田植機
【課題】植付部を所定の高さで保持した状態で、植付部から油圧シリンダへ衝撃として急激な力が加えられた場合であっても、当該力を、瞬時に、効率良く吸収することができる田植機を提供する。
【解決手段】走行部10の後部に昇降リンク機構53を介して昇降可能に設けられる植付部40と、昇降リンク機構53に連結して植付部40を昇降する昇降シリンダ54と、植付部40からの衝撃によって昇降シリンダ54に加えられる力を吸収するアキュムレータ65と、を具備する田植機1において、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54の上昇側の油室に連通して、昇降シリンダ54に取り付けられるものである。
【解決手段】走行部10の後部に昇降リンク機構53を介して昇降可能に設けられる植付部40と、昇降リンク機構53に連結して植付部40を昇降する昇降シリンダ54と、植付部40からの衝撃によって昇降シリンダ54に加えられる力を吸収するアキュムレータ65と、を具備する田植機1において、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54の上昇側の油室に連通して、昇降シリンダ54に取り付けられるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付部を昇降駆動する油圧シリンダを具備する田植機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降機構によって、植付部を昇降させ、植付部を所定の高さで保持させる技術は公知となっている。
このような従来の田植機においては、昇降機構によって、植付部を所定の高さまで上昇させ、その高さに保持した状態で悪路を走行した場合、植付部には車輪から振動が直接伝わる。その振動は、植付部を傷めるとともに、植付部からの衝撃となる。そして、植付部からの衝撃は、急激な力として昇降機構の油圧シリンダへ加えられる。そこで、昇降機構の油圧シリンダに緩衝バネを配置することで当該衝撃(力)を吸収する田植機の技術が公知となっている。
しかしながら、緩衝バネを具備する田植機においては、緩衝バネを配置するための空間が必要であり、また、植付部が大きくなるほど、配置する緩衝バネも大きくする必要があった。そこで、油圧シリンダに接続されるアキュムレータによって、当該衝撃(力)を吸収する田植機の技術が公知となっている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−79203号公報
【特許文献2】特許第3885162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に係る田植機においては、アキュムレータが配管を介して油圧シリンダと接続されているため、前記衝撃(力)をアキュムレータが吸収するまでに、時間差が生じるという問題点があった。また、アキュムレータが配管を介して油圧シリンダに接続されているため、配管において作動油の送油抵抗を受けることとなり、前記衝撃(力)を、効率良く吸収することができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、植付部を所定の高さで保持した状態で、植付部から前記油圧シリンダへ衝撃として急激な力が加えられた場合であっても、当該力を、瞬時に、効率良く吸収することができる田植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、第1の発明に係る田植機は、走行機体の後部に昇降リンク機構を介して昇降可能に設けられる植付部と、前記昇降リンク機構に連結して前記植付部を昇降する油圧シリンダと、前記植付部からの衝撃によって前記油圧シリンダに加えられる力を吸収するアキュムレータと、を具備する田植機において、前記アキュムレータは、油圧シリンダの上昇側の油室に連通して、油圧シリンダに取り付けられるものである。
【0008】
第2の発明に係る田植機は、第1の発明に係る田植機において、前記アキュムレータは、前記油圧シリンダにおけるシリンダチューブのピストンロッド側(ピストンロッドが出ている側)であって、前記シリンダチューブに対して回動可能に取り付けられるキャップ部に取り付けられるものである。
【0009】
第3の発明に係る田植機は、第1又は第2の発明に係る田植機において、前記アキュムレータは、前記油圧シリンダに接続するための接続部を有し、前記油圧シリンダと前記油圧シリンダの伸縮を切り換える切換手段とを連結する送油経路の前記油圧シリンダ側を、前記接続部に接続するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
第1の発明に係る田植機は、油圧シリンダとアキュムレータとの距離が短くなり、応答性が向上し、植付部を所定高さで保持した際に、植付部からの衝撃によって油圧シリンダに加えられる力を瞬時に、効率良く吸収することができる。そのため、当該力による油圧シリンダの油漏れや損傷等の発生も減少できる。また、油圧シリンダとアキュムレータとの間に配管が介在しないため、配管を簡略化できて、組立やメンテナンス等も簡単に行え、コスト低減化が図れる。
【0012】
第2の発明に係る田植機は、油圧シリンダにおけるアキュムレータの取り付け、及びアキュムレータの取付部の加工が簡単に行える。また、アキュムレータは油圧シリンダのキャップ部とともに回動可能に取り付けられるため、油圧シリンダにおけるアキュムレータの取付位置を容易に変更できる。そのため、油圧シリンダの伸縮時に、アキュムレータが車体フレームやその他周辺装置と干渉することがない。
【0013】
第3の発明に係る田植機は、油圧シリンダにアキュムレータを取り付けるための構造を簡単にでき、部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る田植機の全体的な構成を示した左側面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る田植機の全体的な構成を示した平面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る田植機の車体フレームの平面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る田植機の走行部の左側面図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る田植機の走行部後方の平面図。
【図6】本発明の第1実施形態に係る田植機の昇降機構近傍の右側斜視図。
【図7】本発明の第1実施形態に係る田植機の昇降機構近傍の左側面図。
【図8】本発明の第1実施形態に係る田植機の昇降シリンダ近傍の左側面図。
【図9】本発明の第1実施形態に係る田植機の昇降用油圧回路図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る田植機の昇降シリンダ近傍の左側面図。
【図11】本発明の第2実施形態に係る田植機の昇降用油圧回路図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。尚、以下の説明においては、田植機の進行方向右側を単に右側とし、田植機の進行方向左側を単に左側として説明する。
【0016】
まず、本発明の第1実施形態に係る田植機1の全体的な構成について説明する。尚、本実施形態においては、田植機は8条植えの田植機とするが、これは特に限定するものではなく、例えば6条植えや10条植えの田植機であってもよい。
【0017】
図1及び図2に示すように、田植機1は、走行部10と、植付部40とを有し、走行部10により走行しながら、植付部40により苗を圃場に植え付けることができるように構成される。植付部40は、走行部10の後方に配置されて、この走行部10の後部に、後述する昇降機構50を介して昇降可能に連結される。
【0018】
走行部10においては、エンジン2が車体フレーム11の前部に設けられて、ボンネット3により被覆される。ミッションケース8(図4)が車体フレーム11の前部に支持されて、エンジン2の下方に配置される。
【0019】
フロントアクスルケース4が車体フレーム11の前部に支持され、前車輪5が当該フロントアクスルケース4の左右両側に取り付けられる。リヤアクスルケース6が車体フレーム11の後部に支持され、後車輪7が当該リヤアクスルケース6の左右両側に取り付けられる。
【0020】
