説明

用紙集積装置および後処理装置

【課題】用紙を複数の集積位置に仕分けて集積するような場合であっても、用紙ずれといった事態を抑制することにより、整合性に優れた用紙集積手法を提供する。
【解決手段】後処理制御部は、用紙を第1の集積位置と第2の集積位置とに仕分けて集積する場合、第1の集積位置と第2の集積位置とが重複する共通領域Rcを特定する。そして、後処理制御部は、共通領域Rc内でかつその中心位置Rccを挟んだ対称位置において後端押さえ動作がそれぞれ実行されるように、後端押さえ動作用の一対の押さえ部材54b,54cの位置をそれぞれ設定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙集積装置および後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成システムが知られている。この画像形成システムは、例えば電子写真方式の画像形成装置とともに、各種の後処理を行う後処理装置等を含む構成となっている。また、この画像形成システムにおいて、システム最後段の装置(例えば後処理装置)は、排紙部から排出される用紙を集積する用紙集積装置を備えている。用紙集積装置は、大量排紙を可能とするために、用紙を集積する排紙トレイが用紙の集積方向に昇降可能に構成されている。また、この用紙集積装置は、所定の周期でシフト動作を実行することにより、用紙を異なる集積位置に仕分けて集積することができるように構成されている。シフト動作は、例えば、用紙の搬送過程のあるタイミングで用紙の搬送位置を用紙幅方向(用紙搬送方向と直交する方向)に所定量だけ移動させたり、排紙トレイを所定量だけ移動させたりすることにより実行される。
【0003】
例えば特許文献1には、シフト動作に対応した用紙集積装置が開示されている。この用紙集積装置によれば、用紙排出毎に用紙押さえ部材を動作させることにより、用紙搬送方向を基準とした用紙の後端領域を用紙上面側から排紙トレイ(または最上面の用紙)へと押さえつけている。これにより、排紙トレイへの用紙着地時に用紙がずれるといった事態を抑制することができるので、整合性を所望のレベルで達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−23739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された手法によれば、用紙着地時の用紙ずれの抑制効果は得られるものの、シフト動作を考慮してさらなる工夫を施すことにより、用紙ずれの抑制をより実効性あるものにすることができる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、用紙を複数の集積位置に仕分けて集積するような場合であっても、用紙ずれといった事態を抑制することにより、整合性に優れた用紙集積手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、排紙部から排出された用紙を集積する排紙トレイと、用紙の排出方向と直行する用紙幅方向に並んで配置される第1の押さえ部材および第2の押さえ部材を備えた押さえ部と、第1の押さえ部材、第2の押さえ部材のそれぞれを用紙幅方向に沿って移動させる幅方向駆動部と、排紙部から排出される用紙の後端領域を用紙上面側から用紙載置面へと押さえ込むように第1の押さえ部材および第2の押さえ部材をそれぞれ動作させる押さえ駆動部と、排紙部からの用紙の排出に応じて押さえ駆動部を制御して後端押さえ動作を行うとともに、幅方向駆動部を制御する制御部とを有する用紙集積装置を提供する。この場合、制御部は、用紙を第1の集積位置と当該第1の集積位置から用紙幅方向に移行した第2の集積位置とに仕分けて集積する場合、第1の集積位置と第2の集積位置とが重複する共通領域を特定し、当該共通領域内でかつその中心位置を挟んだ対称位置において後端押さえ動作がそれぞれ実行されるように、第1の押さえ部材および第2の押さえ部材の位置をそれぞれ設定する。
【0008】
ここで、第1の発明において、押さえ部は、第1の押さえ部材および第2の押さえ部材と、第1の押さえ部材、第2の押さえ部材とともに用紙幅方向に並んで配置される第3の押さえ部材とを含む3つの押さえ部材で構成されており、制御部は、集積位置が移行する場合、移行前の集積位置に集積される最上面の用紙を対象として、集積位置の移行方向と反対側に相当する用紙の側端領域を第3の押さえ部材により押さえるシフト位置押さえ動作を行うことが好ましい。
【0009】
また、第1の発明において、制御部は、押さえ部を構成する3つの押さえ部材のうち、隣接する一対の押さえ部材を、後端押さえ動作用の第1の押さえ部材および第2の押さえ部材として割り当てるとともに、残余の押さえ部材を、シフト位置押さえ動作用の第3の押さえ部材として割り当てることが好ましい。
【0010】
また、第1の発明において、制御部は、用紙の集積位置が移行する場合、移行後の集積位置と対応して押さえ部を構成する3つの押さえ部材に対する割り当てを変更し、3つの押さえ部材の割り当ての変更と、移行後の集積位置とに応じて、当該押さえ部材のそれぞれの位置を設定することが好ましい。
【0011】
また、第1の発明において、制御部は、シフト位置押さえ動作を実行する場合の押さえ部材の押圧力を、後端押さえ動作を実行する場合の押さえ部材の押圧力よりも小さく設定することが好ましい。
【0012】
また、第1の発明は、排紙部から排出された用紙を用紙幅方向に揃える一対の規制部材と、規制部材のそれぞれを用紙幅方向に沿って移動させる規制部材駆動部とを有していてもよい。この場合、制御部は、規制部材駆動部を制御することにより、用紙の集積位置に合わせて一対の規制部材の位置を設定することが望ましい。
【0013】
