用紙搬送機構、及びプリンタ
【課題】両面印刷が可能でありながら、小型化及びコスト削減を図ることができる熱転写プリンタを提供する。
【解決手段】ロール状に巻回した用紙Sを収容する給紙部2と用紙Sの表面Sa及び裏面Sbに対する熱転写プリント処理を行う共通のプリント部3との間に配設した正逆方向に回転可能なフィードローラ511と、供紙部2とフィードローラ511との間に配設され且つ用紙Sを所定寸法に切断する第1カッター部53と、プリント部3で表面Saに熱転写プリント処理され且つ第1カッター部53で所定寸法に切断された用紙Sを裏返すことが可能な裏返し経路54Sを有する用紙裏返し部54と、用紙裏返し部54で裏返され且つプリント部3で裏面Sbに熱転写プリント処理された用紙Sを排紙部4へガイドする排紙ガイド部55とを備えた用紙搬送機構5とした。
【解決手段】ロール状に巻回した用紙Sを収容する給紙部2と用紙Sの表面Sa及び裏面Sbに対する熱転写プリント処理を行う共通のプリント部3との間に配設した正逆方向に回転可能なフィードローラ511と、供紙部2とフィードローラ511との間に配設され且つ用紙Sを所定寸法に切断する第1カッター部53と、プリント部3で表面Saに熱転写プリント処理され且つ第1カッター部53で所定寸法に切断された用紙Sを裏返すことが可能な裏返し経路54Sを有する用紙裏返し部54と、用紙裏返し部54で裏返され且つプリント部3で裏面Sbに熱転写プリント処理された用紙Sを排紙部4へガイドする排紙ガイド部55とを備えた用紙搬送機構5とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送機構、及びプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、用紙の両面に印刷可能なプリンタが種々開発されている。プリント方式として熱転写方式を採用したプリンタは、インクジェット方式やレーザー方式等のプリント方式を採用したプリンタと比較して、印字濃度を細かく変化させることができ、他のプリント方式では困難な連続階調の表現が可能である。そして、このような熱転写プリント方式を採用して用紙の両面に印刷可能なプリンタとして、給紙部と排紙部との間に形成した搬送経路上に、表面プリント部と裏面プリント部とを搬送方向に沿って順に配置した態様が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−76713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の態様は、表面プリント専用のプリント部(表面プリント部)及び裏面プリント専用のプリント部が必須であるため、装置の大型化及び高価格化を招来するという問題がある。さらに、上述した従来の態様は、表面プリント部及び裏面プリント部に対してそれぞれ個別に消耗品等の交換作業やメンテナンス作業が要求されるという問題もある。
【0005】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、両面印刷が可能でありながら、小型化及びコスト削減を図ることができる用紙搬送機構及びプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る用紙搬送機構は、ロール状に巻回した用紙を収容し得る給紙部から供給される用紙を、当該用紙の表面及び裏面に対してプリント処理を行う共通のプリント部を経由して排紙部まで搬送可能なものであり、給紙部とプリント部との間に配設され且つ用紙をプリント部に向かって送り出す送り出し方向と、プリント部によるプリント処理可能なプリント方向とに搬送可能なフィードローラ部と、給紙部とフィードローラ部との間に配設され且つ用紙を所定寸法に切断する第1カッター部と、プリント部によって表面又は裏面の一方にプリント処理され且つ第1カッター部によって所定寸法に切断された用紙を裏返すことが可能な裏返し経路を有し裏返した用紙をプリント部へ搬送可能な用紙裏返し部と、用紙裏返し部によって裏返され且つプリント部によって他方の面にプリント処理された用紙を排紙部へガイドする排紙ガイド部とを備えたものであることを特徴としている。
【0007】
このようなものであれば、ロール状の用紙を第1カッター部によって所定寸法に切断し、用紙裏返し部における裏返し経路を通過させることによって用紙を反転させることができ、用紙を反転させる前の段階でプリント部によって用紙の表面又は裏面の何れか一方(例えば表面)にプリント処理を行い、用紙を反転させた後でその同じプリント部によって用紙の他方の面(例えば裏面)にプリント処理を行うことができる。さらに、本発明に係る用紙搬送機構であれば、両面にプリント処理された用紙を排紙ガイド部によって排紙部にガイドすることができ、排紙処理もスムーズ且つ適切に行うことができる。
【0008】
このような用紙搬送機構であれば、用紙を給紙部と排紙部との間で搬送する過程でほぼ共通の用紙搬送経路を利用して共通のプリント部によって用紙の表面及び裏面にそれぞれプリント処理を行うことが可能となり、従来の態様、つまり表面プリント用のプリント部と裏面プリント用のプリント部とがそれぞれ個別に必要である態様と比較して、機構全体の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0009】
特に、本発明に係る用紙搬送機構において、用紙先端ないし用紙先端近傍を保持した状態で用紙を弛ませて待機させる用紙待機部を有する用紙裏返し部を適用した場合には、複数のプリント画面を設定した長尺の用紙であっても、用紙待機部において弛ませた状態で待機させることにより、用紙裏返し部内に搬送する用紙と用紙裏返し部外へ搬送する用紙とが搬送経路上で交錯することを回避することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る用紙搬送機構における排紙ガイド部が、給紙部から供給される用紙をフィードローラ部側に向かって搬送可能な給紙ガイド位置と、プリント部によってまた印刷されていない側の面にプリント処理を行った用紙を排紙部に向かって搬送可能な排紙ガイド位置との間で切換可能なものであれば、排紙ガイド部を給紙ガイド位置と排紙ガイド位置との間で切り替えることによって、用紙の搬送経路を、給紙部と排紙ガイド部との間の搬送経路である供給経路、又は排紙ガイド部と排紙部との間の搬送経路である排紙経路の何れかに選択することができ、この排紙ガイド部を供給経路と排紙経路との分岐点として機能させることができる。
【0011】
加えて、本発明に係る用紙搬送機構は、排紙ガイド部と排紙部との間に、複数のプリント画面を設定している用紙に対して少なくとも各プリント画面の境界ごとに切断する第2カッター部を設けることができる。これにより、複数のプリント画面に対して両面プリント処理を行った場合であっても排紙する前の時点で第2カッター部によって画面プリント毎に適切に切断することができる。
【0012】
また、本発明のプリンタは、ロール状に巻回した用紙を収容し得る給紙部と、用紙の表面及び裏面に対してプリント処理を行う共通のプリント部と、両面にプリント処理した用紙を排出する排紙部と、プリント部を経由して給紙部と排紙部との間で用紙を搬送する上述した構成をなす用紙搬送機構とを備えたものであることを特徴としている。
【0013】
このようなプリンタであれば、上述した用紙搬送機構によって得られる種々の効果を発揮し、プリンタ全体の小型化及び低コスト化を図ることができるとともに、共通のプリント部に対して消耗品等の交換作業やメンテナンス作業を行えばよく、表面プリント用のプリント部と裏面プリント用のプリント部とをそれぞれ個別に備えた態様と比較して、取り扱い性に優れたものになる。なお、本発明は、熱転写プリント方式のプリンタ(熱転写プリンタ)、インクジェットプリント方式のプリンタ(インクジェットプリンタ)、あるいはレーザー方式を採用したプリンタ(レーザープリンタ)等、種々のプリンタを包含するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表面及び裏面のプリント時の略共通する用紙搬送経路を利用して単一のプリント部による両面印刷が可能であり、小型化及びコスト削減を図ることができる用紙搬送機構、及びプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一本実施形態に係るプリンタ(熱転写プリンタ)の内部構成を示す概略図。
【図2】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程の模式図。
【図3】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図4】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図5】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図6】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図7】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図8】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図9】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図10】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図11】同実施形態における用紙裏返し部の一変形例を示す模式図。
【図12】同変形例における用紙裏返し部の一作業工程図。
