説明

用紙処理装置、画像形成システム及び用紙処理方法

【課題】排紙用紙によって積載紙が押し出されてしまうことを防止する。
【解決手段】用紙を積載する端面綴じ処理トレイと、端面綴じ処理トレイに対して用紙を排紙するステープル排紙ローラ11と、ステープル排紙ローラ11によって排紙され、端面綴じ処理トレイF上に積載された積載紙P2の搬送方向を整合する後端基準フェンス51及び叩きコロ12と、端面綴じ処理トレイFに積載され、搬送方向が整合された積載紙P2を綴じる端面綴じステープラS1と、積載紙P2を端面綴じステープラS1によって綴じるとき及び積載紙P2にステープル排紙ローラ11から排紙される後続紙(排紙用紙P1)が接触するとき、前記積載紙P2を押さえる後端押さえレバー110と、を備え、排紙時に積載紙P2が移動しないように保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬入された用紙、記録紙、転写紙、OHP用紙などの用紙状被記録媒体(本明細書では、単に「用紙」と称す)を整合する用紙処理装置、この用紙処理装置と複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうちの少なくとも1つを備えたデジタル複合機などの画像形成装置と含む画像形成システム、及び用紙処理装置で実行される用紙処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置から排出された用紙をステープルトレイに積載し、搬送方向(所謂縦方向)と搬送方向に対して直交する方向(所謂幅方向)の揃えを行ってから綴じを行うステープラを備えたフィニッシャと称される装置が知られている。ステープラで端面綴じを行う場合、用紙は、用紙搬送方向の位置を規定する後端基準フェンスに当たり、接した状態を維持した状態(以下、当接という。)で端面綴じが行われる。その際、ステープラは用紙端部(通常、用紙後端)に沿って、用紙搬送方向と直交する方向に移動し、綴じ位置を変更することができる。
【0003】
このようなフィニッシャでは、綴じられた用紙束の揃え精度を向上させるために搬送方向、あるいは搬送方向と直交する用紙幅方向の整合処理(ジョギング)を行ってから綴じ処理(ステープル)を行う整合手段が既に知られている。さらに、ステープルトレイに積載された用紙後端の姿勢を維持させるため、あるいは綴じ処理時に用紙厚み方向の用紙ばたつきを防止するために用紙束を厚み方向に押圧する押圧部材が設けられているものがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1(特開平11−130338号公報)には、ステープルトレイ上における用紙束の揃え精度を向上させて信頼性の高いステープル処理を行うことができるようにするため、画像形成装置から排出される用紙を受け入れてスタックするステープルトレイと、前記ステープルトレイ上にスタックされる用紙の搬送方向の端部を突き当てて用紙の整合を行う後端フェンスと、前記後端フェンスによって整合された用紙束の端部にステープル処理を行うステープル手段と、を備えた用紙処理装置において、前記ステープルトレイ上にスタックされた用紙束の厚み方向に移動可能であって、前記後端フェンスに用紙を案内するための前記ステープルトレイの用紙積載面との距離を可変にする規制部材、あるいは、前記ステープルトレイに所定枚数の用紙が排出される毎に、前記後端フェンスの近傍の当該用紙の上面を押圧する押圧部材、あるいは、前記後端フェンスに用紙の案内をするための前記ステープルトレイの用紙積載面との距離を可変にすると共に、前記ステープルトレイに所定枚数の用紙が排出される毎に、前記後端フェンスの近傍の当該用紙の上面を押圧する規制押圧部材を設けたことを特徴とするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1記載の発明を含む従来の綴じ処理方法では、Z折りされた用紙や、貼り付きが発生しやすいコート紙において、ステープルトレイに積載された用紙上にさらに用紙が排出された際、Z折り紙の場合は、スタックされたZ折り紙のZ折り部の膨らんだ部分に排出用紙が接触することによって積載紙を押し出すという押し出しが生じ、この押し出しにより、積載紙にズレが生じる。
【0006】
コート紙の場合は帯電等の理由により積載された用紙に、排出した用紙が貼り付くことにより、積載紙が押し出されてズレが発生し、またそのズレが補正されないことによって綴じ不良あるいは綴じ落ちが発生する場合があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来から使用されているシート綴じ時に用紙厚み方向を押さえる押圧部材を使用し、排紙用紙によって積載紙が押し出されてしまうことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、用紙を積載する積載手段と、前記積載手段に対して前記用紙を排紙する排紙手段と、前記排紙手段によって排紙され、前記積載手段上に積載された積載紙の搬送方向を整合する整合手段と、前記積載手段上に積載され、前記整合手段によって整合された積載紙を綴じる綴じ手段と、前記積載紙を綴じ手段によって綴じるとき及び前記積載紙に前記排紙手段から排紙される後続紙が接触するとき、前記積載紙を押さえる押圧手段と、を備えた用紙処理装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排紙用紙によって積載紙が押し出されてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙処理装置としての用紙後処理装置と画像形成装置とからなるシステムを示すシステム構成図である。
【図2】図1における端面綴じ処理トレイをトレイの積載面側から見た概略構成図である。
【図3】図1における端面綴じ処理トレイ及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。
【図4】図1における放出ベルトの動作を示す斜視図である。
【図5】図1におけるステープラの移動機構を示す斜視図である。
【図6】端面綴じ時における端面綴じ処理トレイにスタックされた用紙と基準フェンスと端面綴じステープラとの関係を示す図である。
【図7】後端押さえ機構の要部拡大図で、図1における後端基準フェンス部分を示す。
【図8】後端押さえ機構の要部拡大図で、用紙の搬送方向(副走査方向)にカールが生じている状態を示す。