そして、動力伝達機構は、エンジン2の動力がミッションケース8を介して左右の前車輪5と左右の後車輪7とにそれぞれ伝達されて、これらの前車輪5及び後車輪7が回転駆動するように構成される。これにより、走行部10が、前進又は後進走行可能とされる。
【0021】
また、走行部10においては、車体フレーム11の前後中途部に運転操作部20が設けられる。運転操作部20の前部には、操向操作用の環状の操向ハンドル21と、変速操作用の変速ペダル22と、ブレーキペダル29等が配置される。運転操作部20の後部には、運転席23が操向ハンドル21の後方に位置するように配置される。
【0022】
運転操作部20の操向ハンドル21及び運転席23の周りには、ダッシュボード24と、車体カバー25と、その他レバーやスイッチ等の操作具が配置される。これらの操向ハンドル21、変速ペダル22、ブレーキペダル29、及びその他の操作具によって、走行部10及び植付部40に対して適宜の操作を行うことが可能とされる。
【0023】
さらに、走行部10においては、予備苗載台26が、車体フレーム11の前部の左右両側から立設された各取付フレーム27に取り付けられて、ボンネット3の左右両側方に配置される。そして、予備苗が予備苗載台26に載置されて、植付部40への苗補給が可能とされる。
【0024】
さらにまた、走行部10においては、施肥装置28が、車体フレーム11の後部に支柱フレーム95等を介して支持されて、運転操作部20の運転席23の後方に配置される。施肥装置28は、エンジン2からの動力により駆動されて、圃場に施肥を行うことができるように構成される。
【0025】
植付部40においては、植付ミッションケースが植付フレーム49の下部中央付近に支持され、伝動軸ケースが当該植付ミッションケースから左右両側方に延設される。4つの植付伝動ケース46がそれぞれ前記伝動軸ケースから後方に延設されて、左右方向に適宜の間隔をとって配置される。
【0026】
ロータリケース44が各植付伝動ケース46の後端部左右両側に回動自在に支持される。ロータリケース44は植付条数と同数、即ち本実施形態では8つ備えられる。そして、二つの植付爪45が、ロータリケース44の回転支点を挟むように、このロータリケース44の長手方向両側にそれぞれ取り付けられる。
【0027】
苗載台41が植付伝動ケース46の上方に前高後低の傾斜状態で配置されて、植付フレーム49の後部に上下のガイドレール39・39を介して左右方向に往復動可能に取り付けられる。苗載台41は植付条数と同数、即ち本実施形態では8つ備えられ、横送り機構により一斉に左右往復横送り可能とされる。
【0028】
複数の苗載台41は、それぞれの下端側が一つのロータリケース44と対向するように、左右方向に並べられる。そして、苗マットが各苗載台41に載置されて、ロータリケース44の回転時に植付爪45により苗が当該各苗載台41上の苗マットから取出可能とされる。
【0029】
苗縦送りベルト47が各苗載台41に設けられる。苗縦送りベルト47は、苗載台41が左右往復横送りのストローク端に到達するごとに、縦送り機構により苗載台41上の苗マットを下方へ向かって縦送りするように駆動可能とされる。
【0030】
そして、動力伝達機構は、エンジン2の動力が前記植付ミッションケース等を介して各ロータリケース44に伝達されて、このロータリケース44が回転駆動するように構成される。これにより、ロータリケース44の回転駆動にともなって、二つの植付爪45が交互に苗を苗載台41上の苗マットから取り出して圃場に植付可能とされる。
【0031】
同時に、前記動力伝達機構は、エンジン2の動力が植付ミッションケース等を介して横送り機構及び縦送り機構に伝達されて、苗載台41が横送り機構により左右往復横送りされ、苗載台41上の苗マットが載台の左右往復横送りに応じて縦送り機構により苗縦送りベルト47を介して下方へ向けて縦送りされるように構成される。これにより、苗載台41上の苗マットが植付爪45に対して適切な位置に移動される。
【0032】
ここで、前記動力伝達機構は、植付クラッチを含み、植付クラッチの断接に応じて、エンジン2の動力が苗縦送りベルト47とロータリケース44とに伝達され、又は伝達されないように構成される。
【0033】
また、植付部40においては、中央2条分ずつの圃場面を整地する左右のセンターフロート42と、左右2条分ずつの圃場面を整地する左右のサイドフロート43とが、それぞれの前部側が後部側を回動支点として上下動自在となるように植付フレーム49側に支持されて、植付伝動ケース46の下方に配置される。
【0034】
さらにまた、植付部40においては、線引きマーカ48が植付フレーム49の下部の左右両側に回動可能に支持される。左右の各線引きマーカ48は、その基端側を回動支点として、上方へ向かって回動されることにより収納され、この収納状態から下方へ向かって回動されることにより先端側を左又は右側方へ突出させて、圃場に線引きを行うことができるように構成される。
【0035】
また、前述の昇降機構50が走行部10と植付部40との間に設けられる。具体的には、トップリンク51とロワリンク52とからなる昇降リンク機構53が走行部10と植付部40との間に架設され、昇降シリンダ54がロワリンク52と走行部10との間に連結される。そして、昇降シリンダ54の伸縮動作によって、植付部40が走行部10に対して上下方向に回動可能、即ち昇降可能とされる。また、昇降シリンダ54には、アキュムレータ65が挿通されている。
【0036】
アキュムレータ65は、油圧を蓄圧するものであり、本実施形態では、図8に示すように、アキュムレータ本体65aと、アキュムレータ接続部65bと、から構成されている。アキュムレータ本体65aは略球体の部材であり、内部にダイヤフラム等を備える。但し、アキュムレータ本体65aの形状は、略球体に限定するものではない。
アキュムレータ接続部65bは、昇降シリンダ54へ挿通される部分である。
【0037】
次に、走行部10の車体フレーム11について説明する。
図3及び図4に示すように、車体フレーム11は、走行部10の主たる構造体であり、前部フレーム12と、後部フレーム13と、パイプフレーム33と、フレームを兼ねるミッションケース8と、リヤアクスルケース6と、連結フレーム36等から構成される。
【0038】
前部フレーム12は、前後方向に配設される右側フレーム14及び左側フレーム15と、左右方向に配設される前側ベースフレーム16及び後側ベースフレーム17等を備えている。
【0039】
前部フレーム12は、右側フレーム14と左側フレーム15の間に前側ベースフレーム16及び後側ベースフレーム17が架設されて平面視略四角枠状に形成される。また、前部フレーム12においては、前側ベースフレーム16及び後側ベースフレーム17上に、固定ブラケット18・18・18・18を介して、エンジン2が固定されている。さらに、前部フレーム12においては、右側フレーム14及び左側フレーム15の後端部にパイプフレーム33が連結されている。パイプフレーム33には、支持部材19・19が設けられている。支持部材19・19にはフロントアクスルケース4が固定される。フロントアクスルケース4は、ミッションケース8の両側に固定される。
【0040】
後部フレーム13は、左側立上フレーム31と、右側立上フレーム32と、後側パイプフレーム34と、支持フレーム35等を備えている。
後部フレーム13においては、パイプフレーム33と、後側パイプフレーム34との間に、左側立上フレーム31及び右側立上フレーム32が略平行に連結される。また、後部フレーム13においては、後側パイプフレーム34の左右中央部から支持フレーム35が垂設され、支持フレーム35の下端にリヤアクスルケース6が連結される。さらに、後部フレーム13においては、左側立上フレーム31と、右側立上フレーム32との間には燃料タンク90が配設されている。
【0041】
支持フレーム35は、後側パイプフレーム34から下方に延設される左右一対の上下フレーム35a・35aと、上下フレーム35a・35aの下端部に連結され左右方向に延設される左右フレーム35bと、から構成される。
【0042】
また、図4及び図5に示すように、ミッションケース8とリヤアクスルケース6との間は、連結フレーム36により連結される。連結フレーム36は、燃料タンク90の下方の機体左右中央で前後方向に延設される。連結フレーム36は、パイプ製のフレームであり、その内部に伝動軸が収納され、ミッションケース8からその後部のリヤアクスルケース6に動力を伝達できるようにしている。連結フレーム36の後部上面には、シリンダ取付座37が固設されている。シリンダ取付座37に後述する昇降シリンダ54のヘッド部側が支持される。また、連結フレーム36の左側方には伝達軸38が並設されている。
