画像データサイズ変換処理装置、電子スチルカメラ、および画像データサイズ変換処理用記録媒体
【課題】画像データの色成分が有するベイヤー配列を保持してデータサイズ変換処理を行う。
【解決手段】CCD26は画素領域上に配置されているベイヤー方式の色分解フィルタを通して被写体像を撮像し、画像処理回路29はCCD26から出力されるN行M列の画像データに対してγ補正、ホワイトバランスなどの種々の画像前処理を行う。画像前処理後の画像データはホワイトバランス微調整処理された後、JPEG圧縮前のフォーマット処理(画像後処理)される。画像後処理後の画像データは圧縮回路33で圧縮される。画像データサイズ変換回路240は、ホワイトバランス微調整処理後の画像データに対して、1画素とびの2画素分の同色信号を用いてリニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出してデータサイズを変換する。サイズ変換後の画像データはn×m(N>n,M>m)のブロック単位で信号処理する補間/輪郭処理回路220でフォーマット処理される。
【解決手段】CCD26は画素領域上に配置されているベイヤー方式の色分解フィルタを通して被写体像を撮像し、画像処理回路29はCCD26から出力されるN行M列の画像データに対してγ補正、ホワイトバランスなどの種々の画像前処理を行う。画像前処理後の画像データはホワイトバランス微調整処理された後、JPEG圧縮前のフォーマット処理(画像後処理)される。画像後処理後の画像データは圧縮回路33で圧縮される。画像データサイズ変換回路240は、ホワイトバランス微調整処理後の画像データに対して、1画素とびの2画素分の同色信号を用いてリニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出してデータサイズを変換する。サイズ変換後の画像データはn×m(N>n,M>m)のブロック単位で信号処理する補間/輪郭処理回路220でフォーマット処理される。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、ベイヤー方式の色分解フィルタを通して撮像された画像データのデータサイズ変換を行う画像データサイズ変換処理装置、電子スチルカメラ、および画像データサイズ変換処理プログラムが格納された記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】撮影レンズを通過する被写体像をCCDなどの撮像素子を有する撮像装置で撮像し、撮像装置から出力される画像データに対して所定の画像処理を行う電子スチルカメラが知られている。このような電子スチルカメラの撮像装置には、カラー画像を撮像するために撮像素子上に色分解フィルタが設けられている。図15は、撮像素子の画素に対応して、R色、G色、およびB色の原色フィルタが市松模様状に配置されているベイヤー方式の色分解フィルタを説明する図である。図15に示されるように、ベイヤー配列では画素並びにおける水平方向および垂直方向の両方向に、同じ色成分のフィルタが1画素おきに並ぶ。このような色分解フィルタを通して撮像された画像データは、ベイヤー配列が保持されるように扱う必要がある。ベイヤー配列がくずれると、画像データから被写体の色を再現できなくなるからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した画像データを縮小サイズ変換する場合に、水平方向および垂直方向にそれぞれ2画素おき、4画素おき、…というように2の倍数個の画素を間引いて画素データを読み出すと、間引きする前の画素データに対応する色成分の順序と、間引きして読み出された画素データの色成分の順序とが一致する。図15において斜線を引いた画素は、5画素につき1画素の割合で読み出す場合の画素位置である。このように縮小サイズ変換を間引き読み出しによって行うと、2の倍数ごとに間引くような縮小倍率、すなわち、水平方向および垂直方向にそれぞれ2/4,2/6,…という固定の縮小倍率のサイズ変換しかできない。また、縮小サイズ変換後のベイヤー配列をくずさないようにしても、間引きによって空間周波数が低下し、間引きモアレが発生してしまうという問題がある。
【0004】本発明の目的は、たとえば、ベイヤー方式のような色分解フィルタを通して撮像された画像データが有する色成分の配列をくずさずに任意の倍率で画像データサイズを変換する画像データサイズ変換処理装置、および電子スチルカメラを提供することにある。また本発明の他の目的は、色成分の配列をくずさずに任意の倍率で画像データサイズを変換する画像データサイズ変換処理を行なうプログラムを格納した記憶媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図2および図4を参照して本発明を説明する。
(1)請求項1に記載の発明による画像データサイズ変換処理装置は、複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタが所定の順序で配列され、被写体像を複数の色成分に色分解する色分解手段と、色分解手段により色分解された被写体像を複数の画素により撮像する撮像手段26と、撮像手段26から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換手段28と、A/D変換後の画像データについて、画像データが色フィルタの配列順序に応じて有する色成分の配列順序を保持しながら、画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換手段240とを備えることにより、上述した目的を達成する。
(2)請求項2に記載の発明による電子スチルカメラは、複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタが所定の順序で配列され、被写体像を複数の色成分に色分解する色分解手段と、色分解手段により色分解された被写体像を複数の画素により撮像する撮像手段26と、撮像手段26から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換手段28と、A/D変換後の画像データについて、画像データが色フィルタの配列順序に応じて有する色成分の配列順序を保持しながら、画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換手段240と、データサイズ変換手段240による縮小または拡大後の画像データに対し、所定の画像処理を行う画像処理手段220とを備えることにより、上述した目的を達成する。
(3)請求項3に記載の発明による画像データサイズ変換処理記録媒体は、複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタにより複数の色成分に色分解して撮像されたディジタル画像データについて、画像データが色フィルタの配列順序に応じて有する色成分の配列順序を保持しながら、画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換処理を行うプログラムを格納し、このプログラムを実行することにより、上述した目的を達成する。
【0006】なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
−第一の実施の形態−図1に示すように、第一の実施の形態による一眼レフ電子スチルカメラは、カメラ本体70と、カメラ本体70に着脱されるファインダ装置80と、撮影レンズ91と絞り92を内蔵してカメラ本体70に着脱される交換レンズ90とを備える。被写体光は交換レンズ90を通ってカメラ本体70に入射し、レリーズ前は点線で示す位置にあるクイックリターンミラー71でファインダ装置80に導かれてファインダマット81に結像する。その被写体像はさらに、ペンタプリズム82で接眼レンズ83に導かれる。レリーズ後はクイックリターンミラー71が実線で示す位置に回動し、被写体光がシャッタ72を介して撮像装置73上に結像する。レリーズ前に、プリズム84と結像レンズ85を通る被写体像がホワイトバランスセンサ86に入射し、ホワイトバランスセンサ86が被写体像の色温度を検出する。
【0008】図2は、第一の実施の形態による電子スチルカメラの回路ブロック図である。CPU21には、レリーズ釦に連動する半押しスイッチ22と全押しスイッチ23とから、半押し信号と全押し信号とがそれぞれ入力される。また、CPU21には、画像データのデータサイズを変換するためのリサイズスイッチ40からの操作信号が入力される。半押し信号がCPU21に入力されると、CPU21は、タイミングジェネレータ24とドライバ25とを介して撮像装置73のCCD26を駆動制御する。タイミングジェネレータ24の出力信号により、アナログ処理回路27とA/D変換回路28の動作タイミングが制御される。さらに、CPU21は、ホワイトバランス検出処理回路35を駆動制御する。CCD26の画素領域上には、カラーフィルタが設けられている。
【0009】半押しスイッチ22のオン操作に引き続いて全押しスイッチ23がオン操作されると、クイックリターンミラー71が上方に回動される。交換レンズ90からの被写体光がCCD26の受光面上で結像され、CCD26に被写体像の明るさに応じた信号電荷が蓄積される。CCD26に蓄積された信号電荷はドライバ25により吐き出され、AGC回路やCDS回路などを含むアナログ信号処理回路27に入力される。アナログ信号処理回路27は、入力されたアナログ画像信号に対してゲインコントロール、雑音除去等のアナログ処理を施す。アナログ処理後の画像信号は、A/D変換回路28によってデジタル信号に変換される。デジタル変換された画像データは、たとえば、ASICとして構成される画像処理回路29に導かれ、ホワイトバランス調整、輪郭補償、ガンマ補正等の画像前処理が行われる。
【0010】ホワイトバランス検出処理回路35は、色温度センサであるホワイトバランスセンサ35A(図1のホワイトバランスセンサ86)と、ホワイトバランスセンサ35Aからのアナログ信号をデジタル信号とするA/D変換回路35Bと、デジタル色温度信号に基づいてホワイトバランス調整信号を生成するCPU35Cとを含む。ホワイトバランスセンサ35Aは、たとえば、赤色Rと青色Bと緑色Gとにそれぞれ感度を有する複数の光電変換素子からなり、被写界全体の光像を受光する。CPU35Cは、複数の光電変換素子の出力に基づいてRゲインとBゲインを算出する。算出されたこれらのゲインは、CPU21の所定のレジスタに転送されて格納される。また、図1のホワイトバランスセンサ86は、24列×20行の2次元CCDで構成することもできる。この場合には、CCDを16の領域に分割し、R、G、B色にそれぞれ感度を有する複数個の素子を各領域ごとに配列する。
【0011】画像前処理が行なわれたディジタル画像データに対してはさらに、リサイズスイッチ40によって画像データサイズを変換するように設定されている場合に、画像データサイズ変換処理が行われる。リサイズ処理後の画像データは、JPEG圧縮のためのフォーマット処理(画像後処理)が行なわれた後、バッファメモリ30に一時的に格納される。
【0012】バッファメモリ30に記憶された画像データは、表示画像作成回路31により表示用の画像データに処理され、LCD等の外部モニタ32に撮影結果として表示される。また、バッファメモリ30に記憶された画像データは、圧縮回路33によりJPEG方式で所定の比率にデータ圧縮を受け、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード(CFカード)等の記録媒体34に記録される。
【0013】図3および図4は、画像処理回路29の詳細を示すブロック図である。図3は、CCD26からの画像データに対してラインごとに信号処理するライン処理回路100である。A/D変換回路28から出力される12ビットのR,G,B信号に対し、上述した画像前処理を行う。図4は、ライン処理回路100で信号処理された画像データに対してn×m画素データごとに、すなわちブロックごとに信号処理するブロック処理回路200である。画像データの20×20画素領域、16×16画素領域、12×12画素領域、あるいは8×8画素領域ごとに上述した画像後処理を行う。なお、画像処理回路29は、複数のプロセッサを用いてソフトウエアとして実現されるが、わかりやすく説明するためにハードウエアとして説明する。
【0014】図3において、ライン処理回路100は、欠陥補正回路101と、デジタルクランプ回路102と、ゲイン回路103と、ホワイトバランス回路104と、黒レベル回路105と、γ補正回路106と、平均値およびヒストグラム算出回路107とを有する。
【0015】欠陥補正回路101は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、欠陥のある画素(あらかじめ特定されてそのアドレスがCPU21内のレジスタにセットされている)からのデータを補正するものである。デジタルクランプ回路102は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、いわゆるオプティカルブラックとして使用する複数の画素に対応する信号の加重平均を、そのラインの各画素に対応する信号から減算するものである。ゲイン回路103は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、CCD26から出力されるR,G,B信号の各々に対して一律に所定のゲインをかけるとともに、CCD26の感度のばらつき補正をG信号に対して行ない、さらに、CCD26の感度比のばらつきをR,B信号に対して行なう。
【0016】ホワイトバランス回路104は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、上述したようにあらかじめ決定されてCPU21のレジスタに格納されているホワイトバランス調整係数、すなわち、RゲインとBゲインをR,B信号に掛合わせる。このホワイトバランス回路104で補正された画像データに基づいて、さらに後述するホワイトバランス微調整回路でホワイトバランスが微調整される。黒レベル回路105は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、あらかじめ決定されてCPU21のレジスタに格納されている値をR,G,B信号の各々に対して加算する。γ補正回路106は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、階調ルックアップテーブルを用いてγ補正を行なう。なお、γ補正によりそれぞれ12ビットのR,G,B信号は、8ビットのRGBデータに変換される。
