説明

用紙搬送装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】クリップやステイプル針等の金属片が付いた用紙が積載された場合に、このような用紙を確実に検出できる用紙搬送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】異物検出機構40は、用紙積載板28上にセットされた用紙に付着するステイプル針やクリップ等の金属製の異物を検知するものであり、用紙積載板28上に積載された用紙Pの搬送方向(矢印A方向)下流端と重なる位置に、用紙幅方向に複数個(ここでは5個)配置されている。異物検出機構40は、検出器本体40aの支点41において上下に揺動可能に支持されるアクチュエータ43と、アクチュエータ43に固定される磁石部材45と、検出器本体40a内に対向配置される発光部47a及び受光部47bから成るPIセンサ47から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置に搭載される用紙搬送装置に関し、特にステイプル針やクリップ等が付いた用紙を検知する用紙搬送装置に関する。また、本発明は、そのような用紙搬送装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置における裏紙利用や自動原稿搬送装置において、ユーザの不注意でステイプル針やクリップ等が付いた用紙が画像形成装置内に搬送されることがあり、この場合、画像形成装置に備えられる感光体や定着ローラ等の柔らかい表面層が傷つけられてしまう。そして、感光体等が傷つけられた場合には、これらを交換する必要が生じていた。このため、画像形成装置の維持管理に非常にコストがかかるという問題があった。
【0003】
このような問題を解消するために、ステイプル針やクリップを検知する技術が種々提案されており、例えば特許文献1〜4には、用紙に付いたステイプル針やクリップ等の導電性異物を検知する金属検知器を設け、導電性異物が検知されたときは、記録紙或いは原稿の搬送動作を停止させる画像形成装置及び原稿供給装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献5には、レジストローラの上流側に用紙幅以上の大きさの永久磁石と用紙を永久磁石側に押し付ける押し付け部材を設け、ステイプル針やクリップ等の金属片の付いた用紙のレジストローラへの進入を確実に防止するとともに、レジストセンサを用いて金属片がついた用紙が吸着されたことを検知する用紙搬送装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−308914号公報
【特許文献2】特開2007−65501号公報
【特許文献3】特開2007−76754号公報
【特許文献4】特開平9−77282号公報
【特許文献5】特開2006−298514号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜4の方法では、ステイプル針やクリップ等を検知するために高価な金属検知器を配置する必要があり、装置のコストアップに繋がっていた。また、特許文献5の方法では、用紙がレジストセンサを通過する時間によって金属片が付いた用紙の吸着を判断し、用紙の搬送を停止するため、用紙の吸着から搬送停止までにタイムラグが生じていた。そのため、用紙は吸着後もしばらく搬送されてレジストローラ手前で押し縮められてしまい、ジャム処理が煩雑になるという問題点があった。
【0006】
また、特許文献5の方法では用紙がレジストローラ手前まで搬送された時点でステイプル針やクリップ等が検知されるため、感光体ドラムの損傷は回避できるものの、レジストローラよりも上流側にある搬送ローラ等の傷付きや用紙のジャムは防止できなかった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、クリップやステイプル針等の金属製の異物が付いた用紙が積載された場合に、このような用紙を簡単な構成で確実に検知できる用紙搬送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、給紙位置と待機位置との間を昇降可能な用紙積載板と、該用紙積載板の搬送方向下流側に配置され用紙を搬送方向に送り出す給紙ローラと、該給紙ローラに対向配置される分離部材とから成り、前記用紙積載板上に積載された用紙束の最上の1枚のみを分離して搬送する分離搬送部と、を備えた用紙搬送装置において、前記用紙積載板上に積載された用紙に付着する金属製の異物に吸着可能な磁石部材と、該磁石部材と前記金属製の異物との間に作用する磁力により上下に揺動可能なアクチュエータと、該アクチュエータの揺動により検出信号を発生するセンサ部とから成る異物検出機構を設けたことを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の用紙搬送装置において、前記磁石部材を前記アクチュエータの揺動端に固定したことを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の用紙搬送装置において、前記アクチュエータは、少なくとも揺動端が前記磁石部材で形成されることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の用紙搬送装置において、前記異物検出機構は、板状の前記磁石部材を前記用紙積載板の幅方向全域に亘って配置するとともに、前記磁石部材の近傍かつ前記磁石部材と用紙束の上面との間に前記アクチュエータの揺動端を配置して成ることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の用紙搬送装置において、前記センサ部は、前記アクチュエータの揺動により発光部及び受光部間の光路が遮断若しくは開放されるフォトインタラプタであることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の用紙搬送装置において、前記異物検出機構は、前記用紙積載板の幅方向に複数個配置されることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の用紙搬送装置において、前記異物検出機構は、前記用紙積載板上に積載された用紙束の搬送方向下流側端部に重なる位置に配置されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の用紙搬送装置と、前記異物検出機構により検出信号が送信されたとき用紙の搬送を停止する制御手段とを備えた画像形成装置である。
【0016】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記異物検出機構により検知した結果を通知する通知手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の構成によれば、磁石部材と、磁石部材と金属製の異物との間の磁力により上下に揺動可能なアクチュエータと、アクチュエータの揺動により検知信号を発生するセンサ部とから成る異物検出機構を用紙搬送装置に設けることにより、用紙積載板上に積載された用紙束に金属性の異物が付着しているか否かを簡単な構成で検出できる。
【0018】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の用紙搬送装置において、磁石部材をアクチュエータの揺動端に固定することにより、磁石部材と金属性の異物との間に作用する磁力で揺動する簡単な構成のアクチュエータとなる。
【0019】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成の用紙搬送装置において、アクチュエータの少なくとも揺動端を磁石部材で形成することにより、アクチュエータに磁石部材を固定する必要がないため、異物検出機構の部品点数や組み立て工数が削減できる。
【0020】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1の構成の用紙搬送装置において、板状の磁石部材を用紙積載板の幅方向全域に亘って配置するとともに、磁石部材の近傍かつ磁石部材と用紙束の上面との間にアクチュエータの揺動端を配置することにより、金属性の異物と共に異物周辺の用紙が広範囲に持ち上げられてアクチュエータが揺動するため、異物検出機構の配置間隔を広げることができる。
【0021】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1乃至第4のいずれかの構成の用紙搬送装置において、アクチュエータの揺動により発光部及び受光部間の光路が遮断若しくは開放されるフォトインタラプタをセンサ部として用いることにより、応答速度が速く検出性能に優れた異物検出機構となる。
【0022】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の用紙搬送装置において、異物検出機構を用紙積載板の幅方向に複数個配置することにより、金属製の異物が用紙幅方向のどの位置に付着していても確実に検出することができる。
【0023】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1乃至第6のいずれかの構成の用紙搬送装置において、異物検出機構を用紙積載板上に積載された用紙束の搬送方向下流側端部に重なる位置に配置することにより、金属性の異物が用紙搬送方向のどの位置に付着していても、これらの異物は用紙が異物検出機構の位置を通過する際に確実に検出される。
【0024】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1乃至第7のいずれかの構成の用紙搬送装置と、異物検出機構により検知信号が送信されたとき用紙の搬送を停止する制御手段とを備えることにより、クリップやステイプル針等の金属性の異物が付着した用紙の装置内部への進入を防止し、部品の損傷やジャムの発生を確実に防止できる画像形成装置となる。
