説明

用紙トレイ及び画像形成装置

【課題】主トレイ及び補助トレイを備える用紙トレイの操作性を向上する。
【解決手段】用紙トレイの一例である排紙トレイ20は、主トレイ30、補助トレイ40、第1弾性部材51、及び係止部材60を備える。主トレイ30は、第1基端部31を第1支軸として、装置本体2の側面に近接する収容姿勢と装置本体から側方へ突出する開放姿勢との間で回転自在に装置本体2に支持される。補助トレイ40は、第2基端部41を第2支軸として、主トレイ30の用紙積載面33に近接する折り畳み姿勢と用紙積載面33から延長する展開姿勢との間で回転自在に、主トレイ30の第1開放端部32に支持される。第1弾性部材51は、補助トレイ40の第2開放端部42が用紙積載面33から離間する方向へ補助トレイ40を付勢する。係止部材60は、主トレイ30が開放姿勢に配置された状態で補助トレイ40を折り畳み姿勢に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収容姿勢と開放姿勢との間で回転自在に構成された用紙トレイ、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の中には比較的小型でポータブル型の画像形成装置がある。また、このようなポータブル型の画像形成装置の中には、使用頻度の高い定形サイズの用紙を収容する引き出し式給紙トレイの他に、引き出し式給紙トレイに収容されない定形サイズや非定形サイズの用紙を画像形成部へ供給するための手差し式給紙トレイを装置本体の側部に備えるものがある。さらに、手差し式給紙トレイとは反対側の装置本体の側部に、画像形成部から排出された用紙を積載する排紙トレイを備えるものもある。
【0003】
上述の手差し式給紙トレイや排紙トレイといった用紙トレイの中には、画像形成装置を使用しない際の収納スペースを低減する観点から、装置本体の側面に近接する収容姿勢と装置本体から側方へ突出する開放姿勢との間で回転自在に構成されるものがある。
【0004】
また、従来の用紙トレイの中には、より大きいサイズの用紙を積載できるように、装置本体に対して回転自在な主トレイの用紙積載面に近接する折り畳み姿勢と用紙積載面から延長する展開姿勢とに回転自在な補助トレイを備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−310264公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の従来の用紙トレイでは、主トレイの用紙積載面にリブが設けられ、補助トレイには折り畳み姿勢において主トレイのリブが嵌まる長孔が設けられるので、補助トレイを折り畳み姿勢に配置した場合に、補助トレイが主トレイの用紙積載面に当接する。このため、補助トレイを折り畳み姿勢から展開姿勢へ回転させる際に、ユーザは、補助トレイの下側へ指先を潜り込ませることが難しく、開放端部の先端面に指先を押し当てながら補助トレイを上方へ回転させる必要がある。このように、ユーザは指先を開放端部に引っ掛けることが難しく、摩擦抵抗力のみで補助トレイを持ち上げなければならないので、補助トレイが指先から滑り落ちやすく、補助トレイを折り畳み姿勢から展開姿勢へ回転させる操作性が悪かった。
【0007】
この発明の目的は、主トレイ及び補助トレイを備える用紙トレイの操作性を向上することができる用紙トレイ、並びにこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の用紙トレイは、主トレイ、補助トレイ、第1弾性部材、及び保持機構を備える。主トレイは、第1基端部を第1支軸として、装置本体の側面に近接する収容姿勢と装置本体から側方へ突出する開放姿勢との間で回転自在に装置本体に支持される。補助トレイは、第2基端部を第2支軸として、主トレイの用紙積載面に近接する折り畳み姿勢と用紙積載面から延長する展開姿勢との間で回転自在に、主トレイにおける第1基端部の反対側である第1開放端部に支持される。第1弾性部材は、補助トレイにおける第2基端部の反対側である第2開放端部が用紙積載面から離間する方向へ補助トレイを付勢する。保持機構は、主トレイが開放姿勢に配置された状態で補助トレイを折り畳み姿勢に保持する。
【0009】
この構成では、用紙トレイの不使用時には、補助トレイが折り畳み姿勢に配置された状態で主トレイが収容姿勢に配置される。補助トレイが主トレイに近接した状態で主トレイが装置本体の側面に近接するので、用紙トレイの収納スペースが低減する。
【0010】
また、用紙トレイの使用開始時には、主トレイを収容姿勢から開放姿勢へ回転させる。さらに、必要に応じて、補助トレイを折り畳み姿勢から展開姿勢へ回転させる。主トレイの収容姿勢から開放姿勢への回転に伴って補助トレイが主トレイの用紙積載面から離間するので、ユーザは、補助トレイの第2開放端部に指先を容易に引っ掛けることができ、補助トレイが指先から滑り落ちることを抑制できる。よって、補助トレイを折り畳み姿勢から展開姿勢へ回転させる際の操作性がよい。
【0011】
さらに、用紙トレイの使用終了時には、主トレイが開放姿勢に配置された状態で補助トレイを展開姿勢から折り畳み姿勢へ回転させることで、保持機構によって補助トレイが折り畳み姿勢に保持される。このため、ユーザは、片手のみで容易に、補助トレイを折り畳み姿勢に配置した状態で主トレイを開放姿勢から収容姿勢へ回転させることができる。
【0012】
このように、用紙トレイの使用開始時及び使用終了時の両方における用紙トレイの操作性を向上することができる。
【0013】
上述の構成において、保持機構は、折り畳み姿勢に配置された補助トレイに係止する係止位置と補助トレイに対する係止が解除される解除位置との間で変位自在な係止部材と、主トレイの収容姿勢から開放姿勢への回転のうち開放姿勢を除く領域での回転にともなって係止部材を係止位置から解除位置へ変位させる係止解除部材と、係止部材を解除位置から係止位置へ変位する方向へ付勢する第2弾性部材と、を含むように構成することができる。
【0014】
この構成では、係止部材は、主トレイの回転領域において係止解除部材による作用を受けない領域では、第2弾性部材の弾性力によって係止位置に配置され、補助トレイは折り畳み姿勢に保持される。一方、係止部材は、主トレイの収容姿勢から開放姿勢への回転にともなって係止解除部材による作用を受けることで係止位置から解除位置へ変位し、補助トレイは、第1弾性部材の弾性力によって第2開放端部が主トレイの用紙積載面から離間する方向へ回転する。このため、ユーザは、補助トレイの第2解放端部を指先に容易に引っ掛けて展開姿勢へ回転させることができる。このように、主トレイを収容姿勢から開放姿勢へ回転させることで、補助トレイを折り畳み姿勢から展開姿勢へ回転させる際の操作性が向上する。
【0015】
また、係止解除部材は、係止部材を係止位置から解除位置へ変位させる作用位置と、係止部材を変位させない非作用位置との間で変位自在であり、保持機構は、主トレイが開放姿勢に配置されるときに係止解除部材を作用位置から非作用位置へ変位させる作用解除部材をさらに含むように構成することができる。
【0016】
この構成では、主トレイの回転にともなって係止解除部材が係止部材を押圧することで、係止部材が係止位置から解除位置へ変位する。また、主トレイが開放姿勢に配置されるときに作用解除部材が係止解除部材を作用位置から非作用位置へ変位させることで、係止解除部材は係止部材を押圧しなくなり、係止部材は、第2弾性部材の弾性力によって解除位置から係止位置へ復帰する。このため、ユーザが補助トレイを展開姿勢から折り畳み姿勢へ回転させることで、補助トレイは係止部材によって折り畳み姿勢に保持される。このように、主トレイが開放姿勢に配置されると、係止解除部材が作用位置から非作用位置へ変位して係止部材が解除位置から係止位置へ復帰し、補助トレイを折り畳み姿勢に保持できるようになるので、用紙トレイの操作性がより向上する。
【0017】
さらに、保持機構は、係止解除部材を非作用位置から作用位置へ変位する方向へ付勢する第3弾性部材をさらに含むことが好ましい。