【0043】
このように、後部フレーム13において、運転席23と、左側立上フレーム31と、右側立上フレーム32と、連結フレーム36と、で囲まれた部分に、燃料タンク90及び昇降シリンダ54が配設されている。
【0044】
図5及び図6に示すように、リヤアクスルケース6は、平面視で門形に形成される。リヤアクスルケース6は、その両端部に右ギヤケース部6a及び左ギヤケース部6bを備え、右ギヤケース部6aと、左ギヤケース部6bとの間に門形空間部6cを形成する。
図5に示すように、右ギヤケース部6a及び左ギヤケース部6bの上部には、それぞれ連結部6d・6dが配設される。連結部6d・6dには前記支持フレーム35の左右フレーム35bが固定される。
【0045】
次に、昇降機構50について説明する。
【0046】
昇降機構50は、植付部40を昇降させる機構であり、上述のように、走行部10と、植付部40との間に設けられる。昇降機構50は、トップリンク51及びロワリンク52からなる昇降リンク機構53と、昇降シリンダ54等から構成される。昇降機構50は、昇降シリンダ54を伸縮して、昇降リンク機構53を上下方向に駆動させることで、植付部40を昇降させる。
【0047】
図6及び図7に示すように、トップリンク51の前端は、支持軸51aを介して、支持フレーム35の上下フレーム35aの上部に連結されている。トップリンク51の後端部は、植付伝動ケース46(図1)の前側に設けられる支持フレーム55の上部に枢支される。
ロワリンク52は、メインリンク52aと、マスト52bと、補強リンク52cと、を備える。メインリンク52aの前端にはマスト52dが立設されている。マスト52bの上部と、メインリンク52aの後端との間には補強リンク52cが連結されている。補強リンク52cが連結されていることで、ロワリンク52の剛性がアップする。また、ロワリンク52は、その前端がリヤアクスルケース6の左右中央部にリンク支持部材61を介して枢支される。さらに、ロワリンク52は、その後端が、支持フレーム55の下部に枢支される。
【0048】
ここで昇降シリンダ54について、詳細に説明する。
【0049】
図6及び図7に示すように、昇降シリンダ54は、油圧シリンダで構成され、植付部40を昇降させるためのアクチュエーターである。昇降シリンダ54は、シリンダチューブ56と、ピストンロッド57と、図示しないピストン等から構成されている。
ピストンロッド57は、その一端がシリンダチューブ56内に挿入されるとともに、前記ピストンが固設されている。また、ピストンロッド57は、その他端がロワリンク52に連結されている。尚、昇降シリンダ54においては、ピストンロッド57の他端をトップリンク51と連結させて、植付部40を昇降させる構成とすることもできる。
【0050】
シリンダチューブ56は、その内部が、前記ピストンによって、ロッド室側とヘッド室側の二つ部屋に分離される。本実施形態においては、前記ロッド室側の油室が昇降シリンダ54の上昇側の油室54a(図9)となる。
【0051】
また、シリンダチューブ56は、その一端がヘッド側キャップ部56aにより閉じられている。
該ヘッド側キャップ部56aは、シリンダ取付座37を介して連結フレーム36の後部上面に回動可能に設けられている。
【0052】
さらにまた、シリンダチューブ56は、その他端がロッド側キャップ部56bにより閉じられている。
該ロッド側キャップ部56bには、ピストンロッド57が貫通されている。
【0053】
尚、昇降シリンダ54は、ピストンロッド57が車体フレーム11側であって、且つ、シリンダチューブ56が昇降リンク機構53側となるように、構成とすることもできる。つまり、ピストンロッド57の先端が、シリンダ取付座37を介して連結フレーム36の後部上面に回動自在に支持され、且つ、シリンダチューブ56のヘッド側キャップ部56aが、昇降リンク機構53のロワリンク52に連結される構成であっても構わない。
【0054】
図8に示すように、ヘッド側キャップ部56aには配管接続部60が設けられている。また、ロッド側キャップ部56bには、配管接続部59と、アキュムレータ接続部65bと、が設けられている。
【0055】
ロッド側キャップ部56bは、シリンダチューブ56に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、ロッド側キャップ部56bの内周には雌ネジが形成され、シリンダチューブ56の端部外周には雄ネジが形成されている。そして、シリンダチューブ56の雄ネジにロックナット56cとロッド側キャップ部56bを螺装して締付固定できるようにしている。このロッド側キャップ部56bを締付固定する位置は、ロックナット56cの締付位置を調整することで任意に変更できる。つまり、ロッド側キャップ部56bをシリンダチューブ56に対して所定量螺装した後に、アキュムレータ65が所望の方向をむく位置で、前記ロックナット56cをロッド側キャップ部56b側に締め付けることで、ロッド側キャップ部56bは、シリンダチューブ56に対して固定される。尚、ロッド側キャップ部56bと、シリンダチューブ56との間には図示しないシール材によりシールされている。
【0056】
このようにロッド側キャップ部56b及びシリンダチューブ56を構成することで、植付部40を昇降させる時に、アキュムレータ65や配管が、車体フレーム11やその他周辺装置と干渉するおそれがある場合には、ロッド側キャップ部56bの締め付け位置を変更することで、アキュムレータ65や配管を、車体フレーム11やその他周辺装置と干渉しない位置に固定できるようにしている。
尚、ロッド側キャップ部56bのシリンダチューブ56に対する取付けは、前記締付固定に限定されるものではなく、ロッド側キャップ部56bがシリンダチューブ56に対して回動可能に取り付けられる構成であればよい。
【0057】
尚、本実施形態では、ロッド側キャップ部56bの下側に、アキュムレータ65を取り付けているが、田植機1を小型化した場合や周辺装置の配置を変更したことにより、アキュムレータ65がリヤアクスルケース6等と干渉するおそれがある場合には、側面又は上面にアキュムレータ65を取り付ける構成とすることもできる。
また、昇降シリンダ54を伸長させることで植付部40が上昇するように昇降シリンダ54を構成した場合には、アキュムレータ65をヘッド側キャップ部56aに取り付ける。
【0058】
配管接続部59は、送油経路86を昇降シリンダ54に接続するための部分である。配管接続部59には、送油経路86の昇降シリンダ54側86aが接続される。
送油経路86は、昇降シリンダ54と、昇降シリンダ54の伸縮を切り換える昇降バルブユニット74(図9)と、を連結するものである。
【0059】
昇降バルブユニット74から送油経路86及び配管接続部59を介して、シリンダチューブ56のロッド側室に圧油が送油されると、昇降シリンダ54が縮小し、植付部40は上昇される。このとき、シリンダチューブ56のヘッド側室内の作動油は、配管接続部60から作動油タンクの役目を果たすミッションケース8内に送油される。従って、昇降シリンダ54においては、ロッド室側が、昇降シリンダ54の上昇側の油室(図9)となる。また、昇降バルブユニット74を下降側に切り換えると、シリンダチューブ56のロッド側室内の圧油が送油経路86を介してミッションケース8内に送油され、昇降シリンダ54が伸長し、植付部40は下降する。
【0060】
また、昇降シリンダ54の上昇側の油室54a(図9)にはアキュムレータ65が挿通して直接取り付けられている。つまり、本実施例ではシリンダチューブ56のロッド側キャップ部56bにアキュムレータ65が直接取り付けられている。この時、アキュムレータ65のアキュムレータ接続部65bは、配管接続部59とは異なる位置のロッド側キャップ部56bに挿通される。昇降シリンダ54の上昇側の油室54a(図9)にアキュムレータ65が挿通されることで、アキュムレータ65が圧油の送油側の油室に取り付けられることとなり、アキュムレータ65の応答性が向上する。
【0061】
このように、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54との間に別途配管等を介さず、直接、昇降シリンダ54にアキュムレータ接続部65bを接続させている。これにより、昇降シリンダ54とアキュムレータ65との距離が短くなることから、アキュムレータ65の応答性が向上する。そして、植付部40を所定の高さまで上昇させた場合や、その高さで保持させて田植機1を悪路等を走行させた場合、植付部40に衝撃が伝わるが、昇降シリンダ54にアキュムレータ65を直接接続しているため、植付部40からの当該衝撃によって昇降シリンダ54に加えられる力が、該アキュムレータ65により、瞬時に、効率良く吸収され、植付部40を安定して支持することが可能となる。