また、第2の発明は、第1の発明のいずれかに記載の用紙集積装置と、画像形成装置により画像が形成された用紙を導入する導入部と、導入部からの用紙に所定の後処理を施す後処理部と、導入部からの用紙、あるいは後処理部からの用紙を、用紙集積装置に排出する排紙部とを有する後処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、後端押さえ動作用の一対の押さえ部材が、共通領域内でかつその中心位置を挟んだ対称位置に設定される。そのため、いずれの押さえ部材も、移行前の集積位置からずれた位置を押さえつけるといった事態もないので、最上面の用紙をずらしたり、用紙を折り曲げたりして、用紙の整合性を低下させるといった事態を抑制することができる。また、2カ所でバランス良く用紙の後端領域を押さえることができるので、用紙ずれを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成システムの全体構成を模式的に示す説明図
【図2】用紙集積装置50の構成を模式的に示す説明図
【図3】規制部材53a,53bの動作を示す説明図
【図4】押さえ部材の動作を示す説明図
【図5】画像形成システムの制御系を模式的に示すブロック図
【図6】共通領域Rcおよび後端押さえ動作用の押さえ部材54a〜54cの位置の設定概念を示す説明図
【図7】用紙集積動作を示すフローチャート
【図8】用紙集積動作を示すタイミングチャート
【図9】後端押さえ動作用の一対の押さえ部材(54b,54c)およびシフト位置押さえ動作用の押さえ部材(54a)の位置を示す説明図
【図10】共通領域Rcから外れた位置において後端押さえ動作を行った状態を示す説明図
【図11】シフト位置押さえ動作用の押さえ部材を用いない状態の用紙集積状態を示す説明図
【図12】後端押さえ動作用の一対の押さえ部材(54b,54c)およびシフト位置押さえ動作用の押さえ部材(54a)の位置を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施形態に係る画像形成システムの全体構成を模式的に示す説明図である。この画像形成システムは、画像形成装置1と、後処理装置2とを有する。
【0017】
画像形成装置1は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置であり、画像データに基づいて用紙Pに画像を形成する。画像形成装置1は、原稿読取装置5と、感光体11と、帯電部12と、像露光部13と、現像部14と、転写部15Aと、分離部15Bと、クリーニング装置16と、定着装置18と、画像形成制御部100(図5参照)とを有する。
【0018】
原稿読取装置5は、画像形成装置1本体の筐体上部に配置され、画像を読み取る際に原稿を自動的に移動させる自動原稿送り部を備えている。この原稿読取装置5は、原稿に形成された画像を読み取り、所定の画像信号を出力する。出力された画像信号は、A/D変換が施されることにより画像データとして作成される。
【0019】
原稿読取装置5が備える画像読取制御部110(図5参照)は、画像データに、シェーディング補正やディザ処理、圧縮等の処理を施し、この処理により得られるデータを最終的な画像データとして画像形成制御部100に出力する。なお、画像形成制御部100は、画像読取制御部110から画像データを取得するのみならず、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータや他の画像形成装置から画像データを受信してもよい。
【0020】
感光体11は、帯電部12によりその表面が一様に帯電させられる。像露光部13は、画像データを基に画像形成制御部100から出力される出力情報に対応して、レーザビームにより感光体11の表面を走査露光する。これにより、一様に帯電した感光体11の表面に潜像が形成される。現像部14はトナーにより当該潜像を反転現像し、これにより、感光体11の表面にトナー画像が形成される。
【0021】
用紙トレイ17Aに収納された用紙Pは、転写部15Aへ給紙される。転写部15Aは、感光体11の表面上のトナー画像を用紙Pへ転写し、その後、分離部15Bは、トナー画像が転写された用紙Pを感光体11から分離する。クリーニング装置16は、転写部15Aによりトナー画像が用紙Pに転写された後の感光体11の表面に残留しているトナーを除去する。
【0022】
中間搬送部17Bは、分離された用紙Pを定着装置18へ搬送する。定着装置18は、用紙Pに対する加熱および加圧により定着処理を施す。排紙部17Cは、定着処理が施された用紙Pを後処理装置2へ排出(供給)する。
【0023】
一方、用紙Pの両面に画像形成を行う場合、定着装置18により定着処理が施された用紙Pは、搬送経路切換板17Dにより、その搬送方向が排紙部17C側から下方(反転搬送部17E)側へと切り換えられる。反転搬送部17Eは、用紙Pをスイッチバックすることにより用紙Pの表裏を反転させた上で用紙Pを転写部15Aへ搬送する。転写部15Aは、トナー画像を用紙Pの裏面へ転写し、当該用紙Pは定着装置18を経て、排紙部17Cから後処理装置2へ供給される。
【0024】
後処理装置2は、画像形成装置1の後段に配置されており、当該画像形成装置1から排出される用紙Pに対して後処理を行う。本実施形態にかかる後処理装置2が行う後処理は、例えば、ステープル処理、すなわち、複数枚の用紙Pに対してステープルを施す処理である。後処理装置2は、導入部20と、中間スタッカ40と、ステープル部43と、用紙集積装置50と、後処理制御部200(図5参照)とを主体に構成されている。
【0025】
導入部20は、画像形成装置1から排出された用紙Pを後処理装置2の内部に導入する。この導入部20は、画像形成装置1の排紙部17Cと対応するように、その位置が設定されている。
【0026】