【0018】
この構成では、用紙トレイの使用終了時に主トレイが開放姿勢から変位することで、ユーザが係止解除部材を操作することなく、係止解除部材が第3弾性部材の弾性力によって非作用位置から作用位置へ復帰する。このため、用紙トレイの次回の使用開始時に、主トレイの収容姿勢から開放姿勢への回転にともなって補助トレイが用紙積載面から離間する。よって、操作性がより向上する。
【0019】
また、補助トレイは、側面に突起部を有し、係止部材は、第2支軸と平行な第3支軸を中心に回転自在に主トレイの側面に支持され、突起部に係止自在なフック部及び第1支軸側へ延びる延長部を有してL字形状を呈し、係止解除部材は、作用位置において、主トレイの収容姿勢から開放姿勢への回転のうち開放姿勢を除く領域での回転にともなって延長部を押圧するように構成することができる。
【0020】
この構成では、係止部材のフック部が補助トレイの突起部に係止されることで、補助トレイは折り畳み姿勢に保持される。係止部材の延長部が係止解除部材によって押圧されることで、フック部の突起部への係止が解除され、補助トレイは主トレイの用紙積載面から離間する方向へ回転する。このように、簡単な構造で、係止部材を係止位置と解除位置とに変位させることができる。
【0021】
さらに、係止解除部材は、水平面内で変位自在なように一端部を装置本体の側面に回転自在に支持されるように構成することができる。
【0022】
この構成では、係止解除部材は、水平面内で作用位置と非作用位置とに変位するので、係止解除部材を主トレイに沿って変位させることができ、用紙トレイの使用時の占有スペースを低減させることができる。
【0023】
また、係止解除部材の非作用位置は、作用位置よりも、装置本体の奥行き方向における中央部側に位置することが好ましい。係止解除部材の主トレイからの突出量が小さくなるので、物が係止解除部材に当たることによる係止解除部材の損傷を抑制することができる。
【0024】
さらに、第1弾性部材は、主トレイにおける最大通紙幅の外側に配置されることが好ましい。弾性部材が用紙搬送の妨げにならず、用紙の損傷及び用紙詰まりを防止できる。
【0025】
この発明の画像形成装置は、上述のいずれかの構成の用紙トレイを備える。
【0026】
この構成では、用紙トレイの使用終了時に、主トレイが開放姿勢に配置された状態で補助トレイを展開姿勢から折り畳み姿勢へ回転させることで、保持機構によって補助トレイが折り畳み姿勢に保持される。このため、ユーザは片手で補助トレイを折り畳み姿勢に配置した状態で主トレイを収容姿勢に配置させることができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、主トレイ及び補助トレイを備える用紙トレイの操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の用紙トレイの実施形態に係る排紙トレイを備える画像形成装置の概略の正面図であり、(A)は排紙トレイの主トレイが収容姿勢にあり補助トレイが折り畳み姿勢にある状態を示し、(B)は主トレイが開放姿勢にある状態を示し、(C)は、主トレイが開放姿勢にあり補助トレイが展開姿勢にある状態を示す。
【図2】主トレイが収容姿勢にあり補助トレイが折り畳み姿勢にある排紙トレイの正面図である。
【図3】主トレイが開放姿勢にある排紙トレイの正面図である。
【図4】主トレイが開放姿勢にあり補助トレイが展開姿勢にある排紙トレイの正面図である。
【図5】主トレイが開放姿勢にある排紙トレイの平面図である。
【図6】主トレイが開放姿勢にあり補助トレイが折り畳み姿勢にある排紙トレイの拡大正面図である。
【図7】主トレイが収容姿勢から回転して開放姿勢に配置される直前の排紙トレイの一部の拡大斜視図である。
【図8】(A)は、主トレイが開放姿勢にある排紙トレイの一部の拡大平面図であり、(B)は、(A)に示すA1−A2線における断面図である。