【図9】後端押さえ機構を端面綴じ処理トレイに対して垂直な方向から見た図である。
【図10】後端押さえ機構を端面綴じ処理トレイに対して平行な方向から見た図である。
【図11】コート紙のズレの状態を示す説明図である。
【図12】Z折り紙におけるズレの状態を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態におけるズレ防止の構成を示す説明図で、排紙時の押圧状態を示す。
【図14】本発明の実施形態におけるズレ防止の構成を示す説明図で、整合時の待機状態を示す。
【図15】用紙後処理装置と画像形成装置からなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。
【図16】3枚綴じの場合の綴じ動作時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図17】用紙後処理装置で実行される綴じ処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、処理トレイ上に用紙がスタックされた状態で綴じ処理のために後続紙を積載紙上に排紙する場合に、用紙厚み方向の整合を行う押圧部材により積載紙を保持し、排紙される後続紙(排紙用紙)の接触により積載紙がズレることのないようにしたことを特徴としている。
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る用紙処理装置としての用紙後処理装置PDと画像形成装置PRとからなるシステムのシステム構成を示す図である。
【0013】
図1において、画像形成装置PRは、入力された画像データを印字可能な画像データに変換する画像処理回路、画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行う光書き込み装置、光書き込みにより感光体に形成された潜像をトナー現像する現像装置、現像装置によって顕像化されたトナー像を用紙に転写する転写装置、及び用紙転写されたトナー像を定着する定着装置を少なくとも備え、トナー画像が定着された用紙を用紙後処理装置PDに送り出し、用紙後処理装置PDによって所望の後処理が行われる。画像形成装置PRはここでは前述のように電子写真方式のものであるが、インクジェット方式、熱転写方式などの公知の画像形成装置が全て使用できる。なお、この実施形態では、前記画像処理回路、光書き込み装置、現像装置、転写装置、及び定着装置が画像形成手段を構成している。
【0014】
用紙後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出された用紙は用紙後処理装置PDに導かれる。用紙後処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D及び搬送路Hを備え、前記用紙は、1枚の用紙に後処理を施す後処理手段(この実施形態では穿孔手段としてのパンチユニット100)を有する搬送路Aへまず搬送される。
【0015】
搬送路Bは搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路であり、搬送路Cはシフトトレイ202へ導く搬送路Cである。搬送路Dは整合及びステープル綴じ等を行う処理トレイF(以下「端面綴じ処理トレイ」とも称する)に導く搬送路Dである。搬送路Aから搬送路B,C,Dへは、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
【0016】
この用紙後処理装置では、用紙に対して、穴開け(パンチユニット100)、用紙揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じステープラS1)、用紙揃え+中綴じ(中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b、中綴じステープラS2)、用紙の仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81)などの各処理を行うことができる。そのため、搬送路Aと、これに続く搬送路B、搬送路C及び搬送路Dが選択される。また、搬送路Dは用紙収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には端面綴じ処理トレイF、中綴じ中折り処理トレイG、排紙搬送路Hが設けられている。
【0017】
搬送路B、搬送路C及び搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れる用紙を検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット100、パンチかす収納容器101、搬送ローラ2、第1及び第2の分岐爪15,分岐爪16が順次配置されている。第1及び第2の分岐爪15,16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており(初期状態)、図示しない第1及び第2のソレノイドをONすることにより、分岐爪15、16をそれぞれ駆動し、第1及び第2のソレノイドのON/OFFを選択する。この選択により、第1及び第2の分岐爪15,16の分岐方向の組み合わせを変え、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへ用紙を振り分ける。
【0018】
搬送路Bへ用紙を導く場合は図1の状態、すなわち、第1のソレノイドをOFF(第1の分岐爪15は下向きが初期状態)状態のままとする。これにより、用紙は搬送ローラ3から排紙ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
【0019】
搬送路Cへ用紙を導く場合は、図1の状態から第1及び第2のソレノイドをON(第2の分岐爪16は上向きが初期状態)とすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となる。これにより、用紙は搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。この場合には、用紙の仕分けが行われる。用紙後処理装置PDの最下流部に位置するシフトトレイ排紙部で、用紙の仕分けが行われ、用紙の仕分けは、シフト排紙ローラ対6(6a,6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202を用紙搬送方向に直交する方向に往復動させる図示しないシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とに行われる。