ここで、導入部20から導入された用紙Pに関する搬送経路の概要について説明する。導入部20下流の搬送経路は、第1の搬送経路R1と、第2の搬送経路R2と、第3の搬送経路R3とに分岐しており、導入部20からの用紙Pは、切換ゲート(図示せず)の切り換えに応じて、いずれかの搬送経路R1〜R3に供給される。ステープル処理を行うことなく用紙Pを機外のトレイに排出する場合、切換ゲートは、第1の搬送経路R1または第2の搬送経路に設定される。一方、ステープル処理を行う場合、切換ゲートは、第3の搬送経路R3に設定される。なお、ステープル処理を行うことなく用紙Pを機外のトレイに排出する場合であっても、後述するシフト動作を行う場合には、切換ゲートは、第3の搬送経路R3に設定される。各搬送経路R1〜R3は、多数の搬送ローラとガイド部材とにより構成されている。
【0027】
第1の搬送経路R1は、導入部20からの用紙Pをサブ排紙トレイ60に搬送するための経路である。このサブ排紙トレイ60は、機外の上部に配置されている。サブ排紙トレイ60は、許容する積載量が少ないことから、例えば厚紙などといった特殊な用紙Pに対する少量排紙の際に利用される。
【0028】
第2の搬送経路R2は、導入部20からの用紙Pを用紙集積装置50の排紙トレイ51に搬送するための経路である。第2の搬送経路R2の最後段には、排紙部としての第1の排紙ローラ25が配置されており、第2の搬送経路R2に従って搬送された用紙Pは、第1の排紙ローラ25によって排紙トレイ51へと排出される。
【0029】
第3の搬送経路R3は、導入部20からの用紙Pを中間スタッカ40に搬送するための経路である。第3の搬送経路R3の最後段には、排紙部としての第2の排紙ローラ26が配置されている。この第2の排紙ローラ26は、中間スタッカ40の上方(具体的には、中間スタッカ40に集積される用紙面を基準として当該用紙面よりも上方)に配置されており、第3の搬送経路R3に従って搬送された用紙Pを中間スタッカ40に排出する。中間スタッカ40上の用紙(あるいは用紙束)は、搬送ベルト42により搬送された後、第2の搬送経路R2の一部をなす第1の排紙ローラ25により、排紙トレイ51に排出される。
【0030】
なお、画像形成装置1から排出される用紙Pとは別ルートで後処理装置2に用紙Pを導入することを可能にするため、後処理装置2には、用紙供給ユニット30が備えられている。この用紙供給ユニット30は、給紙用トレイと、用紙送り機構とで構成されており、給紙用トレイに載置された用紙Pは、用紙送り機構によって取り込まれた後に、所定の搬送経路を経て、導入部20下流側の搬送経路へと搬送される。
【0031】
中間スタッカ40は、ステープル部43によるステープル処理に供するために、第2の排紙ローラ26から排出される用紙Pを順次集積する機能を担っている。また、この中間スタッカ40は、後述するシフト動作を行う場合、用紙Pの集積位置に応じて用紙Pの搬送位置を用紙幅方向(用紙搬送方向と直行する方向)にずらすため、用紙Pを一時的に載置する機能も担っている。
【0032】
中間スタッカ40は、当該中間スタッカ40に載置される用紙Pの先端部がその後端部よりも上向きとなるように傾斜した格好で配置されている。第2の排紙ローラ26から排出された用紙Pは、中間スタッカ40上またはその上に集積されている最上面の用紙上に落下すると、中間スタッカ40の傾斜面または最上面の用紙面上を下降し、用紙Pの後端部が後端ガイド板(図示せず)に当接して停止する。
【0033】
中間スタッカ40の周囲には、整合部材41や、用紙搬送部42が配置されている。
【0034】
整合部材41は、ステープル処理に際し、中間スタッカ40に順次集積される用紙Pの側端(用紙搬送方向と平行する用紙Pの端部)の位置を整合する。整合部材41としては、例えば、用紙幅方向に往復動する一対の可動板で構成されている。整合部材41は、第2の排紙ローラ26から用紙Pが排出される度に動作し、用紙Pの側端とそれぞれ当接することにより、中間スタッカ40に集積される最上面の用紙Pに対する側端位置の整合を行う。
【0035】
また、この整合部材41は、シフト動作時には、第2の排紙ローラ26から用紙Pが排出される度に動作し、用紙幅方向における用紙Pの搬送位置を設定する。具体的には、整合部材41は、用紙Pの側端と当接してこれを移動させることにより、用紙Pの搬送位置を用紙幅方向に沿って移動させる。そして、用紙Pの移動が完了すると、当該用紙Pは、用紙搬送部42により、第1の搬送ローラ25へと搬送される。各用紙Pに対する搬送位置設定において、用紙幅方向の移動量および移動方向は、排紙トレイ51における用紙Pの集積位置に応じて設定される。
【0036】
用紙搬送部42は、中間スタッカ40に載置された用紙P(あるいは、ステープル処理が施された複数枚の用紙P)を当該中間スタッカ40から第1の排紙ローラ25へと搬送する。用紙搬送部42は、例えば、用紙幅方向に整列する一対のコンベアー機構で構成されている。個々のコンベアー機構は、駆動プーリーと、従動プーリーと、これらのプーリーの間に掛け渡されるタイミングベルトとで構成されている。用紙搬送部42は、駆動プーリーの回転駆動にともない搬送ベルトを回転させることで、中間スタッカ40上に載置されている用紙Pを第1の排紙ローラ25へと搬送する。
【0037】
ステープル部43は、ステープル針を打ち出すステープラーと、当該ステープル針を用紙Pに沿って折り曲げるクリンチャーとで構成されている。このステープル部43は、中間スタッカ40に集積された複数枚の用紙Pを対象として、予め定めた位置および向きに従ってステープルを施すことにより、ステープル処理を行う。例えば、ステープル部43は、用紙束の後端部近傍にステープルを施すことにより端部綴じを行う。
【0038】
用紙集積装置50は、第1の排紙ローラ25から排出された用紙Pを集積する装置であり、用紙トレイ51と、昇降機構52とを備えている。用紙トレイ51は、第1の排紙ローラ25から排出された用紙Pを順次集積するトレイであり、昇降機構52により用紙積載方向W1に沿って昇降可能に構成されている。