【0062】
次に、植付部40の昇降用油圧回路70について説明する。
【0063】
図9に示すように、植付部40の昇降用油圧回路70は、フローコントロールバルブ71と、パワーステアリングユニット72と、水平バルブユニット73と、昇降バルブユニット74と、から構成されている。
【0064】
昇降用油圧回路70においては、作動油タンクとなるミッションケース8の作動油が、エンジン2により駆動される油圧ポンプ75によって、供給油圧回路76を介して、フローコントロールバルブ71へ供給される。そして、フローコントロールバルブ71は、油圧ポンプ75によって供給される作動油を、高圧油路77と低圧油路78とへ分配する。
高圧油路77には、パワーステアリングユニット72及び昇降バルブユニット74が接続され、低圧油路78には、水平バルブユニット73が接続される。
【0065】
パワーステアリングユニット72は、操向ハンドル21によって操向シリンダ79の操向バルブ80が切り換えられる。
水平バルブユニット73は、水平操作用ソレノイドバルブ81によって水平シリンダ82が操作され、その操作により、植付部40の左右傾斜姿勢が制御される。又は、対地センサからの検出値により植付部40が水平に制御される。
【0066】
昇降バルブユニット74は、昇降シリンダ54の伸縮を切り換える切換手段である。昇降バルブユニット74は、上昇ソレノイド83及び下降ソレノイド84によってコントロールバルブ85を切り換えて、昇降シリンダ54を伸縮させる。即ち、上昇ソレノイド83又は下降ソレノイド84に制御信号を印加し、励磁させて、バルブを切り換えて植付部40の昇降制御を行う。
また、昇降バルブユニット74は、コントロールバルブ85と、昇降シリンダ54の配管接続部59と、を接続する送油経路86にストップバルブ87を備える。昇降バルブユニット74において、ストップバルブ87を閉状態にすることで、植付部40を任意の高さに停止させることができる。
【0067】
昇降シリンダ54において、作動油の供給は、昇降バルブユニット74によって制御され、送油経路86を介して配管接続部59より供給される。また、昇降シリンダ54内の作動油は、配管接続部60から排出され、タンク戻り油路88を介して、ミッションケース8へ戻される。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る田植機1は、走行部10(走行機体)の後部に昇降リンク機構53を介して昇降可能に設けられる植付部40と、昇降リンク機構53に連結して植付部40を昇降する昇降シリンダ54(油圧シリンダ)と、植付部40からの衝撃によって昇降シリンダ54(油圧シリンダ)に加えられる力を吸収するアキュムレータ65と、を具備する田植機1において、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)の上昇側の油室に連通して、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)に取り付けられるものである。
田植機1をこのように構成することで、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)とアキュムレータ65との距離が短くなり、植付部40からの衝撃によって昇降シリンダ54(油圧シリンダ)に加えられる力を、瞬時に、効率良く吸収することができる。そのため、当該力による昇降シリンダ54(油圧シリンダ)の油漏れや損傷等の発生も減少できる。また、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)とアキュムレータ65との間に配管が介在しないため、配管を簡略化できて、組立やメンテナンス等も簡単に行え、コスト低減化が図れる。
【0069】
また、本実施形態に係る田植機1は、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)におけるシリンダチューブ56のピストンロッド57側(ピストンロッド57が出ている側)であって、シリンダチューブ56に対して回動可能に取り付けられるロッド側キャップ部56bに取り付けられるものである。
田植機1をこのように構成することで、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)におけるアキュムレータ65の取り付け、及びアキュムレータ65の取付部の加工が簡単に行える。また、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)のロッド側キャップ部56bとともに回動するため、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)におけるアキュムレータ65の取付位置を容易に変更できる。そのため、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)の伸縮時に、アキュムレータ65が車体フレーム11やその他周辺装置と干渉することがない。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態に係る田植機1について説明する。尚、以下の説明において、第1実施形態に係る田植機1と同一の構成については、符号を同一とし、構成の説明は省略する。
【0071】
図10及び図11に示すように、ロッド側キャップ部156bに取り付けられるアキュムレータ接続部165bには、送油経路86の昇降シリンダ54側86aを接続することも可能である。即ち、アキュムレータ接続部165bには、送油経路86を接続するための配管接続部159が設けられている。
【0072】
このように、アキュムレータ接続部165bに、送油経路86を接続するための配管接続部159を一体的に設けることにより、昇降シリンダ54のシリンダチューブ56に、別途、作動油入口部を設ける必要がなくなるため、昇降シリンダ54の部品点数を減らすことができる。また、昇降シリンダ54にアキュムレータ65と送油経路86とを同時に取り付けることができるため、昇降シリンダ54にアキュムレータ65及び送油経路86を取り付けるための構造を簡単にできる。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る田植機1は、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)に接続するためのアキュムレータ接続部65b(接続部)を有し、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)と、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)の伸縮を切り換える昇降バルブユニット74(切換手段)とを連結する送油経路86の昇降シリンダ54(油圧シリンダ)側86aを、アキュムレータ接続部65b(接続部)に接続するものである。
田植機1をこのように構成することで、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)にアキュムレータ65及び送油経路86を取り付けるための構造を簡単にでき、部品点数を削減できる。
【符号の説明】
【0074】
1 田植機
10 走行部(走行機体)
11 車体フレーム
40 植付部
53 昇降リンク機構
54 昇降シリンダ(油圧シリンダ)
56b ロッド側キャップ部(キャップ部)
57 ピストンロッド
65 アキュムレータ
65b アキュムレータ接続部(接続部)
74 昇降バルブユニット(切換手段)
86 送油経路
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付部を昇降駆動する油圧シリンダを具備する田植機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降機構によって、植付部を昇降させ、植付部を所定の高さで保持させる技術は公知となっている。
