説明

用紙集積装置、用紙後処理装置及び画像形成システム

【課題】搬送ベルトに排出された用紙が落下するときに、用紙が座屈して、用紙集積装置に用紙が整然と集積されない問題を解決する。
【解決手段】排出された用紙Sが着地する位置に、搬送ベルト101よりも摩擦抵抗が低く搬送ベルトの搬送面よりも高い用紙受け面を有する滑り部材107を設け、排出用紙の先端が滑り部材上を滑り搬送ベルトによる搬送方向に移動。これにより用紙先端の座屈を防止し整然と集積する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙後処理装置から排出された用紙を集積する用紙集積装置、該用紙集積装置を有する用紙後処理装置及び該用紙後処理装置を有する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の付属装置として用いられる用紙後処理装置としては、用紙に対して、中折り(二つ折り)、三つ折り等の折り処理を施す用紙後処理装置がある。
【0003】
このような用紙後処理装置から排出された用紙は、平板状シートではなく、折り畳まれたものであるために、排出用紙の集積には、特有の用紙集積装置が用いられる。
【0004】
特許文献1、2では、排出された用紙を搬送ベルトで搬送することにより、多数枚の用紙を集積することを可能にしている。特許文献2では、また、様々な用紙を整然と集積することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−193162号公報
【特許文献2】特開2008−184311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
用紙後処理装置等の本体から排出された用紙を搬送ベルトで搬送する用紙集積装置においては、搬送ベルトが用紙に対してある程度の摩擦抵抗を有することが必要である。摩擦抵抗が低いと、搬送ベルト上で滑りが生じて用紙が整然と集積されない場合がある。
【0007】
ところが、搬送ベルトの摩擦抵抗により、用紙先端が座屈するという問題があることが判明した。この問題は、本体の排紙口から用紙が排出され、用紙の先端がかなりの速度で搬送ベルトに当接することにより起こると推察される。即ち、高速で搬送ベルトに用紙が当接した場合、摩擦抵抗の高い搬送ベルトにより、用紙の先頭が止められ、用紙先端部が反転して、座屈すると推察される。
【0008】
このような用紙座屈の現象は搬送ベルトが、排紙搬送方向の下流側を上流側に比較して高くなるように傾斜している場合に、特に、発生しやすい。
【0009】
これにより、用紙が整然と用紙集積装置に集積されない場合がある。
【0010】
本発明はこのような問題を解決し、用紙、特に、折り畳まれた用紙を整然と集積する用紙集積装置、かかる用紙集積装置を備えた用紙後処理装置及びかかる用紙後処理装置を備えた画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0012】
1.排出された用紙を載せて搬送する搬送ベルトを有する用紙集積装置において、排出された用紙が着地する位置に滑り部材が設けられ、該滑り部材は、前記搬送ベルトの搬送面よりも高く、前記搬送ベルトの摩擦抵抗よりも小さな摩擦抵抗を有する用紙受け面を有することを特徴とする用紙集積装置。
【0013】
2.前記滑り部材は、前記搬送ベルトの搬送方向に直角な幅方向に複数設けられていることを特徴とする前記1に記載の用紙集積装置。
【0014】
3.前記搬送ベルトは、その搬送方向の下流側が上流側よりも高くなるように、傾斜していることを特徴とする前記1又は前記2に記載の用紙集積装置。
【0015】
4.前記搬送ベルトの搬送方向下流側に設けられ、用紙を停止させる用紙停止部材を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の用紙集積装置。
【0016】
5.用紙を折り処理する折り部及び該折り部により折り処理され、排出された用紙を受ける前記1〜4のいずれか1項に記載の用紙集積装置を有することを特徴とする用紙後処理装置。
【0017】
6.搬送ベルトは前記用紙後処理装置の排紙口における搬送速度よりも遅い搬送速度で用紙を搬送することを特徴とする前記5に記載の用紙後処理装置。
【0018】
