切な提案をすることができる。
さらに、表示部に、マシン症状と発生原因事象との一般的な対応関係や、マシン不具合事項と発生原因事象との一般的な対応関係や、特定された発生原因事象とこれにかかるマシン症状及びマシン不具合事項との対応関係や、選定された対策とこれにかかるマシン症状,発生原因事象,及び前記マシン不具合事項との対応関係を表示することにより、マシン停止にかかる種々の情報を容易に視認することができる。
【0032】
また、表示部にリスト表示された対策の中から選択操作をすれば、記憶されたデータに基づいて、選択された対策に対応した実績価格を算出し表示するように構成すると、コスト面を考慮しながら対策の実施を検討することができる。
さらに、マシン停止による生産ロス量と選択入力された対策に対応した実績価格とから投資効果を算出して表示すれば、投資効果を考慮しながら対策の実施を検討することができる。
【0033】
このとき、投資効果に優先順位を付けて表示すれば、対策の実施を検討するための参考にすることができ、対策の実施をより積極的に検討することができる。
各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成することにより、診断報告書に基づいて対策の実施を検討することができる。
上記の各処理を、産業機械の停止時に実行すれば、効率よく且つ明確に処理を実施することができる。
【0034】
また、別の本発明によれば、製品の品質計測をしたら、予め記憶されたデータを用いて、製品の品質が品質基準を満足しているかを品質項目毎に判断し、製品の品質が品質基準を満足しておらず品質エラーである場合には、予め記憶されたデータを用いて、品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定し、マシン点検結果から抽出したマシン不具合事項と、推定したマシン不具合事項との異同から、品質エラーの原因となったマシン不具合事項を特定するので、品質エラーの原因となったマシン不具合事項をより正確に推定することができ、産業機械による生産される製品の品質にかかる診断を容易に且つ適正に行なうことができる。
【0035】
さらに、予め記憶されたデータを用いて、特定されたマシン不具合事項に対する対策を選定することにより、適切な対策を案内することができる。
また、表示部に、品質エラーとされた品質項目や、マシン不具合事項や、点検結果から抽出されたマシン不具合事項や、特定されたマシン不具合事項や、選定された対策を、適宜表示することにより、マシン停止にかかる種々の情報を容易に視認することができる。
【0036】
さらに、リスト表示された対策の中から選択入力された対策に対応した実績価格を算出しこれらを対応表示することにより、実績価格を考慮しながら対策の実施を検討することができる。
この場合も、各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成することにより、診断報告書に基づいて対策の実施を検討することができる。
【0037】
データ記憶部に記憶された各データを、新たな入手データに基づき更新すれば、より適切な推定や判断や特定や選定を実施することができる。
さらに、モバイルパーソナルコンピュータを用いて本装置を構成すれば、例えば、生産機械のメーカー側から担当者が、生産機械を設備した工場側に出向いて、上記の各処理を実施することにより、生産性や品質にかかるマシン改善事項を工場側の担当者に分かり易く説明することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる装置構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる診断処理を説明する模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる診断処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる診断処理に用いるデータ例を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる診断処理についての表示例を説明する図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる装置構成を説明するブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる診断処理を説明する模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態にかかる診断処理を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる診断処理に用いるデータ例を説明する図である。
【図10】本発明の第2実施形態にかかる診断処理についての表示例を説明する図である。
【図11】背景技術にかかる診断処理を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
なお、図1〜図5は本発明の第1実施形態を説明するものであり、図6〜図10は本発明の第2実施形態を説明するものである。
【0040】
〔第1実施形態〕
まず、図1〜図5を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態は、産業機械の生産性の診断(分析)にかかるものである。
なお、本実施形態では、図2に示すように、段ボール製品を製造する段ボール工場1に設備されたコルゲータ2や製函機3といった産業機械に対する診断について説明するが、本発明としてはかかる産業機械に限定されるものではない。
【0041】
<概要>
まず、実施形態にかかる装置及び方法を適用する状況を説明すると、図2に示すように、段ボール製品を製造する段ボール工場1には、コルゲータ2や製函機3といった産業機械類が設備されている。このような機械類に対しては、日常的には工場側の担当者が維持管理を行なってはいるが、この一方で、コルゲータ2や製函機3等を納品した機械メーカー側でも、種々のサービスを実施している。
【0042】
つまり、サービスマンM1は、段ボール工場(顧客)1側から、設備されているコルゲータ2や製函機3等に関する運転データを収集して、これに基づいて機械類の状態を把握分析する。
一方、メンテナンスについては、上記サービスマンとは別に、機械メーカー側の保守管理担当者M2が段ボール工場1に出向いてコルゲータ2や製函機3等の保守点検や整備を行なう。この保守点検や整備は、定期的に行なう場合もあり、機械に何らかの不具合が生じて工場側からの要請で行なう場合もある。この保守管理担当者M2は、保守点検や整備によって、機械類の各部の状況を収集できる。
【0043】
本実施形態では、運転中に何らかのトラブル等によって機械が停止してしまった場合に、運転状況から得られるデータからそのマシン停止の原因にアプローチすると共に、保守管理情報からもマシン停止の原因にアプローチして、両面からマシン停止の原因を高精度で推定しようとするものである。さらには、マシン停止を解消する対策や、この対策にかかる費用等も速やかに提供できるようにするものである。また、様々な面から収集して得られるマシンの状態についての診断報告書を自動作成できるようにして、機械のより有効な運用を図ろうとするものである。
【0044】
<全体構成>
本実施形態にかかる産業機械の診断装置は、図1に示すように、データ入力部(情報入力部、例えば、キーボードやマウス)11と、このデータ入力部11が接続されたデータ処理部(CPU,メモリ等からなる情報処理部)12と、データ処理部12と接続されたデータ記憶部(大容量メモリ)13と、データ処理部12と接続された処理結果表示部(表示部、モニタディスプレイ)14とを有するコンピュータ10により構成される。