【0039】
図2は、用紙集積装置50の構成を模式的に示す説明図であり、当該説明図は、用紙集積装置50を用紙トレイ51上方より眺めた状態を模式的に示している。本実施形態にかかる用紙集積装置50は、シフト動作を行うために、一対の規制部材53a,53bと、3つの押さえ部材54a,54b,54cとをさらに有している。ここで、シフト動作とは、第1の排紙ローラ25から排出される用紙Pを、第1の集積位置と、この第1の集積位置から用紙幅方向W2に所定量(移行量)だけ移行した第2の集積位置とに仕分けて集積する処理である。本実施形態では、中間スタッカ40を経由した用紙Pの搬送を通じて、整合部材41により用紙幅方向における用紙Pの搬送位置を集積位置に応じて予め設定することにより、シフト動作を実現している。なお、第1の集積位置に集積される用紙Pを特定する場合には、「Pa」で表記し、第2の集積位置に集積された用紙Pを特定する場合には、「Pb」で表記するという。
【0040】
一対の規制部材53a,53bは、第1の排紙ローラ25から排出され用紙Pを用紙幅方向W2に揃える部材であり、個々の規制部材53a,53bは、用紙幅方向W2に並んで配置されている。また、規制部材53a,53bのそれぞれは、用紙幅方向W2に沿って移動可能に構成されており、用紙Pの用紙幅方向W2のサイズに応じて一対の規制部材53a,53bの間隔を調整したり、用紙Pの集積位置に応じて各規制部材53a,53bの位置を調整したりすることができる。
【0041】
具体的には、第2の集積位置への用紙Pbの集積時、一方の規制部材53aを固定し、他方の規制部材53bを用紙幅方向W2に移動させて、用紙Pbを一方の規制部材53aに押し当てる一方向揃えを行う。また、第1の集積位置への用紙Paの集積時、他方の規制部材53bを固定し、一方の規制部材53aを用紙幅方向W2に移動させて、用紙Paを他方の規制部材53bに押し当てる他方向揃えを行う。
【0042】
図2および図3を参照し、例えば、第1の集積位置から移行し、第2の集積位置にて用紙Pbを集積するシーンを想定して、一方向揃えの動作を説明する。
【0043】
第2の集積位置にて用紙Pbの集積を開始する場合、一対の規制部材53a,53bは、図2の破線位置から実線位置で示すように、第2の集積位置に応じた位置に移動する。一対の規制部材53a,53bは、所定の軸に回転自在に支持されており、図示しないストッパにより、その先端が所定の下限位置に保持されている。具体的には、一方の規制部材53aは、図3(a)に示すように、排紙トレイ51上の用紙Pa(第1の集積位置の最上面の用紙Pa)上に載っており、他方の規制部材53bは、同図(b)に示すように、用紙Pbの用紙幅方向の側端を押す位置となる。
【0044】
第2の集積位置に集積される1枚目の用紙Pbが排紙トレイ51上に排出されると、当該用紙Pbは、第1の集積位置に集積された最上面の用紙Paの上に載置される。そして、他方の規制部材53bは、用紙幅方向W2に往復動して用紙Pを一方の規制部材53aに押し当てる。このような他方の規制部材53bの動作は、用紙Pが排出される度に実行され、これにより、第2の集積位置に集積される用紙Pに対する一方向揃えが行われる。
【0045】
再び図2を参照するに、3つの押さえ部材54a〜54cは、用紙幅方向W2に並んで配置されている。個々の押さえ部材54a〜54bは、用紙幅方向W2に沿って移動可能に構成されており、用紙Pの集積位置に応じて各押さえ部材54a,54bの位置を調整することができる。
【0046】
具体的には、3つの押さえ部材54a〜54cのうち、隣接する一対の押さえ部材54a,54b(54b,54c)は、後述する後端押さえ動作用の押さえ部材として割り当てられ、残余の押さえ部材54c(54a)は、後述するシフト位置押さえ動作用の押さえ部材として割り当てられる。各押さえ部材54a〜54cの割り当ては、用紙Pの集積位置が移行する場合には、移行後の集積位置と対応して変更される。
【0047】
図4(a),(b)に示すように、後端押さえ動作用として割り当てられた押さえ部材54a〜54cは、用紙Pの排出に応じて、当該用紙Pの後端領域を用紙上面側から用紙載置面へと押さえ込むように動作する(後端押さえ動作)。ここで、用紙載置面とは、排紙トレイ51に用紙Pが一枚も集積されていない場合には、排紙トレイ51がこれに該当し、排紙トレイ51に用紙Pが一枚以上集積されている場合には、最上面の用紙Pがこれに該当する。
【0048】
一方、シフト位置押さえ動作用として割り当てられた押さえ部材54a〜54cは、用紙Pの集積位置が移行する場合、移行前の集積位置に集積された最上面の用紙Pを対象として、集積位置の移行方向と反対側に相当する用紙Pの側端領域を押さえる(シフト位置押さえ動作)。
【0049】
図2を参照し、例えば、第1の集積位置から移行し、第2の集積位置にて用紙Pbを集積するシーンを想定する。このシーンでは、左右両端側の押さえ部材54a,54cのうち、第1の集積位置側に位置する押さえ部材54aが、シフト位置押さえ動作用の押さえ部材として割り当てられる。そして、この押さえ部材54aは、図2の実線位置から破線位置で示すように、用紙幅方向W2に沿って所定量だけ移動する。そして、押さえ部材54aは、移行前の集積位置に集積される最上面の用紙Paを対象として、用紙Paの側端領域、具体的には、第1の集積位置と第2の集積位置とのオフセット領域を押さえる。
【0050】
図5は、本実施形態にかかる画像形成システムの制御系を模式的に示すブロック図である。この画像形成システムの制御系は、画像形成制御部100と、後処理制御部200とで構成されている。これらの各制御部100,200は、互いに通信可能に構成されている。
【0051】