【図13】同変形例における用紙裏返し部の一作業工程図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係るプリンタ1は、図1に内部機構の概略構成を示すように、共通のプリント部3によって用紙Sの表面Sa及び裏面Sbに対して昇華プリント処理を行うことが可能な熱転写プリンタである。この熱転写プリンタ1は、図1に示すように、給紙部2と、給紙部2から供給された用紙Sに対して昇華プリント処理を施すプリント部3と、排紙部4と、プリント部3を経由して給紙部2と排紙部4との間で用紙Sを搬送する用紙搬送機構5とを備えたものである。なお、この熱転写プリンタ1は、図示しない共通の筐体内に、給紙部2、プリント部3、及び用紙搬送機構5を設けている。また、本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、用紙搬送機構5により用紙Sを給紙部2から排紙部4に向けて搬送する過程で、先ずプリント部3によって用紙Sの表面Saに昇華プリント処理を施し、その後、共通のプリント部3によって用紙Sの裏面Sbに昇華プリント処理を施すものである。
【0018】
給紙部2は、ロール軸21回りに用紙Sをロール状に巻回した状態で収容し得るものである。
【0019】
プリント部3は、サーマルヘッド31と、このサーマルヘッド31と対向する位置に配置されたプラテンローラ32と、インクリボン33と、インクリボン33をサーマルヘッド31とプラテンローラ32との間に搬送するインクリボン搬送機構34と、サーマルヘッド31の作動等を制御するプリント制御部(図示省略)とを備えたものである。
【0020】
サーマルヘッド31は、発熱素子(図示省略)を発熱させて用紙Sに印刷を行う周知のものである。本実施形態では、このサーマルヘッド31を、ヘッド駆動モータ(図示省略)により、プラテンローラ32との間で用紙Sを挟み得る位置と挟み得ない位置との間で移動可能に設定している。
【0021】
プラテンローラ32は、サーマルヘッド31との間で用紙Sを挟み得るものであり、回転しながら用紙Sを順次搬送する機能を有する。したがって、このプラテンローラ32は用紙搬送機構5の機能の一部を担っている。プラテンローラ32は、後述するフィードローラ511に同期して正逆方向に回転可能である。
【0022】
インクリボン33は、長尺なベースフィルムに例えばイエロー・マゼンタ・シアンの各色のインクを塗布したものである。ベースフィルムに塗布されるイエロー・マゼンタ・シアンの各色のインクは、熱によって昇華する染料を用いて形成されたものである。
【0023】
インクリボン搬送機構34は、未使用のインクリボン33(ベースフィルムにインクが塗布されたもの)を巻回している供給側リボンコア341と、使用済みのインクリボン33(ベースフィルムからインクの一部又は全部が剥離されたもの)を巻き取る巻取側リボンコア342と、供給側リボンコア341から巻き出したインクリボン33をサーマルヘッド31側に案内する供給側リボンガイド343と、サーマルヘッド31を通過した後に用紙Sから剥離したインクリボン33を巻取側リボンコア342側に案内する巻取側リボンガイド344とを備えたものである。そして、供給側リボンコア341に巻回したインクリボン33は、供給側リボンガイド343及び巻取側リボンガイド344により、サーマルヘッド31側に巻き出されて昇華プリント処理に供された後、巻取側リボンコア342に順次巻き取られる。本実施形態では、インクリボン33とインクリボン搬送機構34との組をユニット化し、サーマルヘッド31やプラテンローラ32に対して着脱可能に構成している。
【0024】
このような各部から構成されるプリント部3は、サーマルヘッド31の熱によりイエロー・マゼンタ・シアンの各色インクを昇華させることで用紙Sの表面Saや裏面Sbにカラー画像を印刷する(形成する)機能を発揮する。そして、このプリント部3は、サーマルヘッド31の温度を調整することにより印刷濃度のレベルを変化させた階調印刷を行うことができ、用紙Sの表面Sa及び裏面Sbに高品質なカラー画像を印刷することが可能である。
【0025】
排紙部4は、図示しない排紙口と、排紙口から排出される用紙を受け取る排紙トレー41とを備えたものである。
【0026】
用紙搬送機構5は、給紙部2にロール状に収容された用紙Sを、給紙部2と排紙部4との間に形成される搬送経路に沿って搬送するものである。用紙搬送機構5は、図1に示すように、プリント部3よりも給紙部2側に配置され且つ用紙Sをプリント部3に向かって送り出す送り出し方向A及びプリント部3により用紙Sに対してプリント処理可能なプリント方向Bに搬送可能なフィードローラ部51と、フィードローラ部51よりも給紙部2側に配置した給紙ローラ部52と、給紙ローラ部52とフィードローラ部51との間に配置され且つ用紙Sを所定寸法に切断する第1カッター部53と、プリント部3によって一方の面(本実施形態では表面Sa)にプリント処理を行った用紙Sを裏返してプリント部3へ搬送可能な用紙裏返し部54と、用紙裏返し部54によって裏返され且つプリント部3によって他方の面(本実施形態では裏面Sb)にプリント処理を行った用紙Sを排紙部4へガイドする排紙ガイド部55と、排紙ガイド部55と排紙部4との間に配置した排紙ローラ部56と、排紙ガイド部55と前記排紙部4との間に配置され且つ複数のプリント画面を設定している用紙Sに対して少なくとも各プリント画面の境界ごとに切断する第2カッター部57とを備えたものである。本実施形態における熱転写プリンタ1は、給紙部2及び排紙部4をプリント部3に対して同じ側(例えばプリンタ1のフロント側)に配置するとともに、用紙裏返し部54を折り返し点として用紙Sの一方の面にプリント処理を行う際の搬送経路である第1プリント経路と他方の面にプリント処理を行う際の搬送経路である第2プリント経路とをほぼ共通としている。なお、上述した「送り出し方向A」は排紙ガイド部55から用紙裏返し部54に向かう方向と一致し、「プリント方向B」は用紙裏返し部54から排紙ガイド部55に向かう方向と一致する。
【0027】
フィードローラ部51は、用紙Sを送り出し方向Aに搬送可能な第1搬送方向a及び用紙Sをプリント方向Bに搬送可能な第2搬送方向bに正逆回転可能なフィードローラ511と、フィードローラ511に直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態においてフィードローラ511の回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ512とを備えたものである。
【0028】
給紙ローラ部52は、用紙Sを送り出し方向Aに搬送可能な第1搬送方向c及び用紙Sをプリント方向Bに搬送可能な第2搬送方向dに正逆回転可能な給紙ローラ521と、給紙ローラ521に直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において給紙ローラ521の回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ522とを備えたものである。
【0029】
第1カッター部53は、用紙Sを挟み得るように対向配置された一対のカッター本体を用いて構成したものである。
【0030】
用紙裏返し部54は、用紙Sを裏返す経路である裏返し経路54Sを形成する裏返し経路形成部541と、裏返し経路54Sの始端ないし始端近傍に配置した始端側送りローラ部542と、裏返し経路54Sの終端ないし終端近傍に配置した終端側送りローラ部543と、始端側送りローラ部542及び終端側送りローラ部543よりもプリント部3側に配置し裏返し経路54Sに対する用紙Sの搬出入を行う搬出入用送りローラ部544と、終端側送りローラ部543の近傍に配置した用紙先端検知部545とを備えている。
【0031】
裏返し経路形成部541は、所定のギャップを隔てて対面し且つ当該ギャップを用紙Sの裏返し経路54Sとして機能させ得るガイドローラ541a及びガイドレール541bを有する。ガイドローラ541aは外縁形状が円形ないし略円形をなし、回転不能なものである。一方、ガイドレール541bは、部分円弧状をなし、ガイドローラ541aに対して同心円上に配置され当該ガイドローラ541aとの間に部分円弧状の裏返し経路54Sを形成する対ガイドローラ近接位置(Q)と、ガイドローラ541aから退避させ当該ガイドローラ541aとの間に用紙Sを弛ませることが可能な裏返し経路54Sを形成する対ガイドローラ退避位置(R)との間で移動可能(切換可能)なものである。本実施形態では、ガイドレール541bの一端部(裏返し経路54S終端側の端部)を支点として、このガイドレール541bが対ガイドローラ近接位置(Q)と対ガイドローラ退避位置(R)との間で回転移動するように構成している。なお、対ガイドローラ近接位置(Q)と対ガイドローラ退避位置(R)との切換は図示しないガイドレール駆動モータによって行うことができる。
【0032】
始端側送りローラ部542は、用紙Sを裏返し経路54Sの始端側から裏返し経路54S内に搬送可能な第1搬送方向e、及び用紙Sを裏返し経路54Sの始端側からプリント部3に向かって搬送可能な第2搬送方向fに正逆回転可能な始端側送りローラ542aと、始端側送りローラ542aに直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において始端側送りローラ542aの回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ542bとを備えたものである。
【0033】
終端側送りローラ部543は、用紙Sを裏返し経路54Sの終端側からプリント部3に向かって搬送可能な第1搬送方向g、及び用紙Sを裏返し経路54Sの終端側から裏返し経路54S内に搬送可能な第2搬送方向hに正逆回転可能な終端側送りローラ543aと、終端側送りローラ543aに直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において終端側送りローラ543aの回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ543bとを備えたものである。
【0034】