7.画像形成装置及び前記6に記載の用紙後処理装置を有することを特徴とする画像形成システム。
【発明の効果】
【0019】
本発明においては、用紙集積装置における排出用紙の着地位置に、滑り部材が設けられている。排出された用紙の先端は、この滑り部材滑り部材上を滑って搬送ベルトによる搬送方向に移動する。これにより、用紙先端の座屈が防止され、用紙が整然と用紙集積装置に集積される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】画像形成装置A及び本発明の実施の形態に係る用紙後処理装置FSを備える画像形成システムの全体図である。
【図2】折り部50及び本発明の実施の形態に係る用紙集積装置としての下部排紙部100の上流部の正面図である。
【図3】下部排紙部100の斜視図である。
【図4】下部排紙部100における用紙の集積状態を示す図である。
【図5】滑り部材の一例の形状及び配置を示す図である。
【図6】滑り部材の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限定されない。
【0022】
図1は画像形成装置A及び本発明の実施の形態に係る用紙後処理装置FSを備える画像形成システムの全体図である。
【0023】
〔画像形成装置A〕
図示の画像形成装置Aは、画像読取部1、画像処理部2、画像書込部3、画像形成部4、給紙カセット5、給紙手段6、定着装置7、排紙部8、自動両面コピー給紙部(ADU)9を備えている。
【0024】
画像形成装置Aの上部には、自動原稿送り装置DFが搭載されている。画像形成装置Aの図示の左側面の排紙部8側には、用紙後処理装置FSが連結されている。
【0025】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿は矢印方向に搬送され画像読み取り部1の光学系により原稿の片面又は両面の画像が読み取られ、CCDイメージセンサ1Aに読み込まれる。
【0026】
CCDイメージセンサ1Aにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書込部3に送られる。
【0027】
画像形成時には、画像書込部3の半導体レーザから出力光が発せられ、画像形成部4の感光体ドラム4Aが照射されて潜像が形成される。画像形成部4においては、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われ感光体ドラム4A上にトナー像が形成される。給紙カセット5から給紙手段6により給送された記録用紙S1は、感光体ドラム4Aに接触し、転写手段4Bによりトナー像が記録用紙S1に転写される。トナー像を担持した記録用紙S1は、定着装置7により定着処理され、排紙部8から用紙後処理装置FSに送り込まれる。両面コピーの場合には、片面画像処理済みの記録用紙S1は搬送路切り替え板8Aにより自動両面コピー給紙部9に送り込まれ、画像形成部4において裏面にトナー像が転写され、定着された後、排紙部8から排出される。
【0028】
〔用紙後処理装置FS]
用紙後処理装置FSは、用紙搬入部20と、挿入紙給紙部30a、30bと、複数の後処理部とを有する。後処理部しては、穴あけ処理部40、折り部50、重ね合わせ処理部60、綴じ処理部71、72、排紙部80及び本発明の実施の形態に係る用紙集積装置としての下部排紙部100を有する。
【0029】
挿入紙給紙部30aには挿入紙S2が装填され、挿入紙給紙部30bには他の挿入紙S3が装填される。
【0030】
挿入紙S2、S3は、画像形成装置Aから排出される複数枚の記録用紙S1の間に挿入される表紙用紙やインサート用紙等の挿入紙であり、記録用紙S1と同様に、穴あけ処理や折り処理を行うことが出来る。
【0031】
挿入紙給紙部30a、30bから送り出された挿入紙S2、S3は下方に向かう搬送路(参照符号なし)を経て用紙搬入部20に搬送される。
【0032】
穴あけ処理部40は、用紙搬入部20に配置される。
【0033】
なお、以下の説明では、記録用紙S1、挿入紙S2、S3を総称して用紙Sと称する。
【0034】
折り部50は、用紙搬入部20から下方に分岐した搬送路H1上に配設されている。
【0035】
重ね合わせ処理部60は、用紙搬入部20から上方に分岐した搬送路H2の下流側に配設され、搬送路H3、H4、H5を備えている。
【0036】