データ記憶部13には、以下のような各データ群がデータベースとして記憶され、データ処理部12には、以下のような各処理機能要素がソフトウェアによって割り当てられている。
【0045】
<データ記憶部>
まず、データ記憶部13に記憶されたデータを説明する。
データ記憶部13には、工場1に設備された産業機械2,3と同種の産業機械に関するデータが第1〜第3データベース13a〜13cとして蓄積記憶されている。
このうち、第1のデータベース13aには、コルゲータ2や製函機3といった機械が停止したときに、この停止(マシン停止)時の具体的な機械の症状(これを、「マシン症状」とする。また、「要因」とも呼ぶ。)と、このマシン症状を招いた原因となった事象(これを、「発生原因事象」とする)とを対応させた第1データが記憶されている。
【0046】
マシン停止要因(マシン症状)としては、コルゲータ2や製函機3の場合、「紙詰まり」,「紙切れ」,「紙継ぎミス」などの症状が上げられる。また、これらの「紙詰まり」,「紙切れ」,「紙継ぎミス」などの症状を招いた原因となった事象(発生原因事象)としては、「切断不良」,「紙の蛇行」,「オーダチェンジ(紙交換)ミス」といった事項が挙げられる。これらのマシン停止要因(マシン症状)と、これを招いた原因となった事象(発生原因事象)との間には一定の相関があり、同種の産業機械に関する過去のデータを収集することで、この対応関係をデータベース化することができる。これにより、第1データを作成できる。
【0047】
第2のデータベース13bには、コルゲータ2や製函機3といった機械を点検することにより得られるマシン不具合事項と、このマシン不具合事項から想定される前記発生原因事象とを対応させた第2データが記憶されている。
「マシン不具合事項」としては、コルゲータ2や製函機3の場合、「ナイフ磨耗」,「ナイフ受け磨耗」,「加温ロール停止」,「段ロール磨耗」,「蛇行制御装置故障」といった事項が上げられる。これらの「マシン不具合事項」は、その不具合事項の内容に応じて、上記の「切断不良」,「紙の蛇行」,「オーダチェンジ(紙交換)ミス」といった発生原因事象を誘発する。そして、これらの「マシン不具合事項」と、これにより誘発される事象(発生原因事象)との間には一定の相関があり、同種の産業機械に関する過去のデータを収集することで、この対応関係をデータベース化することができる。これにより、第2データを作成できる。
【0048】
第3のデータベース13cには、上記の「切断不良」,「紙の蛇行」,「オーダチェンジ(紙交換)ミス」といった発生原因事象に対する対策が、発生原因事象の具体的事項と対応させた第3データが記憶されている。
つまり、上記の「切断不良」,「紙の蛇行」,「オーダチェンジ(紙交換)ミス」といった発生原因事象に対しては、発生原因事象の具体的事項毎にこれを回避する対策(打ち手)が存在する。この対策とは、例えば、「切断不良」といった発生原因事象に関すれば、「ナイフ研磨」,「ナイフ交換」,「カッティング装置のオーバホール」,「カッティング装置の交換」,「ナイフ受け交換」等の対策がある。また、「紙の蛇行」といった発生原因事象に関すれば、「制御装置のオーバホール」,「制御装置の交換」等の対策がある。
このような発生原因事象の具体的事項に対する対策は、同種の産業機械に関する過去のデータを収集することで、対応関係としてデータベース化することができる。これにより、第3データを作成できる。
さらに、データ記憶部13には、上記の対策とこの対策に対して要した実績価格とを対応させた第4データを記憶した第4データベース13dが設けられている。
【0049】
例えば、上記の「ナイフ交換」,「カッティング装置の交換」,「ナイフ受け交換」,「制御装置の交換」等の対策には、その実施実績からそれぞれに要する費用(価格)を得ることができ、対策とそれに要する価格との対応関係としてデータベース化することができる。これにより、第4データを作成できる。
【0050】
<データ処理部>
データ処理部12は、マシン停止にかかるマシン症状からこれに対応した発生原因事象を推定する機能要素(第1推定手段)12aと、データ入力部11に入力されたマシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する機能要素(点検結果抽出手段)12mと、抽出されたマシン不具合事項から想定される発生原因事象を推定する機能要素(第2推定手段)12bと、両推定手段12a,12bの推定結果に基づいてマシン停止の原因となった発生原因事象を特定する機能要素(マシン停止原因特定手段)12cと、を備えている。
【0051】
第1推定手段12aでは、情報入力部11にマシン停止にかかるマシン症状の情報が入力されると、データ記憶部13の第1データベース13aに記憶された第1データのマシン症状と発生原因事象との対応関係を用いて、入力されたマシン停止にかかるマシン症状の情報の原因となった発生原因事象を推定する。
点検結果抽出手段12mは、情報入力部11に入力されたマシン点検結果の情報から、マシン不具合事項がチェックされていると、これを抽出する。
【0052】
第2推定手段12bでは、点検結果抽出手段12mにより抽出されたマシン不具合事項と、データ記憶部13の第2データベース13bに記憶された第2データのマシン不具合事項とこれから想定される発生原因事象との対応関係を用いて、マシン不具合事項から想定される発生原因事象を推定する。
【0053】
マシン停止原因特定手段12cは、第1推定手段12aにより推定された発生原因事象と、第2推定手段12bにより推定された発生原因事象との異同に基づいて、マシン停止の原因となった発生原因事象を特定する。つまり、両推定手段12a,12bにより推定された発生原因事象が同一であれば、この同一の発生原因事象をマシン停止の原因となった発生原因事象であると特定する。なお、推定手段12a,12bにより推定される発生原因事象は多くの場合複数あるので、各複数の発生原因事象のうちの共通のものが特定されることになる。
【0054】
なお、共通の発生原因事象がない場合には、入力部11を通じて、特定(単数又は複数)の発生原因事象を選定できるようになっている。
データ処理部12は、更に、マシン停止原因特定手段12cにより若しく入力部11を通じた入力により発生原因事象が特定されると、データ記憶部13の第3データベース13cに記憶された第3データである、発生原因事象とこれに対する対策との対応関係を用いて、特定された発生原因事象に対する対策を選定する機能要素(対策選定手段)12dを備えている。
【0055】
また、データ処理部12は、更に、情報入力部11にマシン運転データとマシン仕様データとが入力されると、これらのマシン運転データとマシン仕様データとから、機械の実生産量及び理想生産量を算出する機能要素(生産量算出手段)12eを備えている。
なお、マシン運転データとは、マシンの運転速度と運転時間との履歴情報等であり、マシン仕様データは、マシンが製造する製品種別等を含み、これらのマシン運転データとマシン仕様データとから、生産した製品の種類ごとに実生産量を算出することができる。また、マシン仕様データは、マシンが製造する製品種別毎の基準運転速度や稼動に関連するタイムスケジュール等を含み、これらから、理想生産量、つまり、機械を最も時間効率よく使用した場合の生産量(想定される最大可能生産量)を算出することができる。
【0056】