【図9】(A)は、主トレイが収容姿勢にあり補助トレイが折り畳み姿勢にある状態の画像形成装置の一部の斜視図であり、(B)は、画像形成装置の一部の拡大正面図である。
【図10】主トレイが収容姿勢から回転して開放姿勢に配置される直前の排紙トレイの拡大正面図である。
【図11】主トレイが開放姿勢にある排紙トレイの拡大正面図である。
【図12】他の実施形態に係る排紙トレイであって主トレイが開放姿勢にあり補助トレイが折り畳み姿勢にある排紙トレイの拡大正面図である。
【図13】さらに他の実施形態に係る排紙トレイであって主トレイが収容姿勢から回転して開放姿勢に配置される直前の排紙トレイの一部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、この発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。画像形成装置1は、ポータブル型で、コピアモード又はプリンタモードのいずれかで動作する。図1(A)、図1(B)、及び図1(C)に示すように、画像形成装置1は、装置本体2、引き出し式給紙トレイ3、給紙トレイ10、及び排紙トレイ20を備えている。
【0030】
装置本体2は、一例として、平面視、正面視、及び側面視のそれぞれにおいて矩形を呈している。装置本体2は、用紙に画像を形成する画像形成部を内蔵している。画像形成部は、この実施形態では電子写真方式の画像形成処理を実行するが、インクジェット方式等の他の方式を採用するものであってもよい。引き出し式給紙トレイ3は、装置本体2の下に配置されている。引き出し式給紙トレイ3は、使用頻度の高い定形サイズの複数の用紙を収容し、必要に応じて画像形成部へ用紙を1枚ずつ供給する。
【0031】
給紙トレイ10は、装置本体2の一方の側部に備えられる。給紙トレイ10は手差し式の給紙トレイであり、給紙トレイ10には、引き出し式給紙トレイ3に収容されない定形サイズや非定形サイズの用紙が載置される。
【0032】
排紙トレイ20は、給紙トレイ10とは反対側の装置本体2の側部に備えられる。排紙トレイ20には、画像形成部から排出された用紙が積載される。
【0033】
画像形成装置1は、引き出し式給紙トレイ3又は給紙トレイ10から選択的に画像形成部へ用紙を1枚ずつ給紙し、画像形成部において用紙に画像を形成した後、用紙を排紙トレイ20へ排出する。
【0034】
給紙トレイ10及び排紙トレイ20は、それぞれ本発明の用紙トレイの一例とすることができ、給紙トレイ10及び排紙トレイ20のいずれか一方又は両方に本発明を適用することができる。以下に、排紙トレイ20に本発明を適用した場合について説明するが、給紙トレイ10に本発明を適用した場合も同様に構成される。
【0035】
排紙トレイ20は、主トレイ30、及び補助トレイ40を備えている。主トレイ30は、図1(A)及び図2に示すように、装置本体2の側面に近接する収容姿勢と、図1(B)及び図3に示すように、装置本体2から側方へ突出する開放姿勢と、の間で回転自在に第1基端部31を装置本体2に支持されている。
【0036】
補助トレイ40は、主トレイ30における第1基端部31の反対側である第1開放端部32に、第2基端部41を回転自在に支持されている。補助トレイ40は、図1(A)及び図2に示すように、主トレイ30の用紙積載面33に近接する折り畳み姿勢と、図1(C)及び図4に示すように、用紙積載面33から延長する展開姿勢と、の間で回転自在に構成されている。補助トレイ40は、展開姿勢において、主トレイ30と略平行になる。
【0037】
図5に示すように、排紙トレイ20は、第1弾性部材51をさらに備えている。例えば、第1弾性部材51として、捩じりバネが用いられる。第1弾性部材51は、補助トレイ40の回転軸44であって幅方向において主トレイ30における最大通紙幅の外側に配置されている。これによって、第1弾性部材51が用紙搬送の妨げにならず、用紙の損傷及び用紙詰まりが防止される。第1弾性部材51は、補助トレイ40の回転軸44の両端部に備えられていることが好ましい。
【0038】