搬出入用送りローラ部544は、用紙Sを裏返し経路54Sに向けて搬送可能(搬入可能)な第1搬送方向i、及び用紙Sをプリント部3に向けて搬送可能(搬出可能)な第2搬送方向jに正逆回転可能な搬出入用送りローラ544aと、搬出入用送りローラ544aに直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において搬出入用送りローラ544aの回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ544bとを備えたものである。
【0035】
なお、始端側送りローラ542aの第1搬送方向e、終端側送りローラ543aの第2搬送方向g、及び搬出入用送りローラ544aの第2搬送方向jは全て同一方向であり、これらの回転方向は、フィードローラ511の第2搬送方向bとも同一方向である。また、始端側送りローラ542aの第2搬送方向f、終端側送りローラ543aの第2搬送方向h、及び搬出入用送りローラ544aの第1搬送方向iは全て同一方向であり、これらの回転方向は、フィードローラ511の第1搬送方向aとも同一方向である。
【0036】
用紙先端検知部545は、例えば検知センサによって構成されるものであり、本実施形態では終端側送りローラ部543よりも僅かにプリント部3側に寄せて配設している。
【0037】
用紙Sを排紙部4へガイドする排紙ガイド部55は、フィードローラ部51と給紙ローラ部52との間に配設されたものである。本実施形態では、排紙ガイド部55として、用紙Sに接し得る排紙ガイド面551を有し、当該排紙ガイド面551を給紙ローラ521とフィードローラ511とを結ぶ直線上に一致ないし略一致させた給紙ガイド位置(S)と、排紙ガイド面551を給紙ローラ521とフィードローラ511とを結ぶ直線上から退避させた排紙ガイド位置(T)との間で回動可能な概略レバー状のものを適用している。なお、給紙ガイド位置(S)と排紙ガイド位置(T)との切換は図示しないガイド部駆動モータによって行うことができる。
【0038】
排紙ローラ部56は、排紙ローラ561と、排紙ローラ561に直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において排紙ローラ561の回転に従動して回転するピンチローラ562とを備えたものである。
【0039】
第2カッター部57は、用紙Sを挟み得るように対向配置された一対のカッター本体を用いて構成したものである。
【0040】
次に、本実施形態に係る熱転写プリンタ1の動作及び作用、特に用紙搬送機構5の動作及び作用について、図2〜図10を参照しながら説明する。
【0041】
先ず、用紙搬送機構5は、フィードローラ511及び給紙ローラを第1搬送方向(第1搬送方向a、第1搬送方向c)に回転させて、給紙部2においてロール状に巻回している用紙Sを給紙ローラ521とピンチローラ522との間を通過させて順次フィードローラ部51及びプリント部3まで搬送する。この際、排紙ガイド部55は、給紙ガイド位置(S)に設定されている。なお、本実施形態に係るプリンタ1は、プリント部3による昇華プリント処理を行わずに用紙Sを搬送経路に沿って送り出し方向A及びプリント方向Bに搬送する場合には、プリント部3のサーマルヘッド31をプラテンローラ32との間で用紙Sを挟み得ない位置に待機させて、用紙Sのスムーズな搬送を実現しているが、図2〜図10ではサーマルヘッド31をプラテンローラ32との間で用紙Sを挟み得る位置に移動させた状態を示している。
【0042】
そして、本実施形態に係る用紙搬送機構5は、第1搬送方向aに回転駆動するフィードローラ511及びフィードローラ511と同一方向へ回転するプラテンローラ32によって、プリント処理を行う画面数(図示例ではプリント画面PA、プリント画面PB、プリント画面PCの3画面)に応じた長さと、用紙Sの先端St側に形成される裏面プリント用掴み代Scに応じた長さとを足した分だけ用紙Sをプリント部3よりも下流側(用紙裏返し部54側)に搬送し、用紙Sの先端St側領域を用紙裏返し部54で一旦待機させる(図2、図3参照)。具体的には、ガイドレール541bを対ガイドローラ近接位置(Q)に設定しておき、搬出入用送りローラ544a、始端側送りローラ542a及び終端側送りローラ543aをそれぞれ第1搬送方向(第1搬送方向i、第1搬送方向e、第1搬送方向g)に回転させて、ガイドレール541bとガイドローラ541aとの間に形成される部分円弧状の裏返し経路54Sに用紙Sを順次搬送する(図2参照)。そして、本実施形態に係る用紙搬送機構5は、用紙Sの先端Stが終端側送りローラ543aを通過して用紙先端検知部545に到達し、この用紙先端検知部545によって用紙Sの先端Stを検知した時点で、ガイドレール541bを対ガイドローラ近接位置(Q)から対ガイドローラ退避位置(R)へ移動させて、裏返し経路54Sを下方に開放させるとともに、終端側送りローラ543aの回転を停止させ、用紙先端St又は用紙先端St近傍を終端側送りローラ543aとピンチローラ543bとの間に挟んで保持した状態で、搬出入用送りローラ544a及び始端側送りローラ542aは引き続きそれぞれ第1搬送方向(第1搬送方向i、第1搬送方向e)に回転させることによって、それ以降も用紙裏返し部54へ送り出される用紙Sを弛ませる(図3参照)。すなわち、本実施形態における用紙裏返し部54は、用紙先端St又は用紙先端St近傍を保持した状態で用紙Sを弛ませて待機させる用紙待機部としての機能を有するものである。ここで、用紙先端St近傍領域に確保される裏面プリント用掴み代Scの寸法(掴み寸法)は、フィードローラ511とプラテンローラ32との中心間距離に相当する。また、用紙Sにおける複数のプリント画面のうち用紙Sの終端側(反先端側)のプリント画面(図示例ではプリント画面PA)に連続する所定領域が表面プリント用掴み代Sdとして機能する。表面プリント用掴み代Sdの寸法(掴み寸法)は、裏面プリント用掴み代Scと同じであり、フィードローラ511とプラテンローラ32との中心間距離に相当する(図3参照)。なお、図3、図7、図8には、用紙搬送機構5と用紙Sとの相対位置関係を示すべく、紙面下方領域に、サーマルヘッド31側から見た用紙Sを模式的に示している。
【0043】
引き続き、本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、表面プリント用掴み代Sdの両端ないし両端近傍をそれぞれフィードローラ511とピンチローラ512との間、プラテンローラ32とサーマルヘッド31との間に挟ませた時点(図3参照)で、フィードローラ511を第2搬送方向bに回転させるとともに、プラテンローラ32もフィードローラ511と同一方向に回転させ、さらに、用紙裏返し部54の各ローラ(搬出入用送りローラ544a、始端側送りローラ542a、終端側送りローラ543a)もそれぞれ第2搬送方向(第2搬送方向j、第2搬送方向f、第2搬送方向h)に回転させる。これにより、用紙搬送機構5は用紙Sをプリント方向Bに搬送することができる(図4参照)。この際、用紙裏返し部54で弛ませた状態で待機させていた用紙Sも裏返し経路54Sの始端側から搬出入用送りローラ部544を経てプリント方向Bに搬送される。したがって、裏返し経路54Sの始端側からプリント部3に向かって搬送される用紙Sは表面Saをサーマルヘッド31に対面させた状態であり、プリンタ1は、用紙Sの表面Saにおける各プリント画面(図示例では、プリント画面PA、プリント画面PB、プリント画面PC)にプリント部3によって昇華プリント処理を行う。本実施形態に係るプリンタ1は、用紙Sの表面Saに対するプリント処理を全プリント画面のうち用紙終端側(反先端側)のプリント画面(図示例ではプリント画面PA)から順次行う。なお、このプリンタ1は、プリント部3によって用紙Sの表面Saにプリント処理を行う際、給紙ローラ521及び給紙部2のロール軸21をフィードローラ511と同期させて同一方向へ回転させることによりプリント処理を行った用紙Sを給紙部2側に搬送し、用紙Sが長尺な場合はプリント処理を施した用紙Sにおける反先端側の領域をロール軸21に巻き取るように構成している。
【0044】
用紙Sの表面Saにおける全プリント画面にプリント処理を行った後、用紙搬送機構5は、フィードローラ511を第1搬送方向aへ回転させるとともに、プラテンローラ32もフィードローラ511と同一方向に回転させ、さらに、用紙裏返し部54の各ローラ(搬出入用送りローラ544a、始端側送りローラ542a、終端側送りローラ543a)もそれぞれ第1搬送方向(第1搬送方向i、第1搬送方向e、第1搬送方向g)に回転させる。これにより、用紙搬送機構5は用紙Sを送り出し方向Aに搬送することができる。そして、用紙搬送機構5により用紙Sを用紙裏返し部54へ搬送し、上述した手順によって、用紙裏返し部54で待機させる。この際、用紙Sのうち裏面Sbがガイドローラ541aの外周面に対面(接触)し、プリント処理を施した表面Saがガイドローラ541aの外周面に直接接触し得ないように構成している。これにより、プリント処理を施した表面Saがガイドローラ541aの外周面に直接接触した場合に生じ得る不具合、すなわち用紙Sの表面Saに転写された直後のインクが滲む等の不具合を回避することができる。次いで、用紙Sのうち表面Saへのプリント処理が施されたプリント画面のうち用紙終端側のプリント画面(図示例ではプリント画面PA)と表面プリント用掴み代Sdとの境界線が第1カッター部53に到達した時点でこの第1カッター部53により当該プリント画面PAと表面プリント用掴み代Sdとの境界線で用紙Sを切断する。
【0045】
本実施形態に係るプリンタ1は、切断した用紙Sのうち、表面プリント用掴み代Sdを先端とするプリント未処理領域を給紙部2に巻き戻す(具体的には、給紙ローラ521を第2搬送方向dに回転させるとともに、給紙部2のローラ軸21も給紙ローラ521と同一方向へ回転させて表面プリント用掴み代Sdの先端が排紙ガイド部55を通過し終えるまで巻き戻す)一方で、裏面プリント用掴み代Scを先端とする用紙Sを送り出し方向Aへ搬送し、用紙搬送機構5により用紙Sを用紙裏返し部54へ搬送し、上述した手順によって、用紙裏返し部54で弛ませた状態で待機させる(図5参照)。なお、上述した通り、用紙裏返し部54で用紙Sを弛ませた状態で待機させる場合、用紙裏返し部54における終端側送りローラ543aはピンチローラ543bとの間に用紙先端Stを掴んだ状態で回転せずに停止している。そして、本実施形態に係るプリンタ1は、用紙終端が搬出入用送りローラ544aを通過した時点(図6参照)で終端側送りローラ543aを第1搬送方向gに回転させるとともに、搬出入用送りローラ544a及びフィードローラ511を第2搬送方向(第2搬送方向j、第2搬送方向b)に回転させることにより、用紙Sを裏返し経路54Sの終端からプリント部3に向けて、つまりプリント方向Bに搬送する。裏返し経路54Sを通過してプリント方向Bに搬送される用紙Sは、裏返し経路54Sを通過する前と比較して表裏を反転させた状態となる(図7参照)。