このような従来の田植機においては、昇降機構によって、植付部を所定の高さまで上昇させ、その高さに保持した状態で悪路を走行した場合、植付部には車輪から振動が直接伝わる。その振動は、植付部を傷めるとともに、植付部からの衝撃となる。そして、植付部からの衝撃は、急激な力として昇降機構の油圧シリンダへ加えられる。そこで、昇降機構の油圧シリンダに緩衝バネを配置することで当該衝撃(力)を吸収する田植機の技術が公知となっている。
しかしながら、緩衝バネを具備する田植機においては、緩衝バネを配置するための空間が必要であり、また、植付部が大きくなるほど、配置する緩衝バネも大きくする必要があった。そこで、油圧シリンダに接続されるアキュムレータによって、当該衝撃(力)を吸収する田植機の技術が公知となっている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−79203号公報
【特許文献2】特許第3885162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に係る田植機においては、アキュムレータが配管を介して油圧シリンダと接続されているため、前記衝撃(力)をアキュムレータが吸収するまでに、時間差が生じるという問題点があった。また、アキュムレータが配管を介して油圧シリンダに接続されているため、配管において作動油の送油抵抗を受けることとなり、前記衝撃(力)を、効率良く吸収することができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、植付部を所定の高さで保持した状態で、植付部から前記油圧シリンダへ衝撃として急激な力が加えられた場合であっても、当該力を、瞬時に、効率良く吸収することができる田植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、第1の発明に係る田植機は、走行機体の後部に昇降リンク機構を介して昇降可能に設けられる植付部と、前記昇降リンク機構に連結して前記植付部を昇降する油圧シリンダと、前記植付部からの衝撃によって前記油圧シリンダに加えられる力を吸収するアキュムレータと、を具備する田植機において、前記アキュムレータは、油圧シリンダの上昇側の油室に連通して、油圧シリンダに取り付けられるものである。
【0008】
第2の発明に係る田植機は、第1の発明に係る田植機において、前記アキュムレータは、前記油圧シリンダにおけるシリンダチューブのピストンロッド側(ピストンロッドが出ている側)であって、前記シリンダチューブに対して回動可能に取り付けられるキャップ部に取り付けられるものである。
【0009】
第3の発明に係る田植機は、第1又は第2の発明に係る田植機において、前記アキュムレータは、前記油圧シリンダに接続するための接続部を有し、前記油圧シリンダと前記油圧シリンダの伸縮を切り換える切換手段とを連結する送油経路の前記油圧シリンダ側を、前記接続部に接続するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
第1の発明に係る田植機は、油圧シリンダとアキュムレータとの距離が短くなり、応答性が向上し、植付部を所定高さで保持した際に、植付部からの衝撃によって油圧シリンダに加えられる力を瞬時に、効率良く吸収することができる。そのため、当該力による油圧シリンダの油漏れや損傷等の発生も減少できる。また、油圧シリンダとアキュムレータとの間に配管が介在しないため、配管を簡略化できて、組立やメンテナンス等も簡単に行え、コスト低減化が図れる。
【0012】
第2の発明に係る田植機は、油圧シリンダにおけるアキュムレータの取り付け、及びアキュムレータの取付部の加工が簡単に行える。また、アキュムレータは油圧シリンダのキャップ部とともに回動可能に取り付けられるため、油圧シリンダにおけるアキュムレータの取付位置を容易に変更できる。そのため、油圧シリンダの伸縮時に、アキュムレータが車体フレームやその他周辺装置と干渉することがない。
【0013】
第3の発明に係る田植機は、油圧シリンダにアキュムレータを取り付けるための構造を簡単にでき、部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る田植機の全体的な構成を示した左側面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る田植機の全体的な構成を示した平面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る田植機の車体フレームの平面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る田植機の走行部の左側面図。
【図5】本発明の第1実施形態に係る田植機の走行部後方の平面図。
【図6】本発明の第1実施形態に係る田植機の昇降機構近傍の右側斜視図。
【図7】本発明の第1実施形態に係る田植機の昇降機構近傍の左側面図。
【図8】本発明の第1実施形態に係る田植機の昇降シリンダ近傍の左側面図。
【図9】本発明の第1実施形態に係る田植機の昇降用油圧回路図。
【図10】本発明の第2実施形態に係る田植機の昇降シリンダ近傍の左側面図。
【図11】本発明の第2実施形態に係る田植機の昇降用油圧回路図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明の実施の形態を説明する。尚、以下の説明においては、田植機の進行方向右側を単に右側とし、田植機の進行方向左側を単に左側として説明する。
【0016】
まず、本発明の第1実施形態に係る田植機1の全体的な構成について説明する。尚、本実施形態においては、田植機は8条植えの田植機とするが、これは特に限定するものではなく、例えば6条植えや10条植えの田植機であってもよい。
【0017】
図1及び図2に示すように、田植機1は、走行部10と、植付部40とを有し、走行部10により走行しながら、植付部40により苗を圃場に植え付けることができるように構成される。植付部40は、走行部10の後方に配置されて、この走行部10の後部に、後述する昇降機構50を介して昇降可能に連結される。
【0018】
走行部10においては、エンジン2が車体フレーム11の前部に設けられて、ボンネット3により被覆される。ミッションケース8(図4)が車体フレーム11の前部に支持されて、エンジン2の下方に配置される。
【0019】
フロントアクスルケース4が車体フレーム11の前部に支持され、前車輪5が当該フロントアクスルケース4の左右両側に取り付けられる。リヤアクスルケース6が車体フレーム11の後部に支持され、後車輪7が当該リヤアクスルケース6の左右両側に取り付けられる。
【0020】
そして、動力伝達機構は、エンジン2の動力がミッションケース8を介して左右の前車輪5と左右の後車輪7とにそれぞれ伝達されて、これらの前車輪5及び後車輪7が回転駆動するように構成される。これにより、走行部10が、前進又は後進走行可能とされる。
【0021】
また、走行部10においては、車体フレーム11の前後中途部に運転操作部20が設けられる。運転操作部20の前部には、操向操作用の環状の操向ハンドル21と、変速操作用の変速ペダル22と、ブレーキペダル29等が配置される。運転操作部20の後部には、運転席23が操向ハンドル21の後方に位置するように配置される。
【0022】
運転操作部20の操向ハンドル21及び運転席23の周りには、ダッシュボード24と、車体カバー25と、その他レバーやスイッチ等の操作具が配置される。これらの操向ハンドル21、変速ペダル22、ブレーキペダル29、及びその他の操作具によって、走行部10及び植付部40に対して適宜の操作を行うことが可能とされる。
【0023】
さらに、走行部10においては、予備苗載台26が、車体フレーム11の前部の左右両側から立設された各取付フレーム27に取り付けられて、ボンネット3の左右両側方に配置される。そして、予備苗が予備苗載台26に載置されて、植付部40への苗補給が可能とされる。
【0024】
さらにまた、走行部10においては、施肥装置28が、車体フレーム11の後部に支柱フレーム95等を介して支持されて、運転操作部20の運転席23の後方に配置される。施肥装置28は、エンジン2からの動力により駆動されて、圃場に施肥を行うことができるように構成される。
【0025】
植付部40においては、植付ミッションケースが植付フレーム49の下部中央付近に支持され、伝動軸ケースが当該植付ミッションケースから左右両側方に延設される。4つの植付伝動ケース46がそれぞれ前記伝動軸ケースから後方に延設されて、左右方向に適宜の間隔をとって配置される。
【0026】