第1弾性部材51は、補助トレイ40における第2基端部41の反対側である第2開放端部42が主トレイ30の用紙積載面33から離間する方向へ、補助トレイ40を付勢する。第1弾性部材51として、図3に示すように主トレイ30が開放姿勢に配置された状態において補助トレイ40を略垂直方向に起立させるバネ定数を有するものが用いられることが好ましい。
【0039】
補助トレイ40の第2開放端部42の幅方向における中央部には、緩やかな円孤形の窪み421が設けられている。ユーザは、窪み421の部分に指を引っ掛けることで、補助トレイ40を展開姿勢へより操作性良く回転させることができる。
【0040】
図6及び図7に示すように、排紙トレイ20は、係止部材60、係止解除部材70、作用解除部材80、突起部45、及び第2弾性部材52をさらに備えている。係止部材60、係止解除部材70、作用解除部材80、突起部45、及び第2弾性部材52は、主トレイ30が開放姿勢に配置された状態で補助トレイ40を折り畳み姿勢に保持する第1保持機構に含まれる。
【0041】
補助トレイ40は、側面に突起部45を有している。突起部45は、主トレイ30の側面よりも突出している。一例として、突起部45は、ピン状に形成される。
【0042】
係止部材60は、L字形に屈曲した形状を呈し、屈曲部を主トレイ30の側面に回転自在に支持されている。係止部材60の回転軸61は、主トレイ30の回転軸34及び補助トレイ60の回転軸44と平行である。
【0043】
係止部材60は、フック部62及び延長部63を有している。フック部62は、回転軸61から用紙積載面33側へ延びる部分の先端部に設けられ、主トレイ30の回転軸34側へ突出する鉤形を呈している。フック部62は、補助トレイ40の突起部45に係止自在に構成されている。延長部63は、係止部材60のうち、回転軸61から主トレイ30の回転軸34側へ延びる部分である。
【0044】
係止部材60は、折り畳み姿勢に配置された補助トレイ40の突起部45にフック部62が係止する係止位置と、補助トレイ40に対する係止が解除される解除位置との間で変位自在である。突起部45にフック部62が係止することで、補助トレイ40は折り畳み姿勢に保持される。
【0045】
係止部材60の回転軸61には、第2弾性部材52が設けられている。第2弾性部材52は、係止部材60を解除位置から係止位置へ変位する方向へ付勢している。例えば、第2弾性部材52として、捩じりバネが用いられる。なお、図7では、第2弾性部材52の記載が省略されている。
【0046】
係止解除部材70は、排紙トレイ20と同じ側の装置本体2の側部から、水平方向へ突出している。係止解除部材70は、係止部材60と同じ側の主トレイ30の側面の近傍、例えば装置本体2の前面側の主トレイ30の側面近傍に配置されている。係止解除部材70は、装置本体2の奥行き方向即ち主トレイ30の幅方向91に沿って、図7に示す作用位置と、図8(A)に示す非作用位置との間で変位自在に装置本体2に支持されている。
【0047】
係止解除部材70は、作用位置に配置されることで、主トレイ30の収容姿勢から開放姿勢への回転のうち開放姿勢を除く領域での回転にともなって、係止部材60の延長部63を下方から押圧し、係止部材60を係止位置から解除位置へ変位させる。一方、係止解除部材70は、非作用位置に配置されることで、主トレイ30が収容姿勢から開放姿勢へ回転しても、係止部材60を変位させなくなる。
【0048】
係止解除部材70は、押圧部71及び傾斜部72を有している。押圧部71は、係止解除部材70の先端部に設けられており、係止解除部材70が作用位置に配置された状態で、係止部材60の延長部63を下方から押圧可能である。図8(B)に示すように、傾斜部72は、押圧部71と基端部との間に設けられ、傾斜部72の上面は、幅方向91において、主トレイ30側へ下り傾斜している。
【0049】
係止解除部材70は、第3弾性部材53によって、非作用位置から作用位置へ変位する方向へ付勢されている。例えば、第3弾性部材53として、コイルバネが用いられる。第3弾性部材53は、第1保持機構に含まれる。