【0046】
そして、本実施形態に係るプリンタ1は、用紙Sのうち先端St側に確保した裏面プリント用掴み代Scをフィードローラ511とピンチローラ512との間に到達した時点(図7参照)でサーマルヘッド31をプラテンローラ32との間で用紙Sを挟み得る位置に移動させて、用紙Sの裏面Sbにおける各プリント画面(図示例では、プリント画面PAの裏面であるプリント画面PA’、プリント画面PBの裏面であるプリント画面PB’、プリント画面PCの裏面であるプリント画面PC’)にプリント部3によって昇華プリント処理を行う。この際、用紙Sの裏面Sbに対するプリント処理を全プリント画面のうち用紙先端St側のプリント画面(図示例ではプリント画面PC’)から順次行う。また、用紙Sの裏面Sbにプリント処理を行う時点よりも前の時点で、排紙ガイド部55を給紙ガイド位置(S)から排紙ガイド位置(T)へ切り替えておく(図7参照)。これにより、裏面Sbにプリント処理が施された用紙Sは、排紙ガイド部55にガイドされて排紙部4に向かって搬送され(図8参照)、排紙ローラ561とピンチローラ562との間を通過して排紙トレー41に排出される(図9参照)。そして、本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、排紙ローラ561と排紙トレー41との間に設けた第2カッター部57によって、裏面プリント用掴み代Scとプリント画面との境界、及びプリント画面同士の境界を切断し、所定サイズのカット紙として排紙トレー41に排出する(図10参照)。
【0047】
また、次回のプリント処理時には、前回のプリント処理時に表面プリント用掴み代Sdとして機能した領域が、裏面プリント用掴み代Scとして機能する。
【0048】
このように、本実施形態に係る用紙搬送機構5は、給紙部2とフィードローラ部51との間に設けた第1カッター部53によって所定寸法に切断した用紙Sを、用紙裏返し部54における裏返し経路54Sを通過させることによって反転させることができ、用紙Sを反転させる前の段階でプリント部3によって用紙Sの表面Saにプリント処理を行い、用紙Sを反転させた後で同じプリント部3によって用紙Sの裏面Sbにプリント処理を行うことができる。したがって、このような用紙搬送機構5を適用することにより、用紙Sを給紙部2と排紙部4との間で搬送する過程で共通のプリント部3を用いて用紙Sの表面Sa及び裏面Sbにそれぞれ熱転写プリント処理を行うことが可能となり、従来の態様、つまり表面プリント用のプリント部と裏面プリント用のプリント部とがそれぞれ個別に必要である態様と比較して、用紙搬送機構5全体、ひいてはプリンタ1全体の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、用紙Sの搬送経路も表面プリント時と裏面プリント時とでほぼ共用されるため、この点でも用紙搬送機構5、プリンタ1の小型化に寄与していることとなる。さらに、本実施形態に係る用紙搬送機構5は、用紙裏返し部54によって裏返され且つプリント部3によって裏面Sbにプリント処理された用紙Sを排紙ガイド部55によって排紙部4にガイドすることができ、排紙処理もスムーズ且つ適切に行うことができる。
【0049】
また、用紙搬送機構5における用紙裏返し部54が、用紙先端St又は用紙先端St近傍を保持した状態で用紙Sを弛ませて待機させる用紙待機機能を発揮するものであるため、複数のプリント画面を設定した長尺の用紙Sであっても、用紙裏返し部54において弛ませた状態で待機させることにより、用紙裏返し部54内に搬送する用紙Sと用紙裏返し部54外へ搬送する用紙Sとが搬送経路上で交錯することを回避することができる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、用紙Sの表面Saにおける全プリント画面にプリント処理を行った後、用紙搬送機構5により用紙Sを用紙裏返し部54へ搬送して用紙裏返し部54で待機させる際に、用紙Sのうち裏面Sbがガイドローラ541aの外周面に対面(接触)し、プリント処理を施した表面Saがガイドローラ541aの外周面に直接接触し得ないように構成した態様を例示したが、インクの滲み等の不具合を考慮する必要がない場合(速乾性ないし超速乾性のインクを適用している場合等)には、用紙の表面における全プリント画面にプリント処理を行った後、用紙搬送機構により用紙を用紙裏返し部へ搬送して用紙裏返し部で待機させる際に、用紙のうち表面がガイドローラの外周面に対面(接触)するように構成した態様を採用することもできる。
【0051】
また、用紙裏返し部として、図11〜図13に示すように、一対のボビン(第1ボビンX541、第2ボビンX542)と、これらボビンX541、X542よりもプリント部3側に配置しこれら一対のボビンボビンX541、X542を利用して形成される裏返し経路X54Sに対する用紙Sの搬出入を行う搬出入用送りローラ部X543とを備えてなる用紙裏返し部X54を適用してもよい。一対のボビン(第1ボビンX541、第2ボビンX542)はそれぞれ独立して正逆方向に回転可能なものである。以下の説明では、図11における時計回りを正方向と称し、反時計回りを逆方向と称する。このような用紙裏返し部X54を用いた用紙搬送機構、及びプリンタの動作および作用を説明する。なお、用紙裏返し部X54に関連しない動作については上述した実施形態に準じるものであるため説明は省略する。用紙Sのうち先にプリント処理を施す一方の面(例えば表面Sa)に対してプリント処理を行う前にプリント部よりも用紙裏返し部X54に送り出した用紙Sを、正方向に回転させた第1ボビンX541によって巻き取る。そして、第1ボビンX541を逆方向に回転させることにより、第1ボビンX541に巻回した状態で待機させていた用紙Sをプリント部3側に向かって搬出入用送りローラ部X543(ローラ本体X543aとピンチローラX543bとの間)から順次搬送し、プリント部により用紙Sの表面Saにプリント処理を行う。次いで、表面Saにプリント処理を施した用紙Sを、正方向に回転させた第1ボビンX541によって再度巻き取った後、第1ボビンX541を逆方向に回転させるとともに第2ボビンX542も同一方向(逆方向)に回転させて、この第2ボビンX542に用紙Sを巻き取り直す。引き続いて、第2ボビンX542を正方向に回転させて、この第2ボビンX532に巻回した用紙Sを搬出入用送りローラ部X543(ローラ本体X543aとピンチローラX543bとの間)からプリント部側に順次送り出す。すると、表裏を反転させた用紙Sが順次プリント部側に搬送され、まだプリント処理が施されていない面(図示例では裏面Sb)に対してプリント部によりプリント処理を行うことができる。なお、図11〜図13は模式図であり、各ボビンX541、X542に用紙Sを弛ませた状態で巻回した状態となっているが、各ボビンX541、X542に用紙Sを弛みのない状態で巻回しても勿論構わない。
【0052】
また、用紙裏返し部として、表面と裏面との関係が逆になるように用紙を搬送しながら180度ないし略180度回転させる(捻る)スパイラル状の裏返し経路を有するものを採用することもできる。
【0053】
また、前述した実施形態では、昇華式の熱転写プリンタに用紙搬送機構を適用した態様を例示したが、溶融式など他の熱転写プリンタに上述した構造及び作用効果を奏する用紙搬送機構5を適用しても構わない。また、熱転写プリント方式以外のプリント方式、例えばインクジェットプリント方式やレーザー方式を採用したプリンタに本発明に係る用紙搬送機構を適用してもよい。
【0054】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…プリンタ(熱転写プリンタ)
2…給紙部
3…プリント部
4…排紙部
5…用紙搬送機構
51…フィードローラ部
53…第1カッター部
54、X54…用紙裏返し部
54S…裏返し経路
55…排紙ガイド部
57…第2カッター部
S…用紙
Sa…表面
Sb…裏面
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送機構、及びプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時、用紙の両面に印刷可能なプリンタが種々開発されている。プリント方式として熱転写方式を採用したプリンタは、インクジェット方式やレーザー方式等のプリント方式を採用したプリンタと比較して、印字濃度を細かく変化させることができ、他のプリント方式では困難な連続階調の表現が可能である。そして、このような熱転写プリント方式を採用して用紙の両面に印刷可能なプリンタとして、給紙部と排紙部との間に形成した搬送経路上に、表面プリント部と裏面プリント部とを搬送方向に沿って順に配置した態様が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−76713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の態様は、表面プリント専用のプリント部(表面プリント部)及び裏面プリント専用のプリント部が必須であるため、装置の大型化及び高価格化を招来するという問題がある。さらに、上述した従来の態様は、表面プリント部及び裏面プリント部に対してそれぞれ個別に消耗品等の交換作業やメンテナンス作業が要求されるという問題もある。