また、データ処理部12は、更に、情報入力部11にマシン停止にかかるマシン症状の情報及びマシン停止時間情報が入力されると、生産量算出手段12eにより算出された実生産量及び理想生産量と、入力されたマシン症状の情報及びマシン停止時間情報から、マシン症状別に機械の生産ロス量を算出する機能要素(生産ロス量算出手段)12fを備えている。
【0057】
この生産ロス量は、例えば図4(a)に示すように、マシン停止要因(マシン症状)に対応してロス価格と共にそれぞれ算出することができる。
さらに、データ処理部12は、表示部14にリスト表示された推奨対策の中から情報入力部11により対策選択情報が入力されると、データ記憶部13の第4データベース13dに記憶された第4データである、対策とそれに要する価格との対応関係に基づいて、前記選択入力された対策に対応した実績価格を算出する機能要素(価格算出手段)12gを備えている
この実績価格は、例えば図4(b)に示すように、各対策に対応して見積もられる価格(見積価格)として示すことができる。
【0058】
また、データ処理部12は、生産ロス量算出手段12fにより算出された生産ロス量と、価格算出手段12gにより算出された選択された対策に対応した実績価格とから、投資効果を算出する機能要素(投資効果算出手段)12hを備えている。
この投資効果とは、例えば図4(c)に示すように、単位時間(ここでは1年)当たりの生産ロス量を、単位時間(ここでは1年)当たりの対策コスト(投資)で除算した値とすることができる。つまり、単位時間当たり、投資がどの程度生産ロス量を削減できるかのコスト比を、投資効果の指標として与えることができる。
さらに、データ処理部12は、前記の各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成する機能要素(報告書作成手段)12iを備えている。この診断報告書については後述する。
【0059】
<表示部>
表示部14には、第1推定手段12aによる推定に関する情報表示(第1の表示)、第2推定手段12bによる推定に関する情報表示(第2の表示)、特定された発生原因事象に関する情報表示(第3の表示)、選定された対策に関する情報表示(第4の表示)、生産ロス量に関する情報表示(第5の表示)、実績価格に関する情報表示(第6の表示)、投資効果に関する情報表示(第7の表示)が、それぞれ、適宜表示される。
【0060】
第1推定手段12aによる推定に関する情報表示(第1の表示)は、例えば図5(a)に示すように、マシン停止にかかるマシン症状と発生原因事象とを対応表示するものである。
推定手段12bによる推定に関する情報表示(第2の表示)は、例えば図5(b)に示すように、マシン停止原因特定手段12cにより特定された発生原因事象をこれにかかるマシン症状とマシン不具合事項と対応表示するものである。
【0061】
特定された発生原因事象に関する情報表示(第3の表示)は、例えば図5(c)に示すように、マシン停止原因特定手段12cにより特定された発生原因事象をこれにかかるマシン症状とマシン不具合事項と対応表示するものである。
対策に関する情報表示(第4の表示)は、例えば図5(d)に示すように、対策選定手段12dにより選定された対策をこれにかかるマシン症状と発生原因事象とマシン不具合事項と対応表示するものである。
【0062】
生産ロス量に関する情報表示(第5の表示)は、例えばデータ内容として示す図4(a)のように、生産ロス量算出手段12fにより算出された生産ロス量をマシン症状又は第2事象と対応表示するものである。
実績価格に関する情報表示(第6の表示)は、例えば図5(e)に示すように、選択入力された対策と、価格算出手段12gにより算出された対策に要する実績価格とを対応表示するものである。なお、過去に実施した対策の比率を算出して、この比率についても、対応表示すれば、対策を選択する判断材料にできる。
【0063】
投資効果に関する情報表示(第7の表示)は、例えばデータ内容として示す図4(c)のように、投資効果算出手段12hにより算出された投資効果に関する情報表示(第7の表示)を、マシン症状又は第2事象と共に投資効果に優先順位を付けて対応表示するものである。
【0064】
<作用(動作)>
本実施形態にかかる産業機械の診断装置は、上述のように構成されているので、ソフトウェア(コンピュータプログラム)に応じて作動するコンピュータによって、例えば、図3に示すように、機械の診断を行なうことができる。
【0065】
つまり、情報入力部11にマシン運転データとマシン仕様データとが入力されると(ステップa2)、生産量算出手段12eが、これらのマシン運転データとマシン仕様データとから、機械の実生産量及び理想生産量を算出する(ステップb2)。
そして、ステップb4の判断を経て、マシン作動中には、マシン運転データが変動するので、この段階で診断にかかる分析処理を行なうのは難しく、分析処理は行なわない(ステップb6)。マシン停止時には、以下の分析処理を行なう。
【0066】
まず、情報入力部11にマシン停止にかかる要因(マシン症状)の情報に付随してマシン停止時間情報が入力されると(ステップa4)、生産ロス量算出手段12fが、生産量算出手段12eにより算出された実生産量及び理想生産量と、入力されたマシン症状の情報及びマシン停止時間情報とから、マシン症状別に機械の生産ロス量を算出する。
そして、第1推定手段12aで、停止要因を分析する。つまり、データ記憶部13の第1データベース13aに記憶された第1データのマシン症状と発生原因事象との対応関係を用いて、入力されたマシン停止にかかるマシン症状(停止要因)の情報からこの原因となった発生原因事象を推定する(ステップb10)。この推定結果からマシン停止の推定原因(発生原因事象)のリストを生成して(ステップb12)、図5(a)に示すように、表示部14に表示する(ステップc2)。
【0067】
一方、情報入力部11にマシン点検結果が入力されると、点検結果抽出手段12mは、入力されたマシン点検結果からマシン不具合事項を抽出し、マシン不具合事項のリストを生成して(ステップb13)、これを、図5(b)に示すように、表示部14に表示する(ステップc3)。
一方、点検結果抽出手段12mによりマシン点検結果に基づくマシン不具合事項が抽出されると(ステップb13)、第2推定手段12bでは、データ記憶部13の第2データベース13bに記憶された第2データのマシン不具合事項とこれから想定される発生原因事象との対応関係を用いて、抽出されたマシン不具合事項から想定される発生原因事象を推定する(ステップb14)。この推定結果から、マシン不具合によるマシン停止の想定事象(発生原因事象)のリストを生成して(ステップb16)、図5(c)に示すように、表示部14に表示する(ステップc4)。
【0068】
そして、マシン停止原因特定手段12cにより、第1推定手段12aにより推定されたマシン停止の推定原因(発生原因事象)と、第2推定手段12bにより推定されたマシン停止の想定事象(発生原因事象)とを照合させて(ステップb18)、マシン停止の原因となった発生原因事象の特定処理をする(ステップb20)。つまり、両推定手段12a,12bにより推定された発生原因事象が同一であれば、この同一の発生原因事象をマシン停止の原因となった発生原因事象であると特定する。なお、推定手段12a,12bにより推定される発生原因事象は多くの場合複数あるので、各複数の発生原因事象のうちの共通のものが特定されることになる。
【0069】
一致した発生原因事象があれば、一致した発生原因事象(特定された発生原因事象)のリストを生成して(ステップb22)、図5(d)に示すように、表示部14に表示する(ステップc6)。