【0050】
作用解除部材80は、主トレイ30の、係止部材60が設けられるのと同じ側の側面に設けられている。作用解除部材80は、主トレイ30が収容位置から開放位置へ回転するときに、係止解除部材70の傾斜部72に上方から当接するように配置されている。作用解除部材80の下面は、係止解除部材70の傾斜部72の上面と略平行な状態で当接するように傾斜している。このため、主トレイ30の収容姿勢から開放姿勢への回転にともなって、作用解除部材80の下面が係止解除部材70の傾斜部72の上面を押し下げ、係止解除部材70が作用位置から非作用位置へ変位する。
【0051】
図9(A)及び図9(B)に示すように、画像形成装置1は、補助トレイ40を主トレイ30の用紙積載面33に近接させながら主トレイ30を収容姿勢に保持する第2保持機構を有している。具体的な構成例として、装置本体2は、排紙トレイ20の上部に、側面に沿って水平方向にスライド自在な係止部2Aを有している。係止部2Aは、下方へ延出する延出部を有している。主トレイ30は、第1開放端部32に、係止部2Aの延出部と係合及び係合解除自在な凹部36を有している。係止部2Aをスライドさせることで、主トレイ30の第1開放端部32と装置本体2との係合及び係合解除が切り換えられる。係止部2A及び凹部30は、第2保持機構を構成している。
【0052】
主トレイ30の第1開放端部32と装置本体2とが係合した状態において、補助トレイ40は、突起部45にフック部62が係止した状態よりも主トレイ30の用紙積載面33に近接している。即ち、補助トレイ40の第2開放端部42は、第1弾性部材51の弾性力によって装置本体2の側面を押圧している。
【0053】
ユーザは、画像形成装置1の不使用時には、図9(B)に示すように、補助トレイ40を折り畳み姿勢に配置した状態で主トレイ30を収容姿勢に保持する。補助トレイ40を第1弾性部材51の付勢力に抗して主トレイ30に近接させた状態で主トレイ30を装置本体2の側面に近接させることができるので、排紙トレイ20の収納スペースを低減させることができる。
【0054】
一方、ユーザは、排紙トレイ20の使用開始時には、係止部2Aをスライドさせることで、主トレイ30の第1開放端部32と装置本体2との係合を解除する。主トレイ30と装置本体2との係合が解除されると、補助トレイ40の第2開放端部42が装置本体2の側面を押圧する力によって、主トレイ30が収容姿勢から開放姿勢へ向けて回転する。
【0055】
係止部材60は、主トレイ30の回転領域において係止解除部材70による作用を受けない領域では、第2弾性部材52の弾性力によって係止位置に配置され、補助トレイ40は折り畳み姿勢に保持される。
【0056】
図10に示すように、主トレイ30の収容姿勢から開放姿勢への回転のうち開放姿勢になる前の所定領域での回転にともなって係止解除部材70の押圧部71が係止部材60の延長部63を下方から押圧することで、係止部材60が係止位置から解除位置へ変位する。図11に示すように、補助トレイ40は、第1弾性部材51の弾性力によって第2開放端部42が主トレイ30の用紙積載面33から離間する方向へ回転する。これによって、補助トレイ40は、略垂直方向に起立する。このため、ユーザは、補助トレイ40の第2開放端部42を指先に容易に引っ掛けて展開姿勢へ回転させることができる。このように、主トレイ30を収容姿勢から開放姿勢へ向けて回転させることで、補助トレイ40を折り畳み姿勢から展開姿勢へ回転させる際の操作性が向上する。
【0057】
また、主トレイ30が開放姿勢に配置されるときに作用解除部材80が係止解除部材70を作用位置から非作用位置へ変位させることで、係止解除部材70が係止部材60を押圧しなくなり、係止部材60は、第2弾性部材52の弾性力によって解除位置から係止位置へ復帰する。
【0058】