【0005】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、両面印刷が可能でありながら、小型化及びコスト削減を図ることができる用紙搬送機構及びプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る用紙搬送機構は、ロール状に巻回した用紙を収容し得る給紙部から供給される用紙を、当該用紙の表面及び裏面に対してプリント処理を行う共通のプリント部を経由して排紙部まで搬送可能なものであり、給紙部とプリント部との間に配設され且つ用紙をプリント部に向かって送り出す送り出し方向と、プリント部によるプリント処理可能なプリント方向とに搬送可能なフィードローラ部と、給紙部とフィードローラ部との間に配設され且つ用紙を所定寸法に切断する第1カッター部と、プリント部によって表面又は裏面の一方にプリント処理され且つ第1カッター部によって所定寸法に切断された用紙を裏返すことが可能な裏返し経路を有し裏返した用紙をプリント部へ搬送可能な用紙裏返し部と、用紙裏返し部によって裏返され且つプリント部によって他方の面にプリント処理された用紙を排紙部へガイドする排紙ガイド部とを備えたものであることを特徴としている。
【0007】
このようなものであれば、ロール状の用紙を第1カッター部によって所定寸法に切断し、用紙裏返し部における裏返し経路を通過させることによって用紙を反転させることができ、用紙を反転させる前の段階でプリント部によって用紙の表面又は裏面の何れか一方(例えば表面)にプリント処理を行い、用紙を反転させた後でその同じプリント部によって用紙の他方の面(例えば裏面)にプリント処理を行うことができる。さらに、本発明に係る用紙搬送機構であれば、両面にプリント処理された用紙を排紙ガイド部によって排紙部にガイドすることができ、排紙処理もスムーズ且つ適切に行うことができる。
【0008】
このような用紙搬送機構であれば、用紙を給紙部と排紙部との間で搬送する過程でほぼ共通の用紙搬送経路を利用して共通のプリント部によって用紙の表面及び裏面にそれぞれプリント処理を行うことが可能となり、従来の態様、つまり表面プリント用のプリント部と裏面プリント用のプリント部とがそれぞれ個別に必要である態様と比較して、機構全体の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0009】
特に、本発明に係る用紙搬送機構において、用紙先端ないし用紙先端近傍を保持した状態で用紙を弛ませて待機させる用紙待機部を有する用紙裏返し部を適用した場合には、複数のプリント画面を設定した長尺の用紙であっても、用紙待機部において弛ませた状態で待機させることにより、用紙裏返し部内に搬送する用紙と用紙裏返し部外へ搬送する用紙とが搬送経路上で交錯することを回避することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る用紙搬送機構における排紙ガイド部が、給紙部から供給される用紙をフィードローラ部側に向かって搬送可能な給紙ガイド位置と、プリント部によってまた印刷されていない側の面にプリント処理を行った用紙を排紙部に向かって搬送可能な排紙ガイド位置との間で切換可能なものであれば、排紙ガイド部を給紙ガイド位置と排紙ガイド位置との間で切り替えることによって、用紙の搬送経路を、給紙部と排紙ガイド部との間の搬送経路である供給経路、又は排紙ガイド部と排紙部との間の搬送経路である排紙経路の何れかに選択することができ、この排紙ガイド部を供給経路と排紙経路との分岐点として機能させることができる。
【0011】
加えて、本発明に係る用紙搬送機構は、排紙ガイド部と排紙部との間に、複数のプリント画面を設定している用紙に対して少なくとも各プリント画面の境界ごとに切断する第2カッター部を設けることができる。これにより、複数のプリント画面に対して両面プリント処理を行った場合であっても排紙する前の時点で第2カッター部によって画面プリント毎に適切に切断することができる。
【0012】
また、本発明のプリンタは、ロール状に巻回した用紙を収容し得る給紙部と、用紙の表面及び裏面に対してプリント処理を行う共通のプリント部と、両面にプリント処理した用紙を排出する排紙部と、プリント部を経由して給紙部と排紙部との間で用紙を搬送する上述した構成をなす用紙搬送機構とを備えたものであることを特徴としている。
【0013】
このようなプリンタであれば、上述した用紙搬送機構によって得られる種々の効果を発揮し、プリンタ全体の小型化及び低コスト化を図ることができるとともに、共通のプリント部に対して消耗品等の交換作業やメンテナンス作業を行えばよく、表面プリント用のプリント部と裏面プリント用のプリント部とをそれぞれ個別に備えた態様と比較して、取り扱い性に優れたものになる。なお、本発明は、熱転写プリント方式のプリンタ(熱転写プリンタ)、インクジェットプリント方式のプリンタ(インクジェットプリンタ)、あるいはレーザー方式を採用したプリンタ(レーザープリンタ)等、種々のプリンタを包含するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表面及び裏面のプリント時の略共通する用紙搬送経路を利用して単一のプリント部による両面印刷が可能であり、小型化及びコスト削減を図ることができる用紙搬送機構、及びプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一本実施形態に係るプリンタ(熱転写プリンタ)の内部構成を示す概略図。
【図2】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程の模式図。
【図3】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図4】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図5】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図6】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図7】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図8】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図9】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図10】同実施形態に係る熱転写プリンタの一作業工程模式図。
【図11】同実施形態における用紙裏返し部の一変形例を示す模式図。
【図12】同変形例における用紙裏返し部の一作業工程図。
【図13】同変形例における用紙裏返し部の一作業工程図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係るプリンタ1は、図1に内部機構の概略構成を示すように、共通のプリント部3によって用紙Sの表面Sa及び裏面Sbに対して昇華プリント処理を行うことが可能な熱転写プリンタである。この熱転写プリンタ1は、図1に示すように、給紙部2と、給紙部2から供給された用紙Sに対して昇華プリント処理を施すプリント部3と、排紙部4と、プリント部3を経由して給紙部2と排紙部4との間で用紙Sを搬送する用紙搬送機構5とを備えたものである。なお、この熱転写プリンタ1は、図示しない共通の筐体内に、給紙部2、プリント部3、及び用紙搬送機構5を設けている。また、本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、用紙搬送機構5により用紙Sを給紙部2から排紙部4に向けて搬送する過程で、先ずプリント部3によって用紙Sの表面Saに昇華プリント処理を施し、その後、共通のプリント部3によって用紙Sの裏面Sbに昇華プリント処理を施すものである。
【0018】
給紙部2は、ロール軸21回りに用紙Sをロール状に巻回した状態で収容し得るものである。
【0019】
プリント部3は、サーマルヘッド31と、このサーマルヘッド31と対向する位置に配置されたプラテンローラ32と、インクリボン33と、インクリボン33をサーマルヘッド31とプラテンローラ32との間に搬送するインクリボン搬送機構34と、サーマルヘッド31の作動等を制御するプリント制御部(図示省略)とを備えたものである。
【0020】
サーマルヘッド31は、発熱素子(図示省略)を発熱させて用紙Sに印刷を行う周知のものである。本実施形態では、このサーマルヘッド31を、ヘッド駆動モータ(図示省略)により、プラテンローラ32との間で用紙Sを挟み得る位置と挟み得ない位置との間で移動可能に設定している。
【0021】
プラテンローラ32は、サーマルヘッド31との間で用紙Sを挟み得るものであり、回転しながら用紙Sを順次搬送する機能を有する。したがって、このプラテンローラ32は用紙搬送機構5の機能の一部を担っている。プラテンローラ32は、後述するフィードローラ511に同期して正逆方向に回転可能である。
【0022】
インクリボン33は、長尺なベースフィルムに例えばイエロー・マゼンタ・シアンの各色のインクを塗布したものである。ベースフィルムに塗布されるイエロー・マゼンタ・シアンの各色のインクは、熱によって昇華する染料を用いて形成されたものである。
【0023】
インクリボン搬送機構34は、未使用のインクリボン33(ベースフィルムにインクが塗布されたもの)を巻回している供給側リボンコア341と、使用済みのインクリボン33(ベースフィルムからインクの一部又は全部が剥離されたもの)を巻き取る巻取側リボンコア342と、供給側リボンコア341から巻き出したインクリボン33をサーマルヘッド31側に案内する供給側リボンガイド343と、サーマルヘッド31を通過した後に用紙Sから剥離したインクリボン33を巻取側リボンコア342側に案内する巻取側リボンガイド344とを備えたものである。そして、供給側リボンコア341に巻回したインクリボン33は、供給側リボンガイド343及び巻取側リボンガイド344により、サーマルヘッド31側に巻き出されて昇華プリント処理に供された後、巻取側リボンコア342に順次巻き取られる。本実施形態では、インクリボン33とインクリボン搬送機構34との組をユニット化し、サーマルヘッド31やプラテンローラ32に対して着脱可能に構成している。