画像形成制御部100は、画像形成装置1を制御するとともに、後処理制御部200を制御することにより画像形成システム全体を統合的に制御する機能を担っている。画像形成制御部100としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。
【0052】
画像形成制御部100は、画像読取制御部110等より入力された画像データを取得する。また、画像形成制御部100は、入力された画像データに基づいて、画像形成装置1の各部を制御し、入力された画像データに応じた画像を用紙Pに形成する。具体的には、画像形成制御部100は、画像形成部120、用紙トレイ17Aから用紙Pを給紙する給紙部130、用紙Pを搬送する搬送部140をそれぞれ制御する。ここで、画像形成部120は、感光体11、帯電部12、像露光部13、現像部14、転写部15A、分離部15Bおよび定着装置18といった画像形成を担う各要素を機能的に示すものである。
【0053】
操作部150は、ユーザによって設定される種々の情報を画像形成制御部100に出力する。操作部150としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部150を通じて、ユーザは、印刷条件、例えば、シフト動作の要否の選択や、シフト動作時の移行量の設定または選択、用紙Pの種類(例えば、重量)、画像の濃度や倍率、後処理(ステープル処理)の有無の設定などをすることができる。また、画像形成制御部100は、操作部150を制御することにより、当該操作部150を介してユーザに種々のメッセージを表示することができる。
【0054】
通信部160は、自己の装置に接続する後処理装置2との通信を確立する入出力部として機能する。これにより、画像形成制御部100は、通信部160を介して後処理装置2の後処理制御部200と相互に通信を行うことができる。
【0055】
後処理制御部200は、後処理装置2を制御する機能を担っている。後処理制御部200としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。
【0056】
後処理制御部200は、用紙Pを搬送する搬送部210を制御したり、整合部材41を駆動する整合駆動部220を制御したり、ステープル部54のステープラーおよびクリンチャーを駆動するためのステープル駆動部230を制御したりする。また、後処理制御部200は、昇降機構52の一部として排紙トレイ51を昇降駆動する昇降駆動部240を制御し、これにより、排紙トレイ51に集積された用紙Pの最上面が規定の高さ位置を保持するように、用紙Pの集積数に応じて用紙トレイ51を昇降する。さらに、後処理制御部200は、一対の規制部材53a,53bを用紙幅方向W2に沿って移動させる規制部材駆動部250を制御する。
【0057】
また、後処理制御部200は、押さえ部材駆動部260を制御して、後端押さえ動作およびシフト位置押さえ動作を実行する。また、後処理制御部200は、この押さえ部材駆動部260を制御することにより、3つの押さえ部材54a〜54cを用紙幅方向W2に沿ってそれぞれ移動させることができる。このように、本実施形態の押さえ部材駆動部260は、後端押さえ動作またはシフト位置押さえ動作に従って押さえ部材54a〜54cをそれぞれ動作させる押さえ駆動部と、押さえ部材54a〜54cのそれぞれを用紙幅方向に沿って移動させる幅方向駆動部としての機能を担っている。
【0058】
本実施形態との関係において、後処理制御部200は、用紙Pを第1の集積位置と第2の集積位置とに仕分けて集積する場合、第1の集積位置と第2の集積位置とが重複する共通領域を特定する。そして、後処理制御部200は、共通領域内で後端押さえ動作がそれぞれ実行されるように、後端押さえ動作用の押さえ部材54a〜54cの位置をそれぞれ設定する。
【0059】
図6は、共通領域Rcおよび後端押さえ動作用の押さえ部材54a〜54cの位置設定に関する概念を示す説明図である。具体的には、後処理制御部200は、後端押さえ動作用の押さえ部材54a〜54cの押さえ位置を、共通領域Rcの中心位置Rccを挟んだ対称位置F1,F2とする。特に本実施形態において、対称位置F1,F2は、共通領域Rcの中心位置Rccと、共通領域Rcの端部位置との中間位置に設定される。この場合、各対称位置F1,F2は、第2の集積位置に集積される用紙Pの端部を基準とする距離Sa,Sbでそれぞれ与えられる。
【0060】
(数式1)
Sa=((W+L)/2)+((W−L)4)
(数式2)
Sb=((W+L)/2)−((W−L)4)
【0061】
同数式において、Wは用紙Pの用紙幅方向W2における長さであり、Lは、第1の集積位置と第2の集積位置との間の移行量を示す。
【0062】
また、後処理制御部200には、用紙検出部270からの検出信号が入力されている。この用紙検出部270は、例えば、第1の排紙ローラ25の近傍に配置されており、第1の排紙ローラ25から用紙Pが排出されるタイミングを検出することができる。
【0063】
通信部280は、自己の装置に接続する画像形成装置1との通信を確立する入出力部として機能する。これにより、後処理制御部200は、通信部280を介して画像形成装置1の画像形成制御部100と相互に通信を行うことができる。
【0064】
図7は、本実施形態にかかる用紙集積動作を示すフローチャートである。また、図8は、用紙集積動作を示すタイミングチャートであり、用紙2枚毎に集積位置を移動するシフト動作を例示している。このフローチャートに示す処理は、ユーザによる印刷開始指令をトリガーとして、後処理制御部200によって実行される(タイミングt0)。
【0065】
なお、図7に示すフローチャートでは、押さえ部材54a〜54cの動作を主体的に説明するため、その他の動作については説明を省略するが、後処理制御部200は、一対の規制部材53a,53bを用紙排出または集積位置の移行に併せて動作・移動させたり、用紙Pの集積量に応じて排紙トレイ51を下降動作させている。