【0025】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第8の構成の画像形成装置において、クリップやステイプル針等が付いた用紙が検出され、用紙の搬送が停止されたことをユーザに通知可能となるために、ユーザは迅速に用紙の除去やジャム処理へ対応可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の用紙搬送装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。画像形成装置(ここではカラープリンタ)100では、コピー動作を行う場合、装置本体内において、図中の反時計回りに回転する感光体ドラム1が帯電ユニット2により一様に帯電される。そして、パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図示せず)に入力された原稿画像データに基づいて露光ユニット3から感光体ドラム1上にレーザビームが照射され、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。
【0027】
感光体ドラム1は、例えばアルミドラムに感光層が積層されたものであり、帯電ユニット2により表面を帯電させるようになっている。そして、露光ユニット3からのレーザビームを受けた表面に帯電を減衰させた静電潜像を形成する。感光層を形成する感光材料としては、アモルファスシリコン感光体や正帯電有機感光体(正OPC感光体)が用いられる。感光層として正OPCを用いた場合、オゾン等の発生が少なく帯電が安定しており、特に単層構造の正OPCは長期間使用して膜厚が変化した場合においても感光特性に変化が少なく、画質も安定するため長寿命のシステムには好適に用いられる。
【0028】
トナーを感光体ドラム1上に供給するロータリー式の現像ユニット4は、現像装置とトナー容器が一体化されたカートリッジ式のイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の現像装置4a、4b、4c及び4dを備えており、現像装置4a〜4dを感光体ドラム1に対向する位置に順次回転移動させることにより、感光体ドラム1上の静電潜像に正極性トナーが付着されて各色のトナー像が形成される。
【0029】
トナー像が転写される中間転写ベルト5は、中間転写ローラ6a、6b、ベルト駆動ローラ8及び従動ローラ9に掛け渡され、感光体ドラム1に当接しながら図示しない駆動手段により図中の時計回りに回転する。中間転写ベルト5には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。
【0030】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、所定のタイミングにより感光体ドラム1上にイエローのトナー像の形成を行う。そして、負極性の転写バイアスが印加された中間転写ローラ6a、6bにより感光体ドラム1上のイエローのトナー像が中間転写ベルト5上に転写される(一次転写)。その後、感光体ドラム1の表面に残留したトナーがクリーニングローラ7a及びクリーニングブレード7bにより除去され、現像ユニット4は所定量(ここでは90°)回転して、上記と同様に今度はマゼンタのトナー像が感光体ドラム1上に形成され、中間転写ベルト5上に転写される。
【0031】
以下、上述と同様の方法により、感光体ドラム1からシアン及びブラックのトナー像が中間転写ベルト5上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。15は中間転写ベルト5の下部に位置する転写ローラであり、16は中間転写ベルト5表面の残留トナーを除去するベルトクリーニングブレードである。
【0032】
給紙機構10は、給紙カセット26内に搬送方向上流側(図1の左側)を支点として昇降可能に支持される用紙積載板28と、用紙積載板28上に積載された用紙P(以下、用紙Pは用紙Pの束を含むものとする)の上面に当接して搬送方向に送り出すピックアップローラ29と、ピックアップローラ29により送り出された用紙Pの最上の1枚のみを分離して搬送する給紙ローラ30a及び分離ローラ30bから成る給紙ローラ対30とを含む構成である。
【0033】
上記のようにトナー像が形成された中間転写ベルト5に向けて、用紙Pが給紙カセット26からピックアップローラ29、給紙ローラ対30、搬送ローラ11、13及びレジストローラ対14を経由して搬送され、中間転写ベルト5の表面に順次形成されたフルカラーのトナー像が負極性の転写バイアスが印加された転写ローラ15により用紙P上に一度に転写される(二次転写)。そして、トナー像が転写された用紙Pは加熱ローラ17a及び加圧ローラ17bを備えた定着装置17に搬送されてトナー像が定着される。定着装置17を通過した用紙Pは、用紙搬送路18及び排出ローラ対19を介して排出トレイ20に排出される。用紙積載板28の搬送方向下流側上方には異物検出機構40が設けられている。
【0034】
図2は、画像形成装置に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分についてのみ説明する。
【0035】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体1内部の任意の場所に配置可能である。