重ね合わせ処理部60は、下流側に位置する綴じ処理部71において、先行する用紙Sに綴じ処理するための時間を確保するために、後続の用紙Sを搬送路H3及び搬送路H4、H5に待機させる。
【0037】
搬送路H2の下流側に位置する搬送路は、二重に湾曲する搬送路に分岐し、内側の搬送路H4と外側の搬送路H3、H5とに分かれる。
【0038】
搬送路H2から分岐して湾曲する内側の搬送路を形成する搬送路H4の排出口には、搬送ローラ21が設けられ、綴じ処理を行う用紙Sの1枚目が搬送されてきた場合、回転を停止した状態で用紙先端を受け止め搬送ローラ21に当接した状態で待機させる。
【0039】
搬送路H2を搬送された用紙Sは、前記のように、搬送ローラ21に先頭が突き当たった状態で待機するが、後続の用紙Sは、搬送路H2から搬送路H3に進入して、搬送ローラ21に到達する。
【0040】
搬送ローラ21からは、先行する用紙Sと後行する用紙Sとが重なった状態で、2枚一緒に搬送され、集積部70へと搬送される。
【0041】
搬送路H3は、搬送路H2の下流において、搬送路H2に連続しており、搬送路H5は、搬送路H3に連続する。
【0042】
搬送路H3は、搬送路H5と搬送路H6に分岐している。
【0043】
そして、搬送路H6は、固定排紙皿81に用紙Sを排出する排紙路を形成する。
【0044】
固定排紙皿81は、搬送路H3上の搬送ローラ24において重ね合わせ処理部60から分岐する搬送路H6の下流側で、用紙後処理装置FSの機外に突出する位置に配設されている。
【0045】
固定排紙皿81は前記に説明したように、搬送路H2、H3、H6を経て搬送され、排出された用紙Sを集積する。
【0046】
排紙部80は排紙ローラ22及び整合機構を有し、用紙Sを昇降排紙皿82に排出する。整合機構は図示しないが、搬送排出方向に直角な水平方向に往復移動して用紙を整合する周知のもので構成される。
【0047】
排紙ローラ22は、一対のローラからなり、非排紙時には、一対のローラは離間しており、排紙時に接触して用紙Sをニップし搬送して、昇降排紙皿82に排出する。
【0048】
搬送ローラ21により搬送される用紙Sは、排紙ローラ22を構成し、離間している一対のローラ間を左方向に走行し、後端が搬送ローラ21から離れたときに、集積部70に落下し、傾斜している集積部70を滑落してストッパ(図示せず)により受け止められて集積部70上で停止する。
【0049】
設定枚数の用紙Sが集積部70上に集積されたときに、綴じ処理部71が作動して用紙Sを綴じ処理する。
【0050】
綴じ処理された用紙Sは前記ストッパにより押し上げられて集積部70上を左上方に移動する。
【0051】
このとき、排紙ローラ22を構成する一対のローラが接触して用紙Sをニップし、搬送して、昇降排紙皿82に排出する。
【0052】
折りモードにおいては、用紙Sは用紙搬入部20から搬送路H1を下方に搬送され、折り部50において、中折り又は三つ折り処理されて下部排紙部100に排出される。
【0053】
中綴じモードにおいては、用紙Sは用紙搬入部20から搬送路H1を搬送され、綴じ処理部72において、中綴じ処理され、折り部50において、中折り処理された後に、下部排紙部100に排出される。
【0054】
以上説明したように用紙Sの排紙経路としては、次の4経路がある。
1)用紙搬入部20→搬送路H2→搬送路H3→搬送路H6→固定排紙皿81
2)用紙搬入部20→搬送路H2→搬送路H3、H4、H5→集積部70→排紙部80→昇降排紙皿82
3)用紙搬入部20→搬送路H2→H4→排紙部80→昇降排紙皿82
4)用紙搬入部20→搬送路H1→折り部50→下部排紙部100
経路1)、2)及び4)は前記に説明したとおりである。
【0055】
経路3)は、綴じ処理や、折り処理を施すことなく、大量の画像形成を行う際に選択される。
【0056】
用紙Sは、後処理なしで、昇降排紙皿82に排出され、昇降排紙皿82は、排紙される用紙Sの最上面が常に一定した高さになるように図の鎖線で示すように下方に移動する。
【0057】
したがって、昇降排紙皿82上には、数千枚の用紙を集積することが可能である。
【0058】
<折り部>
図2は折り部50及び本発明の実施の形態に係る用紙集積装置としての下部排紙部100の上流部の正面図である。
【0059】