一方、一致した発生原因事象がない場合には、その旨を表示部14に表示し、入力部11を通じて、特定(単数又は複数)の発生原因事象(マシン停止原因)の選定情報が入力されるのを待つ。なお、この際、発生原因事象(マシン停止原因)のリストを表示部14に表示しこの中から選定するものとする。発生原因事象(マシン停止原因)の選定情報が入力されると(ステップa8)、これをマシン停止の原因となった発生原因事象であると特定する。
【0070】
マシン停止原因特定手段12cにより若しく入力部11を通じた入力により発生原因事象(マシン停止原因)が特定されると、対策選定手段12dでは、データ記憶部13の第3データベース13cに記憶された第3データである、発生原因事象とこれに対する対策との対応関係と照合して、特定された発生原因事象等に対する対策を選定する(ステップb24)。そして、選定された対策を特定された発生原因事象(原因)やこれに対応するマシン不具合事項と対応させたリストを生成して(ステップb26)、図5(e)に示すように、表示部14に表示する(ステップc8)。
【0071】
こうして、表示部14にリスト表示されると(ステップc8)、表示された推奨対策の中から情報入力部11により対策選択情報が入力される(ステップa10)。価格算出手段12gは、データ記憶部13の第4データベース13dに記憶された対策とそれに要する価格との対応関係(第4データ)に基づいて、入力された対策に対応した実績価格を算出する(ステップb28)。そして、推奨対策とその実績価格とを対応させた対策リストを生成して(ステップb30)、図5(f)に示すように、表示部14に表示する(ステップc10)。
【0072】
さらに、投資効果算出手段12hが、生産ロス量と選択された対策に対応した実績価格とから、生産ロス金額と投資金額との比とである投資効果を算出し(ステップb32)、投資効果算出手段12hにより算出されたこの投資効果に関する情報として、マシン症状又は第2事象と共に投資効果に優先順位を付けたリスト[図4(c)参照]を生成して(ステップb34)、表示部14に表示する(ステップc10)。
【0073】
さらに、報告書作成手段12iにより、前記の各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成する(ステップb36)。
なお、診断報告書としては、収集した各情報を予め設定された方式で整理し、リスト又はグラフ化してまとめたものとする。
【0074】
<効果>
したがって、本装置によれば、マシン停止時のマシン症状(マシン停止要因)を招いた原因となった発生原因事象を推定し、この一方で、マシン点検により得られるマシン不具合事項から、マシン不具合事項に応じて想定される発生原因事象を推定し、これらの推定された発生原因事象の異同から、マシン停止の原因となった発生原因事象を特定するので、マシン停止の原因となった発生原因事象をより正確に推定することができ、産業機械の生産性にかかる診断を容易に且つ適正に行なうことができる。
【0075】
また、予め記憶されたデータを用いて、特定された発生原因事象に対する対策を選定することにより、適切な対策を案内することができる。
さらに、表示部14に、マシン症状と発生原因事象との一般的な対応関係や、マシン不具合事項と発生原因事象との一般的な対応関係や、特定された発生原因事象とこれにかかるマシン症状及びマシン不具合事項との対応関係や、選定された対策とこれにかかるマシン症状,発生原因事象,及び前記マシン不具合事項との対応関係を表示することにより、マシン停止にかかる種々の情報を容易に視認することができる。
【0076】
また、入力部11を通じて、表示部14にリスト表示された対策の中から選択操作をすれば、記憶されたデータに基づいて、選択された対策に対応した実績価格を算出し表示するので、コスト面を考慮しながら対策の実施を検討することができる。
さらに、マシン停止による生産ロス量と選択入力された対策に対応した実績価格とから投資効果を算出して表示するので、投資効果を考慮しながら対策の実施を検討することができる。この表示には、投資効果に優先順位が付けられているので、対策の実施を検討するための参考にすることができ、対策の実施をより積極的に検討することができる。
さらに、各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成することにより、診断報告書に基づいて対策の実施を検討することができる。
【0077】
〔第2実施形態〕
次に、図6〜図10を用いて、本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態は、産業機械による製品の品質の診断(分析)にかかるものである。
なお、本実施形態でも、図7に示すように、段ボール製品を製造する段ボール工場1に設備されたコルゲータ2や製函機3といった産業機械に対する診断について説明するが、本発明としてはかかる産業機械に限定されるものではない。
【0078】
<概要>
まず、実施形態にかかる装置及び方法を適用する状況を説明すると、図7に示すように、段ボール製品を製造する段ボール工場1には、コルゲータ2や製函機3といった産業機械類が設備されている。このような機械類に対しては、日常的には工場側の担当者が維持管理を行なってはいるが、この一方で、コルゲータ2や製函機3等を納品した機械メーカー側でも、種々のサービスを実施している。
【0079】
つまり、サービスマンM1は、段ボール工場(顧客)1側から、設備されているコルゲータ2や製函機3等に関する製品の品質データを収集して、これに基づいて機械類の状態を把握分析する。
一方、メンテナンスについては、上記サービスマンとは別に、機械メーカー側の保守管理担当者M2が段ボール工場1に出向いてコルゲータ2や製函機3等の保守点検や整備を行なう。この保守点検や整備は、定期的に行なう場合もあり、機械に何らかの不具合が生じて工場側からの要請で行なう場合もある。この保守管理担当者M2は、保守点検や整備によって、機械類の各部の状況を収集できる。
【0080】
本実施形態では、サービスマンM1が、製品の品質を測定し、品質不良(以下、品質エラーともいう)がある場合、品質エラーの原因のマシン不具合を推定すると共に、保守管理情報からもマシン不具合の情報を収集して、両面から品質エラーの原因となったマシン不具合を高精度で推定しようとするものである。さらには、品質エラーを解消する対策や、この対策にかかる費用等も速やかに提供できるようにするものである。また、様々な面から収集して得られるマシンの状態や品質についての診断報告書を自動作成できるようにして、機械のより有効な運用を図ろうとするものである。
【0081】
<全体構成>
本実施形態にかかる産業機械の診断装置は、図6に示すように、情報入力部(例えば、キーボードやマウス)11と、この情報入力部11が接続されたデータ処理部(CPU,メモリ等からなる情報処理部)12と、データ処理部12と接続されたデータ記憶部(大容量メモリ)13と、データ処理部12と接続された処理結果表示部(表示部、モニタディスプレイ)14とを有するコンピュータ10により構成される。
データ記憶部13には、以下のような各データ群がデータベースとして記憶され、データ処理部12には、以下のような各処理機能要素がソフトウェアによって割り当てられている。
【0082】
<データ記憶部>
まず、データ記憶部13に記憶されたデータを説明する。
データ記憶部13には、工場1に設備された産業機械2,3により生産される製品の品質項目とこの品質項目に関する基準値とを対応させた第5データが第5のデータベース13eに、製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを品質項目毎に対応させた第6データが第6のデータベース13fに、それぞれ記憶されている。