ロータリケース44が各植付伝動ケース46の後端部左右両側に回動自在に支持される。ロータリケース44は植付条数と同数、即ち本実施形態では8つ備えられる。そして、二つの植付爪45が、ロータリケース44の回転支点を挟むように、このロータリケース44の長手方向両側にそれぞれ取り付けられる。
【0027】
苗載台41が植付伝動ケース46の上方に前高後低の傾斜状態で配置されて、植付フレーム49の後部に上下のガイドレール39・39を介して左右方向に往復動可能に取り付けられる。苗載台41は植付条数と同数、即ち本実施形態では8つ備えられ、横送り機構により一斉に左右往復横送り可能とされる。
【0028】
複数の苗載台41は、それぞれの下端側が一つのロータリケース44と対向するように、左右方向に並べられる。そして、苗マットが各苗載台41に載置されて、ロータリケース44の回転時に植付爪45により苗が当該各苗載台41上の苗マットから取出可能とされる。
【0029】
苗縦送りベルト47が各苗載台41に設けられる。苗縦送りベルト47は、苗載台41が左右往復横送りのストローク端に到達するごとに、縦送り機構により苗載台41上の苗マットを下方へ向かって縦送りするように駆動可能とされる。
【0030】
そして、動力伝達機構は、エンジン2の動力が前記植付ミッションケース等を介して各ロータリケース44に伝達されて、このロータリケース44が回転駆動するように構成される。これにより、ロータリケース44の回転駆動にともなって、二つの植付爪45が交互に苗を苗載台41上の苗マットから取り出して圃場に植付可能とされる。
【0031】
同時に、前記動力伝達機構は、エンジン2の動力が植付ミッションケース等を介して横送り機構及び縦送り機構に伝達されて、苗載台41が横送り機構により左右往復横送りされ、苗載台41上の苗マットが載台の左右往復横送りに応じて縦送り機構により苗縦送りベルト47を介して下方へ向けて縦送りされるように構成される。これにより、苗載台41上の苗マットが植付爪45に対して適切な位置に移動される。
【0032】
ここで、前記動力伝達機構は、植付クラッチを含み、植付クラッチの断接に応じて、エンジン2の動力が苗縦送りベルト47とロータリケース44とに伝達され、又は伝達されないように構成される。
【0033】
また、植付部40においては、中央2条分ずつの圃場面を整地する左右のセンターフロート42と、左右2条分ずつの圃場面を整地する左右のサイドフロート43とが、それぞれの前部側が後部側を回動支点として上下動自在となるように植付フレーム49側に支持されて、植付伝動ケース46の下方に配置される。
【0034】
さらにまた、植付部40においては、線引きマーカ48が植付フレーム49の下部の左右両側に回動可能に支持される。左右の各線引きマーカ48は、その基端側を回動支点として、上方へ向かって回動されることにより収納され、この収納状態から下方へ向かって回動されることにより先端側を左又は右側方へ突出させて、圃場に線引きを行うことができるように構成される。
【0035】
また、前述の昇降機構50が走行部10と植付部40との間に設けられる。具体的には、トップリンク51とロワリンク52とからなる昇降リンク機構53が走行部10と植付部40との間に架設され、昇降シリンダ54がロワリンク52と走行部10との間に連結される。そして、昇降シリンダ54の伸縮動作によって、植付部40が走行部10に対して上下方向に回動可能、即ち昇降可能とされる。また、昇降シリンダ54には、アキュムレータ65が挿通されている。
【0036】
アキュムレータ65は、油圧を蓄圧するものであり、本実施形態では、図8に示すように、アキュムレータ本体65aと、アキュムレータ接続部65bと、から構成されている。アキュムレータ本体65aは略球体の部材であり、内部にダイヤフラム等を備える。但し、アキュムレータ本体65aの形状は、略球体に限定するものではない。
アキュムレータ接続部65bは、昇降シリンダ54へ挿通される部分である。
【0037】
次に、走行部10の車体フレーム11について説明する。
図3及び図4に示すように、車体フレーム11は、走行部10の主たる構造体であり、前部フレーム12と、後部フレーム13と、パイプフレーム33と、フレームを兼ねるミッションケース8と、リヤアクスルケース6と、連結フレーム36等から構成される。
【0038】
前部フレーム12は、前後方向に配設される右側フレーム14及び左側フレーム15と、左右方向に配設される前側ベースフレーム16及び後側ベースフレーム17等を備えている。
【0039】
前部フレーム12は、右側フレーム14と左側フレーム15の間に前側ベースフレーム16及び後側ベースフレーム17が架設されて平面視略四角枠状に形成される。また、前部フレーム12においては、前側ベースフレーム16及び後側ベースフレーム17上に、固定ブラケット18・18・18・18を介して、エンジン2が固定されている。さらに、前部フレーム12においては、右側フレーム14及び左側フレーム15の後端部にパイプフレーム33が連結されている。パイプフレーム33には、支持部材19・19が設けられている。支持部材19・19にはフロントアクスルケース4が固定される。フロントアクスルケース4は、ミッションケース8の両側に固定される。
【0040】
後部フレーム13は、左側立上フレーム31と、右側立上フレーム32と、後側パイプフレーム34と、支持フレーム35等を備えている。
後部フレーム13においては、パイプフレーム33と、後側パイプフレーム34との間に、左側立上フレーム31及び右側立上フレーム32が略平行に連結される。また、後部フレーム13においては、後側パイプフレーム34の左右中央部から支持フレーム35が垂設され、支持フレーム35の下端にリヤアクスルケース6が連結される。さらに、後部フレーム13においては、左側立上フレーム31と、右側立上フレーム32との間には燃料タンク90が配設されている。
【0041】
支持フレーム35は、後側パイプフレーム34から下方に延設される左右一対の上下フレーム35a・35aと、上下フレーム35a・35aの下端部に連結され左右方向に延設される左右フレーム35bと、から構成される。
【0042】
また、図4及び図5に示すように、ミッションケース8とリヤアクスルケース6との間は、連結フレーム36により連結される。連結フレーム36は、燃料タンク90の下方の機体左右中央で前後方向に延設される。連結フレーム36は、パイプ製のフレームであり、その内部に伝動軸が収納され、ミッションケース8からその後部のリヤアクスルケース6に動力を伝達できるようにしている。連結フレーム36の後部上面には、シリンダ取付座37が固設されている。シリンダ取付座37に後述する昇降シリンダ54のヘッド部側が支持される。また、連結フレーム36の左側方には伝達軸38が並設されている。
【0043】
このように、後部フレーム13において、運転席23と、左側立上フレーム31と、右側立上フレーム32と、連結フレーム36と、で囲まれた部分に、燃料タンク90及び昇降シリンダ54が配設されている。
【0044】
図5及び図6に示すように、リヤアクスルケース6は、平面視で門形に形成される。リヤアクスルケース6は、その両端部に右ギヤケース部6a及び左ギヤケース部6bを備え、右ギヤケース部6aと、左ギヤケース部6bとの間に門形空間部6cを形成する。
図5に示すように、右ギヤケース部6a及び左ギヤケース部6bの上部には、それぞれ連結部6d・6dが配設される。連結部6d・6dには前記支持フレーム35の左右フレーム35bが固定される。
【0045】
次に、昇降機構50について説明する。
【0046】
昇降機構50は、植付部40を昇降させる機構であり、上述のように、走行部10と、植付部40との間に設けられる。昇降機構50は、トップリンク51及びロワリンク52からなる昇降リンク機構53と、昇降シリンダ54等から構成される。昇降機構50は、昇降シリンダ54を伸縮して、昇降リンク機構53を上下方向に駆動させることで、植付部40を昇降させる。
【0047】
図6及び図7に示すように、トップリンク51の前端は、支持軸51aを介して、支持フレーム35の上下フレーム35aの上部に連結されている。トップリンク51の後端部は、植付伝動ケース46(図1)の前側に設けられる支持フレーム55の上部に枢支される。
ロワリンク52は、メインリンク52aと、マスト52bと、補強リンク52cと、を備える。メインリンク52aの前端にはマスト52dが立設されている。マスト52bの上部と、メインリンク52aの後端との間には補強リンク52cが連結されている。補強リンク52cが連結されていることで、ロワリンク52の剛性がアップする。また、ロワリンク52は、その前端がリヤアクスルケース6の左右中央部にリンク支持部材61を介して枢支される。さらに、ロワリンク52は、その後端が、支持フレーム55の下部に枢支される。