【0020】
搬送路Dへ用紙を導く場合は、第1の分岐爪15を駆動する第1のソレノイドをON、第2の分岐爪を駆動する第2のソレノイドをOFFとすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は上方に回動した状態となり、用紙は搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイFへ導かれ、この端面綴じ処理トレイFで整合及びステープル等を施された用紙は、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す中綴じ・中折り処理トレイG(以下、単に「中綴じ処理トレイ」とも称する)へ振り分けられる。シフトトレイ202に導かれる場合には、用紙束は排紙ローラ対6からシフトトレイ202に排紙される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれた用紙束は、中綴じ処理トレイGで折り及び綴じを施され、排紙搬送路Hを通り排紙ローラ83から下トレイ203へ排紙される。
【0021】
他方、搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されており、搬送ローラ7によって搬送される用紙の後端が前記分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9、10、ステープル排紙ローラ11のうち少なくとも搬送ローラ9を逆転させ、用紙をターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、用紙後端から用紙を用紙収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次用紙と重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304は用紙をプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
【0022】
搬送路Dに導かれ、用紙揃えと端部綴じを行う場合、ステープル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイF上に順次積載される。この場合、用紙毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向:用紙幅方向)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束の最終紙から次の用紙束先頭紙までの間で、図示しない制御装置からのステープル信号により綴じ手段としての端面綴じステープラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われた用紙束は、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(図2参照)によりシフト排紙ローラ6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排紙される。
【0023】
なお、端面綴じステープラS1は図1に示すようにステープル針を打ち出すステッチャ(ドライバ)S1aと、ステープル針の先端を折り曲げるクリンチャS1bとからなり、両者間が用紙後端の整合基準となる後端基準フェンス51a,51bが通り抜けることができる空間部S1cとなっていることから、端面綴じステープラS1と後端基準フェンス51a,と51bが干渉することなく端面綴じステープラS1は移動する。また、端面綴じステープラS1は、中綴じステープラS2とは異なり、ステッチャS1aとクリンチャS1bが一体となっている。ステッチャS1aは用紙面に対して垂直方向には移動せずに固定側として機能し、クリンチャS1bが用紙面に対して垂直な方向に移動する移動側として機能している。これにより、用紙束PBに対して綴じ動作を行う場合には、基準フェンス51のスタック面51a1,51b1に当接した用紙束PBの所定の被綴じ部分をクリンチャS1bがステッチャS1a側に移動し、その過程で綴じ動作が行われる。
【0024】
放出ベルト52は図2及び図4に示すように用紙幅方向の整合中心に位置し、プーリ62間に張架され、放出ベルト駆動モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸に対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。
【0025】
放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束を交互に移動搬送する。
【0026】
また必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これから用紙束を移動するように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52aの背面で端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束の搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。
【0027】
なお、図1において、符号110は後端押さえレバーであり、後端基準フェンス51に収容された用紙束PBの後端を押さえることができるように後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動する。端面綴じ処理トレイFに排出された用紙は、用紙毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われるが、端面綴じ処理トレイFに積載された用紙後端がカールしていたり、腰が弱かったりすると用紙自身の重量によって後端が座屈し膨らむ傾向にある。さらに、その積載枚数が増えることによって、後端基準フェンス51内の次の用紙が入る隙間が小さくなり、縦方向の揃えが悪くなる傾向にある。そこで、用紙後端の膨らみを少なくして用紙が後端基準フェンス51に入りやすくするようにしたのが、後端押さえ機構であり、用紙を直接押さえるのが後端押さえレバー110である。