【0083】
データ記憶部13には、更にマシン不具合事項とこのマシン不具合事項に対する対策とを対応させた第7データが第7のデータベース13gに、後述する品質対策選定手段12pにより選定された対策とこの対策に対して要した実績価格(見積価格)とを対応させた第8データが第8のデータベース13hに、それぞれ記憶されている。
【0084】
製品の品質エラーにかかる品質項目には、例えば、「シート厚みの均一性」,「シート切断面の状態」,「シート反りの状態」等があり、各品質項目が予め設定された基準値を超えると、これらに関する品質エラーとして、例えば図9(b)に示すように、「シート厚み不均一」,「シート切断面不良」,「シート反り大」といった症状が判定される。
マシン不具合事項には、前述と同様に、例えば図9(b)に示すように、「加圧ロール摩耗」,「ナイフ磨耗」,「ナイフ受け磨耗」,「加湿ロール停止」等がある。
【0085】
マシン不具合事項に対する対策には、前述と同様に、「加圧ロール交換」,「ナイフ研磨」,「ナイフ交換」,「ナイフ受け交換」,「加湿ロール交換」等の対策がある。
第8データとしては、例えば図9(a)に示すようなものがあり、これに、品質エラー、マシン不具合事項をリンクさせると、例えば図9(a)に示すようなものになる。
【0086】
<データ処理部>
データ処理部12は、製品の品質が品質基準を満足しているかを品質項目毎に判断する機能要素(判断手段)12jと、判断手段12jにより品質エラーと判断されると、品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する機能要素(第3推定手段)12kと、マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する機能要素(点検結果抽出手段)12mと、品質エラーの原因となったマシン不具合事項を特定する機能要素(マシン不具合特定手段)12nとを備えている。
【0087】
判断手段12jは、情報入力部11に入力された製品の品質計測結果と、データ記憶部13に記憶された第5データとに基づいて、製品の品質が品質基準を満足しているかを品質項目毎に判断する。
第3推定手段12kは、判断手段12jにより製品の品質が品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、品質エラーとされた品質項目と、データ記憶部13に記憶された第6データとに基づいて、品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する。
【0088】
点検結果抽出手段12mは、情報入力部11に入力されたマシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する。マシン点検結果の情報から、マシンに不具合事項があれば抽出する。
マシン不具合特定手段12nは、第3推定手段12kにより推定されたマシン不具合事項と、点検結果抽出手段12mにより抽出されたマシン不具合事項との異同から、品質エラーの原因となった前マシン不具合事項を特定する。つまり、第3推定手段12kにより推定されたマシン不具合事項と点検結果抽出手段12mが抽出したマシン不具合事項とが同一であれば、この同一の不具合事項を品質エラーの原因となるマシン不具合事項であると特定する。なお、第3推定手段12kにより推定されるマシン不具合事項や点検結果抽出手段12mで抽出されるマシン不具合事項は多くの場合複数あるので、各複数のマシン不具合事項のうちの共通の事項が特定されることになる。
【0089】
データ処理部12は、さらに、マシン不具合特定手段12nにより特定されたマシン不具合事項と、データ記憶部13に記憶された第7データとに基づいて、特定されたマシン不具合事項に対する対策を選定する機能要素(品質対策選定手段)12pと、リスト表示された対策の中から情報入力部11により選択入力された対策選択情報と、データ記憶部13に記憶された第8データとに基づいて、選択入力された対策に対応した実績価格を算出する機能要素(価格算出手段)12qとを備えている。
さらに、データ処理部12は、品質に関する各処理結果から予め設定された事項に関する品質診断報告書を自動作成する機能要素(報告書作成手段)12rを更に備えている。この診断報告書については後述する。
【0090】
<表示部>
表示部14には、判断手段12jによる品質エラーに関する情報表示(第8の表示)、第3推定手段12kによる推定に関する情報表示(第9の表示)、点検結果抽出手段12mによる抽出に関する情報表示(第10の表示)、マシン不具合特定手段12nによる特定事項に関する情報表示(第11の表示)、品質対策選定手段12pによる選定に関する情報表示(第12の表示)、価格算出手段12qによる価格に関する情報表示(第13の表示)が、それぞれ適宜表示される。
【0091】
判断手段12jによる品質エラーに関する情報表示(第8の表示)は、判断手段12jにより製品の品質が品質基準を満足しておらず品質エラーであと判断されるとこの品質エラーとされた品質項目を、例えば図10(a)に示すように表示するものである。
第3推定手段12kによる推定に関する情報表示(第9の表示)は、第3推定手段12kにより推定されたマシン不具合事項をこれに関する品質エラーとされた品質項目と対応して、例えば図10(b)に示すように表示するものである。
【0092】
点検結果抽出手段12mによる抽出に関する情報表示(第10の表示)は、点検結果抽出手段により抽出されたマシン不具合事項を、例えば図10(c)に示すように表示するものである。
マシン不具合特定手段12nによる特定事項に関する情報表示(第11の表示)は、品質エラーの品質項目とマシン不具合特定手段12nにより特定されたマシン不具合事項とを、例えば図10(d)に示すように対応して表示するものである。この場合も、過去に実施した対策の比率を算出して、この比率についても、対応表示すれば、対策を選択する判断材料にできる。
【0093】
品質対策選定手段12pによる選定に関する情報表示(第12の表示)は、品質対策選定手段12pにより選定された対策と品質エラーの品質項目と特定されたマシン不具合事項とを、例えば図10(e)に示すように対応して表示するものである。
価格算出手段12qによる価格に関する情報表示(第13の表示)は、価格算出手段12qにより算出された実績価格を選択入力された対策と対応して、例えば図10(f)に示すように表示するものである。
【0094】
<作用(動作)>
本実施形態にかかる産業機械の診断装置は、上述のように構成されているので、例えば、図8に示すように、機械の診断を行なうことができる。
つまり、情報入力部11に製品の品質計測結果のデータが入力されると(ステップa12)、判断手段12jが、製品の品質項目とこの品質項目に関する基準値とを対応させた第5データを照合させて(ステップb42)、製品の品質が品質基準を満足しているかを品質項目毎に判断する(ステップb44)。
そして、ステップb44の判断により、製品の品質が品質基準を満足していれば分析処理は行なわない(ステップb46)が、製品の品質が品質基準を満足していなければ、以下の分析処理を行なう。
【0095】
まず、照合結果の表示のために、製品の品質が品質基準を満足していない項目のリストを生成して(ステップb48)、これを、図10(a)に示すように、表示部14に表示する(ステップc12)。
次に、第3推定手段12kにより、品質エラー原因の分析、つまり、品質エラーとされた品質項目と品質エラーの原因となるマシン不具合事項とが関連付けられた、データ記憶部13の第6データを照合させて、品質エラーの原因となるマシン不具合事項の推定を行なう(ステップb50)。