【0066】
まず、ステップ10(S10)において、後処理制御部200は、ユーザが指定した印刷条件として、シフト動作が選択されているか否かを判断する。このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、シフト動作が選択されている場合には、ステップ11(S11)に進む。ステップ10において否定判定された場合、すなわち、シフト動作が選択されていない場合には、後述するステップ14(S14)に進む。
【0067】
ステップ11において、後処理制御部200は、排紙トレイ51に用紙Pがあるか否かを判断する。このステップ11において肯定判定された場合、すなわち、排紙トレイ51に用紙Pがない場合には、ステップ12(S12)に進む。一方、ステップ11において否定判定された場合、すなわち、排紙トレイ51に用紙Pがある場合には、後述するステップ17(S17)に進む。
【0068】
ステップ12において、後処理制御部200は、押さえ部材54a〜54cの割り当て設定を行う。例えば、初期設定として、最初の集積位置を第1の集積位置とする場合、後処理制御部200は、図2に示すように、3つの押さえ部材54a〜54cのうち、第1の集積位置側に配列された、隣接する一対の押さえ部材54a,54bを後端押さえ動作用の押さえ部材として割り当てる。
【0069】
ステップ13(S13)において、後処理制御部200は、用紙Pのサイズや、移行量に基づいて、第1の集積位置と第2の集積位置とが重複する共通領域Rcを特定する。そして、後処理制御部200は、後端押さえ動作用の押さえ部材54a,54bを、前述の対称位置F1,F2へと移動させる(タイミングt1:図8参照)。
【0070】
ステップ14(S14)において、後処理制御部200は、用紙Pが第1の排紙ローラから排出されたか否かを判断する。このステップ14において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pが第1の排紙ローラから排出された場合には、ステップ15(S15)に進む。一方、ステップ14において否定判定された場合、すなわち、用紙Pが第1の排紙ローラ25から排出されていない場合には、ステップ14の処理を再度行う。
【0071】
ステップ15において、後処理制御部200は、第1の排紙ローラ25から排出された用紙Pを対称として、後端押さえ動作を行う(タイミングt2)。これにより、第1の排紙ローラ25から排出された用紙Pは、用紙載置面へと落下する際、後端押さえ動作用との押さえ部材54a〜54cによって用紙載置面へと押さえ込まれる。
【0072】
ステップ16(S16)において、後処理制御部200は、先に排出された用紙Pが最終紙であるか否かを判断する。このステップ16において肯定判定された場合、すなわち、用紙Pが最終紙である場合には、本ルーチンを終了する。一方、ステップ16において否定判定された場合、すなわち、用紙Pが最終紙である場合には、ステップ10の処理に戻る。
【0073】
一方、前述のステップ11において排紙トレイ51に用紙Pがあると判断された場合には、ステップ17において、後処理制御部200は、次回にシフト動作があるか、すなわち、次回に排出される用紙Pが現在の集積位置から移行した新たな集積位置にて行われるか否かを判断する。このステップ17において肯定判定された場合、すなわち、次回にシフト動作がある場合には、ステップ18(S18)に進む。一方、ステップ17において否定判定された場合、すなわち、次回にシフト動作がない場合には、前述したステップ14に進み、第1の排紙ローラ25から用紙Pが排出されたことを条件に、後端押さえ動作を行う(例えばタイミングt3)。
【0074】
ステップ18において、後処理制御部200は、押さえ部材54a〜54cに対する割り当てを変更する。例えば、第1の集積位置から第2の集積位置へと移行する場合、後処理制御部200は、図2に示すように、3つの押さえ部材54a〜54cのうち、第2の集積位置側に配列された、隣接する一対の押さえ部材54b,54cを後端押さえ動作用の押さえ部材として割り当てる。また、後処理制御部200は、3つの押さえ部材54a〜54cのうち、残余の押さえ部材54a、すなわち、移行前の第1の集積位置側に配列された押さえ部材54aをシフト位置押さえ動作用の押さえ部材として割り当てる。
【0075】
ステップ19(S19)において、後処理制御部200は、3つの押さえ部材54a〜54cを移動させ、割り当ての変更に応じて、3つの押さえ部材54a〜54cの位置を設定する(タイミングt4)。
【0076】
ステップ20(S20)において、後処理制御部200は、移行前の集積位置の最上面に位置する用紙P、すなわち、現在最上面に位置する用紙Pを対称として、シフト位置押さえ動作を行う(タイミングt5)。これにより、最上面に集積される用紙Pが、その端部領域において、シフト位置押さえ動作用の押さえ部材54a〜54cにより、集積方向W1の下方へと押さえつけられる。
【0077】
そして、前述したステップ14に進み、第1の排紙ローラ25から用紙Pが排出されたことを条件に、後端押さえ動作を行い(タイミングt6)、前述の処理が最終紙に至るまで繰り返し実行される。
【0078】
このように本実施形態によれば、後処理制御部200は、用紙Pを第1の集積位置と第2の集積位置とに仕分けて集積する場合、第1の集積位置と第2の集積位置とが重複する共通領域Rcを特定する。そして、後処理制御部200は、図9に示すように、共通領域Rc内でかつその中心位置Rccを挟んだ対称位置F1,F2において後端押さえ動作がそれぞれ実行されるように、後端押さえ動作用の一対の押さえ部材(54b,54c)の位置をそれぞれ設定している。
【0079】