【0028】
また、図1において、符号302,303,304,305,306,310はそれぞれ用紙検知センサであり、設けられた位置における用紙の通過の有無、若しくは用紙の積載の有無を検知する。なお、符号305は後述のステープル排紙センサである。
【0029】
図2は端面綴じ処理トレイFをトレイの積載面側から見た概略構成図で、図1の右側面側から見た場合に相当する。同図において、上流側の画像形成装置PRより受け入れた用紙の幅方向の整合はジョガーフェンス53a及び53bによって実施され、縦方向は第1及び第2の後端基準フェンス51a,51b(図1では符号51で示す)に突き当てて整合される。図6は端面綴じ時の端面綴じ処理トレイFにスタックされた用紙と、基準フェンス51a,51bと、端面綴じステープラS1との関係を示す図から分かるように、第1及び第2の後端基準フェンス51a,51bは、それぞれ内側に用紙後端STが当接し、保持されるスタック面51a1,51a2,51b1,51b2を備え、用紙後端STを支持するようになっている。支持は図2から分かるように4点で可能であるが、端面綴じステープラS1は1箇所斜め綴じの場合、スタックされた用紙束PBの端部に移動し、斜めの角度傾いた状態で綴じ処理を行う。図6(b)に綴じた後のステープル針S1dと後端フェンス51bとの関係を示す。その際、用紙束PBは図6(a)に示すように後端フェンス51のスタック面51a1,51a2,51b1のいずれか2箇所に接触してスタックされる。これは、後端フェンス51a,51bの取り付け精度を含む機械的誤差のためであり、2点で支持されることにより安定した状態で支持される。
【0030】
整合動作完了後は、端面綴じステープラS1により綴じ処理が施され、図4の放出ベルトの動作を示す斜視図から分かるように、放出ベルト52が放出ベルト駆動モータ157によって反時計方向に駆動され、綴じ処理後の用紙束は放出ベルト52に取り付けられた放出爪52aによってすくわれ、端面綴じ処理トレイFから放出される。なお、符号64a,64bは前側板及び後側板である。また、本動作は整合処理後に綴じ処理を実施しない未綴じ束においても同様の動作が可能である。
【0031】
図3は端面綴じ処理トレイF及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、ステープル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙は順次端面綴じ処理トレイF上に積載される。このとき、端面綴じ処理トレイFに排出される用紙の枚数が1枚の場合、用紙毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53a,53bによって幅方向の整合が行われる。叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙後端STを後端基準フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12自身は反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図2及び図3に示すように前後1対(53a,53b)設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙幅方向に往復移動する。
【0032】
図5はステープラ移動機構を示す側面図である。端面綴じステープラS1は図5に示すように、正逆転可能なステープラ移動モータ159によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙後端部の所定位置を綴じるために用紙幅方向に移動する。その移動範囲の一側端には、端面綴じステープラS1のホームポジションを検出するステープラ移動HPセンサ312が設けられており、用紙幅方向の綴じ位置は、前記ホームポジションからの端面綴じステープラS1の移動量により制御される。端面綴じステープラS1は、用紙後端部で1箇所若しくは複数個所(一般には2箇所)綴じることができるように構成され、少なくとも後端基準フェンス51a,51bによって支持される用紙後端STの全幅にわたって移動可能となっている。また、ステープル針の交換のために装置前側には最大限移動できるようになっており、ユーザのステープル針交換操作の便を図っている。
【0033】
端面綴じ処理トレイFの用紙搬送方向下流側には、用紙束偏向機構Iが設けられている。図1に示すように端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束PBを送る搬送路、及び用紙束PBを搬送する搬送手段は、用紙束PBに搬送力を与える搬送機構35、用紙束PBをターンさせる放出ローラ56、用紙束PBをターンさせるためのガイドを行うガイド部材44とから構成されている。
【0034】
各々の詳細な構成を説明すると、搬送機構35のローラ36には駆動軸37の駆動力がタイミングベルトによって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアームによって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動はカム40によって行われ、カム40は回転軸を中心に回転し、図示しないモータによって駆動される。搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によって用紙束を挟み、弾性材によって加圧し、搬送力を与えている。
【0035】
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束をターンさせる搬送路は、放出ローラ56と放出ローラ56に対向する側のガイド部材44の内面との間に形成される。ガイド部材44は支点を中心に回動し、その駆動は束分岐駆動モータ161(図2参照)から伝達される。端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束を搬送する場合には、ガイド部材44が支点を中心に図示時計方向に回動し、ガイド部材44の外面(放出ローラ56と対向しない側の面)とその外側のガイド板間の空間が搬送路として機能する。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束PBを送る場合、端面綴じ処理トレイFで整合された用紙束PBの後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と、これに対向する対向する従動ローラ42との間で用紙束を挟み、搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、用紙束PB先端にぶつからないような位置で待機している。次に、用紙束PB先端が通過してから用紙表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路のガイドを形成し、用紙束PBを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