【0017】平均値およびヒストグラム算出回路107は、γ補正後の画像データの中から、たとえば、焦点検出領域の中央部を中心とした512×512の領域の画像データを抽出し、R信号用のホワイトバランス微調整用ゲインRFgainとB信号用のホワイトバランス微調整用ゲインBFgainとを次式(1),(2)により算出する。算出したRFgainとBFgainは、それぞれCPU21のレジスタに格納される。図5は、CCD26の画素領域上に配置されているベイヤー方式の色分解フィルタを表す図である。たとえば、512×512の画素領域上に図5に示すような色フィルタの配列を有する場合、R,G,B信号の平均値を(3)〜(5)式で算出し、(1),(2)式に示すように、G信号の平均値GaveとR信号の平均値Raveとの比およびG信号の平均値GaveとB信号の平均値Baveとの比からホワイトバランス微調整用ゲインRFgainとBFgainを算出する。
【0018】
【数1】
このような平均値方式によると、画像データのRGBの各信号の階調の平均値を求めたことになり、経験的にホワイトバランスの調整結果(全体的なホワイトバランス)が良好となる。
【0019】図4において、ブロック処理回路200は、ホワイトバランス微調整回路210と、画像データサイズ変換処理回路240と、切換え回路250と、補間/輪郭処理回路220とを有する。ホワイトバランス微調整回路210は、上述したγ補正回路106までの処理後にバッファメモリ30に格納されているR信号およびB信号に対して、所定画素領域の各R,B信号ごとに、平均値回路107で算出されたホワイトバランス微調整用ゲインRFgainとBFgainをそれぞれ掛け合せてホワイトバランスの微調整を行なう。
【0020】画像データサイズ変換処理回路240は、リサイズスイッチ40によりデータサイズ変換するように設定されている場合に、間引き処理を行うことなく画像データの1撮影画面を構成するデータ数、すなわち、データサイズを変換する。データサイズ変換後の画像データは、20×20画素領域ごとの画像データとして出力される。本発明は、とくに、CCD26の画素領域上に配置されている色分解フィルタの色成分の配列に対応する色成分の順序をくずさずに、かつ、画像データが有する空間周波数が低下しないようにデータサイズ変換するところに特徴を有する。データサイズの変換の際、被写体の輪郭などの情報が保持されるのはもちろんのことである。
【0021】第一の実施の形態では、1撮影画面を面積比で9/16にサイズ変換する場合、すなわち、1画面の水平方向および垂直方向のデータサイズをそれぞれ3/4にリサイズする場合を例にあげて説明する。リサイズ処理は、1画素とびの近隣2画素分の同色信号のデータを用いて、リニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出する。3/4のリサイズ処理では、4画素データにつき3画素分のデータを算出する。
【0022】水平方向について、図5の1行目のRGRGラインを考える。たとえば、1行1列のR信号が得られる位置を注目画素nとおく。リサイズ処理後のR成分およびG成分の値は、次式(6)〜(11)で算出される。
【数2】
R(1,1)={n+(n+2)}/2 (6)
G(1,2)={(n+1)+(n+3)}/2 (7)
R(1,3)={5(n+2)+27(n+4)}/32 (8)
G(1,4)={5(n+3)+27(n+5)}/32 (9)
R(1,5)={27(n+6)+5(n+8)}/32 (10)
G(1,6)={27(n+7)+5(n+9)}/32 (11)
【0023】上式(6)〜(11)によれば、R成分について、注目画素n〜(n+8)までのグループ、すなわち、5個のR信号が得られる範囲にR(1,1),R(1,3),R(1,5)の3個のR成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(n+1)〜(n+9)までのグループ、すなわち、5個のG信号が得られる範囲にG(1,2),G(1,4),G(1,6)の3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(6)〜(11)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+8)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各5個のR信号およびG信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、4個から3個を算出する3/4のリサイズ処理になる。
【0024】次に、同じく水平方向について、図5の2行目のGBGBラインを考える。2行1列のG信号が得られる位置を注目画素nとおくと、リサイズ処理後のG成分およびB成分の値が次式(12)〜(17)で算出される。
【数3】
G(2,1)={n+(n+2)}/2 (12)
B(2,2)={(n+1)+(n+3)}/2 (13)
G(2,3)={5(n+2)+27(n+4)}/32 (14)
B(2,4)={5(n+3)+27(n+5)}/32 (15)
G(2,5)={27(n+6)+5(n+8)}/32 (16)
B(2,6)={27(n+7)+5(n+9)}/32 (17)
【0025】上式(12)〜(17)によれば、G成分について、注目画素n〜(n+8)までのグループ、すなわち、5個のG信号が得られる範囲にG(2,1),G(2,3),G(2,5)の3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、B成分について、注目画素(n+1)〜(n+9)までのグループ、すなわち、5個のB信号が得られる範囲にB(2,2),B(2,4),B(2,6)の3個のB成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(12)〜(17)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+8)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各5個のG信号およびB信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、4個から3個を算出する3/4のリサイズ処理になる。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0026】水平方向についてリサイズ処理された画像データに対して、垂直方向についても同様の処理を行う。上述したようにリサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じであることから、図5を参照して説明する。図5において、1列目のRGRGラインにおける1行1列のR信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のR成分およびG成分の値が次式(18)〜(23)で算出される。
【数4】
R(1,1)={m+(m+2)}/2 (18)
G(2,1)={(m+1)+(m+3)}/2 (19)
R(3,1)={5(m+2)+27(m+4)}/32 (20)
G(4,1)={5(m+3)+27(m+5)}/32 (21)
R(5,1)={27(m+6)+5(m+8)}/32 (22)
G(6,1)={27(m+7)+5(m+9)}/32 (23)
【0027】上式(18)〜(23)によれば、R成分について、注目画素m〜(m+8)までのグループ、すなわち、5個のR信号が得られる範囲にR(1,1),R(3,1),R(5,1)の3個のR成分が垂直方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(m+1)〜(m+9)までのグループ、すなわち、5個のG信号が得られる範囲にG(2,1),G(4,1),G(6,1)の3個のG成分が垂直方向にほぼ等間隔で算出される。上式(18)〜(23)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(m+8)を新たな注目画素mとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各5個のR信号およびG信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、4個から3個を算出する3/4のリサイズ処理になる。
【0028】同じく垂直方向について、図5の2列目のGBGBラインを考える。1行2列のG信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のG成分およびB成分の値は、次式(24)〜(29)で算出される。
【数5】
G(1,2)={m+(m+2)}/2 (24)
B(2,2)={(m+1)+(m+3)}/2 (25)
G(3,2)={5(m+2)+27(m+4)}/32 (26)
B(4,2)={5(m+3)+27(m+5)}/32 (27)
G(5,2)={27(m+6)+5(m+8)}/32 (28)
B(6,2)={27(m+7)+5(m+9)}/32 (29)
【0029】上式(24)〜(29)によれば、G成分について、注目画素m〜(m+8)までのグループ、すなわち、5個のG信号が得られる範囲にG(1,2),G(3,2),G(5,2)の3個のG成分が垂直方向にほぼ等間隔で算出される。また、B成分について、注目画素(m+1)〜(m+9)までのグループ、すなわち、5個のB信号が得られる範囲にB(2,2),B(4,2),B(6,2)の3個のB成分が垂直方向にほぼ等間隔で算出される。上式(24)〜(29)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+8)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各5個のG信号およびB信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、4個から3個を算出する3/4のリサイズ処理になる。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0030】以上説明したように、水平方向および垂直方向に対して各々3/4にリサイズ処理を行うことにより、1撮影画面を構成するデータ数を9/16のサイズに変換できる。なお、わかりやすく説明するために水平方向および垂直方向の算出処理を別々に行うように説明したが、両方向の算出処理をマトリクス演算としてまとめて行うようにしてもよい。両方向についてそれぞれ単独で算出する場合と、まとめて算出する場合とで算出される結果は同じである。
【0031】切換え回路250は、CPU21(図2)の指令により、ホワイトバランス微調整回路210から順次出力される20×20画素領域の画像データと、画像データサイズ変換処理回路240から順次出力される20×20画素領域の画像データのいずれか一方を補間/輪郭処理回路220へ出力する。
【0032】補間/輪郭処理回路220は、ホワイトバランス微調整後の画像データ、または画像データサイズ変換処理後の画像データに対し、20×20画素領域のブロックデータごとに、JPEG方式のデータ圧縮のためのフォーマット処理を行う。フォーマット処理の結果、16×8画素領域のY信号と、8×8画素領域のCb信号と、8×8画素領域のCr信号とが生成される。輝度信号Yは、後述するようにG信号の低周波数成分の輝度信号Y1と高周波数成分の輪郭信号Y2とを含むものである。
【0033】補間/輪郭処理回路220は、G補間回路221と、バンドパスフィルタ(BPF)222と、クリップ回路223と、ゲイン回路224と、ローパスフィルタ(LPF)225と、色差信号生成回路226と、補間/ローパスフィルタ(LPF)回路228と、マトリックス回路229と、加算器230と、メディアン回路232とを有する。
【0034】G補間回路221は、ホワイトバランス微調整回路210、または画像データサイズ変換処理回路240から入力される画像データに対し、20×20画素領域のブロック信号ごとに、その中心の16×16画素領域のデータについて、R信号あるいはB信号の画素領域に対してG成分を補間演算で算出する。すなわち、図6に示すように、20×20画素領域の入力データD20について、5×5画素領域データD51(1行1列〜5行5列)の中央の空格子点(3行3列の画素であり、B信号が得られる)のG成分を算出し、この値を16×16画素領域の出力データD16の3行3列の画素(Bを○で囲ったもの)のG成分として置換する。
【0035】次いで、20×20画素領域の入力データD20について、5×5画素領域データD52(2行2列〜6行6列)の中央の空格子点(4行4列の画素であり、R信号が得られる)のG成分を算出し、この値を16×16画素領域の出力データD16の4行4列の画素(Rを○で囲ったもの)のG成分に置換する。このような処理を繰り返し行なうことにより、16×16画素領域のすべての空格子点についてG補間処理が行われ、出力データD16を得る。そして、そのうちの12×12画素領域の出力データD12をバンドパスフィルタ222とローパスフィルタ225にそれぞれ出力する一方、16×16画素領域の出力データD16を色差信号生成回路226に出力する。
【0036】バンドパスフィルタ222は、G補間回路221から出力される12×12画素領域のG信号のうち中間周波数成分(ただし、被写体の輪郭が抽出できる程度に高い周波数成分であり、便宜上、高周波数成分と呼ぶ)を取り出す。すなわち、図7に示すように、12×12画素領域の入力データD12について、5×5画素領域データD5(5行5列〜9行9列)にバンドパスフィルタ係数を掛け合せてBPF出力データを得、その値を8×8画素領域の出力データD8の7行7列のデータ(太字G)として置換する。このような処理を繰り返すことで8×8画素領域のすべての画素データをBPF後のGデータに置換し、出力データD8を生成する。
【0037】クリップ回路223は、バンドパスフィルタ222から出力される8×8画素領域データD8のそれぞれを、設定したレベルでクリップおよびカットする。ゲイン回路224は、クリップ回路223の出力にあらかじめ定められたゲインを掛ける。
【0038】ローパスフィルタ225は、G補間回路221から出力される12×12画素領域のG信号のうち低周波数成分を取り出す。すなわち、図8に示すように、12×12画素領域の入力データD12について、5×5画素領域データD5(5行5列〜9行9列)にローパスフィルタ係数を掛け合せてLPF出力データを得、その値を8×8画素領域の出力データD8の7行7列のデータ(ハッチング領域)として置換する。このような処理を繰り返すことで8×8画素領域のすべての画素データをLPF後のGデータに置換し、出力データD8を生成する。
【0039】色差信号生成回路226は、図9に示すように、ホワイトバランス微調整回路210、または画像データサイズ変換処理回路240から入力される画像データのうち16×16画素領域のRGB信号入力データD16−1と、G補間回路221から出力される16×16画素領域のG信号入力データD16−2とに基づいて、(B−G)信号と(R−G)信号とを含む中間データD16−3を生成する。さらに、中間データD16−3を(B−G)色差信号の出力データD16−4と(R−G)色差信号の出力データD16−5とに分離する。