【0096】
この品質エラー原因の分析結果の表示のために、品質エラーの推定原因(マシン不具合事項)のリストを生成して(ステップb52)、これを、図10(b)に示すように、表示部14に表示する(ステップc14)。
情報入力部11にマシン点検結果が入力されると、点検結果抽出手段12mは、入力されたマシン点検結果からマシン不具合事項を抽出し、マシン不具合事項のリストを生成して(ステップb54)、これを、図10(c)に示すように、表示部14に表示する(ステップc16)。
【0097】
そして、マシン不具合特定手段12nが、第3推定手段12kにより推定されたマシン不具合事項(推定原因)と、点検結果抽出手段12mにより抽出されたマシン不具合事項とを照合させて(ステップb56)、各マシン不具合事項に一致しているものがあるかを判断する(ステップb58)。
各マシン不具合事項に一致しているものがあれば、一致したマシン不具合事項のリストを生成して(ステップb60)、これを、図10(d)に示すように、表示部14に表示する(ステップc18)。
【0098】
一方、各マシン不具合事項が一致しているものがなければ、その旨が表示部14に表示され、この場合には、情報入力部11により、品質エラーの原因となったマシン不具合事項を入力する(ステップa16)。なお、この際、品質エラーの発生原因(マシン停止原因)のリストを表示部14に表示しこの中から選定するものとする。
このようにして、品質エラーの原因となったマシン不具合事項が特定されたら、品質対策選定手段12pが、原因・不具合に対する分析、つまり、データ記憶部13に記憶された第7データ(マシン不具合事項に対する対策を対応させたデータ)に、特定されたマシン不具合事項を照合させて、マシン不具合事項に対する対策を選定する(ステップb62)。この照合結果を表示するために、原因・不具合に対する対策のリストを生成して(ステップb64)、これを、図10(e)に示すように、表示部14に表示する(ステップc20)。
【0099】
この表示(ステップc20)を参照して、表示された推奨対策の中から情報入力部11により対策選択情報が入力される(ステップa18)と、価格算出手段12qが、データ記憶部13に記憶された第8データ(対策とこの対策に対して要した実績価格(見積価格)とを対応させたデータ)に、選択入力された対策を照合させて(ステップb66)、対策に対応した実績価格を算出する。この対策と価格を表示するために、推奨対策と見積価格とのリストを生成して(ステップb68)、これを、図10(f)に示すように、表示部14に表示する(ステップc22)。
【0100】
さらに、報告書作成手段12rが、品質に関する各処理結果から予め設定された事項に関する品質診断報告書を自動作成する(ステップb70)。
なお、診断報告書としては、収集した各情報を予め設定された方式で整理し、リスト又はグラフ化してまとめたものとする。
【0101】
<効果>
したがって、本装置によれば、製品の品質計測結果から品質エラーが見つけられた場合には、品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定し、この一方で、マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出し、推定したマシン不具合事項と抽出したマシン不具合事項との異同から、品質エラーの原因となったマシン不具合事項を特定するので、品質エラーの原因となったマシン不具合事項をより正確に推定することができ、機械による生産される製品の品質にかかる診断を容易に且つ適正に行なうことができる。
【0102】
さらに、予め記憶されたデータを用いて、特定されたマシン不具合事項に対する対策を選定することにより、適切な対策を案内することができる。
また、表示部14に、品質エラーとされた品質項目や、マシン不具合事項や、点検結果から抽出されたマシン不具合事項や、特定されたマシン不具合事項や、選定された対策を、適宜表示することにより、マシン停止にかかる種々の情報を容易に視認することができる。
【0103】
さらに、リスト表示された対策の中から選択入力された対策に対応した実績価格を算出しこれらを対応表示することにより、実績価格を考慮しながら対策の実施を検討することができる。
そして、各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成することにより、診断報告書に基づいて対策の実施を検討することができる。
【0104】
この場合も、データ記憶部13に記憶され各データを、新たな入手データに基づき更新すれば、より適切な推定や判断や特定や選定を実施することができる。
さらに、モバイルパーソナルコンピュータを用いて本装置を構成すれば、例えば、生産機械のメーカー側から担当者が、生産機械を設備した工場側に出向いて、上記の各処理を実施することにより、生産性や品質にかかるマシン改善事項を工場側の担当者に分かり易く説明することができる。
【0105】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の装置及び方法並びにコンピュータプログラムは、上記の実施形態のものに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態の一部を変更して実施したり、或いは、上記実施形態の一部のみを実施したり、種々組み合わせて実施したりすることもできる。
【0106】
例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせた装置構成とすることができ、むしろこの方が、生産性と品質との両面からマシン改善事項をピックアップすることができ、合理的であり、その効果も大きい。
この場合、診断報告書も生産性と品質との両面からアプローチしたものでより有効なものになる。この場合の報告書の項目には、生産性(マシン停止やマシン速度低下といった事象に関する)、品質(各品質項目の計測結果)、マシンメンテナンス、不具合(機械停止、製品の品質エラー)に対する対策リスト(現状対策、今後の推奨対策)、機械の各部の状態のチェック結果リスト、等の各項目を挙げて、充実した診断報告書を構成しうる。
【0107】
なお、本発明は、勿論、種々の産業機械類に適用しうるものである。
【符号の説明】
【0108】
1 工場
2,3 産業機械
10 診断装置(コンピュータ)
11 情報入力部(入力部)
12 データ処理部
12a 第1推定手段
12b 第2推定手段
12c マシン停止原因特定手段
12d 対策選定手段
12e 生産量算出手段
12f 生産ロス量算出手段
12g 価格算出手段
12h 投資効果算出手段
12i 報告書作成手段
12j 判断手段
12k 第3推定手段
12m 点検結果抽出手段
12n マシン不具合特定手段
12p 品質対策選定手段
12q 価格算出手段
12r 報告書作成手段
13 データ記憶部
13a〜13g データベース
14 処理結果表示部(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報入力部と、前記情報入力部が接続されたデータ処理部と、前記データ処理部と接続されたデータ記憶部とを有する産業機械の診断装置であって、
前記データ記憶部には、前記産業機械に関してマシン停止の際のマシン症状と該マシン症状の発生原因事象とを対応させた第1データと、前記産業機械に関してマシン点検により得られるマシン不具合事項と該マシン不具合事項から想定される前記発生原因事象とを対応させた第2データと、が記憶され、