【0036】
中綴じ処理トレイGは、図1に示すように搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなる用紙束偏向機構の下流側に設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記用紙束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。
【0037】
また、束搬送ガイド板上92の上部には束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられているとともに、両ローラ71,72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている個所に中綴じステープラS2が配置されている。中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは図示しない駆動機構により駆動され、用紙搬送方向に直交する方向(用紙幅方向)の整合動作を行う。中綴じステープラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、用紙の幅方向に所定の間隔をおいて2対設けられている。
【0038】
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動基準フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構により用紙搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は図1に示すように前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。同様に束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251はタイミングベルト252と図示しない駆動機構とによって前記用紙束偏向機構から離れる方向と用紙束の後端(用紙束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。
【0039】
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られた用紙束を搬送する搬送路Hとからなっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ、符号323は中折りされた用紙を検出するための折り部通過センサ、符号321は用紙束が中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動基準フェンス73のホームポジションを検出する可動基準フェンスホームポジションセンサである。
【0040】
また、この実施形態では、下トレイ203に中折りされた用紙束PBの積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
【0041】
図7は後端押さえ機構を拡大して示す図、図8は用紙束が後端基準フェンスに突き当たり、搬送方向にカールが生じている状態を示す図、図9は後端押さえ機構を端面綴じ処理トレイFに対して垂直な方向から見た図、図10は後端押さえ機構を端面綴じ処理トレイFに対して平行な方向から見た図である。
【0042】
図7において、後端押さえレバー110a,110b,110cは、後端基準フェンス51の対向方向(端面綴じ処理トレイFに対して垂直な方向)に設けられている。また、図8から分かるように、後端押さえレバー110は用紙の幅方向に第1ないし第3の3個設けられている。第1ないし第3のそれぞれの後端押さえレバー110a,110b,110cは、第1ないし第3のモータ(レバー駆動モータ)M1,M2,M3及びプーリ間に掛け渡されたベルトB1,B2,B3を介し、用紙束PB方向に進出(矢印Y1方向)、後退(矢印Y2方向)可能に設置され、進出時に用紙束PBの後端を押圧する。また、最大後退位置が退避位置となる。第1ないし第3の後端押さえレバー110a,110b,110cは用紙束PBに対して垂直にスライド移動可能に支持されており、後端がベルトB1,B2,B3に連結され、ベルトB1,B2,B3の回転移動によって直線的に移動する。各後端押さえレバー110a,110b,110cはそれぞれ独立した構成となっており、第1の後端押さえレバー110aは固定され、第2及び第3の後端押さえレバー110b,110cは用紙束PBの後端部に平行に移動可能にそれぞれ第1及び第2の駆動ブラケットBk1,Bk2に支持されている。
【0043】
第1及び第2の駆動ブラケットBk1,Bk2は、用紙束PB後端に平行に設置された第1及び第2のラックR1,R2に後端側でそれぞれ支持されている。第1及び第2のラックR1,R2は第4のモータM4によって駆動されるギヤGrの中心を挟んで両側で当該ギヤP1と噛み合っている。この構成により、第4のモータM4が一方向に回転すると、第1及び第3の駆動ブラケットBk1,Bk2が互いに近接する方向に移動し、他方向に回転すると第1及び第3の駆動ブラケットBk1,Bk2が互いに離間する方向に移動する。その結果、第1及び第3の後端押さえレバー110a,110cが用紙束PBを押さえる用紙束PB後端と平行な位置を変更することができる。
【0044】
第1ないし第3の後端押さえレバー110a,110b,110c、第1及び第2の駆動ブラケットBk1,Bk2、第1及び第2のラックR1,R2、並びに第4のモータM4及びギヤP1は、ベース部材110BSに取り付けられている。なお、本実施形態では、後端押さえレバー110は用紙の幅方向に3個設けられているが、後端押さえレバー110の設置個数は、装置の仕様に応じて適宜設定されるが、最低2個あれば良い。また、後端押さえレバー110の駆動機構もモータとベルトに限定されるものではなく、機構的に用紙束PBを押圧できるものであれば、十分である。そこで、図1では、後端押さえレバー110a,110b,110cをまとめて符号110で示している。