【0040】補間/LPF回路228は、色差信号生成回路226から出力される16×16画素領域の8ビットの(B−G)信号と(R−G)信号とをそれぞれ入力して、5×5画素領域ごとに(B−G)信号と(R−G)信号とをそれぞれ補間演算するとともに、同時に低帯域信号を取り出すローパスフィルタリング処理も行ない、その結果である12×12画素領域の(B−G)信号と(R−G)信号とをマトリックス回路229のCb,Crマトリックス部へ出力する。また、8×8画素領域の(B−G)信号と(R−G)信号とをマトリックス回路229のYマトリックス部へ出力する。
【0041】5×5画素領域の(R−G)データを図10のように表わすとき、上記補間演算とローパスフィルタリング処理演算は次式(30)で表わされる。
【数6】
【0042】一般に、補間フィルタと帯域制限のLPFを同時にかける場合には次のようなフィルタ係数の制限がある。簡単のために1次元で説明する。補間後のサンプル点のうち、N周期で実サンプル点がある場合を考える。たとえば、a,a,b,b,a,a,b,b,・・・・・・・・(ただし、aは実サンプル点、bは補間するサンプル点とする。なお、この例では4周期である)の場合である。。これを(2n+1)次(ただし、(2n+1)はNより大きい)の奇数次対称型デジタルフィルタで補間する場合、実サンプル点が一様であれば、補間後のサンプル点も一様であることが必要とされ、以下のようなフィルタ係数の制限がある。
【0043】C(k)をk番目のフィルタ係数とすると、以下のようにN個存在する係数の組の和が互に等しくなくてはならない。
【数7】
ただし、iはフィルタ係数が(2n+1)以下に収まる0以上の整数であり、kはn未満の0以上の整数である。
【0044】2次元の場合は、水平方向と垂直方向に同様の制限のフィルタを掛合わせて2次元フィルタを構成すればよい。この実施の形態では、図5と図10に示すように2画素周期のサンプル点を補間するので、N=2であり、フィルタ係数は偶数次の和と奇数次の和が等しくなければならない。すなわち、ΣC(2*i)=ΣC(2*i+1)
2次元で上記(54)式のような5次×5次の対称型フィルタの場合は、4*kc1+2*kc3+4*kc5+2*kc7+kc9=4*kc2+4*kc4+2*kc6+2*kc8となる。
【0045】たとえば、図11を参照して(R−G)信号の補間/LPF処理について説明する。16×16画素領域の入力データD16の(R−G)信号について、5×5画素領域データD5(3行3列〜7行7列)に補間/LPFフィルタ係数を掛け合せ、その中央領域(5行5列)の(R−G)データを算出し、これを12×12画素領域の出力データD12の5行5列のデータとして置換する。このような処理を繰り返すことで(R−G)信号について12×12画素領域のすべての画素データを補間/LPF処理し、出力データD12を得る。(B−G)信号についても同様な処理を行なって、12×12画素領域の出力データを生成する。
【0046】マトリックス回路229は、Yマトリックス部と、Cbマトリックス部と、Crマトリックス部とから構成される。Yマトリックス部は、補間/LPF回路228から8×8画素領域の(B−G)信号と(R−G)信号を入力するとともに、ローパスフィルタ225から8×8画素領域のG信号を入力し、次式(31)により8×8画素領域の低周波数成分の輝度信号Y1を生成する。
【数8】
Y1(i,j)=[Mkg×G(i,j)+Mkr1×R-G(i,j)+Mkb1×B-G(i,j)] (31)
ただし、Mkg、Mkr1、Mkb1はマトリックス係数である。
【0047】Cbマトリックス部およびCrマトリックス部はそれぞれ、補間/LPF回路228から12×12画素領域の(B−G)信号と(R−G)信号を各々入力し、次式(32),(33)により12×12画素領域のCb信号とCr信号とを生成する。
【数9】
Cr(i,j)=[Mkr2×R-G(i,j)+Mkb2×B-G(i,j)] (32)
Cb(i,j)=[Mkr3×R-G(i,j)+Mkb3×B-G(i,j)] (33)
ただし、Mkr2、Mkr3、Mkb2、Mkb3はマトリックス係数である。
【0048】加算器230は、マトリックス回路229から出力される8×8画素領域の低周波数成分の輝度信号Y1と、ゲイン回路224から出力される8×8画素領域の高周波数成分の輪郭抽出信号Y2とを加算する。ゲイン回路224から出力される輪郭抽出信号Y2は、G補間された16×16画素領域のG信号から高周波数成分を抽出したもの、すなわち輪郭を抽出したものである。したがって、加算器230において上式(31)で算出される輝度信号Y1と、ゲイン回路224で算出される輪郭抽出信号Y2とを加算することにより、画像全体の輝度/輪郭抽出信号Y(Y1+Y2)が算出される。この加算結果は、バッファメモリ30に格納される。
【0049】メディアン回路233は、マトリックス回路229からの12×12画素領域のCb信号とCr信号とを入力し、5×5画素領域に含まれる3×3画素の9点を利用したメディアン処理を行ない、8×8画素のCr信号とCb信号とを出力する。
【0050】この実施の形態のメディアン処理では、図12に示すように、12×12画素のデータD12(データは黒点印)のうち、5×5画素領域に含まれる3×3画素(5行5列〜9行9列)のデータD3−5の9個のデータ(×印)に対してメディアンフィルタ処理を行なう。すなわち、9個のデータを昇順もしくは降順にソートして中央値をメディアン処理データとする。そして、得られたメディアン処理データを、8×8画素の出力データD8の7行7列のデータとして置換する。このような演算を繰り返して行なうことにより、Cb,Cr信号のそれぞれについて、8×8画素の出力データD8を生成する。Cr信号とCb信号の出力データD8は、バッファメモリ30に格納される。
【0051】JPEG圧縮回路33は、上述したようにブロック処理回路200に入力された20×20画素領域ごとの入力データに対して、加算回路230により生成される16×8画素のY信号と、メディアン回路232により生成される8×8画素のCr信号とCb信号とに基づいて、JPEG圧縮方式の8×8画素にフォーマット化されたY、Cr、Cb信号を1単位として抽出し、周知の手順により圧縮することを繰り返し行ってすべての画像を圧縮する。圧縮された画像データは、CPU21を経由して記録媒体34に記憶される。
【0052】このように構成された電子スチルカメラの動作について説明する。全押しスイッチ23が操作されると、クイックリターンミラーが跳ね上がり、図13に示す撮影シーケンスのプログラムが起動される。ステップS21において、CCD26の各画素が信号電荷を蓄積し、蓄積終了後、全画素の蓄積電荷が順次吐き出される。ステップS22において、吐き出された画像信号がアナログ信号処理回路27で処理された後、A/D変換回路28でデジタル画像データに変換される。ステップS23において、画像データが画像処理回路29に入力され、上述した画像処理が行われる。画像処理回路29は、ホワイトバランス調整、γ階調補正、画像データサイズ変換処理、JPEGフォーマット化処理などを行う。画像処理が終了するとステップS24に進み、画像処理後の画像データをいったんバッファメモリ30に記憶する。ステップS25において、バッファメモリ30から画像データを読み込んでJPEG圧縮回路33でデータを圧縮する。ステップS26において、圧縮した画像データを記録媒体34に記憶して図13の処理を終了する。
【0053】以上説明したように第一の実施の形態によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)補間/輪郭処理回路220内のG補間回路221でG補間処理する前のディジタル画像データに対して、画像データサイズ変換処理回路240がリサイズ処理を行うようにした。たとえば、補間/輪郭処理回路220でフォーマット処理が行われた後からリサイズ処理を行う場合、フォーマット処理によって算出されるY信号と、Cb信号と、Cr信号との3画面分の画像データのそれぞれに対してリサイズ処理が必要である。第一の実施の形態では、R、G、B信号を有する1画面分の画像データに対してのみリサイズ処理を行えばよい。したがって、Y信号、Cb信号およびCr信号の3画面分のリサイズ処理を行う場合に比べて、処理時間と処理に必要なメモリ容量を大幅に削減することができる。
(2)画像データの色成分、すなわち、R、G、B信号が有するベイヤーの配列は、画像データサイズ変換処理回路240がリサイズ処理を行う前後で保持される。したがって、補間/輪郭処理回路220は、リサイズ処理の有無に関係なく、上述したようにn×m(n,m=20,16,12,8)画素を1つのブロック単位としてブロック処理を行うことができる。つまり、画像データサイズ変換処理回路240は、既存の電子スチルカメラの回路ブロックに変更を加えることなく、後から容易に追加することができる。
(3)画像データサイズ変換処理回路240は、1画素とびの2画素分の同色信号を用いてリニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出してデータサイズを縮小するようにした。したがって、間引き処理によってデータサイズを変換する場合と異なり、任意の倍率で縮小サイズ変換することができる。また、リニア補間的算出によって偽色の発生や空間周波数の低下が抑制されるので、間引きモアレのない高品質のリサイズ画像が得られる。
【0054】上述したリサイズ処理では、1画素とびの近隣2画素分の同色信号のデータを用いて、1画素分のデータの大きさをリニア補間的に算出した。1画素とびの近隣5画素もしくは6画素分の同色信号のデータを用いて、Sinc関数ベースの補間処理を行うようにしてもよい。図5を参照して説明すると、たとえば、水平方向および垂直方向の両方向にそれぞれ3/4のリサイズ処理を行う場合に1行1列のR信号が得られる位置を注目画素nとおくと、水平方向におけるリサイズ処理後のR成分およびG成分の値は、次式(34)〜(39)で与えられる。
【数10】
R(1,1)={-3n-4(n+2)+70(n+4)+70(n+6)-4(n+8)-3(n+10)}/128 (34)
G(1,2)={-3(n+1)-4(n+3)+70(n+5)+70(n+7)-4(n+9)-3(n+11)}/128 (35)
R(1,3)={-10(n+4)+42(n+6)+88(n+8)+16(n+10)-8(n+12)}/128 (36)
G(1,4)={-10(n+5)+42(n+7)+88(n+9)+16(n+11)-8(n+13)}/128 (37)
R(1,5)={-8(n+6)+16(n+8)+88(n+10)+42(n+12)-10(n+14)}/128 (38)
G(1,6)={-8(n+7)+16(n+9)+88(n+11)+42(n+13)-10(n+15)}/128 (39)
【0055】上式(34)〜(39)によれば、R成分について、注目画素(n+4)〜(n+10)までの4個のR信号が得られる範囲に、R(1,1),R(1,3),R(1,5)の3個のR成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(n+5)〜(n+11)までの4個のG信号が得られる範囲に、G(1,2),G(1,4),G(1,6)までの3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(34)〜(39)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+8)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。水平方向のGBGBラインについても同様に算出する。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0056】水平方向についてリサイズ処理された画像データに対して、垂直方向についても同様の処理を行う。図5において、1列目のRGRGラインにおける1行1列のR信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のR成分およびG成分の値が次式(40)〜(45)で算出される。
【数11】
R(1,1)={-3m-4(m+2)+70(m+4)+70(m+6)-4(m+8)-3(m+10)}/128 (40)
G(2,1)={-3(m+1)-4(m+3)+70(m+5)+70(m+7)-4(m+9)-3(m+11)}/128 (41)
R(3,1)={-10(m+4)+42(m+6)+88(m+8)+16(m+10)-8(m+12)}/128 (42)
G(4,1)={-10(m+5)+42(m+7)+88(m+9)+16(m+11)-8(m+13)}/128 (43)
R(5,1)={-8(m+6)+16(m+8)+88(m+10)+42(m+12)-10(m+14)}/128 (44)
G(6,1)={-8(m+7)+16(m+9)+88(m+11)+42(m+13)-10(m+15)}/128 (45)
【0057】同様にして、垂直方向のGBGBラインについても算出すれば、水平方向および垂直方向のそれぞれを3/4に、すなわち、1撮影画面を構成するデータ数を9/16のサイズに変換できる。なお、わかりやすく説明するために水平方向および垂直方向の算出処理を別々に行うように説明したが、両方向の算出処理をマトリクス演算としてまとめて行うようにしてもよい。両方向についてそれぞれ単独で算出する場合と、まとめて算出する場合とで算出される結果は同じである。
【0058】−第二の実施の形態−第二の実施の形態では、1撮影画面を面積比で9/4にサイズ変換する場合、すなわち、1画面の水平方向および垂直方向のデータサイズをそれぞれ3/2にリサイズする場合を例にあげて説明する。リサイズ処理は、1画素とびの近隣2画素分の同色信号のデータを用いて、リニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出する。3/2のリサイズ処理では、2画素データにつき3画素分のデータを算出する。
【0059】水平方向について、図5の1行目のRGRGラインを考える。たとえば、1行1列のR信号が得られる位置を注目画素nとおく。リサイズ処理後のR成分およびG成分の値は、次式(46)〜(51)で算出される。
【数12】
R(1,1)={64n+64(n+2)}/128 (46)
G(1,2)={64(n+1)+64(n+3)}/128 (47)
R(1,3)={108(n+2)+20(n+4)}/128 (48)
G(1,4)={108(n+3)+20(n+5)}/128 (49)
R(1,5)={20(n+2)+108(n+4)}/128 (50)
G(1,6)={20(n+3)+108(n+5)}/128 (51)