前記データ処理部は、
前記情報入力部に入力された前記マシン停止にかかる前記マシン症状の情報と、前記データ記憶部に記憶された前記第1データとに基づいて、前記マシン停止にかかる前記発生原因事象を推定する第1推定手段と、
前記情報入力部に入力された前記マシン不具合事項と、前記データ記憶部に記憶された前記第2データとに基づいて、前記マシン不具合事項から想定される前記発生原因事象を推定する第2推定手段と、
前記第1推定手段により推定された前記発生原因事象と、前記第2推定手段により推定された前記発生原因事象との異同から、前記マシン停止の原因となった前記発生原因事象を特定するマシン停止原因特定手段とを、備えている
ことを特徴とする、産業機械の診断装置。
【請求項2】
前記情報入力部に入力された前記マシン点検による結果からマシン不具合事項を抽出する点検結果抽出手段を更に備え、
前記第2推定手段による推定に用いる前記マシン不具合事項は、前記点検結果抽出手段により抽出される
ことを特徴とする、請求項1記載の産業機械の診断装置。
【請求項3】
前記データ記憶部には、前記産業機械に関して前記発生原因事象と前記発生原因事象に対する対策とを対応させた第3データが更に記憶され、
前記データ処理部は、前記マシン停止原因特定手段により特定された前記発生原因事象と、前記データ記憶部に記憶された前記第3データとに基づいて、特定された前記発生原因事象に対する対策を選定する対策選定手段を更に備えている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の産業機械の診断装置。
【請求項4】
前記データ処理部と接続された表示部をさらに有し、
前記表示部には、前記第1推定手段による推定に関する前記マシン停止にかかる前記マシン症状と前記発生原因事象とを対応表示する第1の表示と、前記第2推定手段による推定に関する前記マシン不具合事項と前記発生原因事象とを対応表示する第2の表示と、前記マシン停止原因特定手段により特定された前記発生原因事象をこれにかかる前記マシン症状と前記マシン不具合事項と対応表示する第3の表示と、前記対策選定手段により選定された対策をこれにかかる前記マシン症状と前記発生原因事象と前記マシン不具合事項と対応表示する第4の表示との、少なくともいずれかが行なわれる
ことを特徴とする、請求項3記載の産業機械の診断装置。
【請求項5】
前記データ処理部には、
前記情報入力部に入力された前記産業機械のマシン運転データとマシン仕様データとから、前記産業機械の実生産量及び理想生産量を算出する生産量算出手段と、
前記情報入力部に入力された前記マシン停止にかかる前記マシン症状の情報及びマシン停止時間情報と、前記生産量算出手段により算出された前記実生産量及び前記理想生産量とから、前記マシン症状別に前記産業機械の生産ロス量を算出する生産ロス量算出手段と、を更に備え、
前記表示部には、前記生産ロス量算出手段により算出された生産ロス量を前記マシン症状又は前記マシン不具合事項と対応表示する第5の表示が行なわれる
ことを特徴とする、請求項4記載の産業機械の診断装置。
【請求項6】
前記データ記憶部には、前記対策選定手段により選定された対策と前記対策に対して要した実績価格とを対応させた第4データが更に記憶され、
前記表示部による前記第5の表示には、前記対策が複数リスト表示され、
前記データ処理部には、前記第5の表示としてリスト表示された前記対策の中から前記情報入力部により選択入力された対策選択情報と、前記データ記憶部に記憶された前記第4データとに基づいて、前記選択入力された対策に対応した実績価格を算出する価格算出手段が更に備えられ、
前記表示部には、前記選択入力された対策と、前記価格算出手段により算出された前記選択入力された対策に対応した実績価格とを対応表示する第6の表示が行なわれる
ことを特徴とする、請求項5記載の産業機械の診断装置。
【請求項7】
前記データ処理部には、前記生産ロス量算出手段により算出された生産ロス量と、前記価格算出手段により算出された前記選択入力された対策に対応した実績価格とから、投資効果を算出する投資効果算出手段を更に備え、
前記表示部には、前記投資効果算出手段により算出された投資効果が前記マシン症状又は前記第2事象と対応表示する第7の表示が、行なわれる
ことを特徴とする、請求項6記載の産業機械の診断装置。
【請求項8】
前記第7の表示では、前記投資効果に優先順位が付けて表示される
ことを特徴とする、請求項7記載の産業機械の診断装置。
【請求項9】
前記データ処理部には、前記各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成する報告書作成手段を更に備えている
ことを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の産業機械の診断装置。
【請求項10】
前記データ処理部では、前記産業機械の停止時に、前記各手段の処理を実行する
ことを特徴とする、請求項1〜9の何れか1項に記載の産業機械の診断装置。
【請求項11】
前記データ記憶部には、前記産業機械により生産される製品の品質項目と該品質項目に関する基準値とを対応させた第5データと、前記製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを前記品質項目毎に対応させた第6データとが、更に記憶され、
前記データ処理部には、
前記情報入力部に入力された前記製品の品質計測結果と、前記データ記憶部に記憶された前記第5データとに基づいて、前記製品の品質が品質基準を満足しているかを前記品質項目毎に判断する判断手段と、
前記判断手段により前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、前記品質エラーとされた前記品質項目と、前記データ記憶部に記憶された前記第6データとに基づいて、前記品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する第3推定手段と、
前記情報入力部に入力された前記マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する点検結果抽出手段と、
前記第3推定手段により推定されたマシン不具合事項と、前記点検結果抽出手段により抽出されたマシン不具合事項との異同から、前記品質エラーの原因となった前記マシン不具合事項を特定するマシン不具合特定手段とが、更に備えられている
ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の産業機械の診断装置。
【請求項12】
情報入力部と、前記情報入力部が接続されたデータ処理部と、前記データ処理部と接続されたデータ記憶部とを有する産業機械の診断装置であって、
前記データ記憶部には、前記産業機械により生産される製品の品質項目と該品質項目に関する基準値とを対応させた第5データと、前記製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを前記品質項目毎に対応させた第6データと、が記憶され、
前記データ処理部には、
前記情報入力部に入力された前記製品の品質計測結果と、前記データ記憶部に記憶された前記第5データとに基づいて、前記製品の品質が前記品質基準を満足しているかを前記品質項目毎に判断する判断手段と、
前記判断手段により前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、前記品質エラーとされた前記品質項目と、前記データ記憶部に記憶された前記第6データとに基づいて、前記品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する第3推定手段と、