【0045】
用紙束PBの幅方向にカール(撓み)が生じている場合、図7に示すように用紙後端が後端基準フェンス51に突き当たった状態で自重によりカールし(撓み)、あるいは初期状態で後端部がカールした用紙束が積層され、このカールした状態で積載される。その状態で端面綴じステープラS1が用紙束PBを挟んで綴じるが、その際、用紙束PBのカールした部分と後端押さえレバー110の押さえ位置が一致していれば、カールを矯正することができる。しかし、用紙サイズによってはカールした部分と押さえる位置が異なるため、押さえたときにステープル位置にばらつきが生じる。ステープル動作時は、用紙束PBは瞬時に押し潰されてステープルされるため、前述のように撓んだ部分と押さえた部分がズレていると、そのズレが、用紙束PBの綴じ部のズレとなり、ひいては綴じ後の用紙束PBの揃え不良につながることになる。
【0046】
一方、用紙の搬送方向(副走査方向)にカールが生じているような場合、図8のように積載される。このときステープラS1がステープルするために用紙束PBを挟むが、用紙束PBのカール部と押圧位置を一致させるため、複数の押圧部材を設置するか、あるいは、図9及び図10に示すような主走査方向の移動が可能となる駆動機構を用いて移動し、適切な押圧点を押圧するようにする。
【0047】
なお、押圧点の設定は、用紙のサイズ、用紙の厚さ、用紙の枚数、カール量の複数の要素のうち、少なくとも1つの要素に基づいて行われる。これらの要素に基づいて押圧点の設定は、用紙のサイズ、厚さ、枚数、カール量をパラメータとして実際に使用される用紙について、実機を使用してデータを取っておき、後述の制御回路の図示しないメモリに例えばテーブル化として記憶させておく。そして、押圧点の幅方向の位置を設定する際に、前記各要素を前記テーブル内のデータと対照させ、その中で適正と判断される位置を選択する。必要ならば、この選択結果から補間演算を行い、適正な位置を求める。前記選択あるいは演算は、後述の制御回路のCPU_PD1によって行われる。
【0048】
図9において、符号Se1、Se2はカール量検知センサである。カール量検知センサSe1、Se2は、用紙束PBの両側に設置され、用紙束PB後端のカール量を光学的に検知する。カール量検知センサSe1、Se2としては、例えば反射型の光センサが使用される。検知したカール量が規定値より大きい場合、例えば、中央部を押圧する第1の後端押さえレバー110aが用紙束PBの後端部を押圧した後、用紙束PBを綴じる綴じ側(用紙束PBの端部側)に位置する第2及び第3の後端押さえレバー110b,110cが用紙束PBを押圧するようにする。この押圧順は、後端押さえレバー110が2個の場合には、綴じ位置から遠い側から先に押さえ、その後綴じ部に近い側を押さえるようにする。
【0049】
なお、図7と図9では、後端押さえレバー110の用紙束PBを押える部分が異なっているが、作図上の都合で図面上での配置が異なっただけで、実際には、同一の部分を押圧する。このようにして後端押さえレバー110で用紙束PBを押さえる場合には、撓んだ部分(膨らんだ部分)を押さえる。その際、端面綴じ処理トレイFで綴じ処理を行うとき、後端押さえレバー110の用紙後端を押さえ付ける力を利用して用紙のカール、用紙のコシの弱さによる座屈、及び用紙と基準フェンスの隙間による用紙の逃げを、それぞれ後端押さえレバー110によって押さえることにより用紙の姿勢を正した状態で整合処理を行い、その状態で保持して綴じ処理を行う。
【0050】
本実施形態では、このようにして用紙Pあるいは用紙束PBを押える後端押さえレバー110を使用して端面綴じ処理トレイFへの排紙の積載紙のズレを防止するようにしている。
【0051】
図11は用紙のズレの状態を示す説明図、図12はZ折り紙におけるズレの状態を示す説明図である。図9に示すように、例えばコート紙では、用紙表面の摩擦係数が大きく、あるいは帯電等の理由により先に積載されている積載紙P1に後に排紙される排紙用紙P2が貼り付いてしまうことがある。そのため、排紙時に排紙用紙P2の先端が積載紙P1に突き当たり、あるいは貼り付いて積載紙P1を押し出すという現象が生じる場合がある。このような押し出しが生じると、両者の接触状態は変わらないので、後に排紙された用紙の排紙が完了しても、押し出し量dを保持したまま積載されることになる。
【0052】
他方、Z折り紙の場合には、Z折りされた方の端部P11,P21が先行して排紙され、端面綴じトレイFではZ折りされた方の端部P11が上側に位置した状態で積載される。この状態で後行の排紙用紙P2が端面綴じトレイF上に排紙されると、排紙用紙P2のZ折り側の端部(先端部)P21が既に積載されている積載紙P1のZ折り部の膨らんだ部分P12に突き当たり、摩擦力が大きくなってコート紙の場合と同様に積載紙P1を排紙用紙P1が押し出すという現象が生じる場合がある。いずれにしても常に発生するものはないが、発生する確率は高い。
【0053】
いずれにしてもこのように押し出された積載紙P1は最上位の用紙ではないため、叩きコロ12で整合を行うことはできない。そのため、前述のように積載紙P1がズレたままであると、綴じ処理もその状態のまま行われることになり、綴じ精度の悪化、あるいは綴じ抜けの発生を招くことになる。
【0054】
図13及び図14は本実施形態におけるズレ防止の構成を示す説明図である。
【0055】
本実施形態では、端面綴じ処理トレイFに用紙が積載された状態で後続の排紙用紙P1が排紙され、積載紙P1に接触する際、図13に示すように用紙厚み方向のばたつきを抑制する後端押さえレバー110が用紙を押圧する押圧位置に移動して積載紙P1を押圧しておき、この状態で後続の用紙(排紙用紙P2)を排紙する。このようにすると、排紙用紙P2の先端P21が積載紙P1に突き当たったとしても積載紙P2は後端で後端押さえレバー110によって押えられているので、排紙用紙P2によって押し上げられることはない。そして、排紙用紙P2がステープル排紙ローラ11から放出されて離れ、自重又は叩きコロ12により後端基準フェンス51に突き当たる際には、後端押さえレバー110は図14に示すように積載紙P1の押圧位置を離れ、待機位置に戻っている。この動作は綴じが行われる枚数まで繰り返され、綴じが行われる際には後端押さえレバー110は用紙厚み方向のばたつきを防止するための押圧位置に移動し、端綴じステープラS1によって綴じ処理が行われる。これにより、綴じズレ、綴じ(用紙)抜けを防止することができ、また、新たに押さえ部材を設ける必要がないため、省スペースにもなり、低コストでもある。