【0060】上式(46)〜(51)によれば、R成分について、注目画素n〜(n+4)までのグループ、すなわち、3個のR信号が得られる範囲にR(1,1),R(1,3),R(1,5)の3個のR成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(n+1)〜(n+5)までのグループ、すなわち、3個のG信号が得られる範囲にG(1,2),G(1,4),G(1,6)の3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(46)〜(51)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+4)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各3個のR信号およびG信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、2個から3個を算出する3/2のリサイズ処理になる。水平方向のGBGBラインについても同様に算出する。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0061】水平方向についてリサイズ処理された画像データに対して、垂直方向についても同様の処理を行う。図5において、1列目のRGRGラインにおける1行1列のR信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のR成分およびG成分の値が次式(52)〜(57)で算出される。
【数13】
R(1,1)={64m+64(m+2)}/128 (52)
G(2,1)={64(m+1)+64(m+3)}/128 (53)
R(3,1)={108(m+2)+20(m+4)}/128 (54)
G(4,1)={108(m+3)+20(m+5)}/128 (55)
R(5,1)={20(m+2)+108(m+4)}/128 (56)
G(6,1)={20(m+3)+108(m+5)}/128 (57)
【0062】上式(52)〜(57)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+4)を新たな注目画素mとおいて次のデータを算出する。同様にして、垂直方向のGBGBラインについても算出すれば、水平方向および垂直方向のそれぞれを3/2に、すなわち、1撮影画面を構成するデータ数を9/4のサイズに変換できる。なお、わかりやすく説明するために水平方向および垂直方向の算出処理を別々に行うように説明したが、両方向の算出処理をマトリクス演算としてまとめて行うようにしてもよい。両方向についてそれぞれ単独で算出する場合と、まとめて算出する場合とで算出される結果は同じである。
【0063】以上説明したように第二の実施の形態によれば、画像データサイズ変換処理回路240が1画素とびの2画素分の同色信号を用いて、リニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出するようにしたので、画像データサイズを拡大することができる。また、拡大倍率も任意である。さらに、リニア補間的算出によって偽色の発生や空間周波数の低下が抑制されるので、リサイズ後の画像品質が劣化しない。
【0064】上述したリサイズ処理では、1画素とびの近隣2画素分の同色信号のデータを用いて、1画素分のデータの大きさをリニア補間的に算出した。1画素とびの近隣4画素分の同色信号のデータを用いて、Sinc関数ベースの補間処理を行うようにしてもよい。図5を参照して説明すると、たとえば、水平方向および垂直方向の両方向にそれぞれ3/2のリサイズ処理を行う場合に、1行1列のR信号が得られる位置を注目画素nとおくと、水平方向におけるリサイズ処理後のR成分およびG成分の値は、次式(58)〜(63)で与えられる。
【数14】
R(1,1)={-12n+76(n+2)+76(n+4)-12(n+6)}/128 (58)
G(1,2)={-12(n+1)+76(n+3)+76(n+5)-12(n+7)}/128 (59)
R(1,3)={-11(n+2)+122(n+4)+19(n+6)-2(n+8)}/128 (60)
G(1,4)={-11(n+3)+122(n+5)+19(n+7)-2(n+9)}/128 (61)
R(1,5)={-2(n+2)+19(n+4)+122(n+6)-11(n+8)}/128 (62)
G(1,6)={-2(n+3)+19(n+5)+122(n+7)-11(n+9)}/128 (63)
【0065】上式(58)〜(63)によれば、R成分について、注目画素(n+2)〜(n+6)までの3個のR信号が得られる範囲に、R(1,1),R(1,3),R(1,5)の3個のR成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(n+3)〜(n+7)までの3個のG信号が得られる範囲に、G(1,2),G(1,4),G(1,6)までの3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(58)〜(63)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+4)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各3個のR信号およびG信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、2個から3個を算出する3/2のリサイズ処理になる。水平方向のGBGBラインについても同様に算出する。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0066】水平方向についてリサイズ処理された画像データに対して、垂直方向についても同様の処理を行う。図5において、1列目のRGRGラインにおける1行1列のR信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のR成分およびG成分の値が次式(64)〜(69)で算出される。
【数15】
R(1,1)={-12m+76(m+2)+76(m+4)-12(m+6)}/128 (64)
G(2,1)={-12(m+1)+76(m+3)+76(m+5)-12(m+7)}/128 (65)
R(3,1)={-11(m+2)+122(m+4)+19(m+6)-2(m+8)}/128 (66)
G(4,1)={-11(m+3)+122(m+5)+19(m+7)-2(m+9)}/128 (67)
R(5,1)={-2(m+2)+19(m+4)+122(m+6)-11(m+8)}/128 (68)
G(6,1)={-2(m+3)+19(m+5)+122(m+7)-11(m+9)}/128 (69)
【0067】同様にして、垂直方向のGBGBラインについても算出すれば、水平方向および垂直方向のそれぞれを3/2に、すなわち、1撮影画面を構成するデータ数を9/4のサイズに変換できる。なお、わかりやすく説明するために水平方向および垂直方向の算出処理を別々に行うように説明したが、両方向の算出処理をマトリクス演算としてまとめて行うようにしてもよい。両方向についてそれぞれ単独で算出する場合と、まとめて算出する場合とで算出される結果は同じである。
【0068】以上の説明では、ベイヤー方式の色分解フィルタが用いられる場合について説明したが、補色フィルタ配列方式の場合でも本発明を適用することが可能である。図14は、CCD26の画素に対応して、G色、Ye色、Cy色およびMa色の補色フィルタが配置されている色分解フィルタを説明する図である。このように、画素並びにおける水平方向および垂直方向の両方向に同じ色成分のフィルタが1画素おきに並ぶ場合に、上述した各式によりリサイズ処理を行うことができる。
【0069】なお、1撮影画面を構成するデータ全体が、たとえば、G成分で構成されるような単色の画像データに対しても本発明を適用できる。
【0070】上述した第一の実施の形態では面積比で9/16倍に縮小リサイズ処理する場合を説明し、第二の実施の形態では面積比で9/4倍に拡大リサイズ処理する場合を説明した。本発明によるリサイズ処理は、単純な間引き処理とは異なり、リサイズ倍率を任意に設定することが可能である。したがって、リサイズ倍率は上記の説明による倍率に限定されず、任意の値を設定してよい。
【0071】以上の実施の形態では電子スチルカメラについて説明したが、画像データサイズ変換処理回路240をソフトウエアの形態でCD−ROMやフロッピデイスクなどの記録媒体に画像データサイズ変換処理プログラムとして格納し、パソコンでリサイズ処理する際に使用することもできる。この場合、CCDで撮像してデジタル化された画像データを大容量の画像データ用記録媒体に記憶し、この記録媒体をパソコンにセットして画像データを取込んだ上で、上記画像データサイズ変換処理プログラムにより上述のようなリサイズ処理を行うようにする。たとえば、図3において、γ補正回路106のR、G、B出力データを生データとして記録媒体34に記憶し、その記録媒体34をパソコンにセットして生データに対するリサイズ処理を行なうことができる。
【0072】上述した画像データサイズ変換処理プログラムが格納された記憶媒体からプログラムをパソコンで読込む代わりに、インターネットなどの伝送媒体を利用して上述した画像データサイズ変換処理プログラムを伝送してもよい。この場合には、伝送されたプログラムをパソコンで読込んだ上で、上述のような画像データサイズの変換処理を行う。
【0073】なお、以上の説明では一眼レフ電子スチルカメラについて説明したが、レンズ交換ができない電子スチルカメラ、動画像も取込めるデジタルビデオカメラにも本発明を適用できる。
【0074】以上の実施の形態における回路構成は一例を示すに過ぎず、たとえば次のような態様を含むものでもよい。ブロック処理回路200のG補間処理、BPF処理、LPF処理、補間/LPF処理では、20×20、16×16、12×12、8×8のいずれかのブロックを1単位として画像処理するものとして説明した。これに合わせて、画像データサイズ変換処理回路240が20×20画素領域ごとにリサイズ後の画像データを出力するように説明した。しかしながら、上記各処理におけるブロックサイズは上記の数値の例に限らず、たとえば、5×5画素領域の画像データを1単位として画像処理してもよい。
【0075】以上の説明では、画像データサイズ変換処理回路240がホワイトバランス微調整後の画像データに対してリサイズ処理を行うようにした。上述したように、リサイズ処理を画素補間処理を行う前に行うことにより、リサイズ処理時間およびリサイズ処理に必要なメモリ容量を削減することができる。したがって、リサイズ処理は、画素補間処理前であれば必ずしもホワイトバランス微調整後でなくてもよく、たとえば、図3のライン処理回路でデジタルクランプされた後の画像データに対して行うようにしてもよい。
【0076】特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明すると、R成分、G成分およびB成分が複数の色成分に、色分解フィルタが色分解手段に、CCD26が撮像手段に、A/D変換回路28がA/D変換手段に、画像データサイズ変換処理回路240がデータサイズ変換手段に、補間/輪郭処理回路220が画像処理手段に、それぞれ対応する。
【0077】
【発明の効果】以上詳細に説明したように請求項1〜3に記載の発明によれば、色分解手段によって複数の色成分に色分解された被写体像を撮像したディジタル画像データについて、色分解手段に配列されている色フィルタの配列による画像データの色成分の配列順序を保持しながら、画像データサイズを任意の縮小率または拡大率でサイズ変換するようにした。サイズ変換しても色成分の配列順序を保持する結果、被写体像の色を正しく再現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一眼レフ電子スチルカメラの一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】一眼レフ電子スチルカメラの信号処理系統の一実施の形態のブロック図である。
【図3】図2に示した信号処理系統のうちライン処理を行なう回路を説明するブロック図である。
【図4】図2に示した信号処理系統のうちブロック処理を行なう回路を説明するブロック図である。
【図5】ベイヤー配列の色分解フィルタを示す図である。
【図6】G補間回路の処理内容を説明する図である。
【図7】バンドパスフィルタの処理内容を説明する図である。
【図8】ローパスフィルタの処理内容を説明する図である。
【図9】色差信号生成回路の処理内容を説明する図である。
【図10】補間/LPF回路で処理されるデータ例を示す図である。
【図11】補間/LPF回路の処理内容を説明する図である。
【図12】メディアン回路の処理内容を説明する図である。
【図13】全押しスイッチで起動されるプログラムを示すフローチャートである。
【図14】補色フィルタ配列方式の色分解フィルタを示す図である。
【図15】ベイヤー方式の色分解フィルタを通して撮像された画像データに対する間引き処理を説明する図である。
【符号の説明】
21…CPU、 22…半押しスイッチ、23…全押しスイッチ、 26,73…CCD、28…A/D変換回路、 29…画像処理回路、33…JPEG圧縮回路、35…ホワイトバランス検出処理回路、 35A…ホワイトバランスセンサ、100…ライン処理回路、 200…ブロック処理回路、210…ホワイトバランス微調整回路、 220…補間/輪郭処理回路、240…画像データサイズ変換処理回路、250…切換え回路
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、ベイヤー方式の色分解フィルタを通して撮像された画像データのデータサイズ変換を行う画像データサイズ変換処理装置、電子スチルカメラ、および画像データサイズ変換処理プログラムが格納された記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】撮影レンズを通過する被写体像をCCDなどの撮像素子を有する撮像装置で撮像し、撮像装置から出力される画像データに対して所定の画像処理を行う電子スチルカメラが知られている。このような電子スチルカメラの撮像装置には、カラー画像を撮像するために撮像素子上に色分解フィルタが設けられている。図15は、撮像素子の画素に対応して、R色、G色、およびB色の原色フィルタが市松模様状に配置されているベイヤー方式の色分解フィルタを説明する図である。図15に示されるように、ベイヤー配列では画素並びにおける水平方向および垂直方向の両方向に、同じ色成分のフィルタが1画素おきに並ぶ。このような色分解フィルタを通して撮像された画像データは、ベイヤー配列が保持されるように扱う必要がある。ベイヤー配列がくずれると、画像データから被写体の色を再現できなくなるからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した画像データを縮小サイズ変換する場合に、水平方向および垂直方向にそれぞれ2画素おき、4画素おき、…というように2の倍数個の画素を間引いて画素データを読み出すと、間引きする前の画素データに対応する色成分の順序と、間引きして読み出された画素データの色成分の順序とが一致する。図15において斜線を引いた画素は、5画素につき1画素の割合で読み出す場合の画素位置である。このように縮小サイズ変換を間引き読み出しによって行うと、2の倍数ごとに間引くような縮小倍率、すなわち、水平方向および垂直方向にそれぞれ2/4,2/6,…という固定の縮小倍率のサイズ変換しかできない。また、縮小サイズ変換後のベイヤー配列をくずさないようにしても、間引きによって空間周波数が低下し、間引きモアレが発生してしまうという問題がある。