【0036】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。
【0037】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や、入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば感光体ドラム1、露光ユニット3、現像ユニット4、給紙機構10、定着装置17、操作部50等が挙げられる。
【0038】
操作部50には、液晶表示部51、各種の状態を示すLED52、テンキー53が設けられており、ユーザは操作部50を操作して指示を入力することで、画像形成装置100の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。液晶表示部51は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したり、タッチパネルとして、両面印刷や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。テンキー53は、印刷部数の設定や、画像形成装置100がFAX機能も有する場合に相手方のFAX番号を入力等するためのものである。
【0039】
その他、操作部50には、画像形成を開始するようにユーザが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0040】
異物検出機構40は、給紙カセット26の用紙積載板28上にセットされた用紙に付着するステイプル針やクリップ等の金属製の異物(以下、金属片という)を検知するものである。異物検出機構40の検知結果はI/F96を介してCPU91に送信される。異物検出機構40の構成については後述する。
【0041】
図3は、第1の構成の異物検出機構40と用紙積載板28上に積載された用紙Pとの位置関係を示す平面図である。なお、説明の便宜のため、図3では給紙カセット26、用紙積載板28、ピックアップローラ29、及び給紙ローラ対30等は記載を省略している。図3に示すように、異物検出機構40は用紙積載板28(図1参照)上に積載された用紙Pの搬送方向(矢印A方向)下流端と重なる位置に、用紙幅方向(図3の上下方向)に複数個(ここでは5個)配置されている。
【0042】
図4(a)は第1の構成の異物検出機構40を拡大して示した平面図であり、図4(b)は図4(a)の下方向から見た側面図である。異物検出機構40は、平面視コ字状の検出器本体40aの支点41において上下に揺動可能に支持されるアクチュエータ43と、支点41から検出器本体40aと反対側に突出するアクチュエータ43の第1アーム部43aに固定される磁石部材45と、検出器本体40a内に対向配置される発光部47a及び受光部47bから成るPI(フォトインタラプタ)センサ47から構成されている。支点41から検出器本体40a側に突出するアクチュエータ43の第2アーム部43bは、発光部47aと受光部47bの間を上下に揺動する。
【0043】
図5は、金属片が付着した用紙Pが積載された場合の異物検出機構の動作を示す側面図である。図4に示した異物検出機構40を用いて異物を検出する仕組みについて、必要に応じて図1〜図5を参照しながら説明する。通常は、図4(b)のように第1アーム部43aは略水平に保持されており、第2アーム部43bはPIセンサ47よりも下方に位置しているため、発光部47aから射出された光は受光部47bに入射する。この状態でユーザにより操作部50から印刷指示が入力されると、制御部90はI/F96を介して制御信号を送信し、ピックアップローラ29及び給紙ローラ30aを回転させて用紙Pの給送を開始する。
【0044】
図3のように金属片Sが付着している用紙Pが用紙積載板28上に積載された場合、図5に示すように、磁石部材45が金属片Sに引き寄せられて第1アーム部43aが下方に揺動する。その結果、第2アーム部43bは上方に揺動してPIセンサ47を遮光して信号を発生させる。この信号(検出信号)がI/F96を介してCPU91に送信されると、制御部90はI/F96を介して制御信号を送信し、操作部50から印刷指示が入力された場合でも用紙Pの給送を開始しないようにする。また、連続印刷中において積載された用紙Pの途中で金属片が検出された場合は、その時点で用紙Pの給送を停止する。
【0045】
このとき、制御部90は、操作部50の液晶表示部51にメッセージを表示したり、LED52を点灯させたりして、金属片Sが付着している用紙Pが用紙積載板28上に積載されていることをユーザに通知する。なお、例えば、ブザーやアラームのように音でユーザに通知するようにしてもよい。
【0046】
なお、金属片Sの付着位置が用紙Pの搬送方向下流端でない場合、例えば図6のように用紙Pの側端2箇所に付着している場合や、用紙Pの積載方向が図3と左右反対(金属片Sが右端)である場合は、用紙Pを積載した状態では金属片Sを検知できない。しかし、金属片Sが異物検出機構40の位置に来るまで用紙Pが送り出されたとき、直ちに金属片Sを検出して用紙Pの給送が停止するため、金属片Sにより感光体ドラム1や定着装置17、レジストローラ対14、及びさらに上流側の搬送ローラ11、13等を傷つけるおそれはない。