図10は、共通領域Rcから外れた位置において後端押さえ動作を行った状態を示す説明図である。同図に示すように、シフト動作により集積位置が移行した際には、一対の押さえ部材が最上面の用紙Pb上に存在する場合であっても、一方の押さえ部材が、移行前の集積位置から外れた場所を押さえつけてしまう可能性がある。この場合、一方の押さえ部材が、最上面の用紙Pbをずらしたり、用紙Pbを折り曲げたりし、これにより、用紙の整合性を低下させてしまう虞がある。
【0080】
これに対して、他方の押さえ部材は共通領域に存在し、共通領域で後端押さえ動作を実行することは可能である。しかしながら、かかる形態では、用紙Pを一カ所で押さえつける格好となるため、一方の押さえ部材あるいは他の要因に起因して用紙Pに外力が働いた場合には、当該押さえ位置を中心として用紙Pが回転してしまい、用紙ずれを効果的に抑制することが難しい。
【0081】
また、生産性向上の観点から用紙Pの排出間隔が小さくなるほど、後端押さえ動作を高速で行うことが要求される。この場合には、後端押さえ動作用の押さえ部材54a〜54cを大きな動力で駆動することとなるため、用紙Pの後端領域の押さえ込みは比較的大きな力で実行される。そのため、適切な手法で用紙Pの押さえ込みを行わないと、押さえ部材54a〜54cのパワーに起因して用紙Pにずれが生じてしまう虞がある。
【0082】
この点、本実施形態によれば、後端押さえ動作用の一対の押さえ部材が、共通領域Rc内でかつその中心位置Rccを挟んだ対称位置に設定されるので、前述に述べた不都合を解消することができる。すなわち、いずれの押さえ部材も、移行前の集積位置からずれた位置を押さえつけるといった事態もないので、最上面の用紙をずらしたり、用紙を折り曲げたりして、用紙の整合性を低下させてといった事態を抑制することができる。また、2カ所でバランス良く用紙Pの後端領域を押さえることができるので、用紙ずれを効果的に抑制することができる。
【0083】
特に、本実施形態によれば、対称位置F1,F2を、共通領域Rcの中心位置Rccと、共通領域Rcの端部位置との中間位置にそれぞれ設定しているため、バランスよく用紙Pの後端領域を押さえることができる。これにより、用紙ずれを効果的に押さえることができない。
【0084】
また、本実施形態において、後処理制御部200は、集積位置が移行する場合、移行前の集積位置に集積される最上面の用紙Pを対象として、集積位置の移行方向と反対側に相当する用紙Pの側端領域を、シフト位置押さえ動作用の押さえ部材54a〜54cにより押さえている(シフト位置押さえ動作)。
【0085】
図11は、シフト位置押さえ動作用の押さえ部材を用いない状態の用紙集積状態を示す説明図である。同図に示すように、集積位置を移行した場合、新たな集積位置へと用紙Paが排出されることにより、移行前の集積位置に集積された用紙Paにずれが生じてしまうことが起こりえる。この点、本実施形態によれば、シフト位置押さえ動作を実行することにより、このような用紙Pのずれの発生を未然に抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態において、後処理制御部200は、3つの押さえ部材54a〜54cのうち、隣接する一対の押さえ部材54a,54b(54b,54c)を、後端押さえ動作用の押さえ部材として割り当てるとともに、残余の押さえ部材54c(54a)を、シフト位置押さえ動作用の押さえ部材として割り当てている。そして、後処理制御部200は、用紙Pの集積位置が移行する場合、移行後の集積位置と対応して3つの押さえ部材54a〜54cに対する割り当てを変更し、3つの押さえ部材54a〜54cの割り当ての変更と、移行後の集積位置とに応じて、押さえ部材54a〜54cのそれぞれの位置を設定している。
【0087】
かかる構成によれば、図12に示すように、全ての押さえ部材54aに特定の役割を与えるのではなく、集積位置の移行に応じて、後端押さえ動作用またはシフト位置押さえ動作用の機能を選択的に割り当てている。これにより、少ない個数の押さえ部材54a〜54cでも、その機能を妨げることなく、効率的に各押さえ動作を実行することができるので、装置構成の雑化や大型化といった事態を避けることができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、後処理制御部200は、用紙Pの集積位置に合わせて一対の規制部材53a,53bの位置を設定している。
【0089】
かかる規制部材53a,53bを備えることで、各集積位置での用紙Pの整合性の向上を図ることができる。特に、同一の集積位置での集積枚数が増加すればする程、排出される用紙Pが規制部材53a,53bと確実に干渉し、高い整合性能を得ることができる。ただし、この規制部材53a,53bは、いずれかの規制部材53a,53bが、移行前の集積位置に集積された用紙P上に当接あるいは近接した格好となっているため、集積位置を移行した直後では、移行前の集積位置に集積された用紙Pと、当該用紙面上の規制部材53a,53bと間に隙間などが生じていることもあり、用紙Pのずれを招来してしまうことも有りあえる。
【0090】
この点、本実施形態によれば、後端押さえ動作を行うことにより、このような不都合を適切に抑制することができる。また、規制部材53a,53bは、集積位置の移行に応じて移動するため、移行前の用紙Pを規制する作用はないが、シフト位置押さえ動作を併用することにより、用紙ずれを一層効果的に抑制することができる。
【0091】
なお、本実施形態において、後処理制御部200は、シフト位置押さえ動作を実行する場合の押さえ部材54a〜54cの押圧力を、後端押さえ動作を実行する場合の押さえ部材54a〜54cの押圧力よりも小さく設定することができる。
【0092】
かかる構成によれば、用紙Pを優しく押さえつけることができるので、シフト位置押さえ動作を実行する際に、その押さえ部材54a〜54cの押さえ込みによって用紙Pがずれてしまうといった不都合を抑制することができる。