【0004】本発明の目的は、たとえば、ベイヤー方式のような色分解フィルタを通して撮像された画像データが有する色成分の配列をくずさずに任意の倍率で画像データサイズを変換する画像データサイズ変換処理装置、および電子スチルカメラを提供することにある。また本発明の他の目的は、色成分の配列をくずさずに任意の倍率で画像データサイズを変換する画像データサイズ変換処理を行なうプログラムを格納した記憶媒体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図2および図4を参照して本発明を説明する。
(1)請求項1に記載の発明による画像データサイズ変換処理装置は、複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタが所定の順序で配列され、被写体像を複数の色成分に色分解する色分解手段と、色分解手段により色分解された被写体像を複数の画素により撮像する撮像手段26と、撮像手段26から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換手段28と、A/D変換後の画像データについて、画像データが色フィルタの配列順序に応じて有する色成分の配列順序を保持しながら、画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換手段240とを備えることにより、上述した目的を達成する。
(2)請求項2に記載の発明による電子スチルカメラは、複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタが所定の順序で配列され、被写体像を複数の色成分に色分解する色分解手段と、色分解手段により色分解された被写体像を複数の画素により撮像する撮像手段26と、撮像手段26から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換手段28と、A/D変換後の画像データについて、画像データが色フィルタの配列順序に応じて有する色成分の配列順序を保持しながら、画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換手段240と、データサイズ変換手段240による縮小または拡大後の画像データに対し、所定の画像処理を行う画像処理手段220とを備えることにより、上述した目的を達成する。
(3)請求項3に記載の発明による画像データサイズ変換処理記録媒体は、複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタにより複数の色成分に色分解して撮像されたディジタル画像データについて、画像データが色フィルタの配列順序に応じて有する色成分の配列順序を保持しながら、画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換処理を行うプログラムを格納し、このプログラムを実行することにより、上述した目的を達成する。
【0006】なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
−第一の実施の形態−図1に示すように、第一の実施の形態による一眼レフ電子スチルカメラは、カメラ本体70と、カメラ本体70に着脱されるファインダ装置80と、撮影レンズ91と絞り92を内蔵してカメラ本体70に着脱される交換レンズ90とを備える。被写体光は交換レンズ90を通ってカメラ本体70に入射し、レリーズ前は点線で示す位置にあるクイックリターンミラー71でファインダ装置80に導かれてファインダマット81に結像する。その被写体像はさらに、ペンタプリズム82で接眼レンズ83に導かれる。レリーズ後はクイックリターンミラー71が実線で示す位置に回動し、被写体光がシャッタ72を介して撮像装置73上に結像する。レリーズ前に、プリズム84と結像レンズ85を通る被写体像がホワイトバランスセンサ86に入射し、ホワイトバランスセンサ86が被写体像の色温度を検出する。
【0008】図2は、第一の実施の形態による電子スチルカメラの回路ブロック図である。CPU21には、レリーズ釦に連動する半押しスイッチ22と全押しスイッチ23とから、半押し信号と全押し信号とがそれぞれ入力される。また、CPU21には、画像データのデータサイズを変換するためのリサイズスイッチ40からの操作信号が入力される。半押し信号がCPU21に入力されると、CPU21は、タイミングジェネレータ24とドライバ25とを介して撮像装置73のCCD26を駆動制御する。タイミングジェネレータ24の出力信号により、アナログ処理回路27とA/D変換回路28の動作タイミングが制御される。さらに、CPU21は、ホワイトバランス検出処理回路35を駆動制御する。CCD26の画素領域上には、カラーフィルタが設けられている。
【0009】半押しスイッチ22のオン操作に引き続いて全押しスイッチ23がオン操作されると、クイックリターンミラー71が上方に回動される。交換レンズ90からの被写体光がCCD26の受光面上で結像され、CCD26に被写体像の明るさに応じた信号電荷が蓄積される。CCD26に蓄積された信号電荷はドライバ25により吐き出され、AGC回路やCDS回路などを含むアナログ信号処理回路27に入力される。アナログ信号処理回路27は、入力されたアナログ画像信号に対してゲインコントロール、雑音除去等のアナログ処理を施す。アナログ処理後の画像信号は、A/D変換回路28によってデジタル信号に変換される。デジタル変換された画像データは、たとえば、ASICとして構成される画像処理回路29に導かれ、ホワイトバランス調整、輪郭補償、ガンマ補正等の画像前処理が行われる。
【0010】ホワイトバランス検出処理回路35は、色温度センサであるホワイトバランスセンサ35A(図1のホワイトバランスセンサ86)と、ホワイトバランスセンサ35Aからのアナログ信号をデジタル信号とするA/D変換回路35Bと、デジタル色温度信号に基づいてホワイトバランス調整信号を生成するCPU35Cとを含む。ホワイトバランスセンサ35Aは、たとえば、赤色Rと青色Bと緑色Gとにそれぞれ感度を有する複数の光電変換素子からなり、被写界全体の光像を受光する。CPU35Cは、複数の光電変換素子の出力に基づいてRゲインとBゲインを算出する。算出されたこれらのゲインは、CPU21の所定のレジスタに転送されて格納される。また、図1のホワイトバランスセンサ86は、24列×20行の2次元CCDで構成することもできる。この場合には、CCDを16の領域に分割し、R、G、B色にそれぞれ感度を有する複数個の素子を各領域ごとに配列する。
【0011】画像前処理が行なわれたディジタル画像データに対してはさらに、リサイズスイッチ40によって画像データサイズを変換するように設定されている場合に、画像データサイズ変換処理が行われる。リサイズ処理後の画像データは、JPEG圧縮のためのフォーマット処理(画像後処理)が行なわれた後、バッファメモリ30に一時的に格納される。
【0012】バッファメモリ30に記憶された画像データは、表示画像作成回路31により表示用の画像データに処理され、LCD等の外部モニタ32に撮影結果として表示される。また、バッファメモリ30に記憶された画像データは、圧縮回路33によりJPEG方式で所定の比率にデータ圧縮を受け、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリカード(CFカード)等の記録媒体34に記録される。
【0013】図3および図4は、画像処理回路29の詳細を示すブロック図である。図3は、CCD26からの画像データに対してラインごとに信号処理するライン処理回路100である。A/D変換回路28から出力される12ビットのR,G,B信号に対し、上述した画像前処理を行う。図4は、ライン処理回路100で信号処理された画像データに対してn×m画素データごとに、すなわちブロックごとに信号処理するブロック処理回路200である。画像データの20×20画素領域、16×16画素領域、12×12画素領域、あるいは8×8画素領域ごとに上述した画像後処理を行う。なお、画像処理回路29は、複数のプロセッサを用いてソフトウエアとして実現されるが、わかりやすく説明するためにハードウエアとして説明する。
【0014】図3において、ライン処理回路100は、欠陥補正回路101と、デジタルクランプ回路102と、ゲイン回路103と、ホワイトバランス回路104と、黒レベル回路105と、γ補正回路106と、平均値およびヒストグラム算出回路107とを有する。
【0015】欠陥補正回路101は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、欠陥のある画素(あらかじめ特定されてそのアドレスがCPU21内のレジスタにセットされている)からのデータを補正するものである。デジタルクランプ回路102は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、いわゆるオプティカルブラックとして使用する複数の画素に対応する信号の加重平均を、そのラインの各画素に対応する信号から減算するものである。ゲイン回路103は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、CCD26から出力されるR,G,B信号の各々に対して一律に所定のゲインをかけるとともに、CCD26の感度のばらつき補正をG信号に対して行ない、さらに、CCD26の感度比のばらつきをR,B信号に対して行なう。
【0016】ホワイトバランス回路104は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、上述したようにあらかじめ決定されてCPU21のレジスタに格納されているホワイトバランス調整係数、すなわち、RゲインとBゲインをR,B信号に掛合わせる。このホワイトバランス回路104で補正された画像データに基づいて、さらに後述するホワイトバランス微調整回路でホワイトバランスが微調整される。黒レベル回路105は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、あらかじめ決定されてCPU21のレジスタに格納されている値をR,G,B信号の各々に対して加算する。γ補正回路106は、CCD26の出力に対して1ラインごとに点順次で、階調ルックアップテーブルを用いてγ補正を行なう。なお、γ補正によりそれぞれ12ビットのR,G,B信号は、8ビットのRGBデータに変換される。
【0017】平均値およびヒストグラム算出回路107は、γ補正後の画像データの中から、たとえば、焦点検出領域の中央部を中心とした512×512の領域の画像データを抽出し、R信号用のホワイトバランス微調整用ゲインRFgainとB信号用のホワイトバランス微調整用ゲインBFgainとを次式(1),(2)により算出する。算出したRFgainとBFgainは、それぞれCPU21のレジスタに格納される。図5は、CCD26の画素領域上に配置されているベイヤー方式の色分解フィルタを表す図である。たとえば、512×512の画素領域上に図5に示すような色フィルタの配列を有する場合、R,G,B信号の平均値を(3)〜(5)式で算出し、(1),(2)式に示すように、G信号の平均値GaveとR信号の平均値Raveとの比およびG信号の平均値GaveとB信号の平均値Baveとの比からホワイトバランス微調整用ゲインRFgainとBFgainを算出する。
【0018】
【数1】
このような平均値方式によると、画像データのRGBの各信号の階調の平均値を求めたことになり、経験的にホワイトバランスの調整結果(全体的なホワイトバランス)が良好となる。
【0019】図4において、ブロック処理回路200は、ホワイトバランス微調整回路210と、画像データサイズ変換処理回路240と、切換え回路250と、補間/輪郭処理回路220とを有する。ホワイトバランス微調整回路210は、上述したγ補正回路106までの処理後にバッファメモリ30に格納されているR信号およびB信号に対して、所定画素領域の各R,B信号ごとに、平均値回路107で算出されたホワイトバランス微調整用ゲインRFgainとBFgainをそれぞれ掛け合せてホワイトバランスの微調整を行なう。
【0020】画像データサイズ変換処理回路240は、リサイズスイッチ40によりデータサイズ変換するように設定されている場合に、間引き処理を行うことなく画像データの1撮影画面を構成するデータ数、すなわち、データサイズを変換する。データサイズ変換後の画像データは、20×20画素領域ごとの画像データとして出力される。本発明は、とくに、CCD26の画素領域上に配置されている色分解フィルタの色成分の配列に対応する色成分の順序をくずさずに、かつ、画像データが有する空間周波数が低下しないようにデータサイズ変換するところに特徴を有する。データサイズの変換の際、被写体の輪郭などの情報が保持されるのはもちろんのことである。
【0021】第一の実施の形態では、1撮影画面を面積比で9/16にサイズ変換する場合、すなわち、1画面の水平方向および垂直方向のデータサイズをそれぞれ3/4にリサイズする場合を例にあげて説明する。リサイズ処理は、1画素とびの近隣2画素分の同色信号のデータを用いて、リニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出する。3/4のリサイズ処理では、4画素データにつき3画素分のデータを算出する。
【0022】水平方向について、図5の1行目のRGRGラインを考える。たとえば、1行1列のR信号が得られる位置を注目画素nとおく。リサイズ処理後のR成分およびG成分の値は、次式(6)〜(11)で算出される。
【数2】
R(1,1)={n+(n+2)}/2 (6)
G(1,2)={(n+1)+(n+3)}/2 (7)
R(1,3)={5(n+2)+27(n+4)}/32 (8)
G(1,4)={5(n+3)+27(n+5)}/32 (9)
R(1,5)={27(n+6)+5(n+8)}/32 (10)
G(1,6)={27(n+7)+5(n+9)}/32 (11)
【0023】上式(6)〜(11)によれば、R成分について、注目画素n〜(n+8)までのグループ、すなわち、5個のR信号が得られる範囲にR(1,1),R(1,3),R(1,5)の3個のR成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(n+1)〜(n+9)までのグループ、すなわち、5個のG信号が得られる範囲にG(1,2),G(1,4),G(1,6)の3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(6)〜(11)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+8)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各5個のR信号およびG信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、4個から3個を算出する3/4のリサイズ処理になる。