【0024】
このような各部から構成されるプリント部3は、サーマルヘッド31の熱によりイエロー・マゼンタ・シアンの各色インクを昇華させることで用紙Sの表面Saや裏面Sbにカラー画像を印刷する(形成する)機能を発揮する。そして、このプリント部3は、サーマルヘッド31の温度を調整することにより印刷濃度のレベルを変化させた階調印刷を行うことができ、用紙Sの表面Sa及び裏面Sbに高品質なカラー画像を印刷することが可能である。
【0025】
排紙部4は、図示しない排紙口と、排紙口から排出される用紙を受け取る排紙トレー41とを備えたものである。
【0026】
用紙搬送機構5は、給紙部2にロール状に収容された用紙Sを、給紙部2と排紙部4との間に形成される搬送経路に沿って搬送するものである。用紙搬送機構5は、図1に示すように、プリント部3よりも給紙部2側に配置され且つ用紙Sをプリント部3に向かって送り出す送り出し方向A及びプリント部3により用紙Sに対してプリント処理可能なプリント方向Bに搬送可能なフィードローラ部51と、フィードローラ部51よりも給紙部2側に配置した給紙ローラ部52と、給紙ローラ部52とフィードローラ部51との間に配置され且つ用紙Sを所定寸法に切断する第1カッター部53と、プリント部3によって一方の面(本実施形態では表面Sa)にプリント処理を行った用紙Sを裏返してプリント部3へ搬送可能な用紙裏返し部54と、用紙裏返し部54によって裏返され且つプリント部3によって他方の面(本実施形態では裏面Sb)にプリント処理を行った用紙Sを排紙部4へガイドする排紙ガイド部55と、排紙ガイド部55と排紙部4との間に配置した排紙ローラ部56と、排紙ガイド部55と前記排紙部4との間に配置され且つ複数のプリント画面を設定している用紙Sに対して少なくとも各プリント画面の境界ごとに切断する第2カッター部57とを備えたものである。本実施形態における熱転写プリンタ1は、給紙部2及び排紙部4をプリント部3に対して同じ側(例えばプリンタ1のフロント側)に配置するとともに、用紙裏返し部54を折り返し点として用紙Sの一方の面にプリント処理を行う際の搬送経路である第1プリント経路と他方の面にプリント処理を行う際の搬送経路である第2プリント経路とをほぼ共通としている。なお、上述した「送り出し方向A」は排紙ガイド部55から用紙裏返し部54に向かう方向と一致し、「プリント方向B」は用紙裏返し部54から排紙ガイド部55に向かう方向と一致する。
【0027】
フィードローラ部51は、用紙Sを送り出し方向Aに搬送可能な第1搬送方向a及び用紙Sをプリント方向Bに搬送可能な第2搬送方向bに正逆回転可能なフィードローラ511と、フィードローラ511に直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態においてフィードローラ511の回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ512とを備えたものである。
【0028】
給紙ローラ部52は、用紙Sを送り出し方向Aに搬送可能な第1搬送方向c及び用紙Sをプリント方向Bに搬送可能な第2搬送方向dに正逆回転可能な給紙ローラ521と、給紙ローラ521に直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において給紙ローラ521の回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ522とを備えたものである。
【0029】
第1カッター部53は、用紙Sを挟み得るように対向配置された一対のカッター本体を用いて構成したものである。
【0030】
用紙裏返し部54は、用紙Sを裏返す経路である裏返し経路54Sを形成する裏返し経路形成部541と、裏返し経路54Sの始端ないし始端近傍に配置した始端側送りローラ部542と、裏返し経路54Sの終端ないし終端近傍に配置した終端側送りローラ部543と、始端側送りローラ部542及び終端側送りローラ部543よりもプリント部3側に配置し裏返し経路54Sに対する用紙Sの搬出入を行う搬出入用送りローラ部544と、終端側送りローラ部543の近傍に配置した用紙先端検知部545とを備えている。
【0031】
裏返し経路形成部541は、所定のギャップを隔てて対面し且つ当該ギャップを用紙Sの裏返し経路54Sとして機能させ得るガイドローラ541a及びガイドレール541bを有する。ガイドローラ541aは外縁形状が円形ないし略円形をなし、回転不能なものである。一方、ガイドレール541bは、部分円弧状をなし、ガイドローラ541aに対して同心円上に配置され当該ガイドローラ541aとの間に部分円弧状の裏返し経路54Sを形成する対ガイドローラ近接位置(Q)と、ガイドローラ541aから退避させ当該ガイドローラ541aとの間に用紙Sを弛ませることが可能な裏返し経路54Sを形成する対ガイドローラ退避位置(R)との間で移動可能(切換可能)なものである。本実施形態では、ガイドレール541bの一端部(裏返し経路54S終端側の端部)を支点として、このガイドレール541bが対ガイドローラ近接位置(Q)と対ガイドローラ退避位置(R)との間で回転移動するように構成している。なお、対ガイドローラ近接位置(Q)と対ガイドローラ退避位置(R)との切換は図示しないガイドレール駆動モータによって行うことができる。
【0032】
始端側送りローラ部542は、用紙Sを裏返し経路54Sの始端側から裏返し経路54S内に搬送可能な第1搬送方向e、及び用紙Sを裏返し経路54Sの始端側からプリント部3に向かって搬送可能な第2搬送方向fに正逆回転可能な始端側送りローラ542aと、始端側送りローラ542aに直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において始端側送りローラ542aの回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ542bとを備えたものである。
【0033】
終端側送りローラ部543は、用紙Sを裏返し経路54Sの終端側からプリント部3に向かって搬送可能な第1搬送方向g、及び用紙Sを裏返し経路54Sの終端側から裏返し経路54S内に搬送可能な第2搬送方向hに正逆回転可能な終端側送りローラ543aと、終端側送りローラ543aに直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において終端側送りローラ543aの回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ543bとを備えたものである。
【0034】
搬出入用送りローラ部544は、用紙Sを裏返し経路54Sに向けて搬送可能(搬入可能)な第1搬送方向i、及び用紙Sをプリント部3に向けて搬送可能(搬出可能)な第2搬送方向jに正逆回転可能な搬出入用送りローラ544aと、搬出入用送りローラ544aに直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において搬出入用送りローラ544aの回転に従動して正逆方向に回転するピンチローラ544bとを備えたものである。
【0035】
なお、始端側送りローラ542aの第1搬送方向e、終端側送りローラ543aの第2搬送方向g、及び搬出入用送りローラ544aの第2搬送方向jは全て同一方向であり、これらの回転方向は、フィードローラ511の第2搬送方向bとも同一方向である。また、始端側送りローラ542aの第2搬送方向f、終端側送りローラ543aの第2搬送方向h、及び搬出入用送りローラ544aの第1搬送方向iは全て同一方向であり、これらの回転方向は、フィードローラ511の第1搬送方向aとも同一方向である。
【0036】
用紙先端検知部545は、例えば検知センサによって構成されるものであり、本実施形態では終端側送りローラ部543よりも僅かにプリント部3側に寄せて配設している。
【0037】
用紙Sを排紙部4へガイドする排紙ガイド部55は、フィードローラ部51と給紙ローラ部52との間に配設されたものである。本実施形態では、排紙ガイド部55として、用紙Sに接し得る排紙ガイド面551を有し、当該排紙ガイド面551を給紙ローラ521とフィードローラ511とを結ぶ直線上に一致ないし略一致させた給紙ガイド位置(S)と、排紙ガイド面551を給紙ローラ521とフィードローラ511とを結ぶ直線上から退避させた排紙ガイド位置(T)との間で回動可能な概略レバー状のものを適用している。なお、給紙ガイド位置(S)と排紙ガイド位置(T)との切換は図示しないガイド部駆動モータによって行うことができる。
【0038】
排紙ローラ部56は、排紙ローラ561と、排紙ローラ561に直接又は用紙Sを介して間接的に接した状態において排紙ローラ561の回転に従動して回転するピンチローラ562とを備えたものである。
【0039】
第2カッター部57は、用紙Sを挟み得るように対向配置された一対のカッター本体を用いて構成したものである。
【0040】
次に、本実施形態に係る熱転写プリンタ1の動作及び作用、特に用紙搬送機構5の動作及び作用について、図2〜図10を参照しながら説明する。
【0041】
先ず、用紙搬送機構5は、フィードローラ511及び給紙ローラを第1搬送方向(第1搬送方向a、第1搬送方向c)に回転させて、給紙部2においてロール状に巻回している用紙Sを給紙ローラ521とピンチローラ522との間を通過させて順次フィードローラ部51及びプリント部3まで搬送する。この際、排紙ガイド部55は、給紙ガイド位置(S)に設定されている。なお、本実施形態に係るプリンタ1は、プリント部3による昇華プリント処理を行わずに用紙Sを搬送経路に沿って送り出し方向A及びプリント方向Bに搬送する場合には、プリント部3のサーマルヘッド31をプラテンローラ32との間で用紙Sを挟み得ない位置に待機させて、用紙Sのスムーズな搬送を実現しているが、図2〜図10ではサーマルヘッド31をプラテンローラ32との間で用紙Sを挟み得る位置に移動させた状態を示している。