折り部50は、折り板52、折り上ローラ(以下、上ローラと称す)53、折り下ローラ(以下、下ローラと称す)54、折りローラ55、切り替え案内手段としての搬送路切替部材57、案内部材58及び先端停止部材581を備え、用紙Sを二つ折り処理又は三つ折り処理を行う。
【0060】
二つ折り処理における折り目又は三つ折りにおける1番目の折り目を形成する折り手段を構成する上ローラ53、下ローラ54は、また、三つ折り処理において、搬送により用紙Sを屈曲させ、下ローラ54と折りローラ55との間に挿入する搬送手段を構成する。
【0061】
下ローラ54と折りローラ55とは用紙Sをニップして搬送することにより用紙Sに2番目の折り目を形成する折り手段を構成する。
【0062】
下ローラ54は前記搬送手段及び前記折り手段に共用されるが、前記搬送手段と前記折り手段とをそれぞれ一対のローラで構成し、4個のローラで用紙折り装置を構成することも可能である。
【0063】
搬送路切替部材57はソレノイド(図示せず)により駆動されて揺動可能であり、三つ折り処理時には、点線で示す位置に設定されて用紙Sを案内部材58で形成される搬送路に案内する。
【0064】
搬送路切替部材57は、二つ折り、即ち、中折り及び中綴じ・中折り時には、実線の位置に設定されて、用紙Sを一対の排紙案内部材61により形成される搬送路を経て排出する。
【0065】
58は上ローラ53と下ローラ54とにより搬送される用紙Sを案内する案内部材である。上ローラ53と下ローラ54とにより形成される搬送方向に対して、案内部材58の用紙案内方向は、用紙Sを図における下方に凸となるように曲げるように形成されている。
【0066】
581は用紙Sの先端止める先端停止部材である。
【0067】
上ローラ53、下ローラ54、案内部材58及び先端停止部材581をこのように構成することにより、上ローラ53及び下ローラ54の回転により用紙Sを搬送し、先端停止部材581により先端が止められた用紙Sは上ローラ53及び下ローラ54と、案内部材58との間で図の下方に屈曲する。
【0068】
61、62は折り処理され排出される用紙をガイドする排紙案内部材である。
【0069】
以上の構成を有する折り部50の折り動作について説明する。
【0070】
二つ折り処理は、用紙Sの搬送方向に関して中央部において折り処理するモードであり、用紙中央部で折る中折りのみを行う場合と、用紙中央部を綴じ処理部72(図1参照)で綴じるとともに折り処理する場合とがある。
【0071】
二つ折り処理においては、搬送路H1(図1参照)を搬送された用紙Sの中央部を折り板52が押して、用紙Sを上ローラ53と下ローラ54との間に挿入する。上ローラ53と下ローラ54とにより搬送され折り処理された用紙Sは実線位置にある搬送路切替部材57により案内され、一対の排紙案内部材61の間を通過して排紙口E1から下部排紙部100に排出される。
【0072】
三つ折り処理においては、搬送路切替部材57は点線で示す位置に設定される。
【0073】
用紙Sは搬送路H1(図1参照)を搬送され、折り板52が駆動手段(図示せず)により駆動されて用紙Sの折り目を上ローラ53と下ローラ54との間に挿入する。
【0074】
折り板52の作動と同時に上ローラ53、下ローラ54及び折りローラ55それぞれが矢印のように回転して、用紙Sを折り処理しつつ搬送する。
【0075】
折り板52は用紙Sが上ローラ53、下ローラ54間にニップされた段階で用紙Sの搬送方向と反対方向に移動して退避する。
【0076】
上ローラ53と下ローラ54とにより折り処理された用紙Sは点線の位置にある搬送路切替部材57により案内されて案内部材58により形成された搬送路に、折り目を先頭にして進行する。用紙Sの折り目は先端停止部材581に突き当たって停止する。
【0077】
用紙Sの折り目が先端停止部材581に突き当たった後も上ローラ53、下ローラ54及び折りローラ55は回転を継続する。
【0078】
上ローラ53、下ローラ54の回転継続により、用紙Sは上ローラ53、下ローラ54間のニップと先端停止部材581との間で撓み湾曲する。
【0079】
この撓みにより形成された用紙Sの折り目が下ローラ54と折りローラ55とにより形成されるニップに進入し、折り目が形成され、用紙Sに2番目の折り目が形成されて用紙Sが三つ折りされる。
【0080】
三つ折りされた用紙Sは排紙案内部材62により案内されて排紙口E2から下部排紙部100に排出される。