【0024】次に、同じく水平方向について、図5の2行目のGBGBラインを考える。2行1列のG信号が得られる位置を注目画素nとおくと、リサイズ処理後のG成分およびB成分の値が次式(12)〜(17)で算出される。
【数3】
G(2,1)={n+(n+2)}/2 (12)
B(2,2)={(n+1)+(n+3)}/2 (13)
G(2,3)={5(n+2)+27(n+4)}/32 (14)
B(2,4)={5(n+3)+27(n+5)}/32 (15)
G(2,5)={27(n+6)+5(n+8)}/32 (16)
B(2,6)={27(n+7)+5(n+9)}/32 (17)
【0025】上式(12)〜(17)によれば、G成分について、注目画素n〜(n+8)までのグループ、すなわち、5個のG信号が得られる範囲にG(2,1),G(2,3),G(2,5)の3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、B成分について、注目画素(n+1)〜(n+9)までのグループ、すなわち、5個のB信号が得られる範囲にB(2,2),B(2,4),B(2,6)の3個のB成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(12)〜(17)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+8)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各5個のG信号およびB信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、4個から3個を算出する3/4のリサイズ処理になる。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0026】水平方向についてリサイズ処理された画像データに対して、垂直方向についても同様の処理を行う。上述したようにリサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じであることから、図5を参照して説明する。図5において、1列目のRGRGラインにおける1行1列のR信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のR成分およびG成分の値が次式(18)〜(23)で算出される。
【数4】
R(1,1)={m+(m+2)}/2 (18)
G(2,1)={(m+1)+(m+3)}/2 (19)
R(3,1)={5(m+2)+27(m+4)}/32 (20)
G(4,1)={5(m+3)+27(m+5)}/32 (21)
R(5,1)={27(m+6)+5(m+8)}/32 (22)
G(6,1)={27(m+7)+5(m+9)}/32 (23)
【0027】上式(18)〜(23)によれば、R成分について、注目画素m〜(m+8)までのグループ、すなわち、5個のR信号が得られる範囲にR(1,1),R(3,1),R(5,1)の3個のR成分が垂直方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(m+1)〜(m+9)までのグループ、すなわち、5個のG信号が得られる範囲にG(2,1),G(4,1),G(6,1)の3個のG成分が垂直方向にほぼ等間隔で算出される。上式(18)〜(23)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(m+8)を新たな注目画素mとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各5個のR信号およびG信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、4個から3個を算出する3/4のリサイズ処理になる。
【0028】同じく垂直方向について、図5の2列目のGBGBラインを考える。1行2列のG信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のG成分およびB成分の値は、次式(24)〜(29)で算出される。
【数5】
G(1,2)={m+(m+2)}/2 (24)
B(2,2)={(m+1)+(m+3)}/2 (25)
G(3,2)={5(m+2)+27(m+4)}/32 (26)
B(4,2)={5(m+3)+27(m+5)}/32 (27)
G(5,2)={27(m+6)+5(m+8)}/32 (28)
B(6,2)={27(m+7)+5(m+9)}/32 (29)
【0029】上式(24)〜(29)によれば、G成分について、注目画素m〜(m+8)までのグループ、すなわち、5個のG信号が得られる範囲にG(1,2),G(3,2),G(5,2)の3個のG成分が垂直方向にほぼ等間隔で算出される。また、B成分について、注目画素(m+1)〜(m+9)までのグループ、すなわち、5個のB信号が得られる範囲にB(2,2),B(4,2),B(6,2)の3個のB成分が垂直方向にほぼ等間隔で算出される。上式(24)〜(29)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+8)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各5個のG信号およびB信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、4個から3個を算出する3/4のリサイズ処理になる。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0030】以上説明したように、水平方向および垂直方向に対して各々3/4にリサイズ処理を行うことにより、1撮影画面を構成するデータ数を9/16のサイズに変換できる。なお、わかりやすく説明するために水平方向および垂直方向の算出処理を別々に行うように説明したが、両方向の算出処理をマトリクス演算としてまとめて行うようにしてもよい。両方向についてそれぞれ単独で算出する場合と、まとめて算出する場合とで算出される結果は同じである。
【0031】切換え回路250は、CPU21(図2)の指令により、ホワイトバランス微調整回路210から順次出力される20×20画素領域の画像データと、画像データサイズ変換処理回路240から順次出力される20×20画素領域の画像データのいずれか一方を補間/輪郭処理回路220へ出力する。
【0032】補間/輪郭処理回路220は、ホワイトバランス微調整後の画像データ、または画像データサイズ変換処理後の画像データに対し、20×20画素領域のブロックデータごとに、JPEG方式のデータ圧縮のためのフォーマット処理を行う。フォーマット処理の結果、16×8画素領域のY信号と、8×8画素領域のCb信号と、8×8画素領域のCr信号とが生成される。輝度信号Yは、後述するようにG信号の低周波数成分の輝度信号Y1と高周波数成分の輪郭信号Y2とを含むものである。
【0033】補間/輪郭処理回路220は、G補間回路221と、バンドパスフィルタ(BPF)222と、クリップ回路223と、ゲイン回路224と、ローパスフィルタ(LPF)225と、色差信号生成回路226と、補間/ローパスフィルタ(LPF)回路228と、マトリックス回路229と、加算器230と、メディアン回路232とを有する。
【0034】G補間回路221は、ホワイトバランス微調整回路210、または画像データサイズ変換処理回路240から入力される画像データに対し、20×20画素領域のブロック信号ごとに、その中心の16×16画素領域のデータについて、R信号あるいはB信号の画素領域に対してG成分を補間演算で算出する。すなわち、図6に示すように、20×20画素領域の入力データD20について、5×5画素領域データD51(1行1列〜5行5列)の中央の空格子点(3行3列の画素であり、B信号が得られる)のG成分を算出し、この値を16×16画素領域の出力データD16の3行3列の画素(Bを○で囲ったもの)のG成分として置換する。
【0035】次いで、20×20画素領域の入力データD20について、5×5画素領域データD52(2行2列〜6行6列)の中央の空格子点(4行4列の画素であり、R信号が得られる)のG成分を算出し、この値を16×16画素領域の出力データD16の4行4列の画素(Rを○で囲ったもの)のG成分に置換する。このような処理を繰り返し行なうことにより、16×16画素領域のすべての空格子点についてG補間処理が行われ、出力データD16を得る。そして、そのうちの12×12画素領域の出力データD12をバンドパスフィルタ222とローパスフィルタ225にそれぞれ出力する一方、16×16画素領域の出力データD16を色差信号生成回路226に出力する。
【0036】バンドパスフィルタ222は、G補間回路221から出力される12×12画素領域のG信号のうち中間周波数成分(ただし、被写体の輪郭が抽出できる程度に高い周波数成分であり、便宜上、高周波数成分と呼ぶ)を取り出す。すなわち、図7に示すように、12×12画素領域の入力データD12について、5×5画素領域データD5(5行5列〜9行9列)にバンドパスフィルタ係数を掛け合せてBPF出力データを得、その値を8×8画素領域の出力データD8の7行7列のデータ(太字G)として置換する。このような処理を繰り返すことで8×8画素領域のすべての画素データをBPF後のGデータに置換し、出力データD8を生成する。
【0037】クリップ回路223は、バンドパスフィルタ222から出力される8×8画素領域データD8のそれぞれを、設定したレベルでクリップおよびカットする。ゲイン回路224は、クリップ回路223の出力にあらかじめ定められたゲインを掛ける。
【0038】ローパスフィルタ225は、G補間回路221から出力される12×12画素領域のG信号のうち低周波数成分を取り出す。すなわち、図8に示すように、12×12画素領域の入力データD12について、5×5画素領域データD5(5行5列〜9行9列)にローパスフィルタ係数を掛け合せてLPF出力データを得、その値を8×8画素領域の出力データD8の7行7列のデータ(ハッチング領域)として置換する。このような処理を繰り返すことで8×8画素領域のすべての画素データをLPF後のGデータに置換し、出力データD8を生成する。
【0039】色差信号生成回路226は、図9に示すように、ホワイトバランス微調整回路210、または画像データサイズ変換処理回路240から入力される画像データのうち16×16画素領域のRGB信号入力データD16−1と、G補間回路221から出力される16×16画素領域のG信号入力データD16−2とに基づいて、(B−G)信号と(R−G)信号とを含む中間データD16−3を生成する。さらに、中間データD16−3を(B−G)色差信号の出力データD16−4と(R−G)色差信号の出力データD16−5とに分離する。
【0040】補間/LPF回路228は、色差信号生成回路226から出力される16×16画素領域の8ビットの(B−G)信号と(R−G)信号とをそれぞれ入力して、5×5画素領域ごとに(B−G)信号と(R−G)信号とをそれぞれ補間演算するとともに、同時に低帯域信号を取り出すローパスフィルタリング処理も行ない、その結果である12×12画素領域の(B−G)信号と(R−G)信号とをマトリックス回路229のCb,Crマトリックス部へ出力する。また、8×8画素領域の(B−G)信号と(R−G)信号とをマトリックス回路229のYマトリックス部へ出力する。
【0041】5×5画素領域の(R−G)データを図10のように表わすとき、上記補間演算とローパスフィルタリング処理演算は次式(30)で表わされる。
【数6】
【0042】一般に、補間フィルタと帯域制限のLPFを同時にかける場合には次のようなフィルタ係数の制限がある。簡単のために1次元で説明する。補間後のサンプル点のうち、N周期で実サンプル点がある場合を考える。たとえば、a,a,b,b,a,a,b,b,・・・・・・・・(ただし、aは実サンプル点、bは補間するサンプル点とする。なお、この例では4周期である)の場合である。。これを(2n+1)次(ただし、(2n+1)はNより大きい)の奇数次対称型デジタルフィルタで補間する場合、実サンプル点が一様であれば、補間後のサンプル点も一様であることが必要とされ、以下のようなフィルタ係数の制限がある。
【0043】C(k)をk番目のフィルタ係数とすると、以下のようにN個存在する係数の組の和が互に等しくなくてはならない。
【数7】
ただし、iはフィルタ係数が(2n+1)以下に収まる0以上の整数であり、kはn未満の0以上の整数である。
【0044】2次元の場合は、水平方向と垂直方向に同様の制限のフィルタを掛合わせて2次元フィルタを構成すればよい。この実施の形態では、図5と図10に示すように2画素周期のサンプル点を補間するので、N=2であり、フィルタ係数は偶数次の和と奇数次の和が等しくなければならない。すなわち、ΣC(2*i)=ΣC(2*i+1)
2次元で上記(54)式のような5次×5次の対称型フィルタの場合は、4*kc1+2*kc3+4*kc5+2*kc7+kc9=4*kc2+4*kc4+2*kc6+2*kc8となる。
【0045】たとえば、図11を参照して(R−G)信号の補間/LPF処理について説明する。16×16画素領域の入力データD16の(R−G)信号について、5×5画素領域データD5(3行3列〜7行7列)に補間/LPFフィルタ係数を掛け合せ、その中央領域(5行5列)の(R−G)データを算出し、これを12×12画素領域の出力データD12の5行5列のデータとして置換する。このような処理を繰り返すことで(R−G)信号について12×12画素領域のすべての画素データを補間/LPF処理し、出力データD12を得る。(B−G)信号についても同様な処理を行なって、12×12画素領域の出力データを生成する。
【0046】マトリックス回路229は、Yマトリックス部と、Cbマトリックス部と、Crマトリックス部とから構成される。Yマトリックス部は、補間/LPF回路228から8×8画素領域の(B−G)信号と(R−G)信号を入力するとともに、ローパスフィルタ225から8×8画素領域のG信号を入力し、次式(31)により8×8画素領域の低周波数成分の輝度信号Y1を生成する。
【数8】
Y1(i,j)=[Mkg×G(i,j)+Mkr1×R-G(i,j)+Mkb1×B-G(i,j)] (31)
ただし、Mkg、Mkr1、Mkb1はマトリックス係数である。
【0047】Cbマトリックス部およびCrマトリックス部はそれぞれ、補間/LPF回路228から12×12画素領域の(B−G)信号と(R−G)信号を各々入力し、次式(32),(33)により12×12画素領域のCb信号とCr信号とを生成する。
【数9】
Cr(i,j)=[Mkr2×R-G(i,j)+Mkb2×B-G(i,j)] (32)