このため、排紙トレイ20の使用終了時に、図6に示すように、主トレイ30が開放姿勢に配置された状態でユーザが補助トレイ40を展開姿勢から折り畳み姿勢へ回転させることで、補助トレイ40は係止部材60によって折り畳み姿勢に保持される。このため、ユーザは、片手のみで容易に、補助トレイ40を折り畳み姿勢に配置した状態で主トレイ30を開放姿勢から収容姿勢へ回転させることができる。
【0059】
また、排紙トレイ20の使用終了時に、ユーザが主トレイ30を開放姿勢から収容姿勢へ向けて変位させることで、ユーザが係止解除部材70を操作することなく、係止解除部材70が第3弾性部材53の弾性力によって非作用位置から作用位置へ復帰する。このため、排紙トレイ20の次回の使用開始時に、主トレイ30の収容姿勢から開放姿勢への回転にともなって補助トレイ40が用紙積載面33から離間するようになる。よって、排紙トレイ20の操作性がより向上する。
【0060】
このように、排紙トレイ20の使用開始時及び使用終了時の両方における排紙トレイ20の操作性を向上することができる。
【0061】
なお、図12に示すように、押圧部71Aが上下方向に揺動するように装置本体2に回転自在に支持された係止解除部材70Aを備えた排紙トレイ20Aによっても、上述の排紙トレイ20と同様に、排紙トレイ20Aの操作性を向上することができるという効果を奏することができる。係止解除部材70Aでは、係止解除部材70の傾斜部72のように押圧部71と基端部との間の上面が幅方向91に傾斜している必要がなく水平面であればよく、作用解除部材80Aの下面も傾斜している必要はなく水平面であればよい。主トレイ30が収容姿勢から開放姿勢へ回転することで作用解除部材80Aが係止解除部材70Aを押し下げ、押圧部71Aが係止部材60を押圧しなくなる。
【0062】
また、図13に示すように、水平面内で変位自在なように一端部を装置本体2の側面に回転自在に支持された係止解除部材70Bを備えた排紙トレイ20Bによっても、上述の排紙トレイ20と同様に、排紙トレイ20Bの操作性を向上することができるという効果を奏することができる。
【0063】
排紙トレイ20Bでは、係止解除部材70Bの先端部に、主トレイ30の幅方向91において押圧部71Bと傾斜部72Bとが隣接配置されている。即ち、幅方向91において押圧部71Bの主トレイ30から離間する側に、傾斜部72Bが設けられている。傾斜部72Bは、幅方向91において、主トレイ30から離間する側へ下り傾斜している。
【0064】
作用解除部材80Bは、基端部を主トレイ30の側面に支持され、係止部材60の上側を通って、幅方向91において係止部材60に対して主トレイ30の反対側へ延びた後、先端部が下方へ延びている。作用解除部材80Bの先端部は、傾斜部72Bと当接可能に形成されている。作用解除部材80Bの先端部の下面は、係止解除部材70Bの傾斜部72Bの上面と略平行な状態で当接するように傾斜している。
【0065】
係止解除部材70Bは、水平面内で作用位置と非作用位置とに変位するので、係止解除部材70Bを主トレイ30に沿って変位させることができ、排紙トレイ20Bの使用時の占有スペースを低減させることができる。
【0066】
また、係止解除部材70Bの非作用位置は、作用位置よりも、装置本体2の奥行き方向即ち主トレイ30の幅方向91における中央部側に位置することが好ましい。係止解除部材70Bの主トレイ30からの突出量が小さくなるので、物が係止解除部材70Bに当たることによる係止解除部材70Bの損傷を抑制することができる。
【0067】
さらに、排紙トレイ20,20A,20Bにおいて、第1弾性部材51として、捩じりバネに代えて、板バネ51を用いることができる。板バネ51は、補助トレイ40の回転軸近傍であって幅方向において主トレイ30における最大通紙幅の外側に配置される。
【0068】
また、係止部2Aは、装置本体2の側面上で回転させることで、延出部を、主トレイ30に係合する位置と係合しない位置とに変位自在に構成することもできる。これによれば、主トレイ30に凹部36を設ける必要がなくなる。
【0069】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置