【0042】
そして、本実施形態に係る用紙搬送機構5は、第1搬送方向aに回転駆動するフィードローラ511及びフィードローラ511と同一方向へ回転するプラテンローラ32によって、プリント処理を行う画面数(図示例ではプリント画面PA、プリント画面PB、プリント画面PCの3画面)に応じた長さと、用紙Sの先端St側に形成される裏面プリント用掴み代Scに応じた長さとを足した分だけ用紙Sをプリント部3よりも下流側(用紙裏返し部54側)に搬送し、用紙Sの先端St側領域を用紙裏返し部54で一旦待機させる(図2、図3参照)。具体的には、ガイドレール541bを対ガイドローラ近接位置(Q)に設定しておき、搬出入用送りローラ544a、始端側送りローラ542a及び終端側送りローラ543aをそれぞれ第1搬送方向(第1搬送方向i、第1搬送方向e、第1搬送方向g)に回転させて、ガイドレール541bとガイドローラ541aとの間に形成される部分円弧状の裏返し経路54Sに用紙Sを順次搬送する(図2参照)。そして、本実施形態に係る用紙搬送機構5は、用紙Sの先端Stが終端側送りローラ543aを通過して用紙先端検知部545に到達し、この用紙先端検知部545によって用紙Sの先端Stを検知した時点で、ガイドレール541bを対ガイドローラ近接位置(Q)から対ガイドローラ退避位置(R)へ移動させて、裏返し経路54Sを下方に開放させるとともに、終端側送りローラ543aの回転を停止させ、用紙先端St又は用紙先端St近傍を終端側送りローラ543aとピンチローラ543bとの間に挟んで保持した状態で、搬出入用送りローラ544a及び始端側送りローラ542aは引き続きそれぞれ第1搬送方向(第1搬送方向i、第1搬送方向e)に回転させることによって、それ以降も用紙裏返し部54へ送り出される用紙Sを弛ませる(図3参照)。すなわち、本実施形態における用紙裏返し部54は、用紙先端St又は用紙先端St近傍を保持した状態で用紙Sを弛ませて待機させる用紙待機部としての機能を有するものである。ここで、用紙先端St近傍領域に確保される裏面プリント用掴み代Scの寸法(掴み寸法)は、フィードローラ511とプラテンローラ32との中心間距離に相当する。また、用紙Sにおける複数のプリント画面のうち用紙Sの終端側(反先端側)のプリント画面(図示例ではプリント画面PA)に連続する所定領域が表面プリント用掴み代Sdとして機能する。表面プリント用掴み代Sdの寸法(掴み寸法)は、裏面プリント用掴み代Scと同じであり、フィードローラ511とプラテンローラ32との中心間距離に相当する(図3参照)。なお、図3、図7、図8には、用紙搬送機構5と用紙Sとの相対位置関係を示すべく、紙面下方領域に、サーマルヘッド31側から見た用紙Sを模式的に示している。
【0043】
引き続き、本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、表面プリント用掴み代Sdの両端ないし両端近傍をそれぞれフィードローラ511とピンチローラ512との間、プラテンローラ32とサーマルヘッド31との間に挟ませた時点(図3参照)で、フィードローラ511を第2搬送方向bに回転させるとともに、プラテンローラ32もフィードローラ511と同一方向に回転させ、さらに、用紙裏返し部54の各ローラ(搬出入用送りローラ544a、始端側送りローラ542a、終端側送りローラ543a)もそれぞれ第2搬送方向(第2搬送方向j、第2搬送方向f、第2搬送方向h)に回転させる。これにより、用紙搬送機構5は用紙Sをプリント方向Bに搬送することができる(図4参照)。この際、用紙裏返し部54で弛ませた状態で待機させていた用紙Sも裏返し経路54Sの始端側から搬出入用送りローラ部544を経てプリント方向Bに搬送される。したがって、裏返し経路54Sの始端側からプリント部3に向かって搬送される用紙Sは表面Saをサーマルヘッド31に対面させた状態であり、プリンタ1は、用紙Sの表面Saにおける各プリント画面(図示例では、プリント画面PA、プリント画面PB、プリント画面PC)にプリント部3によって昇華プリント処理を行う。本実施形態に係るプリンタ1は、用紙Sの表面Saに対するプリント処理を全プリント画面のうち用紙終端側(反先端側)のプリント画面(図示例ではプリント画面PA)から順次行う。なお、このプリンタ1は、プリント部3によって用紙Sの表面Saにプリント処理を行う際、給紙ローラ521及び給紙部2のロール軸21をフィードローラ511と同期させて同一方向へ回転させることによりプリント処理を行った用紙Sを給紙部2側に搬送し、用紙Sが長尺な場合はプリント処理を施した用紙Sにおける反先端側の領域をロール軸21に巻き取るように構成している。
【0044】
用紙Sの表面Saにおける全プリント画面にプリント処理を行った後、用紙搬送機構5は、フィードローラ511を第1搬送方向aへ回転させるとともに、プラテンローラ32もフィードローラ511と同一方向に回転させ、さらに、用紙裏返し部54の各ローラ(搬出入用送りローラ544a、始端側送りローラ542a、終端側送りローラ543a)もそれぞれ第1搬送方向(第1搬送方向i、第1搬送方向e、第1搬送方向g)に回転させる。これにより、用紙搬送機構5は用紙Sを送り出し方向Aに搬送することができる。そして、用紙搬送機構5により用紙Sを用紙裏返し部54へ搬送し、上述した手順によって、用紙裏返し部54で待機させる。この際、用紙Sのうち裏面Sbがガイドローラ541aの外周面に対面(接触)し、プリント処理を施した表面Saがガイドローラ541aの外周面に直接接触し得ないように構成している。これにより、プリント処理を施した表面Saがガイドローラ541aの外周面に直接接触した場合に生じ得る不具合、すなわち用紙Sの表面Saに転写された直後のインクが滲む等の不具合を回避することができる。次いで、用紙Sのうち表面Saへのプリント処理が施されたプリント画面のうち用紙終端側のプリント画面(図示例ではプリント画面PA)と表面プリント用掴み代Sdとの境界線が第1カッター部53に到達した時点でこの第1カッター部53により当該プリント画面PAと表面プリント用掴み代Sdとの境界線で用紙Sを切断する。
【0045】
本実施形態に係るプリンタ1は、切断した用紙Sのうち、表面プリント用掴み代Sdを先端とするプリント未処理領域を給紙部2に巻き戻す(具体的には、給紙ローラ521を第2搬送方向dに回転させるとともに、給紙部2のローラ軸21も給紙ローラ521と同一方向へ回転させて表面プリント用掴み代Sdの先端が排紙ガイド部55を通過し終えるまで巻き戻す)一方で、裏面プリント用掴み代Scを先端とする用紙Sを送り出し方向Aへ搬送し、用紙搬送機構5により用紙Sを用紙裏返し部54へ搬送し、上述した手順によって、用紙裏返し部54で弛ませた状態で待機させる(図5参照)。なお、上述した通り、用紙裏返し部54で用紙Sを弛ませた状態で待機させる場合、用紙裏返し部54における終端側送りローラ543aはピンチローラ543bとの間に用紙先端Stを掴んだ状態で回転せずに停止している。そして、本実施形態に係るプリンタ1は、用紙終端が搬出入用送りローラ544aを通過した時点(図6参照)で終端側送りローラ543aを第1搬送方向gに回転させるとともに、搬出入用送りローラ544a及びフィードローラ511を第2搬送方向(第2搬送方向j、第2搬送方向b)に回転させることにより、用紙Sを裏返し経路54Sの終端からプリント部3に向けて、つまりプリント方向Bに搬送する。裏返し経路54Sを通過してプリント方向Bに搬送される用紙Sは、裏返し経路54Sを通過する前と比較して表裏を反転させた状態となる(図7参照)。
【0046】
そして、本実施形態に係るプリンタ1は、用紙Sのうち先端St側に確保した裏面プリント用掴み代Scをフィードローラ511とピンチローラ512との間に到達した時点(図7参照)でサーマルヘッド31をプラテンローラ32との間で用紙Sを挟み得る位置に移動させて、用紙Sの裏面Sbにおける各プリント画面(図示例では、プリント画面PAの裏面であるプリント画面PA’、プリント画面PBの裏面であるプリント画面PB’、プリント画面PCの裏面であるプリント画面PC’)にプリント部3によって昇華プリント処理を行う。この際、用紙Sの裏面Sbに対するプリント処理を全プリント画面のうち用紙先端St側のプリント画面(図示例ではプリント画面PC’)から順次行う。また、用紙Sの裏面Sbにプリント処理を行う時点よりも前の時点で、排紙ガイド部55を給紙ガイド位置(S)から排紙ガイド位置(T)へ切り替えておく(図7参照)。これにより、裏面Sbにプリント処理が施された用紙Sは、排紙ガイド部55にガイドされて排紙部4に向かって搬送され(図8参照)、排紙ローラ561とピンチローラ562との間を通過して排紙トレー41に排出される(図9参照)。そして、本実施形態に係る熱転写プリンタ1は、排紙ローラ561と排紙トレー41との間に設けた第2カッター部57によって、裏面プリント用掴み代Scとプリント画面との境界、及びプリント画面同士の境界を切断し、所定サイズのカット紙として排紙トレー41に排出する(図10参照)。
【0047】
また、次回のプリント処理時には、前回のプリント処理時に表面プリント用掴み代Sdとして機能した領域が、裏面プリント用掴み代Scとして機能する。
【0048】
このように、本実施形態に係る用紙搬送機構5は、給紙部2とフィードローラ部51との間に設けた第1カッター部53によって所定寸法に切断した用紙Sを、用紙裏返し部54における裏返し経路54Sを通過させることによって反転させることができ、用紙Sを反転させる前の段階でプリント部3によって用紙Sの表面Saにプリント処理を行い、用紙Sを反転させた後で同じプリント部3によって用紙Sの裏面Sbにプリント処理を行うことができる。したがって、このような用紙搬送機構5を適用することにより、用紙Sを給紙部2と排紙部4との間で搬送する過程で共通のプリント部3を用いて用紙Sの表面Sa及び裏面Sbにそれぞれ熱転写プリント処理を行うことが可能となり、従来の態様、つまり表面プリント用のプリント部と裏面プリント用のプリント部とがそれぞれ個別に必要である態様と比較して、用紙搬送機構5全体、ひいてはプリンタ1全体の小型化及び低コスト化を図ることができる。また、用紙Sの搬送経路も表面プリント時と裏面プリント時とでほぼ共用されるため、この点でも用紙搬送機構5、プリンタ1の小型化に寄与していることとなる。さらに、本実施形態に係る用紙搬送機構5は、用紙裏返し部54によって裏返され且つプリント部3によって裏面Sbにプリント処理された用紙Sを排紙ガイド部55によって排紙部4にガイドすることができ、排紙処理もスムーズ且つ適切に行うことができる。