【0047】
また、金属片Sが付着した用紙が最大限給送された状態、即ち金属片Sが搬送方向上流端に付着していた場合でも、用紙Pの後端が給紙ローラ対30を通過する前に給送が停止するため、金属片Sが付着した用紙Pが装置内部まで進入せずジャム処理が容易となる。
【0048】
さらに、磁石部材45は用紙幅方向の略全域に亘って配置されているため、金属片Sが幅方向のどの位置に付着していても確実に検出することができる。なお、磁石部材45としては、通常永久磁石が用いられるが、これに限定される趣旨ではなく、電磁石等を用いても構わない。
【0049】
図7は、第2の構成の異物検出機構40を示す平面図である。第2の構成では、アクチュエータ43に磁石部材45を固定する代わりに、アクチュエータ43自体が磁性を有する材料(磁石部材)で形成されている。他の部分の構成は図4と同様であるため説明を省略する。
【0050】
この構成によれば、アクチュエータ43に磁石部材45を固定する必要がないため、異物検出機構40の部品点数や組み立て工数が削減できる。なお、アクチュエータ43全体が磁性を有する材料で形成されている必要はなく、少なくとも第1アーム部43aの揺動端が磁性を有していれば良い。
【0051】
図8は、第3の構成の異物検出機構40を示す平面図である。第3の構成では、板状の磁石部材45が用紙Pの幅方向全域に亘って固定されており、アクチュエータ43は磁石部材45の近傍に配置されている。
【0052】
図9は、本構成の異物検出機構40が金属片Sを検出する仕組みを説明するための側面図である。通常は、図9(a)のようにアクチュエータ43の第1アーム部43aは斜め下向きに保持され、揺動端43cは磁石部材45と用紙束Pの上面との間に配置されている。第2アーム部43bは略水平に保持され、PIセンサ47よりも上方に位置しているため、PIセンサ47の光路は開放されている。この状態で操作部50から印刷指示が入力されると、制御部90はI/F96を介して制御信号を送信し、ピックアップローラ29及び給紙ローラ30aを回転させて用紙Pの給送を開始する。
【0053】
金属片Sが付着している用紙Pが用紙積載板28上に積載された場合、図9(b)に示すように、金属片Sが磁石部材45に引き寄せられて吸着する。その結果、揺動端43cは金属片Sと共に持ち上げられた用紙Pに押され、第1アーム部43aが上方に揺動する。そして、第2アーム部43bは下方に揺動してPIセンサ47を遮光して信号を発生させる。この信号(検出信号)がI/F96を介してCPU91に送信されると、制御部90は操作部50から印刷指示が入力された場合でも用紙Pの給送を開始しないようにする。また、連続印刷中である場合は用紙Pの給送を停止する。その後、液晶表示部51やLED52等により金属片Sの検出をユーザに通知する。
【0054】
これにより、第1及び第2の構成の異物検出機構と同様に、金属片Sの付着した用紙Pの給送を確実に防止することができる。また、金属片Sが磁石部材45へ吸着されることで、金属片S周辺の用紙Pが広範囲に持ち上げられるため、図8のように異物検出機構40の配置間隔を広げても、用紙幅方向のあらゆる位置に付着している金属片Sを確実に検出することができる。
【0055】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態においては、ピックアップローラ29と給紙ローラ対30とを用いて用紙積載板28上の用紙を分離、給送する給紙機構10を例に挙げて説明したが、ピックアップローラ29を省略して用紙積載板28上の用紙束を給紙ローラ対30へ直接導く手差しトレイのような構成であっても良い。また、分離ローラ30bに代えて分離パッドを配置する構成も可能である。
【0056】
さらに上記実施形態では、本発明の用紙搬送装置として、用紙の供給源である給紙機構について説明したが、画像形成装置とシート後処理装置の間に合紙の供給源として配置されるインサート装置や、複数枚のシート原稿を順次搬送する自動原稿搬送装置にも全く同様に適用できる。また、ここでは画像形成装置としてプリンタを例に挙げて説明したが、本発明の用紙搬送装置は複写機やファクシミリ等の他の画像形成装置にも適用できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、給紙位置と待機位置との間を昇降可能な用紙積載板と、該用紙積載板の搬送方向下流側に配置され用紙を搬送方向に送り出す給紙ローラと、該給紙ローラに対向配置される分離部材とから成り、用紙積載板上に積載された用紙束の最上の1枚のみを分離して搬送する分離搬送部と、を備えた用紙搬送装置において、用紙積載板上に積載された用紙束に付着する金属製の異物に吸着可能な磁石部材と、該磁石部材と金属製の異物との間に作用する磁力により上下に揺動可能なアクチュエータと、該アクチュエータの揺動により検出信号を発生するセンサ部とから成る異物検出機構を設けたものである。
【0058】
これにより、用紙積載板上に積載された用紙にクリップやステイプル針等の金属性の異物が付着しているか否かを簡単な構成で検出できる用紙搬送装置を提供できる。また、異物検出機構を、用紙積載板上に積載された用紙束の搬送方向下流側端部に重なる位置において、用紙積載板の幅方向に複数個配置すれば、金属性の異物の付着位置に関係なく確実に検知できる用紙搬送装置となる。