Cb(i,j)=[Mkr3×R-G(i,j)+Mkb3×B-G(i,j)] (33)
ただし、Mkr2、Mkr3、Mkb2、Mkb3はマトリックス係数である。
【0048】加算器230は、マトリックス回路229から出力される8×8画素領域の低周波数成分の輝度信号Y1と、ゲイン回路224から出力される8×8画素領域の高周波数成分の輪郭抽出信号Y2とを加算する。ゲイン回路224から出力される輪郭抽出信号Y2は、G補間された16×16画素領域のG信号から高周波数成分を抽出したもの、すなわち輪郭を抽出したものである。したがって、加算器230において上式(31)で算出される輝度信号Y1と、ゲイン回路224で算出される輪郭抽出信号Y2とを加算することにより、画像全体の輝度/輪郭抽出信号Y(Y1+Y2)が算出される。この加算結果は、バッファメモリ30に格納される。
【0049】メディアン回路233は、マトリックス回路229からの12×12画素領域のCb信号とCr信号とを入力し、5×5画素領域に含まれる3×3画素の9点を利用したメディアン処理を行ない、8×8画素のCr信号とCb信号とを出力する。
【0050】この実施の形態のメディアン処理では、図12に示すように、12×12画素のデータD12(データは黒点印)のうち、5×5画素領域に含まれる3×3画素(5行5列〜9行9列)のデータD3−5の9個のデータ(×印)に対してメディアンフィルタ処理を行なう。すなわち、9個のデータを昇順もしくは降順にソートして中央値をメディアン処理データとする。そして、得られたメディアン処理データを、8×8画素の出力データD8の7行7列のデータとして置換する。このような演算を繰り返して行なうことにより、Cb,Cr信号のそれぞれについて、8×8画素の出力データD8を生成する。Cr信号とCb信号の出力データD8は、バッファメモリ30に格納される。
【0051】JPEG圧縮回路33は、上述したようにブロック処理回路200に入力された20×20画素領域ごとの入力データに対して、加算回路230により生成される16×8画素のY信号と、メディアン回路232により生成される8×8画素のCr信号とCb信号とに基づいて、JPEG圧縮方式の8×8画素にフォーマット化されたY、Cr、Cb信号を1単位として抽出し、周知の手順により圧縮することを繰り返し行ってすべての画像を圧縮する。圧縮された画像データは、CPU21を経由して記録媒体34に記憶される。
【0052】このように構成された電子スチルカメラの動作について説明する。全押しスイッチ23が操作されると、クイックリターンミラーが跳ね上がり、図13に示す撮影シーケンスのプログラムが起動される。ステップS21において、CCD26の各画素が信号電荷を蓄積し、蓄積終了後、全画素の蓄積電荷が順次吐き出される。ステップS22において、吐き出された画像信号がアナログ信号処理回路27で処理された後、A/D変換回路28でデジタル画像データに変換される。ステップS23において、画像データが画像処理回路29に入力され、上述した画像処理が行われる。画像処理回路29は、ホワイトバランス調整、γ階調補正、画像データサイズ変換処理、JPEGフォーマット化処理などを行う。画像処理が終了するとステップS24に進み、画像処理後の画像データをいったんバッファメモリ30に記憶する。ステップS25において、バッファメモリ30から画像データを読み込んでJPEG圧縮回路33でデータを圧縮する。ステップS26において、圧縮した画像データを記録媒体34に記憶して図13の処理を終了する。
【0053】以上説明したように第一の実施の形態によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)補間/輪郭処理回路220内のG補間回路221でG補間処理する前のディジタル画像データに対して、画像データサイズ変換処理回路240がリサイズ処理を行うようにした。たとえば、補間/輪郭処理回路220でフォーマット処理が行われた後からリサイズ処理を行う場合、フォーマット処理によって算出されるY信号と、Cb信号と、Cr信号との3画面分の画像データのそれぞれに対してリサイズ処理が必要である。第一の実施の形態では、R、G、B信号を有する1画面分の画像データに対してのみリサイズ処理を行えばよい。したがって、Y信号、Cb信号およびCr信号の3画面分のリサイズ処理を行う場合に比べて、処理時間と処理に必要なメモリ容量を大幅に削減することができる。
(2)画像データの色成分、すなわち、R、G、B信号が有するベイヤーの配列は、画像データサイズ変換処理回路240がリサイズ処理を行う前後で保持される。したがって、補間/輪郭処理回路220は、リサイズ処理の有無に関係なく、上述したようにn×m(n,m=20,16,12,8)画素を1つのブロック単位としてブロック処理を行うことができる。つまり、画像データサイズ変換処理回路240は、既存の電子スチルカメラの回路ブロックに変更を加えることなく、後から容易に追加することができる。
(3)画像データサイズ変換処理回路240は、1画素とびの2画素分の同色信号を用いてリニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出してデータサイズを縮小するようにした。したがって、間引き処理によってデータサイズを変換する場合と異なり、任意の倍率で縮小サイズ変換することができる。また、リニア補間的算出によって偽色の発生や空間周波数の低下が抑制されるので、間引きモアレのない高品質のリサイズ画像が得られる。
【0054】上述したリサイズ処理では、1画素とびの近隣2画素分の同色信号のデータを用いて、1画素分のデータの大きさをリニア補間的に算出した。1画素とびの近隣5画素もしくは6画素分の同色信号のデータを用いて、Sinc関数ベースの補間処理を行うようにしてもよい。図5を参照して説明すると、たとえば、水平方向および垂直方向の両方向にそれぞれ3/4のリサイズ処理を行う場合に1行1列のR信号が得られる位置を注目画素nとおくと、水平方向におけるリサイズ処理後のR成分およびG成分の値は、次式(34)〜(39)で与えられる。
【数10】
R(1,1)={-3n-4(n+2)+70(n+4)+70(n+6)-4(n+8)-3(n+10)}/128 (34)
G(1,2)={-3(n+1)-4(n+3)+70(n+5)+70(n+7)-4(n+9)-3(n+11)}/128 (35)
R(1,3)={-10(n+4)+42(n+6)+88(n+8)+16(n+10)-8(n+12)}/128 (36)
G(1,4)={-10(n+5)+42(n+7)+88(n+9)+16(n+11)-8(n+13)}/128 (37)
R(1,5)={-8(n+6)+16(n+8)+88(n+10)+42(n+12)-10(n+14)}/128 (38)
G(1,6)={-8(n+7)+16(n+9)+88(n+11)+42(n+13)-10(n+15)}/128 (39)
【0055】上式(34)〜(39)によれば、R成分について、注目画素(n+4)〜(n+10)までの4個のR信号が得られる範囲に、R(1,1),R(1,3),R(1,5)の3個のR成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(n+5)〜(n+11)までの4個のG信号が得られる範囲に、G(1,2),G(1,4),G(1,6)までの3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(34)〜(39)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+8)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。水平方向のGBGBラインについても同様に算出する。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0056】水平方向についてリサイズ処理された画像データに対して、垂直方向についても同様の処理を行う。図5において、1列目のRGRGラインにおける1行1列のR信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のR成分およびG成分の値が次式(40)〜(45)で算出される。
【数11】
R(1,1)={-3m-4(m+2)+70(m+4)+70(m+6)-4(m+8)-3(m+10)}/128 (40)
G(2,1)={-3(m+1)-4(m+3)+70(m+5)+70(m+7)-4(m+9)-3(m+11)}/128 (41)
R(3,1)={-10(m+4)+42(m+6)+88(m+8)+16(m+10)-8(m+12)}/128 (42)
G(4,1)={-10(m+5)+42(m+7)+88(m+9)+16(m+11)-8(m+13)}/128 (43)
R(5,1)={-8(m+6)+16(m+8)+88(m+10)+42(m+12)-10(m+14)}/128 (44)
G(6,1)={-8(m+7)+16(m+9)+88(m+11)+42(m+13)-10(m+15)}/128 (45)
【0057】同様にして、垂直方向のGBGBラインについても算出すれば、水平方向および垂直方向のそれぞれを3/4に、すなわち、1撮影画面を構成するデータ数を9/16のサイズに変換できる。なお、わかりやすく説明するために水平方向および垂直方向の算出処理を別々に行うように説明したが、両方向の算出処理をマトリクス演算としてまとめて行うようにしてもよい。両方向についてそれぞれ単独で算出する場合と、まとめて算出する場合とで算出される結果は同じである。
【0058】−第二の実施の形態−第二の実施の形態では、1撮影画面を面積比で9/4にサイズ変換する場合、すなわち、1画面の水平方向および垂直方向のデータサイズをそれぞれ3/2にリサイズする場合を例にあげて説明する。リサイズ処理は、1画素とびの近隣2画素分の同色信号のデータを用いて、リニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出する。3/2のリサイズ処理では、2画素データにつき3画素分のデータを算出する。
【0059】水平方向について、図5の1行目のRGRGラインを考える。たとえば、1行1列のR信号が得られる位置を注目画素nとおく。リサイズ処理後のR成分およびG成分の値は、次式(46)〜(51)で算出される。
【数12】
R(1,1)={64n+64(n+2)}/128 (46)
G(1,2)={64(n+1)+64(n+3)}/128 (47)
R(1,3)={108(n+2)+20(n+4)}/128 (48)
G(1,4)={108(n+3)+20(n+5)}/128 (49)
R(1,5)={20(n+2)+108(n+4)}/128 (50)
G(1,6)={20(n+3)+108(n+5)}/128 (51)
【0060】上式(46)〜(51)によれば、R成分について、注目画素n〜(n+4)までのグループ、すなわち、3個のR信号が得られる範囲にR(1,1),R(1,3),R(1,5)の3個のR成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(n+1)〜(n+5)までのグループ、すなわち、3個のG信号が得られる範囲にG(1,2),G(1,4),G(1,6)の3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(46)〜(51)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+4)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各3個のR信号およびG信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、2個から3個を算出する3/2のリサイズ処理になる。水平方向のGBGBラインについても同様に算出する。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0061】水平方向についてリサイズ処理された画像データに対して、垂直方向についても同様の処理を行う。図5において、1列目のRGRGラインにおける1行1列のR信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のR成分およびG成分の値が次式(52)〜(57)で算出される。
【数13】
R(1,1)={64m+64(m+2)}/128 (52)
G(2,1)={64(m+1)+64(m+3)}/128 (53)
R(3,1)={108(m+2)+20(m+4)}/128 (54)
G(4,1)={108(m+3)+20(m+5)}/128 (55)
R(5,1)={20(m+2)+108(m+4)}/128 (56)
G(6,1)={20(m+3)+108(m+5)}/128 (57)
【0062】上式(52)〜(57)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+4)を新たな注目画素mとおいて次のデータを算出する。同様にして、垂直方向のGBGBラインについても算出すれば、水平方向および垂直方向のそれぞれを3/2に、すなわち、1撮影画面を構成するデータ数を9/4のサイズに変換できる。なお、わかりやすく説明するために水平方向および垂直方向の算出処理を別々に行うように説明したが、両方向の算出処理をマトリクス演算としてまとめて行うようにしてもよい。両方向についてそれぞれ単独で算出する場合と、まとめて算出する場合とで算出される結果は同じである。
【0063】以上説明したように第二の実施の形態によれば、画像データサイズ変換処理回路240が1画素とびの2画素分の同色信号を用いて、リニア補間的に1画素分のデータの大きさを算出するようにしたので、画像データサイズを拡大することができる。また、拡大倍率も任意である。さらに、リニア補間的算出によって偽色の発生や空間周波数の低下が抑制されるので、リサイズ後の画像品質が劣化しない。
【0064】上述したリサイズ処理では、1画素とびの近隣2画素分の同色信号のデータを用いて、1画素分のデータの大きさをリニア補間的に算出した。1画素とびの近隣4画素分の同色信号のデータを用いて、Sinc関数ベースの補間処理を行うようにしてもよい。図5を参照して説明すると、たとえば、水平方向および垂直方向の両方向にそれぞれ3/2のリサイズ処理を行う場合に、1行1列のR信号が得られる位置を注目画素nとおくと、水平方向におけるリサイズ処理後のR成分およびG成分の値は、次式(58)〜(63)で与えられる。
【数14】
R(1,1)={-12n+76(n+2)+76(n+4)-12(n+6)}/128 (58)
G(1,2)={-12(n+1)+76(n+3)+76(n+5)-12(n+7)}/128 (59)
R(1,3)={-11(n+2)+122(n+4)+19(n+6)-2(n+8)}/128 (60)
G(1,4)={-11(n+3)+122(n+5)+19(n+7)-2(n+9)}/128 (61)