【0081】
<下部排紙部>
図2、3、4により下部排紙部100を説明する。図3は下部排紙部100の斜視図である。なお、図3は用紙後処理装置FSから取り外された下部排紙部100を示す。図4は下部排紙部100に用紙Sが集積した状態を示す。
【0082】
下部排紙部100は折り処理され排出された用紙Sを集積する。下部排紙部100は、搬送ベルト101、用紙押さえ部材103及び用紙停止部材104を有する。搬送ベルト101は一対のプーリ102に張架される。
【0083】
搬送ベルト101、用紙停止部材104等は、下部排紙部100の枠体106により支持されている。なお、枠体106は図3に示すように、用紙を支持し集積する面を形成する。搬送ベルト101の搬送面及び枠体106の用紙支持面は図2、3に示されるように、排紙搬送方向Wの下流側が上流部側よりも高くなるように傾斜している。
【0084】
搬送ベルト101はその上に載っている用紙を矢印で示す排紙搬送方向Wに搬送し、用紙停止部材104に寄せるものであり、摩擦力で用紙Sを搬送する。したがって、搬送ベルト101はEPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)等のゴム材等、高摩擦性の材料からなる。
【0085】
用紙停止部材104は図1、3、4に示すように、その上面が、枠体106の用紙支持面及び搬送ベルト101と鈍角を形成するように傾斜して配置され、搬送ベルト101により搬送された用紙の先頭を止めて図4に示すように用紙Sを鱗状に搬送ベルト101上に集積する。
【0086】
搬送ベルト101は図3に示すように、用紙Sの排紙搬送方向Wに直交する幅方向に並列して2本設けられる。
【0087】
103は用紙後処理装置FSの排紙側壁部に回転自在に支持された用紙押さえ部材であり、図2に示すように用紙Sが通過しないときは、時計の8時に相当する角度に設定されており、用紙Sが通過すると、用紙に押されて時計方向に回転する。用紙押さえ部材103は自重により用紙Sを下方に押し、用紙Sの浮き上がりを押さえる。
【0088】
105は用紙後処理装置FSに取り付けられた排紙案内部材である。
【0089】
107は搬送ベルト101上に落下した用紙Sを排紙搬送方向Wに滑らせる滑り部材であり、排紙口E1、E2から排出された用紙Sの先端が下部排紙部100に着地する位置に設けられる。滑り部材107の幅方向の設置位置は搬送ベルト101の近傍である。用紙Sの着地位置は、排紙口E1、E2と下部排紙部100との位置関係や、用紙後処理装置FSからの用紙を排出速度、排出される用紙Sのサイズ及び枚数による変わる。しかしながら、着地位置の範囲は、様々な変動要因の全てに対してある領域内に限定される。したがって、滑り部材107の配置位置は排紙実験により求められる。また、滑り部材107の高さは搬送ベルト101の搬送面よりも僅かに高いように設定される。
【0090】
折り部50から排出された折り畳み用紙Sは、その先頭が着地した後に、後端が着地し、更に、搬送ベルト101により矢印で示す排紙搬送方向Wに搬送される。先頭の用紙Sは用紙停止部材104により止まるので、多数枚排出された用紙Sは図4のように、鱗状に重なって搬送ベルト101上に集積される。
【0091】
搬送ベルト101は用紙後処理装置FSの排紙口E1、E2における搬送速度、即ち、折り部50における搬送速度よりも低い速度で用紙Sを搬送する。これは、用紙を正しく積載させるために、前部に対する重なりを確保するためである。また、傾斜配置された搬送ベルト101は用紙Sが排出され、搬送ベルトにその先端が当接する時点で起動している。移動している搬送ベルト101に用紙Sが当接することにより、用紙先端の座屈が抑制される。
【0092】
搬送ベルト101の搬送速度を前記のように、用紙後処理装置FSの排紙口における搬送速度よりも遅くした場合、用紙Sの先端が、搬送ベルト101に着地したときに、用紙先端が座屈する場合がある。即ち、用紙Sが搬送ベルト101に当接したときに、用紙Sの先端よりも後ろの部分が先端を越えて前方に進んでしまい、用紙先端が反転し屈曲するという現象が起こる場合がある。
【0093】
滑り部材107を設けることにより、排紙口E1、E2から排出された用紙Sの先端は最初に、滑り部材107に当接し、滑り部材107上を排紙搬送方向Wに滑る。これにより、前記した用紙の屈曲、即ち、座屈が防止される。