【0059】
また、上記の用紙搬送装置を画像形成装置に搭載するとともに、異物検出機構により検出信号が送信されたとき用紙の搬送を停止する制御手段を設けたので、クリップやステイプル針等の金属性の異物が付着した用紙の装置内部への進入を防止し、部品の損傷やジャムの発生を確実に防止できる画像形成装置となる。また、金属製の異物が検出され、用紙の搬送が停止されたことをユーザに通知する通知手段を設けたので、用紙の除去やジャム処理に対する迅速な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】は、本発明の用紙搬送装置が搭載された画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】は、画像形成装置の制御経路を示すブロック図である。
【図3】は、第1の構成の異物検出機構と用紙積載板上に積載された用紙との位置関係を示す平面図である。
【図4】は、第1の構成の異物検出機構を拡大して示した平面図(図4(a)、及び図4(a)の下方向から見た側面図(図4(b))である。
【図5】は、第1の構成の異物検出機構において、金属片が付着した用紙が積載された場合の動作を示す側面図である。
【図6】は、金属片が用紙の側端に沿って付着した用紙を積載した場合の、第1の構成の異物検出機構を示す平面図である。
【図7】は、第2の構成の異物検出機構を示す平面図である。
【図8】は、第3の構成の異物検出機構を示す平面図である。
【図9】は、第3の構成の異物検出機構が金属片を検出する仕組みを説明するための側面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 給紙機構(用紙搬送装置)
28 用紙積載板
29 ピックアップローラ
30 給紙ローラ対(分離搬送部)
30a 給紙ローラ
30b 分離ローラ(分離部材)
40 異物検出機構
43 アクチュエータ
43a 第1アーム部
43b 第3アーム部
43c 揺動端
45 磁石部材
47 PIセンサ(センサ部)
47a 発光部
47b 受光部
50 操作部
51 液晶表示部(通知手段)
52 LED(通知手段)
90 制御部(制御手段)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙位置と待機位置との間を昇降可能な用紙積載板と、
該用紙積載板の搬送方向下流側に配置され用紙を搬送方向に送り出す給紙ローラと、該給紙ローラに対向配置される分離部材とから成り、前記用紙積載板上に積載された用紙束の最上の1枚のみを分離して搬送する分離搬送部と、
を備えた用紙搬送装置において、
前記用紙積載板上に積載された用紙束に付着する金属製の異物に吸着可能な磁石部材と、該磁石部材と前記金属製の異物との間に作用する磁力により上下に揺動可能なアクチュエータと、該アクチュエータの揺動により検出信号を発生するセンサ部とから成る異物検出機構を設けたことを特徴とする用紙搬送装置。
【請求項2】
前記磁石部材を前記アクチュエータの揺動端に固定したことを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、少なくとも揺動端が前記磁石部材で形成されることを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記異物検出機構は、板状の前記磁石部材を前記用紙積載板の幅方向全域に亘って配置するとともに、前記磁石部材の近傍かつ前記磁石部材と用紙束の上面との間に前記アクチュエータの揺動端を配置して成ることを特徴とする請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記センサ部は、前記アクチュエータの揺動により発光部及び受光部間の光路が遮断若しくは開放されるフォトインタラプタであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記異物検出機構は、前記用紙積載板の幅方向に複数個配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記異物検出機構は、前記用紙積載板上に積載された用紙束の搬送方向下流側端部に重なる位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の用紙搬送装置と、
前記異物検出機構により検出信号が送信されたとき用紙の搬送を停止する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記異物検出機構により検知した結果を通知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−161334(P2009−161334A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2226(P2008−2226)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】