【0056】
このような制御は用紙後処理装置PDの制御回路によって実行される。図15は用紙後処理装置PDと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。用紙後処理装置PDはCPU_PD1、I/OインターフェイスPD2等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU_PD1には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネルPR1の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイスPR2を介して入力され、CPU_PD1は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU_PD1は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイスPD2を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU_PD1が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
【0057】
また、図15における用紙後処理装置PDの制御は画像形成装置PRのCPUからの指示若しくは情報に基づいて実行される。ユーザの操作指示は画像形成装置PRの操作パネルPR1から行われ、画像形成装置PRと操作パネルPR1は通信インターフェイスPR3を介して相互に接続されている。これにより、画像形成装置PRからは用紙後処理装置PDへ操作パネルPR1からの操作信号が送信され、また、用紙後処理装置PDの処理状態や機能が操作パネルPR1を介してユーザに通知される。
【0058】
図16は3枚綴じの場合のCPU_PD1によって実行される綴じ動作時の動作タイミングを示すタイミングチャートである。この図16に示したタイミングはステープル排紙センサ305の検出タイミング、第1ないし第3のモータ(レバー駆動モータ)M1,M2,M3、及び端面綴じステープラS1を駆動するステープルモータの駆動タイミングである。
【0059】
図16において、1枚の用紙(コート紙)が端面綴じ処理トレイFに積載されている状態で2枚目の用紙(コート紙)が排紙され(タイミングT11)、2枚目の用紙P2が積載紙P1に接触する際(タイミングT12)には、後端押さえレバー110は押圧位置に移動して積載紙P1を押圧して保持している(タイミングT21)。2枚目の用紙(排紙用紙P2)がステープル排紙ローラ11を離れ、自重又は叩きコロ12により落下中(タイミングT13)には待機位置に移動完了している(タイミングT22)。同様に3枚目(綴じを行う枚数目の用紙(排紙用紙P2))が排紙され(タイミングT14)、積載紙P1に接触する際には後端押さえレバー110は積載紙P1を押圧して保持し(タイミングT23)、3枚目の用紙(排紙用紙P2)がステープル排紙ローラ11を離れ、自重又は叩きコロ12により落下中(タイミングT16)には待機位置に移動完了している(タイミングT24)。その後、綴じ処理を行う前に用紙のばたつきを抑制するために押圧部材110は押圧位置に移動して押圧し(タイミングT25)、押圧しながら綴じ処理を行う(タイミングT31)。綴じ処理完了後、押圧手段110はホーム位置へと戻り(タイミングT26)、次処理に備える。
【0060】
後端押さえレバー110は紙種(ここではコート紙)に応じて、あるいはZ折り紙であるか否かに応じて排紙時の積載紙押圧動作の是非が決定される。すなわち、通常の制御に対して積載される用紙がコート紙などの特殊紙の場合及びZ折り紙の場合にのみ押圧動作が追加される。これにより、普通紙の場合及びZ折りを伴わない用紙の場合は、押圧動作が追加されることがなく、動作の無駄を省くことができる。また、動作の無駄が省かれることから省エネルギ化も促進することができる。
【0061】
図17はこのような動作を行う処理の処理手順を示すフローチャートである。同図において、まず、Z折り紙か特殊紙(コート紙)かが判定される。すなわち、処理がスタートすると、Z折り紙か否かが判定され(ステップS101)、Z折り紙であれば積載紙Pの押圧動作を行う必要があるので、搬送ローラ7,9,10によって搬送されてくる用紙をステープル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFに搬送(排紙)する(ステップS102)。次いで、後端押さえレバー110を動作させ、次用紙が端面綴じ処理トレイFへ排紙されるときには後端押さえレバー110によって押圧された状態とする(ステップS103)。次用紙がステープル排紙ローラから放出され、落下する前に、後端押さえレバー110は待機位置に移動し(ステップS104)、ジョガーフェンス53によって搬送方向と直交する方向の整合処理(ステップS105)と、叩きコロ12による搬送方向の整合処理(ステップS106)が実行される。
【0062】
そして、綴じ枚数分の用紙の端面綴じ処理トレイFに排紙されたか否かをチェックし(ステップS107)、綴じ枚数分の用紙の端面綴じ処理トレイFへの排紙完了までステップS102からステップS106の処理を繰り返す。綴じ枚数分の用紙の端面綴じ処理トレイFへの排紙が完了すると、後端押さえレバー110によって用紙束PBを押圧し(ステップS108)、端面綴じステープラS1によって綴じ処理を実行する(ステップS109)。綴じ処理が完了すると、後端押さえレバー110を退避させ(ステップS110)、放出爪52aによって綴じられた用紙束PBを持ち上げて端面綴じ処理トレイFから放出し(ステップS112)、一連の処理を終了する。
【0063】