【0049】
また、用紙搬送機構5における用紙裏返し部54が、用紙先端St又は用紙先端St近傍を保持した状態で用紙Sを弛ませて待機させる用紙待機機能を発揮するものであるため、複数のプリント画面を設定した長尺の用紙Sであっても、用紙裏返し部54において弛ませた状態で待機させることにより、用紙裏返し部54内に搬送する用紙Sと用紙裏返し部54外へ搬送する用紙Sとが搬送経路上で交錯することを回避することができる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態では、用紙Sの表面Saにおける全プリント画面にプリント処理を行った後、用紙搬送機構5により用紙Sを用紙裏返し部54へ搬送して用紙裏返し部54で待機させる際に、用紙Sのうち裏面Sbがガイドローラ541aの外周面に対面(接触)し、プリント処理を施した表面Saがガイドローラ541aの外周面に直接接触し得ないように構成した態様を例示したが、インクの滲み等の不具合を考慮する必要がない場合(速乾性ないし超速乾性のインクを適用している場合等)には、用紙の表面における全プリント画面にプリント処理を行った後、用紙搬送機構により用紙を用紙裏返し部へ搬送して用紙裏返し部で待機させる際に、用紙のうち表面がガイドローラの外周面に対面(接触)するように構成した態様を採用することもできる。
【0051】
また、用紙裏返し部として、図11〜図13に示すように、一対のボビン(第1ボビンX541、第2ボビンX542)と、これらボビンX541、X542よりもプリント部3側に配置しこれら一対のボビンボビンX541、X542を利用して形成される裏返し経路X54Sに対する用紙Sの搬出入を行う搬出入用送りローラ部X543とを備えてなる用紙裏返し部X54を適用してもよい。一対のボビン(第1ボビンX541、第2ボビンX542)はそれぞれ独立して正逆方向に回転可能なものである。以下の説明では、図11における時計回りを正方向と称し、反時計回りを逆方向と称する。このような用紙裏返し部X54を用いた用紙搬送機構、及びプリンタの動作および作用を説明する。なお、用紙裏返し部X54に関連しない動作については上述した実施形態に準じるものであるため説明は省略する。用紙Sのうち先にプリント処理を施す一方の面(例えば表面Sa)に対してプリント処理を行う前にプリント部よりも用紙裏返し部X54に送り出した用紙Sを、正方向に回転させた第1ボビンX541によって巻き取る。そして、第1ボビンX541を逆方向に回転させることにより、第1ボビンX541に巻回した状態で待機させていた用紙Sをプリント部3側に向かって搬出入用送りローラ部X543(ローラ本体X543aとピンチローラX543bとの間)から順次搬送し、プリント部により用紙Sの表面Saにプリント処理を行う。次いで、表面Saにプリント処理を施した用紙Sを、正方向に回転させた第1ボビンX541によって再度巻き取った後、第1ボビンX541を逆方向に回転させるとともに第2ボビンX542も同一方向(逆方向)に回転させて、この第2ボビンX542に用紙Sを巻き取り直す。引き続いて、第2ボビンX542を正方向に回転させて、この第2ボビンX532に巻回した用紙Sを搬出入用送りローラ部X543(ローラ本体X543aとピンチローラX543bとの間)からプリント部側に順次送り出す。すると、表裏を反転させた用紙Sが順次プリント部側に搬送され、まだプリント処理が施されていない面(図示例では裏面Sb)に対してプリント部によりプリント処理を行うことができる。なお、図11〜図13は模式図であり、各ボビンX541、X542に用紙Sを弛ませた状態で巻回した状態となっているが、各ボビンX541、X542に用紙Sを弛みのない状態で巻回しても勿論構わない。
【0052】
また、用紙裏返し部として、表面と裏面との関係が逆になるように用紙を搬送しながら180度ないし略180度回転させる(捻る)スパイラル状の裏返し経路を有するものを採用することもできる。
【0053】
また、前述した実施形態では、昇華式の熱転写プリンタに用紙搬送機構を適用した態様を例示したが、溶融式など他の熱転写プリンタに上述した構造及び作用効果を奏する用紙搬送機構5を適用しても構わない。また、熱転写プリント方式以外のプリント方式、例えばインクジェットプリント方式やレーザー方式を採用したプリンタに本発明に係る用紙搬送機構を適用してもよい。
【0054】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…プリンタ(熱転写プリンタ)
2…給紙部
3…プリント部
4…排紙部
5…用紙搬送機構
51…フィードローラ部
53…第1カッター部
54、X54…用紙裏返し部
54S…裏返し経路
55…排紙ガイド部
57…第2カッター部
S…用紙
Sa…表面
Sb…裏面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回した用紙を収容し得る給紙部から供給される用紙を、当該用紙の表面及び裏面に対してプリント処理を行う共通のプリント部を経由して排紙部まで搬送可能な用紙搬送機構であり、
前記給紙部と前記プリント部との間に配設され且つ用紙を前記プリント部に向かって送り出す送り出し方向と前記プリント部により用紙に対してプリント処理可能なプリント方向とに搬送可能なフィードローラ部と、
前記給紙部と前記フィードローラ部との間に配設され且つ用紙を所定寸法に切断する第1カッター部と、
前記プリント部によって表面又は裏面の一方にプリント処理され且つ前記第1カッター部によって所定寸法に切断された用紙を裏返すことが可能な裏返し経路を有し、裏返した用紙を前記プリント部へ搬送可能な用紙裏返し部と、
前記用紙裏返し部によって裏返され且つ前記プリント部によって他方の面にプリント処理された用紙を前記排紙部へガイドする排紙ガイド部とを備えたものであることを特徴とする用紙搬送機構。
【請求項2】
前記用紙裏返し部は、用紙先端又は用紙先端近傍を保持した状態で用紙を弛ませて待機させる用紙待機部を備えている請求項1に記載の用紙搬送機構。
【請求項3】
前記排紙ガイド部が、前記給紙部から供給される用紙を前記フィードローラ部側に向かって搬送可能な給紙ガイド位置と、前記プリント部によって他方の面にプリント処理を行った用紙を前記排紙部に向かって搬送可能な排紙ガイド位置との間で切換可能なものである請求項1又は2の何れかに記載の用紙搬送機構。
【請求項4】
前記排紙ガイド部と前記排紙部との間に、複数のプリント画面が設定された用紙に対して少なくとも各プリント画面の境界ごとに切断し得る第2カッター部を配設している請求項1乃至3の何れかに記載の用紙搬送機構。
【請求項5】
ロール状に巻回した用紙を収容し得る給紙部と、
用紙の表面及び裏面に対してプリント処理を行う共通のプリント部と、
両面にプリント処理した用紙を排出する排紙部と、
前記プリント部を経由して前記給紙部と前記排紙部との間で用紙を搬送する請求項1乃至4の何れかに記載の用紙搬送機構とを備えたものであることを特徴とするプリンタ。
【請求項1】
ロール状に巻回した用紙を収容し得る給紙部から供給される用紙を、当該用紙の表面及び裏面に対してプリント処理を行う共通のプリント部を経由して排紙部まで搬送可能な用紙搬送機構であり、
前記給紙部と前記プリント部との間に配設され且つ用紙を前記プリント部に向かって送り出す送り出し方向と前記プリント部により用紙に対してプリント処理可能なプリント方向とに搬送可能なフィードローラ部と、
前記給紙部と前記フィードローラ部との間に配設され且つ用紙を所定寸法に切断する第1カッター部と、
前記プリント部によって表面又は裏面の一方にプリント処理され且つ前記第1カッター部によって所定寸法に切断された用紙を裏返すことが可能な裏返し経路を有し、裏返した用紙を前記プリント部へ搬送可能な用紙裏返し部と、
前記用紙裏返し部によって裏返され且つ前記プリント部によって他方の面にプリント処理された用紙を前記排紙部へガイドする排紙ガイド部とを備えたものであることを特徴とする用紙搬送機構。
【請求項2】
前記用紙裏返し部は、用紙先端又は用紙先端近傍を保持した状態で用紙を弛ませて待機させる用紙待機部を備えている請求項1に記載の用紙搬送機構。
【請求項3】
前記排紙ガイド部が、前記給紙部から供給される用紙を前記フィードローラ部側に向かって搬送可能な給紙ガイド位置と、前記プリント部によって他方の面にプリント処理を行った用紙を前記排紙部に向かって搬送可能な排紙ガイド位置との間で切換可能なものである請求項1又は2の何れかに記載の用紙搬送機構。
【請求項4】
前記排紙ガイド部と前記排紙部との間に、複数のプリント画面が設定された用紙に対して少なくとも各プリント画面の境界ごとに切断し得る第2カッター部を配設している請求項1乃至3の何れかに記載の用紙搬送機構。
【請求項5】
ロール状に巻回した用紙を収容し得る給紙部と、
用紙の表面及び裏面に対してプリント処理を行う共通のプリント部と、
両面にプリント処理した用紙を排出する排紙部と、
前記プリント部を経由して前記給紙部と前記排紙部との間で用紙を搬送する請求項1乃至4の何れかに記載の用紙搬送機構とを備えたものであることを特徴とするプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−110789(P2011−110789A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268734(P2009−268734)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
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