【0048】
ここで昇降シリンダ54について、詳細に説明する。
【0049】
図6及び図7に示すように、昇降シリンダ54は、油圧シリンダで構成され、植付部40を昇降させるためのアクチュエーターである。昇降シリンダ54は、シリンダチューブ56と、ピストンロッド57と、図示しないピストン等から構成されている。
ピストンロッド57は、その一端がシリンダチューブ56内に挿入されるとともに、前記ピストンが固設されている。また、ピストンロッド57は、その他端がロワリンク52に連結されている。尚、昇降シリンダ54においては、ピストンロッド57の他端をトップリンク51と連結させて、植付部40を昇降させる構成とすることもできる。
【0050】
シリンダチューブ56は、その内部が、前記ピストンによって、ロッド室側とヘッド室側の二つ部屋に分離される。本実施形態においては、前記ロッド室側の油室が昇降シリンダ54の上昇側の油室54a(図9)となる。
【0051】
また、シリンダチューブ56は、その一端がヘッド側キャップ部56aにより閉じられている。
該ヘッド側キャップ部56aは、シリンダ取付座37を介して連結フレーム36の後部上面に回動可能に設けられている。
【0052】
さらにまた、シリンダチューブ56は、その他端がロッド側キャップ部56bにより閉じられている。
該ロッド側キャップ部56bには、ピストンロッド57が貫通されている。
【0053】
尚、昇降シリンダ54は、ピストンロッド57が車体フレーム11側であって、且つ、シリンダチューブ56が昇降リンク機構53側となるように、構成とすることもできる。つまり、ピストンロッド57の先端が、シリンダ取付座37を介して連結フレーム36の後部上面に回動自在に支持され、且つ、シリンダチューブ56のヘッド側キャップ部56aが、昇降リンク機構53のロワリンク52に連結される構成であっても構わない。
【0054】
図8に示すように、ヘッド側キャップ部56aには配管接続部60が設けられている。また、ロッド側キャップ部56bには、配管接続部59と、アキュムレータ接続部65bと、が設けられている。
【0055】
ロッド側キャップ部56bは、シリンダチューブ56に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、ロッド側キャップ部56bの内周には雌ネジが形成され、シリンダチューブ56の端部外周には雄ネジが形成されている。そして、シリンダチューブ56の雄ネジにロックナット56cとロッド側キャップ部56bを螺装して締付固定できるようにしている。このロッド側キャップ部56bを締付固定する位置は、ロックナット56cの締付位置を調整することで任意に変更できる。つまり、ロッド側キャップ部56bをシリンダチューブ56に対して所定量螺装した後に、アキュムレータ65が所望の方向をむく位置で、前記ロックナット56cをロッド側キャップ部56b側に締め付けることで、ロッド側キャップ部56bは、シリンダチューブ56に対して固定される。尚、ロッド側キャップ部56bと、シリンダチューブ56との間には図示しないシール材によりシールされている。
【0056】
このようにロッド側キャップ部56b及びシリンダチューブ56を構成することで、植付部40を昇降させる時に、アキュムレータ65や配管が、車体フレーム11やその他周辺装置と干渉するおそれがある場合には、ロッド側キャップ部56bの締め付け位置を変更することで、アキュムレータ65や配管を、車体フレーム11やその他周辺装置と干渉しない位置に固定できるようにしている。
尚、ロッド側キャップ部56bのシリンダチューブ56に対する取付けは、前記締付固定に限定されるものではなく、ロッド側キャップ部56bがシリンダチューブ56に対して回動可能に取り付けられる構成であればよい。
【0057】
尚、本実施形態では、ロッド側キャップ部56bの下側に、アキュムレータ65を取り付けているが、田植機1を小型化した場合や周辺装置の配置を変更したことにより、アキュムレータ65がリヤアクスルケース6等と干渉するおそれがある場合には、側面又は上面にアキュムレータ65を取り付ける構成とすることもできる。
また、昇降シリンダ54を伸長させることで植付部40が上昇するように昇降シリンダ54を構成した場合には、アキュムレータ65をヘッド側キャップ部56aに取り付ける。
【0058】
配管接続部59は、送油経路86を昇降シリンダ54に接続するための部分である。配管接続部59には、送油経路86の昇降シリンダ54側86aが接続される。
送油経路86は、昇降シリンダ54と、昇降シリンダ54の伸縮を切り換える昇降バルブユニット74(図9)と、を連結するものである。
【0059】
昇降バルブユニット74から送油経路86及び配管接続部59を介して、シリンダチューブ56のロッド側室に圧油が送油されると、昇降シリンダ54が縮小し、植付部40は上昇される。このとき、シリンダチューブ56のヘッド側室内の作動油は、配管接続部60から作動油タンクの役目を果たすミッションケース8内に送油される。従って、昇降シリンダ54においては、ロッド室側が、昇降シリンダ54の上昇側の油室(図9)となる。また、昇降バルブユニット74を下降側に切り換えると、シリンダチューブ56のロッド側室内の圧油が送油経路86を介してミッションケース8内に送油され、昇降シリンダ54が伸長し、植付部40は下降する。
【0060】
また、昇降シリンダ54の上昇側の油室54a(図9)にはアキュムレータ65が挿通して直接取り付けられている。つまり、本実施例ではシリンダチューブ56のロッド側キャップ部56bにアキュムレータ65が直接取り付けられている。この時、アキュムレータ65のアキュムレータ接続部65bは、配管接続部59とは異なる位置のロッド側キャップ部56bに挿通される。昇降シリンダ54の上昇側の油室54a(図9)にアキュムレータ65が挿通されることで、アキュムレータ65が圧油の送油側の油室に取り付けられることとなり、アキュムレータ65の応答性が向上する。
【0061】
このように、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54との間に別途配管等を介さず、直接、昇降シリンダ54にアキュムレータ接続部65bを接続させている。これにより、昇降シリンダ54とアキュムレータ65との距離が短くなることから、アキュムレータ65の応答性が向上する。そして、植付部40を所定の高さまで上昇させた場合や、その高さで保持させて田植機1を悪路等を走行させた場合、植付部40に衝撃が伝わるが、昇降シリンダ54にアキュムレータ65を直接接続しているため、植付部40からの当該衝撃によって昇降シリンダ54に加えられる力が、該アキュムレータ65により、瞬時に、効率良く吸収され、植付部40を安定して支持することが可能となる。
【0062】
次に、植付部40の昇降用油圧回路70について説明する。
【0063】
図9に示すように、植付部40の昇降用油圧回路70は、フローコントロールバルブ71と、パワーステアリングユニット72と、水平バルブユニット73と、昇降バルブユニット74と、から構成されている。
【0064】
昇降用油圧回路70においては、作動油タンクとなるミッションケース8の作動油が、エンジン2により駆動される油圧ポンプ75によって、供給油圧回路76を介して、フローコントロールバルブ71へ供給される。そして、フローコントロールバルブ71は、油圧ポンプ75によって供給される作動油を、高圧油路77と低圧油路78とへ分配する。
高圧油路77には、パワーステアリングユニット72及び昇降バルブユニット74が接続され、低圧油路78には、水平バルブユニット73が接続される。
【0065】
パワーステアリングユニット72は、操向ハンドル21によって操向シリンダ79の操向バルブ80が切り換えられる。
水平バルブユニット73は、水平操作用ソレノイドバルブ81によって水平シリンダ82が操作され、その操作により、植付部40の左右傾斜姿勢が制御される。又は、対地センサからの検出値により植付部40が水平に制御される。
【0066】
昇降バルブユニット74は、昇降シリンダ54の伸縮を切り換える切換手段である。昇降バルブユニット74は、上昇ソレノイド83及び下降ソレノイド84によってコントロールバルブ85を切り換えて、昇降シリンダ54を伸縮させる。即ち、上昇ソレノイド83又は下降ソレノイド84に制御信号を印加し、励磁させて、バルブを切り換えて植付部40の昇降制御を行う。