R(1,5)={-2(n+2)+19(n+4)+122(n+6)-11(n+8)}/128 (62)
G(1,6)={-2(n+3)+19(n+5)+122(n+7)-11(n+9)}/128 (63)
【0065】上式(58)〜(63)によれば、R成分について、注目画素(n+2)〜(n+6)までの3個のR信号が得られる範囲に、R(1,1),R(1,3),R(1,5)の3個のR成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。また、G成分について、注目画素(n+3)〜(n+7)までの3個のG信号が得られる範囲に、G(1,2),G(1,4),G(1,6)までの3個のG成分が水平方向にほぼ等間隔で算出される。上式(58)〜(63)により各色3個ずつのデータを算出すると、注目画素(n+4)を新たな注目画素nとおいて次のデータを算出する。したがって、上述した各3個のR信号およびG信号のグループうち、末尾の1個が次のグループの先頭に重複するので、2個から3個を算出する3/2のリサイズ処理になる。水平方向のGBGBラインについても同様に算出する。サイズ変換前のRGRGラインおよびGBGBラインは、サイズ変換後もそれぞれRGRGラインおよびGBGBラインとなり、リサイズ処理前後で色成分の配列順序が同じである。
【0066】水平方向についてリサイズ処理された画像データに対して、垂直方向についても同様の処理を行う。図5において、1列目のRGRGラインにおける1行1列のR信号が得られる位置を注目画素mとおくと、リサイズ処理後のR成分およびG成分の値が次式(64)〜(69)で算出される。
【数15】
R(1,1)={-12m+76(m+2)+76(m+4)-12(m+6)}/128 (64)
G(2,1)={-12(m+1)+76(m+3)+76(m+5)-12(m+7)}/128 (65)
R(3,1)={-11(m+2)+122(m+4)+19(m+6)-2(m+8)}/128 (66)
G(4,1)={-11(m+3)+122(m+5)+19(m+7)-2(m+9)}/128 (67)
R(5,1)={-2(m+2)+19(m+4)+122(m+6)-11(m+8)}/128 (68)
G(6,1)={-2(m+3)+19(m+5)+122(m+7)-11(m+9)}/128 (69)
【0067】同様にして、垂直方向のGBGBラインについても算出すれば、水平方向および垂直方向のそれぞれを3/2に、すなわち、1撮影画面を構成するデータ数を9/4のサイズに変換できる。なお、わかりやすく説明するために水平方向および垂直方向の算出処理を別々に行うように説明したが、両方向の算出処理をマトリクス演算としてまとめて行うようにしてもよい。両方向についてそれぞれ単独で算出する場合と、まとめて算出する場合とで算出される結果は同じである。
【0068】以上の説明では、ベイヤー方式の色分解フィルタが用いられる場合について説明したが、補色フィルタ配列方式の場合でも本発明を適用することが可能である。図14は、CCD26の画素に対応して、G色、Ye色、Cy色およびMa色の補色フィルタが配置されている色分解フィルタを説明する図である。このように、画素並びにおける水平方向および垂直方向の両方向に同じ色成分のフィルタが1画素おきに並ぶ場合に、上述した各式によりリサイズ処理を行うことができる。
【0069】なお、1撮影画面を構成するデータ全体が、たとえば、G成分で構成されるような単色の画像データに対しても本発明を適用できる。
【0070】上述した第一の実施の形態では面積比で9/16倍に縮小リサイズ処理する場合を説明し、第二の実施の形態では面積比で9/4倍に拡大リサイズ処理する場合を説明した。本発明によるリサイズ処理は、単純な間引き処理とは異なり、リサイズ倍率を任意に設定することが可能である。したがって、リサイズ倍率は上記の説明による倍率に限定されず、任意の値を設定してよい。
【0071】以上の実施の形態では電子スチルカメラについて説明したが、画像データサイズ変換処理回路240をソフトウエアの形態でCD−ROMやフロッピデイスクなどの記録媒体に画像データサイズ変換処理プログラムとして格納し、パソコンでリサイズ処理する際に使用することもできる。この場合、CCDで撮像してデジタル化された画像データを大容量の画像データ用記録媒体に記憶し、この記録媒体をパソコンにセットして画像データを取込んだ上で、上記画像データサイズ変換処理プログラムにより上述のようなリサイズ処理を行うようにする。たとえば、図3において、γ補正回路106のR、G、B出力データを生データとして記録媒体34に記憶し、その記録媒体34をパソコンにセットして生データに対するリサイズ処理を行なうことができる。
【0072】上述した画像データサイズ変換処理プログラムが格納された記憶媒体からプログラムをパソコンで読込む代わりに、インターネットなどの伝送媒体を利用して上述した画像データサイズ変換処理プログラムを伝送してもよい。この場合には、伝送されたプログラムをパソコンで読込んだ上で、上述のような画像データサイズの変換処理を行う。
【0073】なお、以上の説明では一眼レフ電子スチルカメラについて説明したが、レンズ交換ができない電子スチルカメラ、動画像も取込めるデジタルビデオカメラにも本発明を適用できる。
【0074】以上の実施の形態における回路構成は一例を示すに過ぎず、たとえば次のような態様を含むものでもよい。ブロック処理回路200のG補間処理、BPF処理、LPF処理、補間/LPF処理では、20×20、16×16、12×12、8×8のいずれかのブロックを1単位として画像処理するものとして説明した。これに合わせて、画像データサイズ変換処理回路240が20×20画素領域ごとにリサイズ後の画像データを出力するように説明した。しかしながら、上記各処理におけるブロックサイズは上記の数値の例に限らず、たとえば、5×5画素領域の画像データを1単位として画像処理してもよい。
【0075】以上の説明では、画像データサイズ変換処理回路240がホワイトバランス微調整後の画像データに対してリサイズ処理を行うようにした。上述したように、リサイズ処理を画素補間処理を行う前に行うことにより、リサイズ処理時間およびリサイズ処理に必要なメモリ容量を削減することができる。したがって、リサイズ処理は、画素補間処理前であれば必ずしもホワイトバランス微調整後でなくてもよく、たとえば、図3のライン処理回路でデジタルクランプされた後の画像データに対して行うようにしてもよい。
【0076】特許請求の範囲における各構成要素と、発明の実施の形態における各構成要素との対応について説明すると、R成分、G成分およびB成分が複数の色成分に、色分解フィルタが色分解手段に、CCD26が撮像手段に、A/D変換回路28がA/D変換手段に、画像データサイズ変換処理回路240がデータサイズ変換手段に、補間/輪郭処理回路220が画像処理手段に、それぞれ対応する。
【0077】
【発明の効果】以上詳細に説明したように請求項1〜3に記載の発明によれば、色分解手段によって複数の色成分に色分解された被写体像を撮像したディジタル画像データについて、色分解手段に配列されている色フィルタの配列による画像データの色成分の配列順序を保持しながら、画像データサイズを任意の縮小率または拡大率でサイズ変換するようにした。サイズ変換しても色成分の配列順序を保持する結果、被写体像の色を正しく再現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一眼レフ電子スチルカメラの一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】一眼レフ電子スチルカメラの信号処理系統の一実施の形態のブロック図である。
【図3】図2に示した信号処理系統のうちライン処理を行なう回路を説明するブロック図である。
【図4】図2に示した信号処理系統のうちブロック処理を行なう回路を説明するブロック図である。
【図5】ベイヤー配列の色分解フィルタを示す図である。
【図6】G補間回路の処理内容を説明する図である。
【図7】バンドパスフィルタの処理内容を説明する図である。
【図8】ローパスフィルタの処理内容を説明する図である。
【図9】色差信号生成回路の処理内容を説明する図である。
【図10】補間/LPF回路で処理されるデータ例を示す図である。
【図11】補間/LPF回路の処理内容を説明する図である。
【図12】メディアン回路の処理内容を説明する図である。
【図13】全押しスイッチで起動されるプログラムを示すフローチャートである。
【図14】補色フィルタ配列方式の色分解フィルタを示す図である。
【図15】ベイヤー方式の色分解フィルタを通して撮像された画像データに対する間引き処理を説明する図である。
【符号の説明】
21…CPU、 22…半押しスイッチ、23…全押しスイッチ、 26,73…CCD、28…A/D変換回路、 29…画像処理回路、33…JPEG圧縮回路、35…ホワイトバランス検出処理回路、 35A…ホワイトバランスセンサ、100…ライン処理回路、 200…ブロック処理回路、210…ホワイトバランス微調整回路、 220…補間/輪郭処理回路、240…画像データサイズ変換処理回路、250…切換え回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタが所定の順序で配列され、被写体像を前記複数の色成分に色分解する色分解手段と、前記色分解手段により色分解された被写体像を複数の画素により撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換手段と、前記A/D変換後の画像データについて、前記画像データが前記色フィルタの配列順序に応じて有する前記色成分の配列順序を保持しながら、前記画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換手段とを備えることを特徴とする画像データサイズ変換処理装置。
【請求項2】複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタが所定の順序で配列され、被写体像を前記複数の色成分に色分解する色分解手段と、前記色分解手段により色分解された被写体像を複数の画素により撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換手段と、前記A/D変換後の画像データについて、前記画像データが前記色フィルタの配列順序に応じて有する前記色成分の配列順序を保持しながら、前記画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換手段と、前記データサイズ変換手段による前記縮小または拡大後の画像データに対し、所定の画像処理を行う画像処理手段とを備えることを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項3】複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタにより前記複数の色成分に色分解して撮像されたディジタル画像データについて、前記画像データが前記色フィルタの配列順序に応じて有する前記色成分の配列順序を保持しながら、前記画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換処理を行うプログラムが格納されていることを特徴とする画像データサイズ変換処理用記録媒体。
【請求項1】複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタが所定の順序で配列され、被写体像を前記複数の色成分に色分解する色分解手段と、前記色分解手段により色分解された被写体像を複数の画素により撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換手段と、前記A/D変換後の画像データについて、前記画像データが前記色フィルタの配列順序に応じて有する前記色成分の配列順序を保持しながら、前記画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換手段とを備えることを特徴とする画像データサイズ変換処理装置。
【請求項2】複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタが所定の順序で配列され、被写体像を前記複数の色成分に色分解する色分解手段と、前記色分解手段により色分解された被写体像を複数の画素により撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される画像信号をA/D変換するA/D変換手段と、前記A/D変換後の画像データについて、前記画像データが前記色フィルタの配列順序に応じて有する前記色成分の配列順序を保持しながら、前記画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換手段と、前記データサイズ変換手段による前記縮小または拡大後の画像データに対し、所定の画像処理を行う画像処理手段とを備えることを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項3】複数の色成分の光をそれぞれ透過する複数の色フィルタにより前記複数の色成分に色分解して撮像されたディジタル画像データについて、前記画像データが前記色フィルタの配列順序に応じて有する前記色成分の配列順序を保持しながら、前記画像データを任意の縮小率または拡大率で縮小または拡大するデータサイズ変換処理を行うプログラムが格納されていることを特徴とする画像データサイズ変換処理用記録媒体。
【図3】
【図10】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図9】
【図13】
【図14】
【図6】
【図15】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図10】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図9】
【図13】
【図14】
【図6】
【図15】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2002−84547(P2002−84547A)
【公開日】平成14年3月22日(2002.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−270396(P2000−270396)
【出願日】平成12年9月6日(2000.9.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成14年3月22日(2002.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年9月6日(2000.9.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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