2 装置本体
2A 係止部
2B 鉤形部
10 給紙トレイ(用紙トレイ)
20,20A,20B 排紙トレイ(用紙トレイ)
30 主トレイ
31 第1基端部
32 第1開放端部
33 用紙積載面
40 補助トレイ
41 第2基端部
42 第2開放端部
51 第1弾性部材
52 第2弾性部材
53 第3弾性部材
60 係止部材
70,70A,70B 係止解除部材
80,80A,80B 作用解除部材
91 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基端部を第1支軸として、装置本体の側面に近接する収容姿勢と前記装置本体から側方へ突出する開放姿勢との間で回転自在に前記装置本体に支持された主トレイと、
第2基端部を第2支軸として、前記主トレイの用紙積載面に近接する折り畳み姿勢と前記用紙積載面から延長する展開姿勢との間で回転自在に、前記主トレイにおける前記第1基端部の反対側である第1開放端部に支持された補助トレイと、
前記補助トレイにおける前記第2基端部の反対側である第2開放端部が前記用紙積載面から離間する方向へ前記補助トレイを付勢する第1弾性部材と、
前記主トレイが前記開放姿勢に配置された状態で前記補助トレイを前記折り畳み姿勢に保持する保持機構と、を備える用紙トレイ。
【請求項2】
前記保持機構は、
前記折り畳み姿勢に配置された前記補助トレイに係止する係止位置と前記補助トレイに対する係止が解除される解除位置との間で変位自在な係止部材と、
前記主トレイの前記収容姿勢から前記開放姿勢への回転のうち前記開放姿勢を除く領域での回転にともなって前記係止部材を前記係止位置から前記解除位置へ変位させる係止解除部材と、
前記係止部材を前記解除位置から前記係止位置へ変位する方向へ付勢する第2弾性部材と、を含む、請求項1に記載の用紙トレイ。
【請求項3】
前記係止解除部材は、前記係止部材を前記係止位置から前記解除位置へ変位させる作用位置と、前記係止部材を変位させない非作用位置との間で変位自在であり、
前記保持機構は、前記主トレイが前記開放姿勢に配置されるときに前記係止解除部材を前記作用位置から前記非作用位置へ変位させる作用解除部材をさらに含む、請求項2に記載の用紙トレイ。
【請求項4】
前記保持機構は、前記係止解除部材を前記非作用位置から前記作用位置へ変位する方向へ付勢する第3弾性部材をさらに含む、請求項3に記載の用紙トレイ。
【請求項5】
前記補助トレイは、側面に突起部を有し、
前記係止部材は、前記第2支軸と平行な第3支軸を中心に回転自在に前記主トレイの側面に支持され、前記突起部に係止自在なフック部及び前記第1支軸側へ延びる延長部を有してL字形状を呈し、
前記係止解除部材は、前記作用位置において、前記主トレイの前記収容姿勢から前記開放姿勢への回転のうち前記開放姿勢を除く領域での回転にともなって前記延長部を押圧する、請求項2から4のいずれかに記載の用紙トレイ。
【請求項6】
前記係止解除部材は、水平面内で変位自在なように一端部を前記装置本体の側面に回転自在に支持される、請求項5に記載の用紙トレイ。
【請求項7】
前記係止解除部材の前記非作用位置は、前記作用位置よりも、前記装置本体の奥行き方向における中央部側に位置する、請求項6に記載の用紙トレイ。
【請求項8】
前記第1弾性部材は、前記主トレイにおける最大通紙幅の外側に配置される、請求項1から7のいずれかに記載の用紙トレイ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の用紙トレイを備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−79134(P2013−79134A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220193(P2011−220193)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】