また、昇降バルブユニット74は、コントロールバルブ85と、昇降シリンダ54の配管接続部59と、を接続する送油経路86にストップバルブ87を備える。昇降バルブユニット74において、ストップバルブ87を閉状態にすることで、植付部40を任意の高さに停止させることができる。
【0067】
昇降シリンダ54において、作動油の供給は、昇降バルブユニット74によって制御され、送油経路86を介して配管接続部59より供給される。また、昇降シリンダ54内の作動油は、配管接続部60から排出され、タンク戻り油路88を介して、ミッションケース8へ戻される。
【0068】
以上のように、本実施形態に係る田植機1は、走行部10(走行機体)の後部に昇降リンク機構53を介して昇降可能に設けられる植付部40と、昇降リンク機構53に連結して植付部40を昇降する昇降シリンダ54(油圧シリンダ)と、植付部40からの衝撃によって昇降シリンダ54(油圧シリンダ)に加えられる力を吸収するアキュムレータ65と、を具備する田植機1において、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)の上昇側の油室に連通して、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)に取り付けられるものである。
田植機1をこのように構成することで、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)とアキュムレータ65との距離が短くなり、植付部40からの衝撃によって昇降シリンダ54(油圧シリンダ)に加えられる力を、瞬時に、効率良く吸収することができる。そのため、当該力による昇降シリンダ54(油圧シリンダ)の油漏れや損傷等の発生も減少できる。また、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)とアキュムレータ65との間に配管が介在しないため、配管を簡略化できて、組立やメンテナンス等も簡単に行え、コスト低減化が図れる。
【0069】
また、本実施形態に係る田植機1は、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)におけるシリンダチューブ56のピストンロッド57側(ピストンロッド57が出ている側)であって、シリンダチューブ56に対して回動可能に取り付けられるロッド側キャップ部56bに取り付けられるものである。
田植機1をこのように構成することで、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)におけるアキュムレータ65の取り付け、及びアキュムレータ65の取付部の加工が簡単に行える。また、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)のロッド側キャップ部56bとともに回動するため、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)におけるアキュムレータ65の取付位置を容易に変更できる。そのため、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)の伸縮時に、アキュムレータ65が車体フレーム11やその他周辺装置と干渉することがない。
【0070】
次に、本発明の第2実施形態に係る田植機1について説明する。尚、以下の説明において、第1実施形態に係る田植機1と同一の構成については、符号を同一とし、構成の説明は省略する。
【0071】
図10及び図11に示すように、ロッド側キャップ部156bに取り付けられるアキュムレータ接続部165bには、送油経路86の昇降シリンダ54側86aを接続することも可能である。即ち、アキュムレータ接続部165bには、送油経路86を接続するための配管接続部159が設けられている。
【0072】
このように、アキュムレータ接続部165bに、送油経路86を接続するための配管接続部159を一体的に設けることにより、昇降シリンダ54のシリンダチューブ56に、別途、作動油入口部を設ける必要がなくなるため、昇降シリンダ54の部品点数を減らすことができる。また、昇降シリンダ54にアキュムレータ65と送油経路86とを同時に取り付けることができるため、昇降シリンダ54にアキュムレータ65及び送油経路86を取り付けるための構造を簡単にできる。
【0073】
以上のように、本実施形態に係る田植機1は、アキュムレータ65は、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)に接続するためのアキュムレータ接続部65b(接続部)を有し、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)と、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)の伸縮を切り換える昇降バルブユニット74(切換手段)とを連結する送油経路86の昇降シリンダ54(油圧シリンダ)側86aを、アキュムレータ接続部65b(接続部)に接続するものである。
田植機1をこのように構成することで、昇降シリンダ54(油圧シリンダ)にアキュムレータ65及び送油経路86を取り付けるための構造を簡単にでき、部品点数を削減できる。
【符号の説明】
【0074】
1 田植機
10 走行部(走行機体)
11 車体フレーム
40 植付部
53 昇降リンク機構
54 昇降シリンダ(油圧シリンダ)
56b ロッド側キャップ部(キャップ部)
57 ピストンロッド
65 アキュムレータ
65b アキュムレータ接続部(接続部)
74 昇降バルブユニット(切換手段)
86 送油経路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に昇降リンク機構を介して昇降可能に設けられる植付部と、前記昇降リンク機構に連結して前記植付部を昇降する油圧シリンダと、前記植付部からの衝撃によって前記油圧シリンダに加えられる力を吸収するアキュムレータと、を具備する田植機において、
前記アキュムレータは、油圧シリンダの上昇側の油室に連通して、油圧シリンダに取り付けられることを特徴とする田植機。
【請求項2】
前記アキュムレータは、前記油圧シリンダにおけるシリンダチューブのピストンロッド側であって、前記シリンダチューブに対して回動可能に取り付けられるキャップ部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記アキュムレータは、前記油圧シリンダに接続するための接続部を有し、
前記油圧シリンダと、前記油圧シリンダの伸縮を切り換える切換手段とを連結する送油経路の前記油圧シリンダ側を、前記接続部に接続することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の田植機。
【請求項1】
走行機体の後部に昇降リンク機構を介して昇降可能に設けられる植付部と、前記昇降リンク機構に連結して前記植付部を昇降する油圧シリンダと、前記植付部からの衝撃によって前記油圧シリンダに加えられる力を吸収するアキュムレータと、を具備する田植機において、
前記アキュムレータは、油圧シリンダの上昇側の油室に連通して、油圧シリンダに取り付けられることを特徴とする田植機。
【請求項2】
前記アキュムレータは、前記油圧シリンダにおけるシリンダチューブのピストンロッド側であって、前記シリンダチューブに対して回動可能に取り付けられるキャップ部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の田植機。
【請求項3】
前記アキュムレータは、前記油圧シリンダに接続するための接続部を有し、
前記油圧シリンダと、前記油圧シリンダの伸縮を切り換える切換手段とを連結する送油経路の前記油圧シリンダ側を、前記接続部に接続することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の田植機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−55802(P2011−55802A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211869(P2009−211869)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
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