他方、ステップS101でZ折り紙でないと判定された場合、すなわち、平紙と判定された場合には、さらに、用紙が特殊紙、ここではコート紙か否かが判定される(ステップS113)。この判定で特殊紙であれば、ステップS102以降の処理に移行し、ステップS112までの処理が実行される。この判定で特殊紙でなければ、ステップS102と同様にして用紙は端面綴じ処理トレイFに搬送され(ステップS114)、ジョガーフェンス53による搬送方向と直交する方向の整合処理(ステップS115)と、叩きコロ12による搬送方向の整合処理(ステップS116)が実行される。そして、綴じ枚数分の用紙の端面綴じ処理トレイFに排紙されたか否かをチェックし(ステップS117)、綴じ枚数分の用紙の端面綴じ処理トレイFへの排紙完了までステップS114からステップS116の処理を繰り返す。綴じ枚数分の用紙の端面綴じ処理トレイFへの排紙が完了すると、ステップS107以降の処理に移行し、ステップS112までの処理を実行し、処理を終える。
【0064】
以上のように本実施形態によれば、
1)綴じ処理するために端面綴じ処理トレイFに用紙を排紙する際、端面綴じ処理トレイFに積載された積載紙P1上に用紙を排紙するときは、積載紙P1を後端押さえレバー110によって押さえ付けて保持し、排紙用紙P2が積載紙P1に突き当たったとしても積載紙P1が押し上げられないようにしているので、積載紙P1がズレることがない。
2)後続の排紙用紙P2がステープル排紙ローラから排紙され、当該ステープル排紙ローラにニップから離れたときには、後端押さえレバー110の積載紙P1の保持状態は解除され、待機位置も退避しているので、排紙用紙P2の落下及び叩きコロ12の動作を阻害することがなく、搬送方向の整合を確実に取ることができる。
3)後端押さえレバー110は綴じ処理を行う際に用紙束PBを保持するために従前から備えられたもので、新たに用紙束PBを押さえる部材を設ける必要もなく、当該後端押さえレバー110の制御を変更若しくは追加するだけで、コストの増加を招くことなく積載用紙のズレを防止することが可能となる。また、これにより、綴じ精度の悪化、及び綴じ抜けが発生するおそれもない。
などの効果を奏する。
【0065】
なお、特許請求の範囲における用紙は符号Pに、積載手段は端面綴じ処理トレイFに、排紙手段はステープル排紙ローラ11に、積載紙は符号P1に、整合手段は後端基準フェンス51及び叩きコロ12に、綴じ手段は端面綴じステープラS1に、後続紙は排紙用紙P2に、押圧手段は後端押さえレバー110,110a,110b,110cに、用紙処理装置は用紙後処理装置PDに、後続紙が接触するZ折り部はZ折り部の膨らんだ部分P12に、制御手段はCPU_PD1に、画像形成システムは用紙後処理装置PD及び画像形成装置PRからなるシステムに、それぞれ対応する。
【0066】
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
11 ステープル排紙ローラ
12 叩きコロ
51 後端基準フェンス
110,110a,110b,110c 後端押さえレバー
F 端面綴じ処理トレイ
P 用紙
P1 積載紙
P12 Z折り部の膨らんだ部分
P2 後続紙(用紙)
PD 用紙後処理装置
PD1 CPU
PR 画像形成装置
S1 端面綴じステープラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開平11−130338号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を積載する積載手段と、
前記積載手段に対して前記用紙を排紙する排紙手段と、
前記排紙手段によって排紙され、前記積載手段上に積載された積載紙の搬送方向を整合する整合手段と、
前記積載手段上に積載され、前記整合手段によって整合された積載紙を綴じる綴じ手段と、
前記積載紙を前記綴じ手段によって綴じるとき及び前記積載紙に前記排紙手段から排紙される後続紙が接触するとき、前記積載紙を押さえる押圧手段と、
を備えた用紙処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の用紙処理装置であって、
前記押圧手段は、前記後続紙が前記排紙手段から排紙され、当該排紙手段から離れた後、前記整合手段によって整合される前に前記積載紙から離れた位置に位置していること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の用紙処理装置であって、
前記押圧手段は複数個主走査方向に配置され、用紙綴じ側から遠い位置の押圧手段が前記積載紙を押圧した後、用紙綴じ側に近い位置の押圧手段が前記積載紙を押圧すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記用紙がZ折り紙である場合に、前記後続紙は排紙時に前記積載紙のZ折り部に接触し、前記押圧手段はZ折りされていない部分を押さえること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記用紙の折り状態に基づいて前記押圧手段による前記積載紙の押圧の是非が選択されること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記用紙の紙種に基づいて前記押圧手段による前記積載紙の押圧の是非が選択されること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の用紙処理装置であって、
前記押圧手段の動作を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記用紙の折り状態あるいは紙種に基づいて前記押圧手段の押圧動作の是非を選択すること
を特徴とする用紙処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の用紙処理装置を備えていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
積載手段に排紙手段によって排紙される用紙を積載する積載工程と、
前記積載手段に積載された用紙の搬送方向を整合手段によって整合する整合工程と
前記積載手段上に積載され、前記整合工程で整合された積載紙を綴じ手段で綴じる綴じ工程と、
前記綴じ工程で綴じるとき及び前記積載工程で前記排紙手段から排紙される後続紙が積載手段上の積載紙に接触するとき、押圧手段で前記積載紙を押さえる押圧工程と、
を備えた用紙処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−114197(P2013−114197A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262424(P2011−262424)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】