【0094】
108は枠体106に形成されたリブである。リブ108は用紙Sの搬送性を良くするためのものであり、リブ108には滑り部材107のように、搬送ベルト101の搬送面との高さの関係に関する条件はない。
【0095】
滑り部材107の設置位置及び形状について、図5を参照して説明する。図5は滑り部材107の一例を示し、図5(a)は、搬送方向に直角な幅方向に沿った滑り部材107の断面図、図5(b)は搬送方向に沿った滑り部材107の断面図である。
【0096】
滑り部材107は枠体106を構成する板金を加工することにより枠体106から突出したリブとして形成される。なお、滑り部材107が、排出された用紙Sに当接する用紙受け面が搬送ベルト101よりも小さな摩擦抵抗を有することは前記に説明したとおりであるが、摩擦抵抗を小さくするために、滑り部材107の用紙受け面にフッ素樹層を設けても良い。搬送ベルト101の搬送面101Sと滑り部材107の用紙面の高さとの差Dとしては、例えば、1mm程度である。
【0097】
また、搬送ベルト101の幅方向端と滑り部材107の用紙受け面の幅方向端部との間隔Gは5mm〜20mm程度が好ましい。間隔Gが5mmよりも小さいと、搬送ベルト101が滑り部材107に接触し、搬送ベルト101の走行の障害になる場合がある。
【0098】
また、間隔Gが20mmよりも大きいと、用紙Sの先端が搬送ベルト101に接触し、座屈が発生しやすくなる。なお、図5の例では、滑り部材107の幅方向中心部が用紙受け面を形成しており、間隔Gは滑り部材107の中心とベルト101間の間隔である。
【0099】
着地位置から外れた領域には滑り部材107を設ける必要はない、したがって、滑り部材107の排紙搬送方向Wでの長さLは、例えば、70mm程度である。
【0100】
図6は滑り部材107の他の例を示し、幅方向に沿った滑り部材107の断面図である。この例では、滑り部材107の用紙受け面は幅方向に長さを有する平坦な面で形成される。
【0101】
この例における間隔Gは、ベルト101の端と滑り部材107の用紙受け面の端間の間隔である。
【符号の説明】
【0102】
A 画像形成装置
FS 用紙後処理装置
50 折り部
100 下部排紙部
101 搬送ベルト
103 用紙押さえ部材
104 用紙停止部材
107 滑り部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出された用紙を載せて搬送する搬送ベルトを有する用紙集積装置において、排出された用紙が着地する位置に滑り部材が設けられ、該滑り部材は、前記搬送ベルトの搬送面よりも高く、前記搬送ベルトの摩擦抵抗よりも小さな摩擦抵抗を有する用紙受け面を有することを特徴とする用紙集積装置。
【請求項2】
前記滑り部材は、前記搬送ベルトの搬送方向に直角な幅方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の用紙集積装置。
【請求項3】
前記搬送ベルトは、その搬送方向の下流側が上流側よりも高くなるように、傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の用紙集積装置。
【請求項4】
前記搬送ベルトの搬送方向下流側に設けられ、用紙を停止させる用紙停止部材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の用紙集積装置。
【請求項5】
用紙を折り処理する折り部及び該折り部により折り処理され、排出された用紙を受ける請求項1〜4のいずれか1項に記載の用紙集積装置を有することを特徴とする用紙後処理装置。
【請求項6】
搬送ベルトは前記用紙後処理装置の排紙口における搬送速度よりも遅い搬送速度で用紙を搬送することを特徴とする請求項5に記載の用紙後処理装置。
【請求項7】
画像形成装置及び請求項6に記載の用紙後処理装置を有することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−163235(P2010−163235A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5542(P2009−5542)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】