前記情報入力部に入力された前記マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する点検結果抽出手段と、
前記第3推定手段により推定されたマシン不具合事項と、前記点検結果抽出手段により抽出されたマシン不具合事項との異同から、前記品質エラーの原因となった前記マシン不具合事項を特定するマシン不具合特定手段とが、備えられている
ことを特徴とする、産業機械の診断装置。
【請求項13】
前記データ記憶部には、前記マシン不具合事項と該マシン不具合事項に対する対策とを対応させた第7データが更に記憶され、
前記データ処理部には、前記マシン不具合特定手段により特定された前記マシン不具合事項と、前記データ記憶部に記憶された前記第7データとに基づいて、前記特定された前記マシン不具合事項に対する対策を選定する品質対策選定手段が更に備えられている
ことを特徴とする、請求項11又は12記載の産業機械の診断装置。
【請求項14】
前記データ処理部と接続された表示部をさらに有し、
前記表示部には、前記判断手段により前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると前記品質エラーとされた前記品質項目を表示する第8の表示と、前記第3推定手段により推定された前記マシン不具合事項をこれに関する前記品質エラーとされた前記品質項目と対応表示する第9の表示と、前記点検結果抽出手段により抽出されたマシン不具合事項を表示する第10の表示と、前記品質エラーの前記品質項目と前記マシン不具合特定手段により特定された前記マシン不具合事項とを対応表示する第11の表示とが、前記品質対策選定手段により選定された対策と前記品質エラーの前記品質項目と前記特定された前記マシン不具合事項とを対応表示する第12の表示との、少なくともいずれかが行なわれる
ことを特徴とする、請求項13記載の産業機械の診断装置。
【請求項15】
前記データ記憶部には、前記品質対策選定手段により選定された対策と前記対策に対して要した実績価格とを対応させた第8データが更に記憶され、
前記表示部による前記第12の表示には、前記対策が複数リスト表示され、
前記データ処理部には、前記第12の表示としてリスト表示された前記対策の中から前記情報入力部により選択入力された対策選択情報と、前記データ記憶部に記憶された前記第8データとに基づいて、前記選択入力された対策に対応した実績価格を算出する価格算出手段が更に備えられ、
前記表示部には、前記選択入力された対策と、前記価格算出手段により算出された実績価格と前記選択入力された対策とを対応表示する第13の表示が行なわれる
ことを特徴とする、請求項14記載の産業機械の診断装置。
【請求項16】
前記データ処理部には、前記品質に関する各処理結果から予め設定された事項に関する診断報告書を自動作成する報告書作成手段を更に備えている
ことを特徴とする、請求項11〜15の何れか1項に記載の産業機械の診断装置。
【請求項17】
前記データ記憶部に記憶された前記各データは、新たな入手データに基づき更新される
ことを特徴とする、請求項1〜16の何れか1項に記載の産業機械の診断装置。
【請求項18】
モバイルパーソナルコンピュータを用いて構成されている
ことを特徴とする、請求項1〜17の何れか1項に記載の産業機械の診断装置。
【請求項19】
産業機械の診断方法であって、
事前に、前記産業機械に関して過去に生じたマシン停止の原因となったマシン症状と該マシン症状の発生原因となった発生原因事象とを対応させた第1データと、前記産業機械に関してマシン点検から得られるマシン不具合事項と該マシン不具合事項から想定される前記発生原因事象とを対応させた第2データと、を用意し、
前記マシン停止にかかる前記マシン症状の情報と、前記第1データとに基づいて、前記マシン停止にかかる前記発生原因事象を推定する第1ステップと、
前記マシン点検結果にかかるマシン不具合事項と、前記第2データとに基づいて、前記マシン不具合事項から想定される前記発生原因事象を推定する第2ステップと、
前記マシン症状の情報から推定した前記発生原因事象と、前記マシン不具合事項から想定した前記発生原因事象との異同から、前記マシン停止の原因となった前記発生原因事象を特定する第3ステップとを有する
ことを特徴とする、産業機械の診断方法。
【請求項20】
事前に、前記産業機械により生産される製品の品質項目と該品質項目に関する基準値とを対応させた第5データと、過去に生じた前記製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを前記品質項目毎に対応させた第6データと、をさらに用意し、
前記製品の品質計測結果と、前記第5データとに基づいて、前記製品の品質が前記品質基準を満足しているかを前記品質項目毎に判断する第4ステップと、
前記第4ステップにより前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、前記品質エラーとされた前記品質項目と、前記第6データとに基づいて、前記品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する第5ステップと、
前記マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する第6ステップと、
前記第5ステップにより推定されたマシン不具合事項と、前記第6ステップにより抽出されたマシン不具合事項との異同から、前記品質エラーの原因となった前記マシン不具合事項を特定する第7ステップとを、さらに有する
ことを特徴とする、請求項19記載の産業機械の診断方法。
【請求項21】
産業機械の診断方法であって、
事前に、前記産業機械により生産される製品の品質項目と該品質項目に関する基準値とを対応させた第5データと、過去に生じた前記製品の品質エラーとその原因となるマシン不具合事項とを前記品質項目毎に対応させた第6データと、を用意し、
前記製品の品質計測結果と、前記第5データとに基づいて、前記製品の品質が前記品質基準を満足しているかを前記品質項目毎に判断する第4ステップと、
前記第4ステップにより前記製品の品質が前記品質基準を満足しておらず品質エラーであると判断されると、前記品質エラーとされた前記品質項目と、前記第6データとに基づいて、前記品質エラーの原因となるマシン不具合事項を推定する第5ステップと、
前記マシン点検結果からマシン不具合事項を抽出する第6ステップと、
前記第5ステップにより推定されたマシン不具合事項と、前記第6ステップにより抽出されたマシン不具合事項との異同から、前記品質エラーの原因となった前記マシン不具合事項を特定する第7ステップとを有する
ことを特徴とする、産業機械の診断方法。
【請求項22】
請求項19〜21のいずれか1項に記載の産業機械の診断方法の各ステップをコンピュータが制御可能にプログラミングしたことを特徴とする、産業機械の診断プログラム。
【請求項23】
請求項22に記載された産業機械の診断プログラムをコンピュータが読み取り可能な形式で記録したことを特徴とする、記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−8974(P2012−8974A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146883(P2010−146883)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】