【0093】
なお、上述した実施形態では、用紙Pの搬送位置をずらすことにより、シフト動作を実行しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、集積位置の移行に応じて、排紙トレイ51を用紙幅方向に移動させてもよいし、集積位置の移行に応じて、一対の規制部材53a,53bにより排出される用紙Pを用紙幅方向に移動させてもよい。
【0094】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。上述した実施形態では、用紙集積装置の制御を後処理装置の制御部が実行しているが、用紙集積装置が独自の制御部を備えても良いし、画像形成装置の制御部が用紙集積装置を制御してもよい。また、上述した実施形態では、用紙集積装置を後処理装置に適用しているが、画像形成装置等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成装置
5 原稿読取装置
11 感光体
12 帯電部
13 像露光部
14 現像部
15A 転写部
17A 用紙トレイ
18 定着装置
100 画像形成制御部
2 後処理装置
20 導入部
25 第1の排紙ローラ
40 中間スタッカ
41 整合部材
42 用紙搬送部
43 ステープル部
50 用紙集積装置
51 排紙トレイ
52 昇降機構
53a,53b 規制部材
54a〜54c 押さえ部材
60 サブ排紙トレイ
200 後処理制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排紙部から排出された用紙を集積する排紙トレイと、
用紙の排出方向と直行する用紙幅方向に並んで配置される第1の押さえ部材および第2の押さえ部材を備えた押さえ部と、
前記第1の押さえ部材、前記第2の押さえ部材のそれぞれを用紙幅方向に沿って移動させる幅方向駆動部と、
前記排紙部から排出される用紙の後端領域を用紙上面側から用紙載置面へと押さえ込むように前記第1の押さえ部材および前記第2の押さえ部材をそれぞれ動作させる押さえ駆動部と、
前記排紙部からの用紙の排出に応じて前記押さえ駆動部を制御して後端押さえ動作を行うとともに、前記幅方向駆動部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、用紙を第1の集積位置と当該第1の集積位置から用紙幅方向に移行した第2の集積位置とに仕分けて集積する場合、前記第1の集積位置と前記第2の集積位置とが重複する共通領域を特定し、当該共通領域内でかつその中心位置を挟んだ対称位置において前記後端押さえ動作がそれぞれ実行されるように、前記第1の押さえ部材および前記第2の押さえ部材の位置をそれぞれ設定することを特徴とする用紙集積装置。
【請求項2】
前記押さえ部は、前記第1の押さえ部材および前記第2の押さえ部材と、前記第1の押さえ部材、前記第2の押さえ部材とともに前記用紙幅方向に並んで配置される第3の押さえ部材とを含む3つの押さえ部材で構成されており、
前記制御部は、前記集積位置が移行する場合、移行前の集積位置に集積される最上面の用紙を対象として、集積位置の移行方向と反対側に相当する用紙の側端領域を前記第3の押さえ部材により押さえるシフト位置押さえ動作を行うことを特徴とする請求項1に記載された用紙集積装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記押さえ部を構成する3つの押さえ部材のうち、隣接する一対の押さえ部材を、後端押さえ動作用の前記第1の押さえ部材および前記第2の押さえ部材として割り当てるとともに、残余の押さえ部材を、シフト位置押さえ動作用の前記第3の押さえ部材として割り当てることを特徴とする請求項2に記載された用紙集積装置。
【請求項4】
前記制御部は、用紙の集積位置が移行する場合、移行後の集積位置と対応して前記押さえ部を構成する3つの押さえ部材に対する割り当てを変更し、
前記3つの押さえ部材の割り当ての変更と、移行後の集積位置とに応じて、当該押さえ部材のそれぞれの位置を設定することを特徴とする請求項3に記載された用紙集積装置。
【請求項5】
前記制御部は、シフト位置押さえ動作を実行する場合の前記押さえ部材の押圧力を、後端押さえ動作を実行する場合の前記押さえ部材の押圧力よりも小さく設定することを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載された用紙集積装置。
【請求項6】
前記排紙部から排出された用紙を用紙幅方向に揃える一対の規制部材と、
前記規制部材のそれぞれを用紙幅方向に沿って移動させる規制部材駆動部とを有し、
前記制御部は、前記規制部材駆動部を制御することにより、用紙の集積位置に合わせて前記一対の規制部材の位置を設定することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された用紙集積装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の用紙集積装置と、
画像形成装置により画像が形成された用紙を導入する導入部と、
前記導入部からの用紙に所定の後処理を施す後処理部と、
前記導入部からの用紙、あるいは前記後処理部からの用紙を、前記用紙集積装置に排出する排紙部と、
を有することを特徴とする後処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−1534(P2013−1534A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136047(P2011−136047)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】